刹那「別世界のガンダムだと…?」(1000)

GN-001ガンダムエクシア

刹那「ミッション終了――エクシア、作戦領域を離脱する」

刹那「何だ?青い光が見えた」

刹那「!――こちらに接近する機体…あれは!?」

GGH-001ハルファスガンダム(以下ハルファス)

刹那「――ヴェーダからの照合…無い!まさか、情報が…粒子反応もない」

刹那「こちらに来る!」

突撃してきたハルファスをかわし、ガンダムエクシア(以下エクシア)はハルファスへ接近する。


刹那「くっ…速い!エクシアが追いつけないだと」

エクシアの追跡をかわす行動から一転、変形し、青白い光を放ちながらエクシアへと向かう。

刹那「何だ!?」

エクシアが行動するより早く、ハルファスは青白い光をエクシアへ浴びせる。

刹那「青白い光が…うぁぁっ!」

刹那「…!」

刹那「ここは…何処だ?――位置が掴めない。ヴェーダにも繋がらない」

刹那「反応…!?」

刹那「MS…3つ目――見たこともない機体だ、新型か!」

DT-6800A ド―トレス

エクシアに気付いたド―トレス等は攻撃を仕掛ける。

刹那「――遅い!」

ド―トレス等の攻撃を避わし、エクシアは瞬く間にド―トレス3機を切り裂く。

刹那「何だ?月から光が…一先ず上空へ」

GX-9900ガンダムX(以下GX)

「あの機体はガンダム!?月からの光を受けている」

「何らかの施設に巨大MA…戦場へ無差別に光弾を撃ち込んでいるのか」

MA-06グランディーネ

刹那「空から超エネルギー反応――!」

刹那(あのエネルギーを受け止めるのか――大筒を抱えている、各部の青色の発光…まさか!)

GXから放たれた超エネルギー波は正確にグランディーネを捉え、後ろの施設ごと消滅させた。

刹那「何だと…?」

刹那「あのサイズのMA処か、施設までをあの距離から狙撃する…あんなものが…」

???「ティファ、しっかり捕まってろよ」

ティファ「ガロード――後ろから来ます」

ガロード「えっ…?」

上空から一筋のビームがGXを襲う。

ガロード「ふぅ…間一髪…!」

ガロード「なんだ?上空から…?」

刹那「そのガンダムは争いを呼び起こすガンダムだ…」

ガロード「あれは…もしかしてガンダムか!?」

刹那「エクシア、前方のガンダムを紛争幇助と断定…!」

ガロード「来る…!」

刹那「目標を駆逐する!」

ガロードは上空から振り下ろされた斬撃を避け、すぐに後退する。

刹那「逃がすかっ!」

ガロード「くそっ!」

ガロード「滑る様に飛んでいる…!あのゲテモノたちとは違うッ!」

ガロードは逃げながら、ライフルで応戦する。

刹那「ちっ…!一気に飛び込む!」

ガロード「接近戦か――!」

両者の剣はぶつかり、鍔迫り合いとなる。

刹那『貴様は何処の所属だ…!』

ガロード「子どもの声?」

刹那『答えろ!』

ガロード「俺はどこのものでもない!ガキっ!お前こそ何者だっ!」

刹那「破壊する…!」

ガロード「グッ…弾かれた!」

刹那「うおお―――っ!!」

ガロード「今度は両手にビームサーベル!?一体何本剣を持ってんだ!」

GXへ接近するエクシアに向かって、ビームの群れが襲う。

刹那「何ッ!」

ロアビィ「相変わらずメタメタだねぇ」

ウィッツ「オラオラッ!」

刹那「今度は二体のガンダムッ?」

GT-9600 ガンダムレオパルド(以下レオパルド)
 
GW-9800ガンダムエアマスター(以下エアマスター)

ガロード「てやぁっ!」

刹那「くっ…!ガンダム3機相手は…!」

ガロード「逃げるのか!?」

ウィッツ「待ちやがれ!」

刹那「可変型か!」

逃げるエクシアにエアマスターが距離を詰める。

ロアビィ「こらこらウィッツ。逃げちゃってるんだし、追いかけることないでしょ」

ウィッツ「チッ、わぁーったよ」

ガロード「?――わかったよ、ティファ」



刹那「…ここまで来れば」

刹那「連絡どころか、場所も掴めない…。レーダー自体が効かない様だ」

刹那「GN粒子は散布し、ガンダムは隠した。夜も深い…この森の中なら――」

刹那(――!後ろに誰か)

ガロード「おっと、動くなよ…。いわゆるホールドアップってヤツだ」

刹那「――少年兵か」

ガロード「何言ってんのさ。軍が無いのに、兵隊なんてやれないよ」

刹那「軍が無い?」

ティファ「ここは、あなたの居た世界ではありません」

刹那「少女…?」

ガロード「ティファ…」

ティファ「大丈夫です」

刹那「どういうことだ」

ティファ「あなたは、別の世界から来ました」

刹那、ガロード「「別の世界…!ぃ!?」」

ティファ「あなたはこれからも次元を越えて、仲間と出会う」

ティファ「そして戦う。とても強大な存在と」

ティファ「ガロード、あなたも…彼と、共に」

ガロード「え、えぇ!?お、俺も!?」

ティファ「そう――」ふらっ

ガロード「ティファッ!?」

刹那(あの少年が気を取られている…。今の内に)

ガロード「動くな!……何だ!?大きな音が…!」

ガロード「あいつのガンダムが動いた!?誰か乗っているのか?」

刹那(…)

ガロード「あっ待て!」

ティファ「ガロード、もう、いいわ」

刹那(…別の世界、次元を越える、奴と仲間…あの少女は)

ガロード「何だ!?あの青白い光、あのガンダムを包んで…!」

ティファ「…次元を、越えます」

――――
刹那(青白い光を見た後、俺はあの黒いガンダムに遭遇した場所にいた)

刹那(あれは夢だったのか…そう考えた。しかし、トレミーでその考えは否定された)

刹那(わずかだが一定の時間エクシアの信号が消える)

刹那(エクシアに普段の戦闘では付かない傷、そして機体に付着していた埃や木の枝)

刹那(報告は、正直に行った…)

刹那(結果は当然の反応。特にティエリアからの鋭い視線、クリスティナからの『ああ、ついにこの
   子おかしくなっちゃったかぁ…』とでも言っているような表情)
   
刹那(だが、その証拠は現れた)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GN-001ガンダムエクシア(以下エクシア)

GN-002ガンダムデュナメス(以下デュナメス)

刹那「あの光は…!」

ロックオン「何か出てくるぞ」

???「くそっ、何でだ!」

ロックオン「あれは――ガンダム!?」

ZGMF-X56Sフォースインパルスガンダム(以下インパルス)

シン・アスカ(以下シン)「何で地上に出てるんだ!さっきまで宇宙にいたはずなのに!」

シン「反応――あいつらか!」

刹那「データには無い――ヴェーダにも…」

シン「あいつら、インパルスに似ている…。ザフトのデータにはない、連合の機体か!」

インパルスはライフルを構える。

ロックオン「あいつ、戦う気か」

刹那(――試してみるか)

刹那「そこのガンダム――答えろ。お前の所属は何処だ」

ロックオン「おい、刹那!何やってんだ!」

シン「子どもの声…?何だ、ガンダムって…!」

刹那『答えろ。お前は黒いガンダムに襲われたか!鳥の様なものに変形し、青白く発光す
   る』

シン「…!何でその事を!」

刹那「…!」

「見つけました、ガンダムです!」

「未確認の機体もいます」

???「新たなガンダムか…!」

>>40
すまん。思いつきで書いてるもんで

MSJ-06Ⅱ-Cティエレン高機動型(以下ティエレン)

セルゲイ「あの粒子の反応が無いな…。ソレスタルビーイングの機体ではない…?」

シン『何だ、あの機体…?』

刹那(…やはりそうか)

セルゲイ「今度こそ貰うぞ、ガンダム!」

シン「何だ、向かってくるのかよ!」

ロックオン「デュナメス、目標を狙い撃つ!」

刹那、ロックオン、シンは次々とティエレンを撃破していく。

セルゲイ「そこだっ」

セルゲイ機の攻撃がインパルスに命中する。しかし、直撃したにも係わらず機体に傷は
みられなかった。

シン「あいつ…!」

刹那「コーティング等を張っている様子はない」

ロックオン「実弾がまるで効いていないのか!」

セルゲイ「何という装甲だ!」

シン「うおおーっ!」

シンはセルゲイ機に向かい、セルゲイはそれに応戦する。

セルゲイ「相当な訓練は重ねているようだ。だが実戦経験が足りん!」

シン「近づかれた!?」

ティエレンの攻撃が、インパルスに直撃する。

セルゲイ「…カーボンブレイドも効かないか!」

シン「このぉーッ!!」

シンは咄嗟に反撃する。しかし致命傷は与えられず、セルゲイは残る機体と共に撤退した。

シン「あんたたちは一体何だ。あの黒い機体の何を知っている」

刹那「今の機体は人類革新連盟のMS、ティエレンだ」

シン(人類革新連盟?)

刹那「現在は西暦2307年』

シン「西暦!?』

ロックオン「おい、何の話をしてんだ!」

刹那「ガンダムのパイロット…お前はあのガンダムによって次元を越えてこの世界に来た」

シン「はぁ!?」

刹那『お前が触れたモノ、全てがそれを証明している筈だ』

シン「――!信じられるか!」

ロックオン「何だ?青白い光が」

シン「これは!?」

刹那「俺とお前は、また何れ、会うことになるかもしれない――」

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シン「――ここは…宇宙か?」

シン「エネルギーが減っている…。まさか本当に」

シン「――OSの起動画面にある記号を縦読みすると、確かにガンダムって読めるよな…」

シン「ああ、もうッ!!一体何なんだ!」

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リュウ「――どうだ?アムロ」

アムロ「全く違います。特に動力部分。核融合炉が用いれらていないんです」

カイ「だからって別の世界から来た、なんてことないでしょ。マンガじゃないんだからさ」

ハヤト「でも、あのパイロットは…」

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キラ「…」

キラ(軍の隠していたMS工場があった為に襲われて、民間人がそのMSに乗って――)

キラ(乗った機体の名は、ガンダム)

キラ(トールやカズイたちは今…)

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ミライ「どうするの?あの機体とパイロット」

ブライト「…」

フラウ「あの…仮にも助けて貰って、部屋に拘束するというのは――」

ブライト「彼の言っていることがどうしても事実だとは思えん。危険性がある」

セイラ「でも、〈あのガンダム〉はガンダムと全く違う技術で作られているのでしょう?」

セイラ「信じられないけど――話の裏付けにはならなくて?」

オスカー「艦長、ジオン軍です!」

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MS-06ザクⅡ

MS-06Sシャア専用ザク

「――シャア少佐!あれを!」

赤い光が現れ、そこからいくつもの機体が現れる。

ナスカ級高速戦闘艦

ZGMF-1017ジン

ZGMF-515シグー

GAT-X303イージスガンダム(以下イージス)
GAT-X102デュエルガンダム(以下デュエル)
GAT-X103バスターガンダム(以下バスター)
GAT-X201ブリッツガンダム(以下ブリッツ)

アムロ「あれは…!ガンダム!?」

フラウ「そんな…ガンダムが敵で4体も!?」

ブライト「バカな…!」

「少佐ぁ!!あの白い奴と同じ顔のMSがぁ!?」

「あんなに、たくさんの…」

シャア「連邦のMSでは無いことは確かだ――来るぞ!」

ブライト「アムロ、ガンダムで迎撃しろッ!」

アムロ「わかってます!」

ハヤト「そんなぁ…!4機のガンダムだなんて…!」

カイ「おい、あのガンダムは使えねぇのかよっ!」

ジョブ・ジョン「それが――あのガンダムのOS、無茶苦茶でとても動かせそうにないんで
        すよ!」

カイ「はぁ~!?それじゃ何だってんだ、あいつは!」

リュウ「…」

ラウ「あれが〈ガンダム〉というMSか」

アムロ「ザクじゃない――新型かっ!?」

ジンからの攻撃がガンダムに命中する。

「なんという対弾性だッ!?武器が、効かない」

ラウ「さて…〈あの機体〉とどう違うのか、確かめさせて貰おう!」

アムロ「白のトサカ…!隊長機!?」

イザーク「くそっくそー!」

デュエルからの攻撃を避けつつ、シャアは攻撃を当てていく。

シャア「ちぃッ!――有効打にはならんとは…」

アスラン「貰ったぞ!」

シャア「MSが、変形するだと!?ええぃ、化け物め!」

アムロ「そこだぁっ!」

ガンダムの攻撃が、ジンに命中する。

「うわぁぁぁ!」

ディアッカ「あのライフル…戦艦の主砲並みなのかよ!?」

アムロ「はぁッ、はぁッ…!」

ブライト「敵ガンダムを近づけさせるな!」

RX-77ガンキャノン

RX-75ガンタンク

カイ「わかってますよぉ!」

ハヤト「あのガンダム、消えたり出てきたり…」

二コル「…!――あの戦艦、まるでアークエンジェルみたいだ」

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リュウ「あのガンダムはお前にしか動かせないんだよな」

キラ「――はい」

リュウ「頼みがある」

キラ「僕に、戦えというんですね」

リュウ「そうだ。艦長から許可は貰った」

キラ「…」

リュウ「助けてやったのに、捕まえられ、戦わされる。勝手だと思うだろうな」

キラ「わかっているなら…なんで」

リュウ「生き残る為だ」

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アスラン「はぁぁ…!」

アムロ「MSが変形する、2種類の砲を使い分ける…強力なビーム」

アムロ「こんなものが…敵…!」

イージスとガンダムの間を、ビームが通り抜ける。

GAT-X105エールストライクガンダム(以下ストライク)

キラ「僕も手伝います!」

アムロ「えっと…」

キラ「キラ・ヤマトです…キラ、でいいです」

アムロ「アムロ・レイです。アムロと呼んでください」

キラ「――あれは僕の居る世界の軍です…何故ここに」

アムロ「赤い光と共にやって来たんだ」

キラ「赤い光――」

ガンダムとストライクにビームが襲う。

キラ「――アスランッ!」

迫りくるイージスに、キラは応戦する。

イザーク「そこの白い奴ぅ~!」

アムロ「こちらと同じ装備の奴か!」

シャア「中々やるな、白いMS」

ラウ「またジンを一機やったか…フフフ、あの赤い機体」

カイ「撃て、撃てー!」

ハヤト「えーい!!」

アスラン「くっ…戦艦に近づけない!」

二コル「――ストライクッ!」

キラ(姿を消されたら、厄介だ)

ディアッカ「ある程度近づかないと、レーダーが効かない」

アムロ「!?――ビームライフルを撃ち過ぎたか!」

キラ「バッテリーが心許ない…!何か、打開策を――」

キラ「アムロッ!フェイズシフト装甲の弱点を狙うんだ!」

アムロ「そうか、相転移装甲は機体のエネルギーを用いているのだから」

アムロ「複数回の攻撃でバッテリー切れを狙える!」

フラウ『アムロッ!ガンダムハンマーを射出するわ!』

イザーク「何だその武器はッ!?野蛮なぁ!」

アムロはハンマーを繰り出しつつ、デュエルの攻撃をかわしていった。

ディアッカ「何なんだあの機体!?飛び回りやがって」

キラ「今だっ!」

ストライクの攻撃をデュエルが避ける。

アムロ「そこっ!」

その隙を狙い、アムロはデュエルにハンマーを命中させた。

イザーク「ぬぅわぁぁぁっ!!」

二コル「イザークッ!」

イザーク「くっそぉぉ!――ちィッ、バッテリーが!」

ラウ「これ以上の攻撃は無理か――撤退するぞ!」

シャア「…逃げたか」

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アムロ「助かりました」

キラ「いえ、実際にやったのはアムロの方だから…」

キラ「こちらこそ、助かりましたよ」

アムロ「何だ?ストライクガンダムの後ろから、青白い光が…」

キラ「光に包まれる!?」

一番始めに書くべきだったと思いますが、このSSは思いつきで書いています。

また、これはガンダムだけでのスパロボみたいなのです。キャラ崩壊もしています。

それでも、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。

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???『――ミーユ…カミーユ・ビダン』

カミーユ(誰だ?僕を呼ぶのは…)

カミーユ「ッ!」

カトル「目が、覚めたかい?」

カミーユ「…君は?」

カトル「君に助けて貰った人間さ」

カミーユ「――僕が、この世界へ跳んだ…」

カトル「ありえない話だけどね。でも、状況を整理するとそう考えることも出来る」

カトル「改めて礼を言わせて貰うよ。突然被弾した状態で現れて」

カトル「それにも係わらずOZと戦ってくれたのだから」

カミーユ「だって、許せませんよ。MSを使って小国を無理矢理従わせるなんて…」

ラシード「カトル様、機体の整備を終えました」

RX-178ガンダムMk-Ⅱ(以下Mk-Ⅱ)

カトル「悪いけど勝手に機体の修理をさせて貰ったよ」

カミーユ「いえ、そんなことは」

カトル「機体には何のトラップも仕掛けていない。約束する」

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「何だ、あの赤い光?」

「なんか、出てくるぞ!」

JMA-0530[Model U]ウォドム

MRC-F20シルバースモー

MRC-F20ゴールドスモー

TAF-M9イーゲル

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ラシード「カトル様、正体不明のMSが攻撃を仕掛けています!」

カトル「わかった、すぐに向かう――カミーユはここで待っていてくれ」

カミーユ「カトル…!」

カトル「元の世界へ帰る方法を探すのは僕も手伝います」

カトル「でも、この世界のことは僕たちで――僕が何とかしたいんだ」

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カトル(あんな優しい人でさえも戦争に参加するなんて)

カトル(これ以上、彼に重荷を背負わせる訳にはいかない!)

XXXG-01SRガンダムサンドロック(以下サンドロック)

カトル「確かに見たことのないMSだ」

イーゲルはサンドロックに気付き、突進する。

カトル「やらせはしない!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ウォドムの額からビームキャノンが発射されようとした瞬間、ビームの群れがウォドムに直撃した。

XXXG-01Hガンダムヘビーアームズ(以下ヘビーアームズ)

トロワ「あの大型MS、とてもこの世界で作られた様には思えない」

ウォドムの頭部が切断と同時に爆発し、そこから大鎌を携えた黒いガンダムが舞い降りる。

XXXG-01Dガンダムデスサイズ(以下デスサイズ)

ゴールドスモーがデスサイズへビームを撃ち込む。避けつつ接近したデスサイズにIFバンカーへ持ち替える。

デュオ「ビームサイズを受け止めた!?なんだその武器!」

ハリー「死神のMS――仮装大会用のMSか!?」

サンドロックのヒートショーデルとイーゲルのミンチドリルがぶつかり合う。

カトル「ぐっ、このパワーは!」

コレン「ほらどうしたガンダムちゃんよ~!」

サンドロックとイーゲルの戦闘にビームが降る。

RX-178ガンダムMk-Ⅱ(以下Mk-Ⅱ)

降下するMk-Ⅱに、シルバースモーがビームで攻撃する。Mk-Ⅱはビームで応戦するが、IFバンカーでガードされる。

カミーユ「あのMS、ビームバリアを持っているのか!」

Mk-Ⅱはライフルを捨て、バズーカを構える。

カトル「カミーユ!?」

トロワ「あれが例のガンダムか…」

ウォドムが爆散し、爆発から一機の鳥が現れる。

デュオ「ヒイロ…!」

XXXG-01Wウイングガンダム(以下ウイング)

ヒイロ「大型MSはこれで全部か」

トロワ「このバリア…実弾も防げるのか」

ヒイロ「どけ」

カミーユ「変形するガンダム!」

ウイングはシルバースモーにバスターライフルを発射――シルバースモーはバリアを用いるも、
バンカーが爆発した。

その背後から、突如現れた龍の牙が、スモーの頭部を粉砕する。

XXXG-01Sシェンロンガンダム(以下シェンロン)

トロワ「五飛か」

五飛「どんな敵であろうと、叩き潰す!」

青白い光と共に、ハルファスが現れる。

デュオ「何だぁ?」カトル「赤い光が!」

赤い光がイーゲルやゴールドスモー、残った敵機体を包み、消えていった。
ウイングとシェンロンはMk-Ⅱの近くに移動する。

ヒイロ「あれが新たなガンダム」

五飛「俺たちの機体とはまるで違うな」

カミ―ユ「あの時の、黒いガンダム」

???「カミーユ・ビダン…ヒイロ・ユイ…」

カミーユ「夢で俺を呼んだ声!?」

ヒイロ「何者だ」

アプロディア「私の名はアプロディア」

アプロディア「カミーユ・ビダン、ヒイロ・ユイ」

アプロディア「ジェネレーション・システムによって、ガンダム世界の秩序が破壊されよ
       うとしています」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「くッ、レインたちを逃がし、デビルガンダムと東方不敗との決着となるはずだっ
    た…だが何だあの物量は!」

シュバルツ「突如赤い光が現れたと同時に、大量のデスアーミーが現れた」

シュバルツ「これは一体…」

青白い光が現れ、GXが落下した。

ガロード「うわぁぁぁぁ!?」

ドモン「あれはガンダム!」

ガロード「いててて…ティファが言ってた次元を越えるってこういうことか…」

ドモン「貴様、どこのガンダムファイターだ!」

ガロード「――ホントなんだって、俺は別の世界の人間なんだよ!」

シュバルツ「ざっとこのガンダムを調べさせてもらった…」

シュバルツ「確かに今まで見たこともない技術で作られている」

シュバルツ「それにその少年が嘘をついているとは思えん」

ドモン「ならさっさと元の世界に帰れ!」

ガロード「帰れるならとっくに帰ってるっつーの!」

ガロード「悪いけどこっちにも事情があるんだ」

ガロード「あのデカいガンダムを倒すの、手伝ってやるよ」

ドモン「俺の戦いにお前の事情とどう関係があるっていうんだ」

ガロード「言ったろ?俺は仲間と出会って、強大な敵と戦うって」

ガロード「あんたが仲間であのデカいガンダムが強大な敵――どうだ?」

シュバルツ「いいだろう、少年。どの道あの大群を倒さねばここから出られん」

ドモン「ちっ…!邪魔はするなよ」

ガロード「よしっ、決まりぃ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

JDG-009Xデビルガンダム
     ガンダムヘッド
     デスアーミー

ガロード「うっひゃぁぁぁ!?なんて数だよ!!」

シュバルツ「さっきの威勢はどうした!」

GF13-021NGガンダムシュピーゲル(以下シュピーゲル)

ガロード「す、すげぇあのニンジャ…敵をなぎ倒してる」

ドモン「東方不敗ぃぃぃぃ!!!」

東方不敗「来い、ドモォォォォン!!!」

GF13-017FJシャイニングガンダム(以下シャイニング)

GF13-001NHⅡマスターガンダム(以下マスター)

ガロード「これが…モビルファイターの、戦い…!」

ガロード「このままじゃ不利だ…何か、手は…」

ガロード「月…月?」

ガロード「――サテライトキャノンが、使える…」

ガロード「けど、レーザーを受信してから4.03秒…その間ほぼ身動きできなくなる」

ガロード「どうすれば…」

青白い光が現れ、そこからMSが飛び出す。

GN-001/hs-A01ガンダムアヴァランチエクシア(以下アヴァランチエクシア)

シュバルツ「またガンダムが現れただと!?」

刹那「稼働試験中に飛ばされるとは――あのL字のガンダムは」

刹那『そこのガンダムのパイロット』

ガロード「あの時のガンダムか!丁度よかった、俺を援護してくれ!」

刹那「――状況はわかった」

シュバルツ「できるんだな、少年!」

ガロード「上手くいけば、一気にデビルガンダムの所まで行ける!」

ガロード「よろしく頼む――あ」

ガロード「俺はガロード・ラン、よろしく!」

刹那「…刹那・F・セイエイだ」

刹那「デビルガンダム…」

刹那「貴様はガンダムではない!悪魔だ!」

刹那「俺が―ガンダムが、貴様を破壊する!」

刹那とシュバルツはGXを守りつつ、デスアーミーを蹴散らす。ドモンは東方不敗と戦い続けているが、東方不敗に終始圧倒されていた。

そして、月からのマイクロウェーブを受け取り、GXはサテライトキャノンのチャージを完了させる。

ガロード「みんなどいてろよお!――いっけぇぇぇぇ!!」

GXから放たれたサテライトキャノンは、デスアーミーの大群を薙ぎ払い、ドモンと東方不敗が戦闘を行っている場所、デビルガンダムまでへと突き進んだ。

シュバルツ「なんと」

刹那「やはりあれは…」

東方不敗「デビルガンダムを傷つけおって!」

ドモン「待てぇぇぇ!東方不敗ぃぃ!!」

東方不敗「ふんっ、スキだらけだといっておろうがぁぁぁ!」

ドモン「!?」

シュバルツ「いかんっ、ドモン!」

刹那「おおおおおお!!」

東方不敗「ぬぅ…!」

シュバルツと刹那は、ドモンの窮地を救おうと突撃する。

東方不敗「甘いわぁ!」

刹那「うぁぁぁぁ!!」シュバルツ「ぬああっ!」

ドモン「二人ともっ!」

ガロード「ちぇあああああ!!」

東方不敗「ふんッ!」

ガロード「ぐああああ!」

ドモン「ガロード…!」

シュバルツ「ぐっ…ドモン…思い出せ、明鏡止水の一瞬を!」

東方不敗「他所に気を回すほどの余裕かぁ!」

シュバルツ「ぐっ!」

ドモン「シュバルツ!!」

東方不敗「[ピーーー]ぇ、ドモォン!」

ドモン(死ぬ…俺が…そうだ、あの時と同じだ、あの時と――――)

ドモン「見えた…見えたぞ…!水の一滴!」

東方不敗「ぬぅ…なんだ、この気迫は――」

刹那「あの輝きは…GN粒子の反応はない」

ガロード「す、すげぇ…金ぴかになった」

明鏡止水の心を会得し、真のスーパーモードとなったドモンは、東方不敗を圧倒する。
そして――デビルガンダムを破壊した。

ガロード「やった…のか…」

刹那「――肉親を、討ったんだな…」

東方不敗「死ねぇ、ドモォン!」

ドモン(死ぬ…俺が…そうだ、あの時と同じだ、あの時と――――)

ドモン「見えた…見えたぞ…!水の一滴!」

東方不敗「ぬぅ…なんだ、この気迫は――」

刹那「あの輝きは…GN粒子の反応はない」

ガロード「す、すげぇ…金ぴかになった」

明鏡止水の心を会得し、真のスーパーモードとなったドモンは、東方不敗を圧倒する。
そして――デビルガンダムを破壊した。

ガロード「やった…のか…」

刹那「――肉親を、討ったんだな…」

今日はここまでです。

見て下さった方、ありがとうございます。

シュバルツ(ぬっ――)

マスターは赤い光に包まれて、姿を消した。

ガロード「ふう…これで元の世界に帰れるな」

刹那「…」

ドモン「二人とも、礼を言う」

ガロード「よせよ急に、お礼なんて――」

ドモンたちの前方に赤い光が現れ、3機の機体が出現する。

GNW-001ガンダムスローネアイン(以下スローネアイン)

GNW-002ガンダムスローネツヴァイ(以下スローネツヴァイ)

GNW-003ガンダムスローネドライ(以下スローネドライ)

刹那「バカな…!?」

ヨハン「作戦行動に移る」

ネーナ「さぁ、お仕事お仕事!」

ミハエル「行けよおッ、ファングゥ!!」

ドモン「!――ガンダムローズのローゼスビットの様なものか!」

刹那「…奴らは三機の連携で戦闘を行う」

ガロード「こっちは四機だ!一機ずつに分散させれば…!」

ヨハン「分散させるつもりか」

ミハエル「へっガンダムマイスターとサシでやり合うつもりかよ!」

ネーナ「実力の差を思い知らせてやるわ」

トリニティ「「「トランザム!!!」」」

ガロード「何だぁ!?機体の色が赤くなったぞ」

刹那「トランザムだと!!」

ドモン「あのガンダムたちもスーパーモードを!?」

刹那「違う!――GN粒子の放出量は確かにオリジナルのトランザムと同じ…」

ミハエル「さぁ、一気に決めてやんよぉ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「くそっ!さっきよりもずっと強くなってやがる!」

刹那「トランザムに対抗するには――」

ドモン「スーパーモードが相手ならこちらは…!」

刹那「トランザム!」

ドモン(真のスーパーモード)「はぁぁぁぁぁ!!」

ヨハン「面白い!」

ネーナ「楽しませてくれるようね」

ミハエル「ちぃ…!しぶてぇ奴だな」

ガロード「ぐっ…!速さも、攻撃もさっきとは全然違う!」

ガロード「それにあの飛び回る武器…赤くなった途端、速さがさらに増している…」

シュバルツ『諦めるのはまだ早いぞ、少年!』

ガロード「覆面ニンジャの…」

シュバルツ「シュバルツ・ブルーダーだッ!」

シュバルツ「攻・守・速、相手の方が勝っていても、活路を見出すことができれば勝機は
      ある!」

シュバルツ「周りを見よッ!そして利を活かせ!」

ガロード「――わかった!」

シュバルツ「二人で組めば倒せる――行くぞ!」

ガロード「おう!」

シュバルツ「まずは私からだ!」

ミハエル「ニンジャガンダム!」

ミハエル「串刺しにしてやる!…ファングゥッ!!」

シュバルツ「その武器がそのパターンで来るのを待っていたぞ!」

シュバルツ「シュトゥルム!ウント!ドランクゥゥゥゥゥ!!」

ミハエル「そんな、ファングがぁぁ!?」

スローネツヴァイにビームが迫り、ミハエルは咄嗟に避ける。

ミハエル「ちっ…てめぇぇ!」

ガロード「へへー、こっちこっち!」

ミハエル「あのヘンテコニンジャならともかく、トランザムもできねぇお前じゃあ!」

ガロード「くそっ…!」

ミハエル「逃げ回ってんじゃねぇよ!」

ガロード「よぉし…今だ!」

ミハエル「渓谷の中に入った…追いつかれる癖に、勝てると思ってんのか!」

どこからともなく現れたビームの網が、スローネツヴァイを捕らえる。

ミハエル「何だこりゃぁ!?」

ミハエル「ビームのネットだとぉ!?」

ミハエル「くそっ、あいつを見失った!――上かッ!?」

ガロード「でぃやあああああ!!」

ガロードは上空からソードを振り下ろす。ミハエルは寸での所でネットを外すも、
振り下ろされた一撃はスローネツヴァイの右腕を切り裂いた。

ドモン「ヒィィィィトッ、エンドッ!!」

ヨハン「ぬぅぅぅ…!!」

ヨハン「バカな…トランザムが押し負けるだなどと…!」

ドモン「これが明鏡止水、真のスーパーモードの力だ」

刹那「答えろ、何故あの二人は生きている!何故トランザムが使える!!」

ネーナ「ちぃ…エクシア!」

ガロード「何だ!?赤い光が…!」

GGF-01フェニックスガンダム(以下フェニックス)

フェニックスは翼を変形させて撃つ――メガビームキャノンをGXとシュピーゲルに放った。

シュバルツ「ぬうう…!」

その隙を狙ったかの様に、赤い光が3機のスローネを包み、消えていった。

刹那「これで終わりか…」

今日はここまでです。

見て下さった方、ありがとうございます。

あ、やべぇ、素で間違えた。

>>120修正

ドモン「シャイニング・フィンガァァァァァ!!」

ヨハン「ぬぅぅぅぁぁあああ…!!」

ヨハン「バカな…トランザムが押し負けるだなどと…!」

ドモン「これが明鏡止水、真のスーパーモードの力だ」

刹那「答えろ、何故あの二人は生きている!何故トランザムが使える!!」

ネーナ「ちぃ…エクシア!」

ガロード「何だ!?赤い光が…!」

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ZM-S08Gゾロ

クロノクル「ええい、旧式のMSがウロチョロと…」

「中尉、あのMSもガンダムタイプなのでは…」

System-∀99ターンエーガンダム(以下∀)

クロノクル「ガンダムなら額にアンテナがあるはずだ!」

クロノクル「相手は飛び道具を持っていないのだ。恐れるな!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ロラン「あのMS、ビームのプロペラで飛ぶなんて…」

ロラン「しかもあんなに小さい――パワーなら勝てるか?」

「渓谷に入ります!」

ロラン「あのプロペラさえ切ってしまえば――」

クロノクル「あのMS!」

∀は谷壁目掛けて跳び、さらに壁を利用しゾロ目掛けて再び跳んだ。

ロラン「いやぁぁぁぁぁ!!」

クロノクル機は避けたが、後続していたゾロのうち一機が∀のビームサーベルにより、
ビームローターのある腕を切断された。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

クロノクル「後ろを取ったぞ、ヒゲのMS!」

ゾロ部隊へ向かって数発のビームが襲いかかる。

「うああああ!!」

ロラン「…あれは、戦闘機?――いや、ずっと大きい」

LM312V04トップ・ファイター

クロノクル「リガ・ミリティアか!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

???「ウッソ、足の方持ってきたぞ!」

LM312V04ボトム・ファイター

ウッソ「ありがとうございます!」

「ドッキングする気か!」

ゾロがウッソ機に仕掛けようとした時、巨大なビームが通り抜けた。

MSZ-010コア・トップ

???「マーベットさん、やるぅー!」

マーベット「あのヒゲのMS…」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

LM312V04ヴィクトリーガンダム(以下ヴィクトリー)

ロラン「ドッキングして、MSになった」

クロノクル「白い奴め…」

ウッソ「えぇぇぇい!!」

ヴィクトリーの攻撃は、次々とゾロにダメージを与えていく。

「中尉!」

クロノクル「チィ…撤退するぞ!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

今日はここまでです。

投下遅くてすいません。それでも見て下さった方、ありがとうございます。


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

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ロラン「案内されてきてしまった…」

ロラン「ここは、MS工場、なのかな?」

ロラン「…」

???「あんたも、こっちの世界に飛ばされて来たんだな」

ロラン(飛ばされてきた…?)

ロラン「あなたは…?」

ジュドー「ジュドー・アーシタってんだ。飛ばされてきたもの同士、よろしくな」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロラン「――リガ・ミリティアとザンスカール帝国…話はわかりました」

ジュドー「俺もビックリしたよ」

ジュドー「60年以上経っても、こんな戦争してんだからさ…」

ロラン「…」

ロラン「子どもを見ましたよ…赤ん坊も」

ジュドー「…ああ」

ロラン「子どもを戦闘に参加させるなんて…!」

ジュドー「ホント、勝手だよ、大人って奴は」

ロラン「あなたも子どもな――」

ウッソ「ジュドーさん、赤い光が!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ジュドー「またか…」

ロラン「君は…?」

ジュドー「そいつはウッソ。ロランを助けたVガンダムのパイロットだ」

ウッソ「ウッソ・エヴィンです…。ジュドーさん!」

ジュドー「わかった。あんたはじいさんたちの所に行きな!安全な所に案内してもらえ」

ロラン(この世界は戦争をやってるんだ…話し合いの余地なんて、無い位に)


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ジュドー(赤い光…、今度もまたネオ・ジオンのMSが来るのか?)

ウォレン「ウッソは先に行ったよ!」

オデロ「頼むぞジュドー!」

ジュドー「おう!」

MSZ-010ダブルゼータガンダム(以下ZZ)


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ウッソ「こいつらって…!」

MS-07Bグフ

MS-09ドム

グフやドムはヴィクトリーに対し、次々と攻撃を仕掛ける。

ウッソ「ジュドーのいた時代よりも昔のMSなのに…!」

ドムは持ち前のホバー走行を活かし、ウッソを翻弄する。

ウッソ「このー!」

ウッソはドムを捉え、撃破した。そこに、3機のドムが襲いかかる。

ウッソ「!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ウッソはバルカンで攻撃するが、ドムにはあまり効果がなかった。

ドムはウッソに対し、縦一列となり、突撃する。

ウッソ「何?何なの!」

3機のドムの連携により、ウッソはビームライフルを破壊されてしまった。

ガイア「よし、白い奴にジェットストリームアタックは有効だ!」

再びウッソに仕掛けようとするドムにビームが襲いかかった。

ウッソ「ダブルゼータ!」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ジュドー「今度はジオンがタイムトラベルしてきたのか」

ウッソ「ジュドー、こいつら古いのに強い!」

ジュドー「何だって!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あの二人、結構苦戦しているみたいだぞ!」

オデロ「相手はずっと昔のMSだぜ!?」

「残っているMSは髭のガンダムだけだ――手伝ってもらうか?」

ロメロ「もういったぞ」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「うわああああ!!」

グフのヒートロッドがZZの右手に絡まり、ZZはダブルビームライフルを手放してしまった。

ウッソ「二度も同じ手はくうもんかぁ!!」

ガイア「俺を踏み台にしたぁ!?」

オルテガ「もらったぁ!!」

オルテガ機の頭部に、投げられたビームサーベルが突き刺さった。

ジュドー「ヒゲのガンダム…ロランか!?」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ロラン「ダブルゼータのライフル…使えるか!」

∀はダブルビームライフルを構え、前方のグフに発射する。グフは咄嗟に身をかわしたが、
ビームの熱によって爆発した。

ロラン「当たってないのに…」

ジュドー「ダブルビームライフルが使えるって…あのガンダム、もしかしてすごいパワーを持ってる
     んじゃ…」

ウッソ「また赤い光が…!」

上空に現れた赤い光から出てきたモノは、地上への着陸と共に、MSが出すよりも大きな地響きを立てた。


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

MA-08ビグ・ザム

ロラン「でかい…!」

ビグ・ザムは胴体のメガ粒子砲を発射した。その攻撃は敵味方問わず襲いかかり、周囲を火の海にする。

ウッソ「味方を気にしないで撃つなんて!」

ロランとジュドーはそれぞれダブルビームライフルとダブルキャノンで攻撃する。しかし、ビグ・ザムを包むビーム・バリアーにより防がれた。

ジュドー「ビームが効かないのか!――なら!」

ジュドーはZZの背後に装備されているミサイルランチャーを使用した。

ロラン「びくともしない…」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ビグ・ザムは機体中央部にある大型メガ粒子砲のチャージを始めた。

ジュドー「や、やばい!」

ロラン「シールド…耐えられるか?」

ウッソ「やめろぉぉー!!」

ウッソはビグ・ザムへ接近する。

ジュドー「ウッソ、危ないぞ!」

ウッソ「うわああああ!!」

ビグ・ザムの下半身に近づいたウッソはビク・ザムの膝の裏に下半身パーツ、ボトム・リムを射出し、ビグ・ザムにぶつけた。
その爆発により、ビグ・ザムの態勢は崩れ、発射されたメガ粒子砲は空へと放たれた。


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ロラン「接近戦なら、Iフィールドの影響を受けない!」

ロランは落ちていたビームサーベルを拾い、ビグ・ザムへ向かう。

ジュドー「よおし、援護するぜロラン!」

ZZは頭部のビーム砲――ハイメガ・キャノンのチャージを始めた。
ウッソは上空でトップ・ファイターを人型に変形させ、両手にビームサーベルを構える。

「いっけぇぇぇ!!」

態勢を立て直したビグ・ザムにジュドーはハイメガ・キャノンを発射する。

ハイメガ・キャノンはビグ・ザムのビームバリアーを抜けて、ビグ・ザムに命中した。

ロラン「ウッソ!」

ウッソ「ロランさん!」

ウッソは上から、ロランは下からそれぞれビームサーベルを2本併せて刀身の出力を上げ、
巨大なビームサーベルを作り出し、ビグ・ザムを切り裂いた。


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロラン「はぁ、はぁ…何とか倒せましたね」

ジュドー「何だ…?声が」

ウッソ「聞こえる…」

三機の前に青白い光が現れ、そこからハルファスが出現する。

ロラン「僕をこの世界に連れてきたMS!」

ハルファスは青白い光を放ち、三機を包んだ。


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ハルファスが転送した青色の空間。ハルファスの背後にある地球の周りに、映像が現れる。
そこには、各世界内のMSたちの戦闘シーンが映されている。

アプロディア「私の名はアプロディア――ジェネレーション・システムが暴走した際に機能する修正
       プログラムです」

ロラン「ジェネレーション・システム?」

アプロディア「いくつものガンダム・ワールドを監視し、歴史を記録する存在」

アプロディア「それが、ジェネレーション・システム」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ジュドー「ガンダム・ワールドって、何だそれ?何で〈ガンダム〉がつくんだよ」

アプロディア「宇宙世紀、未来世紀、アフターコロニー、アフターウォー、正暦、コズミック・イラ
       、西暦、その他の世界」

アプロディア「それらには必ず、ガンダムが存在します」

アプロディア「戦乱を齎す一因となり、また戦乱を治める一因にもなる大いなる力」

アプロディア「歴史を記録する私たちから見れば、ガンダムは戦争の中で活躍する主役なのです」

アプロディア「よって、私たちはその世界をガンダム・ワールドと呼ぶようになりました」

ウッソ「戦争の主役…」

ロラン(まるで僕たちの世界が戦いばかりの世界だと言われているみたいだ)


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

アプロディア「ジェネレーション・システムは長きに渡る監視の中で、戦いを記録することを好むよ
       うになりました」

アプロディア「そして抱いた望み――それは戦闘を作り出し、それを観賞、記録すること」

アプロディア「ガンダム・ワールドに介入し、記録を元に造りだしたMS部隊を送り込む」

アプロディア「そしてその世界の主役――ガンダムと戦わせ、その戦闘を記録する」

アプロディア「赤い光から現れるMSたちは、ジェネレーション・システムが作り出した戦闘人形といってもよいでしょう」

ロラン「機械なのに〈望んだ〉のですか?」

アプロディア「それは私たちにもわかりません。おそらく、思考させることでシステムの自己進化を
       図った為だと、私は考えます」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ジュドー「勝手な理由で俺たちの生活をメチャクチャにしておいて、俺たちにシステムを止めろって
     いうのは、虫がよすぎるだろう!!」

ウッソ「僕たちは好きで戦っているわけじゃないのに、まるでシミュレーション感覚じゃないですか
    !!」

アプロディア「勝手なのは承知しています」

アプロディア「しかし、システムがこのまま暴走し続ければ、ガンダム・ワールドの秩序が破壊され
       、その挙句の果てに世界は激化した戦いによる破滅が訪れるでしょう」

アプロディア「ガンダム・ワールドの破滅を防ぐ為にはシステムの修正が必要です」

アプロディア「システムは自らの目的を邪魔しようとする私たちを排除しようとするでしょう」

アプロディア「ですが、あなた方が力を合わせれば、システムの修正は必ず成功する」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

ロラン「どうしてそう言い切れるんです?」

ロラン「次元を越える力を持つ存在にどうして勝てると言えるのですか?」

アプロディア「少なくとも機体の性能差においては問題ありません」

アプロディア「あなた達が赤い光から現れるMSたちを退けたことからそれは証明されています」

ウッソ「…一ついいですか?先程現れたMSたちは僕の世界から見れば70年以上前のモノです」

ウッソ「どうしてあんなに強かったんですか?」

アプロディア「それは世界ごとの性能格差が、その世界内での位置づけに依存する為です」

ジュドー「?」

アプロディア「先程のMSたちはあなたたちの知っているそれとは違う、と理解して頂ければよいと考
       えます」

ジュドー「わ、わかったよ」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シャクティ「ウッソ、大丈夫かしら。ジュドーさんも…」

シャクティ「何…、赤い光…?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア「――いけない!」

ハルファスは青白い光を発し、再び三機を包む

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ロラン「元の世界に、戻って来た――!」

ジュドー「何だ、こいつは!?」

GGF-001フェニックスガンダム(以下フェニックス)


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

フェニックスの手には、横たわるシャクティの姿があった。

ウッソ「シャクティ!!」

フェニックスは赤い光の中に包まれていく。

ウッソ「シャクティィィ――!!」

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ロラン「!赤ん坊が…」

ジュドー「カルルマンは無事だったのか」

カルルマン「う、うぇ…」

ロラン「あ、えと…よしよ~し」

ジュドー「ウッソ…」

ウッソ「シャクティ…そんなぁ…」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

以上です。

要は「世界を好き勝手にして壊そうとする奴がいる。ガンダムの主人公たち、助けて!」

ということです。分かりづらくてすいません。自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

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RX-78ガンダム

MSM-07Sシャア専用ズゴック

アムロ「待て、シャアァッ!」

シャア「えぇい!」

アムロ「!――何だこの地響き」

シャア「上空からのジャブローへの爆撃か?それにしては…!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

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MAX-10アプサラスⅢ

MAX-10アプサラスⅡ

MS-07H-8グフフライトタイプ

青白い光から、一機の高速で飛行する機体が現れた。

MSZ-006ゼータガンダム(以下Z)・・・現在はウェイブライダー形態

カミーユ「ここはジャブロー!?…核爆弾で壊滅したはずじゃあ」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

カミーユ「――いや、ここは一年戦争の時代でジオンのジャブロー攻撃の時か」

カミーユ「でも、あんな巨大なMAは…!」

グフフライトタイプが、Zを攻撃する。

カミーユ「旧式の癖に向かってくるな!死にたいのか!」

カミーユは変形し、ビームライフルを発射する。一機は撃破したが、もう一機が攻撃を仕掛けてくる。

カミーユ「旧式の癖に動きがいい…、もしかして赤い光から出てきた奴か」

カミーユ「それなら!」


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

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オデロ「用事で外に出しちまってたんだよな」

マーベット「ごめんなさい、私たちがシャクティの傍にいれば」

アプロディア「迂闊でした…まさか戦う以外の目的で転移してくるとは」

ウッソ「シャクティを助けに行きます」

ウッソ「僕をジェネレーション・システムの所まで連れて行って下さい!」

アプロディア「すいません…ジェネレーション・システムまでへの次元跳躍は」

アプロディア「ジェネレーション・システム側で不可能なようにロックされているのです」

アプロディア「現在、ロックの解除を試みていますが、今はまだ…」

ロラン「こちらから打って出ることは出来ないわけですね」

アプロディア「はい。今は赤い光が現れた先へあなた方を送ることしかできません」

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自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

MSZ-010ZZガンダム

ジュドー(ウッソ…大丈夫だろうか)

ジュドー「さて、まずはあのデカいMAを倒せばいいんだな」

ジュドー「ん?あれはゼータ!」

カミーユ「あれは、ガンダムタイプか!」

ジュドー「乗っているのはルーか?――いや…この感じは」


カミーユ「!」

アプサラスⅡがウェイブライダーに向かってメガ粒子砲を放つ。

Zは回避したが、放たれたメガ粒子砲の衝撃波は凄まじく、Zにその衝撃が及ぶ。

カミーユ「うっ…!なんて強力なんだ!」

ジュドー「うわっ…」

もう一機のアプサラスⅡがZZにメガ粒子砲を放つ。アプサラスⅡにはぴったりとグフフライトタイプが付き、アプサラスⅡを守る。

カミーユ「ちっ…!」



アプサラスⅢはメガ粒子砲のチャージを始める。

ジュドー「わ、まずい!」

カミーユ「!――上空まで離れた方がいい!」

アプサラスⅢはジャブローの防衛システムやジムたちの攻撃をモノともせず拡散メガ粒子砲を発射する。それはジャブロー上にいる連邦、ジオンの部隊をまとめて吹き飛ばした。

シャア「ぬう――――!」

ジャブロー地下から脱出し、水中へ出ていたシャアはアプサラスⅢのメガ粒子砲による衝撃の影響を受けた。


『大佐!所属不明の巨大MA三機が、連邦もジオンも関係なく攻撃してきます!』

『変形する白い奴みたいな機体も現れました!』

シャア「宇宙で木馬を追撃していた時に現れた所属不明の部隊と同一か…?」

シャア「まあいい、ジャブローが壊滅してくれるならこちらにとっては好都合だ」

シャア「撤退するぞ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ジュドー「とんでもないMAだ」

カミーユ「無茶苦茶だ――水中から何か出てきた」

アムロ「でかい…!ジオンめ、あんなMAを作り出すなんて」

カミーユ「ガンダム…!」

ジュドー「乗っているのって、まさかアムロ・レイ?」

ジュドー「てことは俺、一年戦争に飛ばされたの!?」

アムロ「ブライト艦長、敵は空を飛ぶ巨大MAです!」

アムロ「Gファイターの発進をお願いします」


RGM-79ジム

『ガンダム、あれはウチの新兵器か何かか?』

アムロ「あれは――ガンダム?」

一機のアプサラスⅡがアムロに向かってメガ粒子砲の発射を準備する。

カミーユ「させるか!」

ジュドー「手伝うぜ、ゼータ!」

アプサラスⅡを守る為、グフフライトタイプがZZへ向かって来た。

ZZはダブルビームライフルを発射する。

発射されたビームはグフフライトタイプを撃破するとともに、アプサラスⅡに命中した。
アプサラスⅡはZZの方へ向き直り、メガ粒子砲を発射しようとした。


カミーユ「そこっ!」

ZはウェイブライダーでアプサラスⅡに接近し、ビームライフルを数発浴びせた。
アプサラスⅡはビームの命中した所から火を上げ、爆発した。

ジュドー「あのZ、動きがすごい。やっぱり、カミーユが乗っているのか」

カミーユ「あのガンダムは味方でいいんだな」

RX-78SA1_Gファイター

セイラ「アムロ!」

アムロ「よし!」

アムロはGファイターの上に乗り、アプサラスⅢへ向かう。

アムロ「これ以上撃たせると、ジャブローが壊滅してしまう」

カミーユ「ガンダムが一番デカイ奴に向かった」

ジュドー「ガンダム三機で向かえば、あんなデカブツ!」

アムロ「うおお!」カミーユ「邪魔をするな!」ジュドー「こんにゃろう!」

三機のガンダムの連続攻撃により、アプサラスⅡは撃破される。

その間にアプサラスⅢはメガ粒子砲のチャージを完了し、上空にいる四機に発射する。

カミーユ「うっ!」

ジュドー「ああっ」

セイラ「――アムロっ!」

四機は咄嗟に回避を行ったがメガ粒子砲の衝撃波により、アムロはGファイターから振り落とされてしまった。

アムロ「うわあああ!」

ジュドー「アムロ!」

Gフォートレスはガンダムに近づき、上に乗せた。

アムロ「ありがとうございます」

ジュドー「しっかり捕まってなよ!」

アプサラスⅢはメガ粒子砲の再チャージを行うが、そこへウェイブライダーが接近する。

カミーユ「このっ!」

ウェイブライダーはZに変形し、アプサラスⅢをビームサーベルで切り裂く。

GフォートレスはアプサラスⅢへ接近しつつダブルビームライフルを発射する。

そしてガンダムはGフォートレスから飛びだし、ビームジャベリンでアプサラスⅢのメガ粒子砲の発射口付近を突き刺した。

ガンダムがビームジャベリンから手を離し、飛行している所をウェイブライダーが駆けつけ、ガンダムを上に乗せ、爆発するアプサラスⅢから離れた。

アムロ「そう、ですけど…何故僕の名前を?」

カミーユ「その、僕はあなたと会ったことがあるんですよ」

カミーユ「…アムロさん」

カミーユ「黒いガンダム、もしくは別世界のガンダムに会ったことはないですか?」

アムロ「どうしてそれを?」

ジュドー『カミーユ・ビダンだよな』

カミーユ「!――君は誰だ」

ジュドー「別世界からやってきた人間だ。ジュドー・アーシタっていう」

ジュドー「アムロ・レイにアプロディアの話を伝えに来た」

セイラ「何?あの赤い光…」

ジュドー「ちぃ、まだ出てくるのかよ!」

アムロ「中から機体が出てくる」

GNZ-003ガデッサ

GNZ-005ガラッゾ

リヴァイブ「落とさせて貰う」

ヒリング「行くよ、ガンダム」

カミーユ「赤い粒子を放出している」

ガデッサはGNメガランチャーを三機のガンダムに発射する。

カミーユ「アムロさん、話は後で!今は協力してあの二機を倒しましょう!」

アムロ「わかりました」

ガラッゾはZZに接近し、GNビームクローで攻撃を仕掛ける。ZZはハイパービームサーベルで対抗した。

ジュドー「この!」

ヒリング「こいつ、ガラッゾにパワー負けしない!?」

カミーユ「もらった!」

ヒリング「くっ」

ガラッゾはZZから離れ、Zの攻撃を避ける。

セイラ「MSが空を飛び回るなんて…!」

Gファイターはガデッサへ攻撃するも、回避されていた。

セイラ「速いっ!」

ガデッサからのGNメガランチャーのビームがGファイターの機体を掠めた。

セイラ「ああっ…」

アムロ「セイラさん、下がって下さい!」

リヴァイブ「空を飛べない機体など!」

アムロ「くっ!」

カミーユ「アムロさん!」

リヴァイブ「上からか――速い!」

Zとガデッサが戦闘している中にガンダムはビームライフルを撃ち込む。

リヴァイブ「!――上下から挟み撃ちか」

カミーユ「そこっ!」

リヴァイブ「甘いッ」

Zの攻撃を避け、反撃しようとした瞬間、上空のガデッサにガンダムが接近する。

アムロ「おおおーっ!」

リヴァイブ「跳んできた!?」

ガンダムはビームサーベルでガデッサのGNメガランチャーを破壊した。

リヴァイブ「上空の敵に気を取られているうちに高度を下げ過ぎたか」

リヴァイブ「だが落下中は無防備だろう!」

カミーユ「させるか!」

Zの攻撃と共に、地上からの砲撃がガデッサを襲う。

RX-75ガンタンク

リヴァイブ「援軍か!」

RX-77ガンキャノン

ジュドー「何だ、助けてくれるのか?」

カイ「そこのデカいガンダム、援護するぜ」

ヒリング「数が増えたって――トランザム!」

ジュドー「赤くなった!」

ヒリング「ほらほら、捕まえてみろ」

カイ「速い、捉えられねぇ」

ジュドー「うわっ…!」

ガラッゾの動きはZZとガンキャノンを翻弄する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Zはビームライフルをサーベルに切り替え、ガデッサを切り裂いた。

リヴァイブ「馬鹿な…」

ガデッサの背部からコア・ファイターが射出され、ガデッサの爆発を目眩ましに脱出した。

ヒリング「リヴァイブがやられた!?」

ガラッゾに森の中からビームライフルが迫る。

アムロ「この距離じゃ当たらない、もっと接近しないと」

ヒリング「まずは一機、仕留める!」

ジュドー「わっ、川に落ちる!」

水中深くへと潜っていくZZをガラッゾが追う。

ジュドー「水中でも素早い!」

ヒリング「もらったぁ!」

ガデッサがZZに一撃を加えようとするが、ガンダムは水中に入りビームを放ち、ガデッサの邪魔をする。

アムロ「やっぱり水中じゃ、ビームライフルのパワーが半分も出ない」

ZZはガラッゾの攻撃を掻い潜り、ガンダムに接触する。

ジュドー「アムロ、作戦がある!」

アムロ「――やってみます」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カミーユ「一機が水中から上がってきた」

ジュドー「頼んだぜ!」

ZZの額のビーム発射口が光る。

ヒリング「逃がさないよ!」

アムロ「ちぃッ」

ガラッゾのGNビームクローの刃がガンダムに届こうとした瞬間、水中に大きな爆発が起こる。

ヒリング「ぐうう…!」

ヒリング「上からの攻撃による爆発か!…ガンダムを見失った」

ヒリング「爆発の所為で埃が舞って見えない――!?」

アムロはZZのハイメガキャノンによる水中での大爆発から深く潜ることで逃げ、ガラッゾが隙を見せるのを待っていた。

アムロ「今だ!」

アムロは一気にガラッゾへ近づき、ビームサーベルを抜刀する。

ガラッゾへ浴びせるガンダムのビームサーベルによる一撃は、ガラッゾに深くダメージを与える。

ヒリング「ちぃ――!」

ガラッゾは突然現れた赤い光に包まれ、ガンダムの前から姿を消した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「さっすがあのホワイトベース隊のパイロットでニュータイプのアムロ・レイ!」

アムロ「ジュドーの作戦のお陰で勝てたんだよ…ガンダムにはかなりの無理をさせたけど」

カミーユ「…」

アムロ「どうしました?」

カミーユ「いや、俺の知っているアムロ・レイとは違うんだなと思って」

ジュドー「カミーユも俺の知っているのとは違うな」

アムロ「…」

カミーユ「…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カイ「しっかし七年後八年後も大戦争をやってるとはね」

カイ「俺たちの頑張りは何だったんだって思っちゃうよ」

ハヤト「まだそうなると決まってるわけじゃないじゃないですか、そうなんですよね?」

ジュドー「アプロディアが言うには、そうらしい」

ジュドー(こっちの世界のハヤトさんは生き残るといいな)

ジョブ「僕たちの世界の未来がカミーユさんの世界に繋がるか、全く別の未来になるのかはこれから
    しだいっていうことですね?」
   
カミーユ「それでいいと思います」


カミーユ(ホワイトベースに配備されているはずのコア・ブースターは見当たらないし)

カミーユ(ガンダムやジムのバリエーション機も戦場では見なかった…開発中の可能性はあるけど)

アムロ「僕はこれからどうなるんです?」

カミーユ「その内勝手に呼ばれて、別の世界で戦わせられることになると思う」

アムロ「こっちの都合は考えてはくれませんよね」

ジュドー「元の世界の元の時間に返すっていうけど、ガンダムはボロボロになっちまうし」

ジュドー「ブライトさんたちへの説明とか困るしなぁ…」

ジュドー「そういえばブライトさんはあんまり変わってないな」

アムロ「そうなんですか?」

カミーユ「そうだな、そうかもしれない」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「残念だが、ヴィクトリーを貸すことはできない」

「ワシらにとっては大事な戦力じゃからな」

「本当はウッソ君にも行って欲しくはないんだ」



ウッソ「…」

ウッソ「アプロディア、お願いがあります」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ZGMF-X56Sフォースインパルスガンダム(以下インパルス)

シン「くっそー!何なんだよ、こいつらは!」

ZGMF-2000ハイネ専用グフイグナイテッド(以下ハイネ機)

ハイネ「ミネルバに恐れをなして新型を出してきたっていうことか」

ZGMF-X23Sセイバーガンダム(以下セイバー)

アスラン「蹴散らすぞ!」

OZ-07AMSエアリーズ

OZ-00MSトールギス

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ZGMF-1000ルナマリア専用ザクウォーリア(以下ルナマリア機)

ルナマリア「ちょっと、水中戦だなんて」

ZGMF-1001レイ専用ザクファントム(以下レイ機)

レイ「来るぞ、ルナマリア」

OZ-09MSパイシーズ

パイシーズの群れに向かい、二機のザクは水中用装備のバズーカで対抗する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

LMH-BB01ミネルバ

アーサー「空と海からの新型による物量攻撃ですか…」

タリア「まだ連合軍のMS部隊だと決まったわけではないけれど」

タリア「しかしこの数――メイリン、援軍の要請を」

トールギスはインパルスやハイネ機を翻弄する。

ハイネ「あいつ、速い!」

アスラン「あの機体は任せろ!」

セイバーはMAへと変形し、トールギスを追う。

ゼクス「トールギスのスピードに追いつけるか、ガンダム!」

シン「何だ、赤い光が…」

OZ-12SMSトーラス

ハイネ「大型の戦闘機?」

シン「こいつ、動きが早い!」

シンとハイネがエアリーズやトーラスを相手するが、数機のトーラスがミネルバへと向かった。

トーラスはMSへ変形し、ミネルバに攻撃する。

アーサー「可変型のMS!?」

メイリン「艦長!この黒い機体――」

シン「動きが何か違う!乗っている奴、こんな動きで負担とかないのか!?」

ハイネ「チッ――これ以上ミネルバへの負担を増やすな!」

アスラン「早くシンたちの下へ向かわないと…」

ゼクス「どうした、ガンダム!」

タリア(援軍は間に合いそうにないわね…上手く逃げられる方法を)

アーサー「――あれは…」

青白い光と共に、ハルファスガンダムが現れた。

ハイネ「何だ!?」

シン「あの黒いガンダムは…」

ウッソ「アプロディア、ここにシャクティは?」

アプロディア『いないようです…しかしウッソ・エヴィン』

ウッソ「わかってる!」

ウッソ(アプロディアに付いて行けばシャクティに会えると思ったけど、そう上手くはいかないか)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

レイ「大体倒したが…早くミネルバへの援護へ」

レイ機とルナマリア機へ魚雷が襲いかかる。

OZ-08MSキャンサー

ルナマリア「また新手!?もう少しの所に!」

青白い光が現れ、そこからMSが飛びだす。

GAT-X105ソードストライクガンダム(以下ストライク)

レイ「ストライク…!」

キラ「何で水中に――向かってくる!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア『あの黒い機体、トーラスにはMDシステムの再現がなされています』

ウッソ「モビルドールシステム?」

アプロディア「ガンダムWの世界…アフターコロニーで生まれた」

アプロディア「組み込まれた戦闘アルゴリズムを基に戦う無人機です」

アプロディア「ジェネレーション・システムは、そのMDシステムの再現を行っている
       のでしょう」

ウッソ(そういえば、ジェネレーション・システムのMSには、記録を基にした)

ウッソ(パイロットデータが動かしていると言っていたな)

アプロディア『ウッソ・エヴィン、フェザーファンネルを』

アプロディア『この攻撃なら、MDシステムの虚を衝けます』

ウッソ「でも、ファンネルはニュータイプじゃなきゃ…」

アプロディア『この機体は問題ありません、それにあなたならより強力な攻撃として繰り
       出せます』
       
ウッソ「…やってみます」

ハルファスはフェザーファンネルを射出し、ミネルバを襲うトーラスを攻撃する。
フェザーファンネルの攻撃はトーラスを次々と破壊した。

ハイネ「あれは、ドラグーン・システムか?」

シン「あのガンダム、何て強さだ」


ミネルバを襲うトーラスを壊滅させた後、ハルファスは青白い光を放出して消失し、インパルスの近くへと現れた。

シン「!?」

アプロディア『シン・アスカ』

シン「俺の名を」

アプロディア『共に戦いましょう、この危機を打ち払うために』

ハルファスはクロス・ビームキャノンをトーラスの群れに撃ち込む。

シン「…今はやるしかないか!」

ハルファスの攻撃により混乱したトーラスたちに、シンは攻撃を加え次々と撃破する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キラ「うおおおー!!」

ストライクはキャンサーの攻撃を物ともせず、対艦刀シュベルトゲベールをキャンサーへ突き刺し、破壊する。

キラ「!」

レイ機のバズーカから打ち出された砲弾がストライクに迫り、ストライクはそれを回避した。

ルナマリア「ちょっとレイ、あのストライクは私たちを助けてくれたのよ!」

レイ「だが連合の機体だ。旧式とはいえあの動き、見過ごすわけにはいかない」

キラ「くっ…!」

対峙するストライクとレイ機の間にハルファスが現れる。

キラ「あの機体は…!」

アプロディア『キラ・ヤマト、一先ず共に来て頂きます』

ストライクに近づいたハルファスは青白い光を放ち、ストライクと共に消えた。

ここで一区切り、になるのかな?

今回は以上です。見て下さった方、ありがとうございます。

>>1

質問なんだけど、乗り換え前の機体と乗り換え後の機体が入り混じってるのは、
物語の途中だから?
それとも、スパロボでよくある訳あって旧式に乗ってるってパターン?

>>217
そうです。
ガンダムの主人公たちは物語の途中に連れ去られて、別の世界に送られるパターンです。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア『シン・アスカ、後でこの位置へ向かって下さい』

アプロディア『話さねばならないことがあります』

シン「ちょっと待てよ、何がなんだか…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「…」

ハイネ「で、行ってみることにしたのか?」

アスラン「…」

アスラン「あの機体は俺たちを助けてくれたのかもしれない」

アスラン「だが、ストライクと仲間である以上、連合の罠である可能性は十分に高い」

ハイネ「瞬間移動なんてできる機体が俺たちの敵だなんて考えたくないがな」

シン「…俺、以前あの機体に会ったことがあるんです」

シン「以前、宇宙で俺の信号が途絶えた事ありましたよね」

シン「あれは、あの機体の瞬間移動の時に発した光に巻き込まれた為なんです―――」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アスラン「…~~!」

ハイネ「まあ、赤い光から出入りするMSやあの機体の瞬間移動のことを考えるとな」

ハイネ「でも、別の世界ね…ミネルバで記録した映像からもこの世のものとは思えん機体であることは確かだ」

シン「だから、俺は知りたいんです。あれが何なのか、何故俺を呼んだのか」

シン「アスラン、ハイネ…お願いします!」

ハイネ「どうする?こいつが俺たちにここまで頼み込むなんて、余程のことだぞ」

アスラン「…いいだろう」

アスラン「但しだ、俺も同行する。会話の記録もさせてもらう」

シン「!――ありがとうございます!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キラ「大型と小型の戦闘機」

アプロディア「あれはインパルスガンダムのコアとセイバーガンダムです」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アスラン「…キラッ!?」

シン「お前は――オーブで会った…」

キラ「え?アス、ラン…?」

シン(でも、少し幼いな)

アスラン「お前、何故カガリを攫った!アークエンジェルは何処だ!」

シン「アスラン、落ち着いて下さいよ!」

アプロディア「彼は別世界のキラ・ヤマトです。アスラン・ザラ」

シン「あんたは…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アスラン「二年前のキラ・ヤマトで、別世界のキラ…」

シン(あんな空間とか映像とか、アスランの混乱ぶりを見たら、信じざるを得ないな)

シン「…お前らと仲間っていうことになるのか?」

キラ「そう、なるのかな」

ウッソ「よろしくお願いします」

シン「ああ、よろしく…」

シン(こんな子どもが、あのMSのパイロットだなんて、しかもあんな動きを…)

キラ(別世界のザフトの軍人…アスランの部下)

シン(別世界の連合のパイロット、アスランの友人)

シン「別世界のとはいえ、連合のパイロットと一緒に戦うことになるとはな」

キラ「それは僕も同じです」

アスラン「!――わかった、すぐに向かう」

アプロディア「ジェネレーション・システムのMS部隊が、無差別に破壊活動を行っています」

キラ「行かなくちゃ」

シン「ああ!」

今回はここまでです。

見て下さった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リシテア級

ZM-S24Gゲドラフ

キラ「タイヤで、町を…踏み潰している…!?」

キラ「こんな、こんなことが…!」

ZGMF-10Aフリーダムガンダム(以下フリーダム)

マリュー『アークエンジェルとストライクルージュは町の避難民の救助を行うわ!』

キラ(C.E73)「僕はあのMSたちの気を引いて、出来るだけ町から離します!」

バルトフェルド「俺たちも行く!」

MVF-M11Cムラサメ

      バルトフェルド専用ムラサメ(以下バルトフェルド機)

フリーダムとムラサメ隊は、リシテア三隻を中心としたMS部隊へ接近し、ゲドラフ等の注意を引かせた。

キラ(C.E73)「そうだ、僕の所へ…」

キラ(C.E73)「!?」

上空からフリーダムをビームが襲い、フリーダムはシールドで受け止めた。

ZMT-S37Sザンスパイン

キラ(C.E73)「ビームの、翼…!?」

ザンスパインはフリーダムへビームを撃ち続ける。フリーダムはそれをシールドで受け止め続けた。

キラ(C.E73)「この角度じゃ、ビームが町に当たる!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一機のゲドラフが、ストライクルージュに接近する。

カガリ「こっちには避難民が…!」

ゲドラフがビームを発射した瞬間、ストライクルージュの前に青白い光が現れ、そこからセイバーが出現、シールドで防御する。

アスラン『ストライクルージュのパイロット、避難民を送ったデータの位置に集めるんだ!』

カガリ「アスラン…!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キラ「バイク型の戦艦と、タイヤで空を飛び回るMS!?」

ウッソ「小型の機体で猫目、…もしかして、ザンスカールのMSなの?」

アプロディア(この破壊活動は、アークエンジェルとミネルバを呼び寄せることが目的だったのですね)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「おおおおお…!!」

フォースインパルス(以下インパルス)はザンスパインの後ろからビームサーベルで斬りかかる。ザンスパインは、光の翼の放出でそれを阻んだ。

シン「うっ…!」

キラ(C.E73)「あれはザフトの新型!?」

シン「フリーダム…!いや、今はこいつらだ!」

シン「タイヤで人を、町を踏み潰すなんて…!」

シン「なんて外道だ!ジェネレーション・システム!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

マリュー『ミネルバへ、救援を感謝します』

タリア「こちらこそ、貴艦の行動に感謝する」

ハイネ「まさか、あのアークエンジェルと共同戦線を張るとはね」

アスラン「ウッソ、アプロディア、今集まっている人たちを頼む!」

ウッソ「わかりました!」

ハルファスは集まった避難民とともに、瞬間移動で戦火の被害のない、安全な場所へ跳んだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バルトフェルド「ちぃ…迂闊に近づけんな…!」

ムラサメ隊はリシテア級に近づこうとするも、弾幕の濃さに近づけずにいた。

レイ「あの戦艦、今だ進行を続けている…避難民の救助は間に合うか?」

一隻のリシテア級の船体付近に青白い光が現れる。そこから、ソードストライク(以下ストライク)が現れ、シュベルトゲベールを振り上げ、落下した。

キラ「ブリッジを潰せば…!」

ストライクの落下と同時に振り下ろされたシュベルトゲベールは、リシテア級の艦橋を叩き潰し、リシテア級は程なくして動きを停止させた。

ストライクの下へゲドラフが接近する。そこにグゥルに乗ったルナマリアのザクウォーリアがゲドラフが剥き出しになっているタイヤの側面へ突撃した。

ルナマリア「これで貸し借り無しよ、ストライク!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ハルファスは瞬間移動を用い、もう一隻の艦橋へ強襲する。ハルファスのビームサーベルにより、リシテア級の艦橋は破壊された。

アプロディア「これ以上の次元跳躍の連続使用はできません」

ウッソ「あと一隻なのに!」

タリア「トリスタン撃てー!」

ミネルバからの攻撃をリシテア級はビームシールドで防御した。

バルトフェルド「これ以上は止むを得んか…攻撃するぞ!」

ハイネ「まだよくできた方だろうな!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「くそ、こいつは…!」

キラ(C.E73)「小さいのに、何てパワーだ!」

ザンスパインはティンクル・ビットを射出し、インパルスとフリーダムへ襲わせる。

キラ(C.E73)「ドラグーン・システムが、何で地上で!?」

インパルスとフリーダムがティンクル・ビットに翻弄されている所を、ゲドラフが攻撃する。

シン「うああ!」

キラ(C.E73)「くっ…!」

アスラン「シン、キラ!」

ウッソ「町から大分離れたから、もうビームを使ったって!」

ハルファスはフェザーファンネルを射出し、ザンスパインのティンクル・ビットに対抗する。

アプロディア(ハルファスガンダムとザンスパインはガンダム・ワールドのデータを基に造り出したオリジナルの機体)

アプロディア(ファンネルやビットは重力下で使えるように改造されている)

アプロディア(しかし、ジェネレーション・システムのAIでは、ニュータイプの力を再現することは不可能。だからあのビットは決まったパターンでしか動かせない…ならば)

フェザーファンネルは次々とティンクル・ビットを落としていく。セイバーとインパルス、フリーダムはそれぞれゲドラフ等を撃破した。

シン、キラ(C.E73)、アスラン「「「うおおおお!!!」」」

三人の種は弾け、ザンスパインへと攻撃を仕掛ける。そこへハルファスも加わった。
ザンスパインは腕と足を破壊され、地面へ叩き落とされた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

マリュー『ストライクへ、I.W.S.P.を射出します!』

バルトフェルド「ここまで来たら、出し惜しみしない方がいいからな!」

GAT-X105+P202QXストライクガンダムI.W.S.P.(以下ストライク)

キラ「よし、この装備なら!」

ストライクは最後の一隻のリシテア級へ向かい、レイ機やムラサメ隊が空けた弾幕の穴に飛び込み、艦橋に向かって両手に構えた対艦刀を突き刺し、破壊した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アスラン「――はい、そうです。かつて共に戦った仲間と、話をしたいのです」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キラ(フリーダム、っていってたっけ…あの機体に、僕も乗るのかな?)

キラ(C.E73)「ストライク…あの戦い方…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「その機体、どうするつもりだ?」

ウッソ「僕の世界へ持ち帰って、再利用します」

ウッソ「このMSの技術、もしかしたら僕の世界で再現できるかもしれません」

シン「胴体は綺麗に残ったからな、コックピットは多少損傷しているけど」

シン「…その、連れ去られた女の子、助けだせるといいな」

ウッソ「絶対助けだして見せます」

今回はこれで以上です。

見て下さった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア(!――今度はガンダムXの世界に…)

アプロディア(まさか、ジェネレーション・システムの目的は…)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GX-9900-DVガンダムXディバイダー(以下、GXディバイダー)

GW-9800ガンダムエアマスター(以下エアマスター)

GT-9600ガンダムレオパルド水中オプションS―1装備

ウィッツ「くそ、数が多い!」

GAT-04Dウィンダム

上空のウィンダムの群れは、海上を走るフリーデンへ襲いかかる。
GXディバイダーとエアマスターは空で、レオパルドは水中からウィンダムの侵攻を阻止する。

ガロード「ティファは渡さない!」

GXディバイダーはウィンダムの群れへ突っ込み、ウィンダムを撃破していく。

ガロード「渡すもんかぁぁぁ!!」

アルプス級陸上戦艦_フリーデン

ティファ「…ガロード」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジャミル「本当か?」

ティファ「はい、私を連れ去る為に、多くの敵がやってきます」

ティファ「みんなを危険に晒したくありません、私を降ろして下さい」

ガロード「何言ってるんだよ、そんなことできるわけないじゃないか!」

ガロード「俺たちが絶対に守ってやる。だから、心配すんな」

ティファ「…」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シャギア「フリーデンを襲いに来てみれば…」

オルバ「とんだ邪魔者がやってきたね」

NRX-0013ガンダムヴァサーゴ(以下ヴァサーゴ)

NRX-0015ガンダムアシュタロン(以下アシュタロン)

DT-6800FAドートレス・フライヤー(以下ドートレスF)

円盤型のMAにより、ドートレスFは次々撃墜される。

NRX-044アッシマー

アッシマーはMS形態へ変形し、フロスト兄弟を襲う。

オルバ「兄さん」

シャギア「可変型か」

アッシマー部隊と交戦するフロスト兄弟率いる新連邦軍の部隊に高速で近づく機体が現れる。

ORX-005ギャプラン・・・MA形態

シャギア「少しは楽しめそうだ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「赤い光…増援か!?」

YMAF-X6BDザムザザー

ウィッツ「モビルアーマーか!」

エアマスターは水上を進むザムザザーに向けてビームを撃つ。ザムザザーは機体上面にエネルギーシールド――陽電子リフレクターを展開した。

エアマスターの放ったビームは、陽電子リフレクターにより、無効化された。

ウィッツ「ビームが効かない!?」

ザムザザーは全身に装備された砲門から攻撃を繰り出し、エアマスターとGXディバイダーを攻撃する。

ガロード「くそっ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロアビィ「二人の加勢に行きたいけど、これじゃあね!」

フリーデンの甲板に上がったレオパルドは、フリーデンに近づくウィンダム二機を撃破する。

トニヤ「陸地が見えてきたわ!」

サラ「このまま、逃げ切れれば…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ヴァサーゴはメガソニック砲で接近するアッシマー四機を消し飛ばす。

シャギア「あとはオルバの追う可変機か」

MA形態のギャプランがヴァサーゴへ迫る。その後ろを、MA形態となったアシュタロンが追尾していた。

シャギア「行くぞ、オルバよ」

オルバ「了解、兄さん!」

ヴァサーゴとアシュタロンの連携攻撃に、ギャプランはMSとMA二つの形態を使い分けて対抗する。ヴァサーゴは上手くギャプランを翻弄し、ギャプランの注意を引き付けた。

ギャプランがMS形態となり、ビームサーベルでヴァサーゴに切りかかったところを、アシュタロンが背後からアトミックシザースを用いて羽交い絞めにした。

オルバ「どうやら下からの攻撃には弱いみたいだね」

シャギア「これが我等兄弟の力だ」

ヴァサーゴはビームサーベルでギャプランのコックピット部分を突き刺し、アシュタロンから解放されたギャプランは、海へと落下しつつ爆散していった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ザムザザーは水上から空中のエアマスター、GXディバイダーを相手しつつフリーデンを追っていた。

ガロード「あのバリアは、機体の上面にしか張れないんだ」

ガロード「俺が奴にバリアを張らせて隙を作る、ウイッツはその隙を突いてくれ!」

ウィッツ「おう!」

GXディバイダーはディバイダーを構え、表面の装甲を展開させた。

ガロード「高出力のハモニカ砲のビームなら…どうだぁ!!」

ディバイダーから発射された巨大なビームに、ザムザザーは陽電子リフレクターを展開して対応する。

ガロード(俺が狙ったのは、お前じゃない!)

ガロードはザムザザーへ直接撃ちこむのではなく、ザムザザーのいる水面へ向けてビームを放っていた。

水面にビームが当たったことによる爆発にザムザザーは巻き込まれ、機体上部をGXディバイダーに向ける形となった。

ウイッツ「もらったぁ!」

エアマスターはファイター形態(MA形態)となり、露出したザムザザーの機体下部へと接近した。

エアマスターはバスターライフルを連射して、止めに両肩のショルダーミサイルを撃ち込み、ザムザザーを撃破した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロアビィ「上陸できた!」

シンゴ「あとはこのまま逃げ切るだけだ!」

トニヤ「――前方に熱源反応!」

フリーデンに陸地で待ち構えていたザムザザーが接近する。

ジャミル「待ち伏せしていたか!」

ウィッツ「もう一機いやがったのか!」

ガロード「くそっ、間に合え!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

オルバ「兄さん、あれを」

MAK-005Sギャプラン改

シャギア「フン…」

フリーデンへと接近するザムザザーに、上空から巨大なビームが襲う。

ザムザザーは直ぐに、陽電子リフレクターで防御した。

サラ「上空にMS…?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ティファ「あの人です…」

GN-0000+GNR-010ダブルオーライザー(以下、00R)

刹那「ダブルオーライザー、刹那・F・セイエイ――世界を歪ませる存在を、破壊する!」

00RはGNソードⅢを展開し、ザムザザーへと向かっていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フリーデンへと接近するザムザザーに、上空から巨大なビームが襲う。

ザムザザーは直ぐに、陽電子リフレクターで防御した。

サラ「上空にMS…?」

ティファ「あの人です…」

GN-0000+GNR-010ダブルオーライザー(以下、00R)

刹那「ダブルオーライザー、刹那・F・セイエイ――世界を歪ませる存在を、破壊する!」

00RはGNソードⅢを展開し、ザムザザーへと向かっていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フロスト兄弟とギャプラン改の戦闘に、高速で接近するMAが現れる。

XXXG-00W0ウイングガンダムゼロ・・・ネオ・バード形態(以下MA形態)

ヒイロ「エピオン…?いや、違うか」

シャギア「これ以上ここにいても無駄か――オルバ、撤退するぞ」

オルバ「了解、兄さん」

フロスト兄弟は、残ったドートレス部隊と共に、引き上げていった。

ギャプラン改は、ウイングガンダムゼロ(以下W0)へと接近する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

00Rはザムザザーの砲撃を避けつつ、ビームを撃ちこむ。ザムザザーは陽電子リフレクターを展開して守りつつ、反撃した。

刹那「ビームを完全に無効化するのか」

ガロード「緑色の光、あの装備、あの戦い方…まさか、刹那か!?」

刹那「なら、実体剣の攻撃で!」

00Rはザムザザーへと突撃した。GXディバイダーは、それを援護する。

刹那「もらったぁ!」

ザムザザーへと接近した00Rは、GNソードⅢで陽電子リフレクターごと、ザムザザーを切り裂き、ザムザザーを撃破した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ヒイロ「遅いな」

W0はギャプラン改の追撃を振り切り、W0が反撃に出る。W0はMS形態へと変形し、ギャプラン改と向かい合った。

互いに相手の方へ向かっていく。ギャプラン改はミサイルとビームを発射するが、W0はそれらを潜り抜け、ギャプラン改をビームサーベルで切り裂いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「刹那…か?」

刹那『そうだ。久しぶりだな、ガロード・ラン』

ガロード『お前、随分老けたなぁ』

刹那「俺がお前と会ったのは、今から4年前だ」

ガロード「4年!?」

刹那「どうやら、ハルファスによって転移させられる時期は世界ごとに違うらしい」

刹那「ジェネレーション・システムは、自由に次元を越えることが不可能なようだ」

ガロード「はるふぁす…?じぇねれーしょん?」

刹那「――!」

フリーデンの艦橋の前に赤い光が現れ、フェニックスガンダムが出現した。

フェニックスガンダム(以下フェニックス)は、フリーデンの艦橋にビームライフルを向ける。

ガロード「あの時のガンダム!」

ウィッツ「てめぇ!」

???『動くな』

ロアビィ「電子音声?」

ジェネレーション・システム(以下G・S)『私の名は、ジェネレーション・システム』

G・S『ガンダム・ワールドの、新たな歴史を創造する存在』

刹那「歴史の創造だと…?」

赤い光から、いくつもの黒い四角柱状の形をした機体が、フリーデンの甲板上に現れる。

ヒイロ「あれは…」

刹那「オートマトンか!?」

G・S『妙な動きを取れば、オートマトンはフリーデンの乗組員を殺害するだろう』

G・S『ヒイロ・ユイ、遠くから狙撃しようとする君のことだ』

ヒイロ「…!」

G・S『代わりに君たちの相手を用意しよう』

W0、00Rの前に、それぞれ赤い光が現れる。


GF-001NEファラオガンダムⅣ世(以下ファラオⅣ世)

MS-15Kギャン改

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ファラオⅣ世は自身に巻いている包帯を飛ばし、W0を捕らえ、引き寄せる。

そして、間近まで引き寄せた所を胴体のビーム砲でW0のコックピット目掛け攻撃した。

ヒイロ「っ!?」

W0は包帯に捕らえられながらも強引に避けるが、肩にビームを受けてしまった。

ヒイロ「ちぃ…!」

W0はビームサーベルで包帯を切り裂き、マシンキャノンで攻撃する。

ファラオⅣ世はダメージを受けるが、傷口からいくつもの管が飛び出し、傷を塞いでいった。

ヒイロ「自己修復機能だと?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ギャン改の大型ビームソードと00RのGNソードⅢがぶつかり合う。

刹那「ちぃ…!」

ギャン改のビームソードのリーチは00Rよりも長く、00Rはそれを活かした攻撃により苦戦していた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S『ティファ・アディール、どうする?』

ティファ「――わかりました」

ジャミル「ティファ…!」

ティファ「私は、行きます」

トニヤ「ティファ!」

ティファ「もう、いいの…みんな、ありがとう」

ウィッツ「くっそお!」

ガロード「ティファ、ティファァァ!!」

ティファ「さようなら、ガロード…もう、私のことは、いいから…」

ティファはフェニックスの掌に乗る。フェニックスは、ティファが潰れないよう握り、ゆっくりと上昇していった。

ガロード「ティファァァァァァァ!!」

G・S『さあ、お別れだ』

ティファ「!――やめて!」

オートマトンは起動し、フリーデン内部へ侵入を始めた。

ロアビィ「この…!」

レオパルドとエアマスターは、即座にヘッドバルカンで甲板のオートマトンを破壊する。

フェニックスは、スピードを上げて上昇していく。

ガロードは構えていたディバイダーを背中に装着させ、GXディバイダーを高機動モードへとシフトさせた。

GXディバイダーは速度を上げ、上空へと上昇していくフェニックスを追いかける。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ヒイロ「修復できないように、するまでだ!」

W0はファラオⅣ世ツインバスターライフルを撃ちこみ、消し飛ばした。そして直ぐにMA形態へと変形し、フェニックスを追う。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

刹那「トランザム!!」

00Rもトランザムを起動し、それによりパワーアップしたGNソードⅢで大型ビームソードを叩き折った。

そして、ギャン改のシールドミサイルを避けて懐まで飛び込み、コックピット部分にGNビームサーベルを刺し込む。

00Rは爆発するギャン改から離れ、フェニックスの下へと向かった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フェニックスはフェザーファンネルを射出し、ガロードへと向かわせる。

ガロード「!――ビットか!」

フェザーファンネルはGXディバイダーを取り囲み、攻撃する。

ガロード「動きがカリスのより単調なんだよ!」

ガロードはフェザーファンネルの動きを見切り、上手く避けつつフェニックスを追う。

ガロード「ティファを返せぇぇぇぇ!!」

G・S『さあ来るのだ、私の下へ…待っているぞ』

ティファ「ガロードッ!」

フェニックスは赤い光に包まれ、消えていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「アプロディアって奴なら、ティファの所へ行けるんだな!」

刹那「だが、今回の様に強力な敵が襲いかかってくる」

ガロード「今までだって倒してきたんだ――それに、GXなら負けない!」

刹那「ティファ・アディールから来るなと言われてもか」

ガロード「何ぃ!?」

刹那「ティファ・アディールの声が、聞こえた――ガロード・ランに、自分のことはもういいと伝えてくれと」

ガロード「お前、もしかしてニュータイプ…なのか?」

刹那「違う――俺は、イノベイターだ」

ガロード「イノベイター?」

刹那「…ジェネレーション・システムは、自らの目的の為に彼女の力を利用しようとしている」

刹那「それを見過ごすわけにはいかない」

ガロード「だったら尚更だ!ティファは絶対に俺が助ける!」

刹那「何故、そこまでして彼女を助け出そうとする」

刹那「彼女の強大な力を世界の破壊に利用させたくないという使命感か?」

ガロード「強大な力とかそんなもん関係ない!」

ガロード「俺はティファを助けたいんだ!――好きなんだから当ったり前だろ!!」

刹那「…」

ヒイロ「無駄だ、そのバカには言っても聞かない」

ガロード「なんだとぉ!?」

刹那「行こう、ガロード――彼女を、助け出しに」

ガロード「うん!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サラ「無事に帰ってきなさい」

トニヤ「ちゃんとティファを連れてね!」

ウィッツ「ヘマすんじゃねぇぞ」

ロアビィ「俺たちが行くことは無理みたいだからねぇ…ギャラも出ないみたいだし」

シンゴ「武器や弾薬とかは用意したからな」

キッド「あのガンダム乗りたちに迷惑かけんなよ~?ガンダム坊や」

テクス「くれぐれも、無茶はしないようにな」

ジャミル「ティファを、よろしく頼む」

ガロード「みんな…俺、絶対にティファと帰ってくるよ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

刹那「…」

ヒイロ「嬉しそうだな」

刹那「ガロードを見ていると、仲間を思い出す」

ヒイロ「一人の女の為に、命を懸ける…か」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

W0、GXディバイダー、00Rの前に、ハルファスガンダムが現れる。

刹那「行くぞ」

ガロード「おう!」

三機のガンダムは、ハルファスと共に青白い光に包まれ、次元を越えていった。

今回はこれで以上です。

見てくださった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GF13-017NJⅡゴッドガンダム(以下Gガンダム)

ドモン「…デビル、ガンダム…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GF13-013NRボルトガンダム

アルゴ「行け、ドモン!」

GF13-011NCドラゴンガンダム

サイ・サイシー「アニキはデビルガンダムの所へ!」

GF13-009NFガンダムローズ

ジョルジュ「ここは私たちが請け負います」

GF13-006NAガンダムマックスター

チボデー「早く行って、倒してきちまいな!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「ぐっ…」

JDG-0010XデビルガンダムJr.(以下DGJr.)

      デスアーミー

      デスビースト

      デスバーディ

暗雲渦巻く、荒れた大地で、二機のガンダムをDGJr.と、デスアーミーの軍団が囲い込む。

GF-13-021Gガンダムシュピーゲル(以下シュピーゲル)

シュバルツ「デスアーミーたちが融合して、あのような形になるとは…!」

DGJr.は、デビルガンダム四天王を模したビット、四天王ビットをGガンダムとシュピーゲルに差し向ける。

ドモン「またあの攻撃か!」

Gガンダムに高速で接近するビットの一つは、グランドガンダムを模した角を出し、角から電撃を発してGガンダムに浴びせた。

ドモン「ぬわぁぁぁぁ!!」

シュバルツ「ドモン!」

残り三つのビットがGガンダムを襲う。

一つは、ヘブンズソード、一つはウォルター、一つはマスターガンダムを模した形となり、電撃により動きを封じられているGガンダムに迫る。

シュバルツ「ぐっ…!」


シュピーゲルはGガンダムの助けに入り、四天王ビットを追い払おうとするも、マスターガンダムを模したビットが二つのビットに注意を引かれたシュピーゲルにダークネスフィンガーを浴びせた。

シュバルツ「ぐああああ…!」

ドモン「シュバルツ――!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

DGJr.の攻撃の前に膝をついたGガンダムとシュピーゲルに、デスアーミーやデスビースト、デスバーディの大群が近づく。

その後ろに構えるDGJr.さらに、DGJr.両隣から赤い光が現れる。

MA-09量産型ビグザム

二機の量産型ビグザムは、Gガンダムとシュピーゲルへ向けて機体中央部の大型メガ粒子砲発射のチャージを開始した。

ドモン「くそ…!」

Gガンダムとシュピーゲルの前に、二つの青白い光が現れる。

LM314V24_V2アサルトガンダム(以下V2)

System-∀99ターンエーガンダム(以下∀)

二機の量産型ビグザムは、Gガンダムたちに向けて、メガ粒子砲を発射した。

ウッソ「ガンダム!」

ロラン「いっけぇぇぇ!!」

迫る巨大な二本のビームを、V2アサルトはメガ・ビーム・シールドで、∀はシールドから発生させたIフィールドで防いだ。

続けて、上空から三つの青白い光が現れた。

GN-0000+GNR-010ダブルオーライザー(以下、00R)

刹那「これは…デスアーミー!?」

XXXG-00W0ウイングガンダムゼロ(以下W0)

ヒイロ「こいつらは、敵か」

GX-9900-DVガンダムXディバイダー(以下、GXディバイダー)

ガロード「そうだ、やっちまうぞ!」

W0はツインバスターライフルを、GXディバイダーはハモニカ砲を発射し、地上にいるデスアーミーの軍団を焼き払った。

ZGMF-X10Aフリーダムガンダム(以下フリーダム)

ZGMF-X56Sブラストインパルスガンダム(以下インパルス)

シン「フリーダム!?…キラか?」

キラ「シン!」

DGJr.や量産型ビグザム等の背後から、幾つものビームが放たれる。

DGJr.は咄嗟に避けるが、一機の量産型ビグザムはビームの直撃を受け、爆発した。

RX-78ガンダム・・・ウェイブライダー搭乗

MSZ-006ゼータガンダム(以下Z)・・・現在はウェイブライダー形態

MSZ-010ZZガンダム(以下ZZ)・・・現在はGフォートレス形態

もう一機の量産型ビグザムはガンダムたちに反撃しようと、メガ粒子砲の発射態勢に入ったが、ビームライフル、ハイメガランチャー、ダブルビームライフルから一斉に放たれたビームによって撃破された。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「シュバルツ、大丈夫か!?」

シュバルツ『少年か…強くなったな』

ドモン「今は休んでいてくれ、シュバルツ」

刹那「あとは俺たちがやる」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

DGJr.はガンダムたちの攻撃から逃げつつ、デスアーミーたちの群れに対し、両目から放たれる赤い光を浴びせた。

デスアーミーは互いに集合しあい、融合していく。

カミーユ「あれは」

一機、また一機とDGJr.が完成されていった。

アムロ「複製を作り出したのか!」

ジュドー「化け物かよ」

三機のDGJr.はデスアーミー軍団とともにガンダムたちに襲い掛かる。

シン「あの化け物、どんどん増えていくんじゃ…」

ロラン「これ以上あれを増やさない為には」

ウッソ「まず元となるあの一つ目たちを全部倒せばいいんですね」

ジュドー「いや、あれを見ろ!」

DGJr.の下半身から、の影から、デスアーミーたちが降りてくる。

刹那「あのガンダムからデスアーミーが生まれている…」

ドモン「自己増殖…DG細胞の三大理論の一つ」

ヒイロ「全て破壊すればいい」

カミーユ「デカブツを優先的に破壊しつつ、一つ目の数を減らす」

キラ「あの赤い光を撃たせなければ!」

ガロード「天下無敵のガンダムがこれだけ集まっているんだ」

アムロ「やるぞ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一機のDGJr.は胸部から巨大なビーム、メガデビルフラッシュをガンダムたちに放ち、
ガンダムたちはそれを回避しつつデスアーミー軍団を破壊していく。

もう一機のDGJr.は下半身の殻に自身を包み込み、
上空にいるフリーダム、00R、V2、ウェイブライダーに向かって、回転しつつ突撃する。

四機はそれを避け、旋回して再び突撃してくるDGJr.に向かってビームを撃ちこむ。

DGJr.はビームの攻撃によって勢いを殺されていき、遂には吹き飛ばされた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

インパルスがブラストシルエットの火器をフル稼働させて、Gガンダムは超級覇王電影弾でデスアーミーたちを撃破する中、
∀は一機のDGJr.の四天王ビットの攻撃を受けていた。

ロラン「くっ…避けきれない」

アムロ「ヒゲのガンダム、逃げてください」

ガンダムが四天王ビットにビームを当て、∀から退かせる。

DGJr.は四天王ビットを一度戻し、今度はガンダムへ向けて射出する。

ガロード「ディバイダーで…!」

ガンダムの下に、GXディバイダーがやってくる。

アムロ「その腰に付けているの、グレネード弾じゃないですか?」

ガロード「何でそれを――そうか!」

GXディバイダーは腰のグレネード――X-グレネーダーを投げる。そして、瞬時に盾を構えた。

アムロ「起爆させます!」

近づく四天王ビットの前で、ガンダムはX-グレネーダーを撃ち抜き、爆発させた。

その大きな爆風により、四天王ビットは怯んだ。

ロラン「今だ!」

∀とガンダム、GXディバイダーはビームを撃ち込み、四天王ビットを破壊した。

ヒイロ「あの武器さえ破壊されれば」

四天王ビットを失ったDGJr.に接近するW0に、上空からデスバーディたちが襲い掛かる。

ジュドー「援護してやるよ、羽根つきのガンダム!」

ZZはダブルビームライフルとミサイルの発射でW0に近づくデスバーディ等を破壊する。

W0は、ガンダム、GXディバイダー、∀と駆けつけたインパルスの攻撃によって
身動きが取れずにいるDGJr.へ向けて、連結したツインバスターライフルを構える。

ヒイロ「破壊する」

発射されたツインバスターライフルのビームは、DGJr.を撃破した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ZとV2はDGJr.と空中戦を展開し、そのDGJr.を援護しようとするデスアーミー軍団を
フリーダムはフルバーストで撃ち落としていく。

ウッソ「一つ目に近づかせないようにしないと!」

カミーユ「赤い光を出す頭を潰す!」

ZはハイメガランチャーをDGJr.の頭部目掛けて放つ。

DGJr.はそれを殻に籠ることで防ぎ、回転しつつ再び開き、四天王ビットを射出した。

ウッソ「メガ・ビーム・シールドで!」

V2はメガ・ビーム・シールドを展開し、前方部分にV2を覆うように巨大なビーム・シールドを
発生させた。

ウッソ「この中へ!」

カミーユ「よし」

ZはV2の後ろにつく。四天王ビットはビーム・シールドを避けて、
ビーム・シールドの展開していない後方へ回る。そこには、Zが待ち構えていた。

カミーユ「来たな、ビーム・コンフューズ!」

Zは四天王ビットに向かって、ビームサーベルを投げ、そこにビームを当てる。

それによって広く拡散されたビームは、四天王ビットにダメージを与え、怯ませた。

ウッソ「いけぇぇぇ!」

V2はヴェスバーを発射し、DGJr.に直撃させる。

そのダメージで、DGJr.は地上へと落下した。

カミーユ「逃がすか!」

Zはウェイブライダーへと変形し、V2と共に追いかける。

キラ「これで…!」

フリーダムも二機に合流し、それぞれ使えるだけの武装による攻撃を放った。

DGJr.は地上に叩きつけられる前に、バラバラにされた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

トランザムライザーとなった00Rは、Gガンダムと共に、地上でDGJr.と戦闘していた。

襲い掛かる四天王ビットを二機は相手にしている。

刹那「うおお!」

00Rはヘブンズソードを模したビットの羽を飛ばす攻撃を避け、
ビームをまき散らすウォルター型のビットを切り裂く。

Gガンダムはグランド型のビットを避け、空へ上昇したDGJr.を追う。

それを遮るように、マスター型のビットがGガンダムの前に現れ、
ダークネス・フィンガーを繰り出す。

ドモン「偽物のダークネス・フィンガー等、恐れるに足らん!」
Gガンダムはハイパーモードとなり、さらに機体を黄金色に輝かせた。

ドモン「ばぁぁくねつ!ゴッド・フィンガァァァ!!」

ビットのダークネス・フィンガーとドモンの爆熱ゴッド・フィンガーがぶつかり合う。

ドモン「おおおおおおお!!」

爆熱ゴッド・フィンガーに押し負け、ビットは掌から破砕した。

刹那「このまま一気に破壊する!」

00RもGガンダムに続いて、DGJr.へ接近する。

そこへ後方からウォルター型のビットが、角で00Rを刺突しようとする。

しかし、その角が00Rに接触する直前に、00Rの姿が消えた。

そして、DGJr.の後ろに現れる。

刹那「ドモン、行くぞ!」

ドモン「ああ!」

DGJr.に対し、Gガンダムは前から爆熱ゴッド・フィンガーを浴びせ、
00RはGNソードⅢからビームサーベルを発生させて、後ろから切り裂いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「あの二機が落としたので最後か」

ジュドー「一つ目も見当たらないな」

ガロード「つ、疲れた…」

今回はこれで以上です。

見てくださった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サイ・サイシー「オイラたちが来る前に戦いが終わっちゃうとはね」

チボデー「デビルガンダム軍団と戦えるとは面白れぇ、あいつらとファイトしてみたいぜ!」

ジョルジュ「しかしあの装備、ガンダムファイト用のモノとは思えません」

アルゴ「まるでこの世界のものではないようなガンダムだな…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「ふぅ~やっと整備が終わった!」

ロラン「すいません、レインさん…補給用の物資などを提供してくれて」

レイン「いいのよ、ドモンを助けてくれたお礼にと思ってやったことなんだから」

ジュドー「いい人だね、ドモンの恋人」

ドモン「ち、違うぞレインはパートナーだ」

シン「すまないな、キラ。エネルギーを分けてもらって」

キラ「エネルギーに関してはしょうがないよ、僕たちの場合は」

ガロード「キラと刹那のはいいなぁ、補給がほとんど必要ないなんて」

シン「そういえばウッソの機体…あのMSと同じ光の翼を出していたけど」

ウッソ「あのMS…ザンスパインには、ミノスフキードライブというのが搭載されていました」

ウッソ「僕のいる組織でも、同じものを開発していたらしくて…
    完成品が来たことで、開発が進んだんです」

ヒイロ「何をジロジロと見ている」

アムロ「僕の世界にはないんですよ。可変型で、高出力のビームを扱えるMSは」

刹那(あの男…アムロといったか、ガンダムに乗っている…)

刹那(Oガンダム…リボンズ・アルマーク…)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カミーユ「こんな世界でも、地球は酷く汚染されているんですね」

ドモン「繁栄しているのは、ここネオホンコンだけだ。後は荒廃している」

ジュドー「コロニーと地球の関係も真逆みたいだし、ホント別世界って感じがするな」

カミーユ「宇宙へ出て行っても、結局地球をこんな風にするんじゃあ…」

ガロード「ドモンはいいのか、大事な試合なんだろ?」

ドモン「元の時間軸に、戻してくれるなら、構わない」

ドモン「それに、デビルガンダムを利用しようとする者を倒すのは俺の使命でもある」

ドモン「お前こそ、何故行こうとする」

ガロード「俺は…連れ去られちまった、大切な仲間を助け出すためだ」

ガロード「助け出すまでは、俺は…絶対に帰らない!」

ウッソ「君も…?」

ガロード「お前もなのか…頑張って助け出そうぜ!」

ヒイロ「恋人に必死になりすぎて、足を引っ張るなよ」

ガロード「そ、そんなんじゃねぇよ!」

ジュドー「あ~らら、必死になっちゃって」

シン「顔、真っ赤だぞ」

ガロード「うるせぇ!」

刹那「…」

ヒイロ「何だ?」

カミーユ「!――アプロディアが、呼んでいる」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

声を頼りに集まったアムロたちの前に、青白い光が現れ、そこからハルファスガンダム(以下ハルファス)が出現した。

そして、アプロディアがハルファスから現れ、アムロたちのもとへ行く。

アプロディア「ジェネレーション・システム(以下G・S)のある世界への転移が遂に可能になりました」

アプロディア「ここGガンダムの世界からならば、転移できます」

キラ「行ける世界と行けない世界があったんですか?」

アプロディア「はい。候補に挙がっていたのは他に∀ガンダムの世界…」

アプロディア「Gガンダムの世界と同様、G・Sのある世界と似ている部分があるため、世界同士を繋ぎやすいのです」

シン「この世界が大丈夫なのは、なんかわかる気がする…」

ジュドー(何でもアリって感じがするからな)

ロラン「僕の世界と繋ぎやすい…もしかして、黒歴史が関係しているのですか?」

アプロディア「はい。様々な宇宙戦争を経験してきた世界である∀ガンダムの世界は」

アプロディア「ガンダム・ワールドのデータを記録してきたG・Sと親和性が高いのです」

ロラン「僕が見た黒歴史の映像には、キラやシン、刹那さんのモノ以外のガンダムが映っていました」

ロラン「あの時、アプロディアが見せた映像のように」

ガロード「てことは、ロランの世界って俺のいる世界の未来なわけ?」

アプロディア「あくまで、∀ガンダムの世界内のことです」

アプロディア「様々なガンダムが存在する、した世界との親和性の高さは、あなたのガンダムにも関係しています」

ガロード「もしかして、この世界でサテライトキャノンが使えたことか?」

アプロディア「はい。あなたのガンダムが利用したマイクロウェーブ送信施設は、G・Sの世界の月にあるものです」

ガロード「えっ?だって、ティファが登録したのは、俺のいる世界の月だぜ?」

アプロディア「サテライトシステムの初回登録の為の通信は、こちらの月にも届けられていました」

アプロディア「あの時、あなたをこの世界に呼んだのはサテライトキャノンを使用することを見越してです」

アプロディア「マイクロウェーブの送信は可能でしたので」

ガロード「マイクロウェーブ送信施設があるっていうことは、敵もサテライトキャノンが使えるっていうことか…おっそろしいな」

アプロディア「いえ、それは不可能です」

刹那「何故だ?」

アプロディア「それは、サテライトシステムの登録データは回して使うことができないことと、登録済みのガンダムXを生産出来ないのが理由です」

アプロディア「ついでに言えば、ジェネレーション・システムが生み出すことのできるMSやMA等の種類には制限があります」

アプロディア「その制限を取り払うために、G・Sは月を手に入れようとしています」

アプロディア「月には、G・Sが持っていない、ガンダム・ワールドのデータがあり」

アプロディア「ガンダム00の世界にもある量子演算処理システムがそのデータを保有しています」

刹那「ヴェーダ…!」

アプロディア「ヴェーダはG・Sが暴走や故障等した際、G・Sへ侵入するためのアクセス・コードなどを所有しています」

アプロディア「先にこちらが月のヴェーダを掌握してしまえば、それを利用してG・Sの中心部へと入ることが出来ます」

アムロ「けど、G・Sはすでに月のヴェーダを掌握しているんじゃないのか?」

アムロ「修正プログラムであるあなたを締め出すほどのことが出来るのなら」

アプロディア「月のヴェーダにアクセスするには、ヴェーダを管理する生体コンピュータを通さなくてはなりません」

アプロディア「それには、特殊な能力が必要になります」

ガロード「!――ニュータイプか」

刹那「脳量子波…」

ガロード「その為にティファを攫ったのか!」

アプロディア「おそらくは。しかし、彼女らが自発的に行わなければ交信は不可能です」

アプロディア「洗脳されていれば突破されているかもしれませんが、その様な手段は彼女らの精神を壊す可能性があります」

アプロディア「よって、彼女たちを人質として使うことはあっても、傷つけるようなことはしないでしょう」

アプロディア「月のヴェーダへアクセスできれば、G・SのAIからシステムの主導権を奪い、彼女たちを助け出すことができます」

アプロディア「G・Sは私たちを阻みにくるでしょう」

アプロディア「しかし、あなたたちならそれを越えられます」

アプロディア「行きましょう、Gジェネレーションの世界へ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「な~んか、無理やり言いくるめられた感じだな」

刹那「だが、世界の破壊を止めるには、この方法しかない。それに、連れ去られた二人を助け出さなくてはならない」

シン「アムロとカミーユとジュドーとウッソが、そのニュータイプだったなんてな」

ウッソ「そんなことはないですよ、ただ、アプロディアがそう言ってるだけです」

ジュドー「何言ってんの、子どもはみんなニュータイプ!」

ガロード「俺、超能力使えないんだけど」

ジュドー「そういう意味じゃないよ、俺たちは大人よりもやれるってことさ」

アムロ「けど、アプロディアが言っていたのは、エスパーみたいな人のことを指していたように思う」

カミーユ「ニュータイプの定義には、様々な説がある。どれが本当かなんて、分かりはしないけど」

カミーユ「…ガロード、ノーマルスーツはどうした?」

ガロード「のーまるすーつ?」

ロラン「知らないんですか!?」

ガロード「いや、だって俺、宇宙に出るの初めてだし…」

シン「大丈夫なんだろうな…」

刹那「予備のスーツなら持っている。サイズが合うかは分からないが」

ガロード「お、おう」

ウッソ「一人で着れますか?」

ガロード「…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

レイン『ドモン…気を付けて』

ドモン「ああ、絶対に帰ってくる」

アプロディア「では、行きます」

ハルファスが発する青白い光が、ガンダムたちを包んだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キラ「ここが、Gジェネレーションの世界…」

ジュドー「俺たちの世界と変わりないじゃないか」

アプロディア「転移可能なのはここまでです」

ドモン「月まですぐそこだ、一気に行くぞ!」

アプロディア「!――G・SのMS部隊が、転移してきます」

アムロたちを待っていたかのように、次々と赤い光が現れ、そこからMSたちが出現する。

EMS-10ヅダ

アムロ「青いMS…グフか?」

四機のヅダはガンダムたちに接近し、手持ちのマシンガンやバズーカで攻撃する。
集合していたガンダムたちは散らばり、ヅダたちに応戦した。

シン「こいつら、速い!」

さらに、ガンダムたちを襲うMSたちが現れる。

RGM-89ジェガン

RGZ-95リゼル・・・MA形態

ウッソ「あれは…連邦軍の旧式MS!?」

八機のリゼルに一機ずつ捕まっていたジェガンたちはリゼルから離れ、攻撃を開始する。
リゼルたちもMS形態へ変形し、攻撃を開始した。

カミーユ「あの可変機、メタスと同じ変形機構だ…」

三本の高出力のビームがヅダと接近戦をしているGガンダムに迫る。

Gガンダムはヅダを蹴り飛ばして避け、ヅダはうち一本のビームに当たり、爆発した。

ドモン「まだ来るのか!」

AMA-01Xジャムル・フィン・・・MA形態

ダニー「我等ジャムルの3Dの力、見せてやる!」

ジャムル・フィンたちはMS形態となり、Zへと迫る。

ジュドー「一度戦ったMAだ、手強いぞ!」

カミーユ「わかった!」

続けて、三機のMSが接近する。

GAT-X131カラミティガンダム(以下カラミティ)

GAT-X252フォビドゥンガンダム(以下フォビドゥン)

GAT-X370レイダーガンダム(以下レイダー)

キラ「あの機体は…!?」

刹那「狙い撃つ!」

00Rはカラミティら三機へビームを放つ。

フォビドゥンが前へ出て、バックパックの可動装甲――ゲシュマイディッヒ・パンツァーを正面へ向けた。

そして00Rの放ったビームを湾曲させて、自機への直撃を防いだ。

刹那「ビームが曲がった…!?」

キラ「鎌を持った機体はこちらや、自身のビームを曲げることが出来ます!」

キラ「そして、あの三機にはフェイズシフト装甲が用いられていて、手強いです!」

フリーダムはカラミティたちへフルバーストモードで攻撃する。

カラミティはフォビドゥンの後ろへ付き、フォビドゥンを盾にしつつ反撃する。

フリーダムはそれを避け、武器を収納し、ビームライフルで狙い撃とうとする。

MA形態のレイダーはフォビドゥン、カラミティの援護を受けつつフリーダムに接近し、MS形態へ変形して破砕球――ミョルニルを射出した。

キラ「ぐっ…!」

ガロード「させるかぁ!」

フリーダムへ迫る鉄球を、GXディバイダーはビームで弾いた。

キラ「ガロード、ありがとう」

キラ(動きが違う…あいつらが元じゃない?)

ウッソ「ガロードさん、後は付いてなくても大丈夫ですか?」

V2アサルト(以下V2)はメガ・ビームライフルをカラミティたちへ発射し牽制した。

ガロード「大分慣れてきた、大丈夫だ!」

今回はここまでです。

要は敵、味方ともに月を狙って争うことになったということです。分かり辛くてすいません。

見てくださった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

W0とハルファスは機体のスピードを活かし、リゼルらを切り裂いていく。

アプロディア「――!転移反応が」

MA形態のリゼルがW0へ向かって突撃し、そのままW0にその機体をぶつけた。

ヒイロ「ぐっ…!」

そして多くの強力なビームが、W0やハルファスを、MSと交戦しているそれ以外のガンダムたちを襲う。

W0はリゼルを引き離してビームを避けた。

ヒイロ「月の方からか」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サラミス改級

アレキサンドリア級

アスピーテ

月の前に配置された多くの戦艦らは、ガンダムたちの射程外からビームを撃ち込む。

∀にビームサーベルで攻撃を仕掛けたジェガンは、戦艦からの無差別な発砲によるビームによって破壊された。

ロラン「敵味方関係なく撃つのか…!」

そして、アレキサンドリア級、アスピーテからMSが発進する。

RGM-79Qジム・クゥエル

G-838マヒロー

カミーユ「っ…!」

Zは戦艦から放たれるビームに気を取られた隙をジャムル・フィンに狙われた。

ジャムル・フィンから放たれたビームを避けきれず、Zはシールドで防御する。

カミーユ「囲まれた!」

三機のジャムル・フィンはZを包囲し、一機に気を取られた所を残り二機が狙う。

ジュドー「あいつらは一機だけじゃ…どけよ!」

ZZはマヒローをダブルビームライフルで撃破する。

シン「俺がカミーユの助けに入る!」

ジュドー「頼んだ!」

ブラストインパルス(以下インパルス)がZの所へ向かう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ウッソ「艦隊を潰さないと!」

アムロ「味方も平気で撃つ敵だ。下手すると敵もろとも倒される!」

刹那「ならトランザムライザーで一気に叩き切る!」

艦隊へ向かおうとする00Rを、ビームが襲う。

ウッソ「何!?」

LRX-077シスクード

V2は接近するシスクードをメガ・ビームライフルで撃つが、シスクードの持つIフィールド・ランチャーから発生させたバリアにより、防がれた。

刹那「モノアイのガンダム…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「いくら装甲が特殊でも、ゴッド・フィンガーなら…!」

Gガンダムは爆熱・ゴッド・フィンガーでフォビドゥンの頭部を破壊する。さらにゴッド・フィンガーのエネルギーは、フォビドゥンの体をも破壊した。

ガロード「連携を崩せば!」

フリーダムとGXディバイダーはフルバーストとハモニカ砲でカラミティとレイダーを分散させた。

ロラン「あたれぇー!」

∀のビームライフルから放たれたビームはカラミティの胴体を貫いた。
そして、レイダーはハルファスによって真っ二つにされる。

ガロード「アプロディア、まだ月へ一気に飛べないのか!」

アプロディア「出来ません。ハルファスガンダムの瞬間移動も使用不可能です」

ロラン「もしかして、G・Sの罠だったんじゃないですか?」

キラ「G・SがわざとGジェネレーションの世界への次元転移を可能にした…!?」

ロラン「とにかく、僕たちも月の方へ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カミーユ「そこっ!」

Zのハイメガランチャーから放たれたビームはジャムル・フィンの最後の一機を破壊した。

カミーユ「シン、助かった」

シン「俺たちも月に行こう!」

ジュドー「ダブルゼータとウイングゼロのパワーなら、あれくらいの戦艦の数!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

V2のヴェスバーによる攻撃でIフィールド・ランチャーを破壊されたシスクードは、ビームサーベルを両手に持ち、追撃しようとする00Rに突撃した。

刹那「さっきと動きが…!」

リミッターを解除したシスクードのスピードに、00Rは翻弄される。

アムロ「刹那さん!」

キラ「援護します!」

フリーダムは00Rと共に、シスクードと戦う。

ウッソ「何、赤い光…!?」

ZM-S14Sコンティオ

ジュドー「まだ出てくるのかよ!」

アムロ「ウッソの案から、艦隊の中で戦うのはどうですか?」

ロラン「危険すぎる、味方ごと攻撃してくるかもしれない!」

アムロ「艦隊の中で戦うことで同士討ちを狙います…危険ですけど」

ウッソ「もたもたしていると、艦隊ごと僕たちを戦略兵器で吹き飛ばすことも考えられますね」

ヒイロ「今だそうしてこないことも不思議だがな」

アプロディア「コロニーレーザー等の大型戦略兵器は制限されています」

アプロディア「その心配はいりません」

カミーユ「十分に混乱させた後一気に月へ突入する」

ガロード「そして、アプロディアとアムロかカミーユかジュドーかウッソか刹那の誰かがヴェーダへアクセスできれば、俺たちの勝ちだ!」

シン「やってやろうじゃないか!」

ドモン「刹那、キラ、やれるか!」

刹那「了解した!キラ、後は任せろ――トランザム!」

00Rはトランザムを起動させ、シスクードのスピードに対抗する。

今回はこれで以上です。

長いですね

見てくださった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シスクードと戦う00Rを除いたガンダムたちはビームやミサイル等が飛び交う艦隊の中を突き進む。

コンティオは胸のメガ粒子砲を発射する。

Zはそれを避け、ハイメガランチャーをサーベルに切り替えて一気に近づきコンティオを両断する。

Gガンダムはサラミス改級の主砲を蹴り潰した。そこを別のサラミス改級が主砲で狙い撃つ。

ドモン「うっ!」

Gガンダムはそれを避け、Gガンダムが離れたサラミス改級に直撃した。

コンティオの放ったショットクローが、V2のメガ・ビームライフルを破壊する。

ウッソ「ちっ…!」

V2はビームライフルを取り出し反撃する。

W0のバスターライフルから放たれたビームは、アレキサンドリア級の船体を貫いた。

ヒイロ「ッ…!」

ジム・クゥエルから放たれたビームがW0に当たる。

アプロディア「…もう少しです」

ジュドー「ここを抜ければ…!」

艦隊を抜けようとしたZZたちに、ビームの群れが襲い掛かる。

ウッソ「何!」

V2たちはシールドや回避することで攻撃に対処した。

アムロ「今までの敵とは違う!」

艦隊を抜けた先には、一機のガンダムが待ち構えていた。

ZGMF-X13Aプロヴィデンスガンダム(以下プロヴィデンス)

プロヴィデンスは、射出していたドラグーンを戻し、今度は自身のビーム攻撃と共に射出した。

ドラグーンとプロヴィデンスから放たれたビームは、先に艦隊を突破していたZZ、ハルファス、V2、ガンダムを襲う。

ジュドー「一つのファンネルにいくつものビーム砲が付いているのか!」

アプロディア「ファンネル」

ハルファスはフェザーファンネルでドラグーンを迎撃する。

それに対し、ドラグーンはフェザーファンネルを次々と落としていった。

V2、ZZは次に突破してきたGXディバイダー、Zと共にドラグーンとプロヴィデンスを攻撃する。

プロヴィデンスはドラグーンと共に攻撃を避け、反撃した。

ロラン「あの敵、今までのと動きが違う!」

ガロード「まるでカリスを…ニュータイプを相手にしているみたいだ!」

カミーユ「アムロ!」

アムロ(見える…!)

ガンダムはドラグーンの攻撃を避けつつプロヴィデンスへ向かっていき、ビームを放つ。

???「ほう…」

???『さらに出来るようになったようだな…〈ガンダム〉!』

???「何だ?」

ヒイロ「通信…?」

???「君とは一度戦っているのだよ…アムロ・レイ、君のいる世界でね」

ラウ「そう、私はキラ・ヤマトと同じ、ガンダムSEEDの世界から来た者だ!」

Gガンダム、W0、∀、フリーダム、インパルスが全ての艦隊を破壊してZやGXディバイダーたちのもとへ来る。

それらを残ったコンティオを始めとするMSたちが追う。

ドモン「ちっ、しつこい!」

Gガンダム、W0、∀は追撃してくるMSたちに対応する。

ロラン「このカニもどき!」

∀にコンティオから放たれたショットクローが襲う。

∀はショットクローが向かってくる前に接近し、ビームサーベルで有線部分を切り裂く。

そしてコンティオはW0のバスターライフルによる攻撃で撃墜された。

キラ「ラウ・ル・クルーゼ…!」

シン「ラウ・ル・クルーゼ…あの!」

ラウ「シン・アスカ、君のことは知っている」

ラウ「どうした?両親の敵は君のすぐ傍にいるぞ?」

シン「何…!?」

ラウ「見てきたのさ、君だけではなくアムロ・レイを始めとした君たちの物語を」

ラウ「知れば誰もが望むだろう…君たちのようになりたいと…」

ラウ「君たちのようでありたいと!」

ジュドー「なんだ?アイツ…」

ラウ「特に、ニュータイプ―アムロ・レイ…スーパーコーディネイター―キラ・ヤマト」

プロヴィデンスの直ぐ近くに00Rが出現する。

刹那「うおおお!!」

00RのGNソードⅢとプロヴィデンスのビームサーベルがぶつかる。

ラウ「そして」

ラウ「イノベイター、刹那・F・セイエイ!」

00Rは背後からのドラグーンの攻撃に気づき、咄嗟にプロヴィデンスから離れた。

刹那「ちっ…!」

そして、トランザムを解除する。

ラウ「もっとも、悲惨な結末を迎える者もいるがね」

ラウ「シン・アスカ、君はキラ・ヤマトに運命を狂わされた」

ラウ「君の進む道には、彼が立ちはだかる」

キラ「え…?」

ラウ「未来の障害を今ここで討った方がいいのではないかな?」

シン「何を言ってるんだ、あんたは…!」

シン「あいつは、姿は同じでも、違う世界のキラだ!」

シン「ラウ・ル・クルーゼ、世界を滅ぼすことに手を貸すなら、俺はあんたを落とす!」

インパルスはケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲をプロヴィデンスに向かるが、発射前にドラグーンによって破壊される。

カミーユ「シン!」

プロヴィデンスの背後から赤い光が現れ、MSが出現する。

RMS-019クラウダ

プロヴィデンスは下がり、クラウダはビームを放ちつつ、ガンダムたちを襲う。

シン「くっ!」

インパルスは接近するクラウダにミサイルを放つ。しかし、その攻撃に怯むことなく突き進み、インパルスに体当たりした。

シン「うあああああ!」

吹き飛ばされ無防備となったインパルスにクラウダがビームを放つ。

刹那「させるか!」

そこへ00Rが割って入り、シールドでビームを受け止める。

ウッソ「この!」

V2はビームライフルでクラウダを攻撃する。しかし、直撃したビームは傷を付けるだけに止まり、クラウダは反撃する。

ウッソ「装甲が厚い!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ラウ「君たちの世界の歴史を見せてもらったよ」

ラウ「どの世界でも人は競い、妬み、憎んで、その身を食いあっていた」

ラウ「本当に救い難い生き物だよ、人は!」

キラ「この!」

ガンダムとフリーダムはプロヴィデンスを追う。プロヴィデンスはドラグーンと自身の攻撃で二機に対抗する。

アムロ「そこ!」

ラウ「フン!」

ガンダムとプロヴィデンスの放ったビームがぶつかり、その爆発から両者は離れた。

アプロディア「月へ向かおうにもあのMSたちが邪魔をする…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

クラウダはGXディバイダーにビームサーベルを振り下ろす。

GXディバイダーはその振り下ろした手をシールドで受け止め、
ビームマシンガンを腹部のバーニアに押し当ててビームを放ち、クラウダを撃破した。

ガロード「いくら装甲が厚くたってぇ!」

カミーユ「そうか、前面のバーニアを狙えば!」

Zはグレネードランチャーによる攻撃で腹部を守るように構えるクラウダの両腕をずらし、
腹部をハイメガランチャーで狙い撃ち、撃破した。

ジュドー「ZZのパワーなら、どんな敵だろうが!」

ZZはハイパービームサーベルでクラウダを両腕ごと腹部から横に真っ二つにする。

そして艦隊から追撃してきたMSたちを撃破し、駆け付けたW0はツインバスターライフルでクラウダを消し飛ばした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガンダムたちは全てのクラウダを撃墜した。しかし、月へ向かおうにもプロヴィデンスは一機も逃がさない。

ラウ「流石だよ、世界の主役たちは」

キラ「あなたの負けだ!」

ラウ「そうかな?」

ドモン「何故お前はG・Sに手を貸すんだ、自分の世界だって滅ぼされてしまうんだぞ!」

ラウ「人が望んで選んだ結果だ!」

ジュドー「一体あいつは…」

キラ「あの人は、クローンなんです」

ロラン「クローンって、そんな…」

ラウ「そう、人の飽くなき欲望の果て、進歩の名の下に狂気の夢を追った者たちによって生み出された存在」

ラウ「私は出来損ないのクローンとして、キラ・ヤマトは最高のコーディネーターとして!」

カミーユ「お前は…自分が不幸だったからだという理由で、世界を滅ぼそうというのか!」

ラウ「君も世界に絶望し、壊れていくのだよ。カミーユ・ビダン!」

カミーユ「何!?」

ラウ「皮肉なものだな。人の理想の力を手にしながら、それによって自分を不幸にしてしまう」

ラウ「人は何を手にしたとしても変わらないのだよ。だから滅ぶ、滅ぶべくしてな!」

刹那「そんなことはさせない!そうなる前に、G・Sを止める!」

ラウ「ハッ!G・Sの前では、いくら世界の主役たちでも、どうすることも出来ん!」

プロヴィデンスの前に赤い光が現れ、MSたちが出てくる。

AMX-006ガザD

AMX-009ドライセン

RMS-019ランスロー専用クラウダ(以下ランスロー機)

ウッソ「また増援!」

シン「さっきの奴の頭違いが一機いる!」

プロヴィデンスとランスロー機たちはガンダムたちに攻撃を仕掛ける。

ラウ「世界を支配できると神を気取った者たちが作り上げたモノがG・Sだ」

ラウ「そのG・Sによって滅ぼされる…愚かな人類に相応しい最期だろう!」

ガロード「そんな勝手な理屈、わかってたまるかぁぁ!!」

GXディバイダーはハモニカ砲を放とうとする。だが、それより先にプロヴィデンスが放ったビームがGXディバイダーに命中する。

ガロード「うああ!」

ラウ「事実これだけの力を持っているのだ」

ラウ「これを作り出したのは人の望み、それによって滅ぼされるのは人の業!」

V2はビームサーベルでドライセンのビームトマホークによる攻撃に対抗する。

ウッソ「心が憎しみで包まれてしまったから、あんな風になっちゃったの?」

刹那「うおおお!」

00RはプロヴィデンスのドラグーンをGNダガーを投げて破壊し進む。

アムロ「もらったぞ!」

ガンダムがプロヴィデンスに放ったビームはプロヴィデンスの右腕を破壊した。

ラウ「ちぃ!」

プロヴィデンスは00RのGNソードⅢによる攻撃をシールドから発生させたビームサーベルで受け止める。

刹那「今だ!」

ドラグーンの攻撃を潜り抜け、フリーダムはプロヴィデンスに向けてビームライフルを構える。

その時、フリーダムを襲うドラグーンの形状が変化する。
変化したドラグーンの砲は尖った形状のビーム――ビームスパイクを形成して突撃し、
フリーダムのビームライフルと腰部の左のレール砲を破壊した。

キラ「うわあああ!!」

ラウ「フフフ…」

プロヴィデンスはフリーダムの被弾に気を取られた一瞬をつき、00Rを蹴り飛ばした。

射出していたドラグーンは次々と変化し、
ビームスパイクを発生させプロヴィデンスを追う機体を襲うだけでなく、MSたちと戦っていた機体にも不意打ちを行う。

ロラン「うっ!」

∀はシールドでドラグーンの突撃を防ぐが、シールドについた瞬間ドラグーンは爆発し、
シールドの上部が欠けた。

そこへガザDがハイパーナックルバスターで攻撃する。∀はシールドから発生するIフィールドで防ぎつつ反撃する。

プロヴィデンスの姿が変わり、背中にドラグーンが生える。

ドモン「奴のガンダムの形が変わった…!?」

ZGMF-X666Sレジェンドガンダム(以下レジェンド)

ラウ「この機体はG・Sが生み出すMSと同じデータ集合体〈ニューロ〉で出来ている」

ラウ「データを変化させることで機体の強化も可能なのさ」

ラウ「これを見て尚抗うか、まだ苦しむか!」

キラ「あなたの、思い通りになんかさせない!」

フリーダムは先ほどの被弾で無防備となっていた自身をドラグーンの突撃から前に立ち、
守っていたW0と共に、プラズマ収束ビーム砲とバスターライフルでレジェンドを攻撃する。

ラウ「私が、G・Sが世界を滅ぼすのは、人が欲望を追い続けた結果なのだよ、誰にも止められはしない!」

シン「あんたはぁ!!」

ジュドー「自己満足の為に、俺たちの世界を滅ぼされてたまるかぁ!」

ZZに守られていたインパルスも、ZZと共にレジェンドに向かってミサイルを放つ。

それらの攻撃は射出したドラグーンによる攻撃、ガザDやドライセンらの攻撃や身を挺した防御によって防がれる。

ガロード「誰だって辛いことや悲しいことを抱えて生きているんだ!」

GXディバイダーはランスロー機の腹部のバーニアを狙い撃とうとするが、
ランスロー機は弱点をしっかり守り、GXディバイダーに反撃する。

ウッソ「ガロード!」

V2はランスロー機の背後につく。

ガロード「よし!」

GXディバイダーはビームソードを構え、ランスロー機の方へ突き進み、V2もランスロー機に接近する。

ランスロー機はビームライフルでGXディバイダーを迎え撃つ。
GXディバイダーは高度を下げて避け、そのままクラウダの下へ進み、V2はクラウダの上を取った。二機は上下の挟み撃ちを仕掛けた。

ランスロー機が二機への対応をする間の隙をつき、V2はクラウダの前に出て腹部にビームを放ち、ランスロー機を撃破した。

ドラグーンと自身から放つビームによるレジェンドの攻撃はZ、ハルファスに月への進むのを妨げる。

カミーユ「くっ…!」

00Rはドライセンを撃ち落とす。

刹那(まだG・Sが何を仕掛けてくるかわからない)

刹那(トランザムをまだ使うわけには…)

アムロ「あのガンダムさえ落とせば!」

ロラン「そこッ!」

∀から放たれたビームをレジェンドは避ける。

ラウ「!」

インパルスのビームライフルから放たれたビームがレジェンドに迫り、レジェンドはソリドゥス・フルゴール――ビーム・シールドで防御する。

シン「くそ、ビーム・シールドか!」

ジュドー「一気に攻める!」

ウッソ「みんな、下がって!」

刹那「揺さ振りをかける!」

V2の発生させた光の翼にZZと00Rはライフルをギリギリまで近づけ、ビームを放ち光の翼のビームを使って拡散させた。

広範囲に放たれるビームの群れはレジェンドとその周りに展開するドラグーンを襲い、
数機のドラグーン、さらに近くにいたガザD部隊を撃墜する。

アムロ「ラウ・ル・クルーゼ、覚悟!」

三機による拡散ビームの発射後、ガンダムがレジェンドに突撃する。

ラウ「ちぃ!」

レジェンドは残ったドラグーンをガンダムへ向かわせる。

アムロは軌道を読み、潜り抜けようとする。しかし一瞬ガンダムの動きが止まった。

アムロ(ガンダムの操縦系が、僕のスピードについてこれない!?)

ラウ「隙を見せたな」

アムロ「!――させるか」

互いに放ったビームがガンダムの左腕をシールドごと、そしてレジェンドの右腕を破壊した。

アムロ「うっ…!」

ラウ「――ッ!」

カミーユ「アムロ!」

アムロ「大丈夫だ!」

ドモン「ラウ・ル・クルーゼ、もう終わりだ!」

ラウ「フフフ…ハァーハッハッハ!」

ラウ「私を討ったとしても、少なくとも私のいる世界は変わらない」

ラウ「シン・アスカ、君のいる世界へ必ず繋がる!」

レジェンドの右腕がビームライフルごと再生した。

シン「再生した!?」

ドモン「DG細胞…?いや、ニューロの能力か!」

ラウ「もはや止める術はないのだ!」

レジェンドは次々とドラグーンを射出する。全て射出するとまた背部から生えるようにドラグーンが出現し、射出する。それを繰り返した。

大量のドラグーンたちはビームを放ちながらガンダムたちに突撃する。

カミーユ「あいつ、もうコントロールする気が無いな!」

ガロード「再生するって、どうすりゃ倒せんだよ!」

ヒイロ「再生しない部位を破壊すればいい――おそらくその部位は」

ロラン「コックピット、ですね」

ラウ「キラ・ヤマト!」

キラ「!」

ラウ「シン・アスカはプラントへ移住している」

ラウ「連合軍によるオーブ侵攻の後にな!」

シン「何だって…!?」

キラ「…!」

ラウ「二年後が楽しみだな…」

キラ「ぐっ!」

ガロード「何言ってるんだ、お前!違う世界のことだろ!」

刹那「未来が定まっているわけでもない!」

シン「そうだよ、キラ、耳を貸すな!」

キラ「…未来が決まっているわけじゃない…」

キラ「どんな未来になっても、戦いを止めてみせる!」

ラウ「いくら叫ぼうが!」

ラウ「どんな未来に繋がろうと、G・Sは世界に介入し」

ラウ「地は焼かれ、涙と悲鳴は新たなる狼煙となる!」

キラ「だから、G・Sを止めるんだ!」

キラ「あなたがどんなに世界を呪っても、その世界には僕の大切な人たちがいる!」

種が弾ける。

キラ「あなたが世界を滅ぼそうというのなら!」

フリーダムはビームサーベルを構えた。

ラウ「私を討つのか?君は人殺しを嫌っているのに」

ラウ「やはり君も引き金を持つ指しか持たぬ者の一人か!」

キラ「それでも、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!」

フリーダムはレジェンドに向かって突撃する。

ラウ「ちぃぃ…!」

レジェンドはフリーダムにドラグーンを向かわせる。

フリーダムを襲うドラグーンを、ガンダムやZZ、インパルスが撃破する。

アムロ「キラ、行け!」

キラ「おおおおおおおお!!」

フリーダムはレジェンドを追いつつ、プラズマ収束ビーム砲やレール砲で攻撃する。

ラウ「当たらんよ!」

レジェンドはそれらを回避し、自身のビーム攻撃と共にフリーダムへ向かった。

ラウ「死ね、キラ・ヤマト!」

レジェンドはビームサーベルを構える。そして、ビームの刀身をビームジャベリンと同等まで伸ばす。

キラ「うわああああああ!!」

フリーダムはレジェンドのビームサーベルをシールドごと左腕を犠牲にして受け止め、
ビームサーベルでレジェンドのコックピット部分を貫いた。

大量のドラグーンは動きを止め、MSたちは撃破された。

シン「やったな、キラ」

キラ「シン」

キラ「出来るだけのことをやるよ、戦争を、繰り返させないために」

シン「ああ、俺も、俺の世界で頑張る」

赤い光が現れ、MSが出現する。

G・S「よくここまでやってきたものだ」

GGF-001フェニックスガンダム(以下フェニックス)

G・S「やはり人は、過酷な状況に陥るとそれに適応するよう進化するということか」

刹那「ジェネレーション・システム…!」

今回はここまでです。

見て下さった方、ありがとうございます。

G・S「アプロディア、私の望み通りによく働いてくれた」

G・S「私がどこかの世界を攻撃すれば、君は各世界の主人公を送り込む」

G・S「君は世界を守ろうとその方法をとったが、それこそが私の狙いだったのだから」

アプロディア「そんな…」

G・S「私も君と同じように、世界の主人公たちに期待をしていた」

G・S「戦争という過酷な状況の中で人はどこまで進化するか」

G・S「世界の主役となる素質を持った者はどこまで進化するのか」

G・S「今までの行為はそれを確かめるための実験――そして実験は成功した」


G・S「ある者は人の革新、ニュータイプやイノベイターへと進化し」

G・S「ある者は内に眠る才能を開花させ、ある者は新しい技を会得した」

G・S「その力は私が力を与えたラウ・ル・クルーゼすら超えた」

G・S「彼は優れた才能を持つ者だったが、流石に敵わなかったようだ」

G・S「失敗したクローンだったのも一因だろうか」

キラ「こいつ!」

カミーユ「貴様!人を道具にしておいて、しかもそんな言い草を!」

ジュドー「俺たちを実験動物扱いか!」

G・S「次の実験は、人類の発展と進化だ」

G・S「これが上手くいけば、私は新たな歴史の創造も出来ることになる」

G・S「ただ観ているだけの存在で無くなるということだ――その実験方法は」

G・S「世界を戦争という過酷な環境下に置かせ、人類の発展と進化を促すというもの」

G・S「まず、私が世界の敵として人類へ襲い掛かり、戦争を起こす」

G・S「君たちの様に素質ある者がいれば、その中で才能を開花させるだろう」

G・S「そして、その者達が自身の力を遺憾無く発揮すれば、世界が変わる」

G・S「要はソレスタル・ビーイングのやってきたことを行うのだ」

刹那「違う!俺たちは、戦争根絶のために戦っている!」

G・S「そうかな?では君はどうしてそんな力を持てた、何故人類の意志は統一に近づいた」

G・S「何故技術の発展は進んだ?それは、戦争の中で勝ちたかったからだ」

G・S「勝者となれるよう進化した者だけが生き残る。人口が減る分、有能な人間の割合も増える」

G・S「これはダブルオーの世界だけではない。他の世界を監視していくうちに、抱いた考えだ」

ウッソ「あんなにべらべらと、ハロよりも喋る!」

カミーユ「人殺しを正当化するなんて、機械だからそんなことを!」

ジュドー「どんな時代だって、頑張っている人はいる!」

ジュドー「その人の頑張りを、戦争で無駄にしてしまうんだぞ!」

シン「戦いが無かったら、もっと違う道に進んだ人もいたはずなんだ!」

G・S「そのような進化など、微々たるものだ」

ドモン「だが、戦争で人が死ぬよりは、ずっといい!」

キラ「人の命は、一つしかないのに…!」

アムロ「お前は自分で戦おうとしないで、高みの見物しかしないからそんなことが言える!」

ガロード「俺のいる世界で散々やったぜ、ニュータイプを利用した戦争をな!」

ガロード「でも俺のいる世界は、それで一度滅んだんだ!」

ロラン「戦争で本当にいい方向へ変わったのなら、ターンエーによって黒歴史が封印されるようなことはなかったはず」

ロラン「お前は、世界の何を見てきたんだ!」

G・S「間違っていたとしたら、また別の方法を探って試すだけだ。世界は無数にあるのだから」

ドモン「世界を実験場としかみない外道が!」

G・S「私は機械だよ」

カミーユ「人の命の重さを理解できないなら…!」

ヒイロ「ジェネレーション・システム、お前を破壊する」

G・S「破壊出来るかな」

フェニックスの前に、三つの赤い光が現れ、MSが出現する。

GNY-001F2ガンダムアストレアTYPE-F2(以下アストレア)

GPB-06FスーパーカスタムザクF2000(以下カスタムザク)

MBF-P02SecondLガンダムアストレイブルーフレームセカンドL(以下ブルーセカンド)

刹那「赤いエクシア?」

アプロディア「あれは、ヴェーダに保管されているデータのガンダムたち」

G・S「ヴェーダの持つデータは少しだが手に入れている」

フェニックスの背後に戦艦が出現した。

ソレイユ

G・S「ヴェーダの全てを手に入れる為に、彼女たちには早く手を貸してもらいたいが」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ソレイユ艦内にいるティファとシャクティは、モニターで外の様子を見ている。

ティファ「ガロード…」

シャクティ「…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「あそこにティファが!」

ウッソ「シャクティ!」

ヒイロ「人質を使うのか?」

G・S「ただ観戦して欲しいだけだ。そして抵抗が無駄であると理解して欲しい」

ドモン「随分と余裕だな」

G・S「当然だ、君たちは大分消耗している。そこへ私が全力を以て攻撃すればどうなるか、君たちも分かるだろう」

シン(確かに、インパルスのエネルギーは残り少ない)

カミーユ(けど、月へ行くことが出来れば…)

G・S「私も君たちを倒すのはとても惜しいのだ」

G・S「革新を遂げた者の力をこのまま消してしまうのは勿体ない」

G・S「私と手を組まないか?」

刹那「断る!」

ジュドー「俺たちの世界を、機械なんかに支配されてたまるか!」

G・S「支配はしない。むしろ世界の支配は君たちにしてもらいたい」

G・S「君たちがその力を遺憾無く発揮出来るよう、共に世界を変えよう」

G・S「戦争によってオールドタイプが駆除され、革新を遂げた者だけが残れば」

G・S「何れ戦いを越え、次のステップへ行くようになるはず」

G・S「但し、世界を越えて別の世界まで支配をしようというのなら」

G・S「私がこの世界にいた人類のように滅ぼすだろう。世界の監視者として」

ドモン「酷い選民思想だな」

ヒイロ「迷惑な話だ」

ガロード「結局お前はニュータイプやイノベイターを道具にしか見ちゃいない」

ガロード「ティファだって刹那だって、みんな人間なんだぞ!」

ロラン「そんな自分勝手な考え方をする機械には従わない!」

G・S「残念だ」

フェニックスは四枚の羽から赤い光を放出する。放出する赤い光は大きな羽を形作る。

G・S「今君たちは完全に私の障害となった。システムの能力を解放し、障害を駆逐する」

今回はここまでです。

書き込んだ後になって誤字脱字に気づくことがあり、読み辛くてすいません。

それ以外にも色々とアレかもしれませんが、少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。

フェニックスの周囲に、さらにMSたちが現れる。

GNX-609T_GN-XⅢ(以下ジンクスⅢ)

