希「今日はウチの誕生日やね」 (55)

希(みんなプレゼントとかくれるんかな?)

希(まあ期待しててもなんか変な感じになるし……普通に期待しとこ)

希「それにしてえりち、何で今日はウチに早めに登校するように言ってたんやろ?」

穂乃果「あ、希ちゃん。おはよう」

希「おはよう穂乃果ちゃん。登校するときこっち通ってたっけ?」

穂乃果「ううん、今日は特別な日だからね……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402325122

希(両手に持った紙袋は何やろ。もしかしてプレゼント……? でもまさかそんなにたくさん……)

穂乃果「じじゃーん! 希ちゃん18歳の誕生日おめでとう! 穂乃果から穂むらのおまんじゅう18箱プレゼントです」

希「箱!?」

穂乃果「実はぜーんぶ穂乃果が作ったんだよ」

希「えぇっ、一体いくつ作ったん?」

穂乃果「1箱に6つずつだから……たくさんだね」

希(ひゃ、108個……! 煩悩と同じ数やん)

希(18個とかでいいのに……でもうれしいなぁ)

希「ありがとう穂乃果ちゃん。でも学校には持っていけないから一旦おうちに持っていくわ」

穂乃果「穂乃果も手伝うよ!」




希(ひとつ目からハードやったなぁ……)

希(運んでくれた穂乃果ちゃんもすぐ行っちゃったし)

希(もしかしたら登校中にまた誰かが……)

ことり「おはよう希ちゃんっ!」

希(……次はことりちゃんの番やね)

希「おはよ、こっちに来るなんて珍しいやん」

ことり「うん、でも今日は希ちゃんの誕生日だから!」

希「あ、知ってたん?」

ことり「もちろんだよっ。それで私からのプレゼントは……」

希(ま、また大きいんかな……)

希(でも穂乃果ちゃんみたいに紙袋とか持ってないし、鞄から出してるし小さいのかも……)

ことり「ことり特製クッキー、180枚です!」

希(鞄の大きさそのままのサイズ……)

希「鞄に教科書とかは入ってないん?」

ことり「そこは抜かりなく……海未ちゃんが持っていってくれてます」

希「海未ちゃん大変やね……ありがとう」

ことり「どういたしまして」

希(これも一回持って帰ろかな)

希(まさかえりちはこれを見越して早めに出ろって……?)





希「……よし」

希(あれから特に何もなく学校に……って何かこれ逃げてるみたいになってるなぁ)

希(まあ、たまたま2人だけがでっかいの持ってきてくれただけで、他のみんなはそうそう……)

凛「希ちゃーん」

花陽「朝礼前だけど大丈夫かなぁ?」

希(あら珍しい)

希「2人ともどうしたん?」

凛「おはよー!」

花陽「あ、おはよう」

希(2人とも……手に何も持ってない。よし)

凛「希ちゃん今日誕生日でしょ? おめでとうにゃー」

花陽「おめでとう」

希「ありがとう。何や、2人ともプレゼントくれるん?」

花陽「うん、希ちゃんは大切だからね……」

希(大切……?)

花陽「お米を送っておいたよ」

凛「凛からはオススメのラーメンを!」

希(もはや仕送りやん!?)

希「ゆ、郵送で?」

凛「うふふ、それはナイショだよ」

花陽「今日の夜に……ね」

希「えっ、ちょっと2人とも、どこ行くん」

凛「ホームルーム始まっちゃうからまたあとでねー!」

花陽「そういうことだから、楽しみにしててね」

希「えー……」

絵里「どうしたの希」

希「え、えりちもごはんテロを……?」

絵里「なにそのおいしそうな名前。とりあえず教室に入らない?」

希「えりちはどこから出てきたん?」

絵里「生徒会室よ。忘れ物してたから取りに行ってたの」

希「……よかった」

希(えりちが早く家を出るように言ったんは関係なかったんやね……)

絵里「?」






希「……」

希(どこからプレゼントが来るか警戒せんと……)

希(クラスの子は普通のくれるし、流行りってわけじゃなさそうやけど……)

にこ「にっこにっこにー」

希「!?」

にこ「え、そんな驚く?」

希「いや、にこっちのが急に変なこと言うから」

にこ「変なこととは失礼ね。にっこにっこにー15セットの刑よ!」

希「じゃあウチは見学してるから、にこっち頑張ってな」

にこ「よーし、やってやるわ……にっこにっ、ってこれじゃ変な人みたいじゃない」

希「ほら、変なことやん」

にこ「ぐぬぬ」

にこ「あ、そうだ。そんなことより……期待してなさいよ?」

希「へ? 何を?」

にこ「夜を、よ」

希(……いったい何をたくらんでるんやろ)

