勇者「もしかして俺ってめちゃくちゃ弱い?」 (337)

戦士「さてと、とりあえず宿にに着いたな」

魔法使い「いやー、ここまで長かったですね」

僧侶「でも、いよいよ魔王の城が見えてきましたね」

盗賊「だな。俺達もかなりレベルアップしたんじゃねえか?」

勇者「………」

魔法使い「おや?勇者様、どうかいたしましたか?」

戦士「なんだ勇者、表情が暗いぞ?」

勇者「………俺さ、気がついたんだ」

僧侶「え?気がついた?」

盗賊「まさか、敵の真の目的に!?」

勇者「いや、そうじゃなくてさ………」

戦士「なんだよ、ハッキリ言え」

勇者「もしかして俺ってめちゃくちゃ弱い?」

戦士「………は?」

魔法使い「何をおっしゃるんですか!勇者様は王様が魔王を討伐すべく選んだ十人の勇者の一人!」

僧侶「それも勇者様以外の残りの九人の勇者は魔王城の全貌を拝むこと無く撃沈。名実ともに最強の勇者ですよ」

勇者「いや、それに関してだけどさ」

盗賊「なんだなんだ?自分は最強じゃ無いとか言い出すのか?」

勇者「うん、だってここまでの旅、俺ほとんど活躍してないじゃん」

戦士「何言ってやがる。お前無くしてここまで来れるはずがなかろう!」

勇者「それじゃあ一度整理してみようか」

盗賊「いいだろう。お前がそこまで言う理由、説明してもらおうか」

勇者「まずさ、俺って力無いじゃん?」

僧侶「そんなことありません!勇者様のパワーは凄いじゃないですか」

勇者「………せーんし」

戦士「な、なんだよ!?」

勇者「なんで今、目を背けた?」

戦士「い、いや!虫!虫が飛んでてな!」

勇者「お前、俺達の中で一番力あるよな?そんでもって、自分でそう思ってるよな?」

戦士「………そんなわけ」

盗賊「………なるほど。分かったかも知れない」

僧侶「え?分かった?」

魔法使い「盗賊さん、一体何が分かったのですか?」

盗賊「勇者、お前俺達に劣等感感じてんだろ?」

勇者「………ご名答」

盗賊「やっぱりな。なるほど、だから自分が弱いなんて言い出したのか」

魔法使い「………盗賊様、説明を」

盗賊「いや、お前も分かると思うけどさ、勇者のスペックって俺達の劣化版みたいなもんだろ?」

僧侶「盗賊さん!そんな酷い言い方しなくても!」

勇者「いいんだよ、当たってるから」

盗賊「それに僧侶、そんな発言出来る辺りお前も心辺りあんだろうな?」

僧侶「そ、そんな事があるわけありません!」

盗賊「どう見る?勇者」

勇者「アウト判定で」

盗賊「例えば、勇者も速さが俺に劣る。俺達の中じゃ確実にNo.2だろうけど、それでも俺には劣る」

勇者「まぁこの世界でもっとも悪名高い盗賊より速いなんて聞こえは悪いがな」

魔法使い「………まさか、先ほどの戦士様への質問は」

勇者「あぁ、確認したんだ」

盗賊「自分がNo.2だって、だろう?」

勇者「………あぁ」

魔法使い「それでも、私は勇者様に魔法を教えてもらい、魔法使いになれたんですよ!?」

盗賊「そんなアンタも今じゃ時期魔法使い達の長の最有力候補だろうよ。相手モンスターを焼き払う魔法なんて勇者は教えて無いだろ」

魔法使い「で、でも!私の魔法の礎になっているのは勇者様で」

勇者「その勇者様は今じゃお前に魔法を教わってるぜ?」

魔法使い「そ、それは………」

盗賊「認めろ。二つの魔法組み合わせてハイブリッド作り出せる時点でお前は魔法の天才なんだよ」

魔法使い「………勇者様、すみません」

勇者「謝るな。泣きたくなる」

盗賊「ま、それでも俺達は魔法はさっぱりだし、No.2は勇者だろ」

僧侶「………No.2」

盗賊「僧侶、お前に至っては完全にフォローのしようがない怪物級だからな」

僧侶「え?」

盗賊「回復魔法、回復薬の配合。その逆、相手の体力を削る魔法、体力を削る薬の配合。そして、そのハイブリッド、相手から削った体力で自分達が回復する魔法」

勇者「俺は愚か、多分この世界で出来る奴探すことすらできないかもしれないレベルの技術だからな、それ」

魔法使い「確かに、私も回復魔法だけは扱えません」

盗賊「お前マジ凄いな。しかもお前のそれに至っては独学だろうが。どうしてくれる」

僧侶「こ、これは勉強すれば誰にだって出来る技術の応用です!」

盗賊「だとしても応用力高すぎるだろうが」

勇者「僧侶に至ってはもう劣化感すら覚えないレベルですわ」

戦士「僧侶パネェ」

盗賊「マジパネェ」

僧侶「それやめてください」

勇者「とまぁ、こんな感じに私こと勇者は何をやってもNo.2なんであるわけでした」

戦士「それを受けてのさっきの発言なわけか」

勇者「撃沈した九人の勇者だって、お前達が仲間だったら多分今頃魔王城手前だよ。
炎の魔神を素手で殴り飛ばせる戦士。
水の魔神に炎の呪文浴びせて蒸発させる魔法使い。
風の魔神を速さで翻弄する盗賊。
雷の魔神の体力吸い取る僧侶。
何これお前もはや四天王だろ」

魔法使い「………」

僧侶「………」

盗賊「………」

戦士(よく分からないけど皆真面目な顔してるし合わせよう)

勇者「とにかく、俺ってお前達最強の化け物共のパーティに必要なのか。それが分からなくなったんだよ」

魔法使い「そんなの決まってるじゃないですか!!」

僧侶「そうですよ勇者さん!!」

戦士「確かによく考えたらいらないね勇者!!」

盗賊「魔法使い」

魔法使い「メラゾーマ」

ドゴォォォン!!

勇者「………ま、いいよ。明日には出発する。それまでは各自好きにしてくれ」

盗賊「勇者………」

勇者「もっとも、俺が言ったって今更リーダーっぽくはなれないか」

バタンッ

盗賊「………参ったな」

僧侶「ここで、ですか」

魔法使い「いつか来るとは思っていましたが、まさか、今日来るとは」

戦士「………どうするべきか」

戦士(どうすればメラゾーマ分回復してもらえるか………)

