少女「…やっちゃった」(233)


父「…」

少女「いつか殺ろうとは思ってたけど…まさか無計画に衝動的にやっちゃうとは…」

父「…ッ…ァ…」ピク

少女「うわ! まだちょっと生きてる!」

父「…ァ…テ…」ビクッ

少女「ひぇえ……鉈が脳天にぶっ刺さったままなのに…」

父「…ヵ…ハ…」

少女「うーん、こうなったらぐっちゃぐちゃになるまで叩き潰してや
るー!」ズル

父「はヒ」プピュー

少女「あら?」

父「 」

少女「…死んだ?」

少女「死んだ?」ツンツン

父「 」死ーン

少女「死んだ死んだ」

少女「…うーん。で、この死体どうしよ…」

父「 」

少女「…そうだなー、まずあの能天気ピザ野郎にでも相談してみよっかなー」


・・・


少女「お肉屋さーん」

肉屋「おう、嬢ちゃんじゃねぇか。どうした」

少女「父ちゃん死んだー」

肉屋「へぇ、そうかい。そりゃ大変だ。あの親父さんのことだ、死因は急性アルコール中毒ってヤツかい?」

少女「ううん、私が鉈で脳天かち割ったらおっ死んだー」

肉屋「はっはっは。そいつはすげぇや」

少女「でもね、父ちゃんね、頭に鉈がぶっ刺さったままなのに、ぴくぴく動いてなんか呻いてたんだよー」

肉屋「へぇー生命力あんな」

肉屋「あ、閃いたぞ! 『鉈で頭を割られながらも生きる不死身の奇人!』っつう触れ込みで見世物小屋に親父さんのを売り付けるってのはどうだい!?」

少女「ううん、だからもう死んだんだってー。ぶっ刺さった鉈引き抜いたら『アヒ』とか気持ち悪い声出して事切れたよー」

肉屋「はっはっはっ。そうかい。まぁあの呑兵衛の癇癪持ちのプー太郎にゃあ相応の報いだろう」

少女「そうだよねー。あの飲んだくれの穀潰し、私にばっかり働かせて本人はあの体たらくだもんねー」

肉屋「はっはっはっ。まぁ嬢ちゃん、そう仏さんを悪く言いなさんなや」

少女「お肉屋さんだって今ボロクソ言ってたじゃーん」

肉屋「そうだったか? はっはっはっ。まぁでもな嬢ちゃん、親父さんも昔はあそこまでダメ人間じゃなかったんだぜ?」

少女「えぇ、ほんとー?」

肉屋「おうさ。おいらが今より幾らか若かった頃…嬢ちゃんが産まれてくる前だったかな? まぁそん時はよく親父さんとも酒を呑んだものさ」

少女「へぇー。酔っぱらって暴れたりしなかったのー?」

肉屋「ああ。あの頃の親父さんは酒乱でもなかったし、ああ落ちぶれてもなかったしな」

少女「ふーん」

肉屋「親父さんがああなっちまったのは、確かあの出来事が切っ掛けだったな…」

少女「なにそれー?」

肉屋「ああ、それはな…」

少女「うん」


肉屋「…なんだっけ」

少女「えー」

肉屋「はっはっはっ。忘れちまったよ。悪いな、嬢ちゃん」

肉屋「ここいらじゃそんな不幸話の種みたいなのは掃いて捨てるほどあっからなー。いちいち覚えてらんねぇや」

少女「別にいいよー。実のところあんまり興味ないしー」

肉屋「はっはっはっ。そうかい」

肉屋「で、その親父さんの死体はどうすんだい? そのまま放置するわけにもいかないだろ?」

少女「えっとねー、そこでお肉屋さんに相談なんだー」

肉屋「うん?」


肉屋「面倒事は勘弁してくれよ。オイラもそうヒマじゃないんだ」

少女「私が見る限りいっつもヒマそうなんだけどなー」

肉屋「はっはっはっ。言うねー」

肉屋「まぁそうだな、話くらいは聞いてやろうかな」

少女「ほんとー? やったー!」

肉屋「いや、ホントに聞いてみるだけだけど」

少女「ぶー」


少女「まぁいいや。そうね、ストレートに言うとー、お肉屋さんに父ちゃんの死体の処分を手伝って欲しいのー」

肉屋「死体の処分かい? うーん…」

少女「だめー?」

肉屋「何となくそんなことだろうとは思ってたけど、それは嬢ちゃんの頼みでも安易には首肯しかねるねぇ」

少女「えぇー」

肉屋「いくら昔から付き合いのある嬢ちゃんの頼みとはいえ、それなりに手間で面倒なことだし、親切ではやる気は起きないなぁ」

少女「むー、父ちゃんをバラして肉をお肉屋さんの肉挽き機で挽き肉にしてウインナーの具にでもしちゃえばいーじゃーん」

少女「そうすれば死体が片付くしー、お肉屋さんもお金がちょっと浮くから一石二鳥ってヤツだよーぅ」

少女「もしかしたら思いの外味が良くて評判になるかもー」

肉屋「はっはっはっ。勘弁してくれよー。もし事が露見しちまったらオイラこの商売やっていけなくなっちまうよ」

肉屋「なかなか面白い妙案だが、そりゃちょっと助力できないなー」

少女「むー」

肉屋「はっはっはっ。悪いね嬢ちゃん。でも嬢ちゃんのその相手に親切や厚意を求めるような姿勢はちょっち頂けないなー」

肉屋「一、人を過信しない。二、タダほど怖いものはない。三、情けはクソの役にも立たない」

肉屋「この町にいてこんな当たり前の常識を知らないなんてこたぁないだろ?」

少女「ぶー」

肉屋「はっはっはっ。そうぶー垂れないでくれよ。あんまり聞き分けのない子はバラして挽き肉に混ぜちゃうぞ?」

少女「洒落にならないよーぅ」

肉屋「はっはっはっ」

肉屋「代案と言っちゃあお粗末だけど、こういうのはどうだい? 身寄りのない浮浪児に金を握らせてやらせるってのは」

少女「えー」

肉屋「特に四丁目の極貧地域のヤツらなんか使い勝手がいいと思うな。ちっとばっかしの金でも大抵のことはやってくれっし」

肉屋「ヤツらは食い扶持にありつく為なら大抵の汚れ仕事なんてなんのそのさ」

肉屋「ともすれば親父さんの死肉すらも食べてくれるかもな。はっはっはっ」

少女「私はそいつらに握らせる金すら今は持ってないのよーぅ」

肉屋「あらら、そうかい」

少女「前働いてた薄汚いしけた料理店クビになっちゃったからー最近稼ぎがさっぱりなのー」

少女「それで父ちゃんがぶち切れて酒瓶で私の頭を叩いてー。勢いで私を殺しかねない程の剣幕だったからー、鉈で応戦したら殺しちゃったって運びなのー」

肉屋「はっはっはっ。なるほどねー。それで嬢ちゃんは頭に襤褸を巻いたわけか」

少女「うん、頭切れて結構血ぃ出たー」

肉屋「はっはっはっ。そりゃ大変だぁ」

肉屋「んじゃあ金がないのなら暫くそのまま親父さんを放置して、金の都合がついてからどうこうするってのは?」

少女「そんな気の長いのは嫌よーぅ。私は一日でも早く父ちゃんを処分したいのー」

少女「蝿とか集っていたらイヤだしー、単純に死体が側にあるってのが気持ち悪いしー、何より化けて出てきたら怖いしー」

肉屋「はっはっはっ。化けて出てこられたらどうしようもないけど、お化けなんていやしないから大丈夫さ。お化けなんて信じてたらここではとても暮らしていけないぞ? 」

少女「でもでも怖いのは怖いのよーぅ」

肉屋「はっはっはっ。だったら嬢ちゃんがちょっとずつ死体をバラして、それをどっかに捨てるなり、犬やカラスの餌にでもするなりしちまえばいいんじゃないか? ほら、そうすれば金もかからないし直ぐにできる」

少女「私鶏やお魚は捌けるけど人は捌けないのよーぅ。なんか気持ち悪いしー、ばっちぃしー」

肉屋「なぁに、内臓を取り出して、好みで皮を削いだりぶつ切りにしちまえば、それらとそうかわりない只の肉塊さ。まぁ要は慣れだよ。肉屋のオイラが言うんだから間違いないさ」

少女「えーそれってもしかしてお肉屋さんも誰かを捌いたことがあるってことー?」

肉屋「はっはっはっ。どうだろうねー」

肉屋「なんだったらそのまま川原の方に持っていってそのまま流しちまうってんでもいいんじゃないか? 嬢ちゃんの矮躯にゃ運ぶのは大分骨だろうが」

少女「でもー、万一警察に見つかってお縄になったらイヤだしー」

肉屋「はっはっはっ。なぁに、あんな気分屋で物臭の税金泥棒なんて恐るるに足りないさ」

肉屋「見つかったって賄賂さえありゃ簡単に目を瞑るし、そんなテキトーなヤツらだから、例え道端に死体が放置されてても面倒臭いってだけで事件にすらしないだろうしな」

少女「うーん」

肉屋「おっと、そろそろ本当に仕事に戻らないと。話半ばで悪いけど、ここまでな、嬢ちゃん」

肉屋「まぁそう難しく考えることもないさ。テキトーに、気長にやんな」

少女「そっかー。わかったー」

肉屋「オイラの話も参考にして色々やってみるといいよ。じゃあ、頑張って」

少女「うん、ばいばーい」


・・・


少女「実際問題、肉屋のデブは役に立たなかったなー」

父「 」

少女「うーん、ばっちぃなー」

少女「気持ち悪いし盛大に血を撒き散らせてくれちゃって大変よーぅ」

少女「後始末する身にもなってよねー」

父「 」

少女「…なんかムカつく」

少女「えいっ」ゲシッ

父「 」コキャッ プチュッ

少女「ひや!? …ばっちー。うわ、何これ、脳漿ってやつー?」

父「 」

少女「…うーん、これからどうしよー」

少女「…」

少女「…そうだ、餅は餅屋ってことでー、今度はあの陰気なメンヘラ野郎に相談してみよっかなー」

少女「確か風聞によるとー…。むふふー。もしかして金になるかもー」


・・・


少女「お医者さーん」

医者「…」

医者「何か、用かね…?」

少女「うん、えっとねー、父ちゃん見てほしいのー」

医者「…どんな、容態だね…?」

少女「死んだー」

医者「いくら私でも死人を蘇らせることはできないよ…」

少女「違うよー。風の噂に聞くところー、お医者さん臓器売買ってのもやってるんてしょー?」

少女「父ちゃんの内臓いらないー?」

医者「…」

医者「…ふむ」

医者「お嬢さん…、君のお父さんはどんな状態かな…?」

少女「死んだー」

医者「…死因は?」

少女「私が鉈で脳天かち割ったからかなー?」

医者「ふむ…では頭部以外は損傷はないかな…?」

少女「多分ねー。一撃でしとめたからー」

医者「そうかい…。死後、どれくらいかな…?」

少女「えーっと、多分今で一時間経つか経たないか位だと思うー」

医者「一時間か…ふむ」

医者「出来て膵臓…腎臓か…。眼球は…まぁいずれにしても状態次第だな…」

少女「??」

医者「死体は家にあるのかい…?」

少女「うん、こっから歩いて15分くらいのところー」

医者「そうか…よし、先ずはその死体をここまで運ぶか…」

少女「ほんとー? やったー!」

医者「じゃあ私は準備をするから…お嬢さんは、裏口の方に大きな荷台付きの自転車があるから…それの荷台にも座って待ってな…」

少女「うん、わかったー」

医者「よし…。じゃあ後で、提供者の…君のお父さんの年齢、健康状態、生活習慣等…道すがら教えて貰うから、覚えておいて…」

少女「りょうかーい」

寝ます。
見てくれている方ありがとうございます。
続きは近々書きます。
期待せずに待ってください。

てす


・・・


医者「…アル中で飯食って糞して寝るだけの豚より最低な人間と伺っていたけど…」

医者「うん…、なかなかどうして、内臓の状態はそう悪くない…。眼球も使えるな…」

少女「やったー!」

少女「父ちゃんいくらになるー?」

医者「そうだな…売れる臓器、締めて三万でどうだろう…」

少女「三万も!? わーい!」

医者「よし…じゃあ、残りの遺体は返すよ…。精々、弔ってでもあげたらいい…」

少女「いらないよーぅ。気持ち悪いしーそのまま処分してよーぅ。お医者さん、そういうのもやってるんでしょー?」

医者「ふむ…表立って看板に出してやってるわけでもないのに…よく知ってるね…」

医者「便宜上、それは葬儀屋って名前でやってるけど…実際やることは死体処理と密葬だけなんだよね…」

少女「ふーん。じゃあそれでいーからやっといてよーぅ」

医者「やってやらんこともないが…その分、別途料金を貰うよ」

医者「死体の残りはいらないものばかりだし…無償で引き取っても私に旨味がないからね…」

少女「むー、けちー」

少女「じゃーいくらー?」


医者「そうだな…五万で跡形もなく処分してあげよう…。どうだい…?」

少女「そんな大金無いよーう! 足りなーい! 高すぎるー!」

医者「死体を暗暗裏に処理するのは中々にリスキーだし、そこそこ骨なんだ…」

医者「それらの手間を肩代わりし、安全を保証して、確実に処理するってのでウチで価格設定するなら…それくらいになるね…」

少女「ぶー! ならいいよーぅ! この金で出来る限り自分でなんとかするからー」

医者「そうかい…」

少女「じゃああの台車付きの自転車とブルーシート借りていいー? アレで父ちゃん運ぶからー」

医者「提供してもらった臓器を隣町まで届けに行かなきゃならないんだけど…」

医者「じゃあ、夕方までに返してくれるって言うなら…いいよ…」

少女「おっけー」

医者「それとレンタル料…三千ね…」

少女「ぶー!」

寝ます。
あまり長く続ける気はないですが、ちょっと時間かかりそうです。すみません。
これから面白くなるわけでもないと思うので、期待せずに、本当に暇な時覗く程度にてきとーに待って頂けたら幸いです。

てす



・・・


キコキコキコ・・・

チリンチリーン


少女「自転車乗ったの久しぶりー」

少女「私だって前パクったヤツもってたのにー、父ちゃん勝手に売っ払っちゃうんだもーん」

少女「やっぱ自転車はいいなー」

少女「ふふふっ。このまま借りパクしちゃおっかなー」

少女「…あ」

少女「げぇっ…向こうからチャリンコ漕いでくるのって性病ヤローじゃ…」

お巡り「~♪」キコキコ

少女「最悪だよーぅ…。シカトシカトー」

お巡り「…ん? おぅい」キキィ

少女「げぇっ…」


お巡り「久しぶりだねェお嬢ちゃん。今『げっ』って言わなかった?」

少女「ううん、ただ不意に吐き気を催した催しちゃってー」

お巡り「げぇっげっげっ。ならいいんだァ」ボリボリ

少女「…」

お巡り「それよりお嬢ちゃん、自転車なんて持ってたんだぁ?」

少女「これはねー借り物なんだよーぅ」

お巡り「借り物ォー? 一体何の為にィ?」

少女「単に遠出するための足としてだよーぅ」

お巡り「はぁん。一体何の用事だぁ?」

少女「別にー。野暮用だよーぅ。そういうお巡りさんはなんで陽気に自転車漕いでんのー?」

お巡り「ん? そりゃおらぁ警察だし、パトロールに決まってんだろ。げっげっげっ」

少女「ふーん。とは言いつつまた強姦する女でも探してるんじゃないのー?」

お巡り「ちげぇよ。警察がそんなことするワケねぇだろォ」


お巡り「ありゃ同意の上だよぉ。和姦ってヤツ」

お巡り「持ち物検査して服をひん剥いたらお互いムラムラきちまってよォ。げぇっげっげっ」

少女「でもー、この前お巡りさんが女の人に拳銃突きつけて『暴れると撃つぞォ?』って脅しつけて強姦するのを見たよーぅ」

少女「それにー、ウチの隣の隣のアキちゃんがー、お巡りさんから孕ませられたーって泣き喚いてたしー」

お巡り「うっせーなァ。オレが違うっつったら違うんだよ。ぐだぐだ抜かすと殺すぞ?」チャキッ

少女「ごめんなさーい。勘弁してほしいんだよーぅ」

お巡り「げっげっげっ。ジョーダンだよォ」

お巡り「んー、お嬢ちゃんも可愛かったら犯してやんのによォ。げっげっげっ」

少女「顔立ちが宜しくなくて申し訳ないんだよーぅ」

少女「っつかこっちから願い下げだわ盛りザルがー」ボソッ


お巡り「げっげっげっ。でもまぁお嬢ちゃんはこれからだもんなぁ」

お巡り「大きくなって、ボインボインになってェ、女らしくめかせば化けるかもなァ」

お巡り「楽しみにしてるぜェ。げっげっげっ」

少女「はっはー。どーだろねー」

少女「んじゃー私はここでさよならするよーぅ。ばいばーい。パトロール頑張ってー」

お巡り「ん、おォ。じゃあな」

少女「…ちょろいんだよーぅ」ボソッ

お巡り「…ん?」クンクン

お巡り「…ちょっと待ちな」

少女「…なにー?」

お巡り「そのチャリのケツのブルーシート被ってる台車ん中、何積んでんだ?」

お巡り「なんか臭えぞ、それ」

少女「…」

お巡り「んだァ? 見せらんねぇモンでも積んでんのかぁ?」


少女「見せてもいいけどー、ばっちーよぅ?」

お巡り「あん?」

少女「家の裏で死んでたー、犬の親子の死体だよーぅ」

少女「ちょっと腐っててー、それにカラスか何かに食い散らかされててー気持ち悪いのー」

お巡り「げぇー」

少女「父ちゃんから河原のあたりに捨ててこいって言われててー、今その途中なのー。見てみるー?」ピラ

お巡り「いいよ、んなきったねぇモン見せんじゃねぇ。メシが食えなくなっちまう。とっとと捨てろ」

少女「はいはーい。言われなくてもだよーぅ」キコキコ

お巡り「うっ。くせぇ」



・・・

少女「ふぅー危なかったー」

少女「噂によるとー、警察に捕まったら牢屋にぶち込まれてー、刑期満了まで男は嬲り者でー、女は慰み者になるらしーからたまったもんじゃないのよーぅ」

少女「獄中死だってよくあるらしーしー。どんな生き地獄だよーぅ」

少女「まぁあんなクズの傍若無人な横行が罷り通るくらいだからー、まず間違いないよねー」

少女「…」クンクン

少女「確かにあのイカレチンポの言うとおり、なんか臭うなー」

少女「さっさと処分しちまおー」



・・・


キキィー


少女「着いたー。四丁目ー」

少女「ふぅー。疲れたー」

少女「…」

少女「にしても、臭いなー」バサッ

父「 」デローン

少女「うげー。気持ちわるーい」

少女「ぶー。あのヤブ医者、腹かっ捌いたならせめてもうちっとちゃんと縫合しとけってのー」

父「 」デローン

少女「自転車の揺れで脳みそ垂れてきてるしー、モツもはみ出てるしー。きったないなー」

少女「うー、台車汚しちゃったー。ま、いっかなー。借り物だしー」

少女「まぁーともあれさっさと用事を済ませちゃおー」テクテク



・・・


浮浪児「…ぅ」

浮浪者「…」ボー


少女「うげげー私が住んでるとこより汚ーい」

少女「服装も私のよりぼろっちーし」

少女「空気も臭いしなんか汚いしー、ここにいるだけで変な病気になりそー」

少女「さすが極貧の四丁目だねー」

浮浪者「…」ジロッ

浮浪者「…」ジロッ

少女「むむぅ…ハイエナみたいなハゲタカみたいな危ないヤローもいるんだよーぅ」

少女「身包み剥がされる前にトンズラしなきゃー」


少女「ううーん、でも肝心の弱っちそうで襲いかかってきても一蹴できちゃうような都合のいい浮浪者が見つからないなー」キョロキョロ

少女「…お」


少年「…」


少女「はっはー。あれくらいのガキなら私でも手綱を握れそうなんだよーぅ」

少女「おーい、そこの奴隷紛いー」

少年「…僕?」

少女「そうそう。その腕輪素敵だねー。奴隷みたーい」

少年「…そうだよ。僕は元奴隷なんだ」ニコ

少女「はっはー。至極どうでもいーんだよーぅ。おらー金やるから働けー」

少年「…いいよ」

少年「作業内容は? いくら出せる?」

浮浪者「…」ジロ

少女「はっはー。その話は後なんだよーぅ。先ずはこっから遁走のすたこらさっさー」

ある程度まとまって書き溜めができたらまた投下します。すみません。



・・・


少女「あ」

浮浪児「!」

少女「こらー! なに私のチャリンコパクろーとしてんだー!」ウガー!

浮浪児「ッッッ!」スタコラサッサー


少女「まったく…これだから育ちの悪いヤツは…」

少年「はは…それはこの町に住む人全てに言えることじゃないのかな」

少女「るせーいちいち口答えすんじゃねー。お前は私の言う仕事をただ黙々とやってりゃーいーんだよーぅ」

少年「はは…わかったよ」

少女「むむ、そもそも口のききかたがなってないんだよーぅ。私はお前みたいなゴミ虫の雇い主だぞー。弁えろやくそがきゃー」


少年「…まぁ、気になるってんなら直すよ」

少年「すいません、失礼しました。ではなんなりとお申し付けください」

少年「…こんな風でいいですか?」

少女「はっはー。人の上に立つってのは言い知れぬ優越感があるなー。くるしゅーなーい」

少年「ふふ…。で、それより僕がやる仕事ってのは? それによって求める金額が変わるよ?」

少女「…口調が戻ってるんだよーぅ。お前は三歩歩けば忘れちまう鳥頭かー?」

少女「ごめんごめん。なんか同い年くらいの子に敬語ってやっぱり変な感じで。まぁそれくらい容赦してよ」

少女「…まーいーだろー。ちゃんと仕事をこなすってんならそれくらい寛恕してやろー」

少年「それはどうも」ニコ

少女「さて、ではでは肝心の仕事内容ってのはー」

少年「てのは?」

少女「見て驚けーこれだ!」バサッ


父「 」プーン


少年「わぁ、死体だ。悪趣味なサプライズだね」

少女「期待してより反応が薄ーい…。まぁこれくらいで腰抜かしてブルっちまうよりよかマシかー」

少年「死体処分の仕事自体別段珍しくないからね。というか、仕事は死体の処分で間違いないかな?」

少女「むぐぐ…。お前のその淡白さは、完全犯罪という偉業を成し遂げようと熱く燃える私の気持ちに冷水をぶっかけるが如くなんだよーぅ…」

少年「ははは。完全犯罪自体そう難しい話じゃないでしょ、この町じゃ。むしろ犯罪が露見してお縄につく方が珍しいくらいだし」

少年「職務怠慢も甚だしいね、この町の警察は。でもそのお陰で僕みたいな脱走奴隷が仕事に炙れずになんとか食いつないでられるのだけど」

少女「え? 警察ってのは概して国家権力を盾に好き勝手やりたい放題なクズなんじゃないの?」

少年「まさか。ちゃんとしてるところだってちゃんとあるよ。むしろ僕としてはここに流れ着くまでこんな、ここまでの無法地帯があるなんて思いもよらなかったくらいだよ」

少年「キミ、もしかしてこの町から出たことない?」


少女「まーねー。あんまり興味ないしー」

少年「へぇ。じゃあ相当カルチャーショックを受けるだろうな。僕が奴隷商人に密売される前に暮らしていた街の話でも聞かせてあげようか?」

少女「…んなこたーどーでもいー。てめーはちゃっちゃとこのきったねー死体をバラして跡形もなく処分しやがれー」

少年「跡形もなくかい? 埋めるだけじゃ駄目?」

少女「そうよぅ。ぐっちゃぐちゃのバラバラにして野犬やカラスや魚の餌にして跡形もなくよーぅ」

少年「うーん…そっか。わかったよ、じゃあ料金は一万ね」

少女「一万もー!? 高いんだよーぅ。てめー私がその手の相場知らねーからってぼったくろーって腹積もりじゃねーだろーな?」

少年「とんでもない。かなり良心的な価格設定だと思うよ」



少年「死体処分ってのは元々高額なんだ。安値で大概の汚い仕事も引き受けるってのが売りの四丁目でもそれなりに値が張るし」

少年「因みに四丁目での相場は安くて…一万ないし二万くらいだけど、加えて跡形もなくって念押しの注文が入るならその分料金は加算されるだろうし」

少年「何より君は僕とそう年が変わらない女の子だ。まともに話をしてくれるか…。どころか、金を持ってるとわかり次第問答無用で強奪するかもね」

少女「ぐぬぬ…」

少年「僕は今必要としてる…目標としてるお金まであと一万って事情があるから特別にその値で請け負ってあげるけど…」

少年「どうする? 辞めるかい?」

少女「…。しょうがない、払ってやるよーぅ」

少年「毎度ありー。ふふふ」

・・・


グチョ…グチョ…


少女「うひゃーきもーい。生臭ーい」

少年「ふふふ。そうだね。僕は慣れっこだけど」ブスッ…ブスッ

少女「つーか四丁目にこんな銭湯があったなんてねー。ここがお前のねぐらなのかー?」

少年「ははは。違うよ。ここは四丁目のお仲間が何かしらの仕事の時とかに使ったりする…、んー…共有財産というか…共用の施設だね」

少女「へー」

少年「この銭湯、見ての通りとっくの昔に潰れているけどなぜか水はまだ出るんだ。だから死体をバラすにはもってこいだね」ジャー

少女「ここの水って飲めるのー? 私喉乾いたんだけどー」

少年「んー…飲んでる人もいるけど、僕はあまりお勧めできないなぁ。だってこの水、たまに赤茶けてたり糸ミミズみたいなのが混じってたりするから」

少女「げぇー」



少年「ふふふ。にしてもあえて跡形もなくって処分を希望するなんて、よっぽど心配性なんだね」ズルズル

少年「それとも…んしょっと…それほどにこの人が憎いか」プチュプチュ

少女「うん、確かに嫌いだしポリ公から見つかるのも困るけどー、それとは別に、もし万が一父ちゃんがゾンビとか幽霊になって報復しにきたらヤじゃない?」

少年「…は?」

少女「いや、だからゾンビや幽霊にならないように跡形もなく…」

少年「ああ、なるほど」

少年「面白い冗談だね」フフフ

少女「冗談じゃないわよーぅ!」


少年「ははは…。あ、この人ヤクザとかギャングとかじゃないよね」ブチブチ

少女「うん? まぁ、ただのしがない無職の父ちゃんだよーぅ」

少年「それは良かった。処分するのがヤクザとか、それに類するものだったら大事になりかねないから、基本断るようにしてるんだ」ゴリ・・・ゴリ・・・

少女「ふーん」

少年「まぁ、そういう…あ、くそっ。脂肪で滑って上手く骨が削れないや。あ、その鉈ちょっと貸してくれる?」

少女「あいよ」

少年「ありがとう。…よい…しょっ!」ベギィ

少年「ふぅー…。やれやれ、骨を断ち切るのが一番骨だなぁ。なんちゃって」


少年「…まぁそういう情報は伏せられても僕には確かめようがないからどうしようもないんだけどね」ブチン

少年「でも死体の処分を依頼してくるのは大体そういう筋の人だから、僕は死体処分自体あまりしないんだよ、ね」ドスッ


ドス・・・ドス・・・バキンッ


少女「へー。じゃーいつもどーやって食い扶持を稼いでるのー?」

少年「基本体を売ってだね。男娼ってやつ。これでも僕結構人気あるんだよ?」ベギッベギンッ

少女「へー。気持ち悪いねー」

少年「ははは。そうだね」ブチブチィ

少女「…ん?」


少女「うわ! 今変に動かなかった!?」

少年「え? そうかい?」


肉塊「 」


少女「なんでやってる本人が気づかないんだよーぅ!」

少年「え、単純に気のせいとかじゃ…」

少女「え…そうか…。ッ!? い、今こっち見た…ような…」

少年「え、そうかい?」

少女「見とけよーぅ!」

少年「いや、っていうかこの人目くり抜かれてるし…」

少女「あ、確かに」

少年「ふふふ。パニックなのか怖がりなのか。キミ、意外と女の子らしい一面もあるんだね」

少女「うるせー!」



・・・



少年「ふー。こんなもんかな」


肉片「」ベチョォ・・・


少年「ごめん、この鉈かなり刃こぼれしちゃった。まだ使えるかな?」

少女「いいよぅ。どうせもう捨てるつもりだったしー。テキトーに捨てといてー」

少年「ふふふ。わかったよ」



少女「…で、このバラしたやつはどうすんのー?」

少年「ぶつ切りにした骨と内蔵、首はごみ処理施設の知り合いのツテで焼却処分。肉は人肉嗜好者の知り合いに無償で引き取ってもらうよ」

少女「ほーん。アンタ意外に顔が広いのねー」

少年「ふふっ。あそこで生きるためにはそういうのは欠かせないからね」

少女「ふーん」

少年「じゃ、あとはこのゴミ袋に二つに分け詰めるから」

少年「これが最後のお別れになるけど、いいかな」フフフ

肉片「」デローン

少女「んなジョーダンはいーからさっさと詰めろや」

少年「ふふふ。了解、じゃあさっさと詰めて運ぼうか」



・・・



作業着の男「――おう、まかせとき」

少年「ふふふ。頼んだよ」

作業着の男「ああ。…でもちょっと寂しくなるな。まぁ、もしこっちに戻ってきちまったときはまた顔覗かせてくれよ」

少年「ふふっ。分かったよ」

作業着の男「じゃあな。またいつか」

少年「じゃあね。ばいばい」


少年「二度とここになんか戻ってやるかよ…」ボソ


少女「…」ポエー


・・・



キコキコ・・・


少女「…今更だけどなーんで私がてめーをケツに乗せて漕いでんだよーぅ。逆じゃねーのかよぅ」

少年「まぁいいじゃないか、それくらい。僕疲れちゃったもん」

少女「クソが。私はてめーに金払ってる客だぞー。なに調子こいてあめーこと言ってんだー?」

少年「僕が仕事をやってあげているわけでもあるんだからさ。まぁそれくらいの労いはあってもいいんじゃないかな」フフフ

少年「それにまだもう一つゴミ袋余ってるしさ。君はどうせずっと見てるだけなんだし僕にちょっと休憩させてよ」

少女「…チッ。へっぽこがー」


キコキコ・・・

チリンチリーン



少女「…」

少年「…」

少女「…あんたさー、金貯めてんだっけー?」

少年「そうだけど…あげないよ?」

少女「…。あんたさー、金貯めてどうすんのー?」

少年「ふふ…知りたいかい?」

少女「暇つぶしに聞いてやってんだよぅ。もったいぶんねーでとっとと喋れ」



少年「ふふふ。僕はね、戸籍を買うんだ。それも、隣街のね」

少女「戸籍ー?」

少年「そう。僕のお得意さんのそういう筋の人がね、隣街の戸籍を売ってくれるっていうんだ」

少女「ふーん?」

少年「僕はこんな掃き溜めみたいな場所から抜け出して、新たに人生を始めるんだ」

少年「僕は、普通の世界の、普通な毎日に戻るんだ」

少年「それが嬉しくて嬉しくて…さっきから嬉し笑いが止まらないんだ」フフフ

少女「…へー。まーがんばってー」

少年「ふふふ」

まだ地味に結構続きます。
またある程度書き溜めができたらひっそり投下します。
すみません。



少女「あ、今更だけどー、袋を二つに分けた意味あんのー?」

少年「うん?」

少女「どうせならさっきヤツに二つとも渡しちゃえば良かったんじゃー」

少年「ああ、意味あるよ。…いや、やっぱあんまりないかも」

少女「どっちだよーぅ」

少年「ふふふ。もうこの町を去るわけだからさ、ちょっとした挨拶回りってのはあるかも。少し」

少女「はー? くっだらなーい」

少年「ふふふ。そうだね」

少女「…」



少年「あ、そこを左」

少女「ん、あいよ」

少年「突きあたりを右」

少女「うい」

少年「そのまま真っ直ぐ…で、あそこを斜め右。猫の死体がある方だね」

少女「ほい」


ぶちゃっ


少女「やべ、猫踏んじゃった」

少年「気持ち悪いなぁ」




・・・


少年「――着いたよ。ここが彼の住む倉庫だ」

少女「ふぇー。こんな廃墟みたいなところに食人鬼さんがいるんだねー」

少年「うん。彼はここで割とひっそり慎ましく暮らしてるよ」

少女「んー? 人をさらってその肉を食らう、みたいなことはしてないのー?」

少女「してないんだよね。単に、死体処分の過程で廃棄する人肉がもったいないから食べてるってだけみたい」

少女「へー。きもいねー」

少年「そうだね。でも肉はタダで食えるし、彼が人肉を食べるのを面白がって持って来たりする人や、それを好都合と人肉を持ち込む人は結構いるみたいだから、食いっぱぐれることも
仕事にあぶれることもないみたいだよ」

少女「へー」


少女「で、やっこさんは今この中にいるわけー?」

少年「多分いると思うけど…ちょっと見てみようか」

少女「…チッ。しゃーねーなー」


ゴ…ゴゴゴ…


少女「うぎぎー! この引き戸立て付け悪いーっ」

少年「ふふふ。ちょっとコツがあるんだよ。ちょっと引き気味に…うんしょっと」


ズズズズズズ…


少年「ほらね」フフフ

少女「…」イラッ



カツーン…カツーン…


少女「たのもー!!」


しーん


少女「…」

少女「…お」


猫「にゃー」


少女「…」

少年「猫だね」フフフ


少女「たのもーぅ!!」



しーん


猫「…」ペロペロ


少女「…いないんですけどー? ちょっとー! 猫しかいないんですけどー!」ムキー!

少年「そりゃあね。だって、嘘だもん」スッ・・・


少女「…は? おま…」クルリ


少女「…何のつもりー?」


少年「…」ニコッ

少女「私の鉈ぶら下げて…穏やかじゃないわねー」

少年「ごめんね。人肉嗜好者の知り合いがここにいるってのは嘘なんだ。ここはただの廃墟だよ」

少女「はー? じゃああんた私をここに連れこんで何がしたいわけー?」

少年「いやぁ、大したことじゃないよ」ハハハ

少女「そういうのはいいからはよしゃべれ」

少年「いやね、もうこの町ともさよならだからさ。最後に、ね」

少年「この町でしかできない、この町の人間らしいことをしておきたいと思い立ってね」ニコ



少女「何をアホなことを…。そんなの私に関係ないとこでやればいーでしょー?」

少年「ははは。それはごもっともだ」

少年「だけど、僕が奴隷商人に捕まったのと同じ…今回は運が無かったってことで」フフフ

少女「…チッ」


少女「あ、これはもしかして…実はあんたが人食いってオチー?」



少年「いや、違うよ。それはちゃんと別にいるから安心してよ」

少女「ほっ」

少年「まぁでも…僕の言うことを聞いてくれなかったら、キミもバラしちゃって彼に提供しちゃうかも」

少女「…」

少年「…ということでまずは」

少年「持ってるお金、ぜんぶちょうだい?」

少女「…」

少女「…はぁ」


・・・


少年「へぇ。もう一万と七千も持ってたんだね」

少女「…」ムスー

少年「ふふふ。助かるよ。当座の生活費や奴隷の焼印を消すための治療費とか、まだまだお金はかかるからねぇ」

少女「…はぁ。ついてなーい」

少女「まーいーや。その金だって父ちゃんのはらわた売ってのあぶく銭みたいなもんだしー」

少女「てめーもぶち殺したくなるほどムカつくけどー、まー死体をちゃんと処分してくれんなら寛恕してやるよーぅ」

少年「…」



少年「…なんかつまらないなー」

少女「…は?」

少年「なんかその余裕かましちゃってる感じ。いまいち犯罪してるって感じがしないんだよねー」

少女「…お前いかれてんじゃねーの?」

少年「いやいや、この町の人はみんなそうでしょ。父親を殺してバラバラにしてへらへらしてるキミだって大概さ」

少女「うっせー」



少年「そうだ、じゃあアレしよう。僕、ちょっとやってみたかったんだよねー」

少女「…なにさ」

少年「服を脱いで」

少女「……は?」

少年「服を脱いでって」

少女「…身ぐるみまで全部もらう気ー? てめーはとことん金にきたねーなー」

少女「うるさいなー。とっととしてよー」ブン


ドガッ



少女「ッッぅぎゃあ!! 痛いぃ!」


少年「はははは。ごめんごめん。大丈夫、峰打ちってヤツだからさ。頭は割れてないよ」クスクス

少女「ぃいい…」ブルブル

少年「あんまりごねられたりするのも面倒だからさ、とりあえず言うとおりにしてよ」

少女「……」


・・・



少女「…」

少年「ふふふ。貧相な体つきだね」

少女「…うっせー」

少年「まぁまだ幼いし、ご飯をたくさん食べて大きくなればいい感じになるかもね」

少女「余計なお世話だよーぅ…」

少年「ふふふ。じゃあ素っ裸になってもらったところで早速」


少年「今から君を犯すね」


少女「……は?」



少女「お、お前…それが目的か…?」

少年「そうだよ? さっき身ぐるみがどうとか言ってたけど、あれはろくな金にならなそうだしいらないから」

少女「…っ」

少年「いやさ、僕も興味あったんだよね。いっつも男ばっかりだったからさ、女はどんな感じなのかなーって」

少年「抵抗してもいいよ。抵抗してくれる方が犯してるって感じするし」フフフ

少年「でもあんまり激しいようだったら殺しちゃうかも。気をつけてね」

少女「……畜生が…」

少年「ふふふ。じゃあ、やってみようか」


・・・



パンッ…パン…

ぬぼっ…ぬぼ…



少年「…ッ…ふぅ…」スコスコ

少女「いっ…ぁ…いだぃ…」パンパン

少年「はっ…はは…。ごめん…もぅちょっとでおわる…から…っ!」ズンッ

少女「あぅ!」ビクッ

少年「ぁ…ッ…出る…!」ブルッ

少女「っ! …や…ゃめ…ろ…あう!」ズキン

少年「…ッ…ぁ…くっ…」ビュルッビュルル

少女「…ッ! …ぁ…あぁ…」フルフル

少年「…っっ…くぁ……ふぅ…」ヌポンッ

少女「…いっっ…ぐ…」トロォ



少年「…はぁ。ふふふ…。すごく気持ちよかったよ…」

少女「…はっ…はぁ…」ブルブル

少年「ははっ…いっつも男相手だったから分からなかったけど…女の体もこんなに気持ちいいんだね…ふふ…」

少女「…て、てめ…こ…ころ…」

少年「ふふふ…」



少年「ふぅ、楽しかった…。じゃあ僕は帰るよ。お金…悪いけど全部もらってくね」

少年「服はここに置いてあるから…ふふふ」

少女「まち…ゃ…が…あっッ!」ズキッ

少年「ははっ…。破瓜ってのはそんなに痛いのかい…? それとも、僕があんまり乱暴にしちゃったからかな…?」フフフ

少女「…ぐぅ…」

少年「自転車もついでにもらっていこうかと思ったけど…それは君の体のお代ってことで勘弁してあげるよ」

少年「じゃあね、ばいばい。死体の残りはちゃんと始末しておくから安心してね」

少女「…ッ」

すみません、落ちが思いつかないので惰性でまだ続きます…。



・・・


少女「ち、ちぎしょう…あのクソガキ…覚えてろ…」フラッ

少女「くそっ…まさか私が隣のアキちゃんと同じ目に遭うなんて…」

少女「…まぁ…相手が気持ち悪い中年じゃないぶん、いくらか私のほうがマシだけど…ッッ!?」ヌルゥ

少女「気持ちわりぃ…まだ垂れてくる…。きったねぇもん大量に出しやがって…」

少女「…孕んじゃったらどうしよ…」

少女「くそ…犯されるってのはこの上ない屈辱なんだよーぅ…」



・・・


医者「――…えぇ…はい…。じゃあ後ほど…はい…。…失礼します…」カチン

少女「お医者さーん…」フラリ

医者「ん…お嬢ちゃんか…。あぁ、自転車は裏に置いといて…」

医者「…変な歩き方だね…。お腹の調子でも悪いのかい…?」

少女「ぃやあ…ちょっと強姦されちゃってー…。股が凄まじく痛いんだよーぅ…ぁいたっ!」ズキンッ

医者「へぇ、そうかい…。アフターピルっていう事後でも有効な避妊薬があるけど…使うかい…?」

少女「…ちょうだい」

医者「五千ね…」

少女「…」




・・・



がらら



少女「ただいまー…」ヨロリ

少女「おかえりー…」

少女「…はぁ」

少女「股いてー…気分わるーい…」

少女「っつーか…ほんとに大丈夫なのかな…」

少女「初潮がきてないなら大丈夫って…なんだよ初潮って…」

少女「あー疲れた…怠い…痛い…」ズキズキ


少女「…はぁ」

少女「…今日はいろいろあってくたびれたよーぅ…」

少女「…」

少女「…寝るにはちょっと早いけど…いいかな…」

少女「…起きてたら腹減るし…股痛いし…」

少女「うん、寝よ…」ドサッ



少女「…」

少女「…」

少女「…町の外、か…」

少女「…」

少女「…ま…明日もがんばろ…」

少女「…」

少女「…」

少女「…」

少女「……z」



――
――――
――――――





少女「あーたーらしーぃあーさがきたッ!」


少女「ふんふーんふふんふんふーんふん!」

少女「はっはー! 昨日はいろいろ大変だったけどー、私はへこたれなーい!」

少女「父ちゃんは死んだしー! あのガキのポコチンはいつか引きちぎってやるとしてー!」

少女「今日から私の人生は一新! リスタートするのだー!」フンスッ



婆「うっさいッ! 朝っぱらから喧しいわッッ!!」

少女「黙れ糞ババア! 今の私を止められるやつはどこにもいないんだよーぅ!」

婆「あんだとッ!?」

少女「へへーん! 悔しかったら捕まえてみろよこの老害がー!」

婆「言ったね…ッ!」

少女「はっはー!」



・・・


婆「捕まえた」

少女「はっはー。なかなかの健脚をお持ちでー」



婆「じゃあ散々罵詈雑言を浴びせてくれたお返しに、ケツ百叩きをお見舞いしてやろう」

少女「はー? ふっざ…ぎゃあ!」スパーン

婆「はっはァ! いい声で鳴くじゃないかァ!」

少女「ざっけんじゃ…くそサドババアが…ぎぃあ!」ビターン

婆「減らず口が治るまでってのもアリだねェ!」スパーンスパーン

少女「ぎッ…ぃアッ! ちょ…まじ…いったあぁああああ!!」ベチーンベチーン

婆「はっはっはっ。こりゃいい小太鼓だねぇ!」ベチッベチンッ

少女「待って…ホントに一回タン…マ゛あ゛!?」


べちーんべちーん…



・・・


少女「………」ビグッビグッ

婆「この小娘、情けでウチの飯屋で雇ってやった恩も忘れやがって…。クビにしたらすぐこれだもんねぇ…」プハー

少女「……」ビクッビクッ

婆「全く…こんな悪童がつけあがるせいでこの町の治安の悪さに拍車がかかるんだよ。まぁどうでもいいけど」

婆「ふぅ。憂さ晴らしも済んだしあたしゃもう行くよ。いい時間潰しになったわ」

婆「それとお前、股から血ぃ滲んでんけど…もしかしておめでたいヤツか?」

少女「……」

婆「いよいよお前もいっちょ前の女かー? こりゃ今夜は赤飯でも炊こうかね」クックックッ

婆「でもお前にゃ食わせないがな。あっはっはっ!」スタスタスタ


少女「……」

少女「ち…ちぐしょお…」

続きます…。


・・・



少女「くっそぉ…あのババアのせいでせっかく落ち着いてきた股がまた痛んできた…」ヒリヒリ

少女「…」

少女「…股がまたまた痛んできた…」

少女「はっはー! どんな時でもユーモアを忘れないとは流石私なんだよーぅ!」

少女「惜しむらくはこの前衛的なギャグを理解できる感性を持った者と、このユーモアセンスを発揮できる場が無いことか…」ムムム

少女「…っと、こう私の多能さを顕示してる場合じゃなかった」

少女「とりあえず、これからの食い扶持を稼ぐための仕事を探さないといけないんだよーぅ」

少女「ってことでー、とりあえず商店街の方に行ってとっかかりを探してみよーぅ!」



・・・


少女「…商店街」

少女「相変わらずどこもしけてんなー」


魚屋「…らっしゃい」プーン

八百屋「…」プハー

薬屋「…ひっひ」

本屋「…」シーン

定食屋[準備中]

郵便屋「…」ボー

豆腐屋「…」プピー

お巡り「げっげぇ…」ボリボリ


少女「…」

少女「あ、肉屋」


肉屋「はっはっはっ! 今ならお肉全品特売セール中だよ! どうだい!?」

客「…腸詰めソーセージ三つ」

肉屋「あいよ! あんちゃんあんまり見ない顔だね! よっしゃ、ウチをひいきにしてもらえるよう、これサービスね!」ガサゴソ

客「…何の肉だよ、それ」

肉屋「ん? 蛇さ! この前庭にいたやつをとって食ってみたら意外にうまくてさ、今度から取り扱ってみようと思って」

客「…」

肉屋「お試しキャンペーンってヤツで安売りしてんだけどなかなか売れないんだよなぁ…。なぁに、食えないことはないから安心しな! 多分」

客「…大丈夫か、これ…」


少女「…」



肉屋「お試しキャンペーンといえばこれもだ! どうだい!」

客「…なんだよ、『何かの肉』って…」

肉屋「はっはっはっ。気になるだろー? それは食べてからのお楽しみだ!」

客「…」

肉屋「少なくとも牛、豚、鳥とかそのあたりではないぞ。もしかしたら食べてみても分からんかもな! はっはっはっ!」

客「…」


少女「…」



少女「…まーどこも似たり寄ったりであんま景気良さそーではないし雇ってくれないだろーなー」

少女「うーん…」

少女「…」

少女「…ん? あそこにいる立ちんぼ女は…」


娼婦「…」


少女「淫売めくら女だー! ひっさしぶりー!」

娼婦「っ! ちっ…。そん口の悪さはおチビか…」


少女「おチビって…ぷぷぷっ。目が見えないくせによくそう言えるわねー」ケラケラ

娼婦「…相変わらず口の減らないガキだな」

少女「はっはー。客引きでもやってんのー?」

娼婦「いいや、こんな真昼間からはやんねーよ。ただの買い出しだ」

少女「目が見えないのにー? はっはっはー!」

娼婦「…うるせぇな。そんくらいできるわ」

少女「そーいやあんた、目も見えないのによく杖なしで歩けるねー。どーやってここまできたのー?」

娼婦「…感覚で分かんだよ。アタシはな」

少女「へーすごーい! 胡散臭ーい!」

娼婦「…」



娼婦「…っつーか用がねぇなら消えろよ。お前にかまってる暇は…ねーことはねーけど…」

少女「どーせ帰ったってあんなゲテモノ娼館端からがらんがらんだろー? わざわざあそこ行く客なんてどんな異常性欲者だよーぅ」

娼婦「…うるせぇな。お前にゃ関係ねーだろ」

娼婦「それに客だってそこそこ入ってくんだよ。それが本当に好き者だかお情けや哀れみで来るんだかは分からんが」

少女「なるほどー、人の良心につけこんでってかー。やっるぅー!」

娼婦「…どうだかね。まぁ、興味もないし考えるほどでもないね。金を零してさえくれりゃ、それでいい」

少女「へー。まーお前の店ほとんど障害者のくせに美人揃いだからなー。情に訴えかけやすいのかもねー」


少女「あ、そういえばだるまお姉さんは元気ー?」

娼婦「あぁ、姉さんは相変わらずウチのトップだよ。病気もなく息災だ。毎日にこにこ元気でピンピンしてるよ」フッ

少女「手足がないのにねー。それにピンピンじゃなくてパンパンでしょー? あはははは!」

娼婦「…お前ホントに口の悪さは天下一品だな」


少女「でもねー、だるま姉さんのことはホント尊敬してんだよー」

娼婦「…お前の口から尊敬なんて言葉が出てくるとは驚きだ」

少女「だってー、だるま姉さんってホントに綺麗じゃなーい?」

少女「肌も綺麗だし髪もつやつや~。顔もお人形みたいに可愛いしおっぱいもおっきい!」

少女「私もあんな美人に生まれたかったなー。そんで男どもを悩殺してー、貢がせて生きるのー!」

娼婦「…それは尊敬じゃなくて羨望だろ」

少女「あ、でも手足がないのはゴメンだけど! あっはっは!」

娼婦「…」



娼婦「まぁ…でもお前はまだちっこいし、これからじゃないか?」

少女「じゃー私もいつかだるま姉さんみたいになれるかなー!?」

娼婦「さぁ。私は目がこんなんだし何とも言えんがね。まぁ、でも夢を見るならタダだからな」

少女「ふふふっ。だったら、意中のあの人もいつか落とせるかなー?」ムフフ

娼婦「…?」

少女「聞きたい? 私の小さな恋の話」ムフフ

娼婦「いや、全然興味ない」

少女「ぶー!」

続きます…。すいません。



少女「あ、そういえば私もう処女じゃないんだよー」

娼婦「へぇ、そいつは…おめでとう、か? わかんねぇけど」

娼婦「どんな初体験だ?」

少女「強姦!」

娼婦「まぁ、そうだろうな」

少女「あれくっそ痛いんだけどー。今でも少し痛むしー」

少女「どうすればあんたみたいにアンアンアンアン色狂いになれるのさー?」

娼婦「…別に色狂いってわけじゃねぇ」



娼婦「まぁ、慣れだよ。数こなしてりゃ、いくらか気持ちよくなってくる」

少女「へー。だるっ」

娼婦「じゃあ、どうだ? なんならこれを機にウチで働いてみるか? それなりに金になるぜ」

少女「いやよーぅ。あたしゃー金で体を許すほどお安くないのよーぅ」

娼婦「こんな糞みてぇな町で生きてるくせになにお高くとまってんだ。んな貞潔なんて一銭にもならねぇよ」

少女「っていうか私はまだそんな客をとれるほどまで体成熟してないと思うしー」

娼婦「そうなのか? 今いくつだっけ?」


少女「じゅう!」

娼婦「ふぅん…確かになんぼか早いな。私があそこで働きだしたのが確か…十二、三くらいのときだしな」

少女「まーでも、将来あまりにも困窮してにっちもさっちもいかなくなったら考えとくわー」

娼婦「…そうかい。お前があんなに侮蔑してたアタシらの仲間になってくれることをそれなりに楽しみにしてるよ」

少女「はっはー」



お巡り「げっげぇー。おい、お前ぇ」

少女「げっ」

娼婦「げっ、この声は…」

お巡り「よぉ、めくらに嬢ちゃぁん。いま『げっ』って言わなかったか?」

少女「いんやー?」

娼婦「そりゃあ旦那の笑い声じゃないですか?」

お巡り「んー? そうかァ?」ボリボリ



娼婦「…久方振りですね、旦那。何かご用で?」

お巡り「おー。あんまり平和…っつうか暇だからよぉ、風営法ナントカカントカってことでお前の店を調べに行こうと思ってよぉ」ゲッゲッゲッ

娼婦「…またですか。うちを贔屓してもらえるのは有難いんですが、その楽しまれた分の料金を踏み倒されるのはちょっとですね…」

お巡り「へーへー。そんなのはどーでもいーからまず行こうぜぇ。げっげっげっ」ボリボリ

娼婦「ッ…」

娼婦「はっはー。どんまーい」ボソッ

>>113 訂正


娼婦「…久方振りですね、旦那。何かご用で?」

お巡り「おー。あんまり平和…っつうか暇だからよぉ、風営法ナントカカントカってことでお前の店を調べに行こうと思ってよぉ」ゲッゲッゲッ

娼婦「…またですか。うちを贔屓してもらえるのは有難いんですが、その楽しまれた分の料金を踏み倒されるのはちょっとですね…」

お巡り「へーへー。そんなのはどーでもいーからまず行こうぜぇ。げっげっげっ」ボリボリ

娼婦「ッ…」

少女「はっはー。どんまーい」ボソッ



少女「このイカレチンポは性病持ってるって近頃噂なってるしー、まーご指名入れられないよーにねー」ボソボソ

娼婦「…あぁ」

お巡り「んじゃー行こーぜェ。おら、ガキはとっとと失せな」

少女「はーい」

娼婦「…じゃあな、おチビ」

少女「ばいばーい」

続きます…。
遅筆で申し訳ないです…。
次からたてるのは最後まで書き終えてからにします。


・・・


少女「んー、ここらは商店街から結構離れちゃうなー」

少女「商店街からもそこそこ距離があるし…」

少女「うーむ…」

少女「…む、あんなところにタバコ屋が」

少女「くそババアや肉屋のピザ野郎もタバコはここで買ってんのかなー?」

少女「…よくよく見ると中々に小綺麗な店構えじゃなーい。繁盛してんのかなー?」

少女「うーむ…、タバコ屋…タバコ屋…」

少女「タバコは好きじゃないけどー、仕事は楽そうだねー!」

少女「よし、聞いてみよー!」


少女「すんませーん!」



たばこ屋「…あいよ」

たばこ屋「って、ガキじゃん…。まぁ、金があるなら売ってやるよ」

少女「雇ってくださーい!」

たばこ屋「あん?」

少女「仕事探してまーす!」

たばこ屋「…」ポリポリ


たばこ屋「ウチは人手が足りてるよ。っつーことで、煙草買わねーならとっとと帰んな」シッシッ

少女「えー」

少女「あんた私を相手にすんのが面倒だからテキトーにあしらおーとしてんじゃないのー?」ムーッ

少女「店長だせー店長」

たばこ屋「ウチが店長だよ」

少女「はー? まだケツの青そうなあんたがー?」

たばこ屋「おめーから言われたくねぇよ」

少女「え、まじで店長?」


たばこ屋「店長だったジジイが死んで親父は蒸発してっから孫のウチが継いで店長やってんのよ」

少女「へー、若いのに大したもんだねー。あんたまだ二十もいってないでしょー。なんとかなるもんなのー?」

たばこ屋「何とかなるよ。要は腕次第だからな。経営手腕の見せ所だ」フフン

少女「ふーん?」

たばこ屋「…っと、客だ。ほら、もういいだろ? さっさと帰った帰った」シッシッ

少女「えー」




怪しい男「…よう」

たばこ屋「おう」

怪しい男「捌いてきたぜ。完売だ。客も安定してきたしいい感じだ。これからもよろしく頼むわ」スッ

たばこ屋「あいよ。んじゃこれな。今回はちょっと量を足しといた。なに、訝しまなくてもいい。ただのサービスだよ」スッ

怪しい男「おぉ…悪いな…。くっくっ…ボロい商売だぜ、全くよぉ」

たばこ屋「へーへー。ま、ヘマはしないようにな。それとあんまり過ぎたことはすんなよ。痛い目見んのはお互い様だからな。大事なのは着実さだぞ」

怪しい男「あぁ…わかってんよ…。くっくっくっ…じゃあな…」

たばこ屋「毎度ー」



たばこ屋「…」

たばこ屋「…あいつなんか怪しいなぁ…。調子乗って変なことに手を出さなきゃいいんだけど…」ボソッ

たばこ屋「…」

たばこ屋「ま、いっか。どうせとっかえのきく末端の売人だし」

たばこ屋「あいつがガラ押さえられてゲロっちまっても困らないよう一応根回しはしてるし、最悪兄貴に頭下げれば何とか収められるだろうしな…」

たばこ屋「あ、でもそうなればまた見返りに兄貴の変態プレイに付き合わされんのか…くそ…」グチグチ


少女「…」ジーッ


たばこ屋「…って、お前まだいたのかよ」

少女「ねーちゃん、タバコ屋の他にもなんかやってんのー?」

たばこ屋「さぁね。どーだろーねー」

少女「…」ジーッ

たばこ屋「…はぁ。つーかもう帰ろよ。なんかいろいろ邪魔だ。ほら、ウチの昼飯やるから」ホレ

少女「わーい! お団子ー!」

たばこ屋「ほら、帰った帰った」シッシッ

少女「うん! わかった!」

少女「あんがとなーねーちゃん。また来るよーぅ!」

たばこ屋「来んならタバコ買えるようになってからなー」

すみません…続きます…。


少女「…お、また誰か来たよーぅ。やっぱ繁盛してんのねー」

たばこ屋「あん? あぁ…」

少女「…ん?」



坊主「――そんで今日も隣街行ってきてねー。今日は四軒も回ってお祓いしてきたよー」ナハハ

女「へー大変そぉー」ベタベタ

坊主「全っ然、そんな大したことじゃないよ。俺マジで由緒正しき寺生まれだからさー」

坊主「ちょっと破ァーーッてやれば楽勝だってぇー」

女「えー何それー」キャッキャッ


少女「…」



たばこ屋「いらっしゃい」

坊主「あ、いつもの。今日は…カートンで!」

たばこ屋「カートンでね…あいよ。いつもありがとさん」ヒョイ

坊主「どうも。いやー今日も可愛いねーたばこ屋さん。今度俺と一緒に滝行しない?」ニカッ

たばこ屋「なんだその変な誘い文句は。ウチじゃなくて商売相手の幽霊でも口説いてろよ」ヤレヤレ

坊主「なははは。手厳しいなー」

坊主「…ありゃ、金が足りない。面目ない、やっぱりふた箱だけ…」

たばこ屋「構わんよ。買ってもらえるだけありがたい。ほい」スッ

坊主「ありがとー」ニコ

たばこ屋「毎度ー」フリフリ



坊主「あー金足りねー。ごめんねー、今日は近くの酒屋でお酒買って帰ろっかー」

女「えぇー」

坊主「ごめんごめん。今度バイクで二ケツして、隣街にあるいい居酒屋に連れてってあげるからさー」

女「えーバイク持ってるのぉ? すっごぉい。絶対だよぉ?」


キャッキャ…



少女「…」

たばこ屋「…」

少女「…あのハゲほんとに和尚さんなのー?」

たばこ屋「らしいけど」

少女「あのハゲ全然解脱できてないよーぅ。修行不足だろー」

たばこ屋「最近の坊さん事情的にはありなんじゃねぇの? ウチにとっちゃどうでもいいし」フワァ…

少女「…」


少女「…破ァーーッてなにー?」


たばこ屋「さぁ?」ヒッサツワザトカジャネ?

申し訳ない…続きます…。


・・・


少女「…弱った。結局まだ仕事が見つかってない…」

少女「むむむ…こうなったらもう少し創作範囲を広げてみるかー」

少女「うーん…、とりあえず駅方面向かって見よっかなー。結構距離あるし流石に道中何かしらあるっしょー」テクテク

少女「…」テクテク

少女「未だかつてここまで勤労意欲に溢れた少女がいただろうか…いやいないだろう…」ボソッ

少女「むふふー私ってば求職者の鏡だね!」グフフ


・・・


テクテク…


少女「…」キョロキョロ

少女「…無いなぁ」ハァ…

少女「勤労意欲はあっても仕事がない…。こりゃこの国の政治を見直さにゃー…」グウゥ…

少女「…」

少女「腹へったー。お団子お団子ー」ガサゴソ

少女「む…御手洗…」

少女「ずんだが良かったなー。まぁ食うけど」パクッ


コソコソ…

ヒソヒソ…


禿頭の男「…さっき川原で死体を見つけたんだけどよ」

猫背な男「ほんとか!? 金目の物は持ってたか?」

禿頭の男「いんや…丸裸だったからさ…」

猫背な男「んだよ期待させやがって…そのまま捨てとけ」


少女「…」クッチャクッチャ


・・・


少女「…」テクテク

少女(…今日も今日とて曇天模様)

少女(そういえばしばらく太陽を見てないような気がする)


柄の悪い男「…だ、誰か! 助けてくれ!」


少女(…全く、ただでさえ陰気臭い町なのに、よけい陰鬱な気分になっちゃうよーぅ…)


柄の悪い男「は、はは、はら…腹を刺された…!」


少女(…でも)


柄の悪い男「ち、ちちちち…血が止まらね…だ誰か…!」ガタガタ



少女「…今日も平和だなー」フワァ…


黒服の男「捕まえた」ガシッ

柄の悪い男「ひいぃっ!!?」ビグッ

黒服の男「さ、戻ろっか」ズルズル

柄の悪い男「だ、誰かっ! 誰かぁ!!」


少女「…」ジーッ

少女「げっ、余所見してたらウンコ踏んじった」ベチョォ…



・・・


少女「…」テクテク


私娼「誰かぁ! ひったくりィーー!!」

小柄な男「へへっ」

骨ばった男「どなたか…お慈悲を…」フルフル

白装束の女「そこのあなた。現世に舞い降りし神たる者の存在をご存知ですか?」

血塗れの男「…」

斜視の男「…」モゴモゴ


少女「…」

少女(…どっかに一生安逸を貪ることが出来るほどの金でも落ちてないかなー…)テクテク



・・・


少女「……とまぁ、職を探して三千里」

少女「タバコ屋から時間にして約四十分。なんやかんやで廃駅前の広場まで来ちゃいました」

少女「道中見掛けたのは何故か半壊してる花屋に謎の町工場、それと何処と無く怪しげなパン屋らしき店…。どれもパッとしませんねー」

少女「うーん、掲示板に求人広告でも載って…」

少女「ないかー…」

少女「全く、世知辛い世の中だよーぅ…」ションボリ

続きます…。



少女「…」

少女「にしても、なんかこの辺りは頭おかしーヤツが多いなー」


痩せこけた男「…ぁ」フラ…

白髪の女「…きヒっ」ポタポタ

車掌風の男「…線に電…が……す…」ボソボソ


少女「うわーえんがちょー。くわばらくわばらー」



痩せこけた男「やめ、ろ…消えろ…」ブルブル

白髪の女「花が…花が…」ヒヒヒヒヒ


少女「…」

少女「いやーこれからどうしよっかなー」


少女「うーん」

少女「…」ムムム…

少女「…はぁ。とりあえずなんか歩き疲れちゃったし、これからの方針を小考しがてらちょっくら小休止を…」

少女「お、そしてなんともお誂え向きにあっちに長椅子があるよーぅ」

少女「ふいーくたびれたー」テクテク

少女「…」ピタッ

少女「…」

少女「……」



少女「…なんかキモイ先客がいるなー」ムムム


道化師「…」ドヨーン


少女「あの化粧したトラウマ級のキモイ面はピエロってやつー? いかにも景気悪そうな面してるー」


道化師「…はぁ」ドヨーン



少女「…まーいっかー」

少女「おっさーん、隣いいー?」

道化師「…」ピクッ


道化師「…おっさん、か…。うん、いいよ…」

少女「あれー? おっさんていう年じゃなかったー?」ヨッコイショ

道化師「…僕はまだ二十八だからね…」

少女「へー。なんか反応に困る年だねー。それに年齢より老けて見えるしー。疲れた顔してっからかなー?」

道化師「…」ズーン


少女「じゃあ…あんちゃん。あんちゃんは何してんのー?」

道化師「僕は…大道芸人――ピエロをやってるんだ。やってたんだ…」

少女「へー」

道化師「今は諸々の事情で廃業手前で今こうしてあれこれ思い悩んでいる最中さ…」フフフ…

少女「ふーん。どーでもいーけどあんちゃんピエロのくせに陰気臭いんだねー。なんか変なのー」

道化師「…」ズーン

道化師「…でも四六時中、プライベートのときでも陽気なピエロってのも気持ち悪くない…?」

少女「まー、程度によりけりだねー」


道化師「…お嬢ちゃん、よかったら僕の身の上話を聞いてくれないかい…?」

少女「えー、突然なにー。なんか長くなりそうだからちょっとー…」

道化師「飴ちゃんあげるから…」スッ

少女(棒付き…)

少女「しょうがないなー」ペロペロ


道化師「ははは…。大丈夫、あんまり長くしないからさ…」

道化師「ちょっと…誰でもいいから聞いて欲しいんだ…。聞いてくれるだけで…」

道化師「吐き出したいんだ…。じゃないと…鬱屈で押し潰されそうだから…」

少女「前置きから長いよーぅ」ペロペロ

道化師「…」ズーン

続きます…。面目次第もないです…。すいません。

  バン   はよ
バン (∩`・ω・) バン はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/

    ; '  ;
     \,( ⌒;;)
     (;;(:;⌒)/
    (;.(⌒ ,;))'
 (´・ω((:,( ,;;),
 ( ⊃ ⊃/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/ ̄ ̄

        /\
      / /|
     ∴\/ /
     ゜∵|/
  (ノ・ω・)ノ
  /  /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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 _/_ミつ/ ̄/
    /_/ ̄ ̄ ̄ ̄



道化師「…僕はね、今はしがない大道芸人…いや、旅芸人をやってるんだけど…これでも元々はいいとこの生まれなんだ…」

少女「ふぇー?」ペロペロ

道化師「親は大手起業の社長を勤めてたらしくてね…。ずっと昔の話だからどこのとかはよく覚えてはいないんだけど…」

少女「じゃああんちゃん金持ってんの―!?」キラキラ

道化師「…いや、昔…昔の話だよ。それに十歳位の時に親と決別したからね」

少女「あ、ふーん」バリッ

道化師「……」


道化師「そう…今思えばそんな家の長男として生まれた僕は、そのまま生きていれば輝かしい栄光と確かな未来は約束されてたんだ…」

少女「ほぇー」ボリボリ

道化師「でも…僕が八歳の頃…。僕は出会ったんだ。それは――」

少女「もー少し端折って簡潔にならないー?」

道化師「……」ズーン


・・・


道化師「――で、僕は親の反対も押し切り家を飛び出したんだ」

道化師「…その時、僕は思ったんだ。決心したんだ」

道化師「親の敷いたレールに沿って生きるだけが僕の人生じゃない。僕は僕が信じた道を行くって」

道化師「僕は僕だ。僕が生まれ落ちた瞬間から僕の人生は僕のものに違いないんだ」

道化師「だから僕は――!」

少女「あんちゃん、もー飴無いのー?」

道化師「……」

少女「…」


道化師「…」スッ

少女「サンキュー」ペロペロ

道化師「…それから僕は」


・・・


・・・


道化師「――そして、正式にサーカス団の一員として、一人前として認められて、一演目を担うことできたんだ」

道化師「…嬉しかったよ。それからの毎日は辛くもあったけど、それ以上に楽しかった…」

道化師「僕が僕自身の力で歩んできたその道程が…皆に認められてるような気がして――皆が僕を称えてくれてるかのように思えた」

道化師「僕が最高に輝いていて、最高に生きているって実感できた瞬間だった…」

少女「…」ポケー

少女(…お、何だ…ガリ男と車掌が何か言い合ってるぞ…。む…むむむ…気になる…)


・・・


道化師「……僕は、酒と色欲に溺れた。毎日遊惰に自儘に暮らした…。堕ちていくことは分かっていても、止められなかった…」

少女「…」

道化師「は、はは…。あの頃の天狗になっていた僕をぶん殴りたいよ…」

道化師「……だから僕は、本当に大切なものも…見失ってしまった……」

道化師「僕は……無くしてから……僕は……」

道化師「…う…ッ……ふぅっ…ぐっ……」フルフル

少女「…」


少女(…車掌とガリ男の勝負は車掌の勝ちかー。ガリ男のヤツ全然動かないけど生きてんのかなー?)


道化師「……っ………ご、ごめん、続けるね…」グスッ


・・・


・・・


道化師「――…で、ここに流れ着き、君に出会い、今に至るわけなんだけど…」

少女「…」

道化師「僕は…僕は果たしてこれでよかったのかなって…そう思うんだ。思わずにはいられないんだ…」

道化師「…って、ははっ…。やっぱり子供にするような話しじゃないか…」

少女「…」

道化師「…」


道化師「お嬢ちゃん…。お嬢ちゃんは…どう思う…?」

少女「…」

道化師「…」


少女「………z」


道化師「…………」


道化師「…」

少女「zz…」

道化師「…はぁ」

道化師「…」


道化師「…お嬢ちゃん、もういいよ…」ユサユサ

少女「zz…んぁ? …ぁ…あー…」ジュルッ

道化師「…」

少女「…」



少女「もうオッケー?」

道化師「…うん、オッケー…」

少女「そっかー、まー人生色々あるけど頑張ってねーあんちゃん」ポンポン

道化師「………うん」

少女「んじゃばいばーい。私も色々と忙しいからもう行くよーぅ」スタッ

道化師「うん…じゃあね…」



道化師「…」

道化師「…はぁ…」

道化師「…」

道化師「…はぁ」


道化師「…どうしよう…これから…」



怪しい男「おう、兄ちゃん。しけた顔してんなぁ」

道化師「…どちらさま?」

怪しい男「いいや…別に名乗る程のもんでもねぇけどよぉ…」

道化師「はぁ…」

怪しい男「何かそのしけた面が見てらんなくてよぉ」

怪しい男「景気付けにこれやるよ。一発で気分が楽になるモンだ。試しに吸ってみなよ」クックッ

道化師「……」


少女「ふんふーん♪」テクテク



・・・



舌の欠けた少女「あぅぅ…」

盲の少年「お願いだよぅ…」

少女「……」


舌の欠けた少女「あぉ…ぅぉおあえ…」

盲の少年「腹が減って…。ちょっとでいいんだ…後生だよぉ…」

少女「ええい、うっとーしーんだよーぅ! ちったぁ人を選べってんだよぅ!!」

二人「ッ!」ビクッ

少女「どう見てもお前らと大差ない薄倖の美少女だろーが! もっと割合良さげなヤツに集れってんだよーぅ!」


盲の少年「…ごめんよ。おいら目がこんなんだから…」

少女「ふんっ」

盲の少年「ほら、他を当たろう。次はちゃんとした人を見つけてくれよ」

舌の欠けた少女「あぅ…」

盲の少年「手を取っておくれ」ギュッ

舌の欠けた少女「ぅー」テクテク

少女「……」

少女「…けっ」テクテク



カァー…カァー…


少女「…」

少女「はぁ、なんやかんやでいい時間かー。もうすぐ日が落ちまうよーぅ」

少女「まー、仕事は見つからなくてもそれなりの成果はあったってことでー、今日はもう撤退しとこーかなー」

少女「うーん、家まで大体1時間くらいかー…。だるいなー」


少女「せめてチャリンコでもあればなー」ハァ

少女「…ん?」


坊主「…」プハー


少女「む、あそこで澄ましてるハゲ…。タバコ屋で見た色ボケ坊主だー」

少女「ぷークスクス! あのハゲほっぺに紅葉つけてやがるよーぅ! こりゃー女に逃げられたなー」ニヤニヤ

少女「…確かあいつバイクもってるとか言ってたしー、上手くいけばケツに乗っけて送ってくれるかもー!」

少女「しょうがない、傷心であろうあのハゲの話でもちょっくら聞いて慰めてやっかー」


少女「おーい、つるつるのおじさーん!」


坊主「? えっと…どちらさん?」

少女「今日タバコ屋で会ったよーぅ」

坊主「ん、そういや見たような…気がしないでも…」

坊主「ま、いいや。オレに何か用かい?」ニッ

少女「いやー、なんとなく話かけただけだけどー。そういえばおじさん、一緒いたあの女の人はどうしたのー?」

坊主「…………」ニガワライ

少女「…っ……っ…!」シノビワライ


坊主「まぁ…情熱的にオレの頬へ一枚の紅葉を貼り付けてどっか行っちゃったよ…」フフフ…

少女「えーどうしてー!」プークスクス

坊主「そこは…まぁ、色々と…大人の事情?」

少女「ぷークスクス! まー女なんて星の数ほどいるからどんまいだよーぅ!」

坊主「ははは…まさか君みたいな小さい子に女事情の件で励まされるとは…」


坊主「君は…ここらへんに住んでんのかい?」

少女「いやー? 私は商店街の近くに住んでるー」

坊主「はー…、ここまでは歩いて?」

少女「そうだねー。仕事探して来たんだけど、もうくたびれちゃってー」

坊主「仕事探しねぇ…お疲れ様」

少女「そうそう、おじさんバイク持ってるっつってたから、ケツに乗せて家までおくってって貰おうかと思ったんだよーぅ」

坊主「よく知ってる…っていうか凄いドストレートな言い分だね…」

>>196訂正


坊主「君は…ここらへんに住んでんのかい?」

少女「いやー? 私は商店街の近くに住んでるー」

坊主「はー…、ここまでは歩いて?」

少女「そうだねー。仕事探して来たんだけど、もうくたびれちゃってー」

坊主「仕事探しねぇ…お疲れ様」

少女「そうそう、おじさんバイク持ってるっつってたから、ケツに乗せて家までおくってって貰おうかと思ったんだよーぅ」

坊主「よく知ってる…っていうか凄いドストレートな言い草だね…」


少女「だめー?」

坊主「ふっふっ…お嬢ちゃんには叶わないや…。と、言いたい所だけど、生憎…」

少女「?」

坊主「バイク盗まれちゃってね…」ハハハ…

少女「ぷークスクス!」


坊主「見せびらかすつもりで乗り回してたけど、この町の治安の悪さを完全に失念してたよ…」

少女(チャリンコですら重宝されるこの町でバイクを乗り回すなんて愚の骨頂なんだよーぅ!)

少女「そっかー、ならいいやー。自分の足で逞しく歩いて帰るよーぅ。ばいばーい」プークスクス


坊主「ちょい待ち! お嬢ちゃん」

少女「なにー? なんかくれるのー?」

坊主「いや、違うけど…。もう暗くなるし、そろそろ危ないヤツも多くなるから、せめて近くまで送っていくよ」

少女「……」

少女(うむ、確かに…。それにいくら胡散臭くても傍らにこんな法衣纏ったヤツが居れば暴漢も襲ってこないかもしれないなー)

少女「ほんとー! じゃあボディガードお願いするよーぅ!」

坊主「ふっふっふっ。いくら少女でも困ってる女はほっとけないタチでね…!」ウインク

少女「はっはー!」



・・・


少女「ねー、おじさんってやっぱ坊主なのー?」

坊主「ふっふっふっ。そりゃこの格好からしてね。でもどうしてそんなことを?」

少女「いやー、なんか言動に胡散臭さがにじみ出てるからなんとなくー」

坊主「歯に衣着せぬ率直な物言いだね…」

少女「あははー」

坊主「だが、実はお嬢ちゃんの疑念正しくさ。素晴らしい慧眼だよ」ニヤリ


少女(なにしたり顔キメてんだコイツ…)

坊主「実はオレ、詐欺師なんだ」

少女「ふぇ、詐欺師?」

坊主「うん。だから坊主なんて真っ赤な嘘。法衣を纏って坊主の真似事してるだけなんだ」

少女「ふぇー、それで飯食ってんのー?」

坊主「ああ。オレは元来演技派でね。幼少時演劇をかじってたこともあって、そういうの得意なんだ」

坊主「これやる前なんかは同じような人種何人か集まってオレオレ詐欺なんかやってたからね」

少女「??」


坊主「まぁそれはオレの不手際で、オレ以外パクられちったから足を洗ったけど」ハハハ

少女「それは余所でやってたのー?」

坊主「うん。実はその際オレもパクられそうになったけど、なんとか遥々この町まで逃げ込んで事なきを得たってワケなんだ」

少女「ふーん。で、今この町で商売してるんだー」

坊主「いや、とてもじゃないが、この町じゃ商売は厳しいよ。坊さん詐欺もオレオレ詐欺も含め」

少女「そうなの?」

坊主「うん。みんな疑り深いし、信仰心も薄い。それでもって薄情で、何より金を持ってないから」

少女「あー、そうだねー」


坊主「それで今はここを根城にして、隣街まで赴いて商売をしてるんだ。今は坊さん詐欺だね」

少女「おれおれ詐欺ってのはやらないのー?」

坊主「ああ、それは世間の認知度が非常に高まったから辞めたよ。今じゃ最もポピュラーな詐欺だから難しいよ」

少女「だから今は坊さんの真似事ー?」

坊主「うん。オレオレ詐欺に比べ、この坊さん詐欺はやりやすいよ」

坊主「一方的に騙し取るオレオレ詐欺よりは、形式的にちゃんとした商売に近いから警察ざたになりにくい。インチキだけどね」


少女「それってどんなことしてんのー? 葬式の時に念仏唱えたりするのー? むにゃむにゃーって」

坊主「いやー、そこはちょっと参入し辛いんだよねー。そこはやっぱ、みんな地域の馴染みある真っ当なモノホンを呼ぶみたい」

少女「ふぇ、じゃあそれ以外にどうやって金稼ぐの?」

坊主「それはね、占い、お祓い、霊媒ってとこだねー」

坊主「寺生まれのさすらいの霊媒師って肩書きを詐称して、知る人ぞ知る、みたいな触れ込みで商売してるんだ」

少女「はぁー、如何にも胡散臭いねー」


坊主「ふっふっふっ。でもね、こういう眉唾物感が逆に凄みっていうかそれっぽさを醸す場合もあるんだよ」

少女「でも中途半端感が凄いよねー。僧服着てんのにその設定だと、半端者とか破戒僧って感じで頼りないようなー」

坊主「…む、言われてみれば」

少女「いっそ巡礼の身の修行僧とかの方が信用性とかあるんじゃないかなー?」

坊主「あ、その設定もいいね」


坊主「まぁでも、杜撰な設定の方が色々誤魔化しが利くからね」

坊主「正当な手法と違っても、我流ですから、とかね」

少女「ふーん、微妙な匙加減なんだねー」

坊主「ふふふ。まぁこんな胡散臭さも甚だしい俺に仕事の依頼をしてくる人なんて、元から金に余裕がありまくる好き者くらいしかいないから」

少女「チョロいってこと?」

坊主「大概はね」ニッ


坊主「…っと、話し込んでる内にいいとこまで来たね」

少女「あそこがタバコ屋だからー、もうちょっとで商店街だねー」

坊主「あぁ…。タバコ屋さんに寄って傷心の俺の心を慰めて貰おっかな…」ムフフ

坊主「男の傷を癒すのは女。まして女からつけられた傷なら当然女から癒やしてもらう方が治りが早いに決まってる…」フフッ…

少女(何言ってんだこいつ…スケベ丸出しな猿顔して)


坊主「でもガード堅いんだよな、タバコ屋さん…。あぁ、いくら積めばやらせてくれるかな…」ムフッムフッ

少女「……」

坊主「…おっと、レディの前で紳士らしからぬところを…。失礼失礼」ウインク

少女「おじさん、盛ってんなら少し行ったとこに、ちょっとクセがあるけどいい店あるよーぅ」

坊主「ん、お水系? そういえばこっち方面の周辺情報は具体的には知らないんだよねオレ」

少女「娼館だよーぅ。そこで私が懇意にしてやってるヤツが働いてるのー」

坊主「…ふむ。その話、詳しく聞こうじゃないか」キリッ



・・・



娼婦「…げっ」

少女「げっ、ってなによーぅ。失礼な売女ねー」

娼婦「やっぱチビか。わりぃが今は忙しいんだよ。これからが一番の客入れ時なんだから」

少女「なんだよーぅ。ちょっとは構えよーぅ。客連れて来てやったんだからー」グイグイ

娼婦「客? その後ろの人か?」


坊主「…」

少女「そうだよーぅ。おらー、謝辞を述べ私を褒め称えるんだよーぅ」フンスッ

娼婦「はー、偶には役に立つじゃねーかおチビ。有難うな」ナデナデ

少女「ふんふんっ」ニンマリ


少女「で、どうかなおじさん。大体これくらいの水準の人が揃ってるんだけどー」

娼婦「なんかムカつく言い振りだな…」

坊主「…お嬢ちゃん」

少女「んー?」

坊主「この人マジ好みっ!」ウインク

少女「はっはー!」ケラケラ


坊主「お嬢ちゃんが粒揃いだけど身障者ばっかっていうから構えちゃったけど…全然いいよ、これくらい別嬪揃いなら!」ウキウキ

娼婦「それはどうも」

坊主「ねぇねぇ、今君を指名って出来るかな?」

娼婦「え…、それは…まぁ、構わないけど」

坊主「やった! じゃあ今夜は完徹でしっぽりお願いしますっ!」

少女「しっぽりしっぽり!」ケラケラ

娼婦「おぉ…まじか…」


少女「あ、そういえば、あの歩く劣情はどうしたの?」

娼婦「……ああ、アイツか。アイツは…あんまり目に余るようだからとうとう旦那が畳んじまって…後は知らん」

少女「ふぁー、えらいこっちゃー!」

坊主「え、なになに? なんか不穏な言葉が聞こえたけど…」

少女「えっとね、その娼館のトップのお姉さんの旦那さんがえらい恐いんだよーぅ」

坊主「え…?」


娼婦「こら、これから来ようっていうお客を恐がらせるんじゃねーよ」

少女「お店の切り盛りしてる人なんだけど元々ぶっ飛んでてー、自分の最愛の女が逃げないようにって四肢を取っちゃうなんてことを平然とやってるような人なんだよーぅ」

坊主「なにそれヤバい…」

娼婦「こ、らっ」ゴチン

少女「あでーっ!」


娼婦「てめーはホントに口が軽いな。それ誰にも言うなっつったろうが」

少女「はっはー! 信用した貴様が悪いんだよーぅ!」

娼婦「この野郎…、あんまり悪戯が過ぎるとケツひっぱたくぞ」

少女「ごめんなさい。ケツはもう勘弁して下さい」ペコリ


坊主「え、結局のとこ大丈夫? 実は本番無しとかで後でおっかない人がお金強請ってくるみたいなヤツじゃないよね?」

娼婦「大丈夫だよお客さん。全く普通の娼館だから。ちゃんと本番までやるし、値段も他と比べりゃ割安だぜ」

娼婦「店もちゃんとしてるし、遊女屋風で面白いって好評だ。リピーターも多いし」

坊主「はぁ…」

娼婦「それに件の旦那さんは、あんまり度が過ぎる客くらいしか相手しないから。普段はすごい温和な人なんだぜ?」

少女「料金踏み倒して傍若無人で性病撒き散らさない限りは少なくとも大丈夫だよーぅ」

坊主「ぅ…ん」

娼婦「まー試しに行こうぜ。男は度胸っ。一見さんってのとおチビの紹介ってことでたっぷりサービスしてやっから…」チラッ

坊主「…本当?」ムフッ

娼婦「ああ。期待してくれちゃっていいぜ」フフ


坊主「んじゃんじゃ、早く行こうよ。拙僧もう辛抱たまりませんよ」フンフンッ

娼婦「おお。んじゃそういうわけで行ってくるぜおチビ。またな」

少女「しゃれいー! 謝礼はないのー?」

娼婦「ん…、そうだよな。なら…あれ、これしかねぇや。ほれ」チャリン


少女「えー? これっぽっちー?」ブー

娼婦「一食分はあるだろ。今はそれで我慢してくれ」

少女「むー! けちけちけちー!」

娼婦「今度飯奢ってやっから。な?」

少女「むー、絶対だかんなー」

娼婦「ああ。じゃあな」フリフリ

坊主「ありがとねー嬢ちゃん」

少女「しっぽりしっぽりー!」ブンブン

続きます…すいません。あとちょっとで終わらす予定です…

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