穂乃果「海未ちゃんが過労で倒れた」 (127)

-屋上-

タン タン タン

絵里「ワン、ツー、スリー、フォー!」パンパン

タン タン タン タ....タン

絵里「ファイブ、シックス、セブン.......ストップ!!」

穂乃果「っとと........絵里ちゃん、どうしたの?」


海未「....はぁ....はぁっ」ゲホ

絵里「.......海未、今日はちょっと遅れ気味よ?どうしたの?」

海未「はぁ......はぁ.....っ、す、すみません....っ」

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花陽「海未ちゃんが遅れるなんて.....」

凛「なんか珍しいにゃー」

海未「げほっ.....」

海未(なんだか、今日は身体が重いです.......)

ことり「海未ちゃん?なんだか辛そうだけど...大丈夫?」

希 「体調悪いなら休んでてもええんよ?」

海未「いえ、大丈夫です.....続けてください」

穂乃果「でも.....」

海未「大丈夫ですから」

海未(みんなも同じ位辛いはずです)

海未(上手く踊れないからといって、私だけ楽をする訳にはいきません)

海未(むしろ踊れない分、余計に頑張らなければ......)

海未「絵里、お願いします」

絵里「......わかったわ。けど、無理は禁物よ?」

海未「はい。わかっています」

にこ「ほら、じゃあ練習再開しましょ!」

絵里「ワン、ツー、スリー、フォー!」パンパン

海未「はっ.......はっ.....」タンタン

海未(頭が、くらくらします......)


絵里「ファイブ、シックス、セブン、エイト!」パンパン


海未「ぜっ...はぁっ.....」タン....タン

海未(私は、ちゃんと踊れているのでしょうか)


海未(いえ、そもそも)


海未(私は.....今、たっているのですか.......?)


海未(............っ)クラ

海未「......!」

海未(いけません、バランスが....)

フラ

絵里「ワン、ツー.......海未!?」

海未「............ぁ....」


バタン


真姫「えっ!?」

ことり「海未ちゃん!?」

希 「ちょっ、大丈夫!?」

海未「.......ぁ」

海未(皆の声....早く起きなければ....)

海未「.......っ」

海未(......困りました....身体に力が入りません....)

海未(それに、なんだか......意識が.......)

海未(....とお....ぃ............)

海未(...........)

海未(......)


穂乃果「海未ちゃん!しっかりして!!海未ちゃん!!」

-保健室-

海未「....すぅ.........すぅ」


穂乃果「......過労?」

真姫「ええ、そうみたいね」

花陽「病気じゃないんだよね!?」

真姫「しっかり栄養を取って、ゆっくり眠れば大丈夫だと思うわ」

ことり「よ、よかったぁ~~~」

絵里「まったく、心配させないでよ.....」ナデ

海未「....ん....すぅ...」スヤスヤ

凛 「それにしても過労って.....凛たちみたいな高校生がなるもんなのかにゃ?」

絵里「確かに....あまり聞かないわね。どちらかというと、疲れたサラリーマンとかがなっている気がするわ」

花陽「疲れたサラリーマン.....いったい海未ちゃんって、どんな生活してるの?」

ことり「......海未ちゃん、お家では日舞と剣道のお稽古があって」

にこ「弓道の練習もやって」

穂乃果「最近は生徒会の副会長として学校のために一生懸命働いてくれて」

希 「その上でμ'sの練習か.....これ、高校生がこなせる量を超えてるんやない?」

花陽「それに海未ちゃん、成績も常に学年上位だし....」

凛 「いつ寝てるのか疑問だにゃー」

海未「すぅ.........すぅ..........」

穂乃果「海未ちゃん...........」

穂乃果「......もしかして、μ'sの活動が負担になっちゃってるのかな....」

花陽「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「だって海未ちゃん、お家のことだけでもスゴく忙しいのに」

