キョン「暇だな……」 (34)

キョン「暇だな……」

古泉「何かゲームでもおやりになりますか? お相手いたしますよ」

キョン「……なあ、鶏と卵はどっちが先だと思う?」

古泉「最近結論が出たような気がしましたが……。鶏が先でしたっけ?」

キョン「ハルヒとお前らのことだ」

古泉「……どういうことでしょうか?」

キョン「本当にハルヒはお前らの言うような力があるのか?」

古泉「これは面白いことを言いますね。摩訶不思議な体験をあなたも幾度となくしているでしょう」

キョン「いや、ふと思っただけなんだがな……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403274971

キョン「ハルヒの能力自体はまあいい。疑ってもしょうがないほど色んなものを見てきた」

    「で、お前らはハルヒに突然妙な力が備わったから、そのおかしな身分でここにいるんだよな?」

古泉「ええ」

キョン「……仮にそれを本当だと仮定した場合、ハルヒが先でお前らが後なのか?」

古泉「我々が観測を始めたことによって涼宮さんの力が生まれたというんですか?」

キョン「あくまで想像の話だがな、それを否定できるか?」

古泉「残念ながら明確な証拠を持って否定することは出来ませんね」

キョン「何故だ?」

古泉「証拠がないので、堂々巡りをする議論になってしまうからですよ」

キョン「暇つぶしにはもってこいの議論じゃないか」

古泉「……僭越ながら、発言の目的は何です?」

キョン「単なる暇つぶしだ。真実を突き止めたいというような使命感は皆無だ」

    「……ただ、最近はありがたいことに平和だしな」

    「いつも流れるままに巻き込まれていたが、そういうことを考えたことがなかったんでな」

古泉「我々はどちらかと言えば涼宮さん自身による補助といいますか、後発的なものですから……」

   「我々の視点からすれば、絶対的に涼宮さんの力が先ですよ」

キョン「ハルヒが与えたたもうた能力だと」

古泉「そうでなければ説明がつきません」

キョン「お前は鶏が先派か」

古泉「長門さんや朝比奈さんは違う意見かもしれませんね。我々とは立場も考え方も違いますから」

キョン「長門にも訊いてみるか……」

古泉「卵派の意見があったらぜひ僕にも聞かせてくださいね」

   「ちなみに、長門さんにも朝比奈さんにも、おひとりでお訊きになった方がいいと思いますよ」

キョン「何故だ?」

古泉「我々は三者三様の考え方の下に存在しているわけですから、他の団体へ聞かせたくない考えもあるでしょう」

キョン「お前にもそういうのがあるのか?」

古泉「ない、とは言い切れませんが、長門さんや朝比奈さんに比べれば微々たるものですよ」

古泉「先に申し上げましたように、我々は涼宮さんの能力に付随する力を持っているだけです」

   「我々の目的は基本的には現状維持と言ってよいものですし」

   「仮に涼宮さんの能力が消えたとしても、他の観察者ほど大きな衝撃にはなりません」

   「個人的には涼宮さんの能力はありつつ、平穏な状況の方が面白みがありますがね」

キョン「その割には必死にハルヒのイエスマンを演じているじゃないか」

古泉「……そしてなにより、あなたひとりとの会話でなければ、真実を話す可能性が低くなります」

   「もちろんあなた経由で僕へと伝わる可能性もありますが……」

キョン「長門や朝比奈さんが嘘をつくとでもいうのか?」

古泉「可能性としての話ですよ。間違いなく言えることは、あなたひとりの方がガードが緩くなります」

キョン「そういうものか」

古泉「我々は総じてSOS団の団員ですが、大本はそれぞれ違う団体に所属しているんですよ」

   「各々の胸に秘密裏の重要な任務を抱えてね」

キョン「……最近はどうもそういう大前提を忘れかけているな」

古泉「おっしゃる通り、最近は平和に時間が過ぎていますからね」

   「このままのんびりと過ぎていけば、僕も高校生活を謳歌出来るのですが……」

キョン「……お前の意見が本当だという保障もないよな?」

古泉「もちろんです。しかし、僕が嘘をついているように見えますか?」

キョン「そういうわけではないが……」

古泉「何だか歯切れが悪いですね」

キョン「いつもお前らの話を鵜呑みにしてばかりだったからな……」

    「少しは疑ってみた方が面白いかもしれないと思ってな」

古泉「どなたかに影響されているようですね。涼宮さんが聞いたら喜ぶでしょうね」

キョン「何だその顔は」

古泉「いえ、何でもありませんよ」

キョン(確かに古泉の能力は俺が知っている限りでは、ハルヒなしには成り立たないようなものだ)

