ミカサ「エレンを死なせはしない」(99)

~訓練兵団解散式~

………………俺はどれだけこの日を待ち望んだだろう。やっとだ、やっと訓練兵団から、調査兵団として、巨人を駆逐してやる!


エレン「おい、ミカサ、アルミン!やっとだな!!」

アルミン「う、うん。すごく嬉しそうだね」

ミカサ「エレンは興奮しすぎ」

エレン「当たり前だろう!明日から俺らは調査兵団だ!!」

ジャン「相変わらずうるせぇなぁ、死に急ぎ野郎!まぁ、せいぜい名前の通り初陣で死ぬなんてことするなよな!」

エレン「お前縁起でもないこと言うなよな!巨人の前にお前をぶっ殺すぞ」

ジャン「悪い悪い、そんなに怒んなよ。俺は明日から内地に行けると思って気分がいいんだよ。」

エレン「なら黙っとけよ。まぁ俺も今日はやり合うつもりはねぇよ」

ジャン「だがなエレン、俺が言ってるのは忠告だ。お前の命は今やお前だけのもんじゃねぇ。わかってるだろうが、絶対にミカサを悲しませることだけはするな」

エレン「あぁ、分かってる」

サシャ「出ましたね、ジャンの遠回しな愛情表現!!」

コニー「えっ!?ジャンのやつ、エレンの事が好きだったのかよ!!知らなかったぜ!」

ジャン「うっせぇ、バカは黙ってろ」

ハハハハ………………

――――――
―――――
――――

「それでは訓練通りに各班ごと通路に分かれ駐屯兵団の指揮の下、補給支援・情報伝達・巨人の掃討などを行ってもらう」

「前衛部を駐屯兵団が、中衛部を我々率いる訓練兵団が、後衛部を駐屯兵団の精鋭部隊が…」

「住民の避難が完全に完了するまで、このウォール・ローゼを死守せねばならない」

「なお…承知しているであろうが敵前逃亡は死罪に値する」

「みな 心して命を捧げよ」

『ハッ!!』



ジャン「うおぉぉぉ!!何で今日なんだ……!?明日から内地に行けたっつ―のに!!」

ミカサ「戦闘が混乱してきたら私の所にきて」ボソッ

エレン「は!?…何言ってんだ!?俺とお前は別々の班だろ!?」

ミカサ「混乱した状況下では筋書き通りにはいかない。私はあなたを守る!」

エレン「お前…さっきから何を…

「ミカサ訓練兵!!お前は特別に後衛部隊だ。付いてこい!!」


ミカサ「……!!私の腕では足手まといになります!」

「!?お前の判断を聞いているのではない。避難が遅れてる今は、住民の近くに多くの精鋭が必要だ」

ミカサ「し…しかし!」

エレン「オイ!いい加減にしろミカサ!人類滅亡の危機だぞ!!何テメェの勝手な都合を押し付けてんだ!!」

ミカサ「………悪かった…。私は冷静じゃなかった…。」

ミカサ「でも…頼みがある…1つだけ…どうか…死なないで…」

エレン「……あぁ。前に言っただろう!俺を信じろ!!」

ミカサ「…分かった」

タタタ………

―――――――――――― ――――――――――

アルミン「エレンついに決意したんだね!」

エレン「あぁ。今から言ってくる。」

ライナー「エレン、俺はずっとお前が腹を括るのを、心待ちにしてたぞ。男見せてこい!」

ベルトルト「僕も応援しているよ!頑張ってね!!」

コニー「俺もだぞ!!」

マルコ「俺も!!」

エレン「おう!みんなありがとう!!」







エレン「わざわざ呼び出して悪かったな」

ミカサ「全く気にしてない。エレン話って何?」


エレン「あぁ……、ミカサ…………俺はミカサの事がずっと好きだっだ。俺と付き合ってくれ!!」

