「ホントに好きな人の為なら、何でもする」(14)


――蛍光灯の放つ光が、爛々と反射し続けるから


――バニラアイスの様な、白い病室は好きになれない



――日常から隔絶された、遠い昔の、白い箱庭


――そこにあった光景も、匂いも、感覚も、完全に消え失せて


――覚えているのは、互いに交わした言葉だけ



――あまりにも純粋に、美化されてしまったから


――あの時の自分は、何者だったか分からなくなるし


――他者の存在も、輪郭が酷くぼやけている


少女「ヤァ」

?「…………」

少女「……元気?」

?「…………」

少女「…………また」

?「…………」

少女「…………会いたかったの」

えへへ


少女「えっと…………」

?「…………」

少女「傷の具合とか」

?「…………」

少女「……どうかな」

?「…………」

少女「やっぱり…………」

?「…………」

少女「まだ、痛むよね」

?「…………」

少女「まだ、7日しか経ってないものね」

?「…………」


少女「…………私のせいで」

?「…………」

少女「…………本当に」

?「…………」

少女「…………本当に、私、私は、あの」

?「…………」


少女「…………えっと」

?「…………」

少女「あの、私…………」

?「…………」

少女「…………」

?「…………」

少女「…………」

?「…………」


少女「…………私は、」

?「…………」

少女「…………私の、えっと」


少女「う、」


少女「うまく、言葉にできなくて」


少女「伝えたいことは山ほどあるのに」


少女「どうしても」


少女「どうしても私は、私…………」


少女「……」


少女「今日は、まだ、何も言えない」

少女「でも、どうしても」

少女「どうしても、言わなきゃいけないから、」

少女「だから……」



?「あぁ」

少女「!」


?「こっちも、同じだよ」

少女「そう」

?「言わなきゃいけない気持ちが、言葉にならない」

少女「そう、なんだ」

?「……」

少女「……」

?「きっと、」

少女「!」


?「きっと、明日までには、言葉にするから」

少女「……」

?「時間を、くれないか」

少女「……うん」

?「だからまた明日、病室に来てくれないか」

少女「……わかった。それじゃ、私も、言うから、さ」



?「お互いの……」

少女「うん。お互いの本心を伝えよう。恐いけど」

?「あぁ、怖い……すごく、怖いよ」

少女「……」

?「……」






?「だから、また明日 」

少女「うん。また、お見舞いに来るよ」

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