「「「オオカミせんせー、あーそーぼー」」」 (85)

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幼馴染「ぼくね、もう処女じゃないんだよ」
幼馴染「ぼくね、もう処女じゃないんだよ」 - SSまとめ速報
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書くって宣言しときながらなかなか書けなくてすまん

猫娘「あのねー、オオカミせんせー」

狐娘「ちょっと来てくださーい」

狼少女「ん? どした、どした」

ここはとある獣耳の幼女たちが通う幼稚園。
園内は狐や猫の耳が生えた園児たちがところ狭しと駆け回っています。

猫娘「犬娘ちゃんがね、降りられなくなったのー」

狼少女「どこから?」

狐娘「木の上からです!」

狼少女「何してんのあの子」

狼少女「えっと、どういう経緯でそうなったの?」

猫娘「けいいって、なにー?」

のんびり屋さんな猫娘ちゃんが、オオカミ先生の背中に登りながら訊ねます。
重いし動きづらいので振り落としました。
ころころと床を転がった猫娘ちゃんが再チャレンジします。

狐娘「虎娘ちゃんが木登りしてるの見てやりたくなったんだそうです! お馬鹿です」

狼少女「おっと、結構キツい意見。友達なくなるよ?」

猫娘「ずっと友達だもーん」

狐娘「ねー」

猫娘「にゃー」

猫娘ちゃんも狐娘ちゃんも仲好しですね。
2人でハグし合い、友情を確かめ合っています。
ですがそんな場合ではありません。

狼少女「で? 今どこにいるの?」

狐娘「あっちです」

狐娘ちゃんに手を引かれ、園の端っこにある大きな木までやって来たオオカミ先生。
といっても犬娘ちゃんはそんなに高いところにはいませんでした。
ちょっと出を伸ばせば届くところで、立ち往生しています。

犬娘「わふ……おりれん」

狼少女「はいはい、今降ろしてあげるから」

犬娘「だめっ! うちが自分で何とかすっけん、ジャマせんで!」

狼少女「できる?」

犬娘「がんばうっ」

狼少女(結構ギリギリっぽいなー)

短い手足で、うんせうんせと降りようとしますが、足が下の枝に引っ掛かりません。
あとちょっと、あとちょっとで届きます!
頑張れ、犬娘ちゃん!

犬娘「うぅ~……おりれん」

狼少女「抱っこしようか?」

犬娘「!! まだ負けとらんもん」

狼少女「よぉーし、ナイスガッツだ」

犬娘「えらい? えらい?」

狼少女「うん、偉い偉い。でもそろそろお昼寝の時間だから手伝ってもいい?」

狐娘「オオカミせんせー、犬娘ちゃんはがんばってるんですっ! ジャマしないであげてください!」

狼少女「とは言ってもなぁ……」

見る限り、犬娘ちゃんは下を見るのを怖がっていて手足が縮こまっています。
これではいつまで待っても降りられないでしょう。

狼少女「犬娘、いっそジャンプしてみない?」

犬娘「そ、そげんこつしたら、ケガばい!?」

狼少女「ちゃんとキャッチするから」

犬娘「まかせた!」

狼少女「決断早っ!」

オオカミ先生に全幅の信頼を寄せる犬娘ちゃんが、ぴょーんと跳びました。
これにはオオカミ先生もビックリ仰天。
キャッチし損ねて、犬娘ちゃんは土の上にコロコロと転がってしまいました。

犬娘「ぐすっ……いだいぃ」

狼少女「……ごめん」

猫娘「いたいのいたいのとんでけー」

狐娘「オオカミせんせー、犬娘ちゃん死んじゃうのです? 死んじゃうのです!?」

狼少女「このくらいじゃ死なないから安心なさい」

転んで泥をかぶった犬娘ちゃんの汚れを落とすオオカミ先生。
あらあら、お膝を擦り剥いていますね。
これはちゃんと消毒しないといけません。
オオカミ先生は犬娘ちゃんを抱っこし、保健室へと急ぎます。

犬娘「ぐすっ……せんせー、何でキャッチしてくれんかったとー?」

狼少女「いや、だっていきなりだったから……」

犬娘「えんちょーせんせーに、言い付けるけんねっ」

オオカミ先生の胸をぺちぺち叩く犬娘ちゃん。
叩くとおっぱいがぽよんぽよんでした。
う、羨ましいなんて思っていません!