ーーーーー

勇者「………情けねぇな」

勇者「俺の問題で、あいつらに八つ当たりなんかしちまって」

勇者「………チクショウ」

遊び人「やぁやぁそこの辛気臭い顔したアナタ!!」

勇者「………俺か?」

遊び人「ハイハイ、そうそこのアナタですよ!どうかしたんですか!?」

勇者「………ほっといてくれ。関係無い話だ。聞いてもつまらないぜ」

遊び人「………ははーん、なんかあったな?勇者さん?」

勇者「………何で分かった?」

遊び人「忘れてるよね、そりゃ。俺、一応アンタに会ったことあるんだけど」

勇者「すまんな、思い出せない」

遊び人「少しは脳内検索してくれよな。俺、十人の勇者の一人だったんだけどさ」

勇者「………もしかして、お前あん時魔法使いにナンパした野郎か」

遊び人「せいかーい!魔法使いちゃん元気ー?」

勇者「元気だよ。なんなら会って行くか?」

遊び人「いいよ。今はアンタの方に興味がある」

勇者「………話聞くってか?」

遊び人「現遊び人が相談に乗ろう!」

勇者「天職だな」

ーーーーー

勇者「いい店だな」

遊び人「だろ?この後は宿に誘うのが定石だけどあいにく俺は男に興味は無い」

勇者「それは残念だわー」

遊び人「で、仲間がどうした?」

勇者「………急に来たな」

遊び人「元勇者ですから」

勇者「羨ましいこった」

遊び人「で、仲間がどうかしたか?」

勇者「………俺のパーティ知ってるだろ?」

遊び人「あぁ、ありゃ化け物の集いだ。その変のモンスターなら絶滅させかないレベルだ」

勇者「そんな化け物の中で私はみるみる自信をなくしたわけですよ」

遊び人「ほほう、そうかそうか」

勇者「最初の内はよかったよ。特に魔法使いと盗賊なんかは幼馴染だし、楽しい旅が出来るなんて思ってたさ」

遊び人「それがなんでこうなったよ」

勇者「まず最初は盗賊だった。最初の内の弱いモンスターはアイツが一撃で仕留めちまう。俺達はアイツが仕留めそこねた弱り切ったモンスターを倒すだけだった」

遊び人「マジかよ………なんだそりゃ」

勇者「まだ、まだよかったさ。それでも俺はまだギリギリ勇者の面目を保てた」

遊び人「まぁ、お前は残った奴を仕留めきけるからな」

勇者「次は戦士だった」

勇者「モンスターはどんどん強くなった。次第に盗賊も一撃じゃ仕留められなくなった。俺の追撃があっても仕留められなくなった」

遊び人「それを仕留めたのが戦士って展開か?」

勇者「………アイツは、攻撃が当たればほとんどのモンスターを倒しちまった。火を吐くドラゴンだろうが、鋼鉄のゴーレムだろうが」

遊び人「なんだそのデタラメなパワーは」

勇者「盗賊は誰よりも早くダメージを与えた。俺はそれに攻撃する。その後の仕留められなかったモンスターを戦士は一撃で仕留めた」

勇者「この時点で俺は大分自信を失ってたよ。でも、その自信はすぐに潰れた」

遊び人「………魔法使いか」

勇者「あぁ、アイツは凄かった」

勇者「モンスターが群れで現れたりするだろ?そういった奴らは俺達じゃどうしようもなかった」

勇者「でも、魔法使いは違った。アイツは魔法で広範囲に攻撃ができた」

遊び人「ちょっと待て、広範囲魔法って上級魔法だろうがよ?」

勇者「その上級魔法を、アイツは感覚で出来ちまうんだ」

勇者「俺達が剣を振るうように、アイツは魔法が使えた。しかも道中で訪れた魔法使い達の村で、アイツは才能を開花させた」

遊び人「噂に聞くハイブリッドって奴か」

勇者「あぁ、理論上は可能だけど……って代物を魔法使いはこなしちまった」

勇者「後はトントン拍子で進化し続けるだけ。魔法使いが一人で終わらせる戦闘なんかも増えた」

遊び人「でも、魔法は発動までに時間がかかるはずじゃ」

勇者「その時間短縮も理論上可能だったんだよ」

勇者「魔法の理論上可能。それなら魔法使いは出来る。そんな怪物に化けちまったんだよ」

遊び人「確か、魔法使いに魔法教えたのはお前だったよな?」

勇者「あぁ、もう俺の自信は完全に潰れた」

勇者「でもそれじゃ止まらない。追い打ちをかけるように最後の一人が才能を見せつけた」

遊び人「僧侶ちゃんだっけ?彼女が?」

勇者「モンスターは強くなる。俺達もギリギリの戦闘が増えた」

勇者「そのギリギリを、僧侶は取っ払った」

遊び人「………回復魔法、ね」

勇者「確かお前のパーティに僧侶はいなかったよな」

遊び人「あぁ、おかげで回復大変だったよ」

勇者「僧侶は俺達に回復魔法を使ってくれた。俺達はアイツのおかげで実質体力無尽蔵の俺達はなんの苦労もなくモンスターと戦えるようになった」

勇者「今までは、まだよかった。だって、俺はまだ競えた。勝ち目はなくても、競うことができたよ」

遊び人「競うことすら出来ない、か?」

勇者「………回復魔法は今の時代も研究が続く魔法だ。それこそ、選ばれた人間しか使えない」

勇者「選ばれなかった俺は、選ばれた人間に競うことすら許されない」

勇者「俺は、勇者として、完全に自信を失った」

遊び人「なるほどね………そりゃ自信も失うわな」

勇者「正直もう俺いなくていいかなと思うわ」

遊び人「なーに言ってんだ。お前は、回復魔法に選ばれはしなかった。それでも、勇者には選ばれてるんだぞ?」

勇者「………勇者、ねぇ」

遊び人「分かってんだろ?俺達勇者が、勇者が10人しか選ばれなかった理由」

勇者「………勇者の条件、か」

遊び人「………お前のはなんだよ?勇者の条件」

勇者「………お前ほどいいもんじゃない」

遊び人「思われてるほどいいもんじゃないぜ。それに今はもうほとんど使えないレベルに落ちてるからよ」

勇者「………通りで」

遊び人「だいたい劣化してたら話聞かなくてすんでるわ」

勇者「いやいや聞いてたのかい?」

遊び人「あぁ、女の子とのデートをドタキャンしてるからな」

勇者「最低だな」

遊び人「最低でこそ遊び人だ」

勇者「クズめ」

遊び人「褒め言葉でーす!!」

勇者「かける言葉が見つからないぜ」

遊び人「そんじゃまぁ、お前、仲間ん所連れてってくれよ」

勇者「………え?なんでよ」

遊び人「こちとらデートをドタキャンしてこっち来てんだぞ。お詫びの一つや二つしてくんなきゃ割に合わねえよ」

勇者「………本心は?」

遊び人「噂の化け物共見てみたーい!」

勇者「色んな意味で、な」

遊び人「どーよ?今ならただで見るぜ?」

勇者「そんじゃお願いしまーす」

遊び人「はーい、せれじゃあここの会計よろしくー!!」

勇者「死ね!!その右腕打ち砕いてくれよう!!」

遊び人「貴様俺の古傷に何をしようとしやがる!!」

ここまでがニセモノ当時前

ここからが続きです

ーーーーー

遊び人「おー、いい宿に泊まってますなー!」

勇者「薬草代いらないからな。金は余るんだよ」

遊び人「いいねー、僧侶ちゃんさまさまだなー」

勇者「その言い方やめろよ」

遊び人「さてさてー、噂の化け物達はー………おっとアレかにゃーん?」

勇者「え、見えんの?」

遊び人「俺はな、そんじゃ、見させてもらうぜ。お前の仲間」

勇者「今更ながら罪悪感が出てきた………」

遊び人「ふふ、どうかねー?」

戦士『………』ボソボソ

魔法使い『………』ボソボソ

僧侶『………』ボソボソ

盗賊『………』ボソボソ

遊び人「うーーーん、何か話してるのは見える」

勇者「内容は?」

遊び人「見ていいの?」

勇者「………いいよ。頼んだ」

遊び人「まかせろ」

戦士『………!?』

魔法使い『………!!』

僧侶『……………?』

盗賊『………!?』

遊び人「………マジかアイツら」

ガクッ

遊び人「うっ!!」

勇者「遊び人!?」

遊び人「………大丈夫、気分が悪くなっただけだ」

勇者「………何見た」

遊び人「………やっぱり、いいもんじゃ無いわ。これ」

勇者「………勇者の資格だろ?」

遊び人「遊び人としては重宝すっけど、それ以外じゃこれ、寿命削りもいい所だわ」

勇者「………相手の心が読める目、か」

遊び人「今じゃあ細い情報見れないけどな」

勇者「………で、何見た?」

遊び人「………反吐が出るような会議が行われてる所だったよ」

勇者「会議?」

遊び人「………聞きたいのかよ?」

勇者「聞かせろ」

遊び人「………お前のためを思ってだ。全部は言わないからな」

勇者「構わない」

遊び人「………アイツら、王に報告するだとさ」

勇者「………王?」

遊び人「………魔王」

勇者「………は?」


遊び人「アイツら、魔王の手下だ」

勇者「………は?」

遊び人「しかも、四天王。お前、凄いのひいちまったな」

勇者「………マジかよ」

遊び人「ただ、なんの報告かまではわかんねえ。何だかいい争ってやがる」

勇者「………何を」

遊び人「僧侶と魔法使い。それから盗賊。アイツら二重スパイだわ」

勇者「………本格的に俺ヘコむわ」

遊び人「そんで魔法使いは………うっわマジか」

勇者「………なんだよめんどくせーな」

遊び人「盗賊に惚れてる」

勇者「マジなんなんだよ。チクショウ、今日の冒険の書長くなるぞ」

遊び人「なんだお前のパーティマジで化け物達の集まりじゃねえかよ」

勇者「うーわ俺死ねる」

遊び人「むしろよく死んで無いな」

勇者「マジでそう思う」

遊び人「………お前、どうすんの?」

勇者「………どうすっかな」

遊び人「………勝てんのか?」

勇者「………一体一で毎回僧侶の回復付きなら」

遊び人「実質の敗北宣言だよな、それ」

勇者「………ハァ、仕方ないか」

遊び人「どうすんの?」

勇者「………帰る」

遊び人「は?」

勇者「いや、帰るよ」

遊び人「いやいやいやいや!!お前馬鹿か!?」

勇者「うん」

遊び人「うんじゃねえよ!死ぬ気くよ!?」

勇者「………ただでは死なないさ」

遊び人「………うわー。最悪、見ちゃった」

勇者「まぁ、そういうこった」

遊び人「お前………本当にバカだな」

勇者「そんじゃ頼んだわ」

遊び人「うわー、無いわー、うわー」

勇者「言ってろ」

遊び人「ハイハイまたな」

ーーーーー

勇者「………入りづらい」

勇者「………ハァ」

ガチャッ!!

戦士「バカ野郎!!お前達それでいいのかよ!!」

盗賊「俺は勝手にするさ」

戦士「ふざけんな!!」

勇者「うっせえな騒ぐんじゃねえよ!!」

戦士「ゆ、勇者!?」

今日はここまでです


前のスレから見てる方、ありがとうございます


ニセモノのホモルートの方が良かったと言われないよう頑張ります

続ききになるぅ

>>31

明日も投下する予定です

後、前のスレでニセモノを見破ってくれた方々

ニセモノに対して色々な事をしてくれた方々

自分に対して色んな意見をくれた方々

自分を支援してくれた方々


本当にありがとうございます

今回のスレでちゃんと終われるよう祈りながら、頑張って書いていきます

これからもよろしくお願いします

>>34
くぅ疲並にキモいけどがんばれ
話は面白いよ

期待してます

>>37

うん、我ながら思った

ありがとう!