    (俺が知っている通りの力しか保持していないという保障はどこにもないが……)

    (今までは漫然と流されてきたが、疑いだすときりがない状況にいるんだな)

    (……とりあえず、次は長門だ)

キョン「長門、お前はハルヒの観察のためにいるんだよな」

長門「そう」

キョン「お前らがハルヒの観察をするからハルヒが妙な力を持ったってことはないのか?」

長門「……可能性は否定出来ない」

キョン「お前の親玉はどう考えてるんだ?」

長門「涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めている」

   「自立進化の閉塞状態を打開する可能性を模索する中、涼宮ハルヒを発見した」

キョン「お前らが注目したからハルヒが力を持ったんじゃないのか?」

    「自立進化が停滞している状況の打開策として、ハルヒをそう思いたかったってことはないのか?」

長門「……」

キョン「……俺はお前たちの目的がよくわからないし、正直あまり興味もない」

    「ただ、ハルヒの存在を当たり前だと思っているところを疑ってみたことがなかったんでな」

長門「……」

キョン「ハルヒに気付いたのは三年前の情報爆発なんだよな?」

長門「地球における情報フレアの観測をもって涼宮ハルヒに注目した」

キョン「……お前、三年以上前からいなかったか?」

長門「……」

キョン「……まさかお前が答えに窮したというわけじゃないよな?」

長門「言語で表現することは難しい。また、その内容について、正しいと証明することが出来ない」

キョン「なあ、お前も嘘を言うことがあるのか? 俺にはそうは思えないんだがな……」

長門「……」

キョン「……もし気分を害したようなら謝る。何だか尋問のようになっちまったな」

    「ただの暇つぶしで他意はないんだ。……また話を聞かせてくれ」

長門「いい」

キョン(特段得たものはなかった……。いつも以上に口を閉ざしていた印象だ)

    (まあ、長門の超人的パワーはいつだって信じるに値するし、何度となく助けられてきた)

    (長門は答えなかったが、あいつも嘘を言うことがあるんだろうか……)

    (喋らなかったのは嘘をつくことを避けるためだったのか……)

    (……これは考えすぎか)

キョン「朝比奈さん、ちょっといいですか?」

みくる「なんでしょう?」

キョン「話せる範囲内でいいんで、ハルヒについて訊きたいことがあるんですが……」

みくる「……どういった内容でしょうか」

キョン「ハルヒの力についてですが、後発的なものだと考えたことはないんですか?」

みくる「えっと……」

キョン「つまりですね、ハルヒに力を持たせているのは、回りにいるやつらのせいじゃないかってことです」

みくる「……」

キョン「長門も古泉も朝比奈さんもハルヒが力を持ったから観察し始めたということになっていますが……」

    「実はそれは誤解で、第三者が観察し始めたことによってハルヒが力を持ったということはないんですか?」

みくる「詳しいことは禁則に関わるから言えないんですけど……。それはありえません」

キョン「どうしてですか?」

みくる「三年前の情報爆発の中心にいたのは間違いなく涼宮さんでした。それは間違いありません」

キョン「俺にはその言葉の意味がよくわかりませんが、本当にハルヒが起こしたものだったんですか?」

みくる「禁則に該当するので……」

キョン「言葉尻だけを捕まえると随分と弱い根拠のような気もするんですが……」

みくる「……禁則事項です」

キョン「朝比奈さんはハルヒがいなくなったりすると困るんですか?」

みくる「禁則事項です。ごめんなさい」

キョン「何だか問い詰めるような物言いになってしまって申し訳ありません」

    (元より朝比奈さんとの会話には期待をしていなかったからな……)