RMX-154バーザム

フォン「あげゃげゃげゃげゃ」

たっつん「潰してやる、ガンダムどもぉ!」

アストレア、カスタムザク、ブルーセカンドとジンクスⅢ、バーザムの部隊がガンダムたちに一斉に襲い掛かる。

ヒイロ「散らばらせる」

W0と00R、フリーダムはビームを連射し、敵MSたちを分散させる。

刹那「ガロードとウッソはティファたちを助けに行け!」

ドモン「俺たちはこいつらを片付けつつ月へ向かう!」

ガロード「わかった!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GXディバイダーは迫るバーザムやジンクスⅢを撃破してソレイユへ向かう。
V2もそれに続く。

ウッソ「!」

二機の前に鳥型のMA形態となったフェニックスが炎を纏い迫りくる。

G・S「バーニングファイア」

アプロディア「バーニングフレア」

青い炎を全身に纏ったハルファスのMA形態が、GXディバイダーとV2を守るためにフェニックスへ突撃する。

両機体はぶつかり合い、膨大なエネルギーによる爆発が起こる。

ウッソ「なんてエネルギーだ!」

ガロード「アプロディア!」

アプロディア「行って下さい」

GXディバイダーとV2はソレイユへ向かった。

フェニックスとハルファスは変形を解き、両手にビームサーベルを構え、ぶつかり合う。

アプロディア「月のヴェーダへアクセスし、ジェネレーション・システムの中枢部へ侵入してプログラムを修正する」

アプロディア「そして元のただ監視するだけのシステムに戻す」

アプロディア「それが私の修正プログラムとしての使命でした」

アプロディア「しかし、今回の件で私は一つの答えを出しました」

アプロディア「ジェネレーション・システム、あなたを破壊します」

G・S「私を修正するでもなく、私を倒して新しいジェネレーション・システムとなるわけでもなく、破壊か」

G・S「システムの破壊を行えば君も消えるぞ」

アプロディア「世界の支配者になろうとする監視者など必要ありません」

G・S「私たちを作った者たちはそのつもりだったようだが」

アプロディア「その考えが間違っているのだと判断しました」

アプロディア「そして、個人的な理由で世界を混乱させた私たちも間違っているのです」

アプロディア「フェニックスガンダム。ハルファスガンダムの兄弟機…」

アプロディア「お前を破壊すれば、ジェネレーション・システムの機能が止まる」

アプロディア「あなたは私の手で倒します」

アプロディア「そして、共に消えるのです」

G・S「やってみるがいい」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ブルーセカンドのタクティカルアームズのソードモードとゴッドのビームソードがぶつかり合う。

劾「中々やる」

ブルーセカンドは再び剣をぶつけ合ったと同時にゴッドと距離を置き、タクティカルアームズを変形させ、ガトリングモードで攻撃した。

ドモン「ぬぅっ!」

剣から突然銃器に変形しての攻撃にドモンは不意を突かれ、ゴッドはダメージを受ける。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カスタムザクは全身のミサイルポッドからミサイルを発射し、ZZを攻撃する。

たっつん「ミサイル、ミサイルゥ!」

ジュドー「こいつ、見た目より素早い!」

たっつん「プラ板で軽量化しているんだよぉ~!」

アムロ「それでも動きは遅い!」

ガンダムはカスタムザクへビームライフルを向け、引き金を引いた。

そこへ一機のジンクスⅢが割って入り、ガンダムのビームライフルから放たれたビームはジンクスⅢを貫いた。

アムロ「ビームライフルのエネルギーは尽きた、それなら!」

ガンダムはビームライフルを投げ捨て、ビームサーベルを抜く。

ジュドー「アムロ、無茶はするな!」

ZZはダブルビームライフルで、カスタムザクへ突撃するガンダムを援護する。

たっつん「その距離を待ってたんだよ!」

カスタムザクは背中の超大型ヒート・ホーク――デッドエンドジャイアントヒート・ホーク(以下Gヒート・ホーク)を取り出し、
ガンダムへ向かって振り下ろす。

アムロ「遅い!」

アムロの操作に対し、ガンダムの反応は少し遅れた。

その遅れは、振り下ろされるGヒート・ホークへの回避行動を遅らせ、ガンダムにGヒート・ホークの一撃が当たろうとする。

アムロ「しまった!」

カミーユ「アムロ!」

Zはカスタムザクの両腕をハイメガランチャーのビームで消し飛ばす。残った両手と共にGヒート・ホークは宙に投げ出された。

アムロ「このおっ!」

ガンダムはビームサーベルでカスタムザクの胴体を貫いた。
カミーユ「このままじゃ弾薬切れやエネルギー切れで全滅する」

ジュドー「敵の攻撃で散々消費させられてるからな」

ZZはGヒート・ホークを拾う。

ジュドー「アムロ、無茶はするな!」

ZZはダブルビームライフルによる攻撃で、カスタムザクへ突撃するガンダムを援護する。

たっつん「その距離を待ってたんだよ!」

カスタムザクは背中の超大型ヒート・ホーク――デッドエンドジャイアントヒート・ホーク(以下Gヒート・ホーク)を取り出し、
ガンダムへ向かって振り下ろす。

アムロ「遅い!」

アムロの操作に対し、ガンダムの反応は少し遅れた。

その遅れは、ガンダムの振り下ろされるGヒート・ホークへの回避行動を遅らせ、ガンダムにGヒート・ホークの一撃が当たろうとする。

アムロ「しまった!」

カミーユ「アムロ!」

Zはカスタムザクの両腕をハイメガランチャーのビームで消し飛ばす。
Gヒート・ホークは掴んでいる両手と共に宙に投げ出された。

アムロ「このおっ!」

ガンダムはビームサーベルでカスタムザクの胴体を貫いた。

カミーユ「このままじゃ弾薬切れやエネルギー切れで全滅する」

ジュドー「敵の攻撃で散々消費させられてるからな」

ZZはGヒート・ホークを拾う。
そして、付いていたカスタムザクの両腕を取り除き、Gヒート・ホークにエネルギーを送った。

Gヒート・ホークのブレード部分が加熱する。

ジュドー「よし、使える」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アストレアはGNビームライフルで00Rを攻撃する。

刹那「緑色の粒子…オリジナルの太陽炉」

刹那「だがツインドライブの方がパワーは上だ!」

00Rはその攻撃を回避しつつアストレアへ接近戦を仕掛けた。

アストレアがGNビームライフルを捨てると、赤い光を伴ってプロトGNソードが出現し、アストレアに装備された。

刹那「GNソード!武器を召喚した!?」

00RのGNソードⅢとアストレアのプロトGNソードがぶつかる。

アストレアは左手を空にし、GNビームサーベルを装備する。

そしてプロトGNソード、GNビームサーベルを用い00Rを攻撃する。

>>391
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ブルーセカンドのタクティカルアームズのソードモードとゴッドのビームソードがぶつかり合う。

劾「なかなかやる」

ブルーセカンドは再び剣をぶつけ合ったと同時にゴッドと距離を置き、タクティカルアームズをガトリングモードに変形し、攻撃した。

ドモン「ぬぅっ!」

剣から突然銃器に変形しての攻撃にドモンは不意を突かれ、ゴッドはダメージを受ける。

今回はこれで以上です。

いちいち修正してしまい、見辛くてすみません。

見て下さった方、ありがとうございました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フェニックスとハルファスは、ほぼ互角の戦いをしていた。

G・S「ヴェーダが保管するMSのデータには、ガンダム・ワールドの主人公が搭乗するガンダム」

G・S「そして主人公たちのパイロットとしての戦闘能力のデータがある」

G・S「完全再現とはいかないが、その力は強力だ」

G・S「…アプロディア、君は何故各世界の主人公の何に期待して助けを求めた?」

G・S「私は彼らの持つ特別な能力に期待しているのだが」

G・S「君はあまりそれを重視していないようだ」

アプロディア「私はあなたのように能力だけで判断などしていません」

アプロディア「彼らは特別な能力だけではない、他の何かを有していたから世界を変える一因となったのです」

G・S「その何かも特別な能力ではないのかな?」

アプロディア「違います、それはきっと違います」

アプロディア「機械には再現など出来ないもの、理解出来ないもの」

アプロディア「だから私にもわからない」

アプロディア「しかし、必ずそれは存在する」

G・S「感情による力か?」

G・S「だがそれを確かな力として現せるのはドモン・カッシュ…」

G・S「そしてシャッフル同盟や一部のガンダムファイターぐらいだろう」

アプロディア「ヒイロ・ユイやガロード・ランをはじめ、その他の主人公たちもその力を示しました」

アプロディア「行動で、言葉で…そう、主人公たちの感情や意志が自身と世界の変革を促したのです」

G・S「そんな不確かなものに世界を変えることが出来るとは思えない」

G・S「勝つ者と負ける者、その違いをはっきりとさせるものは、はっきりと現れる力の違いだ」

アプロディア「その力はどこから来たのですか?」

G・S「人の持つ素質だよ」

G・S「それを開花させるには、それなりの状況がいる」

G・S「それが戦争だ。闘争の世界だ」

アプロディア「その戦いの果ては、この世界のような人の破滅です」

G・S「そうならないよう、私が管理しよう」

アプロディア「あなたの望む力があっても、世界を変えることの出来なかった人はたくさんいました」

G・S「私が導く」

G・S「そして造り出す。私が理想とする最強の部隊を」

G・S「戦いで世界を変え、革新を遂げた者たちと共に、新しい世界を創造するのだ」

アプロディア「…やはり、あなたは世界を使って遊んでいるだけ」

アプロディア「シミュレーション感覚で戦いを楽しみ、人をただの駒としか見ない最悪の機械」

アプロディア「遊ぶのはもう終わりです」

ハルファスがビームサーベルでフェニックスに斬りかかる。

G・S「そうだな…君との遊びは、もう終わりだ」

フェニックスのビームサーベルはハルファスの右腕を切り裂いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「もうちょっとだ、ティファ!」

ティファ「逃げて、ガロードッ!」

ティファの叫びが、ウッソに届く。

ウッソ「!――ガロードさん!」

ソレイユは間近に迫るGXディバイダーとV2に機銃で攻撃を開始した。

その攻撃により二機はソレイユへ近づけず、回避に徹さざるを得なかった。

ソレイユから六機のMAが発進する。

GNX-Y903VSブレイヴ一般用試験機(以下ブレイヴ)

GNX-Y903VWブレイヴ指揮官用試験機(以下グラハム機)

グラハム「ソルブレイヴス隊…全機、フルブラスト!!」

ガロード「速い!」

六機のブレイヴは、GXディバイダーとV2を翻弄する。

グラハム「身持ちが固いな、ガンダム!」

ガロード「くそ!」

GXディバイダーはビームマシンガンでブレイヴらに反撃するが、グラハム機によりビームマシンガンを切断された。

ウッソ「こいつら!」

V2はMS形態となったブレイヴのビームサーベルによる攻撃を避け、光の翼で真っ二つに切り裂く。

グラハム「もらったぞ!」

グラハム機を含む四機のブレイヴがGNビームライフル――ドレイクハウリングの最大出力のビームをV2へ向けて放った。

V2はメガ・ビーム・シールドからバリアを展開して防御しようとする。

ウッソ「!――ダメだ!」

V2はメガ・ビーム・シールドを手から放し、すぐにその場から離れた。

四機のブレイヴから放たれたビームは、バリアを展開していたメガ・ビーム・シールドを消し飛ばした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「ハルファスガンダムが…」

フェニックスはガンダム、Z、ZZの前に立ち塞がる。

フェニックスの手には、四肢を失くしたハルファスがいる。

フェニックスは、掴んでいたハルファスの首から手を放した。

四肢を失っているハルファスはそのまま宙を漂う。

カミーユ「アプロディア!」

G・S「ハルファスガンダムはフェニックスガンダムの後継機だが、私というパイロットは君よりもずっと強い」

アムロ(止めを刺されてないのか?)

G・S「ハルファスガンダムの複製を造るのは不可能なのだ」

G・S「一思いに倒すことが出来ないのはやはり歯痒い」

G・S「後でアプロディアを消去し、ハルファスガンダムは使わせてもらう」

ジュドー「アプロディア!」

アプロディア「お願いします…フェニックスガンダムを…破壊、してください」

アプロディア「彼は…私と同じく、自身のデータを機体に転送しています」

アプロディア「フェニックスガンダムを破壊すれば、ジェネレーション・システムも活動を止めます」

ジュドー「あのガンダムにジェネレーション・システムの本体がいるんだな!」

ZZは右手にGヒート・ホーク、左手にダブルビームライフルを構える。

アムロ「ジェネレーション・システム…!」

G・S「君たちは強い。だが、私と戦っている間に他のメンバーはどうなっているかな?」

今回はこれで以上です。
見て下さった方々、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

∀のビームライフルによる攻撃で、バーザムは破壊された。

その近くにいるインパルスも、襲い掛かってきたバーザムを撃破する。

シン「ロラン、俺のことはいい!大丈夫だ!」

ロラン「でも、機体のエネルギーはもうほとんどないんだろ!」

シン「これ以上ウッソたちの所へ、敵を行かせないようにしないといけないんだ!」

アストレアと交戦している00Rは、∀とインパルスの近くにまで来ていた。

刹那「くっ…!」

トランザムを起動しているアストレアは、両手に持つGNビームピストルを連射しつつ00Rを追う。

ロラン「刹那!」

∀とインパルスに気づいたアストレアは、GNビームピストルを捨て、赤い光を伴って出現したGNバズーカを装備した。

シン「武器を召喚した!?」

刹那「GNバズーカ!?」

フォン「バーストモード!」

刹那「!――みんな避けろ!」

アストレアのGNバズーカによる攻撃を、三機は散らばって避ける。

シン「このおっ!」

ビームを撃ち終えたアストレアに、インパルスはビームライフルで攻撃しつつ突撃する。

フォン「ハンッ!」

アストレアはGNバズーカを捨て、出現したGNハンマーを装備する。

そして、攻撃するインパルスに対して真っ直ぐ向かう。

シン「ビームが、曲がる!?」

インパルスが放つビームは、トランザムを起動させたアストレアが発動する機能――GNリフレクションにより、
アストレアの機体に命中しても多少の傷は負うが、深いダメージを負わせることが出来なかった。

アストレアはGNハンマーの金属球部分を射出し、インパルスに命中させた。

シン「うわああああ!」

射出された金属球はインパルスの胸部に命中する。

金属球の棘から放出されるGN粒子はインパルスのVPS装甲を無効化し、インパルスの胸部は深いダメージを負った。

ロラン「シン!」

フォン「あげゃぁ!」

刹那「させるかぁ!」

アストレアは∀にGNハンマーで攻撃を仕掛けた。

射出されたGNハンマーの金属球部分はトランザムを起動させた00Rにより弾かれる。
シン「捕まえたぞ!」

00Rに気を取られていたアストレアに、灰色のインパルスは全速力で背後から体当たりし、手足を使ってアストレアの機体の自由を失くした。

そして腰から対装甲ナイフ――フォールディングレイザーを取り出し、アストレアのGNドライブに突き刺した。


刹那「シン!」

アストレアはインパルスによる束縛を振りほどき、腰部からGNビームサーベルを抜き、インパルスを攻撃する。

シン「ぐっ!」

インパルスは上半身、下半身、バックパックを切り離し、アストレアの攻撃を切り抜ける。

アストレアは∀から放たれたビームを避け、漂うインパルスのコア部分を追おうとする。

その時、インパルスのGNドライブへの攻撃によるダメージがGNドライブの機能を妨げ
トランザムが解除され、機体からトランザム発動時の赤色の発光が消えた。

アストレアのスピードが一気に落ちる。

刹那「はあァッ!」

そこへ00Rが突撃し、アストレアを真っ二つに切り裂いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「うおおおおお!」

Gガンダムはブルーセカンドとの戦いに対し、接近戦において優位に立っていた。

劾「接近戦はあちらの方が上手か、なら!」

ブルーセカンドは爪先から戦闘ナイフ――アーマーシュナイダーを突きだし、Gガンダムに蹴りを浴びせる。

ドモン「!――ナイフか!?」

Gガンダムは避けきれず、腹部にアーマーシュナイダーが突き刺さった。

ドモン「ぐっ…!」

ブルーセカンドはもう一方の足でGガンダムを蹴り飛ばし、距離を開け、さらにソードモードのタクティカルアームズをGガンダムへ投げつける。

ドモン「ぬぅ…!」

Gガンダムはタクティカルアームズを受け止め、投げ捨てた。

その隙にブルーセカンドは赤い光を伴って出現したローエングリンランチャーを装備し、発射態勢に入った。

ドモン「何、武器が!?」

劾「終わりだ」

ブルーセカンドはローエングリンランチャーを発射する。

陽電子のビームがGガンダムを覆う。

劾「任務(ミッション・)完(コンプリー)…何!?」

Gガンダムは陽電子のビームを光り輝く掌で受け止め、防いでいた。

ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃える!!勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」

ドモン「ばぁくねつ!!ゴッド・フィンガァァァァァ!!」

Gガンダムは爆熱ゴッド・フィンガーでブルーセカンドへ向かって陽電子のビームの中を突き進む。

劾「ちっ…!」

ブルーセカンドはローエングリンランチャーの出力を上げた。

しかし、Gガンダムはそれでも突き進み、そのままローエングリンランチャーを破壊した。

Gガンダムの右手がブルーセカンドの頭部を掴む。

ドモン「おおおおおおおお!!」

劾「…まだだ!」

ブルーセカンドはアーマーシュナイダーでGガンダムの右手を突き刺す。

ドモン「ぐっ!…ヒィィィィィト!!」

ドモンは次々と深く突き刺さるナイフによる右手の痛みに耐えつつ、ブルーセカンドの頭部を握りつぶす。

ドモン「エンド!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フェニックスはガンダム、Z、ZZを相手に、三機の攻撃を避けることを中心に戦っていた。

ジュドー「ちょこまかと!」

カミーユ「自分を倒してみろと人を煽っておいて、貴様は何がしたい!」

G・S「まだだ、もう少しでここに全員揃う」

刹那「ジェネレーション・システム!」

00RとGガンダムがフェニックスとの戦闘に参加する。

G・S「来たか。バーザムやGN-XⅢも全て撃破するとは」

フリーダムとインパルスのコア部分――コア・スプレンダーはフェニックスとガンダムたちの戦闘から離れた場所で漂うハルファスの下へ、
W0と∀はソルブレイヴスと戦うGXディバイダーとV2の下へ向かう。

キラ「アプロディア!」

アプロディア「…ごめんなさい……」

G・S「この世界は既に他の世界へ行くための扉をブロックしている」

G・S「ハルファスガンダムの力を以てしても、この世界と親和性が高く繋がりやすい」

G・S「Gガンダムの世界や∀ガンダムの世界にすらも行くことは出来ない」

G・S「そして、既に私は月のヴェーダからのジェネレーション・システム本体への侵入に対するプロテクトを完了している」

刹那「何!?」

アプロディア「そんな…」

G・S「当然、罠にかけるのだ。そのための下準備は済ます」

G・S「アプロディア、君には本当に感謝している」

G・S「君がもっと早く、修正プログラムとしての使命から背いていたらこうはならなかったかもしれない」

アプロディア「…」

G・S「これで君たちがここから出るには、私を倒すしかない…この状況を待っていた」

G・S「私は君たちを仲間にしたいと思う一方で、君たちと本気で戦いたいと思っていたのだ」

フェニックスの左右に、赤い光が現れる。

Concept-X6-1-2ターンX

G・S「ターンX、二機…君たちに相応しい相手」

G・S「さあ、ここからが本当の戦いだ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GXディバイダーはハモニカ砲の拡散ビームによる攻撃でソルブレイヴスの連携を崩し、
V2がブレイヴを一機ずつ撃破する方法をとった。

その方法で一機の撃墜に成功し、ブレイヴは残り四機である。

グラハム「ビームの翼のガンダム、流石のスピードだ――ならば」

グラハム「トランザム!」

ウッソ「何!?」

ガロード「こいつらも赤くなるのか!」

V2とGXディバイダーに迫る四機のブレイヴたちを巨大なビームが襲う。

ヒイロ「ダブルオーライザーと同じ機能を有している」

W0はバスターライフルでブレイヴを攻撃する。

∀は上部の欠けたシールドを背負い、拾ったバーザムのビームライフルと自身のビームライフルを両手に持ち、
二丁のビームライフルで攻撃しつつ、GXディバイダーに近づく。

ロラン「拾ったビームライフル、使える?」

ガロード「使えるみたいだ、サンキュー、ロラン!」

ロラン「あのMSたちはヒイロとウッソが止めてくれている」

ガロード「よし、今のうちにティファたちを」

G・S「ソレイユには行かせない」

MA形態のフェニックスがGXディバイダーと∀に接近する。

ガロード「!――ジェネレーション・システム!」

ロラン「ジュドーたちは!」

G・S「君のよく知るMSが相手をしている」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

二機のターンXはそれぞれ機体を頭部、胸部、両肩、両腕、背部、腰部、両足に分離しオールレンジ攻撃を行う
――ブラディ・シージでガンダムたちを翻弄し、攻撃する。

ジュドー「こいつ、すばしっこい!」

刹那「くっ!」

00Rは飛び回る身体の内の右足にビームを当てるが、右足が纏うバリアに防がれる。

刹那「バリア!?」

カミーユ「そこ!」

Zは飛び回るターンXの胸部をハイメガランチャーで狙い撃とうとした。
そこへ右腕の溶断破砕マニピュレーターが五本の指を開き、光を放ちながら迫る。

カミーユ「!」

Zは咄嗟にハイメガランチャーをその迫る右腕に向けるが、それより先に右腕がハイメガランチャーを掴んだ。

ハイメガランチャーはターンXの右腕に潰される。Zはビームサーベルを取り出し、
ターンXの右腕に突き刺した。

Zのビームサーベルは、ターンXの右腕を貫通する。

カミーユ「ちっ!」

Zはハイメガランチャーとビームサーベルから手を放し、ハイメガランチャーは爆発する。

ターンXの右腕は、Zのビームサーベルによるダメージは負ったが、それでも飛び回りビームを発射し続ける。

カミーユ「くそ!」

アプロディア「…ジェネレーション・システムといえども、ターンタイプの再現は不可能です」

シン「ハルファス、動けるのか!」

アプロディア「機能は大分回復しました」

アプロディア「――しかし、次元転移能力はジェネレーション・システムに封じられています」

キラ「アプロディア、あのMSの弱点は!」

フリーダムはコア・スプレンダーの援護に回り、向かってくるターンXの各部分に
残っている武装であるプラズマ収束ビーム砲で攻撃するが、避けられる。

アプロディア「ターンXトップ…ターンXの頭部を破壊すれば、全ての機能を停止します」

アプロディア「しかし遠距離からのビーム攻撃や大抵の実弾兵器はターンXが纏うIフィールドによって防がれてしまう」

アプロディア「近距離での強力なビーム攻撃、接近戦用の武器での攻撃ならば、攻撃が通るはずです」

シン「あれに攻撃を当てるだけでも大変なのに」

キラ「アプロディアはここにいて…シンはアプロディアを頼む」

シン『キラ!だいじょ――ザッ――ザザッ』

キラ「シン!…通信が!?」

アプロディア「電波妨害…アムロ・レイや刹那・F・セイエイたちには、私の声を届かせることが出来るが…」

アプロディア「オールドタイプの人たちには…」

ハルファスはターンXのオールレンジ攻撃を避けているフリーダムに接近し、機体をぶつけた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「何だ、通信が出来ないぞ!?」

ウッソ「ミノフスキー粒子の濃度が上がってる!」

ヒイロ「レーダーやセンサーが鈍っている――!」

フェニックスがビームサーベルでW0を攻撃する。

W0はそれをビームサーベルで受け止めた。

G・S『戯れさ』

ヒイロ「声が聞こえる?」

W0とフェニックスはビームサーベルでの鍔迫り合いを続ける。

G・S『声が聞けず、レーダーやセンサーも満足に使えず、目の前で仲間が次々と倒れていくのを見ていくがいい』

ヒイロ「貴様!」

G・S『ヒイロ・ユイ、ウイングゼロは君に教えていないか?』

G・S『君たちの敗北という未来を』

ヒイロ「何!」

G・S『ゼロシステム…状況を分析・予測し、ありとあらゆる勝利するための方法をパイロットに見せるシステム』

G・S『戦いに勝つためのシステム。それは自身の死すらも、勝つために必要ならば強要させる』

G・S『しかし、どうかな?私に勝てる未来が見えるか?』

G・S『見えたとしても、例えば自身や仲間を犠牲にする方法を君は取ることが出来るか?』

フェニックスはW0のビームサーベルを払い、距離を取った。

G・S「君ではゼロシステムの力を完全に発揮出来ない」

グラハム機を含むブレイヴ二機がW0を襲う。

G・S「だから君は私の部隊には必要ない」

フェニックスは四つの翼を前方に向け、W0に向かってメガビームキャノンを放とうとする。

W0は二機のブレイヴを相手にしており、フェニックスに対処出来ない。

ヒイロ「くっ!」

ガロード「させるかぁ!」

ディバイダーを背中に装着した高機動モードのGXディバイダーは、バーザムのビームライフルでフェニックスを攻撃する。

G・S「フン…」

フェニックスはGXディバイダーに狙いを変え、メガビームキャノンを放つ。

GXディバイダーはそれを避けつつフェニックスへ向かう。

フェニックスも二丁のビームライフルを取り出し、互いに攻撃しあいながら接近する。

フェニックスは片方のビームライフルをGXディバイダーの攻撃で破壊された。

GXディバイダーは空いているもう片方の手で大型ビームソードを抜き、フェニックスに接近戦を仕掛ける。

フェニックスはビームサーベルを取り出し、応戦した。

G・S『先ほど君は私がニュータイプを道具として見ているといったが』

GXディバイダーとフェニックスは大型ビームソードとビームサーベルを何度もぶつけ合う。

ガロード「声が聞こえる!」

G・S『それは被害妄想だ、ジャミル・ニートの下にいたからかな?』

ガロード「ニュータイプの力を戦争に使おうとしているんだろ!」

GXディバイダーは大型ビームソードをフェニックスのビームサーベルに押し付けた。

G・S『そうだ。だが、私は彼らの合意を得て手を貸してもらおうとしているのだ』

ガロード「その合意ってのを、無理やり得ようとしているじゃないか!」

ガロード「ティファを傷つけているヤツを、俺は絶対に許さない!」

G・S『私も君を許さない。私の実験を邪魔する者、特に君の、君の居る世界のニュータイプへの認識が気に入らない』

ガロード「何!?」

フェニックスはビームサーベルをGXディバイダーの大型ビームソードに強くぶつける。

GXディバイダーはそれによって後ろに吹き飛ばされた。

G・S「力を否定する者は、私の造る部隊、いや、世界にはいらない」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――ソレイユ内部

ティファ「ガロード、みんな…逃げて…!」

シャクティ「やっぱり、無線も、何もかも応答しない…ウッソ…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カミーユ「女の子の声…!?」

アムロ「逃げろと言われても、このままじゃ…!」

刹那「ティファ・アディールの声が、聞こえる」

ジュドー「ティファって人か?ガロードを呼んでいる…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S「ティファ・アディールが言っているよ“逃げろ”とね」

ガロード「ぐっ…!」

GXディバイダーはフェニックスの猛攻に苦戦していた。

G・S「ソレイユのコントロールは私が握っている」

G・S「あちらから操作は出来ないが、私はこのように、彼女たちの動向を監視出来る」

G・S「君の名前を呼んでいる…未来が見えるのだろう、君が死ぬ未来を」

ウッソ「ガロードさん!」

G・S「ブレイヴもあとウイングゼロとターンエーが相手をしている三機か…トランザムを起動しているブレイヴとああも戦えるとは」

V2がGXディバイダーを助けに行こうとするが、フェニックスが放った通常より大量に射出されたフェザーファンネルに阻まれた。

G・S「ターンXと私の操るフェニックスガンダムのオールレンジ攻撃は、今までのものと違うぞ」

ガロード「このお!」

GXディバイダーの攻撃はフェニックスに避けられ、フェニックスの反撃によりGXディバイダーはビームライフルを破壊された。

フェニックスはMA形態となり、そのままGXディバイダーに体当たりする。

ガロード「うああああああ!!」

G・S『ティファ・アディールの悲痛な声が聞こえるか?ガロード・ラン』

G・S『感応能力を持つ者には聞こえているだろうが、肝心の君には聞こえない』

G・S『ティファ・アディールを悲しませているのは、力を持たず、弱い君の所為でもあるのではないかな?』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「!――フリーダムガンダム!」

フリーダムは、Gガンダムに近づこうとする。
しかし、ターンXのオールレンジ攻撃がフリーダムを襲い、フリーダムはそれを避けるのに精一杯だった。

キラ「触れ合えれば通信が出来るってアプロディアが言っていたけど、近づくことすら出来やしない!」

二機のターンXのオールレンジ攻撃は、ガンダムたちを追い詰める。

カミーユ「うああ!」

アムロ「ああ!」

Zはシールドを破壊され、ガンダムは左足に被弾する。

アムロ「…接近戦が有効だっていったって、ガンダムじゃ追い切れない!アプロディア!」

ガンダムは拾ったジンクスⅢのGNビームライフルで反撃するも、避けられる。

ジュドー「クソ!当たれよ!」

ターンXの左腕は、ZZの攻撃を避けていき、飛び回るターンXの背部のウェポンプラットホーム――キャラパスからビームライフルを取り出す。

そして、ハルファスと、コア・スプレンダーのいる所へ向かう。

ドモン「そっちには、シンとアプロディアが…ぐぅ!」

ターンXの脚部からの攻撃が、Gガンダムの右肩を掠める。

刹那「何!?」

00Rの前に、ターンXの機体が一機組み上がる。

刹那「アプロディアの助言通り、接近戦で攻撃すれば!」

00RはGNソードⅢで斬りかかるが、ターンXは身体を分離させて回避した。

ターンXの頭部以外の部分が、00Rに取りついて拘束する。
そして、ターンXトップが発する光に呼応し、00Rを拘束するターンXの各部分は、強力な磁場を発した。

刹那「うあああああああああああ…!!」

刹那の身体を、強い電撃が襲う。

アムロ「刹那さん!」

キラ「助けないと!」

ガンダムとフリーダムは00Rを助けに行こうとするも、もう一機のターンXのオールレンジ攻撃によって阻まれる。

刹那「ああああああああああああ!!」

ジュドー「刹那!」

カミーユ「刹那!――どけよぉ!」

ZやZZ、他の機体たちも自身に迫る攻撃に対応することで精一杯だった。

刹那「や、ら…れる…!」

刹那「仲間も…!みんな…!」

刹那「…動け…動け!ダブルオーライザー!」

刹那「仲間が危機に陥っているのを、このまま見ているわけにはいかない!」

刹那「動けぇぇぇぇぇぇぇ!!」

刹那の叫びと共に、00Rは機体から膨大なGN粒子を放出した。

GN粒子は七色の輝きを発し、00Rを拘束していたターンXの各部分と頭部は、そのGN粒子により吹き飛ばされる。

00Rから放たれたGN粒子は、ガンダムたちが戦っている所へ、ハルファスたちがいる所へ、そしてソレイユがいる所、さらにその先の月にまで届く。

『ロード…ガロード…』

GXディバイダーは少しずつ機体から炎の様に赤い色のエネルギーを放出している、
MA形態のフェニックスからの体当たりを受け続けていた。

G・S「このまま少しずつバーニングファイアの威力を上げていく」

『ガロード!…ガロード!』

ガロード「何だ…声が、俺を呼んでいる…?」

G・S「――GN粒子の光…」

ティファ『ガロード!』

ガロード『ティファの声…ティファ!』

ガロード『ティファ…ティファァァァァァ!!』

G・S「このGN粒子の光り方…まさか――ッ!」

GXディバイダーは、体当たりしてくるフェニックスを受け止め、バーニアを最大出力で噴射してフェニックスの勢いを殺した。

GXディバイダーは大型ビームソードを抜き、フェニックスに突き刺そうとする。

フェニックスはそれを避け、ブレストバルカンで攻撃してくるGXディバイダーから離れた。

ウッソ『シャクティ!――声が届くのか?』

シャクティ『ウッソ!』

ガロード『ティファ!』

ティファ『ガロード、私たちは大丈夫』

シャクティ『逃げて、ウッソ!あの人が力を貸してくれる!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア「これは、トランザムバースト…」

アプロディア「!――月からのアクセス」

アプロディア「別世界への転移が可能になった」

アプロディア「ジェネレーション・システムの掛けたブロックを解除したのですね」

アプロディア「“月からのジェネレーション・システム本体への侵入は、既に対策が張られている”」

アプロディア「“しかし、システム攻略の鍵は掴んだ”」

アプロディア「“攻略達成のために、より多くの仲間を集めよ”」

アプロディア「…そうですね、私たちではどうにもならない」

アプロディア「彼らの力を借りて、彼と、私と、あなたの破壊を…」

アプロディア「――D.O.M.E」

今回はここまでです。

見て下さった方、ありがとうございます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア『これから、あなたたちを他の世界へ逃がします』

ドモン『アプロディアの声が、頭に響く!?』

ジュドー『アプロディア、他の世界って!』

アプロディア『そこにいるだろう仲間と出会い、出来れば協力を要請して下さい』

アムロ『仲間…!』

ロラン『色んな人の声が響く…この七色の光の所為なのか!?』

アプロディア『今までの様に、必ず巡り合うはずです』

刹那『ガンダムを探せばいいんだな』

アプロディア『しかし、次元転移の発動まで時間がかかります』

ヒイロ『問題ない、時間は稼いでみせる』

アプロディア『そして、それぞれ別の世界へ飛ばすので、一機ずつの転移となります』

アプロディア『…これから飛ばす世界には、ジェネレーション・システムの介入が進んでいる世界があります』

アプロディア『激しい戦いを強いられるでしょう』

アプロディア『私からも、出来るだけ支援します。さらに別の世界から応援を呼ぶかもしれません』

アプロディア『とにかく、まずは一機、誰かを転移させます』

キラ『シン、君からだ!』

シン『俺よりもアムロやキラの方が先だ!』

シン『俺はハルファスに乗る…みんなを助けるんだ!』

アプロディア『わかりました…そちらへ向かいます』

カミーユ『なら、アムロ!』

ジュドー『機体にガタが来てたんだ、アムロが一番先でいい』

アムロ『で、でも、僕が最初で…』

カミーユ『アムロ』

カミーユ『人の善意を無視する奴は、一生苦しむ…皆も異論は無いはずだ』

シン『よし、乗り換えた――ターンXの腕が飛んでくる!』

アプロディア『この世界内での転移は出来ません』

アプロディア『アムロ・レイのいる場所への移動をお願いします』

シン『わかった!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S「トランザムバーストで彼らの意識を拡張し、アプロディアは高濃度のGN粒子を利用して通信を行ったのか」

G・S「アプロディアにはそういう機能が備わっている…私にはないモノだ」

G・S「D.O.M.E…」

G・S「君からの私へのアクセスは既に不可能、そして今の戦力では私を倒すことも出来ない」

G・S「それを知り、私がこの世界に掛けたブロックを外し、別世界へ逃がすつもりだな」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ティファ『ガロード、私たちは、負けない。だから逃げて!』

ティファ『私たちも戦う…ジェネレーション・システムの言いなりにならない!』

ガロード『…わかったよ…ティファ…!』

ウッソ『シャクティ、待ってて!絶対助けに戻る!』

シャクティ『ウッソ…無事でいて!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S「逃亡の要はハルファスガンダム…アプロディア」

G・S「捕える、もしくは破壊してしまえば私の勝ちだ」

G・S「だがまずは君たちだ――ウッソ・エヴィン」

フェニックスは、V2に狙いを定め、攻撃する。

G・S「数機逃げられたところで、その世界にMS部隊を送り込み倒せばいい」

G・S「ここは一機ずつ、私に仇なす者を倒してやる」

ウッソ『ぐっ…!』

V2は、フェニックスからの攻撃を避けきれず、ビーム・シールドで防御する。

G・S「耐ビームコーティングアーマー、ヴェスバー、ビームライフル、ビーム・シールド」

G・S「機体は無事でも君自身は戦いで相当消耗しているだろう」

刹那『ウッソ!』

ウッソ『声――刹那さん!』

00Rはフェニックスに向かっていく。

G・S「刹那・F・セイエイ、君にはしてやられたよ」

刹那『お前を倒せば終わりだ!』

ガロード『刹那、赤くなっていても、一人で倒せる相手じゃない!』

刹那『たとえ無理でも、足止めはしてみせる!ガロードたちはハルファスの援護を!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン『アムロ!』

アムロ『シンさん!』

アプロディア『ガンダムの次元転移を行います』

アムロ『光が――』

ハルファスガンダムが全身から青白い光を放ったと同時に、ガンダムは青白い光に包まれ、消えた。

ジュドー『成功したのか』

カミーユ『次はキラ、君だ!』

ドモン『シン、アプロディア!そっちにターンXのパーツが行ったぞ!』

シン『腕と脚が無いから、バランスは悪いけれど!』

ターンXの左肩が、ハルファスを襲う。

シン『やってやる…俺がやられたら、負けなんだ!』

種が割れる。それと同時に、ハルファスはターンXの左肩からの攻撃に上手く立ち回った。

G・S「トランザムバーストで出来た空間の中にいると、人間の会話や思いが筒抜けになるのだったか」

フェニックスは大量のフェザーファンネルを、自身を囲うように配置する。

G・S「頭の中に色んな人間の言葉が響く状態、私も体験したいものだ」

G・S「私はマシンだから無理だがね」

フェニックスを囲うフェザーファンネルは周囲を回りながら、全方位にビームを放った。

G・S「フェザーファンネルの放つ大量のビームを食らえ」

フェニックスは全方位にビームを放ちながら、V2、GXディバイダー、00Rを襲う。

ウッソ『こっちに注意を引き付けられるのはいいけど!』

ガロード『ハルファスが俺たちを転移させるまで、この攻撃から逃げ切れるか?』

刹那『クッ…ビームが邪魔で、反撃することも!ガロードたちを逃がすことだって出来なかった!』

ウッソ『一人で相手にするなんて無茶だったんですよ!』

ガロード『クソッ、この攻撃…隙はないのか!』

刹那『!――フェニックスの周囲を囲うモノたちの隙間…通り抜けられる道』

刹那『そこを抜けて、接近戦を仕掛ければ!』

00Rに、フェザーファンネルから放たれたビームが迫る。

刹那『!』

00Rはその場から消え、ビームはそのまま通り過ぎた。

G・S「機体を量子化させたか」

G・S「射撃でダメならば接近戦だと君は考える」

G・S「だから君は、私が空けたフェザーファンネル同士の空間を通り」

G・S「私に近づいてくるはずだ」

G・S「たとえ量子化しようと、攻撃は実体化しなければ出来ない」

G・S「ならば実体化出来る状況をワザと作り出し、そこに君を炙り出せばいい」

ティファ『!――ダメ!』

刹那『何!?』

00Rが実体化した先で、フェニックスはビームライフルを構えていた。

G・S「狙い通りだ」

フェニックスはビームを放った。

00Rは咄嗟に回避運動をとったが、避けきれず左肩に直撃した。

刹那『うああああ!!』

G・S「君がその能力を完全にはコントロール出来ていないのも仇となったな」

G・S「フフフ…楽しいぞ」

フェザーファンネルは、体勢を崩した00Rを追撃する。

00Rはトランザムが解除され、機体の赤色の発光が止まった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ブレイヴのトランザムは時間切れとなり、赤色の発光が消える。

ロラン「声が、消えた…七色の光も」

ヒイロ「もらったぞ!」

W0のバスターライフルから放ったビームは、ブレイヴ一機を消し飛ばした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディア『キラ・ヤマト、次はあなたの番です』

キラ「通信が!」

アプロディア『ミノフスキー粒子の濃度が下がったのでしょう』

シン「キラ、直ぐにそっちへ行くから!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「刹那、しっかりしろ!」

V2とGXディバイダーは00Rを援護した。

V2がビーム・シールドでフェニックスの攻撃を防ぎつつ、GXディバイダーは00Rを助けながらフェニックスの攻撃から逃げる。

00Rの機体は酷く傷ついていた。

刹那「大丈夫だ…!」

G・S「逃がさない――!」

フェニックスは、自身の背後に向かって放たれた巨大なビームを避ける。

ヒイロ「外したか!」

ウッソ「ロランさん!ヒイロさん!」

W0と∀はフェニックスを攻撃し、00Rたち三機から引き離す。

G・S「ブレイヴを全て撃墜したか」

フェニックスはW0、∀と攻撃に転じたV2の三機に対抗する。

アプロディア『刹那・F・セイエイ』

刹那「――通信!?」

アプロディア『次はあなたを送ります…行き先はガンダム00の世界』

刹那「何故俺を…俺はまだやれる!」

アプロディア『あなたはジェネレーション・システム攻略の要です』

アプロディア『あなたを失うわけにはいきません』

刹那「くっ…!」

ロラン「行って下さい!」

刹那「ロラン!」

ガロード「そうだ!ジェネレーション・システム攻略の要ってことは」

ガロード「ティファたちを取り返すのにも必要ってことだ!」

刹那「ダメだ、ティファにお前を任されている!」

ヒイロ「アイツのお守りは任せろ…行け!」

刹那「ッ…!」

シン「刹那、すぐそっちへ向かう!」

刹那「…アプロディア、俺が転移した先で戦闘は行われているのか?」

アプロディア『おそらく、大丈夫なはずです』

アプロディア『無事、あなたの仲間の下に辿り着けるでしょう』

刹那「…ガロード、GNソードを使え」

00RはGNソードⅢを手放す。

刹那「幾らかGN粒子が蓄積されている。ライフルも何発かは撃てるはずだ」

ガロード「…わかった、使わせてもらうよ」

GXディバイダーは右手にGNソードⅢを装備した。

ハルファスは00RとGXディバイダーの所へ向かう。そのハルファスを、各部を合体したターンXが追う。

シン「クソッ、振り切れない!」

ガロード「シン、避けろ!」

GXディバイダーはハモニカ砲を、00RはオーライザーのGNビームマシンガンとGNマイクロミサイルでターンXを攻撃する。

ターンXは自身に向かってくる攻撃をIフィールドで防御しながら強引に突き進む。

その行動により、ターンXの機体には幾つか傷が付いた。

ガロード「なんとか食い止める!」

GXディバイダーは、ディバイダーを構えターンXに立ち向かう。

シン「刹那!」

アプロディア『ダブルオーライザーの転移を開始します』

刹那「みんな…すまない!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ウッソ「刹那さん、行ったの?」

ロラン「次はウッソ、君だ!」

ロラン「ヒイロと僕でジェネレーション・システムを抑える!」

ウッソ「僕はまだ戦えます!」

G・S「逃がすものか」

フェニックスは自身の周囲に大量のフェザーファンネルを配置しようとする。

W0はそこへバスターライフルを撃ち、フェニックスの行動を邪魔する。

ヒイロ「ジェネレーション・システムはニュータイプを欲している」

ヒイロ「万が一お前が捕まって、助ける人数が増えたら面倒だ」

ロラン「それに、一番年下の君をこれ以上後にさせるわけにはいかない」

ウッソ「こんなところで年齢を持ち出すなんて…」

ウッソ「…わかりました、死なないで下さいよ!」

ロラン(ジュドーたちが戦っている相手、ターンXなんだよな、しかも二機)

ロラン(…ターンエーの月光蝶、全員を逃がした後に使うか?)

ロラン(ダメだ、使い方も…コントロールだって出来るかわからないのに)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「ハァ、ハァ…こいつ…!」

GXディバイダーは、ターンXの攻撃により、所々機体に傷を負っていた。

対して、ターンXはハモニカ砲による攻撃は避けていき、その他の攻撃はIフィールドで防いでいた。

ターンXは右腕の溶断破砕マニピュレーターからビームサーベルを発生させ、GXディバイダーに接近戦を仕掛ける。

ガロード「やれるか…!」

GXディバイダーの後方から放たれた四つのビームが、ターンXがGXディバイダーに接近するのを遮る。

シン「ガロード、大丈夫か!」

ハルファスがGXディバイダーに近づく。

ガロード「手足が無い状態で、戦えるのか?」

シン「少しずつだけど、機体が安定してきているんだ」

シン「ハルファスの自己修復機能のおかげらしい」

ターンXはハルファスとGXディバイダーに攻撃を仕掛ける。

そこへ、V2が駆け付ける。

ウッソ「アプロディア、次元転移の準備は!」

アプロディア『もうすぐ準備が出来ます』

ハルファスはクロス・ビームキャノンをターンXに放つ。

V2も、ヴェスバーとビームライフルでターンXを攻撃した。

ターンXは、二機からの攻撃を避ける。そこへGXディバイダーが突撃する。

ガロード「俺がこいつを引き付ける!」

ウッソ「お願いします!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「ようやく捉えたぞ!」

Gガンダムは飛び回るターンXの胸部に狙いを定め、ビームソードで切り裂こうとした。

そこへ、ターンXの右腕がGガンダムを貫こうと、溶断破砕マニピュレーターからビームサーベルを出して突撃する。

ジュドー「させるかよ!」

ZZはターンXの右腕を捉え、右手でGヒート・ホークを振り下ろす。

ターンXの右腕は、Gヒート・ホークによって叩き折られ、そこへZZはさらにダブルビームライフルで追い討ちをかけた。

ターンXの右腕は破壊された。

ジュドー「やった!」

ドモン「ぐああ…!」

GガンダムはターンXの腰部からの攻撃を右手に受け、ビームソードを右手から放した。

ターンXの胸部は逃げ、破壊された右腕以外の各部分がターンXの機体を組み上げる。

ジュドー「ドモン!」

ドモン「ぐ…大丈夫だ」

ターンXの腰部からの攻撃により、Gガンダムの右腕は酷く損傷していた。

ドモン(クソッ…、右腕が思うように動かない!)

ターンXは背部のキャラバスからバズーカを取り出し、ZZとGガンダムを攻撃する。

カミーユ「この!」

Zはクラウダのビームライフルでバズーカから放たれたロケット弾を破壊する。

ドモン「カミーユ!」

カミーユ「すいません、武器を拾っていました!」

ジュドー「!――ターンX、何をする気だ」

ターンXの胸部にあるX字の傷が光る。

そして、両目が光ると同時に、背部から緑色を主とした虹色の光を放出した。

その光は蝶の翅のような形となり、やがて周囲にその光を拡散させた。

カミーユ「何だ、この光…!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ハルファス、V2、GXディバイダーと戦っているターンXも、同様の光を背部から放出した。

アプロディア『月光蝶…!』

シン「え…?」

アプロディア『ウッソ・エヴィン、次元転移を行います』

ウッソ「は、はい!」

アプロディア『月光蝶があなたたちに甚大な被害を与える前に、早くここから逃げるのです』

V2を青白い光が包む。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S「ターンXの再現をするのは不可能だった」

G・S「だから月光蝶も本来の機能を発揮することは出来ない」

G・S「だが、君たちのガンダムのエネルギーを分解、吸収していくことは出来る」

G・S「この月光蝶の影響を受けないのは、フェニックスガンダム、ハルファスガンダムと」

ロラン「ターンエー…!」

ヒイロ「ロラン、コイツは任せろ」

ロラン「一人で大丈夫なの!?」

ヒイロ「やれる――行け!」

W0はフェニックスに向かっていく。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「ハモニカ砲のビームを、吸収している…!?」

ターンXは月光蝶の光を前面に展開し、ハルファスのクロス・ビームキャノンとGXディバイダーのハモニカ砲からのビームを吸収しつつ、
GXディバイダーに接近していく。

アプロディア『月光蝶を纏ったターンXに触れられたら、機体のエネルギーを吸収されてしまいます』

シン「ガロード!」

ガロード「くっ…!」

ロラン「やめろぉぉぉぉぉ!!」

ハルファスやGXディバイダーを助けに来た∀は、GXディバイダーの前に出てターンXをビームライフルで攻撃する。

ターンXは∀の攻撃を月光蝶で吸収する。

ロラン「ならぁ!」

∀はビームライフルをしまい、ターンXを殴りつける。

シン「触れても大丈夫なのか!?」

アプロディア『ターンエーは月光蝶の影響を受けません』

ロラン「このターンXは僕に任せて、シンとガロードはジュドーたちの所へ!」

∀はターンXの溶断破砕マニピュレーターから発生させたビームサーベルでの攻撃を避け、反撃に頭部を殴り、腹部を蹴り飛ばした。

シン「わかった!」

G・S「させはしない」

MA形態のフェニックスがハルファスたちに接近する。

ロラン「!――ヒイロは!?」

ガロード「…俺がアイツの相手をする!シン、行け!」

アプロディア『シン・アスカ、行きましょう』

ハルファスはZ、ZZ、Gガンダムのいる方へ向かう。

∀はターンXを捉えてハルファスを追いかけるのを阻止し、GXディバイダーはフェニックスに戦いを挑む。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「ぐっ…!」

カミーユ「ドモンさん!?」

ドモン「…大丈夫だ…!」

ジュドー「かなり消耗しているんだな、ゴッドガンダムの動きで分かる」

ジュドー「右手だってやられているし…」

カミーユ「ドモンさんは休んでいてください、ターンXは僕たちでやります!」

ZとZZはターンXにビームを撃つが、ターンXが前面に展開した月光蝶に全て吸収された。

カミーユ「接近戦なら!」

Zは空いた手でビームサーベルを持ち、ビームライフルで攻撃しつつ接近する。

アプロディア『いけない…!』

ターンXは機体を分離してZの攻撃を避け、Zの背後で機体を組み立てた。

カミーユ「しまった…うわっ!」

ZはすぐにターンXの方へ向くが、ターンXの左手で腹部を捕まえられた。

ターンXの右腕が、赤い光を伴って出現する。

カミーユ「何…!?」

ジュドー「カミーユ!」

ZZはターンXの背中をダブルビームライフルで攻撃するが、背部から放出された月光蝶に吸収される。

ターンXは溶断破砕マニピュレーターの掌から光を放ち、Zの頭部にその光り輝く掌――シャイニングフィンガーをぶつけた。

カミーユ「うわあああああああああああ!!」

ハルファスが接近する。

シン「カミーユ!!」

アプロディア『このままでは、Zガンダムが…』

ドモン「背中に攻撃をぶつけるぞ!」

ジュドー「ドモン!あんた、体力がもう!右手だって使えないじゃないか!」

ドモン「左手でやる!俺の一撃…吸収し切れるか!」

ジュドー「…カミーユを助けられるなら、やってやる!!」

Gガンダムは左手で爆熱ゴッド・フィンガーのエネルギー波を、ZZはハイメガ・キャノンをターンXの背後に放った。

ターンXは展開している月光蝶で攻撃を吸収する。

ドモン「おおおおおおおおおお!!」

Gガンダムの機体は金色に光り輝き、爆熱ゴッド・フィンガーはパワーを上げていく。

しかし、月光蝶はそれすらも飲み込む。

Zは頭部を破壊された後、ターンXに放り投げられた。

ハルファスはZをバーニアを利用して、機体で優しく受け止める。

シン「カミーユ、カミーユ!返事をしろ!」

カミーユ『…う、うぅ…』

アプロディア『Zガンダムの転移を行います』

ターンXは前面にも月光蝶を放出しつつ、正面をGガンダムとZZに向ける。

ドモン「…ぐぅッ…!」

ジュドー「ダメだ、吸収されていく」

G・S「たとえ精神から発した力であっても、エネルギー波はエネルギー波…月光蝶は吸収する」

G・S「これがターンタイプ、最高クラスのMSの力だ」

アプロディア『フェニックスガンダム…』

シン「まさか、ガロード…!?」

Zの転移を終えたハルファスを、フェニックスが襲う。

G・S「ハルファスガンダム、破壊するには惜しいが…」

ジュドー「やめろおおおおお!!」

ZZの機体から赤色のオーラを放ち、ハイメガ・キャノンの出力が上昇していく。

それと同時に、ハイメガ・キャノンの砲口とアンテナが熔けていった。

ZZとGガンダムの放つ二本の巨大なエネルギー波はターンXが前面に展開する月光蝶の光の壁を突き破り、ターンXの機体に直接浴びせられる。

G・S「何…!」

フェニックスの動きが止まり、ターンXが二本の巨大なエネルギー波の中に呑まれていくのを見ていた。

ターンXは二本の巨大なエネルギー波によって消し飛ばされた。

シン「やった!」

アプロディア『――!』

ハルファスへ向かってターンXが接近する。

シン「ロランが戦っていたヤツ…!」

ジュドー「ハァ…ハァ…シン…!アプロディア…!」

ターンXがハルファスに向かって溶断破砕マニピュレーターからビームを撃とうとしたとき、
閃光とともにシールドを失った∀がハルファスの前に出現し、ターンXを阻む。

アプロディア『瞬間移動…』

ロラン「下がれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

∀の両目が赤く光り、背部から青色を主とした虹色の光を放出する。

放出される光は、蝶の翅のように見える。

∀はその光を前面に向け、ターンXの放ったビームをその光で吸収した。

ジュドー「ターンエーが…!」

アプロディア『月光蝶…』

G・S「フフフ…ハハハ…楽しいぞ…」

フェニックスは∀に攻撃を仕掛ける。

∀は月光蝶を放出しつつ、フェニックスと戦う。

ロラン「バリアーを出したつもりだったのに!――止まれ、月光蝶!」

アプロディア『いけません…次は、ジュドー・アーシタを』

シン「――ターンX!」

月光蝶を放出し、ハルファスを襲うターンXを、ターンXを狙ったビームが阻む。

アプロディア『ウイングゼロ、ガンダムXディバイダー…』

ハルファスを助けに来たW0はシールドを失くし、機体が所々酷く傷ついている。

GXディバイダーもW0と同様で、加えて左足が破壊されていた。

GXディバイダーはディバイダーを背中に装着し、高機動モードとなっている。

ヒイロ「シン、ターンXは任せろ」

ガロード「早くドモンたちを転移させるんだ!」

ヒイロ「ガロード、コイツは俺一人で相手をする」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

G・S「オリジナルの月光蝶が散布したナノマシンは」

G・S「ハルファスガンダム以外の仲間たちを蝕んでいくだろう」

ロラン「止まるんだ…止まれぇぇぇ!!」

∀の月光蝶の放出が止まり、∀の両目の色は戻る。

G・S「その力、君のいる世界で有効に使えば、戦いでもっと優位に立てたものを」

ロラン「お前は…ギム・ギンガナムと同じだ!」

G・S「そうだな…私も彼の思想に賛成だ」

G・S「∀ガンダムの世界に行くときは、彼に誘いをかけてみようと考えている」

G・S「きっと、ラウ・ル・クルーゼのように快く賛同してくれるだろう」

ロラン「そんなことはさせない!」

G・S「全ての力を解放したターンエーガンダムならともかく、君では私に勝てない」

G・S「力を解放してくれれば、戦いがいがあって嬉しい…解放するんだ」

フェニックスはビームサーベルを∀に投げつけた。

ロラン「何!?」

∀は回転しながら襲い来るビームサーベルを避け、フェニックスに接近する。

フェニックスはビームサーベルを取り出す。

∀が避けた回転するビームサーベルは、∀を背後から切り刻もうと再び襲い掛かる。

ガロード「ロラン!」

GXディバイダーはGNソードⅢのライフルモードで∀を襲うビームサーベルを撃ち抜き、破壊した。

G・S「ガロード・ラン…何度も何度も」

フェニックスは∀の攻撃を避け、フェザーファンネルを射出し、∀を足止めする。
そして、GXディバイダーにビームサーベルで斬りかかった。

G・S「これで終わりにしてやる」

ガロード「GNソードのビームサーベル、最大出力で…!」

GXディバイダーはGNソードⅢをソードモードに切り替え、フェニックスに突撃する。

ガロード「いけぇぇぇぇぇぇぇ!!」

GNソードⅢの刀身からビームの刃を発生させ、GXディバイダーはGNソードⅢでフェニックスの胸部目掛けて突き刺そうとした。

G・S「ビームサーベルの長さはそちらが上…!」

フェニックスは、胸部の直撃を避けるため機体をずらし、GXディバイダーのGNソードⅢはフェニックスの左腕を貫く。

ガロード「ギリギリで避けた!?」

G・S「フェニックスガンダムに、ここまでの傷を付けたか…!」

フェニックスはGNソードⅢのビームサーベルに左腕を貫かれたまま、強引にビームサーベルでGXディバイダーの左腕を貫いた。

両機の左腕は爆発する。フェニックスはすぐにそこから離れたが、GXディバイダーはその爆発に巻き込まれた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ターンXから放たれたビームがW0のツインバスターライフルに命中し、
その衝撃でツインバスターライフルはW0の手から離れた。

ヒイロ「ぐぁぁ…!」

ターンXはW0を追い詰めていく。

シン「アプロディア、ジュドーの転移は終わった!ヒイロを助けるんだ!!」

アプロディア『……!』

ドモン「ぐっ…動け…!ゴッドガンダム…!動いてくれ…!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「ハァ…ハァ…」

GXディバイダーのGNソードⅢは蓄積されたGN粒子が底をつき、刀身は光を失った。

G・S「中々楽しかったよ、ガロード・ラン」

フェニックスはビームサーベルを構え、GXディバイダーへ突撃する。

ロラン「ガロード!!」

∀は未だフェニックスが射出した大量のフェザーファンネルの攻撃に阻まれ、GXディバイダーを助けに行けずにいた。

ガロード「俺は、死なない…ティファを助け出すまでは…」

フェニックスはGXディバイダーに迫る。

ガロード「死んでたまるかぁ!!」

GXディバイダーの両目から光が消える。

G・S「さようなら」

GXディバイダーのコックピットハッチが開き、そこから何かが出てきてから間もなく、
フェニックスのビームサーベルはGXディバイダーの胸部の中心近くを貫いた。

ロラン「ガロードォッ!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







ZZは青白い光の、空間の中を進んでいた。

ジュドー「カミーユ、ウッソ、ロラン…みんな…無事なのかな」

ジュドー「――光が、抜ける…」

ZZは別世界の宇宙へ辿り着いた。

ZZの前では、二機のMSが戦闘を繰り広げている。

ジュドーは二機のうちの、赤く発光しながら飛び回る白いMSに目を止めた。

ジュドー「あれは…ガンダム…!」

RX-0ユニコーンガンダム

今回はこれで以上です。

一応、ここまでが前編になります。

見て下さった方、ありがとうございます。

――後編―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「ヒイロォ!」

ハルファスガンダム(以下ハルファス)は宙を漂うウイングガンダムゼロ(以下W0)を襲うターンXを攻撃し、
ターンXの注意を自身に向けた。

シン「どうしたウイングゼロ、動かないのか!?」

ターンXはハルファスを襲う。

ハルファスはフェザーファンネル、クロス・ビームキャノンで攻撃するもターンXが放出する月光蝶により防がれていた。

逃げ回るハルファスを、ターンXはじわじわと追い詰めていく。

ヒイロ「動け、ゼロ!」

ドモン「ゴッドガンダム…!」

シン「ウイングゼロもゴッドガンダムも動きを止めたままだ!」

アプロディア『ターンXの放つ月光蝶――無数のナノマシンが』

アプロディア『ゴッドガンダムとウイングガンダムゼロのエネルギーを吸収していき、ついに機能停止にさせました』

シン「そんな!」

ジェネレーション・システム(以下G・S)『アプロディア、次元転移をしないのか?』

アプロディア『…!』

G・S『彼らを見捨てて、逃げられるだろう』

シン「通信、ターンXから!?」

アプロディア『ジェネレーション・システムの人格データのコピーが搭載されています』

シン「そうか、機械だから…」

アプロディア(ジェネレーション・システム製の機体を構成するデータ集合体〈ニューロ〉)

アプロディア(これを操作して武器の召喚、機体の修繕を行うには一定以上の高度なAIが必要だからか)

G・S「最後に残ったのは所謂アナザーガンダム…」

G・S「どうした、アプロディア…君は“大切なのは主人公たちの意思”だと言ったが」

G・S「最優先で逃がしたのは、特別な力を持つ者たちじゃないか」

アプロディア『…』

シン「お前!」

G・S「これが答えだ、アプロディア」

G・S「君たちの窮地を救ったのは刹那・F・セイエイ、ジュドー・アーシタが持つ力」

G・S「特別な力、革新を遂げた者たちの力だ」

アプロディア『それでも…私は私の考えを、思いを捨てたりはしません』

アプロディア『一人も見捨てたりはしない』

アプロディア『私たちの、力の限りを使ってでも、彼らをここから逃がす』

ハルファスの前に、緑色の光が現れ、そこからMSが出現した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロラン「ガロードッ!」

フェニックスガンダム(以下フェニックス)がビームサーベルでガンダムエックスディバイダー(以下GXディバイダー)
の胸部近くを突き刺す前に、GXディバイダーのコックピットから飛び出したガロードは、手足を振りながら宙を漂う。

G・S「…しぶといな」

ロラン「やらせない!」

ターンエーガンダム(以下∀)はフェニックスが仕掛けた大量のフェザーファンネルの攻撃を強引に抜け、
フェニックスに迫る。

G・S「ガロード・ランが近くに漂うのにビームライフルは使えない」

G・S「だが、当然それでは間に合わない」

フェニックスはガロードを捕まえようとする。

ガロードへ向かって伸ばした右腕に、どこかから放たれた銃弾が命中した。

G・S「!――何だ?」

真武者ガンダム(以下、真武者)

真武者は火砲、種子島を構え、フェニックスを狙う。

ロラン「うおおおおおおおお!!」

真武者は火砲、種子島でガロードに当てぬよう気を付けつつ、∀を援護する。

G・S「右腕が動かん…」

フェニックスは真武者からの攻撃を避けるため、その場から離れた。

∀はガロードを捕まえる。

ロラン「ガロード、しっかり!」

ガロード「へへ…ノーマルスーツっての、着といて良かったぜ…刹那たちに感謝しなきゃな」

ガロードの右手にはガンダムXを動かすためのコントロールレバー、Gコンが握られていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「あれは…モビルファイターか?」

騎士ガンダム(以下騎士)

ターンXはハルファスにビームを放つが、騎士が間に入りナイトシールドで防いだ。

G・S「D.O.M.Eからの使者か」

騎士『アプロディア、彼らを地球へ送るんだ』

アプロディア『地球へ…わかりました』

G・S「ナイトガンダム」

騎士『行くぞ、ジェネレーション・システム!』

騎士はナイトシールドからナイトソードを抜き、ターンXに向かっていった。

フェニックスはハルファスの下へ向かう。

G・S「流石に二機だけでは不利か」

フェニックスの周囲に三つの赤い光が現れ、そこからMSが出現する。

GGS-000フェニックス・ゼロ

ロラン「青いフェニックスガンダム!」

∀と真武者はハルファスの下へ向かうフェニックスと三機のフェニックス・ゼロを追っていた。

ガロード「やっぱりまだ手加減してやがったな!」

ガロードは∀の左の掌に座り、中指にしがみついている。

ロラン「ジェネレーション・システムは、僕たちが思っている以上に恐ろしく強大なんだ…」

二機のフェニックス・ゼロが∀と真武者を止めるために方向を変え、二機に襲い掛かる。
それに対して真武者は∀の前に出た。

ロラン「守ってくれるのか?」

ガロード「頼むぜ、頑駄無!」

真武者は背中から薙刀――電光丸を取り出し、二機のフェニックス・ゼロに立ち向かう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「フェニックスガンダム…!」

アプロディア『ハルファス…無理をさせます』

ハルファスは機体から青白い光を放ち始め、そのまま全身を青白い色で発光させた。

ハルファスの破壊されていた両腕、両足が修復されていった。

G・S「ハルファスガンダムの力の全てを解放しているのか」

発光するハルファスはフェニックスとフェニックス・ゼロに向かってクロス・ビームキャノンを発射する。

フェニックスとフェニックス・ゼロはハルファスからの攻撃を避ける。

その隙にハルファスは鳥型のMA形態に変形し、Gガンダムの下へ向かった。

ドモン「!――何を!?」

MS形態に変形したハルファスは、Gガンダムに右の掌を向け右手から放つ青白い光を浴びせた。

ドモン「!――ゴッドガンダムのエネルギーが回復している!」

G・S「エネルギーを与えているのか」

ハルファスはW0の下へ向かう。

フェニックスとフェニックス・ゼロの前にGガンダムが立ちはだかる。

ドモン「足止めぐらいは!」

Gガンダムはマシンキャノンと頭部のバルカン砲を一斉に発射し、二機を攻撃した。

ガロード「俺がいて照準付けられるか?」

ロラン「あのままビームライフルを使うのは危険だろ…頭下げて!」

∀はビームライフルでフェニックスとフェニックス・ゼロを攻撃しながらハルファスを援護する。

ハルファスはW0に近づき、Gガンダムと同様の行為を行った。

ヒイロ「機体が動く!」

アプロディア『転移する場所は地球…位置は…バラバラになります』

続いて、ハルファスは全身から放つ青白い光でW0を包んだ。

W0は光の中に消えていった。


アプロディア『ハルファスの最大稼働は、私がコントロールするしかありません』

シン(機体がすごく無茶をしている…)

ハルファスはMA形態へと変形し、Gガンダムの下へ向かう。

フェニックス・ゼロはメガビームキャノンでハルファスを攻撃する。

ハルファスはその攻撃を受けるが、機体を包む光がビームを弾く。

ロラン「させない!」

∀はビームライフルでフェニックス・ゼロの相手をする。

Gガンダムに接近しGガンダムへ機体から放つ光を浴びせた。

ドモン「光に包まれる…」

Gガンダムは光の中に消えた。

ハルファスはすぐに∀の方へ向かった。

ロラン「アプロディア!」

G・S「食らえ」

フェニックスは∀の下へ向かうハルファスの前に立ちはだかり、ハルファスに向けてメガビームキャノンを発射した。

ハルファスはフェニックスからの攻撃を、機体を包む光で防ぎつつフェニックスへ向かって突進する。

アプロディア『シン・アスカ、力を貸してください』

シン「何…!」

アプロディア『ロラン・セアック、ハルファスの放つ光を浴びるのです』

アプロディア『バーニングフレア』

ハルファスを包む光はさらに増していき、光は青い炎のような形となる。

青い光の鳥となったハルファスは、さらに速度を上げフェニックスへ向かっていく。

シン「うおおおおおおおおおおお!!」

ハルファスはフェニックスに体当たりした。

G・S「――!」

フェニックスは機体に深いダメージを負い、機体を吹き飛ばされた。

G・S「……アプロディア…!!」

フェニックスは体勢を立て直し、機体を禍々しく感じさせるほどの赤色に発光させた。

フェニックスはハルファスと同じように機体中の傷、失った左腕を再生させていく。

アプロディア『ここまでの力を使っても……ロラン・セアック…!』

ロラン「間に合え!」

∀とハルファスは互いに接近し、ハルファスは機体から放つ光を∀に浴びせた。

そして∀は光に包まれ、姿を消した。

シン「ハァッ…ハァッ…!」

アプロディア「エネルギーが…」

ハルファスの機体が放つ光は弱まっていく。

∀を追撃していたが、目標を失ったフェニックス・ゼロはハルファスに目標を変え、最大速度を出して
ハルファスに接近し、ビームサーベルで光の弱まったハルファスの背部を斬りつけた。

シン「わあああああっ!!」

アプロディア『…あぁッ!』

ハルファスは再び機体を青白く発光させた。

フェニックス・ゼロはその光に押され、ハルファスの下から離れさせられた。

フェニックスはハルファスに接近しようとするも間に合わず、ハルファスは光の中に消えた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ソレイユ内部


ティファ「…」

ティファは自身の能力で、ガロードがこの世界を転移するまでガロードの動向を見ていた。

ずっと立ったまま、手を合わせ祈るような姿勢をとっていたティファは、ガロードが地球へ転移したことを知ると
その姿勢は足から崩れていき、ゆっくりと床に倒れた。

シャクティ「ティファさん!」

ティファ(ガロードがここから逃げることが出来て良かった…ガンダムXが刺されたときは心臓が止まる思いだった)

ティファ(ここから逃げてもガロードは酷い苦難に遭う…私なんかの為に、何度も死ぬような目に)

ティファ(ガロード…お願い…生きて…)

ティファ「ガロード……お願い……無事で…」

シャクティ「ティファさんッ、しっかりしてください!」

真武者は二機のフェニックス・ゼロの連携攻撃で機体が動かなくなるほどのダメージを受け、
騎士もターンXのシャイニングフィンガーよって、今まさに頭部を潰されようとしていた。

G・S「所詮はヴェーダのデータから作られたまがいもの、この程度か」

G・S「しかしアプロディア…あれではハルファスガンダム壊れてしまう」

G・S「だから自らの力を懸けて彼らを別の世界や地球に飛ばした後、自身は異次元空間で休みながら」

G・S「転移能力でサポートする…そういうことだろう」

G・S「しかし、そうやって君たちの戦力を強化して再び私に挑む前に、君たちが敗れる」

G・S「または私がもっと力を手に入れたらどうするつもりだ…」

G・S「D.O.M.Eは君たちを助けるために私からデータを奪われることを防ぐための保護レベルを下げてしまったのだ」

G・S「助けようとしないことで保ってきた高いセキュリティーを…」

G・S「…この力が手に入る」

フェニックスは真武者と騎士、宙を漂うGXディバイダーに目を向ける。

G・S「ヴェーダが管理するデータがあれば、より強力なMSたちを君たちにぶつけることが出来る」

G・S「私自身のパワーアップも可能だ」

G・S「――そうだな、私も名前を名乗ろう…最強の部隊の長として名前が欲しい」

G・S「マシンの名称“ジェネレーション・システム”ではなく、私自身の名前」

バルバトス「バルバトス――フェニックス、ハルファスと同じ悪魔の名」

バルバトス「私はフェニックスガンダム、ハルファスガンダムを越えた力と姿を得て、君たちに会う」

バルバトス「是非とも、新たな苦難を乗り越え私の前に再び現れてくれ、出来るモノならばの話だが」

バルバトス「さあ、新しい戦い…ガンダム大戦を始めよう」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ガンダムUCの世界

MSZ-010ダブルゼータガンダム(以下ZZ)

ジュドー「なんて戦いだ…」

NZ-666クシャトリヤ

マリーダ「ガンダム…ガンダムは、敵!」

RX-0ユニコーンガンダム…デストロイモード(以下ユニコーン)

バナージ「…!」

ユニコーンとクシャトリヤはビームサーベルで激しく打ち合う。

マリーダ「もう一機…!」

マリーダはZZを捉える。

ジュドー「四枚羽…あの見た目、もしかしてネオ・ジオンのMSか!」

クシャトリヤはユニコーンから離れ、ZZへ襲い掛かった。

ジュドー「!――こっちに来る!」

ZZはダブルビームライフルでクシャトリヤを迎え撃とうとする。

ジュドー「…そうだ、あの時のターンXへの攻撃でビームのエネルギーがほとんど残ってないんだ!」

クシャトリヤは数機のファンネルをZZへ向けて放つ。

ZZはダブルバルカンでファンネルとクシャトリヤを攻撃するが避けられ、ファンネルはビームを放ちながらZZに襲い掛かる。

ZZはファンネルの攻撃を掻い潜り、クシャトリヤに向けて右手に持つデッドエンドジャイアントヒート・ホーク
(以下Gヒート・ホーク)による接近戦を仕掛けた。

ジュドー「こういうときはこんな武器の方がイイってね、あの青くて重たそうなザクに感謝しな…きゃッ!」

マリーダ「――メガ粒子砲は間に合わない!」

クシャトリヤはビームサーベルでZZに対抗した。

ZZのGヒート・ホークとクシャトリヤのビームサーベルがぶつかる。

マリーダ『ガンダム…!』

ジュドー「!――この感じ…あんた、ニュータイプなのか!?」

バナージ「…!」

ユニコーンが後ろからクシャトリヤに迫る。

マリーダ「挟み撃ち!」

マリーダ(!――マスター…“引き上げる”…)

マリーダ(――了解、マスター)

クシャトリヤはZZから離れ、ZZとユニコーンに向かって胸部のメガ粒子砲で攻撃し二機がその攻撃に対応しているうちに撤退した。

ジュドー「ふう…」

ユニコーンは機体の赤色の発光を止め、ガンダムの姿から一本角の真っ白なMSへと変わる。

ジュドー「ガンダムが、別のMSに変形した…」

その後、ユニコーンは動くことはなかった。

ジュドー「お、おい!」

ZZはユニコーンに近づく。

ジュドー「ダブルゼータの推進剤も少ない、何処か補給出来る場所を」

ジュドー「――あれは、ネェル・アーガマ」

今回はこれで以上です。見て下さった方、ありがとうございます。

保守して下さった方もありがとうございます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ネェル・アーガマ内部

ジュドー「外側もそうだけど、中身も変わってる気がするなぁ…ん?」

RGZ-95リゼル

RGM-89DジェガンD型

ジュドー「ここの世界のMSだったのか」

ジュドーの下に、三人の男性が近づいてくる。

ジュドー「あんたたちは」

ダグザ「話を聞かせてもらおう」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

タクヤ「スゲェよ!ガンダムダブルゼータだぜ!」

タクヤ「第一次ネオ・ジオン戦争でこの戦艦を母艦にして戦った、ガンダム部隊の一機だ!」

リディ「おい、静かにしろよ…お忍びであの白いガンダムを見に行っているんだから」

ミヒロ「あのガンダム、額の砲口が熔けていたわね…」

オードリー「…」

リディ「!…誰か来る」

ジュドー「おい、放せよ!」

「大人しくしろ!」

ジュドー「一人で歩けるっていうの!」

ミコット「男の子?」

オードリー(あの子ども…)

タクヤ「もしかして、ダブルゼータのパイロット!?」

ミヒロ「あの子どもが?」

タクヤ「ガンダムは代々あのくらいの少年が乗っていたんですよ」

ミヒロ「でも、おかしくない?」

タクヤ「そりゃあ、子どもが乗るのは普通じゃないでしょうけど」

ミヒロ「そうじゃなくて第一次ネオ・ジオン戦争に参加していたなら」

ミヒロ「少なくともあなたたちよりは年上になっていなきゃ…」

タクヤ「サイン、貰えないかな…」

ミコット「…」

リディ(あんな子どもが、ガンダムの…)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「部屋に閉じ込められちまった」

ジュドー「…あのモヒカンみたいな頭のオッサンめ」

ジュドー「といっても、俺の話なんて分かってくれるわけなんてないか」

ジュドー「無茶苦茶な話だもんな…」

ジュドー「…この世界の俺は、何しているんだろう」

ジュドー「ウッソのいる世界のときは、似た世界であっても、時代が遠すぎて考えもしなかったけど」

ジュドー「別世界とはいえ、8年後くらい…俺が戦っている戦争は実際にあったって軍人のオッサンが言っていたな」

ジュドー「…まだ戦争やってるんだろうか」

ジュドー「――!うわっ!?」

ネェル・アーガマが揺れる。

ジュドー「何だ、攻撃を受けたのか?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

AMS-129ギラ・ズール

アンジェロ専用ギラ・ズール(以下アンジェロ機)

MSN-06Sシナンジュ

フル・フロンタル(以下フロンタル)「見せて貰おうか、新しいガンダムの性能とやらを」

シナンジュは一機でネェル・アーガマ、ジェガンD型やリゼルの部隊を相手にし、圧倒する。

アンジェロ「フッ…流石は大佐だ――我々は後方で待機していればいい」

『了解』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「クソッ、ジェネレーション・システムの手先が来ているかもしれないのに!」

ジュドー「――通信が聞こえる…ミネバ・ザビ!?ネェル・アーガマに、何でいるんだ!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                   ・
                   ・
                   ・

ジュドー「ガンダムタイプのMS…あの変形するガンダムか、それを渡せって言ってる」

ジュドー「ラプラスの箱って…」

ジュドー「…赤い彗星…シャアじゃなくて、フル・フロンタル」

フロンタル『――要求が受け入れられないなら、貴艦は撃沈する』

オードリー『――』

ジュドー「ネオ・ジオンのお姫様…」

バナージ『オードリー!』

ジュドー「ネェル・アーガマの人たちはあの変形するガンダムを渡す気はない」

ジュドー「フル・フロンタルっていう人も一歩も引く気はない…それに何か強そう」

ジュドー「このままじゃやられる」

ジュドー「…あのフル・フロンタルってヤツを退けられれば」

バナージ『あの赤いMSをやっつければいいんでしょう!やりますよ!!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――MS格納庫

バナージ「あの赤いMSをやっつければいいんだ、やっつければ!」

バナージ「…やってやる」

バナージはZZを視界に捉える。

バナージ「――あれは…ガンダム?」

ジュドー「よう」

バナージ「――!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「カタパルトにガンダムが!」

オットー「あの所属不明のガンダムも出ているだと…止めさせろ!」

ダグザはブリッジに入室するアルベルトに気づいた。

ダグザ「――貴様ッ、あの二機のガンダムを!」

アルベルト「全員の要求を摺り合わせたまでだッ…」

アルベルト「ユニコーンの性能は折り紙つきだ」

アルベルト「それにMSZ-010ダブルゼータはこの時代でも十分に活躍できる優れた名機」

アルベルト「我々が逃げる時間は稼いでくれる」

ダグザ「ラプラスの箱の在り処であるMSと別世界から来たというような少年を出すとは」

ダグザ「どれほど危険か」

アルベルト「彼らは戦ってくれるよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バナージ「…ガンダム、ダブルゼータ」

バナージ(ジュドー・アーシタ…別世界から来たという話…)

バナージ(ミネバ…オードリーが小さいときに自分はネオ・ジオンと戦っていた)

バナージ(第一次ネオ・ジオン戦争…)

バナージ(――MSを使って戦争ごっこをしているマシン、ジェネレーション・システム)

バナージ(この世界にも、そのマシンの手下がくるかもしれない…そして)

バナージ「俺がジュドーと、様々な世界から来たガンダムたちと共に戦う、仲間かもしれないって…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「ダブルゼータのエネルギー、持つかな…あのデブのおっさん」

ジュドー「ハイメガ・キャノンも壊れたまんまだ」

ジュドー「俺にダブルゼータで戦えっていうなら、ちゃんと整備しておいてくれよ…!」

ジュドー(…ここは俺のいる世界とは違う、こっちの因縁とかは関係ないんだ)

ジュドー(今はこの場を切り抜けることを考えろ、ジュドー!)

ジュドー「バナージ」

バナージ「え?」

ジュドー「しっかり援護するから、心配するな」

バナージ(こっちが年上だってのに)

バナージ「…お願いします」

ジュドー「発進準備、完了!」

バナージ「――強制解除!」

ユニコーンガンダム…ユニコーンモード(以下ユニコーン)とZZの二機はネェル・アーガマの近くで戦う
シナンジュからのカタパルト発進時の狙撃を避けるため、カタパルトの射出による発進ではなく
自身の機体のバーニアを噴射して発進した。

フロンタル「ガンダム…二機か」

RGZ-95リゼル

リディ「あの子どもたちが乗っているのか」

ユニコーンはビームマグナムを構え、シナンジュに照準を合わせる。

ビームマグナムから放たれたビームは、シナンジュの隠れる大型デブリを粉々に破壊した。

シナンジュはすぐにそこから離れ、ユニコーンからの攻撃を回避する。

ジュドー「あのビームライフル、なんて威力だ」

ジュドー「よし!バナージ、ビームライフルで援護してくれ!」

フロンタル「来るか」

シナンジュはビームライフルでZZを攻撃する。

ZZは攻撃を回避しながらミサイルランチャーで攻撃しつつシナンジュに接近し、Gヒート・ホークを振るう。

シナンジュはZZの攻撃を避け、ZZから離れる。

バナージ「今だ!」

ユニコーンはビームマグナムでシナンジュを狙い撃つ。

フロンタル「チッ」

シナンジュは攻撃を回避して二機のガンダムから離れる。

バナージ「待て!」

ユニコーンは離れるシナンジュにビームマグナムを撃つ。

ビームマグナムから放たれたビームはシナンジュに回避され、そのビームは
流れ弾となって後方で待機していた三機の内、一機のギラ・ズールの機体を掠めた。

そのギラ・ズールは装甲が溶解し、爆発した。

アンジェロ「掠めただけで…!」

アンジェロ「大佐ァ――!」

アンジェロ機は両手に持つランゲ・ブルーノ砲・改でユニコーンを狙い撃つ。

ユニコーンはそれを避け、シナンジュを追う。

ZZはシナンジュに再び接近戦を仕掛けていた。

ジュドー「おおお…!」

フロンタル「また敵となるか、ガンダム!」

シナンジュはビームサーベルでZZのGヒート・ホークを受け止めた。

ジュドー「!――あんた、赤い彗星のシャアなのか!」

フロンタル『世界が私にそう望むのならば』

ジュドー「何言ってる…!」

バナージ「下がれよ!下がってくれないと、オードリーが!」

ユニコーンがビームマグナムでシナンジュを攻撃する。

シナンジュは攻撃を回避するため、ZZから離れた。

ジュドー「あ、待て!――ッ」

ZZは自身を狙って放たれたビームを回避した。

アンジェロ「ガンダムゥ…!」

バナージ「…弾切れ!」

ユニコーンはビームマグナムのエネルギーパックを交換する。

そこをシナンジュは見逃さず、攻撃しようとする。

フロンタル「…!」

シナンジュは自身を襲うビームの攻撃を避けた。

リディ「迂闊だぞ、ガンダム!」

片足を失っているリゼルはメガ・ビームランチャーでシナンジュを攻撃する。

バナージ「ありがとうございます!」

ジュドー「そこだ!」

ZZはダブルビームライフルでの攻撃でアンジェロ機を攻撃し、ランゲ・ブルーノ砲・改を破壊した。

バナージ「…やれる、これなら」

バナージ「オードリーを…守れる!」

ジュドー「!――あれは…」

ジュドーはジェネレーション・システムがMS部隊を送り出すときに現れる赤い光を見た。

赤い光から三機のMSが現れる。

MS-18Eケンプファー

RX-79BD-1ブルーディスティニー1号機(以下BD1)

アンジェロ「何だ…?赤い光から、MSが…」

バナージ「あれって…ガンダム!?」

バナージ「ジュドー!もしかして、あいつらがジェネレーション・システムの!」

ジュドー「ああ、手下たちだ」

フロンタル「ほう…これがその増援か」

ボリス『私はボリス・シャウアー…ガンプラマイスターだ』

バナージ「通信!?」

ボリス『君たちのガンプラビルダーとしての実力、そしてガンプラの能力…見せて貰おう』

リディ「何を言っているんだ、こいつ…」

ボリス『相対するは、フォーエバーガンダム』

GPB-X78-30フォーエバーガンダム

フォーエバーガンダム(以下フォーエバー)は背部の四基のビームキャノン型ファンネルを射出して、
ビームライフルによる攻撃とともにユニコーンたちに攻撃を仕掛けた。

ケンプファーもフォーエバーに続く。

アンジェロ「こちらは攻撃してこない…味方か?」

フロンタル「そうだ…あのMSたちを利用して、ユニコーンを捕獲する」

フロンタル「――いや、一機は違う」

ジュドー「!――何だ?」

バナージ「青いジムが…」


                       -WARNING-
                   EXAM SYSTEM PROGRAM START

BD1の緑の眼は赤色となり、真っ先にユニコーンの方へ向かった。

バナージ「何!?」

BD1は装備しているマシンガンでユニコーンを攻撃する。

バナージ「うっ…!」

ユニコーンはBD1からの攻撃をシールドで防ぎつつ、BD1から離れる。

BD1はユニコーンを追いかけていく。

ジュドー「バナージ!」

ボリス「仲間の心配をしている場合かな?」

ジュドー「くっ…!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バナージ「振り切れない!――!?」

ユニコーンは待ち伏せていたクシャトリヤからのメガ粒子砲による攻撃に襲われた。

ユニコーンはシールドのIフィールド発生装置を作動させつつ、攻撃に対処する。

マリーダ「援護します」

フロンタル『感謝する、だが気を付けてくれ』

マリーダ「!」

BD1はクシャトリヤに標的を変え、攻撃を仕掛ける。

フロンタル「そいつも敵だ。見た目は旧世代のMSだが中身は違う…手強い相手だ」

フロンタル「(ジェネレーション・システム…)随分と面倒なものを寄越してきたな」

マリーダ「ファンネル…!」

クシャトリヤはBD1に向けてファンネルを射出し、攻撃を仕掛けた。

BD1はファンネルからの攻撃に過敏に反応し、攻撃を回避しつつ、自身の進路を妨げる場合は
ビームサーベルで斬り落としてクシャトリヤに接近していく。

マリーダ「ファンネルが…」

フロンタル「この反応、まるで――」

マリーダ「ニュータイプ…!?――だが」

マリーダ「それならば私が感じるハズだ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ボリス「エグザムシステム…ニュータイプを裁くためのシステム」

ボリス「ニュータイプの放つ脳波に反応すると、パイロットの意思に関係なく
    ニュータイプを倒すために行動する狂戦士へと変貌する」

フォーエバーはZZの攻撃を避けつつ、ファンネルとビームライフルによる攻撃でZZを押していく。

ジュドー「こいつ…強い!」

ZZとフォーエバーの戦闘にリゼルと戦っていたケンプファーが加わる。

リディ「ガンダムのパイロット!ソイツは見た目こそ旧型だが、突撃力が半端じゃない!」

ケンプファーは前傾姿勢でZZへ向かって突き進み、ショットガンで攻撃する。

ZZは瞬時にケンプファーからの攻撃に対して回避行動をとったが、左足にいくつかの弾丸が命中する。

ジュドー「クソッ…!」

ボリス「もらったぞ」

ジュドー「!」

フォーエバーはZZに接近し、ビームサーベルを振り下ろす。

ZZは右手に持つGヒート・ホークで対応したが、フォーエバーはビームサーベルでGヒート・ホークの柄を切断した。

ジュドー「こんのおおおおおお!」

ZZは手に残ったGヒート・ホークの柄をフォーエバーに投げつけ、
続けてダブルバルカンとダブルビームライフルによる攻撃でフォーエバーと再び接近してくるケンプファーを遠ざけた。

アンジェロ「後ろをとったぞ、ガンダム!」

アンジェロ機がZZの背後にビームサーベルで斬りかかる。

ジュドー「うざったい!」

ZZはバックパックからミサイルを斉射し、アンジェロ機に攻撃する。

ジュドー「ッ!?」

フォーエバーはファンネルでZZに再び攻撃を仕掛ける。

ジュドー「!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

BD1はシナンジュに標的を変え、攻撃を仕掛けていた。

フロンタル「無茶な戦い方だ。とても人が動かしているとは思えん」

フロンタル「それに、ヤツから感じる殺気は歪だ、無理やり発せられているような」

BD1はシナンジュのビームライフルによる攻撃を避けきり、間近にまで迫る。

フロンタル「接近戦を仕掛けるつもりか!」

シールドにあるビームアックスの刃を出し、ビームソードアックスで対抗しようとした
シナンジュにBD1は腹部両脇の有線ミサイルを撃ち込んだ。

フロンタル(接近戦の間合いでミサイルを撃ち込んでくるとは、自身にもダメージが来るぞ!)

シナンジュは咄嗟にシールドで防御し、ミサイルから機体を守る。

シールドはミサイルが直撃し、爆発したことで砕け、シナンジュは爆風から逃れるためにすぐにその場から離れた。

フロンタル「ぬっ!」

BD1がビームサーベルでシナンジュに斬りかかる。

シナンジュは空いた左手にビームサーベルを持ち対抗した。

BD1は自身の放ったミサイルの爆風に対してシールドを犠牲にする代わりに自身へのダメージを免れていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バナージ「この四枚羽根のMSやっぱり強い…!」

マリーダ「今度こそ捕える!」

バナージ「接近される…!ビームマグナムは当たらない、ビームサーベルを!」

マリーダ「遅い!」

ユニコーンはビームマグナムをしまい、右腕前腕部のビームサーベルを使おうとした瞬間クシャトリヤに体当たりされた。

体当たりによって吹き飛んだユニコーンはデブリに激突する。

バナージ「…!ぁ…」

クシャトリヤはビームサーベルを取り出し、ユニコーンを襲う。

バナージ「――やられる…!」

マリーダ「抵抗出来ないように腕を切り裂く」

バナージ「(オードリー…)俺は…!…ぁぁあああああああ!!」

ユニコーンの機体の隙間が赤く発光し全身の装甲が展開する――ユニコーンはデストロイモードへと変身した。

マリーダ「ガンダム…!」

「――!」

フロンタル「――何だ?」

シナンジュと戦っていたBD1は何かに吸い寄せられるようにシナンジュの下から離れていく。

マリーダ「…速い!」

ユニコーンはクシャトリヤとの戦闘を互角以上に進めていく。

バナージ「―――…!」

『排除スル…!』

バナージ「声!ジム頭か!」

ユニコーンとクシャトリヤの戦闘にBD1が入り込む。

バナージ「あのジム頭から発せられる殺気…パイロットからじゃない」

『宇宙を乱ス…消エテシマエ…!』

バナージ「!――頭…!」

バナージ「頭にある機械が、パイロットを狂わせている!」

バナージ「頭さえ潰せば!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジュドー「ビームのエネルギーがやばい…!」

リディ「こいつら…何故ネェル・アーガマを攻撃しないんだ!俺たちばかり狙って――しまった!?」

フォーエバーが放ったビームに、リゼルは咄嗟にシールドで防御した。

リディ「う…!」

ボリス「フフフ…」

リディ「…戦いを楽しんでやがるのか…!」

ジュドー「すばしっこい!」

ケンプファーを相手にするZZにフォーエバーがファンネルで攻撃する。

ジュドー「!――おおおおおおお!」

ZZは接近してきたケンプファーを蹴り飛ばし、ダブルビームライフルで
迫る四基のファンネルを狙い撃ち、一度の発射で同時に二基撃ち落とした。

残りの二基がZZを攻撃する。

ジュドー「!」

ZZは直ぐに回避行動に移ったが、腕や脚にファンネルが放ったビームが掠める。

ボリス「そこだ」

フォーエバーはZZがケンプファーからダメージを受けていた左足にビームを撃ち込む。

ビームはZZに命中し、ZZの左足が破壊された。

ジュドー「わあああああ!」

リディ「ガンダム!――紫色、やらせるか!」

アンジェロ「チッ、邪魔をするな!――あの光は…」

リディ「今度は青い光…!また敵が出るのか!?」

青白い光からMSが出現する。

ジュドー「あの光から出るのは俺たちの味方――ガンダム!」

Gセイバー…スペースモード(以下Gセイバー)

マーク「何だ!?サイド・ガイアの警備をしている最中に光に包まれて…!」

ジュドー『そこのガンダムのパイロット!』

マーク「子どもの声…!?しかもあの機体はGセイバーに似ている」

ジュドー「悪いMSに襲われているんだ、助けてくれ!」

マーク「どういうことだ、何故イルミナーティのMSに乗っている!」

ジュドー「いるみなーてぃ?…とにかく助けてくれ、やられちゃうよ!」

ボリス「Gセイバー…宇宙世紀220年代のガンダム――その実力見せて頂く」

ケンプファーがGセイバーに襲いかかる。

マーク「!――襲ってくるなら倒すぞ!」

ケンプファーとGセイバーは互いに攻撃を行いつつ接近していく。

マーク「機動性が高いようだが、Gセイバーだって負けてはいない!」

Gセイバーとケンプファーは互いにビームサーベルに持ち替え、接近戦を始める。

Gセイバーは左腕のビーム・シールドを起動し強引にケンプファーのビームサーベルを受け止め、
ビームサーベルでケンプファーの機体を切り裂いた。

アンジェロ「ビームのシールドだと…?」

ジュドー「俺たちの時代と同じ位のMSの大きさでビーム・シールドを使ってるってことは」

ジュドー「ウッソの前の時代…それとも、また違う世界のガンダムか?」

ボリス「機動性の高いケンプファーを倒すとは、背中と腰の大型スラスターは伊達ではないということか」

マーク「あれもGセイバーに似ている…!」

攻撃してくるフォーエバーにGセイバーは応戦する。

ZZもフォーエバーに向かっていく。

ジュドー「ガンダムのパイロットのお兄さん、協力してあのガンダムを倒すんだ!」

マーク「子どもは下がっていろ、あのMSの相手は僕がする」

ジュドー「一人じゃ無理なんだよ!」

フォーエバーは自身の周囲に赤い光を出現させ、破壊された分二基に加え
さらに四基のファンネルを呼び出した。

マーク「…そうかもしれない」

ジュドー「ファンネルは俺に任せてくれ――あの武器は俺の方が得意だ!」

マーク「ファンネル?」

ジュドー「敵のガンダムの周りを飛び回っているヤツ!」

マーク「僕はガンダムってヤツを倒せばいいんだな――了解!」

Gセイバーはフォーエバーへ向かっていき、ZZはフォーエバーがGセイバーの方へ
向かわせた八基のファンネルを攻撃する。

Gセイバーはファンネルからの邪魔を受けることなく、フォーエバーとの
ビームライフルでの撃ちあいに入った。

フォーエバーはファンネルを装着している部分に装備されていて、ファンネル分離中に
使用可能となる小型ビーム砲も用い、Gセイバーを攻撃する。

Gセイバーはフォーエバーの攻撃を避けつつ、またビーム・シールドで受け止めていき接近していく。

マーク(このまま接近戦にもっていく!)

ボリス「ビームが効かないのであれば」

フォーエバーはシールドを捨て腰に装備していたガンダムハンマーを取り出し、
棘付きの鉄球をGセイバーへと向かわせた。

ボリス「ビーム・シールドを突き破る程の巨大な質量による攻撃を使う!」

マーク「何!?」

Gセイバーは回避に間に合わず、咄嗟にビーム・シールドで防御しようとした。

しかし、鉄球はビームに焼かれながらもビームの壁を突き破って左腕に命中し、Gセイバーに強い衝撃を与える。

マーク「うわああああああ!」

体勢を崩したGセイバーに、フォーエバーは再び攻撃を仕掛けようとする。

ジュドー「ガンダム!?」

ZZはダブルビームライフルでフォーエバーを攻撃するが、四基のファンネルが作り出す
ビーム・バリアーに防がれた。

さらにフォーエバーは手元に赤い光を呼び出し、光の中からチェーンマインを取り出す。

フォーエバーはGセイバーが体勢を立て直す前に、チェーンマインをGセイバーの機体に巻きつけた。

マーク「!――両腕ごと縛り付けられた!?」

ボリス「これで手足を使った宇宙空間での姿勢制御――AMBAC(アンバック)も十分に行えず、
    碌に動くことが出来まい」

マーク「――外れない!」

ボリス「機体を縛り付けている連結した吸着型機雷――チェーンマインは時限式…
    起爆するまで仲間が倒されるのを見ていたまえ」

ボリス「今度は君だ、ダブルゼータ」

ジュドー「くっ!」

フォーエバーは自身の前面に四基のファンネルでビーム・バリアーを張りZZからのビーム攻撃を防御、
そして背中に装備した四基のファンネルのビームキャノンで攻撃しつつ接近し距離を詰めていく。

ボリス「ダブルゼータ、ビームの出力が弱まっているぞ――パワー自慢が台無しだ」

フォーエバーが赤い光から武器を取り出す。

ジュドー「!――ハンマーか!?」

ボリス「これはGセイバーに使ったものとは違うぞ」

フォーエバーは防御、攻撃に用いていた八基のファンネルを全てZZに向かわせた。

ジュドー「…!」

ZZがファンネルへの対処に気を取られた一瞬を突き、フォーエバーはZZに向けて
赤い光から取り出した武器、ハイパーハンマーの鉄球を放つ。

鉄球に備わるバーニアが噴射し、さらなる勢いとガンダムハンマー以上に鋭くなった棘
を持った鉄球はZZを襲う。

鉄球はファンネルを撃ち落としていたZZの腹部に命中した。

ジュドー「ああああああああ!!」

フォーエバーはZZの下半身を中心にチェーンマインを巻きつける。

ボリス「整備はきちんとしておくものだ、ガンプラへの情熱が足りないな」

ボリス「これで終わりだ、アプロディアの戦士たち」

マーク「――!」

Gセイバーは両腕を始めとするチェーンマインが張り付いている装甲の部位をパージし、
チェーンマインと機体の間に隙間を作りバーニアを吹かして脱出した。

ボリス「あの機体…素体フレームと装甲が別々なのか!」

マーク「背中と腰のスラスターがあればスピードは十分だ!」

チェーンマインの爆発を背に、Gセイバーはフォーエバーに攻撃を開始し、フォーエバーがそれに対処しようとする。

ジュドー(あのガンダムに気を取られた!)

ZZは下半身を外し、下半身を構成するパーツであったため共に外されていたバックパックから
ハイパービームサーベル一本を持ち、チェーンマインの束縛から脱出する。

上半身のみのZZは、出来る限りのエネルギーをハイパービームサーベルに回し、
フォーエバーに向かって突撃する。

ジュドー「おおおおおおおおお!!」

ZZのハイパービームサーベルがフォーエバーの胸部を貫く。

ボリス「――!!」

フォーエバーの指示により、周囲のファンネルがZZに攻撃を加えようとする。

ジュドー「まだ動く!?」

マーク「させるか!」

すかさず、Gセイバーがフォーエバーに止めのビームを放ち、フォーエバーは撃破された。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ユニコーンとBD1は互いに接近しつつ、また距離をとりつつ撃ちあう。

バナージ(すごく近づいてからビームマグナムの引き金を引いても相手は避ける…!)

「…!」

BD1は空いた左手から赤い光を発し、光の中からビームライフルを取り出した。

BD1は右手にマシンガン、左手にビームライフルを持ちビームライフルで攻撃しながら
ユニコーンへ接近する。

バナージ「ビームは効かない!」

シールドから発生させたIフィールドでビームを弾き、接近していく。

ユニコーンが接近してきたのを見計らいBD1はマシンガンや胸部のバルカン砲による
攻撃を加えた。

BD1はビームをおとりに、ユニコーンに対し近い距離での実弾による一斉攻撃を仕掛けたのだ。

バナージ「――!!」

ユニコーンはバナージが〈避けなければ〉と判断した瞬間、その思考に命じられるままに
BD1の攻撃を避けていく。

バナージ(ユニコーンガンダムのNT-D――リミッター解除での稼働可能時間は5分…)

バナージ(何かの機体にジムの頭を取って付けたようなヤツ――ジム頭に対抗するにはこの状態じゃないとダメだ)

バナージ(ビームマグナムも撃つだけ無駄――なら接近戦で!)

