岡部「ここは……」クロム「おい、立てるか?」(378)

Steins;Gate×ファイヤーエムブレム覚醒
初ssです。
正直続けられる自身が無いですけど、需要があるなら出来るだけ頑張ってみます。

とりあえず夜に投下しますので、どうか暖かい目で見守ってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370769297



まゆりが生きている。


幾つもの世界線を渡り、仲間の思い出を、想いを、踏みにじってまで守りたかった存在。

彼女が今、ここにいるだけで俺には充分だ。



紅莉栖が生きている。


世界線漂流がいかに危険かを身を持って体験してもなお、腹に決して消えることの無い傷をつけてまで会いたかった、俺が唯一愛した存在。

β世界線の俺が、人生の全てをタイムマシン開発にかけてまで救いたかった存在。

そんな彼女が、もう会うことのないと思っていた彼女が、今、目の前にいる。

ここは《シュタインズ・ゲート》。

未来の確定していない、ただ一つの世界線。

紅莉栖にも、ラボメンにも、これから輝かしい未来が待っているのだろう。

だから、この言葉を彼女に送ろう。



岡部「これも」




岡部「運命石の扉《シュタインズ・ゲート》の」




岡部「選択だよ」






ドクンッ





岡部「……え、」




1.048596



-.------


















「……おい、大丈夫か?」

「しっかりしろ!」

「お兄ちゃん、この人大丈夫かなぁ……?」

「……ダメかもしれん」

「えぇっ、そんなぁ……」




岡部「……っ、」


頭が重い。


「っ!?気づいた見たい!」

「本当か!?」


まさか、リーディング・シュタイナーが……?

薄っすらと目を開けて見る。




目の前に人が二人。辺りには一面の草原の草原が広がっている。






……草原?




岡部「……は?」








岡部「ここは……」

クロム「おい、立てるか?」






以上です、どうですか?

クロスと言ってもオカリンがマイユニットとしてFE世界で頑張るだけです。細かい設定とかは気にするなの方向でお願いします。

何か感想やら批評やら合ったら言ってください。直すよう努力はするので。

ちなみに書き溜めとかは全くありません。その場の勢いで書いてます。更新も不定期です。

こんばんは、1です。レスありがとうございます。

まだオカリンの能力とかは詳しく決めてないですけど、まぁご想像の通り魔法専門になると思います。
多少の主人公補正も許してください。

と言っても戦闘はもうちょっと先です。頑張りますので応援よろしくお願いします。

ではちょっと投下。

クロム「っと、大丈夫か?」

青髪の男に起き上がるのを手伝ってもらった。まだ足がふらつく。

岡部「あ、あぁ。すまない、えっと……」

クロム「クロムだ」

リズ「私はリズ、よろしくね!」

クロムとリズ。
……日本人ではなさそうだ。

クロム「早速質問するようで悪いが、どうしてここで倒れていた?何かあったのか?」

岡部「いや、その……」

……俺が知りたい位だ。

しかし本当にどこなんだ。秋葉原で紅莉栖に再開したと思った矢先
、気づいたら辺り一面に草原。

……リーディング・シュタイナーが発動した?それにしては環境が変わりすぎているぞ。

岡部「……日本、なのか、ここは?」

リズ「ニホン?どこそれ?」

クロム「……ここはイーリス聖王国の南の町はずれだ。本当に大丈夫か、お前?」

「クロム様」

やたら体格の大きい男が近づいてきた。いや、身につけてる、鎧?が大きいのか。

よく見るとクロムの腰にも剣らしきものがある。近くにコスプレ大会でもあったのか?

鎧の男「この者は賊かもしれません、あまり不用意に近づくべきではないかと」

岡部「なっ……!」

クロム「それもそうだな。ならとりあえず身柄を……」

岡部「ちょっ、ちょっと待てお前ら!?俺は賊なんかじゃない!」

言いがかりにも程があるっ!だいたい何だよ賊って。いつの時代だよ。

鎧の男「でしたら、説明していただけませんでしょうか。何故ここで倒れていたのですか?まさか、記憶喪失などと見苦しい言い訳を……」

リズ「ちょっと、フレデリク!そんなに攻めたら可哀想だよ。まだ混乱してるだけだってば。」

リズがフォローに入ってくれた。……フレデリクと言うのか、こいつは。失礼な奴め。

……しかし、本当にどう説明しようか?『別の世界線から来たかもしれません』なんて言える訳がない。

記憶喪失という手もフレデリクに潰されてしまった。……こうなったらヤケクソだ。

岡部「いや、その、ここら辺の地理に詳しくなくてな。……地図も無いまま彷徨っていたら力尽きてしまって、な。」

クロム「……」

フレデリク「……」

リズ「……」

……流石に無理があったか?視線が痛い。

クロム「……まぁいい。どちらにせよ、行くアテが無いならこちらでお前の身柄を保護させてもらう。フレデリクもそれでいいな?」

フレデリク「……クロム様がそう仰せられるのなら、構いません。」

どうやらクロムとフレデリクには何かしらの主従関係があるようだ。……設定かもしれないが。

フレデリクが俺の方をに振り向いた。

フレデリク「先ほどから失礼な態度をとって申し訳ございません。立場上、相手を疑うところから始めないといけませんので。」

フレデリク「それと、紹介し遅れました。フレデリクといいます。えっと……」

岡部「あぁ、俺は……」

……一瞬、『鳳凰院凶真』と名乗りそうになったが、もうこの名は必要ないだろう。

まゆりも、紅莉栖も生きている。『鳳凰院凶真』は自身の使命を果たし、朽ちたのだ。俺には既に仮面を被る理由などない。

岡部「……」

クロム「……おい、名乗ってくれないか?」

リズ「大丈夫?まだ体調悪いのかな?」

岡部「っ!すまない……。岡部、倫太郎だ」

クロム「そうか、変わった名前だな。」

リズ「変な名前だね!」

……俺から言わせれば、お前らには言われたく無い。

クロム「とりあえず、町まで行くぞ。歩きながらでも話はできるだろう。」

フレデリク「かしこまりました」

リズ「は~い」

岡部「あ、ちょっ、おい待て!」




















???「……」














クロム「……ここまででわからないところはあるか、オカベ?」

岡部「……」

……なるほど、サッパリわからん。完全に今北産業だ。

大体何だよ、イーリス聖王国って、自警団って。いい年したやつの遊びにしては設定が凝りすぎてるぞ!厨二病かっ!

……まぁ、これに関しては俺も人のことはな。

クロム「……本当に何も知らないみたいだな。今までどうやって旅して来たんだ?」

岡部「いや、まぁその……」

フレデリク「……クロム様、やはりこの男少し怪しすぎませんか?先ほどから態度が不自然すぎます」

マズイ、またこいつに疑われてる。どうしろって言うんだよ、こっちが聞きたいというのに。とりあえず歩きながら言い訳を考えなければ……。

……なんだ、前の方で煙が上がってるぞ?

リズ「……お兄ちゃん、あれ!!」

クロム「……マズイ、町が!急ぐぞ!!」

フレデリカ「しかし、オカベさんはどうすれば……?」

クロム「今は町が優先だ、走るぞ!」

クロムの合図で三人とも走り出す。……あいつら足速いな。

……って違う!俺はどうすればいいのだっ!

岡部「……」

追いかけるしか無いのだろう。……鬱だ。

岡部「おいっ、置いてくな!」









……これも運命石の扉の選択だと言うのか?

以上です。更新は不定期ですので、またいつか投下します。


ちなみにですけど、個人的にオカリンの能力補正は魔防↑HP↓です
魔防は精神力がハンパないと言うことで。後体力無いし。

こんばんは、1です、三日連続です。

ちょっと投下します。読んでくれるとありがたいです。

……投下間隔って少し開けた方がいいのでしょうか?










岡部「ゼェ……ゼェ…ゲホッ」

それ程町は遠くは無かったが、やっぱり俺の体力ではかなり厳しかった。……日頃から運動位しておくべきだったな。

それより何だよこの町は。あちこちから煙やら悲鳴やらが上がっている。どこの世紀末だよ。

クロム「! オカベ、逃げなかったのか!?」

岡部「だからっ……いく宛が無いとっ……言っただろっ……」

まだ息が整わない。何でこいつらこんなに涼しい顔をしてるんだよ。……いや、リズはまだ肩で息しているようだ。

クロム「それは済まなかった。……仕方が無い、オカベ、お前も戦えるか?」



岡部「……は?」



戦うって、何言ってんだこいつ。

クロム「巻き込むようで悪いが、俺は自警団団長である以上、この町で暴れている山賊どもを止めなければならない。だから一緒に戦ってくれないか?」

岡部「戦うって……」

ふと、目がクロムの腰に行く。剣が鞘に収まっている。



岡部「それで、戦うのか?」



剣を指差す。コスプレの道具じゃないのか?

クロム「あぁ、これはイーリス家に代々継がれる……」



岡部「……本物、なのか?」



クロム「……?当たり前だ、でなければ人を切れない」












……ナニヲイッテイルンダ、オマエハ?







岡部「人を……殺すのかよ?」



クロム「……」





岡部「人を殺しても平気だって言うのかよ!!」





フレデリク「クロム様!!」

リズ「お兄ちゃん、早くっ!!」

クロム「っ今行く!……オカベ、お前に戦う意思が無いのはわかった。だが丸腰では危険すぎる。」





ナニガ、キケンスギルンダヨ。




クロム「……せめてこれだけでも持ち歩いていろ。相手への威嚇程度にはなる」





ナニニ、イカクスルンダヨ。





クロム「リズ、お前はオカベと共に待機しろ!シスターであるお前を一人にするより、オカベといた方がまだ安全なはずだ」

リズ「わ、わかった!」





ココハ、アンゼンジャナイノカヨ。










村人「ギャァァァァアアアアア!!!」






岡部「ぁ……」

フレデリク「賊が数人迫って来てます、急いでください!!」

クロム「っ!!リズ、オカベを頼んだ!!」

リズ「うん……」






ヒトガ、シンダ、コロサレタ。





チガ、トビチッテイル。



チ。



血。





……血が、飛び散っている。

クロム「フレデリク!待たせてすまない、行くぞ!!」

岡部「……んだよ、これ」











岡部「何だよこれ!!!」









ごめんなさい、一旦ここまでで。

また後で少しだけやります。

再び参上しました、1です。

このスレを建てた主な動機はクロムの『運命を変える!』ってセリフから、実際に運命を変えてきて最終的に勝利したオカリンをこの世界にねじ込んだらどうなるかなぁって軽い気持ちで建てました。
だからストーリー構成を考えてたのは序盤と終盤だけで、途中は何も、です。

……実を言うともう一つ。
支援会話で、オカリン×???でS支援(NTR、ではないと信じたい)を作ってみたいなぁと言うのもありました。
ただまぁ、そこまで自分の気力が持つかわかりませんので、期待しないで下さい。

多分このスレではシュタゲ要素はかなり薄いと思います。もしかしたらループが入るかもですけど、わかんないです。

まぁ、とりあえず続きいきますね。












リズ「落ち着いた?」

岡部「……」

……今になって事の重大さを知った。気づくのが遅すぎた。

ここはもう日本、いや、俺の知る世界ですらない。

こんな世界、俺は知らない。町が賊で襲われるような、人が目の前で死ぬよう世界なんて、知るわけが無い。

……あの時の頭痛はリーディング・シュタイナーでは無い事は確定した。異世界に跳ぶ何て、話がぶっ飛んでやがる。

だったら……、

岡部「どうやって、戻ればいいんだよ……」

メチャクチャだ、世界線漂流の比じゃないぞ。とにかく今は何がどうしてこうなったのか情報が欲しい。

だからってどうすればいいんだよ……。

リズ「……」

というか、何でクロムはこんな少女に『避難』じゃなくて『待機』するよう命令したんだ?実の妹だろ?

……自警団、とか言ってたな。

岡部「リズ」

リズ「ぇ、あ、何?」

岡部「こんな暴動は日常的にあるのか?」

リズ「毎日あるわけじゃないよ!……ただ、最近は特に酷いかも」

岡部「その度に、お前はこんな所で待機を命令されてるのか?何で避難しないんだよ?」

リズ「……シスターだから」

ポツリと呟く。

リズ「怪我してる人がいたら、癒してあげないと。それが私の役目だよ」

そう言ってリズは杖を見せてくれた。

岡部「……これで、どうするんだよ?」

リズ「傷を治すんだよ、『ライブ』をかけて!オカベさんだって魔道書を受け取ったでしょ?魔術だよ、魔術!」

……魔道書って、この薄汚い本でのことか?

岡部「何馬鹿な事を……」











「俺に言わせれば何二人して馬鹿みたいに突っ立ってるんだよ、テメェら」














不意に後ろから声が聞こえた。誰か確認するために振り返ってみる。






岡部「…………ぇ」

山賊「……ケヘッ」

以上です。

あ、転職とスキルに関して一つ。

基本的に転職はさせないと思います。なのでオカリンがソーサラーでフゥーッハハハハはないです。他のキャラはもしかしたら……です。
なのでスキルもその職業で覚えるスキルだけでやっていくと思います。

次回はちょっと戦闘が入る、かも。

それでは

ども、1です。

今日は結構多めに書いたんですけど、投下していくうちに長すぎるなって感じたら、キリのいい所でやめて続きを明日ってしようと思います。

まぁとりあえず始めます。






岡部「ハァッ、ハァッ……クソッ」

リズ「はぁっ……オカベさんっ!!どこに向かってるの!?」

岡部「知るかよっ、逃げるしか無いだろ!!」

どうしてこうなったどうしてこうなったどうしてこうなった!?

状況の整理もできない内に早速町中で命がけの鬼ごっこだと!?ふざけるな!!

山賊A「オラオラァ!!早く逃げねぇと死んじまう……ぞぉ!!」

後ろを振り返って見ると何か飛んできた。

ガスッ

岡部「ぬおっ!!」

また斧を投げつけてきやがった!幸にも不幸にも、あいつに遊ばれてるからかこっちを狙って投げてはこないとはいえ、あんなの当たったら確実に死ぬぞ!

マズイ、本当にマズイ……。まずはあいつから逃げ切らなければ!

リズ「っ!オカベさん、前!!」

岡部「十字路かっ……!!」

どうする!?とりあえず真っ直ぐ走ってもまだ道は続くようだが、左右から何が出てくるかわかったもんじゃない。

山賊A「もう一発だゴラァ!!」

岡部「っ!!」

ええい、もう迷ってないでとにかく前に進んでやる!!



グッ











ドクンッ



岡部「ぇ……」

岡部「っ!リズ、左に曲がる、タイミングを合わせろ!!」

リズ「へっ!?いきなり何で!?」

岡部「いいから!!」

山賊A「お~ら……よっ!!」

岡部「今だっ!!」

とりあえずこれで後ろから来る斧は避けれるはずだ。後は……、

山賊A「ッチィ!今度は当てるつもりだったのによぉ……って、アブねぇ!!」

山賊B「誰だテメェらっ……なっ!!」











山賊B「ウグオオオオォォォォォオアアアア!!!」


山賊A「ヤッベェ、俺の斧が当たっちまった……。オイ、大丈夫か!!」

……よし!とにかく今の内に身を隠さなければっ!