みくる「いえ、こちらこそ何も答えられなくてごめんなさい……」

キョン「気にしないでください。最後にひとつだけいいですか?」

みくる「はい?」

キョン「朝比奈さんは古泉や長門が俺に嘘をつくことがあると思いますか?」

みくる「……どうでしょう。長門さんも古泉くんも思うところがあってここにいるわけですし……」

    「その可能性がまったくないとは思えません」

キョン「そうですか……。ありがとうございました」

キョン(さて、とりあえず一通り話は済んだが……。結局何もわかっていないに等しいなこれは)

    (ほぼ全員がハルヒの能力は元からあったと考えている。当たり前と言えば当たり前だ)

    (長門は可能性はあるとしたが、その可能性はどうも低いような雰囲気だった)

    (総合的な力は恐らく長門のところが頭ひとつどころか大いに抜けているだろう)

    (……あいつの親玉のことはよく知らんが、想像を絶する力を有しているはずだ)

    (その情報収集能力をもってしても可能性レベルの話はないと考えてもいいか……?)

    (……ついでだからそれとなくハルヒにも話を訊いてみるか)

キョン「おいハルヒ、ちょっといいか」

ハルヒ「何よ」

キョン「他人に注目されるってのはどんな気分だ?」

ハルヒ「何言ってるの、あんた?」

キョン「いやな、俺は見ての通り平凡な男子高校生だ。人から注目を浴びることなんてまずない」

    「その点、お前はそういうのに慣れているだろう? どういう心境なのか興味があってな」

ハルヒ「別になんともないわよ。このあたしはそんなの気にしたことはないわ」

キョン「人に注目されることで大いなる力が目覚めるとかそういうことはないか?」

ハルヒ「そんなことないわよ。あんたなんか変な映画でも観たの?」

キョン「……じゃ、仮にだが、宇宙人や未来人や超能力者がお前の一挙手一投足を見ているとしたらどうだ?」

ハルヒ「そんなことありえないこと考えたこともないわ」

キョン(まあそうなるか)

ハルヒ「……でも、そうね。もしそうだったら楽しいわね」

キョン「宇宙人に見られていることで張り切ったりするのか?」

ハルヒ「さあ、どうかしらね。ただ見られているのは変な感じだから一緒に遊びたいわ」

キョン「……」

ハルヒ「仲良くなったら張り切って地球を案内してあげたいもの」

キョン「……そうか」

キョン(ハルヒが環境に左右されることは考えにくいのか……?)

    (あいつはどちらかと言えば環境側で、誰かを左右する方だしな)

    (人を巻き込むのは得意だが、巻き込まれているところは見たことがない気がするが)

    (もっとも、あいつを物事に巻き込もうとするやつがいないだけかもしれんが……)

    (もしくは巻き込まれたところで意に介さないだけか……)

    (ただ、むやみやたらに勝負事が好きだし、目立つことも少なくとも嫌いじゃないはずだ)

    (ということは、少なくともプラス方向では環境に左右されるんだろうな)