にこ「晩ご飯は食べちゃダメよ」

希「?」





海未「希、少しいいですか?」

希「ん、いいよー」

希(お昼休みになってすぐに……ってことは走ってきてくれたんかな)

希(ということはやっぱり……)

海未「……あのですね」

希「うん」

海未「今日は特別な……その……」

希「……?」

海未「今日もいい天気ですね。絶好の練習日和です」

希(話題変えた)

海未「そうは思いませんか?」

希「そうやね」

海未「……それでですね」

希(ん? 海未ちゃん、背中の方に何か持ってると思ったら……箱かな?)

希(……もしかして恥ずかしい、とか?)

海未「えぇと……時に希、最近眠りづらいときはありませんか?」

希「たまにあるかなぁ」

海未「そんなあなたにオススメのコレ、安眠枕です。低反発で洗濯機で洗うことのできる素材の枕になります」

希(通販みたいになってきた)

希「じゃあそれ、プレゼントとして渡しに来てくれたん?」

海未「あ、そ、それはですね……」

希(やっぱり恥ずかしいんや……海未ちゃんかわいいなぁ)

海未「これは……」

希「これは?」

海未「…………ぷ、ぷれぜんと」

希「聞こえなーい」

海未「意地悪をしないでください! 面と向かってこう……こうするのは緊張するんですから……」

希「そしたら仕切り直しやね」

海未「えぅ……」

海未「ぷ、プレゼントです」

希「誰にあげるん?」

海未「希に……」

希(もうウチ、この辺でお腹いっぱいやわ……)

希(でも面白いから……これで最後にしよ)

希「へぇー、何でくれるんかな?」

海未「誕生日、ですから……」

海未「生まれてきてくれてありがとうございます。あなたがいなければ……μ'sはできませんでした」

海未「この学校も廃校になっていたかもしれないし……」

希「」

海未「……感謝してるんです」

希「やめてー! そんな純粋な目でウチを見んといて!」





絵里「どうしたの希、机に枕なんて置いて」

希「後悔の涙で枕を濡らしてるんよ……くすん」

絵里「何かあったの?」

希「海未ちゃんがいい子やってん……」

絵里「……?」

希「ウチは最低や……ぐふっ」

絵里「そうかしら? 希はいいところいっぱいあるけど……」

希「うぅ……その言葉が刺さる」





希「よーし、気持ち切り替えて練習しよ!」

真姫「あら、張り切ってるわね」

希「今のウチは誰にも止められません。なんたって安眠枕があったから」

真姫「枕? それと別に止めに来たわけじゃないわ」

希「よろしい」

真姫「今日は希の誕生日でしょ」

希「うん、唐突やね真姫ちゃん」

真姫「トマトは好きかしら」

希「普通かなぁ」

真姫「……よし」

希「よし?」

真姫「気にしないで」

希(何かあるんかな? にこっちも何か言ってたし……)






穂乃果「あー……今日も疲れたね」

ことり「はい穂乃果ちゃん、タオルだよっ」

穂乃果「うむ、たいぎであった」

海未「なんですかそれ」

穂乃果「虎のドラマで言ってたの」

海未「虎の……まさか大河ドラマですか?」

穂乃果「それそれ!」

ことり「あはは、穂乃果ちゃんらしいね」

凛「かよちん、今日は帰りどうしよっか?」

花陽「そうだねぇ……一旦帰って着替えてからね」

凛「了解にゃー」

希「……」

希(練習終わっちゃった)

希(えりち、にこっち、それに真姫ちゃんもプレゼントなし、か。途中で抜けちゃったしなぁ)

希(にこっちと真姫ちゃんは夜に何かあるとか言ってたからともかく、えりちは完全に覚えてなさそうやったし……)

希「……」

穂乃果「希ちゃん、どうしたの?」

花陽「難しい顔してるけど……」

希「……えりちはウチの誕生日覚えてないんかな―と思って」

ことり「……そっか。希ちゃん寂しいんだね」

希「…………え?」

凛「希ちゃんでも寂しくなることあるんだねぇ」

海未「ふふふ、意外です」

希「う、海未ちゃんさっきのこと根に持って……」

海未「私はそんなに意地悪ではありませんよ。ねぇ?」

希「ごめんなさい!」

海未「まあこのくらいで許してあげましょう」

穂乃果「何かあったの?」

海未「はい、少しだけ」

ことり「希ちゃん、ダメだよ? 海未ちゃん照れ屋さんなんだから」

希「はーい」

凛「でもやっぱり、希ちゃん寂しいんだ」

希「べ、別に寂しいとかじゃ……」

海未「夜になるまで待っていてください」

穂乃果「希ちゃんのお腹がすいたとき、いいことが起こるよ!」

希「いいこと……?」

希(何でお腹がすいたとき……なんやろ?)