岡部「リズ、このまま振り切るぞ!!」

リズ「う、うん!!」






山賊A「おい待てやゴラァ!!……ッチ、逃がしたか」








岡部「……ふぅ、撒いたか」

実際に確認しては無いが、叫び声が聞こえたと言うことはきっと上手く行ったのだろう。

下手したら敵が二人になるかもしれなかったところをやり過ごすとは、運が良かったとし言えない。

今はリズと少し離れた物陰に身を隠しているが、いつまでも安全な訳じゃないだろう。もう少ししたら移動しなければ。

岡部「……」

リズも大分呼吸が安定してきた様だ。……思ってたより体力はないのだな。

リズ「はぁっ……。オカベさん、よく右から人が来るってわかったね、私全然気づかなかったよ」

岡部「……たまたま、だろ」








……そんな訳あるか。








山賊B『誰だテメェらは……このっ!!』



ガスッ



リズ『ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!……ぁ……ぅぁ』










……あんなのが不意に頭をよぎったとは、本人に言えるわけがない。

あれはいったい何だったんだ?まるでこの後起こることが見えたかのようだった。

一つ、心当たりがあるとすれば……、

岡部「リーディング・シュタイナー、か……?」

リズ「リー……、何?」

岡部「あ、いや、何でもない」

……リーディング・シュタイナーとは少し違う気もする。仮にさっき頭をよぎった光景がこの世界での他の世界線だとしよう。

未来を予知したかのように思えたのは、まぁここと他の世界線の時間の誤差によるものだろう。おそらくあの十字路を通るのが向こうだと少し早かったのだろうが、これは今考えるべき事ではないな。

問題はこのリーディング・シュタイナー(仮)の性質だ。本来の性質は、今ここにいる俺の記憶が他の世界線の俺に移るようなものだ。

しかし、さっきのはまるで他の世界線の俺の記憶が今ここにいる俺に移ってきたかのようだ。俺が記憶の媒体となっている。

あの夏の間にこんな経験はなかった。……クソッ、初めて他の世界線を移った時みたいだ、自分に何が起きているのか全くわからない。気味が悪い。



……紅莉栖がいれば、少しは助言をもらえたのにな。

岡部「……」

早くこんな場所から出て行って、皆に会いたい。



……紅莉栖に会いたい。でも、

岡部「本当に、どうすれば……」

リズ「……ねぇ、オカベさん、そろそろ移動しない?流石にずっとここいるのも危ないと思う」

岡部「……そうだな」

そうだ、まずはこの暴動で生き延びないと。元の世界への戻り方はその後だ。






岡部「じゃあ、行く……」









山賊C「オラァ!!」

トゴッ

岡部「ヴグッ!!」

バァン

岡部「ガハッ……!!」

何だ、急に……。

蹴られた、のか?壁に当たって背中が痛い。頭が追いついていない。


岡部「ぁ……ぁ…うっヴウオオオエエエエェェェ!!」


リズ「いやっ、離して!!」

山賊A「ハァ、やっと見つけた……」

山賊D「お前はこんなのに逃げられたのかよ」

山賊A「るせぇ、黙れや」

一旦ここまで。

やっぱり今日中に全部投下します。
11時に再開します。

ハロー、1です。
10分後位に再開します。

……中々レスが付かないけど、やっぱり需要なさすぎるのかなぁ?それとも他のシリアス系ssと比べてなんか違うのでしょうか?

まぁ頑張ります。

痛い。

痛い、イタイ。

いたいイタイいたいイタイ痛い痛い痛いイタイイタイいたい痛い……!!!

全身に激痛が走る。たった一回蹴りをくらっただけで意識が朦朧とする。腹の中の物も全て戻してしまった。

岡部「くっ……ぁ……」

リズ「オカベさん!!」

山賊C「きったねぇなぁ、たった一発きめただけだろ」



山賊D「……で、この女どうするよ?ガキは趣味じゃねぇが、顔は悪くねぇ」

山賊C「なら頭の所に持ってくか?……それともここで『味見』でもするか?」

リズ「ひっ……イヤっ!!離してってば!!」

山賊C「ヒッヒ、抵抗する女ほどヤリ甲斐のあるもんはねぇな」

っ!!マズイ、マズイ!!このままじゃリズが!!

……身体が動かない。動け、動けよ!!

山賊A「……待て、どうせ頭の所に行けば女なんか腐る程いるんだ。こいつ相手にする時間があんならとっととここからズラかった方がいい」

山賊D「……それもそうだな。だったら、やるこたぁ一つだな。……ソォイ!!」

バァン

リズ「きゃっ!……いったぁ」


……おい、何するんだよ。


山賊A「そんじゃまず女の方から……」


やめろ……。


山賊A「殺っちゃいますか」


頼む、やめてくれ……。


山賊A「安心しろ、お前の頭をカチ割ってから、男の方もすぐにお前の所に逝かせてやるよ。


これ以上俺の目の前で死なないでくれ……。


岡部「ぁ……」

リズ「っオカベさん、逃げて!!」


……ぇ?


リズ「私の事はいいから、早く!!今なら……がふっ」

山賊D「ベラベラ喋ってんじゃねぇよ」


何で……そんな事言うんだよ。


リズ「は……や…く……」


山賊C「もういいだろ、殺せ」


やめろ。


山賊A「そうだな。……さぁて、行くぞぉ」


やめろ、やめてくれっ……


リズ「お……べ……」





リズ「にげ……て……」












まゆり『まゆしぃは、オカリンの重りにはなりたくないのです……』












何となく、どこかで、いつの間にか。



リズを、まゆりの姿と重ねてしまっていたのかもしれない。



岡部「ぁ……あぁ……」



……アアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!








岡部「???ー!!!」









クロム「さっきの爆発はここか!?」

フレデリク「クロム様、あちらにリズ様とオカベさんが!!」


誰かが来た様だ。……あぁ、クロムとフレデリクか。


リズ「お兄ちゃんっ!!」

クロム「リズ!!無事だったか!!……さっきの爆発はいったい何だ!?」

リズ「……」


リズに続いてクロムとフレデリクもこちらを見る。

そうか、そうだよな。

この爆発は、俺が引き起こしたのだろう。

正直記憶があやふやだが、左手に光るこの『魔道書』が全てを物語っている様に思える。


クロム「オカベ、大丈夫……」






岡部「なぁ、クロム」






岡部「俺も、人殺しになっちまったよ」




いや、

俺は既に何度も人を殺していたな。



まゆりを救うために、


まゆりを何度も見『殺し』にし、

鈴羽の思い出を『殺し』、

フェイリスの父親を『殺し』、

ルカ子の想いを『殺し』、

紅莉栖を見『殺し』にした。





再び紅莉栖を救うために、



紅莉栖を殺した。




誰かを救うためには、誰かを犠牲にしなければいけない。

その事は俺が良く知っていただろうに。




だからリズを救うために、あの山賊共を殺したのだろう?


岡部「……俺は、早く自分の居場所に戻りたい」


例え、人殺しの俺がラボメンの皆に拒絶されようとも、


岡部「戻りたいんだ……」


まだ俺の世界線漂流は終わってはいない。

まゆりも紅莉栖も既に救った。

だから今度は、《俺》が、俺自身のために、俺自身を救うために行動しよう。



岡部「俺はこの世界について何も知らない」



フレデリク「……」



岡部「まだお前らに聞きたい事がたくさんあるんだ」



リズ「……」



岡部「だからそのために、まずこの暴動の鎮静に協力しようと思う」



クロム「オカベ……?」










岡部「違うな」




さあ、また仮面を被ろう。



岡部「それは俺がこの世に潜むための《仮の名》だ」



深く、深く。



岡部「俺はこの世を変革し、世界の混沌を望む狂気のマッドサイエンティスト」



誰にも、俺の想いを気づかせないように。







岡部「我が名は」












岡部「《鳳凰院凶真》」












Steins;Gate × ファイヤーエムブレム覚醒

数直線上のラビリンス

以上です。

訂正 >>93 >>94
まゆり『……重りには……』

まゆり『……重荷には……』

岡部「???ー!!!」

岡部「ーーーー!!!」

自分が妄想してたのはここまでで、これから先はノープランです。応援してくださる方がいるなら、できる限り頑張ります。
感想、直すべき箇所があったらなんでも言ってください。その方が嬉しいです。

それでは次の投下までさようなら。

こんばんは、1です。

……ファイ「ア」ーエムブレムですか、はい。すみませんでした。

11時過ぎに少し投下します。序章は今日で終わりですので、どうかよろしくお願いします。

こんばんは、1です。

……ファイ「ア」ーエムブレムですか、はい。イラって来た方には大変申し訳ないです。

11時過ぎに投下します。今日で序章は終わりですので、どうかよろしくお願いします。











岡部「……ここら辺は大方片付いたか」

クロム「オカベ、怪我はないか?」

岡部「問題ない。後、俺は岡部ではない、鳳凰院凶真だ」

クロム「あ、あぁ。すまない」

この町で暴れている山賊共の数もだいぶ減ってきたな。後はあいつらのリーダーを無力にすればここから引いてくれるはずだ。


……余裕が出来たところで今ある情報を少し整理して見るか。

この世界では《魔法》と言う物が本当に存在する。リズから簡潔に説明してもらったが、これは誰もが使える物では無いらしい。

どのような人間が適性を持つのかは知らないらしいが、扱える魔法の種類なども個々によって違うらしい。

実際、試しにリズの杖を使って見たが俺にはただの棒切れだったし、またリズには俺の持つ魔道書はただのきたない本だそうだ。

魔道書と杖にも様々な種類があり、それぞれまた違った効力があるみたいだ。

因みに俺が今手にしているのは《サンダー》を唱えるための本、らしい。

……ただ、リズには《サンダー》で先程の様な爆発を起こすのはあり得ないと言われた。

本来、《サンダー》は対象を感電させる様な魔法で殺傷能力はそれほど無いらしい。使い道としては対象の動きを鈍らせる程度のものだとか。

しかし俺の場合、感電どころではなく、巨大な雷を落とし、それによって爆発まで引き起こしている。《ギガサンダー》とかいうのに匹敵するようだ。

これは俺の素質、いわゆる《魔力》が常人と比べて異常な程高いからではないかという結論に至った。

……それが本当だとすれば、実にいい。俺がいかに常識外れでマッドかを体現しているかのようだ。


フレデリク「クロム様、賊が数人こちらに向かってきてます!」

クロム「そうか。……キョーマ!」

岡部「先程と同様に行く!クロムとフレデリクは前衛、俺とリズは後衛で支援に徹する!……行くぞ!!」



岡部「 ……《サンダー》!!!」



魔術書が金色に光り輝く。魔術の行使もだいぶ慣れてきたな。後はあの少し離れた大群に目掛けて……



岡部「ふんっ!!」






ドォン!!

「うぉっ!!」

「なんだ今のは!!」





岡部「よしっ、突っ込め!!」

クロム「行くぞ!!」

フレデリク「了解です!!」

今の攻撃で奴らを全滅にできるとは思ってはいない。だが、不意を付けば奴らを混乱させる事は出来る。後は前衛の二人に任せるだけだ。


クロム「でやぁ!!!」

フレデリク「ふんっ!!」


クロムもフレデリクも凄い腕だ。日頃から戦い慣れているだけあって、素人の俺から見てもあの二人は強いのだろうと人目見てわかる。周りの山賊が次々に倒れていく。


リズ「何か……今までにない位簡単に事が進むなぁ」

岡部「クククッ、当たり前だろう。この鳳凰院凶真の策だぞ、うまくいかないはずがないっ!……フゥーッハハハハハハァ!!!」

リズ「ちょっ、いきなり叫ばないでよオカベさん!」

岡部「だから、俺の名は鳳凰院凶真だっ!」

リズ「うぅ……何だかなぁ」

どうやらリズは俺に畏怖を覚えた様だ、実に気持ちがいい。今までそんな奴はあの小動物位しかいなかったからな。


……それはそうと、やはりリズの口振りからもわかったが、この団は今までこれと言った策もなしに活動を続けていた様だ。これでは個々が強くても効率が悪いのだろうに。

まぁこんな素人の俺が考えた策がこうも簡単にハマるとも思わなかったがな。案外俺は軍師に向いているのかもしれない。


……ライネットじゃフェイリスや紅莉栖にコテンパンにされた記憶しかないが、まぁ関係ないだろう。


さて、そろそろ戦いに集中するか。



グッ







ドクンッ




岡部「……フレデリク、右から来るぞ!!」

フレデリク「っ!せぇい!!」

「ウグォッ……」

「グハッ!!」


見事な槍捌きだ。奇襲をかけてきた奴も見事に吹っ飛ばされている。

……今までの戦闘でわかった事がもう一つ。

どうやらこの魔道書によって俺は新たな力を得たようだ。

おそらくリーディング・シュタイナーの派生系だが、この状況下においては実に使える。

リズ「凄い、また当たった……。どうして……?」

岡部「まさか他の世界線の記憶を引き出せるようになるとはな。……ククッ、魔眼《真理の探求眼/インフィニット・オブサーバー》とでも名付けよう……っと」

リズ「オカベさんっ!大丈夫?無理しないでよね?」

岡部「凶真だ。……問題ない、少し目眩がしただけだ」


欠点としては今みたいに疲労が結構来る事だ。まぁ、当たり前か。膨大な情報が一気に頭に入るのだ、脳に相当な負荷がかかるはずだ。



リズ「……ねぇ、私にも手伝える事ない?」

岡部「無いな。お前にはこの暴動が収まった後、負傷している者の傷を直してもらいたい、だから今はここで俺と待機していろ」

リズ「でも、私だって自警団の一人なんだよ!」







岡部「……別にいいではないか。お前にはお前の役割があるんだ。危険な目にも合わないし、その方がお前にとってもいいだろう?」

リズ「……っ」






何だ、何も間違ってないだろう?リズは戦力を持たない、飽くまで治療に徹するべき者だ。……何でこんなに悔しそうにしているのだろうか?


岡部「……向こうも落ち着いてきてるな、リズ、行くぞ」

リズ「……うん」


……まぁ、こいつにも何か思うところがあるのだろう。











町長「町を救ってくださり、ありがとうございました。この恩をどう返せばいいのやら……」

クロム「いや、自警団として当然の事をしたまでだ。最悪の状況にならなくて良かった」


あの後も何の支障もなく、無事山賊共を鎮圧する事が出来た。被害も最小限で済んだようだし、これで良かったのだろう。

気になるのは、奴等のリーダーが姿を現さなかった事だ。逃亡した可能性もあるかもしれないと言うから、今フレデリクが近くを探し回っているのだが……。

フレデリク「クロム様」

クロム「フレデリクか。どうだ、見つかったか?」

フレデリク「それが……」

岡部「どうしたんだ?まさか、何かマズイ事でも……」

フレデリク「いえ、そうではないのですが……。捕らえた賊の一人を問い詰めたところ……」

クロム「……何だ?」




フレデリク「……どうやら、他の賊と一緒になって私達に襲いかかってきたようで、既に戦死しているのではないかと」




……。



岡部「……あの中で、奴等を統べるべき者が一緒になって騒いでいたと?」



フレデリク「……はい」



クロム「それで、既に俺たちが殺してしまったのではないかと?」



フレデリク「……仰る通りです」



クロム「……」

岡部「……」




……いや、馬鹿だろそいつ。


リズ「お兄ちゃん」

怪我人の世話をしていたリズが戻ってきた。……少し表情が暗いな。

クロム「リズか、治療の方は終わったのか?」

リズ「うん。皆たいした怪我もなくて良かったよ」


クロム「そうか、よかった。お前も怪我はしてないな?」

リズ「……うん」



フレデリク「そうですか、リズ様に何かあられては大変でしたので、よかったです」

リズ「……」



黙り込む。……さっきもそうだが、何かあるのか?


クロム「リズ、どうかしたのか?」

リズ「あっ、その……。どうして、こんなひどい事が出来るんだろうって……」



フレデリク「……どうやら、あの賊共はペレジア国から流れてきたそうです」

また新しい固有名詞が出てきた。

岡部「ペレジア、とは?」

フレデリク「ここの西にある隣国です。ことあるごとにイーリス国で悪事を働いているんですよ」

クロム「最近あった暴動も殆どペレジアの奴等によるものだ」

岡部「ふむ、成る程」


どうやらお隣さん同士仲が悪いようだ。この様なことが何度もあるということは、よっぽどなのだろう。

町長「ところでクロム様、もう遅いですし今夜は泊まっていかれませんか?」

クロム「……いや、それには及ばない」

町長「しかし……」






クロム「ここではできない話もあるのでな」






クロム「いいよな、……キョーマ」







リズ「……」





フレデリク「……」





岡部「……」










岡部「……あぁ、そうしよう」

俺も、聞きたいことはまだ沢山あるんだ。

以上です。

……ゲリバちゃん、ゴメンね(笑)
ボス戦考えるのめんどくさかったんです。

というか、一瞬にしてオカリン調子乗り過ぎですかね?何か違和感有ったら教えてください。微調整します。

……なんやかんやだいたい毎日更新しちゃってますね。まぁずっとこのペースは無理だと思いますけど、頑張ります。

質問感想等あったら書いてください、それでは。

ででーん、1です。二日ぶりですね。

11時にほんの少しだけ投下しますので、どうかよろしくお願いします。

今日から第一章です。











イーリス城、西の森。今はクロム達の拠点に戻っている最中。もう夜中というのもあってあたりは暗く、秋葉原と違って足場が悪くて少々歩き難い。

道中、俺はクロム自分の置かれている状況について話した。と言っても、俺自身わからないことがまだ沢山ある。あまり上手い説明が出来たとは思えない。

クロム「……今の話が本当なら、キョーマが混乱するのも無理はないだろうな」

リズ「他の世界から来たとか、未来が見えるとか、凄いね……」

フレデリク「……ますますあなたが何者なのかわからなくなって来ました。頭が痛くなる様な話ですね」

岡部「それに関しては俺も同意する。どうしてこうなったのかがサッパリだ」

とは言っても、説明したのは『今』置かれている状況のみだ。世界線漂流や、リーディング・シュタイナーの細かい説明などはしていない。……こいつ等に説明する必要も無いだろうしな。

クロム「それで、これからどうするんだ?」

岡部「町でも言ったと思うが、俺はこの世界について何も知らないのだ。少しでも情報が欲しい……そこで俺から提案、いや頼みがある」










岡部「今後、クロムの自警団の活動に同行させて欲しい。お前等居れば、何か帰る方法がわかるかもしれないしな」



クロム「……」

……無理があるだろうか?実際こいつ等から見れば俺はかなりの不審者だ。そう安々と承諾できる話では無いだろう。

岡部「……ダメか?」

クロム「……いや、むしろ此方からお願いしたい。是非とも俺たちと一緒に来てくれ」

岡部「……そう来るか」

フレデリク「しかし、クロム様。相手の正体がわからない以上、その判断は些か早計な気も……」

クロム「そう言うな。キョーマは俺たちに力を貸してくれたんだ。なら俺はキョーマを信じる」

フレデリク「……」

岡部「……ほう」


会ったばかりの不審者をここまで歓迎するとは予想外だ。

岡部「ククッ、随分とお人好しだなクロムよ。フレデリクの判断の方が懸命に思えるぞ」

クロム「そんな事はない。お前はさっきの暴動で命も危ないにも関わらず協力してくれた。それだけで充分信頼に値する。……そうたよな、リズ?」

リズ「うんっ!さっきは助けてくれてありがとね、オカベさん!」

岡部「凶真だ」

リズ「もう……何で名前変えちゃうのかなぁ」

フレデリク「……はぁ、わかりました。お二人がそう仰るのならそれで構いません」

岡部「では、契約成立だな」


フレデリクはまだあまり納得していない様だか、後の二人は歓迎してくれるみたいだ。……怖い位に上手く話が進んだな。

大きな高笑いを上げたい所だが、流石に夜は自重しよう。

岡部「フフッ、これも運命石の扉の……」



フレデリク「但し」



……む、まだ何か言うのか。

岡部「どぉしたフレデリクよ、貴様の敬愛する団長様の許可を貰ったのだぞ、んん?この後に及んでまだ見苦しい事を……」





フレデリク「この自警団で行動を共にする以上、必要最低限の体力、及び体術を身につけてもらいます」







岡部「んな!?」



クロム「それもそうだな」



岡部「はいぃ!?」



リズ「まぁ確かにそうだね」



岡部「ちょっ!?」



リズまで!?何だこいつ等は!いきなり手のひらを返すような発言をしやがって!クソッ、四面楚歌とはこの事かっ……!


岡部「お、俺は狂気のマッドサイエンティストだぞ!このIQ170にもなる灰色の脳細胞さえあればいいのだ、そんな野蛮なものはいらん!」

フレデリク「しかし、貴方の体力の無さは今後の活動を支障をきたす程です。流石にこの位はしていただかないとこちらも困ります」

岡部「俺がいつ貴様等にその体力面において迷惑をかけたのだっ!」








フレデリク「この道中、貴方の休憩の為に何度足を止めたと思っているのですか!!」

岡部「うぐっ」

フレデリクめ、言ってはならん事を……!何かクロムまで後ろの方で溜息ついてやがる。


岡部「そ、そんな事言ったらリズだって何度もバテていたでは無いか!」

リズ「……私みたいなか弱い女の子と比べないでよ、オカ……キョーマさん」

フレデリク「いい加減見苦しいですよ。……キョーマさん、だいたい貴方は私達の中で一番年が上なのですから、もう少ししっかりなさっても……」



岡部「俺はまだ18だっ!!」



クロム「は?」


リズ「え?」


フレデリク「はい?」


岡部「……」



……もうやだこいつ等。


クロム「……まぁ、その、何だ、諦めろ。俺も協力してやるから」

リズ「わ、私も応援するからね!」

フレデリク「今からならいくらでも鍛えられますよ。その……若いのですし」

岡部「っええい、その信じられないものを見るかの様な目はやめんか!!……わかった、条件を呑めばいいのだろう!?」

クソッ、こいつ等め。今に見てろよ。但しフレデリク、貴様はもう許さん、この機関の手先め!


いいだろう、やってやる。これも運命石の扉の選択だと言うのならばなっ!







……そんなに老けてるか、俺?

以上です。多分明日も投下します。

そうそう、もう少し先になりますけど、支援会話について少し相談があります。

各キャラとオカリンの支援会話を小話枠としてたまにいれていきたいと思ってます。内容によってストーリーに変化が起こるとかはないですが、普段の会話とかで少し仲良さげにしている様な描写が入るかもしれません。

女性との支援会話も、1の独断でフラグが立ったり立たなかったりするかも。但し、 回 収 は 絶 対 に しませんのでご了承下さい。

そこでなんですけど、

?全キャラ頑張る
?一部キャラは安価で決める
?そもそも支援会話いらない

どれがいいですかね?
感想と一緒に意見も下されば1は喜んだりします。

ばばーん、1です。こんばんは。

どうやら支援会話は皆やって欲しいそうなので、とりあえずC支援は必ずやる様にはします。ただかなり大変だと思うので、B以上は安価でいいですか?

まぁまだ先の話ですけどね。11時過ぎに続きいきます。











『オカベさん』


……ん?


『聞こえていますか、オカベさん?』


何処からもなく声が聞こえる。誰だ、俺に呼びかけているのは?と言うか、ここは……!!!




辺りを見渡すと、そこには悲惨な光景が広がっていた。


燃え上がる炎。


枯れ果てた草木。


……人の死骸もあちこちに転がっている。


岡部『ぅぷっ』

慌てて口を抑える。流石にこの数の死体を見て平静を装っていられない。

岡部『何だよ、これ……』



『ここは貴方のいる世界の少し先の未来』


『邪竜・ギムレーが蘇り、人々から《希望》と言うものを奪い去った、絶望の未来』



岡部『……』

言葉が出ない。これがこの世界の末路だと言うのかよ。ディストピアより酷いではないか。

……だったら尚更元の世界に戻る方法を考えなければ。俺はこんな世界で生きる事など、望んでいない。

岡部『だったらなんだと言うのだ。より一層、元の世界に戻りたくなるだけだな。というか、貴様は一体……』











『お願いです、オカベさん』






『この世界を救ってください』








……は?


岡部『貴様、何を……』


『私は今まで、数多くの世界を最後まで見届けて来ました』

『しかし、どれも結果は同じでした。絶望に呑まれてしまいます』

岡部『……そいつは残念だな。俺はそれより貴様が何者かを知りたくなってきた』

世界の構造が如何に無慈悲で、残酷かは俺が良く知っている。



《アトラクタフィールドの収束》



こいつをどうにかしない限り未来を変える事なんて出来やしない。

それより、世界を見届けてきた、だと?こいつも俺と同じ《観測者》なのか?


『そんな最中、貴方がこの世界にやってきた』

岡部『……っ』

『私は貴方を知っています。自分の大切な者を守るために、己の信念を貫き、世界を欺いた《孤独の観測者》』

『貴方が協力してくだされば、きっとこの世界にも平和な未来が……』





岡部『ふざけるなっ!!』

未来を変えるのを手伝え、だと?何故俺がそこまでしなくてはならない!!

岡部『お前は未来を変えることがどれだけ残酷な事だかわかっているのか!?どれだけ辛い事なのかわかっているのかよ!?』


『……』

岡部『未来は決して変えてはならない、その結果がどれだけ残酷でも受け入れるしかないのだ!!それがあの夏で俺が学んだ事だ!!』



『……私は、この世界でも何度も見てきました』

……何なんだよ、こいつは。

岡部『……これだけ言ってもまだ何か言うつもりかよ』








『望まぬ運命を変える為に、大切な者の命を守るために戦っている人を、何度も』


『貴方の様に』


岡部『……っ!!』


『その人自身が何度も同じ事を繰り返している訳ではありません。しかし、どの世界に置いてもその人は同じ過ちを犯し、最期に散ってしまいます』


『そんな彼女を、もう私は見てられません』


岡部『……』

……そんな馬鹿が、俺みたいな馬鹿が、この世界にもいるって言うのかよ。

いや、だから何だって言うのだ。俺の目的は元の世界に戻る事だ。それ以外に興味はない。あってはならない。


『貴方はこの先、彼女と関わっていく事になるでしょう。彼女が苦しんでいる様子も見る事になるでしょう。その時は、どうか……』


岡部『……』










『どうか、貴方の手を差し伸べて、彼女を救ってください』











紅莉栖『貴方はどの世界線にいても一人じゃない』





紅莉栖『どの世界線でも、私はそこにいる』










岡部『……っ』


『岡部倫太郎さん、どうか、どうか彼女を……』


『……ーーーを、救ってください』


『貴方がこの世界の、彼女の《希望》となるのです』




『ですから、どうか……』











岡部『……何なんだよ、いったい』





……その言い方は、卑怯だろうが。











フレデリク「キョーマさん!!」


岡部「……っ」


ここは……?


……そうだ、確か俺たちは森の中で一晩過ごすといって寝ていたんだ。

……夢を見ていた気がする。とても大切な、何かの夢を。はて、何だったか。

まぁ思い出せない様だし、実際は大した事ではないのだろう。夢の内容程どうでもいいものはないしな。


そんな事より……、

岡部「貴様、俺の睡眠を妨害するとはな。やはり機関の……」



フレデリク「寝ぼけてないでください!クロム様とリズ様がいないのですよ!!」

岡部「なっ!!」



慌てて起き上がる。確かに二人の寝袋は空だ。


岡部「何故だっ!確か交代で見張りをしていたはずでは……」

フレデリク「私の次にクロム様の見張りでしたので、その後の事はわからないのですよ!……それより、今すぐ支度してください、お二人を探しますよ!!」

岡部「わかった、待ってろ!!」

一体何があったと言うのだ。二人で一緒に行動しているなら、クロムがいるし大丈夫だとは思うが……。考えても仕方ない。

岡部「……よし、何時でも行けるぞ!」

フレデリク「乗って下さい!」

フレデリクの馬に跨る。こいつは馬の中でもかなりデカくて力があるらしく、重騎士であるフレデリクにはかなりいい馬らしい。

フレデリク「行きますよ、しっかりと捕まって下さい!」

岡部「わかっている!」








しばらく走り回ったがが、どうもあの二人の気配がしない。この森も広いとは言え、クロム達の移動手段は徒歩のはず。そんな遠くに行ってるとは思えないが……。

岡部「まさか、本当に何かあったんじゃ……」

フレデリク「キョーマさん、冗談でもその様な事を口にしないで下さい」

岡部「……そうだな、すまない」

こいつも内心かなり焦っているに違いない。発言に気をつけるべきだったな。


岡部「しかし、……何か森の様子が変ではないか?」

フレデリク「……確かに、少し騒がしい気もしますね」

ううむ、何かとてつもなく嫌な予感がする。クロムもリズも無事だといいのだが……






ドドドド……






フレデリク「ぬぅっ!」

岡部「うおっ!地震!?」

結構大きかったな。危うく振り落とされる所だった。……このタイミングで地震?偶然なのか?


フレデリク「……!!何ですか、あれは!!」

岡部「うん?……なっ!!」









岡部「何だ、あれは……!!」








遠くからでもハッキリとわかる程の、巨大な魔方陣。







それが空に佇んでいる。







岡部「くそっ、フレデリク!!」

フレデリク「わかってます!!振り落とされないで下さいよ!!」

馬を加速させる。とにかくあそこで何かが起こっている、急いで向かわねば……!

やはりどうにも嫌な予感がする。今はとにかく、大事になってない事を祈るしかない。


以上です。

オカリンは、本当は誰に対しても優しく、お人好しな性格ですが、今は心を殺して極力元の世界に帰る事だけに専念しています。

そんな彼が今後FE世界の人と接して行く内にどう心情が変化して行くのかもできれば描写していきたいです。

そんな文章力が1にあれば、ですけど。

感想お待ちしてます。それでは。

ども、1です。

土曜日に投下するとか言いましたけど、やっぱり今日投下します。投下量も今までと変わってません。

多分8時過ぎ、無ければ11時過ぎになりますのでよろしくお願いします。


岡部「……!フレデリク、二人ともいたぞ!!」

フレデリク「クロム様!リズ様!」

少し先にクロム達が見えてきた。急いで駆け寄る。

リズ「二人とも!」

クロム「フレデリク!キョーマ!無事だったか!?」

これで何とか見つける出来た。二人とも無事の様だし、ひとまず安心だ。




……あの空に浮かんでいた魔方陣の様なものは既に消えてしまった。結局あれは何だったんだ?



フレデリク「クロム様!勝手に何処かへ向かわないで下さい、本当に心配したんですよ!?」

クロム「それについては謝る。だが今はそれより……くそっ、またこっちに来た!」





ザッ…





「アァ……ァ…」





岡部「ひっ!」

な、な、ななな何だこの化け物は!!ゾンビみたいのが武器持ってるぞ!!


岡部「こ、この世界にはこんなのもいるのかよ!?聞いてないぞ!?」

クロム「いや、俺をこんなのを見るのは初めてだ……ふんっ!」



ザシュッ



ゾンビ「アアアアァ!!……ァァ…」



ゾンビが倒れる。それと同時に不気味な色をしたガスを発しながら蒸発して行く。

クロム「俺もこの状況に混乱しているんだ。何せ、いきなりこいつ等が大量に湧き出たのだからな……」

岡部「へ……?」

辺りを見渡してみる。





「アァ……アアアアァァァ……」





「ウオオオォォォ……!!」





岡部「……マジ、かよ」

どうしろと言うのだ、これ……。正直こういうグロいのは苦手なのだ、勘弁して欲しい。

クロム「とにかく、放っとく訳にもいかない。少しでもこいつ等の数を減らさなければ」

リズ「うぅ……さっきの人、大丈夫かなぁ?」

岡部「さっきの人?」

俺たちが到着する前に誰かいたのか?


クロム「さっきリズがこいつ等に襲われた時に助けて貰ったんだ。ただ、その後何処かへ消えてしまってな」

リズ「ねぇ、岡部さん。あの人にまた会えないかな?まだお礼も言ってないし……」

正直今にでも逃げ出したいのだが、この状況をどうにかしなければ先にも進めない。

それにリズを助けたとか言う人間も少し気になる。この事態で颯爽と現れてすぐ姿を消すなど、何か臭う気もするしな。






……腹をくくるしかない様だな。


岡部「……ここは森、しかも夜だ。単独行動は危険すぎる。かと言って四人で行動するのもな。そうだな、二人組……リズとフレデリク、クロムと俺で別れて行動しよう」

岡部「未知のものを相手するのだ、絶対にこの二人で行動する様心がけろ」

クロム「やるんだな、キョーマ……!」

リズ「わかった!」

フレデリク「承知しました」

岡部「目的はこのゾンビ共の排除、及びリズを助けたとか言う奴の捜索だ。但し、身の危険を感じたらすぐに撤退しろ。状況が状況だ、無理だけはするな」

クロム「……やはり、キョーマを自警団に入れて正解だったな。お前は実に優秀な『戦術師』だ」

岡部「ククッ、見る目がある様ではないか、クロムよ。そうだ、俺を誰だと思っている」

さて、日をまたがぬ内にまた戦闘か。これは中々ハードだな。……やるしかない、元の世界に戻る為にも……!





