鳴「転校生が変態紳士だった」(200)

・Another
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風見「僕達、夜見山北中学校3年3組の生徒です。僕は風見

恒一「両隣の女の子は?」

桜木「始めまして、桜木ゆかりです」

恒一「ゆかりちゃんか。よろしく」

桜木「は、はい」

赤沢「赤沢泉美」

恒一「いいね、そのつっけんどんな感じ。ゾクゾクするよ。ところで、何か?」

風見「今日はこの3人が、3組の代表としてお見舞いに来ました」

恒一「ありがとう、嬉しいよ」

桜木「えっと、急な病気って聞いたのでお見舞いに来たんです」

恒一「大した病気じゃないんだけどね」

桜木「これ、どうぞ」

恒一「わぁ、綺麗な花。”花びら”って美しい日本語だよね」

桜木「都内の私立校に通ってたんですよね。どうして引越しを?」

恒一「うん、一身上の都合でちょっとね」

風見「榊原くん、これを」

恒一「封筒?」

風見「1学期の授業の内容をコピーしたものだよ」

恒一「ありがとう、えーと」

風見「風見です」

赤沢「恒一くんって呼んでもいい?」

恒一「もちろん。じゃあ僕も泉美ちゃんって呼ぶよ」

赤沢「・・・よろしく」

恒一「よろしく。握手握手」


2分後


赤沢「離してもらっていいかしら」

恒一「なんで?」

―エレベーター―

恒一「あ、着信履歴」

鳴「・・・」

恒一「・・・わっ、女の子」

鳴「・・・」

恒一「ごめんね。僕としたことが気付かないとは」

鳴「・・・」

恒一「君も夜見北の生徒?」

鳴「うん」

恒一「ますます登校が待ち遠しいよ。地下2階に用事?」

鳴「そう。待ってるの」

恒一(地下2階・・・ここって・・・)

鳴「・・・」 スタスタ


恒一(・・・ボイラー室・・・)

陽介『恒一、体調はどうだ?」

恒一「おはよう父さん。朝からビンビン元気だよ。どうしたの?」

陽介『今日から学校だろ?元気づけてやろうと思ったけど必要なさそうだな』

恒一「とても楽しみだよ。まだ5時半だけどもう学校行こうかな」

陽介『そうか。そりゃ良かった。暑いぞインドはぁ~』

恒一「僕も興奮して体が熱いよ」



レー「オハヨー ゲンキダシテ」

恒一「これ以上出しちゃったら前屈みになっちゃうよ」



玲子「じゃあ最後、夜見北での心構えその5」

恒一「はい」

玲子「学校にいる時は私をエッチな目でジロジロ見ないこと」

恒一「最善を尽くします」

恒一「始めまして。榊原恒一です。このクラスに編入できて幸せを感じています」

久保寺「みんなで仲良くやっていきましょう」

恒一「ゆかりちゃん見っけ。久しぶり」

桜木「あ、お久しぶりです」

恒一「えーと、泉美ちゃんはいないのか。この前二人がお見舞いに来てくれたんだよ」

風見(僕もいたんだけどな・・・)



恒一(前後はともかく左まで男子だなんて・・・)

和久井「僕は喘息もちなんだ。榊原君のつらさ、わかるよ」

恒一「そうなんだ。同志だね。よろしく同志」

望月「よろしく、榊原くん」

恒一(うわぁ、女々しい)

金木「よろしくね、榊原くん」

恒一「よろしくね!杏子ちゃんか、素敵な名前だ」

王子「よろしく」

恒一「ん」

王子「病気の方はもういいの?」

恒一「ん」

猿田「東京とこっちではどうかのう?」

恒一「変わらないよ」

綾野「でもいいなー東京。夜見山みたいな田舎ってぱっとしないしさ」

恒一「そんなことないよ。夜見山には彩ちゃんがいるじゃない」

王子「お父さんが大学教授なんだってね」

恒一「ん」

勅使河原「どうせなら三神先生が担任だったらよかったのになぁ。美人だし」

恒一「同感だよ」

水野「俺の姉ちゃん、看護婦なんだぜ」

恒一「ああ、早苗ちゃんの弟なんだ。よろしくね」


恒一(勅使河原くんと水野くんは仲良くしておこう)

桜木「榊原くんはどういう人がタイプなのかな?」

恒一「かわいい女の子は分け隔てなく大好きだよ。だからゆかりちゃんも好き」

桜木「あ、あうぅ・・・」

王子「そういえば、お父さんってどこに行ってるの?」

恒一「インド」

勅使河原「インドかぁ。俺は暑いの苦手だから無理だなぁ」

猿田「テッシーは研究でインドなんか行けんぞな」

勅使河原「へいへい、行けませんよー」

恒一(杏子ちゃんと亜紀ちゃんが・・・そういう関係だったんだ)

風見「どうしたの?何か不安でも」

恒一「ううん、そういえば泉美ちゃんは休み?」

風見「うん、休みみたい」

恒一「汚いものを見るようなあの冷たい目で出迎えられたかったのに」

桜木「榊原くん、高翌林くん知らない?」

恒一「知らないけど、さっき誰か保健室行ったみたいだよ」

桜木「そう・・・」

恒一「ゆかりちゃんも体育は見学?女の子は月1で大変だね」

桜木「いえ、このまえ足をくじいちゃって」

恒一「そっか。体は大事にね」

桜木「う、うん・・・昼休み、勅使河原くんと風見くんに、何か聞きました?」

恒一「女子の名簿と座席表を貰ったぐらい」

桜木「そっか・・・ちゃんとしないと赤沢さんに叱られちゃう」

恒一「泉美ちゃんがゆかりちゃんを?事情はわからないけど画になるね」

桜木「何か言いました?」

恒一「なんでもないよ。ところで鳴ちゃんは?」

桜木「・・・え?」

恒一「ほら、黒髪ショートの。さっき写真付きの名簿見て名前知ったんだ」

桜木「え・・・え?」

恒一「昼休みも教室にいなかったし」

桜木「っ・・・」

恒一「雨が降りそうだね。・・・あっ、屋上に鳴ちゃん見っけ」

桜木「あっ、榊原くん!」

恒一「まだ鳴ちゃんの情報仕入れてないんだ。ちょっと行ってくる」

桜木「ちょ、ちょっと!」



恒一「おーい鳴ちゃーん。体育見学だったんだね」

鳴「・・・」

恒一「あの日?」

鳴「違う」

恒一「いいの?屋上にいても。風が吹いたらパンツ見えちゃうよ」

鳴「そういうあなたは、大丈夫なの?」

恒一「僕のパンツは誰かに見られたところで得はしても損はしないよ」

鳴「違う」

恒一「絵、描いてたの?僕もたまに描くんだ」

鳴「・・・」

恒一「そういえば、病院のボイラー室になんの用事が?」

鳴「そういう質問攻め、嫌い」

恒一「ああ、ごめんね」

鳴「・・・私には近寄らないほうがいい。話すのもやめたほうがいい」

恒一「えぇー、まだ何も聞いてないのに」

鳴「じゃあね、さ・か・き・ば・ら・くん」

恒一「恒一くんでいいよ?」

―翌日―

恒一「鳴ちゃん、おはよう」

鳴「・・・大丈夫なの?これ」

恒一「わっ、突風だ!鳴ちゃん以外のスカート人物は・・・いないか」

鳴「気をつけて、もう始まってるかもしれない」

恒一「あの日が?」

鳴「・・・違う」


恒一「君、美術部なんだ」

望月「うん、今年から活動再開なんだ」

恒一「やっぱりダビデ像とか好き?」

望月「うーん、彫刻よりも油絵のほうが好きかな」

恒一「油絵か。マニアックだね」

望月「そうかな?割とポピュラーだと思うよ?」

恒一「美術は奥が深いなぁ」

恒一「ムンクの叫びって、あんなに大きく口を開けてたら色々な想像しちゃうよね」

望月「例えば?」

恒一「こう、全てを飲み込もうとしているというか」

望月「新しい捉え方だね」

勅使河原「よっ、サーカキ!三神先生の話か?俺も混ぜろよ」

恒一「今日の下着は黒のはずだよ。朝チラッと見たんだ」

勅使河原「マジかよ!くぅ~!大人ー!」

望月「そ、そういう話はよくないよう」

恒一(そっか、望月くんは女性が苦手なんだな。だから道を逸れてしまって・・・)

勅使河原「三神先生が副担任なのが唯一の救いだぜ、呪われた3組なんだからそれくらいの役得は」

恒一「呪われた?」

勅使河原「あっ・・・」

望月「っ・・・」

恒一(女子が皆裸Yシャツになっちゃうとか)

恒一「あっ、鳴ちゃんだ。おーい」 ガラッ

勅使河原「お、おい!それは・・・!」

恒一「やあ、朝と寸分違わぬかわいさだね」

鳴「・・・いいの?止めなかった?あの二人」

恒一「僕達の間にあの二人は関係ないよ」

鳴「・・・そう」

恒一「この絵は・・・裸?鳴ちゃんの裸?」

鳴「最後に大きな翼をつけるの」

恒一「天使だね。鳴ちゃんは天使だよ。ところで昨日は雨の中で何してたの?」

鳴「雨は嫌いじゃないから。特に真冬の、雪に変わる寸前の雨が」

恒一「僕は夏のにわか雨かな。そういった日は必ず夏服の女子の後を歩くんだ」

千曳「ん、見慣れない顔だね。さあ授業だ。行った行った」

恒一「はーい。鳴ちゃん、また今度」

玲子「あぁ、千曳先生ね。女子には気味悪がられてたっけ。何か言われた?」

恒一「いいえ、特に」

玲子「そういえば、部活は入らないの?」

恒一「美術部に入らないかって誘いはありました」

玲子「絵、好きなの?」

恒一「うーん、必要に迫られて描くときはたまに。自給自足って呼んでるんですけど」

玲子「意外な特技ね」

恒一「ところで玲子さん、いいオヘソしてますね」

玲子「あらありがとう。スタイルには気を使ってるからね」

恒一「玲子さんをモデルに彫刻を彫りたいです。割と本気です」

玲子「そういうのは美術の学校を出てからにしなさい」

恒一「早苗ちゃーん」

早苗「榊原くんじゃない。どうしたの?」

恒一「早苗ちゃんの笑顔を見ないと眠れなくって」

早苗「はいはい。年上なんだからさん付けくらいしなさいよ」

恒一「でも早苗ちゃんの笑顔を見たら興奮して眠れなくなるんです」

早苗「あら、じゃあどうするの?」

恒一「そんなの決まってるじゃないですか」


恒一「夜の病院ってなんとも言えない背徳感がありますね」

早苗「で?最近は何読んでるの?」

恒一「最近菅野美穂の写真集を3冊買いました」

早苗「そっちじゃなーくーて」

恒一「早苗ちゃん、こういう事言っても全く動じないから面白くないです。でもそういう所も好きですよ」

早苗「はいはいありがと」

恒一「いいなぁこの突き放される感」

久保寺「俳句というのは、5・7・5の17音で作られた定型詩で・・・」

恒一(ヒマだなぁ。杏子ちゃんのたてる物音に全神経を集中させよう)

久保寺「俳句を成立させる点で重要なのは・・・」

恒一(・・・鳴ちゃん、いないなぁ)

赤沢「・・・・・・」

恒一(泉美ちゃんの鋭い視線・・・滾るなぁ)


桜木「榊原くん、お帰りですか?」

恒一「あ、ゆかりんいずみん。そのつもりだったけど」

赤沢「ちょっと、いい?」

恒一「もちろん、この後の予定全部すっぽかしてでも行くよ」

桜木「そこまでお時間はかからないかと」

恒一「まあ予定ないんだけどね」

赤沢「どこかで、会った気がするのよ」

恒一「僕と?僕には記憶がないなぁ。人違いじゃ?」

赤沢「それも含めてね」

恒一「泉美ちゃんに会ってたら忘れるわけがないよ」

赤沢「・・・イラつくのよ」

恒一「ありがとうございます」

赤沢「いや、あなたにじゃなくて、思い出せない自分の不甲斐なさにね」

桜木(ありがとう?)

恒一「何かの事象によって記憶が改竄されてるとか?」

赤沢「まさか、マンガでもあるまいし。対策係としてもしっかりしないと」

恒一「対策係って何をするの?」

赤沢「簡単に言えば、クラスを守るために立案して、執行する係」

恒一「女子だったら僕一人でも守れるけどな」

赤沢「恒一くんにはクラスのことを知ってもらわないと」

桜木「そ、それが・・・」

恒一(む、鳴ちゃんが8時方向に)

赤沢「・・・なんですって!1日休んだだけでこのザマか・・・!」

桜木「ごめんなさい・・・」

恒一「二人のやりとりも耳が幸せなんだけど、用事思い出したから帰るね。二人とも、また明日」

赤沢「あ、ちょっと!」

望月(・・・僕もいたんだけどな・・・)



恒一(鳴ちゃんの尾行を続ける)

鳴「・・・」

恒一(・・・)

鳴「・・・」

恒一(・・・見失ってしまった)

恒一「えーと、たしかこの辺・・・ん?”夜見のたそがれのうつろなる蒼き瞳の” なんだろう」


ヴィイイイイ・・・ヴィイイイイ・・・


早苗『恒一くん?この前の件だけど』

恒一「何かわかったんですか?」

早苗『亡くなったの、中学生の女の子だって』

恒一「!・・・その子の・・・名前は?」

早苗『えーとね、”みさき”だか”まさき”だか』

恒一「・・・!」

早苗『また聞きなんだけど、どうやら一人っ子だったらしくて、親御さんが取り乱して大変だったみたい』



恒一「まさか、鳴ちゃんが・・・冥ちゃんに・・・?」

天根「いらっしゃい。おや、若い男の子とは珍しい」

恒一「こんにちはおばあちゃん。ここはお店なんですか?」

天根「中学生かい?」

恒一「美しいお声です。さぞかし昔はお綺麗だったんでしょうね」

天根「半額でいいよ」

恒一「ありがとうございます。わあ、高そうな女の子の人形だ。僕の知ってる人形とはわけが違う」

チラッ

恒一「ちゃんと履いてるんだ」


”↓こちらにもどうぞ”


恒一「鳴ちゃんそっくりな人形だ。おっぱいタッチ!硬い」

鳴「・・・なぜ、あなたがここにいるの?」

恒一「わぁ、鳴ちゃんが喋った!おっぱいタッ」

鳴「させない」 パシッ

恒一「早い!?」

鳴「この人形、私に似てるって思った?」

恒一「うん、かわいいなって」

鳴「・・・似てるけど、半分だけ。もしくは半分以下」

恒一「おっぱいは同じくらいだよね」

鳴「どうしてあなたがここにいるの?」

恒一「学校からつけてきたんだ」

鳴「何故?」

恒一「色々話したいから。で、ここが気になって」

鳴「そう、榊原くんはこの人形、気味が悪いって思わなかったんだ」

恒一「うん、世界は広いからね。様々な趣向があるって事は理解してる」

鳴「・・・見せてあげようか」

恒一「はい!」

鳴「・・・見せてあげようか。この眼帯の下」

恒一「・・・はぁい」

鳴「・・・」 スッ

恒一「オッドアイだ」

鳴「私の左目は人形の目なの。見えなくていいものが見えてしまうから普段は隠してる」

恒一「羨ましいなぁ」

鳴「気分が悪い?」

恒一「ううん、かわいいと思うよ」

鳴「人形はね、うつろなの。心も体も」

恒一「うつろな穴の開いた人形ならよく知ってるけど」

鳴「ここにいると、何かが吸い取られるような感じがしない?内側から」

恒一「人形に吸い取られる・・・いい表現だね」

鳴「行きましょう。上のほうがここよりましだから」

恒一「オッドアイ、人形・・・語尾に『ですぅ』とか付けると似合いそうだね」

鳴「何の話?」

恒一「わからないけど、なんとなくそんな気がしたんだ」

恒一「攻防Mっていうのは?」

鳴「工房m。霧果って人の工房」

恒一「地下の人形も?」

鳴「多分。全部霧果の作品」

恒一「なんであの大きい人形は鳴ちゃんのリアルドールなの?」

鳴「知らない」

恒一「鳴ちゃんって、兄弟はいる?」

鳴「いない」

恒一「やっぱり・・・!」

鳴「他にも聞きたいことあるんでしょ?」

恒一「うーんと、誕生日、血液型、足のサイズ、お風呂で最初に洗う場所、それと・・・」

鳴「・・・」

恒一「どうしたの?冥ちゃん」




鳴「・・・この話にはね、まだ続きがあるの」

恒一「・・・!」

ヴィイイイイ・・・ヴィイイイイ・・・

恒一「もしもし、ちょっと取り込み中だったんだ。もうすぐ帰るよ。じゃ」

鳴「嫌な機械。どこにいても繋がっちゃうのね」

恒一「僕は冥ちゃんとずっと繋がっていたいな」

鳴「・・・その名前の呼び方も嫌」

恒一「そうだよね。ごめんね鳴ちゃん」

鳴「変わってない」

恒一「変わったよ?」

天根「閉店の時間だよ。今日はもうお帰り」

恒一「はい。じゃあね鳴ちゃん。また明日!」

鳴「はぁ・・・」

勅使河原「はーぁ、テストの後は進路指導かぁ」

風見「大丈夫、君にも行ける高校はあるよ」

勅使河原「励ましてんのかそれ。お前はどこ行くんだよ?」

風見「・・・西高」

勅使河原「お前そんな成績良かったっけ?」

恒一「西高ってゆかりちゃんが行こうとしてる所だよね?」

風見「なっ!」

勅使河原「ははぁーんなるほど。頑張れよ~」

風見「さ、榊原くん!なんでそれを・・・!」

恒一「この前皆に聞いたんだ」

勅使河原「で、サカキはどうするんだ?東京に戻るのか?」

恒一「かわいい娘の多い所にしようかなって。ゆかりちゃんがいるなら西高もいいな」

風見「・・・!」

恒一「雨か。男が濡れても画にならないよ」

桜木「榊原くん、傘ないんですか?」

恒一「うん、大丈夫かなって思ったんだけど」

桜木「よかったら、一緒に帰りませんか?私の家、榊原君の家の先だし」

恒一「いいの?」

桜木「ええ、構いませんよ?」

恒一「相合傘だ」

桜木「そ、そういう意味じゃ・・・」

恒一「さあ帰ろうか。善は急げだよ」

桜木「はい・・・」


風見「・・・」 ギリギリギリ・・・

桜木「さっきから俯いてばかりですけど・・・やっぱ私じゃ退屈ですか?」

恒一「水溜りってね、上を通った時にパンツが映っちゃうんだよ」

桜木「えっ?や、やめてくださいよぅ」

恒一「でも天気が悪いから見えないや。残念」

桜木「もう・・・」

恒一「でもそのうち、絶対にパンチラゲットするからね」

桜木「えっ!そ、そんな、困りますぅ」

恒一「大丈夫、画像を灰色の脳細胞に刻み込み、映像を心のアルバムに保存するだけだから」

桜木「うぅ・・・榊原くんって、その・・・結構エッチなんですね」

恒一「そうだよ」

桜木「あはは、素直に認めちゃうんですか」

恒一「否定してバレるくらいなら、素直にひけらかした方がいいって父さんが」


風見「・・・」 ギリギリギリ・・・

―翌日―


恒一「あ!鳴ちゃんon the rooftop froor! おーい!」

風見「ッ!」


恒一「おーい、鳴ちゃ

ヴィイイイイ・・・ヴィイイイイ・・・

恒一「んもう、もしもし」

勅使河原『サカキ!大丈夫かお前!』

恒一「なにさ、藪から棒に」

勅使河原『やばいんだよそれ!赤沢が今にも爆発しそうだし!』

恒一「いいことじゃないか」

勅使河原『いいかサカキ、いないものの相手はよせ・・・』 プツッ


恒一「? まあいいや。鳴ちゃーん?いなくなった・・・」

早苗『亡くなった子、藤岡未咲っていうそうよ』

恒一「なんだ、そうだったんですか」

早苗『なんでその子の事、知りたがってたの?』

恒一「もしかしたら僕の見ている鳴ちゃんは鳴ちゃんじゃなくて冥ちゃんなのかなって」

早苗『え?』

恒一「でも鳴ちゃんは冥ちゃんじゃなくて鳴ちゃんで安心しました」

早苗『どういう意味?』

恒一「そのうち説明します」

早苗『そういえば試験勉強中?』

恒一「はい、でも息ヌきばかりになっちゃって」

早苗『うちの弟もそんな感じなのよねぇ』

恒一「男なら仕方ないですよ」

1限目 理科


恒一「むにゃむにゃ・・・zzz」

勅使河原(開始5分で寝やがった・・・)

恒一「あはは、ゆかりちゃん、結構おっπR^2・・・」

桜木「っ」

恒一「地球の質量M、ゆかりちゃんのおっぱいの質量をm、万有引力指数をG、物体間距離をrとした際・・・」

勅使河原(なげぇ寝言だな)

風見(・・・)

恒一「引力F=G(Mm/r^2)・・・」

風見(・・・くそ、わからない)

恒一「なお万有引力指数は6.67259*10^-11m^3・s^-2・kg^-1とする・・・zzz」

風見(帰ったら調べてみよう)

桜木(集中できないよぅ)

2限目 国語


恒一「むにゃむにゃ・・・zzz」

望月(今回は7分だ)

恒一「ゆかりちゃん、いいにくづきだね。でも皆の前ではかくしがまえ・・・」

勅使河原(部首か)

桜木(ひぃぃ、夢の中で私なにやってるの)

綾野(ぷくく・・・!)

風見(くそ!消えろ煩悩!)

恒一「ゆかりちゃん、ちょっと、こんなところで・・・ハッ!」

和久井「っ」 ビクッ

恒一「なんだ、夢か・・・」 

桜木(助かった・・・)

風見(気になる・・・!続きが気になる・・・!)

恒一「あ、やっぱり鳴ちゃんいた。早いんだね」

鳴「恒一くんも早いのね」

恒一「もう一回言って」

鳴「? 恒一くんも早いのね」

恒一「ありがとう。 ・・・あの日天使になった人って、藤岡未咲っていうんだね」

鳴「未咲は私の従姉妹なの。・・・昔はもっと繋がってた」

恒一「ごめん」

鳴「何が?」

恒一「この前、”天使の鳴ちゃん”なんて言っちゃって・・・知らなかったから」

鳴「いい。気にしてないから」

恒一「でも、鳴ちゃんが冥ちゃんじゃなくてよかった」

鳴「どういうこと?」

恒一「そういえば、なんで鳴ちゃんはクラスの皆、まして先生にまで?」

鳴「・・・”いないもの”だから」

恒一「”いないもの”・・・って何だっけ」

鳴「この前話したじゃない」

恒一「あの時、鳴ちゃんの足しか見てなかったから」

鳴「かくかくしかじか」

恒一「そんな、見えてるのは僕だけ?」

鳴「・・・」

恒一「鳴ちゃんを独り占めだ・・・!」

鳴「・・・」

恒一「あ、ゆかりちゃんも出てきた」


桜木「は、はい、すぐ行きます!」

恒一「ゆかりちゃん、どうしたの?」

桜木「榊原く・・・あっ!」 

恒一「何で逃げるのー?」 

桜木「逃げてるわけじゃありません!急いでるんです!って何でついてくるんですか!」

恒一「もしかして、この前の帰り道のこと怒ってる?ごめん」

桜木「べ、別に怒ってません!」

恒一「まさか・・・昨日のベッドでの話?ごめん!まさかバレてるなんて・・・」

桜木「それ本当に何の話ですか!」

恒一「えーと、じゃあ先週のトイレで、いや、その前のお風呂での話・・・?」

桜木「ごめんなさい!話はまた今度にしてください!」

恒一「あっ!パンツ見えた!」

桜木「えっ、嘘!見え・・・きゃっ!」 

恒一「危ないっ!」 ガシッ



恒一「”廊下は走るな”だよ?クラス委員こそルールを守らなきゃ」

桜木「た、助かった・・・!」

恒一「階段で転んだら丸出しになっちゃうよ。悪くはないけど風情が足りないかな」

桜木「・・・見たんですか?」

恒一「しっかりと」

桜木「は、恥ずかしい・・・」

恒一「ううん、ゆかりちゃんにお似合いだよ」

桜木「うぅ、誰にも言わないでください・・・」

恒一「何かわからないけど急いでるんでしょ?行かなきゃ」

桜木「あっ、そうだった!榊原くんありがとう!」

恒一「焦ったらダメだよ。慎重にね」

桜木「はいっ!」


鳴「おー」 

恒一「記念すべき初パンチラがゆかりちゃんとは幸先がいい」

早苗「恒一くん、胸の具合はどう?」

恒一「あ、早苗ちゃん。なんか急にドキドキしてきました」

早苗「大丈夫そうね」

恒一「ああ、ゾクゾクします」

早苗「そういえば、クラスメイトの危ない所を助けたんだって?」

恒一「なんでその事を?ああ、弟さんがクラスにいた気がします」

早苗「意外とかっこいいところもあるんじゃない」

恒一「もっと褒めてもいいんですよ?」

早苗「はいはいすごいすごい。これから診察?その後で会おっか」

恒一「そうですね。予約しときます。『休憩』でいいですか?」

早苗「ご飯よ、ごーはーん。まったく、マセガキなんだから」

恒一「大学教授・榊原陽介の教えなんです」

早苗「お待たせ、どうだった?」

恒一「私服姿もいいですね。妄想やそれ以外も膨らみます」

早苗「で、どうだった?」

恒一「早苗ちゃんのお世話にはならなさそうです」

早苗「そう。残念」

恒一「なので今夜は個人的にお世話になりますね」

早苗「遅くなっちゃったけど、お昼食べに行こうか」

恒一「完全無視、たまらないですね。こりゃ溜まらないですよ」



早苗「さて、恒一くんのクラス、なんだかわけありみたいですねぇ」

恒一「呪いで女子がみんな裸Yシャツになるとかいう話ですね」

早苗「何それ?」

恒一「僕の予想です」

恒一「わけありの”わけ”、ですか。何かあるのは確からしいですけど」

早苗「猛、怯えてるみたいなのよね」

恒一「怯えてる?」

早苗「こないだの階段での話、あれはただの事故未遂じゃないとか」

恒一「見崎鳴って名前、ご存じないですか?眼帯の女の子なんですけど」

早苗「ほほーぅ?榊原くんはその見崎鳴ちゃんの事が好きなんだ」

恒一「はい。でも彼女、クラスの中でも妙なんですよね」

早苗「どう妙なの?」

恒一「いじめられてるのかとも思ったけど、そうでもなくむしろ怖がられてる、みたいな」

早苗「ふーむ」

恒一「”いないもの”とか言って、皆には自分のことが見えてないんだとか」

早苗「へぇ、変な話ね」

恒一「あと、20何年か前の話らしいんですけど、かくかくしかじか」

早苗「知らないわね。私南中だったから」

早苗「うーん、なんだかホラーめいて来たわね。猛に探りを入れてみようか」

恒一「目が輝く早苗ちゃんもかわいいですね。僕の至る所を探ってもいいですよ」

早苗「何かわかったら電話するわね。次の病院はいつ?」

恒一「土曜日です」

早苗「6月6日かぁ。この町にダミアンがいるとは思えないけど、お互い気をつけましょうね」

恒一「早苗ちゃんは僕が守ります」

早苗「あら頼もしい」

恒一「僕の第七感は信用していいですよ」

早苗「七感?七感目って何?」

恒一「股間です」

早苗「聞いた私がバカだったかー」

恒一「僕の第七感は信用していいですよ」

恒一「あっ、彩ちゃん」

綾野「やっほー!こういっちゃん、ばっくれ?」

恒一「病院の帰りなんだ。その服かわいいね。似合ってる」

綾野「あらやだ、こういっちゃんったらお上手なんだから」

恒一「本音だよ。その証拠に僕の股間のこういっちゃんが元気になった」

綾野「あははは!サイッテーなオヤジギャグ!」

恒一「素敵な笑顔だね。まるで太陽みたいに眩しい」

綾野「もー、本気にしちゃうぞー? うわ、すごい風っ」

恒一「危ないっ!」 ガバッ

ガシャーン!