狼少女「保健の先生はいない、か」

犬娘「オオカミせんせーのおっぱい、ぽよぽよ~ってしよる」

狼少女「やめさない。先生も一応女だから」

犬娘「んっとね、これでおあいこにせん?」

狼少女「……はいはい。じゃあ消毒するわよ」

犬娘「う”ー……しみうぅ」

狼少女「我慢しなさい。これしないと痕のこるんだから。は、これ絆創膏」

犬娘「はってー」

狼少女「甘えん坊だなぁ、アンタは」

と言いつつ、オオカミ先生は犬娘ちゃんの小さな膝小僧に絆創膏を貼ってあげました。
何だかんだで先生は優しいのです。

さぁ、ここでみんなの紹介です。
みんなのリーダーで無駄に行動力のある犬娘ちゃん。
九州弁で喋る元気いっぱいな女の子です。

続いて、のんびり屋さんな猫娘ちゃん。
やることがなければいつまで眠っちゃうおねむさんです。

最後にしっかり者の狐娘ちゃん。
厳しい躾けを受けて育っているせいか、正義感や責任感は人一倍です。
ですが困ると尻尾で顔を隠して泣いてしまいます。

『オオカミ先生は嘘吐きさん』

犬娘「オオカミせんせー、なんばしよっとー?」

ある日のことでした。
園長先生に頼まれて園の倉庫の片付けをしていると、いつもの3人組が遊びに来ました。
オオカミ先生は今、大きなお鍋を持っています。

狼少女「ん? アンタらを煮るための鍋を用意してるんだけど?」

犬娘「にるって、なぁん? そっくりさん?」

狐娘「わたしはよく犬娘ちゃんに間違われます。そっくりさんですから」

犬娘「うちがお姉ちゃんでよか?」

狐娘「犬娘ちゃんはしっかりしてないのでわたしがお姉ちゃんです!」

犬娘「うち、しっかりしとらんとー?」

狼少女「まぁ、ダメダメだよね」

犬娘「がーん!」

尻尾をしなだれさせ、しょんぼりする犬娘ちゃん。
目には涙が浮かんでいます。
きっとこんなんでも自信があったんでしょうね。

犬娘「ねーねー、せんせー? 『にる』ってなぁん?」

狼少女「このお鍋の中に熱いお湯を入れてアンタらをグツグツ温めることよ」

狐娘「そんなことしたら死んじゃいます!!」

猫娘「てーへんだー、てーへんだー」

犬娘「てーへんだー、てーへんだー。みんなにしらせなきゃー」

猫娘ちゃんと犬娘ちゃんは嘘だと見破ったのか、先生の周りをグルグル駆け回ります。
でも真面目な狐娘ちゃんは顔を真っ青にし、

狐娘「せんせー、わたしたちがきらいだったんですか……?」

狼少女「えー? 答えたくないなー」

狐娘「……ふう”ー」

大好きな人に裏切られたショックで泣き出してしまいました。
でも泣き顔を見られたくないのか、顔は尻尾で隠しています。
すると泣いてる狐娘ちゃんを心配したみんなが頭を撫でてくれました。

犬娘「狐娘ちゃん、せんせーはウソついとるだけやけんね?」

猫娘「怖がらなくていいんだよー?」

狐娘「だって、だってぇ……うぅ~~~」

犬娘「せんせーからも何か言ってくれん? 狐娘ちゃんかわいそうやけん」

狼少女「くっくっく、アンタらそうやって狐娘を騙してなさい。その方が先生にとっても好都合だから」

狐娘「っ……~~~~~~~~~~ッッッ」

とうとう本格的に泣き出してしまいました。
これには先生も苦笑いするしかありません。
犬娘ちゃんと猫娘ちゃんをお鍋の中に閉じ込め、狐娘ちゃんをあやすことにしました。

犬娘「せまいー、おちつくー」

猫娘「なんかとじこめられたー」

狼少女「ごめんごめん、悪かったって。先生がそんなことするわけないでしょ?」

狐娘「ホントです? ホントです?」

狼少女「うん、ホントのホント。怖がらせてごめんね」

犬娘「うんとこしょー」

猫娘「どっこいしょー」

まだまだカブは抜けませ……ではなくて。
2人で協力してお鍋から脱出した頃には、狐娘ちゃんは泣き止んでいました。
大人って凄いですね。

犬娘「もう大丈夫とね?」

狼少女「うん、もう元気になったわよ」

狐娘「はい、もうだいじょーぶれす」

ちょっぴり目を赤くした狐娘ちゃんですが、もう泣いてはいませんでした。
鼻を啜り、えへへと笑ってみせます。





狼少女「さて、お湯沸かすか」

狐娘「ウソだったんですよね!?」

今日は人来ないな……。
前のが結構書きこみあったから期待してた。
明日また続き書く。

ただいま
戻ってきたらかなり期待されててビビった

『ご挨拶』

そのまた別の日。
お母さんたちと一緒に登園してきた幼児たちがオオカミ先生たちに元気よくご挨拶していました。
その中にはもちろん犬娘ちゃんもいます。
彼女はお母さんとつないでいない方の手をぴーんと伸ばし、

犬娘「わんぱすー」

狼少女「はい、おはよう。でもその挨拶はちょっとアレだから遠慮してくれる?」

犬娘「なんでー? おもしろくなかとー?」

狼少女「面白くないわけじゃないんだけどさ、ね? 版権的にアウトになるから」

犬娘ちゃん、オオカミ先生がどうして注意してるのか納得いかないようです。
お母さんとつないだ手をぶんぶん振り回しながら抗議しました。

犬娘「あんねー、これねー、昨日みんなと決めたとよー?」

狼少女「わんぱすを?」

犬娘「これはうちだけやもん。狐娘ちゃんはね一一」

狐娘「オオカミせんせー、こんぱすですー」

狼少女「コンパスで来たかー。こりゃますます世間的に良くないぞぉ?」

犬娘ちゃんに遅れて、狐娘ちゃんもやって来ました。
どうやら挨拶は本来の鳴き声にちなんだものになるようです。
オオカミ先生は狐娘ちゃんに手を振り、心の中で『こりゃやべぇ』と困りました。


狐娘「りゅーこーごになるです?」

狼少女「なるっつーか、もうなってるっつーか……」

犬娘「うちらの挨拶、そげんすごかと?」

狐娘「犬娘ちゃん、ばんざいしましょー」

犬娘「ばんざーい! ばんざーい!」

狼少女「こらこら、無垢すぎるわよ」

犬娘ちゃんと狐娘ちゃんは、自分が流行の最先端を走っていると思ったのか大喜びです。
ですがこれは誰がどう言おうと既出ですからね。
残念ですが事実を教えなければいけないのです。
パクリはいけません。

狼少女「ねぇアンタら、先生と新しいの考えない?」

「「なんでー?」」

狼少女「せ、先生も使える面白い挨拶が欲しいから……じゃ、ダメかな?」

先生から離れ、しばし相談します。

一一どうする?

一一作ってあげます?

一一せんせーもお子様だったとやね。

一一かわいいですねー。

一一せんせー、かわいかぁ。

一一お菓子あげたら喜びそうです。

狼少女(どうしよう、会話筒抜けって言ったらダメかな?)

この年代はポンコツなのです。
目を瞑ってあげるのが大人の役目でしょう。

やがて相談を終えた2人が得意げに胸を張りながら言います。
ムカついてはいけませんよ?

狐娘「わかりました! せんせーも仲間に入れてあげます!」

犬娘「ぱちぱちぱちぃー」

狼少女「そ、そう。ありがとね……」

狼少女(あんま嬉しくないなぁ)

と言いつつも、先生にはどんな挨拶をくれるのかちょっと期待してしまいます。
オオカミ先生の鳴き声は『アオーン』や『ばうばうっ』です。

犬娘「なんがよかとやろ?」

狐娘「がおぱすー、ですかね?」

狼少女「先生は怪獣じゃないぞー?」

犬娘「じゃあねー、わふぱすー!」

どうかな? どうかな? とキラキラした目で提案する犬娘ちゃん。
でもかなり言いづらいです。
あまり嬉しくないことが顔に出てしまい、犬娘ちゃんがしょんぼりしました。

犬娘「うれしくなかとー?」

狼少女「正直、微妙かなぁ」

犬娘「しょぼーん(´・ω・`)」

狐娘「オオカミせんせーはわがままさんですねー。だから彼氏さんができないのです」

狼少女「おう、ちょっと黙れや」

狐娘「せんせーが怖いです!?」

モテないオオカミ先生は、子供に言われてちょっとショックだったようです。

あれでもなーい、これでもなーい、と頭を悩ませる2人。
オオカミ先生はみんなのお迎えで忙しいので、話し合いに参加してくれませんでした。
やがて犬娘ちゃんが閃きました。

犬娘「さろんぱすっ!」

狐娘「なんと!」

犬娘「なんか、かっこよかね!」

狐娘「素晴らしいです!」

先生の挨拶が決まると、2人は彼女の許へまっすぐ走り出しました。
それから先生の背中に飛び乗り、

狐娘「せんせーにさろんぱすを進呈します!」

狼少女「実はケンカ売ってるだろアンタら……」

流石に2人を背負うのはキツいようですね。
背中にずしりと重みを感じながら、それでも先生は次から次へとやって来るお友達にご挨拶します。

「せんせー、おはよー!」

狼少女「はい、おはよう」

「せんせー、おーはー」

狼少女「おっはーじゃなくて、本家の方で来たか。マニアックね」

狐娘「せんせー、さろんぱすです! 使って下さい!」

狼少女「うん、帰ったら肩に貼るね。だから降りなさい」

せっかく考えた挨拶なのに、オオカミ先生は全然使ってくれません。
これでは苦労が水の泡です。

犬娘「オオカミせんせー、言ってくれんとぉ?」

狐娘「がんばって考えたのに悲しいです……」

狼少女「いや、だってそれ湿布だからね。親御さんの前で『みんなー、サロンパスー』なんて言ったら変な目で見られるでしょ」

犬娘「変じゃなかもん! うちらが考えたカッコよか挨拶やもん!」

狼少女「……」

狼少女(言いたくないなぁ。でも言わないと可哀想だし……)

言うか言うまいか悩んでいたそのときでした。
いつも遅刻ギリギリにやって来る猫娘ちゃんが、いつも通り遅れてやって来たのです。
先生と2人を見付けると笑顔になり、手を振りました。





猫娘「うー! にゃー!」

狼少女「型にハマらない猫娘さんマジパネェっす」

『星に願いを』

梅雨が明け、世間では七夕の季節がやって来ました。
ここの幼稚園も例に洩れず、季節のイベントに興じるべく準備に取り掛かっていました。
オオカミ先生は近所の竹林から竹を何本か譲り受けることに成功したようです。

犬娘「せんせー、これなぁん?」

狼少女「笹よ。今度の七夕祭りで飾るの」

狐娘「おりぼしさんと、ひこひめさんが年に1回だけ会えるロマンチックなあれですね!?」

狼少女「どえらい噛み方したわね。織姫と彦星ね、それ」

猫娘「おねがい書くんだよね?」

狼少女「うん、そうそう。みんなはもう願い事決めたのかな?」

犬娘「うちねー、おっぱいを大きくしたかぁー」

狼少女「犬耳の人は大抵スタイルいいから叶うかもね」

狐娘「わたしは可愛いお洋服が欲しいです!」

狼少女「狐娘はお洒落さんだもんね」

猫娘「お昼寝の時間のばしてー」

狼少女「それはちょっと無理かなー」

猫娘「がーん!」

お昼寝は1日1時間です。
これ以上伸ばすと夜に眠れなくなりますからね。
眠れなくなったら保護者さんから苦情が来てしまいます。

絵本調ってことは獣人で考えていいのかな?

>>40
獣耳と尻尾が生えただけの幼女ってことでどうか……
ケモナーではないから、人間要素強めでイメージしてくれ

>>41
いや絵本だと動物をまんま2足にしたのが多いからそうなのかなと思っただけだよ
確かにケモナーだけどケモミミシッポ幼女も好物です

壁に笹を立て掛けて一息つくと、興味津々な園児たちが触りに来ました。
怪我をすることはないでしょうが、放置もいけません。
でもオオカミ先生もここまで運んできたせいでへとへとです。
どうしたものかと悩んだ結果、3人に頼むことにしました。

狼少女「ねぇ、これあっちまで運んでくれる? 先生ちょっと疲れちゃった」

犬娘「よかよー!」

猫娘「まかせてー」

狐娘「せんせーのお願いなら聞かないわけにはいかないですからね」

狼少女「そっかそっか。先生、みんなが優しくて助かるよ」

なんでこんな才能あんの?俺に半分くれ(´・ω・`)

>>42
そういやそうだったね
序盤でそういう注意書きしとくべきだったな

>>44
才能はないさ
あるのは努力と経験がものを言う世界だけだ、って1度も働いたことない婆ちゃんが言ってた

3人を縦1列に並ばせ、頭上に笹を置きます。

狼少女「じゃあお願いね」

犬娘「はーい!」

わっせわっせ、と歩き出す仲好し3人組。
協力してるところを見ると何だか微笑ましいですね。

「「「わっせわっせわっせわっせ」」」

猫娘「にゃー、つかれた……」

犬娘「そやねー」

狐娘「あとちょっとです。がんばってオオカミせんせーに楽させてあげましょう」

掛け声が、ふぁいっおーふぁいっおーに変わりました。
狐娘ちゃんは頑張り屋さんですね。

さて、7月7日になりました。
みんなで作った飾りを笹の葉に引っ掛け、お歌を歌いましょう。

「さーさーのーはー、さーらさらー。のーきーばーにー、ゆーれーるー♪」

犬娘「ねーねー、せんせーはお願いしたとー?」

狼少女「先生? 先生はねー、ほら!」

オオカミ先生が指差した先にはキレイな字が書かれた短冊が1枚ありました。
ゆらゆらと揺れるそれに目を凝らすと、こう書かれています。

一一『みんながなかよくいられますように by狼少女』





犬娘「普通すぎてつまらーん!」

狼少女「よし、書き直そう。犬娘が先生に逆らわない子になるように」

よし、今日はここまで
明日も頑張る

っていうか、前作と違って話が細切れになるから1日2話ずつ投下するよ

探してみたけど、俺のイメージに合うのはこれくらいしか見つからなかった

「「「オオカミせんせー、あーそーぼー」」」 - SSまとめ速報
(http://open2ch.net/p/news4vip-1401613156-52.png)