古泉「哲学的な暇つぶしの答えは出ましたか?」

キョン「いや、特に収穫もないままだ」

古泉「長門さんは何と言っていましたか?」

キョン「可能性はあるようなことは言っていたが、どうも違うようだ」

古泉「……あなた自身はどう思っているんですか?」

キョン「……どうなんだろうな。よくわからんというのが一番近い」

古泉「……」

キョン「お前たちが言うことが正しいような気もするが、根本的には一般的にありえないことだ」

    「……ただ、俺は一般的に考えればありえないことを体験し過ぎている」

    「あまり深く考えると俺の頭がおかしくなっちまいそうだ」

古泉「あなたが長門さんや朝比奈さんに訊きまわっている間、僕も考えてみたのですよ」

キョン「……何だ?」

古泉「我々の監視と涼宮さんの力の発生時期についての考察については先にお話しした通りですが……」

   「我々が涼宮さんを観察することによって、その力が確固たるものになっているのではないかということです」

   「あくまで個人的所感ですが、お互いの存在を維持し合っているのではないかと感じることがあります」

   「そして時には相乗効果のように、よりお互いの力を高め合い、最大限に発揮させているのでは、と」

キョン「相互に作用しつつ今があるということか……。何か思い当たる節でもあるのか?」

古泉「確たる証拠はありません。ただ、そう考えるのが自然なのではないかと思うときがあるだけですよ」

キョン「……」

古泉「そしてもちろんあなたもその中に含まれていますよ」

キョン「俺が何をしたっていうんだ?」

古泉「他でもない、あなたがSOS団を作るように仕向けた張本人なんですよ」

   「そして涼宮さんは宇宙人と未来人と超能力者を第三者から当事者へと引き込んだんです」

   「先の仮説を信じるなら、相互作用を効果的に活かせる場を用意した原因はあなたです」

キョン「……」

古泉「ご自身では涼宮さんに妙な入れ知恵をした覚えがないと思っているんでしょう?」

   「おそらくそこが一番の勘違いなのではないかと思います」

キョン「どういうことだ?」

古泉「あなたは涼宮さんを拒否しませんでした」

古泉「深く考えなかったと言い換えてもいいかもしれません」

キョン「随分な言い方で俺を表現してくれるじゃないか」

古泉「おそらく今まで涼宮さんに触れた人々はその特異性を感じ、無意識的にも拒否に近い感情を持ったはずです」

   「涼宮さんの見た目に釣られて興味を持っては、相対して自分の想像を上回る言動に辟易したんでしょう」

   「そして、『関わらない方がいい』と多くの人が判断し、段々と消えていきました」

   「しかし、それは無理もないことだと思います。涼宮さん言動は慣れていても驚くことがありますからね」

キョン「……」

古泉「ところがあなたはそうではなかった。過去のことから多少免疫があったのかもしれませんが……」

   「もしくは単にあなたが変わっているだけという可能性も――」

キョン「続けろ」

古泉「……そんなに睨まないでくださいよ。気に触ったなら申し訳ありません」

   「……というわけで、あなたは普通の人に接するように涼宮さんに接した結果、今があるわけです」

   「あなたが涼宮さんに対して特別なアクションを起こさなかったことが影響を与えた……」

   「こう考えることが出来ますが、いかがでしょうか?」

キョン「それはお前らの公式見解なのか?」

古泉「いえ、あくまで僕個人の考えですよ。オフレコということでお願いします」

キョン「深く考えていなかったためにこの状況にいるのか俺は……」

古泉「そうかもしれませんし、違うかもしれません。曖昧なことがいいときもありますよ」

   「何もかも白黒つけてしまっては灰色が浮かばれませんよ」

キョン「他人事だと思って適当なことを言うな」

古泉「いいじゃありませんか。これは暇つぶしなのでしょう?」

キョン「まあそうだが……」

古泉「改めて伝えるほどのことではありませんが、あなたはSOS団にとって重要人物なのですよ」

   「ご自身で考えておられるより、はるかに高いレベルでです」

キョン「仮にそうだとしても、実感が湧かん」

古泉「それはそうでしょう。何しろ、神様と宇宙人と未来人と超能力者と机を囲んでいるわけですから」

キョン「平凡な男子高校生には荷が重過ぎるだろう」

古泉「……もしかして後悔していらっしゃるんですか?」

キョン「どうだろうな……。そんな気もするし、そうでないとも言い切れないような……」

古泉「自信を持った方がいいと思いますよ。あなたほど貴重な体験が出来るポジションは他にありません」

古泉「出来ることなら変わって差し上げたいくらいですよ。正直に申し上げて、僕はあなたがうらやましい」

キョン「……いや、それはできんな」

古泉「どうしてですか?」

キョン(俺はある程度、この状況が気に入っているからな)

古泉「顔が緩んでいますよ」

キョン「……うるさい。お前に譲るにはおしい、とだけ言っておこう」

古泉「それはそれは」

キョン「何にしろ、深く考えることはやめよう。いいことがなさそうだ」

古泉「それがいいかもしれませんね」

キョン「よし、またハルヒが大げさにドアを開けるまでボードゲームでもするか」

古泉「あまり時間はなさそうですが……。今日は負けませんよ」

__
    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                        _ ,(^ω^ ) ,-''";  ;,
                         / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,'

                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'     d⌒) ./| _ノ  __ノ

ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom