エレン「最近下着とか色んな物がなくなるんだけど」(198)

エレン「誰か知らねーか?」

アルミン「……」チラッ

ライナー「……」チラッ

ベルトルト「……」チラッ

ミカサ「」モグモグ

ジャン「ああ? 何言ってんだお前」

エレン「いや本当なんだ、参るぜ」

ミカサ「それは大変、しっかり物の管理をしないと」

ユミル(いやどう考えてもお前だろ)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368163088

コニー「そりゃ大変だな……盗った奴はパンツ持ってなかったのか?」

エレン「それがおかしいんだ」

エレン「数が減った分新しいのを買ってくると、その分今まで使い古してきたパンツがなくなってんだよ」

ジャン「ん? なんか変な話だな……普通新品を盗るもんじゃねえの」

エレン「まあ新品盗られるよりはマシだけどさ」

ミカサ「変わった泥棒ね」

ユミル(し、白々しー……)

みとるぞ

エレン「それだけじゃねえんだ、枕もなんか変な感じするなーと思ったら見たことない枕になってるし」

ライナー(……ついにミカサが動き出したか)

アルミン(いつかやるだろうとは思っていたけど)

ジャン「こ、こえぇぇ……それストーカーってヤツじゃねえの」

ミカサ「大丈夫、絶対に私が守るから」

エレン「お前は俺の彼氏かっつーの」

ミカサ「性別がおかしい」

エレン「分かって言ってんだよ」

ベルトルト(始まった……終わりの始まりが……始まってしまった……)

期待

この『獲物を掠めるアッカーマン』事件は瞬く間に同期一同に広がっていった

ミカサに向けられるのは、やっぱりなという達観と、畏怖と若干の軽蔑

しかし彼女はそんなもの見向きもしない

所詮彼女にとっては有象無象、豚どもが自分の意思を嗤おうとも全く関係ないのだ

アルミンたち男子勢のさりげない監視にもかかわらず、エレンの衣服は次々に盗まれていった

いいぞ

ミカサ「エレン、おはよう」

エレン「おう」

ジャン「……おい、エレン」

ジャン(最近ちょっと、ミカサとひっつきすぎなんじゃねえかお前)

エレン(そんなこと俺に言うなよ……ついて来てんのはこいつの方だ)

ミカサ「エレン?早くご飯にしましょう」

エレン「お、おう。じゃあジャン、後でな」

ジャン「チッ……なんであいつばっかり」

アルミン(名目上は確かにストーカー被害から守るためだろうけど、犯人だってバレバレなのには気づいてるのかな?)

ライナー「だめだ、今朝もやられてたらしい」

ベルトルト「肌着だけじゃなくて靴下とかまで被害が広がってる……そのうちエレンは全裸で訓練に出なきゃならなくなるぞ」

ライナー「案外それが狙いだったりするかもしれん」

アルミン「あはははは、さすがにそれは……」

アルミン(ヤバい否定できない)

ベルトルト(否めないぞ)

ライナー(冗談になってなかった)

エレン「うぅ、風呂に入りに行くにしてももう替えの下着がねぇ……」

エレン「パンツは余ってるけどシャツがな……上半身ジャケットだけとか変態だろ」

エレン「仕方ない、アルミン、ちょっと貸してくれよ」

アルミン「ええっ!? 僕!?」

エレン「こんなこと頼めるのアルミンぐらいなんだよ……頼む、俺たちの仲だろ?」

アルミン(うぅ……早くミカサは早く裸に剥きたがってるだろうけど、断るのも悪いし)

アルミン「じゃあ、お風呂上がってから朝までならいいよ」

エレン「うっし! ありがとな!」

アルミン「あははは……」

アルミン(一回目論見通りにいかせてあげて、以後は自重するように言えばいいかな)

-翌朝-

ライナー「そろそろ点呼の時間だな」

ベルトルト「今日は立体起動装置の演習か……あれ、エレンは?」

アルミン「あれ……いなかったっけ」

ユミル「おい、今日の班長ライナーだろ。サシャの奴が気分悪くて遅れてくるらしい」

ライナー「お、分かった。ところでエレンの奴を見てないか?」

ユミル「さぁ? ミカサに追い回されてるんじゃねーの」

ベルトルト「笑えないなそれ……」

アルミン「大丈夫かなエレン……」

教官「訓練終了! 班長副班長は器具の片づけをしろ! 以上! 解散!」

アルミン「あーしんどい……水浴びでもしようかな」

アルミン「こっちの方に確か井戸が……あれ?」

エレン「」ごしごしごしごしごし

アルミン(あれはエレン? 何か洗い物してるみたいだけど)

エレン「」ごしごしごしごしごしごしごしごし

アルミン(何を洗ってるんだろ……もうちょっと近づいてみないと)

エレン「」ごしごしごしごしごしごしごしごしごしごしごし

アルミン「…………」


アルミン(エレンが洗っていたのは、真っ赤になったエレンのシャツだった)

アルミン「うっ……」ゾクッ

アルミン(あれはエレンのシャツだ、間違いない)

アルミン(なんであんなに赤くなってるんだあの赤色は何なんだいやでもありえるけどそんなだって違うそんな)

エレン「……っ! アルミン!」

アルミン「あ……え、エレン」

エレン「……一枚返ってきててさ、着ようと思ったけど、腹の辺りから真っ赤で……」

アルミン「それって」

エレン「ああ」

アルミン「……」

エレン「たぶんこれ、血だ」

まともなSSであってくれ頼むから

ヤンデレって怖い…

アルミン「どうするの」

エレン「……晩飯の時、これを着ていく」

アルミン「!?」

エレン「こんな嫌がらせしてくるヤツは、俺が泣き寝入りするのを見て面白がろうとしてるはずだ」

エレン「だからこれを着てみんなのとこまで行く。そうすりゃ絶対にビビるはずだ。それでやめくれるんならそれでいい」

アルミン「エレン……」

アルミン(確かに単なる嫌がらせなら窮鼠の一撃だ)

アルミン(でも違うっ! これは嫌がらせじゃない……!)

アルミン(マーキングだ)

アルミン(エレンは自分のものであるという証明! 自己顕示! 何より他の狩猟者への牽制!)

アルミン(エレンのシャツを血で染めるなんて、まともな人間が思いつくはずがない……)

アルミン「ミサカ……」ボソッ

エレン「……行こうぜ」

アルミン「あ、うん……」

こわい(こなみ)

まさかのミサカ登場か

>>15
やべえミカサ打ち間違えた



ざわざわざわざわ

ライナー「……お前、ついに背中刺されたか?」

ベルトルト「やめなよライナー、あれはいくらなんでも冗談じゃ済まされない」

エレン(さあかかってこい。俺のことをナメやがって、表で俺をぶん殴るぐらいの勢いもないくせに)

アルミン(ミカサは……いないね、まだか)

サシャ「うぅ、気分が悪いです……」

クリスタ「大丈夫? お昼にはいなかったよね?」

サシャ「晩御飯がぁ……パァンが……」

ユミル「そのためにわざわざやってきたのかよ」ハァ

サシャ「うへへへへ……ご飯が私を待っています……」ヨダレダラダラ

アニ「……ばっかみたい」

サシャ「うへ、ふ、ふふふふっ…………」

アルミン(向こうはいつも通りだね)

ミカサ「エレン、お待たせ」

エレン「おう」

一同『!!』

ミカサ「……なにそれ」マジマジ

エレン「なくしてたシャツなんだけど、返ってきたらこうなってた」

サシャ「ミカサ! 前いいですか! まあダメでも座りますけど!」

ミカサ「洗ったほうがいい。貸して、すぐに染み抜きしなきゃ」

エレン「もうやってこれなんだ、諦めるさ」

サシャ「今日もパンが美味しいですねアルミン! 訓練の甲斐があるというものです!」

アルミン「あ、ああうん……」

アルミン(くっ、ミカサの表情がぜんぜん崩れない。さすがだ)

ライナー(しかしあんだけの出血量だとタダじゃすまないはずだよな)

サシャ「ハフッハフッ、おうぃふぃっ、ふっへへへへ」

ジャン「サシャのやつ食ってんなー。よし、俺もさっさと食べてトレーニングに行くぜ!」ガツガツ

サシャ「ふへへへ……」

アルミン「……今度の休日、まとめて着替えを買おう。ミカサもついてくる?」

ミカサ「行く」

エレン「悪いな、助かる」

あれ、これってまさか・・・

支援
普通に面白い

エレン「さてっと、ご馳走様」

アルミン「あれ? どこか行くの?」

エレン「まあな」

ミカサ「もう遅い時間。暗いし気をつけて」

エレン「はいはい。消灯までには戻るっての」




サシャ「…………」

クリスタ「…………」

アニ「…………」

アルミン(……ごめんエレン、今ミカサは危険な状態に違いないんだ)

ライナー(目を放した隙に何かあったら、たまったもんじゃないからな)

ベルトルト(それにしてもかなり暗い……こんな人気のないところで何をするって言うんだ?)


エレン「遅ぇぞ」

アニ「あんたが味わいもせずに飯食べるからでしょ」


ライナー(アニ……?)

アルミン(ひょっとしてこれは)


エレン「はいはい、お前も母親面か、よ……ッ!?」ヒュオッ

アニ「お、よくかわしたね」

エレン「あっぶねぇぇ……! いきなり何すんだ!」

アニ「稽古つけるよう頼んできたのはそっちだろ。ほら早く構えな」

エレン「クッソ上等だ、やってやるぜ!」


ベルトルト(特訓か)

ライナー(どうりで最近メキメキと実力をつけてるわけだ)

アルミン(正直意外だなぁ……エレンの意識の高さはともかく、アニがそういうのに応じるなんて)

アニ……いい奴だったよ……

エレン「せっ!」シュバッ

アニ「踏み込みが足りない」

エレン「てやぁぁ!」ゴォッ

アニ「踏み込みが足りない」

エレン「そらっ!」ゾオッ

アニ「踏み込みが足りない」

エレン「うらあああああっ!」ズババババ

アニ「踏み込みが足りない」ガシッ



ライナー(ひでぇ)

ベルトルト(全部きれいに受け止められてるな)

アルミン(王様の会話みたいになってるよ……)



アニ「……シッ!」

エレン「も゛っ!?」ボゴグシャァ

ドシャァァァァァ

アニ「体の軸をぜんぜん意識してない。あと蹴り技以外なんで使わないの?やる気あるの?」

アニ「相手の技を盗みたい気持ちは分かるけど、そもそも基本的な戦い方もまだまだなのに何で他の技に移ろうとしてんの?」

アニ「バカなの? 死ぬの? 味方巻き込んで死なないうちに早く今のうちに一人で壁乗り越えて巨人の餌にジョブチェンジしてきた方がいいよあんた」

エレン「生まれてきてごめんなさい」

アニ「……ふう、もういいだろ、今日は。あんたも部屋に戻って休みな」

エレン「ん、ああ」

アニ「……忘れてた、ちょっとこっち来な」

エレン「んあ?」スタスタ

アニ「ほらっ……」サッサッ



ベルトルト(ちょっ!? 近い! 顔近いぞ二人とも!?)

ライナー(暗くてよく見えねぇ……)

アルミン(落ち着いて二人とも。たぶんあれ、エレンの頭についた土を払ってあげてるだけだよ)



エレン「ん、ああ悪いな」

アニ「……ちょっとやりすぎた、ごめん」

エレン「ああ? 何らしくもないこと言ってんだ」

アニ「いや、だって」

エレン「むしろ全力でやっれくれなきゃ俺が困るっての」

エレン「俺、こんなに充実した時間初めてなんだよ。俺が強くなりたいって頼んで、こんなに真摯に答えてくれてるのはお前だけなんだ」

アニ「あんた……」

エレン「だからさ、ある意味じゃアニのこと信じてるんだぜ?」

アニ「信じて……?」

エレン「俺はアニと一緒なら強くなれる、そう信じてるんだ」

アニ「…………そう」



アルミン(あbbbbbbbb)

アルベルト(やべぇ……やべぇよ……)

ライナー(新種のプロポーズかあれ)

エレン「っと、マジで遅くなっちまったな。んじゃまた明日な!」

アニ「……はいはい」

エレン「おう」



アルミン(……いっちゃったね)

ライナー(俺たちも部屋に戻るか)

ベルトルト(ん、ちょっと待って)



クリスタ「あ、エレン」

エレン「ん、クリスタか」

クリスタ「特訓してたの? すごい汗」

エレン「ん、まあな」

クリスタ「はい、タオルとお水」

エレン「……なんか結構お世話になること多いよな……ありがとな、クリスタ」

クリスタ「ふふふっ」



ライナー(……おいアルミン、もうあいつのために動くのやめようぜ)

ベルトルト(同感)

アルミン(よし、エレンは見捨てよう)

少し抜けます
明日の日が昇るまでには完結させます

おつ

久々に面白くなりそうというか先が気になる進撃SS


HTML化はご存知ですか?完結したらお願いしますね

>>30
進撃SS自体色々規制かかってるらしいからしゃーない

これはミカサだけの犯行じゃないだろ…

つまりミサカが共犯か

うぴゃー おつ

てす


俺が寝る前にはやーく

寝落ちしたのかな?
続き期待

仮眠が寝落ちにつながるのはよくあること(自己肯定)
正直すまんかった

じゃあ始めます

待っていたぜ(許容)

今日中には完結するのかな?

翌朝

アルミン「いやふざけるのも大概にして、そろそろマジメにどうにかしないと」

ライナー「しかし、ミカサはまったく尻尾を掴ませねえな」

ベルトルト「もう実はミカサ以外が犯人って言われても驚かないよ」

アルミン「実際、あれだけの血をシャツに染み込ませたんだ。いくらミカサとはいえただで済むはずがない」

ライナー「それは俺も思ったんだが、なんとなく『ミカサなら無表情で押し通す』とも思えるんだ……」

ベルトルト「衣服以外で被害にあったりはしてないのかい?」

アルミン「分からないや……ひょっとしたらそれが新しいヒントになるかもしれない、今から聞いてみるよ」

ライナー「頼む。……」

アルミン「ライナー?どうかしたの?」

ライナー「なあアルミン、俺たち、ミカサを止めればいいんだよな?」

ベルトルト「ん? そうじゃないのか?」

ライナー「……いや、何でもない」

アルミン「…………」

エレン「お、アルミンはよっす」

ミカサ「アルミン、おはよう」

アルミン「二人ともおはよう。ミカサは今日も朝から警護?」

ミカサ「そう」

エレン「いらねぇっつの」

ミカサ「何か変わったことはない? 本当に大丈夫?」

エレン「特にはねぇよ。……あー」

ミカサ「! 心当たりがあるの!?」

エレン「いや今朝起きたとき口元がベタベタしててさ、俺そんなによだれとかこぼさないはずなのに」

アルミン「」

ミカサ「」

ライナー「」

ベルトルト「」

ユミル「」

サシャ「いただきまーす!」

クリスタ「エレンも寝ぼけることがあるのね」クスッ

エレン「どういう意味だよ」

クリスタ「そういう寝相みたいなのは、人によってじゃなくて日によって変わるものなの」

エレン「そういうもんなのか? なんか口元だけじゃなくて顔全体がベタついてたんだけど」

クリスタ「……部屋の誰かの唾液だったり?」

アルミン「!?」

ユミル「いやそれはさすがに……」

ベルトルト「ちょっと有り得ない……」

ライナー「お前らなんで俺を見るんだ、やめろ」

アニ「またバカみたいなことを話してるね」

エレン「ん、アニか」

アニ「寝相の一つや二つでいちいち騒ぐんじゃないよ女々しい」

ライナー「お前と違ってエレンは繊細なんだよ」

アニ「はあ?」

ライナー「い、いやすまん……」

ベルトルト(どうして君は地雷原で立体機動したがるんだ)

エレン「そうだ、いいこともあったんだぜ!」

ミカサ「なに?」

アルミン(あれ何でだろう、エレンの笑顔に嫌な予感しかしない)

エレン「昨日爪きりしたんだけどさ、掃除する前に寝ちまってたんだ」

クリスタ「……ッ」ギロッ

アニ「へえ、それで?」

ユミル(ん?クリスタ?)

アルミン(今、クリスタの表情が……ま、さか)ゾクッ

エレン「起きたら誰かが掃除してくれてたんだよ」

ライナー(アウト)

ベルトルト「…………」ガタガタ

エレン「いやびっくりしたわ。ひょっとしてアルミンか?」

アルミン「まさか、違うよ。日頃の行いがいいから、そういう幸運があるんじゃないかな」

サシャ「……ごちそうさまでした」

コニー「うおっ、サシャお前食い荒らしすぎだろ」

サシャ「はい?」ギロッ

コニー「!?い、いや別に」

コニー(なんだよあれ超こえええ……)

ミカサ(…………)

ミカサ(ここのところ、エレンの周りが騒がしい)

ミカサ(色んな事件が起きている。シャツの血や、唾液や、爪や)

ミカサ(当然疑われるのは私)

ミカサ(……それでもいい)

ミカサ(エレンの笑顔が見られるのならそれでいい)

ミカサ(それ以外に望むものなんて……ない)

ミカサ(エレンを守ることができたらそれでいい、それでいい……だから……)

ベルトルト「本当かよ……いくらなんでも、そんなことが」

ライナー「多少の目星はついているが、正直言ってどうしようもないな」

アルミン「ミカサが見逃す理由がないからね、ミカサが手出しできない何かがあると考えて間違いない」

ライナー「俺たちの勝手な予想で踏み込むのは危険ってことだ」

アルミン「この均衡が崩れたらどうなるか全く分からない」

ライナー「流血沙汰も十分考えられる」

ベルトルト「…………」

ライナー「しかし放置するわけにもいかないからな。誰にいつ危害が及んでもおかしくない」

ベルトルト「なあ」

アルミン「どうかしたの?」

ベルトルト「エレンなら……その怪しい奴に踏み込めるんじゃないか?」

アルミン「!」

アルミン「………………」

ライナー「いや、犯人が仲間内にいるとは、エレンが信じてくれないんじゃないか。……どうだ、アルミン」

アルミン「可能性は……ある。少なくとも今打てる手で……最もマシだね」

ライナー「マジかよ……」

アルミン「今晩にケリをつけられる目処が立った。ありがとうベルトルト」

ベルトルト「いや。というかもう手が浮かんだのか」

アルミン「犯人候補者達はエレンに任せる。僕らがやるべきなのは、弾丸が暴発した時に止血する準備だ」

ライナー「?」

アルミン「ミカサを、味方につける」

----------------------------------------------------------------

----------------------------------

---------------


「……ったくアルミンのヤツ、面倒くせえ命令しやがって」

寮から出て、橙色から黒に染まりつつある空の下を歩く。

罰ゲームを賭けたダウトの結果、最下位のエレンはアルミンの命令をこなさなければならなかった。

まさか自分以外の参加者全員がグルだとは夢にも思わないだろう。ライナーもベルトルトもアルミンの味方だった。

消灯時間にはまだ早く、今のうちからならアルミンの計画には間に合う。

命令の内容はどれも単純だが相手の人数が多く、時間のかかるもの。

「お、いたいた、サシャーっ」

「ふぇ?」

第一の標的を発見。

ミカサが冷静にかつ常識的にそうでない女の子達からエレンを守る日が来るとはな。いつもは逆なだけに

近づきながら自分のセリフを何度も確認する。

忘れてはいない。言える。

「明日の朝、お前の分のパンくれ」

「は?」

心底あきれたような声色でサシャは続ける。

「何言ってるんですかエレン、まさかこの私がそんな話受けると思ってたんですか?」

この私と言うあたり、健啖家の自覚はあったのか。エレンは内心ちょっと驚く。

アルミンの命令は、もちろんこんな数秒で終わるようなものではなかった。

むしろここまでは予定通り。

命令に従って、エレンは次のカードを切った。







「頼むよ――――なんでもするからさ」

それが爆弾とは、少なくとも本人は思っていなかった。

無造作な一言が時を止めた。

サシャの笑顔が固まった。

「……おい、サシャ?」

「…………」

「なんだよいきなり黙って」

「なんでも、ですか?」

笑顔にヒビが入る。






ん?

今何でもするって言ったよね。

「なんでもですかなんでもですよねエレンをどうしてもいいんですよね好きにしていいんですよね仲間内も協定も無視していいんですよね、私のものにしますよ私のものですエレン私のものエレンは私私エレンエレン私、いつもいつでもエレン食べること考えて不平等だから私食べていいのに血を飲んでもくれないですし血を嗅いでもくれないですしでもあれ着たってことはエレン認めましたよねエレンは私のものって認めた認めましたね、認めたエレン私を認めたエレンは私のエレン、私に包まれてどうでした温かかったでしょずっと感じられるんですよあれ私もエレンに包まれたいけど痛いのはいやですかいやですよねでもいつかはアレンにまみれていですよねだって私からのだけじゃ不平等ですから、食べていいですよね私を食べて私エレン食べるエレンの指も手も腕も足も脛も腿も腋も肘も膝も肩も髪も目耳唇歯舌心臓脳味噌全部私食べるだから食べて私食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて」

えっ

ヒェッ…

ミカサよりアウトォォォォォォオ!!!

ID二度見したわ、怖ぇよ

ははっ、なんだこの程度か(腰砕け)

> 仲間内も協定
あっ……(察し)

>>56
1箇所アレンになってるぞwwwwww

た…大したこと無いな…(失神)

こえぇぇぇぇぇぇぇ!!?

なぁ……コレでまだ最初だよな?

後の二人はコレ以下だよな?なっ!?

wwwwホラーかょ

>>63
(やべぇ)




「……」

「……」

「……」

「……」

「え、なんだって?」

「……」

「悪い早口すぎて全然聞き取れなかった、もっかい頼む」

「…………すみません、どうかしてました」

時々エレンのパンツを盗んでクンカクンカした後、ちゃんと返していたミカサがまともに見えてきた

こ、kdk兄貴は偉大だぜ…(失神)

フーッ、フーッ、と荒く息を吐いてサシャは落ち着きを取り戻した。

その異様な様子を少し訝しみながらも、エレンは次の命令をこなす。

「あ、そうだアルミンがこれお前に渡しといてって」

「はい?」

小さな手紙だ、もしや恋文かと勘ぐったりもしたが、どうやら違うらしい。

アルミンから中身は見ないよう厳重に言いつけられていたので見ていない。

読んでいくうちに、サシャの顔色が変わっていく。

「……んじゃサシャ、俺もう行くわ」

「あ、はい」

パァッとまぶしい笑顔を貼り付けるサシャ。

「どうしたよ、いっきに機嫌よくなったじゃねえか」

「もう少しで私のものになりますから!!」

「は?」

「えへへっ」

エレンがくれたマフラーをずっと身に付けているミカサは純愛

----------------------------------------------------------------

----------------------------------

---------------


「えーと次はっと」

ひとまずサシャはこなした。途中で錯乱したようによくわからないことを言っていたがよくわからなかった。

「この辺にいるはずってユミルは言ってたんだが」

途中で会ったユミルは、訝しげにエレンを見ながらも彼女がどこにいるのか教えてくれた。

手を出すなよ、と余計な一言も添えての話だが。

とにかく彼女を見つけて早く用事を済ませなければ。正直な話、ちょっとエレンは眠気に襲われ始めている。

「お、いたいた」

「うん?」

金髪の女神が振り向く。

エレンでもクリスタは女神に見えるのか

気を抜くな寝たら死ぬぞ(戦慄)

「よっクリスタ」

「あ、こんばんはエレン」

日陰に咲いた花を愛でていたのか。

花の咲くような笑顔で挨拶を返す彼女の背後に小さな花を見て取り、エレンは素直に女の子だなと思った。

なんとも彼女らしい。

「へぇ、こんなとこに花が咲いてんだな」

「うんっ私もこの間見つけたの。それから少し様子を見に来てるんだ」

クリスタの隣にしゃがみこんで花をまじまじと見る。

隣から流れてくる心地良い香りは、兵士として訓練を受ける少女とは思えない華やかさだ。

「エレンはどうしたの?」

「ん、あ~……散歩でさ、最近色々あってちょっと気が滅入ってんだ」

「ああ……」

「あんなことされても困るっての。正面から来いって話だ」

アルミンから馬鹿正直に罰ゲームのことを話したりせず、自然な様子を装うように言い含められている。

我ながらうまい言い訳だとエレンは内心自画自賛。

正面から来い?………あっ(察し

「ん、そっか」

クリスタはあいまいに笑った。

「そういう意味じゃクリスタは結構言うときは言うよな、こう、ズパッと」

「ええっ何それ、エレンは私のことそんな風に思ってたの?」

アルミンから言われていた内容を口に出すには前置きが必要だ。

というかこの命令を出したときアルミンの表情があまりに必死で、少し笑いそうになる。

「笑わないでよぉ」

「ははっ、悪い悪い。でもこれ褒めてんだぜ」

「へ?」

「ユミルとか相手にも物怖じしねえじゃん。俺はそういうとこ素直に尊敬してるんだ」

「エレン……」

とりあえずその場で思いつく限りのお膳立てはした。

自分にはアルミンの考えることは分からない、なんでこんなこと言わなくちゃならないんだ、エレンは内心ため息をつきながら命令を実行に移す。

「クリスタを嫁さんにできるやつはメチャクチャ幸せだろうなあ」

「 」

クリスタは俺の嫁

(アカン)

「ただ支えるだけじゃなくて、叱るときは叱ってくれる人が一番だよ」

「  」

「あ、でもこれじゃ母さんになってほしいみたいだな……でもまあ、クリスタはいいお母さんにもなれそうだしいっか」

「   」

「おい、何固まってんだよ」

フリーズしていたクリスタのおでこをエレンは小突いた。

ひゃっ、と可愛らしい悲鳴。

「だ、だってエレンはへんなこと言うからっ! もう、お風呂入った後なのに……」

頬に触れる金髪を人差し指でぐるぐる弄りながら、クリスタは上目遣い気味にエレンを見た。

「そ、そういう風に」

「あん?」

「言いたいこと言ったほうが、いいの?」

「おう! ……シャツのあれもそうだし、俺はそういう人のほうが好きだ」

ここで追加のカード。アルミンの指示でも難しいところをやっとの思い出こなす。








「クリスタみたいな可愛い子から、そういう風に、正面から言われたら、俺何でもしちゃうぜ?」

アカン!(アカン!)

ごめんケーキ食ってくる

+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

衝撃に備えて待ってる

ヤバい(確信)

ケーキうまかった





「……」

「んあ?どうしたよ」

「そっか、そうだよね、あんなのいらなかったんだよね、邪魔だし、足引っ張ってるし」

「?」

「最初っからこうすればよかったんだよね」

クリスタは笑っていた。

ライナーを筆頭としてアルミン、ベルトルトはその笑顔を可愛らしいとよく褒めている。

だが、エレンは今、素直にその笑顔を可愛らしいと言う事ができなかった。

小さく赤い唇が開く。

まだ慌てるような段階じゃない(棒

地雷原でタップダンスを踊る男

特に理由のある強姦がエレンを襲う!

