暁美レイコ「暁美レイコです。よろしくお願いします」  なぎさ(ん?) (56)


 叛逆後の世界。映画のネタバレオンパレード。
 魔法少女なぎさ☆マギカな誰得内容。
 クロスものではない。
 なぎさは魔法少女じゃない、さやかは改変前の記憶なしの設定。
 独自設定、独自解釈かなり多め。
 オリキャラあり。
 オリジナル色強いのでご注意を。

 それでもよかったら見てってください。

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一話「夢の中で、会ったような……」



なぎさ(あれ? あの子どっかで……あ。今朝の夢なのです)ジイー

友人A「うわー、すっげー美人。ねえ、なぎさ。見てみて、あれ。プラチナブロンドっていうのかな。さらっさらだー。きれー」

なぎさ「え? あ、はい。すごい美人さんなのですね。でもなんか冷たい感じがするのです」

友人A「ん? そうかなぁ」

なぎさ「はい。なぎさは、同じ金髪でもマミのほうが温かみがあって好きなのです」

友人A「あー。放課後によくなぎさのお迎えに来るお姉さんか。確かにあの人と比べちゃ、おっぱいが……」

なぎさ「いやだから髪を比べたのです」

なぎさ(うーん。やっぱり気のせいなので……あ、目が合ったのです)

レイコ「…………」ジイー





モブA「暁美さんって、前はどこの学校に通ってたの?」

レイコ「東京の小学校よ」

モブB「部活はなんかやってた? てか、部活とかある学校だった?」

レイコ「あったけど、所属はしてなかったわ」

モブC「すっごいきれいな髪だよね。手入れとかどうやってるの」

レイコ「別に、普通に石鹸で――」

ワイワイガヤガヤ

友人A「うわー。大人気ですな、あの転校生は……ん? なぎさ、さっきから転校生のことガン見してない?」

なぎさ「え? いや別になんでもないのです」






友人A「ほれ、ガン見してることは認めてるじゃん。何があったのさ」

なぎさ「む。いや、理由を言ったとして笑われるだけなのです。だから秘密にしておきます」

友人A「なんだぁ? いや、そうか、さてはあれだな。惚れたんだろ? 転校生に一目ぼれか? ふへへ。なぎさもお年頃ですなぁ」

なぎさ「くっそうざいのです。勘違いもはなはだしいどころ騒ぎではないのです」

友人A「んだと!? じゃあ理由を言えよちびっこ! チーズばっか食ってるから身長伸びないんだよ!」

なぎさ「なんですと!? 栄養価満点のチーズ様に向かってなんて口を――」

レイコ「百江なぎさ」

友人A&なぎさ「「!?」」






なぎさ(い、いつの間に。びっくりしたのです)

なぎさ「は、はい。何か用なのですか」

レイコ「あなた、飼育委員だったわよね。昼休み、付き合ってくれないかしら。飼育小屋に行ってみたいの」

なぎさ「飼育小屋に? 別にいいのですけど、なんでですか? ウサギぐらいしかいませんよ?」

レイコ「動物を見てみたいのよ」

なぎさ「へ、へえー」

なぎさ(怖いくらいの冷たい表情でそんなこと言われても……)

レイコ「じゃあ、よろしくね」ファサ

 クルッ スタスタ

なぎさ「…………」

友人A「っぷはー。いまのなに? 横で見てても緊張したわ」

なぎさ「さ、さあ。でもちょっと怖かったのです」

友人A「だよねー。あの転校生、あんな冷たい目ぇして動物好きなわけないし、飼育小屋のうさきちども、昼休みにウサギ肉にされるんじゃない?」

なぎさ「いやさすがにそれはないと思うのです」

なぎさ(……初対面でいうのも何ですか、冷淡といいますかなんといいますか。うーん。もっとしっくりくる表現があるような?)





 ~昼休み・飼育小屋~

なぎさ(さて、昼休みになってウサギ小屋に案内したのはいいのですが)

なぎさ「…………」

レイコ「…………」

なぎさ(沈黙が重いのです!)

なぎさ(ここに来るまで一切会話なし! さすがにウサギ肉コースはなかったのですが、あのウサギを見下ろす冷たい目! なにやら殺意すら垣間見えます。どう考えても動物好きではないのです)

なぎさ(とりあえずこの沈黙をどうにかするためにも、話しかけないと)

なぎさ「あ、っと。暁美さん?」

レイコ「レイコでいいわ」

なぎさ「あー、レイコ、ちゃん?」

レイコ「……」ゲシッ

なぎさ(足元に近寄った白いウサギを蹴ったのです!?)

なぎさ「ちょ、何をやってるのですかレイコちゃん!?」

レイコ「嫌いなのよ、毛が白くて耳が長くて目が赤い小動物は。反射的にひねりつぶしたくなるわ」

なぎさ(じゃあなんでウサギ小屋に……!)