綾野「・・・い、いや、死にたくない・・・!」

恒一「大丈夫。彩ちゃんは僕が守る・・・いい匂いがするね」

綾野「あの、当たってる・・・こういっちゃんの元気なこういっちゃんが当たってるんだけど・・・」

恒一「うん」

綾野「いや、うんじゃなくて・・・でも、ありがと・・・」

恒一「鳴ちゃんに会いたくて夜見のなんたらかんたらにまた来ちゃった」

霧果「・・・」 スタスタ

恒一「あ、綺麗な人」


天根「いらっしゃい」

恒一「こんにちは。また来ました」

天根「中学生かい?だったら半額でいいよ」

恒一「優しいなぁ。その美しさと優しさでさぞかしモテたんでしょうね」

天根「さらに半額でいいよ」

恒一「心までお美しいとは感服です」


恒一「こんにちわ、鳴ちゃん2号。おっぱいタッチ! やっぱ硬いや」

鳴「あら、偶然ね」

恒一「あ、鳴ちゃん1号。おっぱいタ」

鳴「させない」 パシッ

恒一「早い!?」

鳴「今日はなんでここに?」

恒一「鳴ちゃんに会いたくなったんだ。今日は学校に行ってないの?」

鳴「ま、適当にね。具合は大丈夫なの?」

恒一「ま、適当にね。クラスの皆はどう?」

鳴「・・・皆、”始まった”と思って怯えてる」

恒一「あの日が?」

鳴「違う」

恒一「じゃ精通?怯えることかな」

鳴「恒一くんは今も知らないまま、か・・・」

恒一「そうだ、まだ鳴ちゃんの誕生日聞いてないよ」

鳴「いっそこのまま知らないほうがいいのかもしれない」

恒一「えー、教えてよ。あと鳴ちゃんだけなんだから」

恒一「ふぅ・・・いいお風呂だった。あ、玲子さんが無防備な格好でお休み中だ」

レー「ドーシテ?ドーシテ?」

恒一「僕を家族だと思ってくれてるから油断しているんだよ」

玲子「うーん・・・恒一くん?」

恒一「具合悪そうですね。大丈夫ですか?」

玲子「ちょっと頭痛がね」

恒一「ホルモンバランスに気をつけてくださいね」

玲子「最近多いのよねぇ」

恒一「子宮筋腫の疑いがないか検査してもらったほうがいいかもしれませんね」

玲子「え?ああ、そっちの話じゃないわよ。詳しいのね」

恒一「インドへ出張中の大学教授である榊原陽介51歳の教えなんです」

玲子「陽介さん何を話してんのよ・・・」

恒一「まあ調べたのは僕なんですけど」

恒一「おはよう。何話してるの?」

猿田「お、桜木家の救世主が来たぞな」

恒一「何の話?」

望月「桜木さんのお母さん、目を覚ましたんだって!」

恒一「本当に?よかった!」

綾野「ゆかりの輸血のおかげで快方に向かってるみたい」

恒一「そっか。本当によかったよ。でもゆかりちゃんはまだ来てないんだね」

王子「今は母親につきっきり。登校開始はもう少し先だって」

恒一「そうなんだ。早くゆかりちゃんの笑顔を見たいなぁ」

綾野「いよっ、ヒーロー!昨日は私も助けられたんだよ」

猿田「榊原は3組の救世主じゃのう」


中尾「うーん」

杉浦「これは」

赤沢「どうするべきかしら」

勅使河原「うへぇ、さらに下がっちまった」

恒一「何これ、この前の試験結果?あれ、僕1位だ」

望月「すごいや。どうやって勉強してるの?」

恒一「特に何もしてないよ?あ、泉美ちゃん3位のゆかりちゃん7位だ。すごいなぁ」

勅使河原「生まれもっての天才タイプか、羨ましいなおい」

藤巻「ほんと羨ましい。私は頑張ったつもりなのにこれだもんなぁ」

恒一「大丈夫、奈緒美ちゃんはやればできるって、僕は信じてるから」

藤巻「そ、そう?じゃ次は頑張ってみせる!」



多々良「榊原くん、頭もいいし優しいよね」

中島「うん、自分の頭のよさを鼻にかけないところも素敵」

有田「変態だけどね」


風見「・・・」 ギリギリギリ・・・ 

赤沢「恒一くん、今帰り?」

恒一「うん、一緒に帰ろっか?もしかして”一緒に帰って噂とかされたら恥ずかしいし・・・”ってタイプ?」

赤沢「ちょっと、来てもらえる?」

恒一「行く行く。ガラスが降り注いできてでも行くよ」



勅使河原「よっ」

恒一「なんだ、学年128位の勅使河原くんもいたんだ」

勅使河原「やめろよ」

赤沢「そろそろあなたにも3組のおかれた状況を知ってもらおうと思って」

恒一「ああ、勅使河原くんが”いないものの相手はよせ”とか言ってたよね」

赤沢「なっ!勅使河原、どういうこと!」

勅使河原「あ、えーと、それは・・・」


恒一「勅使河原くん、前から気になってたけど、鳴ちゃんが”いないもの”ってどういう意味かな」

恒一「6月になったら説明するって言ったよね」

勅使河原「じょ、状況が変わったんだよ!」

赤沢「あんた、どこまで喋ったのよ!」

恒一「泉美ちゃん、黙っててくれる?勅使河原くんは僕と話し中なんだ」

赤沢「ひっ・・・!」

恒一「勅使河原くん。教えて?」

勅使河原「だ、だから状況が・・・」

恒一「そっか、状況が変わったんだ。じゃあ一月前の約束を反故にできるほどの状況変化って何かな」

勅使河原「うぁ、あ・・・!」

恒一「答えられないのなら最初の質問に戻るよ。”いないもの”って、何かな」 ニコッ


ヴィイイイイ・・・ヴィイイイイ・・・

恒一「あ、もしもし早苗ちゃん?うん、今から会いに行くから待っててください」

勅使河原「っ・・・はぁ、はぁ・・・!」

恒一「用事ができちゃったから僕帰るよ。 泉美ちゃん、怒ったりしてごめんね」

早苗「あ、来た。相変わらず早いわね。電話でもよかったのに」

恒一「電話で済ませるなんて勿体無いじゃないですか」

早苗「で、話の内容なんだけど・・・見崎鳴って子、本当にいるの?」

恒一「いますよ。今日は休みでしたけど昨日は会いました」

早苗「弟に聞いてみたんだけど、血相変えて”そんなヤツは知らない”って言うのよ」

恒一「・・・もしかしたら弟さん、性同一性障害じゃ」

早苗「猛が?まっさかぁ」

恒一「学校ではいつも男子といるし、女子に対しての拒否反応かもしれませんね」

早苗「・・・確かに、体育会系って意外とそういう人いるのかな・・・?」

恒一「早苗ちゃんとほとんど会話がないのも、そのせいなのでは?」

早苗「・・・一度調べてもらおうかしら。精神科の先生に聞いてみるわね」

恒一「あ、エレベーター使わないほうがいいと思います」

早苗「なんで?」

恒一「乗ってきた時、変な音してました」

早苗「ほんと?報告しとかないと」

久保寺「水野くんは病院に検査入院となりました。症状は明らかとなっていませんが、一刻も早い復帰を・・・」

恒一(対応早いなぁ早苗ちゃん)

鳴「・・・」 ガラッ

恒一(あ、おはよう鳴ちゃん)


―自習・デッサン―

望月「三神先生、体調悪いのかな・・・重病だったりしないよね?」

恒一「大丈夫。女性には色々あるんだよ」

望月「そう、ならいいんだけど・・・」

恒一「そんなに心配?」

望月「そ、そりゃ美術部の顧問だし・・・」

恒一(望月くんの嗜好がわからないなぁ)

―第二図書館―

恒一「あ、この子かわいいな。この子も磨けば光りそう・・・ママンだった」

千曳「見つかったかね?」

恒一「ん?どなたですか?」

千曳「司書の千曳だ。この前会っただろう?」

恒一「男性と会った記憶ってすぐ消えちゃうんです」

千曳「お母さんは何組だったのかな」

恒一「3組です。ほら」

千曳「理津子くんか」

恒一「ご存知でしたか」

千曳「まぁ・・・亡くなったと聞いたが、いつだい」

恒一「15年前、僕を生んですぐに」

千曳「15年前・・・そうなのか、そういうことなのか・・・」

恒一「若くして天使になれば、ずっと美しいままでいられる。僕はそう信じてます」

恒一「あれ、教室に誰もいない・・・ん?」


赤沢泉美 正正正正正
綾野 彩 T


恒一「ミス3組でも決めてたのかな。僕だったら・・・うーん、決められないな」

久保寺「榊原くん、今日はもう帰っても構いません」

恒一「いいんですか?」

久保寺「ホームルームで、新しいクラス委員が赤沢さんに決まりました」

恒一「ゆかりちゃんは?」

久保寺「桜木さんには家庭の事情もあって、あまり負担をかけたくないということです」

恒一「優しいなぁみんな」

久保寺「くれぐれも、クラスの決め事には従うようにしてください」

恒一「泉美ちゃんがクラス委員か。頑張ってほしいな」

恒一「やぁ、望月くんと・・・一緒に帰ろうか」

高翌林「高翌林だよ」

望月「・・・榊原くん、引っ越してきてから色々変に感じてるよね」

恒一「まあ、色々と」

望月「君のいない所で話し合いがしたいって赤沢さんが言い出して・・・」

恒一(昨日怒っちゃったこと、まだ気にしてるのかな。謝らないと)

望月「これから嫌なことがあっても我慢してほしいんだ」

恒一「そうだね。僕が悪いんだし仕方ないか」

高翌林「・・・こんなやり方、フェアじゃないよ」

恒一「高木くん・・・」

高翌林「高翌林だよ。榊原くんが聞きたいこと言ってみて。知ってる限り答えるよ」

恒一「”いないもの”って何?勅使河原くんに聞きそびれちゃった」

高翌林「それは・・・うっ!」

望月「高木・・・じゃない、高翌林くん!?」

高翌林「ぐ・・・がが・・・!」

望月「まさか心臓が・・・ど、どうしよう、榊原くん!」

恒一「えーと、えーと・・・あっ、そうだ!」

高翌林「がはっ・・・が・・・!!」

恒一「高山くん!これ見て!今週の週刊プレイボーイ!」

高翌林「ぎ・・・が・・・!!」

恒一「巻頭グラビア、新婚の雛形あきこだよ!」

高翌林「が・・・!」

恒一「ほら!人妻になって初のグラビア!」

高翌林「・・・!」

恒一「これが人妻なんだよ!」

望月「もしもし救急ですか?救急車をお願いします!」

恒一「ばいーん!」

―翌日―


恒一「おはよー」

風見「・・・では、もういいですね」

恒一「同志、何かあったの?」

和久井「・・・」

久保寺「・・・皆さん、クラスの決め事は必ず守るように。以上」

恒一「望月くん、何かあったの?」

望月「っ・・・」 

恒一「杏子ちゃーん」

金木「・・・」

恒一(? ははーん、僕も”いないもの”になったんだな)

赤沢「・・・」

恒一(泉美ちゃん、そんなに怒らせちゃったのかな・・・女の子を怒らせるなんて僕もまだまだだ)


王子(僕には聞かないんだ・・・)

久保寺「”噂が一人歩きする”。これは人間でないものが、あたかも人間のように・・・」

恒一(擬人法より擬人化のほうが好きだな。トイレ行ってこよ)

赤沢(ごめんなさい恒一くん、今はこうするしかなかったのよ)



恒一「かえろかえーろおうちへかえろー まーんまーん・・・ん?手紙が入ってる。なになに」


―黄泉のたそがれの(ry―

恒一「こんにちは、鳴ちゃん2号。おっぱいタッチ!今日も硬いね」

鳴「いらっしゃい」

恒一「やぁ、おっぱ」

鳴「させない」 パシッ

恒一「早い!?」

鳴「どうしたの?急に電話してきて」

恒一「これ、どういうこと?鳴ちゃんに二重線ひかれてる」

鳴「名簿と・・・”事情は見崎さんから聞いて”か・・・」

恒一「僕も”いないもの”にされちゃったみたい」

鳴「なるほど、そうしたのか」

恒一「鳴ちゃんも、泉美ちゃんを怒らせるようなことしたの?」

鳴「さあ、記憶にないけど?」

恒一「うーん、泉美ちゃんは気難しいな」

鳴「どう?”いないもの”になった感想は」

恒一「鳴ちゃんとも遊びたいし、今企画してるものも進めていこうかな」

鳴「そう。授業はいいの?」

恒一「聞いててもつまらないよ」

これ前に読んだな

恒一「ここって、鳴ちゃんの家だよね?」

鳴「うん。とっくに知ってると思ってた」

恒一「知ってたよ。初日に女子の名簿もらったもん」

鳴「女子だけの名簿なんてあったの?」

恒一「原本をコピーして、人目を盗んで職員室のパソコンで作ったんだ」

鳴「私に学校の友達から電話なんて、びっくりしてた」

恒一「電話に出たの、お母さん?セクシーな声だった」

鳴「そう、いつも2階の工房に閉じこもってる変な人」

恒一「僕もよく部屋に閉じこもるよ」

鳴「上に行きましょ」

恒一「やっほい。お邪魔しまーす」

鳴「はい、缶ジュースしかなかったけど」

恒一「ありがとう。鳴ちゃん、両手で持って飲むんだね。かわいいな」

鳴「で?何か聞きたいことあるんでしょ?」

恒一「質問攻めは嫌いなんじゃなかったの?」

鳴「嫌い。・・・でも今回は特別に認めます」

恒一「うわぁ。今のはもはやけしからんレベル」

鳴「で、質問は」

恒一「えーと、誕生日、血液型、足のサイズ、お風呂で最初に洗う場所、それと・・・」

鳴「それはあとにして」

恒一「えぇー。じゃあ一応確認するけど、鳴ちゃんは冥ちゃんじゃなくて鳴ちゃんだよね?」

鳴「・・・意味がわからないけど、私は見崎鳴。ここにいる」

恒一「よかった」




恒一「なるほど。そんな大事な決め事ならもっと早く知りたかったよ」

鳴「恒一くん、いきなり私に話しかけたから切り出せなくなったんじゃないかな」

恒一「あの古い机、”死者は誰”って書いたの、鳴ちゃんでしょ?」

鳴「ええ。私は自分が死者じゃないってわかるもの」

恒一「かわいい字だったよ」

ガチャ

恒一「あ、お母様ですね」

霧果「お友達?」

鳴「クラスメイトの榊原恒一くん。下のギャラリーのお客さんでもあるの」

霧果「あら、男の子なのに珍しいわね。お人形が好きなの?」

恒一「アリだと思います。それにたった今、ここに来る理由がまた一つ増えました」

鳴「そろそろ帰らないと。その辺まで見送ってくる」

恒一「さようなら霧果さん、また来ますね」

恒一「鳴ちゃんはいいの?”いないもの”のままで」

鳴「私じゃない誰かがなった所で、私もその人を”いないもの”扱いしなきゃならない」

恒一「鳴ちゃんの近くの眼鏡なら問題ないんじゃないかな」

鳴「辻井くんのこと?」

恒一「名前わかんない」

鳴「・・・まあ結局、今のままでいくのが一番なんじゃないかな」

恒一「そうだ、勅使河原くんに謝らないといけないな」

鳴「喧嘩でもしたの?」

恒一「皆で鳴ちゃんをいじめてるのかと勘違いして言い争いになっちゃって」

鳴「恒一くんでも怒ることあるんだ。意外」

恒一「たまーにね」

鳴「この目、前にも見せたよね」

恒一「うん。きれいな目だね。隠さなくてもいいのに」

鳴「4歳の時に目に腫瘍ができてね、手術の時に死にかけたらしいの。なんとなく覚えてる」

恒一「臨死体験ってこと?」

鳴「死はね、優しくなんかない。暗くて、どこまでも一人っきりなの」

恒一「一人っきり・・・」

鳴「でもそれは生きていても同じこと。私も恒一くんも。・・・未咲だってそう」

恒一「鳴ちゃんは、一人じゃないよ」

鳴「どうして?」

恒一「未咲ちゃんが、雲の上で鳴ちゃんを見守ってる」

鳴「ふふ、意外と乙女チックな事言うのね」

恒一「だから、未咲ちゃんも一人だなんて思ってないよ」

鳴「・・・そうだといいな」

恒一「おはよう。って、僕いないものだったっけ」

桜木「あっ・・・!」

恒一(ゆかりちゃん!もう学校に来れるようになったんだ。よかった)

桜木「っ・・・」

勅使河原(うっ・・・)

恒一(勅使河原くん、この前はごめんね) ニコッ

勅使河原(!) ビクッ


桜木「わ、私・・・榊原くんを”いないもの”になんてしたくありません・・・」

杉浦「命の恩人なわけだし、そんな人をいきなり無視しろ、だなんてね」

綾野「私だってそうだよ。心が痛い」

赤沢「皆の意見ももっともだし・・・難しいわね」


勅使河原(こえぇ、サカキこえぇ・・・)

恒一「zzz」

恒一(ゆかりちゃんと話したいけど・・・そうだ、手紙を書こう)

桜木(わっ、何か飛んできた。手紙?誰から・・・)


”ゆかりちゃんへ
また会えてよかった。僕はいつだってゆかりちゃんを見守ってるよ。
お母さん、早く快くなるといいね。”


桜木(っ・・・!)

恒一(あ、こっち向いちゃ駄目だよゆかりちゃん) 

桜木(さ、榊原くん・・・!)


桜木「こ、こんな手紙が・・・やっぱり私は無理です!」

杉浦「あー、これは・・・」

桜木「代わりに私がいないものになりますから・・・私がなりますからぁ・・・」 ブワッ

赤沢「どうしたらいいの・・・と、とりあえず今日は我慢して!明日になったら考えるから!」


恒一「zzz」

恒一「お昼ごはんターイム」

鳴「おいしそうなお弁当」

恒一「鳴ちゃんはサンドイッチ?」

鳴「・・・あまりおいしくないの。霧果の作るものって」

恒一「そうなんだ。鳴ちゃんは作らないの?」

鳴「私は全然。レトルトを暖めるくらいしか」

恒一「そっか。はい、あーん」

鳴「あーん」

恒一「おいしい?僕の手作りなんだ」

鳴「うん・・・な、何させるのよ・・・」

恒一「鳴ちゃん真っ赤だよ。愛くるしいなぁ」

鳴「・・・そういうの、やめて」

桜木「めそめそ・・・めそめそ・・・」

恒一(ゆかりちゃん元気ないなぁ。無力な自分が恨めしい)

赤沢(ごめん、ゆかり・・・)

恒一(なんとかして泉美ちゃんの許しを貰おう。簡潔なほうがいいかな)


赤沢(ん?手紙?誰から)


”ごめんね。”


赤沢(・・・恒一くん・・・?)

恒一(心の底から申し訳なさそうな笑顔ってこんな感じかな) ニコッ

赤沢(な、何よ、その悲しげな笑顔・・・ごめんってどういうこと・・・)

恒一(~♪)

赤沢(授業も聞かずにずっとノートを・・・)

恒一(うーん、ここじゃあれだし場所を変えよう)

赤沢(ノートとペンを持ってどこに・・・?)

久保寺「赤沢さん、どうされました?」

赤沢「あ、その・・・具合が悪いので保健室に行ってきます!」


恒一(~♪)

赤沢(”いつでも見守ってる”それに”ごめんね”って・・・)

恒一(~♪)

赤沢(お昼も教室にいなかったし、休憩時間も元気がなかった・・・まさか・・・)

恒一(~♪) ガチャ

赤沢(お、屋上・・・あのノートにはきっと遺言か何かが・・・)

恒一(~♪) スタスタ

赤沢(お願い神様・・・恒一くんを止めて・・・!) 

恒一「よっこいしょういち」

赤沢(座った・・・今止めに行けば、でも・・・)

恒一(~♪やばい、ニヤけちゃった。おさえておさえて) カリカリ

赤沢(またあの笑顔・・・もう、もうやめて・・・私が悪かったから!)

恒一「できた!」

赤沢(っ!)

恒一「3年3組 パンチラ観察図鑑!」

赤沢(えっ)

恒一「記念すべき一人目は、No.008、ゆかりちゃん!いっちごーいっちごー」

赤沢(・・・)

恒一「明日は教室の入り口前で寝そべっちゃおっかなー」



赤沢「”いないもの”を解除するわ」

恒一「えぇっ!?ふ、複雑・・・」

小椋「恒一くん、おはよー」

恒一「おはよう由美ちゃん、初夏を思わせるライムグリーンだね」

小椋「・・・ちょっ!い、いつの間に見たのよ!」

恒一「さっき。上靴に履き替えてる時に」

小椋「うそ、どこにいたの?」

恒一「30mくらい先」

小椋「・・・目いいのね。そうだ、”いないもの”解除おめでと」

恒一「うん、2日で解除された。こうやって由美ちゃんとまた会話できる日を待ってたよ」

小椋「調子のいいヤツ」

千曳「恒一くん、由美くんも一緒か。ちょっといいかな」

恒一「ビッキー先生?どうしたんですか?」

千曳「ビッキー?」

恒一「千曳だからビッキーです。チビ先生の方がいいですか?」

千曳「・・・いや、ビッキーでいい。とりあえず来てくれ」

恒一「久保寺先生のママンが、ですか」

千曳「長いこと重病を患っていてね、寝たきりの生活が長かったそうだよ」

小椋「久保寺先生はずっと介護を?」

千曳「そうらしい。長年の介護も空しく、昨日」

恒一「昨日亡くなって・・・今日は?」

千曳「・・・出勤しているんだよ」

小椋「普通、お葬式の準備とかでお休みしますよね」

千曳「虚ろな表情で、何を聞いても受け答えが曖昧なんだ。ここまでの話を聞くのも苦労したよ」

恒一「解離性障害、アパシーやガンザー症候群に近いですね。躁状態からパニック発作を起こしては厄介です」

千曳「何をしでかすかわからない。何かあったらすぐに報告してくれ」

恒一「わかりました。僕達でどうにかします」


小椋「恒一くんってやっぱ頭いいんだね」

恒一「由美ちゃんのかわいさには勝てないよ」

小椋「いや・・・え?何?」

久保寺「・・・皆さん、おはようございます」

勅使河原「先生、なんか変じゃね?」

久保寺「私はもう限界です・・・3組の現象のことなど、もう、どうでもいい」

中島「ほ、包丁・・・!」

久保寺「・・・どうして、どうして私ばかりがこんな目に!」

恒一「先生」

久保寺「うるさい!話しかけるな!!」

恒一「お母様が、亡くなられたのですね」

久保寺「なっ、どうして・・・!」

恒一「さあ、落ち着いてください」

久保寺「・・・うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい!君に何がわかる!」

恒一「僕の母は産後まもなく亡くなりました。そういう意味では確かに気持ちを察することはできません」

久保寺「っ・・・そうだ、そういえば君は・・・!」

恒一「ですが、わかる事が一つだけ。お母様は今、とても悲しんでいらっしゃいます」

久保寺「そ、そんな・・・」

恒一「先生が幼かった頃、お母様に学校や友人の事を話したとき、どのようなお顔をされていましたか?」

久保寺「・・・とても、嬉しそうに聞いてくれました・・・」

恒一「これからは、3日に一度でもお母様の墓前でその日の出来事を報告なさってください」

久保寺「な・・・何故?」

恒一「それが、貴方にできる最後の親孝行です」

久保寺「っ!あ・・・あああ・・・!」 

恒一「それが、今のあなたができる唯一の親孝行です」

久保寺「う、ううう・・・私は、私は・・・っ!」 カランッ

恒一「そこの君!包丁を拾って!」

前島「う、うん!」

久保寺「すまない・・・すまない、母さん・・・!」

恒一「死は悲しいものではありません。ですが、今だけは存分に泣いてください。彼の胸で」

風見「えっ?」

小椋(きゅん・・・!)

三神「久保寺先生は療養ということで、しばらくの間お休みとなります」

千曳「恒一くん達、久保寺先生を説得できたようだね。よくやってくれた」


小椋「恒一くん、さっきの演技すごかったよ」

恒一「由美ちゃんがいてくれたおかげだよ」

小椋「私、何もしてなかったけど?」

恒一「由美ちゃんがいるっていう安心感が、僕に勇気をくれたんだ」

小椋「また適当なこと言って。演劇部に入ってみない?歓迎するよ」

恒一「ごめん、由美ちゃんたちと交わりたいけど、僕いろいろと忙しいんだ」

小椋「そりゃ残念。・・・恒一くんのお母さんって・・・」

恒一「うん、本当の話。写真でしか見たことないんだ」

小椋「・・・ごめん、変なこと聞いちゃって」

恒一「ううん、全然いいよ。ママンもいつだって空から僕を見守ってくれてるから」

小椋「そっか・・・」

恒一「たまに『ちょっとむこう向いてて』って言うけどね」

―屋上―


恒一「勅使河原くん、この前はごめんね?」

勅使河原「お、おう、気にしてないからよ」

恒一「鳴ちゃんも”いないもの”解除か。よかったね」

鳴「まあ、よかったのかな」

恒一「僕は色々やりたいこともあったんだけどなぁ」


赤沢「ここか」 ガチャ

恒一「泉美ちゃーん」

赤沢「・・・」 ドスッ

勅使河原「おふっ!な、なんだよ?」

恒一「いいなぁ」

恒一「そういえば昨日、なんで僕を急に”いないもの”解除したの?」

赤沢「・・・まあ、総合的に判断した結果よ。はぁ」

恒一「溜息をついたら幸せが逃げちゃうよ」

赤沢「こんな優柔不断じゃ私、無能の謗りを受けても仕方なしね」

恒一「そんなことない。泉美ちゃんの頑張りは皆にも伝わってるよ」

赤沢「・・・まだ終わってない。災厄も。対策係の役目も」

恒一「それにクラス委員だもん。無理だけはしないでね」

赤沢「う、うん、どうも」

恒一「この先も、何も起きなければいいけど」

鳴「毎年、夏休みに夜見山から逃げ出す人がいるみたい」

恒一「女子達は僕が守るから、逃げ出そうなんて思わないでほしいな」

勅使河原「できれば男子も守ってくれないか?」

恒一「なんで?」

勅使河原「いや、なんで?ってお前」

恒一「ビッキーせんせーい」

赤沢「お先」

恒一「あれ、泉美ちゃんだ」

千曳「恒一くんか。今日はお手柄だったよ」

恒一「泉美ちゃんも来てたんですね」

千曳「彼女は対策係だからね。強い子だし、本人もそれに自覚的だ」

恒一「素晴らしいですね」

千曳「さっきは三神先生も来られていたよ」

恒一「三神先生が?」

千曳「しばらくの間担任を務めるからね。あらたまって相談に、と」

恒一「ハーレムですねビッキー先生」

鳴「ビッキーって何?」

恒一「千曳だからビッキー。本人が”ビッキーでいい”って言うから」

千曳「たしかにそうは言ったが、そういう意味ではないよ」

千曳「で、君たちは?」

恒一「15年前、災厄が途中で止まったって話を聞いて」

千曳「ああ・・・この名簿を見てくれ」

恒一「8月で災厄が止まってますね」

千曳「その年は、夏休みに合宿を行ってね」

恒一「が、合宿・・・なんて不埒で淫靡な響きなんだ・・・」

千曳「夜見山神社へ皆でお参りにいったんだ」

恒一「・・・合宿は男女一緒ですか?」

千曳「うむ。全員ではないが多数の参加があったようだな」

恒一「そうですか。では今年も・・・」




三神「8月8~10日の間、クラス合宿を行います」

恒一「やっほい」

綾野「こういっちゃん、階段で何してんの?眉間に皺なんか寄せちゃって」

恒一「うん、ちょっと考え事をね・・・」

綾野「ふーん?じゃーねー・・・ってパンツ見ようとしてるだけでしょ!」

恒一「なんでわかったの?」

綾野「そうそう簡単に見せるほどガードは甘くないよーだ!へへへー」

恒一(彩ちゃん意外と堅いな。小百合ちゃんや幸子ちゃんは意外と簡単だったのに・・・)


杉浦「何してんの?こんな所で」

恒一「うん、ちょっと考え事をね・・・」

杉浦「なんで階段で?教室で考えれば?」

恒一「ここだと考えがまとまりやすいんだ」

杉浦「ふーん?」


恒一(なんと、パーカーと同色とは芸術点高いよ多佳子ちゃん)



綾野「こういっちゃん、さっき階段でパンツ見ようとしてたよね」

杉浦「なッ!」

恒一「あれ、ゆかりちゃんどうしたの?一緒に帰ろっか」

桜木「あ、あの・・・ちょっと、来てもらってもいいですか?」

恒一「行く行く。階段から転がり落ちてでも行くよ」


桜木「あの、これ、先日のお礼といってはなんですけど・・・」

恒一「何これ?あ、クッキーだ。ゆかりちゃんの手作り?今食べちゃお」

桜木「お口に合うかわからないですけど・・・どうですか?」

恒一「うん、おいしいよ。とてもおいしい。ゆかりちゃん料理上手なんだね」

桜木「よかった・・・」

恒一「優しい味がする。作った人のの気持ちが詰まってるのかな」

桜木「そ、そんな・・・失礼しますっ!」


恒一「パンツも見れて感謝されてお菓子ももらえるなんて僕は幸せ者だ」


風見「・・・」 ギリギリギリ・・・

桜木「榊原くん、わ、私・・・」

鳴「抜け駆けなし」

綾野「そうだそうだー。こういっちゃんは私のものだから!」

小椋「あっ、待ちなさい!」

赤沢「ちょっと!クラス委員の私に優先権はあるのよ!」

鳴「私と恒一くんは家にあがった仲だし」

桜木「それを言うなら私だって、その、見られましたし・・・」

小椋「私だって見られた!おあいこ!」

綾野「私なんて押し倒されたもんね!」

赤沢「わ、私だって握手したわよ!」

早苗「こらこらあなた達、ここは大人の出番よ」



恒一「・・・夢、か・・・。さて、パンツを洗わなきゃ」

恒一「陰嚢屋?」

勅使河原『イノヤだ。とりあえず直に会って話したいんだよ』

恒一「勅使河原くんなんかと会ってもテンションが上がらないしなぁ」

勅使河原『あーもうわかったよ。なんとかすっから』



赤沢「恒一くん、こっちよ」

恒一「泉美ちゃんだ!来て良かった」

赤沢「勅使河原に呼ばれたんでしょ?座ったら?」

恒一「うん。かわいい服だね」

智香「いらっしゃい。泉美ちゃんのお友達?」

赤沢「ええ、クラスメイトの榊原恒一くんです」

智香「始めまして、望月優矢の姉の智香です」

恒一「こんにちわ智香さん。今日から常連です」

智香「お待たせしました」

恒一「おいしいコーヒーだね。エクスタシーだっけ?」

赤沢「エクストラファンシーよ。恒一くんは東京に帰らなかったんだ」

恒一「そんな気はさらさら無かったよ?」

赤沢「・・・あなた、本当は生まれていないのかもしれない」

恒一「何が?」

赤沢「15年前にお母様が亡くなられ、15年後の現在、転校生として3組に復活・・・」

恒一「そ、そんな・・・ママンも変態だったなんて・・・!」

赤沢「冗談よ。変態って自覚はあったのね」

恒一「もう、Sだなぁ」

赤沢「その可能性を考えたのは本当。でもね、握手して」

恒一「喜んで」

赤沢「・・・やっぱりあなたとはどこかで握手してる。記憶には無いけど、体が覚えてる」

恒一「か、体が覚えてる・・・だって・・・?」

赤沢「ええ・・・・・・そろそろ離してもらっていいかしら」

勅使河原「ごめんごめん、お待たせー」

赤沢「・・・」 スッ

勅使河原「なっ、何だよそれ。俺そんなに嫌われてる?」

赤沢「はっきり言われたい?」

勅使河原「いや、それも悪くねえが・・・今はいいや」

恒一「ところで望月くんはコーヒー飲める?」

望月「ううん、苦手」

恒一「ちょっとこのコーヒー飲んでみて?飲みやすいよ」

望月「そう?・・・んっ、に、苦い。やっぱり僕飲めないよぉ」

恒一「よし」

勅使河原「なにが”よし”なんだ?」

恒一「こういう需要もあるのかなって。ね?泉美ちゃん」

赤沢「・・・何がよ」

―かくかくしかじか―


勅使河原「・・・でよ、その松永って人に話を聞いてみようと思うんだ」

恒一「でもその人はどこに?」

智香「どこに住んでるかまでは・・・」

赤沢「恒一くん、松永さんの同級生が身近にいなかった?」

恒一「ああ、さすが泉美ちゃん」


―黄泉のたそ(ry―

恒一「そっか、鳴ちゃんは一緒に行けないんだ」

鳴「1週間くらいで帰るから合宿には行くつもり。なにかあったらここに電話して」

恒一「鳴ちゃんの携帯番号?やっほい! 嫌な機械なんて言ってたのに」

鳴「本当に嫌なの。四六時中電波で繋がってるなんて気持ち悪い」

恒一「四六時中僕と繋がるのはどう?」

鳴「ノーコメント」

恒一「海か、いい季節になったもんだ」


ヴィイイイイ・・・ヴィイイイイ・・・

綾野『もしもし、こういっちゃん?今大丈夫?』

恒一「あれ、耳に太陽の息吹を感じるよ。どうしたの?」

綾野『・・・あのさ、相談があるんだ』

恒一「元気ないね。悩み事?」

綾野『どうしても一人じゃ決められなくて、誰かの意見も聞いてみようかなって』

恒一「僕でよかったら。どこかで会おうか?」

綾野『えっ、いいよ。こんな時間に悪いし』

恒一「大事な話は電話で済ませちゃいけない。近くまで行くよ」

綾野『・・・そう?じゃあ公園で会おっか』

恒一「うん、わかった。すぐ行くよ。崖から転がり落ちてでも行く」

恒一「引っ越すかもしれない?」

綾野「親にさ、学校での災厄の話を打ち明けたんだ。そしたら、夜見山を出る事も考えるって」

恒一「あとは彩ちゃんの気持ち次第ってこと?」

綾野「やっぱさ。死ぬのが怖いんだ。でも皆とも離れたくないし・・・」

恒一「それは、自分で決めることだよ」

綾野「えっ・・・」

恒一「そんな大事なことは他人が決めることじゃない」

綾野「・・・そっか、こういっちゃんなら引き止めてくれると思ったんだけどな」

恒一「でも僕は前にも言ったよ。彩ちゃんの笑顔は僕が守るって」

綾野「っ・・・」

恒一「ほら、いつもみたいに笑って。太陽が沈んじゃったら暗くて外を歩けないよ」

綾野「・・・うん、私の気持ちは決まったよ」

恒一「それはちゃんとした自分の意思?」

綾野「うん、ありがと!こういっちゃんに相談できてよかった」

恒一「あ、やっと笑った。やっぱ彩ちゃんはその顔が一番似合うよ」

だいたい半分まで来たので今日はここまで
ノシ

>>58
実はpixivにもある

なんで>>53-54で名前バグってんのww

☓ 高翌翌翌林
◯ 高翌林

!?