>>38

期待に答えられるように頑張ります

全レス返す暇あるなら続きはよ

そうだなw続きはよ
つか待ってるよー

>>41 今頑張って書いてます!
>>42 IDがゲロ

盗賊「悪りぃな勇者。入りづらくてよ」

戦士「っ!!」

ダッ

魔法使い「………追わないんですか?」

盗賊「知らねぇよ好きにさせろ」

僧侶「そんな勝手な!!」

勇者「お前ら」

僧侶「………勇者さん、様子が」

盗賊「どうした?」

勇者「話しがある」

僧侶「………勇者?」

勇者「お前達の目的、聞かせろよ」

盗賊「………ハァ」

魔法使い「勇者様………何の冗談ですか?」

僧侶「そうですよ!私達は魔王討伐の為に!」

盗賊「お前を魔王城連れ込んで魔王に差し出そうとしてたよ」

僧侶「っ!?盗賊さん!?」

勇者「なるほどね」

盗賊「物分りがいいな」

勇者「どこぞの遊び人に聞いたからな」

魔法使い「………勇者、様?」

勇者「で、俺を魔王に差し出してどうしようとした?」

盗賊「………聞いたことあるだろ?モンスターと人間の戦争の話し」

勇者「あぁ、今も続いてるアレだろ」

盗賊「お前を人質にそれを止めようとした」

勇者「………なるほどね」

盗賊「人間側に唯一生き残った勇者を捕らえた事を伝え、戦争を止めようとした」

魔法使い「………しかし、自体は変わった」

僧侶「魔法使いさん………」

魔法使い「………僧侶様。もう隠せませんから」

盗賊「一度、試したんだよ。十人の内一人を、拉致して魔王城に連れてって、国王に」

勇者「いつの間に………」

盗賊「俺は盗賊だぜ?人に気付かれないように動くのが盗賊だ」

勇者「今自分カッコいい事言ったと思ったろ?」

盗賊「うん」

勇者「だっせえ」

盗賊「よし喧嘩だ」

魔法使い「魔王様は国王に伝えました。勇者を捕らえたと。返して欲しくば戦争を止めろと」

盗賊「それに対する国王の答えは、酷いもんだった」

勇者「まさか………」

盗賊「殺して構わない。勇者はまだいる、だとさ」

勇者「………最低、だな」

盗賊「魔王なんかよりよっぽど魔王だぜ。ありゃ」

魔法使い「そして私達は、魔王の命令に従い、九人の勇者を倒しました」

盗賊「安心しろ。命までは取ってねぇからよ」

勇者「………何で、俺だった?」

盗賊「は?」

勇者「なんで俺を最後の一人に選んだ!?」

魔法使い「………勇者様は、私達の幼馴染で、一番騙しやすいと思ったんです」

勇者「………魔法使い」

魔法使い「ハイ、すみません……」

勇者「嘘つくんじゃねえ」

魔法使い「……え?」

勇者「俺にそんな嘘が通じると思ってんのか?」

盗賊「選ばれた十人の勇者の一人に、だろ?」

勇者「………なんで勇者が十人しか選ばれなかったか、知ってるはずだぞ」

僧侶「………勇者の資格、ですか」

勇者「勇者は選ばれた人間にしかなれない。第一、そうじゃなけりゃ国王は勇者大量生産して数で魔王軍押し切ってるはずだ」

盗賊「僧侶、お前みたいに、才能に選ばれなくちゃ勇者にはなれないんだよ」

魔法使い「………勇者の、才能」

勇者「………盗賊、理由はなんだ?俺を最後の一人に選んだ理由は」

盗賊「………今日ほどお前の才能を恨めしく思う日は二度と来ないだろうよ」

勇者「俺も今日ほどお前達を恨めしく思う日は二度と来ないと思うよ」

盗賊「………お前の思う通りだよ、お前が弱いから。勇者の中で一番、お前がな」

勇者「ハッキリ言うじゃねえか」

盗賊「ハッキリ言わせてもらうぜ勇者さんよお!」

魔法使い「………勇者様」

僧侶「………二人を、信じましょう」

勇者「そんじゃ、俺はもしかしなくてもめちゃくちゃ弱いってわけか」

盗賊「センスはあったと思うぜ?なんせ俺達に食らいつくまではできたんだからよ」

勇者「お世辞をどうもありがとよ」

盗賊「めんどくせえ才能だよ」

勇者「そこについては同意してやるよ」

盗賊「で、お前はどうする気だ?俺達殺すか?」

勇者「誠に残念ですが俺にはお前達と戦える力は無い」

盗賊「だろうな」

勇者「せいぜい超頑張って、奇跡が起きれば僧侶を倒すぐらいしかできないさ」

僧侶「………勇者さん」

勇者「ただ目覚めが悪くなんのも嫌だ。大人しくお前達のされるがままになるさ」

勇者「だから、俺はお前達がどうするつもりなのかを聞きたい」

魔法使い「勇者様………」

今日はここまでです

保守してくれた方々ありがとうございす

明日は投下できたらします
遅くても金曜日には投下します

盗賊「………俺達は、魔王と国王、二人の王を殺して、この戦争を止める」

勇者「それで、その後はどうする気だ」

魔法使い「………私達は、新しい世界を作りあげます」

僧侶「モンスターと人間が、分け隔てなく、共存出来る世界を」

勇者「………できんのか?」

盗賊「すぐには無理だろうな。根本的な所の、人間とモンスターは敵同士って意識は消えないだろうさ」

勇者「だろうな」

盗賊「だから、俺達はその意識をなくしたい。モンスターの中にだって、人間と親交を深めたいと思ってる奴はいるからな」

勇者「いるのか?そんな奴が」

盗賊「いるさ。そいつらには魔王城で動いてもらってる」

勇者「自分達の王を殺す為にか?」

魔法使い「………国王を良く思わない人間がいるように、魔王を良く思わないモンスターもいるんです」

僧侶「前魔王は、強力なカリスマを持ち、人間とモンスター間の親交を深めようとし、戦争を起こさない為に考える方でした」

魔法使い「私達はその方に憧れ、ついて行きました。しかし………」

盗賊「ある日その方は殺された。自身の息子である、現魔王にな」

勇者「………酷い話しじゃねえか」

盗賊「もっと酷いのがいるぜ?その暗殺の真犯人ってのが?」

勇者「現魔王が殺したんじゃなかったのか?」

僧侶「前魔王は頭だけでなく、戦闘能力も優れていました。あの方が魔王だった間は、あの方のお考えもありましたが、前魔王を恐れた人間達は、戦争を起こしませんでした」

勇者「マジかよスゲーじゃねえかよ」

魔法使い「………しかし現魔王の息子はそれを良く思いませんでした」

勇者「は?何で?」

盗賊「考え方が違ったんだよ。皮肉な事に、真逆の思想を持つ息子だったんだよ」

魔法使い「………現魔王は、 前魔王と違い、戦争をしてモンスターの住処を広げようと考えていました」

僧侶「世界征服。それを目標に掲げるような方なんです」

勇者「随分と大きく出たな」

盗賊「戦争をしたくない強大な力を持つ父、戦争をしたい息子。明らかに差は歴然だ」

魔法使い「………そこで、現魔王はある方に協力を依頼し、前魔王を殺したのです」

勇者「そんな魔王を倒せるような奴がいるのか?」

盗賊「いるよ。ドラゴンだろうがゴーレムだろうが一撃で倒すような怪物が」

勇者「………そこかよ。チクショウが」

盗賊「そうだよ。さっき飛び出した戦士様だよ」

勇者「もうやだ。めちゃくちゃ過ぎんだろウチのパーティ。冒険の書ページ足りる気がしねえよ」

魔法使い「………戦士は私達と違い、純粋な魔王軍の者です」

僧侶「しかし盗賊さんと魔法使いさん、そして私、魔王軍、国王側の両スパイです」

盗賊「お前をどうするかの会議中、どうしても意見が合わなくてあの馬鹿は飛び出しちまった」

魔法使い「あの様子じゃ、今夜は帰って来ませんね」

勇者「………帰って来ないじゃすまないんじゃねえか?」

魔法使い「え?」

僧侶「………なるほど」

魔法使い「………あっ!」

盗賊「行っただろうね。魔王城」

勇者「これでお前達は牢獄ルート決定だな」

魔法使い「………盗賊様、どうしますか?」

盗賊「いや、手遅れだろ」

僧侶「い、今からでも国王側に戦士さんの事を伝えれば!」

勇者「それも無理だぜ?」

僧侶「何故ですか!?まさか勇者さん、私達を裏切るんですか」

勇者「どの口が言うんだか」

魔法使い「………勇者様?」

盗賊「………ッチ、やられた!」

勇者「ま、後は盗賊に聞け」

勇者「なぁ、遊び人!?」

『そうするべきだぜ、魔法使いちゃん?』

バンッ!!

遊び人「久しぶりだなぁ、魔法使いちゃん?元気してる?」

魔法使い「アナタ!あの時の!」

遊び人「あ、覚えてくれてたんだ。そいつは感激だ」

盗賊「………」チャキッ

遊び人「そのナイフはなんですか?盗賊さん?」

盗賊「!?」

遊び人「いけませんねぇ、盗みしてんのにその上人まで殺しちゃ余罪数え切れなくなりますよ?」

盗賊「………勇者ぁ!!」

勇者「なんだ?我が幼馴染。悪いが、俺達をはめたな!?みたいなお決まりの文句は聞けないからな?」

勇者「先にはめようとしたのは、どっちだっけ?」

盗賊「………チクショウが!!」

遊び人「それじゃ、アンタ達にはしばらく牢獄に入ってもらいますよ。最強の看守付きの、ね?」

僧侶「………勇者、さん」

勇者「………ごめんな」ボソッ

僧侶「っ!?勇者さん!!」

遊び人「ハイ、そこまででーす。それじゃあついて来てもらいますよ?あ、逃げ出そうとか、考えるだけ無駄ですからね?」

勇者「………行こうか、遊び人」

遊び人「おうよ、勇者さんよ」

今日はここまでです

保守してくれた方々ありがとうございます。

次は金曜日、土曜日のどっちかです

>>74の後半の展開のとこがよくわからないんだが・・・

>魔法使い「………勇者様?」

>盗賊「………ッチ、やられた!」

>勇者「ま、後は盗賊に聞け」

ここの部分、なぜ盗賊は急に「やられた!」って言ったんだ?
そのあとの勇者の「(全てを察知したようだから)後は盗賊に聞け」ってセリフはまあわかるんだが
アスペですまん

>>78

盗賊は誰か(遊び人)がいるって気がついたってことだったんだけど……

わかりづらいかったかもな…

おもしろいよ
記念

>>81

IDがR-89………

なるほど、そういうことか

>>80
ああなるほど、控えていた遊び人の存在に気付いたってわけか
地の文がないSSは難しいな・・・

護衛もいるだろう魔王ちゃんを一撃で倒しちゃうんなら
もう戦士引き入れた陣営の無条件勝利だろ
自由に旅なんかさせず抑止力として拘禁されるレベル

>>86

それは後々

ーーーーー

盗賊「つくづく性格悪いねぇ、勇者ってのはよ」

魔法使い「まさか、また元勇者に会うとは………」

看守「遠吠えするのは楽しいか?負け犬」

僧侶「………この人、確か国王の元側近の」

遊び人「彼女は俺達十人の中じゃ一番の期待度だったからねぇ。なんせ、未来が見える女勇者さんだったからね」

看守「やめてくれ、もう私は勇者では無い」

遊び人「謙遜しちゃってー、かーわいー」

勇者「………それじゃあ、任せたな」

看守「安心しろ。世界一の盗賊だって、私の前からは逃げられないさ」ジロッ

盗賊「姉ちゃん美人だねえ、目つき良かったら女王の指輪盗んで来て求愛してたぜ」

看守「ありえん未来だな」

盗賊「ついでに性格直してくれたら完璧」

看守「お前好みの女になるつもりは無い」

盗賊「チェッ、残念だね」

盗賊(これは……かなりマズイな……)

盗賊(戦士は今頃魔王城。大方俺達を裏切り者だって報告してる頃か)

盗賊(そのまま魔法城行ったって死ぬかもっつーのに、こんな状況で、死ぬ確率のが高い)

盗賊(これじゃあ……あそこには行けねえかもな……)

魔法使い「………盗賊様」

盗賊「………魔法使い。どうした?」

魔法使い「………私達、やはり死ぬのでしょうか?」

盗賊「………国王と魔王裏切った奴が生かされるなんて思ったか?」

魔法使い「………そうですよね」

看守「何話してるんだ?」

魔法使い「え!?いや、あの!」

盗賊「なんだよ姉ちゃん、こちとら手と足両方に錠がついてんだ。お喋りくらい許しちゃくれねえかな?」

看守「………言っておくが、その錠が外せるなどと思うなよ?」

看守「その錠は鍵穴が無い。一度つけたら外れる事は無い、貴様のような輩専用の特別製だ」

盗賊「そんな、特別扱いだなんて悪いですね」

看守「ありがたく思え」

魔法使い「………スミマセン、私のせいで」

盗賊「大丈夫だ。お前は悪くねぇ」

盗賊(チクショウ……打つ手は無しかよ……!!)

僧侶「………勇者さん」

ーーーーー

魔王「………なるほど。アイツらがね」

戦士「連れて来る事は出来ず、スミマセン」

魔王「いいさ、どうせ捕まえたって処分した。ゴミの処分は人間に任せよう」

戦士「しかし、奴らは仮にも四天王です。このままでは魔王軍の戦力は大幅に失われます」

魔王「たかだか四天王だ。そんな痛手じゃないさ」

戦士「………そうですか」

魔王「戦士、お前はしばらく休め。次に備えて、旅の疲れを癒してくれ」

戦士「………ハイ」

名前忘れてた

ーーーーー

戦士「………ハァ」ドサッ

トントン

戦士「………入れ」

ガチャッ

エルフ「久しぶり」

戦士「………エルフか」

エルフ「帰ったって聞いて来たの。迷惑だった?」

戦士「………いや、大丈夫だ」

エルフ「ふふ、横で寝ていい?」

戦士「構わない」

エルフ「そう。それじゃあ………」

ドサッ

戦士「………」

エルフ「聞いたわよ。四天王、アンタ以外裏切って人間に殺されるらしいわね」

戦士「らしいな」

エルフ「いいの?四天王三人も失って」

戦士「別に、魔王軍の痛手では無いらしい」

エルフ「奴らが国王についたら?」

戦士「国王も裏切ったんだ。生かされる理由が無い」

エルフ「………ねぇ、戦士。元気無いわね」

戦士「………一人、気がかりでな」

エルフ「勇者のこと?」

戦士「あぁ。腐っても勇者だ。あなどれはしない」

エルフ「そう」

戦士「………寝る」

エルフ「なら、私も」

戦士(………やつに、あの場所が見つからなければいいが)

戦士(あの時、俺は魔王を倒した)

戦士(でも、あの時は完全に魔王は油断していた)

戦士(俺が二人きりで話したいと言ったら、護衛も外して)

戦士(酒を取ろうとして、俺に背中を見せた魔王を………)

戦士(………)

戦士(………俺の、あの日の行動は、正解だったのか?)

