高木「765プロの従業員が休んでくれない」 (80)

P「」カタカタカタ

律子「」カタカタカタ

小鳥「」ソワソワソワ

ガチャ

高木「みんな、ご苦労さん」

P「お疲れ様です」カタカタカタ

律子「お疲れ様です」カタカタカタ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400255117

小鳥「社長、お疲れ様です。今お茶を入れますね」

高木「すまないね、音無君」フゥー

コト

高木「いやーありがとう、一息ついたよ」ズズズ

小鳥「あのー……社長、お願いがあるんですが……」

高木「うん?なんだね?」

小鳥「今度の○日にお休みを頂きたいんですが……」

高木「ん?そうかね、それじゃ……」

律子「へーこの大事な時期にお休みですかー」カタカタカタ

P「今が765プロにとってどういう時期かわかってないんですねー」カタカタカタ

小鳥「」ガクガクブルブル

高木「おいおい……休みを取るのは当然の権利だ、……むろん君たちもだな……」

P「社長!」ドン!

高木「」

P「社長からしてうちの事務所が!今が!ここが大事な時期だと!」

高木「も、もちろんわかっているよ君ぃ……だからこそだな……」

律子「今度やるのはなんのオンリーイベントでしたっけ~?」カタカタカタ

P「あーあー!仕事休んで同人イベント!いいご身分ですなあ!」

高木「君たちいいかげんにしたまえ!使用者たるこの私が良いと言っているのだ!大体……」

P「お言葉ですが社長、私用もいいところじゃないですか?」

高木「それがどうかしたのかね?休暇を取るのは君たち労働者の権利だろう」

高木「私は理由の如何に関わらず、正規の手続きをもって申請された休暇を許可するだけだ」

P「社長、我々は何のために働いているのか」

高木「うん?」

P「我々は芸能事務所、アイドルなんて所詮は虚業です」

高木「うむ、それはその通りだな」

P「だがしかし!虚業といえど世の中のファンに夢を!笑顔を届けるために!」

高木「う、うむ……落ち着きたまえ君ぃ……」

P「仕事というのはお金のためにするものではない……」

高木「うん?」

P「ありがとうを集めるためにするものです!」ドヤァ

高木「」

律子「」ウンウン

小鳥「……」

P「そのために我々は日夜……」

高木「ちょっと待ちなさい」

P「なんですか?」

高木「休暇申請以前に君たち公休日も仕事しているじゃないか」

P「当然です!」

高木「法定休日は守ってくれないとこちらが困るんだよ」

法定休日とは

労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)第35条に定められている、

毎週1日または4週間を通じて4日という基準で労働者に与えられなければならない休日のこと。

週休2日制における休日の内の1日分や国民の祝祭日などは法定外休日とされています。

高木「確かにウチのような業界では毎週決まった日時に休むのは難しいが……」

法定休日は会社の就業規則などによって定められており、かならずしも日曜日や祝祭日が法定休日ではありません。

また、すべての労働者に同じ日を法定休日とする必要もないため、

労働者ごとに違う日を法定休日として与えることで、シフトを組んでの労働も可能となります。

4週間の内に4日を法定休日とする変形休日制を採用することで、労働基準法の基準を満たすことができます。

変形休日制は年間を通して採用することも出来ますが、繁忙期などの特定の期間のみの採用も可能です。

律子「そういえば社長、この間の給与はどういうことですか?」

高木「どういうことか?」

法定休日に労働を行った場合には、企業は通常賃金の35%以上50%以下の割増賃金を支払わなくてはなりません。

なお、法定外休日での労働には、週40時間の法定労働時間を超える部分にのみ、

時間外労働として通常の賃金の25%以上50%以下の割増賃金を支払うことになります。

律子「今は社の大事な時期!投資に回すべきです!」

高木「え?だから貢献している君たちの働きを評価してだな……」

P「社長、先ほどのお言葉お忘れですか?」

高木「うん?」

P「仕事というのはありがとうを集めるためにするものだと!」

高木「」

P「お金のために残業や休日出勤をしているわけではないんです!」

高木「君たちがどう言おうとこれは経営者としての義務だ」

高木「給与もそうだが休日をしっかり取ってもらうことも仕事のウチであり君たちの義務だ」

P「社長、今私達がしていたのは?」

高木「仕事をしていたね」

P「違います」

高木「うん?」

P「私達がしていたのは作業です」

P「普段こなしているのは『業務』であり、本当の『仕事』というのはその他の時間で情報収集や勉強をすることだと思います」

P「それでこそ多くのありがとうを集めることが出来るのだと思うのです!」

高木「」

律子「むろんそれはアイドルたちもです!」

高木「ちょ!ちょっと待て!」ガタッ

高木(改めてホワイトボードを確認したら……なんだこのスケジュールは!)

高木「君たち、先程も言ったが休むことも仕事だ」

高木「しっかりと休息をとって体調を整える。それでこそ仕事の能率もあがる」

高木「むろんそれはアイドルたちもだ!」

高木「そしてなんだこのスケジュールは!」

P「一切のムダがない完璧なスケジュールです」

律子「我ながら惚れ惚れしますね」

高木「あの娘らはまだほぼ10代、成長期真っ盛りだぞ!」

高木「仕事がつまっているならばレッスンの時間を割いて休息にあてなければ……」

律子「なにを腑抜けたことを言っているんですか!」

P「今が大事だと何度言っていると思うんですか!」

高木「あの娘らの体調まで含めて管理するのが大人の責任だろうが!」

P「人間そんなに簡単に壊れませんよ」

高木「本気で言っているのかね?君ぃ……」

律子「何より当人たちの希望でもありますので」

高木「なん……だと……」

ガチャ

春香「ただいま戻りました!」

千早「お疲れ様です」

高木「お、おお!君たち、大丈夫か?疲れてないか?」

春香「どうしたんですか、社長?」

千早「多少は疲れていますが」

高木「そうだろう……そうだろう!」

春香「けど……みんなの笑顔を……ありがとうを集めることが私達の仕事ですから!」

高木「」

千早「私の歌をもっと多くの人に届けるために……休んでなんかいられません」

高木「」

春香「では私達はレッスンに行ってきます!」

ガチャバタン

律子「素晴らしい、アイドルの鑑だわ」

高木(すっかり洗脳されている……)

小鳥「あ、あの社長……もういいですから……」

高木「音無君……」

高木(いかん!これではいかん!一体どうすれば……)

高木(元々律子君はワーカホリック気味ではあったが……)

高木(彼の影響だろうか……いくらなんでもひどすぎる……)

高木(黒井とは別の意味で人を潰してしまうぞ……)


---

秘書「黒井社長、調査部他いくつかの部署でまた何人か逃げ出しました」

黒井「捨て置け、代わりのコマなんぞいくらでもいる」

秘書「はい、かしこまりました」

黒井「労働者などいくらでも使い捨てればいい……」

黒井「大体自分では何も生み出せない生産性創造性のかけらも無い人間どもが、良い給料人並みの休みを要求することが間違いなのだ」

黒井「コマとして使われるだけありがたいと思ってもらわんとな!ハーハッハッハ!」


---

高木「君たち……君たち自身もそうだが彼女たちが潰れてしまったらどうするつもりだ……」

律子「そんなヤワな鍛え方はしておりませんが」

高木「そういうことを言っているんじゃない!」ダン!

小鳥「社長……」

高木「我々は確かに虚業、アイドルというのは夢や笑顔を届けるものだ」

高木「だが仕事というのはありがとうを集めるためにするものではない」

P「しかし!私が過去の職場で教授頂いたのは!」

高木「黙って聞きなさい……君が過去の職場でどのように言われたかはわからないが……」

高木「人というのは生きていくために、賃金を得るために働くのだ」

高木「そう、生きていくため……だから休みが必要なんだ」

高木「もちろん法で定められているからという面もあるが……」

高木「いろいろな意味で人間らしい生活を送るために休めと言っているのだ」

P「なにをおっしゃっているのか理解できません」

高木「昨今ホワイトカラーエグゼンプションやいわゆる解雇特区という労働改革の話題がチラホラと聞こえている」

ホワイトカラーエグゼンプション

「一律に時間で成果を評価することが適当でない労働者の勤務時間を自由にし、有能な人材の能力や時間を有効活用する」ことを趣旨とする制度。

日本では未導入。

本制度の適用を選んだ労働者はその使用者との間で合意した一定の成果を達成する前提で、

勤務時間を自己の責任において自由に決められるようになる。

通常の定時勤務にとらわれない反面、勤務時間に基づかないため休日出勤等の時間外労働を行った場合の補償はされない。

(ただし休日については週休2日相当の日数が確保される)

類似制度に裁量労働制があるが、裁量労働制はあくまでも「みなし労働時間」制であり、労働時間規制を除外するものではない。

高木「ホワイトカラーエグゼンプションは残業代ゼロ政策と言われているが……」

高木「本来の主旨は勤務時間の自由化だ」

高木「年収いくら以上、労働者に制度の適用不適用を選ばせる等で悪用を防ぐと経団連は提唱しているが……」

高木「今の制度でも黒井のような人間が人を使い捨てしているような社会だ、ああいう人間は使えるものはなんでも悪用する」

高木「ちゃんと『本来の主旨通り余暇を充実させる』ような使い方がなされればいいのだが……」

高木「労働者にも君たちのようなワーカホリックもいるしな、仕事していいと言ったらいくらでも仕事するような人間だ」

P「それのどこがいけないんですか!?」

高木「……解雇特区は雇用の流動性をあげる施策だ」

解雇特区

従業員を解雇する基準を緩和する特別区「雇用規制緩和特区」の仮称。

この特別区内で「創設5年以内の企業の事業所」「外国人労働者の比率が30%以上の事業所」を対象とし、

従業員を解雇しやすくしたり労働時間の規制をなくしたりすることで企業の負担を軽くし、ベンチャー・外資の進出を促すといった経済効果を狙っている。

高木「なるほど、伸び悩んでいる大企業からすれば解雇の条件が緩くなり……」

高木「人が足りないベンチャー企業からすれば応募者が増える、いわゆるWin-Winの関係に見える」

律子「さっきからなにを……なにが関係あるんですか?」

高木「これらはグローバル化や移民政策を推し進めたい経団連の思惑と俗に言われているが……」

高木「確かに『まともに』機能すれば良いと私も思う」

高木「だが私はそもそもなんでもグローバル化すれば良いとは思っておらん」

高木「君たちの代わりは誰も居ないのだ」

P「……」

高木「人材とは人財だと私は思う」

高木「古いと言われるかもしれないが、765プロは昔ながらの……家族のような会社でありたいのだ」

高木「皆が一致団結して……ひとつの事に向かっていくような……」

律子「……」

高木「確かに今も団結はしているのだろうが、間違った方向を向いていると言っている」

高木「雇用の流動性?私は会社というのは社員を守るものだと思っている」

高木「だから……私は君たちを守る。君たちの命を守る!」

高木「私が間違えているのかもしれない……だが!」

高木「私は……君たち誰一人として失いたくはないのだよ……」

律子「社長……」

高木「我々はアイドルたち……あの娘たちを親御さんたちから預かっているのだ」

高木「いや、彼女たちだけではない。君たちもだ」

高木「先にも言ったが、彼女たちが倒れないように管理するのが大人の……預かった者の責任だ」

P「……わかりました、社長」

高木「君ぃ……」

小鳥(ピヨッ!この流れは……!)

P「納得したとは言えません、理解したとは言えません。……けど」

P「社長が我々を思ってくれていることは伝わりました」

P「アイドルたちのスケジュール含め色々と見直してみます」

高木「うむ!君たち自身もしっかりと休息をとるようにな!」

小鳥「あのー……それじゃあ……私のー……」

律子「わかりました!では小鳥さん!」

小鳥「は、はいっ!」

律子「私達も体を休めないといけませんね!」

P「イベントなんて行って疲れが溜まってはいけませんね!」

小鳥「ピヨッ!?」

高木「あ、体だけでなく心の休養もだな……」

律子「しっかりとお家で休んでくださいね!」

小鳥「」

高木(う、うーん……)

高木「あー君君、そうPS3でワンフォーオールをやっている君だよ」

高木「アイドルたちを熱心にプロデュースしてくれているのは大変ありがたいが……ちょっと根を詰め過ぎじゃないかね?」

高木「仕事も遊びもバランスよく休みながら!じゃないと体がもたないぞ!」

高木「なあに、ちょっと君たちの体が心配になったもんでな。ハッハッハ」

周りがあまりにもOFAをぶっ通しプレイしているので、ワ○ミ的ななにかに洗脳されたPが頭に浮かんじゃいました

ゲームのPだけじゃなく、PS3本体も少しは休ませてあげてください

もちろん自分の身体もね

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom