男「女のうんこになりたい」天使「」(74)

 病室

天使「……えっと、疲れてるんでしょうか、私。酷い聞き間違いをしたようです」

天使「すみませんが確認させてもらいますね。--貴方は事故で死んでしまいました。ですが、これは神の決めた運命から外れたもの。貴方の死は我々の予定にはありません」

天使「運命の修正にギリギリ間に合ったのが救いですね、貴方は一瞬本当に死にましたがなんとか身体の蘇生には成功しました

男「それがベッドで寝ている俺というわけだな」チラッ

天使「はい。ですが死んだその一瞬で魂が外に出てしまったので……身体の方は植物状態となっています。世話をすれば成長しますが貴方の意志はありません」

天使「とはいえ、生きてはいます。これで貴方の死は修正され、運命は少々の誤差を自己修正しつつ進行していくわけです」

男「身体に戻ることは、」

天使「この形で修正された運命に我々が手を加えるのはちょっと……」

天使「ですが、こちらにも非はあります。このままだと可哀想なので、少しの間一度だけ、貴方をこの世に存在する誰にでも、何にでも成り代えてあげましょう!」

天使「さぁ決めて下さい!貴方は誰になりたいですか!?」

男「女のうんこになりたい」


天使「…………本気、ですか?」

男「本気だが」

天使「」

男「出来ないのか?」

天使「……出来ないことはないですけど、うんこってアレですよね。排泄物の名称ですよね」

男「それ以外にあるのか?」

天使「……今まで同じ事例はありましたが……こんな願い、前代未聞です……」

天使「せっかくの……最後のチャンスなんですよ?我々の慈悲なんですよ?一時とはいえ、貴方の理想の誰にでもなれて、何でも出来るんですよ?」

天使「……なのに、うんこ?それも、貴方と親しい女性のうんこだなんて……」

天使「貴方に特殊な性癖は無いはず。せめて理由を聞かせてもらえませんか?」


女「……男っ……やだよ、目を覚まして……男……」

男「…………、」
天使「貴方の身体に泣きすがる彼女の……排泄物、か……」

天使「彼女の側にいられる誰かになりたい、そう願うと思っていました……」

男「成り代わるのは一時だけ。俺が成り代わった誰かでも、ずっと側にいることは出来ない」

男「早く乗り越えてもらわないと困るんだ。死んだ俺を引きずっていてはアイツは幸せになれない」

天使「やけに達観してますね。死んだばかりだというのに」

男「達観?なわけないだろ。内心大慌てだ。こっちはな、長い幼なじみ期間からようやく脱して恋人の座を獲得したばかりなんだ」

男「それがこれだ。いきなり死んでショックに決まってる。……ずっと一緒だって、言ったばかりなんだ」

天使「なら尚更!一時だけでも、違う誰かの外見でも!もう一度貴方が目の前に現れてくれた方が彼女は!」


男「でもそれは俺ではない誰かだ」
男「一時でもその姿を借りれば、きっと女はその姿を引きずる」

天使「それでも会いたいと思うのが人間でしょう」

男「………アイツは強いよ。きっと、乗り越えてくれる」

男「でも、便秘なんだ」

天使「」

男「どうも最近それが酷くて、もう数日も排便してないらしい。便通に悩んだことの無い俺にはその辛さをわかってやれなかった」

男「うんこは身体から出すべき物だ。人が生きていく上で必ず生成され排出されていく物」

男「便秘は怖いぞ。体調に直接関わってくる。出したいのに出せない状況とは、この上なく辛い事ではないのだろうか」

男「だから俺は女のうんこになりたい。うんこに意志があればうんこ自ら排出されようと努力する事が出来る」

男「俺が女のうんこでいられる一時の間、俺は女の中で生成され排出される。体内にいる間は一緒にいてやれる、別れは寧ろ喜ばしいことだ」

男「俺は俺が女のうんこでいられる間に、女の便通を改善してやりたいんだ。出来ることなら、もう便秘にならないようにもしたい」

天使「」


男「……以上が理由だ」

天使「……………、」

男「俺を、女のうんこにしてくれ」

天使「……わかり、ました……。その願いのままに」

天使「貴方はこれから、彼女のうんこです」

男「ああ。よろしく頼む」フワッ


 パッ


女「!!」ピクッ


天使「……………」チラッ


女「……え、あれ……?」
女「……どうしてかな、今男が一緒にいる気がするよ……」


天使「……成功成功」

天使「………長く生きたつもりなんだけど……やっぱり人間は飽きないなぁ」クスッ


 女の家

女「…………、」カタン

女(二人で撮った写真……恋人記念、だなんて、今思えば恥ずかしいことしたなぁ)クスッ

女(昔から一緒だから、二人で撮った写真なんて、いっぱいあるのに)ポロッ

女「やだ、また泣けて……うっ」ピクッ

女(お腹が痛い……!)