「何してもいいんだよねエレンなにしても私がエレンの何をどうしてもいいんだよねあの二人なんてミカサなんて関係ないんだよね私だけのエレン私の私だけの……はぁ、はぁ、エレンの汗も私のものだよねじゃあエレン走ろういっぱい汗かいていっぱい私に飲ませて私エレンの汗大好きなのエレンのシャツ時々サシャから借りて汗搾って出して飲んだらそれだけでイッちゃったのでも普通だよね好きな人相手だったらこれでいいよね、ああでも汗だけじゃだめせっかくエレンの全部が味わえるんだからほしいエレンほしい涙がほしいからいっぱい悲しんで泣いて私も一緒に泣くから泣いてでも涙ちょうだい飲ませてなめるから目をなめてあげるから、でもそれだけじゃ足りないからほしいなエレン唾液がほしいこのあいだくれたよねエレンベッドの上で朝私に唾液くれたよね交換しなきゃいけないよね私の唾液はどうだったの私いっぱいいっぱい唾液あげたよねエレンも私にいっぱいいっぱい唾液くれたからだから交換したよね口に入らなくて顔にも唾液あげたよね私も今体の水分ほとんどエレンのよだれと汗でできてるの歩くたびにエレンを生きているだけでエレンを感じられるから幸せなのご飯食べた後エレンの使ったスプーンだけが私の取り分だったのエレンの使ったタオルだけが私の癒しだったのでももうそれだけじゃ我慢できないのスプーンでオナニーしてもタオル食べてももうエレンがほしいエレンがほしくて仕方ないの今もスプーンを中に挿してるけどがまんできないの、エレンも幸せになってほしいな、ああ、それと、血もちょうだい血がほしい血液が鮮血が血潮が生き血が膏血が紅血が血が血が血が血が血が血がほしいほしいエレンほしい私の血あげる飲んで交換しましょう血と血と血と血と血と私も飲むエレン飲んで飲んでひとつになりましょう一つに私たち一つに混ざり合いたいだってそうすればエレンと離れないでエレンをずっと感じることができるからだから血をくださいエレンの血をください私に飲ませてください何杯でも何杯でも飲めるからお願い」

かわいい

(結婚しよ)

あー、ながくてよくわからないぶんだとおもいました(幼児退行)

なんでサシャもクリスタも血を求めるんだwwww

>>92-93

wwww

逃げよう(提案)

なんだ、血でいいのか
精液を欲しがらないあたり、まだまだウブなんだなあかわいい

よかった。女神は普通だったわ

「……」

「……」

「……え、は? 血がほしいんだって?」

「え、あ、はい」

「んーナイフとかあったっけなぁ」

「あ、いや、今すぐじゃなくていいから」

慌ててクリスタは自分の左手を噛み千切ろうとするエレンを押しとどめた。

この内容聞いて指噛みきったら
巨人化するだろ

こいつ動じねえな……

自分の意志で巨人化して女子に食べてもらおう(錯乱)

「そうだクリスタ、お前に渡すものがあるんだった」

「へ?指輪?」

「何でだよ……ほら、アルミンからの手紙」

あからさまに残念がっているクリスタ。

手紙を半ば無理やり押し付けて、エレンは最後の相手を探して歩き出した。




「この手紙……そっかぁ。やっぱり結局、エレンは……ふふっ」

これはむしろ自分から襲って主導権を握るべき

これ終わったらエレンは人の形を保ってられるのかな……

天使が頭の残念な堕天使に……

これ、一番エレンが異常だろ……

----------------------------------------------------------------

----------------------------------

---------------


「って、お前はすぐに見つかるのな」

「はあ?」

建物の裏でアニが汗を流しながら振り向いた。

派手な音がすると思えば、藁を束ねたサンドバックを豪快に蹴りまくっている。

「ちょっと用事があんだけど」

「さっさとしな」

「へいへい」

クリスタは喉が乾いてるだけだから…
好きな飲み物がたまたまエレンの汗や血だったんだ…

>>110
スプーンをお股に挟みこんでたりタオルを食べたりしてるんですが、それは……








「アニ、俺を奴隷にしてくれ」






!!!!???

エレン!!アウトォォォォォォオ!!!!!!

っていうかアニだけこんな直球なんだ?

なんかID変わりまくってんだが大丈夫かこれ



「……は?」

「いや、奴隷にしてくれ」

最後の命令が最も罰ゲームらしいと言えばらしかった。

直球にした方が冗談だろうとすぐに気取られる。それがアルミンの説明だった。

うまいこと口車に乗せられた気が拭えないが、これさえ終えればもう部屋に戻ることができる。

「お前って結構命令口調だし、思い通りに命令できる奴隷でもほしいんじゃないかって」

もちろん明日の朝にはアルミンたちの説明が入るのだが。

保険がある以上はためらう必要はない。

正直動機の女の子の奴隷とか響きが背徳的過ぎてちょっと本人のエレンも引き気味だが。

「へぇ……じゃあ蹴り技の的になってよ」

「えっ」

「この的、使うの飽きてきたんだよね」

「オイオイ人を的と同列に扱ってんじゃねえよ!」

「命令しろっつったのはあんただよ」

言葉と同時、空気を裂くようなハイキックがエレンの側頭部を襲った。

慌ててかがみ込む。

反応できない速度じゃなった。手加減されたのか、それはそれで腹立たしい。

「頼むからほかの! あんま俺が痛めつけられないヤツで!」

「チッ……奴隷の癖に生意気だね」

「くっ、話を持ちかけたのは俺だから否めねえ」

腕を組んでアニはエレンを睨み付けた。

眼光が鋭くエレンの体の隅々に突き刺さる。下から上までグサグサと。

サンドバッグにはライナーがいるだろ!いい加減にしろ!

特に理由のない暴力がライナーを襲う!!

エレンは「よく分からないし疑わしいけど仲間なら信じよう」ってスタンスがあるからな。良心のある餓狼

「時間もないし、ちょっと制限つけな」

「あ?」

「制限。あんたに命令したいことが多すぎるから」

「オイオイ……んじゃ、今この場で俺ができることで」

それでも多すぎる、とアニは悩む。

「……もうちょっと制限ちょうだい」

「道具は不必要!」

「もうちょっと」

「他人を巻き込まねぇ!」

「……あと一つ」

「あーっと……面倒じゃねえやつで」

「よし」

「決まったよ」

「おう、どんとこい」

そこまでサイケリックな指示はこないはずとエレンは高をくくる。

アニも涼しい表情のままだ。



「んじゃあちょっとそこで自慰しな」

「……はい?」

もう驚かないと思ってたけど、ドストレートが来たな、おい!

oh…

ご褒美じゃないか

爺?(すっとぼけ)

ミカサが一番まともなSSとか初めて見るぞ

「早くズボンとパンツ脱ぎなって」

「い、いや……! おかしいだろっ!?」

「奴隷の癖にできないの?」

エレンは思わず後ずさる。

さすがにこれは異常だと気づく。

「ちょっとさすがに、女の子の前でそういうことは」

「じゃあいいよ、今の言葉が聞けただけでも収穫有りだから」

彼女のまったく変わらない表情に空恐ろしいものを感じる。エレンの頬を冷や汗がつたう。何かがおかしい。

「女の子なんだろ?あたしは」

少しアニは微笑んだ。

滅多に見られない表情だ。でも、あんなドギツい台詞の後じゃなけりゃよかったとエレンは心の底から思った。

「あ、あーっとそうだそうだ、エルミンから預かり物があんだよ、これ。ちゃんと渡したぞ、じゃあな!」

「ああ、お休み」

就寝の挨拶が返ってきたあたり本気で機嫌がいいようだった。




「……へぇ、あのアルミンってやつ、中々面白いじゃん」

エレンできるの?