レイコ「それより百江なぎさ。あなたは――」

なぎさ「はい?」

レイコ「――今の自分に満足している? 友人や家族を大切にしている?」

なぎさ「え? っと……?」

レイコ「……」

なぎさ「大切、ですよ? 家族も、友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人たちなのです」

レイコ「本当に?」

なぎさ「む。嘘なわけありませんっ。本当なのです!」

レイコ「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になれるチャンスがあれば迷わず掴み取るべきね。さもなければ、ひとつずつ失っていくはめになるわ」

なぎさ「え?」

レイコ「あなたは、いつかの百江なぎさを取り戻さなければならない。今のあなたでも、これからのあなたでもなく、いつかのあなた自身を」

 クルッ スタスタ

なぎさ「いつかの、わたし……?」




とりあえず今日はここまで。

また明日の夜に続ける。




 ~放課後・飼育小屋~


友人A「えーっ、なにそれ?」

なぎさ「わけわかんない、ですよね」

友人A「文武両道、才色兼備な美少女かと思えば、動物虐待が趣味のサイコな電波さん!? くうー! 萌えか? そこが萌えなのかぁ!?」

なぎさ「そのギャップのどこが萌えなのですか?」

友人A「あー。まあそれは置いといてさ。なぎさと転校生って本当に初対面なの? そういえば自己紹介の時、なぎさも尋常じゃないくらい転校生のことガン見してたしさ」

なぎさ「あー、その。実は、夢の中で会ったような……」

友人A「…………ぷ、あははは! なにそれ! おいおい、なぎさは大食いのチーズ狂っていうキャラがあるんだからそれ以上はいらないぞ?」

なぎさ「うがー! だから言いたくなかったのです!」

友人A「あははは! いやもうそれ運命だわ。あんたら因果の糸で結べられた運命の相手なんだよ」

なぎさ「こっちは真面目に悩んでいるのです!」





友人A「ごめんごめん。うーん。真面目にいえば、前にどっかで会ったことあるんじゃない? それで記憶に残って夢に出てきたとかそんな感じ」

なぎさ「うーん……記憶にないのですけど」

友人A「そっかぁ。ちなみに転校生が出てきたのって、どんな夢だったの?」

なぎさ「あー、結構うろ覚えなのですが、友達と一緒にでっかい怪物と戦う夢でした」

友人A「へー。でっかい怪物かぁ。友達一緒にそれと戦うねぇ。ふぅん」

なぎさ「おいその顔やめるのです。夢見がちな小学校低学年のお子様を見るかのような生暖かい表情をやめないと、いますぐウサギたちをけしかけるのですよ!?」

友人A「あはは、ごめんごめん。んで、転校生は仲間だったの?」

なぎさ「いえ、確か敵役だったのです」

友人A「ああ、そりゃ納得だわ。そういやその夢、友達と一緒に戦ったってことはあたしもなぎさの夢に出てたりした?」

なぎさ「いえ、いなかったような……あ。Aちゃんみたいなデコッぱちが敵幹部にいたかもしれません」

友人A「おいケンカ売ってんなら買うぞチーズ娘」




友人A「ま、その話はともかく、うさきちどもの世話も終わったし帰ろうぜ。そういえば今日はあのお姉さんのお迎えはないの?」

なぎさ「今日はちょっと遅れるそうなのです。さっき電話をしていたら、急に瘴気がどうこう言い始めて。お年頃とはいえ、マミの中二病にも困ったものなのです」

友人A「へえー。金髪ドリルのおっぱい美人に中二病属性で寂しがりかぁ。あのお姉さんのキャラ立ち半端ないね」

なぎさ「そこが萌えなのです。って、あれ? 小屋の外に一匹ウサギがいるのです。いつの間にか逃げてたのですか?」

友人A「え? ひーふーみー……全羽そろってるよ?」

なぎさ「いや、でもあそこに白いのが一匹――」

QB「…………」

なぎさ「うさぎ、が……」

友人A「うさ、ぎ……?」

QB「僕の名前はキュゥべえ!」

なぎさ&友人A「「!?」」ビクッ

QB「百江なぎさ。僕と契約して、魔法少女になってよ!」




 ~使い魔の結界内~


マミ(なぎさちゃんのお出迎えの途中に魔獣の反応を見つけて、使い魔が張ってくれた結界の中に入ったのはいいけれども)

???「……」

マミ(魔獣をかばうように現れたこの子はいったい……?)

???「これ以上魔獣は狩らせないわ、巴マミ」

マミ「……? どこかで会ったかしら?」

???「さあ。どうでもいいでしょう、そんなこと」

マミ「……ふうん。あなたも魔法少女みたいだけれど、魔獣をかばうなんて目的は何なのかしら? グリーフキューブに困っているのなら、条件次第によっては分けてあげるわよ?」ニコッ

???「……そんなもの必要ないわ」

マミ「なら、ゆっくりお茶をしてお友達になる気はない? おいしいケーキもあるわよ」ニコリ

???「二度も言わせないで。そんなもの、必要ないわ」ファサ

マミ「……そう。残念ね」バアン




???「っ。……煙幕」

マミ「ティーロ!」パンパン

???「くッ」ヒュンヒュン

マミ(かわした。早いわね。とはいえ、魔獣をかばう余裕はなかったようだけれども)チラッ

魔獣「ウオオオオオオオオオオ――」シュウウ

???「……ッ。よくも魔獣をやってくれたわね」ギロリ

マミ(冷たい表情のまま激怒してるわね。やっぱり魔獣をかばっているのは間違いなさそう。まだ魔獣は何匹か残ってるけど……)

???「覚悟しなさい」ギラッ

マミ(彼女の武器は、黒いレイピア? いえ、もっと原始的な形ね。真っ黒なマチ針をそのまま大きくしたような武器。近接武器に見えるけれども、魔法少女の武器はトリッキーぁものも多いから、飛び道具じゃないとも言い切れないわ)

マミ「怖いわね。でもよそ見は禁物よ」シュルル

???「!? 弾痕からリボンが……!」

マミ「縛っちゃってごめんなさいね。怪我させるつもりはないから、そこで見てなさい」

???「あっ」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

魔獣「オアアアアアアアアア――」シュウウ

マミ「さて、これで魔獣は全部片付いたけれども」ジイー

???「くっ……」

マミ(うーん。なぎさちゃんと同い年ぐらいかしら。魔法少女の衣装は喪服のような黒を基調とした服装。すごくきれいな顔立ちだけれども、何だか冷たい感じのする子ね)

???「……[ピーーー]なら殺せばいいわ」

マミ(縄張りを広げたい魔法少女かしら? とはいえ、魔獣は片づけたしこの子もこれでこりたわよね。使い魔の結界が消えてまで追いかけてはこないでしょう。それにこの子の実力だったら不意打ちされても負ける気にはならないわ)

マミ「……いいえ、そんなことしないわよ」

マミ(いろいろ聞きたいことはあるけれども……そんなことをしてちゃ、なぎさちゃんのお迎えに間に合わないし、見逃して恩を売ってくのもありかしらね)

マミ「見逃してあげるから、もうこんなことはやめるのよ?」ニコッ




???「……」

シュルル スタ

???「拘束が解けた。相変わらず甘いのね、巴マミ」

???「……魔獣が狩られたなら、せめて百江なぎさのもとへは行かせないわ」スタタタ




 ~小学校・飼育小屋~


友人A「うわっ。何この白ネズミ! しゃべったよ! きもちわる!」

QB「ねえ、百江なぎさ。僕は君の願いを一つだけ何でもかなえてあげる」

なぎさ「ね、願い事? いやいきなりそんなこと言われても困るのです」

QB「何だって構わない。どんな奇跡だっておこしてあげる。でも、それと引き換えに――」

マミ「きゅ、キュゥべえ!?」

QB「――やあ、マミ。どういたんだい、そんなに血相変えて」

マミ「どうしたもなにも……キュゥべえ。何をやってるの? 私たちが鹿目さんとなぎちゃんは巻き込むなって言ったこと、忘れたの?」

QB「そんなことを言ってもね、マミ。素質のある子に契約を持ち掛けるのが僕の役目なんだ」

マミ「どちらにしても、見渡木原にはもう四人も魔法少女がいるんだから、これ以上は困るわ」

QB「でも風見野まで含めて君たちの縄張りだろう? それを考えれば、あと一人や二人の余裕はあると思うけど……」

マミ「もうっ。そういう問題じゃないわ」





なぎさ「……マミ? もしかして、この不思議生物と知り合いなのですか?」

マミ「ええ。でも、なぎさちゃんには――っ!」

???「……」

マミ「あなた、こんなところまで何の用?」

なぎさ「……あれ? レイコちゃん? 忘れ物でもしたのですか?」

マミ「へ? なぎさちゃん、この子と知り合いなの?」アセッ

なぎさ「いえ知り合いも何も……」

レイコ「ここは私の通う小学校よ、巴マミ」ファサ

なぎさ「ていうか、マミはこの不思議生物とだけでなくレイコちゃんとも知り合いなのですか?」

マミ「さっき、ちょっとね。……レイコちゃんっていうのね。忘れ物をしたのなら、早く教室によって帰りなさい。保護者の方が心配するわ」ニコ

レイコ「……そうね。あなたを足止めするにしても遅かったみたいだし、もう帰るわ。でも、百江なぎさ」

なぎさ「はい?」

レイコ「昼休みの忠告が無駄にならないことを祈ってるわ」

 クル スタスタ

マミ「……」

QB「……」

なぎさ「……」

友人A「……誰かあたしの存在に触れろよ。泣くぞ」






 ~ほむホーム~


レイコ「……」

レイコ(巴マミを倒すどころか、足止めもできなかった。百江なぎさはおそらく巴マミに魔法少女になることを制止させられているはず。魔獣も倒されてしまったし、このままじゃ……)

ほむら「あら、帰っきたのね」

レイコ「……ただいま」

ほむら「おかえりなさい。今日は百江なぎさのいる小学校に転校してきたのよね。どうだったかしら」

レイコ「順調です。特に問題はありません」

ほむら「そう?」

レイコ「はい」

ほむら「なら引き続き百江なぎさの監視を頼むわよ――」

レイコ「……」

ほむら「――レイケツ」

レイコ(レイケツ)「……はい。ご主人様」


今日はここまで。

途中でひどいネタバレを見た気がするが気のせいだろう(棒)

てか、覚悟はしてたけど気づくのはえーよ。





次からはAちゃんに名前を付ける。

仁美&さやかポジションにしてみたら登場シーン多くていつまでも友人Aだと違和感が。名前付きのオリキャラなんて出したくないけどしゃーないということで。

あれか、ゆまでも同級生にしとけばよかったのか。……ゆまって何歳だっけ?



また明日の同じ時間ぐらいに続きを投下する。

???「……[ピーーー]なら殺せばいいわ」

てなに?

sagaいれてないからかな


・付け足し変更

友人A→永見ちゃん

エイミーから名前をいただいた。

>>26

ごめん。ピー音の部分は「殺すなら殺せばいいわ」です




 第二話「それはとっても嬉しいなって」




 ~病院~


看護師A「あら、なぎさちゃん。お母さんのお見舞い?」

なぎさ「はいなのです!」

看護師「そう。よく来てくれるわよね。ありがとう」

なぎさ「お礼を言われるようなことではないのです。それでは!」




看護師A「百江さんのお子さん、よく来てくれているわよね」

看護師B「助かるわ。患者さんにもいい励ましになっているし」

看護師C「でもあの患者さん、もう進行が末期で――」




 ~病室~


なぎさ「お母さん、なぎさが来たのです!」

なぎ母「あら、いらっしゃい。今日もなぎさは元気いっぱいね」ニコニコ

なぎさ「もちろんなのです! 今日もお母さんになぎさのありあまる元気を分けに来ました」

なぎ母「そうね。なぎさが来るだけで、確かに元気になれるわ」

なぎさ「今日はお母さんに話すことがいっぱいあるのです! 転校生が入ってきたこととか、えーちゃんの笑い話とかいろいろあるのですが、まずはマミの話からですね!」

なぎ母「ふふっ。なぎさはマミさんが本当に好きね」

なぎさ「はいっ。それで、実は昨日マミのおうちにお呼ばれしてですね――」




 ~マミホーム~


マミ「さて、なにから話そうかしらね」

なぎさ「チーズケーキ♪ チーズケーキ♪」パクパク

友人A→永見「わぁ、すごい部屋ですね。んー。このケーキめっちゃうまっすよ! ご招待ありがとうございます、マミさん!」パク

マミ「うふふ。キュゥベえに選ばれた以上、あなたたちにとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」

なぎさ「うんうん。何でもきいてくれなのです」パクパクパクパク

永見「なぎさ、それ逆……」

マミ「ふふっ。……それじゃあ説明を始めるわね」



マミ「これがソウルジェム」

永見「うわぁ、きれい」

マミ「キュゥべえに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石よ」

なぎさ「契約って何なのですか?」

QB「僕は君の願い事をなんでもひとつかなえてあげる」

なぎさ「さっきも言ってましたけど、なんですかそれ?」

QB「何だって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

永見「うおぅ……金銀財宝とか不老不死とか?」

なぎさ「チーズ一生食べ放題とかもですか!?」

永見「いやそれはちょっと……」



QB「でもそれと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にしたものは、戦いの使命を課せられるんだ」

永見「戦い? 何かと戦うの?」

マミ「ええ。魔獣と呼ばれる存在よ。魔獣は人から発せられる瘴気の多いところから発生して災厄をまき散らすの」

なぎさ「瘴気って、マミが良く口走るあれですよね」

QB「マミがどういう状況で口走っているかは知らないけれども、瘴気というのは人間から発せられる負の感情エネルギーの総称だね。そこから生まれる魔獣は、普通の人には見えもしないからタチが悪いんだ」

マミ「理由のはっきりしない事件や交通事故は、かなりのケースで魔獣によるものなのよ。……そういえば今日もお迎えに来る前に魔獣と戦ってきたわ」

永見「なぎさのお出迎えの裏にそんなエピソードがあったんですか!?」

なぎさ「じゃあ瘴気がどうこうとか口走っていたのは、別に中二病だからというわけではなかったのですね!」

マミ「え、ええ、もちろんよ」

マミ(わたし、なぎさちゃんからそんな風に思われてたのね……)ショボン




なぎさ「でも、マミはそんな怖いものと戦っていたのですか。……全然知らなかったのです」

マミ「そうね。命がけよ。……なぎさちゃんには、心配をかけたくなかったの」

なぎさ「……そうなのですか」

永見「でも、魔法少女が人知れず戦うっていうのはお約束っちゃお約束ですけど、周りにばれないもんなんですか? 魔獣は普通の人から見えないからいいとして、魔法少女って目に見えますよね?」

QB「それは大丈夫だよ。閉鎖された独自の隔離空間を形成できる使い魔がいるからね」

なぎさ「使い魔の……ええと、隔離空間? それは魔獣とは違うのですか?」

マミ「ええ、全然違うものよ。使い魔は魔獣との戦いのときに隔離空間……つまりは結界を張ってくれるの。わたしたち魔法少女が人目を気にしないで戦えるのも、彼らのおかげなのよ」

永見「へぇー。じゃあ、魔法少女の使い魔ってわけなんですね」

マミ「ふふっ、そうね。使い魔っていうのは世の中のあちこち、いろんな種類がいてね。彼らなりのルールでそれぞれの役目をこなしているみたいだから、わたしたちが使っているというわけじゃなくて、協力してもらっているというのが正しいわね」

なぎさ「ふうん。でも使い魔なんて不思議なもの見たことないのです。しいて言えば、キュゥべえが初めてです」

QB「僕は使い魔じゃないよ、なぎさ」

なぎさ「え? 違うのですか?」

マミ「使い魔は普段は何かに擬態したり小さな結界を張って身をひそめたりしているから、普段目につくことはまずないわ。魔獣と一緒で、そもそも普通の人には見えないしね。……それと、QBに関しての説明も必要ね」




QB「インキュベーターというのが僕の正式名称だよ」

マミ「わかりやすくいってしまえば宇宙人ね。ある目的をもって地球に来ているの」

永見「これが宇宙人? へぇ、なんかイメージと違うなぁ。それで、この白ネズミはなにしに地球に来てるの」

QB「宇宙から目減りしていくエネルギーの回収が目的さ。そのために素質を持つ女の子の願い事をかなえて、代わりに君たちの魂を抜き出してソウルジェムに変換するのが僕の役目だよ」

なぎさ「……魂を、抜き取る?」

マミ「……」

QB「さっきマミが見せたソウルジェムがあっただろう? あれは、マミの魂を抜き取って実態化したものさ」

永見「……それって、魂があの宝石になっちゃうってこと?」

QB「そうさ」

マミ「……」

なぎさ「……ッ。なんでそんなことを!」

QB「そうすることによって、魔獣との戦闘に耐えれるようになるんだ。それよりなんで君がそんなにも感情を高ぶらせているんだい、なぎさ?」

なぎさ「なんでなぎさが怒ってるか、わからないのですか……!」

QB「この話をすると何故だか怒り出す子は多いけれど、今の場合は君には直接関係ないじゃなか」

なぎさ「キュゥべえ……!」

マミ「いいのよ、なぎさちゃん。QBはわたしたちとは考え方がまるで違う生き物なの。彼らだって悪意があってやっていることじゃないわ」

なぎさ「でも、マミ……」

マミ「昔、交通事故にあったって話したわよね。その時に、ね」

永見「そうなんですか……」

マミ「他に選択肢がなかったんだもの。仕方ないわ。……それと、まだ話さなきゃいけないことが残ってるから、もうちょっと聞いていてね」




マミ「もう一度これを見て」

永見「ソウルジェム……」

なぎさ「……」

マミ「ええ、ちょっと濁ってるでしょう? さっき魔獣を狩った時に魔力を消費したから、それに合わせて少し濁ったの。それで、これをこうすると――」

永見「おおっ、きれいになった」

マミ「でしょう? さっきのは魔獣が落とすグリーフキューブっていうんだけど、これでソウルジェムを浄化できるの。
 それで使い終わったものは……はい、キュゥべえ」

QB「きゅっぷ」

永見「うわぁ、背中に入ったよ……」

QB「このグリーフキューブから僕たちはエネルギーを集めているんだよ」




なぎさ「……ソウルジェムは魂そのものなのですよね? それが濁り切ったらどうなるのです?」

QB「濁りきったソウルジェムは消滅するよ」

永見「げっ。マジ? ってことは……」

マミ「ええ。……死ぬ、ということね。円環の理という存在に導かれて、わたしたちは絶望をまき散らす前に消え去るの。それが魔法少女になったものがたどり着く最期よ」

なぎさ「……そんな」

マミ「だからグリーフキューブは魔法少女にとって生命線よ。……あまり良いことではないけど、魔法少女同士で奪い合いになることも多いわ」

永見「うわぁ。結構ドロドロしてるんですね」

QB「いま見滝原にはマミも含めて四人の魔法少女がいるけれども、君たちは理想的といってもいいくらいの協力関係を結んでいるじゃないか」

マミ「そうでもないわよ? 美樹さんや佐倉さんはともかく、暁美さんとは住み分けをしているだけだし……」

なぎさ(暁美……?)

マミ「それに、今日小学校で会ったレイコちゃんも魔法少女でしょう? その子も含めれば五人ね」

QB「……」

なぎさ「え!?」

永見「転校生が?」

マミ「実は迎えに来る直前に、魔獣を巡ってあの子とちょっとしたいさかいがあったの。……考えたくもないけれど、あなたたちが魔法少女になったら、最悪わたしたちと縄張りの奪い合いになるかもしれないわ」

なぎさ「マミと、奪い合いですか? そんな……」

マミ「ないとは断言できないわ。それぐらい、魔法少女にとってグリーフキューブは重要なものなの」




QB「現状はだいたいいま説明したとおりだよ。それに付け加えると、最近魔獣の出現率も低下してきてるんだ」

永見「魔獣が? なんで? 瘴気とかいうやつが出なくなってるとか?」

QB「いいや。瘴気自体は以前と変わらない。人口が徐々に増える傾向の現在ならば、むしろ多くなっているだろうね」

なぎさ「じゃあなんでなのですか?」

QB「原因ははっきりしないけれども、魔獣の行動原理の一つに『この世の因果を正す』というものがあるんだ。魔獣が減少傾向になった時期ははっきりしているから、その時に何かが起こって因果の一部が正されたのかもしれないね」

永見「結局わかってないってことかぁ。微妙に役に立たない小動物だな、こいつ」

なぎさ「でも魔獣が減っているということは、さらにグリーフキューブの確保が難しいものになっているということですよね。大丈夫なのですか?」

マミ「そうね。確かに以前までと比べればちょっと効率は落ちてるけど、まだ心配するほどじゃないわ」

QB「見滝原は魔獣の出現率が高い地域だからマミたちも活動できてるけど、それでも魔獣が減った歪みがどこからか出てくるかもしれない。いま魔法少女になったら、そういった危険とも向き合わなければならないね」

マミ「あなたたちにはどんな願いでもかなえられるチャンスが与えられているわ。でも、魔法少女になるということは、早死にする確率が跳ね上がる選択よ」

なぎさ「……」

永見「うーん。そこまでいわれちゃなぁ……」

マミ「それでも魔法少女になりたいと、どうしてもかなえたい願いがあるというなら、QBと契約する前にもう一度わたしに相談して。……特に、なぎさちゃんは」

なぎさ「……」



今日はここまで。

説明回はとりあえず終わり。

また明日の同じくらいの時間に続きを投下する。


 ~帰り道~


永見「あー。なんか難しい話が多くて頭がパンクしそうだったぁ! ねー、なぎさ。願い事、何か考えた?」

なぎさ「あー……えーちゃんはどうですか?」

永見「んー? ……あたしはさ、最低限親の言うこと聞いて、あとは結構自由に生きてるから割とそれで満足なわけですよ」

なぎさ「へぇー」

永見「だから、命かけてまでかなえたい願い事って言われても思いつかないかなぁ。あははっ、あたしみたいに惰性で人形みたいな生き方してるやつに、そもそも魂なんてないかもしれないしさ!」

なぎさ「…………」

永見「……なぎさは、お母さんの病気のこと?」

なぎさ「……はい」

永見「そっか」

なぎさ「……」

永見「……あたしが言うべきことじゃないかもしれないけど、なぎさは迷わなくていいと思うよ?」

なぎさ「え?」

永見「だって、なぎさにはあたしと違ってあるんでしょう? かなえたい夢が。あってほしい奇跡が。だったらさ、迷わなくてもいいじゃん。マミさんに相談しちゃいなよ、お母さんのこと。全部知って、それでも反対する人じゃないよ」

なぎさ「……そうかも、しれませんね」

永見「そうだよ」

なぎさ「……今日、病院に行ってきます」

永見「そっか」

なぎさ「それで、決心がついたらマミに話してみます」

永見「そうしなよ……って、あいつは――」

レイコ「……」




レイコ「……百江なぎさ」ファサ

なぎさ「あ」

永見「転校生じゃん。なんか用?」

レイコ「あなたに用はないわ。……ねえ、百江なぎさ」

なぎさ「は、はい?」

レイコ「昨日の忠告、覚えている?」

なぎさ「はい。……レイコちゃんは、なぎさに魔法少女になってほしいのですよね」

レイコ「そういうことよ」

永見「はあ? 転校生。あんた、なぎさが魔法少女になるとなんかいいことでもあるの?」

レイコ「……答える義務はないわ」

クル

なぎさ「あっ、レイコちゃん!」

レイコ「……何かしら?」

なぎさ「レイコちゃんは、どんな願い事をかなえて魔法少女になったのですか?」

レイコ「…………」

永見「…………」

なぎさ「……え、っと」

レイコ「……願い事なんて、なかったわ」

なぎさ「え?」

レイコ「……」

クル スタスタ

永見「何だあいつ。感じわるっ」

なぎさ「……レイコ、ちゃん?」


 ・
 ・
 ・


 ~病院・病室~

なぎさ「それでですね、マミったら変なところで子供っぽくて――」

なぎ母「あら、そうなの。あんなに大人っぽい子なのに」クスクス

なぎさ「そうなのです。それで昨日はなんと……なんと、ですね……」

なぎ母「……? どうしたの、なぎさ?」

なぎさ「あ、いえ、その……」

 ――マミ「命がけなのよ――QB「君たちの魂を抜き出してソウルジェムに変換する」――マミ「あなたたちと、グリーフキューブの奪い合いになるかもしれないの」――

なぎさ「なんでも……ない……」

 ――永見「なぎさは迷わなくてもいいと思うよ」――レイコ「今とは違う自分になれるチャンスが来たら、迷わず掴み取るべきよ」――

なぎさ「……ねえ、お母さん」





なぎさ「お母さんは願い事がひとつだけかなうなら、何を願いますか?」

なぎ母「願い事? なぁに、突然」

なぎさ「ちょっとした心理テストみたいなものです。祈ればなんでも一つだけ叶うのです。けど、それをかなえるのは命がけなのです」

なぎ母「あら。祈るだけなのに命がけなの?」

なぎさ「はい。それでもかなえるとしたら、どんな願い事をかなえますか?」

なぎ母「そうねえ。ひとつだけを命がけで、かぁ」

なぎさ(……きっと、病気が治ったらいいって言ってくれますよね。そうに決まってるのです)

なぎさ(だって病気で苦しんで、薬の副作用で髪が抜けて、なぎさと同じくらいチーズが大好きだったのにそれも食べられなくて、そんな病気で)

なぎさ(だから、病気を治してほしいって、そう言ってくれればなぎさは――)

なぎ母「ふふっ。それならなぎさがずっと元気でいられますようにってお祈りするわね」

なぎさ「………え?」

なぎ母「だってたった一人の私の娘だもの。だから命がけにもなれるし、なぎさが元気でいてくれるならそれだけで幸せで、それはとっても嬉しいなって、そう思うのよ」ナデナデ

なぎさ「…………お母さん」ダキッ

なぎ母「なぁに、抱き付いてきて。急に甘えん坊になったわね」ナデナデ

なぎさ「病気、治りますよね? お医者さんの力で、病院も協力してくれて、きっときっと治ってくれますよねっ?」グス

なぎ母「……ええ。きっともう、近いうちに退院できるわ。だから泣いちゃダメよ」ナデナデ

なぎさ「うぇっく、はい、ひっく、なのです」ポロポロ



 ・
 ・
 ・


 ~ほむホーム~

レイコ「……」

レイコ(百江なぎさには、鹿目まどかと違って契約する確かな理由がある。だから少し念押しをしておけば、巴マミが渋ったところで魔法少女になるはず。そうすれば、きっと――)

ほむら「何か考え事?」

レイコ「……はい」

ほむら「そう。でも根を詰めすぎないようにね。
 百江なぎさや美樹さやかの記憶が戻らないように監視するのが、あなたたちの役割なのだから」

レイコ「はい」

ほむら「そう。わかっているならいいわ」

 スタスタ

レイコ「…………勘違いしてるわね、暁美ほむら」ボソ

レイコ「わたしたちの役割は、葬列を盛り上げる泣き屋よ」


今日はここまで

・なぎさ母の設定。

シャルロッテ時の『死病を患う母のために限定販売のチーズケーキを手に入れるのを目的としてキュゥべえと契約』したところから、母親の病気設定に。末期ガン患者というのは考察から引っこ抜いてきました。

明日もきっと続きを投下する。



第三話 もう何も怖くない



 ~一年前・回想~


QB「……」ジイー

マミ「あら、QB。何をしているの? ケーキ屋さんのほうをじっと見て」

QB「ああ、マミかい。あそこに魔法少女の素質を持つ子がいてるんだよ」

マミ「素質を持つ子が?」


なぎさ「……」


マミ「あの髪の長い子かしら?」

QB「ああ、そうだよ」

マミ「まだ小さい子じゃない……。素質があるからって、誰かれかまわず声をかけるのは感心しないわね」

QB「でも彼女は願いを持っているよ? いま契約を持ち掛ければ魔法少女になってくれるだろう」

マミ「そういう問題じゃないわ……。ちょっとあの子と話してくるから、あなたはそこで待ってなさいね、キュゥべえ」

QB「そうかい? マミがそういうなら、僕はここで見てるよ」



マミ「こんにちは」

なぎさ「お姉さん、誰ですか?」

マミ「巴マミっていうの。あなたがケーキ屋さんを熱心に見てるから気になって声をかけたのよ」

なぎさ「そうなのですか。なぎさの名前は、百江なぎさというのです」

マミ「なぎさちゃん、ね。それでどうしたのかしら。何か欲しいケーキでもあるの?」

なぎさ「はい。実はなぎさ、あそこのケーキ屋さんの数量限定チーズケーキを買おうと思ってたのですが……」

マミ「あぁ……。あそこのチーズケーキはすごく人気だから、たぶんもう売れ切れちゃってるわね」

なぎさ「ですよね。明日の放課後来れば、間に合うでしょうか」

マミ「うーん。人気のお店だし、正直厳しいわね」

なぎさ「ここの限定チーズケーキ、お母さんが大好きなのです。何でも病気の治療でこれからチーズが食べれなくなるそうなので、その前にごちそうしたかったのですけど……」

マミ「あら、そうなの……」

マミ(……うーん。事情は分かったけれども、ケーキで魔法少女にさせるわけにはいかないわよね。――うん、それなら)

マミ「ねえなぎさちゃん」

なぎさ「はい?」

マミ「買うのが無理なら、自分でチーズケーキを作ってみない?」

なぎさ「どういうことです?」

マミ「なぎさちゃんが、とびっきりおいしいチーズケーキを作るの。そっちのほうが、きっとお母さんも喜んでくれるわよ?」

なぎさ「……そうでしょうか?」

マミ「そうに決まってるわ! 作り方ならわたしが教えてあげるから、ね?」

なぎさ「……はい。わかったのです!」




 ~小学校・飼育小屋~


なぎさ「というのが、なぎさとマミの出会いなのです」

永見「ふうん。チーズが出会いのきっかけっていうのが、なぎさらしくて笑えるわ」

なぎさ「今の回想のどこに笑いどころがあったというのですか」

永見「まあマミさんとの出会いはともかく、なぎさは魔法少女にならないって決めたわけか」

なぎさ「はい。マミにも止められてますしね」

永見「そりゃ残念。せっかく友達に魔法少女がいるって自慢しようと思ってたのにさ」

なぎさ「言いふらすつもりだったのですか……?」

QB「まあなぎさが決めたなら仕方ないね。僕が無理じいするわけにもいかないからね」

永見「……お前ウサギ小屋に入ってくるなよ。まぎれてわかんなくなるだろ。一瞬うさきちどもがしゃべったかと思ってビビったよ」



QB「そんなことよりも、彼女が君たちに用があるそうだよ?」

なぎさ「え? 彼女って……」

レイコ「わたしのことよ」

永見「うわっ。あんた今どっから湧いた!?」

レイコ「普通に歩いてきただけよ。……それより、百江なぎさ。あなた、インキュベーターと契約はしないの?」

なぎさ「あ。え、えっと、はい」

レイコ「なぜ? あなたには、インキュベーターと契約するだけの理由があるはずよ」

なぎさ「……なんで、レイコちゃんが知っているのですか?」

レイコ「わたしにはわたしの情報源があるの。それで、質問に答えてくれるかしら」

なぎさ「……自分を捨てて誰かのための奇跡を得ても、その誰かを悲しませるだけなのです」

レイコ「……っ」

なぎさ「だからごめんなさい。レイコちゃんの事情は知りませんけど、なぎさは魔法少女にはなりません」

レイコ「……あなたはっ」

なぎさ「たぶん、何を言われてもなぎさは意見をひるがえしません」

レイコ「……そう。わかったわ」


クルッ スタスタ


永見「……なんなのかなぁ、あの転校生は」

なぎさ「さあ? とりあえずウサギ小屋の掃除も終わりましたし、帰るのです」

永見「今日はマミさんのお出迎えなかったんだっけ……。病院行くんでしょ? 今日はあたしも付き合うよ」

なぎさ「いいのですか?」

永見「まーね。あの転校生が逆上してなぎさを襲ってきたら守ってやるよ」

なぎさ「あはは。まあそれはないと思いますけど、よろしくなのです」





レイコ「……百江、なぎさ」ギリッ



 ~病院ロビー~


なぎさ「……はあ。お待たせしたのです」

永見「あれ? 早かったね。もしかして会えなかった?」

なぎさ「はい。お医者さんと大事な話があるそうなのです」

永見「そっかぁ。んじゃ、しょうがないね。帰ろっか」

なぎさ「そうですね。……?」

永見「ん? どうかしたの、なぎさ」

なぎさ「いや、あそこに何かが……」

QB「あれは……使い魔の結界だよ」

永見「げっ。マジで? じゃあ魔獣とかいうのが出てるわけ?」

なぎさ「……キュゥべえっ。病院に魔獣が出た場合、どうなるのですか!?」

QB「まあ、少なくともいいことにはならないだろうね」

なぎさ「マミに連絡するのです」

永見「だね。とりあえずいったん外に……って、あれ?」

なぎさ「あ、マミ! 実はいま病院にいるのですけど、そこに使い魔の結界が――へ? 風景が変わって……あ、あれ? 携帯の電波まで?」

QB「どうやら結界に取り込まれてしまったようだね」




なぎさ「ここは……」

永見「うわぁ。なにここ。お菓子ばっか。変な場所だなぁ」

QB「幸い、目のつくところに魔獣はいないようだね。何故だか使い魔たちが騒がしいみたいだから、マミが来るまで隠れているのが賢明だと思うよ」

なぎさ「あ、そういえばマミは――」

QB「君の連絡を受けて、慌ててこっちに向かっているようだよ」

永見「そいうことわかるんだ」

QB「マミが結界まで来たら、テレパシーで僕たちの位置を伝えることもできる。……怖いかい、なぎさ」

なぎさ「そりゃまあ……」キョロキョロ

なぎさ(……あれ? なんででしょう。こんな変な場所で、来たことなんてあるわけないのに――)

QB「願い事さえ決めてくれれば、いまこの場で魔法少女にすることもできるんだけど……」

なぎさ「へぇー」ボー

永見「ん? なぎさ、ボーっとしてどうしたの?」

なぎさ「あ、いえなんでもないのです。ただ……いえ、やっぱり何でもないのです」

永見「そう? ならいいんだけど」

なぎさ(……言えるわけないですよね)

なぎさ(こんなお菓子まみれの変な場所が、なんだかたまらなく懐かしいだなんて)

今日はここまで。

次回のマミさんの運命やいかに!

明日もきっと続きを投下できる。

乙マミ

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