ミカサ「…………えっ……、エレン?今なんて……?……」

エレン「だから、俺と付き……、いや、……ミカサ俺と結婚してくれ!!」

ミカサ「…………………はい。…………エレン……私本当に嬉しい………」ポロポロ

エレン「ミカサ!」ギュ

ミカサ「……なんだか私、…死んでもいいくらい嬉しい……。でもこの幸せが永遠に続いて欲しい…………。なんか私矛盾してる…」グスグス

エレン「…俺が死なせない。……………ミカサ……愛してる」

ミカサ「……うん。私もエレンの事愛してる。……エルンも死なせない……だからエレンは私が守る……」

エレン「……バ―カ。」笑

エレン「俺がお前を守る。…お前を残して死んだりはしねぇよ!」

ミカサ「…うん。信じてる…」

――パチパチパチパチパチ

アルミン「結婚おめでとう!2人の親友として、とても嬉しいよ」

ライナー「おめでとう。俺も自分の事のように嬉しいぞ」

ジャン「ジグジョ―。なんでお前なんだよ!羨ましい!!」ボロボロ


ユミル「お前ら遅ぇんだよ!見ててじれったかったんだよ!まぁ、次は私がクリスタと結婚する番だな」

クリスタ「ユミルったら!でもミカサ、本当におめでとう!!」

ベルトルト「良かったね!!本当におめでとう!」

マルコ「ずっと幸せにね!」

アニ「…おめでとう」フン

ミカサ「………皆本当にありがとう」グスン

ユミル「で、なんでこのバカ2人は泣いてんだ?」

コニー「…だっていい話すぎんだろ――」ウワ―ン

サシャ「ホントですよ。泣かないではいれないですよ」ウワ―ン

ハハハハ………

―――――――――― ――――――――――――

――――――
―――――

エレン「……アルミン!こりゃあいい機会だと思わねぇか?調査兵団に入団する前によ。この初陣で活躍しとけば、俺たちは新兵にして…スピード昇格間違いなしだ!!」

アルミン「……!!あぁ…、間違いない」

ミーナ「言っとくけど、二人とも…、今期の調査兵団志願者は、いっぱいいるんだからね!!」

トーマス「さっきはエレンに遅れを取ったけど、今回は負けないぜ!!誰が巨人を多く狩れるか勝負だ!!」

エレン「言ったなトーマス!数をちょろまかすなよ!!」

『34班前進!!』

エレン『行くぞ!!』

『おおぉぉぉ!!』






エレン(巨人がもうあんなに…。前衛部隊が総崩れだ…。決して楽観視していたわけじゃなかったが、これはあまりにも…)

『奇行種だ!!避けろ!!』

ドオォォ!!

トーマス「……ウワァ…クッ…クソ……」

エレン「ト…トーマス!!………」

エレン『待ちやがれ!』ビュン

『エレン!!下にも1体――』

エレン「ウッ!?」

ドガッ!
ゴン!!


アルミン「………!エレンが襲われた!助けよう!!」


ズゥゥン!!

「やったぞ!倒したぞ!!エレンは大丈夫か!?」

アルミン「…うん。壁にぶつかって頭を打ったみたいで、気を失ってるけど…目立った外傷はないよ!」

「……良かった。早く安全な所へ行こう!!」

―――――――
――――――

カン カン カン カン カン

「撤退だ!!壁を登るぞ!」

ミカサ「前衛の撤退を支援してきます!!」

「な…!?おい…ミカサ!!」

ミカサ(私には…この世界に帰る場所がある。エレン…あなたがいれば私は何でもできる)








「ミカサ!?お前後衛のはずじゃ…!?」

ミカサ「アニ!何となく状況は分かってる…。その上で…私情を挟んで申し訳ないけど、エレンの班見かけなかった…?」

アニ「確か同じ班のアルミンがあっちにいたよ」


ミカサ「アルミン!怪我はない?エレンはどうしたの?」

アルミン「…うん。エレンは戦闘中に巨人にぶっ飛ばされて頭をぶつけたみたいだけど、特に外傷はないし、気を失ってるだけだと思う」

エレン「…」

ミカサ「…良かった。早くエレンを医療班に診てもらおう」

アルミン「そうだね。でもまずはこの状況を何とかしないと…」


―――――
―――――――

―――――――
――――――

医療班

「診たところこの訓練兵は、ただ気を失っているだけだ。しばらくすれば目が覚めると思うよ」

ミカサ「エレン!良かった!!」ダキッ

アルミン「ミカサ良かったね!」

エレン「…」

ミカサ「うん!…早く目を覚まして欲しい」

アルミン「大丈夫だよ!あのエレンだ、すぐに目が覚めるよ!」

ミカサ「…うん。エレンは強い…。信じてる」



――――――
―――――――

―――――
――――

ミカサ「…エレン。今日も目が覚めない…」

アルミン「…大丈夫だよ。まだ2日目だ。2.3日で目が覚めるって言ってたし」

エレン「…」ピクッ

ミカサ「えっ?今エレンが動いた気がする…」

アルミン「本当かい!?」

エレン「……」ピクッ

ミカサ「ほら!!エレン!目を覚まして!!」

エレン「……ゥウ…」

アルミン「本当だ!エレン!!」

エレン「……ウウ…」

ミカサ「エレン!…良かった!!大丈夫?」


エレン「………あぁ。……ミカサ…」

ミカサ「エレン!!」ギュ

アルミン「エレン!本当に良かった!!君は丸2日気を失ってたんだよ」

エレン「……そうなのか…。…巨人はどうなったんだ?」

アルミン「もう大丈夫だよ!調査兵団のリウ゛ァイ兵長達が来てくれて無事避難が終わったよ!」

エレン「……そうか。良かった…。」


ミカサ「エレン…本当に心配だった…。もうエレンは目が覚めないんじゃないかって…」グス

エレン「ミカサ…心配かけて悪かったな…」

アルミン「ミカサはずっと付きっきりで看病していたよ」

エレン「…そうか。……ミカサ本当にありがとう」

ミカサ「そんなの当たり前の事」ギュ

エレン「」グ――

エレン「ッハハ。なんか腹が減っちまったな」

ミカサ「…分かった。私がご飯をもらってくる」

エレン「いや、俺も行くよ。皆の顔も見たいし」

ミカサ「ダメ!今は安静にしてないといけない」

エレン「…わかったよ。」

アルミン「あと2.3日したら会えるよ!」

エレン「そうだな。」

~2日後~

アルミン「良かったね。体調の回復も早いみたいだよ!」

ミカサ「えぇ。でもまだ安静にして、無理は絶対にしてはダメ」

エレン「あぁ。分かってるよ。でも、皆と会うのすごく久しぶりに感じるな…。早く会いたいな。楽しみだ」





ライナー「確か今日からエレンは顔出しに来るんだよな?」

ベルトルト「うん、そうだよ」

コニー「エレンのやつ、久しぶりに感じるなぁ!」

サシャ「そうですね。……あっ、エレンたち来たみたいですよ!」

ライナー「おぉ、エレン!!」

ベルトルト「復帰おめでとう!」

クリスタ「本当良かったねエレン!」

ユミル「しぶといやつだな!」

アニ「…良かったね」

コニー「久しぶりだな!!」

サシャ「もう体調は大丈夫なんですか?」

エレン「あぁ、まだちょっと頭に違和感があるくらいだな。みんなありがとな」
ワイワイガヤガヤ

ジャン「…」






エレン「そういえばジャンのやつ元気ねぇな。いつもなら、すぐ突っかかってくんのに。アルミン何か知ってるか?」

アルミン「………うん。まだ言ってなかったね。……マルコが戦死したんだ……」

エレン「……そうだったのか。……あのマルコが……」

アルミン「……うん。他にもミーナや多くの仲間が死んだ…。僕たちの班も僕達以外みんな…」

エレン「……そうなのか。ミカサ、皆の墓の場所は知ってるか?」

ミカサ「えぇ…知っている。案内しよう」








ミカサ「…ここ。」

エレン「そうか。」
(マルコにミーナ…他にもこんなに死んだのか…。………なのに俺は何をしてたんだ……。あんなに大口叩いて、ただ気を失っていただけだ……。これじゃあ、母さんを助けられなかった時と何も変わってない。……俺はまだまだ力がない……)ツ―

ミカサ「エレン涙が…。エレンが気負う必要はない。エレンのせいではない」

エレン「……いや、俺はまた何もできなかった自分が憎いんだ…」

ミカサ「エレン…。」


エレン「これじゃあ母さんを助けられなかった時と、何も変わってない…。何のために俺は3年間訓練したんだ!」

ミカサ「今回104期はほとんどが、時間稼ぎに死んでしまった。何も出来なかったのはエレンだけじゃない。」

エレン「こんなんなら、俺は何のために生きてんだよ!俺なんていなくても何も変わらな

ミカサ『やめて!!』

ミカサ「……エレン!」

ミカサ「エレン…あなたは、私の…たった1人の大事な家族。私はあなたがいたから今まで戦ってこれた…。私はあなたがいないとダメ…。」

ミカサ「今回も私は本当に心配だった……。約束を…守ってくれないんじゃないかって…。でも、意識が戻った時は本当に嬉しかった…。なのに、そんなこと言わないで欲しい……。」グス


エレン「ミカサ……。俺が悪かった。すまない。……もう、死ぬなんて言わない。」

ミカサ「…エレン。もう一度約束して欲しい……」

エレン「わかった…。」

エレン「俺は…ミカサを残して死んだりはしない!…巨人を駆逐して、外の世界をミカサとアルミンと探検するまで絶対に死なない。約束する!!…だからミカサも死なないでくれ!!」

ミカサ「……うん。私も約束する!」ギュ

エレン「…ミカサ愛してる。」ギュ

ミカサ「私も……。」


――
―――
――――


エレン「………みんなの所に戻ろう。」

ミカサ「……分かった。」




エレン「こんな森歩くのは、兵站行進の時ぶりだな」

ミカサ「えぇ。いつもアルミンは体力が無いのに頑張っていた。」

エレン「そうだったな。俺ももう一度鍛えてミカサより強くなってみせるぜ!」


ミカサ「でも、今は体調を治すのが先」

エレン「あぁ、分かっるよ。それにしても

エレン「…ウッ………」ズキン

ミカサ「…エレン?どうしたの?」

エレン「…」ドサッ

ミカサ「エレン!?……エレン!!」






ミカサ(早くエレンを医療班に……。エレン、もう少しだけ待ってて。)ハァハァ

エレン「…」




アルミン「ミカサ!?どうしたんだ!?」

ミカサ「エレンが頭を抱えて倒れた。早く医療班に…」ハァハァ

エレン「…」


僕はミカサがエレンを背負って走ってきた事情を聞いて、一緒に医療班に付いていった



―――――――――
――――――――

エレン「…」




ミカサ「アルミン!エレンはなんて?」


アルミン「………命に別状はないらしい。……」

ミカサ「じゃあエレンは

アルミン「でも………エレンに意識が戻る可能性は……分からないらしい……。」

ミカサ「えっ……。どういうこと……?」

アルミン「エレンが今日意識を取り戻したのも、奇跡に近いことだったみたいだ……」ポロ

アルミン「つまり…エレンは……心臓は動いているけど、…意識はない状態になってしまったんだ……」ボロボロ

ミカサ「…………そう。」

ミカサ「……エレン。でも私は…エレンが生きているなら構わない……」









それからミカサはエレンの看護のため、入団希望を調査兵団から憲兵団に変えた。

内地で暮らすためだった。
ミカサは歴代の中でも逸材として破格の待遇を受けられた。
そのため内地でも衣食住に困ることはなかった

調査兵団の上官らはミカサを失うのは惜しかったが、止めはしなかった。

そして僕は技術班として働くことに決めた。時間のある時はたいていミカサとエレンの家を訪ねた。





ミカサ「エレン。今日はアルミンが来てくれるそうよ。」

エレン「…」

ミカサ「だから今日はいつもより豪華な料理を作ったの」

エレン「…」

ミカサ「エレンの大好きだった肉もある」

エレン「…」

ミカサ「この料理はカルラおばさんから習ったもの」

エレン「…」

ミカサ「味が再現できているかは、自信はないけど」

エレン「…」

ミカサ「それにしても、こうやって二人でゆっくりできるのは嬉しい」

エレン「…」

ミカサ「それは私が憲兵団でいい待遇をしてもらっているから」

エレン「…」

ミカサ「だから私は憲兵団に入り、良かったと思っている」

エレン「…」

ミカサ「明日は

コンコン

ミカサ「アルミンが来たみたい」

エレン「…」

アルミン「…やぁ。3日ぶりだね。元気にしてた?」

ミカサ「えぇ。今日はアルミンが来てくれるからエレンも喜んでいる」

エレン「…」

アルミン「……そうなんだ。」

ミカサ「今日はアルミンのためにも、エレンの好きな肉料理を作った。是非食べて」

アルミン「あぁ…ありがとう」










アルミン「今日は豪華な料理ありがとう。とても美味しかったよ。そろそろ仕事だから、…またねミカサ、エレン」

ミカサ「えぇ。また来てねアルミン」

エレン「…」






訓練兵解団式から約1年がたった
ミカサはずっとこの調子だ
エレンはこのまま意識を取り戻すことはないのだろうか……
僕は親友としてこのままでいいのかわからない…ミカサは今幸せとも言っているし………



アルミン「あ、…ジャン!久しぶりだね!!」

ジャン「ん…?アルミンじゃねぇか!久しぶりだな」

アルミン「うん。今回の遠征も無事に終わったようだね」

ジャン「あぁ。……ところでお前まだミカサの家たまに行ってるのか?」

アルミン「…今丁度行ってきた所だよ…」

ジャン「そうか……やっぱりミカサとあいつは、まだあのままなのか?」

アルミン「……うん。何も変わってないよ…」

ジャン「チッ…もう聞いてらんねぇな。明日皆集めて行ってくる」

アルミン「あ…なら僕も行くよ」

ジャン「分かった」





ジャンはあの後悩んだ末調査兵団に入った

自分の意思で決めたことだと言っていたが、理由の1つにミカサとエレンを見ているのがつらいこともあると思った

今は指揮官として活躍していると聞いている


遠征から帰る度僕に様子を聞いたりと、ああ見えてジャンはミカサとエレンの事を心配してくれている

ミカサ「今日はアルミンと話せて、楽しかったわね」

エレン「…」

ミカサ「アルミンは技術班でかなり頑張っているそうよ」

エレン「…」

ミカサ「あ、…もうこんな時間になってしまったし、そろそろ寝ましょう」

エレン「…」







ミカサ「…エレンとこうして一緒に寝ると、小さい頃を思い出す」ギュ

エレン「…」

ミカサ「…お休みエレン」

エレン「…」

~翌日~


ミカサ「私今日は久しぶりに休みをもらえた」

エレン「…」

ミカサ「だから朝食もいつもより、頑張って作った」

エレン「…」

ミカサ「訓練兵の頃のパンとスープだけに比べたら、とても贅沢」

エレン「…」

ミカサ「エレンの口にあうか分からないけど、食べて欲しい」

エレン「…」


ミカサ「エレン今日も食べないの?」

エレン「…」

ミカサ「好き嫌いは良くない」

エレン「…」

ミカサ「でもエレンが苦手なら仕方ない」

エレン「…」

ミカサ「これだからまだエレンは世話がやける」

エレン「…」

ミカサ「今日、せっかくだから、食べ終わったら散歩に行きましょう」

エレン「…」


コンコン

ミカサ「誰か来たみたい。こんな時間に珍しい」タタタッ




アルミン「やぁ…、いきなり来てごめんね」

ジャン「久しぶりだなミカサ」

ミカサ「いいえ、気にしてない。でもジャンとコニーとサシャが来るのは珍しい」

コニー「……久しぶりだな」

サシャ「お久しぶりです…」







ミカサ「見てエレン。今日はアルミンだけじゃなく、こんなに来てくれた」

エレン「…」

ミカサ「今お茶を持って来るから座って待ってて」

アルミン「あぁ…ありがとう」









ジャン「……やっぱりミカサはまだこんな状態だったのか」

アルミン「…うん」

サシャ「なんだかむしろ悪化している気もします…」

コニー「…そうだな」

サシャ「見ているのもつらいですね…」

アルミン「…うん」








ミカサ「お茶をいれてきた」

アルミン「ありがとう」

サシャ「…ありがとうございます」チラッ

エレン「…」

ミカサ「サシャ、エレンを誘惑しようとしてもエレンは渡さない」

サシャ「いえ、そんなつもりは…」


ジャン「なぁミカサ……いつまでこんな事続けるつもりなんだ?」

ミカサ「…?こんな事の意味が分からない」

ジャン「だから、いつまでそんな死んだようなエレンに固執してんだよ」

ミカサ「エレンは生きている」

ジャン「何言ってんだよ!もう意識がなくて1年は経ってんだろ。もう死んじまったも同然だろ!」

ミカサ「…今日のジャンはおかしい」

ジャン「エレンを見てみろよ!言葉も発せないんだぞ」

エレン「…」

ミカサ「私はエレンの言いたいことが分かるから問題ない」

ジャン「何言ってんだよお前!んなわけないだろ!」

ミカサ「やはり今日のジャンはおかしいみたい。申し訳ないけど、帰ってもらった方がいいのかも知れない」

サシャ「ミカサ!…現実と向き合って下さい!」

ミカサ「今日はサシャもおかしいみたい。そんなことしてもエレンは渡さない」

サシャ「…ミカサ」

ジャン「…おい!ミカサ!!」

ミカサ『帰って!』

ジャン「…だから

ミカサ『いいから帰って!!!』

アルミン「……みんな、今日は帰ろう…」




コニー「……ごめん。俺何も言えなかった…」

アルミン「仕方ないよ。……たぶん今のミカサは何を言っても意味がないよ…」

サシャ「……あんな感情的なミカサ初めて見ました……」

ジャン「クソッ…本当どうすりゃいいんだよ!!」

アルミン「時期が来るまで待つしかないのかな…」



ミカサ「…エレン、気を悪くさせたならごめんなさい。」

エレン「…」

ミカサ「みんな今日はどうかしてたみたい」

エレン「…」

ミカサ「みんなおかしな事を言っていた」

エレン「…」

ミカサ「だからエレンは気にしないで」

エレン「…」

ミカサ「エレンは私のたった一人の家族」

エレン「…」

ミカサ「決してエレンを失いたくない」

エレン「…」

ミカサ「エレンを絶対1人にはしない」

エレン「…」

ミカサ「死ぬまでエレンと一緒にいる」

エレン「…」

ミカサ「……エレン…愛してる」ギュ

エレン「…」


――
―――
――――
―――――




4人で説得しに行ってからもう5年近く経つ。

あの日以来僕らはミカサから距離を置かれ、ほとんど会っていない。

しかし聞いた話ではミカサは今も憲兵団で素晴らしい働きを見せているらしい。

同じくして、僕は巨人に対抗する新しい武器の開発を3年前に成功し、一挙に巨人の数は減っていった。

今では兵士の護衛があれば一般の人も壁の外に行けるようにもなった。

調査兵団はかなり遠くまで進行を進め、多くの発見があるようだ。

炎の水や氷の大地、砂の雪原など、ほかにも多く発見が報じられている。

僕はこの人類の進歩に貢献できたことを誇りに思っている。

でも、エレンのいない今、そんなものを見に行く気は起きなくなってしまった。

きっと僕はこのまま技術班の教官として一生を終えることだろう。

―――――
――――
―――
――




ミカサ「ただいまエレン」

エレン「…」

ミカサ「今日はちょっと遅くなってごめんなさい」

エレン「…」

ミカサ「食材も買ってきたし、急いで今から作るから」

エレン「…」










ミカサ「おいしかったわね」

エレン「…」

ミカサ「そう、今日は私たちの6回目の結婚記念日。」

エレン「…」

ミカサ「だからエレンにプレゼントがあるの」

エレン「…」

ミカサ「帰り途中に町で見つけて、選んでいるうちに時間が経っちゃったの」

エレン「…」

ミカサ「だから今日遅れたのは許して欲しい」

エレン「…」


ミカサ「これから寒くなるからと思って」ガサガサ

エレン「…」

ミカサ「…このマフラーを買ってきたの」

エレン「…」

ミカサ「エレンの事を思って真剣に選んだから、気に入ってくれると嬉しい」

エレン「…」

ミカサ「着けるよ」グルグル

エレン「…」

ミカサ「さすがエレン。すごく似合っている」

エレン「…」


ミカサ「……実はマフラーを選んだのは寒くなって来たからだけじゃないの」

エレン「…」

ミカサ「あの日…エレンが私を家族として迎えてくれた日」

エレン「…」

ミカサ「エレン…あなたは私にマフラーを巻いて、私に家族の温かさを思い出させてくれたから」

エレン「…」


ミカサ「今エレンの心は……少し寒くなってしまっているかもしれない」

エレン「…」

ミカサ「でも、……このマフラーで今度は、エレンが家族の温かさを思い出して欲しい…」

エレン「…」

ミカサ「このマフラーのように…私はずっとエレンの側にいることを…」

エレン「…」

ミカサ「……だから…私の事を…忘れないでほしい……」

エレン「……」

ミカサ「………」

エレン「……」

ミカサ「…わがままを言ってごめんなさい……」

エレン「……」

ミカサ「…私は食器を洗ってくる…」

エレン「……」

ミカサ「…」カチャカチャ

ミカサ「……」カチャカチャ

ミカサ「………」ザ――

ミカサ「……」ツ―

ミカサ「……」ポロ

ミカサ「……ぇ……?」ポタ

ミカサ「………涙……?」

ミカサ「……なんで……?」

ミカサ「……私の……?」

ミカサ「……そんなはず…ない」

ミカサ「…私は今…とても幸せ」

ミカサ「なのにこんなの…」

ミカサ「……ありえない…」

ミカサ「……」ポロ

ミカサ「……ゥッ…」ポロポロ






ミカサ「……」

ミカサ「……」

「…………………ァ……」

ミカサ「……」

ミカサ「……」

ミカサ「……」

「…………………サ…ァ…」

ミカサ「……」

ミカサ「………ぇ……?…」

ミカサ「……」


「……ミカサ……」

ミカサ「……ぇ…?…」

ミカサ「…ェ……レン…?」

「………他に…誰がいるんだよ…」

ミカサ「……」

ミカサ「……」

「……こっち向けよ」

ミカサ「……ありえ…ない…」

ミカサ「……」

「……」 ガタッ

ミカサ「……」

「……」ギュ

ミカサ「えっ?……」

「ミカサ……」

ミカサ「……エレン?」


エレンの意識が戻った

ミカサがそう言っている
と聞いた時、僕は迷わずミカサの精神は崩壊してしまったんじゃないか…そう直感した

後日ジャンと相談し、親友、仲間としてミカサを助けよう
と言うことになった











コンコン

ミカサ「どちら様?…ぁ……アルミン…」

アルミン「…やぁ、久しぶりだね」
(まだミカサには不信感を抱かれているようだな…)