女「こんな時でも、トイレって行きたくなるんだね……」クスクスッ

女(トイレに行こう。今回はちゃんと出せる気がする)タッタッタッ



 女の家のトイレ

 ガチャ スルリ ストン

女「………ふぅ、」

男(うんこ)「よしっ!!トイレについた!!いくぞっ!!」ウゴウゴ


女「……んんっ、……ううっ、」グッ

男(うんこ)「うおおおおおおおお!!!!!うねろ腸内いいいいいい!!」ウゴウゴウゴウゴ

女「--お腹、痛いっ……」グスッ
女「で、も……出そう、今回こそは、ちゃんと……」グッ

男(うんこ)「くっ……!!硬い!この体は硬すぎる!女の体内に居座るうんこがこうも硬質化していたとは!!!」ウゴウゴウゴウゴ

男(うんこ)「しかし、ここで俺が諦めるわけにはいかない!!肛門まで、肛門をくぐり便器に落ちるまで!俺はっ!!」ウゴウゴウゴウゴ

女「ううんっ……!!」グッ

男(うんこ)「絶対に諦めてやるものかあああああああ!!!」ウゴウゴウゴウゴウゴウゴ

女「……もう、すぐっ……!!んんっ!!」グッ

男(うんこ)「見えた!光だ!!いっけえええええ!!!」ウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴ

女「--あっ」

 ポチャン

女「……やっと、でた……」


男(うんこ)「まさか……こんな形で女のを見る形になるとは……」ジー

男(うんこ)「うんこに性欲がなくて良かった」ウンウン

女「……うう、お尻の穴がひりひりする」フキフキ

女「……すっきりしたけど……一緒にいる気がしてた男の気配が……身体から離れちゃったような…」スクッ

男(うんこ)「………女……」

女「…………ばーか、ばかばか私。男は死んでないんだよ?まだ生きてるんだから、前向きにならなきゃ」チラッ

女「……あははっ、我ながら凄いの出しちゃってる。早く流さなきゃね」クスッ

 グイッ ジャー

男(うんこ)「うおおおお!?」ジャーゴポポポ

女「さて、」
女「これからはちゃんと出せるようにならなきゃ、ね」


男(うんこ)「女のうんこになって一週間。わかったことがある」

男(うんこ)「俺の意識は、女の肛門から排出後十数秒はもつらしい。水に流されている頃にはほとんど無い」

男(うんこ)「そして、」

男「女!水を飲むんだ!!喉が乾いていなくてもこまめな水分摂取は必要だぞ!」

女「………、男が水飲めって言ってる気がする…」
女「………最近お通じ良いし……そうよね、また便秘にならないためにもこまめに水分をとらなきゃ」

男(うんこ)「俺の、うんこではない俺としての声なら、届くということ」

男(うんこ)「日々の食に食物繊維を取り入れるようにする事はすでに実施済みだ」

男(うんこ)「あとは、」

女「今日は……講義が終わったら、病院に行こう」

男(うんこ)「目覚めないとわかっているはずなのに、女が俺の病室に通い続けることを、どうにかしないと」

 病室。

女「……さて、パイプ椅子をセットっと」ガチャ ストン

女「……………、」

女「ものの見事に、見放されちゃったね。もう、目覚めることはないんだってさ」

女「信じたくないなぁ……ただ、寝てるだけに見えるのに、」グスッ

女「もう、男は、目覚めないんだって。それこそ奇跡でも起きない限り……」

女「奇跡なんて……そんなの起きてたら、男、一人なわけないもんね……」

女「おばさんやおじさん、高校生だった男一人残して死んじゃうなんてしないもんね」
女「おばさん達の分までちゃんと生きるって言ってたじゃない……」
女「なのに……酷いよ、こんな事になるなんて……」ポロッ

女「神様なんて……いないんだ……」

男(うんこ)「女………」ウゴウゴ

女「…………!」
女「………もう、何で今トイレ行きたくなっちゃうかな……」

男「あ、やべっ。でも我慢は駄目だぞ!」

女「なによ、我慢は駄目って男が言ってるの?寝てるくせにー」クスッ

女「はいはい、トイレ行って来まーす」


 病院のトイレ

 スルッ

女「よいしょ、」ストン

男(うんこ)「腸の動き、良くなってる気がする。うんこの出し方に慣れた感じだ」ウゴウゴ

女「んっ」グッ

男(うんこ)「するする移動できる。この状態を維持できれば最高の便通となるだろう」ウゴウゴスルスル

男(うんこ)「あれほど肛門までの道が遠かったのに、今じゃすぐだ」ウゴウゴスルスル

 スポンッ ポチャン

女「ふぅ……」カラカラカラ

男(うんこ)「俺の役目も、ほとんど達成されたようなものか」


女「…………」フキフキ

男(うんこ)「……俺が本当にいなくなってしまう前に、頼むよ」

男(うんこ)「すぐ忘れろなんて言わない。けど、お前ずっと泣きっぱなしじゃないか」

女「………」スクッ


男「せめて俺のために泣くのはやめてくれ」


女「!!?」ガチャ ジャー

男(うんこ)「まずい!つい喋っちまった!」ジャー ゴポポポ

女「え……、え?」

女「今……私のうんこから……」


女「男の、声が……した……?」


 病院。廊下

女(私……おかしくなっちゃったのかしら)ボー
女(初めて男の声を聞いたあの日から、いくら出したうんこを見ていても何も聞こえない)

女(けれど、便意が高まる前……そう、体内でうんこが生成されているであろう段階から、私の中で男の気配が生まれている気がする)

女(うんことして出せば、気配は離れる。いいえ、気配はうんこなの。私のうんこそのものなの)

女(男が何か言ってる気がするのも、私の中にうんこがある時だけ……な気もする)

女「これは、まずい」

男(うんこ)「確かにまずい」
男(うんこ)「女が俺の存在に気付こうとしている」

男(うんこ)「俺はうんこだ。うんこなんだ。便通を整えにきたうんこの俺が、女に何を言えと……」


女友人「…………」ジー

女友人「……女ちゃん!」タタタタッ

女「!!……友人ちゃん……」

女「どうしてこんな所に……、あっ!」
女友人「いいの、いいのっ!!私こそ……」

女友人「隣、良い?」

女「うん」

女友人「…………」ストン

女「……容態、訊いてもいい?」

女友人「一命は取り留めたよ。もう大丈夫だって……」
女友人「……ごめん……男くんはもう、」

女「気にしないで。……友人の幼なじみ君、大事に至らなくて、良かった」

女友人「………女ちゃん、」

女「ずっと落ち込んでるのは私らしくないし、そんな私、男も悲しむだろうから」

男(うんこ)「…………女……」


女友人「…………、」キッ
女友人「こんな時に言うのは駄目だと思う。けど、言わなかったらもっと駄目だと思うから、言うね」

女「……?」

女友人「茶髪の変な男の人が女ちゃんのことずっと見てる」

女「え…?」
男(うんこ)「なに!?」

女友人「怖がらせてごめん。でも、何かあってからじゃ遅いから」

女「そいつ、今どこに?」

女友人「左後ろ。今も見てると思う」

女「………」チラッ

女(本当だ。見知らぬ男の人が……こっちを見てる)

女「ありがとう。見られる覚えは無いけど気をつけるね」

女友人「何かあったら言ってね。私、絶対助けになるから……!」

女友人「うん。ありがとう友人」ニコッ

男(うんこ)「……一瞬だったが……あの顔、どこかで、見たことがあるような」

男(うんこ)「気のせいか……?」


 病院の女子トイレ

女(やっぱり、私のうんこは喋らなかった)ジャブジャブ

女(鏡に映る私……少し疲れてる顔してる。……おかしくなってる事って自分ではわからないものなのかな)キュ

女(今日は帰ろう。家につく頃には暗くなっちゃう……)

茶髪「…………」
女(鏡に……!!私の後ろに男の人がいる!?)ビクッ バッ

茶髪「…………こんにちは」ニコニコ

女「ここ、女子トイレなんですが」

茶髪「知ってます」ニコニコ
茶髪「女子トイレ、初めて入りました。貴女を追って、気付いたら」ニコニコ

女「…………」タタタッ
茶髪「逃げないで下さい。ちょっとお話したいだけですよ」ガシッ

女「!!!離して!!」ブンッ タタタタッ

茶髪「……あらら」

茶髪「逃げられちゃった」ニヤニヤ


 女の家

女(今日は一歩も家から出てないや……)
女(……昨日、あんなことがあったから)

女(…………私の考えすぎかもしれない。でも、怖い)

女(怖いよ、)

女「怖いよ、男……!!」

男(うんこ)「………………、」

男「何があった」

女「…………まずいとは思ってたけど、私ついにおかしくなったのかな」

女「お腹から、男の声が聞こえてきた」

男「……大丈夫。お前は正常だ。俺の死を乗り越えようとしてくれているじゃないか」

男「これは夢だということにしたらいい。聞かせてくれ、何があったんだ?」

女「ぷっ……変なの。お腹から男の声がする。……私、何時の間に寝ちゃったんだろうね。男の言うとおり、夢だからこんなに変なんだ」 クスクス

男「…………、」

女「怖かったけど、たいしたことじゃないよ。女子トイレで、知らない男の人に腕を掴まれただけ」


男「茶髪の男か?」

女「さすが私の夢。大当たり……通りすがりの変質者なら良いんだけど、」

女「病院で会っちゃったから、やっぱり怖くて。だから今日は男の所行けなかったよ。ごめんね」

男「……俺は目覚めないぞ。もう、目覚めない。死んだんだ。俺は!」

女「わかってるよ。お医者さん言ってたもん、奇跡が起きない限り目覚めることはない。それぐらい、低い、0に限りなく近い可能性だって!」

女「でも好きなんだから仕方ないでしょ!わかってるよ男が考えてることは!どうせ、早く、俺のこと忘れて、」

女「幸せになれ、とか思ってるんでしょ……?」グスッ ポロッ

男「………………」

女「馬鹿じゃないの?そんなにすぐ割り切れるわけないじゃん。私そんなに尻軽な女じゃないもん、知ってるでしょ?」ポロポロ

男「…………、うん。知ってる」


女「……馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。男の馬鹿。ずっと一緒だって言ったくせに。嘘つき。キスすらしてないよ私達、恋人らしいことなんて、抱き合ったり手繋いだぐらいじゃん」ポロポロ

男「しかもどちらも健全だったな。おまけに、昔から何度かやっていたことだし」

女「そうよ。大学生にもなって処女でおまけにキスもまだとか、誰のためにとっておいたと思ってるのよ……」

男「……ごめん、」

女「さっさと手を出しなさいよ。私恥ずかしい思いして何度誘ったと思ってるのよ無い色気をどうしたら出せるか夜な夜な勉強したのに……このへたれ……」

男「……アレ誘ってたのか。へたれでごめん、そういうことは結婚してからだと」

女「死んじゃったくせに結婚なんて言わないでよばかぁ」ポロポロ

女「うう……会いたい、会いたいよ男っ……!!男に……会いたい……」

男「…………一緒にいる。俺は今、女と一緒にいる」

女「……どこにいるっていうの……一緒なら、出てきてよ……お化けでもいいから……」


男「…………、」
男(うんこ)「言わないつもりだった」

男(うんこ)「何も言わず、消える気だった」

男(うんこ)「でも、もう我慢出来ない」

男「俺は、お前と一緒にいる」

女「……嘘つき」

男「嘘じゃない」

男「俺は、お前のうんこなんだ」

女「…………ん?」

男「俺は、今、お前の体内で、お前のうんことして存在している」

女「」


男「驚く……よな。……やっぱり引くか?俺、女が酷い便秘だって聞いたから、すぐにでも治してやりたくて」

女「……待って、ちょっとストップ。何で私のうんこ?いやその前に私のうんこになれるものなの?え?え?」

男「天使がさ、一時、きっと俺の魂が消えてしまうその一時だけ、何でも好きなものにしてやるっていうから」

男「俺は、女のうんこになった」

女「いやいや、うんこって、そこで私のうんこって……ふふっ、」

女「あはっ、あはははははっ!!なにそれ!信じられない!」

女「昔っから、真顔で予想の斜め上の言動してたけど、」

女「うんこって願う人なんていないよ!!せっかく何にでもなれるんなら、せめて人間になって好き勝手したら良かったのに!!」ケラケラ

男「……好き勝手って言うけどな、いきなり死んじゃったからこっちはもうお前のことしか考えられなくて」

女「それなら、適当な人間になって会いに来てよー」

男「だって……お前の前から二度消えることになるし……そいつは俺じゃないから、ずっとは側にいられないし……」シュン


女「ふふっ。いいよもう。男なりに考えてのことだもんね。真面目に考えて変な所に結論に行き着いちゃうのが男だもん」

女「一瞬私が知らないだけで、男にそんな性癖があると思っちゃった」クスクス

男「一応俺は、そんな性癖は無い完全なノーマルのつもりだ」

女「だよね。安心した。--でも私は、男がどんな性癖でも絶対付き合ったよ、だって好きだもん」

男「……女……」

女「あーあ!どおりで、男が死んでから凄くお通じが良いのよ」

男「そりゃ、お前と一緒に頑張ったからな」

女「……あ、駄目。そう考えたらちょっと恥ずかしいかも。え?何最近の私って何か食べる度に男生成して尚且つトイレで出してたってこと?」

男「ああ」

女「……うんこに視覚あるの?」

男「ある。女の体内にいる内なら、女の視覚も共有出来るらしい」

女「…………じゃあ、その……、私の……、見た……?」

男「……すまん」


女「……男だから嫌じゃないけど、嫌じゃないけど……!!」

女「なんか、複雑……!」

男「一応、その……やましい気持ちは無いというか……」

女「……うんこって……性欲……あるの……?」

男「」

男「だ、だだだだだだ!駄目だぞ!!何考えてる女!!それは絶対駄目だからな!!」ウゴウゴ

女「ちょっと言ってみただけだよ!!わかってるから!さすがにその領域に踏み込むのはまずいよねうん!!」カァァァ

女「という、かっ!トイレ行きたいっ!!なにこれ男のせい!?男のせいなの!?」

男「すまん多分俺のせいだ!!俺は気にせずトイレに行ってくれ!!」ウゴウゴ

女「う、うん!!わかった行ってくるね!」タタタッ


 女の家のトイレ。

女「………………、」

女「男」
男「なんだ」

女「夢の中でトイレに行っちゃうと、大変な事になるって、」
女「子供の頃とか、思ってなかった?」

男「お漏らし的な意味でなら、思ってた」

女「……だよね。だから私、トイレに入った瞬間一気に現実に引き戻された気がしたの」
女「でも夢はさめなくて、頬をつねったら痛い」ツネリ

女「そして便意は強まる一方」

女「……ねぇ、男」

女「もしかしてこれ、夢じゃない?」

男「…………うん」

女「……うんこだけに?」

男「そんなこと言うキャラじゃないだろお前は」

女「そんなこと言わなきゃやってられないのよ、ばか」


女「……えっと……、出さないと、駄目なんだよね……」

男「……そりゃあ、駄目だろう。ほら、さっさと出しなさい。手伝ってやるから」ウゴウゴ

女「……恥ずかしいんだけど……」

男「……何を今更。下痢だったあの日も、腹痛に耐えながら頑張ったじゃないか」

女「言わないでよ……」

男「……ほら、少しいきめばすぐだぞ」

女「うう…………」グッ

 スルッ ポチャン

女(恥ずかしくない、恥ずかしくない)カラカラ

女(男だから、恥ずかしくなんて……)フキフキ

男「立派なうんこだ。女の腸内環境は完全に整ったようだ」

女「そんなこと言うのやめてよ!!」カァァァ

男「健康なうんこは、においもしないんだぞ」

女「例え自分のでも、うんこのにおいなんて嗅ぎたくないよ」スクッ チラッ

男「うんこの俺が言うんだから間違いない。女のうんこは健康うんこだ」


女「……男……本当にうんこなんだね」

女「私のうんこから、男の声が聞こえるなんて……普段なら悪夢にも思えるんだけど、」
女「今は、嬉しい。例えうんこでも、男だから」

男「……だが、うんこだ。その宿命通り、流してくれ」

女「…………でも、」

男「流してくれ。どうせ、俺の意識はあと十秒も保たない」

女「……また、戻ってくるよね」

男「ああ。必ず戻る。これは最後じゃないからだ」

女「……わかった。流すね」ガチャ

 ジャー

男(うんこ)「--確信があるんだ。次もまた、俺は女のうんこだ。だが--」

女「男……私、待ってるから……」

男(うんこ)「その次はない。次を最後に、俺はきっと--」

本日の投下終了。話ももうすぐ終わるから、うんこうんこ言ってるけどあと少しだけ付き合ってくれ。主人公がうんこだけど一応恋愛の話だから変な期待はしないでくれると助かる。


 女の家。

男(うんこ)「--ついに、この日が来てしまった」
男(うんこ)「わかるんだ。この1回が最後だと。俺がうんこでいられる、最後の1回だと」

男(うんこ)「何も言わず、消えるなんてことは、もう出来ない」

男(うんこ)「ならば、」

男「女」

女「…………男?本当に戻ってきてくれたんだ……!!」

男「……言ったろ、戻ってくるって」

女「……わたしのうんこって所がちょっと複雑だけどね」

男「……その件について、言わないといけないことがあるんだ」

女「なに?」

男「……俺は、いや、俺が……」

男「……俺が女のうんこでいられるのは、今回で最後だと思う」

女「--え?」


男「わかるんだ。何故かこうだという確信がある。俺は、もう」

女「っ……!!!」ガタッ

 タタタタッ

男「!!お、おい、女!?」

女「……やだ、」タタタタッ

男「玄関!?外に出る気か!?」

 ガチャ

男「女っ!!」

 タタタタタッ




 町の展望台。

女「はぁ、はぁ、」ゼエハァ

男「……ここは……、」
男(--町を見渡せる丘の、展望台。地元の人間でも滅多に訪れない、静かな場所)


女「……ふぅ……覚えてる?」

男「?」

女「昔はここで、一緒に遊んだよね」

男「……ああ、覚えてる。」
男「何でだろうな、子供の頃はよく遊びに来たのに、成長すると一向に足が向かわなくなる」

女「不思議だよね。眺めは悪くないし風も気持ち良いのに、人気はさっばりなんだから」
女「ま、おかげで私はずっと独り言言ってる変な女と思われずにすむわけだけど」

男「あ、そうか。すまん」

女「いいよ。相手は男だし、この際変な女だって思われても構わない」

男「…………、」

女「……男ってさ、私の便秘治しにきたんだよね」

男「ああ」

女「……男と別れた後、気付いたんだ。私、もう、便秘じゃないって」
女「むしろ便通は最高に良い状態だって」


女「だから、」ウルッ
女「もう、戻らないかと思ってた」

男「……ちゃんと戻ったじゃないか」

女「でも、案の定、ってやつじゃん」
女「へへへ……気付いたら家から飛び出してたよ」

男「……………、」

女「……外でお漏らしなんてこと、男ならさせないでしょ?」

男「俺に自我があって、尚且つここまで喋れるのなら、」

男「俺(うんこ)は排便すべき大きさになっているということだ」

女「わかってる。トイレ行きたいな、とは思ってるから」

女「ここなら、男も下手に動けないもんね。トイレは遠いよ、下の方までおりていかなきゃいけないし」

男「……我慢は駄目だ」

女「……わかってる。男がせっかく治してくれた腸内環境をむげにはできないよ」

女「--でも、もう少しだけ」

女「最後なんでしょ?だから、もう少しだけ、一緒にいさせてよ……」

女「お願い……」


男「……………、ああ、わかった」

女「えへへ……ありがとう、男」

男「女……」


茶髪「どうも、こんにちは」ニコニコ


女「!!」
男「!!」

茶髪「病院ならまた会えるかと思ってたのに、一向に会えないものだから、探しちゃいました」ニコニコ

女「……私に、何か用ですか、」

茶髪「用というか、ただ気になってただけなんですよね」

茶髪「どうして貴女から違う人間の気配がするのか、とか、」
茶髪「さっきだって、貴女がお一人でいるはずのここで、何故男性の声が別に聞こえるのか、とか」

茶髪「いやぁ、これは気になりますね。すごく、気になります」ニコニコ

男「女、逃げるんだ」ボソッ
女「わかってる」コソッ


茶髪「ここで会ったのも何かの縁ですね」ニコニコ スッ

茶髪「少し、お話しませんか?」ジャキ

男「!!!」
女「ナイフ……!?」

茶髪「大丈夫ですよ、あなたを傷付ける気はありません」ニコニコ

茶髪「でも、暴れたり大声をだしたりするのなら、そのきれいな肌に傷がついてしまうかも、」

女(この人……やばい、)
女(逃げなきゃ)タタッ

茶髪「おや?いきなり走ると、」

 カラン

男「女!足元!!」
女「えっ!?」ガラッ ズルッ

女「きゃあ!!」バタッ

茶髪「ほら、ちょうど転がってきた缶を踏んで、転んでしまった」ニコニコ スタスタ


茶髪「ほんと、危ないですね」ニコニコ ガシッ

男(うんこ)「こいつ……女の足を掴んで!」
女「ひっ……離して!!」バタバタ

茶髪「はいはい、暴れない暴れない。暴れると怪我をしますよ?」ニコニコ ペロペロ

女「やだっ……男っ……」グスッ
男「お前っ……何が目的だ!!」

茶髪「目的?--それはお前だよ」

男「!!?」

茶髪「何で彼女からもう一つ気配がするの?お前どこから話してんの?どこにいんの?幽霊なの?でも俺霊感あるから幽霊は見えるはずなんだよ」

茶髪「だから気になって仕方がなくてさ。何なのお前?いったい何なの?ねぇ、」

茶髪「教えてよ!」ビリッ

女(レギンスが……破れ……!?)

茶髪「あ、可愛い桃色パンツ。--気配がするのはこの奥なんだけどなー」
茶髪「淡い薄桃色ヒラヒラパンツに免じて破るのはやめてあげる」ズルッ

女「やだ!やだやだやだっ!!やめてぇえ!!!」


男「やめろっ!!」

茶髪「はははっ!!すっげ!!この声君のお腹から聞こえた!ということは、」

茶髪「この奥にいるってことかな?」ニヤニヤ

 ツプッ

女「!!!!やめっ……やめてよこの変態!!」

茶髪「んー、何か滑りをよくするものないかなぁ」
茶髪「あ、そうだ。俺ローション持ち歩いてるんだった」ガサゴソ ズルッ

女「ちょ……どこから出してんのよ!!」
男「股間!?貴様変態か!!」

茶髪「変態だなんて、久しぶりに言われたなぁ」タラリ

女「ひっ…!!」ヌルヌル

 ツプツプグリグリ

男「やめろ!!やめてくれ!!」ウゴウゴ

女「やだっ!動かないで男!!」ビクッ


茶髪「動かないで?」ツプツプグリグリ

女「!」
男「!!!」

茶髪「この奥にいる、何かに言ったわけだよね」
茶髪「で、お尻の穴の奥にいるものといえば」

女「…………、」
男「…………、」

茶髪「……すみませーん、ご在宅でしょうかー」

女「人のお尻の穴に話しかけないで!!」

茶髪「まぁアレですよね。ご在宅だから喋っているわけで」グッ

女「やだ!!広げないで!!!」バタバタ

茶髪「そこにいるんですかー?いるなら出てきて下さいよー」

男「なっ…!?」
女「やめてよ変態ー!!」バタバタ

茶髪「出てこないと、大事な彼女さんに傷がついちゃいますよー」ペシペシ

男「!!!」
男「……俺が……素直に出て行けば、女は解放してくれるのか?」


女「!っ、だめっ、」
女(こんな最後なんて嫌、こんな別れなんて嫌……!!)

茶髪「いいですよー」ニコニコ

男「……わかった。出て行く」ウゴウゴ
女「!!!」ビクッ
女(強烈な……便意……!!)

男「だから、女にはこれ以上手を出すな。必ずだ!!!」ウゴウゴウゴウゴ

女「……はぁ、はっ……っ、だめっ」ギュ
女(出そう、でも駄目、絶対……こんな所で出してやるもんか……!!)

茶髪「彼女はあなたに出てほしくないみたいですね」ニコニコ

男「女……」
女「やだよ男……」ポロッ

女「突然いなくなったくせに、せっかくまた話せたのに、」ポロポロ

女「こんな別れなんて、絶対やだよ……」ポロポロ

茶髪「でも出てきてもらいまーす」スボッ

女「ひぎっ!」
男「なっ、うわあああああ!?」

男(うんこ)「掴まれてる!?俺の体が、掴まれて--」


茶髪「さぁて、ご対面ー!!」ズルッ

女「だめええええええ!!!」

 スポン

男「………う、ぐ……」

茶髪「わあ、本当にうんこだ。これは凄い!!!」ニコニコ

女「男……男っ……!!」ポロポロ

男「……これで、いいだろ……これで、女のことは……」

茶髪「やだ。変なうんこをお腹に飼ってたわけだし、まだ中に何かいるかもしれないじゃないか」

男「なっ……!!」ウゴウゴ

茶髪「約束もしてないしねー、あははっ!!次は何が出てくるのかなー」ルンルン

女「あ……あ……男……男っ……」

男「そんな……やめろ、やめてくれ……!!」
男(まずい……もう、意識が……!!)

男(くそっ……俺は、こうも、無力なのか……!!)


茶髪「はははっ!!馬鹿だよな、」


茶髪「うんこが生身の人間守れるわけないだろ?」















 病室。

男「--!!!」

天使「あっ!……良かった、ちゃんと戻ってきてくれたんですね!!」


男「女は!?」

天使「?彼女なら、貴方のベッドにもたれて眠ってしまっていますが……」

男「…………」ホッ
男(だが……どこからが、現実で、どこからが……)

天使「さて、貴方も無事戻ったことだし!ネタバラシといきましょうか!!」

男「……?どういう、」

天使「結果から言うと、合格です!!おめでとうございまーす!」パチパチパチ

男「……合、格?」

天使「はい。合格です。貴方は身体に戻れますよ。完全に生き返られるというわけです」

男「ちょっと待ってくれ……、これは、いったい……!!」
男(直前の出来事は現実か、または夢か?あれが強烈すぎて、今何が起きているのか理解出来ない)

天使「混乱してますね、悪い夢でも見たんですか?」

男「……夢?」

天使「?もっと喜んでくれると思ったんですが、おかしいですね。顔色悪いですよ」

男「いや、だって、俺は、死んでるから、」


天使「だから、死んでませんよ。最初に言ったじゃないですか、身体は生きてるって。あとは魂の貴方が身体に戻れば完全復活となります」

男「戻れる、のか、俺は……」

天使「はい、合格ですから」

天使「あ、でも、もし身体に戻りたくないなら、私が責任をもってあの世に連れて逝きますが」

男「いや、戻る。--戻らせてくれ。俺の身体に」

天使「わかりました」ニコッ

天使「さて、その願いのままに、貴方はこれから--」

男「待ってくれ!君は、いったい何なんだ?」

天使「何だ、だなんて。私天使だと名乗ったはずなのに、」クスッ

天使「でも、ま、いいですよ。ネタバラシとも言いましたしね」

天使「私、本当は死神ってやつです」

男「!?」

天使「ほら、死神って言うと、皆様ちょっと警戒しちゃうんですよね。だから、天使と名乗って女の子の姿をして油断を誘うというか、」

男「油断……?」

天使「言ったでしょう?合格って。連れて逝くべきかどうかの試験だったんです」


天使「一度だけ、この世に存在する誰にでも、何にでも成り代えてさせて様子を見る、試験。合格なら身体に戻し、不合格なら連れて逝きます。身体の命ごと」

天使「私も抜け出た魂をポイポイ戻してやる程お人好しじゃありませんから。そのための試験です。一応、合格条件は難しいとは思わないんですが、不合格者って結構多いんですよね」ニコニコ

天使「でも、貴方は合格しました。自分の望み通りの姿--例えそれがうんこだったとしても--その姿を手に入れ好き勝手した上で、最後に自身の身体に戻りたいと願った」

天使「ほとんどの方は、ずっとこのままと願うんですよ?身体は生きているのに、成り代わった身体の方にいたいと」

男「……でも、俺は、」

天使「ネタバラシは終わりです。さあ、貴方には身体に戻ってもらいます」

女「…………ん……」

天使「彼女もそろそろ目覚めるようですよ?早く安心させてあげて下さい」ニコリ

男「…………、わかった。よろしく頼む」

天使「では……貴方はこれから、」

天使「貴方の身体で、貴方として生きます」

男「……ありがとう」フワッ

 パッ


男「……」パチッ

女「……そうだ、私……寝ちゃって……」
女「外、真っ暗だ。どうしよう面会時間、絶対過ぎて……」

男「…………」ムクッ

女「!!」
女「……これ、夢……?男が、目覚めて、起き上がって……!!」ウルッ

男「…………」
男(何を言おう、最初に、何と言えば)

男「…………こんばんは?」

女「ちらっと窓見たと思ったらソレ!?せめておはようだよずっと寝てたくせに!」ポロポロ

女「でも……!!それでこそ男だ……!!うう……、良かったぁ……」ポロポロ

男「……あのさ、卒業したら、俺と結婚してくれないか?」

女「何で今言っちゃうのよおおお!!でもそんな男が大好きこれからもよろしくお願いします……!!」ポロポロ




天使「いやあ、お熱いですね」

天使「もう視えないとはいえ、まだ私いるんですけど」


天使「……………、」

天使「まさか私が、人間に手を貸すことになるなんて」

天使「………ああでもしないと、うんこのまま消えちゃってただろうな。潔すぎだろ、まったく馬鹿じゃないの?うんこの時点でもう馬鹿決定だけど」

天使「何百年ぶりかな、俺にこのまま死なせるには惜しいと思わせる人間は」

天使「ははっ……あはははは!!悪者!凄い悪者したよ俺!!あー!笑った!笑い転げた!!」ケラケラ

天使「しかし慣れないキャラ使いすぎて疲れたな……。引きこもってゴロゴロしたい」

天使「………」チラッ

 キャッキャ キャッキャ

天使「はいはいリア充リア充ハッピーエンド。俺が保証するよ、君達は長生きする」

天使「末永く、お幸せに」






天使「あと彼女、もう便秘しないよ」ニヤリ


 おわり

ミス多いし我に返って何だコレって思う事もあったから、途中途中でレスもらって正直戸惑った。けども最後まで付き合ってくれてありがとう。少しでも楽しんでくれたなら嬉しい。

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