勅使河原「おはよーっす!」

望月「おはようございます」

恒一「何その荷物?」

勅使河原「いろいろ準備してきたからな」

赤沢「お待たせ」

恒一「全員そろったね。・・・大丈夫?」

中尾「うぅ、ど、どうってことねえ。ちょっと車酔いが・・・」

恒一「チアノーゼが出てる。ただの車酔いじゃないね。正直に話して」

中尾「じ、実は・・・」

恒一「階段から落ちたって?それでこの症状・・・泉美パパ、救急車を!」

中尾「い、いや、大丈夫だ、俺も行かなきゃ・・・」

恒一「心配しないで、1眼レフ用意したから。フィルムも10本ある」

中尾「・・・わかった、頼んだぞ」

恒一「まかせろー」

勅使河原「中尾が早速脱落したが」

杉浦「大丈夫かな。相当具合悪そうだったけど」

恒一「視覚障害や失語も見られなかったし、まだ早期だから心配はないよ」

勅使河原「お前詳しいな。医者にでもなんのか?」

恒一「医学書の婦人科のページばかり読んでたんだけど、気づいたら1冊暗記しちゃった」

勅使河原「すげえわお前。尊敬はしねえけど」

赤沢「まあいいわ、行きましょ。メンバー分けはどうする?」

恒一「女子は玲子さんの車、男子は泉美パパの車にしようか」

勅使河原「ちぇっ、まあいいか」


恒一「よし出発。現地でまた会おう」

勅使河原「ちょっと待てサカキ!なんでお前そっちに乗るんだよ!」

恒一「多佳子ちゃん、よろしくね」

杉浦「あ、うん、よろしく」

玲子「ったく、チンタラ右走んないでよね」

赤沢「人は見かけによらず、って感じね」

恒一「泉美ちゃんは見た目どおりだよね」

赤沢「ふーん、私ってどういう感じなの?」

恒一「気が強くて責任感もあるけど、時折弱い一面も見せる」

赤沢「何それ、そんな風に見られてる?」

恒一「多佳子ちゃんは自分に自信がないけど、どこか大きく自分を変えたいと思ってる」

杉浦「え、別にそんなことない、けど」

玲子「恒一くんは見た目とは裏腹よね。普通の好青年だと思ったのに」

赤沢「ふふふ、確かに」

恒一「よく言われるよ」



望月「・・・静かな車だね」

勅使河原「ああ、静かだ・・・」

恒一「うーん、リゾート地だね。テンションがフルブーストだよ」

勅使河原「あぢー」

玲子「松永くん、急な出迎えに出てるらしくて」

望月「それまでどうしようか?」

勅使河原「ただ待っててもしょうがないよなぁ?」

恒一「よし、泳ごう」

玲子「せっかく海に来たんだしね」

勅使河原「さすが話がわかる!うっし、行くぞー!」

杉浦「私、何も用意してないんだけど・・・」

恒一「水着ならホテルでも売ってるよ。僕が買ってあげる」

杉浦「い、いいよそんな。悪いって」

恒一「むしろ買わせて。一番似合う水着をチョイスしてあげるよ」

望月「海だー!」

勅使河原「夏の海!俺の海!いやっほーう!」

恒一「はは、皆テンション高いなぁ。・・・ん?この気配」


鳴「・・・」

カシャ

鳴「っ」

恒一「スクール水着とかよくわかってるね。別荘ってこの近くなの?」

鳴「うん・・・何そのカメラ」

恒一「ダディのを借りてきたんだ。撮るよ」

鳴「恥ずかしい」

恒一「大丈夫、数枚でいいから。いいよいいよ、その視線を落とした感じ」 

鳴「・・・」

恒一「似合ってるよ。麦わら帽子」

恒一「泉美ちゃーん」 カシャ

赤沢「あら、立派なカメラね。お父様の?」

恒一「うん、拝借してきたんだ」 カシャ

赤沢「まったく、何を撮りにきたんだか」

恒一「何って、女の子をだよ?はいポーズ」 カシャ

赤沢「聞くまでもなかったわね。こんな感じ?」

恒一「うーん、ナイスですねー。ナイスですねー」 カシャ

赤沢「言っとくけど、変なポーズはしないからね」

恒一「十分だよ。泉美ちゃんはそのままで十分」 カシャ


勅使河原「おっ、俺も撮ってくれよ!」

恒一「はい」 カシャ

勅使河原「せめてファインダー覗けよ!」

恒一「あ、望月くんはちゃんと撮るよ」 カシャ

望月「なんで?」

恒一「多佳子ちゃーん」 カシャ

杉浦「いや、私はいいって」

恒一「その水着、よく似合ってるよ。さすが僕のチョイス」 カシャ

杉浦「ちょっと派手じゃない?ビキニなんて初めて」

恒一「ううん、よく似合ってる。かわいいよ」 カシャ

杉浦「そ、そんなことない・・・」

恒一「多佳子ちゃんはもっと自分に自信を持たなきゃ。僕のお墨付きなんだから」

杉浦「う・・・うん」

恒一「よし、じゃあちょっと前屈みになってみようか」

杉浦「えーと・・・こう?」

恒一「ナイスですねー。じゃ次はちょっと腕で胸を寄せる感じで」 カシャ
 
杉浦「さすがにそれはちょっと・・・」

恒一「いいね、スタイルと性格のギャップ、滾るよ」 カシャ

恒一「玲子さーん、はいチーズ」 カシャ

玲子「いえーい。 そろそろお昼ね」

勅使河原「よっしゃ、現地調達勝負と行こうぜ!」

恒一「女子と僕のチーム、勅使河原・望月ペアでいいよね?」

赤沢「いいんじゃないかしら」

勅使河原「言うと思ったよ!対策係チームといないものチームだ!」



鳴「ひっ・・・!」

恒一「どうしたの?」

鳴「・・・とって・・・!」

恒一「ナイス表情!今撮るよ!」 カシャ カシャ カシャ カシャ

鳴「・・・取って・・・!」

望月「うっ・・・かなり引きが強い!大物かも!」

ぴち・・・ぴち・・・

恒一「大物?」

望月「一応魚・・・だよ」

鳴「かわいい」


勅使河原「かかった!今度こそ大物・・・!」

ペチャ

赤沢「・・・ちょっと、あんた絶対狙ってるで・・・ひぃぃ!何これぇ!」

恒一「!」 カシャ

赤沢「この!ペテン師!役立たず!どうやったらナマコなんて釣れるのよ!」

勅使河原「すいません!すいません!」

恒一「勅使河原くんばかりずるいよ」

勅使河原「いやー、なんだかんだで楽しかったなぁ」

恒一「そうだね。明日はさっそく現像に行かないと」

赤沢「本来の目的覚えてる?」

恒一「なんとかさんに話を聞く、でしょ?ちゃんと情報は仕入れたから大丈夫」

赤沢「そう。恒一くんはしっかりしてるわね。誰かと違って」

玲子「皆も疲れたでしょ。今日はもう解散にしましょ」

望月「そうですね。それじゃ、また」

勅使河原「じゃーな!また連絡すっからー」

赤沢「また皆で会いましょう。それじゃごきげんよう」


杉浦「・・・」

赤沢「どうしたの?恒一くんに変な事された?」

杉浦「えっ、いや、疲れただけ」

綾野「こういっちゃん、チューしよチュー」

小椋「だめ!恒一くんのファーストキスは私がもらうの!私のもあげるんだから!」

桜木「そ、そんなのダメです!私だって、その・・・」

鳴「私を忘れたら困る」

赤沢「私は恒一くんの対策係よ!」

杉浦「私だって対策係だけど」

綾野「私なんてこういっちゃんの太陽だもんね!」

鳴「私は秘密を共有した仲だし」

早苗「じゃあ皆で一斉に、っていうのはどう?」

赤沢「名案ね。決まり」

一同「せーのっ!」



恒一「・・・夢、か・・・ノーパンはまずかったかな」

―イノヤ―


勅使河原「教室?」

恒一「うん、なんとかさんが教室に何かを隠したって」

望月「旧校舎の3年3組だよね。何を隠したんだろう?」

恒一「そこまでは覚えてなかったみたい」

勅使河原「ま、そこまでわかりゃ上出来だな。早速赤沢に・・・」

恒一「待って、泉美ちゃんには教えたくないんだ」

望月「そうだね。まだ伝えるには早いと思う」

勅使河原「サカキらしからぬ発言だな」

恒一「泉美ちゃん、周期的にそろそろあの日だと思うんだ」

勅使河原「なんでそこまで把握してるんだよ・・・」


恒一「・・・もう、始まってるかもしれない・・・」

―翌日―

綾野「あれ?帰宅部のエースが何してんの?」

勅使河原「おお、綾野と小椋。サカキと望月と待ち合わせってところだな」

綾野「こういっちゃん・・・まだ来てないの?」

勅使河原「ちょっと遅れるって言ってたな。二人は部活か?」

小椋「うん、今帰るところ。あんたは?」

勅使河原「・・・実はな、災厄を止める手がかりを見つけたんだ」

小椋「うそ、マジ?」

勅使河原「サカキのやつ、”災厄は僕の力で止める”って奮起してるぜ」

綾野「私、こういっちゃんならできるって信じてる」

勅使河原「俺の力も信用しろって。 お、雨降りそうだな。さっさと帰れよー」

綾野「うん・・・こういっちゃんに会ったら伝えてほしいんだ」

勅使河原「なんだ?」

綾野「私は逃げたりなんかしない、って」

小椋「そっか、恒一くんにそんなこと言われたんだ」

綾野「うん。こういっちゃんのおかげで目が覚めたんだ。それじゃーねー」

小椋「じゃーね。また電話するから。・・・いいなぁ」



小椋「っ!!」

おっさん「や、やっちまった・・・!」

小椋「家に重機が・・・お兄ちゃん!?お兄ちゃん大丈夫!?お兄ちゃ・・・いない?」



恒一「はい敦志さん、望月くんの写真」

敦志「サンキュー!これ、お礼な」

恒一「おほーう、ありがとうございます」

敦志「うっはぁ可愛いなぁ望月くん。由美もうちに連れてくればいいのに」

恒一「でもパソコンっていい機械ですよね。四六時中同志と繋がってる」

敦志「でもお礼が由美の部屋の写真なんかでいいのか?もっと色々なんとかなったけど・・・」

恒一「妄想を膨らますにはこれが一番なんですよ」

敦志「さすが同志」

恒一「お待たせ」

勅使河原「おお来た。おせーぞ」

恒一「ごめんごめん。とりあえず中に・・・?」

勅使河原「どうした?」

恒一「・・・中に誰かいる」

勅使河原「望月じゃねえの?」

恒一「ううん・・・望月くんじゃない。この感覚は・・・」

勅使河原「な、なんだよ、脅かすなよ・・・」

恒一「いい?1、2の3で開けるよ? 1、2の、鳴ちゃん!」 ガラッ

鳴「っ」 ビクッ

勅使河原「3!じゃねえのかよ」

恒一「やっぱり鳴ちゃんだ。何してるの?」

鳴「こっちのセリフ」

望月「ごめん、遅れちゃった。って、見崎さん?」

恒一「・・・というわけなんだけど、鳴ちゃんも参加しようよ」

望月「うわぁ!早速バラしてる!」

鳴「ヒマだったし、いいよ」

恒一「やっほい。ようやくテンションが上がってきたよ」


勅使河原「立入禁止、か・・・」

恒一「この先に踏み入るなんて不埒だね」

勅使河原「見崎、お前は怖くないのか?」

鳴「別に」 ヒョイ

勅使河原「やっぱお前、変わってんな」

恒一(・・・くっ、惜しい)

恒一「お邪魔します」 ガラッ

勅使河原「なんだこりゃ、物置かよ」

恒一「そういえば、この旧校舎には七不思議みたいなものはないの?」

望月「第二図書館から、夜な夜な女性のうめき声が聞こえるとか」

恒一「それはけしからんね。確かめてこないと」

鳴「空気悪いね。窓開けましょ」 ガタガタッ

恒一「危ない」 ヒョイ

パリーン!

恒一「大丈夫?」

鳴「大丈夫」

恒一「鳴ちゃん、いい匂いするね」

鳴「ありがとう」

望月「誰かに見られて新たな七不思議にもなりたくないから、窓はそのままにしとこうか」

勅使河原「目ぼしい物は何もねえなぁ」

望月「うーん、形も大きさもわからないしね」

鳴「・・・」

恒一(あ、鳴ちゃんパンツ見えそう。正面に回って下から・・・)


恒一(ここだ、ここを潜っていけば正面に辿り着く・・・)

勅使河原「サカキ、なんかあったか?」

恒一「うん、今チラッっと何かが見えて・・・なんだ、黒板消しか」

勅使河原「はっはっは、埃まみれだぞ。骨折り損だな」

恒一「もう、帰ったらシャワー浴びよう」


恒一(緊急時の為にカモフラージュも用意しておくのが上級者だよ)

望月「うーん・・・無いね」

鳴「机の中みたいなわかりやすい場所じゃないと思う」

勅使河原「サカキ、お前なら見られたくないものを隠すの得意だろ?」

恒一「そりゃもう」

勅使河原『お前だったらこの教室のどこに隠す?」

恒一「そうだね。視線が集まりにくく、且つすぐに取り出せる場所・・・掃除用具入れの天井かな」

望月「用具入れの天井・・・あっ、何かある!」

勅使河原「サカキ、グッジョブ!」

恒一「お役に立てたみたいでよかったよ」

望月「これは・・・カセットテープだ」

勅使河原「放送室なら再生機あるかもしれないな、行こうぜ!」

鳴「人目につかないように隠しても、必ず誰かに見つけられてしまうものなのよね」

恒一「そうなんだよね」

『やっとの思いで下山した直後、それがあったんだ・・・それっていうのは・・・つまり・・・ザザ・・・ザ・・・』

勅使河原「なんだ?不調か?」

ガチャッ

勅使河原「やべぇ!誰か来た!隠れろ!」

恒一「鳴ちゃん、伏せて!」

鳴「ちょっと、なんで、なんで覆いかぶさるの・・・」


先生「・・・」 ガチャ

勅使河原「・・・はぁ~、危ねぇ~」

望月「間一髪だったね」

恒一「冷や汗やらなにやらが出るところだったよ」

望月「あっ、テープが・・・」

勅使河原「え?あっ、やべ・・・しまった、切れた!」

恒一「男のドジほど見苦しいものはないね」

勅使河原「お前、時々心に刺さる事言うよな」

―合宿―

勅使河原「テープは?」

望月「直ったよ」

勅使河原「聞いたのか?」

望月「ううん、一人じゃ怖くて」

恒一「~♪」

勅使河原「サカキ、楽しそうだな」

恒一「そりゃね。でも女子が6人も不参加なのが残念だよ」

赤沢「夏休み中だから、家庭の事情もあるものね」

勅使河原「男子は誰々が不参加なんだ?」

恒一「知らない」

赤沢「言っとくけど、これは遊びじゃないから」

恒一「大丈夫、出来る限り泉美ちゃんをサポートするよ」

赤沢「わかってるならいいわ」

望月「写真撮ろうよ。中学最後の夏休みなんだし」

恒一「僕のカメラ使っていいよ」

望月「うん。じゃ、撮るよ」

恒一「鳴ちゃん、泉美ちゃん、肩組もうよ」

鳴「いいよ」
赤沢「わ、私もいいけど」



勅使河原「望月、お前も入れよ。撮ってやるよ」

恒一「由美ちゃん、多佳子ちゃん、ほら、肩組んで」

小椋「あっ、うん」
杉浦「わ、わかった」

勅使河原「よーし、撮るぞー」

小椋「・・・」 ドキドキドキドキドキドキ
杉浦「・・・」 ドキドキドキドキドキドキ


勅使河原(一人だけ満面の笑み浮かべやがって・・・)

三神「明日は神社へ行って、これからも皆が無事であるようにお祈りしましょう」

恒一「立派な合宿所ですね。全て2人部屋ですか」

千曳「元は企業の保養所でね、学校に寄付してくださったんだ」

恒一「企業様もわかっていらっしゃる」

峯子「ようこそいらっしゃいました。ゆっくりしていってください」

三神「3日間、お世話になります」

峯子「こちらこそ、何か会ったらなんなりと申してくださいね」

謙作「・・・」 ペコリ


恒一「ねぇ、ここの管理人夫妻ってさ」

勅使河原「ん?」

恒一「子沢山の大家族っぽいよね」

勅使河原「あー、なんかわかる。女の方が多い感じだよな。なんでか孫も女の子ばっかで」

赤沢(何故かしら、妙に説得力があるわ)

『死者を土に返せ・・・』 ガチャ


勅使河原「死者の名前の部分、改竄されてるな」

望月「死者は他の人と見分けがつかないっていうし・・・」

恒一「仮に、同級生が”死者”だったとしたら、君たちは殺せる?」

鳴「・・・」

望月「・・・」

勅使河原「・・・お前は、どうなんだよ」

恒一「僕にはできないよ。できないからこそ、僕は守る側に徹する」

勅使河原「”女子を”が抜けてるぞ。 なるほどな。お前らしい答えだわ」

恒一「皆も、危険な目に遭ってる人がいたら助けてあげてほしい」

望月「わかった。頑張るよ」

恒一「でもその人が、”死者”だと確信した場合は」

勅使河原「・・・ああ」

恒一「鳴ちゃん、あーん」

鳴「忘れて」

赤沢「皆さん、お食事中申し訳ありませんが、聞いてください」

恒一「はーい男子静かにしてー。泉美ちゃんがしゃべるからー」

赤沢「まずは、私が対策係として至らない点ばかりであったことを謝

恒一「泉美ちゃんは悪くないよ!」

赤沢「ひっ、ま、まだ話してる途中だったんだけど・・・」

恒一「泉美ちゃん、もっと皆を頼りにしてもいいんだよ?」

杉浦「そうよ泉美、私だって対策係なんだし、いくらでも協力する」

勅使河原「男手が必要な時は言ってくれよな!」

赤沢「みんな・・・」

恒一「泉美ちゃんは、一人じゃないんだよ」

泉美「・・・ありがとう」

小椋(きゅん・・・!)

赤沢「幸い、3組では災厄による犠牲者は出ていません」

恒一「そういえばそんな話だったっけ」

赤沢「恒一くんのおかげで助けられた人がいるのも事実です」

恒一「僕が?ゆかりちゃんと彩ちゃんと担任の先生もそうだっけ」

赤沢「中尾だって間接的に助けたようなものでしょ?」

恒一「中尾?中尾・・・ああ」

渡辺「恒一くんかっこいー!」

恒一「あはは、そんな注目されると興奮しちゃうな。だんだん前屈みになっちゃうよ」

赤沢「明日は神社へお参りです。今日は事故のないよう、注意してお休

和久井「うっ!」 ガターン

赤沢「ひっ、ま、まだ話してる途中だったのに・・・」

恒一「同志!どうしたの同志!」

和久井「ひぃー・・・ひぃー・・・!」

恒一「まさか食事中なのに相当えげつない妄想を?」

千曳「三神先生、この生徒に喘息の持病は?」

恒一「ああ喘息か」

三神「は、はい、あります」

千曳「くそ、薬もないし電話が繋がらないか・・・」

赤沢「こっちも駄目です!」

千曳「しょうがない。私の車で病院へ運ぼう」


和久井「はぁ・・・はぁ・・・」

千曳「三神先生、あとはよろしくお願いします」

赤沢「大丈夫かしら・・・」

恒一「乗車時には気道狭窄も緩和されていたし、命に関わることはないよ」

赤沢「そうなの?なら大丈夫そうね。よかった」

小椋「・・・」 バタバタ

渡辺「ちょっと、埃たつって。どうしたの?」

小椋「別に」

渡辺「ははーん?相手は誰かなー」

小椋「なッ!別にそんなんじゃないって!別に・・・」

コンコン

渡辺「はーい・・・あれ、恒一くん」

小椋「!」 

恒一「パトロールのついでに写真撮りに来たよ」

小椋「な、どうしたの!」

恒一「いや、だから写真取りに来たの。はい二人とも笑ってー。・・・よし。おやすみ」 ガチャ


小椋「・・・」 バタバタ

渡辺「ふーん?」

コンコン

有田「はーい、あれ、恒一くん」

恒一「写真撮りに来・・・ぶはっ!」

有田「え、どうしたの!」

恒一「松子ちゃん、いつの間にそんな迎撃システムを」

有田「この格好のこと?せっかくだから楽な格好になろうかなって」

恒一「ふぅ・・・写真撮るよ。小百合ちゃんも一緒にね」

有田「かわいく撮ってね」

恒一「二人とも十分かわいいよ。・・・よし。あ、松子ちゃんの足も撮っちゃお」

有田「あー、エッチ」

恒一「そんな格好、撮らないほうが失礼にあたるよ。それじゃおやすみ」


有田「筋金入りだなぁ」

柿沼(かわいいって言われた・・・)

コンコン

杉浦「はーい、あっ」

恒一「こんばんわ多佳子ちゃん。写真撮りに来たよ」

杉浦「しゃ、写真・・・」

恒一「今回は普通に撮るだけだよ。泉美ちゃんも一緒に」

赤沢「なに歩き回ってんのよ」

恒一「自主的にパトロールしてたんだ。写真はついでだよ」

赤沢「どうせ男子のところには行かないんでしょ。早く撮って帰んなさい」

恒一「お、二人ともナイスですねー。・・・よし。おやすみ」


赤沢「ほんっとにあいつは・・・多佳子?」

杉浦「・・・」



恒一「杏子ちゃんと亜紀ちゃんの部屋には入っちゃいけない」

恒一「お邪魔しまーす」

鳴「遅かったわね」

恒一「写真撮ってたんだ。この部屋は鳴ちゃんだけ?」

鳴「ええ。同室の子いないから」

恒一「じゃあ僕もこっちに寝ていい?望月くんと同室だからちょっと不安で」

鳴「だめ」

恒一「ちぇっ。そうだ、写真持って来たよ」

鳴「どこにあったの?」

恒一「離れにあったみたい。グランマが見つけてくれたんだ」

鳴「恒一くんは、どの子が夜見山岬くんかわかる?」

恒一「うーん・・・あ、この娘かわいいな。ってママンだった」

鳴「夜見山岬”くん”」

恒一「んーと・・・あ、こいつなんか変」

鳴「他の写真もお母さん?やっぱり似てたんだね。叔母さんに」

恒一「そうだね。玲子さんは画を描くのが本職のつもりなんだってさ」

鳴「そうなんだ」

恒一「鳴ちゃんも、天使の絵を描いてたよね。・・・あれって、未咲ちゃん?」

鳴「そうかもしれない」

恒一「あの絵、しっかりと描いてみようよ。未咲ちゃんも喜ぶよ」

鳴「・・・そうね。でもあのままじゃなく、新しく描き直すかな」

恒一「描こうよ。僕も手伝うからさ」

鳴「恒一くんも絵を描くんでしょ?なにか1枚仕上げてみれば?」

恒一「うーん、あまり知識は無いんだけど」

鳴「私も手伝うから」

恒一「考えておくよ。ところで、未咲ちゃんのこと聞いてもいい?」

鳴「・・・うん、話す」

鳴「・・・なのに、未咲は3年生に上がってすぐ、急に」

恒一「・・・そうか、だからあの時、もう始まってるって」

鳴「そう。災厄は4月に始まっていた」

恒一「そんな・・・」 

鳴「何故泣くの?」

恒一「そんな、未咲ちゃんが・・・」

鳴「死ぬのは悲しいことではないんでしょ?」

恒一「悔しいんだ。僕が入院なんてしていなければ・・・」

鳴「そんなのは、ただの結果論」

恒一「もっと早く鳴ちゃんと知り合っていれば、未咲ちゃんのことだって助けられたのかもしれない」

鳴「・・・ううん、あの時エレベーターで恒一くんに会えたのは未咲のおかげ」

恒一「僕は勝手に思い上がって・・・」

鳴「いいの。恒一くんは何人もの命を救ってる。だからいいの、これで」


ガチャ!

勅使河原「二人とも!お、俺、やっちま・・・なんで泣いてんだよ。話しづれぇよ・・・」

数分後

恒一「はい、どうぞ」

勅使河原「お二人さんに質問・・・風見智彦ってやつ知ってるか・・・?風見のこと知ってるか!?」

恒一「風見?風見、風見、風見・・・風見?」

勅使河原「お、おい・・・それ、マジか・・・?」

鳴「ほら、桜木さんと藤巻さんの間の」

恒一「ああ、あのメガネ」

勅使河原「期待した俺がバカだったか・・・やばいよ、俺、間違ったかも・・・」

恒一「まさか・・・風見くんとそっちの道に?」

勅使河原「俺、てっきりあいつが死者だと思って、2階から・・・!」

恒一「2階なら死ぬとは限らないんじゃないかな」

勅使河原「く、くそぉ・・・!」

恒一「とりあえず、風見くん?が生きてるか確かめに行ってみよう」

恒一「あれ、食堂の扉が開いてる」

ガシッ!

恒一「ひゃぁ!・・・君は!?」

前島「ま・・・前島だよ・・」

恒一「血が・・・まさか、後ろから挿されて?」

前島「食堂に行っちゃ駄目だ・・・管理人が・・・!」

謙作「た、助けてくれぇ!!」

恒一「うわぁ!どうしたんですかビッグダディ!」

謙作「にょ、女房が遂にキレた・・・あの娘とはほんの遊びだったんだよ!」

恒一「食堂に火を放つほどキレるなんてどんな遊び方したんですか」

謙作「この少年も通りかかった所を包丁で刺された。今も建物内をナタと金串を持ってウロウロしてるはずだ・・・!」

恒一「金串・・・前園くんも包丁で・・・」

前島「ま、前島・・・」

恒一「カニバリズム・・・尋常じゃないね・・・」

赤沢「どうしたの?」

勅使河原「おい、誰だよそれ!」

恒一「前原くんだよ!管理人に刺されたんだ!」

前島「前・・・」

恒一「風見くんは?」

勅使河原「いねぇんだよ・・・」

恒一「えぇーっ」


  『きゃぁああっ!!』


赤沢「っ! 今の・・・多佳子!?」

恒一「行こう泉美ちゃん!多佳子ちゃんが危ない!」

赤沢「うん!勅使河原はそっちをよろしく!」

勅使河原「は、はい・・・おい、大丈夫か前島!」

前島「よ、よかった・・・」

赤沢「多佳子・・・?どこなの!多佳子!」

恒一「・・・大丈夫。僕のセンサーには多佳子ちゃんの反応がある」

赤沢「そ、そう、よかった・・・」

望月「榊原くん、どうしたの?」

恒一「風見くんと多佳子ちゃんを見なかった?」

望月「風見君ならさっき、泥だらけで血相を変えて部屋に来て、それで・・・」

恒一「テープのことを話した?」

望月「・・・うん」


望月「あっ、ない!テープレコーダーがないよ!」

恒一「なんで鍵かけないの!」

勅使河原「おい!風見は?」

恒一「ううん、いない。ところで前田くんは?」

勅使河原「前島のことか?悲鳴聞いて飛び出してきたやつに任せた」

ガチャ

王子「ん?」

恒一「食堂から家事だ!一応二人も逃げて!」

猿田「火事?」

恒一「一応逃げて!」



勅使河原「頼むよ・・・合宿で犠牲者なんて出さねえでくれよ・・・!」

望月「三神先生・・・三神先生?入りますよ?」

勅使河原「・・・いねえな」

望月「・・・ねぇ、隣の部屋の前・・・あれ、血だよね?」

勅使河原「ああ・・・血だな」

望月「・・・行ってみよう」

ガチャ

峯子「・・・男か。男か!!!!」

『うわああああ!』
『ひゃああああ!』


赤沢「今の・・・勅使河原」

鳴「と、望月くんね」

恒一「一応行ってみようか・・・ん?」

杉浦「・・・いた」

赤沢「多佳子!」

杉浦「よかった、生きてた。泉美が死んだら私、生きていけない」

恒一「多佳子ちゃん!」 ガバッ

杉浦「わっ、ちょ、ちょっと」

赤沢「よ、よかった・・・」

恒一「僕だって多佳子ちゃんがいなかったら生きていけない」

杉浦「ご、ごめん」

恒一「可愛い顔が血まみれに・・・風見くんにやられたんだね?そうか、風見くんか・・・」

杉浦「あの、ちょっと離してもらっていい?段取りが・・・」

恒一「あ、うん」

峯子「うがあ!!」 ブンッ

勅使河原「ひぃぃぃ!!」

峯子「があああああ!!ぐっ!」 ズサーッ

望月「大丈夫!?」

勅使河原「いてっ!あ、足切っちまった・・・!」

峯子「男なんてのはねぇ・・・男なんてのはねぇ!」

望月「ほら、肩につかまって!逃げよう!」

峯子「若いうちにブッタ切っちまえばいいんだよ!!」

望月「怖い!」

勅使河原「なんだよ!何があったんだよ!?」

峯子「二度とちょっかい出せないようにね!!!」

勅使河原「ひぃぃ!こんな貞操の危機聞いたことねえよ!」

杉浦「死者を、死にぃ!!」

恒一「やっぱ離さない!」 ガバッ

杉浦「なっ、ちょ、邪魔しないで!」

恒一「・・・海での多佳子ちゃんの笑顔、とても素敵だった」

杉浦「っ・・・!」

恒一「怒った顔も捨てがたいけど、やっぱり僕は、笑ってる多佳子ちゃんが好きだよ」

杉浦「す・・・」 バッ

恒一「あっ、逃げられた!」

杉浦「・・・くっ!」 

恒一「なんで多佳子ちゃんが・・・?」

赤沢「あの子、テープ聞いたから・・・3組で見つけたんでしょ?勅使河原から聞いたって小椋が言ってた」

恒一「なっ、他言したのか、あのおしゃべりオシャレさんめ・・・」

鳴「恒一くんも私に全部話したよね」

赤沢「・・・私、多佳子を探してくる!」

ピンポンパンポーン♪

杉浦『3組の皆さんへ、対策係から大事なお知らせです』

赤沢「多佳子?」

杉浦『今から流すテープは、15年前に災厄を止めた方法が載ったテープです』

恒一「なっ・・・罪は重いよ、望月くん・・・!」


『いいか、死者を死に返せ・・・そうすれば災厄は止まる・・・』


杉浦『今年の死者は、見崎鳴です』

赤沢「そ、そんな・・・まさか、さっきの部屋での話・・・」

杉浦『なぜなら、小学生の時に私は病気で左目を無くしていない見崎さんと会っているからです』

恒一「未咲ちゃんと多佳子ちゃんは同級生だったのかな?」

鳴「話の流れから察すると多分そうなんだろうね」

杉浦『今の見崎鳴はニセモノです・・・ですから・・・』


―――やっぱり僕は、笑ってる多佳子ちゃんが好きだよ―――


杉浦『ころ・・・』


―――多佳子ちゃんはもっと自分に自信を持たなきゃ。僕のお墨付きなんだから―――


杉浦『・・・つ、捕まえてえええええええ!!!』

有田「今の何?」

川堀「さぁ、杉浦の声だよな?」

辻井「捕まえればいいの?」

恒一「どうしよう、ゾロゾロ出てきちゃったけど」

鳴「逃げるべきかな」

三神「やめなさい!」

恒一「三神先生、いつの間に?」

三神「クラスメイトを死者扱いするなん・・・あっ」 グキッ

ゴツン!


三神「きゅう」

恒一「あーあもう、カーペットでヒールなんて履くから・・・」

辻井「えーと、じゃあ捕まえるよ?」

恒一「じゃあ逃げよう」

小椋「あっ、恒一くん・・・!」

恒一「由美ちゃん、どけて!」

小椋「だ、だめ!それ以上こないで!私カミソリ持ってるんだから!」

恒一「由美ちゃんはキッチンで果物ナイフの方が似合うよ!」

小椋「ちょ、ちょっと止まってよ!恒一くんケガしちゃう!」

恒一「それはそれで悪くない!」

小椋「じゃあ恒一くんは行っていいから、見崎はここに置いていって!」

恒一「意味ないよそれ!さすがに僕でもツッコむよ!」

渡辺「っていうか廊下長くない!?」

小椋「だめっ!危ないっ・・・!」

恒一「くっ、こうなったら・・・ごめん!」


チュッ


小椋「!!!!」

鳴「わお」

渡辺「あっ!」

小椋「ちょっ、ひゃ、ひゃめ、こうい・・・んん・・・ん・・・!」

恒一「・・・・・・」

小椋「・・・ん・・・」

恒一「・・・ぷはっ」

小椋「・・・あ・・・あわわわ・・・」

恒一「正夢にしちゃった。ごめんね」 タッ


渡辺「えーと・・・おめでとう、でいいのかな」

小椋「こういちくんが・・・こういちくんと・・・」

松井「いいもの見ちゃったね」

金木「うん、いいもの見ちゃった」


鳴「必要あった?今の」

恒一「回復した」

恒一「とりあえず203号室に逃げ込んだけど、どうしようか?」

鳴「ここに長居するのも得策じゃないよね」

恒一「窓から隣の部屋に移ろうか」

鳴「映画みたい」

恒一「鳴ちゃん先に行って。後ろは僕が守るから」


ガチャ

小椋「こ・・・こういちくん、みっけ・・・」

恒一「しまった、カギかけてなかった」

小椋「さ、さっきのあれ、どういうことかせつめいし・・・きゃっ!」 ズルッ

恒一「由美ちゃああん!」 ガシッ


ブラーン

小椋「い、いや・・・落ちる・・・助けて・・・!」

恒一「ぬっ!ぬおおおお!よいしょー!」

小椋「こ、怖かった、死ぬかと思った・・・」

恒一「由美ちゃんのおバカ!」 ペチン

小椋「あぅっ」

恒一「叩いてごめん・・・でもね、その痛みは、生きているからこそ感じられる痛みなんだよ」

小椋(きゅん・・・!)

恒一「由美ちゃんが死ぬなんて考えたくもない・・・だから、もうやめよう?」

小椋「・・・ふえぇ、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

恒一(あ、この感触はスポーツブラだ。いいね。実にいい)

小椋「ひっく・・・ありがとう・・・」

恒一「こちらこそ。そこの二人!火事だから由美ちゃんを連れて外に出て!」

川堀「お、おう!」

辻井「火事って!唐突に大ニュースだよ!」



恒一「ふう」

鳴「まだ?」 ガチャ

恒一「そうだ、逃げてる途中だったっけ」

王子「ほんとに見崎さんなのかなぁ」

猿田「怪しいけど・・・榊原と仲良くしてるんだし、多分違うぞな」

王子「うーん、やっぱそうだよな」

猿田「そういや、なんか焦げ臭いな」

王子「火事だって言ってたよね」

猿田「火は見えてねーけどな・・・」

王子「・・・食堂かな?開けてみようか」


ジュッ

王子「ぅあっっっつぅぅぅぅい!!」

猿田「あー、ドアノブが焼けとる。こりゃ中で火が出てるぞな」

王子「あーやけど・・・これじゃしばらくクラリネット吹けないよ」

猿田「トライアングルに配置転換じゃのう」

王子「もう素直に避難しよう・・・」 

鳴「なんか悲鳴聞こえた?」

恒一「男子だからいいよ」

鳴「でしょうね」

杉浦(見崎鳴・・・見つけた・・・!) ソローリ

恒一「・・・多佳子ちゃん、ケガは大丈夫かな。心配だよ・・・」

杉浦(えっ・・・あっ!) グキッ 

グサッ

恒一「おぉぅ!!」

鳴「っ!」

杉浦「あ、あわわ、大丈夫?わざとじゃ、わざとじゃない!足元が暗くて・・・!」

恒一「鳴ちゃん、今のうちに逃げて・・・!」

鳴「・・・うん」 タッ

杉浦「やだ、すごい血出てる・・・!」

恒一「頑張れ榊原恒一15歳、この痛みが快感に変わるまであと少し・・・!」

杉浦「ど、どうしよう・・・どうしたらいいの私・・・」

恒一「ネクタイで止血・・・多佳子ちゃんが毎日使ってるそのネクタイで止血をしてくれれば・・・」

赤沢「あっ、恒一くんと・・・多佳子?よかった・・・」

恒一「泉美ちゃんも無事だったんだね」

赤沢「ええ、私は・・・って、腕どうしたの!?誰に・・・」

杉浦「っ・・・」

恒一「僕たちは大丈夫。逃げ遅れてる人がいないか探してもらえる?」

赤沢「・・・わかった。二人も危険を感じたらすぐに避難して」

恒一「オーキードーキー」


杉浦「・・・」

恒一「僕は全然気にしてないよ。新たな道が開けそうだし、むしろ感謝だよ」

杉浦「・・・私、最低」

恒一「多佳子ちゃん・・・」

杉浦「恒一くんのお陰で変われたつもりだったのに・・・感謝どころかこんなことに・・・」

恒一「泣かないで」 パチ

杉浦「・・・なんでブラのホック外したの・・・?」

杉浦「見崎鳴が、双子・・・?」

恒一「うん、鳴ちゃんには言うなって言われてたけど・・・」

杉浦「じゃあ、今年の災厄は4月からっていうのは・・・」

恒一「・・・うん。最初の犠牲者は藤岡未咲。鳴ちゃんの双子の妹」

杉浦「うそ・・・私、さっき酷いこと・・・」

恒一「鳴ちゃんは気にしてないよ」

杉浦「最低・・・私って本当に最低・・・もう死にたい・・・」

恒一「ダメ。多佳子ちゃんでもそれだけは僕が許さない」

杉浦「ひっく・・・ひっく・・・」

恒一「あとで鳴ちゃんに謝ろうね。さ、行こう」

杉浦「うん・・・いたっ」

恒一「さっきので足くじいたの?ほら、肩につかまって」

杉浦「ありがとう・・・ごめんなさい、恒一くん・・・」

恒一「ほら、玄関までちょっとだから、頑張ろう」 パチ

杉浦「だからなんでブラのホック外すの・・・?」

渡辺「あ、恒一くん!」

恒一「小百合ちゃん!珊ちゃん!こっちだよ!急いで!」

柿沼「有田さんが見当たらないんです!」

恒一「なにおう!」


有田「・・・逃げ、なきゃ・・・」

恒一「いた!松子ちゃん!大丈夫?」

有田「あ、恒一くんだ」

恒一「自分の名前は言える?」

有田「名前・・・?私の名前・・・」

恒一「意識レベル3・・・よいしょ!」 ガバッ

有田「わぁ、お姫様だっこだ」

恒一「うおぉぉぉぉきたあぁぁぁぁぁ!!」

有田「すごーい」

有田「あれ・・・?」

恒一「あ、回復した!」

有田「恒一くん?・・・って、何で抱っこされてんの!」

恒一「さっきは酸欠で危なかったんだよ」

有田「そういえば記憶が・・・」

恒一「もうすぐ出口だから安心して」

有田「も、もう大丈夫。下ろしても大丈夫だって」

恒一「ダメ。このまま出口まで行くよ」

有田「だ、だって私、重いし」

恒一「女の子の体重なんてあってないようなもんだよ。心配はいらない」

有田「恒一くん・・・」

恒一「松子ちゃんの太ももの柔らかさを腕で感じられる限り、僕はいつまでも走り続けられる!」

有田「うわぁ!やっぱりただの変態だった!」

恒一「よし、松子ちゃんも救出・・・あっ!」


峯子「があああああああ!!!」

望月「た、助けてぇぇ!」

峯子「なんだい女々しい男だね!だったら必要ないだろ!今すぐ切り落として・・・」

恒一「ストップ!峯子さん!」

峯子「な、なんだい!離せ!」

恒一「どんなに遊び歩いたって必ずあなたの元へ帰ってくるじゃないですか!」

謙作「峯ちゃーんっ!!」

峯子「あ、あんた・・・」

謙作「すまねぇ、やっぱ俺にはお前しかいねえんだ・・・許せ、峯ちゃん・・・」

峯子「謙ちゃん・・・」 

勅使河原「助かった・・・!」


千曳「雨降って地固まる・・・か?」

恒一「お帰りなさいビッキー先生、彼らを安全なところまでお願いします」

恒一「よし、あとは・・・」

小椋「杏子と亜紀がいない!」

恒一「まかせろー!」


金木「亜紀、大丈夫?」

松井「熱い・・・」

恒一「・・・いた!ここだけ空気が澄んでると思ったらそういうことか!」

金木「恒一くん、わざわざ助けに来てくれたんだ!」

恒一「よかった、ケガは無さそうだね。行こう、外でみんなが待って・・・


ヒュッ

恒一「させるか!」 ガシッ

金木「な、何?」

恒一「・・・ナイフが、飛んできた」

松井「わ・・・わわ・・・」 ペタン

風見「残念、手元が狂った」

恒一「・・・風見くん、君がこれを?」

風見「君を狙ったつもりだったが、よく掴めたね」

恒一「・・・杏子ちゃん、亜紀ちゃんを頼んだ」

金木「大丈夫?ちょっと血が出てる」

松井「へ、平気・・・」 ガタガタ


風見「恒一くん、僕は君が死者なんじゃな

ヒュッ!

風見「危なっ!喋ってる途中でナイフを投げるな!」

恒一「どの口が言うのかな」

風見「な、なんだよ、さっきのお返しだって言いたいのか?」

恒一「当てる気は無いよ。まだ亜紀ちゃんに謝ってないからね」

風見「な、何で僕が!」

恒一「今、怖かったよね?同じ事を君はしたんだよ」

風見「それは、君を狙ったのがズレて・・・」

恒一「しかも、女の子の顔に傷をつけた。多佳子ちゃんにもケガさせたよね」 

風見「そ、それは・・・!」

恒一「二人が許しても、僕は許さない」 ニコッ

風見「っ・・・くっ!」 ダッ



恒一「亜紀ちゃん、大丈夫?」

金木「おでこにちっちゃい傷ができただけ。絆創膏で間に合った」

恒一「ごめん、僕がもう少し早く気づいていれば・・・」

松井「ううん、もし恒一くんがいなかったらって考えたら・・・」

金木「そうだよ。恒一くんのおかげでこれだけで済んだんだから」

恒一「さあ、行こう」

川堀「あっ、金木達が出てきた!」

恒一「あとは・・・」

杉浦「・・・泉美?泉美は!?まさか、まだ中で人を探して・・・!」

恒一「正義感強すぎるよ泉美ちゃん!探してくる!」

勅使河原「ちょっと待ってくれ!風見もいねぇ!」

恒一「・・・」 ピタッ

勅使河原「サカキ、頼む!風見を・・・風見を連れてきてくれ・・・!」

恒一「・・・そうだね。必ず”見つけて”くるよ」 ニコッ

勅使河原(っ・・・!) 


ガチャッ カチッ

風見「はぁ・・・はぁ・・・何だったんだ、さっきのあいつの眼は・・・!」

コンコン

風見「だ、誰だ!」

   『俺だ!勅使河原だ!』

風見「勅使河原?どうしてここに・・・?」

   『望月がケガしちまって動けないんだ!開けてくれ!』

   『うぅ・・・痛いよう・・・』

風見「なんだって?いや、でも・・・」

   『・・・さっきは、本当にすまなかった・・・』

風見「勅使河原・・・」

   『頼む!俺はいい!俺はいいからせめて望月だけでも中に・・・!」

   『た・・・助けて・・・!』

風見「・・・わかった!二人とも中に入っ」 ガチャ


恒一「お久しぶり、風見くん」 


風見「なッ!?」

恒一「そんなに似てた?持ちネタにしようかな」

風見「な・・・あれ?」

恒一「ドアノブ?開けた瞬間に叩き折ったよ。ほら」

風見「な・・・なな・・・!」

恒一「よいしょっと」 グッ

風見「わっ!は、離せ・・・苦し・・・」

恒一「ほーら、高い高い」

風見「ゆ、許・・し・・・てくれ・・・」

恒一「大丈夫、この程度じゃ死なないよ。せいぜい気絶くらい」

風見「ぐ・・・ぎぎ・・・!」

恒一「でもね、ここで気絶してたらどうなるだろうね」

風見「ご、ごめ・・・なさい・・・」

恒一「蒸し焼きと直火焼き、どっちがいいかな」 ニコッ

赤沢「・・・恒一くん?」

恒一「あっ、泉美ちゃん!無事だったんだね!」 パッ

風見「がはっ・・・げほっ、げほっ・・・!」

赤沢「今、片手で・・・?」

恒一「さあ、早く逃げて!」

風見「ひ、ひぃぃ!」 ダッ

恒一「ありがとう泉美ちゃん」

赤沢「私?何かした?」

恒一「また転校する羽目になるところだったよ」



勅使河原「か、風見ぃぃぃ!生きててよかったぁ・・・」

風見「・・・」 ガタガタガタ・・・

勅使河原「風見?どうしたんだよ・・・?」

風見「・・・」 ガタガタガタ・・・

勅使河原「・・・見たんだな?あの笑顔・・・」

風見「・・・」 ガタガタガタ・・・

赤沢「さっき、何をしてたの?風見を・・・」

恒一「亜紀ちゃんに向かってナイフを投げたことと、多佳子ちゃんについて問いただしてたんだ」

赤沢「ナイフって・・・大丈夫だったの?」

恒一「うん、ギリギリ受け止められたから小さい切り傷で済んだよ」

赤沢「投げナイフを掴むってどういう反射神経してんのよ・・・」

恒一「僕の部屋寄って行こう。カメラ回収しないと」

赤沢「ちゃっかりしてるわね。でも、今回ばかりはその精神に感謝するわ」

恒一「そうだ、松子ちゃんの部屋に行って制服も・・・」

赤沢「調子に乗るな」 ドスッ

恒一「ありがとうございますっ」

赤沢「ところで、皆は無事?」

恒一「外に避難してる。ビッキー先生も同志を送って帰ってきたよ」

赤沢「そう、ならもう誰も残ってないわね?」

恒一「・・・うん。もう誰もいないと思う」

恒一「ただいまー」

小椋「うえーん!二人とも心配してたんだからぁ!」

杉浦「よかった・・・これで全員ね」

恒一「痩せても枯れてもこの榊原恒一、おいそれとは死なないよ」

望月「・・・見崎さんは?」

恒一「うそぉ!?」

勅使河原「いや、さっきまでそこにいたし、中には入っちゃいねえぞ?」

恒一「センサーによると中庭のほうにいるみたい。・・・行ってくる」

赤沢「あのセンサー、どういう仕組みなのかしら?」



鳴「・・・」

恒一「鳴ちゃん、見っけ」

鳴「もうすぐ全焼する」

恒一「もう、誰も覚えてないみたいだよ」

鳴「・・・そう」

恒一「僕のセンサーには反応なし。・・・いや、今まで一度も反応したことは無かった」

鳴「一度も?」

恒一「身内だからかと思ってたけど・・・そっか、そういう意味だったんだ」

鳴「・・・もう、還ったのね」

恒一「なんで僕と鳴ちゃんだけが覚えているんだろう?」

鳴「それは、私達が”殺した”からだと思う」

恒一「・・・どういうこと?」

鳴「三神先生が転倒して気絶。そして、食堂からの火災という2つの事象」

恒一「それが?」

鳴「三神先生が気絶した時、あの場で火災のことを知っていたのは?」

恒一「えーと、あの時いたのは・・・っ!」

鳴「そういうこと」

恒一「・・・そうか、僕たちは」




三神先生を”見殺し”にしたんだ―――



―1週間後―

恒一「久しぶりだね、中野くん」

中尾「お、榊原! ちなみに中尾な」

恒一「そうだっけ?しばらく会ってないから忘れてたよ。体調はどう?」

中尾「始業式には退院が間に合いそうだってよ」

恒一「そっか、投薬で済んでるんだ。良かったね」

中尾「・・・で、例のものは?」

恒一「はい、50枚。足りなかったら言って。まだ100枚近くあるから」

中尾「ひょー!サンキュー!」

恒一「泉美ちゃんはそれで全部なんだけど」

中尾「上等上等。ひゃっは、やっぱスタイルいいなぁ」

恒一「もはや網膜への暴力だよね」

中尾「あれ、見崎もいたのか」

恒一「偶然会ったんだ」

中尾「スクール水着か、やるな」

中尾「あとは・・・なんだ杉浦か。杉浦は別に・・・お?」

恒一「いつもパーカー羽織ってるけど、スタイルのよさは見抜いてたよ」

中尾「ほう・・・おお・・・」

恒一「隠してるつもりでも、僕の眼はごまかせない」

中尾「ふむ、意外と・・・ぶほっ!」

恒一「それ僕のお気に入り。頬染めキス顔」

中尾「よく撮らせてくれたな」

恒一「ノーマル、半目、瞑り、それにメガネ有り無しの6種類を取り揃えたよ。ほら」

中尾「・・・うん、これはあとでじっくり見させてもらう」

恒一「かわいいでしょ?」

中尾「そうだな。考えを改める」

恒一「ちなみにこの水着、僕が選んだんだよ」

中尾「尊敬だわ。マジで尊敬するわお前」

中尾「ん?なんだこれ」

恒一「変なのあった?」

中尾「誰も写ってないじゃん。ほらこれも」

恒一「あっ・・・」

中尾「試し撮りか?」

恒一「・・・そっか。中尾くんには見えないんだね」

中尾「は?」

恒一「その写真はね、白い水着を着たメガネのお姉さんが笑顔でピースしてるんだよ」

中尾「なんだよそれおっかねぇ・・・」

恒一「きっと、世界中の男で僕にしか見えていない」

中尾「俺その域に達せねえよ」

中尾「中学生活最後の夏休みを病院で過ごさなきゃならないとはな・・・」

恒一「始業式には間に合うんだからいいじゃない」

中尾「まあ、前島は間に合わないだろうな」

恒一「・・・始業式は、二人欠けてしまうんだね・・・」

中尾「そうだな・・・」

恒一「高柳くん・・・」

中尾「高林・・・・・・」






高林「いるよ?ここに」

恒一「ああ、どういうわけか一命を取り留めたんだったね」




高林「中尾くんと同室なのにこの扱い。フェアじゃないね」

杉浦「あ、中尾いた。・・・恒一くんも来てたんだ」

恒一「あれ、多佳子ちゃん」

中尾「うっ」

杉浦「泉美と一緒に前島のお見舞いに来たんだけど、ついでに寄っただけ」

中尾「お前、なんか感じ変わったな」

杉浦「まあちょっとね。あんたもう歩けるんでしょ?前島のところ行こうよ」

中尾「い、今はちょっと・・・あれで」

恒一「中尾くん、発作が起きちゃって立ち歩けないんだ。数分で治まるよ」

杉浦「発作?大丈夫なの?」

中尾「あ、あまり近くで見つめないでください・・・」

恒一「じゃあ僕と行こうよ。じゃあね中尾くん。僕このあとまっすぐ帰るから」

中尾「・・・セーフ・・・配慮に感謝するぜ・・・!」



高林「僕のこと完全スルー。本当にフェアじゃないね」

恒一「お待たせ。待った?」

鳴「ううん、そんなに」

恒一「そのワンピース似合うね。まるで「歩く清楚」だよ」

鳴「最近買ったの」

恒一「その帽子、海にいたときも被ってたね」

鳴「そう。お気に入りなの」

恒一「いいね。画になるよ。行こっか」

鳴「待って、もう一人来る」


千曳「二人とも、もう来ていたか」

恒一「ビッキー先生?」

鳴「私が呼んだの」

千曳「私も同席したくてね。車で行こう」

鳴「土曜日なのに、意外と空いてるね」

恒一「山の上の方だからかな」

千曳「私はもう覚えていないが・・・今年の死者は、三神先生だったんだね」

恒一「・・・はい。もう誰も覚えていないようです」

千曳「三神先生がどうして亡くなったかは、聞いているかい?」

恒一「グランマに聞きました。1年半前の秋、通り魔に・・・」

千曳「しかし、理津子くんに次いで三神先生までも・・・恒一くんの心中を察するよ」

恒一「クラスメイトを守れただけで、僕は十分です」

千曳「さて、もう行こう。長居されては三神先生も落ち着かないだろう」

恒一「僕たちは歩いて帰ります。少し、景色を眺めていたいんで」

千曳「そうか、では私は失礼する。帰り道には気をつけるように」

恒一「はい、ありがとうございました、ビッキー先生」

千曳「そのあだ名にも慣れてしまったよ」

恒一「あそこの遊園地にもそのうち行ってみようか。とても眺めがいいと思うんだ。一緒に乗ろうよ」

鳴「今歩いてるこの道と、高さはあまり変わらないと思う」

恒一「それはそうだけど、観覧車の中から見る景色はまた格別だよ」

鳴「中で何かしようと企んでるんでしょ?」

恒一「バレた?」

鳴「やっぱり」

恒一「・・・僕達もそのうち、全部忘れちゃうのかな」

鳴「いつまでも覚えていたい?」

恒一「覚えていたいというよりも、忘れたくない。この4ヶ月間が記憶から消えるのが怖いんだ」



腹を向けながら弱々しく手足をばたつかせ、日射の降り注ぐ道路の中心に佇む蝉。

それをヒョイと掴み上げ、木の根元の木陰にそっと寝かせる。

ジジッ、と短い鳴き声を発すると手足は静かに動きを止め、それっきり動かなくなった。



鳴「かわいそう」

恒一「死は、悲しいものではないよ」

鳴「最後の力を振り絞って”ありがとう”って言ったのかな」

鳴「それにしても暑い」

恒一「東京はこんなもんじゃないよ。僕からしたら今日なんて涼しいくらい」

鳴「そんなの人の住むところじゃない・・・きゃっ」

いたずらに吹いた強風に、鳴はワンピースの裾をおさえる事を優先する。
引き止める者のいなかった麦わら帽子はふわりふわりと舞い上がり、やがてせり立つ林の向こうへと消えていった。