顔と名前が一致しないから
誰か簡単に説明してくれ

顔と名前が一致しないから
誰か簡単に説明してくれ

エレンが自慰と言う行為を知ってる事に少し驚いたぜ

エレンが動揺して名前混ざっとるがな…
エルミン×
アルミン◯

>>132
(やべぇ)




深夜の何時ごろか、腕時計のないアルミンには分からない。

月を時々雲が隠し辺りが宵闇に落ちる。

隣に両隣に立つライナーとベルトルトは時折吹く風に身を震わせていた。

いや、体の震えの原因が風以外にもあるとは、アルミンも身をもって知っているのだが。

「き、きたか?」

「どうだろ……ミカサ、見える?」

自分たちが陰に隠れるようにしている中、ミカサは堂々と建物の上に佇んでいた。

アルミンの指示通り、立体起動装置を装備し両手にブレードを構えたフル装備で。

「まだ」

ミカサは簡潔に答える。彼女がいなければ、ライナーもベルトルトもこの場に立っていることすら難しかっただろう。

彼女に話を伝えると、ミカサは自分は犯人ではないと予測したアルミンたちを意外そうな目で見た。

結果的には少し迷いながらも交渉の場に臨むことを了承してくれた。

『気をつけて。私は力になれないかもしれない』

それでもいい。

アルミンとしてはその場に、アルミンたちのカードとしてフル装備のミカサがいるという事実が大切なのだ。

第一フェイズ、全員を欲望を露わにした状態でまとめて引きずり出す。

ここに来たということはアルミンの手紙に釣られたということ、そしてそれはエレンに執着する本人に他ならないということ。

第二フェイズはこれから、ひとまずこの場での武力衝突になればミカサ、ライナー、ベルトルトのカードがこちらにあると認識させる。

互いに生身であればアニを押さえるのは難しいが、ミカサに立体起動装置があれば問題は排除される。

第三フェイズは取引の持ちかけ。

内容は簡単だ。

「しっかし、取引が成立すれば、今度は俺たちがエレンのパンツを盗んだりするようになるのか」

ライナーが気を紛らすようにぼやいた。

「ミカサがそんなこと許すのかねぇ」

「……あの三人のような手を使いさえしなければ、全力で延髄をそぎ落とす」

ギチギチと剣の柄が過負荷に呻いた。

顔が引きつる。

――三人、これでアニとクリスタとサシャ全員の犯行なのは確定。問題はどうやってミカサを封じていたのか。

アルミンもさすがに怯えながら、頭の一部は思考にまわす。

彼が持ちかけようとする取引は単純、今まで彼女たちが自分の手で行っていた採集をすべて自分たちが引き受けること。

その代わりに今回のような表だって恐ろしい凶行には及ばない。

表面上の平穏を取り戻すには申し分ない内容だ。

「取引にはギブアンドテイクが必要だ、彼女たちも満足させないといけない」

ミカサを視界に入れないようしながらアルミンは言う。

「だから彼女たちとミカサの間にもwin-winの関係があったはずなんだ……それがなんなのか」

「いつでも自分たちはエレンを堕とせると言っていた」

屋根の上からミカサが答える。

「小瓶に入った薬品を見せられた。あれをエレンに与えればエレンは自分たちの言いなりになると」

……アルミンはあごに手を当てた。

十中八九それはブラフだ。しかしミカサからすればこれ以上ない重大な問題になりうる。

嘘だという確証がなければ、手出しはできまい。

「僕らは今回その薬品を無視する、いいね」

「かまわない、エレンが感づく前にすべてを終わらせられるなら」

彼女も、アルミンたちも、こうした仲間内での争いがあるとはエレンに気取られたくはない。

夜風が草花を揺らしている。日陰に咲く花は、エレンとクリスタがそろって愛でていた花だった。

月がまた、雲に隠れた。

「きた」

闇夜でミカサが呟いたのは一言だけ。

月がまた現れる。

向こう側から横一列にやってくる人影。

それらを視認して、地上の男子三人は自分の目を疑った。

ライナーが苦々しげに呻く。

「なんで三人ともフル装備してやがんだよォ……ッ!?」

あっ……やっぱり?>>全員フル装備

下着を?

これまでに奪ったエレンの物品を?

「戦争ですから」

サシャが微笑む。

「仕方ないでしょ、どっちが上から人目で分かんないと」

クリスタが微笑をたたえる。

「じゃあ、手紙の内容どおりに話を始めなよ」

アニが笑みを浮かべる。


立体起動装置とブレード二本持ちが三人。到底太刀打ちできない。

「……大体あんた、なんでここにいるの?手出しすんなって言ったよね?」

アニがミカサを睨み付けた。

「契約どおり。私はここにいるだけで、何かするわけじゃない」

「へえ、たいそうなブラフだね」

しまったとアルミンは唇を噛む。

計画は今すべて破綻した。

こうなったらもう、向こうが交渉に乗ってくるのを期待するしかない。

「三人とも、話がある」

話は終わった。後は相手次第だ。

アルミンは呼吸を整えて待つ。

「なるほど、今までどおりは維持できるわけですね」

サシャの言葉に不穏を感じた。

直感はこういうときに限って外れない。すぐに悟った。

失敗した。

「じゃあ私はその交渉に乗りません」

笑顔のままサシャはアルミンをどん底に突き落とした。

「……な、んで」

「エレンが言ってくれたんですよ! 私に何されてもいいって! 私これで、やっとエレンを全部『食べられる』んです!」

その笑顔は到底正気とは言えない。

「……どういうことかな、私も同じ理由で降りようと思ったんだけど」

「同じく」

サシャと同様に笑顔を無理やり貼り付けた少女たちが、ブレードをぐさりと壁に突き刺した。

「というか、協定も守らずに勝手にエレンの爪を採集した愚か者がいましたよねえ」

サシャも抜刀。

「はぁ? ちんたらしてるあんたらが悪いんだろ」

「まあ形骸化しちゃってるし、それをいうならサシャも、私たちに断りなくスプーンやフォークを盗ってるし、報告のない下着類もあるよね?知ってるんだよ?」

「……馬術しかとりえのない人間が、私とまともに戦えるんですか?」

刃が月の光を照り返した。

もうここまできたらアルミンたちには手出しできない。

「ミカサッ……!」

「勝手に自滅しているだけ。約束どおり、私は彼女たちには手を出さない」

「何言ってんだお前! あいつらが傷ついたらエレンも悲しむって分かんねえのかよ!?」

ライナーが必死に叫ぶと、ミカサは変わらず無表情で冷え込んだ息を吐き出す。

「これは、エレンのため」

「害虫たちが勝手に争ってくれている。これは好機」

「あとは事実を明るみに出せばエレンの周囲にいる女は私だけになる」

よし、ユミルはまともだな(安心)

「…………なんて」

アルミンが恐怖に歯を鳴らしていると、ミカサは風に髪をたなびかせながらかぶりを振った。

「そう思えたら楽なんだろうけど、でも、ライナーの言うとおり」

ガシュ! と立体起動装置が稼働する。

「!?」

「私の望むものはエレンの笑顔だけ。ただそれだけでいい、その結果エレンの隣に私が立っていなくてもそれでいい」

火花散らす三人のちょうど中間地点にミカサが降り立った。

「あなたたちは死なせない。エレンの笑顔を守るために私はあなたたちを守る」

「……他の二人ごと全部清算しましょうかね」

「勝ち残って、残った三人には、ごめんね、全部なすりつけさせてもらうから」

「ハッ、全員敵だ。もうエレンも味わえないよう舌を切り落としてエレンを見れないよう目をくりぬいてエレンに触れないよう指を削ぎ落としてやる」

「じゃあアニは足を取って動けなくしてから」

「ははっ、いいアイデアですねクリスタ~。そのアイデアもらいです、ただクリスタもミカサもそうしますけど」

「無傷で全員無力化する。それで話し合う。きっとエレンを好きになれるのは、考えは同じだから、だから理解し合えるはずだから」

『……ッ!!』

「何でだよッ!!」

アルミンが吼えた。

今にも動こうとしていた四人は一斉に動きを止める。

「何でそんなにエレンに執着するんだ、何で!」

サシャより先にクリスタより先に、アニが口を開いた。

「だってあたしの欲しいものは、あんたたちが用意できないものだから」

「!?」

そのまま続ける。

「あたしがほしいのは、あいつとの子供」

アニは未来思考だなぁ

将来を見据えてるともいえるな、あぁ

「何してもいいんだろあたしが何したって問題ないんだろじゃあくれよエレンをあたしはエレンがほしいのエレンの細胞が一片残らずあたしのものになればそれでいいの何かもがほしいのあいつらみたいに中途半端じゃ満足できないマフラーだけとか論外だしとにかくエレンがほしい、もう飽き飽きなのまったくエレンは感じられないし今のままじゃだめだって分かってるけど何もいえなかったけど今ならいいよね髪の毛はもういい切った爪ももういいエレンを集めるのは止めだエレンのかけらを集めたら少しは再現できるかと思ったけどダメだったほしいものが手に入らないエレンの心はどうがんばってもダメだった、エレンが通った後の空気をビンにつめてもエレンの爪きりの後を拾い集めても落ちた髪も剥がれた垢も寝てるときに齧った指もどんな細胞も冷たくてエレンを感じられないの、エレン、エレンエレン、正面から名前を呼べるだけでも恵まれてるのにあたしはこうやって本人のいないところでしか呼ぶことができないのにあいつらは何も分かってない、でもあたしもエレンが欲しいけどエレンだっていつまでもあたしの傍にいてくれるとは限らないだから欲しい欲しいエレンを繋ぎ止める鎖が欲しいエレンがあたし以外に目をやっても絶対にあたしを手放せないぐらい硬くて強い鎖が欲しい、だからエレンの子供が欲しいエレンと私の子供ができればそれで問題ない問題解決だから、だからエレンの子供が欲しいそうすればずっとエレンと一緒にいれるずっとエレンを手放さずに済むだろだから子供が欲しい死んでもエレンはつくれないけどエレンとの子供なら何度でも作り直せるからだから鎖として結びなおせるからだから子供じゃなきゃだめだ血とか唾液とか汗とかもいいけど今のエレンを感じるだけじゃダメなんだもっとずっと先まで続くものじゃないとそれはエレンそのものなんだだからエレンがほしいそのためにはエレンを縛らなきゃいけない他の女を排除してもいいけど尺だけどミカサが言ったみたいにエレンが悲しむエレンが悲しむのは見たくないからだからがまんする仕方ないからずっとあたしの傍にいてくれたらそれでいいからそれでいい、でも鎖がないと不安だから子供が欲しい、いくらでもつけ直せる強い鎖がほしい」

狂気だ…

アルミンの「何で」に答えられているような、いないような……まぁ「好きだから」執着してるんだろうけど

全部読もうとしたらエレンがゲシュタルト崩壊した

とゆーかユミル以外ヤンデレ展開は予想しなかった

「へぇー、そうですか」

「あっそう」

クリスタとサシャはブレない。

ミカサもまた表情を変えずに腰を低く落とす。

もう激突は避けられない。何かもっと話をして時間を稼ぐ、それで誰かをライナーかベルトルトに呼んでもらう。それしかアルミンが打てる手はない。

「ちょっと待ちな」

手を打つ前に、その最善の結果が起きる。

「ユミル……!?」

「さっきから話は聞かせてもらった」

物陰から堂々と歩き出て、四人がいがみ合う地点へ平然と進む。

「救いようもねえなあんたら」

振り返って、先ほどまで自分のいた物陰に視線を飛ばした。

「なああんたもそう思うだろ、エレン」

ついにエレン登場か!!

嫌な予感がする

最後の砦ですよね…

ユミルさん

アニは一応人死にが出る事には否定的なのか。
頑張れアルミン

「…………」

見知った顔がのそりと出てくる。さすがに場の空気が凍る。

仕掛け人のユミルだけはなぜか得意げに。

最悪だ、アルミンは呻いた。

彼には知られたくなかった。

彼には気づかないままでいてほしかった。

きっとこうなってしまったら今までどおりにはいかない。アルミンの望む日常は帰ってこない。

「……なあお前ら、今まで俺に黙って俺の色んなモン盗ってったって、本当か?」

否定する理由はもうなかった。ミカサだけは頷いていなかったが。

膝を振るわせるアルミンの元にユミルが駆け寄る。

「そう心配すんなって、ちゃんと入れ知恵しといた」

「ほ、本当に?」

「……私の望むものはクリスタの笑顔だけ。ただそれだけでいい、その結果クリスタの隣に私が立っていなくてもそれでいい」

そう言うユミルの表情は月に照らされ、どこか儚げだった。

エレンは視線を横にずらしていった。

ミカサ。

クリスタ。

サシャ。

アニ。

剣呑な雰囲気を感じているのか感じていないのか、この場の元凶である男はどこまで怖がってなどいない。

歩いて、立ち止まる。四人ともエレンに焦点を当てる。

口が開いた。




「お前ら、等価交換の法則って知ってるか?」



そうか、そう来たか

鋼の錬金術士か
週刊誌に弾かれた仲間だな

ハーレムENDに期待

まさか「なんでもやるから巨人殲滅に協力しろ」とか・・・

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エレン「アルミンはよーっす」

アルミン「うん、おはよう。今日は立体機動装置の訓練だね」

アルミン(今日も平和に朝が始まります。鳥の鳴き声、差し込む朝日、どれをとっても爽快な朝です)

アルミン(朝にしては暖かいですね、まだ時間はありますしゆったりとした朝食がとれそうです)

アルミン(窓の外には風に揺れる草原、廊下では談笑を交わす仲間たちに、たとえ薄かろうと腹の虫を鳴かすようなスープの香り)

サシャ「エレンおはようございます!」ヒョイッ

アルミン(そして放り投げられる縞々パンツ)

最終的には巨人討伐の成功報酬とかになったりしてな

>>放り投げられる縞々パンツ

なんでやねん

エレン「うお、投げんなよ」

サシャ「……別にいいじゃないですか今更! あ、じゃあ昼休憩の時にパァンツお願いしますね!」

エレン「はいよっと……俺のパンツ減るのはともかく、これどうしろってんだよ……仲間のパンツでシコるわけにもいけねえし……」

アルミン(妙な良心にとらわれていますね、あんな不純な契約同時に四名と結んでおいてこの男は何を言っているのでしょうか)

アルミン(他の男子たちが血の涙を流す勢いでこちらを見てきています。正直僕もこの男の感性はどうなっているのかと第三者なら疑ったでしょう)

ユミル(内心ムラムラだけど仲間相手にそういうことはできないっておカタい考えなんじゃねーの)

アルミン(こいつ直接脳内に……!)

こわいと思いました(小並感)

アルミン(……あの日、ユミルが吹き込んでエレンが持ちかけた話は実に単純だった)


エレン『パンツ持ってくんならお前らもパンツよこせ。できねえやつはすんな』


アルミン(正直言って、エレンがトチ狂ったんじゃないかと思った)

アニ「……ちょっと」

エレン「あ?」

アニ「ほら」

アルミン(基本的にこの交換は文字通り『等価交換』だ。だからこうしてアニが綺麗なその髪を数本束ねて渡せば)

アニ「切らせな」ジャキン

エレン「おい、巨人殺すわけじゃねえのにそのブレードはやめろ、せめてはさみにしろ」

アニ「チッ……ほらよ」シャキン

エレン「持ってんなら最初っからだな……ほらよ」パサッ

アルミン(エレンも大体同じぐらいの量の髪をあげる)

アニ「……」

エレン「んだよ?」

アニ「これは6本だね、あたしがあげたのは9本だよ、3本足りない」

エレン「もうお前がやれよめんどくせぇ!」

ギャー ギャー

アルミン(……やっぱり分量の計算はみんな正確にやってるみたいだった)

エレン「ったく、疲れるぜ……お、今日のスープ地味にうまいぞ」

アルミン「魚介系かな? ダシがきいてるね」

エレン「毎日これなら……飽きるか」

アルミン「だろうね」

ミカサ「……エレン」

クリスタ「ここで食べてもいい?」

エレン「おう、二人とも座れ座れ」

アルミン(ミカサが隣なのは低位置になっている。クリスタはエレンの斜め前に)

クリスタ「……アルミン?」

アルミン「ぼくこっちのいすのほうがもくめがすきだなぁ」

クリスタ「じゃあ私は空いたこの席に座るね♪」

アルミン(訂正、エレンの真正面に座った)

クリスタ「エレンっ、はい」

エレン「ん、おお」

アルミン(食事の最中、不意にクリスタがスプーンをエレンに突き出した)

アルミン(エレンは慣れた様子でスプーンを自分のと交換する。スプーンとスプーンだから確かに等価交換だ)

アルミン(……先ほどまで自分が使っていたスプーンを、クリスタに差し出す)

クリスタ「えへへ、えへへへへっ……」ヂュルヂュルヂュパ

エレン「ははっ、確かに今日のスープは旨いけどどこまで必死にならなくてもいいだろ」

クリスタ「んんっ、おうぃひっ、ダシがとってもきいてるっ……んひっ、んんあっ」ヂュポッヂュポッ

アルミン(変態だ)

エレン「ミカサはどうだ?旨いだろ?」

ミカサ「……確かにおいしいけれど、私はクリスタとは違うものを食べてるから」

エレン「?」

精液は何と交換したら良いんだ…

ミカサ「……エレン、スープが頬に飛んでる」

エレン「うおっマジか。どこだよ」

ミカサ「動かないで、ちょっとこっちに顔を向けて」

エレン「あ?」

チュッ

ミカサ「…………とても美味」

エレン「」

クリスタ「………へぇ」

サシャ「美味しいんですか?じゃあ私の出番ですよね?ね?ねぇ?」

アニ「ッチ」

ユミル(頭痛が……)

ライナー(胃痛が……)

ベルトルト(腹痛が……)

アルミン(ミカサも染まってしまったのか……)

かわいい

エレン「お、お、おまっ、なにしやがっ」

ミカサ「これは等価交換」

ミカサ「私は今、エレンに私のファーストキスをあげた」

ミカサ「それと同時にエレンのファーストキスをもらった」

ミカサ「この二つは等価」

ミカサ「さらにいえばもうエレンはキスを済ませたため、あなたたちのファーストキスとは交換できない」

ミカサ「私とエレンはお互いにしかキスをしないからずっと等価交換できる」

ミカサ「あなたたちはその辺の有象無象とキスして回数かせいでおけば、巨人が火を使い始めるころにはエレンとキスできるかもね」

『……ッ!!』

アルミン「か、完璧な理屈だ……!」

ライナー「アルミンお前疲れてるんだよ……」

ヤンデレってカワイイけどコワイね

その発想はなかった
さすがミカサ抜けめねぇな

もう変態ばっかだしアルミンでいいじゃん(いいじゃん)

こういうのもいいけどやっぱり
エレンには皆とイチャイチャを願いたい

アニ「それは違う」

クリスナ「違うね」

サシャ「違いますね!」

ミカサ「……なに、負け惜しみ? ごめんけど後で」

サシャ「ミカサがもらったのは『エレンからミカサへのファーストキス』です」

クリスタ「まだ『エレンから私(クリスタ)へのファーストキス』は残ってるよ?」

アニ「当然あたしのもね」

ミカサ「……そう思うなら勝手にすれば? エレンのファーストレディはどの道私だから」

エレン「いや意味分かんねえよ、ちゃんと規則守れお前」

ワーギャー ワタシモキススルー アタシモ ワ、ワタシモ! チョッ、ムグッ… ギャーギャー




アルミン「胃薬って何と等価交換なのかな」

ライナー「平和な日常、だろ……」



オシマイ

誰かアルミンを休ませてあげて

ん?ということは初体験はどうなるんですかね~(ゲス顔)

クリスタがクリスナになってますよー

けど、サシャが一番危険思想な気がする



エレンなら食われても大丈夫大丈夫ヘーキヘーキ


できればこの後の
個別の後日談を聞きたいね

くぅ~疲w
これが言いたいがために始めたssお粗末さまでした

ずっと立体機動装置誤字してたわ死にたい
あと時々誤字指摘されて普通にハズかった死にたい
ミカサとユミルは対象こそ違うけど共通思想のまともな子だよってステマ決めてみる
ごめん後日談とか書く気力ないわ眠い

読んでいただきありがとうございました
機会があればまた進撃ss書きたいです(小並感)


確かに後日談は欲しいな

お疲れちゃん
面白かったのもあるけど、なんだか読みやすくてよかったわ
なんでかはわかんねーけど

読みやすくて面白かった(小並感)



結局根本的な解決になってないwwww


乙!

生きる道はハーレム√しかないな

なんかすげーよかった


つまりアルミンが一番エレンとお似合いってことか!


エレンには巨人と人間(男か女かは関係ない)しか見えてないから仕方ないね

後日談って子供いっぱいとかそういう話ですかね

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