穂乃果「それなのに私が強引にμ'sに誘ったりしたから、余計に忙しくなっちゃって」

穂乃果「それで休める時間がなくなって、倒れちゃったんじゃ..........」ギュ

ことり「穂乃果ちゃん...」

絵里「穂乃果、それはそうかもしれないけど、でも.....」

穂乃果「でも、それでも.....!」


穂乃果「それでも私、海未ちゃんにμ'sをやめて欲しくない!」

穂乃果「海未ちゃんのいないμ'sなんて、そんなのμ'sじゃないもん!」


ことり「穂乃果ちゃん......うん!そうだよね!」

ことり「私も海未ちゃんと一緒にスクールアイドルを続けたい!」

花陽「わ、私も...」

凛 「凛もだにゃー!」

希 「μ'sは9人だからμ'sなんやで?」ドヤ

にこ「なによそのどや顔....」


真姫「そうね.....でも、このままだと海未ちゃん、また倒れるわよ」

花陽「そ、そうだよね.....なんとかしなきゃ.....!」

穂乃果「.............」

絵里「穂乃果、何か策はあるの?」

穂乃果「.........ない.....」

にこ「はぁ!?ないの!?」

穂乃果「だって、日舞も武道も海未ちゃん大事にしてるし、けど、μ'sの練習もおなじ位大事だし.....」

穂乃果「どっちかを選んでなんて、言えないよ.....!」

真姫「じゃあ、どうしようもないじゃない....」

穂乃果「な、なにかあるハズだよ!今はまだ思いつかないだけで......!」

希 「なにか....か」

ことり「私達が海未ちゃんにできること.....何があるんだろう」

8人 「う~ん....」モンモン

解決策が思いつかないので今日はここまでにします
思いついたら続き書きます

絵里「......それじゃあ、こうしましょう」

希 「エリち、なにか思いついたん?」

絵里「ええ。考えたんだけど、海未は生徒会に入る前までは」

絵里「倒れずにスケジュールをこなしていたわけよね?」

花陽「うん。確かに...」

絵里「なら、海未の負担をそのレベルに戻してあげる必要があるんじゃないかしら」

凛 「どういうこと?」

絵里「つまり......」


穂乃果「わかった!!」

穂乃果「わかったよ、絵里ちゃん!」

穂乃果「私、生徒会長としてもっともっと頑張る!!」

穂乃果「海未ちゃん、『穂乃果は学校の全てを把握する必要がある』って言ってたけど」

穂乃果「そんな私をサポートするために、生徒会長分の仕事もすべて目を通してたから」

穂乃果「それが、余分な負担になっちゃってたと思う」


穂乃果「だからそれを私がしっかりして、海未ちゃんが安心して私に仕事を任せられるようになれば」

穂乃果「そのぶん海未ちゃんの負担が減る......そういうコトだよね?」


絵里「ええ、その通りよ」ニコ

絵里「正確には、穂乃果とことりね」

絵里「穂乃果とことり、そして海未を入れて3人が生徒会にいるわけだし」

絵里「海未にかかる負担を、2人で分担して減らしてあげて欲しいの」

ことり「うん。海未ちゃんのためだもん、私もがんばる!」


絵里「もちろん、推薦した私にも責任の一端はあるわ」

絵里「できる限りの協力はするつもりよ。穂乃果とことり、私と.....希もお願いできるかしら」

希 「とーぜんやね」ニコ

絵里「ありがとう。私たちもサポートするから」

絵里「海未が全てを委ねられるような生徒会になるよう、体制を整えていきましょう!」


穂乃果・ことり「「おー!」」


海未「............ん.....」

にこ「でもそれ、今すぐにってのはムリじゃない?」

真姫「そうね。穂乃果たちが生徒会の仕事に慣れるには、少し時間が要るでしょうし」

花陽「それまでにまた海未ちゃんが倒れちゃったら...」

凛 「大変だにゃー」


絵里「えぇ。......だからこれは提案なのだけれど」

絵里「穂乃果たちが生徒会の仕事を覚えるまでのしばらくの間」

絵里「μ'sの練習量を減らそうかと思うの」


海未「..........練習を.......へらす.....?」


穂乃果「!!」


穂乃果「海未ちゃん!」

ことり「海未ちゃん、大丈夫!?」

海未「ん......ここは.....保健室ですか?」キョロ

海未「なぜ私が、保健室で寝ているのでしょうか」

花陽「海未ちゃん、覚えてないの?」

花陽「練習中に海未ちゃん、倒れちゃったんだよ?」

海未「倒れる......私が?」

希 「そう。みんな心配してたんだから」

凛 「真姫ちゃんが言うには、過労だろうって」

真姫「働きすぎなのよ。まったく......」プイ

海未「そうでしたか......それはご迷惑をお掛けしてしまいましたね」


海未「もう大丈夫です。さぁ、練習に戻りましょう」


穂乃果「え!?」

絵里「海未!?」

ことり「これから練習するつもりなの!?」

海未「当然です。ラブライブ本選までもうあまり日もありませんし」

海未「私のせいで大切な練習に穴を開けるわけにはいきませんから」

絵里「だ、ダメよ海未!さっき倒れたばかりなんだから、静養しないと.....!」

海未「大丈夫です。もう十分休息は取れましたから」スタ

海未「ほら、もうこのとお.....おっと」フラ

ことり「海未ちゃん!」ガシ

にこ「まだフラフラじゃない....」

海未「い、いえ.....今のは少しバランスを崩しただけです」

海未「本当に大丈夫ですから......だから皆さん、そんな心配そうな顔をしないでください」



穂乃果「......ダメだよ」



海未「穂乃果?」

穂乃果「ダメだよ、海未ちゃん」

穂乃果「『体調崩したら元も子もない』....これ、海未ちゃんが言ってたことだよ」

海未「うっ...それは、そうですが...」

穂乃果「まだ顔色も悪いし、そんなフラフラなんだもん」

穂乃果「練習を再開しても、またすぐ倒れちゃうよ」

海未「.......しかし、今練習を休むわけには」

穂乃果「もう!海未ちゃんはガンコだなぁ」

穂乃果「ほら、主治医の先生だって休めって言ってるよ」チラ

真姫「?」

真姫「え、私?主治医って...私はそんな...」アタフタ

海未「........」チラ

真姫「っ......そうね。休まなきゃいけないのは本当よ」

真姫「今日はとにかくゆっくり休んで」

真姫「明日からのことは、また明日考えればいいわ」

穂乃果「ね?」

海未「はぁ......わかりました」

海未「これだけ言われて無理やり練習するほど、私も頑固ではないつもりです」

海未「お言葉に甘えて、今日はおとなしく帰らせて頂こうと思います」

ことり「海未ちゃん......!」

花陽「よ、よかったぁぁ~」


海未「それにしても.....」チラ

穂乃果「ん?」