岡部「では、行くぞ」















岡部「はぁっ、はぁっ……っ!クロム、左から2体来るぞ!!」

フレデリク達と別れてどれだけ経っただろうか。

クロム「っ!!ハァッ!!」

俺の指示を聞いて、空かさず右へ交わして、出てきた敵をなぎ払うクロム。


ゾンビ「ヴオオオオォォォオオ!!」


クロム「くそっ、次から次へと……!キョーマ、どうする!?キリがないぞ!?……ぬっ!!」


ガキンッ


クロム「っ!でやぁ!!」

岡部「大丈夫か……!?くそっ、こっちにも来たか!!」


クロムは四方から振り下ろされる斧を凌ぐのに精一杯だ。

俺も奴らからの攻撃から逃げるのに必死で、魔法を唱える余裕がない。



いや、俺に余裕があったとしても魔法は『使えない』。



くそっ、どうすれば……。



岡部「クロム、このままでは押し切られる!!とりあえずここから逃げるぞ!!」

クロム「わかった!だが、何処に向かうんだ!!」

岡部「とにかくこの森の中でも開けた場所を探す!!一旦そこで態勢を整えるぞ!!」


後手に回っては俺たちの体力勝負になる、それだけは絶対に避けなければ。最優先すべきは身の安全だ。

幸い、奴らの動きはそう機敏ではない。俺でも全力で走れば追いつかれる事はないだろう。



……よし、右からは敵は来ないな。



岡部「……走るぞ、こっちだ!!」

クロム「おう!!」





















クロム「はぁっ……大丈夫か、キョーマ?」

岡部「ぜぇっ、ぜぇっ……あぁ、何とかな」

クロム「……しかし、こんな所があったとは知らなかったな」


だいぶ森の深い所まで来た。

ゾンビ共から逃げ出して、見つけたのはこの寂れた砦だった。今はクロムと二人で息を潜めている。

かなり助かった。正直俺の体力はもう限界に近かったから、何処かで体を休めたかったところだった。


クロム「……リズ達は無事だろうか?」

岡部「……フレデリクが着いてるのだし、大丈夫だろう。いざとなったら馬に乗って逃げるだけの起動力はあるはずだ。……それより、すまないな」

FEやったことないんだけど技巧兵みたいな職業ってないの?
オカリンなら発明でもそれなりに戦えそうと思ったけど


クロム「何だ、いきなり?」

岡部「俺が魔法を使えないが故に、お前ばかりに負担を掛けている。これでは俺が完全にお荷物だ」

クロム「……いや、気にするな。キョーマは魔法を使い始めてまだ一日も経っていないしな」

岡部「……そうは言ってもだな」



魔法を発動させようと思えば何時でもできる。あのゾンビ共を蹴散らすのも造作も無いだろう。

しかし、今回は場所が悪かった。ここは森だ、もし俺が《サンダー》を放ちでもしたら、間も無くここは火の海となるだろう。

クロムが言った通り、俺はまだ魔法を使い始めて一日も経っていない。まだ周りに被害を出さない様に威力を調整する技術が無いのだ。

開けた場所を探していたのは、視界をよくすると言うのもあるが、何よりこのままでは俺がただの役立たずになるからだ。






……体力も回復してきたし、そろそろだな。



岡部「……クロム、準備は出来てるか?」

クロム「俺は何時でも行けるぞ」

岡部「フンッ、貴様の威勢の良さは賞賛に値するな。……ならば、この砦を出るぞ」



外を覗いてみる。



岡部「どうやら、俺たちは既に囲まれてる様だしな」





「……アァ」



「オオオオォォオォオオ!!」



「ギ……ギ…」




辺りが暗い為正確な数はわからないが、目視だけでも6、7体はいるな……。恐らく奥にまだたくさん控えているだろう。

クロム「……どうする、キョーマ」

岡部「言わなくてもわかるだろう。やるしか道は無い」

クロム「それもそうだな」



これだけのゾンビに囲まれても、何処か落ち着いている自分がいる。



早くも今の環境に慣れてしまったのか。








もしくは、早くも心が磨り減ってきてるのか。




岡部「クロム、先程は迷惑を掛けた。ここからは俺も力を貸させてもらう」



クロム「期待してるぞ、キョーマ。……背中は預けた」



岡部「任せろ、俺を誰だと思っている。……お前も、頼んだぞ」



クロム「あぁ」



俺自身、前線に出るのは初めてだ。でも、やるしかない。



これはゲームでも無い、遊びでも無い。生きるか死ぬかは自分の行動に掛かっている。





やり直しは、効かない。





あの夏とは、違うのだ。














岡部「クロム、生きるぞ」



クロム「……行くぞ!!」










まだ、夜は長い。


以上です。

訂正
>>180
リズ「ねぇ、岡部さん。……」

リズ「ねぇ、オカベさん。……」

次回はちゃんとした戦闘を描写していきたいです。……一人称視点で戦闘描写ってどうやるんだろ?まぁ、頑張ります。

感想等ありましたらお願いします。

じゃきーん、1です。こんにちは。

今晩投下します。8時過ぎまたは11時過ぎですのでよろしくお願いします。

>>187
ないですよ、あったらそれはそれで面白そうです。
ただ、まぁ……オカリン、発明のセンスないじゃん?未来ガジェットを見てもわかると思いますけど(笑)






クロム「ウォォォォオオオオオ!!!」





ゾンビの群れに斬りかかるクロム。

今はあいつの腕を信じるしか無い。あいつをサポートできる程の余裕は俺に作れそうにないだろうしな。

……むしろ、心配すべきは俺自身の方だ。


岡部「《サンダー》!!」


魔道所が黄金に輝く。後は敵に向けて放つだけだ。気を引き締めなければな。

手始めに……前方から来る奴らに向けて……!


岡部「ハァッ!!」



ドォン!!



岡部「……よしっ」

2、3体に命中した。魔法は使える、威力も落ちていない。敵も蒸発している。

岡部「次は試しに……フンッ!!」



ドォン!!


ドォン!!



岡部「っと……、連発は控えた方がいいな」


これは負担がかかりすぎる。《真理の探求眼》も必ず使う局面がくるはずだ、無理は絶対にしてはならない。



「ァァァァアアアアア!!」

岡部「次は左からか!!」


ドォン!!



「イイイィィイイ!!……ァァ」

岡部「右っ!!」


ドォン!!



岡部「はぁっ、はぁっ……」


ドォン!!



「ガ……ァ…」

「ウゴオオオオオォォォォ!!」

岡部「……くそっ、キリがない!!」


敵は四方から迫って来る。俺はクロムの様に近距離の相手を凌ぐ術はない。だから、俺は相手の攻撃範囲に決して入ってはならない。


全ての敵を、こちらに近づく前に倒す。


俺に求められるのは、攻撃を全て当てる正確さだ。


ミスは、許されない。




……俺にできるのか?

岡部「っ……弱気になるな」

自分で言っただろう、やるしか無いのだ。生き延びるにはこれしか無い。




ダッダッダッ


「ガアアアアアアアア!!」




何だ!?一体だけ異常な速さで迫ってくる。とりあえず動きを止めなければ!


岡部「ダァッ!!」



ドォン!!






「ァァァァァアアアアアアア!!」


岡部「……なっ!!」

止まらない、むしろ距離を縮めてきてる!

岡部「外したのか!?くそっもう一発っ!!」



ドォン!!



頼む……。


岡部「はぁっ、はぁっ……」

近づいてくる様子はない。当たった……みたいだな。

マズイ、どんどん敵の数が増えてきてる。疲れも出てきたし、このままでは押される。


……《真理の探求眼》を使うか?流石にこれ以上距離を詰められると危ない。しかし、俺はこれ以上負担掛けても持つのか?

「ギ……ギャ…」

また何体かこっちに来てる。……もう迷ってる場合じゃないな。





グッ



ドクンッ


岡部「……っ!!がぁ!!」

やはり魔法を使う時の負担と比べものにならない位キツイ。今までの疲れもあってか、足元がふらつく。

岡部「だがっ……これで《思い出せる》……っ」

前後左右、どの方向からどのタイミングであのゾンビ共が来るのか。他の世界線の記憶を《思い出し》ながらなら、いけるはずだ。

岡部「頼む、持ってくれ……」

俺が力尽きる前に、こいつ等を排除しなければ……!

まだ、イケるはずだ。








岡部「ァァァァァアアアアアア!!!」




ドォン!!



「ギギギェェェエエエ……ェ」



痛い。



ドォン!!



「…………ァ………」



頭が割れそうだ。



ドォン!!



「ウガアアアアアアァァァァ!!」



岡部「……ぁ………ぁ」



魔法を使う度に視界が歪む。足が震える。吐き気がする。



いっそ死んでしまった方が楽ではないのかと思ってしまうほど、辛い。




……それでも、俺はまだ死ぬ訳にはいかない。



岡部「……」



まだ壊れる訳にはいかない。



岡部「……っ」



ドォン!!



そうだ、俺はまだ壊れない。

元の世界に戻るまで、壊れてはいけない。




どれだけ辛くても、逃げ出したくても。



岡部「……ぁぁ!!」



ドォン!!



今までラボメンの為に、何だってしてきただろ。

もうちょっと、俺が頑張ればいいだけだ。



岡部「帰るんだ……」

元の世界に。



岡部「……だからっ」



待っていてくれ、紅莉栖。

まだ、お前に言いたい事は、沢山あるんだ。












フラッ










岡部「……ぇ」



ドサッ



岡部「……」



何だ、体が動かない。

あぁ成る程。肉体的にもう限界だったんだな。こればかりは気合いじゃどうにもならないからな。




ザッザッ


「…………ァ」



ゾンビが一体近くに来ているのだろう。首を回して確認なする事すら出来ない。



結局、死ぬのか。



クロムたちに見込まれたところで、魔法を使える様になったところで、



結局俺は、ただの大学生にしか過ぎなかったのだろう。



岡部「……はは」



すまない、みんな。

もう、会う事はなくなるだろう。



クロム「キョーマ!!」

クロムか。この距離だと間に合わないのはわかっているだろうに。まぁあいつは大丈夫だろう。きっと生き残るはずだ。




……俺のすぐ横に、何かいる。ここまでか。



みんな、幸せになってくれ。



俺はお前等の人生を踏みにじってきたんだ。



俺には幸せになる権利など、ないんだ。



だから、せめて、《シュタインズ・ゲート》で、



笑って生きてくれ。












……紅莉栖。



あの時の、お前の言葉。最後まで聞きたかったよ。




目を閉じる。後は殺されるのを待つだけだ。










……。







……。







……?



何も来ない。

もう既に俺は死んだのか?




「ガ…………ァ……」



ドサッ



俺の前で何かが倒れこむ。

目を薄っすらと開いてみる。



……ゾンビだ。首に何か刺さっている。






……矢、なのか?



「クロム団長!!」

「それと、キョーマ君、だったかな?……生きている様だね」

クロム「お前、どうしてここに!?それと、誰だ……?」



何だ、誰か、来たのか?



「おっと、失礼。挨拶が遅れたね」












ヴィオール「ヴィオールだ。力を貸そうじゃないか、貴族的にね」



ソワレ「ボクも加勢します、ご指示を!!」










以上です。……どうでした?

戦闘描写なんて想像した事ないですし、自分で書いてても結構違和感が……。何か変な箇所があったら教えてください。

では、また今度。

てってれ~、1です。3日ぶりですかね?

ネタが尽きかけ、忙しいというのもあって中々筆が進まなくなって来ました。これから少しずつ投下感覚が開いていくと思いますのでご了承ください。

取り敢えず11時に少しだけ投下。


ヴィオール「大丈夫かい?随分と無理をしたみたいではないか」

岡部「……すまない、恩に着る」

俺は今、ヴィオールと砦の中で身を潜めている。殺されそうになった所を救ってもらい、その上動けなくなった俺をここまで担いでくれた。こいつには、感謝してもしきれない。

もう一人の方、たしかソワレ言ったか?あいつはクロムと共に外でゾンビ共を相手にしている。

我ながら情けない。結局俺が足を引っ張っているみたいだな。

岡部「……そう言えば、どうして俺たちがここにいるとわかったのだ?名前まで知っていた様だが……」

ヴィオール「……何度も大きな雷が落ち続ければ嫌でも気づくだろう。名前だけど、ここに向かう道中、君たちの仲間らしきお二人にあってね、教えてもらったのだよ」

岡部「あいつ等にあったのか!?……っつ」


岡部「あいつ等にあったのか!?……っつ」

ヴィオール「無理に声を荒げない方がいい。……あの重騎士とシスターもいずれこちらに来るのではないかね?その時にでも君を癒して貰えばいいさ」

岡部「……そうか、そうだな」

リズもフレデリクも無事か。それは良かった。リズに《ライブ》を掛けて貰えば俺も復帰出来る。それまで待機だな。

岡部「ヴィオール、外はどうなってる?」

ヴィオール「自分の目で確かめたまえ」

外を覗いて見る。……あそこか。






クロム「ソワレ!!そっちに行ったぞ!!」


ソワレ「ご心配なく!!……ハァッ!!」





クロムは勿論だが、ソワレのやつも中々の腕だ。馬で駆け回り、次々と敵をなぎ払っている。女ながらも大したものだ。

ヴィオール「……クロム君もソワレ君もよくやるね。実に華麗な動きだ。特にソワレ君には是非とも
我が妻に迎えたい」

岡部「……何馬鹿な事を言っているのだ、貴様は?」

ヴィオール「ふっ、貴族たる私に向かって馬鹿とは、君は実に愚かだね」

岡部「……」


ムカつくな、こいつ。



ヴィオール「さて、僕もそろそろ動こうかな」



そう言って手元の道具一式をとる。……弓矢だ。

岡部「手持ちを見るに、貴様は弓使いか何かなのか?」

ヴィオール「僕は高貴な貴族だよ、キョーマ君。弓矢を扱えて当然なのだよ」

そう言って弓を引き始める。……確かに、何か様になってる。絶対に口にはしないが。

ヴィオール「……私が今すべき事はあのシスター達がここに到着するまで、この砦にあの美しくない輩を近づけない事だ」

岡部「……」


ヴィオール「だから、君は安心して私の美しく、優雅で、華麗で、貴族らしい弓裁きでも眺めているがいい。……ふっ!!」





トスッ





外を覗いてみる。どうやら今の矢一本であのゾンビを一撃で仕留めたようだ。次の矢も既に準備している。

岡部「……見事だ。よくあんな遠くにある的を正確に当てられるものだな」

ヴィオール「ふふっ、褒められるのは実に気持ちがいい。しかし、キョーマ君も私に引くも劣らず、見事だと思うけどね。……ふっ!!」





トスッ





……また当たった。あの動き回る敵の首元を正確に狙うなど、本当に凄いな。


それより、俺が見事だと?何かしたか?

岡部「……まぁ確かにこの鳳凰院凶真の持つ脳細胞を羨んでいるのなら、気持ちはわからなくもないな」

ヴィオール「何を言っているのかはわからないが……ふっ!!……
君の魔法のことだよ。遠くからでもわかるあの威力、君はその道でかなりの手練れの様だね」

そう言って、チラリと俺の持つ魔道書をみる。何だ?








ヴィオール「……その魔道書、かなり上級の物なのだろう?そんなものを扱うとは、見事としか言えないね」





……何を言っているんだ?



岡部「上級って……これは《サンダー》だろ?別に何の変哲もない魔法と聞いたが?」

ヴィオール「……」

矢を引く動作を一瞬止める。少し驚いた表情で俺を見てきた。

岡部「何だ?これは素質がある人間なら誰でも使える初級魔法だと聞いていたぞ。実際、まだ俺はこいつを使い始めてまだ一日も経っていないのに使えるのだが」

ヴィオール「何と……」

今度は本当に驚いた様な表情をする。……俺は何も間違ったことは言ってない、よな?

ヴィオール「……それが《サンダー》だと誰に言われたのだい?」

岡部「リズに……と言っても分からないな。お前が途中で会ったシスターにだ」

ヴィオール「……ふむ」


そう伝えると少し考え込み始めた。……こういう少し気不味い空気をを作るのは勘弁して欲しいな。状況が状況なだけに、結構精神が削がれる。

岡部「おい、黙ってないで何か……」





ヴィオール「私は貴族だ」





岡部「……は?」

何だこいつ。俺の発言を遮って貴族アピールし始めたぞ。



ヴィオール「私には各国で流通している物品に目を通せる機会が少なからずあってね。魔道書だって例外ではない」

岡部「……」



語り始めながらも、再び弓を引き始めた。攻撃を再開する様だ。



ヴィオール「私は魔法に関してはそこまで詳しくない。でも、ある程度の魔道書なら一目見ればそれが何なのか位はわかるよ。……その上で、言わせて貰うよ」

岡部「……」






トスッ










ヴィオール「……それは、《サンダー》などでは無い」



ヴィオール「私は、そんな魔道書を目にしたことが無いね」





岡部「……だったら、何の魔道書なのだ、これは?」

ヴィオール「さあね?言っただろう、私は別に魔法に詳しいわけではない。……でもそれが《サンダー》ではないのは確かだよ、貴族として断言しよう」


……《サンダー》では無いだと?だが、俺は今までこいつを《サンダー》と認識した上で使っていたのだぞ?誤認していても魔法は使えるものなのか?

わからない。そもそも魔法なんてもの俺はたいして知らないのだ、こいつが何であるか自分で調べる事など出来ない。

ヴィオール「雷系の魔道書のように思えるが……私が目にした事があるのは《エルサンダー》《ギガサンダー》までだ」

岡部「他にはないのか?」

ヴィオール「あるにはあるが……ふっ!!……《トロン》と言うものだ。貴族である私でさえ実物を目にした事が無いのだよ」

岡部「だったらその《トロン》とやらでは……?」

ヴィオール「違うね。実物は見た事はないが、書物でならある。それは《トロン》では無い」

岡部「……」


《サンダー》でもない。その《トロン》とやらでもない。自分で何度も貴族貴族と口にする程だ、こいつの情報は確かなのだろう。

だとしたら、こいつはいったい……?もしかしたら俺の《真理の探求眼》も何か関係するのか?

岡部「くそっ、訳が分からん……」

ヴィオール「もう考えたところで意味ないと思うよ?後でそのリズ君にでもまた聞いてみたまえ。……おや?噂をすればだね」

岡部「来たのか!!」

外を見る。……リズとフレデリクだ、どうやら無事見たいだ。

ヴィオール「ふむ、これで戦況もだいぶよくなるだろうね。キョーマ君、もう少しの辛抱だよ。……話はこの後にでもしようじゃないか」

岡部「……そうだな」

フレデリクも加わればここら一帯の敵は蹴散らす事のも楽になるはずだ。事が落ち着いてから、リズにこの魔道書についてまた聞いてみよう。

以上です。

やっぱり戦闘より会話中心の方が楽ですね……。ってかヴィオールの話し方がわからない。

なんか新しい設定勢いで作っちゃいましたけど、今までの中で矛盾が生じる箇所があったら指摘してください。

それでは。

ずどーん!1です、こんにちは。

夜投下します。時間は8時もしくは11時になりますのでよろしくお願いします。









リズ「もぉ、無茶しちゃダメだよオカベさん」

岡部「リズ、俺の名は鳳凰院凶真だと何度言えば分かるのだ」

リズ「……キョーマさん」

現在砦内でリズに身体を癒してもらっている。《ライブ》とは不思議なものだな。杖から光が出た次の瞬間には身体の傷や疲れが取れて行く。

フレデリクとヴィオールはクロム達に加勢しに行った。ヴィオールが前に出てもいいものなのかと心配したが、本人曰く大丈夫だそうだ。

……貴族だから、という理由が些か、いやかなり不安なのだがな。

リズ「……はい、これで終わりっ!でももうしばらく安静にしていてね」

岡部「すまない、恩に着る


リズ「それにしてもスゴイね、オカ……キョーマさん。一日も経たずにもう戦い慣れしちゃってない?」

岡部「ククッ、俺は狂気のマッドサイエンティストだぞ。この俺の脳細胞に掛かればどのような事象が起きようとも直様適応出来るのだ」

リズ「でもそれで倒れちゃったら元も子もないよね」

岡部「うぐっ……」

ごもっともだ、言い返せない。冗談抜きで死ぬところだったのだ、今後無理の内容にしなければな。

岡部「はぁ……やはり体を鍛える事は避けられぬか」

リズ「あぁ、さっきのね……。フレデリクって自分にも他人にもかなり厳しいから訓練頑張ってね」

岡部「……マジか?」

リズ「……うん」

岡部「……」


勘弁して欲しい。体を動かすのは得意では無いのだ、ハードなものだと死んでしまうぞ。

……まぁ、始めて少しの間は緩めにやってくれるさ、ああ、そうに違いない。




岡部「……っと、そうだ。リズ、聞きたい事がある」

リズ「何、オカベさん?」

岡部「凶真だ」

リズ「……オカベ、じゃダメなの?」

岡部「貴様は人の名前を間違える趣味でもあるのか?」

リズ「えぇ……?だって最初会った時に……はぁ、もういいや」

岡部「……この魔道書について確認したい事がある」

リズ「魔道書?《サンダー》のこと?」

岡部「そうだ。これは《サンダー》で間違いないのか?」

リズ「……違うの?」


やはりリズはこれを《サンダー》だと思っている。まぁ俺自身こいつにそう言われたのだし、当たり前か。

岡部「……こいつは《サンダー》ではないと、ヴィオールに断言された」

リズ「え、本当に違ったの!?だって雷系の魔法だったじゃん!」

岡部「《サンダー》は何処にでもあるものだと聞いたぞ、見た目でわからないのか?」

リズ「うぅ……ごめんなさい、正直あまり、いや全然詳しくなくて……。キョーマさんって魔法使ったこと無いって言ってたし、お兄ちゃんが普通に持ち歩いてたから、つい……」

岡部「……別に攻めてる訳ではない。とにかく、これについては何も知らないんだな?」

リズ「うん……」


結局リズに聞いても大した情報は得られなかったな。まぁそんなに期待していた訳ではないが、改めて確認出来ただけでも良しとしよう。

今この魔道書について分かるのは、雷系の魔法と言う点のみだ。後々調べないとな。自分の使っているものが何なのか位知っておきたい。



岡部「さて……俺もそろそろあいつ等に加勢しに行く。リズはここで待機でしていろ」

リズ「……私に出来ること、他に無い?」

岡部「無いな。危ないから身を潜めてろ」

リズ「……わかった」

今度は途中で力尽きないようにしなければな。これ以上足を引っ張るのはごめんだ。










一旦ここまで。続きは11時に投下します。








岡部「ふんっ!!」



ドォン!!











岡部「……フフッ、フゥーッハハハハハハァ!!!鳳凰院凶真、完全復活!!」

《サンダー(仮)》も絶好調だ、実に気持ちの良い一発が決まった。

……辺りを見渡す。もうゾンビ共の数もそれ程いない様だ。クロム達は実にいい働きをするな。


クロム「キョーマ!もう大丈夫なのか!?」

岡部「ククッ、心配かけたなクロムよ。この俺が来たからには敵の全滅も既に時間の問題だ」

フレデリク「先程力尽きた方がよく言いますね」

岡部「黙れ機関のエージェントめ」

フレデリク「……何の事ですか」

無視しよう。

岡部「……そっちにいるのがソワレだな?」

ソワレ「そうだ。君は……キョーマ、だったかな、始めまして」

岡部「うむ。しかし残念ながらゆっくり自己紹介する余裕は無いな。……一気に終わらせるぞ。フレデリク、ソワレ、協力してくれ」

フレデリク「わかりました」

ソワレ「了解!何をすればいいんだい?」


岡部「敵の数はもうそれ程多くはない。二人で馬を使ってあいつ等を囲うように走り周れ。奴らの行動範囲を縮めていくのだ」

フレデリク「了解です。しかし、それだけですか?」

岡部「心配するな、上手くやる。ただし、俺が合図したら二人とも直ぐに奴らから離れるようにしろ」

ソワレ「了解だ。とにかくあいつ等を囲えばいいんだね?」

岡部「あぁ、そしてそこから少しずつ範囲を絞っていけ。但し無理はするな。厳しいと感じたら直ぐに戻って来い、その時はこちらで何とかする。……では、行動開始!!」

フレデリク「はっ!!」

ソワレ「行きます!!」





二人とも勢いよく奴らに向かって走っていく。……よし、上手く行きそうだ。これなら相手も自由に動き難くなる。


岡部「ヴィオール、残りの奴らを片付けてくれ」

ヴィオール「成る程、君はここで参謀の役割を持っていたのか。……了解だよ」

そう言って弓を構えて狙い始めた。……どうでもいいのだが、貴族ってのはここまでアクティブなものなのか?俺の中じゃもっとダメな奴ってイメージがあるのがな。

クロム「……キョーマ、俺はどうすればいい?」

岡部「待機だ、休んでろ」

クロム「俺はまだ戦える!何か出来る事が……」

岡部「俺もそうやって意気込んでいた時に倒れたのだ。お前はさっきから十分に役割を果たしている。後は俺たちに任せろ」

クロム「しかし……!」

岡部「無理をするな、お前はここの団長だろう?……リズが心配している。砦にいる筈だ、一緒にいてやれ」

クロム「……わかった、頼んだぞ」


とりあえず納得して砦の方に向かって行った。なんだかんだ言ってあいつも妹のリズには甘いのだろう。

岡部「ククッ……」

ヴィオール「今のやり取りで……ふっ!!……笑える箇所はなかったと思うけど?」

岡部「いや……流石は兄妹、似ていると思ってな」

クロムもリズも、人のために動こうとする意思だけは人一倍強い。たとえそれがどれだけ無茶な事であってもだ。

……もっと自分の身を大切にしてもいいだろうに。



岡部「……《サンダー》!!」

ヴィオール「おや、手伝ってくれるのかい?」

岡部「準備が出来るまで暇なのでな。肩慣らしだ」

さて、もう少しだ。













……そろそろだな。いい感じにゾンビ共がまとまってきた。



集中しろ……。



やる事は決まっている。



奴らを目掛けて……一発デカイのをブチ込んで全滅させる!!





岡部「フレデリク!ソワレ!今だ、離れろ!!」

フレデリク「っ!!」

ソワレ「たぁ!!」

……二人とも十分距離を取った、ゾンビの群れも崩れていない。……イケる!!






岡部「ブッ飛ぶがいい!!!」




ドォン!!ドォン!!ドォン!!





……。





……。





……上手くいった、みたいだな。



岡部「……っ……ふぅ」

おっと、足がふらつく。

ヴィオール「また無茶をしたのかい、君は?」

岡部「……最後なのだからいいだろう、別に」


ヴィオール「少しは自分の身を大切にしたまえ。……まぁご苦労様だよ。実に見事な策だった、成功して何よりだ」

岡部「ふん、この俺に失敗など無い」

もうこの森にはあのゾンビは大方片付いた筈だ。後はまとまって行動すれば問題ないだろう。……やっと先へ進める。

騎馬隊の二人がこちらに戻ってきた。

ソワレ「随分と凄い魔法を使うのだな、君は」

フレデリク「キョーマさん、大丈夫ですか?」

岡部「問題ない。すまないが、クロムとリズを呼んできてくれ。まだ砦の中にいる筈だ」

ソワレ「ボクが呼んでこよう。行ってくる」

岡部「頼んだ」













クロム「よしっ、もうすぐこの森を抜けられるぞ」

リズ「はぁっはぁっ……やっと出られるよ……」

岡部「はぁっ……全くだ。どんだけ広いのだこの森は」

フレデリク「お二人とも、足を止めてないで行きますよ」

クロム、リズと合流した後、俺たちは再び出口に向かって進み始めた。かれこれ歩いてもう日の出も近い頃合いになってきた。

あれからあのゾンビ共にも遭遇する事は無かった。全滅……したかどうかは定かでは無いが、一先ず安心して良さそうだろう。


ソワレ「キミは体力がなさ過ぎやしないか?男ならもっと鍛えないと」

岡部「悪かったな。……そう言えば、自己紹介が済んでなかったな」

ソワレ「たしかに。では、改めまして。クロム自警団所属団員、ソワレだ、よろしく!」

岡部「そうか……では俺も名乗るとしようか。俺はこの世界の混沌を望む狂気のマッドサイエンティスト。そして今はクロムきっての頼みでここの戦術師としてこの自警団に降臨した……そう、我が名は……!!」



リズ「オカベ・リンタロウさん」




岡部「鳳凰……っておい、リズ!貴様何度俺の名を間違えればいいのだっ!」

ソワレ「何だ、オカベ、と言う名前なのか?ボクはキョーマって名前だと思ったよ」

ヴィオール「そうか、それは私も初耳だったな。では私も改めて……ヴィオールだ、よろしくオカベ君」

岡部「違う、二人とも合ってる!俺の名は鳳凰院凶真だっ!!」


クロム「……気になっていたのだが、結局お前の本名はどっちなんだ?」

岡部「鳳凰院凶真、凶真であってるのだっ!!」

フレデリク「では、初対面の時我々に偽名を名乗った、と言う事ですか?」

岡部「……おいリズ、貴様の所為でまたメンドくさい疑いをかけられてるのだが」

リズ「オカベさんの自業自得でしょ」

岡部「だから凶真だと……あぁ、もういいや」

リズの説得は諦めよう。疲れた。

いい加減話題を変えよう。このままじゃどんどん変な方向に行く。


岡部「……それにしても、結局リズを助けたとか言う人間は見つからなかったな」

クロム「……そうだな」

リズ「……」

リズが落ち込んでいる。それもそうだ、本気で心配していたのだろうし、礼も言いたかったに違いない。

フレデリク「ちなみに、どの様な方だったのですか?」

クロム「背丈はそれ程ない、蒼い髪の色をした男だった」

リズ「後、顔に蝶?みたいな仮面を付けてたよ」



ソワレ「仮面を付けた男だって?」

ヴィオール「ふむ……その人なら見かけたよ」


クロム「何だと!?」

リズ「本当に!?いつ、何処で!?」

思わぬ情報が入ってきた。あの騒ぎの中にいたのかよ。

ソワレ「確か、フレデリクとリズに会った後だね」

ヴィオール「キョーマ君の元へ向かう最中に見かけたのだよ。話しかけはしなかったがね」

……もしかしたらまだ近くにいるかもしれない。辺りも少しずつ明るくなってきたし、捜索は可能だ。

岡部「クロム、リズ、どうする?探すか?」

リズ「うん!お礼だってまだ言ってないもん!」

クロム「そうだな、ここに居たのなら探す価値はあるだろう。……そうと決まれば、早速……」











「僕ならここにいるよ」





岡部「うん?」

リズ「あ、さっきの人!!」




仮面の男「……」






こいつが……。

肝心の顔は仮面で隠されて見えないが、顔立ちは中性的、体つきも線の細い男だ。腰には剣を提げている。

……何と無く、クロムの剣と似ている。まぁだから何だと言う訳だが。



リズ「あ、あの……。さっきは助けてくれてありがとうございました」

クロム「俺からも例を言わさせてくれ。ありがとう、助かった。……名前を聞いていいか?」



仮面の男「……マルス」



マルス「僕の名前はマルスだ」



クロム「そうか。クロムだ、よろしく」

リズ「リ、リズですっ」

マルス「……」


……口数の少ない奴だ。こちらが礼を言っているのに無反応だとあまりいい気はしない。

クロム「マルス、か……。古の英雄と同じ名前だな。剣術もその名に恥じない腕だ。何処で教わったんだ?」

マルス「……」

まただんまりか。少し腹が立つな。

岡部「おい、貴様少しは愛想よく……」





マルス「ねぇ」




マルスが俺の方を見る。……何だ?



マルス「君の名前は?」



俺の名前を聞いてどうするのだ?まぁ、ちゃんと答えるつもりだが。……ふざける雰囲気では無いな。

岡部「……鳳凰院凶真だ」

マルス「……」

人の名前を聞くや否や、また黙り込んだ。……本当に何だよこいつ?」



マルス「この世界には大きな災いが訪れようとしている……。今回はその予兆……どうか、気を付けて」

クロム「……」

今度は預言者気取りか?この騒動について何か知ってそうな口ぶりだ。……怪しすぎる。

岡部「おい、それはどう言う……」





マルス「それと」



マルスがまた俺の方を見る。仮面のしたから覗かせる瞳が、俺を捉えて離そうとはしない。

……何だよ?












マルス「僕は君を知らない」





マルス「君は誰だ?」










岡部「……っ!!」

体が硬直する。嫌な汗が一気に吹き出てくる。背筋が凍るとはまさにこの事か。


マルス「……それでは、気をつけて」

そう言って何処かへ走り去った。……あっという間に姿が見えなくなったな。

クロム「お、おい!……行ってしまったか」

ソワレ「……不思議な人だったね」

ヴィオール「……怪しすぎる気もするがね」

フレデリク「彼ともまた何処かで会うでしょう。クロム様、とにかく今は王都に向かいましょう。……キョーマさんもそれでいいですか?」

岡部「……」

リズ「オカベさん?」

岡部「……何でも無い。そうだな、向かうとしよう」


俺を知らない、か……。どう言う事だろうか?