希「夜やね……」

希(星が綺麗……でもちょっと寂しいかも)

希「……おなかすいた」

絵里「待ってました!」

希「ええっ!? ど、どこから……」

絵里「そこのタンスから」

希「……まさかずっと隠れてたん?」

絵里「ええ、希の鍵の隠し場所は知ってるから。植木鉢の下、よね?」

希「何でそれを……」

絵里「高校最後の誕生日よ? みんなで祝いたいじゃない」

希「えりち……気付いてたってこと?」

絵里「何に?」

希「ウチの一人暮らしに」

絵里「実は数日前からだけど」

希「……」

絵里「えーっとね、希にサプライズパーティーを仕掛けようって計画をしてたのよ。そこで親御さんに許可がいるかなーと思って……後をつけてみたら」

希「……」

絵里「ごめんなさい」

希「ううん、ウチ怒ってない」

絵里「……そうは見えないけど」

希「……うれしくて震えてるだけやから。怒ってないもん」

絵里「ごめんね希。知らないふりして」

希「……」

絵里「みんなでお鍋にしようって計画なんだけどどうかしら? 主役がいないと始まらないわ」

希「そんなこと言ってもう呼んでるくせに」

絵里「バレちゃった?」

希「ウチに最初から拒否権なんかないんや」

絵里「ごめんね。希は大切な友達なんだから、誕生日を覚えてないわけないでしょ?」

希「……ウチを悲しませた罪は重いでー」

絵里「私が腕によりをかけて作るから、ね?」

希「……今回だけやで?」

絵里「ありがとう」

希「……なぁえりち」

絵里「何?」

希「何でみんなウチに食べ物ばっかりくれるんかな」

絵里「一人暮らしって聞いて、きっとみんな心配してるのよ」

希「そっか……」

希「知らん間に食いしん坊キャラが定着してるんかと思ってた」

絵里「あはは」







にこ「にこにー特製トマト鍋よ!」

絵里「ちょっとにこ、私も手伝ったでしょ?」

にこ「愛が足りない」

絵里「何の話よ」

希「愛が足りない」

絵里「希までー!」

海未「はいはい、早く食べないと冷めてしまいますよ」

絵里「そういえば穂乃果、ことり。希に大量に甘いものをプレゼントしたって本当?」

穂乃果「本当はケーキとかにしようと思ったんだけどね、予約が間に合わなくてね」

ことり「それに私も代わりの甘いものプレゼントしちゃったし……」

穂乃果「……えぇっ!? ことりちゃんも!?」

ことり「え? 穂乃果ちゃん、この前私に任せるって……」

穂乃果「洋菓子の方をだよぉ、じゃああんなにたくさん作らなくてもよかったんだ……」

ことり「そうだったんだ……」

希「ああ、だから2人ともあんなにたくさん……」

希「大丈夫やで、もらったんやしウチが食べるから」

穂乃果「で、でもあんなにたくさん食べちゃったら……」

ことり「そうだよぉ。いくらなんでも多すぎて……」

海未「じゃあ私たちも食べればいいじゃないですか」

穂乃果「おお、名案!」

海未「というか穂乃果もことりも、希を心配しすぎなんですよ。それに甘いものだけでは生活できませんよ」

希「海未ちゃん、別にウチそこまで困ってるわけじゃ……」

海未「野菜です、野菜が足りていません。冷蔵庫の中を見ましたが何ですかあれは」

希「昨日お野菜使い切って……」

海未「言い訳は聞きません。栄養管理は大切です」

にこ「姑……」

海未「何でしょうか」

にこ「なんでもないです」

凛「最期はラーメン入れちゃう? ご飯がいい?」

花陽「このご飯はぜひとも炊き立てで食べてほしいなぁ……」

凛「じゃあラーメンにゃ!」

真姫「ていうか2人が箱抱えて持ってきたときは驚いたわよ」

希「うんうん、疲れたやろ?」

凛「凛は大丈夫だよー、鍛えてるからね」

花陽「私はほとんどまかせっきりでした……」

真姫「花陽、鍛えないとね」

花陽「ひぇぇ……」

希「真姫ちゃんの持ってきてくれたトマトおいしいで」

真姫「でっしょー? 私が一番好きなトマトなのよ」

絵里「おいしいわ」

真姫「絵里、食べてるのたまねぎだけど」

絵里「……たまねぎもトマトかと思うくらいおいしかったわ」

にこ「なかなかの暴論ね」

希(今日はみんなのおかげで楽しい誕生日になったなぁ)