恒一「あー、飛んでいっちゃった」

鳴「お気に入りだったのに・・・」

恒一「未咲ちゃんも暑かったんじゃないかな」

鳴「っ・・・」

はっと目を丸くし、やがて嬉しそうに目を細める。

鳴「そうね。私達よりも太陽に近い場所にいるんだもの。大事に使ってね。お気に入りなんだから」




―――ありがとう。大切にするね―――




そんな声が聞こえた気がして、僕は空を見上げ、大きな入道雲へ向かって心の中で呟いた。


玲子さんに会ったら伝えておいてくれる? ”僕が部屋にいるときはあまりジロジロ見ないこと”って。


fin

もうちょっとだけ続くけど諸用のため数時間後に貼る

佐藤「・・・?」

恒一「zzz・・・」

佐藤「・・・」

恒一「zzz・・・」

佐藤「恒一くん」

恒一「はい!!」 カッ

佐藤「っ」 ビクッ

恒一「・・・ああ、おはよう。素晴らしい目覚めだよ」

佐藤「なんで公園で寝てるの?」

恒一「今日が待ち遠しくてさ、6時前に学校に着いたけどどこも開いてなかったんだ」

佐藤「元気だね」

恒一「そりゃ皆に会えるんだもの、否が応でもみなぎるよ。今何時?」

佐藤「8時20分くらい」

恒一「いい時間だ。一緒に行こうか」

佐藤「うん」

松井「恒一くん、おはよー」

恒一「おはよう亜紀ちゃん。ちょっといい?」

松井「何?」

恒一「・・・うん、傷跡にはならなかったね。よかった」

松井「うん、ありがとう」

恒一「お礼なんていいよ。亜紀ちゃんの笑顔が見られれば」

金木「2学期も朝から飛ばしてるね」

恒一「あ、おはよう杏子ちゃん。登校時間まで亜紀ちゃんとほぼ一緒なんだね」

金木「そういえば7時頃うちの前歩いてたよね?窓から見えたよ」

恒一「ああそうだ、あの辺だったね」

金木「あんな時間に何してたの?」

恒一「学校が開いてなかったから、その辺うろうろした後に公園で寝てたんだ」

金木「2学期も朝からやたら飛ばしてるね」

勅使河原「おーっす、ヒーローサカキー!」

望月「おはよう、榊原くん」

風見「っ・・・」

恒一「おはよう風見くん、ちょっといい?」

風見「なっ・・・なんだい?」 ビクッ

恒一「ちゃんと二人には謝った?」

風見「・・・合宿のあと、謝ったよ。君に免じて許してあげるって」

恒一「そっか、じゃあ僕も君を許すよ」

風見「僕を許してくれるのかい?」

恒一「二人とも傷跡は残らなかったし、遺恨も残さないほうがいいでしょ?」

風見「・・・ありがとう」


王子「おはよう、榊原くん」

恒一「ん」

久保寺「おはようございます。そしてご無沙汰ですね。私も今日から復帰となります」

恒一「先生、少し丸くなったなぁ」

久保寺「今日から2学期です。気持ちを引き締めてまいりましょう」


校長「えー、3年生の皆さんは、受験に向けてより一層勉学に勤しみ・・・」

恒一「zzz・・・」

猿田「校長の真正面で爆睡とか大物すぎるぞな」


久保寺「明日からは通常通りの日程です。体調を整えて授業にのぞんでください。では」


恒一「さて、帰ろうかなっと。久々に早苗ちゃんに会いに・・・ん?」

パサッ

恒一「下駄箱に手紙とはなんてベタな。なになに・・・」


”屋上で待ってます”

桜木「あっ・・・来てくれたんですね」

恒一「あの手紙、ゆかりちゃんの?」

桜木「はい。榊原君が好きだって伝えたくて」

恒一「えっ」

桜木「・・・あぁっ!順番間違えた!何回も練習したのに・・・」

恒一「ふふっ、ゆかりちゃんらしい」

桜木「・・・あの、やっぱり私なんかじゃ迷惑ですよね。忘れてください・・・」

恒一「僕、変態だけどいいの?」

桜木「・・・え?」

恒一「いきなり抱きついたりするけど?」

桜木「・・・はい。榊原くんだったら・・・構いません」

恒一「じゃ、早速」 ギュッ

桜木「あぅっ・・・こ、これって、まさか」

恒一「これが僕の返事」

桜木「・・・ありがとうございます。嬉しいです・・・本当に、本当に嬉しいです・・・!」

恒一「ゆかりちゃんは西高受けるんだよね。僕もそこにする」

桜木「東京に帰るんじゃないんですか?」

恒一「夜見山も気に入っちゃったし、ゆかりちゃんと離れるのも嫌だから」

桜木「・・・じゃあ、これからも一緒にいられるんですね」

恒一「これからも一緒に相合傘してくれる?」

桜木「・・・はい!喜んで!私ももっと勉強しないと」

恒一「だったらこれからゆかりちゃん家で勉強会しようよ」

桜木「・・・はい、お願いします。でも部屋の詮索とかはしないでくださいね?」

恒一「よし決まり。行こうか。善は急げだよ」 パチ

桜木「はい・・・えっ?な、なんでブラジャーのホック外すんですかぁ!」

恒一「ほら、急がないと先にタンスの中漁っちゃうよ?」

桜木「わーん、待ってください!直させてくださいよぉ!」

恒一「あはは、油断するからだよ。気をつけないと」



だって、もう始まってるんだから。


- fin -

綾野「おっす、こういっちゃん」

恒一「うわっ、彩ちゃんか。太陽が落ちてきたのかと思った」

綾野「はい出た。あのね、どうしても伝えたいことがあってさ」

恒一「伝えたいこと?」

綾野「うん・・・私ね、こういっちゃんのことが好き。大好きっ!」

恒一「おっと」

綾野「悩み聞いてもらった事あったじゃん?その日以来こういっちゃんの事ばっか考えちゃってさ」

恒一「・・・彩ちゃん」

綾野「返事はいいよ。また今まで通り仲良くしてね!じゃ!」

恒一「待って!」 ギュッ

綾野「わっ・・・お、おぉ、予想外・・・って、当たってる、お尻に当たってる・・・」

恒一「うん」

恒一「自分だけ想いを伝えて行っちゃうなんて、ずるいよ」

綾野「えっ・・・」

恒一「夜見山に残るって選択をしてくれて、本当に嬉しかった」

綾野「・・・本気にしちゃうよ?」

恒一「彩ちゃんに嘘なんてついたことなんてないよ」

綾野「・・・へへ。ちょっと離してもらっていい?」

恒一「はい」

綾野「・・・うるさくてアホでチビな私だけど、これからもよろしく」

恒一「うん、よろしくね。元気で明るくて小柄でかわいい彩ちゃん」

綾野「あはは、ほんと上手!じゃ私、部活行かなきゃ!」 タッ

恒一「見えたッ!」

綾野「あっ、見たな?エッチー! じゃ、また明日ねー!」



恒一「・・・純白、か・・・さすが僕の太陽。そう思うだろ?こういっちゃん」


- fin -

小椋「遅い」

恒一「ごめん、ビッキー先生に捕まっちゃった」

小椋「来てくれないのかと思った」

恒一「女の子を待たせるなんて僕はダメだね。必ずお詫びするよ」

小椋「・・・合宿以来、恒一くんのことが頭から離れない」

恒一「あぁ・・・ごめんね。とっさにあんなことになっちゃって」

小椋「わ、私・・・こうい・・・」

恒一「由美ちゃん?」

小椋「あれ、なんか・・・?なに・・・」 フラッ

恒一「危ない!」

小椋「あたま、いたい」

恒一「由美ちゃん!大丈夫?どうしたの?」

小椋「あつい・・・」

恒一「まさか・・・体が熱い」

恒一「あ、気がついたね」

小椋「ん・・・?恒一くん・・・ここは?」

恒一「保健室。日射病には気をつけてね。ちゃんと日陰にいないと」

小椋「ごめん。動揺しちゃって・・・」

恒一「起きなくていいよ。そのままで」

小椋「・・・うん」



恒一「あの時ってさ、由美ちゃん、ファーストキスだった?」

小椋「うん。でも、恒一くんだったから・・・嫌じゃなかった」

恒一「いつだったか、夢の中で由美ちゃんが”ファーストキスを僕にあげる”って言ってたんだよ」

小椋「正夢になっちゃったんだ・・・ちょっと、嬉しいかも」

恒一「だから、責任はとらせてもらうよ」

小椋「・・・え?それって・・・いたた」

恒一「まだ動いちゃダメだって。1時間くらい寝てないと。僕もついててあげるから」

小椋「うん・・・あのさ、お詫び代わりに、一ついい?」



あの日、彼女の命を繋いだ恒一の左手。
それを大事そうに両手で包み込み、幸せそうな顔で寝息をたてるのでした。



おしまい

杉浦「あ、来た・・・」

恒一「多佳子ちゃん。傷のほうはもう治ったみたいだね」

杉浦「私はとっくに治ったけど・・・恒一くんのほうは?腕・・・」

恒一「もう痛みもないし、日常生活に支障はないよ」

杉浦「そう・・・ほんと、ごめん」

恒一「いつまでも気にしちゃダメだよ。でも、そうやって相手を思いやるところが好き」

杉浦「っ・・・」

恒一「どうしたの?」

杉浦「・・・あのね、私も好き・・・って言ったら、どうする?」

恒一「どうするかって?」

杉浦「む、無理に答えなくてもいいから。全然断ってもいいし」

恒一「こうする」 ギュッ

杉浦「あっ・・・いいの?私、全然女の子っぽくないし、かわいくないよ?」

恒一「かわいいよ」

恒一「・・・・・・あれ」

杉浦「・・・ふふ、そうくると思って、今日はフロントホックのブラを

恒一「ああ、こっちか」 パチ

杉浦「ひゃぁっ!な、なんで普通に外せるのよ!」

恒一「だって、こっちって教えてくれたし」

杉浦「今、ちょっと触った・・・?」

恒一「ごめん、ちょっとだけ触れちゃった」

杉浦「嘘でもいいから触ってないって言ってよ・・・」

恒一「あ、赤くなっちゃった。かわいい」

杉浦「あ、あまり何回も言わないで。慣れてないから」

恒一「ごめんね。かわいい多佳子ちゃん」

杉浦「や、やめてってばもう・・・恥ずかしい」



中尾「・・・さすがだ。応援してるぜ・・・!」


- fin -

恒一「あれ、泉美ちゃんだったんだ。どうしたの?」

赤沢「用件は3つ。まずは対策係として、あなたのクラス内での働き及び功績、心から感謝するわ」

恒一「役に立てたなら本望だよ」

赤沢「次は私個人の感謝。その・・・ありがとう。恒一くんにはかなり助けられた」

恒一「合宿所内に泉美ちゃんが残ってるって聞いた時はゾッとしたよ。たまには人を頼っていいんだからね?」

赤沢「今後は気をつけるわ」

恒一「お礼といってはなんだけど、抱きしめさせてもらっていい?」

赤沢「多佳子から聞いてるわよ。ブラのホック外されるって」

恒一「泉美ちゃんが生きてるって事を、確かめたいんだ」

赤沢「・・・ちょっとだけだからね」

恒一「うん」 ギュッ

赤沢「ん・・・」

恒一「・・・」 パチ

赤沢「やっぱ外すんじゃないのよ!」 ドスッ

恒一「ありがとうございますっ!」

赤沢「最後に・・・恒一くん、卒業したら東京に帰るんでしょ?」

恒一「うん、ダディがインドから帰ってくるからね」

赤沢「私も、東京の高校に行く」

恒一「そっか、決めたんだ」

赤沢「一人で上京するのは不安だったけど・・・恒一くんのこと、頼るから」

恒一「一緒に頑張ろうね。部屋は2LDKでいいかな」

赤沢「は?」

恒一「お互いプライベートは必要でしょ?でもベッドは一つでいいよね」

赤沢「ちょ、ちょっと!なんで同棲するみたいな流れになってるのよ!」

恒一「将来は3LDK、待てよ、欲張って4LDKって手も」

赤沢「・・・い・い・加・減・に・・・しろ!!」 パシィンッ

恒一「ありがとうございまーすっ!!」



やがて二人はひとつ屋根の下で苦楽を共にし、新たに宿した命と共に3LDKへと居を移すことになる。

でもそれは、もっともっと未来のお話。



赤沢「ナレーションっぽく喋るな!」


- fin -

鳴「来た」

恒一「やっぱり鳴ちゃんか。筆跡でわかったよ」

鳴「考えてくれた?」

恒一「子供の名前?さすがに気が早いんじゃ」

鳴「違う」

恒一「うそうそ。でも3年のこの時期に入部ってできるの?」

鳴「本来はもう引退だけど、部室は自由に使っていいって」

恒一「そっか、根回しは速いんだね」

鳴「嫌だったら無理しないでいいよ」

恒一「ううん、やる。色々と教えてね」

鳴「うん、じゃ部室行こうか」

恒一「あ、笑った」

鳴「おかしい?」

恒一「ううん、嬉しい。やっと見られたなって」


―12月―


恒一「できた・・・」

鳴「おめでとう。3ヶ月ちょっとでこんなに描けるなんて思わなかった」

恒一「覚えているうちに描けてよかった。鳴ちゃんの絵ももう完成してるんだよね?」



手を取り合い、天へ舞い上がる長髪の2人の天使の絵画。
頬杖をつき、雲の上から下界を優しく見守る、麦わら帽子の少女の絵画。



鳴「恒一くんの絵、題名は決まってるの?」



恒一が題名を告げると、鳴は驚いて目を丸くする。
鳴が題名を告げると、恒一もまた同様に驚き、目を見開く。



鳴「こういうことってあるんだね」

恒一「必然だったのかもしれないよ。僕達の出会いも」

鳴「・・・ふふ、どうかな」



題名 ”一人じゃないよ”


-fin-

これにて終わり
規制&行数制限が緩いとここまで投稿しやすいのね

また何か書いたらお邪魔します
ノシ

こういっちゃんの転校理由なんかも書けください

>>193
>>154あたりで察していただければ

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