フレデリクの言う通り、あいつとはまた何処かで会う気がする。その時にでも聞き出してみよう。





『……ーーーを、救ってください』





何故か、この言葉が頭を過ぎった。










???「……」

以上です。どうでしたか?感想お待ちして居ます。

次回は支援会話パートにしたいと思います。形式としては地の文なしで淡々と進む感じです。

……大変申し訳ないのですが、やっぱり全キャラは無理なので安価を取らせていただきます。

クロム及び一部キャラは必ずやります。その他が安価ってことで。

支援会話の効果(?)を改めて説明させて頂くと、

・本編での絡みが増える
・戦闘パートで、ゲームでいうダブルで組む頻度が上がる
・フラグが立つ、但し回収はしません(女キャラ限定)

まぁそんなに意識する程では無いです。内容は1が勝手に決めちゃう訳ですし。あ、リクエストがあったらある程度取り入れます。

まぁものは試しで……

安価↓1↓2

クロムを除いた既出キャラのみでお願いします。事故った場合はこっちで何とかします。それでは。

以上です。どうでしたか?感想お待ちして居ます。

次回は支援会話パートにしたいと思います。形式としては地の文なしで淡々と進む感じです。

……大変申し訳ないのですが、やっぱり全キャラは無理なので安価を取らせていただきます。

クロム及び一部キャラは必ずやります。その他が安価ってことで。

支援会話の効果(?)を改めて説明させて頂くと、

・本編での絡みが増える
・戦闘パートで、ゲームでいうダブルで組む頻度が上がる
・フラグが立つ、但し回収はしません(女キャラ限定)

まぁそんなに意識する程では無いです。内容は1が勝手に決めちゃう訳ですし。あ、リクエストがあったらある程度取り入れます。

まぁものは試しで……

安価↓1↓2

クロムを除いた既出キャラのみでお願いします。事故った場合はこっちで何とかします。それでは。

ちなみにこれどの難易度想定とかある?
自分ニワカだけどルナティックはクリアできる気が全くしない

ルキナとの絡み期待してる
ルナティック以上はほとんど詰将棋になる

キラーン、1です。こんばんは。

11時に投下します。

支援会話はクロム、リズ、ヴィオールです。まぁちょっとした話なんで気休め程度にでも思ってください。

>>272
難易度とかは特に無いですけど、まぁ不意の増援とか、一部敵が強スキル持ちとか、その位ならあるかもです。
ちなみに1はルナの終章がクリアできず投げ出しました。ギムレーマジ無理、何より敵リブローマジふざけんなですよ。

>>273
もうぶっちゃけると1はルキナとオカリンを早く絡ませたい。そのためにこのスレ立てた様なもんだし。
しかしそこまでいく気力があるかわかりません。


【支援C クロム】





クロム「キョーマ」

岡部「む……クロムか、何か用か?」

クロム「いや、これと言って用があるわけじゃない。ただ、調子はどうか聞きたいだけだ」

岡部「……まぁそうだな。疲れも溜まっていい加減休みたいものだ」

クロム「それもそうだな。お前は状況も飲み込めないまま戦いに巻き込まれてしまったのだからな」

岡部「あぁ。だが、俺をここに招き入れてくれたことは感謝している。自分の居場所を確保できたのだからな」

クロム「礼はいらないさ。倒れている人がいたなら、助けるのは当然だろう?」

岡部「……フレデリクも言っていたが、もし俺が本当に賊か何かだったらどうするのだ?下手したら命を落としていたのかもしれないのだぞ」


クロム「関係無いさ。救いが必要な者がいたら、そいつを救う。それが自警団団長としての責務だ。当然だろう?」

岡部「……やはり貴様はお人好し過ぎる」

クロム「よく言われるな」

岡部「故に、愚かにも思えるな」

クロム「……何?」

岡部「他人を想う気持ちは大いに尊重できる。だがな……過度の信頼、正義感は必ず己の身を滅ぼす」

クロム「……」

岡部「その様な生き方をすれば、いつか必ず、お前は究極の選択に迫られる時がくる。……時には、心を鬼にして立ち向かう必要があることを知ってくれ」


クロム「……」

岡部「……すまない、嫌な言い方をしたな。お前に助けてもらったことは本当に感謝しているのだ。だからこそ、自分の身を大切にして欲しいと思う」

クロム「……キョーマは、元いた世界で何かあったのか?」

岡部「さぁな、あったとしても悪いが俺は話す気にはなれない。……さて、長話し過ぎた。クロム、先を急ぐぞ」

クロム「キョーマ」

岡部「ん?」

クロム「……俺は、お前を信頼しているぞ」

岡部「……あぁ、ありがとう」


【支援C リズ】





岡部「……」

リズ「オカベさ~ん!」トンッ

岡部「ぬおっ!ってリズか。いきなり肩を叩くな、心臓に悪い。後、俺は凶真だ」

リズ「油断してたオカベさんが悪いんだよ!……何読んでるの?」

岡部「無視かよ……。魔道書だ。書と名が付くのだから何か書かれているだろう?それを読もうとしていたのだ」

リズ「なるほど。でも、読もうとしたってことは、つまり……」

岡部「あぁ、何書いてあるのかまるでわからん。くそっ、この俺のアインシュタインにも匹敵する灰色の脳細胞でしても解読できないとは……!」

リズ「でも不思議だよねぇ、何で本を使って魔法が使える様になるんだろう?」


岡部「……お前は何で杖をかざすだけで傷を癒せるのか説明できるのか?」

リズ「え……それは、その……パァって感じだよ!」

岡部「……わからないのだろう?つまりそういうことだ」

リズ「うぅ……イジワル」

岡部「事実を言ったまでだ」

リズ「もう……だいたい、自警団じゃ私の方が先輩なんだよ!もっと敬意を払ってくれてもいいんじゃないかな!?」

岡部「ふふっ、貴様のようなチンチクリンにどのような敬意を払えというのだ、うぅん?」

リズ「うわっ、レディに向かって酷い!ちょっと皆の役に立ってるからってそれはあんまりだよ!」

岡部「冗談だ、そう騒ぐな。……なぁ、リズ」

リズ「何、オカベさん?」


岡部「前から思っていたのだが、お前、何か悩みでもあるのか?」

リズ「っ……そんなこと、無いよ?」

岡部「無理をするな、顔をみればわかる。相談になら乗るぞ?」

リズ「だ、大丈夫だって……」

岡部「何だ、俺では相談し難いのか?だったらクロムにでも……」

リズ「あぁ、もうっ!!ないったらないの、この話は終わり!!オカベさんのバカっ、えいっ!!」

岡部「どわっ、貴様顔に何を……」

カエル「」コンニチハ!

岡部「……リズ!!まて貴様!!」


【支援C ヴィオール】





ヴィオール「キョーマ君、少しいいかね?」

岡部「ヴィオールか、何だ?」

ヴィオール「君は確か魔法を使い始めてまだ一日すら経ってないとか言っていたよね?」

岡部「あぁ……俺自身、何故魔法が使えるのかサッパリだ」

ヴィオール「それも貴族として個人的に気になるが、聞きたいのはそこでは無い」

岡部「貴族は関係ないだろうが……」

ヴィオール「君はもしかすると、戦闘経験すら今まで殆どなかったのじゃないのかい?」

岡部「あぁ、殆どどころか今日が初めてだ。全く、とんだ災難だ……」


ヴィオール「……不思議で仕方が無いよ。初めてに等しい戦場で、どうしてあそこまで冷静でいられる?」

岡部「……」

ヴィオール「向けられる殺気に腰を抜かし、自分の手を汚すことを本能的に躊躇う……それが普通だ。しかし、君にはまるでそれが無い」

岡部「……何が言いたい?」

ヴィオール「君は、人を殺したことでもあるのかい?勿論、戦場以外での話だよ」

岡部「……」

ヴィオール「黙っていてはわからない、私の質問に答えたまえ」

岡部「……そうだな。あるかと聞かれたら、あると答えるしかないな」

ヴィオール「……随分と曖昧な返事だね」


岡部「余り深く追求しないで欲しい。これは俺だけが覚えてればいいのだ。誰ともこの記憶を共有させるつもりは無い」

ヴィオール「……そうか、ならこれ以上聞かないでおこう」

岡部「ほう、貴様は空気の読めない奴だと思ったのだがな。吐けと迫れるのでは無いかと内心焦っていたぞ」

ヴィオール「失礼な。貴族たる者、常に相手に気を配り、優雅な時を互いに共有できるよう心掛けているのだよ」

岡部「ならいい」

ヴィオール「……悩みがあるならいつでも相談したまえ。私が貴族的に話を聞いてあげよう。ついでに女性への立ち振る舞いを指導してあげてもいいよ?」

岡部「ふん、俺は鳳凰院凶真だぞ?世界の混沌を望む者が、女の色香に惑わされることは無いのだ。……まぁ、気持ちは受け取っておこう」

ヴィオール「そう言ってもらえると嬉しいね」

以上です。こんな感じですが、どうでしょうが?

まぁキャラによってはほのぼのしますし、またキャラによっては少しシリアス気味になります。

では、感想お待ちしてます。

トゥットゥル~、1です☆

11時以降投下します。

リズ「はい、到着!ここが私たち、クロム自警団のアジトで~す!」

岡部「……」

リズ「どうしたのオカベさん、入らないの?」

岡部「あぁ、 はい、そうですね。この度は、私めの様なものこの様な素敵な場所にお招きいただき、誠に有難い事この上ない所存でございまして……」

リズ「もう、だから今まで通りでいいって言ってるのに」

岡部「いきなりあんなことをカミングアウトされてこっちもかなり戸惑っているのだっ!!」

遡ること数時間前、イーリス王都に到着して中に入ってからのことだ。

街中では先程の森による被害は殆どなかった様で、大した被害はなかったそうだ。言うとすれば、少し大きめの地震があったとのことだ。



だが、そんなことはどうでもいい!




何かエメリナ女王が街を回っていると思ったらリズが彼女が自分の姉だとか言い始め、



冗談だと思ったら女王と目が合い、直々挨拶され、



そのまま挨拶と報告と称されて城までクロムたちに同行し、



そのまま食事に同席することになり、



その後広過ぎて歩き疲れる程の城を案内され回され……、



やっとの思いで解放され、本来の目的地であった自警団アジトに到着した。そして今に至る。



……補足すると、このアジトもあのデカイ城のすぐ隣ときたもんだ。

ちなみに今はクロムとフレデリクとは別行動をとっている。何やらまだ会議があるのだとか。

リズ「そんなに驚くかなぁ……私たちが王族だって言わなかったっけ?」

岡部「言ってたらこんなに驚いていない!!というか、二人とも王族らしさの欠片も無いではないか!!」

こんなフランクな王族ないぞ。いや、実際会ったことないし詳しくは知らないが、少なくともこの二人の様な奴は絶対にいない!

岡部「ていうか王族がそんな言葉使いでいいのかよ!?もっと何か慎みを帯びた様な物ではないのか!?」

リズ「だってメンドくさいんだもん。疲れるし」

岡部「そんな理由で!?貴様仮にも王女だろ、いいのかそれで!?」

リズ「もう、フレデリクみたいなこと言わないでよ……」

岡部「……フレデリクの方が王族と言われてもまだ納得できるのだが」

リズ「ん~、そう?お兄ちゃんの方が王子って感じするけど?」

岡部「……」

……この世界の王族はこんなものなのだろう、うん。そう思はないとやってられない。

フレデリクも苦労しているのだろうな。流石に同情せずにはいられない。

岡部「……もういい。中に入るぞ」

リズ「だから入っていいよってさっきから言ってるのに」

岡部「うるさい」






ソワレ「あ、ようやく来た」

ヴィオール「随分遅かったね……クロム君とフレデリク君がいない様だが?」

中に入ってすぐソワレとヴィオールがの二人がいた。こいつらとは街に入る前に別れた。と言っても、先にこのアジトに向かっただけなのだが。現に今ここた二人がいるのだ。

岡部「何かまだ会議があるそうでな、遅れてくるそうだ」

ヴィオール「成る程、クロム君も大変だね。やはり王族ともなると忙しいのだろう」

岡部「……」

ヴィオール「ん、どうしたのだい?もしかして、私の優雅で美しい姿に見惚れてしまったのかな?」

岡部「黙れエセ貴族」

ヴィオール「なっ……!!キョーマ君、それは酷いのでないのかい!?私は正真正銘の貴族だよ!」

岡部「……あぁ、そうだな。いっそ、貴様が王族であれば良かったとすら思うな」

ムカつくが、こいつが王族と名乗って来ても俺はまだ納得できただろうな。ムカつくがな。

ヴィオール「なんと、僕が王族……。ではリズ君、結婚しよう」

リズ「イヤです」

ヴィオール「……即答しなくてもいいではないか」

フラれやがった、ざまぁ見ろ。



「お、何か賑わってるな」

「えっと、どうかしたのですか?」

「リズ!無事でしたの!?」



ソワレ「ヴェイクとスミアか。キミ達もこっちに来なよ」

リズ「あ、マリアベル!」



ヴェイク「へへっ、何だ新入りか?」

スミア「あ、本当ですね……初めまして、えっと……」

マリアベル「……誰です、この方?」



おっと、俺に意識が向けられている。仲間に加えてもらう身だ、挨拶はしっかりせねばな。

岡部「ふっ、いいだろう。貴様らに教えてややる……。よく聞け!俺は……」

リズ「紹介するね!今日から我が自警団の一員になった、オカベ・リンタロウさん!」

岡部「だぁーっ、違うだろうが!!リズ、人の名前を間違って紹介するな!!」

リズ「間違ってないよ!前から思ってたけど、絶対オカベって名前の方がいいよ!可愛いじゃん!」

岡部「ふざけるな!!」

毎回毎回人のセリフを被せやがって!だいたい、人の名前に可愛さを求めるとはどう言うことだ!

岡部「いいか貴様ら、覚えておけ!俺は世界を変革し、混沌を望むもの!アインシュタインに匹敵するIQ170にも及ぶ灰色の脳細胞を持つ狂気のマッドサイエンティスト……鳳凰院凶真だ!!」

白衣を羽ばたかせ、ポーズを決める。ふっ、決まった……、やはり俺はこうでなくてはな。名前もこっちの方がカッコいいし。

三人の様子を伺う。きっと俺の存在に畏怖を覚えたに……



スミア「……ぇ」

ヴェイク「……おぅ、よろしく」

マリアベル「……」



……まぁ経験上、こうなるのはわかっていたけどな。

ソワレ「……何て言うか」

ヴィオール「……流石だね、君は……ある意味尊敬に値するよ」

リズ「あ~あ、やっちゃった」

皆して凄く冷たい目で見てくる。やめてくれ、それは結構堪えるのだ。

マリアベル「リズ、どうしてこいつと一緒にいますの?何か弱みでも握られていますの?だったらもう大丈夫ですわ、後は私たちにお任せして……」

岡部「おい、随分な言われようだな」

マリアベル「お黙り下さい!!」

マリアベルに凄い顔で睨まれた。女子のする顔じゃないだろ、それ。

マリアベル「いいですか、貴方みたいな庶民、いえ賊なんかと馴れ合うつもりは全くございませんから!後、今後一切リズ近づかないで下さる?もしも変な気を起こすようでしたら……」

岡部「……でしたら?」

マリアベル「……ぶっ飛ばして差し上げますわ!!」

岡部「……」

上品そうな女かと思ったら中々頭のネジが飛んでた。ていうかなんだよ『ぶっ飛ばして差し上げる』って……言葉が色々とおかしいだろ。

マリアベル「ふんっ、リズ、行きますわよ!まずは傷の手当を……」

リズ「わわっ、引っ張らないでよ!……オカベさん、一応誤解は解いておくから安心してね!?」

マリアベル「リズ!あんな変人と口を聞いてはダメですわ!」

リズ「違うんだってばぁ~……」



ソワレ「……」

ヴィオール「……」

スミア「……」

ヴェイク「……」



……嵐が過ぎ去った後とは、まさしくこのことだな。

スミア「……えっと、マリアベルはリズの事になるとちょっと、あんな感じでして……」

ソワレ「彼女は人見知りが激しいだけなんだ。許してやってくれないか、キョーマ?」

岡部「……いや、俺にも非があったのだろう。……改めまして、鳳凰院凶真だ。凶真と読んでくれればいい」

スミア「あ、スミアです。よろしくお願いします」

ヴェイク「ヴェイクだ、よろしくな!」

フレデリク「ただいま戻りました」

クロム「皆、集まってるか?」

暫く時間が経過した後、クロム達が戻ってきた。

岡部「随分と遅かったな。そんなに長引く様な会議だったのか?」

クロム「まぁな。ああいう畏まった場所は苦手なんだが、こればかりは仕方が無い」

岡部「……やはり貴様が王族だと納得し難いな。国の兵士長とかならまだ理解できるが」

クロム「よくフレデリクにも言われるさ。岡部も俺が王族だとか気にしないで接してくれ」

岡部「あぁ、そうさせてもらう」

そうでないと俺が持たない。

岡部「ところで、会議の内容は何だったんだ?」

クロム「それは夜にでも皆で集まって報告するつもりだ。キョーマも疲れただろ?今はゆっくり休んでろ」

岡部「そうか……すまないな、そうさせてもらう」

クロムの帰りをずっと待っていたが、今話す事がないならそれまでゆっくり休むとしよう。正直体が本当に限界だ。

岡部「しかし、どこで休めばいいのだ?空き部屋でもあればそこで一眠りするが……」

クロム「生憎、空き部屋がなくてだな……どうするか」

空き部屋は無いのか。まぁここはそこまで広い場所ではなさそうだし無理もないだろう。

岡部「……仕方が無い。ならどっかで適当に横にでも……」

クロム「いや、その必要はないさ。俺の部屋でも使えばいい」

岡部「いいのか?」

フレデリク「それはなりません!」

いきなりフレデリクが割り込んで来た。何だ、こっちはいい加減一眠りしたいと言うのに。

クロム「何がいけないんだ?」

フレデリク「クロム様、自分が一国の王子である事を少しは自覚して下さい。キョーマさんへの疑いもまだ完全に晴れた訳では……」

クロム「フレデリク」

クロムがフレデリクを睨む。……凄い威圧感だ。フレデリクも思わず口を紡ぐ程だ。

クロム「まだキョーマを疑っているのか?」

フレデリク「それは……」

クロム「こいつは俺たちと既に二回も力を貸してくれたんだ。それだけで十分信用に値する。……今後そういう態度を取るな」

フレデリク「……申し訳、御座いません」

クロム「俺に対して謝罪してどうする?」

フレデリク「……キョーマさん、申し訳御座いません」

岡部「いや、謝る必要はない……」

フレデリクの気持ちもわかる。こいつは常にクロムとリズの身の安全に気を配らなくてはならないんだ。必要以上に疑ってきも立場上仕方が無い。

岡部「俺もクロムに着いて行くと決めたんだ、決して場を乱す様な事はしない。信じてくれ」

フレデリク「……はい」

クロム「あぁ、わかってる」

岡部「……クロム、前も行ったと思うが……相手を必要以上に過信する様な姿勢はやめておけ。お前が国を次ぐ立場にいるのなら尚更だ」

クロム「……気をつけよう」

岡部「……さて、本当に限界なんだ。クロム、悪いが案内してくれないか?」

クロム「わかった、こっちだ。……フレデリク、夕食時にさっきの会議の内容を皆に伝える。その事を伝達してきてくれ」

フレデリク「承知しました」

そう言ってフレデリクは奥に行ってしまった。副団長様もさぞ忙しいことだろう。

さて、一眠りするか。








ヴェイク「おーい、キョーマ!飯の時間だぞ、起きろ!」

岡部「……ぬ……うるさい、誰だ?」



もう夕食か。さっきまで昼過ぎだったというのに随分と寝てしまった様だ。

部屋に入ってきたのはヴェイクか。声デカ過ぎだろ。何が嬉しくて寝起きに男の野太い声を聞かねばならないのだろうか。

……何時もまゆりに起こしてもらえた事がいかに幸せなことだったのか今になって知ったな。



岡部「……今何時だ?」

ヴェイク「ん、何だ?」

岡部「だから、何時だと聞いている」

ヴェイク「……よくわからねぇけど、夜だ!」

岡部「……そうか」

この世界には『時間』の認識がが薄いのか……

ヴェイク「ほら、早く行くぜ!」

……こいつが馬鹿なだけなのか。

岡部「すぐ行く。先に行ってろ」

ヴェイク「おう、急げよ!」

駆け足で部屋をでるヴェイク。……今思ったのだが、自警団の奴等は勝手にクロムの部屋に入ってもいいのか?一応、国王の部屋の筈だが……。

まあ、気にしないでおこう。







フレデリク「皆さん、食事中失礼します。クロム様から伝達事項があるので聞いて下さい」

食事を始めて二十分近く経った頃にフレデリクが言葉を発した。二人程別件で不在らしいが、それ以外の団員はここに集まっている。

ちなみに夕食には昼の時程ではないが、結構立派な食事が出された。何というか、流石だな。

マリアベル「何でしょうか、クロムさん」

クロム「皆聞いてくれ。俺たちは四日後、フェリア連合王国に向けて出発することになった」

岡部「フェリア?」

また新しい地名だ。

スミア「……キョーマさんは、この辺りの地理をご存知無いのですか?」

クロム「あぁ、キョーマはだな……」

岡部「クロム、言わなくていい」

クロム「ん?」

フレデリク「……隠す必要もないと思われますが?」

岡部「確かに隠す必要はないが、だからといって言う必要もないだろう。話も少し拗れるだろうしな」

リズ「別に言ってもいいじゃん」

岡部「とにかく、内密に頼む」

『俺は異世界から来ました』なんて言って見ろ。変な目で見られるか、騒ぎ立てられるか、どちらにせよメンドくさいことになるのは目に見えてる。

俺のことを知っているのはクロム、リズ、フレデリクだけにしておいた方がいいだろう。……ヴィオールの奴にも薄々感づかれているかもしれないが、まぁ問題ない。

クロム「……だそうだ。皆も聞かないでやってくれ」

スミア「はい……」

ヴェイク「おう!」

マリアベル「……」

……既に若干一名に睨まれているが、気づいていない振りをしておこう。……リズは誤解をちゃんと解いてくれただろうか?



岡部「それで、そのフェリア連合国とは?」

スミア「あ、はい……イーリス聖王国の北にある国です」

ソワレ「少し変わった所だが、軍師大国として有名なんだ」

岡部「なるほど……」

口頭で説明されたものの、やはり余りイメージが湧かないな。後で誰かに地図でも見せてもらうとしよう。

クロム「今朝、森で遭遇した屍兵の被害調査、及び報告が目的だ。道中何がわからないから、姉さんに変わって俺たち自警団が向かうことになった」

岡部「屍兵……あのゾンビ共のことか?」

クロム「そうだ。もしかしたら他にもあいつ等の被害に合う場所があるかもしれない。その対策についても向こうで話し合う予定だ」

屍兵……確かに、あいつ等がそこら中にいたらかなりのホラー光景だろう。危険すぎる。

クロム「そこで、四日後に同行してくれるものは名乗り出てくれ。参加は自由だ。……伝達事項は以上だが、何か質問あるか?」

ヴィオール「……実を言うと、訳ありで今行くアテが見つからなくてね。もしよければ私も同行していいかな?」

クロム「あぁ、構わない。行くアテがないと言うなら、ここで寝床も与えるとしよう」

ヴィオール「そうか、感謝するよ」

岡部「何だ、貴族の癖に帰る場所が無いのか?」

ヴィオール「……貴族にも色々あるのだよ」

こいつも苦労しているのか。余り追求しないことにしよう。

リズ「はいは~い!とりあえず、四日後までは何もないの?」

クロム「そういうことになるな」

リズ「わ~い!マリアベル、明日街に出かけない?」

マリアベル「えぇ、是非そうしましょう!」

リズ「オカベさんもくる?」

マリアベル「……」

マリアベルの顔が怖い。睨むなよ……。どこぞの助手といい勝負だ。

岡部「い、いや、遠慮する。……やることもあるのでな」

フレデリク「……話は以上ですね?では、解散とします。キョーマさんとヴィオールさんの部屋はこちらで用意しますので暫くお待ちください」

ヴィオール「了解したよ」




四日後か……。



この展開に追いつくのに精一杯だか、そうも言ってられない。



とにかくこの間にやれることをしなくてはな。

以上、第二章スタートです。今日は導入として新キャラ登場です済ませました。……一人忘れてる?気のせいじゃないですか(笑)

……このペースで行くと11章まで凄い時間がかかりそう、どうしましょう。

次回はオカリンの自警団での日常をサクサクお送りしたいと思います。戦闘までもうちょっと待ってください。

それでは。

シュバッ!1です、こんばんは。

いきなりですけと、ほんの少しだけ投下します。短編です。

【訓練】





フレデリク「さぁキョーマさん、剣の素振り後十回ですよ」

岡部「はぁっ、はぁっ……まだ十回もあるのかよ」

フレデリク「これくらい楽々とこなせるようになってくれなくては。いくらキョーマさんが魔法に優秀でも、疲れで倒れてしまっては困ります」

岡部「……朝っぱらから叩き起こされて、ジョギング、腕立て、腹筋……くそっ、これが機関のやり方か」

フレデリク「さあ、口ではなく体を動かしてください」

岡部「むぅ……」

フレデリク「……二十九……三十!お疲れ様です。休息をとっても構いませんよ」

岡部「はあっ、はあっ……やっと終わった……ルカ子め、毎日こんな素振りをやっていたのか」

フレデリク「どうぞ、水です。……しかし、本当に体力がないですね。貴方の元いた世界ではその様な体でも生きていけるのですか?」

岡部「失礼な……そもそも、俺のいた国では戦争やらそういう争い事は全くないのだ」

フレデリク「戦の無い世界……想像もつきませんね」

岡部「ふんっ、だから貴様らの様な野蛮な奴等と俺を一緒にするな。体力をつける様努力はするが、今から三日ほどで何か変わるとは思えない」

フレデリク「それもそうですが、何もしないよりかはいいはずです。……もう少ししたら剣技の型に入りますので準備もしておいてください」

岡部「はぁ……いつまでやるのだ?流石に午後は開けて欲しいのだが」

フレデリク「朝食後も続けるつもりですが、流石に昼まではやりませんよ。体を壊しますので。……何かあるのですか?」

岡部「あぁ、少し調べたいことがあってな」

フレデリク「そうですか。無理はしないで下さいね」

岡部「わかっている」






クロム「二人とも、朝早くから熱心だな」

岡部「クロムか……貴様も随分と朝早いではないか」

フレデリク「どうかなさいましたか?」

クロム「偶々目が早く覚めただけだ。辺りを歩いていた所お前等の姿が見えてな……よければ、キョーマの指導を手伝わせてくれないか?」

岡部「いいのか?」

クロム「あぁ、お前の力にもなってやると約束したしな。少し前から見ていたが、キョーマは剣の才能があるんじゃないか?」

岡部「そんな根拠の無い世辞などいらん」

フレデリク「いえ、それに関してはクロム様に同意です」

岡部「……何?」

フレデリク「力や体力こそ無いものの、キョーマさん剣筋はかなりいい線をいっていると思いますよ」

クロム「このままいけば、実戦でも使える様になるかもしれないな」

岡部「……ふ、フゥーッハハハハハハァ!!当然だろう、俺を誰だと思っている!?この世界の支配構造を変えるものだぞ、これ位できて当然!!」

フレデリク「……調子に乗らないで下さい。まずは基礎体力をつけなければならない事を忘れないでくださいよ?」

岡部「わかっている!……ではクロムよ、貴様の剣技をご指導願おうではないか!!」

クロム「ははっ、元気がいいな。……よし、ではまず剣をこう構えて……」

岡部「……こうか?」



クロム「そこからこんな感じで、こう……ハァ!!……って動いてだな……」



岡部「……うん?」



クロム「その後ザッ、と後ろに飛んで剣をこうバッ、て構えて……テヤァ!!……って感じだな。……よし、やって見ろ」



岡部「……」

クロム「何だ、もう一回やった方がいいか?まずはこう、グッ、て構えて、そこから……」



岡部「フレデリク、頼む」

フレデリク「承知しました。ではまず基本の構え方からですが……」





クロム「……少し難しかったか?」

以上です。本当に短くてごめんなさい。

短編は後2 1残っていますのでご了承下さい。その後本編です。

……もし覚醒がssとかでキャラ崩壊するとしたら、クロムは愛すべきバカに部類される気がする、という個人的な意見です。

それでは。

クロムが脳筋ゴリラとはピンと来ない

ども、1です。

今日も短編を一つだけ投下しますのでよろしくお願いします。

>>324
脳筋って訳じゃなくて、ただちょっとズレてる人ってイメージです。まぁ別にただのアホみたいなことにはならないので安心して下さい。やる時はやってくれますって。

【雑談】





岡部「ふぅ、やっと終わった……」

ソワレ「うん?訓練は終わったのか?」

ヴェイク「何だ、もう疲れちまったのか?」

岡部「今日のところは一先ず終了だ。明日から更に厳しくするみたいだがな」

ヴェイク「大変だな、キョーマは。フレデリクはスゲェ厳しいからな」

ソワレ「ボクとしては君が羨ましいよ。フレデリクの個人指導なんて滅多に受けられないよ」

岡部「変われるものなら変わって欲しいな。……とは言っても、そういう訳にはいかないのはわかっているがな」

ソワレ「うん、キミは弱いんだ。だから少しでも強くなってくれないとね」

岡部「簡単に言ってくれるな……すまない、何か飲み物はないか?」

スミア「あ、紅茶です。どうぞ」

岡部「ぬ、スミアか……ありがとう」

スミア「いえ……余り無理はなさらないで下さいね」

岡部「気をつけよう。……ところで、ここにいる奴等は皆フェリア行きに同行するのか?」

ソワレ「もちろんだ」

スミア「私は……行けないと思います。まだ見習いの兵士ですので」

ヴェイク「俺様は行くぜ。クロムは俺様がいないと何もできないからな」

ソワレ「そういうキミは前の事をもう忘れたのかい?」

ヴェイク「いや……あれは、だな……」

岡部「その話は聞いたことがあるな。武器を持参し忘れたってやつか?」

ヴェイク「うおっ、キョーマ何で知ってんだよ!?」

岡部「クロムにな……しかし、馬鹿だろ貴様。戦場を丸腰でうろついてどうするというのだ」

ソワレ「全くだよ。そんな事だからいつもミリエルに叱られるんじゃないか」

ヴェイク「もう忘れねぇって」

岡部「……因みに、今出てきたミリエルというのは?」

スミア「えっと、今は任務の為ここにはいないですけど、この自警団に所属する魔導師です」

岡部「何?てことは、そいつは魔法に関しての知識はあるのだな?」

ヴェイク「あるんじゃねぇの?いつも小難しいことばかり言ってるし、自分の使ってる物が何か位わかってんだろ」

岡部「そいつはいつ帰ってくる?」

ソワレ「さぁ?多分、フェリア行きの前日位じゃないかな?」

ヴェイク「どうかしたのか?」

岡部「いや、俺は魔法に関する知識は殆ど何も持っていないのだ。だから色々説明が欲しくてな……」

スミア「そうですか……私たちではお力に慣れそうにないですね」

岡部「気にするな。いないのなら自分で調べるなり、どうにかする。……ここに書斎のような部屋はあるのか?」

スミア「あ、はい。そこを真っ直ぐいって、右に曲がって突き当たりの部屋です」

岡部「そうか、では俺はそこに向かうとしよう。……改めて、これからもよろしく頼む」

ヴェイク「おう!」

スミア「よろしくお願いします」

ソワレ「キミはこの自警団の『戦術師』なるんだ。いつでもボク達を頼ってくれ」

岡部「……そうだな」



岡部「……」

ソワレ「……」

ヴェイク「……」

スミア「……」



岡部「……なぁ」



岡部「いい加減睨むのをやめてくれないか、マリアベル」

マリアベル「……ふんっ!」

岡部「……早速ここで上手くやっていける気がしなくなってきたのだが」

ソワレ「……こればかりは、どうしようも……」

スミア「あの……いずれマリアベルも慣れてくれますから、ね?」

ヴェイク「俺様なんて一度も話しかけてもらったことないぜ?慣れるって!」

岡部「ヴェイク、さらりと悲しいことを言うな」

以上です。何か展開とかなんもなくてすみません。

気長にまってくださったらありがたいです。

それでは

おっはー、1です。

ラスト一つ投下します。その後にやっと本編に戻りますのでご安心下さい

【書斎】

岡部「……」ペラ…

リズ「ていっ」ガスッ

岡部「いっ……!!リズ、貴様!!この俺を背後から殴るとはな、まさか貴様も機関のエージェントだったとは……!!」

リズ「何言ってるの?それにしてもオカベさんが何で書斎にいるの?」

岡部「調べたいことがあったのでな、片っ端から読み漁っていたのだ……リズが来る前まではな」

リズ「いやぁ、随分と真面目に読んでたみたいだから、ついイタズラしたくなっちゃって」

岡部「だからといって本の角で殴る必要はないだろう!?」

リズ「でも痛くなかったでしょ?」

岡部「十分痛かったに決まっているだろう!!この俺の灰色の脳細胞が死滅したらどうしてくれるのだ!?」

リズ「あはは、ゴメンね?」

岡部「ったく……。それで、リズはどうしてここに?」

ヴィオール「私の付き添いだよ」

岡部「ヴィオールか、いたのか?」

ヴィオール「ついさっき来たのだよ。リズ君には書籍を集めるのを手伝ってもらったのだよ」

リズ「そういうこと!」

岡部「成る程な。それにしても、珍しい組み合わせでは無いか?」

ヴィオール「そうかな?私程優雅な貴族になると、常に自分の傍らには美しい女性がいるものだよ。そうだろ、リズ君?だから私の伴侶とならないかな?」

リズ「ごめんなさい、無理です」

ヴィオール「……」

岡部「……これが貴族なのか、おい?」

ヴィオール「……ところでキョーマ君、調べ物かい?そうだな……魔法についてかな?」

岡部「その通りだ。自分の持っているこの魔道書がなんであるのか、少しでも情報が欲しかったのでな」

リズ「真面目だねぇ、オカベさん」

ヴィオール「それで、何かわかった事でもあったかい?」

岡部「いや……何も。魔法の歴史、属性、種類……一般的な事しか書かれていなかったな」

ヴィオール「それは残念だ。私も君の手にしているその本の正体に興味があるのでね……そうか、何もわからないのか」

リズ「ヴィオール?」

ヴィオール「いや……キョーマ君。今後それは絶対に手放さないようにしたまえ」

リズ「……どうしたの、急に?」

ヴィオール「クロム君達と共に行動する以上、君はこの先必ず様々な種類の魔道書を手にする機会があるだろう。その時にどの魔法を使うにしても、それだけは肌身離さず持ち歩くことだね」

岡部「……どこにもこれについての記述が無いことから、こいつはよっぽどの代物だということか?」

ヴィオール「そうだ。それは元々クロム君が持ち歩いていたのだろう?もしかしたらイーリスに伝わる何か重要なものかもしれない。取り扱いには気をつけたまえ」

岡部「……忠告を感謝しよう」

ヴィオール「それでは私はもう出るよ。リズ君、これらを運ぶのを手伝ってくれないかい?」

リズ「は~い。じゃあね、オカベさん!」

岡部「凶真だ……まぁ今更遅いか」

【おまけ】

岡部「……」ペラ…

???「……」

岡部「……」ペラ…

???「……」

岡部「ふむ……」ペラ…

??ム「……えっと」

岡部「……」ペラ…

???「……ぁ」

岡部「……ふぅ」パタン

???「!」

岡部「もう夕方か……今日はここまでだな」

カ??「ね、ねぇ……」

岡部「しかし、やはり魔法とは不思議なものだな……」ブツブツ

???「あの……」

岡部「何も無いところからエネルギーを生み出し雷や炎を発生させる……ファンタジーもいいところだな」ブツブツ

?ラ?「キョーマ君、だよね……?」

岡部「どうなっているのだこの世界は……?俺が元居た世界と何もかも違いすぎる……この俺の脳細胞を持ってしてでもわからない……」ブツブツ

???「え、元居た世界……?」

岡部「……まぁ、今はミリエルとか言うやつが帰って来るのを待つしか無いな」ブツブツ

??ム「ぁ……ミリエルなら、三日後に……」

岡部「さて、もうここには要は無いな……出るか」

スタスタ

ガチャ



カ??「……」



???「……」グスッ

以上です。次回から本編です。

……自分の書いて来たものを読み返して見たんですけど、どうもオカリンが何か違う気がするんですよね……。厨二成分が足りないのでしょうか?皆さん何か意見あったらお願いします。

それでは。

11時過ぎ行きますのでよろしくお願いします

クロム「全員集まったな?では、出発するぞ」

フェリア出発の日を迎えた。訓練のせいか体に若干痛みが残っている。

今回の参加者はマリアベルを覗いた全員となった。彼女もヴィオール同様貴族の者らしいので、何かやることがあるらしい。

……と、リズから聞いた。結局この四日間、あいつとまともな会話が出来なかったな。

スミアはついて来る気はなかったようだが、クロムについて来いと誘われたらしく同行を決めたそうだ。

空き時間を見つけてはこの世界について詳しく調べてみたが、結局大した情報は得られなかった。国の成り立ちやら、古くから伝わる伝説やら……どれも俺が知りたい情報では無かったな。

結局この《サンダー仮》の正体もわからずじまいだ。確かに一般的な《サンダー》とは違うようだし、何度か魔法を使って実験もしてみたが、今まで通り大きな雷しか出せなかった。

昔の伝説に出てきた魔法……《トールハンマー》では無いのかという仮説も立ててみたが、ヴィオールと話し合った結果、さすがに現実味が無い、と結論付けた。

しかしまぁ、これが何であれ、俺はこいつを使える訳だし、その副作用か何かで《真理の探求眼》も使えるのだ。当分の間は困ることは無いだろう。

岡部「これも、《運命石の扉》の選択か……」

クロム「どうした、もう行くぞ?」

岡部「あぁ、すまない。それでは行くと……」

「ままま、待って~!!」

岡部「ぬ?」

誰だ?凄い慌ててるみたいだが……。

クロム「ソール?どうしてここに?」

ソール「はぁっ、はぁっ……フェリア連合王国に行くんだって!?聞いてないよ!!」

リズ「あれ、ヴェイク?ソールに教えなかったの?」

ヴェイク「おう、俺様としたことが忘れてたぜ。悪りぃな」

ソール「悪いな、じゃないよ……。朝なのに誰もいないと思ってミリエルに聞いたら今日が出発だって……酷いよ、もう!」

リズ「ヴェイクってほんとにいい加減なんだから!」

岡部「……それで、こいつは誰なのだ?」

初めて見る顔だ。こいつもミリエル同様、今まで不在だった奴か。

ソール「あぁ、君がキョーマだよね?ソールです、よろしく!」

岡部「そうか、俺は鳳凰院凶真だ。これからよろしく頼む」

ソールか。装備を見たところ……馬もいる様だし、恐らくソワレと同じ様な騎士なのだろう。

クロム「それで、ソール。追いついて来たということは、俺たちに同行するのか?」

ソール「勿論だよ」

岡部「しかし、おそらく昨日アジトに帰還したばかりでは無いのか?だったら無理はしない方がいいと思うが……」

自警団の役に立ちたいという意気込みは感じるが、疲れているようだったら引き返させた方がいい。

ソール「大丈夫だよ。これでも体力はある方だしね。心配してくれてありがとう」

岡部「そうか……クロム、急な参加は大丈夫なのか?」

クロム「問題ない、人は多いに越したことはないしな。……皆、今度こそ行くぞ!!」

リズ「お~!!」

ヴェイク「おう!!」

フレデリク「承知しました」

クロムを先頭に歩き始める。フェリアまで歩きで二日程らしい。この世界には車や電車の様な乗り物は無いのは残念だが、俺のいた世界との違いはもう割り切るしかないだろう。

……はたして俺の体力は持つのだろうか?







ソール「へぇ~、じゃあキョーマが自警団に入ったのは本当に最近なんだね」

岡部「あぁ、そうだ。まだ至らないところはあるが、まぁやれることはやるさ」

フェリアに向かって歩き出して大分時間が経った。太陽も丁度真上に来たので、およそ八時間程歩いたことになるのか。

訓練の成果かはわからないが、今のところ体力は持っている。たった三日間で変わるものかと思ったが、確かに何もしないよりかはよかったな。



ソール「でも、すごいよキョーマは。たった数日でクロムからここまで信頼を得るなんてさ」

岡部「まぁ、確かにクロムには良くしてもらってるな。しかし、あいつは誰に対してもあんな感じでは無いのか?」

クロムは根っからのお人よしだ。困っている人がいれば助ける。誰に対してでも手を差し伸べる。

しかもそれが偽善から来るものでは決して無い。実際、俺に対して見返りを求めるどころか居場所まで与えてくれた。

随分と失礼な考え方だが、あいつなら困っているのが俺じゃなくても同じことをすると思う。

ソール「いやいや、そんなことないよ。クロムは誰に対しても手を差し伸べるけど、自分が誰を信頼すべきかはちゃんと見てるよ?」

岡部「そうなのか?あいつはあからさま怪しかった俺をなにごともなく受け入れてくれたのだぞ。普通、もっと警戒しないか?」

ソール「僕はその場にいなかったし何とも言えないけど、それでもクロムはキョーマが信用に値するって判断したんだよ。だから、すごいことだと思うよ?」

……そうなのか?

岡部「……フ、フゥーハハハハハハッ!!これもすべて俺のカリスマ性によるもの!この俺から滲み出る狂気のオーラに奴は魅了されたのだろうな!!」

ソールの言っていることが本当かどうかは知らないが、ここまで言われてしまえば悪い気はしない。

フレデリク「キョーマさん、その唐突に大声を出す癖をやめていただけませんか?」

岡部「フレデリクか……ククッ、貴様の様に非凡な才しか持たぬ様な機関の手先にはわかるまい。何故、俺が、世界のブレインとも呼べるこの鳳凰院凶真が、今の様にソールから神の如く扱われているのかな!!フフ、フゥーハハハハハッ!!」

フレデリク「キョーマさん?」

岡部「すみません調子に乗り過ぎました」

フレデリクの笑顔はヤバイ。こいつの笑顔で訓練の際どれだけ苦しめられたことやら……。くそ、流石だな機関……一筋縄ではいかない。

ソール「あはは……キョーマは元気がいいね」

フレデリク「はぁ……いいですか?今は任務の最中です。少しは自重していただかないと……」





クロム「全体、少し止まってくれ」




岡部「む、どうした?」

突然のクロムの号令に足を止める。休憩にはまだ早いはずだが……。

まさか俺への注意ではないよな?

クロム「キョーマ、前方を確認してくれ」

岡部「……何かあったのか……っ!!」










屍兵「……」



屍兵「……」






岡部「……何故、ここに……」




屍兵。

確かクロムがそう命名していたな。

ソール「……うわっ、あれが屍兵!?」

フレデリク「いつ見ても気持ちのいいものではありませんね」

クロム「どうやら既に各地を彷徨っている様だな」

岡部「結構な数だな。……クロム、フェリアへの別ルートは無いのか?」

極力戦闘は行いたくない。時間にそれ程余裕はないだろうし、皆の疲労も考えると下手に体力は消耗したくない。

クロム「あるにはあるが、それでは到着に時間がかかり過ぎる。……それに」



クロムが剣を抜く。



クロム「辺りの被害も考えると、放っておく訳にはいかない」



……少しは考えろよ。

岡部「待て。下手に命を張る必要はない。それに皆の疲労も考慮すれば、戦闘は危険……」





ソール「大丈夫だよ」

ソールが俺の言葉を遮る。

ソール「僕らは自警団に所属しているんだ、戦闘をする体力位残してるよ」

岡部「しかし……」

ソール「それに……クロムの言うとおり、辺りの街に被害が出る可能性もある。ほっとけないよ」

岡部「……」



他の奴らを見渡す。……皆やる気満々だな。元気な奴らめ。



自警団……見知らぬ奴らのために命を張って戦う。皆それについて何も疑問を感じない。



それが仕事なのだ、当然だろう。



……入ったばかりの俺には少し理解出来ないがな。俺にとって命を張ってまで守るに値するのは、自分の仲間だけだ。他はどうでもいい。



岡部「……はぁ」



まぁ、団長であるクロムがいうのだから、従うまでだ。





岡部「……皆、戦闘準備に入ってくれ。作戦概要を説明する」

以上です。感想お待ちしてます。

いきなりですが安価とります。次回戦闘入りますが、オカリンを誰と行動させるか決めたいです。マリアベル、某アーマーナイト以外の既出キャラでお願いします。スミアでも一応可です。

てことで、安価↓1

スミア

ども、1です。短いですが、多分11時頃から投下します。もしできなかったらごめんなさい。

……自分で許可しておいてなんですけど……

>>356、何故スミアにした……?











岡部「さて、俺たちも進むか」

スミア「よ、よよよろしくお願いします!!」

岡部「……大丈夫か?」

スミア「す、すみません……その、戦場は初めてなので……」

岡部「……そうか、まぁ緊張するのは俺もよくわかる。無理はするなよ」

スミア「は、はい!」



クロムの合図で皆各々の配置に散らばって行く。流石自警団、クロムの統率もしっかりしているし、皆の行動も早い。

場所が平原で、辺りがよく見渡せる。しかし広過ぎるため俺一人では指示が出し辛い。

そこで今回はフレデリク、ソール、ソワレの三人を中心にして班を作りに、それぞれに簡単な指示を出すような形にした。

あいつらは騎馬であるからこういう開けた場所では立ち回りやすいだろうしな。



フレデリクとリズ。



ソールとクロム。



ソワレとヴィオール。



残った俺とヴェイクで騎馬隊の取りこぼした屍兵を仕留めると同時に、戦闘経験のないスミアを守れる様に班分けした。



……したのだがな。



岡部「どうしてこうなった……!!」

スミア「お、落ち着いて下さいキョーマさん!その、わざとじゃないと思いますし……」

岡部「二回目だぞ、学習しろよ!?どうしてこういう時にあいつは斧を無くせるのだ!!」

スミア「……すみません」

岡部「……いや、お前は悪くない。すまない、取り乱した」

ヴェイクは今、斧を元来た道を辿って探しているため、ここには俺とスミアしかいない。

そもそもヴェイクを残したのは俺一人ではスミアを守りきれないかもしれないからという理由があったからだと言うのに……これでは班分けした意味がないではないか。

しかし、もうここには俺たち二人以外いない。四の五の言ってられない。



岡部「スミア、何か武器は使えないのか?」

スミア「訓練兵ですので、槍と、一応斧も心得ています。手持ちはこの手槍が二十本程ありますので、戦闘には参加出来ますけど……」

岡部「そうか」

手槍か……。たしか、基本的には投げつけるための槍だったな。



ちょうどいい。



岡部「極力危険な状況に陥らない様に行動するぞ。そのために他の奴らを前線に向かわせたのだ。俺たちは遠距離から前線を援護する様努めるぞ」

スミア「……何だか、他人任せみたいで皆に申し訳ないです」

岡部「仕方が無い。お前は全くの素人なのだし、俺も戦場に出た回数は五本指の数にも満たない。無理は禁物だ」

本当はヴェイクがいればもう少し前に進んでも良かったのだが、いないのだからどうしようもない。

岡部「とにかく前線の奴らを信用して、俺たちにできることをやるまでだ。……わかったな?」

スミア「は、はい!」

岡部「負傷だけは避けろ。しつこいが、無理だけはするな」

スミア「はい!」

岡部「……転ぶなよ?」

スミア「だ、大丈夫です!!」

正直そこが一番不安だ。いったい何回こいつが転ぶところを目撃したことやら……。



さて……遠くに屍兵もちらほら見えて来たな。

岡部「……話はここまでだ。それでは進むとしよう。行くぞ、スミア」

スミア「は、はい!!頑張ります!!」








スミア「キョーマさん、屍兵が近くまで来ています!!」

岡部「わかった、では右の二体を頼む、左側は任せろ!!」

前方を確認する。屍兵が左から三体、ゆっくりと距離を詰めて来ている。

どうやら前と同様、動きは機敏ではない様だ。これなら少数でもそれ程脅威になることはなさそうだ。

しっかり訓練を積んでいるのだろうし、おそらくスミアでも大丈夫だ。

岡部「《サンダー》!!」

魔道書が光り輝くのを確認する。よし、これで戦闘準備は整ったな。

岡部「いくぞ……フンッ!!」



ドォン!!



岡部「……フフッ……フゥーッハハハハハハァ!!!見よこの威力!!この鳳凰院凶真にかかれば、屍兵など虫ケラも同然!!」

今回も調子が良さそうだ。魔法の行使も慣れて来た。もう一々魔法を発動できるかどうか心配しなくても大丈夫そうだな。

スミア「す、凄いですね……。今のが《サンダー》ですか?」

岡部「俺にもよくわからないが、これは《サンダー》と似て否なるもの!!しかし今はそんなことはどうでもいい、使いこなせればいいのだ!!」

スミア「はぁ……」

岡部「気を緩めるなよ、そうしている間にも敵は湧いて出て来るのだからな!!」

スミア「は、はい!!……えい!!」

油断は禁物だが、この調子で遠くからの攻撃を続ければいずれ敵の波も落ち着いて来るはずだ。その時まで粘ればいい。



今回は《真理の探求眼》使うまでもないな。十分間に合う。

岡部「……今度は二体か……もう一発!!」



ドォン!!



岡部「……フッ!!」



ドォン!!



岡部「……ふぅ…」



……そう言えば。

この屍兵はいったいどこから湧いて来るのだろうか?

この前の森では夜遅くだったし、暗くて確認できなかったが、まさか何も無いところから突如姿を表す訳じゃないだろうし……。



岡部「おっと、また数体……ハァッ!!」



ドォン!!



……先程からこの屍兵は前の方から来てるが、どこかこいつらの溜まり場でもあるのだろうか?

いや、でもクロムはこんな奴ら見たことがないと言っていたし……。

前の方にいる奴らは何か気づいたことがあるだろうか?

……まぁ今考えても仕方が無いな。



岡部「さて、敵の数も落ち着いて来たしそろそろ俺たちも前進……」





スミア「キョ、キョーマさん!!助けて下さい!!」

岡部「っ!!どうしたスミア……って、ぬぉ!?」





屍兵「……アァ…」



屍兵「ギ……グァ………」





何でこいつらこんなに近くまで来ているのだ!?数も……八、九体程いる!

岡部「何があった!?」

スミア「て、手槍が当たらないです!!」

岡部「っ!!」

まさか、森にもいた変な奇行種がいるのか!?

くそ、流石に経験のないスミアにはキツイ、どうにかして切り抜けなければ……!!

スミア「ひ!?どんどん近づいて来ます……やぁ!!」



シュッ



……。



ストッ!



岡部「……」

スミア「……ぁ、また……」



槍は飛んで行った。



敵の頭上を。



……これは完全に俺の誤算だったな。



岡部「……距離を取りたい、逃げるぞ!!」

スミア「は、はいっ!!」

以上です。

……スミアは、まぁ、ほら、あれですよ。元々この章では先頭に参加してない訳ですし。クラスは村人並だとでも思っていて下さい。

感想お待ちしています。

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