戦士(………)

戦士(………今更、後悔してんのか?俺は)

戦士(………分からない。ただ、今は………)

エルフ「あっ……んぅ、せん…しぃ!!ああんっ!!」

戦士(目の前の快楽で、紛らわせようか………)

ーーーーー

勇者「ありがとうな、遊び人」

遊び人「いいってことよ。それより、お前は良かったのか?」

勇者「………何が」

遊び人「仲間達、捕まって良かったのか?」

勇者「………聞くか、お前が」

遊び人「一応な」

勇者「………よくない。幼馴染に死なれたって、それこそ目覚めが悪い」

遊び人「………お前の、あの時の作戦、まだ終わってないだろ?」

勇者「………ああ」

遊び人「仲間達を安全な牢獄に隔離し、お前が仲間達の意思を継ぐ」

遊び人「お前が、魔王と国王を倒す」

勇者「………予定より壮大な話しだったよ」

遊び人「つくづくクジ運ないね」

勇者「言ってろ」

遊び人「で、天下の魔王と国王様相手にするとして、勝算は?」

勇者「………ない。正直勝てる気どころか、同じ土俵に立てるかさえも分からない」

遊び人「だろうよ」

勇者「………だから、お前に聞きたいことがある」

遊び人「………」

勇者「アイツらの隠してる、あの場所とやらを、教えてくれ」

遊び人「………隠し事が分かる目、か」

勇者「嘘だって見抜ける優れものだよ」

遊び人「才能の相性なら俺達なかなか上の方だと思うぜ」

勇者「いいねぇ、パーティ組む?」

遊び人「残念だが断るよ」

勇者「それで、何なんだ、あの場所ってのは?」

遊び人「………あの店行こうぜ」

勇者「いいね。あそこのコーヒー最高だったからな」

今日はおしまいです

予定では半分行ったと思います

保守や支援ありがとうございます

次は土日のどっちかです

おつかれ   

>>104
>>105

ありがとう!

ーーーーー

マスター「いらっしゃいませ、遊び人様」

遊び人「マスター、奥使いたいんだけど使える?」

マスター「奥ですか。どのようなご用件で?」

遊び人「ちょっと個人的な話しをね」

マスター「分かりました。ではどうぞ」

遊び人「ありがと」

勇者「………奥?」

遊び人「ついて来な」

ガチャッ

勇者「………床下?」

遊び人「地下室だよ。来い」

ーーーーー

勇者「………これは、凄いな」

遊び人「あぁ、マスターが選んだ人間しか入れない。従業員ですら知らない奴もいるからな」

勇者「なんでお前選ばれたの?」

遊び人「すぐ分かるよ」

ガチャッ

マスター「遊び人様、ご注文はいつものものでよろしいですか?」

遊び人「あぁ、それとコーヒー」

マスター「かしこまりました」

遊び人「それからマスター、アンタも同席してほしい」

マスター「………なるほど、かしこまりました」

勇者「いいのか?大事な話だってのに」

遊び人「むしろいてもらいたいくらいさ。まぁ分かるはずだ」

勇者「分かるといいけどさ」

ガチャッ

遊び人「あれ?早くねぇか?」

マスター「いえ、どうせでしたら淹れたてをと思いまして」

遊び人「なるほど、目の前で淹れてくれんのか」

マスター「えぇ、豆も茶葉も一級品ですから、ご期待ください」

遊び人「そうだ、マスター。話はとりあえず色々あんだけど…」

マスター「分かってます。勇者様、少し失礼」

ミスった

勇者「いいのか?大事な話だってのに」

遊び人「むしろいてもらいたいくらいさ。まぁ分かるはずだ」

勇者「分かるといいけどさ」

ガチャッ

遊び人「あれ?早くねぇか?」

マスター「いえ、どうせでしたら淹れたてをと思いまして」

遊び人「なるほど、目の前で淹れてくれんのか」

マスター「えぇ、豆も茶葉も一級品ですから、ご期待ください」

遊び人「そうだ、マスター。話はとりあえず色々あんだけど…」

マスター「分かってます。勇者様、少し失礼」

そっ

勇者「え?何?なんで触られてんの?」

遊び人「じっとしてな。今に分かる」

マスター「……なるほど、ありがとうございました」

遊び人「分かった?」

マスター「えぇ、あの場所について知りたい、と」

勇者「!? アンタ、何で!?」

遊び人「マスターの才能だよ」

勇者「才能って………まさか」

マスター「えぇ、私、以前は勇者をしておりました。アナタ方より、さらに前に」

遊び人「そして、対象の歴史が見える才能を持つ元勇者。それが、このマスターだよ」

勇者「元、勇者………」

マスター「勇者様の探してらっしゃる場所なら、私も依然訪れた場所です。詳しくお話しさせていただきます」

勇者「依然、訪れた?」


遊び人「天空の泉」

マスター「古く存在し、言い伝えられて来た、伝説の場所でございます」

勇者「………天空の泉」

マスター「そこは、来た者の願いが叶うと言われています」

勇者「願いが叶う?」

遊び人「あぁ、なんでも叶うぜ。大金だろうがなんだろうがなんでも手に入るだろうよ」

勇者「………なんでお前は分かるんだよ」

遊び人「そりゃあ、だって、ねぇ」

マスター「遊び人様は依然、そこを訪れています」

勇者「………は?」

遊び人「結構前だったな。まだ俺が勇者だった頃だからな」

勇者「お前……何願ったんだよ」

遊び人「………勇者をやめたい」

勇者「………」

遊び人「俺は魔王討伐の旅の途中、魔物に破れ、大変な怪我を負った。もう旅はできないような怪我をな」

遊び人「体はボロボロ。もう俺は魔王討伐を諦めた」

マスター「………しかし、遊び人様は、ダメだったんです」

勇者「ダメ?」

遊び人「………勇者としての責任感かね?俺は、どうにかしてまた立ち上がろうとしちゃったんだよ」

マスター「選ばれた勇者としての本能は、遊び人様の体の都合を知らず、魔王討伐に向かってしまいました」

勇者「本能………」

マスター「遊び人様のソレは、平均よりはるかに強いものでした。私なんかよりも、よっぽど。恐らく、歴代勇者で、一番でした」

遊び人「そんな時、マスターに出会った。マスターは俺の事を読み取って、救いの手を差し伸べてくれた。俺はそれにすがった」

マスター「そして、遊び人様は勇者をやめ、今の職につきました」

遊び人「その時の後遺症か、体の根っこの問題なのかは知らんが、勇者をやめて遊び人になった今でも勇者の才能は残ったんだ」

勇者「………後悔してないのか?」

遊び人「してない。もしあのまま俺が勇者で居続けたら、今頃どうなってたか分からない。それに、今は天が与えてくれた職につけたしな」

勇者「………ホントに、天職だよ」

マスター「さらに、遊び人様はもう一つ願い事をしていますからね」

遊び人「あぁ、あっちか………」

勇者「もう一つ?」

遊び人「………関係無いよ。今は」

勇者「んだよ、気持ち悪りいな」

遊び人「俺の話はいいんだよ。さて、とにかく天空の泉に行けば、願いが叶うんだ」

マスター「行きますか?天空の泉に」

勇者「いや、行くっつっても、どうやってさ?」

マスター「私に任せてください」

勇者「マスター?」

遊び人「マスターも、その昔天空の泉に行って、願ったんだよ」

マスター「ハイ。私は、天空の泉に行き、そこで、考えたのです」

マスター「この泉は、守られるべきであると。人の願いを叶える、この泉を」

遊び人「魔王みたいなんが来たら世界は終わるからな」

マスター「だから、私は願ったのです」

マスター「私は、天空の泉の鍵になりたいと」

勇者「天空の泉の、鍵に………」

マスター「そして、私は天空の泉への生きる鍵になりました。天空の泉を守る、鍵に」

勇者「いや、そんな、マスターの身が危険じゃないですか!?」

マスター「ふふ、だから私は欲張ってもう一つ願いました」

遊び人「この人は、不老不死を願った。永遠に、泉を守る事を願ったんだ」

勇者「永遠に………」

マスター「いえいえ、ただの私のワガママです」

勇者「………マスター」

マスター「ハイ、勇者様?」

勇者(………俺は、弱い)

勇者(遊び人は、強い意志を持ちながら、勇者である事をやめた)

勇者(マスターは、永遠の意志を持って、天空の泉の鍵になることを望んだ)

勇者(………だから俺は)


勇者「マスター、俺を、天空の泉に連れて行ってください」

マスター「かしこまりました」

勇者(俺は、仲間の意志を引き継ぐんだ)

ーーーーー

魔法使い「すー……すー……」

僧侶「……すー……すー」

盗賊「………」

看守「………お前、寝ないのか?」

盗賊「アンタが寝るまではね」

看守「そうか。言っておくが、寝ていても私には予知夢が見えるぞ」

盗賊「まったく、厄介な看守だよ」

看守「一度貴様達に倒されたからな。貴様達相手なら一瞬だって隙は見せんぞ」

盗賊「手が使えたらもう一度倒してやったぜ」

看守「私を倒したって無駄だ。ここの外にも見張りがいる」

看守「第一、私がまた負けるなど、ありえない未来だ」

盗賊「好きなの?その未来って言葉」

看守「……私、そんなに使ってるか?」

盗賊「うん」

看守「………なんだか、恥ずかしいな」カァーッ

盗賊「あら可愛らしい赤面顏」

看守「うるさい!黙れ!」

盗賊「はいはーい」

盗賊(さてさて………どうしたもんかね)

盗賊(希望……ねぇな)

盗賊(死ぬのかね……俺達は)

魔法使い「………盗賊様」ボソッ

盗賊「……魔法使い、起きてたのか?」

魔法使い「ハイ………やはり、私達は……」

盗賊「………大丈夫だ。まだ、策はあるかもしれない」

魔法使い「………盗賊様、その嘘は、私でも分かりますよ」

盗賊「……マジか」

魔法使い「ハイ。そんな表情で言われましても、説得力は皆無ですよ」

盗賊「………そうか」

魔法使い「盗賊様、私達の今している錠、どうやら不思議な力が施されています」

盗賊「不思議な力?」

魔法使い「ハイ、先ほどからどうにか魔法を使えないか試しているのですが、どうやら魔力を無効化する力があるみたいで………」

盗賊「魔法無効化かよ………」

魔法使い「魔法の類かと思い、術式を割り出してみようとしたのですが、まったくで………」

盗賊「………魔法使い、がか?」

魔法使い「ハイ。これは魔法の類では無いのかもしれません……」

看守「それは、科学による代物だよ」

魔法使い「かがく?」

盗賊「んだそりゃ?」

看守「貴様達魔法使いや魔術師がやっていることを、人工的に行うんだ」

看守「魔法使いが魔法で炎を操るように、科学では人の技術で炎を操る」

看守「お前達魔法使い達に対抗すべく生まれた分野、それが科学だ」

盗賊「科学………ねぇ」

魔法使い「では、この錠の力は魔法ではなく、人の技術によるものなのですか!?」

看守「あぁ、恐れいったか?」

盗賊「しかも、話聞く限りじゃあ魔力を必要としないみたいだな」

看守「まぁな。しかしまぁ、体力は必要かな」

盗賊「………それは、人間達だけの技術なんだな?」

魔法使い「盗賊様?」

看守「? あぁ、今のところはな」

盗賊「絶対に魔王軍にその技術は奪われるな!!」

魔法使い「っ!?」ビクッ

看守「………ど、どうした?」

盗賊「その技術が魔王軍に渡れば、人間は、確実に戦争に破れる。下手すれば、人間は絶滅する」

看守「………何を恐れている?」

魔法使い「まさか………盗賊様」

盗賊「一人の男をだ」

ーーーーー

トントン

側近「戦士様、失礼致します!側近でございます!」

戦士「入っていいぞ」

ガチャ

側近「………またエルフ様、いらしてたんですね」

戦士「あぁ、いい女だよ。疲れるけど」

側近「本題ですが、魔王様がお呼びです」

戦士「分かった。すぐ行く」

側近「かしこまりました」

戦士「………側近」

側近「ハイ、どうしましたか?」

戦士「………俺が、人間側に寝返ったら、どうする?」

側近「例え話ですか?」

戦士「まぁな」

側近「………殺します。戦士様の力が、敵の力になるのは、恐ろしすぎます」

戦士「………そうか」

戦士「さて、それじゃあ行くか」

側近「ハイ、行きましょう」

ーーーーー

魔王「戦士、お前に頼みがある」

戦士「………頼み、ですか?」

魔王「………敬語はやめろ。疲れる」

戦士「………そうか。で、頼みってのは?」

魔王「お前、科学って知ってるか?」

戦士「………いや、知らない」

魔王「………まぁ、説明は省いて本題だ」

戦士「気になる省き方すんな。で、何だ?」

魔王「科学者とやらをここに連れて来い。生きた状態でな」

戦士「科学者?聞かない名だな」

魔王「ソイツを引き入れれば、俺達はより強くなる。ソイツは、この戦争のキーパーソンだ」

ーーーーー

盗賊「もし科学の力が魔王軍に渡れば、人間はこの戦争には絶対に勝てない」

看守「………安心しろ。今の人間側で、科学を完璧に理解している人間は一人しかいない」

盗賊「なら、ソイツを何をしてでも守るんだ」

看守「………残念だが、私はソイツがどこの誰だか分からない」

魔法使い「どういう事ですか?」

看守「………ソイツは、人間側でも限られた人間しか知らないらしい。それも、その知っている人間も、あまり知られていない」

盗賊「まるで、伝説か幻のようだな」

看守「そうだな。ただ一つだけ分かるのは、ソイツは昔、魔法使いだったと言う事だろうか」

魔法使い「………元、魔法使いですか」

ーーーーー

マスター「それでは、天空の泉に行くと言うのなら、勇者様には紹介しなければなりませんね」

勇者「紹介?」

マスター「私の勇者時代の仲間です。ソイツは優秀な魔法使いだったんですが、今は少し方向性を変えましてね」

『失礼だな。やり方を変えただけだ』

勇者「!? 今の声は、テレパシー!?」

マスター「いえいえ、今のは、ソイツの声です」

『仕方ない。今行くよ』

勇者「また!?」

マスター「私が勇者の頃はまだ声変わりもすんでいない若造でしたが、今では立派な大人ですよ」

『やめろ、まだ19歳だ。だいたい、まだ10年しか経っていないだろう』

マスター「10年も、だろう」

『まったく、これだから年寄りは』

マスター「まだ34歳だ。年寄りでは無い」

『俺からしたら充分年寄りだよ』

ガチャ

勇者「………女?」

遊び人「相変わらずの美人だねー、でもたまには日光浴びよーぜ?」

?「やだよ、日焼けしたくない」

遊び人「えー、俺とデートしようぜ?せっかくのナイスバディなんだし、海とかよー」

?「うっさい」

マスター「紹介しますよ。この世界一の技術を持つ元魔法使い」

科学者「科学者だ。よろしく」

勇者「………よろしく」

科学者「で、何?今度はコイツを泉に連れて行くの?」

マスター「あぁ、そうだ」

科学者「相変わらず、アンタの人選は訳が分からないね。こんな遊び人の次は、こんな冴えない勇者か」

勇者「冴えなくて悪かったな」

マスター「さて、それじゃあ準備を始めましょうか」

勇者「………準備?」

遊び人「気をつけろよ勇者。ちゃんと準備しないと、お前道中死ぬぞ」

勇者「………え?」

マスター「泉は、来たものを迎えます。少々荒っぽいやり方で」

遊び人「少々?何言ってんだよ。俺の時は飛竜に囲まれてその上、炎を纏った巨大なドラゴンだぞ?少々なんか生ぬるいわ」

勇者「飛竜?ドラゴン?は?」

科学者「出発はいつ?」

マスター「任せますよ」

科学者「そんじゃコイツがマシにぬったらね」

勇者「………え?え?え!?」

科学者「行くよ。ついて来な」

勇者「え?ちょっと待って?飛竜?ドラゴン?ねぇ、どういう事?ねぇ!?ねぇ!!」

科学者「後で説明するから」

勇者「今してくれよ!!」

遊び人「………行きましたね」

マスター「ですね」

遊び人「でもまぁ、あん時はホントにやばかったね」

マスター「あの歓迎は泉の意志ですからね。鍵の私には止める資格はありません」

遊び人「………勇者、早くしろよ」

マスター「………時は動いてますからね」

遊び人「………戦士か、盗賊か」

マスター「さて、せっかくですし、何か飲みますか?」

遊び人「あぁ、任せるよ」

マスター「しかし、面白い方ですね」

遊び人「だろう?」

マスター「生まれる世界が違えば、もっと面白かったかもですね」

遊び人「………多分、ね」

ーーーーー

勇者「………何この部屋?」

科学者「仮想体験室。言って分かるかは知らないけど」

勇者「分からん」

科学者「………お前、隠し事が分かるらしいな」

勇者「そんないいもんじゃないよ。遊び人みたいに何を考えてるかまでは分からない」

科学者「どう言う事?」

勇者「隠し事をしている事は分かる、でも、どんな隠し事をしてるかまでは分からないんだよ」

科学者「何それ?まったく分からないの?」

勇者「まったくじゃないよ。例えば、俺から金を盗んだ奴がいたとして、この目を使ったら、金、くらいしか見えない」

勇者「第一、普段は使ってないから効果は薄いまんまなんだよ」

科学者「何?使い続けたら強くなるよ?」

勇者「………さぁ?でも、普段から使わないと、薄くなるよ」

科学者「ふぅん、なるほどね」

勇者「つか、なんでそんな事聞いた?」

科学者「興味。そんだけ」

勇者「興味かよ」

科学者「知りたいことを知りたいと思う。興味があることを調べる。好奇心が働けば動く。私はそんな人間だよ」

勇者「………あっそ」

科学者「興味無いって顔だな」

勇者「………もう、ね」

科学者「何?もうって」

勇者「いや、子どもの頃はそうだったなーって」

科学者「何?俺がガキだって言いたいのか?」

勇者「まぁ、女が一人称俺ってのはガキっぽいかな」

科学者「うっせぇ、9歳で魔王討伐の旅に出てるせいで、女の子らしいことなんか一つもしてないんだよ」

勇者「もったいないな」

科学者「そうか?」

勇者「最強の剣を子どもが持つようなもんだよ」

科学者「あっそ」

科学者「とりあえず、アンタには今から仮想戦闘してもらうから」

勇者「仮想戦闘?」

科学者「そ。俺の作った機械でね。コレつけて」ポイッ

勇者「………何コレ?眼鏡?」

科学者「映像を移す眼鏡。とりあえずつけてみて」

勇者「あいよ」ガチャ

ドラゴン【ガァァアアアア!!】

勇者「!?」

科学者「ハイ落ち着くそれは眼鏡が移してる映像だから。でも、アンタはアレに干渉できるよ」

勇者「え?マジ?」

科学者「とりあえず攻撃してみ?」

勇者「お、おう」

勇者「おらぁ!」

ザクッ

ドラゴン【ガァァアアアア!!】

勇者「切れた!?」

科学者「そーゆー風にできてんの。魔法使いが幻覚見せるのと一緒」

勇者「すげーな、コレ」

科学者「それじゃ、今からみっちりコレで泉対策するからね」

勇者「分かった。そんじゃはじめようぜ」

科学者「ハイハイ、それじゃがんばってね」ポチ

飛竜【ピィィィィィ!!】
飛竜【ピィィィィィ!!】
飛竜【ピィィィィィ!!】

ドラゴン【ガァァアアアア!!】
ドラゴン【ガァァアアアア!!】

科学者「それじゃ手始めにこちらの五体から」

勇者「………手始め?」

科学者「手始め」

勇者「うっわ嘘ついてないヤバイ泣きそう」

ーーーーー

?「………どうしたの?」

?「何かが、来る気がするんだ」

?「………久しぶりだね」

?「うん。どんな人かな?」

?「………人かな?」

?「分からない」

?「………歓迎、しないとだね」

?「あぁ、そうだね。妖精」

妖精「………辿り着ける人だといいね、天使」

天使「大丈夫、あの人がいるならね」

ーーーーーーーーーー

看守「お前達、今日の分の食事だ。ホラ」

僧侶「………ありがとうございます」

魔法使い「………美味しいです」モグモグ

盗賊「………何故だ?」

看守「は?」

盗賊「何故俺達は生かされてる!?俺達は、殺されるんだろう!?」

看守「………どうした?怖くなったか?」

盗賊「………怖いだ?」

看守「確かに、生かされるのは怖いだろう。いつ殺されるか分からない、そんな中、生かされるのはな」

盗賊「………何が目的だ?何故俺達に食事を与える?あとなんでアーンされてんの?」

看守「お前達は手足が使えないからな。こうでもしなきゃ食えないだろう?」

盗賊「まずそこ答えるのか」

看守「………お前達が生かされてるのは、ある方の意志だ」

盗賊「悪趣味な野郎がいるんだな」

看守「………確かに、変わってる奴だよ」

魔法使い「………盗賊様、食事が冷めてしまいますよ?」

盗賊「………だな。頼む」アーン

看守「ちなみに言うが、貴様達に食事を与える登板は罰ゲーム扱いだ」

盗賊「だろうよ。こっちも罰ゲーム気分だよ」

盗賊(俺達を生かして得は無い)

盗賊(だとしたら、何故?)

盗賊(………俺達を生かして、得をする人物がいるのか?)

盗賊(………そういえば、俺達は今魔王軍に居場所を特定されているのだろうか)

盗賊(………されていれば、すでに何かがあるはずだ)

盗賊(………一体、何で?)

僧侶「………やはり、あの方は」

魔法使い「………あの方?」

僧侶「いえ、なんでもありません」

盗賊「ちなみにこの錠って取れるの?」

看守「一応な」

盗賊「言っていいの?」

看守「大丈夫だ。取れるのは私だけだ」

ーーーーー

戦士「………あれからもう一週間か」

戦士「………見つからないどころか、何も分からないか」

戦士「マズイな………何か、何か無いか」

戦士「………ここは、あの時の宿か」

戦士「奇妙なもんだな………」

「オイ、そこのアンタ」

戦士「ハイハ………い」

遊び人「どのツラさげて来た?」

戦士「………元勇者か」

遊び人「現遊び人だよ」

戦士「いや、実は勇者達とはぐれて、それで………」

遊び人「忘れてんのか?俺の才能」

戦士「………ハァ、ダメか」

遊び人「帰れっつったら帰るか?」

戦士「残念ながら」

遊び人「だよな」ジャキンッ

戦士「最近の遊び人は剣なんて持ち歩くのか」ジャキンッ

遊び人「………一応、言っておく」


遊び人「帰れ」

戦士「断る」

ジャキンッ!!

戦士「いきなり切りかかって来るか。物騒な野郎だよ」

遊び人「スミマセンねぇ、厄介で!!」

ブゥンッ!!

戦士「そんな大振り当たるかよ!!」サッ!

遊び人「違うね!狙いはここだよ!!」ヒュッ

戦士「っ!?ナイフ!?」

遊び人「いつから俺が剣一本しか使わないと思ってたんだ!?」

戦士「くっ!?」

ザクッ!!

遊び人「どーだい?少しは成長しただろう?」

戦士「………確かに。俺達に倒されたあの時よりはな」

戦士「だが」

遊び人「っ!!」ゾクッ!

戦士「まだまだ俺には届かねえんだよ!!」ビュンッ

遊び人「っぶねえ!!」サッ!

戦士「読心か………厄介な力だな」

遊び人「ケッ、やかましい」

遊び人(やっべえな………こりゃ勝てねぇだろうな………)

遊び人(………時間稼ぎで、精一杯だな)

戦士「まぁ、いいか。お前にも聞きたいことがある」

遊び人「答えられる範囲なら答えてやるよ」

戦士「科学者。この名に覚えはあるか?」

遊び人「無いね」

戦士「ならば、死んでもらう他無いな!!」

遊び人「そう簡単には死ねないんだよ!!」

遊び人(目的は科学者ちゃん………魔王軍は、科学の力が目的か!?)

遊び人(だとしたらマスターの下には行けない。俺一人でどうにかしないとだな………)

遊び人「元勇者が一人!!現遊び人、いくぜ!!」

遊び人(………勇者、早く!早く天空の泉に!!)

今日はここまでです

毎回毎回遅くてスミマセン

明日も書きます

早ければ明日に終わります
早ければ

なんか上がってたから見に来たら荒れていた………

とりあえず擁護してくれるのはありがたいけどちょっと批判目のコメントをホモ扱いすんのはちょっと違う気がする…

>>202
「つまらん」しか言わないのも批判なのか?

>>204

人によるだろうけど俺は意見の一つだと思ってる

自分が面白いものが必ずしも他の人にとっても面白いものじゃないから

その逆もしかりで

>>207
放置して>>1がやる気なくして続き読めなくなったら普通に困るから
まあこの現状を>>1がどう考えてるかはわからんが

>>213

とりあえず今は書くべきではないよなって思ってる

>>217
まあ作者のメンタリティとかあるだろうから書くタイミングは任せるよ
このまま淡々と書き続けるんでも新スレ立てるんでも
>>1のやりたいようにやってくれ

とりあえずいい雰囲気ではないよな

>>219

どうせ新スレ立てても書いてるもんは変わらないしおんなじだからこのスレでやる気でいる

正直つまらないって言う人はちゃんと読んでくれてる人だから邪険にしたくは無いんだよな…

読んでくれた人に嫌なら見るなとは言えないし

>>233
それはわかるんだけど、これだけ過疎のおーぷんで
完走してないスレでつまらんって言われちゃうと作者によっては
「じゃあやめます」っていなくなるから、ラストまで読みたい人は
それは危惧すると思うよ
俺はどうせ批判するにしても終わってからにして欲しい

>>237

まぁ確かに書いてる途中でつまらないって言われると結構応えるわな

意外と応援してくれる人がいてくれる事に驚いてる

とりあえず今日中に終わらせます
もしなんだったら今から書いていってもいいし

終わらせた後は後から考えます

夕方から約束あるし今から書きます

その前にシャワー浴びて来ます

後お昼食べてないや

ーーーーー

科学者「っ!?」

マスター「………どうした?」

科学者「………遊び人が、戦士とやらと戦闘に入った」

マスター「何故分かる?」

科学者「遊び人につけた小型の映像伝達機から映像が伝達される。向こうの狙いは俺だ」

マスター「それつけられてる事は、遊び人様は知ってるのか」

科学者「知らない。知ってたらもっとマシな行動するはずだ」

マスター「………魔王軍が科学に目をつけましたか」

科学者「………マスター、行こう。天空の泉に」

マスター「………勇者様は?」

科学者「一応、向こうで対応できるくらいにはなってるはずだ。早くしないと、戦士がここに来る」

マスター「………分かった。お前は勇者様に行くと伝えてくれ」

科学者「分かった。すぐ行く」ダッ

マスター「………事が、進み始めますね」

ーーーーー

バンッ!!

科学者「勇者!!少し早いが出発だ!!」

勇者「………出発?」

科学者「あぁ、予定外の出来事があった。急ぐぞ」

勇者「………分かった」

科学者「詳しくは道中説明する!行くぞ!!」

勇者「行くって、どうやって?」

科学者「いいからついて来い!!」

勇者「………分かった」

ダッ!!

タッタッタッ

勇者「で、どうやって行くんだ?」

科学者「俺の作った乗り物で行く。空を飛ぶ自信作だよ」

勇者「………天空の泉か」

科学者「あぁ、そこに行く為に作ったもんだ」

勇者「………マスターは?」

科学者「先に乗り込んでるんじゃねえか?」

勇者「違う。マスターはどうやって天空の泉に行ったんだ?」

科学者「………知らない」

勇者「え?」

科学者「アイツが言うには、光の階段を登ったらしいけど俺たちはそこにいなかったんだ」

勇者「光の階段、ねぇ」

科学者「ま、信じちゃいないけどな」

マスター「勇者様、科学者!早く!」

科学者「分かってるよ!」

勇者「………何これ?」

科学者「空飛ぶ馬車。馬いないから俺の作ったもん搭載して自力で飛ぶけど」

勇者「空飛ぶ馬なし馬車、ね」

科学者「ほら、行くぞ!」

勇者「ハイハイ」

マスター「準備は出来てますね?」

科学者「当たり前だ!」

勇者「………行きましょう!!」

科学者「そんじゃあ!飛ばすぞ!!」

ブオンッ!!

勇者「やっべえ!!マジで飛んでる!!」

科学者「このまま雲を突っ切る!!気をつけろよ!!」

グオオン!!

ーーーーー

遊び人「ハァ……ハァ……ちっ、くしょう………」

戦士「随分と頑張るな。死ぬぞ?」

遊び人「ケッ……俺はな……死ぬ時は美女に浮気して刺される時って決めてんだよ」

戦士「………くだらないな」

遊び人「……そのくだらない事に命賭けんのが遊び人さ」

戦士「だがまぁ上出来だろう。なんせ俺をここまで手こずらせたんだからな」

遊び人「………なぁ、一つ、教えてくれよ」

戦士「なんだ?」

遊び人「………なんで、アンタは勇者の仲間でいた頃、アソコまでアホになれたんだ?」

戦士「………」

遊び人「普通、人ってのはどんなに演技してても、演技してるって事は捨てきれない」

遊び人「だけどアンタは、ホントに心からアホになってた。でも、今のアンタと前のアンタはかけ離れ過ぎてる」

戦士「………アホ、か」

遊び人「何故、アンタはあそこまでアホになれた?」

戦士「………忘れていたんだろうな」

遊び人「……忘れる?」

戦士「………俺は、魔王軍の中でも重い罪を背負っている。なんなら、今起きている戦争の火種は俺だ」

遊び人「………前魔王殺したのはアンタか」

戦士「………そんな俺を、勇者は迎えてくれた」

戦士「楽しかった。背負っていた罪を、忘れられるほどにな」

遊び人「………楽しかった、か」

戦士「………何度も考えた事があった」

戦士「勇者も、魔王も無い。人とモンスターの垣根も無い。争いも無い。平和な世界があれば」

戦士「俺も、毎日あんな風に楽しめたかな、なんてな」

遊び人「………そうかい」

戦士「長くなったな。決着をつけようか」

遊び人「………だな」

グオオン!!

戦士「!? なんだ今の音は!?」

遊び人「………ハハ、やったぜ」

戦士「………何だアレは!?」

遊び人「………てめえらの行きたがってた場所に行く乗り物だよ」

戦士「………天空の泉にか!!」

遊び人「勇者はあそこに乗り込んでる。俺は、お前には負けたけど、勝負には勝ったんだよ………」

戦士「………最初から、時間稼ぎのつもりで」

遊び人「死ぬつもりだったよ」

戦士「………小賢しい」

遊び人「ありがとさん」

?「貴様、何をへたり込んでる」

戦士「………お前は」

遊び人「………ハハ、疲れてんだ。休ませてくれよ。看守ちゃん」

看守「………まだ、休むには早いぞ?」

遊び人「なんで?あとはもう見送るだけだろ?」

盗賊「そうは行かないみたいだぜ?」

戦士「と、盗賊!?」

魔法使い「私達もいますよ」

僧侶「お久しぶり、戦士さん」

遊び人「おいおい、どういう事だよ、こりゃ」

看守「言ったはずだ。休むには早いぞと」

盗賊「………たった今、動いたらしい」

遊び人「………うっわ、見えちゃった」

看守「………魔王が、天空の泉に向かっている」

戦士「魔王が!?何故だ!?」

看守「どこからかは知らんが、魔王に勇者達が天空の泉に向かっていると情報が漏れたらしい」

遊び人「………戦士、多分お前、付けられてるぜ」

戦士「なっ!?」

盗賊「バーカ、普通お前みたいのは警戒されるに決まってんだろ」

遊び人「一応だけど元勇者の仲間だ。いつ裏切られてもおかしくは無いからな」

戦士「………エルフに見破られていたか!!」

盗賊「うっわよりにもよってエルフかよ」

魔法使い「確か、エルフも魔力を持っていましたよね」

僧侶「魔王軍の数少ない魔力持ちですね」

戦士「最初から、魔王はここまで読んでいたのか!!」

遊び人「なにそれ怖っ」

看守「魔王は今ドラゴンに乗り天空の泉に向かっている。このままでは勇者達が危ない!!」

遊び人「マジかよ………最後の最後に!!」

盗賊「で、どうすんだよ」

看守「………国王から、下った命はこうだ」

看守「勇者の意向で確保された盗賊達、勇者の仲間達に協力を願い、勇者を護衛する」

盗賊「………勇者の、意向?」

看守「お前は、何故生かされてると尋ねたな。つまり、そう言う事だ」

魔法使い「つまり、勇者様は………」

遊び人「そ、アンタらを生かす為に安全な檻に入れてたのさ。言うなれば鳥を鳥かごに入れるようはもんだよ」

僧侶「………勇者様!!」

看守「本来なら勇者の許可を得て、お前達を出す予定だったのだが、予定が変わった」

盗賊「………勇者、アイツ」

看守「………協力して、くれるか?」

盗賊「………決まってんだろ」

魔法使い「協力、します!!」

僧侶「回復なら、任せてください!!」

戦士「乗りかかった船だ。やってやるよ」

遊び人「………いい仲間持ったな、勇者」

看守「………ありがとう。では、行くぞ!!」

「「「おう!!」」」

ーーーーー

勇者「………ハァ、ハァ、ハァ」

マスター「………今回は、厳しい道のりですね」

科学者「流石にここまでは想定してなかったわ」

ガァァァァァァァァァア!!

マスター「新手ですね!!」

勇者「チクショウ!そう簡単には行かないってか!!」

科学者「………待って、アレ何?」

勇者「は?アレ?」

科学者「ドラゴンの上!!何かいる!!」

マスター「………まさか!?」

グゥァァァァァァァァァァア!!

魔王「見つけた………見つけたぞ勇者達!!」

勇者「………ラスボスのお出ましって訳か」

マスター「コレは、厄介ですね」

科学者「くそ、この馬車ももうボロボロだってのに!!」

魔王「やれドラゴン!!勇者達に引導を渡してやれ!!」

ガァァァァァァァァァア!!

マスター「っ!? 攻撃体制!!」

科学者「マズイ!!よけないと!!」

ブォオンッ!!

ドゴオオオオオン!!

勇者「………何アレ。くらった飛竜が爆発したんだけど」

科学者「あんなのくらったらひとたまりもない!!」

マスター「………逃げ切りましょう」

科学者「………そうね。逃げる他無い」

マスター「泉に辿りつけば、私がどうにかします。だから、今は逃げましょう」

グオオン!!

魔王「………なるほど、逃げるんだ。でもいいのかな?」

ブォオンッ!!

魔王「そんなんじゃ隙だらけだぜ!!」

勇者「科学者!後ろ!」

科学者「分かってる!!」

グォンッ!!

グォンッ!!

魔王「意外とすばしっこいな………まぁいい。追うか」

グゥァァァァァァァァァァア!!

勇者「ヤバイ!!追って来た!!」

マスター「………すごいスピードですね」

科学者「………」

勇者「科学者!どうする!?」

科学者「………マスター、操縦、出来るよね?」

マスター「………あぁ、できる」

科学者「それじゃお願い」

バッ!!

勇者「!? 科学者!?」

マスター「勇者様!!スピード上げます!!」

勇者「科学者あああああ!!」

グオオン!!

科学者「………勇者、すごい声量だな。喉潰すぞ」

科学者「………久しぶりに魔法使ったけど、案外いけるんだな」

科学者「武器は………無いか。まぁ、魔法使えるし、久々に魔法で戦うのもありだな」

魔王「………娘、魔法使いか?」

科学者「元ですよ、元。今は科学を専攻してましてね」

魔王「なるほど、お前が科学者か」

科学者「おや、名前知られてるんだね」

魔王「あぁ、魔王軍に是非欲しい人材だったからな」

科学者「そりゃあ光栄ですわ」

魔王「どうだ?今からでも手を組むか?」

科学者「大変嬉しいお誘いですが、遠慮します」

魔王「一応理由は聞いておこうか」

科学者「一応、元魔王討伐の為に旅に出た勇者の仲間だし。それに」

魔王「それに?」

科学者「好きなんだ。あのおっさんの事」

科学者「10年間、ずっと一緒にいたんだ。あのおっさんは裏切れないんだよ。俺」

魔王「惜しいな。魔王軍に来れば側室にしてやったよ」

科学者「そんなにかよ」

魔王「あぁ、いい女だよ」

科学者「天下の魔王にそう言われると自信つくぜ」

魔王「しかし、それとこれは別だ」

科学者「そうだな。魔王様、始めようぜ」


魔王「死ね」

科学者「そっちがな」

ドゴオオオオオン!!

ーーーーー

ドゴオオオオオン!!

マスター「始まりましたね」

勇者「………科学者」

マスター「………科学者の意思を無駄にはできません。必ず泉に着きますよ」

勇者「………分かりました」

マスター「………」

勇者「………マスター、昔話をしていいか?」

マスター「………私に、ですか?」

勇者「………話したいだけだよ」

マスター「………いいですよ、付き合いましょう」

勇者「………俺さ、小さい頃から能力があったんだ」

マスター「そうですか」

勇者「あぁ、俺は、人の隠し事が見えたんだ。今よりも、ハッキリと」

勇者「そのせいで、普段から俺は人を信じられなかった」

マスター「隠し事が見えてしまうのですからね」

勇者「………俺は次第に力を使うことをやめた」

マスター「みたいですね」

勇者「使われない能力は次第に弱っていった。今では、ほとんど役に立たないんだ」

マスター「………」

勇者「俺はめちゃくちゃ弱いんだよ」

マスター「………今は、どうですか?」

勇者「………どうだろうな」

マスター「では、一つ質問です」

マスター「能力は、成長しますか?」

勇者「………どう思う?」

ピィィィィィィィィ!!

マスター「飛竜!!それもかなり大きい!!」

勇者「………マスターは操縦してください。俺が行きます」

マスター「………頼みます」

勇者「………行くぞ、俺!」

ピィィィィィィィィ!!

勇者「ハァァァァァ!!」

ーーーーー

遊び人「いやー、すごいね魔法使いちゃん。空まで飛べるなんて、それも俺達ごと」

看守「集中しろ!来るぞ!」

グゥァァァァァァァァァァア!!

遊び人「ドラゴンか………盗賊、そっち行くぞ!!」

盗賊「あいよ!!」

ビュンッ!!

盗賊「ハハ、ドラゴンも対したことないな!俺よりは遅い!!」

ズバッ!!

戦士「よし、とどめだ!!」

ザシュッ!!

遊び人「ヒュー!さっすが魔王軍四天王、鮮やかだねー」

盗賊「いーや、もう魔王軍四天王なんかじゃないさ」

戦士「今はもう俺達は勇者の仲間だ」

看守「次!来るぞ!!」

ピィィィィィィィィ!!
グゥァァァァァァァァァァアン!!
ガォォォォォォォォォン!!

遊び人「次々来るぞ!!気をつけろ!!」

盗賊「言われるまでもねぇ!!」

ーーーーー

遊び人「いやー、すごいね魔法使いちゃん。空まで飛べるなんて、それも俺達ごと」

看守「集中しろ!来るぞ!」

グゥァァァァァァァァァァア!!

遊び人「ドラゴンか………盗賊、そっち行くぞ!!」

盗賊「あいよ!!」

ビュンッ!!

盗賊「ハハ、ドラゴンも対したことないな!俺よりは遅い!!」

ズバッ!!

戦士「よし、とどめだ!!」

ザシュッ!!

遊び人「ヒュー!さっすが魔王軍四天王、鮮やかだねー」

盗賊「いーや、もう魔王軍四天王なんかじゃないさ」

戦士「今はもう俺達は勇者の仲間だ」

看守「次!来るぞ!!」

ピィィィィィィィィ!!
グゥァァァァァァァァァァアン!!
ガォォォォォォォォォン!!

遊び人「次々来るぞ!!気をつけろ!!」

盗賊「言われるまでもねぇ!!」

おっと連投してもうた

グァァァァァァァァァォァァン!!

ドゴオオオオオン!!

看守「何だ?あそこだけやけに激しいが?」

魔法使い「!? アレは!!」


科学者「ウォォォォォォ!!」

ビュンッ!!ビュンッ!!

魔王「甘い!甘いんだよ!!」

ドゴオオオオオン!!


盗賊「魔王!!」

遊び人「戦ってんのは……科学者ちゃんか」

看守「………魔王が優勢だな。あのドラゴン、かなり強力だな」

戦士「行くぞ!!魔法使い!!」

魔法使い「ハイ!突撃します!!」

ビュンッ!!

科学者「くっ………駄目、か」

魔王「ハッ!このドラゴンを倒そうだなんて、考えない方がいいぜ?もっとも」

グアンッ!

科学者「っ!!」

ビュンッ!!

魔王「コイツを倒さない限りは俺を倒せはしないけどな!!」


盗賊「へー、コイツ倒したらアンタ倒せるんだ」

戦士「それは是非試したいな」

看守「それじゃあ試してみるか」

遊び人「ほうほう、コイツ変な魔術かけられてんのか」

魔王「っ!?お前ら!?」

盗賊「通りすがりの裏切り者ですよ」

ズバッ!!
ザクッ!!
グサッ!!
ヒュッ!!

魔王「なっ!?」

グァァァァァァァァァォァァン!!

遊び人「だいぶ痛がってるみたいだぜ?」

科学者「………アンタ達……いつの間に?」

遊び人「風の噂を聞きつけてきましたよっと」

魔王「………なるほど、人間達が小賢しく手を組んだってわけか」

戦士「小賢しいのもあなどれないぜ?旦那」

魔王「ハッ、言ってくれるじゃねえか」

遊び人「そんじゃ、さっそく試してみますか」

盗賊「ドラゴン倒したら魔王倒せるか、さ」

看守「数の暴力、って言い訳は無しだぞ?魔王」

戦士「魔王らしく、全員まとめてかかって来いぐらい言ってみな!」

魔王「………だったら、お望み通りにしてやろう!!」


魔王「全員まとめかかって来い!!」

「「「上等!!」」」

ーーーーー

マスター「………見えましたよ、勇者様」

勇者「………アレが、天空の泉か」

マスター「天空に浮かぶ浮遊島。そこにある、泉。それが、天空の泉です」

勇者「………綺麗な島だな。遠くからでも分かる」

マスター「着きますよ、勇者様」

勇者「ハイ」

ガタンッ………

マスター「ここが、天空の泉です」

勇者「………薄い、オーロラみたいな膜があるんだな」

マスター「今、はらいますよ」スッ

サァァァ………

勇者「膜が、消えた………」

マスター「………来ましたよ!お二人共!!」

勇者「え?お二人?」

タッタッタッ

天使「お久しぶりです。マスターさん」

妖精「………久しぶり」

マスター「お久しぶりです、お二人共」

勇者「………マスター、誰?」

天使「初めまして。僕は天使」

妖精「………妖精」

勇者「え、あぁ、どうも………」

天使「それじゃあ行きましょう。マスター、見張り、よろしくお願いします」

妖精「………行こ」ギュッ

勇者「え、あぁ、はい………」

勇者(手、握られちゃった)

勇者「………えっと、アナタ方は何者?」

天使「僕達は、ここな守り神みたいなものです」

妖精「………管理人さん」

勇者「守り神?」

天使「えぇ、今でこそマスターさんがいますが、それまでは、私達が泉に迎える人物を選んでいました」

妖精「………悪い人が来るから」

天使「泉の力を正しく使える人々を見定め、誘う。それが僕達の役目です」

妖精「………簡単なお仕事」

勇者「………俺は、いいんだ」

天使「ハイ。勇者さんの願いは、存じてます、僕達はそれをよいと思った。だからいいんですよ」

妖精「………勇者の願い、素敵」

勇者「………どうも」

天使「さぁ、着きましたよ」

妖精「………着いた」

勇者「ここが………」

天使「ハイ、天空の泉です」

妖精「………綺麗だよ」

勇者「………俺の望みを、叶えてくれる」

天使「………勇者さん、一つ、ご忠告があります」

妖精「………ちゅーいじこー」

勇者「忠告?」

天使「ハイ、勇者さんのーーーーー」

ーーーーー

グァァァァァァァァァォァァン!!

盗賊「クソったれが………全然倒れねえじゃねえかよ!!」

僧侶「………やはり、このドラゴン、無尽蔵に体力を回復してます!」

戦士「なるほど………僧侶みたいな、回復魔法に選ばれたドラゴンって訳か」

遊び人「………見たとこ、このドラゴン洗脳されてんじゃねえかよ」

看守「………ヘドが出るくらいにゲスだな」

魔王「褒め言葉でしかないね。俺ぁ魔王だからよ」

魔法使い「どうします?このドラゴンにはダメージは与えられません………」

盗賊「………万事休すかもな」

遊び人「………なぁ、盗賊さんよ」

盗賊「あ?なんか思いついたか?」

遊び人「アンタさ、魔法使いちゃんが好きだろ?」

魔法使い「!?」

盗賊「………は?」

遊び人「そんで僧侶ちゃん。アンタは勇者か」

僧侶「ちょっ、ちょっと!?遊び人さん!!」

遊び人「戦士は………あ、特にいないのか」

戦士「………どうした?気でも狂ったか?」

遊び人「科学者ちゃんは聞くまでもないか」

科学者「おい!それはどういうつもりだ!!」

遊び人「そんで看守ちゃん」

看守「………なんだ?」

遊び人「俺はアンタが好きだ」

看守「………は?」

遊び人「なんとなく、言いたくなったんだよ。看守ちゃん、好きだ」

看守「馬鹿者!!今は戦闘中だぞ!!そんな時にお前は!!」

遊び人「終わりだよ」

盗賊「………は?」

遊び人「終わり。戦闘も、なんもかんもね」

魔王「ハッ!どうした!!死の恐怖から狂ったか!?元勇者よ!?」

遊び人「終わりだよ。アンタも、俺も、皆も」

科学者「………なるほど、そういうこと」

遊び人「………俺達の勝ちだよ、魔王。もう、お終いだよ」

盗賊「………なるほどね、ようやく分かったわ」

遊び人「盗賊にしては遅かったな」

魔王「………まさか!?」

遊び人「そ。戦闘はアンタの圧縮。でも、勝負は俺達の勝ちだ」

魔王「っ!! ドラゴン!!コイツらを焼き払え!!」

遊び人「遅いよ」


遊び人「それじゃ」




「次で会おうぜ」

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーー

ワー、ワー!

少女「まてー!!」

スライム「やーだよ!鬼ごっこしてるんだから!」

少年「スライム!あっちの木に登ろうぜ!!」

スライム「いや、僕登れないから」

少年「あ、そっか」

モンスター「ほら!鬼が来るぞ!」

少女「まてー!!」

キャハハハッ!!

少女「ただいまー!!」

「おかえりなさい」

少女「ねーママ、パパは何のお仕事してるの?」

「んー、パパはね、正義のヒーローなんだよ」

少女「へー!パパすごーい!」

「コラコラ、変な事教えんなよ」

少女「でも!パパはヒーローみたいにかっこいいよ!」

「お?そっか?ありがとな!」

「それじゃ早くお風呂入りなさい」

少女「うん!!」タッ

「………まったく、俺は正義のヒーローかよ」

「あら?でも正義の盗賊でしょ?盗賊さん」

盗賊「そりゃ、そうだけど……」

「いーじゃない、正義のヒーロー」

盗賊「それなら、お前だって正義の魔法使いじゃないねか。魔法使い」

魔法使い「やだ、それとこれは違うわよ」

盗賊「そうか?」

魔法使い「そうよ」

盗賊「………ホントの正義のヒーローっつうのは、アイツの事だよ」

魔法使い「………そうね」

ーーーーー

ガチャ

「いらっしゃいませ」

「や、久しぶり」

「こんばんは」

「お久しぶりですね。遊び人様」

遊び人「やめてくれよ。もう俺は結婚したんだからさ、マスター」

マスター「そうでしたね。スミマセン、看守様」

看守「いーのよ、別に。この人今でも遊び人だからね」

遊び人「ちょ、ちょっと!!」

ガチャ

マスター「いらっしゃいませ」

ドラキュラ「やぁマスター、久しぶり」

マスター「おや、久しぶりですね」

ドラキュラ「いやー、しばらく仕事が忙しくてさ。あ、赤ワインね」

マスター「なるほど、お疲れ様です」

遊び人「おっすドラキュラ、久しぶり!」

ドラキュラ「あ、遊び人さん。お久しぶりです」

遊び人「仕事って事は、戦士には会えたのか?」

ドラキュラ「えぇ。今では立派な王国騎士団の団長ですよ」

遊び人「そっか。アイツも、元気にしてんだな」

ドラキュラ「えぇ、そうみたいですよ」

「お待たせしました、赤ワインです」

遊び人「あれ?珍しく店出てんだね、科学者ちゃん」

科学者「そらー、だって、旦那様の店手伝うのは妻の役目だからな」

遊び人「そーかい」

看守「あ、科学者さん。こんにちは」

科学者「おっす。こないだはサンキューな」

看守「いえ、私は魔法使いさんから教えてもらっただけですから」

科学者「あ、そうだったんだ」

看守「えぇ、こないだもーーー」

遊び人「……変わったな」

マスター「………えぇ、そうですね」

遊び人「………あの野郎、今ごろどこほっつき歩いてんだか」

マスター「そうですね………戦士様も探しているみたいですが……」

遊び人「………勇者」

ーーーーー

ゴーン………ゴーン………

「…………」

トントン

「失礼します」

バタン

「………アナタは」

「今の音、ここからですか?」

「………えぇ、私が鳴らしています」

「へぇ、僧侶さんが」

僧侶「………ある日、突然消えた人が見つかるようにと、毎日、願いをこめています」

「毎日、ですか」

僧侶「えぇ、毎日です」

「………そうですか」

僧侶「ただ、明日からは鳴らさなくてよさそうです」

「………良かったですね」

僧侶「えぇ、毎日鳴らしたかいがありました」

「………そうですね」






勇者「ただいま」

僧侶「おかえりなさい」

「勇者さんの願いは、叶えらないんだ」

「………ざーんねーん」

「え?」

「勇者は、新しい世界を望むんだろう?」

「………にゅーわーるど」

「…あぁ、アイツらは戦争を止めようとした。人間とモンスターの争いを無くそうとした」

「その為に、自分達で新しい世界を作ろうとしたんだろうね」

「…………くりえいと」

「あぁ、アイツらの意思を、俺は引き継ぎたい」

「でも、新しい世界は作れないんだ。それは、神に刃向かうことになってしまう」

「………神様に」

「どういう事だ?」

「この世界を管理しているのは、神様なんだ。勝負の勝ち負け、生き物の生命、全て、神様の支配のままだ」

「………神様の言う通り」

「世界を作り直すのは、神にしかできない。人間は、神の領域に足を踏み入れることはできない」

「………神様のおふれ」

「………なるほどね、それはできないか」

「どうするんだい勇者?」

「………クエスチョンターイム」

「………分かった。こうしよう」

「決めたのかい?」

「………即決即断」


「俺を神にしてくれ」

「そして、世界を作り直す」

「なるほど、そう来たか」

「………びっくり」

「どうだ?我ながらナイスアイディアだと思ったけど」

「いいんじゃないかい?それ。背く神もいなくなるんだし」

「………ぶらぼー」

「だろ?」

「それで、勇者。君はどんな世界を作りたいんだ?」

「………ふーいずゆー」

「…勇者も魔王も無い世界」

「その心は?」

「………はうどぅーゆー?」

「勇者と魔王の対立関係を無くす。そうすれば、戦争はなくなるはずだ」

「なるほどね」

「………あったまいー」

「それで、平和な世界ができたあかつきには、神様の座を君達にでも譲って、俺の作った世界を暮らすよ」

「分かった。それじゃあ、願いを叶えよう」

「………次世代の神様、かもーん」

「………なぁ、一つ聞いていいか?」

「なんだい?」

「………がんばって答える」

「マスターはどうやって、ここに来たんだ?」

「それか」

「………話してへーき?」

「なあに。次の神に逆らうやつなんざいないさ」

「いると思うよ?例えばマスターとかさ」

「………マスター」

「へ?なんで?」

「あの人、今の神様だから」

「………マスターいずゴッド」

「………マジで?」

「あの人、自分でおいしい設定のキャラ作って、世界で暮らしながら神様やってるからね」

「………おしのび神様」

「マジかよ………あの人は」

「まぁ、下じゃめったに神の力使わないけどね」

「………勇者の才能があったから」

「なるほどね。マジで食えない人ってわけだ」

「さて、それじゃあ、もういいかい?」

「………あーゆーれでぃ?」

「あぁ、大丈夫だ」



「次の世界でまた会おう」

くぅ疲おしまい

テーマは「中二病全開の黒歴史」

勇者って実はいらないんじゃね?的な発想から

色々あったけどとりあえずおしまい


面白かった

一気に大量に来てたから今から追いかけるけど、乙でした

一気に更新したな

乙!!面白かった!!

とりあえず、今後は後一回だけオープンでSS書こうと思ってます

生徒会役員共SSを読んだ友人が「このキャラのルートは?」って言ってたんでそのキャラのルートをやりたいです

よろしければ、あと一度だけSSを書くことを許してください

乙乙乙

>>299前もここでss書いてた?

>>299
いくらでも書いていいと思うよ
変な奴は気にすんな

>>296
>>297
>>298

ありがとう

実は昨日の投下の後で終わりまで書き溜めてました

>>300

ありがとう!

そして>>300おめでとう


終盤のスピード感が良かった
(内容も投稿速度も)

>>301

生徒会役員共SSのスズ、ムツミ、カエデ、アリア、ウオミー二回(ルートとエンド)、シノ

男女SS一回

男だらけのSS一回

結構書いてたよ

>>302

ありがとう!

>>305

ありがとう!

書き溜め投下はサクサク出来るからいいね

>>306男「おかえり」女「だれ?」みたいなの書いてましたか?
あれ好きだったんですけど

シノだけ読めてないんだよな
誰かURL貼ってくんね?

>>308

うん、それ書いてたわ

まとめのコメントめちゃくちゃ批判だらけだったけどね

全部的確だからかなりありがたかったけどね

珍しいぐらい批判されてたssだったな

>>309


シノ「津田、二人で旅行に行かないか?」津田「え?」

ってスレタイだからググったらでたよ

>>311

批判も意見としてありがたく受け入れるよ

>>310また頑張ってください

SS書いた後はつい全レスしようとしてしまう

>>314

ありがとう!!

ただしばらくはオリジナルは手出せないかもだわ…

>>312
見つかったわ
ありがとう

いえいえー

>>310
それの人か!あれ好きだったわ

>>318

>>317安価つけ忘れてた

>>319

ありがとう!

アレは自分的には詰めが甘かったって感じだったわ

おつおつ

面白かったよ乙

>>323
>>324

ありがとう!

色々言われてますが一つ相談と言うか考えがまとまったんでとりあえず

これからはSS書くときはSS速報の方でやろうかと考えてます

ラストに一回オープンで投下したらもうオープンでSSはやめようと思います

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