ジャン「久しぶりだな…」

ミカサ「…入って」

アルミン「…お邪魔します」





ミカサ「…」

アルミン「今も憲兵団で頑張っ

ジャン「エレンはどうしたんだ?」

アルミン「おい、ジャン!!」

ミカサ「…エレンなら今眠っている」

ジャン「眠ってるんじゃなくて、前みたいに意識がないだけなんだろ?」

アルミン「そんな言い方ないだろ!」

ミカサ「いいえ。エレンは余りに長く体を動かしていなかったから、今は1日に2時間ほどしか起きていられないだけ」


ジャン「…やっぱりまだ目が覚めてないみたいだな!!そんな嘘つくなよ。お前のためを思って言ってんだよ!」

ミカサ「嘘ではない。」

アルミン「…ぼ、僕は…信じるよ…」

ジャン「おい、アルミンお前何言ってんだよ!?」

アルミン「信じる。…だから明日会わせてくれないか?」

ミカサ「…分かった。明日の昼にもう一度来て」

アルミン「分かった。今日はお邪魔したね」

ジャン「お、おい!」



ジャン「お前、説得するんじゃなかったのかよ!!」

アルミン「…うん。でも…一度ミカサを信じてみたいんだ…」

ジャン「んなもん、ムダだろ!」

アルミン「一回だけでいいんだ。…僕からも頼むよ」

ジャン「チッ…分かったよ」










自分でも理解はしていた。
…きっとエレンは変わっていない。
でも…親友だったミカサを信じたいという、…まさに藁をもつかむ気持ちだった


コンコン

ミカサ「はい。」

アルミン「お邪魔するよ」

ジャン「…」






ミカサ「…ここ」

アルミン(確かにそこにはエレンがいた。…でもやっぱり前と変わったようには…)

ジャン「…やっぱり…変わってねぇじゃねえかよ!エレンの野郎!!」

「…なんだよ」

ジャン「…は?……アルミンお前何言って…」

アルミン「僕は何も…」

「…だから、なんだよ」

アルミン「…エレン?…エレンなの?」

エレン「…他に誰がいるんだよ」








アルミン「…本当に信じられないよ。…まだ夢でも見ているようだ…」

ジャン「…」

ミカサ「昨日アルミンは信じると言っていた。」

アルミン「ごめんね。…でも本当に驚いて。話し方もゆっくりで…」

エレン「…まだあまりうまく話せねぇんだよ」

ミカサ「エレンあまり無理しないで」

ジャン「…お前、どんだけ皆を心配させてんだよ!!」

エレン「……すまない」

ミカサ「ジャン怒鳴らないで」

ジャン「…ごめんな」

アルミン「…でも、本当に良かった」グス

ミカサ「私もとても嬉しかった」

エレン「…」スゥ

ミカサ「…やっぱりエレンは疲れたみたい…寝てしまった」

ジャン「…こいつ、俺らの気も知らねぇで…」

アルミン「…じゃあ僕らは今日はこれで」

ミカサ「えぇ。…ぜひまた来て」

アルミン「分かった。ありがとう」







ミカサ「今日久しぶりにアルミン達に会えて楽しかったわね…」

エレン「…」スゥ

ミカサ「…エレンお休みなさい」ギュ

エレン「……あぁ」



僕は親友であるはずのミカサを信じ続ける事が出来なかった、エレンを切り捨てようとしていた自分が情けなかった。

でも二人は僕が訪ねる度に笑顔で接してくれた。ミカサとも昔のような関係に戻ってこれた




それからというもの、ミカサの献身的な看病は誰もが目を見はるものだった。

その成果あってエレンが再び意識を取り戻してから1年、僕たちはこれから壁の外へ行く。

まさかこんな日が来るとは思っていなかった

護衛とは名ばかりに、ジャン、コニー、サシャなど多くの104期生が集まってくれた







アルミン「エレン!やっと長年の夢が叶うね!」

エレン「あぁ!」

ジャン「フン…都合のいいやつだな。結局巨人を1体も倒してねぇじゃねぇかよ」

エレン「そうだな…。でも本当にお前らには感謝してる」

ジャン「チッ…お前がそんな感じだと調子狂うぜ」


アルミン「ところでエレン、目的地に着いたら正式にミカサと結婚式を挙げるんだよね!?」

エレン「あぁ、…ミカサには一生では返せないくらいの恩があるしな」

ミカサ「そんなことない。私はエレンがいるだけで十分」

ジャン「今度こそミカサを悲しませたら、お前をぶっ殺しに行くからな!!」

エレン「あぁ…、もう絶対にミカサを一人にはしない」

ミカサ「…うん」グス





たぶんこれから何が起きても二人は共に生きて行くだろう

僕はそれをずっと見守ろう




~終わり~

>>1です。

読んで頂けた方ありがとうございます
コメントも嬉しかったです

二つ同時に書いちゃってて、最後も決めてなかったんで、時間かかっちゃいました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom