【艦これ】長門「山口県だ」 (639)

山口は九州と間違えられるからむしゃくしゃして書いた
とりあえず週1くらいで更新

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396527878

提督「山口県?」

長門「そうだ。私の名前があるところだ」

提督「知ってる。山口は昔、長門・周防って呼ばれてたんだろ?」

長門「某憂鬱ラノベでも宇宙人ペアがそういう名前だったしな」

提督「んで、それがどうしたんだ?」

長門「私は長門市に行きたい」

提督「…は?」

長門「長門市に行きたいと言っている」

提督「待てよ横須賀から長門ってどんだけ距離あると思ってんだよ!移動費用だけで資材が吹っ飛ぶわ!!」

提督「それに、どうせ旅行にいくのなら山口よりも呉とか舞鶴に行く方が都会だしさ…」

長門「…このビッグ7に諦めろと?」

提督「そういうことだ」

長門「…」ジワッ

長門「やだやだ私は長門に行きたい山口に行きたい行きたい行きたい!!」ジタバタ
キャ-ナニ!?ジシン!?
チンシュフガユレテイルノデス!

提督「やめろ暴れるな!お前が暴れると鎮守府が壊れる!!」

長門「なら山口旅行へ連れてってくれ!!」ジタバタ
キャ-!アタマハヤメテ-!
ナカチャンガオチテキタケイコウトウデタイハシタゾ-!

提督「わかったわかった!!山口に行く!行くから静まれ!!」

長門「!」ピタッ

長門「ひゃっほう!山口に旅行だ!」

提督(はあ…イベント前だっていうのにどうしてこんな事を…)

提督「じゃあ旅行の準備するから、長門は一緒に連れて行きたい艦娘を誘っててくれ」

長門「何?全員連れて行くんじゃないのか?」

提督「馬鹿野郎、全員連れて行ったら鎮守府の資産が潰れるわ!!」

提督「現状では5、6人連れて行くのが精一杯だ」

長門「むむ、そうか…」


長門「なら奴らを連れて行こうかな」

安価取ります。早いもの勝ちで艦娘5人が山口旅行に行きます。

ちんこまんこ♪           /   Y   ヽ  ちんこまんこ♪
     /⌒ヽ⌒ヽ      /   *^○^* ヽ ちんこまんこ♪
     / *^○^* ヽ     ( __//. ヽ, , )     /⌒ヽ⌒ヽ ちんこまんこ♪
    /     八  ヽ     | i し 八  .|     / *^○^* ヽ           ちんこまんこ♪
    ( __//. ヽ, , ).    |ノ ( .八  .〉    /     八  ヽ
     | i し 八  .|.    ( '~ヽ 八  |/⌒ヽ⌒ヽ__//. ヽ, , )/⌒ヽ⌒ヽ ちんこまんこ♪

     |ノ ( .八  .〉.    |       / *^○^* ヽ し 八  .|/ *^○^* |
     ( '~ヽ 八  |  /⌒ヽ⌒ヽ    /     八  ヽ ( .八  .〉    八  |  /⌒ヽ⌒ヽ
     |       | ./*^○^*  ヽ  .( __//. ヽ, , )ヽ 八  |__//. ヽ, , )/ *^○^* / ちんこまんこ♪
     |       |/     八  ヽ   .| i し 八  .|       |し ノヘ  //     八  /
  /⌒ヽ⌒ヽ     ( __//. ヽ, , )   |ノ ( .八 /⌒ヽ⌒ヽ  |( ノヘ  /(  __//. ヽ, ) 
  | *^○^* ヽ    | i し 八  .|  ( '~ヽ 八/  *^○^*ヽ | ノヘ //   / /ちんこまんこ♪

ちんこまんこ   /⌒\  /⌒\  ちんこまんこ
ちんこまんこ♪((    ; 三    ,,))ちんこまんこ♪

\  (σ) /  ヽ   (  /    ミ  \ (σ)   /
   / 人\    キ   .メ   ./    / 人\
 / /  \\   乂      ノ   / /  \\
(  (*^○^* ) )   (*^○^*)  (((  ( *^○^*) )
 \ \  //)))    )   (⌒)))  \ \  //
   )  Y (      ((__)⌒ ̄   ((()  Y (
  (__Y_)                (__Y_)

では
陸奥・摩耶・朝潮・漣・初雪・足柄
長門・提督で行きます。

今から書き溜めするのでまた来週あたりに更新します

少しだけ更新します

キィィィィィィィィィン

飛行機内

長門「これが飛行機か!まるで雲の海を泳ぐ潜水艦のようだな!!」

摩耶「すげー!飛行機ってまじすげー!!」

漣「いつもは海の上だから空の上に来るのは新鮮だねぇ」

足柄「空の上…高い…怖い…」ガクガク

初雪「私は平気」ドャッ

朝潮「提督、ありがとうございます。私なんかを旅行に連れてっていただいて」

提督「礼なら長門に言え。あいつがお前らを山口に連れて行きたいって言ったんだからな」

陸奥「あら、それでも私は嬉しいわよ?なにせ提督と一緒だもの」

朝潮「旅行に連れてってくださるのは提督です。だから私は提督にお礼が言いたいです」

提督「そうか。…こっちこそありがとうな」

漣「ところで山口って何があったっけ?河豚しかないイメージがあるんだけど」

提督「その見解で正しいよ。山口はリアルに何も無い」

漣「えっ、本当?」

長門「失礼だな!山口はいい所がいっぱいあるだろう!」

提督「ほう、具体的には?」

長門「…」

提督「言えねぇのかよ」

摩耶「まあ山口もきっと行けば何かあるだろ!期待してるぜ提督!」

提督「…その期待に応えられる自信はないな」

朝潮「私は提督と一緒であればどこでも満足です!」

初雪「別に、何処だって付き合ってあげるから」

提督「…お前たちはいい奴だな」

陸奥「提督、気楽に観光しましょう、ね?」

長門「この旅行を持ちかけたのは私だ。提督の旅行計画には私も一切文句を言わんよ」

提督「…そうだな。もうすぐ山口に着くし、お前たちとゆっくり観光させて貰おうか…」

岩国錦帯橋空港

長門「着いた、山口だ!」

提督「ここは岩国市。山口の最東端にある市だ」

漣「なるほど!漣たちは山口の辺境に来たのね!」

提督「ちなみに岩国は、実はあの戦争の傷跡を多く残した市としても有名なんだ」

摩耶「え?どういうことだ?」

提督「岩国は呉に近いせいか軍事基地が沢山あったんだ」

陸奥「へぇ。たとえばどんな?」

提督「海軍の航空隊基地や陸軍の燃料廠とかな」

朝潮「赤城さんとかまるゆちゃんとかお世話になってたかもしれませんね」

提督「詳しいことは知らん。でもまあ言えるのはそのせいで岩国は米国の標的になったってことだ」

提督「有名なのが、岩国空襲とかかな」

長門「…」

提督「また、戦争が終わった後も岩国は米軍に渡され、その岩国米軍基地は今現在も活動している」

提督「もちろん、岩国市民全員がそれを快諾している訳ではないが…」

摩耶「何だよ…あいつら散々人を殺しておいてさらに土地まで奪うのかよ!」

提督「それはどこの国だってそうさ。日本だって、台湾とか満州とか植民地にしてただろう」

摩耶「う…」

朝潮「…」フルフル

長門「…朝潮?」

朝潮「それでも私は、アメリカを許すことが出来ません!」

提督「!」

朝潮「あいつらは、あいつらは私を、私の仲間を殺しました!私は米軍が憎いです!」

初雪「…私も、あいつら嫌い」

漣「そうだそうだ!悪いのは米国だー!(迫真)」

提督「…そうだよな。お前たちからすれば、米兵なんざ八つ裂きにしてやりたい相手だよな」

提督「だが落ち着け。いつまでも過去の怨みを持っててそれが何になる」

朝潮「っ…」

提督「確かに米軍は日本人を虐殺したし、それは正義とは言えないが、我々だって一歩間違えれば米国と同じような事をしようとしていただろう」

提督「特に初雪。お前、何人の米兵を殺した?」

初雪「…」

提督「なら聞くが今、岩国基地にいる米兵は実際に日本を侵略しようとしているか?」

提督「違う、奴らはむしろ日本を守るために戦ってる一介の兵士だ」

初雪「でも、あの戦争で米軍は日本を…」

提督「…日本に植民地支配されてた台湾は終戦後、日本にされたことは忘れる、と言い放ったんだ。何故かわかるか?」

提督「過去の怨みは未来を歩む上で邪魔になる。常に明るい未来を切り開くためにはそれを乗り越えて他国を受け入れなければならないということ…」

提督「我々もその姿を見習うべきではないのか?」

朝潮「…」

提督「一番大切なのは、戦争は繰り返してはいけないということだ。それを知れば、自然と分かり合うことが出来るはず」

提督「朝潮、漣。今の米国は敵ではない。日本も米国も、絶妙なバランスを取っているパートナーなんだ」

提督「だからな。いつまでも過去に執着せず、前を向いて今を全力で生きてくれ」

朝潮「…わかりました」

初雪「ん。頑張る…」

漣「わかりましたよ、ご主人様」

提督「よし、いい子だ」

提督「ま、悲しい話はここで終わりだ!さっさとレンタカーでも借りて山口旅行するぞ!」

長門「そうだな、我々は遊びに来たんだ。過去を振り返っても仕方がない」

陸奥「ところでレンタカーショップってどこにあるのかしら?見たところこの辺には無さそうだけど」

提督「大丈夫だすぐ近くにある。こっから2km先だ」

長門「ほう、そこまでどうやって行くんだ?」

提督「そりゃ歩きで行くに決まってんだろ」

長門「何!このビッグ7に2kmも歩かせるというのか!!」プンスカ

提督「いやそんくらい歩けよ」

足柄「結構でかい車を借りたのね」

提督「そりゃお前ら全員を乗っけるからな。まあまあの値段したぞ」

足柄「小さい車だったら、提督と密着できたのになー」キャピ

提督「気持ち悪いからやめろ」シッシッ

足柄「」ガ-ン

長門「で、これからどこに向かうんだ?」

提督「とりあえず岩国名所の錦帯橋に向かおうと思う」

漣「菌退去?」

提督「日本で一番美しい橋のことだよ…言い過ぎか」

漣「橋??」

摩耶「橋なんか見てどうすんだ?」

提督「その橋がすげーんだよ。とにかく錦帯橋を見に行くぞ」

錦帯橋

提督「錦帯橋に到着だ」

長門「な、なんだあの橋は…」

摩耶「波だ!橋が波打ってるぞ!」

足柄「えらく変わった形してるわね」

提督「そうだ。それが錦帯橋の魅力だ」

提督「錦帯橋は全長193m、幅員5mに及び、また世界的に見ても唯一無二の構造を持つ橋である」

提督「その名勝と評された5連のアーチは、この錦川の洪水による橋の流失を防ぐための効果があり、先人達の頭の良さをひしひしと感じさせる」

提督「春には桜、秋には紅葉で景色も美しく、まさに日本一の橋を自称するにふさわしい姿が見られ…」ペラペラ

摩耶「…おう、で、それがどうしたんだ?」

漣「もっとこう、バーってしてるのはないの?」

朝潮「提督、錦帯橋はただ渡るだけの観光名所なんですか?」

初雪「…おなかすいた」


提督「…ま、若い者はそうなるな」

陸奥「錦帯橋は文化遺産ですからね。この子たちにはつまらなかったかも…」

長門「そういえば腹減ったな」

足柄「飛行機は結構な長旅だったからね」

漣「ご主人様、どこか食べに行こうよ」

提督「そうだな、せっかくだから岩国の名物を食べに行くか」

長門「!」


長門(岩国名物といえば…)

漣(アレよね。昔、秘密の県民showでみたことあるわ)

陸奥(山賊…だったかしら?なかなかワイルドな料理だったはず)

足柄(楽しみね)

ブロロロロロロロ…

提督「さあ着いた!ここが岩国寿司を楽しめると、岩国市ホームページに載ってた『よ志だ本店』だ!」

長門「…」

陸奥「…」

初雪「…」

朝潮「…」

漣「おい」

摩耶「これは…なんだ?」

提督「だから岩国寿司って言ってるだろ」

足柄「ええ!?山賊じゃないの!?」ガ-ン

長門「戦艦長門は山賊に行きたかった!鶏肉鶏肉鶏肉ぅ!!」ジタバタ

提督「ええいぎゃんぎゃん騒ぐな!岩国グルメといえば岩国寿司に決まってるだろう!!」

摩耶「寿司って…こちとら魚は食べ慣れてんだよ!」

足柄「私たち海軍所属は、カレーとか魚とかは鎮守府の食事で出るからよく食べてるのよ!?」

提督「む…さてはお前ら岩国寿司なめてるな」

提督「よく聞け!岩国寿司のメインは魚介類なんかじゃなく…蓮根とかの野菜なんだ!!だからそこんじょの寿司とは全然違う!」

足柄「!?」

漣「ざっけんなこのアホご主人!」

長門「蓮根だと!?蓮根の入った寿司など寿司なんかではない!!」

提督「いや待てよお前ら!ちらし寿司だって魚以外の具が入ってるから問題無いだろ!?」

初雪「ちらしと寿司は似て非なるものだし」

提督「ていうかお前ら食べる前から全否定するなや!実際この会話を岩国市民聞いたら泣き出すぞ!?」

陸奥「そうよみんな。提督がせっかくご馳走してくれるのに」

朝潮「あの、提督に文句言うのは理不尽だと思います!」

初雪「…陸奥と朝潮がそう言うなら」

長門「そうだな。提督にすまないからな。有難くいただくとしよう」

提督「ころっと態度変えてんじゃねぇよ…」

提督「何か怒鳴って疲れた…早く食べよう」

店員「いらさいませー」

提督「岩国寿司定食8つ」

店員「へいよー」


店員「お待ちー」

提督「さあ、これが岩国寿司だ」

長門「これは…ちらし寿司を四角く固めたもの?」

摩耶「ていうか蓮根じゃなく普通に魚乗っかってるし」

足柄「押し寿司…ってやつかしら?」

提督「正確に言えば押し寿司とは違うが、まあ似たようなものだ。食べてみろ」

朝潮「では、いただきます」

モグモグ

提督「どうだ?岩国寿司は」

長門「…普通に美味い」

陸奥「なにかしら、こう仄かに甘みが…?」

足柄「コハダ…穴子…?よくわからないけど美味しいわ!」

提督「はは、美味かろう」


摩耶「…?普通のちらしと変わらねぇような気が…」

初雪「普通のお寿司…?」

漣「まあ、美味しいのには変わりないんですけどね」

提督「まあ、若い者はこうなるな」

店員「ありがとやしたー」


長門「岩国寿司も悪くなかったな。むしろ最高だったぞ!」

摩耶「ま、これなら山賊で無くても満足だぜ!」

足柄「岩国もいいところねー」

漣「岩国は、凄い(確信)」

提督「ちなみに岩国で一番いい観光名所は最初に見た錦帯橋であり、岩国寿司とかは二の次だからな。覚えとけよ」

初雪「…はーい」

提督「さ、腹も膨れたしそろそろ移動するか」

【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「ども青葉ですぅ!」

熊野「熊野ですわ!」

鈴谷「鈴谷だよ!」

青葉「今回、私たちは小ネタコーナーを担当しちゃってまーす!」

熊野「これは、都会な神戸の航巡が田舎な山口をちょこっと紹介するというコーナーですのよ!」

鈴谷「神戸関係あるの、それ?」

青葉「さてさて記念すべき一発目!今回紹介しちゃうのは…」

熊野「提督がスルーしてしまったレストラン『山賊』ですわ!」

鈴谷「あーそれ、私も気になってた。何なのそれ?」

熊野「何でも、野蛮人気分を味わえる食事処だそうですよ」

青葉「野蛮人って…いやまあ山賊は野蛮っちゃ野蛮だけど」

青葉「真面目に解説すると、『山賊』は山口県岩国市に存在する食事処で、そのど派手さから?山口最強クラスのテーマパーク″とすら評される店なんです」

青葉「外の景色を眺めながら大きい鶏肉を食べる山賊スタイルは非常に豪快で、山口県民だけでなく他県民の方々からも評判になっています」

青葉「ちなみに筆者も口コミにつられ行ったことあるのですが、帰省ラッシュと重なったせいか18時に訪れ食べ物にありつけたのは21時だったとか」

青葉「要するに、山賊で食べたければそれなりの代償があるってことです」

熊野「そこまでして人々が山賊に拘る理由…わかりませんわ」

青葉「そこで!今回は青葉が山賊っぽい大きな鶏肉を用意しちゃいました!」ド-ン

鈴谷「わー、ワイルドな料理だねぇ…熊野、行けるの?」

熊野「当たり前ですわ!時には豪快に喰らうのも、レディとして必要ですのよ!」

鈴谷「そう、じゃあさっそく…」

熊野「いただきます!」



熊野「ぶふぉっ」

鈴谷「何かこれヌルヌルする…生焼け?」

青葉「はっ!?火力が足りなかったのかな…?」

鈴谷「え…これ、青葉が焼いたの?」

青葉「うん。失敗しちゃった、てへぺろ!」

鈴谷「…」

熊野「貴方は一体いつの時代まで、私たちを…」

青葉「あれ…怒ってます…?」


熊野「発砲用意!目標、青葉!」ドゴォン

鈴谷「ごめんねー青葉!食べ物の怨みは恐ろしいんだー!」ドゴォン

青葉「わひゃあああああ!?あ、危なくなったんでまた次回、お会いしましょー!!」

今週はこれまで
また来週お会いしましょう

提督「んじゃ次行くぞ。柳井市に入る」

提督「柳井市といえば周防大島だ。あそこは愛媛ほどではないがミカンが美味い」

漣「みかん?確か提督が持ってたエロ漫画にそんなキャラがいたような」

提督「おいコラお前人のプライベート覗くなよ」

陸奥「…」

提督「どうした陸奥」

陸奥「あの提督、周防大島には…」

提督「ああ、わかっている。そこに行くつもりで周防大島に行くんだからな」

陸奥「!」パァァ

陸奥「提督、ありがとう!!」キラキラ

足柄「うおっ!陸奥がいきなりキラキラ状態に!?」

長門「どうした、嬉しいことでもあったのか?」

陸奥「ええ、とっても嬉しいことがね…!」

長門「???」

防予フェリー
客船『しらきさん』前

提督「さあ、周防大島まではフェリーで移動だ」

提督「艦娘が船に乗るなんて、何だか新鮮だろう?」

摩耶「馬鹿にしてるのか提督。船なんて鼠輸送任務で毎回乗ってるからな!」

提督「お前それたぶんドラム缶を束ねたドラム缶ボートじゃねぇか」

摩耶「ちなみに考案者は初雪だぞ」

初雪「紐で引っ張るよりも、乗っかった方が楽だから…」ドヤッ

提督「任務中にふざけるなよ」

提督「いいからさっさとフェリーに乗り込め」

摩耶「はーい」


朝潮「…」

提督「ん、朝潮?乗らないのか?」

朝潮「私、何だか身震いが…」

提督「ああ、安心しろ。こんな小さな船でも安全には気遣った構造だ。轟沈のおそれなんかない」

朝潮「いえ、そういうわけではないです」

朝潮「なんだかこのしらきさんに丸呑みされた気分になったので少し気持ち悪くなっただけです」

提督「なんちゅうこと考えてるんだお前は」

長門「さて、しらきさんフェリーがどれくらい素晴らしい艦なのか見せさせてもらう!」ドタドタ

提督「艦ってお前…あくまでしらきさんは客船だぞ?」

提督「世界に名だたるお前とチンケなフェリーを比べるのはいくらなんでも…」


長門「おおお!すごいぞしらきさんは!何だコレは、艦内に自動販売機があるぞ!!」

提督「」

長門「テレビ!?テレビを装備しているというのかこの艦は!ますます気に入ったぞ!」

提督「…」

長門「おおっここに寝っころがれる場所がある!私も寝るぞ!!」ゴロゴロゴロ

提督「長門、他のお客さんもいるんだから静かにしなさい」

長門「あっはははは…すまない」

周防大島

提督「周防大島に到着だ」

漣「船旅はあっという間だったね」

提督「柳井市~周防大島間は短いからな」

摩耶「しかし、ここが周防大島という所か…何の変哲もない島だな」

初雪「なんかこう、バリ島みたいなの期待してた」

提督「ねぇよ」

足柄「で、ここには何しに来たの?」

提督「周防大島にはお前らに見せたいものがあってな」

提督「特に陸奥に!」

陸奥「!」キラキラ

摩耶「うおお!陸奥がまたキラキラに!!」

長門「なんだ!?なんなんだ!?」

提督「というわけで、今からそこへ行くからお前らも早くレンタカーに乗り込め」

足柄「うーん、陸奥に…」

朝潮「見せたいものって…?」

陸奥「わくわく」

提督「着いたぞ」

摩耶「なんだこのちっさい建物」

漣「見せたいものってこれ?しょぼいわね…」

長門「だが待て、建物の隣にあるあれは…」

初雪「…砲身?」

足柄「陸奥に見せたいものって…これはまさか…!」

提督「そのまさかよ!ここは、戦艦陸奥記念館だ」

長門「!」

陸奥「ああ…これ私のスクリュー、こっちは私の艦首だ…」

長門「なるほど、陸奥に見せたいものとはこれのことだったのか」

漣「どおりでさっきから陸奥さんがそわそわしてたワケね」

摩耶「いいなー。アタシも摩耶記念館とか欲しい!」


陸奥「柳井市周防大島に私の前世の姿がある記念館があると聞いていたけれど」

陸奥「まさか本当に見れる日が来るだなんて…!」

長門「これが陸奥の前世の姿か。私はそこまで見たことはなかったが、こんな立派な戦艦だったのだなお前は」

提督「感動に浸るのはまだ後だ。さっさと館内に入るぞ」

陸奥「…提督」

提督「?」

陸奥「少し、手をつないで貰っていいですか?」

提督「こうか」ギュ

陸奥「うふふ、暖かい」

提督「そうか、ありがとな」

陸奥「ねぇ、提督…」

提督「何だ」

陸奥「この場所でくらい、私とデートしましょう?」

陸奥「せっかく、私の記念館に来たんですから…!」

提督「仕方ないな、ここが陸奥記念館だから特別だぞ?」

提督「あ、お前らは自由に行動しといてくれ。今は陸奥と2人きりでいたい」

朝潮「わかりました」

摩耶「アタシはデートを邪魔するような女じゃねえよ」

足柄「ごゆっくり」ギリギリギリギリ

陸奥記念館には、沈没した戦艦陸奥から回収された物品や、フィルム映像などが展示してあった。
山口県に来る機会がある提督の皆には、是非ここを訪れて欲しい。

by長門

提督「どうだった?陸奥記念館は」

漣「書くこと多すぎて内容をはしょったでしょ提督」

提督「違う、アレはただのネタバレ防止だ」

摩耶「提督は面倒くさがりだな」

初雪「…親近感♪」

提督「違うと言っている!」

陸奥「でも、嬉しかったですよ私は」

提督「そうか。お前が嬉しいのならそれでいい」

長門「妹のかつての姿を見ることも姉の仕事だからな。私もいい勉強になったよ」

提督「それは何よりだ」

漣「私は陸奥さんの中身を見たような気がして少しムラムラします」ハァハァ

提督「お前は何を見て来たんだ」

提督「ちなみに余談だが、この陸奥記念館付近には陸奥キャンプ場、陸奥海水浴場ってのもあるぞ」

長門「何だと!?」

提督「いや、これは名前だけで陸奥は特に関係のない施設だ」

提督「陸奥記念館の近くにあるというだけで、内容は普通だからな」

提督「強いて差別点を言うなら、海上自衛隊の戦闘機が展示してあるってことくらいだ」

長門「しかし…名前だけでも羨ましいぞ!」

提督「じゃあ長門市に行くまで待っとけ」

提督「さて、そろそろいい時間になったな」

足柄「おお、もう15時なのね」

提督「早く移動するぞ。今晩の宿は山口市に予約してるからな」

提督「こっから山口市までは結構遠い」

長門「よし提督!ならばさっそく山口市へと向かおうではないか!」

提督「だから最初からそのつもりだよ」

光市~周南市

「光市、下松市、周南市は車で通り過ぎる。この辺が地元提督の人は申し訳ありません」

長門「お詫び申し上げます」

提督「でもせっかくなので紹介だけはしとくぞ」

提督「まずは光市。ここは虹ヶ浜海水浴場が観光スポットだ」

長門「遠く、広島からもここに訪れる人もいる程だからな。これは素晴らしい海水浴場だ」


提督「続いて下松市。ここは世界一次大戦の時、工業都市として有名だったな」

長門「今ではその技術を活かして新幹線の建造をやってるらしい。鉄道好きには有名かな?」


提督「最後は周南市。ここは石油コンビナートで有名だ」

長門「石油…燃料…資材…大型建造…うっ頭が」

提督「ちなみにこのコンビナートは光市にまで広がっているほど大規模だ。この夜景はなかなかそそるものがあるから気になる人は見てみるといいぞ」

【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「うう…青葉です…」ボロボロ

熊野「熊野ですわ!」

鈴谷「鈴谷だよ!」

青葉「ちょっと…なんで私、大破状態なのにコーナーやらされてるんですか…?正直休みたいんですけど…」

鈴谷「あはは、自業自得だよ!」

青葉「ひ、ひどい…」

熊野「ふん、前世でボロボロの私をほったらかして逃げたことを思い出すがいいですわ!」

青葉「うう…反論できない…」

青葉「うっ、うっ…」シクシク

熊野「…」

鈴谷「青葉、ほら高速修復材」

青葉「え…?どうして」

熊野「女の子が半裸のままなんて可哀想ですから。反省してるようですし、今回ばかりは許してあげます」

青葉「わあい!ありがとうございますっ!!」

青葉「という訳で第二回目、いっちゃいますよ!」

熊野「急にテンション高くなりましたね」

青葉「そりゃあもう!元気が青葉の取り柄ですから!」

鈴谷「さっきまでめそめそ泣いてた人のセリフとは思えないなー」

青葉「さてさて今回紹介するのは『周防大島の珍味』!」

鈴谷「珍味?」

青葉「実はこの周防大島、知る人ぞ知るグルメがあるんです!」

熊野「…また生焼け肉みたいなの出したら、今度は容赦はしませんわよ?」

青葉「大丈夫です痛みは身と心に刻んでますから」

青葉「では、こちらがその珍味です!」

鈴谷「これは…鍋?」

熊野「なんだか大きいものが出て来ましたね」

鈴谷「中身は何なの?」

青葉「ふっふっふ、驚くなかれ、これぞ周防大島の名物!」パカッ

青葉「『みかん鍋』です!」
↑鍋の中にみかんが皮ごと入ってる

熊野「…」

鈴谷「…」

熊野「…」

鈴谷「…」

青葉「…」ドヤァ

熊野「撃ってもよろしくて?」

青葉「なんで!?」

鈴谷「こっちのセリフだよ!何で鍋の中にみかんをぶち込んでんだよ!?」

熊野「ありえませんわ!こんな邪悪な鍋なんて!」

青葉「違うって!これちゃんと周防大島町が公式に開発した料理なんです!!」

青葉「Wikipediaによると、鍋に焼きみかんとみかん入りつみれとみかん胡椒を入れた料理がこの『みかん鍋』なんですから!」

熊野「…そこまでおっしゃるのなら」

鈴谷「食べてみよっか」

熊野「それでは」

鈴谷「いただきます」

青葉「どきどき」

鈴谷「もぐもぐ…」

青葉「どきどき」

鈴谷「ぶふぉっ!」

青葉「!?」

青葉「えっえっ、どうして…」

鈴谷「…なんか、口に合わない」

鈴谷「こう、鍋にみかんを入れたような味がして、組み合わせが悪いっていうか」

青葉「だからこれはそういう料理なんですけど…」

鈴谷「駄目だねー。私には無理、こんなん食う奴の気がしれないよ」

青葉「そ、そんなぁ…」

鈴谷「ところで熊野はどう?」

熊野「もぐもぐ美味しいですわよもぐもぐ」

鈴谷「!?」

熊野「みかんの酸味と甘みが鍋の出汁と綺麗にマッチしてますわ」

熊野「庶民的な味なのにどこか高級感を感じさせるこの鍋…」

熊野「まさにエクセレント!!素晴らしいですわ!!」

熊野「青葉さん、これのレシピ言い値で買いますわ。いくらですの?」


鈴谷「」

青葉「…えっと、やっぱりこういった珍しい料理には個人差が出ますね」

青葉「ちなみにこのみかん鍋、本当はとっても美味しいです。血管年齢を若返らせる成分が多いので健康料理としてもいけます」

青葉「ですので是非!提督の皆さんも作って食べてみてくださいね!」

鈴谷「か、柑橘類苦手な人は自己責任でやってね」

青葉「それでは次回、また会いましょう!」

熊野「青葉さんおかわり!」

鈴谷「熊野は食べ過ぎ!」

今週はこれで終わり
来週また会いましょう

あのへんはガードレールが蜜柑色だったな
萩は行くのかい?

提督「まだ少し時間あるから、山口市に行く前に防府市に寄るぞ」

長門「ほう…?ふっ、防府市か」

摩耶「寒すぎるぞ」

提督「防府には防府天満宮という比較的有名な神社があるからな。ちょっとそこに行こうと思うんだ」

朝潮「防府天満宮?」

足柄「天満宮…ってアレでしょ?あの学問の神様を祀ってる神社の総称の」

提督「そう。菅原道真を祀ってる神社だ」

漣「でもそれって太宰府じゃなかったっけ?」

提督「いやいや。実はこの防府天満宮は太宰府・北野とならんで日本三大天神と言われる程の凄い神社なんだ」

提督「それに、別に太宰府じゃないからといって御利益を貰えない訳じゃないから安心しろ」

漣「なーんだ」

防府天満宮・階段前

提督「さあ。まずはこの階段を登ろう」

足柄「げ、きつそう…」

陸奥「神社にはだいたいある、長い階段ね」

漣「人生の終焉を感じる」

初雪「死にたい」

提督「そこまで言うか。ていうかお前ら戦闘や演習で鍛えてるんじゃなかったのか?」

朝潮「とはいえ、陸と海では勝手が違いますし」

摩耶「陸じゃか弱い女の子なんだぜ?アタシたちは」

提督「そういうもんなんかなぁ」

テクテクテクテク

足柄「足腰が…痛い…」

提督「まだ半分しか登ってないぞ」

長門「おい提督、私をおぶれ!」

提督「断る」

長門「ふっ…提督よ、ビッグ7を侮ってもらっては困るな」

提督「?」

長門「実は…」

長門「私は、赤城ほど太っておらんから体重はそこそこ軽いんだ」キリッ

提督「重い軽いの問題じゃねぇよ。あとお前筋肉すごいからたぶん重いだろ」

長門「ぐぬぬ」



提督「よし、頂上だ!」

足柄「の…登りきった…」

長門「おぉ、結構高いなここは。防府の町を一望できるぞ」

陸奥「しかも、夕日が綺麗!」

提督「もう17時台だからな。この時間帯はなかなかいい景色を拝める」

朝潮「夕方の神社って何だか風情がありますね」

長門「大きな鳥居に重なる真っ赤な夕日か…美しいな!」

漣「はあ、ああいうの見ると私がいかに小さな存在かわかるな~」

初雪「…うっとり」

提督(錦帯橋も夕方に行っとけばこいつらも感動したんだろうか)

摩耶「…」ソワソワ

提督「摩耶?」

摩耶「提督…早く行こうぜ?」

提督「ああすまない。お前は暇を持て余してたようだな」

摩耶「いや、そういう訳じゃねえけど…」

提督「?」

摩耶「えっと…」

初雪「…このまま暗くなるのが怖いのよ、摩耶は」

摩耶「!」

提督「ああなるほど」

長門「確かに暗い神社はこわいからな!」

陸奥「よしよし、陸奥さんが守ってあげようね」

摩耶「はあ!?ざっけんな!!別にオバケとか怖くねーし!」

提督「はて、俺たちはオバケなんて一言も言ってないが」ニヤニヤ

摩耶「!!!」

朝潮「勝気な摩耶さんの珍しい一面が見れて嬉しいです!」ニヤニヤ

漣「摩耶って本当に重巡最強なのか怪しくなってきたな~」ニヤニヤ

初雪「…ふふふ、オバケこわいか?」ニヤニヤ

摩耶「うわーん黙れー!」

提督「まあ、悪ふざけはこの辺で終わりだ。御参りして早く山口市に行くぞ」

初雪「…へい」

摩耶「悪ふざけの発端がそれを言うなー!」ポカスカ

防府天満宮 境内

漣「うわー、立派な門…!」

朝潮「こんな派手な神社があるんですね…」

提督「言ったろ?凄い神社だって。防府天満宮の美しさ、侮るなよ」

長門「それは私の真似か?馬鹿にしてるのか私を?」

提督「ふっ、(そんな苦情は)聞かぬわ」

長門「うーん上手い返し」

提督「じゃあさっそく祈るぞ」

足柄「この時を待ちわびていたわ!」

摩耶「何を祈ろう…」


提督「5円×8枚を入れて」チャリンチャリン

提督「鈴を鳴らす」ガランガラン

提督「さあお前らお願い事を言うんだ」

朝潮「ところで、天満宮だから勉学のお願い事しか駄目なんですか?」

提督「そんなことはないと思うぞ?あくまで学問の神なだけであって、お願い事は全て聞いてくれるはずだからな」

朝潮「なるほど、それなら安心ですね」

提督「二礼二拍手、一拝」ペコリ

提督(こいつらが終戦まで元気に生き残りますように)

朝潮(提督が毎日健康でいられますように)

初雪(この幸せがいつまでも続きますように)

摩耶(改ニきますように)

漣(初期艦人気で一番になれますように)

陸奥(私の運気、向上してください)

長門(大和に勝つ!絶対に今年こそ勝つんだ!)

足柄(結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚!)

提督「ちゃんと祈れたか?」

長門「ああ、ばっちりだ!」

陸奥「ところで足柄はどうしてあんなに興奮してるのかしら?」

足柄「フーッ、フーッ、ケッコンケッコン…」

提督「じゃあ最後におみくじでも引くか!」

漣「わーい」

提督「余談だが山口県はおみくじの生産量日本一なんだ。意外と日本中にあるおみくじは山口県産かもしれないんだぞ」

漣「そ、そんなに?」

初雪「ていうかおみくじ生産量日本一とか地味だね」

提督「それは言ってやるな」

提督「うーし、引くぞー」ゴソゴソ

長門「私はこのくじを選ぶ!」ゴソゴソ


提督「…吉。無難だな」

朝潮「中吉です。まあまあでした」

長門「やったぞ提督!大吉だ!嬉しい!!」ドヤッ

初雪「…私も」ドヤッ

摩耶「末吉…微妙じゃねぇか」

陸奥「あらあら私も末吉よ?凶じゃなくてよかったじゃない」

足柄「そ、そうよね!とにかく私は恋愛運が問題なんだし…」小吉

提督「足柄の言う通りだ。おみくじは本来、吉凶のとこじゃなく、それ以外の所が一番大切なんだぞ」

漣「総合的によけりゃいいんじゃないの?」中吉

提督「違う違う。例えば初雪は、大吉といえど『運動不足に注意』と書かれているだろう?」

初雪「…ほんとだ」

摩耶「アタシも末吉だけど、金運はいいらしいし」

長門「結果に一喜一憂するだけでは駄目で、ちゃんと結果の詳細を見直すことが必要ってことだな」

提督「まあそういうことだ」

足柄「恋愛運…『あせるな。損あり』ムキーッ!」

提督「じゃ、そろそろ山口市に向かうか」

漣「わーいわーい」

提督「今から向かうのは山口市の温泉街、湯田だ」

長門「温泉!?」

提督「そうだ温泉だ。せっかくの旅行だから療養も存分にしたいからな」

長門「お…おおお…温泉…」

提督「どうした、不服か?」

漣「ひゃ…」

提督「?」

漣「ヒャッホー!!」

提督「!?」

摩耶「さすがだ!提督!!大好きだぜ!!!」

初雪「…これは出来る司令官」

朝潮「ありがとうございます!ありがとうございます!」

提督「どうした…そんなにはしゃいでお前ら…」

陸奥「私たち艦娘は、温泉に対してただならぬ憧れがあるのよ」

提督「それはどういう」

漣「高速修復材ってあるじゃん?あれって温泉のもとみたいなやつなんだよね」

摩耶「アタシたちはアレを使うとき、様々な想いがあるんだよ」

朝潮「高速修復材によって出来た擬似温泉は気持ちいい…ならば、本物の温泉はどれほど気持ちいいのか。その疑問は、日に日に大きくなっていきました」

陸奥「そして何より、高速修復材を使うとすぐにお風呂から出ないといけなかったこともあるの」

摩耶「その辛さが温泉への願望を増幅させていたんだ!!」

提督「そんな苦悩があったのかお前ら」

足柄「だから、提督!」

長門「今回の温泉の件、深く深く感謝するぞ!」

初雪「…感謝」

摩耶「神!仏!提督!」

提督「お、おう、山口の温泉でそこまで喜んで貰えるとはな」

朝潮「何でしょうか、私とても興奮します!」

陸奥「ふふ、楽しみね」

漣「おぅいええぇぇぇええい!!」

提督「…」


提督(次の旅行は群馬か兵庫か大分にするか)

【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「ども青葉ですぅ!」

熊野「…」←ぬいぐるみ

鈴谷「鈴谷だよ!」

青葉「さて、今回もはりきっていっちゃいます!と言いたい所なんですが…」

青葉「あの鈴谷さん、どうして熊野さんはぬいぐるみになっちゃってるのですか?」

鈴谷「それがねー、みかん鍋を食べ過ぎてお腹壊したみたいなんだ」

鈴谷「だから今回は熊野ぬいぐるみを置いて貞操を取り繕うって訳!」

青葉「な、なるほど」

青葉「まあ気を取り直して行きましょう!三回目で紹介するのは…」

青葉「『山口県のガードレール』です!」

鈴谷「ガードレール?確か>>88がどうとか言ってたような気が…」

青葉「はっきり言ってそれで思い出したんで。作者はなにしてんだ!って話ですね」

鈴谷「全くアホ作者だよ」

鈴谷「で?今回は、山口県のガードレールは黄色い、って話なの?」

青葉「はい!山口県のガードレールについて紹介しちゃいます!」

鈴谷「へーい」

青葉「山口県のガードレールが黄色い、というのは有名ですよね?」

鈴谷「知ってる。何でかは知らないけど」

青葉「これは山口国体の際、他県から注目を浴びれるようにと夏みかんカラーにしたのが理由だそうです」

鈴谷「夏みかん?それはどうして?」

青葉「周防大島の名産品は夏みかんですから。あと、夜も目立つようにという理由もあるでしょうね」

青葉「逸話ですが、昔の山口県のガードレールは青色であり、目立たない色のせいでガードレールに車が突っ込む事故が多発したから夏みかんカラーにした、なんて話もありますし」

鈴谷「青色…それはそれでいいと思うんだけどなあ」

青葉「いえ、青色ガードレールもちゃんとありますよ!」

鈴谷「?」

青葉「実はですね、なんと長 門 市だけに青ガードレールがあるんです!」

鈴谷「長門!?さすがビッグ7だね!」

青葉「その長門じゃないんですけどね」

青葉「ちなみにこの青ガードレール、長門全域で見られる訳ではありません。比較的海に近い場所にだけちょっとあるくらいですから、正直、山口県民ですらこの青ガードレールの存在を知らない人も多いんです」

鈴谷「マニアのみ知るレアガードレールってことか!」

青葉「…ガードレールマニアっているんですか?」

鈴谷「黄色に青色…他の色は無いの?」

青葉「実はまだあるんですよ!」

青葉「かの明治維新で有名な萩市には茶色ガードレールなんてのもあるんです」

青葉「茶色は古き良き木造をイメージをしてるとか」

鈴谷「さすが歴史の町だね」

青葉「後は、もちろん普通の白ガードレールもあります」

青葉「この白ガードレールは山道等に多いことから、単に塗り忘れたために白いままだと言われています」

鈴谷「山口県には4色のガードレール…なんか凄い!」

青葉「山口県がガードレールに懸ける情熱…青葉には理解できません!」

青葉「いやはや、今回はまともなコーナーになりましたね!」

鈴谷「うん。これぞ、豆知識コーナーって感じだよ」

青葉「ではではまた来週、お会いしましょう!」

鈴谷「さよーならー!」



熊野「私の出番…最後だけなんて、ありえませんわ…うぷっ…おろろろ」

鈴谷「わああ熊野ちょっと何してんのー!?」

青葉「えええ!?今回はこんなオチ!?」

金曜日になる前に更新できてよかったでち
また来週お会いしましょう

イベントやってると時間がなくなってきてつらい
とりあえず今週分を投下

山口市 湯田温泉

提督「着いたぞ。ここが今晩の宿『松田屋』だ」

摩耶「うお、なんか昔にありそうなすげー旅館だ…」

陸奥「なかなか立派な宿をとったのね」

提督「当然だ。貴重な旅行の時間、出来るだけお前たちに楽しんでほしいからな」

陸奥「ありがとう、提督」

長門「よーし!ここに温泉があるという訳だな!」

漣「いよー待ってました!」

初雪「…裸になる用意は出来ている」

提督「あのな、この際言っておくが、山口の温泉は一部を除いてそこまでいいもんじゃないからな?」

提督「そんなに期待するとかえって何も感動しないと思うんだが…」

摩耶「いや、それでもアタシは構わないぜ!」

足柄「提督が連れてきてくれた宿だもの。感動しない訳ないじゃない」

提督「そこまで言ってくれるのか…優しいなお前たちは」

松田屋ホテル ロビー

提督「じゃあ俺はフロントで手続きするからお前らは少し待ってろ」

朝潮「わかりました」

~~~~~~

摩耶「なかなか長いな」

陸奥「チェックインはこんなものよ」

長門「なかなか暇なものだ…ん?これは何だ?」

陸奥「売店のようね」

長門「鎮守府のみんなへのお土産でも買うか」

朝潮「いいアイデアですね!」

長門「えっと…この店は資材払いできるのかな?」

陸奥「資材がお金…って出来る訳ないでしょ」

摩耶「それが通用するのは軍だけだろ…」

長門「残念だな」

提督「待たせたな、チェックイン終わったぞ」

長門「おう」

提督「ちなみに部屋は○○○室と×××室の2つを借りたからな。今から部屋わけをしないといけない」

足柄「え?2つ借りたの?」

提督「当然だ。一部屋に8人も入れる訳ないだろう」

足柄「むむむ…確かに」

長門「で、どうやってその部屋を分けるんだ?」

漣「私は提督と一緒の部屋がいいです」

初雪「…私も」

提督「こらこら勝手に決めるな。部屋はクジで分かれてもらう」

長門「クジ引き?」

提督「そうだ、これなら公平に、かつランダムに部屋が分かれて楽しいだろ?」

朝潮「いえ、楽しくはないんですけど…」

提督「ルールは至って簡単。このクジを引き、印があった組、無かった組に分かれてもらう」

漣「なるほど、理解したわ」

足柄「確率は二分の一、ってところね」

摩耶「こんなにアタリハズレの大きいクジは初めてだぜ…」

提督「アタリハズレ?何のことだ」

長門「わからないのか?」

提督「全く」

長門「提督と同じ部屋になれるかなれないかに決まってるだろうがっ!!」クワッ

提督「え?今なんで俺怒られたの?」

提督「あーごほん…じゃあさっそく部屋わけをする。ここにあるクジを引いてくれ」

長門「よし!提督と同じ組はこの私が頂くぞ!」

朝潮「わ、私だって提督は譲れません!」

陸奥「お願い…幸運よ私に味方してください!」

足柄「そうよ提督と同じ部屋じゃないと意味がないわだってそろそろフラグ立てて結婚しなくちゃ色々と手遅れになるからこのクジで絶対にハズレを引くわけには」ブツブツ

提督「…」



提督「…なあお前ら、そんなに俺が好きなのか?」

摩耶「あぁ?そんなん当たり前だろ」

提督「そうなのか…」

漣「なに、なんか不満なの?」

提督「いいや満更でもない!」

摩耶「…女たらし」ドンビキ

提督「え?それは酷くね??」

長門「よし、さっさとくじを引くぞ!」

漣「提督と同室はいただく!」

初雪「来たれ、大吉の力…!」

足柄「うりゃああああああ!」

結果



○○○部屋
提督
摩耶
朝潮


×××部屋
初雪
足柄
長門
陸奥

提督「以上が、部屋分けの結果だ」

足柄「おのーーーーーれぇぇぇぇぇ!!!!!」ドタ-ッ

初雪「馬鹿な…こんなはずでは…」ガクッ

長門「大吉とはなんだったのか」ズ-ン

陸奥「そ、そんなこともあるわよ。ね、長門?」

長門「くっ…無念すぎる…!」ズズ-ン

提督「…コイツら部屋わけだけでここまで落ち込むのか…」

提督「しかしそれと比べてこっちは」

漣「ははは!漣の大勝利だね!」キラキラ

朝潮「今夜は長い夜になりそうです!」キラキラ

摩耶「よッッッしゃああーい!!提督と同じ部屋だーー!!」キラキラ


提督「こっちは向こうと比べて対照的すぎんだろ。ていうか摩耶はしゃぎ過ぎだろ」

摩耶「へっへーん!あったりまえよー!」キラキラ

漣「提督と一緒で文句を言う娘なんかいるわけないっしょー!?」キラキラ

朝潮「私嬉しいです!嬉しいです!嬉しいですっ!!」キラキラ

提督「だめだこいつらテンションおかしい」

提督「じゃ、部屋も決まったことだしこれからの予定を説明するぞ」

長門「…了解だ」ズ-ン

提督「いい加減立ち直れよ」

長門「しばらくは無理」

提督「…まあいい。まず、これから温泉に入ろうと思う」

提督「お前たちも色々動いて疲労が溜まってるだろうしな。今日の疲れはここでしっかり落としてほしい」

長門「!」

初雪「そうだ…温泉だ!」

陸奥「提督と同室じゃないのは残念だけど、温泉は楽しまないとね!」

足柄「この痛む腰に、温泉が染みそうだわ!」

提督「お前ら急にテンション上がったな…まあいいけど」

提督「ちなみに温泉の次は晩食だ。なかなか豪華な食事らしいから期待していてくれ」

初雪「なんだって!?」

長門「なんという僥倖!」キラキラ

足柄「今夜が楽しみだわーッッッ!」キラキラ

提督(すごく現金な奴らだなぁ)

提督「まずは風呂の準備だ。各自、部屋に戻り仕度をしろ。18時30分に浴場前に集合だ」

長門「了解っ!」

浴場前

提督「全員いるか?」

漣「いまーす」

提督「着替えやタオル、ちゃんと持ったか?」

長門「問題ない。ぷかぷかあひるちゃんも持ってきたぞ」

提督「それ浮かべるなよ?絶対浮かべるなよ??」

長門「なぜだ?せっかくの温泉だからあひるちゃんにもリラックスして貰いたいんだが…」

提督「お前はもういい齢なんだから恥じらいというものを覚えたらどうだ!」

長門「…そのセリフ、私に好意を持ってるという意味だな?」

提督「ちがうからな」

提督「じゃ、あひるちゃんも取り上げたことだしゆっくり温泉に入って来い」

長門「は~い」

提督「さて、俺も温泉に…」スタスタ

長門「…」スタスタ

提督「…」ピタッ

足柄「…」ピタッ

提督「…なんでお前ら全員俺に着いて来てんだよ!?」

初雪「…ついうっかり」

提督「うっかりじゃなくてどうみても故意だっただろ!?女湯はあっち!向こう!!」

漣「HAHAHAやだなあ提督は…こういう時は混浴が常識でしょ?」

提督「常識じゃねぇよ!一般のお客様もいるから大迷惑だからな!?」

朝潮「提督…貴方なら、裸を見られてもいいのですが」ウワメヅカイ

提督「そんな誘うセリフとかいらんわ!嬉しいけど立ち去れ!Go away!!」

陸奥「ざんねん…」トボトボ

男湯

カポ-ン

提督「…」

提督「…いい湯だ」

提督「…」

提督「一般の客がいると思ったが、誰もいないな…」

提督「…」

提督(一般の客いないなら混浴でよかったかもしれん)

女湯

カポ-ン

長門「ふはは…これが温泉か!」

陸奥「幸いにも、一般の人はいないようね」

朝潮「つまり、これは貸切…!」

長門「そうと決まれば、トウッ!!」ドボ-ン

足柄「ちょっと長門!?体くらい洗いなさいよ!!」

長門「ふはははは楽しいぞ楽しいぞ!お前たちも早く入れ!!」バシャバシャ

足柄「ちょっ待っ」

漣「あはは!私もダーイブ!!」ドボ-ン

初雪「…きゅうそくせんこー」ドボ-ン

朝潮「わ、私も!」ドボ-ン

足柄「もう、こんなにはしゃいじゃって…逆に疲れても知らないわよ!?」

摩耶「かてーこと言うなよ足柄!」ドボ-ン

陸奥「そうよ。せっかくだしハメを外してもいいじゃない」

足柄「…まあ、私は別にいいけど…」

数分後

提督「ああ、いい湯だった」ホカホカ

長門「そ…そうだな…」ゼェゼェ

漣「いい湯…でした…」ゼェゼェ

提督「何かむしろ疲れてないかお前ら。さては風呂で遊びまくったな?」

摩耶「いや…そんなことはない…」ゼェゼェ

朝潮「朝潮は…いつでもいけます…」ゼェゼェ

提督「そうか…?」


足柄(はあもう言わんこっちゃない…)

陸奥(まあまあ)

提督「さあ、風呂の後はお待ちかねの食事だ!」

漣「やったー!」

長門「この時を待っていたぞ!」

初雪「…ところで、晩御飯のメニューは?」

提督「えっと…青柳ぬた和えにうすい真丈、ぜんまい白和え太刀魚焼目寿しと稚鮎、蛤雲丹焼に粽それからえーと」

漣「…日本語でおk」

提督「まあ、お前たちは普段こういう料理食べないからな…」

朝潮「ごちそうさまでした」

長門「とても美味かった!満足したぞ!!」

摩耶「ありがとうな提督」

提督「さて、今日の予定はこれで終わりだ。明日の出発予定時間は8時30分だからそれまで自由時間な」

長門「了解だ」

朝潮「さあ提督!早く部屋に行きましょう!」

提督「ああ、わかったわかった」

漣「ふっふっふ…夜の女の顔がどんなものなのか教えてあげるわ!」

提督「お前らは俺に何をする気だ…」

足柄「…」ギリギリ

提督部屋

漣「みんなでトランプしよー!」

提督(夜の顔とか言うからナニされるのかと思ったが、女の子特有の普通のコミュニケーションだったな)

提督(…別に期待はしていなかった)

朝潮「何をして遊ぶの?」

漣「トランプ定番、ババ抜きー!」

摩耶「ふふんっ、この摩耶様が相手になってやる!」

漣「ババ抜きマスター、漣の実力を思い知るがいい!」

朝潮「提督も、ババ抜きやりませんか?」

提督「そうだな…たまにはこういう和気藹々とした遊びもいいだろう」

長門部屋

長門「…」

初雪「…」

陸奥「…」

足柄「…暇ね」

長門「提督がおらんとつまらん」

陸奥「提督が私たちに対する影響力が強いことを実感するわ…」

足柄「はあ…結婚したいな…」

初雪「…私、面白い遊び考えた」

長門「ん、どうした初雪」

初雪「それは…えい」ヒョイ

長門「ぐえ」ボフッ

初雪「…お泊まりの定番、枕投げ」ニヤッ

足柄「!」

長門「や…やったなー初雪ー!」

陸奥「うふふ、それは面白そうね」

足柄「確かに、いつまでもウジウジするのはよくないわ。ここは全力で遊びましょう!」

陸奥「いくわよっ、初雪ちゃん!」ヒュンッ

初雪「…ぎゃ」バフッ

陸奥「どう?私だってビッグ7なんだから…ん?」

足柄「隙ありー!」ヒュンッ

陸奥「きゃあ!!」ボフッ

足柄「ふふ…知らなかった?私だって飢えた狼なのよ!」

陸奥「足柄…やったなー!?」

足柄「あはははは!」

長門「おぉ…確かに枕投げは面白い遊びだ!」

長門「よし!このビッグ7長門も参戦するぞ!」

長門「でりゃああああああ!!」

ヒュンッ!
ドゴッバキバキビリビリ-ッ!!
↑障子大破

長門「あっ」

初雪「あ…」

足柄「…」

陸奥「…」


初雪「…寝ようか」

長門「そうだな」

陸奥「解決策はまた明日にでも考えましょう」

足柄「そうそう。せっかくの旅行なんだし楽しくいきましょう!」

長門「ははは、足柄のくせにいいこと言うじゃないか」

陸奥「あはは…胃が痛いわ…」

※後日、この4人はこってり怒られました

【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「青葉ですぅ!」

熊野「熊野ですわ!」

鈴谷「鈴谷だよ!」

鈴谷「…ねぇ熊野、体調はもう大丈夫なの?」

熊野「当たり前ですわ!あの後2、3回吐いたらすっかり治りましたわ!」

青葉「お嬢様がそんなやすやすと嘔吐するなんて…」

鈴谷「こいつ本当にお嬢様かよ」

熊野「あの、2人ともまとめて爆撃しますわよ?」

熊野「まあ冗談はさておき…青葉さん、今回は何を紹介してくださるの?」

青葉「はいっ!今回はですね、『湯田温泉の昔話』の紹介です!!」

鈴谷「昔話?」

熊野「歴史…とかではなくって?」

青葉「はいはい!確かに湯田温泉は明治維新の痕跡が残る温泉として有名ですが、実はそれ以外にとてもファンタジーで楽しげな昔話があるのです!」

熊野「ファンタジーで楽しげな昔話?」

青葉「それでは、これをご覧くださいっ」

~湯田温泉の始まり~

電『むかしむかしあるところに、小さな村の寺に住む一人の和尚さんがいました』

響『やあ、私が和尚さんだよ』

響『ところで、この村は寂れてどんどん衰退しているな…私がなんとかできないものか…』


鈴谷「これは映画?っていうか劇に近いかな」

青葉「しっ、黙って見るのです」

電『ある日、和尚さんがお寺の近くを歩いていると真っ白な狐を見つけました』


暁(狐役)『こ…こんこん』

響『あら…この狐は怪我をしているみたいだね。可哀想に…』

暁『こん』テクテク

響『この狐は一体どこに行くのだろう。ついていってみようかな』


電『和尚さんが白狐を追いかけた先には、小さな池があったのです』


響『白狐が池に近づいていく。水浴びでもするのかな』


電『そしてその白狐が、怪我したところにその池の水をかけると…』


暁『こんっ!』

響『凄い…どんどん傷が癒えていく!?』


鈴谷「zzz」

青葉「鈴谷さん!?せっかくあの子たちが演技してるのに寝ちゃダメですよ!」

電『和尚さんは怪しんで、この池をすくってみると…』


響『温かいな。温泉じゃないか!』

暁『こん!』

響『よし…もっと深く掘ってみよう』ザクザク
ザバァァァァァァ

響『ビンゴだ、大量の温泉が湧き出て来たぞ。これなら噂になって他の場所から人がくるかもしれない』

暁『こんこん!』


電『夢中になってさらに深く掘る和尚さん。そして出て来たのは…』


熊野(金色)『熊野ですわーーー!!』

響『!?』


鈴谷「ファッ!?」

青葉「あ、起きましたね」

電『出て来たのは釈迦如来の金像』

電『そう、実は白狐はかつて紀伊の熊野三所権現を迎えてお祀りした、権現山の使いだったのです』


鈴谷「ああ、それで熊野が…」

青葉「しかし金箔に身を包んだ熊野さんはなんだかえっちいですねぇ」


電『和尚さんは、出てきた温泉と金像を大切に拝みました』

電『それからというものの、この場所には人が集まる温泉となり、湯田の町は温泉街として賑わったのです』

雷『めでたしめでたし』

青葉「いかがでしたか?これが湯田温泉の始まりです」

鈴谷「作り話だろうけど、なかなか面白かったよ」

鈴谷「特に傷を一瞬で治すお湯、鈴谷も入ってみたいなあ」

青葉「何を言ってるのですか鈴谷さんは?私たちだって、ときどき傷を一瞬で治すお風呂に入っているでしょう」

鈴谷「へ?そうだっけ」

青葉「ほら、入渠…」

鈴谷「…あ、高速修復材!」

青葉「そうです!」

青葉「実は、いつも使ってる高速修復材はこの湯田温泉の源泉から作られていたのです!!」

鈴谷「な、なんだってーーー!?」

青葉「まあ、嘘ですけど」

鈴谷「嘘かいっ!」

青葉「でも、高速修復材の真実を知った気分になれる面白い話でしたでしょう?」

鈴谷「まあそうだね。本当に高速修復材が湯田温泉産かと思っちゃったよ」

青葉「日本全国には知られざる物語がたくさんあります。もしかしたら、その物語が我々艦これ世界の不可解な謎を解決する手掛かりになるかもしれません」

鈴谷「旗艦が沈まない理由とか羅針盤が荒ぶる理由とか。こういう小さな話で謎が解決するかもしれないね!」

青葉「今回は色んな可能性を感じさせる回でした」

鈴谷「艦これの謎に迫ったような、楽しい話だったよ!」

青葉「ではでは皆さん、また来週お会いしましょう!」

鈴谷「さよーならー!」



熊野「また放置エンドですって!?ありえませんわ!!」

続きはまた木曜日に更新です

先週はすみませんでした
今週分を投下します

翌朝

提督「みんな、昨晩はバッチリ眠れたか?」

摩耶「バッチリだぜ!」

長門「ああ、完璧だ…」ドキドキ

提督「よしよし。じゃあ今日の観光予定を発表するぞ」

提督「まず山口市に行った後、宇部→山陽小野田→下関の順に観光していく予定だ」

提督「今日の最終目的地である下関では、山口県名物とらふくを食べる予定だから楽しみにしていてくれよ」

漣「ほほう?ついに山口最高の食材を食べられるってことだね!」

朝潮「楽しみにしてます提督!」

提督「んじゃあ旅館を出発するぞ。俺はチェックアウトするからお前たちは先に車に乗っといてくれ」

長門「チェックアウト…」ギクッ

摩耶「?」

初雪「…」

足柄「…」

提督「ん?急に黙りこくってどうした」

長門「それが…その…」

提督「?」



陸奥「提督」

提督「陸奥までどうしたんだ。そんなかしこまって…」

長門「先に言っておく。すまんっ!!」

提督「は?」

初雪「悪気は無かった」

足柄「事故だったのよ、これは…」

提督「なあ、状況が全然読めないんだが」

陸奥「たぶんチェックアウトのときにわかると思うけど…」

提督「???」

摩耶「な、何だか訳ありのようだな」

提督「まあいいか。チェックアウト、お願いします」

提督「…は!?器物損壊の請求!?長門たちのいた部屋の障子が砕けただと!」

摩耶「!?」

提督「これは一体どういうことだ!お前たち説明を…」

足柄「あー、えっと…」

長門「こ、これは…」

初雪「…原因は長門」

長門「おいこら初雪!私を売る気か!」

足柄「原因は長門だったじゃないの!だから長門型の2人がなんとかしなさいよ!」

陸奥「えっ私もなの!?これ私とばっちりじゃないの!?」

提督「いいからちょっと待て!まずは具体的な内容を話してくれ!」

陸奥「実は…」




提督「…なるほど、事情はわかった」

長門「…」土下座

足柄「…」土下座

提督「失敗は誰にでもある。旅行だから騒ぎたいのもよくわかる」

提督「…でも、限度ってものがあるだろう」

初雪「…はい」

提督「次から気をつけるように」

陸奥「わかりました」

提督「ちなみに賠償は、鎮守府に直接請求したことでなんとか解決した。後処理は加賀たちが何とかしてくれる筈だ」

陸奥「へ、へぇ…よかったじゃない」

長門「これで無事に済んだな。いやあよかったよかった…」

提督「うん…で?言うことは?」ギロッ

長門「すんませんでした!」バッ

足柄「もうしませんっ!」バッ

提督「はあ…今は見逃してやるが、鎮守府に帰ったらお咎めだからな。覚えておけよ」

長門「はい…」ズ-ン

摩耶「まあまあ!気を取り直して旅行を楽しもうぜ!」

朝潮「提督は優しいですし!怒ってもひどいことはしませんよ!」

長門「うぅ…」

漣「んで提督、今から山口市のどこに行く気なの?」

提督「まずは山口市の名所、『瑠璃光寺五重塔』を見に行くぞ」

足柄「五重塔?あの有名な?」

提督「有名なのは東寺や法隆寺のやつだがな。とはいえ、瑠璃光寺も美しさはそれらに劣っていない」

足柄「へぇ」

提督「瑠璃光寺五重塔も国宝指定を受けている程の塔だからな。見て損は無いはずだ」

摩耶「国宝!?なんかすげー指定受けてんな!」

提督「国宝は重要文化財の中でも特に優れたものを指す。瑠璃光寺五重塔はそれほど立派なんだ」

漣「むむむ…これは期待せざるを得ない」

瑠璃光寺五重塔

提督「これが瑠璃光寺五重塔だ。よく目に焼き付けておくんだな」

摩耶「これが…瑠璃光寺五重塔」

陸奥「ちゃんと五重になってるわね」

漣「でも何か…少ししょぼい」

初雪「予想してたのより…五重塔が小さい」



提督「…え、何このリアクション」

提督「いやいやいやほらよく見てみろ、綺麗な塔と思わないか?」

漣「うーん…」

提督「いいか、この瑠璃光寺五重塔は室町時代に造られた、香積寺の遺構なんだ」

提督「また瑠璃光寺は曹洞宗の寺で、応仁・文明の乱で戦死した大内氏を弔うために建てられたんだぞ」


長門「とはいえ…我々はその時代とは関係がないし」

漣「興味があまり湧かないんだよね~」

提督「何!?」

提督「しかし瑠璃光寺五重塔は、日本三大名塔と言われるくらい素晴らしい塔なんだぞ!?」

長門「えっと、それはどれくらい凄いんだ?」

提督「そうだな、扶桑・大和・アイオワくらい凄いな」

長門「凄いなそれは!」

提督「日本の塔の中ではベスト3だからな」

摩耶「でも、俺には凄さがよくわかんないぜ…」

朝潮「私たちにとって塔の価値なんか、豚に真珠ですから…」

提督「ぐっ…なるほど」

提督「ならば、次は歴史に興味が湧きそうな橋に連れてってやろう」

毛利家墓所

提督「ここが毛利家の墓だ」

長門「墓?」

提督「大河ドラマ軍師官兵衛では敵役として描かれている毛利氏だが、毛利氏は中国地方発展に身を尽くしたことで有名だ」

提督「その偉業の数々から山口県では吉田松陰に並ぶ偉人として認識され、尊敬する人も少なくない」

提督「またかの有名な『三本の矢』のストーリーは有名で、艦これアンソロでもそれをネタにした漫画があり…」ペラペラ


提督「ってお前ら?聞いてる?」

漣「聞いてないでーす」

長門「すまん、何を言っているのかさっぱり…」

提督「」

足柄「提督がこういったものを好きなのはわかるんだけど、私たちの趣味には合わないわ」

提督「」ガ-ン

朝潮「私たちはまだ若いです…正直、このような歴史的なものを見てもあまり感銘を受けません」

提督「…そうか」

長門「もう少し刺激のあるものが見たいな」

摩耶「提督、もっと面白いものはないのかよ?」

提督「面白い人にとっては大変面白い場所だったんだが…」

提督「…まあ、錦帯橋のときもお前らアレだったもんな。確かに予想できた事態だったかもしれない」

提督「よしわかった!じゃあ次は方向性を変えて、工業的な歴史遺産を見てみよう」

漣「工業的な歴史遺産?」

山口駅

提督「山口県が誇る歴史的車両といえばこれだ、SLやまぐち号!」

SL「しゅぽー!!」

漣「で、でかいっ!?」

摩耶「すげぇ…何だか、艦娘に似た力強さを感じる」

提督「フフフ…面白いか?」

提督「正直、山口県に来てまで見るようなものではないが、何となく俺の勘がこれをお前らに見せろと告げたんだ」

足柄「なんだろ…これを見てると凄く興奮する」

陸奥「不思議な気分…」

長門「しかし提督よ、えすえるとは何だ?」

提督「SLってのは石炭で走る蒸気機関車の総称だ」

提督「昔は一般的な列車として日本中、いや世界中に普及してたんだ」

提督「だが、時代が進むにつれ燃費の悪さ・環境への配慮の低さが露呈され次第に廃れていった」

朝潮「石炭で動き、かつ時代に取り残されてるってことは…SLは天龍さんと同じなんですね!」

提督「それ本人に言うなよ?絶対言うなよ!」

陸奥「ところでどうしてそんなものがここに残ってるの?」

提督「観光用だよ。SLにはファンが多いんだ」

提督「ちなみに日本でSLを運用してるのは、この山口線や大井川鉄道をはじめとする私鉄で運用されているぞ」

朝潮「なるほど、大井さんは北上さんと力強い恋愛をしているのも、大井と名の付く地名でSLが走ってるからなんですね!」

提督「違うぞ」

提督「まあ、本当はこれにお前らを乗せてやりたかったんだが、残念ながらSLやまぐち号の終着駅は島根県にある」

提督「つまり、山口県旅行という趣旨から外れるため今回は断念したぞ」

長門「むむ…そうなのか」

摩耶「まあ仕方ねぇよ。提督の計画もあるんだし」

初雪「私は、これを見れただけで満足」

足柄「このSLって乗り物、何だか親近感を感じるわ」

陸奥「同僚…いや、先輩を見た気分…?」

提督「…」

提督「…一応聞くけどさ、お前ら山口市でどれが一番よかった?」

長門「それはもう」

摩耶「SLやまぐち号に決まってんだろ!」

提督「…ああ、やっぱりな」

提督「ちなみに俺は瑠璃光寺五重塔が最高だった。あんなシロモノは人生でなかなか見られん」

漣「えー?あんな地味なのどこがよかったの?」

摩耶「やっぱSLだぜ、SL!!」

提督「ははは…」

提督(やっぱ前世が軍艦だったから、艦娘はこういう機械的なものに自然と惹かれるんだろう)

提督「じゃ、そろそろ山口市を出るぞ」

朝潮「はい!」

初雪「次はどこに向かうんだっけ」

提督「次に向かう街は宇部市だ」

提督「宇部市は今まで見てきた場所とは違い、歴史的ではなく工業的な街だからな。覚悟しとけよ」

陸奥「工業的…工業都市なのね」

摩耶「これは期待できるな!」

提督「宇部市は山口の中で二番目に大きな街だ。ま、今までの場所と比べたら若い者向けの場所だな」

提督「まあ、色々見て回る予定だから楽しみにしててくれよ」

足柄「了解!」

長門「よし、ならば早く行くぞ!宇部市へ!!」


【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「はいはーい!今回もこのコーナーがやって来ましたねー!!」

鈴谷「もう5回目だっけ?時間が流れるのは早いね~」

青葉「基本的に週一更新ですからね。単純計算すると始まってからもう一ヶ月経ってますよ」

鈴谷「本編はまだ1日しか経ってないのにね。不思議な気分になっちゃうな」

熊野「じゃあ、今回も張り切って行きますわ!」

青葉「さてさて、ついに提督一行は山口市に来ましたね。山口市は山口県の中心ですよ!」

鈴谷「中心なだけあって、県庁に大学とか色んなものがあるんだねー」

青葉「もちろん観光名所もいっぱい!」

青葉「提督が訪れた瑠璃光寺五重塔をはじめ、ザビエル記念聖堂や大内氏の遺産等、歴史的資料に恵まれた街なんです」

熊野「…まぁそれでも神戸に比べれば田舎には変わり無いんだけど」

青葉「熊野さん!?それ禁句ですから言っちゃダメ!」

青葉「えっとそれでですね、山口県の中心だということですし!」

鈴谷「皆さんにもっともっと山口県のことを知って欲しいということで!」

青葉「今回は、山口県についての質問コーナーをやっちゃいます!」

鈴谷「今から山口県に住む予定のある人、山口大学に進学を考えてる人はどんどん質問しちゃってよ~」

熊野「…まあ、別に山口なんかよりオシャレな神戸で暮らした方がよっぽど楽しいとは思うのだけど…」

青葉「熊野さん!?これはこういう企画なんですから!少し黙っててください!」

青葉「というわけで、質問タイム!」

鈴谷「気になることを尋ねてくださいね」

唐突ですが質問安価
↓レス
↓レス2
↓レス3

青葉「まずは山口県の有名人について説明しちゃいますね」

青葉「有名な所では、やっぱり安倍晋三さんや詩人の金子みすゞさんが有名ですが…」

鈴谷「別にそれ艦これスレで教える必要ないよね」

青葉「そうなんです、やはり山口県といえどもこれは艦これssですからね」

青葉「なので山口県出身の海軍軍人を紹介しちゃいます!」

青葉「やっぱり山口県出身の名将といえばこの人でしょう、『石川信吾』少将!」

鈴谷「出た…」

青葉「軍オタには有名でしょうか?様々な小話を持つ、大日本帝国海軍屈指のおもしろ?将軍ですけど」

熊野「お、おもしろいって…」

青葉「開戦のきっかけ、大和建造案、山本五十六との関係等色んなことに関わってきましたからね」

青葉「そんな『不規弾石川』の出身は山口県だったのです!」

熊野「そ、そうなの…」

青葉「ま、具体的な内容はWikipediaを参考にしてくださいね」

鈴谷「結局人任せかいっ!?」



青葉「次です次!郷土料理を教えろ、ということですか」

熊野「みかん鍋と岩国寿司はもう出ましたけど…」

鈴谷「他にも珍しい料理あるの?」

青葉「当然です!山口県にはまだまだ他にも誇れる料理がありますよ!」

青葉「やはり代表的なのは『瓦そば』です!」

鈴谷「瓦そば?そばの中に瓦を入れるの?」

青葉「そういうわけじゃないです。瓦そばというのは、瓦の上で蕎麦を焼いたものなんです」

青葉「瓦そばはもともと、調理器具がない状態で蕎麦を調理しようとして出来たものですからね。なんとか蕎麦を美味しく食べようとした結果、こんなワイルドな感じに仕上がったんですよ!」

鈴谷「なるほど、瓦そばは非常食的なものなんだね」

青葉「はい!なので軍艦に乗っているとき仮に調理器具がなくて困った状態になったら、熱々の砲身の上で瓦そばを作る、なんてことも出来ますね!」

鈴谷「大事な砲身を粗末にするな!」

青葉「じゃあ最後は特産品について紹介します」

青葉「まあ、これは無理に艦これと繋げる必要もないでしょう。たくさん挙げていきますね」

鈴谷「山口県に来たら、これらを買って帰るといいよ!」

青葉「まずは有名なのは下関市産河豚でしょう」ヒョイ

青葉「どうですこの河豚は?こんなシロモノは山口県でしか味わえませんよ!」ピチピチ

熊野「まあ、なかなか美味しそうですわ」

??「…」コソッ

青葉「他にも夏みかんやレンコン、アンコウも山口県の特産品ですね」

??「…」ゴソゴソ

熊野「?」

青葉「後は外郎やアマダイ、ブロッコリーとサイシンの交配種であるはなっこりーという野菜あたりが、山口県の特産品でしょう!」

??「…」コソコソ


鈴谷「…さっきからだれなの?そこでコソコソしてんのは」ガシッ

赤城「きゃああーっ!」

青葉「あ、赤城さん!?」

赤城「どうも…なんか美味しそうな雰囲気がしたので…」

鈴谷「ああ、食べ物に釣られて来たんだ…」

青葉「ちょうどいいですね!今私たちは山口県の特産品を紹介してたとこなんです!」

熊野「ほら、この河豚とか美味しそうでしょう?」ピチピチ

赤城「まあ、なんて立派な河豚!素晴らしいです!」ヒョイパク

青葉「」

熊野「」

鈴谷「」

赤城「?」

赤城「どうしたの?」ガリバリ

青葉「ああああ赤城さん、そ、その河豚、ちゃんと調理しないと猛毒が…」

赤城「え?毒があるの?でもまあ大丈夫よ、私一航戦だし!」グッ

熊野「ほ、ほんと?」

鈴谷「でも一応、病院に行った方が…」

赤城「大丈夫だって!仮に魚に負けるようであれば、一航戦の誇りが許さな」バタッ

熊野「きゃああぁぁぁぁーーー!!」

青葉「ちょっと!緊急事態発生ですよ!!急いで救急車!救急車を呼んで!!」

赤城「すみません…雷撃処分、してください…」ガクッ

熊野「赤城さーん!?しっかりしてください!」

鈴谷「カットー!これ駄目!もう今回終わり!!また次回、お会いしましょう!!」

青葉「さよならーー!!」


本編の方は間に合いませんでした…
最近、少し忙しいのが現状です
来週には宇部市編を書き上げるのでどうかしばらくお待ちください

投下します

提督「宇部市に到着だ」

長門「ほう?ここが山口県で2番目に栄えている都市なのか」

漣「なんか…その割にしょぼいね」

摩耶「でかいビルとかたくさんあると思ったんだが全然ねぇしな」

提督「まあ…山口県全体が田舎だし仕方ないだろう」

提督「ちなみに今現在、この田舎っぷりが災いし、若者が山口県外に出て行くようになって過疎化がリアルに問題になっているんだ」

提督「山口県民の大半は前橋とか筑波とかでも十分な大都会だと認識しているからな…。山口県以外に住みたいと願う若者も多いんだ」

足柄「…切ない話ね」

初雪「…たまには田舎で息抜きも必要」

提督「まあいい。気を取り直して宇部市の観光を始めるぞ」

提督「まずは宇部市の誇る大企業『宇部興産』を見に行こうと思う」

陸奥「宇部興産?」

長門「会社を見に行くのか?」

提督「そうだ。色んな化学物質を作ったりしてる工場を見に行くぞ」

提督「宇部興産はお前らの好きな第二次産業系の企業だから、きっと楽しめると思う」

摩耶「なるほど、楽しみだぜ」

宇部興産

提督「宇部興産に到着だ」

摩耶「うお、なんかすげー広くてでっかい工場があるぞ!」

提督「宇部興産はこれでも世界的な大企業だからな。宇部興産にとってはこれくらいは普通の規模だと思ってるんじゃないか?」

陸奥「すごいわね、宇部興産って…」

提督「ちなみに宇部興産のスペックを晒すと、アンモニアの国内シェア1位・セメントの国内シェア2位・ポリブタジエタンゴムの世界シェア4位など…まあ詳しいことはWikipediaを見てくれ」

朝潮「宇部興産ってとっても大きな企業なんですね…」

長門「世界に名だたる企業か…私もかつてはビッグ7として世界で注目されてたものだ」

提督「では中に入るぞ。宇部興産には予約すると自由に設備の一部を見学できる『UBE-i-Plaza』という施設があるんだ」

提督「もちろん予約は済ませてあるから今日はそこを見学しようと思う」

摩耶「じゃあさっそく行こうぜ!」

提督「待て待て。まずは受付を済ませてから…」


提督「よし、受付終わったぞ。ここから自由に見学してくれ」

摩耶「よーし、行くぜっ!」

提督「おっと、公共の施設だからゆっくり静かにな」

摩耶「あっ…そうか」

長門「おお、色んな物が展示してある」

陸奥「宇部興産のつくった製品って色んなものがあったのね」

足柄「技術の紹介もしてあるわ。今の技術があればあの戦争でボロボロになることはなかったはず…」

朝潮「技術、製品、歴史…色んなものが展示してあるんですね」

漣「…何これ?テレホンカード?こんなのも置いてるんだ」

提督「このUBE-i-Plazaでは宇部興産に関するものが色々置いてあるからな」

提督「日本を支える工場の実態を勉強するのにはいいと思うだろう」

長門「了解だ。日本国の技術、しっかり学ばせてもらう!」



提督「ちなみに宇部興産では、UBE-i-Plazaだけでなく工場の内部も見学できるツアーも開催しているぞ」

提督「工業に興味のある提督は是非一度、宇部興産見学ツアーに参加してみてほしい」


提督「さて皆、宇部興産はどうだったか?」

陸奥「とても勉強になったわね」

漣「少なくとも、今までのキンタイキョーとかゴジューノトーとかよりかはよっぽど楽しかったわ」

長門「よかったぞ提督!なかなか興味深いものであった!」

提督「そうか、それはよかった!」

朝潮「提督?なんだかいつもに増して嬉しそうですね」

漣「ニヤニヤしちゃってどうしたの?」

提督「いや…ここまでに様々な山口県の観光名所にお前らを連れて行ったが」

提督「主力観光地はほとんどスルーされオマケ的なとこにしか喰いついて貰えず、失敗したかなと思う連続だったが、ついにこの宇部興産でようやく初めてまともなリアクションされたからな」

提督「それがもう、嬉しくて嬉しくて仕方がないんだ!」

朝潮「…提督」

長門「…なんかすまん」

提督「さて、次は…おっと、もうこんな時間か」

漣「もう12時でーす」

提督「よしよし。いい時間になったし次は宇部市名物を食べに行くぞ」

摩耶「おお!昼飯か!」

長門「宇部市の名物料理…胸が熱いな」

足柄「どんなものを食べるの?」

提督「ラーメンだ」

初雪「!!」

長門「ラーメン?」

摩耶「…といえばアレだよな。普通にスープと麺の入った」

提督「ああ、一見すると特に何の変哲もないが、実は面白い秘密のある人気ラーメンを食べに行くぞ」

陸奥「山口県の有名なラーメンってあったかしら…?」

足柄「ラーメンといえば和歌山か福岡が有名よね」

朝潮「もしかしてご当地ラーメンってやつですか?」

提督「まあご当地っちゃご当地かな?この宇部市には、一部の人には凄く有名なラーメン屋があるんだよ」

朝潮「一部の人…?」

提督「例えば、初雪とか」

初雪「ふふ…提督、わかってる…」ニヤニヤ

長門「あの初雪が楽しみにするほどのラーメン…?」

陸奥「初雪ちゃんは感情を表に出すような子じゃないのに、珍しいわね」

摩耶「一体どんなラーメンが待っているというんだ…」

提督「じゃあいつまでも焦らす訳にはいかないし、さっさと食べに行くぞ」

ラーメン屋 一久

提督「ここが宇部市名物ラーメン、『一休』だ」

初雪「ここが…一休!」

長門「…一休?」

摩耶「聞いたことないな。これが有名ラーメンなのか?」

提督「その通り。知る人ぞ知るラーメン屋、一休!」

足柄「提督、そろそろネタバレを御願いします」

提督「一休とはな、アニメ『エヴァンゲリオン』に出演した、エヴァファンには有名なラーメン屋なんだ」

※正確な店名は『一久』ですが、一休の名称の方が有名らしいのでこのssでは一休と表記しています

摩耶「エヴァ?アニメか!」

陸奥「ああ、通りで初雪ちゃんが食いついた訳ね」

長門「初雪はよく引きこもってアニメとか見てるから、この一休を知ってたんだな」

足柄「なるほどこの一休はエヴァファンにとって聖地ってことなのね」

初雪「そういうこと…」

朝潮「でもエヴァンゲリオンみたいな名作アニメにどうしてこんなラーメン屋が出たのですか?」

提督「実はエヴァの作者である庵野秀明監督が山口県出身なんだ。そして監督はこの一休をこよなく愛したという」

朝潮「なるほど、友情出演ってことですね」

提督「まあ監督さんはたまにこの宇部市に帰ってくることがあるらしいし」

提督「そういや俺、去年の秋くらいにプライベートの庵野秀明監督に会ったことがあるんだぜ」

初雪「!?!?」

初雪「え!?え!?マジで!?」

提督「正確には会った、じゃなくて見たんだけどな。話かけることが出来なかった…」

初雪「何で!?そこは積極的にアタックでしょ!!」

提督「いや…大物を前についチキってしまって…」

初雪「馬鹿!阿呆!カス!」

提督「…なぜだか酷い言われようだ」

初雪「ちなみにどこで見かけたの?」

提督「商店街付近で見かけたな」

提督「ちなみに庵野秀明監督は近くの塾に寄ってサインを置いていったぞ」

提督「銀天という塾だったかな?今でもそのサインは置いてあるだろう」

提督「好印象な人だったな…やっぱりあの時声をかけときゃよかった…!」

初雪「くっ、提督…惜しいことをしたね!」

朝潮「初雪、少し興奮抑えて…」

提督「エヴァの話はもういい。そろそろ一休のラーメンを頂くぞ」

漣「わーい」

店員「ラーメンおまちー」

提督「さあ、これが一休のラーメンだ」

長門「ふむ、脂みたいなのがたくさん浮いているな」

朝潮「なんだか食べ応えありそうですね」

提督「その通り。一休ラーメンの特徴はこの強烈に強い脂にある」

提督「二郎や和歌山ラーメンとは一味違うこのギトギト味に惹かれる宇部市民はたくさんいるぞ」

長門「なるほど、それは美味そうだ!」

初雪「庵野秀明監督が愛したラーメン…いただきます!」

ズ--ッズルズルズル

提督「うん、やはり美味いな。そして何より懐かしい」

摩耶「いやー、何だかこの毒々しい味が癖になりそうだぜ!」

提督「ちなみに一休ラーメンはこの脂のせいで好みがはっきり分かれやすいのも特徴だ。実際、山口県外の人に一休ラーメンを食わせると『不味い』という人も数多くいる」

摩耶「へー、そうかのか」

提督「もちろんこのメンバーも例外ではない」

摩耶「?」


長門「美味い!美味いぞ一休ラーメン!この油の味は…まさに燃料を彷彿とさせる素晴らしいラーメンだ!」

足柄「はあ!?なんでこんなにラーメンに脂入れてんのよ!もしかして化学調味料?お肌にダメージが来るじゃない!!」


提督「ほらな」

摩耶「おぉ…」


提督「さて、腹も膨れたし最後は宇部市の誇る常盤公園に行くぞ」

長門「常盤公園?公園に行くのか」

提督「散歩も兼ねてな。あんな濃いラーメンを食ったからには少々運動をしなくては」

提督「それに、今日の晩食も豪華だし腹も空かせておきたい」

長門「なるほど、そういうことか」

常盤公園

提督「常盤公園に到着だ。みんな、歩くぞ」

初雪「だるい…でも晩食のためと思うと!」

初雪「歩かずにはいられませんね」

足柄「私も運動しないと骨粗鬆症が怖いわ」

摩耶「足柄…おばさんくさい…」

提督「それじゃあ歩きながら常盤公園について説明をするぞ」

提督「常盤公園は、常盤湖を中心とした都市公園の一つで、昔は日本で最初のジェットコースターが設置されたり鳥の人工孵化したりと色々栄えていたんだ」

提督「今ではその勢いは衰えてしまったが、それでも日本桜名所100選に選ばれたり21世紀に残したい都市公園第一位に選ばれたりと美しさはまだまだ現役の公園だぞ」

長門「つまり、常盤公園は自然がいっぱいある公園なんだな」

提督「そういうことだ」

朝潮「あっ、提督見てください!あそこ鳥がいっぱいいます!」

摩耶「本当だ、鳥だ!クチバシでけーぞあいつ!」

提督「ああ、あそこにいるのはペリカンという鳥だ」

提督「ペリカンはこの常盤公園のシンボルで、繁殖活動や人工孵化も行っているぞ」

提督「ちなみにその人工孵化で生まれた、カッタ君というアイドルペリカンは有名だな」

提督「カッタ君が常盤公園を抜け出して幼稚園まで勝手に飛んでいき、園児たちと遊ぶ姿は全国的に話題になったから知ってる人も少なくはないだろう」

陸奥「カッタ君はとても心優しいペリカンだったのね」

提督「でも残念ながらそのカッタ君は数年前に死んでしまったよ。寿命でこの世を去ってしまった」

陸奥「そうなの…」

提督「幼稚園時代に俺の頭をカッタ君に噛みつかれたのは今となっては懐かしい思い出だ…」

陸奥「…ペリカンに噛まれた?」

摩耶「いい思い出なのかそれは」

提督「ちなみにペリカン以外にも、ちょっと前までは白鳥も数多く飼育されていたぞ」

漣「ハクチョウ?どこにも居ないけど…」

長門「どうして今はいなくなったんだ?」

提督「白鳥に鳥インフルエンザが見つかってな。感染防止の為に全員処分された」

長門「何!?」

朝潮「そんな酷いことが…」

提督「鳥インフルエンザは人間を殺す可能性のある恐ろしいウィルスだ。白鳥を処分して感染を防がねば人間に大きな被害が出ただろう」

朝潮「…だからって殺さなくても」

提督「常盤公園の従業員だって悲しかっただろうよ」

提督「人間のエゴで飼育していた白鳥を人間のエゴで殺すことになったんだからな。あまりにも皮肉な事件だったよアレは…」

朝潮「…」

提督「しんみりさせてすまない。次は常盤公園の特徴でもある彫刻について紹介するぞ」

陸奥「彫刻?」

提督「ほら、あれを見てみろ」

摩耶「あ、何か赤いのが見えてきた」

提督「これは常盤公園を代表する作品『蟻の巣』だ」

漣「蟻の巣?そうは見えないけど…」

提督「いやいや、山口県の美術の教科書には必ずと言っていい程これが掲載されている。蟻の巣はそれくらいすごい傑作彫刻なんだ」

漣「へぇ…?」

長門「しかし鉄屑の集まりを作品にするとはな…現代美術というのはなかなか興味深い」

提督「また、蟻の巣の他にも常盤公園にはたくさんの彫刻が設置してあるぞ」

提督「常盤公園の彫刻は巨大なものが多く、一部の彫刻は内部に入れるものだってある」

提督「それらの彫刻は子供のいい遊び道具になっており、なかなか微笑ましい光景を見ることができるぞ」

長門「子供に好かれるビッグ彫刻か。親近感が湧くな」

提督「宇部市は意外と芸術活動に力を入れている。常盤公園は彫刻好きにとってなかなかいい場所だろう」

提督「あと常盤公園には他にも遊園地、サル園、博物館が設置してあるぞ。いずれもなかなかいい施設だ」

長門「そこには行かないのか?」

提督「歩いているうちにいい時間になってきたからな。そろそろ常盤公園を去ろうと思う」

長門「そうか、残念だな」

提督「もちろん行く価値はある施設なので、もし常盤公園に行く機会のある提督は是非そちらの方も見に行ってほしい」

提督「ではそろそろ移動するぞ山陽小野田市・下関に向かうぞ」

長門「おお、ついに下関か!」

足柄「下関は有名ね…色んな魚が美味しいらしいわ」

提督「まあ下関市ははっきり言って山口県最大の都市だからな」

提督「色んな面白いものがあるから、期待していてくれよ!」

朝潮「了解です!」

初雪「…期待してる」

陸奥「では提督、出発しましょう!」

提督「よし、行くぞ!」

長門「下関市へ!」


【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「…赤城さんは無事、一命を取り留めました」

鈴谷「赤城さんがひたすら加賀さんの名前を呼び出したときはもう駄目だと思ったね」

熊野「慢心身を滅ぼす、という諺を身を持って表現してくれたいい例でしたわ」

鈴谷「そんな諺あったっけ?」

青葉「まあまあ。とにかく平和になったことですし今回もはりきっていきましょう!」

青葉「今回は宇部市ですか。宇部市といえば、空港があったり万博が開催されたりとそれなりの街ですね」

鈴谷「提督は田舎って言ってたけど、まあ山口県の中では住みやすい方ではあるんだよね」

熊野「…確かに、神戸や東京と比べると田舎ですけど」

青葉「住む分には不足の無い十分な街と言えるでしょう」

鈴谷「で、今回は何の話をするの?」

青葉「やっぱり宇部市の話といえばアレしかありませんね!」

青葉「宇部市のキャラクター『エコハちゃん』について紹介しちゃいます!」

熊野「えこは…?何だか聞いたことのあるような…」

鈴谷「私覚えてるよ。昔、エコハっていうピカチュウそっくりのキャラがいたの」

青葉「そうです!今回はそのエコハちゃんについて説明しちゃいます!」

青葉「あっ、エコハちゃんを知らない人は画像をググってみてくださいね」

青葉「エコハちゃんは元々宇部市の環境美化を促進するために作られたキャラクターで、葉っぱの耳が特徴の妖精です」

青葉「また原画が発表された時点ではエコハちゃんはよくある普通のキャラであり、もちろんピカチュウにも似ていなかったため、世間からそんなに注目されませんでした」

青葉「しかし、エコハちゃんを着ぐるみにしてみるとビックリ!出来上がった着ぐるみは『完全に一致』と言えるほどピカチュウそっくりで、エコハちゃんは版権云々で色々と叩かれてしまったのです」

青葉「当然その後はゲームフリークの申し立てにより、エコハちゃんは世間から去ることになった…というのがエコハちゃんの歴史ですね」

鈴谷「うん、知ってるよ」

熊野「この話、某大百科にも同じことが書いてありますわ」

青葉「いえいえここからが本題なんです!」

鈴谷「?」

青葉「世間一般では『エコハちゃんはゲームフリークに消された』と言われていますが、実はエコハちゃんは今でも宇部市で活動を続けているのはご存知でしょうか?」

鈴谷「な、なんだって!?」

青葉「嘘じゃないですよ?エコハちゃん、今でも宇部市のチラシによく描かれてたりしてるんです!」

熊野「えっとつまり…エコハはゲームフリークを無視してるということですの?」

青葉「それがまた違うんです」

青葉「実はゲームフリークが禁止したのはあくまで『エコハちゃん着ぐるみの使用』であり、エコハちゃんそのものの使用自体はゲームフリークも認めている、ということなのです」

鈴谷「そうだったんだ…」

熊野「だからエコハは活動を続けることができたのね」

青葉「実際、エコハちゃん事件の数日後に宇部とゲームフリークの交流を深めるため、公式のピカチュウ着ぐるみが常盤公園にやってきてイベントをやってますしね」

青葉「ゲームフリークすげぇ!って話ですよね!」

鈴谷「…やってよかったのそれ?」

青葉「ゲームフリークも『何かの縁だし問題ない』と言ってたらしいですし別に良かったんじゃないですか?」

鈴谷「ゲームフリークすげぇ…気前良すぎるでしょ…」

熊野「さすが日本を代表するゲーム会社。余裕たっぷりの言動ですわ」

青葉「ちなみに、エコハちゃん事件が世間で注目される前に宇部市がゲームフリークに『エコハちゃんどう?アウト?』と確認をとっていたらしいのです」

鈴谷「そうなの!?」

青葉「この情報は確かではないんですけどね。でもこれならゲームフリーク側もエコハちゃんに友好的な接触をとったのも理解できるでしょう?」

鈴谷「なるほど…あのエコハちゃん事件の裏側では色んなことがあったんだ…」

熊野「ゲームフリークも宇部市も大変だったでしょうね」

青葉「以上があの珍事件の真実です。ご理解頂けましたか?」

鈴谷「はーい」

青葉「いやはや、今回はなかなか心温まるお話でした!」

鈴谷「そこまで温まらなかったけど」

熊野「まあ人情はしっかりと伝わりましたわ」

青葉「これからもエコハちゃんやゲームフリークの活躍にも期待しましょう!」

鈴谷「それでは今週はこの辺で!」

青葉「また次回、お会いしましょう!」

熊野「さようならですわー!」

それではまた来週
と言いたいところですが忙しいので二週間後になるかも

山陽小野田市

提督「下関市に行く前に山陽小野田市を通り過ぎるぞ」

提督「ちなみに山陽小野田も文章だけの説明だけとなります。楽しみにお待ち頂いた山陽小野田市民の皆さん、本当に申し訳ありません」

長門「深くお詫び申し上げます」

提督「山陽小野田市は山口県南部に属する市で、宇部都市・関門都市の中間にある町なんだ」

提督「塚の川古墳や寝太郎伝説、和泉式部墓地などの歴史的資材に恵まれている、とてものんびりとした町だぞ」

足柄「ん?和泉式部とか寝太郎の話って子供の時とかに聞いたことがあるわね」

朝潮「寝太郎のお話はここが発祥だったんですね!」

提督「他にも、山陽小野田といえばセメント産業が有名だな」

提督「それにちなんでここには『セメント町』という変わった地名があるんだ。これは日本では他に類を見ない、とても珍しい地名だと思うぞ」

長門「確かに日本で片仮名の地名は、他ではあまり聞かないな」

漣「物凄いどうでもいい特徴だけどね」

提督「ど、どうでもいいって…」

漣「いや普通にどうでもいいでしょ。カタカナの地名が特徴って…」

提督「じゃ、じゃあ他にも山陽小野田市は日本唯一の漢字五文字の市であるっていうことが特徴だぞ?これは凄いだろう」

長門「ほう、日本唯一か。それは素晴らしい特徴であると言えるな」

漣「…ほんっとうにどうでもいい自慢ばかりなのね、山陽小野田市って…」

提督「やかましい」

下関市

提督「さて、そうこうしてるうちに下関に着いたぞ」

摩耶「おぉ、ついに着いたのか!」

初雪「…ここが、待ちに待った海鮮の街…」

長門「山口県の誇る大都市『下関市』!」

陸奥「車通りも多いし、なかなかの都会なのね」

提督「そうだ。山口県で唯一都会っぽい場所が、この下関市だからな」

提督「下関市は漁業で栄える、山口県最大の都市と言っても過言じゃないくらいの街だ。山口県の若者たちも、下関に来て遊ぶ奴らが多い」

足柄「楽しい街なのね」

長門「んで提督、肝心の河豚はまだなのか?」

漣「下関といえばふぐ!早く食べたいです!」

提督「気が早すぎるぞ。今はまだ15時だ。晩食までかなり時間がある」

長門「くっ…待てない」

漣「晩食を18時と考えると、ふぐの時間まであと3時間…うごごご」

提督「こらこら、お前らもいい年齢なんだから3時間くらい待てよ。そしてちゃんと晩食まで観光をするから退屈はさせないから、な?」

漣「うん…」

長門「…それなら待とう」

提督「よしよし。というわけでまずは下関の誇る水族館『海響館』に行く」

摩耶「水族館?」

提督「そうだ。海の生き物を見に行くぞ」

足柄「う、海って…」

初雪「…私たちは艦娘だし、海は見慣れてるけど?」

提督「お前たちは海に縁が深いと言えどあくまでそれは戦いだけの話だろう?こういう生態系に関することは疎いと思ってな」

朝潮「まあ戦場ですし…魚なんて眺めてる余裕なんてありません」

提督「だからこそ、海に愛着を持ってもらうために水族館を訪れることにしたんだ」

提督「海にも生き物が暮らし、生活を営んでいるということをお前らにも感じてもらうぞ」

陸奥「なるほど、たまにはそういうのもいいかもね」

提督「ああ。今日は深海棲艦のことは忘れて、ゆっくりのんびり魚と戯れるがいい」

長門「ふふ、感謝する!」

海響館

提督「着いたぞ。ここが海響館だ」

摩耶「うおー!なんだかでけー水族館だな!」

陸奥「建物のデザインもなかなか素敵ね」

提督「では海響館について説明するぞ」

提督「海響館(下関市立しものせき水族館)は山口県最大級の水族館で、海に面した場所に設置してあるんだ」

提督「主な見どころとしては、100種以上展示されているフグや日本最大級のペンギン飼育施設が挙げられる」

提督「他にも下関は捕鯨基地があるということもあり、シロナガスクジラの骨格標本を飾ってたり昔には生きた鯨そのものを展示してたりしてたな」ペラペラ

提督「…」

提督「…あれ?誰もいない」ポツ-ン

朝潮「あの提督、みなさんもう先に行ってしまいましたが」

提督「ファッ!?」

提督「おい勝手に先に行くな!迷子になったらどうする!!」

摩耶「あ、やっと来たのか」

提督「やっと、って…だいたい人の話くらいきちんと聞いたらどうなんだお前たちは?」

長門「いや、提督の話は長すぎるから」

提督「」ガ-ン

漣「はっきり言って、話を半分以下の長さにしてほしいな」

足柄「それに、クドクド解説を聞くよりも実際に現物を見た方が絶対に早いわよ」

提督「お、おう。まあ、まあ何というか簡単に論破されたな俺」

陸奥「じゃあ提督、早く海響館に入りましょう!」

提督「わかった。お前たちに海の中の世界を見せてやるぞ」

漣「わーい」

提督「チケットを買って…。よし、ここが入り口だ」

係員「イラッシャイマセ-!」

摩耶「お、おぉ…なんだかこの入り口暗いな」

長門「ん?暗いの嫌い?」ニヤニヤ

初雪「…フフ、怖いか」ニヤニヤ

摩耶「うるさいぞ!」ムガ-ッ

提督「そうそう、入り口は足元がエスカレーターになってるから転けないように気を付けてくれ」

朝潮「はーい」

摩耶「くっ…薄暗いエスカレーターを登らされて何があるっていうんだ…」

提督「いや普通に魚だけど」

足柄「どんどんのぼって行くわね」

朝潮「あ、なんだか明るくなってきましたね」

陸奥「壁が光ってるみたい。何かしら?」

長門「これは…海の映像!」

【海響館の入り口のエスカレーターには、両方の壁に海の映像と環境音が流れます】

摩耶「うおっ、びっくりしたぜ!」

初雪「…これ映ってるの鯨?すごく大きい…」

漣「なかなか綺麗だねぇ」

提督「どうだ?海響館の入り口はなかなか印象的だろう」

陸奥「他の水族館はどうか知らないけど、素敵だったのは確かね」

提督「ふっ、俺も幼い頃はこの海響館でこの長いエスカレータを何度も拝んだものだ…」

提督「エレベーターをのぼりきると、そこはもう魚の展示場だ」

朝潮「いよいよですね!」

提督「それじゃしばらくはフリータイムだ。ここを自由に見学してみてくれ」

摩耶「わかった!見るぞ!」ダッ

長門「よし!戦艦長門、行く…」ダッ

提督「おっと、一般のお客様もいるからあんまり騒ぐなよ」ガシッ

摩耶「…はい」

長門「…わかりました」

海響館・フグ展示ゾーン

提督「ここが海響館の誇るフグの展示場だ」

長門「いろんな種類のフグが沢山いるな。世界各国から集めたのか」

初雪「…やっぱりこいつら全部、たべるとおいしいのかな?」

提督「知るか。お前水族館でそんなこと言うんじゃねぇよ」

提督「ちなみに、フグってのは全部が全部食べられる訳じゃないんだぞ?」

初雪「…え?」

提督「例えばクサフグというフグは皮にも内臓にも強力な毒を持ってる。食べられる場所がないから口にした時点でオダブツだ」

初雪「こ、こわ…」

長門「ふ、フグとは美味しいだけでなく、結構怖い生き物なんだな…」

クサフグは一応食用許可されてんだけどな

初雪「…でもフグって結構かわいいよね」

提督「だろ?最近はフグのペット化もマニア間ではブームになってる程だからな。惚れるのも無理はないだろう」

長門「なるほど、私もフグと触れ合いたくなってきたぞ!」

提督「どうやって?」

長門「そうだ!このフグを膨らませてみよう」

初雪「…単純…」

提督「確かにフグは刺激を受けると水を吸って大きく膨らむが…相手は水槽の中だ、どうやって怒らせるんだ?」

長門「適当に罵倒でもすりゃ怒るだろう」

提督「雑だなおい」

長門「やーいフグのバーカ!」

初雪「バーカバーカ」

フグ「…」

長門「ボケ!カス!高血圧!脇汗!隠れ肥満!」

初雪「お前なんか婚期を逃し、哀れな婚活を毎日のように営むがいい」

フグ「……」

長門「…全然怒らないな」

初雪「…そうだね」

長門「やはり、我々の声はフグに届かないのだな…」

初雪「…水槽の中だもん。仕方ないよ」

足柄「……………バッチリ聞こえてたけど?」ゴゴゴゴ

長門「…ん!?」

>>276
マジで!?
もしかしたらクサフグじゃなくて違うフグのことだったかもしれません

海響館・屋内ペンギンプール

提督「早めに離脱して正解だった」

漣「何の話ですか?」

提督「こっちの話」

漣「?」

朝潮「ところで、ここにはペンギンがいっぱいいますね」

提督「ああ。このペンギンプールでは、キングペンギン・イワトビペンギン・マカロニペンギン・ジェンツーペンギンを同時に飼育しているからな」

提督「これだけの種類を飼うならば、当然それなりの量にもなるだろう」

摩耶「うーん、見ていて癒されるな」

陸奥「ところで提督、ここにナマモノペンギンは居ないのかしら?」

提督「ナマモノペンギン?聞いたことないな」

朝潮「ほら、開発失敗時に出てくるあの…」

提督「え?あれって新生物とかじゃなくて本当にペンギンだったのか?」

提督「あれがペンギンなら隣にいる綿状の生き物はなんなんだ?ペンギンの毛玉?それとも綿菓子??」

陸奥「ああっ、提督が混乱を!」

朝潮「提督!次行きましょう次!!」

提督「…はっ!?すまない、次は屋外のペンギンプールを見に行くぞ」

提督「屋外で飼育されているのはフンボルトペンギンというペンギンだ。フンボルトペンギンは絶滅危惧種に認定されており、この海響館はフンボルトペンギンの特別保護区として認められているぞ」

朝潮「ペンギンの特別保護区!海響館も頑張っているんですね!」

摩耶「しかしこれ…ペンギンを野ざらしにして大丈夫なのか?」

陸奥「暑さにやられたりとかしないの?」

提督「意外と知られていないが、ペンギンはそこまで熱さに弱いって訳じゃないんだ」

提督「実は、極寒の地で生きるペンギンはアデリーペンギンと皇帝ペンギンの2種類。それ以外は南アメリカとかそういう少々温暖な所に住んでるんだぜ」

摩耶「へー、そうなのか」

漣「…ところで提督、ナマモノペンギンの生息地は」

提督「それはもういいって!」



提督「もちろん、海響館ではフグやペンギン以外の普通の魚も展示してある」

長門「巨大な魚がいるぞ!なんだか動きが遅いな」

提督「それはマンボウだ」

朝潮「ふわふわ不思議な形のクラゲがいます!」

提督「それはタコクラゲだ」

初雪「…艦載機を飛ばす深海棲艦がいる」

提督「それはヲ級だ」

提督「…ん?なんでお前ここにいるの?」

ヲ級「バイト…」

提督「深海も就職難なのかよ…」

※海響館ではヲ級の展示は行っておりません。あらかじめご了承ください

提督「さて、海響館はどうだったか?」

朝潮「私たちの知らなかった海の世界を見れて感動しました!」

長門「我々は海に近い場所で生きてるというのに、知らないことばかり見れて楽しかったぞ」

陸奥「そして、何より海にはたくさんの生き物が生きているということを久しぶりにそれを実感できたわ」

提督「それはよかった。この旅行が終わったらまた戦いの日々に戻るだろうが、その気持ちだけは忘れないでくれ」

提督「海は誰のもでもない。いつの日か深海棲艦とも和解し、元の美しい生態系の海に戻る日がきっと来るから」

長門「私もそう信じているぞ、提督」

漣「ところで、ふぐ料理はまだですか?」

提督「現時刻は17時。晩食までまだ時間があるな」

長門「な、何!?」

朝潮「なんだか時間の経過が遅く感じますね…」

提督「ならば、次は海峡ゆめタワーに行って時間を潰そう」

長門「海峡ゆめタワー?」

長門「何だそれは」

提督「その名の通り下関関門海峡に臨む大きなタワーだ。そこに登れば下関を一望できるという、隠れた観光スポットだぞ」

長門「景色を一望か。それは実に興味深い」

初雪「でも…塔を登らないといけないの…?」

足柄「なんだか足腰にきそうなんだけど…」

提督「あー大丈夫だ。ちゃんとエレベータがあるから安心しろ」

すみません、今日はもう眠いので寝ます
明日の夜には下関編を全部投下するのでお待ち下さい

では再投下いきます

海峡メッセ下関(海峡ゆめタワー)

提督「よーし、これが下関一大きな建物、海峡ゆめタワーだ」

摩耶「うおお、これはまたでかいビルだな」

提督「当然だ。実は海峡ゆめタワーは下関だけでなく高層ビルを除くタワーの中で西日本一の大きさを持つタワーだからな」

提督「もちろん展望台以外にも、建物の内部には国際会議場をはじめとする様々な設備があるぞ。海峡ゆめタワーはまさに下関を象徴する建築物と言えるだろう」

長門「ほう、なかなか凄い塔なのだな」

提督「さっそく上るからエレベーターに乗れ」

朝潮「はい!」

長門「よし、出発だ」

ウィィィィィィィィィィィィィン

摩耶「おー、どんどん上ってる」

朝潮「なかなか上る時間が長いですね」

提督「まあ、展望台は地上から143mのところにあるからな」

提督「仮にもエレベーターが落っこちちまったら即死だ、ハハハ」

長門「」

初雪「」

提督「?」

摩耶「…あのさ、提督」

陸奥「こういうときにそんな怖いこと言わないでくれる?」

提督「…あれ?もしかして怖かったのか?」

長門「怖いぞ!!馬鹿者!!」

提督「すまん!」

海峡ゆめタワー・展望台

提督「何もともあれ無事に展望台に着いたな」

朝潮「本当に落ちるかと思ってハラハラしました…」

提督「すまんすまん。まさかあそこまで怖がるとは」

提督「しかし安心してくれ。海峡ゆめタワーはたったの10年前に出来た現代建築物だし、ちゃんと安全に配慮した造りになっているから」

朝潮「そ、そうですか…?」

提督「ほんとほんと。よほど運が悪くなけりゃ落ちることなんてないぞ?」

陸奥「」ガ-ン

提督「えっ?いやあのそういう意味じゃなくて」

陸奥「運が悪いと…落ちる…」ガクガク

提督「あ、あらあら…これは困ったな」

長門「運が悪いと言われている陸奥が乗ってもエレベーターは落ちなかったんだ。それ程安全なエレベーターだということだろう」

陸奥「!」

陸奥「そ、そうよね!もう昭和時代は終わったもの、技術くらい進歩してるはずよね!」

提督「長門、ナイスフォローだ。助かった」

長門「気にするな、妹の面倒をみるのが姉の仕事だ。これ位は当然よ」

提督「んじゃ、落ち着いたし景色見るか」

足柄「そうね」

長門「どれどれ…おおお!海が綺麗だ!沢山の船も往来しているぞ!」

提督「この海は俗に関門海峡と呼ばれる海域だ」

提督「主に輸送船が多く出没する、水路の一つとして有名だぞ」

摩耶「輸送船か…ウィークリー任務代わりに沈めちゃダメかな?」

提督「やっても良いがお前の首が飛ぶぞ?」

摩耶「…ならやめとく」

朝潮「あっ、提督みてください!橋が見えます!大きな橋!!」

提督「それは関門橋だな。山口と福岡を結ぶ巨大な吊り橋だ」

漣「いやー、海をまたいで大陸同士を結ぶ橋ってなんだか素敵だねぇ」

初雪「…文明の進化を感じる」

提督「そうそう、関門海峡といえば…」

提督「実は昨年か一昨年ぐらいにこの海から対軍艦用の機雷が発見されて、ちょっとしたニュースになったんだよな」

朝潮「!?」

朝潮「き、機雷ってあの船だけを殺す機械のことですか!?」

足柄「なんでこのご時世に機雷なんてものが…」

提督「第二次世界大戦の名残だよ。ちなみにその機雷の正体は米国が設置して放ったらかしにされたものだったんだ」

提督「幸いにも機雷は海上自衛隊の活躍により誰一人怪我することなく爆破処理されたぞ。その時に上がった水柱の光景はとても衝撃的だった」

朝潮「よかった…大事には至らなかったんですね」

長門「しかしこの話は素晴らしい。我が日本国の軍隊の実力はまだまだ衰えていないということを示してくれたな」

漣「あとこの機雷が65年間ずっと爆発しなかったのも奇跡だよね」

提督「ああ。仮に発見される前に外国の輸送船なんかに誘爆したらと思うと…」

陸奥「最悪、戦争になっていたでしょうね」

提督「まあそういうことだ」

提督「よし、関門海峡についてだいたいの解説も終わったしそろそろ戻るとしよう」

漣「そうですね」

提督「ちなみに現在時刻は18時だ。これはつまり…」

初雪「!」

提督「待たせたなお前ら!ついに食事の時間だ!!」

長門「キタァァァーーーッ!」

漣「河豚!高級食材の河豚を食べるときがついに来たわね!」

提督「そう、下関といえば天然トラフクだ。これを喰わねば下関市に来た意味なんか無い」

提督「今からそれを堪能出来る店に行くぞ」

長門「ヒャッハー!フグだー!」

ふく料理 しのだ

提督「さて、ここが下関の河豚料理の名店『しのだ』だ。

長門「おぉ…見るからに高級そうな雰囲気だな…」

足柄「ちょっと緊張してきたわ…」

朝潮「ところで提督質問です!どうして店の名前は『フグ料理』ではなくて『ふく料理』なんですか?」

陸奥「そういえばそうね。どうして濁点を取っちゃったの?」

提督「まぁザックリ言うとこれは山口の方言で、山口県では河豚のことをふく、と言うんだ」

提督「幸せを呼ぶように河豚と福を掛けたと言われている。皆もこれにあやかって幸せの河豚を食べような」

朝潮「わかりました!楽しみです!」

提督「店内に入るぞ」スタスタ

足柄「うわ何かさっきよりすごく緊張してきた…」

提督「俺たちは食事をしに来たんだぞ。どこに緊張する要素があるんだ?」

長門「それはもしかしたら緊張ではなく更年期による動悸かもしれんな」

足柄「違うわよ馬鹿!考えてみなさい、相手は高級食材なのよ!?」

足柄「つまり人生で一度巡り会えるか会えないかのような奴なの…これは心して食べなくちゃ!」

提督「おー、飢えた狼がいる」

長門「食事に対してやる気が満ち溢れているとは足柄はなかなかの強者だ」

提督「では大将さん、ふくスペシャルコース8つお願いします」

大将「はいよー」

初雪「…ついにこの時が来た」

足柄「やっぱり長生きはするものね!こんな美味しそうな料理を食べることが出来るなんて!」

長門「ところで、ふくスペシャルコースとは何がどうスペシャルなんだ?」

提督「えーと、お品書きによると河豚の刺身に河豚ちり鍋、河豚の塩焼きに河豚の唐揚げその他諸々が付いているらしい」

長門「見事にフグばっかりだな。贅沢な料理だよ全く」

漣「ところでこれ一品いくらなの?」

提督「えーと、16000円」

長門「きゃああぁぁーーーっ!!??」

漣「うぎゃあぁぁぁーーーーーっ!!」

提督「!?」ビクッ

提督「ど、どうしたお前ら!急に叫んで!」

長門「び、びっくりしすぎて変な声出た…」

漣「いちまんろくせん!?高過ぎないそれ!」

提督「いや、ここは高級河豚料理だからこれくらい普通の値段だろう?」

初雪「…でも一人前16000円って凄いと思う…」

陸奥「別に私たちにそこまで気を使わなくてもいいのに」

提督「何を言っているんだ。お前らはいつも俺や鎮守府の為に命を懸けてまで頑張ってるじゃないか」

長門「だが…」

提督「今だからこそ言わせてもらうが、お前らの活躍に心から感謝している」

提督「だから今日くらいは俺から感謝の気持ちを受け取ってくれ。こんな形でしか伝えることが出来なかったが、それは許してほしい」

摩耶「許すもなにも…」

朝潮「こんなものを食べせてもらって気分を悪くする人なんかいませんよ!」

長門「感謝するのはこっちの方よ。提督は少し不器用だけど、とても優しい男性じゃない」

長門「こちらこそ、いつも私たちを家族のように大切にしてくれてありがとうな。礼を言うぞ提督!」

提督「…すまない、ありがとう」

大将「ふくスペシャルコースお待ち」

提督「さあお前ら!これが待ちに待った河豚のフルコースだぞ!」

摩耶「つ、ついに来た!これが河豚料理か!」

初雪「…色とりどりで美しい。料理とは思えない芸術品」

長門「凄い!凄いぞこれ!?見た目も量も完璧な料理ではないか!!」

提督「しのだの魅力は最高の食材を使った最高の料理だからな。正直俺も久しぶりの河豚料理を前に興奮を隠せていない」

朝潮「なら提督、それでは!」

提督「そうだな。では河豚料理を頂くとしよう!」

長門「いただきますっ!」

パクッ

長門「びゃぁぁぁぁうまぃぃぃ!!」

初雪「うがぁぁぁぁぁぁ!!」

漣「SUGEEEEEE!!」

朝潮「壊れた!河豚の美味のあまり3人ほど壊れましたよ!?」

提督「はは、それは無理もないだろう。俺たちがが口にしたのは河豚の最高級食材『トラフグ』だからな」

提督「現に俺も美味のあまり壊れそぉぉぉぉぉーーーーッ!!!」

朝潮「て、提督ーー!?」

足柄「でもこれは確かに美味しいわね。どっちかといえば魚というより全く新しい肉を食べているみたい!」

摩耶「淡白な味なのにあとから強い風味が口の中いっぱいに広がっていく…すごいぜこの河豚は!」

提督「おぉ、摩耶は味がわかるのか。ちなみに言っとくが、この魅惑の食感と味はトラフグ特有のものなんだ」

提督「例えば、よくスーパーとかで売ってるサバフグは本当に淡白な味で食感もそれほど良くはない。だから皆、この貴重なトラフグを心して頂くように!」

長門「了解した!」

朝潮「美味しい!でもすぐなくなっちゃうとさみしいからゆっくり食べなくちゃ」チマチマ

提督「おいおい朝潮、河豚の刺身はそうやって食べるもんじゃないぞ」

朝潮「?」

陸奥「ふぐ刺しに食べ方とかあるの?」

提督「ああ。大半の人は河豚の刺身は高級品だから一枚ずつ食べるのが常識だと思っているが、本当のふぐ刺しの食べ方は…」シャシャシャッ

提督「こうやって、5、6枚まとめて一気に食うんだよ!」ガッ

足柄「うわっ、大胆!」

提督「これがふぐ刺しを一番美味しく食べる方法なんだ。お前らもやってみるがいい、マジで世界が変わるから」

朝潮「よ、よーし!朝潮も行きます…えいっ!」ガッ

朝潮「おいしぃぃぃぃっ!」

提督「ははは、朝潮も一人前のレディに一歩近づいたようだな」

朝潮「ご馳走様でした!」

提督「ふぅ食った食った」

初雪「…最高の気分」

長門「満足だ…こんな充実した気分は久しぶりだ」

足柄「一週間分の食事代を一気に使った贅沢な気分だわ」

陸奥「こんな気分に浸れるのも提督のおかげ」

漣「本当にありがとね、提督」

提督「喜んで貰えて嬉しいよ。お前らが満足なら、俺も満足だから」

提督「今日はここに来てよかったと思うぞ。ハハハ」

長門「ふふ、それは何よりだ」

提督「よし、では今日の残りの予定はホテルで寝るだけ。一日中お疲れ様だった」

初雪「どうもどうも」

提督「ついでに今ここで明日の予定もお知らせしておくぞ」

提督「明日は美祢市、萩市、そして長門市の順で観光していこうと思う」

長門「ついに長門市へ行く時が来たのか!」

陸奥「つまりこの旅行もそろそろ終わりね」

提督「長門、待たせたな。お前の見たかった光景がついに見ることが出来るぞ」

提督「明日の旅行は是非とも期待していて欲しい!」

長門「応っ!」

【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「どうも青葉ですぅ!」

鈴谷「鈴谷ですわ!」

熊野「熊野だよ!」

青葉「…あれ?今回の挨拶は少々違和感がありますね」

鈴谷「イメチェンだよ、イメチェン」

熊野「たまには挨拶を変えないとマンネリになりますし」

青葉「あぁ、そういう…」

青葉「さてさて、ついに提督一行は下関市に辿り着きましたね!」

鈴谷「いいな提督たち、鈴谷も河豚食べたかったー」

熊野「河豚も神戸牛も実は食べたことないんですよね、私たち…」

青葉「ほとんどの方がご存知だと思いますが、下関といえば山口県最大の都市であり河豚やアンコウ等の水産特産物が有名です」

青葉「また観光資源は高杉晋作墓があったり、宮本武蔵で有名な巌流島や下関事件跡、安徳天皇を祀る赤間神宮があったりと歴史的資料にもとても恵まれてる凄い街なんです!」

鈴谷「ていうか山口県って歴史的資料ばっかりだよね」

熊野「まあ山口の歴史が歴史ですし仕方ないですわ」

青葉「そんな下関市ですが今回紹介するのはこちら!下関、いや日本が誇る名所『角島』です!」

鈴谷「つのしま?」

青葉「はい!有名ですよね!」

鈴谷「いや聞いたことないけど。それが日本が誇るもんなの?」

青葉「…知らないんですか鈴谷さん?」

鈴谷「知らなーい」

青葉「ありゃありゃ。でも熊野さんはもちろん角島を知ってますよね?」

熊野「当然。私を誰だと思ってるのかしら?」

熊野「角島とは、『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』という本で世界三位(日本一位)に選ばれた場所でしょう」

青葉「そうです!流石熊野さんはこういった雑学には強いですねぇ」

熊野「いえ。自分の国の美しい場所くらい、今時の女性なら誰でも知ってますから。私をそこんじょの女子高生と一緒にしないでくださいまし」

青葉「おっと、これは鈴谷さんにはなかなかキツイお言葉」

鈴谷「ぐぬぬっ」

鈴谷「世界の絶景に選ばれるなんて…相当凄いんだね角島って」

青葉「角島の見所は、本州と角島を結ぶ橋にあるんです」

青葉「気になる方はgoogle画像検索で出てきた画像を見てください。角島の姿にたぶん驚きます!」

鈴谷「紹介雑だね!?」

熊野「角島にある、何の特徴もないのに凄く特徴的な橋…その姿に貴方も心打たれるでしょうよ」

鈴谷「うぅ…鈴谷、どんなのかよくわからないのに…話がどんどん進んでるよ…」

青葉「角島といえばキャンプ地としても有名ですね」

鈴谷「えっ、絶景ポイントでキャンプできるの!?」

青葉「角島は毎年日本中からキャンプをしようと人が集まる場所としても有名ですから。実は提督も幼い頃は毎年のように角島で遊んでいたらしいです」

鈴谷「そうなんだ…」

熊野「今年はたぶん人が多いでしょうね。なにせ、角島が絶景として紹介された次の年ですから」

鈴谷「それは大変じゃん!今からでも予約しなくちゃ…」

青葉「えっ?鈴谷さん、深海棲艦との戦いはどうするんですか?」

鈴谷「え?」

鈴谷「でも、鈴谷だって角島見たいし…」

青葉「だったらgoogle使えばいいじゃないですか」

鈴谷「やだよ!?どうせなら実物が見たいもん!」

青葉「うーん、鈴谷さんはわがままですねぇ」

熊野「本当、鈴谷には落ち着きが足りませんわ」

鈴谷「えっ?」

青葉「というわけで今回は鈴谷さんがわがままな回でしたね!」

鈴谷「えええ!?ちょっと待って!」

熊野「鈴谷にはもう少し嗜みというものを覚えてほしいですわ」

鈴谷「おーい!ねぇ!?」

青葉「それではまた次回、お会いしましょう!」

熊野「さようならですわ!!」

鈴谷「なんなんだよ今回!もーっ!」

残る市は3つ
また来週お会いしましょう

今週はゆったり宿泊編です
山口県関係ないかもです

下関市 マリンホテル

提督「ここが今晩宿泊する宿、マリンホテル下関だ」

長門「ふむ、昨日の宿と違って普通のホテルのようだな」

提督「いやいや。普通とはいえどここマリンホテルには全室から海が見ることができるという大きな特徴があるぞ」

提督「関門海峡から上る朝日はなかなか格別だからな、マリンホテルは下関の中でもなかなか評価のいいホテルなんだ」

長門「そうだったのか、知らなかった」

提督「もう部屋は予約してあるから、さっさとホテルに入ろう」

漣「はーい」

摩耶「ところで提督、今回はどんな部屋をとったんだ?」

足柄「また部屋分け大会とかやっちゃうの?」

提督「その心配はない。何とマリンホテルには大人数部屋があったからな。今日は全員同じ部屋で寝てもらうことになるぞ」

摩耶「おぉ!すげーぜマリンホテル!」

足柄「8人同時に寝れるなんて、なかなか大きい部屋を借りたのね」

提督「ちなみに言っておくが、その大人数部屋は本来定員が7人なんだ」

摩耶「そうなのか?」

提督「本当だったら、誰か一人ハブられることになってたんだぜ」

長門「どうやって8人で泊まっていいことにしたんだ、提督?」

提督「実はな、ホテル側には我々8人のうち3人が小学生だと説明してあるんだ」

提督「交渉に交渉を重ねた結果、小学生なら人数オーバーしててもいいってことになったんだぞ」

摩耶「へぇ、凄いぜ提督!」

長門「駆逐艦を小学生として誤魔化すとはなかなかやるな」

漣「いや、小学生って」

初雪「…駆逐艦を馬鹿にしてるの?」

提督「すまんすまん、今日ばかりは我慢してくれ」

朝潮「全員で寝るためですもんね!仕方ないですよ!」

客室

提督「よーし、ここが俺たちの部屋だ」

長門「おおお、7人部屋はやっぱり広いな」

陸奥「なんだか和室と洋室をくっつけたような部屋ね」

漣「いやっほーい!ゴロゴロできるー!」ゴロゴロ

提督「マリンホテル客室にはトイレ、風呂、テレビ、ポット、ティーバック、その他アメニティグッズが完備してあるんだ」

提督「少なくとも、宿泊中はここで快適に暮らせる配慮がなされているぞ」

朝潮「さすが、山口の都会下関のホテルですね!」

足柄「さっそくポットでお茶をいれたわ」

提督「気が利くな」

長門「すまない、ありがたくいただくぞ」

漣「ねぇねぇ、何かして遊ばない?」

摩耶「まだ寝るには早い時間だしな。やっぱ旅行の醍醐味は夜のお遊びだぜ!」

朝潮「賛成です!」

長門「いいだろう、確かに遊ぶのは楽しい」


長門「しかしだ」

摩耶「?」

長門「…まくら投げだけは、やめといた方がいいぞ」

摩耶「!?」

初雪「とても…とても悲惨なことになるから」

陸奥「ね…」

朝潮「?」

提督「おいおい、お前ら遊ぶのもいいが何か忘れていないか?」

陸奥「なにか?」

提督「遊ぶ前にまずは風呂だよ。女の子なんだから風呂くらい入らないといけないだろう」

摩耶「あっ」

長門「しまった、そういえば風呂のことを忘れていた」

朝潮「確かに汗だくのままじゃ寝れませんし、何より次の日が恥ずかしいですからね…」

提督「全く、女の子がはしたない!たとえ戦いに明け暮れる艦娘といえど、これくらいの嗜みがなくちゃお嫁に行けないぞ!」

足柄「うぅ…否定できない」ガクッ

長門「提督、何だか母親みたいだ」

陸奥「もちろん鳳翔さんと違う方向のね」

初雪「…ママ提督?」

提督「やかましい」

提督「ではさっそく風呂に向かうぞ」

提督「ここマリンホテルの隣には、マリン温泉パークっていう少々大きめの温泉施設があるんだ」

足柄「そういえばホテルの目の前に何か建物があったわね」

提督「そうそう。そこが風呂場だからゆっくり入ってくるといい」

長門「了解した」

漣「わざわざ別館にしてるってことは大規模なお風呂なんだね」

提督「ああ。なかなか楽しい風呂だと聞いたから存分に浸かってくるといい」

陸奥「ではさっそく入って来ましょう」

提督「あー、そうだ。最後に一言」

長門「?」

提督「何回も言うようだが、一般のお客様もいるからな。絶対に騒ぐなよ?」

長門「わかっている」ドヤッ

提督「…不安だ」

マリン温泉パーク
女風呂

長門「ここがマリン温泉パークか!」

朝潮「すごく広いお風呂ですね!」

陸奥「たしかに広いわ。うちの鎮守府に匹敵するんじゃないかしら」

摩耶「しっかし色んな風呂があるな。ジャグジーにサウナ、打たせ湯まであるのか」

長門「おい見てみろみんな!この浮き浮き風呂っていうのは身体が浮いて楽しいぞ!」

漣「何をー!?長門さんはそんなものに入らなくても胸に脂肪たっぷりだから浮くでしょー!」

長門「おいおい、そんなことを言ったら某まな板ちゃんが泣き出すぞ!?」

漣「それもそうか、あはははは!」

長門「ふはははははっ!」



提督「…こんな所まではしゃぎ声が聞こえる」

提督「どんだけ騒いでんだよあいつら…」

宿泊部屋

長門「いやー、風呂は楽しかったな」ホカホカ

朝潮「最高でした!」ホカホカ

提督「いくら何でも楽しみすぎだ」

提督「何事にも限度というものを考えなくては…」

陸奥「まぁまぁ。旅の恥はかき捨てって言うじゃない」

漣「提督だって楽しみたいでしょ?ここは思い切ってはしゃごうよ」

提督「ん…むぅ、確かにそうなんだが…」

長門「全く、提督はカタいな」

摩耶「もっとパーって行こうぜ!パーって!」

提督「お前らがゆるすぎるんだよ」

朝潮「まあいいや、じゃあそろそろ遊ぼうよ!」

提督「人の話聞けよ」

朝潮「提督も一緒に遊びませんか?」

提督「無視か…」

摩耶「無視してる訳じゃねぇよ。遊べばきっと提督もパーって出来るってことだよ!」

初雪「…私は提督と一緒に遊んでほしい」

長門「さぁ提督、我々と共に遊ぼう!」

提督「…全く仕方のない奴らだ」

提督「そうだな。旅行中くらい、思いっきり楽しませてもらおうか」

漣「わーい!」

〈UNO〉

足柄「まずはウノで勝負よ」

提督「じゃあさっそくドロー4で。色は赤な」

初雪「えっひどい」

提督「初雪、チャレンジの有無は?」

初雪「じゃあ…チャレンジで」

提督「残念、ハズレ」

初雪「」

摩耶「おう初雪、早く8枚引けよ」

陸奥「ていうか初ターンからチャレンジを仕向けてくるなんて…」

長門「提督は強いな。初雪の裏をかいてくるとは」

提督「ふん、まぁこれでも司令官だからな。こういうのは強いぞ?」

初雪「ぐぬぬ…」

〈ババ抜き〉

足柄「次はババ抜きで勝負よ!」

漣「自虐ネタ?」

足柄「うるさい」

摩耶「しかし、8人もいると誰がババを持ってるかわからないぜ…」

提督「あ、俺上がりだ」

漣「えっ早い!?」

陸奥「どうして!?私はまだ10枚もカードが残っているのに!」

提督「ふっ…お前は運が悪すぎるんだよ」

長門「いや提督が強すぎるんだと思うんだが」

初雪「…次こそは勝つ」

〈7並べ〉

足柄「三回戦は7並べで勝負!なんだけど…」

朝潮「駄目…私パスです…」

長門「おい誰だ!いつまでもスペードの8を置かない奴は!これではカードが置けん!」

提督「俺スペードの8持ってるけど」

長門「!?」

摩耶「ハートの6を持ち続けてる奴誰だよ…このままじゃパスが溜まるばかりだぜ…」

提督「あ、それも持ってる」

摩耶「!?」

漣「…もしかして提督って」

陸奥「ゲーム、凄く強い…!?」


提督「ふはははは!楽しいなぁ楽しいなぁ!!」


足柄「…」

長門「…提督が楽しそうで何よりだ」

~~~

初雪「…結局、提督の全勝に終わった」

長門「無念!」

提督「はは、すまないな」

陸奥「提督があそこまで楽しそうなの初めて見たわ」

提督「そうか?はっはっは」


提督「さて、そろそろいい時間になったし寝るぞ」

朝潮「そうですね」ウトウト

提督「明日はついに長門市に行くからな…」

提督「今日はもう寝て、明日への気力を溜めておいてくれ」

長門「了解だ」

提督「それじゃあ皆、おやすみだ!」

摩耶「お休み!提督!」

パチッ


初雪「あの…提督…トイレ…」

提督「そういうことは電気を消す前に言ってくれ!」

今週はこれで終わり。青葉は無しです
来週か再来週にはまた旅行編に戻りますのでまたお会いしましょう

復活しました!残りを投下します
コンマは今日はとりません

提督「結果が出たみたいだな」

提督「…なんていうか、これはもう…」


A部屋

長門「A部屋の方が少々人数が多いようだな」

不知火「4対2です。際どい所ですね」

翔鶴「しかしB部屋にあの2人が行ったとなると…」

加賀「不本意ですが、Bが正解であって欲しいですね」

~~~

B部屋

イク「…」ズ-ン

熊野「あらイクさん。ご一緒ですのね」

イク「……」ズ-ン

熊野「どうしました?どうして黙っていらっしゃるの?」

イク「…もう」

熊野「?」

イク「もう駄目なの…潜水艦はおしまいなのね…!」

熊野「???」

~~~

提督「………」

提督「とりあえず暁達人、この結果に対して一言」

暁「提督は、完全に馬鹿だったイクさんと若干カミーユみたいになってる熊野さんのことを心配した方がいいと思います」

提督「デスヨネー」

吹雪「さりげなく今日の一番の被害者って熊野さんなんだよね…」

北上「やっぱり青葉はなんというか、その…歴史は繰り返すってやつだね!」

>>339
>>340
スレ違い 無視して

…あのスレと同じ人だったのか、今まで気づかなかった

>>342
実は、こちらのネタが詰まってたので気分ごなしに格付けをやり始めたのがきっかけだったのです

今日は両方書けたので両方更新しようとしたら誤爆してしまいました。
重ねてお詫びを申し上げます

再開です。2週間前の失態に関わらず、皆に応援してもらってとても嬉しかったです

ジリリリリリ…

提督「む…目覚まし時計…朝か」

長門「んっ…んぁ…?」

朝潮「おはようござまいます提督…」

提督「おはようだなお前ら。今日は朝早くから行動するぞ」

初雪「…朝早く?」

足柄「ってちょっと待って、まだ6時じゃない…通りで眠いはず…」

漣「さすがに朝早すぎるよ…おやすみ、提督…」

摩耶「zzz...」

提督「いや待て、せっかく起きたのに寝るんじゃない」

提督「今から美祢市に行く前に下関最大の名スポットに行くんだからな。目を覚まして貰わないと困る」

初雪「下関の名スポット…?」

提督「カモンワーフ、唐戸市場だ」

摩耶「カラトイチバ?」

提督「ざっくり言うと唐戸市場は関門海峡付近にある大きな市場だ。主に魚介類を扱っている」

初雪「さかな?」

提督「その市場は業者だけでなく一般の人間も入れるからな。安くて新鮮な魚を求めてたくさんの人が唐戸市場を訪れるぞ」

提督「つまり俺たちも、魚を求めて今からそこに行こうって訳だ」

陸奥「つまり…唐戸市場ってただの普通なお店じゃない…」

長門「普通の店なら…唐戸市場は行かなくていいぞ…zzz」

提督「ん?本当に行かなくていいのか?」

長門「構わんよ…zz」

提督「へぇ、そうか」

提督「今日はそこで海鮮丼を朝食にとろうかと思ったんだがな。美味いのだが行きたくないのならキャンセルしよう」

長門「!」ピクッ

長門「誰が行かなくても良いと言ったァァーーッ!」バッ

摩耶「お前ら起きろ!朝だ!!目は覚めたか!?」

朝潮「ばっちりです!おはようございます!」

足柄「関門海峡に浮かぶ朝日が綺麗ね!美しいわ!」

漣「顔洗って!歯磨きして!朝シャワー浴びて!」ドタバタ

朝潮「提督!早く唐戸市場に行きましょう!!」

提督「…朝から美味いもん食えると分かると、途端に元気になったなお前ら」

長門「まぁな。朝から海鮮を食べると思うと興奮してな」

提督「ゲンキンな奴らだ」

摩耶「仕方ねーだろ。美味いもんは美味いんだから」

初雪「…美味い飯は世界を救う」

提督「そこまで言うか」

~~~
数十分後

長門「準備できたぞ」

朝潮「支度完了!いつでも出れます提督!」

提督「ではホテルを出発する。忘れ物は無いな?」

足柄「問題ないわ」

提督「じゃ先に車に乗り込んでおけ。俺はチェックアウトとかしてくるから」

摩耶「おう、わかった」

初雪「チェックアウト…か…」

陸奥「今回は問題ないわよね?皆一緒の部屋だったし…」

長門「大丈夫だ、何も壊してないから提督から怒られない筈…たぶん」

提督「お前らどんだけ昨日のこと根に持ってんだよ」

提督「何の問題もなくチェックアウトは終わったぞ」

初雪「よかった」

提督「ではお待ちかね、今から朝食を食べに唐戸市場に向かう」

提督「唐戸市場はマリンホテルから近いからな。15分から30分くらいで到着する予定だ」

朝潮「わかりました」


長門「ところで提督、ひとつだけ質問していいか?」

提督「ん?なんだ」

長門「唐戸市場に行くのに、どうしてこんなに早く出発する必要があったんだ?」

提督「え?」

足柄「そういえばそうだったわね。別に食事だけならこんなに朝早く起きる必要な無いと思うんだけど」

漣「ノリで早起きしちゃったけど、実はもう少し寝てもよかったんじゃ?」

提督「あー、確かにその疑問を持つのは仕方ないな」

提督「お前たちは知らないだろうが、唐戸市場舐めてると大変なことになるんだぞ」

陸奥「えっ?」

提督「実は俺が子供の頃、朝9時くらいに唐戸市場に行ったことがあるんだが…」

提督「まだ早い時間にも関わらず、唐戸市場の駐車場が満車で入れなかったんだぞ」

長門「!?」

提督「結局入れたのが10 時くらいでな、まぁさすがに10時にもなると物も結構売り切れてて」

提督「人も結構いて海鮮を思うように楽しめなかったんだ」

摩耶「うわぁ…」

提督「だから今回は余裕を持って8時くらいに着けるようにしたんだ。わざわざ早起きした理由、これでわかったかな?」

長門「な、なるほど…」

陸奥「すごいのね、唐戸市場って…」

摩耶「もし赤城が唐戸市場に行ったら、赤城はストレスで艦載機を発艦するだろうな」

提督「まぁそうなるだろう」

唐戸市場

提督「ここがその唐戸市場だ。なかなか大きな市場だろう?」

長門「おお、ついに着いたか!」

漣「これが…唐戸市場…!」

足柄「うわっ魚臭っ!」

提督「魚臭いって…。仕方ないだろ魚市場なんだし」

摩耶「しかし朝早いのに何だか人が多いなー。皆こんな朝早くから魚を食べに来るもんなんだな」

陸奥「提督の言ったことは本当だったのね」

提督「ああ。正直、車を駐められただけでも幸運だったと思う」

提督「まだ時刻は7時30分。商品が売り切れるまでにはまだまだ余裕があるはずだ」

提督「では皆!朝食を買いに唐戸市場へ突撃するぞ!」

長門「応ッ!」

~~~

提督「早起きのおかげで、無事に人数分の海鮮丼を購入出来た」

朝潮「やりましたね!」

長門「意外と在庫が残ってて安心したぞ」

提督「よしよし。お前らこの激戦区の中よく頑張ったな」

提督「唐戸市場の外にはベンチとか沢山あるからそこに座って食べよう」

長門「それでは早速、この海鮮丼をいただこうではないか」

提督「そうだな。皆で食事にしよう」


初雪「…いただきます」

漣「いただきまーす!ぐはぁ美味い!」

摩耶「うめー!スーパーの寿司と全然違うなオイ!」

足柄「鮮度がやっぱり全然違うわ」

提督「当然だろう。仮にも市場で売られてる海鮮丼だぞ」

提督「そこんじょのスーパーマーケットと比べられるとは心外だな」

摩耶「うへー」

~~~

提督「ちなみにカモンワーフ・唐戸市場では刺身セット等、旅行のお土産に使えるような品物も取り扱っているぞ」

提督「下関に来た記念にふぐ刺しセットといったものを家に買って帰るのもまたいいだろう」

~~~

朝潮「完食です!」

長門「食べ終わったぞ提督!」

陸奥「ふぅ、ご馳走様でした」

提督「よーし、腹ごしらえも終わったことだし次の場所に移動するか」

提督「次は美祢市だ。山口県中央部に在する美祢市を訪れるぞ」

摩耶「下関とはお別れだな」

長門「さようなら下関市!なかなか楽しい街であった!」

陸奥「ところで提督、美祢市ってどんな街なの?」

提督「美祢市は第一次世界大戦中、石炭の発掘で栄えた街なんだ」

提督「国内有数の無煙炭田のおかげで戦時中は大変賑わっていたんだが…石炭が使われなくなるにつれて次第に過疎化していったな」

提督「今では市を名乗れるかどうか怪しいくらいに田舎化している、まぁのんびりとした場所だ」

長門「それは切ないな」

初雪「石炭…劣化…天龍…」

提督「くだらんギャグはいいから早く美祢市に行くぞ」

美祢市

提督「さて美祢市に到着したぞ」

長門「おぉ!ここが美祢市か!美祢市か…」

漣「なんていうか…田舎だね」

陸奥「都会だった下関の後だから、なんだかギャップが激しいわ」

足柄「ビルとかそういうのが全然無いし…見渡す限り田んぼしかないし…」

摩耶「なぁ提督…ここは本当に『市』なのか?」

提督「正直、ものすごく際どいところなんだそれが」

提督「若い者がいないから活気は無いし、過疎化のせいで人口は減る一方だし」

提督「そもそも人がいないから経済も回らないし、とにかく悲惨なんだよ美祢市は…」

朝潮「うわぁ…」

長門「それはひどいな…」

摩耶「そんな美祢市に観光名所とかあるのかよ」

提督「当然だ。一応美祢市にもイオンがある」

摩耶「イオン!?イオングループは観光名所じゃねぇよ!!」

提督「冗談冗談。美祢市にはイオン以外にもちゃんとした観光名所があるから安心しろ」

摩耶「何だよ…おどかしやがって…」

長門「で、その観光地というのは?」

提督「秋吉台だ」

すみません、一旦寝ます
とんねるず観てたら眠たくなってしまったのです

<(^o^)> お兄ちゃーん!
 ( )    ジャコスいくの!?
  ||

\(^o^)> ジャコスいかないの!?

  ( )
   ||

┐(^o^)┌ なんだージャコスいかないのかぁ…
  ( )     ざんねん…
 ┘┘

<(^o^)/ えっ!?やっぱりいくの!?
 ( )     やっぱりジャコスいくの!?
  ||

      やったぁー!!ジャコスいけるんだ!!
  (^o^)/三  (^o^)/三  (^o^)/三  (^o^)/三  (^o^)/三

  /( )  三  /( )  三  /( )  三  /( )  三  /( )  三
    ||  三    ||  三    ||  三    ||  三    ||  三

      ゲームしていいよね!?クレーンゲームがやりたいな!

三\(^o^)  三\(^o^)  三\(^o^)  三\(^o^)  三\(^o^)  
三  ( )\  三  ( )\  三  ( )\  三  ( )\  三  ( )\
三  ||    三  ||    三  ||    三  ||    三  ||   



足柄「秋吉台?」

朝潮「でも聞いたことあるような場所ですね」

提督「当然だろう。秋吉台は日本最大のカルスト台地として名高い場所だからな」

提督「化石とか石灰岩とか色んなものが採れるってことで、貴重な地質遺産として日本中によく知られているぞ」

朝潮「あ、何だか思い出してきました」

陸奥「そういえば地理の教科書とかで秋吉台が載ってたのを見たことがあるわ」

提督「そうだろう、そうだろう」

提督「あと、秋吉台は化石や石灰岩の他にも大理石の産地として非常に重要な場所だな」

足柄「へー」

提督「ちなみにあの国会議事堂には秋吉台の大理石が使われている」

提督「もしかしたら日本の政治を支えているのは美祢市かもしれないんだぜ」

漣「な、なんだって!」

摩耶「マジか!?美祢市すげぇ!」

長門「ここが日本の中心を支える石の産地と考えると胸が熱いな」

提督「どうだお前ら。美祢市を見直しただろう」

摩耶「あぁ、驚いた…」

長門「私も美祢市を見くびっていたぞ」

初雪「…だからこそ、美祢市がこんな廃れた街になっているのが悔やまれるね」

提督「それは言ってはいけない」

提督「では今から秋吉台、その中にある観光地に向かおうと思う」

長門「了解した」

提督「秋吉台にはたくさんの鍾乳洞があるぞ。その中でも最大級の洞窟『秋芳洞』に行くことにする」

朝潮「洞窟…ですか?」

提督「秋芳洞はラムサール条約に登録されているほどの名洞だ」

提督「岩が削られて造られた景観はなかなか面白いから期待していてくれよ」

漣「はーい」

長門「なるほど洞窟か。我々元軍艦にとっては一番縁のない場所かもしれんな」

摩耶「洞窟って暗いんだろ…ちょっとドキドキするぜ…」

漣「私は冒険気分で楽しみですけどねー」

提督「あ、そうそう。秋芳洞はLEDでライトアップされてかなり明るいぞ」

提督「洞窟とはいえど、お話とかでよくあるような真っ暗闇じゃないから安心しろ」

摩耶「そ、そうか」ホッ

漣「なーんだ、つまんないな」

秋芳洞

提督「という訳で秋芳洞に到着だ」

長門「おぉ…いかにも洞窟という雰囲気の洞窟だな」

初雪「ゲームとかに出てくる洞窟そっくり」

提督「いやあのこれ本物の洞窟だから」

陸奥「なんだかドキドキしますね」

朝潮「洞窟なんて絵本でしか見たことありませんでしたからね!そこに実際に入ると思うとわくわくします!」

漣「そうだねぇ、絵本ならこういったところに幽霊がユラ~って…」

摩耶「ひっ!」ビクッ

提督「あーはいはい、幽霊とかいないから気にしないの」

提督「では秋芳洞内部に進撃だ」

漣「おー!」

摩耶「…」ギュッ

提督「摩耶、歩きにくい。くっついてないで離れろ」

摩耶「…」

長門「ほら摩耶、LEDが明るい。幽霊なんか出るわけがないぞ」

陸奥「大丈夫だって!幽霊なんか出ても私がすぐ追い払ってあげるから!」

摩耶「…おう」バッ

足柄「でもこれ、LEDでライトアップされてるから洞窟なのにとっても綺麗ね」

朝潮「明るいから足元がおぼつく心配もありませんし」

漣「洞窟がこんなにファンタジーな感じだなんて思いもしなかったよ」

提督「これも美祢市のささいな努力のおかげだな」

摩耶「…本物だ、綺麗…」

長門「おっとと」ツルッ

提督「あ、その辺滑りやすくなってるから気をつけな」

朝潮「提督見てください!あそこに鳥がいます!」

提督「コウモリだな。海辺に住んでるお前らには馴染みのない生き物かもしれない」

漣「いやー!なんだか洞窟ってだけでテンション上がるね!」

初雪「色々初めての体験だから…新鮮でいい…」

提督「ふっ、楽しそうだなお前ら。だが歩き回るだけが洞窟の楽しさじゃないぞ」

提督「もうすぐ鍾乳洞特有の面白い光景が見られるからな。それもじっくり楽しんでくれ」

朝潮「面白い光景?」

漣「よくわからないけど楽しみだね!」

提督「さぁ、秋芳洞一番の見所に到着だ」

漣「おお…何だこれ…!」

朝潮「岩の皿がたくさん積み重なって水が流れています…見たことない光景です!」

提督「これは『百枚皿』。日本の洞窟の中で最も素晴らしい奇勝と評された景色だぞ」

長門「ほう。なかなか興味をそそる形状をしているな」

提督「この百枚皿、一見すると人工のオブジェのように見えるがれっきとした自然が勝手に作り出した景色なんだ」

提督「水の流れが石を砕き、それが途方もなく長い時間続いてこの百枚皿は出来上がったと思うと非常に神秘的だろう」

朝潮「こんな不思議な形のものが勝手に出来たなんて…自然って凄いですね!」

陸奥「見てると大地のパワーを感じるわ」

提督「面白い光景は他にもまだまだあるぞ」

提督「これが黄金柱。秋芳洞の中で一番大きな鍾乳石と言われている」

長門「ぬあっ、でかいなこれは」

朝潮「鍾乳石がまるで滝のように落ちていますね!」

初雪「…唯一残念なのは、本当は金色じゃなく白い色してるってことかな」

提督「いやそりゃそうだろ」


提督「続いてこちらは五月雨御殿。小規模な鍾乳石が広範囲に広がっている」

長門「何!?五月雨だと!」

漣「へぇー、あのドジちゃんも相当偉くなったもんだねぇ」

提督「違うから」

~~~

提督「今回紹介した百枚皿、黄金柱、五月雨御殿以外にも秋芳洞には見所がたくさんあるぞ」

提督「その他の光景については自分の目で見に行ってくれよな」

~~~

秋芳洞 出口

提督「…と、まあ以上が秋芳洞だ。どうだ、お前ら楽しかったか?」

長門「あぁ。ロマンチックで良かったぞ」

陸奥「とても洞窟とは思えない美しい景色だったわ」

提督「そうか、それはよかった」

漣「本当はもう少しスリルとかあると良かったんだけどね」

初雪「洞窟らしさが無かった…かな」

摩耶「まぁとにかく、明るくて怖くなくて安心したぜ!」

朝潮「私、洞窟に対するイメージが変わっちゃいました!」

提督「なるほど、そうかそうか」

提督「あ、そういえば怖いと言えば…」

初雪「?」

提督「この秋吉台には秋芳洞以外に『景清洞』ってのがあるんだが」

提督「出るんだよ。そこには」

長門「出る…?何が」

提督「幽霊に決まってるだろ」

長門「え?」

提督「幽霊」

摩耶「ええ!?!?」

提督「その昔…平景清という武士がいたのは知ってるか?」

朝潮「聞いたことだけは…」

提督「平景清はその名の通り平清盛の部下で、壇ノ浦の戦いで敗北後、源氏に降伏した武士だ」

提督「だが平景清は逃走し、絶食の後死亡した、という話が残っている」

長門「…まさか」

提督「予想は出来ているようだな」

提督「景清洞っていうのは、平景清が死亡した場所なんだよ」

摩耶「うええ!!」

提督「まぁあくまでそれは一説のひとつなんだがな。実際平景清がどこで死んだのかは詳しくわかっていない」

摩耶「そ、そうだよな。逸話だよなこれは」

提督「だが俺はあの日を忘れないぞ」

朝潮「え…?」

漣「忘れないって、何が…」

提督「俺が小学生の頃、景清洞に連れてってもらったんだが」

提督「いたんだよ。入り口に…」

陸奥「…まさか」


提督「…平景清と思われる、亡霊が…」


摩耶「きゃぁああああああああーーー!!!」

摩耶「嘘だ!そんなの嘘だろ提督!!」ビクビク

提督「見たのは本当だが、平景清かどうかまでは知らんわ。もしかしたら景清じゃなかったかもしれんし、ただの幻覚だったかもしれんし」

摩耶「そ、そうだよな!幻覚に決まって…」

提督「だがな、その幽霊らしきものの風貌は…」

提督「痩せこけていて、歯は抜け落ちていて、かつ涙を流していたんだぜ…」

摩耶「うきゃあああああああーーー!!」

長門「やめろ提督!それ以上話を続けるなぁ!!」

朝潮「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない」

提督「あれ、いつの間にかパニックになってる」

初雪「…提督…続きは…?」

提督「あぁ、お前はこういう話好きなのね」




提督「…お前ら、落ち着いたか?」

長門「はー、はー…」

摩耶「おう…何とか落ち着いたぜ…」

提督「すまないな。まさか初雪以外の皆が取り乱すとは」

陸奥「もう…怖い話はやめてよね…」

提督「本当は摩耶だけをおどかすつもりだったんだがな」

提督「まさかこんな事態になるとは。本当に悪いことしたよ」

摩耶「おいどういうことだクソ提督」

提督「よし、じゃあそろそろ美祢市を出るぞ」

提督「次は萩市だ。長門市の隣にある町だな」

長門「おお、もう少しで長門市に到着するということか!」

提督「萩市は主に歴史遺産で栄える観光都市だ。特に幕末~大正までの時代のものが残っている」

提督「とにかく学べることが多いから心して観光してくれよ」

朝潮「了解しました!」

提督「では、萩市に向かって出発だ」

長門「よし!行くぞ提督!!」


【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「おひさしぶりです、青葉ですぅ!」

鈴谷「三週間ぶりだね、鈴谷だよ!」

熊野「覚えていますか?熊野ですわ」

青葉「前回は私たちのコーナーがありませんでしたからねー。この企画も久しぶりという訳なんです」

鈴谷「やっと回って来た出番だからね!今回も張り切っていきましょう!!」

熊野「では、青葉の山口豆知識コーナーを始めますわ」

鈴谷「青葉、今回のお題を紹介してちょうだい」

青葉「はい!今回紹介するのはこちら!」

青葉「美祢市名物!この飲み物ですっ!」ドンッ!

鈴谷「…何これ?白いボトルに入った液体…?」

熊野「一見すると酒瓶のようですわ」

青葉「その通りです。これは美祢市でつくられているお酒『Ohmine』なのです」

鈴谷「へぇ、お酒かー」

熊野「小柄な瓶・スタイリッシュなデザインから判別するに、これはきっと美味なワインなんでしょうね」

青葉「ふっふっふ、そう思うでしょう?」

熊野「?」

青葉「このOhmine、ワインのような瓶に入ってますが…」

青葉「実はこれ中身は日本酒なんです!」

熊野「な、なんですって!?」

熊野「この瓶で日本酒…?」

鈴谷「日本酒の瓶ってもっと鮮やかな色で見た目も派手だよね」

青葉「これがOhmineの特徴で、瓶、つまり見た目を日本酒らしからぬ淡白なデザインにしているということなんです」

青葉「このわかりやすいデザインのおかげで世界中の人から親しみを受け、今や様々な所から注文を受けている人気日本酒にまで成長したのです!」

熊野「うぅん、見た目だけでそこまで変化するとは…考えられませんわ」

鈴谷「つまり、食いもんは味で勝負って発想は古くなったってことかな?」

青葉「結果的にそういうことでしょう」

青葉「事実、今までの漢字だらけの日本酒は海外ではそこまで親しみを持って貰えませんでしたし。Ohmineが変わったデザインにしたのはこういう理由でもあったのです」

鈴谷「へぇー、よく考えられてるね!」

青葉「ではさっそく、青葉たちもこのOhmineを試飲してみましょうか!」

鈴谷「え?これ飲むの?」

熊野「私、お酒はちょっと勘弁を…」

青葉「あれ?ノリが悪いですね」

鈴谷「ノリっていうかその…子供がお酒飲むのはアウトかなって」

青葉「大丈夫ですって!バレなければ問題ありませんし!それに私たち、20歳以上(という設定)じゃないですか!」

鈴谷「そうは言ってもね…やっぱりお酒は怖いし…」

熊野「見た目的にもアウトでしょうし。やっぱりここはやめた方が」

青葉「うーん…では今回はOhmineのスペック紹介だけやって終わりましょうか」

鈴谷「そうしよう!」

??「待ちなさい!」バッ

鈴谷「!?」

青葉「だ、誰ですか」

赤城「私です」キリッ

鈴谷「あ、赤城さん!?毒にやられて寝込んでいた筈では!?」

赤城「ふっ、何だか美味しそうな話をしていたので蘇生しました」キリッ

青葉「わーお…」

鈴谷「凄いですね…」

赤城「さて貴方たち、さっきから子供だからお酒がどうとかこうとかと言っていましたが」

赤城「ここは私にお任せください。私がこのOhmineを飲みます」

青葉「え!?」

赤城「どうみても大人のお姉さんである私ならこれを飲んでも問題ないはずですから。とにかくこのお酒の味をレビューすればいいんでしょ?」

青葉「まぁ、はい」

鈴谷「代わりに飲んでくれるんですか?」

赤城「当然です。さぁ、そのお酒をよこしなさい」パシッ

熊野「あっ」

赤城「一航戦赤城!飲みます!!」グビッグビッ

青葉(えええ!瓶ごと!?)

鈴谷(もしかして赤城さん、ただお酒を飲みたかっただけなんじゃないのこれ!?)

赤城「…」プハッ

青葉「一瓶まるごと飲み干しましたね…」

鈴谷「隼鷹さんもびっくりの飲みっぷりだよ…」

赤城「…」ヒック

熊野「赤城さん、味は如何でしたか?」

赤城「…」

熊野「あ、赤城さん?」

赤城「…」

赤城「zzz」バタ-ン

鈴谷「…これ、やっぱり」

青葉「酔いつぶれてるーーーっ!!?」

赤城「ふにゃ~」ゴロゴロ

鈴谷「あぁもう駄目だこりゃ!赤城さんすっかり腑抜けに!」

青葉「どうしましょうこれ。凄い邪魔なんですけど」

熊野「とりあえず加賀さんのとこまで運びましょう。鈴谷、赤城さんの足を抱えて」

鈴谷「はいよー!」ガシッ

赤城「むにゃ~…」ユサユサ

青葉「あー、えっと…」

青葉「日本酒Ohmineは『大嶺酒造』でつくられているアルコール度14%のお酒で、あっさりとした味で非常に飲みやすい特徴です」

青葉「その美味故、安倍晋三内閣総理大臣もヨーロッパの会議のときこのOhmineを持って行ったという話もあります」

青葉「とてもオススメの日本酒なんで、気になった方は是非飲んでみてくださいね!」


赤城「うぅーん、加賀ぁ~」ジタバタ

鈴谷「いたたた!暴れないで赤城さん!!」

熊野「青葉ー!冷静に解説してないで青葉も赤城さんの輸送を手伝ってくださいましーー!」

青葉「ああああ!今回はこれまで!また次回お会いしましょう!」

熊野「さようならですわぐほぉ!赤城さんの右肘が私の鳩尾に!?」ドスッ

青葉「く、熊野さーん!?」

鈴谷「もうこの人やだー!」

つづく

今週はこれでおしまい
また次回までさよならです

お久しぶりです
今日は約束の更新の日ですが、結局書き切れませんでした
しかし、このままいつまでも先延ばしにする訳にはいかないので一日1レス程度にペースを変えようと思います
待っていただいた方には本当に申し訳ありません。完結はさせるのでどうかお付き合い下さい

朝潮「次の目的地は萩市でしたよね」

提督「そうだ。今萩市に向かっているぞ」

朝潮「私、萩市って名前は聞いたことあります。明治維新の引き金になった吉田松陰の出身地として有名ですから」

提督「ほう、そうなのか」

陸奥「私も萩って聞いたことあるわ。たまにテレビでやってるし、学生だった頃にも日本史の教科書で出てたから」

初雪「…大河ドラマにも出てきたこともある。私、知ってる」

提督「確かにな。お前たちの言うとおり、萩市は山口県のみならず日本でも歴史資料が沢山残ってることで有名な場所だ」

提督「見ようによっては萩市は下関や宇部よりもかなり知名度の高い町だと言えるだろう」

朝潮「へぇー」

足柄「ふーん、教科書に載るほどの町か…」

摩耶「一体どんな凄い町なのか楽しみだぜ!」

長門「萩市は日本国民が知るべき場所として紹介されている。つまり萩市は山口県最強の町と言えるだろう!」ワクワク

提督「おっと期待されても困るな。萩市は知名度こそは高いものの、実はそこまで都会じゃないんだ」

摩耶「えっ?」

提督「萩市は山に囲まれた地形のせいでインフラがほとんど進んでおらず、中心部以外はほとんど畑や田んぼしかないぞ」

提督「はっきり言ってド田舎だ。下関のような華やかさは無い」

長門「あぁ、そうなのか…」

摩耶「山に囲まれた場所は閉鎖的だからな…仕方ないか」

足柄「他にも、昔の面影を残そうとして下手に開発するのを避けている、なんていう理由があるのかもしれないわね」

提督「それも理由の一つとしてあるかもしれないな」

長門「ぐぬっ…なかなか残念な返答が返って来た…」

提督「しかし先ほど述べた通り、萩市の武器は歴史資料の多さは本当に日本有数だぞ?」

提督「歴史が好きな観光客にとって萩市は絶好の観光スポットだ。たとえ田舎でも、需要のある良い街だと俺は思う」

長門「そ、そうか?」

提督「とにかくもうすぐ萩市に着くから、本物の萩市を見て素晴らしい町なのかどうかを確認しようじゃないか」

長門「そうだな!萩市の実力を見させてもらおう」

応援していただいて嬉しいです!
では遠慮なくマイペースに行かせて貰います

萩市

提督「さぁ辿り着いたぞ。ここが萩市だ」

長門「おおここが萩市か!」

摩耶「萩市か…」

初雪「…なんていうかその」

足柄「いわゆる「ビル」と呼べる建物があまりないわ」

漣「提督が言ってた通り、典型的な田舎な町ですねぇ」

提督「これがかの有名な萩市の実態だからな。見ての通り、島根と同等くらいの田舎町だ」

提督「知名度だけで発展すると思ったら大間違い。この事実はあまり知られてないからよく覚えておくがいい」

摩耶「難しいんだな、社会学って」

長門「しかし、不思議なものだ…」

提督「?」

長門「昔はあんなに栄えていたと言われた萩市が、インフラひとつでここまで田舎になるとは考えもしなかったよ」

提督「!」

陸奥「そうよね。こう考えるとインフラって大切よね」

摩耶「あたしらの前世の戦争でも、人や物資の移動は重要だったもんな」

朝潮「戦争だけじゃなくこんな日常にまで関わってくるなんて、知りませんでした!」

初雪「…萩市は間接的にそれを教えてくれる町…凄い」

提督「ほう。お前たちにしてはなかなか鋭い考察だ。もしかして萩市に来たことで知的欲求が刺激されたのかもしれんぞ」

摩耶「へへっ!」

提督「よし、ならばこの機会に、知的欲求が有り余っているお前たちに萩市の栄えていた歴史について色々教えてやろうではないか!!」

長門「おう!」

提督「萩市の歴史はその昔、江戸時代から始まる」

提督「お前たちは江戸時代が始まる前、日本で石田三成と徳川家康が戦ったことは知っているよな?」

陸奥「知っているわ」

長門「長篠の戦いのことだろう?」

提督「関ヶ原の戦い、な。それで徳川家が勝利し、家康は将軍になって江戸を拠点に民を治めたことは有名なんだが…」

提督「萩市は敗北した石田三成側の武将、毛利輝元によって治められた町なんだ」

足柄「江戸とも場所は対称的だしね」

摩耶「つまり、萩市は毛利の拠点だったってことか?」

提督「そうだ。毛利は萩城という城を造り、当時の萩市民を統制していたんだ」

朝潮「私知ってます!いわゆる城下町ってやつですね!」

提督「その通り。萩城はなかなか大規模な城が存在していてな、それを中心に栄えていたぞ」

提督「今はその萩城は存在してないがな。とにかく立派な城下町を毛利氏は築き上げたらしい」

長門「ふーん」

初雪「…城これでの活躍には期待だね」

提督「城これ?なんじゃそりゃ」

提督「とにかく、萩市はそんな感じに平和に暮らせる町だったんだ」

長門「なるほどな」

足柄「いいわよね。のんびりそうで」

提督「そうだ。平和というのはとても素晴らしいものだ。この時代の萩市は最も栄えた町の一つにまでなってた程だからな」

提督「その平和を萩市に築き上げた毛利氏には感謝しないといけない」

摩耶「なるほど、毛利って武士の中じゃ影薄いイメージあったんだけどすげーんだな!」

初雪「…山口市の毛利家墓をもう少し真面目に見とけばよかったと思う」

提督「おいおい」

提督「しかしそんな萩市にもある日、激変の時が来たんだ」

漣「?」

提督「その時は江戸時代後期、いわゆる幕末と言われる頃。日本は次々に侵入してくる外国の影響を受け、混乱の一途を辿っていた時代だ」

漣「む…」

提督「ペリー来航を初めとする様々な事件。不安を大きく煽ったことだろう」

提督「もちろんその影響は萩市にも及び、民は次第に落ち着きがなくなっていった」

提督「このままでは日本は外国に取り込まれてしまう。誰もがそう思っていたんだ」

摩耶「確かにやべーよな。当時の日本人からしたらペリーはエーリアンか何かだもんな」

漣「しかも不条理な条約を結んで帰りましたからねぇ。衝撃的だったでしょう」

提督「だがそんな時。彗星の如く萩市にあの人がやってきたんだ」

初雪「?」

提督「日本にこれからの在り方を示し、教えたあの人が!」

初雪「…あの人!」

提督「そうだ。日本人なら誰でも知っている、坂本龍馬と同等の偉人だと言われるあの人!」

朝潮「つまり…あの人ですね!」

足柄「松下村塾を創立し、高杉晋作等の尊攘派を教育した!」

提督「その通りだ!!」

提督「日本における近代思想の先駆者!山口県の誇り!そして萩市の象徴的人物!!」

提督「吉田松陰が萩市に来たのだ!!」

提督「そうだ!吉田松陰だ!!」ド-ン

長門「!?」

提督「吉田松陰ほど、日本で偉大な人物はいない!!」

提督「そして吉田松陰と言えば萩市だ!これ常識だからな!覚えとけよ!!」

長門「お、おう」

提督「物分りがいいな!俺は嬉しいぞ!」

長門「て…提督?」

提督「ふはははは!!はーっはっは!俺嬉しい!」

朝潮「提督!?おーい!」

陸奥「何かテンションおかしくなってない?」

提督「おう?そうか?俺は極めて普通だが?んん??」

摩耶「いや、これ絶対おかしいよな」

漣「狂ったように見えます」

提督「う、うーん?そうか?あれ?」

提督「すまない。確かに、今の俺のテンションは少し高かったかもしれんな」

摩耶「少しどころじゃなかったぞ!」

朝潮「ちょっとびっくりしちゃいました!」

提督「すまんすまん。だが冷静に考えてみろ、これは山口県民にとっては仕方のないことなんだ」

長門「?」

提督「例えば香川県民にうどんを見せると激しく興奮するだろう?」

提督「それと同じで、山口県民に吉田松陰を見せると喜びを隠せない人が多いんだ」

長門「!?」

提督「だから俺は、あそこまでテンション高くなった、というわけだ。理解出来たかな?」

摩耶「知らねえよそんな話!?」

足柄「どんだけ好きなのよ吉田松陰を!」

提督「あ、あれー?」

※山口県民の吉田松陰好きには個人差があります

>日本人なら誰でも知っている、坂本龍馬と同等の偉人だと言われるあの人!

知名度では竜馬に負けている気もする。
アンケートとったわけじゃないけど。

長門と大和ぐらいの差だろうか?

>>421
実はそれ適当に言ってます
山口県民のウザいくらいの吉田松陰推しは(とくに30代以上)とても多いのでそれの再現のつもりです

まぁ自分も吉田松陰大好きですけどね!

提督「えーと、とりあえず俺も落ち着いたことだし吉田松陰がどんな人物かを紹介しようではないか」

長門「うむ」

提督「吉田松陰というお方は、萩の下級武士の家に生まれた男性だ」

提督「その活躍は素晴らしく、日本人の古い思想を近代化へ最も進めた人物の一人だと言われている程だぞ」

提督「具体的にどんな活躍をしたかと言えば、松下村塾で色んな人たちに教えを説き、人々を倒幕へと向かわせた、って話が有名かな」

陸奥「ああ、聞いたことあるわねそれ」

足柄「高杉晋作とか伊藤博文とか排出したんでしょ?凄いわよねあの人」

朝潮「歴史の教科書に出てました!私も知ってます!」

提督「だが凄いのはそれだけではない!!」クワッ

足柄「!?」ビクッ

提督「確かに松下村塾も偉大である!しかし吉田松陰にまつわるエピソードはそれだけではないんだぞ!」

摩耶「て、提督?」

提督「逆に問おう!お前たちは松下村塾以外で吉田松陰の何を知っているか!」

漣「あの?」

提督「そうか、答えられないか!俺は悲しい!」

漣「…おーい?」

提督「ああ悲しい!!日本人にとって吉田松陰は知らなくてはならん人物なのに、どうして松下村塾しか知らない者が多いのか!」

提督「そうだ!松下村塾が吉田松陰の全てではない!!吉田松陰の素晴らしさは彼の偉業や人間性全てに在るのだ!!!」

漣「…ごしゅじーん?てーとくー?」

提督「吉田松陰と言えば松下村塾松下村塾松下村塾!それしか言えんのかお前たちは!!」

提督「たまに違う語句が出て来たと思えば安政の大獄!俺が求めているのはそこじゃない!!」

提督「お前たちよ学んでくれ吉田松陰を!!俺がその吉田松陰の意思を今からお前らに叩きこんで…」

漣「いい加減にしろやお前」

提督「!?」

長門「まあ少しは落ち着け提督」

朝潮「また熱くなりすぎていますよ!」

摩耶「正直見苦しいわ。ウザい」

陸奥「勢いだけじゃ提督の意見も私たちに伝わらないわ。もっと丁寧に話さなくちゃ」

提督「…くっ、俺としたことが何たる失態を…」

提督「同じ過ちを二回も繰り返してしまった」

朝潮「別に朝潮は大丈夫です!」

提督「すまん。俺はどうも吉田松陰のことになると興奮してな。色々と話さずにはいられないんだ」

長門「気持ちはわからんでもないが、ほどほどにな」

提督「わかった。気をつける」

摩耶「それにしても、一体吉田松陰の何が提督の心を惹きつけるんだ?」

足柄「そういえばそうね。提督がこんなに熱弁してたの初めて見たわ」

提督「うーん…理由か…」

提督「例えば、夕張はいつもは大人しいが、あいつに兵装の話をすると人が変わったみたいにペラペラ話し出すだろう?」

提督「俺もきっとアレと同じで…」

摩耶「…何かキモイな」

足柄「つまり、フェチっていうやつかしら?」

初雪「…もうそんなのどうでもいいから早く続きを話して」

提督「はい」

提督「では改めて吉田松陰の松下村塾以外の活躍について紹介するぞ」

長門「今度は暴走するなよ」

提督「わ、わかっている。出来るだけ抑えて話すから」

陸奥「頼むわよ提督」

提督「さて、まず吉田松陰の人生について説明させてもらうが…」

提督「教科書なんかでは『長州藩に誕生→外国船に密航を企てるも失敗→松下村塾で先生になる→安政の大獄で処刑』って流れで紹介されてるよな」

朝潮「だいたいそんな感じです」

提督「うむ。だがこの説明だけでは吉田松陰が凄い人物だったというのは分かりづらい」

提督「実際に、俺が昔に吉田松陰のことを友人に聞いたら『日本脱走しようとしたら捕まってどうしようもないから塾つくって教育した人』とか言われたからな…本当にショックだったよ…」

長門「…そうか」

漣「ま、まぁ解釈によってはそうなりますからね…」

提督「思い出したら泣けてきた。泣いていい?」

長門「駄目だ。感情を抑えろ」

提督「くっ…つまりだ。つまり吉田松陰の偉大さを知るためには、まず当時の日本の状況を知らなくてはならない」

陸奥「まぁ、そうね」

初雪「流れをつかむのは日本史の基本」

提督「吉田松陰が生まれた当時、日本は鎖国中だったことは知っているよな?」

朝潮「知ってます!よそ者は入ってくんな、っていうのが鎖国ですよね!」

提督「だいたいそうだ。ちなみに鎖国というものは元々勢力の強いキリスト教を禁じる為のものだったらしいぞ」

提督「その結果として日本は世界的に孤立する羽目になったんだがな。そのまま日本は世間知らずの国になっちまった、という訳だ」

長門「孤立状態か…なんだかあの戦争を思い出すな」

朝潮「やっぱり繋がりあいを持ってこそ、国は栄えゆくものなんです!」

漣「で、それがどうかしたの?」

提督「ここで凄いのは、吉田松陰がこんな状態にも関わらず日本国外のことを考えていたということなんだ」

漣「?」

提督「考えてみろ。外国の情報がシャットアウトされた状態で外国の情報を探し求めた吉田松陰の姿を」

提督「『このままでは日本は永久に栄えることはない』そのことを一心に思いながら幕府に対抗したんだぞ!」

長門「立派だよな。最高権力に逆らってでも自分の信念を最期まで貫いたのだから。まさに日本人らしい生き方だ」

提督「しかも若いときから海外の様子を知りたがっていたもんだから立派なものだよ」

漣「へー。だから吉田松陰は密航を企てたり松下村塾で教育をしたんだねぇ」

朝潮「状況にまどわされず、自分の国の姿を見つめ改善しようと頑張った吉田松陰…凄いです!」

初雪「…俺が世界水準だとか言いながら他の皆の強さを直視しようとしない軽巡とは大違い」

提督「いい加減にそんな天龍いじめはやめなさい」

提督「他にも吉田松陰は10歳で明倫館という塾の先生になったり、日本の至るところを歩き回ったりと様々な逸話が残っているんだ」

提督「吉田松陰の最期は処刑という悲しい終わり方だったとはいえど、実は人間らしい充実した人生だったと言えるかもしれない」

長門「うむ。私もビッグ7として人間らしく戦艦らしい人生を送りたいものだ」

陸奥「学べることがいっぱいあるのね、吉田松陰」

提督「と、まぁこのように吉田松陰の話のネタは尽きないんだが…」

提督「このまま長々と吉田松陰について語る訳にもいかないし、そろそろ時間も時間だから萩市の観光地に向かうことにするぞ」

漣「おー!やっとかー!」

摩耶「このまま萩市は吉田松陰の話だけで終わるかと思ってたぜ!」

初雪「…提督の話は、いちいち長い」

提督「仕方ないだろう。この吉田松陰の知識は、今から向かう所で必要かもしれないものだからな」

摩耶「え?そうなのか?」

足柄「吉田松陰の知識が必要?」

提督「やはり萩市の観光地といえば、これしかない!」

提督「その名も、松陰神社だ」

摩耶「しょーいんじんじゃ…」

漣「それって…吉田の…」

提督「ご名答!松陰神社とは、名前の通り吉田松陰を祀っている神社だ」

漣「っえええー!?」

摩耶「まだ吉田松陰の話は続くのかよ!」

提督「当たり前だろう。何度も言うが萩市といえばやはり吉田松陰だからな」

提督「せっかく萩市に来たのだから、松陰神社を訪れないというもったいないことは出来ない」

初雪「さ、さすがにもう終わりだと思ってたのに…」

長門「えっと、つまり、提督が吉田松陰の知識が必要だと言っていたのは私たちが松陰神社を見ても飽きないようにするためなのか?」

提督「そうだ。いきなり松陰神社に行ってお前たちから『つまんない』とか『帰りたい』とか言われたら辛いからな」

提督「錦帯橋や瑠璃光寺等での失敗を繰り返さないよう、俺なりに工夫したのだ。わはははは」ボロボロ

漣「あれ?ご主人の目から水が」

初雪「…あの時興味を持ってもらえなかったのがよほどショックだったように見える」

摩耶「あ…まぁアレは少し悪かったよなぁ…」

陸奥「だから提督はあんなに吉田松陰について熱く語っていたのね」

長門「すまんな提督。これから松陰神社らしっかりと楽しませてもらうぞ」

提督「くっ…ありがとう」ボロボロ

摩耶「なんでそこで泣くんだよ!さっさと松陰神社へ向かうぞ!」

提督「う、うれしくて…喜びが止まらん…」

朝潮「提督ー!戻ってきてくださーい!」

松陰神社

提督「松陰神社に到着したぞ」

長門「そ、そうだな」

摩耶「よかったな提督。念願の松陰神社だぞ」

提督「うむ。俺は久しぶりにここへ来ることが出来てとても嬉しい」

長門「…そうか」

提督「なんだ。リアクションが薄いな」

長門「いやその、別に…」

長門(何か知らんが、提督は今少しメンタルがユルユルのような気がするからな…)

摩耶(変なことにならないよう、気を使ってやってんだよ!)

提督「?」

提督「それにしても、松陰神社か…」

長門「!」ゾクッ

提督「そうだな…最後にここへ訪れたのは6年前の秋…まだ提督にすらなっていない頃だった…」

摩耶(おい、これ…)

長門(また始まったな…)

提督「はっきりと覚えているぞ…残暑の中、家族と一緒に観光目的で来たことを…」

提督「当時、吉田松陰の素晴らしさを知らなかった俺は神社そっちのけでアイスを食べてたんだっけ…」

提督「ああ、あの頃のまだまだ学生としてガキっぽく暴れていた俺を…忘れられないな、ずっと…」

長門「摩耶」

摩耶「よしわかった」バキッ

提督「ぬふぅ!?」

長門「いい加減に目を覚ませ提督!私たちと一緒に松陰神社を巡るんだろう!?」ユサユサ

初雪「こんなに沢山の女の子をほったらかしにするなんて、酷い」ユサユサ

提督「…はっ!また落ちてたのか俺は!これで何度目だ!?」

足柄「提督、吉田松陰の話になってからこればっかじゃない!」

陸奥「あの提督…吉田松陰が好きなのはわかるけどさ…」

朝潮「もう少し私たちを構ってくださいよっ!」

漣「このアホ!バーカ!!浮気性!!」

提督「え!?浮気性!?」

摩耶「はぁ!?自覚ねぇってのかよお前は!」

提督「!??」

朝潮「よく考えてみてください!じっくりと!」

漣「提督、さっきから吉田松陰のことばっっっかり!」

長門「複数の女を前にしながら、他の男のことを考えるとは最低だな!」

提督「…ええと、つまり」

提督「それ俺がただのホモってことじゃねーか!」ガ-ン

初雪「そうだホモ!反省しろ!」

提督「え?なんで俺ホモって言われてんの?」

足柄「うるさいわねホモ!たまには女のことも考えなさいよ!」

長門「見くびったぞ提督!まさか貴様が吉田松陰に底根惚れていたとはな!」

朝潮「本来ならば男の人は女の子が大好きな筈です!」

提督「やめろ!こんな公衆の面前で俺がホモみたいに言うな!」

摩耶「はぁ?湯田温泉でアタシらとの混浴を強く拒絶したクセに何を言うんだ!」

漣「そだよ!あれはご主人がホモという決定的な証拠!」

提督「いやお前こそ何を言ってんだよ!?」

陸奥「あらあら。じゃあ提督はやっぱり女性特有の大きな胸よりも強靭な筋肉の方が好みなのかしら?」

朝潮「だ、だったら私、胸少ないですよ!ほら触ってください!」

提督「ちょっ待てお前たち!何か話がおかしく…」

摩耶「問答無用!」

長門「女の嫉妬は酷いんじゃあああああ!!」

提督「ひぃぃぃぃぃ!?」




長門「…」タンコブ

足柄「…」タンコブ

提督「あのさお前たち…」

提督「もう少し、節度ってもんがあるだろ?

提督「確かに俺も悪かったけどさ…」

提督「あくまでここは公共の場なんだ。ちょっとテンション抑えてくれないかな…」

摩耶「ご、ごめんなさい…」

朝潮「度が過ぎました…」

長門「うう…すまん提督」

提督「…」

提督「…とはいえ、さっきのお前たちの暴走は俺に原因があったのもまた事実だがな」

漣「うう…いいですよ別に…」

提督「ならん。本当は俺が先に謝るべきだったんだ」

初雪「…先に手を出したのはこっちだし…」

提督「気にするなと言っている。そうだな…お詫びとして、お前たちにソフトクリームでも食わせてやろう」

漣「えっ!」

長門「本当か提督!」

提督「ああ。こんなとこで嘘なんかついても仕方が無い」

提督「確かあの店で売ってた筈だぞ。萩市名物の夏みかんソフトクリームだ!」

摩耶「おおっ!やったー!」

漣「ありがとうっ、ご主人提督!」

提督「よーしお前たちついてこい!ソフトクリーム遠征だ!!」

長門「おう!」

摩耶「突撃だー!」

足柄「あはは…どうやらいつもの提督戻ったみたいね…」

陸奥「ふふ、本当によかった」

~~~

長門「夏みかんアイス美味かった!」

朝潮「ごちそうさまでした、提督!」

提督「なんとか機嫌を戻してくれたようだな。元気になってくれて俺も嬉しいぞ」

摩耶「へっ、うまいもん食わせて貰って元気にならない奴なんかいねぇよ」

初雪「…アイスの破壊力は凄いから」

提督「お前たちアイス大好きだもんなー。食べたらすぐにキラキラするくらいだし」

長門「ふっ…やはり私も前世が軍艦だったから、身体を冷却できるような食べ物には目がないのだろう」

漣「アイスは私たちの疲労を吹き飛ばしてくれる、素敵な食べ物だよ!」

提督「ははは、そうか。なら鎮守府にいる皆にもご馳走してやらんとな」

摩耶「お?言うねぇ提督!」

漣「ラッキー!帰ってからまたアイス食べられる!」

提督「…おっと。ちょっとした冗談のつもりがこれは思わぬ出費になりそうだ」

長門「提督、嘘はいかんぞ?」

朝潮「期待してますからね、提督!」

提督「やれやれ、仕方ないなお前たちは」

提督「じゃあ一息ついたことだし、今度こそ一緒に吉田松陰のご利益を貰いに本殿へ行こうではないか」

朝潮「はーい!」

提督「ちなみに松陰神社では、入口から本殿までに少し長い道があるぞ」

長門「えっ、そうなのか?」

提督「ああ。松陰神社というのは吉田松陰が晩年過ごした場所に建てた神社だからな」

提督「その吉田松陰の暮らした痕を残すため、神社までの道中に松下村塾跡や吉田松陰が幽閉されていた家などといった大きな歴史資料がたくさん置いてあるんだ」

長門「なるほど。つまり松陰神社は吉田松陰の歴史を垣間見ることが出来る神社だということか」

提督「その通り。松陰神社に来る人たちの中には吉田松陰のご利益もさることながらこれらの資料目的で来る人もいるんだぞ」

提督「そういったものを見た後に、過去の日本やこれから自分の将来について考えながら参詣するってのがまたオツなもんなんだ」

漣「へーぇ」

朝潮「確かに、自分を見つめ直すための場所としては最適かもしれませんね!」

長門「そうだな。提督があんなに吉田松陰のことを語ってくれたのだ」

陸奥「ここは私たちも吉田松陰を見習って、これからの戦いの未来について考えましょう」

朝潮「はい!」

提督「では出発だ」

朝潮「レッツゴーです!」

漣「よっしゃー!歩くぞー!」

摩耶「へぇー、石で丁寧に道を造ってるんだな。こりゃ歩きやすいし見栄えもいい」

足柄「そうね。神社といえば土の地面に大きな木が周りにたくさん生えて少し寂しい雰囲気なのに」

長門「石で作られた道や小さな橋があったりと…これはまさしく日本庭園ではないか」

陸奥「松陰神社って優雅な神社ね。吉田松陰が生きていた頃の景色もこんなにも素敵だったのかしら?」

提督「本当に昔からこんなに綺麗な庭園だったかどうかは定かではないが、吉田松陰が霊としてこの世にこの場所に戻ってくるかもしれないだろう」

提督「そうだったときに備え、いつ吉田松陰がここに来てもいいように、こういった庭園の形を残してるんだと俺は思うな」

長門「なるほど。そうであるなら素晴らしいな」

陸奥「こういった死んだ人に対する配慮はまさに日本人らしい精神が溢れているといえるわね」

摩耶「ていうか、ここおばけいるのか…こわいな…」

提督「オバケって言うな!せめて英霊と言え!」


提督「そんなこんなで松陰神社本殿に着いたぞ」

長門「ついに来たな」

陸奥「わぁ、なかなか大きな神社」

摩耶「装飾は派手じゃないがなんていうかこう、立派な建物だってことは伝わってくるぜ!」

朝潮「やっぱり吉田松陰を祀る神社だから、特別気合いを入れて造ったのでしょう!」

提督「うむ。吉田松陰だから立派な神社とは限らないが、それでも松陰神社の美しさは素晴らしい」

提督「防府天満宮と比べると地味なように感じるが、松陰神社にはやはり神社に相応しい勢いがあるというものだ」

朝潮「へぇー…?」

初雪「…神社の勢いって何?」ヒソヒソ

長門「たぶん、いかにも神社っぽい見た目である、ってこと言ってるんじゃないか?」ヒソヒソ

提督「ではさっそく参詣をしよう」

提督「吉田松陰先生にお前たちの思いの丈をぶつけるんだ!」

長門「おう!」

摩耶「よーっし、なに祈ろうかなー」

陸奥「やっぱり防府天満宮の時と同じことにしようかしら」

長門「私はせっかくだから違うことを祈ろうと思う」

漣「いやいや。防府天満宮のときと同じ意思を貫いた方が素敵だって吉田松陰も思うんじゃないかな」

初雪「…そういう問題じゃないと思う」

朝潮「たとえどんな内容であっても、その想いが強ければきっと吉田松陰は受け入れてくれますよ!」

提督「決まったのならお賽銭もう入れるぞー、早く決めれー」

提督「5円投下×8」チャリン

長門「鈴を鳴らして」ガラガラ

陸奥「二礼二拍手」パンパン

朝潮「そして一拝!」ペコリ

提督(こいつらが終戦まで元気に生き残りますように)

朝潮(鎮守府の皆が毎日健康でいられますように)

初雪(吹雪とか白雪とか、みんないつまでも幸せが続きますように)

摩耶(改二で姉妹に負けないくらいの胸がもらえますように)

陸奥(まるゆちゃん以外に運気が上がる方法を実装してください)

漣(初期艦一の人気のために、もっとラノベとかアニメとかメディア露出したいな)

長門(気が付けばビスマルクが改三になってしまった。私も早く改二でいいから来てくれ、じゃないと大和に勝てる気がせん)

足柄(結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚!)

提督「お前らバッチリ祈ったか?」

足柄「完璧よ!」フンス

提督「よしよし。では最後におみくじを引いてここを去ろうか」

朝潮「はいっ!」

摩耶「ん?おみくじは防府天満宮でも引いたよな」

長門「おみくじってそんなに何度も引いて大丈夫なものなのか?」

提督「問題ない。防府天満宮でも言ったが、おみくじというものはその神社の言葉だからな」

提督「神社にも個性があり、神社によって我々に伝えることがしばしば変わることもあるし」

提督「たくさんの神社の声を聞いた方が人生の道標も増える。だからおみくじは何度でも引いていいと俺は思うぞ」

摩耶「おー、確かにそうだな」

長門「人の忠告を沢山聞いて損することはない。ここは私も吉田松陰の声を聞こうではないか」

足柄「防府天満宮での雪辱、ここで果たしてやるわ!」

提督「どうだったお前ら」

長門「ビッグ7の実力は伊達ではないのだよ」大吉

朝潮「私もです!やりました!」大吉

摩耶「ありゃ、提督の言うとおりだ。防府天満宮と結果が変わってるぜ」吉

初雪「…いざ見てみるとびっくり」中吉

陸奥「防府天満宮と松陰神社両方の言葉を胸にとどめなくちゃね」小吉

提督「ああ。そうすればきっとお前たちに良いことがあると思うぞ」

足柄「…くっ、恋愛運は変わらず…か」末吉

こんなこと書いてなんですが、
自分、おみくじで4回くらい全く同じ内容が連続で出たことがあります

提督「では次の場所へ向かうぞ」

漣「うぇーい」

長門「次はどこに行くんだ?」

提督「そうだな…ぼちぼち腹減って来たし、昼飯にするか」

摩耶「おおー」

朝潮「萩市のグルメ、楽しみです!」

提督「ああ。ここにしかいない、幻の食材をこれから食べに行くぞ」

陸奥「幻の食材?」

足柄「ハチノコとか、そういった類のものかしら」

提督「ふっ、聞いて驚くなよ。今から食べる食べ物はな…」

提督「見島牛だ」

長門「みしまうし?なんだそれは」

摩耶「とりあえず牛ってことは牛肉だよな」

漣「牛肉は確かに豪華だけど、どうしてそれが幻なの?」

陸奥「何か幻とでも言える理由があるのかしら」

提督「ご名答。見島牛にはとびきり凄い秘密が隠されているぞ」

足柄「そうなの?私、見島牛って聞いたことないけど」

初雪「その秘密って何?」

提督「ふっふっふ。それはな…」

提督「見島牛は天然記念物に指定されている動物、ということなんだ!」

長門「な、なんだとっ!?」

摩耶「て、天然記念物!?それってつまり…」

朝潮「タンチョウとかオオサンショウウオとかと同じくらい貴重ってことですよね!?」

長門「だ、大丈夫なのか提督!天然記念物なんか食べて!」

漣「逮捕されません!?非合法とかじゃないよね!?」

提督「大丈夫大丈夫。ちゃんと食べていいと国が認めている牛だから」

提督「それに、タンチョウとかは『特別天然記念物』なのに対し、見島牛は『天然記念物』だしな。奴らと比べると見島牛はそこまで貴重ではないらしい」

長門「なんだ…よかった」

朝潮「合法なら安心ですね!」

摩耶「天然記念物を食べていいなんて初めて聞いたぜ…」

漣「ちなみに見島牛ってどれくらい貴重なんですか?」

提督「えーと、たしか見島牛の生産数は年30頭前後ととても少なかったな」

提督「市場に出回るのはその約半分で、そのおかげで相当な品薄っぷりを引き起こしているっぽいし…」

提督「それにも関わらず見島牛を買い求める顧客も多いから、手に入れるための競争率は物凄く高い。ってとこだ」

漣「…おおう、そりゃ凄いですね」

陸奥「だから見島牛は幻の食材って呼ばれているのね…」

長門「これは見島牛を使った料理というものがとても楽しみになってきたな。私はもう待ちきれんぞ」

摩耶「提督!早く行こうぜ!」

提督「よしよし、じゃあさっそく車で移動しよう」

見島牛ダイニング 玄

提督「さぁ、ここが見島牛を食べることができる店『玄』だ」

摩耶「おおっ!ついに着いたのか!」

長門「うーむ、肉を焼く良い匂いがするな」

初雪「…でもステーキを焼いたような匂いじゃないね」

提督「その通り。この店は主にハンバーグ料理を専門としている店であり、ステーキのメニューは数少ない」

足柄「そうなの?私はてっきり豪快にステーキかと思ってたわ」

長門「私もだ。肉料理と言えば丸焼きだしな」

提督「まぁおそらく貴重な見島牛をそんな一気に使うわけにいかないとかそういった理由があるのだろう」

漣「でも豪華な肉のハンバーグかぁ、それはそれでうまそうだね!」

朝潮「ハンバーグ…楽しみです!」ジュルリ

摩耶「くっ…話すだけで腹が減ってきちまった!早く店内に入ろうぜ提督!」

提督「わかったから服を引っ張るな」

店内「らっしゃーい」

提督「見島牛ハンバーグを8つ」

店員「はいお待ちー」

提督「さぁお前たち。これが待ちに待った見島牛だ」

提督「その美しさ・香り・味をしっかりと記憶に刻むがいい」

長門「うおお!これが天然記念物ハンバーグかっ!」

漣「肉…圧倒的…肉!」

摩耶「すげーな!これが見島牛のハンバーグか!」

初雪「でも、見た目は普通のハンバーグと同じような気がするけど…」

提督「心配することはない。本当に違うのかは食べてみればわかる」

提督「見島牛は珍しさもさることながら肉質も非常に優秀で、特に脂肪がとてつもなく美味い!」

提督「口にした瞬間お前たちの口内を牛肉特有の甘味と旨味が襲い、瞬く間に虜になってしまうだろう」

足柄「かーっ!美味い!!やっぱりハンバーグは美味しい料理だね!」

朝潮「美味しいです!お土産に持って帰りたいくらいです!」

長門「そういやまだ鎮守府の土産を買ってなかったな。提督、見島牛は具体的にどれくらいの値段がするんだ?資材で買えそう?」

提督「具体的な値段?一応ピンキリはあるんだが…」

提督「とりあえず艦娘全員分を買おうと思ったら数千万、数億円は覚悟した方がいいかな」

長門「…」

陸奥「資材で購入しようと思ったら、鎮守府の経済が潰れてしまうわね…」

提督「ちなみに安価な見島牛と言えば山口県では見島牛とホルスタインの交配種『見蘭牛』というのも作られているぞ」

提督「こっちは見島牛と比べ味や脂身は少々劣るものの、比較的安価で購入できる」

提督「興味を持ったグルメ提督は一度購入を検討してみてはいかがだろうか」

漣「ご主人、ずっと気になってたんですけどそれ誰と話してんですか?」

提督「なーいしょ」

漣「???」

朝潮「ごちそうさまでした!」

摩耶「とっても美味かったぜ!ありがとな提督!」

長門「うむ。久しぶりにボリュームのある肉を食べて私も満足だ」

初雪「…天然記念物の味、満喫した」

提督「そうか、それはよかった」

提督「見島牛をこんなに手軽に食べることが出来るのは萩市だけだからな。その気持ちをよーく覚えておけよ」

漣「はーい」

提督「では昼飯も喰ったことだし、萩市とはそろそろお別れするか」

長門「そうだな」

陸奥「次はどこに行くのですか?」

提督「えっと、もう下関とか宇部とか主要な所は回ったから…」

提督「次は最終目的地、長門市だな」

長門「おお!ついにか!!」

朝潮「ビッグ7の名前を持つ町ですね!」

提督「そういえばこの旅行の当初の目的は長門市に行くことだったしな」

提督「長門にとっては待ちに待った瞬間になるのかと思う」

長門「ああ!とても待ちわびたぞ!なにせ私の名を持つ町だからな、楽しみだ!」

提督「お前はずっと長門市に拘ってたもんな。そんなに気になるのか、長門市が?」

長門「当たり前だろう!長門 だぞ?私の名前の由来だぞ!?」

長門「言わば私の母のようなものだ!なのにどうして長門市が気にならないことがあろうか!いや無い!!」キリッ

提督「そういうもんなのかなぁ」

陸奥「自分の名前のルーツとか知りたくなっちゃうでしょ?それと同じだと思うわ」

摩耶「確かになー。アタシだって自分の名前の由来とか気になったことあるし」

漣「私の名前なんか『細かく立つ波』だよ?いいよね長門さんは。本州最西端の地名とか立派な名前貰っちゃってさ」

初雪「…私ももっとかっこいい名前がよかった」

長門「ふふん。これぞビッグ7の誇りよ!連合艦隊の旗艦だったからこそ、長門という名前を貰ったのだ!」ドヤ

朝潮「うらやましいです!」

提督(同じ戦艦でも、武蔵とか金剛の方がカッコいい名前と思うんだけどなぁ)

足柄(それ本人の前で言っちゃダメよ)

提督「とにかく、今から長門市へ向かう」

漣「やほーい」

提督「長門市が山口旅行の最後の場所だからな。楽しかった時間もこれでおしまいだ」

提督「残りの時間は一瞬で過ぎてしまうだろうが、最後の最後まで山口旅行を満喫してくれ」

陸奥「そんなの当然よ!」

朝潮「提督との最後の時間、心いっぱい満喫します!」

提督「みんな心の準備はできているようだな」

提督「よし!では長門市へ」

長門「出発だ!!」


【青葉の山口豆知識コーナー】

青葉「何ヶ月ぶりでしょうか、青葉ですぅ!」

鈴谷「お久しぶりじゃん?鈴谷だよ!」

熊野「皆のお待ちかね、熊野ですわ!」

青葉「ついに提督たちは山口県北部、萩市にやってきましたねー。長かったこのSSにもようやく終わりが見えてきました!」

鈴谷「うんうん。もう残る山口県の市は長門だけだもんね。つまり次回で最終回ってことだよ!」

熊野「そうですか。そう考えると少し寂しいものですわね」

熊野「思えば色々ありましたわ…青葉の生焼け肉から始まったこのコーナー」

鈴谷「そうそう!熊野が食べ過ぎたり、駆逐艦の劇を見たり、赤城さんに奇襲されたり!」

熊野「割と馬鹿なこともやりましたけど、それはそれで楽しかったですわ」

鈴谷「そうだね!またこんなことが出来るといいね!」

青葉「あの…まだ次回が残ってるんですからそういった回想はちゃんと最終回でやりましょうよ…」

鈴谷「あっ、ついうっかり」

青葉「それでは気を取り直して、今回も張り切っていきましょー!」

鈴谷「青葉、よろしく!」

青葉「ではでは今回紹介するのはこちらっ!」

青葉「歴史を身を持って体験するアスレチック、『萩往還』です!」

青葉「一部の方には有名なんですが、皆さんはご存知でしょうか?」

鈴谷「うーん、聞いたこと無いなぁ」

熊野「身を持って、ということは歴史名所を見て回ったりするのですか?」

青葉「ご名答熊野さん!この萩往還は山口県にある古い道で、もともと萩〜防府間をつなぐ道で、江戸時代に参勤交代用として使われていました」

青葉「時代が経つにつれ今では道として殆ど使われなくなったのですが、貴重な歴史資料が沢山残されたおかげで『歴史の道100選』『美しい日本の歩きたくなる道500選』に認定されたりしてます」

青葉「石碑や茶屋跡、果てには江戸時代のトイレといったものまで見ることが出来る萩往還は、歴史が大好きな方にとってオススメな観光名所と言えるでしょう!」

鈴谷「ふーん、割と凄いんだね」

熊野「歴史を目の当たりにする萩往還…きっとタイムスリップしたような気分に浸れるでしょうね」

青葉「どうです?萩往還いかがですか?」

鈴谷「いいんじゃない?珍しいもの見れそうだし」

熊野「私も少しだけ興味が湧きましたわ」

青葉「はい!きっと凄いものが見れますよ!」

青葉「山口県が誇るある意味最大規模の観光地ですからね。行ってみる価値は十分あると思います!」

鈴谷「あ、そうだ青葉、一つ気になることがあるんだけど」

青葉「なんでしょう?」

鈴谷「青葉は萩往還をアスレチックって言ってたよね?」

鈴谷「ただの道を、アスレチックって言うの、何かおかしいじゃん?」

青葉「!」

熊野「あぁ、そういえば青葉は萩往還をそのように表現してましたわ」

鈴谷「話を聞く限りだと萩往還はただの美しい道っぽいんだけど…」

鈴谷「もしかして、萩往還には何か運動する要素とかあるの?」

青葉「ふっふっふ…」

青葉「いやー流石です鈴谷さん!いいとこに気付きましたね!」

鈴谷「えっ?」

青葉「そうなんです!実は萩往還、歴史道なんですが全て歩こうと思ったらかなりの体力が必要なんです!!」

熊野「はぁ?」

鈴谷「それってどんな道…」

青葉「説明するよりも実物を見た方がいいです!現在、萩往還へ派遣している艦娘がいるので彼女と中継をとってみましょう!」

鈴谷「そうなの?」

青葉「ではでは現場の鬼怒さん、赤城さん!お願いします!」

鬼怒『おっす!』

赤城『…』

鬼怒『青葉、ちゃんと映像うつってる?』

青葉「完璧です!では萩往還の紹介をお願いします」

鬼怒『はーい!3人ともこんにちはー!あたし達は今、萩往還ってとこに来ちゃってまーす!』

赤城『どうも…』

鬼怒『見てくださいこの道を!これが山口県のアスレチック、萩往還ですよ!』

鈴谷「…え?これが萩往還なの」

熊野「道…っていうよりも完全に山ですわよねこれ。道じゃないですよね」

鈴谷「うん。映像にうつってるの、生い茂る樹木に石ころの地面だもんね」

熊野「ですよね。歴史の道と言えば、もっと風情のある道が…」

鬼怒『何言ってんの鈴谷に熊野ー!だからこれが萩往還って言ってるじゃないかー!』

熊野「何ですって!?」

鈴谷「そんな馬鹿な!?」

青葉「ふっふーん!驚いたでしょ二人とも!これが萩往還がアスレチックと呼ばれる理由なんです!」

青葉「萩往還はご覧の通り山道が多く、しかも結構急な坂が連続するのでとても苦しい道なんです」

青葉「しかも全長が53kmと長いので、生半可な気持ちで萩往還を歩こうとした人の気持ちを幾度も挫いたとかどうとか!」

青葉「どうです?萩往還の恐ろしさ、理解できたでしょ?」

鈴谷「そんな歴史の道とか嫌だよ!?」

熊野「それもう歴史資料とか見る余裕が無いのではなくて!?」

鈴谷「身を持って歴史を体験、って体力的な意味だったんだ…」

青葉「そうです!江戸時代は車とか自転車とか無いですからね」

鈴谷「しっかし鬼怒も大変だねー…青葉にこんなとこまで派遣されちゃってさ」

熊野「大丈夫ですか?辛くありませんの?」

鬼怒『全然そんなことないよ!むしろこんな険しい道は走りたくなっちゃうよ!』

熊野「!?」

鈴谷「そっか!鬼怒は体力馬鹿だった!!」

鬼怒『うん!訓練あるのみ、だよっ!』

青葉「では鬼怒さん、そろそろ萩往還についての感想をまとめていただけますか?」

鬼怒『はーい!わかりましたー!!』

鬼怒『萩往還ってのは素晴らしい道です!山がいくつもあるから坂道ばっかり砂利道ばっかりで足腰のトレーニングに最適!』

鬼怒『やっぱり『険しい日本の走りたくなる道500選』に認定されてるだけあるね!次は長良たち姉妹も呼んで一緒に走りたいなぁ』

鬼怒『青葉ありがとね!こんないい場所を紹介してくれて!嬉しいよ!!』

鬼怒『以上、現場の鬼怒でしたー!』

赤城『ど、どうもでした…』

青葉「おつかれ様です、鬼怒さん!赤城さん!」

鈴谷「…なるほどねー」

熊野「萩往還は美しいけど、歩くととても辛い道ですのね…」

青葉「はい!あれは本当にキッッッツイですよ!冗談抜きである程度の体力ないと死にます!」

青葉「なので自信のない人は車使った方がいいです。萩往還は徒歩じゃないといけないという縛りなんかないので」

鈴谷「江戸時代の人って凄いんだね。あんなのいつも往復してたんだ…」

熊野「私には到底考えられない行為ですわ」

鈴谷「そういやなんで赤城さんも萩往還を走らされていたの?」

青葉「ああ、あれはですね」

青葉「はっきり言って罰です。あの人には散々このコーナー荒らされたんで」

青葉「鬼怒さんを派遣したのは赤城さんを無理やり走らせる為ですし。今頃はあの空母はひぃひぃ言ってるでしょうよ」

鈴谷「うん、赤城さんには悪いけど自業自得だね」

熊野「全くもって妥当な理由ですわ」

青葉「では!今回はこの辺で終わりましょう!」

鈴谷「次回は最終回!期待していてね!」

熊野「さようならですわー!」

二日に一回くらいのペースで更新デース

提督「あともうちょっとくらいで長門市に着くぞ」

長門「やっとか!長かったぞ提督!」

朝潮「なんだか到着まで長く感じちゃいました!」

提督「それに関しては申し訳ない…」

提督「ちょっと大変な事情があったんだ…だから更新出来なくて…」

陸奥「事情?一体何のことを言ってるの?」

漣「更新?更新って?」

提督「あー、ごめん、こっちの話…」

初雪「?」

足柄「まぁそれはさておき、ようやく長門の町に到着ってわけね」

提督「そうだ。この旅行の元々の目的は長門市に行くことだったからな」

提督「長門本人も喜びを隠せないんじゃないのか?」

長門「当然だろう!私はこの時をどれだけ待ち望んだことか!」

長門「ああ楽しみだ!長門市とは一体どんな場所なんだろう!」

摩耶「おー、うれしそうだな」

朝潮「長門さん、キラキラしてます!」

長門「提督よ!長門市まであとどれくらいだ!」

長門「とにかく早くしてくれ!私は楽しみで死にそうだ!」

提督「だからもう少し待てって。あとちょっとなんだから」

長門「ええいもっと車のスピードをあげることは出来ないのか!?その気になれば65ノットくらい出る筈だろう!」

提督「ちょ、長門、嬉しいからってあんまり暴れたら」

長門「ああもう無理だ!私は長門市が待ちきれない!!」

長門「長門市!長門市!長門市ッ!!」ジタバタ

提督「やめろ!お前が暴れたら車がスクラップになってしまうんだよっ!!」

長門「くっ…では私にどうしろと言うのだ!」

提督「普通に待ってろよ!皆で会話とかしてさ!」

長門「仕方ないな…そうするしか無さそうだし…」

初雪「…退屈」

陸奥「じゃあそんなに暇なら、長門市は一体どんな町なのか予想大会でもしましょうよ」

長門「何?」

摩耶「おっいいなそれ!せっかく相手が長門なんだし、色んな予想をするのは面白そうだ!」

漣「それにいい感じの暇潰しにもなるもんね!さっそくやろう!」

長門「なるほど、私の名を持つ町の予想を私が行うのか…それもまたオツなものだ」

朝潮「予想大会、スタートです!」

長門「長門市か…一体どんな町なんだろうな!」ワクワク

朝潮「長門って言うからにはやっぱり造船業が盛んな工業都市じゃないですか?」

漣「いやいや。自衛隊の軍事基地があるおカタい町かもよ?」

足柄「もしかしたら名古屋や大阪に負けないくらいのビッグな町かも?」

陸奥「やっぱり名前が名前だけに期待か膨らむわね」

摩耶「長門市、楽しみだぜ!」

初雪「…期待」

提督「…」

提督「あー、その、なんだ」

長門「おう?どうした提督」

提督「会話しろって言った矢先すまないんだが…」

長門「?」

提督「あのな、正直に言って長門市は…」

提督「お前たちの期待してるような…大きな町ではない」

長門「…え?」

足柄「はぁ?」

足柄「いやいや、でも『長門』でしょ?あの長門なんでしょ?」

漣「元連合艦隊旗艦の名前に選ばれた場所がしょぼっちい訳がないでしょ」

初雪「…嘘つくのよくないと思う」

提督「いや嘘じゃないってば、本当だ」

提督「はっきり言おう。長門市はお前たちの思ってるような都会なんかじゃない」

長門「またまたそんな冗談を!」

摩耶「ハハハ、艦これトップクラスの建造難易度を誇る長門がそんな訳ないだろ」

提督「長門市の主力産業は漁業なんだ。決して重工業とか、そんなもんはほとんどやってない」

提督「町に出ればデパートは的なものはないし、あってもフジぐらいなもんだし」

提督「だいたいデパートとかあっても長門自体の人口少ないから経営できるわけないし」

提督「地理的にも福岡・広島はおろか下関・宇部・山口市すら遠いしで…」

提督「それら色んなことを踏まえると、残念ながら長門市は…田舎としか言いようがない」

長門「…え」

提督「だからその、長門って名前だけでそんな大層な都会を想像されたら、たぶんそのギャップで残念に思うだろうから…」

提督「そんな大きい期待をしないでくれないか…」

朝潮「…はっ」

長門「…っえええええ!?」

長門「本当か!その話は本当なのか提督!」バシバシ

提督「本当だと何度も言わすな!あと気持ちはわかるが運転席の椅子を叩くのを止めてくれ!」

長門「そんな馬鹿な…ありえん…」

摩耶「アタシたちの長門が田舎なんて…」

漣「嘘です!ご主人の言ってることは全て嘘です!長門市が田舎なんて見せかけです!」

朝潮「っていうかフジって何ですか?店ですか?」

提督「愛媛に本社を持つ大きめのスーパーマーケットだけど東日本では見たことないかなぁ」

陸奥「聞いたことない店よね、うん」

足柄「信じられないわ!長門がそんなんだったなんて!」

初雪「…証拠は…何か証拠はあるの?」

提督「証拠って言っても今からそれを見に行くんだけど…うーん…」

県民からすると読んでて心が痛いでこれ

>>503
福岡・広島・松山とかいう場所に行くともっと辛くなるのです
お隣さんが結構な都会で泣きたいぞ畜生

摩耶「確かに車窓を見てたら田んぼと畑ばっかりで、嫌な予感はしてたけど…」

足柄「いざ現実を突きつけられると辛いものがあるわね…」

長門「…」ガック-ン

陸奥「長門、元気だしなさいよ」

長門「しにたい…」

漣「でもまさか連合艦隊旗艦の名前を持つ町が小さな町だったとは思いもしなかったなぁ…」

朝潮「驚きでした…私はてっきり凄い場所なのかと…」

初雪「残念極まりない…」

摩耶「なんだよー、長門市は名前だけかよちくしょー!」

提督「名前だけってそれは言い過ぎ…いやまぁ確かにそうなんだけどさ」

長門「名前だけ…」グサ-ッ

提督「でも大丈夫だ。そんな心配しなくても長門には良いところだってある」

提督「長門は田舎と言ってもちゃんと観光するべきとこはあるから」

提督「そこんとこは安心しといてくれ。俺の観光プランに狂いは無い」

長門「…本当か?」

足柄「でも…そうよね。岩国市や美祢市も田舎だったけど観光名所はあったし」

朝潮「提督が『観光名所がある』って言ってるからたぶん大丈夫でしょう!」

提督「そうだそうだ。その通りだ」

提督「百聞は一見に如かずと言うしな。田舎ってだけで廃れた町を想像するのは良くないぞ」

長門「…うん。仮にもビッグ7の町だもんな!長門が廃れた町な筈ではない!」

長門「よし俄然長門市に行くのが楽しみになって来たぞ!行こう提督!長門市に!!」バタバタ

提督「いてぇ!だから暴れんなっつーの!」

〜〜〜

長門市

提督「そんなこんなで長門市に到着だ」

陸奥「ようやく着いたわね」

朝潮「ここが長門市ですか!あの長門ですか!」

漣「やっぱり提督の言った通り田舎っぽいね」

長門「むう。やはり私は都会ではないようだな…」

摩耶「でも予想してた程田舎じゃねーな。建物もそこそこあるし、まぁまぁくらいだぜ?」

初雪「…ここに来るまで景色が緑一色だったから不安だったけど」

足柄「市街地っぽいのもあるし、長門はいわゆるド田舎って訳じゃあないのね。安心したわ」

提督「んじゃ、さっそくそんな長門市を観光していくぞー」

長門「うむ!」

朝潮「楽しみです!」

提督「だがその前にまずは恒例の町スペック紹介をやっておかないとな」

漣「ズゴー!」

足柄「ええ!すぐ観光するんじゃないの!?」

摩耶「いらねーよそんなん!スルーしろ!」

長門「いいから早く観光させてくれ!」

提督「うるさい黙って聞きなさい!一応、こういうの知っとくのは大切なの!」

初雪「ちぇ…」

提督「ゴホンっ、長門市を紹介すると、さっきも言ったが漁業を主としている港町で、特にイカを主力にしている町なんだ」

提督「海産物の加工も盛んで、カマボコとかも大量に生産しているぞ」

足柄「へー」

提督「他にここで育った有名人を挙げると近松門左衛門や村田清風、安倍晋三首相などが挙げられ、その顔触れはなかなか凄いメンツばかりだぞ」

初雪「ふぅん」

提督「他にも日本で一番焼き鳥屋が多かったり、日本の棚田百選にも選ばれてたり、色々凄いとこがあってだな」

提督「長門市も田舎と言えど、名前負けしないような独自性をつくろうと努力しているんだ」

摩耶「そーなんだー」

提督「えーと、他にも特徴があって…」

朝潮「…」

提督「…うん」

提督「まぁ、それらは焦らずゆっくりと観光しながら話すとしようか」

長門「よくやったぞ提督!誰も提督の長話なんて聞きたくないということを見事に悟ったようだな!」

漣「賢明な判断です!おめでとう!」

摩耶「ナイスだ提督!」

陸奥「よく空気を読んだわね。偉い偉い」

提督「どつくぞ」

提督「んじゃー今度こそ観光のスタートだ」

長門「いよいよだな」

提督「まずは早速、『金子みすゞ記念館』という場所に行くぞ」

漣「かねこみすず?誰ですかそれ」

初雪「…五十鈴じゃなくて?」

提督「金子みすゞは、日本の詩人として有名な人だ」

提督「例えば『遊ぼう、と言うと遊ぼう、って言う。馬鹿、って言うと馬鹿、って言う』」

提督「こんな詩を書いたことで有名な…」

漣「あ!あの人か!」

朝潮「ACのアレですね!」

陸奥「あの恐ろしい災害の後に暫くテレビで流れ続けたアレよね」

提督「そう。一時期有名になったこの詩の作者の金子みすゞは長門市出身なんだ」

提督「そういう訳で記念館が長門市にあるからそこに遊びに行くぞ」

〜〜〜

金子みすゞ記念館

提督「着いたぞ。ここが金子みすゞ記念館だ」

長門「ここが金子みすゞ記念か…ん?」

漣「あれ?どこにも無いよ?」

初雪「…木造建築の家しかない」

朝潮「見渡す限り、民家しか無さそうなんですが…」

提督「違う違う。目の前のこの建物がその記念館だよ」

足柄「ええ!?」

摩耶「このボロボロの木造建築物が金子みすゞ記念館だと!?」

長門「そんな馬鹿な!焼けば瞬時に燃えそうなあばら家に詩を保管できる訳など!」

提督「いやボロボロって…!?」

陸奥「ほら、長門たちは記念館って言うから、もっと厳重に管理された建物を想像してたから…」

提督「まぁそうだよな。改めて紹介するが、この街路の中に溶け込んでいる建物こそが金子みすゞ記念館だ」

提督「ちなみにお前たちはこの建物をボロボロって言ったが、内装はかなり整備されていて決してボロボロという訳じゃない」

提督「ちゃんと金子みすゞの詩を楽しめるような施設になってるから、そこんとこは安心してくれよな」

摩耶「なんだ。よかったぜ」

朝潮「それなら安心ですね!」

長門「よし!ならさっそく突撃だ!」

提督「お邪魔しますっと」

朝潮「わぁ!中も木造になっているんですね!」

長門「昭和な雰囲気溢れる、良い内装だな」

足柄「外見の期待を裏切らない、いいデザインじゃないの」

提督「この記念館は金子みすゞを生きた時代の建物をイメージしてつくられているからな」

提督「確かに金子みすゞの詩は単体でも素晴らしいが、こういった雰囲気を合わせることでさらに感情移入をしやすくしている」

提督「このことから、ここは利用者のことをよく考えている、凄い施設と言えるだろう」

漣「なるほどなるほど!そう考えたらボロ屋を記念館にした理由がよくわかるね!」

摩耶「ボロ屋も使い方次第でこんなにも輝くんだな!」

提督「だからボロ屋ボロ屋と言うなや」

提督「外装内装じゃなくて中身もちゃんと見てくれ」

漣「はいはい」

長門「うむ。金子みすゞの詩や人生についての展示してあるな」

陸奥「ふぅん、この人20代で死んでいるのね…金子みすゞもまた不幸だったのかしら」

朝潮「詩も思った以上にいっぱい書いてらっしゃったんですね。あそこで詩集みたいなのたくさん売ってました!」

摩耶「へぇ…私と小鳥と鈴と…って、この詩はこの人の作品だったのか」

初雪「…知ってる詩がちょくちょくあるのが面白い」

足柄「この人、日本史の教科書では見かけないくせに名前と詩は有名なのも不思議だわ」

提督「金子みすゞは現代史に生きた人だからじゃないか?現代史の文学者は教科書であまり紹介されない」

提督「それでも我々に感動を与える素晴らしい詩を数多く残した、立派な偉人であることには変わりないぞ」

足柄「なるほどねー」

朝潮「理解しました!」

山口県なのに愛宕が一緒じゃない絶望

提督「そうだ。詩の偉人の記念館にやってきたんだし、俺たちも何か詩をつくってみようじゃないか」

長門「なるほど、それはいいな」

朝潮「面白そうです!」

摩耶「でも詩かぁ…どうやってつくるんだ」

初雪「…なんだかやるの難しそう」

提督「そんなことはないぞ。詩は意外と簡単なもんだ」

提督「感じたことを言葉にする、ただそれだけで詩というものは完成されるからな」

提督「俳句や川柳を詩として見るなら、かの矢矧もあの戦争の方で沈む前に素晴らしい詩を残してるし。何かと濃厚な人生を送ってるお前たちならこれくらい簡単なことだろ」

摩耶「だからそれが難しいんだって…」

初雪「…そんな、パッと思いつくのは無理」

提督「うーん、やっぱりか」

足柄「私は思いついたわよ?聞いて頂戴」

提督「おっ?どれどれ」



生き遅れ 足柄作

私は飢えた狼。でも皆からはそう言われない。
皆は私を熟れた狼って言うの。
酷くない?これどういうことなの?
アニメでも悲惨な扱いされてるし
自分でも言うのもなんだけど
私、美人ランクでは結構上位なのよ?
はぁ
ケッコンしたいなぁ



提督「…」

足柄「…」ドヤッ

提督「お前は何を言ってるんだ」

足柄「えっ!?ダメ!?」

提督「ダメってことはないけど…」

足柄「そうなの…言葉で感動を与えるって難しいわぁ…」

摩耶「いやそういうレベルじゃないだろこれ」

初雪「…これはただの愚痴」

足柄「あれれー?」

長門「私も考えたぞ」

提督「おっ、どんなのだ?」

陸奥「一応聞いとくけど、カレーは辛れー!みたいなやつじゃないでしょうね?」

長門「ふっ、馬鹿にしないでもらいたいな。私は仮にもビッグ7の戦艦だぞ」

長門「足柄と同じ扱いをして欲しくないな」

足柄「むっかー!」

漣「でもやっぱり何か不安だなぁ…」

長門「それでは遠慮せずに聞くがいい!」

長門「私の詩を!!!」クワッ



優しい嘘 長門作

目を瞑れば思い浮かぶ
何も無い、静かな海
敵も味方も関係なく
そこで皆は穏やかに眠っていて
静かに終わりを迎えようとしているのに
私はどうしてこんなにも
涙が零れるのだろう
あの光が私たちを包む
そのとk
提督「ヤメロォ!!!」クワッ

長門「何だ!?まだ半分しか言ってないのに!」ビクッ

提督「そのネタは駄目だ!周囲を見渡してみろ!」

長門「?」

朝潮「うわぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁん!!」

漣「ひぐっ…長門さん…そのネタは反則だよ…!」

初雪「…ぐすっ」

陸奥「うう…長門…ごめん…」

摩耶「長門ぉ!どうしてこんな時だけ!本当にビッグ7なんだよぉ!!」

足柄「完敗だわ…私の詩なんか比にならないじゃない…!」

長門「!?」

提督「こういうことになるから…うおぉぉん!」オトコナキ

長門「お、おう。何か知らんが感動してくれて嬉しいぞ」

提督「なんとか泣き止んだ」

提督「あ、ちなみに言っとくけど、本当はこの金子みすゞ記念館には本格的な詩をつくるための施設があるんだけどな」

提督「それは予約が必要だったらしくて、俺はそれを知らなかったんだ」

漣「馬鹿ご主人ですね」

提督「すまない。俺の落ち度でした」

提督「詩とか絵とか、興味のある人はそこで書いてみると楽しいかもしれないぞ」

漣「ふーん」

提督「では次の観光場所へ行くとしよう」

長門「次はどこへ行くのだ?」

提督「次はおやつタイムにしようと思うぞ」

朝潮「おやつですか!楽しみです!」キラキラ

初雪「…何を食べさせてくれるの?」

提督「この金子みすゞ記念館がある場所は仙崎っていう場所でな」

提督「ここはイカがよく採れることで有名なんだ」

足柄「イカ!」

漣「と、いうことはおやつはイカ焼きか何かですね!」

提督「そうそう。最初に説明したが、長門市でイカがよく採れるってのはこの仙崎が頑張ってるからという理由なんだ」

提督「そんな名物仙崎イカを俺たちもちょっといただきに行くぞ」

陸奥「さっそく向かいましょう」

提督「都合よく見つかった店にイカ焼きを売っていた」

陸奥「タレがたっぷりかかって美味しそうじゃない」

朝潮「これが仙崎イカ…!」

摩耶「んじゃ提督、さっそく食べようぜ!」

提督「よしお前ら!食え!」

長門「いただきます!」

女達はそのピンク色の肉を口いっぱいに咥えた。
独特であるも香ばしい、イカ臭さが一帯に広がり鼻をつく。
長門がそれに酔い痴れ、ゆっくりと目を閉じる。普段は凛々しい彼女が堪らず見せたトロンとしている表情は、長門が兵士以前に一人の女であることを周囲に理解させるのに十分の顔であった。
ふと見渡せば、朝潮は垂れる液体を口の周りにベタつかせながら精一杯肉塊を頬張り
摩耶は逃すまいと言わんばかりに全体を豪快にしゃぶり
陸奥は余裕を見せつつ上品に、だが零さないよう懸命に、そしてとても美味しそうに肉塊を咥えていた。
そうだ。女達は快楽を得たいのだ。
味覚で快楽を手に入れる為に、彼女たちは好きな愉しみ方で、提督のイカを___

長門「待て。誰だ変な地の文入れたの」

提督「誤解を招くようなこと言ったの誰だ」

漣「飢えた狼です」

長門「コラァ!!」

提督「足柄!!お前ぇ!!」

足柄「ごめん!詩の練習したくてつい…!」

陸奥「まだそれ引きずってたの!?」

足柄「だって長門に負けたくないんだもん!もっと上手いの書きたいのっ!」

提督「子供か!」

初雪「イカおいしい」カジカジ

提督「おやつも喰ったし次行くぞ」

漣「うぇい」

提督「次は鯨関連の見物をする」

長門「くじら?なぜだ提督」

陸奥「長門市は鯨が観光なの?」

提督「そうだ。実は長門市は捕鯨発祥の地と言われていてな(諸説あり)」

提督「鯨に関する観光スポットがそれなりの数はあるんだぞ」

朝潮「そうだったんですか!」

初雪「…じゃあまだ大鯨を持ってない人は、長門市に来て捕鯨をすればいいね」

提督「出ないから」

徳山のだっけ?あれ、訓練所。

徳山のだっけ?あれ、訓練所。

>>543
たしか周南です
しかし、荒れるの怖くてスルーしました

足柄「鯨の観光地って具体的にどんなものなの?」

提督「まぁ代表的なのはくじら資料館だな。あそこは捕鯨の歴史について学ぶことが出来る」

摩耶「また資料館かよ!?」

提督「文句を言うな!一応観光スポットとしてあるんだから!」

提督「他の観光地は鯨墓なんてものもある。これはその名前の通り、鯨の墓だ」

朝潮「鯨にお墓を建ててあげたんですか?」

提督「そうだぞ。捕鯨の為に亡くなった鯨を祀ってるんだ」

提督「ちなみに鯨墓は長門市に限らず日本の至るとこに設置されている。日本人の捕鯨に対する意識を見ることができる、貴重な石碑だな」

初雪「…まだ大鯨でません」

提督「後はくじら祭とか色々やってるらしいが…」

提督「このままグダグダ話してもつまんないだろうから、とにかくそこらに行ってみるぞ」

長門「ならば出発だ!」

鯨墓

提督「まずは鯨のお墓から見ようか」

提督「という訳でこれが鯨墓だ」

長門「ふむ…これが鯨の墓なのか?」

陸奥「鯨の墓…って、人のお墓とほとんど一緒じゃない」

漣「本当にこれが鯨の墓なんですか?」

提督「うむ。これこそ正真正銘鯨の墓だ」

提督「長門の捕鯨において殺された鯨たちは、みんなここで祀られているんだぞ」

初雪「…人間と何も変わらないじゃん」

摩耶「面白みがねーなぁ」

足柄「私はもっと特殊なのを思っていたわ」

提督「いや、人間と同じだからこそ良いんだよ」

朝潮「?」

長門「それはどういうことなんだ?」

提督「この鯨墓によって、鯨はかつて人間と同じ祀り方をされていた、ということがわかる」

提督「つまり、昔の日本人が鯨というものをどのように考えていたかを判断する材料として非常に重要な遺跡なんだよ」

足柄「ほー、なるほどね」

提督「よく捕鯨問題が日本の課題で取り上げられているが、それを単なる食文化として処理するのではなく」

提督「こういった遺跡や歴史の事情を踏まえて解決策を探していくことが俺は大切だと思うぞ」

陸奥「確かにそうかもしれないわね」

長門「単純な考えだけで物事を決定してはならない…あの戦争からも得られる、良い教訓だな」

提督「よし。以上が鯨墓だ」

漣「え!?もう終わりなの!?」

足柄「ちょっと早すぎない!?」

提督「仕方ないだろ!だって墓だもん!他に何を見ろって言うんだ!」

長門「まぁそれはそうだな…」

提督「それに、あんまり墓の近くにいると誰かさんが怖がっちゃうし…」チラ

初雪「あー…」チラ

摩耶「おいこっち見んなクソ提督と駆逐艦」

提督「あ、でもそう言えば」

朝潮「?」

提督「この長門の鯨墓には他の鯨墓には無い特徴があるんだった」

長門「なんだと?」

陸奥「そういうのを忘れずに話してくれないと」

提督「すまんすまん」

提督「では長門の鯨墓のエピソードを話していくぞ」

ヒエー、春イベに夢中で更新忘れてました
そういやこのスレ立ててもう1年以上経つんですね。自分の更新の遅さを今更実感してます…

朝潮「お話、聞かせてください!」

提督「よしよし。今から話すから」

朝潮「はい!」

提督「長門の鯨墓には、こんな記録がある…」

提督「『その昔、長門市の捕鯨が極めて盛んだった頃のある日、一匹の大きな鯨が捕獲された』」

提督「『人々はその鯨から肉や油を採ろうと、嬉しげに鯨の腹を割いた』」

提督「『ところが、その鯨の中から小さな鯨が出てきた。つまり捕らえた鯨は、妊娠中の鯨だったのだ』」

提督「『人々はその母鯨と胎児を哀れに思い、この鯨墓を建てたそうだ…』」

提督「と、まぁざっくり話すとこんな話だな」

長門「ふぅん。なるほどな」

陸奥「この話が長門鯨墓の特徴なの?」

提督「うん。もしかしたら他の鯨墓にもあるかもしれないけど、明確に鯨の胎児を祀った記述があるのはここだけなんだ」

提督「生き物から命を奪うのは可哀想…それが子供相手ならなおさらだもんな」

長門「うむ。そういう精神がこの鯨墓からひしひしと感じ取ることが出来る」

提督「と、まぁここで一つお前に質問だが」

長門「なんだ。どうした」

提督「もし、お前たちが仮に、腹の中に胎児を持った深海棲艦と遭遇し戦って、そしてそいつを胎児もろとも殺害してしまったら…」

提督「その時、お前たちは何を思うんだ?」

足柄「…」

初雪「…?」

朝潮「…えっ…?」

摩耶「…何って」

陸奥「私…そんなの、考えたことないわよ…」

提督「奴らは皆、女性型をしている。胎児を持ってる可能性だって十分あるだろう」

足柄「うん、深海棲艦も生き物…子供くらい産むことだってあるとは思うけど…」

漣「いくら敵でも、子供を殺しちゃったら、それは悪いこと…なの?」

摩耶「…あたしたちとて女だ…子供に対する愛情くらい持ってるよ…」

長門「しかし、相手は倒すべき深海棲艦だ…その子供を相手にした時…」

長門「私は…どうすればいい…」

提督「…すまんな。何か辛気臭い空気をつくってしまって」

長門「…」

提督「だが、戦争とはこういうもんだ。自分の意思に反して、殺したくないものまで殺してしまうことがある」

提督「その時の心構えはしっかりとしておくんだな。罪の意識から自分を見失ってしまうこともあるから…」

提督「この鯨墓から、それを考えるヒントを得てくれ」

長門「…わかった」

そう言えば萩市世界遺産になる可能性がでできたので、どうせなら世界遺産になった場合はそのネタを登場させたら旬で良さそうやな(´∀`)

秋津洲の存在は幻想だったのです…E6の報酬はきっと日向だったに違いないのです…

イベント期間が終了したので更新をゆったり再開していきたいと思います。

提督「難しい話をしてすまなかったな。今度はくじら資料館へと向かうぞ」

長門「墓の次は資料館か」

提督「我々日本人がいかにして捕鯨を行ってきたかを展示している、貴重な資料館だ」

提督「さっきの話の気分ごなしに、食についての歴史を見に行こうじゃないか」

朝潮「はい!」

くじら資料館

提督「つー訳で到着だ」

摩耶「意外と小さい建物なんだな」

提督「うるさいぞ摩耶。日本一小さい資料館なんだから仕方ないだろ」

陸奥「え?そうなの?」

提督「さっきも言ったが、ここには捕鯨の様々な用具が展示されている」

提督「国指定重要有形民俗文化財に選ばれてたりもしているから、まぁのんびりと見て行ってくれ」

長門「わかった。では中へ入るとしよう」

すみません
帰ってきました

くじら資料館 建物内

摩耶「うわー、本当に小せえ資料館だな!」

提督「こらだからそういうこと大声で言わない」

陸奥「でも、資料とかしっかりとしたものを飾ってるじゃない」

初雪「…この鯨に乗ってる仏像、なんか好き」

漣「あ、こっちにモリとか針が置いてある。昔はこんなので鯨を捕まえてたんだ」

長門「我々の世界では鯨に一番近い生き物と言えば駆逐イ級だが、流石にモリでは奴を倒すことは出来んな」

足柄「こっちにあるのは…鯨から造られた工芸品ね」

陸奥「この道具たちって全部鯨なの?凄いわね」

提督「ああ。これらはかつて生きていた鯨ばかりだ」

提督「昔の日本人はこういった物をつくったりして、自然の恵みを感じ感謝していたんだ」

長門「なるほど」

朝潮「こっちにも何かありますね」

長門「これは…ん?」

陸奥「あらあら…これは…」

摩耶「うぁ…こんなのも置いてあるのか…」

漣「刺激が…強すぎる」

朝潮「あわわ…」

初雪「///」

提督「おっと、これはアレだな…」

提督「言葉を濁して言えば、鯨のペニスだ」

足柄「全然濁してないじゃない!?」

提督「長門の身長よりもでかい鯨のペニス…」

提督「どんなビッチでもどんなホモでも、こんなのを人間に挿れたら誰であろうと失神することは間違いないだろう」

摩耶「何を当たり前のこと言ってる!?」

長門「そうだ!駆逐艦だっているのだぞ!もっとオブラートに包んで発言しろ!」

提督「と、まぁくじら資料館の見所はこんなものかな」

摩耶「やっぱり大きさが小さいからな」

提督「このくじら資料館は、捕鯨の歴史を知らせることよりも、それ以上に生命への感謝を我々に確認させることを中心に活動している」

提督「他の生命あってこその人間だ。それを忘れるんじゃないぞ」

朝潮「了解です!」

長門「しかし、鯨と言えば何とも不思議なことがあるものだな」

提督「ん?どうした長門?」

長門「艦これwikiの私の記事を見て気付いたんだが」

長門「私は一度、捕鯨船の候補に挙がっていた事があるんだ」

摩耶「え?そうだったのか!?」

朝潮「長門さんが捕鯨船に!?」

長門「まぁ本当は手違いで選ばれたらしいんだがな」

長門「それでも捕鯨発祥の地の名を持つ艦が捕鯨船に選ばれたのは面白いとは思わないか?」

陸奥「それはまぁ…確かにね」

提督「不思議な運命を感じさせるな」

摩耶「面白いといえば面白いと言えんじゃねーの」

長門「だからな。もしあの時、私が沈まず日本に帰っていたとしたら…」

長門「私は、長門は、長門市でのんびり漁をして暮らしていたと思うと…そういう生き方も幸せだったのかな…なんて考えたりして…」

陸奥「…」

提督「長門…」

足柄「でも長門×大鯨のカップリングはメジャーじゃないからどっちの運命でも同じだと私は思うけど」

提督「そういう問題じゃないからな!?さっきから変なこと言って邪魔すんのやめてくれ!」

提督「さて、ここからは長門市の他の名所をさくさくと巡っていくぞ」

長門「いいだろう」

提督「まずは青海島だ。青海島は長門市北部にある島で、とにかく海が綺麗なことで有名だぞ」

提督「国の名勝・天然記念物にも指定されており、中でも島付近に浮いている大きく削れた岩が見所だ」

漣「わーい!海だー!泳ぎたーい!」

初雪「…太陽がまぶしい」

足柄「お肌が〜」

長門「よしッ!皆、これからビーチバレーというものを行うッ!!」

提督「こら勝手に遊ぼうとするな!」

提督「えーと、そんなこんなで綺麗な青海島はダイビングスポットとしても有名でな」

提督「この付近の海では天女とも言われる幻のタコ『ユウレイダコ』が度々目撃されているぞ」

摩耶「幽霊!?」ビクッ

陸奥「目が合うと魂を吸い取られる、恐ろしいタコよ」

朝潮「とってもこわいタコです!」

摩耶「やだー!死にたくないー!」

提督「こら朝潮まで摩耶をイジメんじゃねぇ!」

提督「次は元乃隅稲成神社だ」

漣「山口県に来て3度目の神社でございます」

提督「うるさい漣。この神社は100以上にも及ぶ鳥居の列と、日本海の綺麗な海が見事にマッチして、景色がとても美しい神社だぞ」

陸奥「鳥居が沢山なのは稲荷神社系の特徴なのかしら」

足柄「戦いは数だぜ提督!」

朝潮「でも海の近くにこんなにたくさん鳥居があるのは珍しいです!」

提督「さらにこの神社の特徴として、お賽銭箱が最後の大きな鳥居の上にあったりする」

提督「地元民でもこの神社のお賽銭にお金を投げ入れるのに苦戦する人はそれなりに多い」

提督「とは言え、艦娘のお前たちには遠距離の目標にお金を入れることなど容易いだろうが…」

長門「全砲門斉射!てー!」バラバラ

足柄「うにゃうにゃにゃー!」ボトボト

初雪「…入らないです」

提督「この始末☆」

提督「次の名所はこれだ。焼き鳥屋だ」

長門「ん?これは普通の屋台ではないか」

陸奥「名所なの?これが」

提督「正確に言えば名所ではないんだがな」

提督「実は長門市は、人口に対する焼き鳥屋の数が日本一だと言われているぞ」

摩耶「ああ、だから焼き鳥屋に…」

漣「長門市の味を食べに来たって訳ですね」

提督「そうだ。長門市には『ふかわ長州どり』っていう山口県独自のブランド鶏肉の生産場があって」

提督「長門市はそれを活かして、焼き鳥で町おこしをしているんだ」

足柄「へぇ、地産地消ってやつね」モグモグ

初雪「…おいひい」モグモグ

提督「艦これ内ではよく瑞鶴や加賀が焼き鳥キャラとしてネタにされるているが」

提督「実は長門も焼き鳥キャラとしてのポテンシャルを持っているんだぞ」

提督「つまり、いずれは鶏肉組で艦隊を編成するということも…」

長門「提督!直上!!」

提督「え?」

提督「どわあぁぁ!?」ドカ-ン

朝潮「あ、あれは…」

摩耶「ウチの艦載機…」

陸奥「一体どこから…」

??(七面鳥ですって!?冗談じゃないわ!!)

??(五航戦の子なんかと一緒にしないで)

提督「と、まぁ長門の観光名所はこんなものかな」

長門「なかなか悪くなかったぞ、提督」

初雪「でもやっぱり東京や京都と比べたらショボかったけどね…」

長門「…」

陸奥「初雪!しっ!」

提督「さてでは今から宿に向かうことにするぞ」

提督「今日が山口で過ごす最後の夜になるからしっかり思い出を作るようにな」

朝潮「はい!」

いつもiPodで書きこんでるのですが、なんか今日は書きこみの際に勝手にスクロールされたりSafari自体が落ちまくったり書きこみボタンに広告が突然重なってたりして上手く書きこみできません…
皆さんの方はどうでしょうか…

ついにiPodで書き込めなくなったので違うデバイスから書き込みです
広告が邪魔すぎです…

長門「宿というのはどこにあるんだ?」

提督「それは俵山温泉という場所にあるんだ」

摩耶「おっ、また温泉に入れるのか!」

初雪「やったね」

提督「もちろんだ。旅行の締めくくりはやっぱり温泉に限る」

提督「また、この俵山温泉は山口県が誇る西日本最強の温泉だと言われている」

提督「知名度や影こそは非常に薄いが、松田氏の温泉番付では横綱に選ばれてたりもするし、俵山温泉はそれなりに良い温泉だと言えるだろう」

長門「何!それは本当か!」

陸奥「それって凄いことなんじゃないの?」

提督「いやまぁあくまで一人の専門家としての意見だからな。他の専門家の格付けを見ると俵山温泉は上位から外されているが…」

提督「それでも一人に最高位で選ばれたということは凄いと言えるだろう」

足柄「そりゃあそうよね」

長門「ならば提督、さっそくその俵山温泉とやらに向かおうではないか!」