希「みんな、ありがとう」

絵里「どうしたのよ急に、改まっちゃって」

希「たまねぎとトマト間違える人には言ってません」

絵里「むぅ……」

穂乃果「えー? 何の話?」

絵里「内緒です」

凛「気になるよー」

絵里「気になりません」

ことり「あはは」

希「みんな大好きやでー!」

真姫「わ、ちょっと急に何よ」

にこ「私まだ食べてる途中なんだけど」

絵里「希、私は?」

希「ふつう」

絵里「リアルでショックだわ……」

希「冗談やって」

絵里「本当?」

希「うん」

絵里「じゃあ私のこと、どのくらい好き?」

希「今はお鍋の方が好きかなぁ」

絵里「お鍋に負けた……もう希なんて知らない!」

希「お鍋食べ終わったらきっとえりちのこと好きになるって」

絵里「え? 本当?」

真姫「絵里ってあれで生徒会長なのよね……」

にこ「そんな言い方やめなさいよ……音乃木坂の将来が危ういじゃない」

絵里「そこ、聞こえてるわよ」





今日は今までの中で、最高で忘れられない誕生日になりました。

だから心配しないでね。                    希より



希「お父さんとお母さん宛なら、手紙はこんな感じかな……」

絵里「食べ終わってすぐ書くのね」

希「うん、忘れないうちに」

絵里「みんな寝ちゃったけど大丈夫かしら」

希「今のうちに写真撮っとこ」

絵里「9人中7人寝てるけど、記念写真でも撮る?」

希「そうしよか」

希「じゃあいくで……はい、チーズ!」

絵里「あ、ちょっと待って、今の絶対私目閉じた」

希「あ、本当やね……ぷぷぷ」

絵里「ちょ、笑わないでよもう……もう1回撮るわよ!」

希「はいはい、それじゃもう1回――――――――






――――――――――――――――



希「えりちー、あの時覚えてる? 納得のいくまで撮り続けて2人とも寝ちゃったやつ」

絵里「あー、あったわね。そんなこと」

希「で、今日もまたお鍋、と」

絵里「もう毎年恒例になっちゃったわね」

希「楽しいからいいんやけどね」

絵里「じゃあ希の誕生日を祝して……かんぱーい!」

希「えりちまだみんな来てないでー」

絵里「この日の為に写真写りの勉強してきたんだから大丈夫よ」

希「また変なとこでズレてる」

絵里「え? 角度が?」

希「ちがーう」

絵里「あ、メール来たわよ。みんなもうすぐ来るって」

希「わざわざここまで来て集まってくれるんやから、律儀というかなんというか」

絵里「また180個とか持ってこられたらどうする?」

希「えりちに全部食べさせる」

絵里「ちょっと無理ね。おととしもおまんじゅうはギリギリだったし」

希「じゃあ今年は200個目指して頑張ってな」

絵里「えー」

「えりち、またタンスに隠れとかな」

「いやよー。今の時期暑いじゃない」

「高校生の頃は喜んで入ってたのに?」

「別に喜んでません」

「タンスに入ってくれたらえりちのこと好きになる!」

「よーし、まずは準備体操から」

「冗談やって」

「もー」

「じゃあ今年も最高の誕生日になるように頑張りましょうね、希」

「ウチも頑張るん嫌やー」

「まあがんばることなんてないんだけど」

「そやね」

「気分は高校生のままで」

「疲れるからパス」

「若さが足りないわよ若さが! まだ20歳なのに」

「えりちと一緒にいたらボケなさそうやから、老後も頼むで」

「私もボケてタンスに入らないようにしないとね」

「それは楽しみかも」






        おわり

間に合ったけど間に合ってない
のんたん誕生日おめでとう

乙。
これは良いものだ。

今時カギをそこらに隠してるわけないんやな
まして女一人暮らしやで

>>48-51
ありがとう

>>52
それは書いててやらかしたと思った
別のssののんたんが子どもになるネタが混ざったんだ
後付で悪いが予備かなんかだと思ってください


のんたんかわいかった

>>54
ありがとう

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom