モバP「ダメ人間になる装置?」 (84)

モバマスのSSです。
人によっては不快な描写があるかもしれません。

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P「…はい…はい…その件は…はい…」

紗南「ねーねーPさーん。ゲームしようよー」

P「ああ、ごめんな。ちょっと今忙しいから…」

P「ええと…この書類はもうチェック済みだから…ああ、こっちにもFAXしないと…」

響子「Pさん、お忙しいところすみません。そろそろお時間が…」

P「うわ、もうこんな時間か。すいません、ちょっと迎えに行ってきます!」

P「っと…あれ?」グラッ

紗南「え、ちょっ!」

P「あ、ああ、大丈夫だ。疲れてるのかな?」

美優「本当に大丈夫ですか?お迎えは私が行っても…」

P「いやいや、平気です。ちひろさん、一本お願いします。」

ちひろ「はいどうぞ。」

P「おっ!これキンキンに冷えてるじゃないですか!」

ちひろ「うふふ。いつもご贔屓にしてくれるPさんにちょっとしたサービスです。」

P「あ、でも今月ちょっと厳しくて…」

ちひろ「え?やだなあ、Pさん。冷却費用ぐらいロハですよ、ロ・ハ!。」

P「ありがとうございます!ングング…プハー!」

ちひろ「まったくもう…私のこと何だと思ってるんですか?」

P「ハハハ、すいません。…おおっ!キタキタキタキタ!それじゃ、行ってきます!」

ちひろ「はい、いってらっしゃい。気をつけてくださいね。」

紗南「…」

紗南「Pさん。最近働き過ぎじゃない?」

美優「そうね…以前から勤勉な人だったけど。体を壊さないか心配だわ。」

響子「お仕事も安定してきたし。少し休んでもらってもいいんじゃないでしょうか…」

晶葉「なんだ、そろって暗い顔をして。」

紗南「あ、晶葉ちゃん。いや、Pさんがさ…」

晶葉「なるほどな。しかしあの堅物が休め、と言われてホイホイと休むとは思えんな。」

響子「確かに…」

美優「逆に私達に心配かけたことを気にして、ますます仕事に打ち込むかもしれないわね…」

紗南「でも!このままじゃPさん倒れちゃうよ!さっきだってさ!」

響子「そうですね…何か精のつくものでも作ってあげようかな…でもこの調子じゃ…」

紗南「Pさんが休んでくれるのが一番いいんだけど…」

美優「そうね…それか、わずかな時間でも休養できれば…」

晶葉「わずかな時間での休養、か…もしかすると研究中の装置が役に立つかもしれんな。」

美優「晶葉ちゃん!それ本当?」

晶葉「うむ。完全没入型のVR装置を開発しているのだが。少々試してみるか。」

響子「それって、催眠術みたいなもの?」

晶葉「いや…そうだな。マトリックスのようなものすごいバーチャル体験と言ったほうが正しいだろう。」

紗南「未来のゲーム機みたいな?だったらそれでPさんを休ませられるかな?」

晶葉「うむ、うまくすれば精神的なストレスはかなり緩和されるかもしれないな。やってみよう。」

響子「すごいです!」

美優「晶葉ちゃん、よろしくね。」

紗南「よかったぁ…これでPさんが少し楽になったらいいんだけど…」

杏「…なんか面白そうなことになってるじゃん。」モゾモゾ

晶葉「うお!いたのか!」

杏「へへ。ちょっとね。それよりさ、さっきの話なんだけど。」

杏「あの超絶真面目堅物仕事人間を休ませるにはさ、ちょっとやそっとじゃだめだと思うんだよね。」

杏「ちょっと休んだってまたすぐに『さあ、仕事仕事!』ってなるよ?」

晶葉「確かに、そうかもな…」

杏「だからさ、プロデューサーには『堕落』の味を知ってもらわないとだめだと思うんだよね。」

杏「もっというとさ、『ダメ人間』の気持ちを知ってもらわないと。」

杏「それでやっとプラマイゼロの普通くらいになるよ。きっと。」

晶葉「なるほど…」

杏(杏と一緒にだらだらするようになれば、仕事も減らしてくれるだろうしね。)

響子「まあ…一理、ある、ような…?」

美優「肩の力を抜く。という意味ではいいのかもしれないわね。」

晶葉「わかった。よいアドバイスをありがとう。早速取り組んでみよう。」

杏「よろしくねー。」

晶葉「というわけで、できたぞ!」

響子「結構大きいですね…」

紗南「すごーい!戦場の絆みたいだよ!」

杏「うんうん。いい感じじゃん。」

美優「でも2つも…?」

晶葉「ああ、この装置は二人用なんだ。さあ、それでは美優さん。まずはあなたからだ。」

美優「え?私…ですか?でも、これはPさんのための装置じゃ…」

晶葉「休む、と言っても人それぞれイメージは違うからな。みんなを参考にさせてもらおうと思ってな。」

晶葉「そこに座って、このHMDをつけてくれ。すると美優さんの思う安らぎの空間がバーチャルで形成される。」

HMD…目をおおうSF的なアレ

美優「ええ…ちょっと怖いわね…」





美優「………私の…思う安らぎ…Pさんに休んでもらう……」

晶葉「よし…OKだ。あとは助手が来るのを待つだけだが…」



P「おい晶葉!何をやってるかと思えばこんなに大きなものを作って…」



晶葉「素晴らしいタイミングだ。助手よ。」

P「?」

紗南「まあまあPさん。まずはここに座ってみてよ。」

P「お、おい。俺はまだこれから営業に…」

響子「またそんなこと言って…いいから座ってください!えい!」スポ

P「うわ!なんだこれ!前が見えないぞ!」

晶葉「案ずるな助手よ。すぐに楽になる。…無理に外そうとすれば…脳に深刻なダメージが残るぞ。」

P「なっ…!」


晶葉「さて、それでは起動するぞ。内部の様子はこちらからモニターできるからな。」

―――P「…?あれ?ここは?家の…中?」

P「俺の部屋、ではないな。なんだか全体的に昭和の雰囲気のある1LDKだ。」

P「懐かしいな。このキラキラした砂壁。アルミの敷かれたガスコンロ。…そして木製のドア。」

ガチャッ

美優「ただいま。あなた。遅くなりました。」

P「 」

美優「…どうしたんですか?…遅くなったから怒ってらっしゃるんですか?」

P「え、あ、いや。そうじゃなくて。美優さん、あなた、って…」

美優「美優、と呼んでください。…その、妻、なんですから…///」

P「え、状況がよく…」

晶葉「ふむ、没入度が浅いな。手短に刷り込みを行うか。」

紗南「刷り込み?」

晶葉「設定を脳に直接入力するんだ。」




P「…うっ!」

P「あ、ああ。お帰り。美優。パートご苦労様。」

美優「ええ、すぐに夕飯作りますからね。」


P(そうだ、俺はこの町に美優と…妻と二人で暮らし始めて…職もない俺を妻が必死に支えてくれている。)

美優(決して裕福ではないけれど二人だけのささやかな幸福…今だけはお仕事なんて忘れてください…)


美優「はい、あなた。お夕食ができるまでこれで待っていてくださいね。」

P「そんな、働いてもないのにビールなんて…」

美優「いいんですよ。私が頑張れるのはあなたのためなんですから。」

P「美優…」

美優「はい。お注ぎしますね。」トットット

――晶葉「うむ、心拍数、脳波、ともにリラックスした状態になっている。成功だな。」

響子「はー、さすがですねえ。美優さん。」

杏「よーし。そろそろいこうか。」

晶葉「本当にやるのか?」

杏「当然だよ。このままじゃ温かい家庭があるから更に頑張るぞ!ってことになりかねないよ。」

晶葉「うむ…では、まあ…ダメ人間スイッチ!」スイッチオン

美優「うふふ…こうしてると、まるで本当の夫婦みたいですね…///」

P「え!いや…その…ハハハ。」

美優「ああそうだ。忘れるところでした。はいこれ。」

P「おお、アジフライですね。嬉しいなあ。」

美優「はい。パート先の店長さんに売れ残りを頂いたんです。」



ミョンミョンミョンミョン

P「…!!」




美優「いつも頑張ってくれてるから特別だって…Pさん?」



P「…チッ」

美優「あ、あの?」

P「なんだ。パートに行ってると思ってたらあのオヤジと乳繰り合ってやがったのか。」

美優「え?え?」

P「あの野郎!人の女に手を出しやがって!」ガチャーン

美優「ま、待ってください!」

P「なんだ!…まさか美優、あの野郎と…」

美優「違います!違います!…でも…」

美優「お願いします!仕事先にいくのだけはやめて…!」

P「ああん?」

美優「…もう、これで4回目だから…これ以上噂が広まったら…もうこの町では…」

P「…チッ」グイ

美優「きゃっ!」

P「あーあ。なんか白けたわ。おい。」

美優「え?」

P「え?じゃねーよ。外で飲んでくるから金よこせ。」

美優「…あの…今月はもう…」

P「うるせえな。」

美優「だめ!それは今月の家賃なんです!…パートのことなら謝ります!謝りますから!」

P「おっ、これなら駅向こうで飲めるな…心配すんなよ。倍にして返してやっから」

美優「…また、あの店に行くんですか…」

P「ちげーよwwwwじゃあ行ってくるわ。」

美優「…うぅ…」

P「…」

P「おい」グイ

美優「あっ…」

P「…ごめんな。帰ったら優しくしてやるから…」


美優「えっ……」


美優「はい…///」ゾクッ





杏「ちょ、ちょっと待って!」

晶葉「…ハッ!いかん!緊急停止だ!」

――P「…なんて言ってお詫びしたらいいか…」

美優「いえ…私も途中から勝手にセリフが出てきて…」

P「美優さんも?実は俺も…」

P「…晶葉!どういうことか説明しろ!」





P「…なるほど。杏の差金か。」

杏「うう…そんな怖い顔で睨まないでよ…」

P「当たり前だ!下手をすれば美優さんのトラウマになったかもしれないんだぞ!」

美優「Pさん。私はもう…」

P「いえ。ここははっきりと言わないとだめです!大体お前はな…」

杏「…」


杏「…うっ…グス…」


P「お、おい…泣いたって、だめだからな…」

杏「なにさ…だって…プロデューサーがさ……いつもさ…大変そうだからさ…」

杏「杏だってこんな事になるとは思わなかったもん…でも…プロデューサーにさ…少しでも楽になってほしかったからさ…」

美優「Pさん、私なら本当にもう…」

響子「あの…杏さんの気持ちもわかります。」

紗南「そうだよ。今のはちょっと…って思ったけど、Pさん働き過ぎだもん…」

晶葉「元はといえばあのような装置を作った私の責任だ。責めるならば私を責めるべきだ。」

P「う…」

P「…わかった。怒鳴ったりして悪かった。」

杏「へへ。そうこなくっちゃね。」

P「おい!」

美優「Pさん。」

P「…まあ、いい。さ、遊びは終わりだ。仕事に行くぞ。」

紗南「えー!?つぎはあたしの番でしょ?」

響子「そうです!美優さんだけ、なんて不公平です!」

P「あのなあ…」

晶葉「大丈夫だ。そう時間は取らせんよ。」

紗南「…Pさん…」ジーッ

響子「…」ジーッ

P「…さっきのスイッチは使うなよ。」

紗南 響子 「!」パアアア

晶葉「もう一度だけ試させてはもらえないか?さっきはいきなり最高出力でいってしまってな。」

P「だが、あれではダメ人間じゃなくて人間のクズだろう…」

晶葉「私も失敗したままでは終われんよ。任せてくれ。」

P「…信じていいんだな。」

――紗南「やっ!Pさん!いらっしゃい!」

P「お、紗南か。…これは、ゲームセンターか。すごいな。まるで本物みたいだ。」

紗南「でしょでしょ!?あたしも驚いちゃったよ!どれもほんとに遊べるんだよ!」

紗南「やっぱりストレス解消にはゲームだよね!パーッと遊んで仕事のことなんて忘れちゃおうよ!」

P「ハハハ、そういうわけにはいかないけどな。」

紗南「もー、カタイなあ…何かやりたいのある?あたしがレクチャーしてあげるよ。」

P「とはいえ、最近のゲームはよくわからないぞ…おっ、デレⅡじゃないか。懐かしいなあ。」

紗南「ああ、そっか。Pさんちょうど世代だもんね。」

P「ああ、かなりやりこんだぞ。もう何年もやってなかったけど、まだ続いてたのか。」

紗南「うん。でもこれは今最新版の『シンデレラファイター4』!デレ4だよ!」

P「意外にすすんでないんだな。」

紗南「まあ、途中で色々番外編みたいなの挟んだからね。」

紗南「そうだPさん、これ知ってるなら対戦しようよ!」

P「でも俺はゲームなんてもう…」

紗南「平気平気!操作は昔とそんなに変わってないからさ!」

P「そうか?じゃあ…まあ。」

紗南「やった!じゃあ、あたしは2P側でいいから、むこっかわね!」

P「お手柔らかにな…ええと、まずはキャラを選ぶのか。」


『我が力、見せてくれよう!』


紗南「おっ、Pさんランコ使い?」

P「ああ、まあな。これでも友達の間では無敗を誇っていたんだぞ?」

紗南「へー、じゃああたしはとりあえず…」


『へー、アンタが私のプレイヤー?』


P「リンか。そんな初心者向けキャラで大丈夫か?」

紗南「問題ない!さあ、いくよ!」

――READY FIGHT!

P「よっ!はっ!」

P(意外に覚えているもんだな…これも装置の力なのか?)

紗南(へえ、確かにそれなりだね。でも…)

紗南「…今だ!」ピキーン


『―さあ、残していこうか―私達の足跡―』

シャキーンピカッボコボコボコボコボコボコ


『私、これからも走り続けるよ!』

2P WIN!! PERFECT!

紗南「まだまだだね、Pさん。大技連発し過ぎだよ。」

P「くっ、もう一回!もう一回頼む!」

紗南「いいよー。じゃあ私はアキラリでいこうかな」


『にょわー☆』


P「俺は…やっぱりランコだ!」


『選ばれし瞳の持ち主よ、刮目するが良い!』


紗南「よーし、じゃあいくよ!」

――READY FIGHT!





『おっつおっつぱーぺきー☆』

2P WIN!! PERFECT!

紗南(あ、やば…ついマジになっちゃった…)

P「…さすがだな。紗南。よし!今度は負けないからな。」


紗南(よかった。怒ってないみたい…次は防御力低めのキャラにしとこうかな)

――READY FIGHT!






『やれやれ…論破するまでもありませんでしたね。』

2P WIN!! PERFECT!

紗南(ああああ、つい、つい!)

『ふう、勝ったらなんだか暑くなってきちゃいました。』

2P WIN!! PERFECT!

紗南(…)


『ニンッ!』

2P WIN!! PERFECT!


『ゴー!トゥ!ヘーーーーーーーーーーーーール!』

2P WIN!! PERFECT!


『ちっちゃいからって甘く見ないでいただきたい!』

2P WIN!! PERFECT!


『……勝敗に興味などないわ』

2P WIN!! PERFECT!

杏「おーおー、紗南のやつ、完全に目的を見失ってるね。」

晶葉「うむ。ではそろそろいくか。」

杏「…今度は大丈夫だろうね?」

晶葉「先程よりかなり出力を弱くした。今回はマイナスになるようなイメージもないし大丈夫だろう。」

杏「まあ、ゲーセンだしね。ゲームに夢中になるくらいかな。」

晶葉「うむ。それでは。ダメ人間スイッチ!」スイッチオン

『うふふ…勝っちゃいました…あら?…Pさぁん?マユのPさんはどこですかぁ?』

2P WIN!! PERFECT!


紗南「…うしっ!またもあたしの勝ちー!」

紗南「どう?Pさん、もう一戦やる?」



P「…」ガンッ!

紗南「きゃっ!…台パン!?」

P「…」

紗南(あ、やば…)


紗南「次はちょっと手加減しよっかな…」





『フフーン!やっぱりボクが最強ですね!』

2P WIN!! PERFECT!

>>27
アキラリって誰だよ…キラリだよ…

紗南(…やっちゃった。)

P「…」スッ

紗南「あ…」

紗南「Pさん、ごめん。ちょっと夢中になっちゃって…」



紗南「待って、待ってってば…」




紗南(あれ?…なんだ、トイレにいくのか。)




紗南「私も少し休憩にしようかな。女子用は…」

紗南「あ、あった…きゃっ!」グイッ



P「…」

紗南「え?な、何?」

P「お前…さっきわざとやったろ。」

紗南「え、何のこと?」

P「ざけんなよ!俺のランコがサチコなんかに負けるわけねーだろ!」

紗南「ヒッ!」

P「セコい攻めばっかしてきやがって…お子様は家でニャンテンドーでもやってろよ。」

紗南「で、でも…やみのま回避からのコンボは基本戦術で…それにランコは強すぎたから調整入ってて…」

P「ごちゃごちゃうっせーよ!」

紗南「ヒッ!」

P「俺のランコをバカにしやがって…てめえみたいなゆとりのせいで…」ブツブツ

P「ランコは最強なんだ…お前みたいなガキに…」ブツブツ

紗南「…」

P「クソが…謝れよ。」

紗南「え?」

P「あやまれっつってんだよ。」

紗南「え、なんで…」

P「てめーのせいでランコが汚れたんだよ!はやくしろよ!」

紗南「!…わ、わかった!わかったから、大きな声ださないで…」

紗南「…ごめんなさい。」

P「…ちげーよ。」

紗南「?」

P「謝るっつったら土下座だろがぁ!」

紗南「きゃっ!」







杏「ちょ、ちょっと!これはやばいよ!」

晶葉「う、うむ!緊急停止だ!」

――P「…!」

紗南「…ふぇ?」



P「…紗南?」

P「ああ、紗南!すまない!大丈夫か?」

紗南「え、あ、あれ…Pさん…。」

紗南「ごめんなさい…あたし、Pさんに楽しくなってもらいたいって…休んでもらいたいって思って…」

紗南「それなのに…あたし、自分だけ楽しくなっちゃって…余計疲れたよね?イライラしたよね?」

P「ち、違うんだ!」


紗南「ううん。ごめんね。気を遣ってくれてありがと。でも、あたしもうあんまり迷惑かけないようにするから。」

P「違う、本当に、本当に楽しかったんだ…あんなに夢中になって遊んだのは久しぶりだったんだ…」

P「でも、途中でまた勝手にセリフが出てきて…すまない…すまない…」

P「紗南が嫌じゃなければ…また、俺と遊んでほしい…本心だ…」




紗南「…グス」

P「お、おい!紗南!」

紗南「ふぇぇ…よかった、よかったよぉぉ…」

紗南「私、Pさんが、変な人に、私のせいで、変な人になっちゃったかと思って…」

紗南「途中で、Pさんが、アイツみたいに見えてきて…それで、怖くって…」

P「アイツ?」

紗南「うん…前にね?ゲーセンでね、似たようなことがあったの。」

紗南「店員さんが助けてくれたけど…すごく怖かったの…」

紗南「だから…その時のこと思い出して…うぅ…」

P「そうだったのか…嫌なこと思い出させちゃったな。」

紗南「ううん。きっとあたしの中にその思い出が残ってたから…」

紗南「…もう平気。そのゲーセンの近くには行ってないから大丈夫だよ?」

P「そうか…でも、あまり危ないところや遅い時間にはゲーセンに行ったら駄目だぞ。」

紗南「うん…でも、お仕事の関係とかあるとやっぱり…」

P「…じゃあ、仕事の後は俺と一緒に行こう。それならいいだろう?」

紗南「えっ!?それ本当?」

P「ああ、本当だ。」

紗南「へへっ、やったね!あ、じゃあさ!あたし一緒にやりたいのいっぱいあるんだ!」

紗南「〇〇でしょ。それからアレも、これも…」

晶葉「…なるほど。彼女のトラウマがイメージに作用したのか。」

P「…晶葉」

晶葉「ああ、わかった。どうやら根本的な問題があるようだ。このスイッチはもう使わないよ。」

杏(結局プロデューサーの仕事が増えてるじゃん。)

響子「というわけで!最後は私ですね!」

P「ああ、これでほんとうに最後だからな。」

響子「任せてください!バッチリPさんを癒してあげますから!」スポッ

響子「…」

響子(Pさんが安らげる世界…ゆっくりと、休息できる世界…)

P「ただいま…」

響子「おかえりなさい♪今日は暑かったでしょう?」




紗南「夫婦設定?なんだか美優さんと似てるね。」

杏「うん。でも内装は現代的なマンションだね。」

美優「…ジェネレーションギャップかしら…」




晶葉(…?なんだ?この部屋?何か違和感がある…)

P「ああ…ごめんな。その…今日もダメだったよ…」

響子「え?ああ、就職活動のことですか?」

響子「気にしないでください!Pさんの良さがわからない会社がだめなんですよ。」

P「でも…俺くらいの年で…何の資格も持ってないとどこも採ってくれないってさ…言われちゃって…」

響子「…」



P「ハハ…本当、俺、今まで何やってきたんだろうな…。」

響子「…」




響子「ひどいですね!その会社!」

P「?」

響子「だってその会社は人間じゃなくて資格を雇ってるんですか?Pさん本人を見ようとしないなんて!」

響子「そんな会社、入ったってきっといいことありませんよ!落ちてラッキーです!」

P「そ、そうかな…」

響子「大丈夫ですよ。Pさんはやればできる人なんですから。きっとよさをわかってくれる人がいます。」

P「でも響子の両親だって…」

響子「平気ですよ。私が守ってあげますから…ね?」

P「響子…」

響子「さ!食べましょう!今日もPさんの好きなものばっかり作ったんですよ!」

響子「そうだ。Pさんお疲れでしょうから私が食べさせてあげますね?」

P「え、いや、いいよ。恥ずかしいし。」

響子「だめです!Pさんはおかずばっかり食べるんですから!」

響子「はいはい、座ってくださいね。最初はこれなんてどうですか?」

響子「はい、あーん。」

P「ん・・・うん、うまいぞ!」

響子「よかったぁ。じゃあ次はお味噌汁ですね。ふーっ、ふーっ」

響子「食事がすんだらお風呂に入りましょう。もちろん私が洗ってあげますからね♪」

P「…」

響子「…Pさん?」

P「…うう…」

響子「え、どうしたんですか?その…おいしくなかったですか…?」

P「違う…違うんだ…」

P「響子は…こんな俺にこんなに優しくしてくれて…それが嬉しくて…」

P「それなのに…俺は……何もしてやれなくて…すまない…すまない…」

響子「…Pさん…」

P「ごめんな?辛いだろう?いつも家系をやりくりするの大変だろう?」

P「もし響子さえ良かったら今からでも実家に帰って――」





響子「Pさん!」

P「響子…?」


響子「…かわいそうなPさん…」


響子「きっと面接でいやなこといっぱい言われたんですね…」


響子「Pさんの年で就活するのってすごく大変だって聞きました…」



響子「それなのに…気づいてあげられなくてごめんなさい…」





響子「私なら大丈夫ですから、明日からしばらくお休みしましょう?ね?」

P「え?いや、でも…」

響子「だめです…このままじゃPさん壊れちゃいます…」

響子「大丈夫ですよ?私、小さな頃から貯金してましたから。」

響子「Pさん、しばらくお休みしましょう?」

響子「この家の中なら誰も怖い人は来ませんよ?」

響子「美味しいご飯もあたたかいお布団も有りますよ?」

響子「それに…少しくらい充電したほうがいい結果が出ますよ。」



P「そう…かな…そうかもしれないな…」

響子「そうですよ。それじゃあ明日から怖い人が入ってこれないように『外から』鍵をかけておきましょうね」

P「うん…でも…いいのかな…こんな、また響子に甘えて…」

響子「えへへ。Pさん♪」ギュッ

P「おわっ」

響子「私、Pさんに甘えられるの好きです。なんか必要とされてるなーって思えて…」

P「そ、そうか?」

響子「はい!」







響子「だから…いいんですよ…私に甘えて…ずーっと守ってあげますからね…私が…ずーっと…」

紗南「…なんか、こんなPさんやだな…」

美優(こんな方法もあるのねえ…)


杏「…もうそのスイッチ押さないんじゃなかったの?」

晶葉「いや、今回は何もしていない。」

杏「…」



晶葉「よし、止めるか」

家系をやりくり?

遺伝子操作とかタイムスリップとかしてんの?

―――響子「うふふ…Pさん……」

P「おい。」

響子「え…あれ!?」

晶葉「残念だったな。お楽しみは終わりだ。」

響子「ええー…残念です…せっかくPさんもリラックス出来てたのに…」

杏「さすがにお仕事できなくなるのはまずいでしょ。」

響子「…はーい…」

ガチャ

ちひろ「あっ、みなさんここにいたんですか!Pさん!そろそろ時間ですよ!」

P「えっ、ああ、そうか。営業に行くところだったんだっけ。」

ちひろ「大丈夫ですか…?なんだか疲れてるみたいですけど…」

P「ええ、まあ、少し。」

紗南「ごめんなさい…」

美優「帰って気を遣わせてしまったみたいですね…」

響子「…」

P「気にするな。気持ちは嬉しかったよ。」

P「すいませんちひろさん。一本お願いします。」

>>60
家計の間違いやですまんな。

ちひろ「あ…ごめんなさいPさん。いまスタドリは在庫を切らしてしまっていて…」

ちひろ「この新製品のスタドリXならあるんですけど…」

P「へえ、新製品ですか。」

ちひろ「はい。今までのスタドリに比べて有効成分が1,5倍に増えているんですよ。」

P「すごいですね!それは効きそうだ!」

ちひろ「…でも、あいにくダース単位でしか扱っていなくて…」

ちひろ「その…お値段もスタドリ12本分×1.2倍になるんですけど…」

P「ええっ!?」

ちひろ「あ、さすがに高いですよね!?じゃあバラ売りでも…」

P「1.5倍の成分で1.2倍のお値段なんですか!超お得ですね!」

ちひろ「えっ」

P「せっかくですから1グロスいただきます!」

ちひろ「はい、まいどどうも…」

P「ングングングング…」

P「いやー!すごい!さすがX!」

P「さあいくぞ!そうだ杏!お前も一緒に挨拶回りに行こう!な!」

杏「え、いや、杏は」

P「今度出るTV局のお偉いさんにも会うからな!それじゃいってきまーす!」

ちひろ「あ、はい。いってらっしゃい。」


美優「…」

紗南「…」

響子「…」

晶葉「…」







晶葉「ダメ人間をなおす装置を作とするか…」


~おしまい

こんなおっさんのSSを読んでくれてありがとう。(いつも同じアイドルばっかりで)すまんな。
それにしても誤字が多すぎやで。堪忍な。

外編

小梅「……プロデューサー、ダメ人間に、なりたいの?」

P「いや、そういうわけではないぞ。」

杏「そうなんだよ。プロデューサーはダメ人間を目指してるんだよ。」

小梅「そうなの…?あ…私、いい方法、知ってる……」

杏「よーし!それいってみよう!」


小梅「気持ちいいね……Pさん……」

P「ああ、意外だな。小梅がこんなのどかな田園風景をイメージするなんて。」

小梅「う、うん。こういうとこにしか…いないから…」

P「…?」

小梅「ねえ……Pさん。あ、あれ…見て?」

P「なんだ…?田んぼの向こうのほうで白いものがくねくねしてるけど…」

小梅「は、はい。これ………双眼鏡。」

P「お、おう…どれどれ…?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――



P「…?あれ、何も見えないぞ。」

晶葉「すまない助手よ。詳細不明のエラーが出てシステムがダウンしてしまった。」

小梅「や、やっぱり、無理だったかな…?」

P「…?」

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