海未「ふふ、まさか私が穂乃果にこのように諭される日がくるとは.....」

海未「夢にも思いませんでした」クスクス

穂乃果「ええっ!?海未ちゃんひどいよ~!」

海未「冗談ですよ.....ふふ.....」クスクス

穂乃果「もーっ........えへへっ」

ーーーーーーーーーーーーー

海未「それでは皆さん、今日はお先に失礼します」

真姫「はい、お大事にー」

凛 「そうしてると真姫ちゃん、ホントにお医者さんみたいだにゃー」

真姫「なっ....もう、からかわないで!」テレ

ことり「一緒に帰らなくても大丈夫?」

海未「ええ、保健室で眠ってだいぶ元気が出ましたし、一人で帰れます」

ことり「それならいいけど....」

海未「心配しすぎですよ。ことりは、私の分も皆の練習を見てあげてください」

海未「穂乃果、凛、希.....私がいなくても、しっかり練習するのですよ」


穂乃果・凛・希「「「らじゃー!」」」ビシッ


海未「まったく.....では絵里、後はよろしくお願いします」

絵里「わかったわ。......海未、ちゃんとゆっくり休むのよ?自主練とかしちゃだめよ?」

海未「もう、なんですか絵里まで......わかっていますってば」

海未「それでは......」ペコ

穂乃果「また明日ー」


ガチャ
タンタンタン


穂乃果「.............」

ことり「.............」

絵里「.............」

希 「......海未ちゃん、ほんとに帰った?」

花陽「えっと.....あっ、校門から出てくのが見えたよ!」

真姫「ふぅ....家に帰すのも一苦労ね」

ことり「海未ちゃん、本当に真面目だから.......」


絵里「さて.......と」

絵里「海未も帰ったことだし、早速始めましょうか」

凛 「遊ぶのかにゃ!?」

にこ「そんな訳ないでしょ!!練習よ、練習!!」

凛 「じょ、冗談だにゃー!」

絵里「それも大事だけど、今日は練習の他にもう一つやることがあるの」

花陽「もうひとつ?.....あ、もしかして」

希 「生徒会の引継ぎ、やね」

絵里「ええ、その通り.......海未のあの感じ、きっとあの子また明日から」

絵里「今までと同じように、全力で自分の仕事に取り掛かるはずよ」

穂乃果「うん......間違いないよ」

穂乃果「海未ちゃん、力を抜くってこと知らないから....」

希 「その点、穂乃果ちゃんは授業中の睡眠とかで上手く疲れをとってるもんね?」

穂乃果「えへへ、まぁね......って、それはいま置いといて!」

穂乃果「このままだと海未ちゃん、遠くないうちにまた倒れちゃうよ!」

ことり「うん。だから海未ちゃんのいない今のうちに...」

絵里「そう!だから早速このタイミングを利用して」

絵里「穂乃果とことりに生徒会の基本を叩き込むわ!!!」

希 「生徒会アタックやね!」

にこ「生徒会アタック!?」


絵里「みんな、今日の予定はもうわかったわね?」

絵里「穂乃果、ことり、希、そして私の4人は、生徒会特訓チーム!」

絵里「生徒会室でみっちり教育をするわ!!」

穂乃果「はい!」

ことり「よろしくお願いします!」

絵里「そして、真姫、花陽、凛、にこの四人は、練習チーム!」

絵里「次のライブに備えて、基礎練習をしっかりやっておくこと!」

真姫・花陽・凛・にこ「「「「はい!」」」」

絵里「リーダーは......真姫!みんなの指導をお願いね」

真姫「しょうがないわね」

にこ「!!?」


穂乃果「よし!じゃあ下校時刻まであんまりないし、早速お願いします!先生!」ダッ

絵里「いい気合ね!よし、生徒会室まで急ぎましょう!」ダッ

タタタタ......

ことり「あっ、二人とも置いてかないでぇ!」タタタ

希 「こらー、廊下は走っちゃだめやで~」トテテテ



真姫「それじゃみんな、こっちも始めるわよー」

花陽・凛「「は~い」」

にこ「ぐ、ぐぬぬぬぬ.....!」

今日はここまでです
見てくれている方ありがとうございます。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
-通学路-

海未「........」テクテク

海未(保健室で休んだおかげで、少し調子は戻ったようですが.....)

海未「......はぁ」

海未(練習中に倒れてしまうなんて....自己管理できていない証拠です)

海未(情けないですね...)

海未(穂乃果たちにも、迷惑をかけてしまいました)

海未「........」トボトボ

海未(今日は絵里の言いつけどおり、家に戻ってゆっくり休むことにしましょう....)


海未「しかし、ゆっくり休むといっても、どうすれば...」ムムム

海未(うーん........あっ)

海未(そういえば、μ'sの練習や日舞の稽古で忙しく、続きを読めないままの本がありましたね)

海未(いい機会です、一気に読みきってしまいましょう)

海未(ああ、それに......確か先日ご近所の方から頂いた羊羹がまだ残っていたはずです)

海未(羊羹を片手に読書に耽る.....ふふ、少し上品さに欠けますが、いい休息になりそうです)


テクテク

-園田家 玄関-


海未「ただいま戻りました」ガラ


母 「あら、海未さんおかえりなさい。今日は早いのですね」

海未「あ....はい。えっと.....」

海未(練習中に倒れたなどと言えば、なんと言われることか...)

海未「......その、たまには家でゆっくりしようかと思いまして」

母 「ふふ、そうでしたか。ちょうどわたくしも用事が終わったところで.....ああ、そうです」


海未(っ!)

海未(し、しまった.....!)


母 「もう用事がないのでしたら......」

母 「いい機会です、お稽古を見て差し上げましょうか?」

海未(や、やはり....)

海未(倒れたのを隠したことが、裏目に出てしまいました....)

海未「あ、その.....」

母 「 ? 」

海未「...っ」


海未(母.....いえ、お師匠様のご好意を無碍にするなど)

海未(弟子たる私がしてよいはずもありません.....)


海未「いえ.....何でもありません」

海未「ぜひ、よろしくお願いします」ペコ

-舞踊場-

♪~~~~

スッ タン タン タ タン


海未(身体が重い.......まるで自分のものではないようです)

海未「.....ふっ......ぅ」

海未(あぁ、いけません、呼吸を乱しては.....!)

海未「......く....っ」


タン タン タン

海未(っ!バランスが.....っ)フラ

海未(........なんて、無様なことでしょう)

海未(せっかく久しぶりに稽古をつけていただけるというのに、これでは......)

タン タタン タン

海未「ぜっ.......はぁっ」フラ


母 「.................」ジッ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「はぁっ.......はっ」

海未(なんとか、踊りきりましたが)

海未(我ながらひどい舞でした....)

海未「...........」シュン


母「...海未さん」


海未「は、はい」ビク

母「...どうしたのですか?動きにいつもの軽やかさがありませんでしたよ」

海未「はい、申し訳ありません....」

母 「なんでしたか....そう、スクールアイドル....の練習で」

母 「疲れが溜まっているのではありませんか?」


海未「っ!」

海未「い、いいえ!そういうわけでは!」バッ

母 「本当に?」ジィッ

海未「ぅ.....っ」タジ

母 「..........」

海未(.......うぅ)

海未「すみません....」

海未「...少し、疲れているの、かもしれません.....」


母 「ふぅ......海未さん」

海未「はい......」

母 「きぃちゃんから聞きましたが、一番の目標であった廃校の阻止を達成したそうですね」

母 「本当に喜ばしいことです。よく頑張りましたね」ニコ

海未「い、いえ.....」


母 「...........」

母 「ですが.....もう、目的を達成したのなら」


母 「無理を続ける必要はないのではありませんか?」


海未「っ!!」

海未「そ、それは......!」

母 「.......わたくしもお父上も、海未さんがお友達一緒に充実した部活動に臨んでいるのならと」

母 「学校での活動に余計な口出しはしていないつもりです」

母 「ですが、それは海未さんの日常に影響が出ないならの話」

海未「...........」

母 「......海未さんには、代々続く園田流の跡とりという重大なお役目があります」

母 「今後、部活動によって海未さんのお役目に支障が出るようであれば.....」

母 「お父上とも相談をしなければならないかもしれません」

海未「........っ」

海未(そ、そんな...っ!!)

海未「わ、私は.....」

母 「..........」


母 「.......部活動を続けたいのであれば」

母 「これからもお父上を満足させる結果を出し続ける必要があります」

母 「今まで以上に精進することです。よいですね?」


海未「.......はい」


海未「肝に.....銘じておきます」


母「それでは、本日はここまで」

海未「はい.....ありがとう、ございました...」

母 「.......海未さん、よく見るとあまり顔色がよくないわ。ご自愛なさい」

海未「はい.....申し訳ありません」

母 「謝ることじゃありませんよ...疲れているのにお稽古に誘ってしまったのはわたくしです」

母 「わたくしこそ申し訳なかったわ......今日はもうお稽古はやめにして、ゆっくり休んでください」

母 「ああそうだ、先日頂いた羊羹がまだありますから、あとで一緒に食べましょう?」

海未「あ....では、ここの片付けをしたら母屋に行きますので、その時に」

母 「わかりました。それではわたくしは先に母屋に戻って、お茶を用意していますね」スッ

母 「それに海未さんは今日は早めに休んだほうが良いでしょうから、お風呂も沸かしておきます」

海未「ありがとうございます」


タンタンタン ピシャ


海未「....」

海未「........」

海未「.............っ」ズル


ベシャ

海未「....はぁっ......はっ.........」ガクガク

海未(やはりまだ、本調子ではないようです......)

海未「.........ふーっ......」

海未(板張りの床が、ひやりとして気持ちいい...)ヒンヤリ

海未「ぅ...ん」コロン

海未「..........」

海未「.............」

海未「.................」

海未「......................っ!」ハッ

海未(いっ、いけません、こんなところで寝てしまっては)

海未(余計に心配されてしまいます!)ガバッ

海未「早く雑巾がけをして、母屋に行かなくては.....」スタッ

海未「――っ」クラッ

海未「ぅ......」フラ


『今後、海未さんのお役目に支障が出るようであれば』

『お父上とも相談しなければいけないかもしれません』

『部活動を続けたいのなら、今まで以上に精進することです』


海未「........」

海未「...........」ブンブン


ジャボッ ギュゥッ

トタタタタ

今日はここまでです
ありがとうございました

-生徒会室-


穂乃果「つ、疲れた~~!!」デローン

絵里「ふふ、お疲れ様。どう、だいたいわかったかしら?」

穂乃果「絵里ちゃん達からの引継ぎ内容はだいたいわかった...」

穂乃果「......と、思う.....けど」

絵里「けど?」

穂乃果「うぅ、まだあっちには一般生徒からの要望の束が」

穂乃果「そっちには部活の活動記録の山があるって、前に海未ちゃんが...」

絵里「ええ、そうね....それにそれだけじゃないわよ」

穂乃果「!?」

絵里「近々会計報告があるし、他にも定期的な全校集会や」

絵里「他校との交流会の打合せだって予定されてる」

絵里「生徒会は全校生徒の代表だから、やることはまだまだ目白押しよ?」

穂乃果「ぎょ、ぎょええええ......!」ガク

絵里「今度こそ生徒会の忙しさ、身をもってわかってくれたみたいね」フフ

穂乃果「うぅう.....こ、ことりちゃーん!!そっちはどおーー!?」


ことり「穂乃果ちゃん、おつかれさま」ニコ

希 「こっちはかなり順調に進んどるよ」

希 「この調子なら、すぐにでも生徒会長の右腕としてバリバリ働けるんやないかな」

穂乃果「おぉー、さすがことりちゃん!理事長の娘....!」

ことり「えへへ...でも、これを一人でさばくのはさすがに無理かも.....」

ことり「海未ちゃん、全部に目を通してるみたいだったけど」

ことり「それだけでも相当大変だったんじゃないかな...」

絵里「それはそうよ」

絵里「一人ではさばけないからこそ、役員を揃えて生徒会って形にしているんだもの」

絵里「皆で分担しなきゃとてもじゃないけど身体がもたないわ」

絵里「ましてや私達はμ'sの活動もあるわけだし...」

穂乃果「うん...」

穂乃果「......私、海未ちゃんに頼りすぎだったのかも...」

ことり「穂乃果ちゃん...」

穂乃果・ことり「.........」シュン


希 「............」

希 「でも逆に考えれば、やることがたくさんあるからこそ」

希 「穂乃果ちゃんたちがより多くの仕事を処理できるようになれば」

希 「そのぶん海未ちゃんはぐっと楽になるともいえる」


穂乃果・ことり「!!」


希 「生徒会に限った話やない。一人で無理なことならみんなで協力すればええんや」

希 「協力することの大切さ、ウチらならよくわかるやろ?」

穂乃果「希ちゃん....うん、そうだよね!」

穂乃果「よーし!なんかやる気でてきた!」

穂乃果「私やるよ!!いままで頑張ってくれた海未ちゃんのためにも!!」

ことり「うん!!私も頑張る!海未ちゃんのためにも!!」

穂乃果「ことりちゃん...」

ことり「穂乃果ちゃん...」


ガシッ


穂乃果「よぉ~し、じゃあ改めて...生徒会の仕事、がんばろー!!!」

ことり「おー!!」

穂乃果「よーし...じゃあ帰る前に、今日教わったことの復習をしておこう」メモメモ

ことり「なら私は、今生徒会に来ている懸案事項をリストにまとめておくね」シュバババ

ワイワイ バリバリ



絵里「さすが希...良いこと言ってくれるじゃない」

希 「まぁ、エリちが生徒会長だった時も大変やったからね」

絵里「あら、そ、そうだったかしら...?」

希 「そうやったやん、あの時とか....そうだ、あの時も...!」

希 「そういえばあんなことも.......ああ、あれはいつのことやったっけ、あの....」

絵里「あわわわ......や、やめて希!」フルフル

希 「...ふふ、まぁ冗談はおいといて」

希 「なんかウチらがやってた時を色々思い出しちゃうっていうか」

希 「とにかく力になってあげたくなるんや」

希 「カードもウチにそう告げてるしね」フフ


絵里「の、希...」

絵里(よかった、冗談だったのね...)ホッ

絵里「........ええ、そうね。私たちもできる限りのことをしましょう」

絵里「生徒会の方はあと何回か教えればどうにかなりそうだから、後はそれ以外ね」

希 「練習量をいきなり不自然に減らしたら、勘のいい海未ちゃんは気が付いてしまうやろね」

希 「自分が原因で練習を減らすなんて、海未ちゃんは絶対認めなさそうやし」

希 「難しいところやね」

絵里「......海未、今日はしっかり休んでくれてればいいのだけど...」



希 「あんな、練習に関しては実はちょっと作戦があるんや」

絵里「作戦?」

希 「えっと....ごにょごにょ」

絵里「....なるほど。.....それなら、こういうのはどうかしら」ゴニョゴニョ

ゴニョゴニョ


穂乃果(....絵里ちゃんたち、なに話してるんだろ)チラ

穂乃果(あっいけない。集中集中!)カキカキ

ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー

短いですが今日はここまでです
ありがとうございます

-翌朝 通学路-

穂乃果「ことりちゃ~ん」タタタ

ことり「あ、穂乃果ちゃん。おはよう!」

穂乃果「おはよう!海未ちゃんは?」

ことり「ううん、まだ来てないみたい」

穂乃果「......」キョロキョロ

穂乃果「...ねぇ、ことりちゃん、今日の放課後なんだけど...」

ことり「あ、うん。例の作戦だよね?」

穂乃果「希ちゃんの作戦...上手くいくかなぁ」

ことり「海未ちゃんが上手く乗ってくれればたぶん大丈夫...」

ことり「でも、うまく行っても穂乃果ちゃんは大変だね」エヘ

穂乃果「うぅ、そうなんだよね...」ガク

穂乃果「でも、海未ちゃんを休ませるにはこうでもしないといけないし」

穂乃果「それに、どうせそのうちやらなきゃいけないんだし!」

穂乃果「やるなら早いうちだもん!これくらいどうってことないよ!」

ことり「うん、その意気だよ穂乃果ちゃん!」

ことり「頑張ってね!」

穂乃果「えへへ...ありがとう!ことりちゃん!」


海未「ふふ、今日も朝から元気ですね」テクテク

穂乃果「あっ、海未ちゃん!おはよう!」

ことり「おはよう~!」

海未「おはようございます」ニコ

海未「二人とも、昨日はすみませんでした」ペコ

ことり「え?」

海未「私だけ練習を休んでしまって...これからは気をつけます」

海未「ことりたちは大丈夫ですか?」

ことり「うん、私達はぜんぜん......って、そうじゃなくて!」

海未「?」

穂乃果「私達のことなんていいんだよ!!」

穂乃果「それより海未ちゃん、昨日はちゃんと休んだの!?」

海未「え.....えぇ、しっかり休みましたよ」

海未(昨日は日舞、今朝は剣道の稽古がありましたが軽くですし......)

海未(μ'sの自主練習はしてませんし、昨夜の勉強も早めに切り上げましたから)

海未(嘘ではありませんよね...)

穂乃果「......ほんと?」

海未「はい、もう体調もばっちりです!」グッ

穂乃果「......」ジィッ

ことり「......」ジ-ッ

海未「.....?」ニコニコ

穂乃果「海未ちゃん...」

ことり「もしかして...」

海未「な、なんですか二人とも......!」

海未「ほら、そろそろ行かないと遅刻してしまいますよ?」タタッ

ことり「あ、ちょっと海未ちゃん......ってほんとだ、急がなきゃ!」

海未「ほら、穂乃果も。急ぎましょう」テテテ

穂乃果「.....うん」テテテ

海未(危なかった...また二人に心配させてしまうところでした)

海未(これ以上二人に)

海未(いえ、皆に心配をかけるわけにはいきません...)


穂乃果「........」


タタタタタ

-授業中-

海未「......」カリカリ

先生「微分とは簡単にいえば変化する量の割合を求めることを~~」

海未「......」カリカリ

先生「この曲線はy=f(x)を表しています。x=aにおける微分は、曲線上の点Pでの接線を~~」

海未「......」カリカリ

海未「......」カリ...

海未「.........」

海未「............」

海未「............っ!」ハッ

海未(いけません、今ちょっと寝そうでした...)

海未(...なんだか、疲れがあまり取れていないような...)

海未(あぁ、何を言っているのです。そのような弱音を吐いては!)ブンブン

先生「導関数が分かればxが任意の値での微分係数が分かります」

先生「例えばf(x)=xの二乗について言えば~~」

海未(あっ、黒板が消されてしまいます!急いで書き写さなければ)

海未「.....」カリカリカリ...


穂乃果「......」チラ

ことり「......」チラ

穂乃果(海未ちゃん、やっぱり....)

ことり(うん...)


先生「ではこの問題を....高坂さん、解いてみてください」

穂乃果「.......」チラチラ

先生「......高坂さん!」

穂乃果「ぶぇ!?は、はい!!」ガタン

先生「聞いていましたか?この問題を解いてください」

穂乃果「えぇっと.....えーっと....」

穂乃果「あ、あはは......わかりません....」

先生「まったく....ではこの問題は...南さん、わかりますか?」

ことり「はい、そこは~~」



海未(まったく、穂乃果ったら...)

穂乃果(まったく、海未ちゃんったら...)

ことり(まったく、二人とも...)

-放課後 屋上-


海未「皆さん、昨日はすみませんでした」ペコ

海未「私のせいで練習を中断してしまって......」

真姫「なに言ってるのよ」

凛 「そんなの、謝ることじゃないにゃー」

花陽「うん、そうだよ!身体はもう大丈夫なの?」

海未「え、えぇ。もう大丈夫です」

海未「情けないですが、体調管理ができていなかったようです」

にこ「まったくよ!いい?自己管理もアイドルの大切な仕事よ!」

にこ「これからは根をつめすぎないように気をつけることね!」

海未「はい...」

真姫「ふふ、にこちゃんにそんなこと言われるとショックでしょ」

にこ「!?」

真姫「まぁ、これに懲りたらもう無茶しないことね」

海未「真姫...ありがとうございます」ニコ

真姫「べ、別に私は...」アタフタ

凛 「あ~、真姫ちゃん照れてるにゃー!」

真姫「て、照れてなんてないわよ!」

海未「ふふふ....」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「さて、ではそろそろ練習を始めましょうか」

絵里「あ、海未、それなんだけど」

海未「?」

海未「なんですか?絵里」

絵里「――希」

希 「おっけー。実はね、今日の練習についてウチから一つ提案があるんよ」

花陽「え、提案?」

凛 「なになにー?」

絵里「そっか、花陽たちにはまだ話してなかったわね」


海未「提案とは...どういった内容なのですか?」


希 「うん、えっとな.....」

希 「もうすぐまた、学校のテストがあるやん?」

海未「テストですか?」

海未「それは確かにありますが...希、次のテストはまだ先では...?」

希 「甘い!甘いで海未ちゃん!」

海未「!」

希 「前回のテストの時の惨劇を忘れたん!?」

希 「最終的に海未ちゃんは穂乃果ちゃんの家に泊まりこみとかしてたやん!」

海未「あぁ...確かに」

希 「あの時はどうにかなったけど、今回も大丈夫な保障はないやろ?」

花陽「確かに...。それに、μ'sもだいぶ有名になってきたし、もしメンバーが赤点なんてとったら...」

絵里「ええ。さらし者になるも同然よ...!」

希 「μ'sがそんなグループだと思われるの、うち嫌やし...」

真姫「そうね。私も不本意だわ」

海未「ええ...そのような集団だと思われるのは、さすがに望ましくありません」


希 「でしょ?だからこれからしばらくの間」


希 「μ'sの活動の一部に、勉強会を組込んだらええと思うんや!!」


凛 「!?」


にこ「!?」


穂乃果「.......」

海未「.....ふむ」

真姫(なるほど.....そういうことか)ティン

真姫(考えたわね、希)

希 (ふふふ...)

希 (ただ”今日は練習お休み!”と言っても)

希 (根が真面目な海未ちゃんは、絶対に反対する...)

ことり(そう...それなら)

ことり(勉強のため、というちゃんとした目的を作ってしまえば)

絵里(海未は承服せざるを得ない.....)

絵里(更に、穂乃果の勉強を見る必要があるから他の部活に行くことも防げる)

絵里(ハラショー!カンペキな作戦よ!さすが希!)



希 (あとは、エリちたちには言ってないけど)

希 (勉強中にウチや凛ちゃんが暴れまわってただのお茶会に変えてしまえば)

希 (癒し空間の完成や!)ウフフフ

希 「海未ちゃんさえ良ければ、さっそく今日から始めようと思うんやけど」

希 「どうかな...?」

海未「そうですね.....素晴しい案だと思います」

海未「確かに、穂乃果や凛の勉強をテスト前だけ見るのでは、本人達にも良くありませんし」

海未「三年生は受験も控えています」

海未「こうして強制的に勉強する時間を設けるのは賛成です」

希 「.....!」

絵里(よし!)

希 (作戦成功や!)

希 「じゃあ、海未ちゃんには二年生の...」


海未「ですが.......すみません」


希 「え?」


海未「そういうことでしたら、今日は...私はこのまま失礼しようと思います」

穂乃果「......!!!」

ことり「えぇっ!?」

絵里「なんですって!?」

希 「う、ウソやろ!?」

海未「な、なんですかその驚き方は......」


絵里「...海未には、穂乃果の勉強を見てあげて欲しかったのだけれど」

絵里「なにか用事でもあった...?」

真姫「でも......練習はしようとしてたのに、勉強会をやると決まったとたん帰るなんて」

真姫「もしかして、勉強したくない訳でもあるわけ?」


海未「い、いえ!違います!」ワタワタ

海未「勉強が嫌というわけでも....勉強会が嫌なわけでもないのですが」

ことり「じゃあどうして.....」

海未「その...実は最近、弓道部の方が疎かになっているので」

海未「そちらの方に顔を出そうかと」

凛 「えぇー、海未ちゃんも一緒に勉強しようよー!」

海未「もうすぐ弓道の地区大会もありますので...」

海未「もともと、今日は練習の途中で抜けるつもりだったのです」


海未「ですが練習がないのでしたら、このまま弓道部に行かせて頂こうかと」

絵里「そ、そんな....!!」

希 (ウチの作戦が失敗するなんて...!)

真姫(ど、どうするのよこれ...このままだとまた....)

海未「すみません、そういうわけですので今日の勉強会は...ことり」

海未「穂乃果の勉強を見てあげてもらっていいですか?」

ことり「う、うん.....でも.....」

海未「今日の数学でも困ってましたからね」

海未「そのあたりの復習をやっても良いかもしれません」ニコ

穂乃果「.............」

海未「穂乃果、テストまでは少し時間がありますが、いい機会です」

海未「直前に慌てない様、今のうちからコツコツとやっていきましょう。いいですね?」

穂乃果「...........」

海未「...穂乃果?聞いているのですか?」


穂乃果「..........だよ」

海未 「え、何ですか?」



穂乃果「そんなの...」

穂乃果「そんなのダメだよ!!」バン!


海未「きゃっ!」


絵里「穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「海未ちゃんは自分を追い詰めすぎだよ!」

海未「ほ、穂乃果!?突然どうしたのですか?」


穂乃果「......ちょっと来て!!」ガシッ

海未「ちょっ、ちょっと、引っ張らないでくださいっ!穂乃果!!」


ガラツ 
タタタタタタ....


花陽「穂乃果ちゃん、どうしたんだろう」

凛 「突然海未ちゃんを連れて出てっちゃったにゃー」


真姫「あっちは...保健室?」

-保健室-

ガラッ

穂乃果「......」タタタ

海未「ぜぇ....はぁっ」タタタ

海未「ちょっと、穂乃果...いい加減はなしてくだ、さい....っ!」パシッ

穂乃果「.....!」

海未「はぁっ、はぁ.....ここは...保健室?どうしてこんなところに...」

穂乃果「.......海未ちゃん」クル



穂乃果「昨日しっかり休んだって...本当?」


海未「っ!」ドキ

海未「な、何を突然...休んだといったではないですか...」

穂乃果「じゃあ、何で海未ちゃんはそんなに元気がないの?」

海未「...!」

穂乃果「...今日の数学の授業中、眠っちゃいそうになってたし」

海未「なっ、み、見ていたのですか...!」カァ

穂乃果「それに今、私と少し走っただけで息が上がってるし」

穂乃果「いつもの海未ちゃんらしくないよ!」

海未「......」

穂乃果「........」

穂乃果「ねえ海未ちゃん、本当は」

穂乃果「元気なフリをしてるだけなんじゃない?」

海未「.......っ!」

海未「そ、そんな...こと...」


穂乃果「.........」ジッ


海未「.....っ」

穂乃果「......」

海未「......」


海未「はぁ......まったく、穂乃果にはかないませんね」

穂乃果「海未ちゃん...?」



海未「.....穂乃果の言うとおりです」

海未「昨日あの後、実は....」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「...という訳です」

穂乃果「そうだったんだ...」

海未「はい。できれば内緒にしておきたかったのですが...」

海未「とにかく、私は家族の期待に応えるためにも、休む訳にはいかないんです」

穂乃果「.......」

海未「.......」

海未「では、私は弓道の練習に...穂乃果も部室に戻ってください」


穂乃果「.......」

穂乃果「...ヤダ」

海未「穂乃果?」


穂乃果「やっぱりダメだよ!海未ちゃんを練習になんて行かせない!」ギュッ

海未「な、何言ってるんですか..!?」

海未「私の話を聞いていなかったのですか!?」

海未「私は練習に行かなくてはいけないのです!」バタバタ


穂乃果「そんなの関係ない!!」ギュー


海未「!」

穂乃果「海未ちゃんが頑張らなきゃいけない理由はわかったけど......でも」

穂乃果「私は海未ちゃんの”お役目”のことより、海未ちゃん自身のことが心配なんだもん!!」

海未「...!」

穂乃果「海未ちゃんがもしお父さんやお母さんから何か言われたんなら、私が説得に行く!」

穂乃果「ううん、私だけじゃない、ことりちゃんや真姫ちゃん、絵里ちゃんだって...」

海未「......」


穂乃果「もう、これ以上......」

穂乃果「海未ちゃんが苦しんでる所なんて、私、見たくないよ...」ギュウッ


海未「穂乃果......」

穂乃果「これは私のわがまま」

穂乃果「海未ちゃんが元気になるためなら」

穂乃果「私、他のことなんてどうでもいい...!」

穂乃果「だから今日は、海未ちゃんを...どこにも行かせない...」ギュ


海未「..........」

穂乃果「......」グス

海未「.........」クス

海未「...まったく、穂乃果は本当にしょうがないですね」

穂乃果「海未ちゃん...?」

海未「わかりました。大切な幼馴染がここまで言ってくれているのです」

海未「今日はあなたとずっと一緒にいますよ、穂乃果」ニコ

穂乃果「海未ちゃん...!!」

海未「それじゃ部室に戻りましょうか」

穂乃果「うん!.....って」

穂乃果「違うよ海未ちゃん!何のために保健室に来たと思ってるの?」

海未「え?保健室に来た理由......ハッ」

海未「穂乃果、もしかしてどこか怪我をしたのですか?」

穂乃果「もー!そんなわけないでしょ!」

穂乃果「海未ちゃんがぜんぜん疲れ取れてなさそうだったから」

穂乃果「寝てもらおうともって連れてきたんだよ!」

海未「そ、そうだったのですか....」


穂乃果「というわけで海未ちゃん、寝よう?」

海未「ええっ、今からですか!?」

穂乃果「うん!海未ちゃんが眠るまで、横で見張っててあげるからね!」

海未「そ、それはそれでなんだか恥ずかしいような...」

穂乃果「いいからいいから~!ほら、ベッドに入って」

海未「わかりましたよ...」モゾモゾ

海未「まったく...私が弓道部に行かないとわかったとたん、いきなり元気になるんですから...」

穂乃果「えへへ...」

海未「ほら、ベッドに横になりましたよ。これで満足ですか?」モゾ

穂乃果「うん!じゃあ海未ちゃんが眠るまで、ここで見守っててあげるね」

海未「それはやはり恥ずかしいのでやめてください...」

穂乃果「先生もいないみたいだし、気にすることないって!」

海未「もう......部室で勉強したくないから、なんて理由ではないでしょうね?」

穂乃果「えぇっ、ち、ちがうよ~!海未ちゃんひどい...」

海未「ふふっ、冗談です」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「すぅ.........すぅ..........」

穂乃果(海未ちゃん、すぐに寝ちゃった...)

穂乃果(やっぱりすっごく疲れてたんだね...)ナデ

海未「...すぅ......ん.......」

穂乃果「海未ちゃん、ごめんね...」ボソ

穂乃果「私、今まで海未ちゃんに頼りすぎてた...」

穂乃果「私はこれからもずっと、海未ちゃんとスクールアイドルを続けたい」

穂乃果「...だから私、これからはもっとしっかりするから」

穂乃果「生徒会の仕事も、こっそり絵里ちゃんたちに教えてもらったし」

穂乃果「勉強だって、できるだけ自分の力で頑張るから.....」

穂乃果「だから......」

穂乃果「.......」


海未「.....ほのか」

穂乃果「あ......ごめん海未ちゃん、起こしちゃった?」

海未「大丈夫ですよ」

穂乃果「え?」

海未「その気持ちだけで、私は十分に嬉しいです」

穂乃果「き、聞いてたの!?」

海未「はい、それはもうばっちりと」

穂乃果「あ、あはは...」

穂乃果(なんか独り言を聞かれたみたいで恥ずかしい...)

海未「......」

海未「穂乃果たちとスクールアイドルをやっていること....それにお役目のことも、辛いと感じたことはありません」

海未「μ'sも、日舞や剣道も....生徒会だって」

海未「きっかけは違ったかもしれませんが、それでも、私が望んでやってきたことです」

海未「だから穂乃果は、穂乃果のままでいいのです...」

海未「そんな穂乃果が、みんな大好きなんですから...」

穂乃果「海未ちゃん...ありがとう」


海未「あぁ、ですがそうですね...」

海未「生徒会の仕事を穂乃果がしっかりやってくれれば、私も助かるかもしれません」

海未「目を通すだけでも、実はけっこう大変なのですよ?」

穂乃果「う...だ、大丈夫、ことりちゃんや絵里ちゃんにも協力してもらって、だいぶできるようなったから!」

海未「ふふ、そうですか?では、期待していますね」フフ

海未「話していたら.....また、眠くなってきました」ウト

海未「穂乃果.....もう少し...眠っても、よい...ですか...?」


穂乃果「あ...うん、まだ時間あるし、ゆっくり寝るといいよ」

海未「はい...そうさせて...もらいます...」

海未「.....おやすみなさい、穂乃果....」


穂乃果「おやすみなさい、海未ちゃん...」ナデ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「......ん」パチ

海未「......?」ムクリ

海未(...ここは.....保健室....ああ、そうでした)

海未(穂乃果に連れてこられてここで眠ったのでしたね)

海未「...んーっ」ノビ

海未(なんだか身体が軽い。皆のおかげで、今度こそ体調は回復したみたいです)

海未(そういえば穂乃果は...)キョロキョロ

海未「......おや」


穂乃果「.....ん...もう食べられないよぉ.....zzz」スヤスヤ


海未「ふふ...」ナデ

海未「ありがとうございます、穂乃果」

海未「おかげさまで元気になりました」

海未「もし私がまた疲れた時は、時々、一緒に寝てくださいね?」


穂乃果「.....ん....うみちゃぁん......zzz」スヤスヤ



-終わり-

時間がかかって済みませんでした。
ほのうみもうみえりもことうみも好きです。

ありがとうございました。

読み返してたら誤字がありました。
次なにか書くときははうみえりでいきたいです。

>>57
×母 「.......わたくしもお父上も、海未さんがお友達一緒に充実した部活動に臨んでいるのならと」
○母 「.......わたくしもお父上も、海未さんがお友達と一緒に充実した部活動に臨んでいるのならと」

>>58
×母「それでは、本日はここまで」
○母 「それでは、本日はここまで」

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