~~~

提督「確かこの辺だったと思うんだが…」

長門「提督、周りに山しかないぞ」

漣「温泉とか言いながら実はただの水溜まりでした、なんてオチだったらぶっ飛ばしますよ」

提督「そんなことはない。本当に俵山温泉は存在するはずだから!」

提督「それに、こういった秘境にあった方がなんだかわくわくするだろ?な?」

足柄「まぁそう言われればそうかもしれないけど…」

長門「とにかく到着するまでのお楽しみ、ってことか」

提督「…ん?あったぞ!」

長門「何!本当か!」

漣「どこですか!ご主人様!?」

提督「それはもちろん、お前たちの目の前に広がってるこの場所こそが俵山温泉街だ」

提督「この辺りに俵山温泉がある。旅行最後の晩はここで過ごすぞ」

長門「…」

朝潮「…」

初雪「…」

提督「ん?どうしたそのリアクションは」

陸奥「いや、あの、その…」

足柄「その広がってる景色が…あまりにも街と呼べないようなものだったから…」

摩耶「いや…絶対街じゃねーだろ…温泉なんてねーだろここ…」

提督「なんで疑心暗鬼になってるんだ。本当に本当にここに俵山温泉があるから!楽しみにしろって!」

漣「こんな廃れた集落みたいな場所に温泉があるって言う方が信用できませんよ!」

提督「廃れた集落言うなや!」

提督「大丈夫大丈夫。提督嘘つかない」

提督「ほら、そうこうしてるうちに駐車場に着いたぞ。ここから歩きだから降りるんだ」

摩耶「うわぁ、こんな人通りのない場所に降ろされちまった」

足柄「建物はそれなりにあるけど全部ボロボロで静閑としてるわね…本当に人住んでるのかしら」

朝潮「あそこに犬がいます!こっち向かって吠えてます!」

提督「やめろお前ら!これ以上ここを馬鹿にしたら俺が泣くぞ!」

提督「ったく…じゃあ案内するから付いてこい」

長門「うむ」

提督「今から向かう場所は『白猿の湯』という施設だ」

提督「そこは俵山温泉の中で一番新しく出来た入浴施設だぞ」

漣「そんなこと言って実は1970年くらいに出来ましたー、なんてオチじゃないでしょうね」

提督「ちゃうわ!2004年に完成したからまだまだピカピカだ!」

長門「…おお、確かに前方に目立つ大きな建物が見えてきたな」

初雪「不気味な猿の像もある…きっと白猿の湯に違いない…」

摩耶「本当にここに温泉があったんだな」

提督「んじゃ、入るぞ。皆ついてこーい」

長門「よし!最後に楽しませて貰うぞ!提督!」

~俵山温泉~

提督「ここから男女別行動だぞ」

提督「何度も言うが風呂は静かに入れよ。マナーだからな!」

長門「はいはいわかってる」スタスタ

朝潮「では入ります!」スタスタ

提督「だからそうやって男湯に入ろうとすんなってんの!もし一般のお客様がいたらどうすんだよ!」

足柄「大丈夫大丈夫。前もその前もいなかったから」

陸奥「流れは今、私たちに向いているのよ」

提督「そういう問題じゃねぇ!」

長門「…結局、提督との混浴は一度も叶わなかったか」

足柄「ところで、俵山温泉って凄いって言ってたけど…どれくらいなの?」

提督「ああ、俵山温泉はとにかくリウマチによく効くんだ」

提督「その歴史は長く、江戸時代からその効能は知られていたらしい」

提督「今でもリウマチの治療の為にここに来る人は多いんだ」

朝潮「凄いですね!」

足柄「ふぅん、他には?」

提督「他の効能は、神経痛、五十肩、関節痛とかだな」

提督「総評すると、俵山温泉は身体のガタつきが酷い人にオススメな温泉だと言えるだろう」

長門「なるほどそれは足柄にオススメだな」

初雪「…歳になるとそうなっちゃうからね」

足柄「何よそれ!まだ私は若いわよ!!」

提督「えーと、後は美容にも効果ありという話も聞くなぁ」

提督「俵山温泉の湯は肌を若々しく保つって能力もあるらしい」

足柄「さぁ早く入るわよ!俵山温泉に!」ダッ

摩耶「変わり身速っ」

提督「後そっち男湯!」

~女湯~

長門「よし!温泉だ!やっぱり幸いにも他の客はいないようだな!」カポーン

摩耶「しゃー入るぞおらー!いくぞー!」

陸奥「待って。湯船に入る前にまずは身体を洗いましょうよ」

足柄「身体の汗を一旦落としてから湯船に入るものよ」

長門「嫌だ!私は今すぐに入りたいぞ!」

摩耶「アタシもう入るー!」

陸奥「そう言わないの。長門、久しぶりに背中を流してあげよっか」

長門「何?陸奥が?」

陸奥「そうよ。せっかくの旅行だしたまにはいいじゃない」

足柄「摩耶も来なさい!同じ重巡同士流し合いしましょう!」

摩耶「あ、アタシ!?まぁ…いいけど…」

陸奥「じゃあ長門、ここに座って?」

長門「う…うむ…」

長門「…ん?そう言えば駆逐の子はどこだ?」


初雪「…水の掛け合いで勝負」バシャバシャ

漣「キタコレ!漣は負けないよ!」バシャバシャ

朝潮「きゃっ!お返しですっ!」バシャバシャ


長門「桃源郷が私を待っている!」ダッ

陸奥「ああ!長門!?」

~男湯~

提督「隣がすっごくうるさい…」

提督「あいつらは静かに風呂に入ることが出来んのかいな…」

提督「…」

提督「それにしても、3回も入浴シーンがあったのに一回もサービスが無かったなぁ」

提督「あんなに騒ぐ癖に、おっぱいとか身体の成長の会話とか全然してないなぁあいつら…」

提督「せっかく丸裸を見せあってるのに…全く現実は非情だ…」

提督「仕方ない…」

提督「ここは俺のセクシーシーンで画面の前の皆にサービスをし

朝潮「さっぱりしました!」ホカホカ

足柄「確かにいい湯だったわね」ホカホカ

長門「ところで提督よ…なんだか顔が腫れてるぞ?」

摩耶「」誰かに殴られたか?

提督「知らん…」ヒリヒリ

提督「さて、さっぱりしたところで今から宿に向かうぞ」

長門「寝床だな」

摩耶「こんな場所に宿なんてあるのかよ?」

提督「もちろんだ。人通りが少ないとは言えここもちゃんとした温泉街だからな」

提督「団体客を迎えてくれる宿はちゃんとある。さぁ、そこに行くから車に乗り込め」

提督「訂正…車に乗る必要はなかった。歩いて行ける距離にあった」

長門「おう…そうだったか」

陸奥「で、どこに向かってるのかしら」

提督「今向かってるのは『泉谷旅館』という宿泊施設だ」

提督「そこはいわゆるホテルのような豪華なものではないのだがな」

提督「だが、きっとお前たちを満足させるような旅館だぞ」

朝潮「楽しみです!」

提督「さて、泉屋旅館に到着したぞ」

摩耶「ん?どこだ?」

初雪「これ…よく見たら泉屋って看板がある…」

足柄「えっ?ここ?」

漣「完全に景色と同化してたからわかりませんでした…」

提督「さ、いいから入るぞ。お前たちついてこい」

提督「チェックインを済ませて…と」

提督「お待たせ。じゃあ部屋に行くとしよう」

陸奥「中は意外と広いのねぇ」

長門「外観からは想像できない大きさだな」

提督「よし、部屋に到着だ」

提督「本来はこの部屋は8人も泊まることが出来ないんだが…」

提督「例の駆逐艦作戦でなんとか許可してもらったぞ。さぁお前たち、存分にくつろげ!」

漣「ちくしょー!駆逐艦は子どもじゃないんだぞー!」

朝潮「仕方ないですよ、漣ちゃん…」

摩耶「ところで提督、晩飯はどうすんだ?」

提督「この泉屋旅館がつくってくれるぞ。山菜を中心とした健康的な晩御飯を堪能できるんだ」

長門「まさに旅館って感じだな」

陸奥「本当ね。俵山温泉自体も人里離れた場所にあるし…」

足柄「なんだか不思議な場所ね、ここ」

~~~

摩耶「いやーうまかった!」

提督「晩御飯、満足したか?」

足柄「そうね、とっても美味しい料理だったわね」

漣「2日目のフグとは違ってこれも美味しいもんですねぇ」

初雪「…野菜中心も悪くない」

提督「うむ。満足したなら俺も満足だ」

提督「…あ、そうだ長門」

長門「ん?どうした」

提督「後でちょっと俺のとこに来てくれ」ボソッ

長門「?」

長門「別に構わないが…」

長門「どうした?こんな夜に私を外に呼び出して」

提督「まぁ理由は無いが、お前と会話がしたくてな。最後くらい俺の話に付き合え」

長門「提督と二人きりでか?いいだろう。上官の話くらい、私はいくらでも相手になれる」

提督「それは頼もしい」

提督「ところで今日は…星が綺麗だな」

長門「ぶふぉっ!?」

提督「どうした長門」

長門「いや提督っ…まさかそれは俗に言う…」

長門「『愛してる』の意味か…?私に…愛してると言いたいのか!?」

提督「違う。それを言うなら『月が綺麗ですね』だろう」

長門「」

提督「なぜガッカリしている」

長門「…馬鹿者が」

提督「さて長門よ…」

長門「…なんだ」イジ

提督「一応お前に、どうして最後にこんな人里離れた場所に来たのか説明しておこうか」

長門「…?」

提督「俺がお前たちをここにつれてきたのは」

提督「一旦お前たちをお前たちの生活から引き離す必要があると思ったからなんだ」

長門「…???」

長門「どういうことだ?」

提督「ここ俵山温泉街が人通りも少なくひっそりとしているのはな。社会に疲れた者たちを受け入れることを目的としているからだ」

提督「毎日の忙しい仕事、煩い社会の喧騒…お前たちで言えばこれが深海棲艦との戦いにあたるが、これらは非常に辛いことだろう」

提督「際限なく押し寄せる脅威…それから受けるストレスは尋常じゃない筈だ」

提督「だから俺は、お前が旅行に行きたいと言い出したのは、ついにお前のストレスが限界に来たのではないかと思ってな」

長門「え、えっ?」

長門「いや…大丈夫だ…私は常に至って大丈夫なのだが」

提督「戦艦長門…連合艦隊旗艦のお前は責任の大きい立場にあり、弱音を吐くことは許されない」

提督「…だがそれは鎮守府にいるときだけの話だろう」

提督「ここにはそんな束縛は一切無い。ここにいる時くらい、吐き出してみてはどうだ」

長門「しかし…そんなこと上官にすることでは…」

提督「上官上官うるさいぞお前」

提督「俺たちは今プライベートなんだ。こういう時くらい、たまには対等の関係で話してくれてもいいだろう」

長門「…!」

長門「…私にだって、辛いことはある」

長門「だが私は皆の旗艦だ。私が弱音なんざほざけば、艦隊全ての士気に関わる」

長門「大和も武蔵も、挙げ句にはビスマルク達だって私を見ている」

長門「私が手本にならなくては…そう思うと、弱音を吐こうに吐けなくて…」

長門「そしてそれが、また辛くって…」

提督「…泣いてるのか」

長門「…」

提督「しかしよく話してくれたな。俺はお前のそれが聞きたかったんだ」

提督「お前の本音はなかなか話してくれないからな。正直俺だって心配だったんだぞ」

長門「…本当か?」

提督「心配じゃなけりゃここには来てない」

長門「…ありがとう」

提督「よし、今日は後はしっかりと疲れを癒せ。部屋に戻ればまた陸奥や皆がお前を迎えてくれる」

提督「皆、あんなんだけどちゃんと長門を慕ってるんだからな。今日くらい、好きなように振る舞っても大丈夫さ」

長門「…すまない。感謝する」

提督「だが駆逐艦を襲おうとするのだけはやめてくれ。あの振る舞いだけはいくら自由だろうと色々と危ない」

長門「善処しよう」

提督「んじゃ、戻るか」

長門「…」

長門「提督!」

提督「ん?」

長門「私からも一つ、言わせてくれ」

提督「おう、どうした」

長門「………」


長門「『月が綺麗ですね』」

提督「…」

提督「…ここで言うか…」

長門「…」

提督「俺は『死んでもいい』」

長門「!!!」

長門「提督!」バッ

提督「うおお!?」

提督「いや驚いたぞ。すまない、まさかお前が俺をちゃんとそういう目で見てるとは思わなくてな」

長門「提督…!提督!!」

提督「それに本当は『星が綺麗』の意味も知ってたなんてな…流石だな、ビッグ7」

長門「え?」

提督「え?」

長門「星が綺麗ってどういう意味だ?」

提督「『貴方は私のこの思いを気づいていないでしょう』だが」

長門「そうなのか?」

提督「…」

長門「おみくじ、大吉だったから」

提督「偶然かよ」

提督「戻ったぞ」

長門「ただいまだな、お前たち」

摩耶「おー、長門おかえり」

足柄「今までどこ行ってたの?」

長門「ちょっと、提督を話をな」

長門「ふふっ…♪」

陸奥「ご機嫌ね、長門」

漣「ご主人様となんかあったの?」

長門「ああ…まぁな!」

そして、あっという間に次の日へ…

~岩国空港~

提督「よーし皆!忘れ物ないか!?思い出は持ったか!?」

長門「大丈夫だ。何も問題は無いぞ」

漣「お土産も買ったし大丈夫!」

足柄「でも初雪ちゃんがトイレに行ったけどね」

朝潮「なかなか帰ってきませんね」

提督「大丈夫か?もうすぐ出発時刻だぞ?」

摩耶「迷子になってるとか、そんなんじゃねーよな?」

提督「やめてそういうの!」

初雪「…迷子なんて失礼。ちょっと混んでただけ」

提督「あっ初雪!帰って来たか!じゃあ急ぐぞ!」

提督「飛行機へ乗り込め!」


~機内~

朝潮「すぅ…すぅ…」

陸奥「くぅ…むにゃ…」

提督「…朝なのに皆ぐっすり寝ているな」

長門「飛行機は暇だからな。それに長旅でお疲れなんだろう」

提督「なぁ、長門」

長門「なんだ」

提督「鎮守府に戻ったら、指輪、受け取ってくれよ」

長門「何を言ってる。そんなの当然だろう」

提督「長門」

長門「提督」



「「これからも、いっしょによろしくな」」

青葉「お疲れ様です!御愛読ありがとうございます!」

鈴谷「以上を持ちまして、本編ついに完結!ですっ!」

熊野「一年以上長長とこのスレにお付き合いください、ありがとうございました!」

青葉「いやー、いつになったら終わるんだよと思ってた方もいると思いますが、やっと旅行が終わりましたねー」

鈴谷「最初の方とか見てよ。春イベとか言ってるよ。明石さんも天津風もいないあの頃じゃーん!」

熊野「ノロマな>>1のおかげでこのスレも完全に浮いた存在になっていましたからね…要反省!ですわ!」

青葉「さてそろそろこちらの最終回も張り切っていきましょう!」

鈴谷「青葉、最終回のテーマは?」

青葉「最終回はですね、これまでのスレで書き込まれていたこととかに反応していきたいと思います!」

熊野「まぁ確かに…回t…アレとか説明した方がいいような書き込みがありましたからね」

青葉「はい!そういったことにどんどんお答えしていこうと思います!」

青葉「えーと、まずは>>542から答えていきます」

鈴谷「いきなり行くんだ」

青葉「やっぱり最優先で向き合うべきなので。荒れるの覚悟でいきます」

青葉「回天基地は山口県周南市大津島にある、例の特攻兵器の運用の訓練および出撃をしていた場所です」

青葉「70年前にはこの場所から数多くの若者が戦争のために犠牲になっていきました」

青葉「…あまり直視したくない事実ですね」

鈴谷「最近は外国の人とか特攻は偉大だとか言ってるよね」

青葉「はい。ですが私はそれは気に入りません」

青葉「いくらそれが勇気ある行動だとしても、命を無駄に削る戦法には変わりないのですから」

青葉「それにこんな戦法をとらなくてはならないほど本土に無差別爆撃を行った者からそんなこと、言ってほしくないです」

青葉「むしろ否定してください。二度とこんなことが起こらないよう、戦争に勝ったならそれくらいのケジメはつけてください」

青葉「回天の開発者は自ら率先して、二度と後に続く者たちが回天で出撃しないように願いながら特攻したんですよ?」

青葉「そんな彼らを踏みにじる気なんですか?」

こんな時間に回答編やっても読者少なくて盛り上がんないんじゃね?
もっと人が居る時間にワイワイガヤガヤやったほうが良さそう

青葉「失礼しました。少し言い過ぎたかもしれません」

青葉「でも、私は二度とあんなことが起こらないようにこれからも願い続けます」

青葉「そう言えばこの夏、戦後70周年ということで回天基地で追悼式が行われました」

青葉「せめて、若くして散った彼らが安らかに眠れるように、合掌してください」

鈴谷「…合掌」

熊野「合掌…」

青葉「哀悼を捧げます」

>>621
確かに…明日の朝くらいまで待ってみます
皆さんの意見、聞かせてください

それでは最後の更新いきます

青葉「…ところで、そんな回天基地のある周南市ですが」

熊野「…はい」

青葉「今年8月末まで、周南徳山動物園というとこで『ゴキブリ展』というものをやってるので、よかったら夏休みの思い出作りに行ってみてください」

鈴谷「あれ!?重い話の後にそれ言わなくてよくない!?」

熊野「しかもよりによってゴキブリですって!気持ち悪いですわぁ!」

青葉「まぁ…ネタとしては最高ですので。現在、山口では世界中のゴキブリを閲覧することができますね」

鈴谷「そういうのも言わなくていいから!」

青葉「さぁこの調子で他のも見ていきましょう!」

青葉「次は>>522を見たいと思います」

熊野「山口なのに愛宕がいない、とおっしゃってますわね」

鈴谷「山口に愛宕…ということは愛宕山とかそういうのがあるの?」

青葉「そうですね。実はもう今は無くなっているのですが」

青葉「愛宕山というのは現在は住宅地になっている岩国市の山で、標高120メートルの小さな山でした」

青葉「まぁ愛宕山といえば大半の人が京都の方を思い浮かべるでしょうのでこれは問題ないでしょう」

鈴谷「兵庫の方にも温泉で有名な愛宕山もあるしー」

熊野「日本は意外と愛宕で埋め尽くされているのですね」

青葉「そういえば愛宕さんと言えば」

鈴谷「?」

青葉「愛宕さんのトレードマークはあの大きな胸ですよね」

鈴谷「あー、そうだよねー。あの人私や青葉よりもよっぽど大きいもんね」

熊野「くっ」

青葉「実は山口県光市は日本で『おっぱい都市宣言』をした唯一の町だってこと、ご存知ですか?」

鈴谷「はぁっ!?!?」

熊野「なんですって!?」ガタッ

青葉「なんと山口県光市では、おっぱいフェスティバルたるものを行ったり、おっぱいをモチーフにしたゆるキャラがいたりなど色々とおっぱいを推した活動を行っているのです!」

鈴谷「うええええええええええ!?」

熊野「まぁ…!」

鈴谷「そ、そ、そ、それって、やって大丈夫なの?」

鈴谷「色々危ないような気がするんだけど、おっぱい都市って、その…あの…」プシュー

青葉「いや、何を想像してるのかわかりませんけどね鈴谷さん」

青葉「おっぱい推し、というのはあくまで育児の為のものなんですよ?」

鈴谷「えっ」

熊野「えっっ?」

鈴谷「あ…じゃあそんないかがわしいものとかじゃなくて…」

熊野「巨乳を量産するための画期的なシステムとかでもなくて…」

青葉「当たり前ですよ!?そんなことしたら光市は解体されちゃいます!」

青葉「えーと、おっぱい都市というのは本来は母親の育児を応援するために作られたものなんです」

青葉「おっぱいは母親の象徴みたいなものですからね。だからこんな名前にしちゃったのです」

青葉「まぁGoogleとかでおっぱい都市宣言を検索してみてください。健全だとわかるので」

鈴谷「よかったぁ…」

熊野「残念ですわ…」

青葉「あ、そうだ。光市は『おっぱい体操』というものも作ったのですが」

青葉「こちらはおっぱいを大きくさせる効果があるそうですので、もしよかったら是非…」

熊野「御享受ください!!!」バッ

鈴谷「うわぁ!?」

青葉「どんどん行きます!次は>>561です!」

鈴谷「萩が世界遺産候補になったって話だね」

熊野「萩往還…赤城さんどうなったんでしょう」

青葉「このスレでも紹介した歴史溢れる街として名高い萩でしたが、なんと!」

青葉「見事、明治日本の産業遺産として世界遺産に登録されちゃいました!!」

鈴谷「おお!おめでとう!」

熊野「おめでとうですわ!」

青葉「これで晴れて、>>1の大好きな松下村塾も世界に名だたる遺産として認められた訳です!」

青葉「という訳で是非!山口県に来た暁には松下村塾に来てみてくださいね!(ステマ)」

青葉「…ざっとこんなものでしょうか?」

鈴谷「うん、伝えたいことは全部伝えたし」

熊野「そろそろお別れの時間でしょうか」

青葉「じゃあ別れの挨拶、やっちゃいましょう!」

鈴谷「うん!」

青葉「改めまして、読んでくださった皆さん。1年と4ヶ月、ずっとありがとうございました」

鈴谷「読み直してて色々とおかしいとこもたくさんあったけど、温かい目で見守ってくださって本当にありがとう!」

熊野「ただの長門と長門市というギャグだけで書き始めたものだったのに、感謝で一杯ですわ」

青葉「それでは!皆さん!」

鈴谷「『長門「山口県だ」』、ついに完結!」

熊野「またどこかでお会いしましょう!」

青葉「さようならー!」


艦ッ!

おしまいです!
時間かかってしまって申し訳ありません
皆さんも是非地元の名前を持つ艦娘を主役にした旅行スレを書いてみてはいかがでしょうか

では、さよならです!

このSSまとめへのコメント

1 :  山口県民   2014年04月03日 (木) 21:53:11   ID: GrDw2wkY

周防大島行けば陸奥の記念館もあるから山口は長門型戦艦に縁が深いよね。

2 :  SS好きの774さん   2014年05月18日 (日) 20:36:20   ID: 7qFrRT-G

宇部市.....常磐公園........うっ頭が.......

3 :  SS好きの774さん   2014年10月20日 (月) 14:57:03   ID: QoCqgzU8

一休…だと((((;゜Д゜)))
アニオタとしてエヴァファンとして一度は訪れてみたいが…まず山口県に余り興味が…湧かない

4 :  SS好きの774さん   2014年10月26日 (日) 13:34:42   ID: 1iKrbP0i

俺の地元が出てる(* ̄∇ ̄)ノ

5 :  SS好きの774さん   2015年03月08日 (日) 23:07:38   ID: 8xUbaZ8f

周南にも一応(大事)名所はあるぞ

回天記念館とか(鬱)

6 :  SS好きの774さん   2015年03月12日 (木) 22:37:31   ID: L-R7uIh_

そういえば回天記念館には伊58の模型有ったな。

7 :  SS好きの774さん   2015年05月15日 (金) 12:44:03   ID: HVNDyKo1

山口県萩市の市民の皆様…松下村塾の世界遺産登録の可能性おめでとう

8 :  SS好きの774さん   2015年05月16日 (土) 22:47:21   ID: y9QffTPz

周南の大津島には回天の訓練所があったんだよね。隣のK市民だったけど知らなかったよ。

9 :  SS好きの774さん   2015年08月04日 (火) 00:55:07   ID: a4wkAANB

ドーモ1=サン
松山市民です(≧▽≦)

フジグループをご愛顧頂きありがとうございます(≧▽≦)

10 :  SS好きの774さん   2015年08月04日 (火) 01:04:12   ID: a4wkAANB

山口県が何もないだと…首相経験者を何人も排出しているだろ(´;ω;`)

愛媛県は…秋山好古・真之、正岡子規、高浜虚子、山路一善、水野裕徳、関行男しか居ないんだぜ(日清・日露~大東亜戦争及び愛媛を代表する俳人)

11 :  SS好きの774さん   2015年08月04日 (火) 01:09:35   ID: a4wkAANB

>>>10です
追記
秋山好古・真之、山路一善、水野裕徳、関行男は帝国海軍、陸軍の軍人

12 :  SS好きの774さん   2015年08月06日 (木) 01:57:03   ID: 3PdljzvG

台湾は植民地じゃないんですが....
朝鮮満州は保護国なんですが....

13 :  SS好きの774さん   2015年08月10日 (月) 01:35:14   ID: fd0zRA5P

左翼思想にまみれた作品

14 :  SS好きの774さん   2015年09月27日 (日) 21:35:28   ID: AU21Gq8A

長門も獺祭なら飲めるかもしれないから、是非呑んで欲しかったのに。

15 :  SS好きの774さん   2015年12月13日 (日) 23:19:12   ID: nNhQT8K6

※13
穏和的な考えをなんでもかんでも左翼とか言うんじゃないよ。

16 :  SS好きの774さん   2015年12月15日 (火) 19:29:39   ID: _Q0RJNnw

間違った知識は擁護できんわなぁ

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