オオカミさん
http://i.imgur.com/SeNgNFJ.jpg

こんばんわんぱすー
忙しくて戻ってくるの遅れた

>>57
大神さんは可愛いけどボコられてるのは可哀想じゃないか

『もうすぐ夏休み』

犬娘「オオカミせんせー」

狼少女「はいはい、何かな」

楽しい七夕祭りも終わり、もうすぐ夏休みです。
園児のみんなはきっとこれから初めての旅行や夏の娯楽を楽しむことでしょう。

犬娘「うちね、今年は海に行くとー」

狼少女「お、海かぁ。行くのは初めて?」

犬娘「はじめてー! あとねー、狐娘ちゃんと猫娘ちゃんもいっしょに行くとよー」

狼少女「相変わらず仲いいわね」

狐娘「せんせー、こんぱすー」

狼少女「うん、コンパスコンパス」

狐娘「わたし、海に行くのはじめてです! どんなところなんです?」

猫娘「ホントにしょっぱいのー?」

狼少女「うん、海水はしょっぱいわよ。あとちょっと臭かったりする」

犬娘「それは……どげんかならんとー?」

犬娘ちゃんはみんなよりずっとお鼻が優れています。
臭いと言われれば不安になるでしょうね。
オオカミ先生はそんな彼女のお鼻をつまみ、勇気付けます。

狼少女「大丈夫。慣れれば臭くないから」

犬娘「ほんとー?」

狼少女「うん、オオカミの先生が保証してあげる。同じイヌ科でしょ」

猫娘「ワンちゃんはみんなネコ目なんだってー」

狼少女「え、マジ!?」

本当です。
ワンちゃんはネコ目イヌ科なのです。
つまり猫派はワンちゃんを愛す義務があるのです。

狐娘「むぅーん?」

狼少女「ん? 今度はどうしたの?」

猫娘ちゃんの言葉とは関係なく、狐娘ちゃんは困り顔をしていました。
お耳をせわしなく動かしています。

狐娘「せんせー、海って人たくさんいますよね?」

狼少女「たくさんいるわね。お父さんお母さんとはぐれちゃダメだよ?」

狐娘「はい、気を付けます」

狼少女「よしよし、狐娘はしっかり者だものね。それで、どうしたの?」

狐娘「はい。人がたくさんいるということは危ない人も出てくるんですよね?」

狼少女「あー、まぁ出てくるけども……」

オオカミ先生は、何となくナンパな大学生を思い浮かべます。
ノリで生きてる大学生は絡みづらいんだとか。

狐娘「その中にはわたしたちを勝手にさつえーするへんたいさんもいます」

狼少女「あー、そっちかー」

ですが狐娘ちゃんが警戒していたのはお前らだったようです。
今も獣耳の幼女たちをニヤニヤ見ていますね。

狐娘「スタイルにじしんがありません。どうすればいいです?」

狼少女「撮られるのはいいの?」

狐娘「女は見られてうつくしくなるってお母さんが言ってました」

狼少女「へー」

狐娘「でも、おうちの中ですっぽんぽんはやめてほしいです……」

狼少女「……うん?」

狐娘「お母さんはおうちの中で服をきてくれません……」

狼少女「そりゃ大変ね。先生には荷が重いから忘れておくね」

狐娘「わすれないでくださいっ!」

狼少女(イヤだよ、忘れたいよ。1児のママが家では裸族って知りたくなかったもん。せめて下着くらいしてよ)

オオカミ先生は、普段からお上品な狐娘ちゃんのお母さんに幻滅してしまいました。
サバサバしてて時にはガサツとまで言われるオオカミ先生からすれば憧れの存在だったのですが……。
世の中、ままならないものですね。

狐娘「せんせーは、おうちでも服きてます?」

狼少女「まぁ、お風呂以外は……」

狐娘「おかあさんは……お風呂で水着になります」

狼少女「おおう、大丈夫!? ツラいなら先生からひとこと言っておこうか!?」

狐娘「だいじょーぶです! なれました」

狼少女「そっか。強く生きなよ……」

彼女の小さな肩に手を載せて励ますオオカミ先生。
一時は逃げたくなりましたが、落ち込んでいるところを見れば放っておけませんからね。

狐娘「というわけで、せくしーのお勉強を教えて下さい」

狼少女「変態に撮られるのは大いに結構と……こりゃ大物だわ」

でもね、と先生は付け足しました。





狼少女「オタクは家でパソコンしてるから海で撮られることはないわよ」

狐娘「せんざいいちぐーのチャンスがっ!」

『オオカミ先生のフラグ』

狼少女「あっづいぃ~……」

ミィンミィンとセミの鳴き声がうるさい夏休み。
オオカミ先生は実家の自室で、うちわ片手にだらけていました。
恰好はド適当です。
色気がないです。
だからモテないんでしょうね。

狼母「社会人になったのに1日中家に籠らないの! 外出て男にナンパされてきなさい」

狼少女「娘に言うセリフじゃな~い~……」

狼母「2(ピー)歳にもなって男の気配がないアナタが悪いのよ。結婚は? 孫はいつ?」

狼少女「あーあー聞こえなーい!」

耳を塞ぎながらお母さんから離れます。
先生だって好きで彼氏ができないわけではありません。
出逢いがないのがいけないんです。
少女漫画のような壁ドンする俺様プリンスが現実にいないのが諸悪の根源です。

狼母「ほら、これからお母さん近所の人家に招くからどっか行ってなさい」

狼少女「えー? 部屋から出なけりゃいいじゃんー」

狼母「お客さんが気遣っちゃうでしょ! いいから出掛けなさい!」

散らかった服を適当に投げられ、先生は家の外に追い出されました。
先生はお母さんに勝てないようです。

狼少女「……出掛けるって、友達とも約束してないってのに」

どこへ行こう、と呆然としました。
取り敢えず暑いので涼しいところに行きたくなりました。

狼少女「……ネカフェ行こう」

可哀想なことに、先生はモテる女性の思考を持ち合わせていませんでした。
ここはネカフェではなく喫茶店に行くべき場面ですよね。
先生は気怠そうに歩きます。

犬娘「あー、オオカミせんせー! わんぱすー!」

狼少女「ん? おー、奇遇ね。わんぱすコンパス」

しばらく歩くと、犬娘ちゃんと出逢いました。
お休みの日に会うのはこれが初めてです。
と、その隣に青年がいました。

狼少女「えっと……誘拐ですか?」

?「い、いえ、違います! 僕はこの子の保護者です!」

犬娘「にいちゃーん、ゆーかいってなぁん?」

狼少女「兄ちゃん? 確か犬娘って兄弟いなかったわよね?」

先生は入園時の資料を思い出します。
兄弟姉妹がここの園を卒園したか確かめることがあるので。
青年は困ったように笑い、丁寧に挨拶しました。

犬青年「犬娘ちゃんの従兄弟の犬青年です。今年で高2になります」

狼少女「あ、これはどうも。犬娘ちゃんを担当してる狼少女です」

犬青年「両親が里帰りついでに地元の友達に会いに行って……」

狼少女「それで、全く関係ないアナタは犬娘……ちゃん、の子守りをしてると」

犬青年「はい、そうなります……」

先生は彼を見て、語尾にすいませんがついて回りそうだと思いました。
彼はそれくらい腰が低いのです。

犬娘「オオカミせんせー、今なんばしよっとー?」

狼少女「あー、何にも。家から追い出されたところ」

犬青年「ご実家に住んでるんですか?」

狼少女「うん、まぁね。アパート借りる理由もないから」

犬青年「そうですか。僕は大学に受かったらこの辺りのアパート借りるつもりで……あはは」

狼少女「そっか、来年は受験生だものね」

狼少女(17歳かぁ……そっちからしたら私ってかなり大人の女に見えるのかな?)

オオカミ先生は彼を観察してみることにしました。
見た目は良くも悪くもありませんが、これといって欠点があるわけでもないようです。
中肉中背。
髪は校則遵守してるのかちょっと田舎くさいです。
服装もちょっと指摘してあげればいいくらい。
何より態度が大きくないのが先生にとって高ポイントです。

狼少女(騒ぐことくらいしかアピールポイントにならない男子よりかは安心するかなぁ)

犬青年「……どうかしました? 僕、変なこと言っちゃいましたか?」

狼少女「あーいやいや、何でもない何でもない。で、学部学科は?」

狼少女「や、薬学部を目指してます。昔はお医者さんになりたかったですけど……無理だったので」

狼少女「……」

狼少女(おまけに薬学部志望。こりゃホントに良物件?)

犬娘「あオオカミせんせー、にいちゃんねー、年上が好きって言っとったとよー」

犬青年「こ、こらっ……それはさっき犬娘ちゃんが一一」

狼少女「ふーん? お姉さんのこと気になるんだぁ?」

犬青年「違います! その、さっき人前で『お兄ちゃんのお嫁さんになる―』って言い出したから……」

狼少女「それで年上が好みだって言った、と」

犬青年「……はい。すみません」

オオカミ先生はちょっぴりガッカリしてしまいました。
こんな自分でも初対面の高校生がドギマギしてくれてたのかと思っていたのに、蓋を開ければそうでもなかったのですから。
も、モテなくたって死なないんだからどうでもいいです!

犬青年「あ、でも……オオカミ先生は美人さんだと思います」

狼少女「   」

犬娘「むっふっふー。せんせー、赤くなっとるばーい」

狼少女「なってない! 先生をからかうな」

犬青年「ぼ、僕が恥ずかしいこと言ったせいですよね? 本当にすみません」

狼少女(ああああもおおおおお、謝るなよおおおおお!! 年頃の男子に美人とか可愛いとか1回も言われたことなかったんだからさああああ!!)

ダッ!! と離れ、先生はコマンドの中から『にげる▼』を選びました。
他の選択肢?
恋愛経験ゼロの先生にそんなのありませんでしたよ。
けど無言で立ち去るのも悪いので、捨て台詞だけでも残すことにしました。

狼少女「や、優男のフリして女口説くなバーカバーカ!!」






狼少女(あぁ、恋がしたい……)

今夜はここまで
可愛い獣耳の画像貼ってくれたら俺は頑張れるよ

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