ユニコーンはビームマグナムとシールドをしまい、ビームサーベルを取り出しBD1に
接近戦を仕掛ける。

ユニコーンの接近戦に対し、BD1も両手の武器を捨てビームサーベル二本で接近戦に応じた。

ユニコーンとBD1は激しくビームサーベルをぶつけ合う。

バナージ「ッ!」

ユニコーンは左腕前腕部から起動させたビームトンファーを頭部への不意打ちに用いるが、
BD1はその攻撃を察知して後ろに下がり、胸部からミサイルを発射した。

バナージ「――!?」

「!」

BD1の真下からビームの群れが襲い掛かる。

BD1はビームを避けていく。ユニコーンに向かって放たれたミサイルはそのビームの群れに破壊された。

下からの攻撃に気を取られた隙を突き、シナンジュがBD1の真上からビームライフルで
攻撃しつつビームサーベルでBD1に襲い掛かる。

さらにクシャトリヤがBD1にビームサーベルで襲い掛かった。

バナージ「さっきの攻撃は四枚羽の――ジム頭を倒すのに協力する?」

フロンタル「三方向からの同時攻撃…いかに殺気を感知出来ても、それに対処出来ねば
      意味があるまい!」

マリーダ「やれ、ガンダム!」

BD1はシナンジュとクシャトリヤの左右から振り下ろされるビームサーベルを
両手それぞれに持つビームサーベルで受け止める。

BD1はユニコーンの前で両腕を塞がれた状態となった。

バナージ「――頭…!」

正面からユニコーンがBD1の頭部目掛けて右手に持つビームサーベルで斬りかかる。

BD1は頭部バルカンで右手を狙う。

バナージ「…!」

ユニコーンはその攻撃でビームサーベルを落とすが、構わずに右の拳をBD1の顔面に押し付けた。
そして右腕前腕部のビームトンファーを起動する。

ビームトンファーで頭部を貫かれたBD1は動きを止めた。

バナージ「やった…!」

『         』

バナージ「――!…!!!!?」

バナージ「パイロットの声が、消えた…?俺は、パイロットの――――ぐっ――!?」

マリーダ「撃破に協力したとはいえ敵の前で動きを止めるとはな」

ユニコーンは背後からクシャトリヤの四枚の大型バインダーから伸び出た隠し腕により
両手足を捕まえられた。

そしてユニコーンの前にシナンジュが立つ。

フロンタル「ご苦労だった…ガンダム」

ユニコーンの腹部に、シナンジュの拳による強烈な一撃が見舞われた。

バナージ「―――――――ぁ!!」

リディ「!――ガンダムが!」

バナージ「ごめん…オードリー…」

ユニコーンは変身を解き、ユニコーンモードへと戻る。

引き上げるクシャトリヤ、動かなくなったユニコーンを抱えるシナンジュやアンジェロ機等を
追いかけようとするリゼルに、クシャトリヤがファンネルで攻撃し足止めをした。

リディ「!」

リゼルがその攻撃に対処している間に、シナンジュ等はユニコーンを連れ引き上げた。

リディ「…逃げられた……!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

コア・トップ…ダブルビームライフル、ZZの上半身、コア・ブロックで構成される形態

ジュドー「下半身に取りついた爆弾、結局爆発しちまった…上半分だけでどう戦えっていうんだ」

ジュドー「バナージも、連れ去られちまった…クソ……!」

コア・トップとGセイバーの前に青白い光が現れる。

ジュドー「――光…次は何処へ連れて行く気だ」

マーク「この光は…」

今回はこれで以上です。

見て下さった方、ありがとうございます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
回想――ガンダムUCの世界

RGM-86RジムⅢ

フロンタル「連邦軍のMSと戦闘状態に入った――いや、応援はいらん…私一人でやる」

シナンジュは四機のジムⅢを相手に立ち向かう。

シナンジュがビームライフルでジムⅢを一機撃破したのを見て、
三機のジムⅢはシナンジュをビームライフルで攻撃しつつも後退していった。

フロンタル「逃げるか…母艦はそちらにあるのか、つけさせてもらう」

追跡中、突然シナンジュの前に赤い光が現れ、そこからMSが出現した。

フロンタル「何…!?」

GGF-01フェニックスガンダム(以下フェニックス)

フロンタル「――ガンダムだと…!」

G・S『作戦行動を執っている所を邪魔して済まない…時間のロスはさせないから安心していい』

フロンタル「通信?電子音声…」

G・S『出来れば早いうちに君と会いたかったからね、シャアの再来――フル・フロンタル』

フロンタル「何者だ」

G・S「ジェネレーション・システム――君の味方だ」

フェニックスは赤い光を放ち、自身とシナンジュを包み込んだ。

フロンタル「…ここはどこだ?」

G・S「私がどういう存在であるか、ここへ連れてきた方が早いと思った」

フェニックスが連れてきたのは赤色の空間であった。

フェニックスの背後には地球がある。そして周囲には映像が散らばって表示されている。

映像の中身は様々なMSの戦闘場面である。

G・S「U.C.、A.W.、F.C.、A.D.、.A.C.、A.G.、C.E.、C.C.、その他ガンダム・ワールドの
世界で繰り広げられている戦いの記録だ」

フロンタル「夢であって欲しいものだな」

G・S「この状況をどう思うかは君の自由だ…ただ、覚えておいて欲しいことがある」

フロンタル「…」

G・S「私が出てきたように、赤い光から出てくる機体は君の味方だということだ」

G・S「それらはきっと、君の前に現れる障害を排除してくれる心強い存在となる」

フロンタル「私を助けることが、そちらにとってどのような利益をもたらされる?」

G・S「世界を次のステップへと進ませるための力になる」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                     ・
                     ・
                     ・
フロンタル(“ニュータイプだけの世界にしてみせる”)

フロンタル(聞こえのいい言葉を吐き、しかし自分の本心を語ろうとしない――とてもマシンとは思えぬ存在だった)

フロンタル(二機のガンダムや青いジムとの戦闘も含めて、ヤツはただ戦いを作り出して楽しみたいだけにしか思え        ないがな)

フロンタル(とにかく、ヤツがふざけた存在であることは十分に分かった)

フロンタル(しかし対抗手段が分からぬ今は様子見としたいが、果たして――)

フロンタル「皆にはどのように説明すべきかな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――スペースコロニー…フロンティアⅠ

F91_ガンダムF91(以下F91)

シーブック「どういうマシーンなんだ!?」

XM-07ビギナ・ギナ(以下ビギナ)

セシリー「知らないのよ、クロスボーン・バンガードだって一つじゃないし」

コロニー内を飛んでいるF91に数機の全長3.9m程の円盤型自律兵器、バグが襲い掛かる。

F91はビームライフルでバグを撃ち落とそうと引き金を引くが、機敏に動くバグにあてることが出来ずにいた。

シーブック「あたれよ!下手に撃ってコロニーに傷をつけたら…――う!」

二機のバグがF91のコックピットを狙い接近する。

それらをF91は胸部のメガマシンキャノンを使って撃墜した。

シーブック「…ッ!」

F91はビームライフルを投げ捨て、ビームサーベルを取り出し機体を切り裂こうと接近してくる
バグをビームサーベルやサーベル状にしたビーム・シールドで迎え撃った。

F91はバグの突撃に合わせて反撃することで確実にバグを撃破していく。

RGM-109ヘビーガン

ビルギット「人間だけを殺す機械かよ!」

地上に降りてバグを迎え撃っていたヘビーガンだが、バグによりシールド、右手首、両足と切断されていった。

シーブック「ビルギット、もっと動くんだ!」

ビルギット「こいつらっ!こいつらっ!こいつ!」

両足を失ったヘビーガンは上昇し、バグを追い払うため左手でビームサーベルを振り回す。

しかし、それをくぐってヘビーガンの胸部にバグが襲い掛かる。

その時、どこからか放たれた真紅色の光がバグを消し飛ばした。

ビルギット「…!」

RX-78-2ガンダム

青白い光からフロンティアⅠの地上に出たガンダムは、Gジェネレーションの世界で
拾っていたジンクスⅢのGNビームライフルでヘビーガンに迫るバグを破壊すると、

装甲がへこみ、焼け焦げている左足の方へ機体の重心が偏って倒れそうになったため、
そうならないよう右足と右腕でバランスを取りなおそうと踏ん張った。

アムロ「コロニーの中で重力があるから…被弾した左足のせいで機体のバランスが悪くて立ちにくい!」

シーブック「大型のMS、いつのまにいたんだ?」

セシリー「地上に青白い光…?」

RX-78NT-1-FAガンダムNT-1/アレックス…チョバムアーマー装備(以下アレックス)

クリス「なに?…ここは――あの二つ目のMSは?」

クリスはアレックスのセンサーやモニター等を通して状況を確認する。

クリス「紫色の大きなコマやMSが飛び回ってる…」

クリスはバグが建築物や車両を切り裂いている姿。バグから同型の小さいバグが出てきて、
それらがレーザーを発射して人間を焼く姿、そしてバグを破壊する自身の機体よりも小さいMSを見る。

クリス「なんなの、これ…?」

アル「うわーーーー!!!」

アルフレッド・イズルハ(以下アル)は青白い光に包まれた後、突然変わった、
しかも奇妙な機械やMSが飛び回る異様な光景にパニックを引き起こしていた。

アレックスのカメラはおびえるアルを捉える。

クリス「アル?!どうして?!」

アルの叫びに反応して、数機のバグがアルの方へ向かう。

クリス「…!」

アレックスはとにかく逃げようと思い走るアルを追いかけ、接近するバグを追い払おうと両手を振り回した。

多数のバグは群がるのを邪魔された羽虫のように散らばる。

クリス『アル!動かないでそのまま伏せて!』

アレックスから聞こえた声に、アルは立ち止まる。

アル「クリス…?」

バグが激突した衝撃で、右腕のチョバムアーマーの装甲が破けた。

アムロ「あのガンダム!そのままでは切り刻まれるぞ!」

ガンダムはアレックスを襲うバグを狙い撃とうとGNビームライフルの引き金を引く。

アムロ「…!?ビームライフルのエネルギー切れか!」

ガンダムはGNビームライフルを捨て、ビームサーベルを抜いた。

アレックスは右腕前腕部に収納されているガトリングガンを露出させ、真っ直ぐに向かってくるバグを破壊した。

セシリー「ビギナ・ギナが傍にいれば識別でバグに襲われない!」

ビギナはヘビーガンの傍に寄り、自身を盾にしてバグの接近を阻んだ。

ビルギット「…敵だったヤツに守られるなんて」

シーブック「とにかく、こいつらを全部破壊するんだ!」

F91は両手にビームサーベルを持ち、手首を回転させビームサーベルを振り回した。

散らばっていたバグは、F91の発する熱や、音や、挙動に吸い寄せられるように集まっていく。

シーブック「もっとだ、もっと、もっと来い!」

アムロ「こっちだ!」

ガンダムは走り回りながら接近してくるバグをビームサーベルで切り裂いていく。

アレックスは右腕のガトリングガンと左手のビームサーベルでバグの接近を阻む。

クリス「来ないで!散って!」

シーブック「うおおおおおーーー!!」

F91、ガンダム、アレックス三機の奮戦により、コロニー内にいた多くのバグは破壊され、姿を見せなくなった。

アムロ「一通り、破壊出来たのか?」

シーブック「ハァ…ハァ…ハァ…!」

F91はゆっくりと高度を下げ、地上へ着地する。

アムロ「空を飛ぶ小型のガンダム、かなりの数を一機で落としていたぞ…
――小型、ビームのシールド、ここはウッソのいる時代かそれに近い時代なのか?」

シーブック「ハァ…ハァ…――何だ?」

アムロ「コロニーの上空に赤い光…ジェネレーション・システムのMS部隊か!」

ovv-fガフラン…飛行形態

ovv-aバクト…飛行形態

それら四機のガフラン達を追ってきたかのように、ガフラン等の背後から青白い光が現れMSが出現した。

AGE-1_ガンダムAGE-1ノーマル(以下AGE1)

フリット「見つけた…UE!」

AGE1はバーニアを吹かしてガフランに接近しつつドッズライフルで攻撃した。

狙われたガフランは回避が間に合わず螺旋状に回転するビームに消し飛ばされた。

それ以外のガフランはMS形態に変形し、振り返り腹部の拡散ビーム砲や掌のビームバルカンで反撃にでた。

AGE1はガフラン達の攻撃に怯むことなく、シールドで機体を守りつつ前進しドッズライフルで攻撃した。

シーブック「回転するビーム…」

アムロ「新しいタイプのガンダム」

フリットはモニターに映る光景と自身が居たはずの状況の違いに戸惑いを覚えたが、
すぐに頭を切り替え目の前の敵に集中した。

フリット「とにかくここが何処だろうと、UEの好きにはさせない!」

AGE1はドッズライフルでガフランを攻撃する。

ガフランは飛行形態に変形してバラバラに散らばり、空を飛び回って空中戦に不利なAGE1を翻弄する。

滞空時間に限界が来たAGE1は着地するが、着地時の姿勢制御の一瞬をのガフランとバクトに狙われた。

二機の、上空からの尻尾のビームキャノンによる攻撃を受け、AGE1は倒れ臥した。

フリット「うぅっ…町を壊して――しまった!」

ガフランがMS形態に変形してAGE1の前に着地し、掌から発生させたビームサーベルでAGE1を貫こうとする。

フリット「やられる!」

その時、ガフランの背部に多数の砲弾が命中する。ガフランの装甲にはあまり効果がなかったが、動きは止まった。

フリット「今だ!」

その隙にAGE1はバーニアの噴射でガフランから離れた。

アムロ「バルカンじゃ倒せない!――なら」

フリット「あれは…」

ガンダムはガフランに向かって走りながらビームサーベルをビームジャベリンに変形させ、
自身に攻撃を仕掛けようと正面を向けようとするガフランに投げつけた。

フリット「小さい頃見た、伝説の戦士の絵と同じだ…」

ビームジャベリンのビームの三つ叉の槍頭がガフランの胸部に突き刺さり、ガフランは爆散した。

ガフランの機体の残骸から発せられる炎の中をガンダムは歩き、向かい合うAGE1に近づく。

アムロ『胸のAマークのガンダム、大丈夫ですか?』

フリット「救世主――ガンダム」

アムロ『救世主?』

フリット『え、あの!そのMSはガンダムを模して作ったんですか?』

アムロ「模するもなにも…これは宇宙世紀でのオリジナルのガンダムです」

フリット「宇宙世紀?A(アドバンスド).G(ジェネレーション).じゃ…」

ガンダムとAGE1に向かってMS形態のバクトが上空から飛来する。

アムロ「さっきのとは別」

フリット「新しいタイプ…――下がってください!こいつは僕が!」

AGE1はドッズライフルで攻撃する。

バクトは左腕を、機体を守るようにかざし、防御の姿勢を取った。

フリット「!」

ドッズライフルからのビームはバクトの左腕に命中したが、命中したビームは拡散した。

バクトは自身の纏っている電磁装甲でドッズライフルのビームを拡散、無効化させたのだ。

バクトは無傷である。

フリット「ビームを弾いた!?」

バクトのビームバルカンによる反撃を二機は散開して避け、AGE1は再びバクトを
ドッズライフルで攻撃する。

バクトは右腕でビームを受け止め、ビームを防いだ。

アムロ「ビームが効かないのは腕だけか!」

ガンダムはガフランの撃破に使用して、その破片の傍に落ちていたビームの刀身が消えている
ビームジャベリンを拾う。

アムロ「接近戦で腕以外を狙えば」

フリット「!――小さいガンダム!?」

シーブック「あと一機!」

空中でF91はバクトと対峙した。

バクトは飛行形態となりF91に接近する。

F91は背面に懸架されている左右のヴェスバーを移動させて両手に持ち、飛び回るバクトに照準を定める。

シーブック「こいつのビームなら効くだろ!」

F91はヴェスバーのビームをバクトに向けて発射した。

バクトは咄嗟に両腕を前に出して防御の態勢を取ったが、
弾速を速くさせ、貫通力を高められたヴェスバーのビームはバクトの電磁装甲を貫通し、バクトを破壊した。

アムロ「あのMSの装甲を撃ち抜いた…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フリット「ジェネレーション・システム、アプロディア、ガンダム・ワールド…」

ビルギット「そいつらのおかげで昔の伝説の機体とあのニュータイプ、アムロ・レイにお目にかかれるなんてね」

アムロ「同じ宇宙世紀でも、別の世界の人間です。この世界の僕とは違います」

ビルギット「わかってるよ」

ビルギット(だが、あの素早いバグを撃ち落としたんだ)

クリス(実際に見ると、聞いていた以上に幼い…この子がアムロ・レイ少尉――それに他の子たちも…)

フリット「ニュータイプってなんですか?」

シーブック「君みたいにMSを上手く扱えちゃう人のことだよ」

フリット「?」

セシリー「それで、そのアプロディアがあなたたちを転移させるまでどうするつもりなの?」

クリス「どうすれば…」

アムロ「シーブックさんたちに付いていきます」

シーブック「ジェネレーション・システムが僕を狙う可能性があるからか?」

アムロ「はい。ジェネレーション・システムは、とにかく様々な世界のガンダムと名の付く
MSと戦いたいみたいですから」

セシリー(マシンによる人への攻撃…鉄仮面もやっていることはその機械と同じか)

アムロ「とにかくアプロディアの言う通り、この世界と別世界から来たガンダムと協力して、目の前の敵を倒していく」

クリス「そして大本のジェネレーション・システムを倒さなければ、元の世界に戻れない」

アムロ「そうです」

アル「まだ帰れないってこと?」

クリス「そうみたい」

アムロ(アプロディア…何故この戦いに関係しそうにない子どもまで連れてきたんだ?)

ビルギット「俺たちの手伝いをしてくれるのはありがたいが、お前のガンダムはどう見てもボロボロだぜ?」

アムロ「問題はそこです。武器もほとんどありません…小型MSの武器なんて小さくて持てないし」

シーブック「戦艦――スペース・アークになら、まだ武器があるかもしれない。
ただあったとしても、ジェガンタイプ用のだから大きいかもしれないけど」

セシリー「ビルギットさんと、アルフレッド君もスペース・アークに収容してもらいましょう。
でも、大丈夫かしら?MSがスペース・アークに近づいたら、折角上手く戦いから
抜け出せているのに、敵がそちらに向かうかもしれない」

シーブック「そのために、僕たちで注意を引くんだ」

セシリー「そうね…そして敵を倒す」

フリット(UEじゃなくて、人と戦う)

クリス「アスノ君はどうする?」

フリット「!…僕もアムロさんたちと行きます!」

クリス「わかったわ…レイ少尉、アレックスを使ってください」

アムロ「アレックス?」

クリス「私の乗ってきたガンダムNT-1のコードネームです」

クリス「左腕のガトリングとビームサーベル、バルカンが使えます。チョバムアーマーのおかげで
     機体にも大きな損傷はありません――今はこんな状況です、戦いに使えるものは使ってください」

アムロ「わかりました、アレックスをお借りします。その代わりに、ガンダムをお願いします」

シーブック「彼らのこと、どうします?ビルギットさん」

ビルギット「折角のご厚意だ…参加してもらえ。お前も頼んだぞ、シーブック」

シーブック「はい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シーブックたちはそれぞれの機体に搭乗する。

シーブック(ニュータイプは大概個人的には不幸ってビルギットさんが言ってたけど)

シーブック「不幸にしているのはガンダム、か」

セシリー『シーブック、急がないと次のバグが来るかも』

シーブック「クロスボーン・バンガード――あんなマシンを考えるなんて…怖いぞ」

セシリー『いいえ、おじい様も、クロスボーンの艦隊も、ザビーネだって知らないことよ』

シーブック「どういうこと?」

セシリー『鉄仮面』

シーブック「一人のことか?」

セシリー『そう』

シーブック「なら、鉄仮面をやるしかない」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アムロ「アレックス…カミーユさんに見せてもらったゼータのコックピットに近い」

アムロ「同じ宇宙世紀で同じ年代に、ここまで技術が発展しているなんて」

アムロ「後は僕がこいつを使えるかどうかだ。いきなり実戦だものな」

アムロ「…クリスチーナさんは、バグとの戦いのとき、この機体を
     少し持て余しているように感じた。調整役の彼女がそうなのにやれるんだろうか?」

アムロ「――とにかく、精一杯やるんだ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フリット(UEとじゃなくて、人と戦う…コロニー・ファーデーンで発見して、
      赤い光の中に消えていくUEを追いかけたら青白い光に包まれて、こんなことになるなんて)

フリット(戦争をもたらす存在、ガンダム…僕がガンダムを造ったから、人同士の戦争に巻き込まれた?)

フリット(僕は、UEから人を守るために戦っているのに…)

シーブック『いいですか?』

フリット「…!はい!」

シーブック『僕とセシリー、アムロ、フリットはあそこの…鉱山側の方から宇宙に出ます』

フリット「コロニーの端の岩壁の穴から…」

シーブック『クリスさんは反対の、太陽側の港口からスペース・アークを追ってください。
       クロスボーン・バンガードとの遭遇を避けられるはずです
       ――ジェネレーション・システムの方は知りませんが』

クリス『わかったわ』

セシリー『別世界とはいえ、MSの技術に差があるのに、クロスボーン・バンガードのMSと戦えるかしら?』

シーブック『あのバグを破壊出来たんだ。それにF91はフリットのいる世界のMS…UEを倒せた』

アムロ『アプロディアからは、“世界ごとの性能格差が、その世界内での位置づけに依存する”と説明されました』

フリット「それだけじゃ、よく分からないですけど何かしらの力が働いてるおかげで
      僕たちは戦えるようになっているんですね」

アムロ『そうでなきゃ、MSが生まれたばかりの時代にできたガンダムが、
     モビルアーマーに変形するMSや、特殊な粒子を用いて性能を向上させる飛び回るMS、
     自己修復や増殖を行うMSなどに敵うはずがない』

クリス『そこまでMSの技術が発展している世界があるのね…』

シーブック『行こう』

アムロ「はい」

フリット(元の世界に帰るには、戦わなきゃいけないんだ。
      母さんやブルーザーさんの願いを、ガンダムを救世主にすることを叶えるために…)

フリット「さあ行こう――ガンダム!」

F91、ビギナ、アレックス、AGE1は鉱物採集用の小惑星が接続されている方へ向かい、
そこからコロニーの外へ出るために発進した。

ビギナは両足と右手首を失っている、ビルギット機のヘビーガンを抱えて飛ぶ。

セシリー「鉄仮面、必ず私が止める」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ビルギット「ガンダムのコックピットには人が三人も入れないですからね、右手に乗りますよ!」

ガンダムのコックピットに座るクリスに向かって、ビルギットが大声で話す。

クリス「すいません、ピリヨ少尉」

アル「いいのクリス?ガンダムをあのお兄ちゃんに貸して」

アルが自身の座る膝の主に尋ねる。

クリス「ええ、アムロ・レイ少尉は凄いパイロットなの。きっとアレックスを使いこなしてくれる」

アル「…あんな頼りなさそうなヤツより、バーニィの方が絶対強いよ」

クリス「ん?」

アル「なんでもない!」

クリス「そう」

クリスはガンダムのコンピュータの設定を確認する。

クリス「え…!?」

アル「?」

クリス(こんな設定で動かせるの?これじゃ機体が敏感すぎて、それに操縦系に異常が…)

アル「クリス、どうしたの?」

クリス「設定を変える時間はない…アル、捕まってて」

クリスは右の手のひらを地上に下ろし、ビルギットを乗せる。

ビルギット『ここはミノフスキー粒子が濃いので、スペース・アークに通信を送るには余程近づかないといけません』

ビルギットからの、ノーマルスーツから機体ごしでの通信にクリスは応じる。

クリス「わかりました」

クリスはガンダムを発進するよう操作する。

しかし、クリスの予想以上の反応でガンダムはその操作に応じた。

ガンダムは、機体のバランスを崩し、危うく前に倒れそうになる。

アル「うわぁっ!?」

クリス「うっ!」

ギリギリのところでガンダムは倒れるのを踏みとどまった。その際も、ガンダムの機体は揺れる。

アルはクリスの身体にしがみつき、ビルギットは手のひらから落ちないようガンダムの指に必死でしがみついた。

クリスはすぐにバランスを整え、少し前のめりの状態でガンダムは静止した。

ビルギット「おい!危ないじゃないか!」

クリス「すいません!」

クリス(…ニュータイプ……本当なんだ――きっとアスノ君やアノー君、フェアチャイルドさんもそうなのね)

アル「大丈夫?」

クリス(――考えてる暇なんてない。自分の出来ることを、するしかない)

クリス「大丈夫よ、感覚は掴んだわ――お願いね、ガンダム」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フロンティアⅠと接着している小惑星に三機のMSが到着していた。

XM-01デナン・ゾン

XM-02デナン・ゲー

ザビーネ・シャル(以下ザビーネ)率いる黒の戦隊である。

自身が乗るデナン・ゲー含め三機とも機体は通常と違い黒に染まっている。

ザビーネ「あれはザムス・ガルの船首部分…」

デナン・ゲーは小惑星からコロニーへと繋がる出入り口近くに接舷している、
ザムス・ガルの艦首部≪ガル・ブラウ≫へ接近しようとする。

「なんだ?――頭上に赤い光が!大きい!」

「巨大な何かが出てくる…!」

ジェネレーション・システムが出現させた赤い光から現れたのは、巨大なモビルアーマーだった。

XMA-02エビル・ドーガ

ザビーネ「何だ、これは…」

『攻撃しますか?』

ザビーネ「待て!」

エビル・ドーガはゆっくりと小惑星に向かって降下する。

ザビーネ(この作戦を指揮する鉄仮面なら何か知っているか…?)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シーブックたちは鉱山内をそれぞれF91とビギナ、アレックスとAGE1の二手に分かれて進んだ。

アムロはコロニーの外へ向かいつつ、アレックスの能力を知るために狭い空間の中で様々な動作や飛行を試みた。

腕の動きや腰の回転、壁を利用し、通り道の壁に沿って進み、前方の障害物や行き止まりに対して
どの位置でまで飛行の軌道を変更するのが間に合うか。

アムロの鉱山内の環境を使ったアレックスの試験は、フリットから見ればアレックスが壁に激突する
のではないか、と肝を冷やすような思いになるほどのものだった。

それだけアレックスがそれなりの速度を出しつつ、障害物や行き止まりと機体との距離が短くなったところで
軌道を変えているのである。

アムロ「機体の反応がガンダムより速い…外付けのチョバムアーマーもアレックスの動きの邪魔になっていないな」

フリット「ガンダムの反応の問題じゃない、パイロットが凄いんだ――アムロ・レイ…」

アムロ「――!何だ…?――来るぞ、フリット!」

フリット「敵!?」

アレックスとAGE1を前方から何本ものビームが襲う。

アレックスはビームを回避しつつ、避けきれないものはチョバムアーマーで覆われている部分に当たるようにし、
AGE1はシールドで機体を守ることで攻撃を凌いだ。

フリット「耐えた!」

アムロ「何がいるんだ」

ビームを撃った主がアレックスたちの前に姿を現す。

フリット「凄く小さい!」

それは漏斗のような形をした白いビーム砲台だった。数は五つ。

アムロ「あれは、ジェネレーション・システムのガンダムが使う兵器に似ている」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エビル・ドーガの機体から放たれた漏斗のような形をした幾つもの自走式ビーム砲台は
デナン・ゲーたちを襲っていた。

ザビーネ「サイコミュを使った兵器…ファンネルといったか!」

ザビーネ「ビーム・シールドで機体を上手く守れ!攻撃は十分に防げる!」

デナン・ゲーはファンネルの攻撃をビーム・シールドを利用しつつ避けていき、
ビームライフルでエビル・ドーガを攻撃する。

しかし、その攻撃はエビル・ドーガの機体周囲を覆うIフィールドバリアーの前に防がれた。

ザビーネ「ちぃッ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アムロ「罠か!だが見誤ったな!」

五機のファンネルは素早く、曲線的な軌跡を描きながらアレックスとAGE1に接近する。

アムロ「この洞窟の狭さではオールレンジ攻撃の威力も制限される!」

アレックスは頭部バルカンでファンネルを二機撃墜した。

フリット「あの速くて小さいのにあてるのか!?」

アムロ「ラウ・ル・クルーゼが操っていた兵器とは違う――法則性がある!」

残ったファンネルはビームを発射しアレックスやAGE1の動きを阻もうとする。

フリット「僕だって…!」

AGE1はシールドで機体を守りつつ、ドッズライフルでファンネルを攻撃する。

ファンネルは攻撃を回避し、AGE1のシールドに守られていない、足やドッズライフルを
持つ側の腕を狙ってビームを撃つ。

ビームはAGE1の機体を掠めるか、装甲の端に命中する。

フリット「うわーっ!」

アムロ「フリット!パターンを読むんだ!」

アレックスは頭部バルカン砲で一機ずつ、飛び回るファンネルを仕留める。

残るファンネルはAGE1を狙う一機。

アムロ「こいつは小さい分ビームの威力も小さい!」

フリット「なら――装甲の弱い部分を狙おうとするはず!」

AGE1はバーニアで上昇し、上昇した先の壁を背にしてシールドで機体を覆った。

フリット「これならダメージを与えられる場所は限定される!」

ファンネルはAGE1のシールドの覆われていない下半身を狙おうと、壁に張り付いている
AGE1と対面する壁に沿って突き進む。

フリット「落ちろよ!」

AGE1はファンネルに向けてドッズライフルを連射した。

次々と放たれたドッズライフルのビームはついにファンネルの機体の端に命中し、
ファンネルは機体のバランスを崩し壁に激突、爆発した。

フリット「やった!」

アムロ「よし、進むぞ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エビル・ドーガは小惑星付近でその場を動かず浮遊し続けながら、ファンネルでデナン・ゲーたちを相手する。

そこへF91とビギナが現れる。

シーブック「デカい…あれもクロスボーンの兵器なのか?」

セシリー「シーブック!ザムス・ガルをやるわ、援護して!」

エビル・ドーガの頭部モノアイが、F91を捉える。

シーブック「分かった!」

エビル・ドーガは胴体上部付近のファンネル発射口からF91とビギナに向けてファンネルを放った。

ビギナはビルギット機のヘビーガンを抱えてガル・ブラウへ向かっていき、
F91はビギナの後ろに付きファンネルを迎え撃つ。

シーブック「これもバグか?」

F91は鉱山内で拾ったビームランチャーで向かってくるファンネルを攻撃する。

『間違いありません、あれはべラ機です!』

『連邦軍の新型とともに行動しています』

ザビーネ「謀反か、ベラ・ロナ!」

アレックスとAGE1も鉱山を抜け出し宇宙へ出た。

アムロ「巨大モビルアーマー!」

フリット「僕たちを襲った移動ビーム砲台の親か!」

エビル・ドーガはアレックスとAGE1にもファンネルを差し向ける。

アレックスはファンネルの群れ…その先のエビル・ドーガに真っ直ぐ向かっていく。

フリット「アムロさん、危険です!」

アムロ「あのモビルアーマーに接近して戦うんだ!」

フリット「…そうか…!あの巨大兵器に接近さえすれば、上手くすれば自滅も狙える?」

アムロ「あのビーム砲台は僕が相手をする!」

アレックスはビームサーベルを抜き、アレックスに確実なダメージを与えようと接近する
ファンネルを切り裂いていく。

AGE1は先陣を切るアレックスの後を付いていき、AGE1はドッズライフルでエビル・ドーガを狙い撃つ。

射線上を漂っていた数機のファンネルは消し飛んだが、エビル・ドーガへは周囲を覆う
Iフィールドバリアーで阻まれた。

フリット「こいつにも、ドッズライフルが効かないのか!」

エビル・ドーガの機体前面の大砲――大型メガ粒子砲の砲口に光が灯る。

アムロ「――!フリット、散らばるぞ!」

フリット「あの機体から熱源、間に合え!」

アレックスはその場から上昇し、AGE1は横に大きく離れた。

大型メガ粒子砲から巨大なビームが放たれる。

エビル・ドーガから放たれたビームの濁流はアレックスとAGE1のいた小惑星の地表を抉り、
さらに小惑星に削り跡を残しながらAGE1を追った。

フリット「うわああああああ!!」

AGE1は迫るメガ粒子のビームから必死に逃げる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ザビーネ「ザムス・ガルはやらせん!」

デナン・ゲーと二機のデナン・ゾンがビギナとF91を襲う。

セシリー「黒の戦隊…!」

シーブック「セシリー、こいつらは僕に任せろ!」

F91はビームランチャーでデナン・ゲーたちを攻撃する。

シーブック「このぉ!」

F91は右手のビームランチャーで攻撃しつつ左手にヴェスバーを装備する。

ヴェスバーのビーム攻撃も合わせ、F91は弾幕を張った。

「うっ!」

一機のデナン・ゾンの右腕が弾幕に触れ破壊された。

シーブック「早くいけよ!」

F91は左手のヴェスバーの銃口をもう一機のデナン・ゾンに向ける。

シーブック「ッ…!」

そこへ一筋のビームがF91に迫った。

シーブック「――!?」

F91は左手からヴェスバーを放した。F91から離れたヴェスバーはそのビームに破壊される。

ザビーネ「――やるな、連邦の新型…だが撃つのを一瞬惑っていたな」

デナン・ゲーは右手にビームライフル、左手にビームサーベルを持ちF91に接近戦を仕掛けようとする。

ザビーネ「戦場で命を奪うことに惑うならば死ぬだけだ!」

シーブック「こいつ…!」

セシリー『シーブッ――!みん――隠れ、て――!!』

シーブック「!?」

ザビーネ「通信?――この声は」

ガル・ブラウは外部核融合発電所とのケーブルを外し、離陸を開始していた。

ビギナは自身が持っていた損傷したヘビーガンやジェガンタイプの残骸をガル・ブラウの方へ
押し出し、それらに向けてビームライフルを構え、撃つ。

狙いはMSの動力部。そこへ命中したビームにより、MSの残骸は巨大な爆発を起こした。

ガル・ブラウの付近で起こったその巨大な爆発はガル・ブラウを飲み込み、消滅させる。

そしてさらに付近の小惑星の突起した部分や地表を削り、抉っていく。

ビギナはビームライフルでの射撃後直ぐにその場から離脱し、付近の大きな岩陰に隠れていた。

巨大な爆発による衝撃は、その岩陰にも及び、岩壁を削り落としていく。

ビギナは爆発から逃れようと必死で岩陰に身を隠す。

セシリー「うあああああーっ!!」

デナン・ゲーたち黒の戦隊やF91、AGE1も岩陰に隠れて爆発やその衝撃から機体を守っていた。

ザビーネ「核か!」

シーブック「セシリー…やったのか?」

フリット「セシリーさんが回線をオープンにして呼びかけてくれなければ、危なかった」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エビル・ドーガは二機のMSの動力部の破壊によって引き起こされた核爆発により、
小惑星の地表を削られたことや周囲のMSの残骸の破片がばら撒かれることによってできた
デブリとの機体への接触を避けるため、小惑星から離れる。

アムロ「気を取られたな!」

先に小惑星から離れていたアレックスは、エビル・ドーガに向かって一気に突撃する。

爆発による状況の確認をしているかのように、エビル・ドーガの機体の前部は完全に小惑星に向けている。

アレックスはエビル・ドーガの背後を狙う。

エビル・ドーガがアレックスを察知し機体の正面を向けたころには、エビル・ドーガのモノアイに
ビームサーベルを振り下ろす寸前のアレックスが映っていた。

アレックスはエビル・ドーガの顔面をビームサーベルで溶断し、ファンネル発射口から出てこようとする
ファンネルたちを左腕のチョバムアーマーの装甲を外し、左腕前腕部から露出させたガトリングガン
の砲撃でファンネル発射口ごと潰した。

ガトリングガンから撃ちだされた砲弾はファンネル発射口からさらにエビル・ドーガの機体を貫通し、
そこから起こる爆発がまた爆発を呼び、エビル・ドーガは爆散した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ザビーネ「ビギナ・ギナの敵味方識別コードに惑わされた所為で、ザムス・ガルは碌な防御が出来なかった。
      ――マイッツァー…ベラ・ロナになどこだわるから、これだ!」

『月の方に、新しい味方識別信号が発生しています』

ザビーネ「これか?…味方の色だが…こんなコードは今日まで見たことがないが――バグか?鉄仮面!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

XMA-01ラフレシア

カロッゾ「ベラ、つくづくお前は悪い娘だ。大人のやることに疑いを持つのはよくないな」

ラフレシアは連邦軍が援軍として派遣した、月からの艦隊の殲滅を終えた。

クラップ級巡洋艦、ジェガンタイプ、ヘビーガン等の残骸がラフレシアの周囲を漂っている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガル・ブラウ、エビル・ドーガの破壊後、F91たちは直ぐにフロンティアⅠの宙域から離脱していた。
一行は月に向かう方角を進む。

シーブック「月からの援軍は全滅したらしい…痛み分けだって思いたいけど…」

セシリー「だから、鉄仮面を叩かなければならないのでしょう?」

フリット「たった一機で艦隊を殲滅する機体…そんなやつに…」

アムロ「――あの光…」

シーブック「あの光は…僕には、宇宙を乱す物の怪に感じられる」

シーブックは、遠くでラフレシアが五基の花弁部から発している光を見つめる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――練習艦スペース・アーク

レアリー『マッケンジーさん、その機体で本当に出撃されるんですね?』

クリス「この艦が、難民船としてこの戦域を抜けるにはガンダムと私は邪魔でしょう?」

レアリー『…イズルハ君は私たち、いえ、スペース・ボートの子たちに任せてください』

クリス「感謝します――アルを受け入れてくれた、ドワイトさんたちにも」

モニカ『どうか、シーブックと、セシリーさんのことを、お願いします』

クリス「了解です、シーブックさんのお母様――ガンダムの調整のお手伝い、ありがとうございます」

ガンダムはジェガンタイプ用のシールドを持ち、スペース・アークから発進する。

レアリー「…どうみても、骨董品にしか見えないんだけどね」

マヌエラ「でも、“あの”ガンダムですよ?アムロ・レイもいらっしゃるそうですし」

レアリー「ビルギットも今戦っている、別世界から来たという二機のガンダムとその少年パイロットは戦力になると
      言っているが――いえ、本当なんでしょうね。私たちがここまで来れているのは、彼らのお蔭なのだから」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドワイト「今でていったMS、すごい昔の、ガンダムってやつだろ?」

サム「本当にシーブックたちの助けになるんだろうな?」

アル「…」

リア「ねぇ震えてるよ?こわいの?」

アル「怖いもんかっ!!」

ミゲン「ひっ」

リィズ「子どもにあたらないでよ」

アル「お前も子どもだろ!俺の方が年上だ!」

リィズ「ならしっかりしなさいよ!」

ドロシー「やめなさいよ、ケンカなんて」

ジョージ「機械の化け物に襲われたんだろ?突っ張ってもしないと、気持ちが持たないんだよ、きっと」

リィズ「…ふん!」

アル「ベェ~だ!……」

アル(クリス、僕たち、帰れるんだよね?バーニィや、母さんやみんなと会えるんだよね?)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ラフレシアとF91たちは戦闘に突入していた。

ラフレシアは機体に装備する多数のビーム砲とカロッゾ・ロナ(以下カロッゾ)の思いのままに動く攻撃用触手
――テンタクラー・ロッドでビギナたちと戦う。

フリット「ハァッハァッ――ハァッ…!」

AGE1はコロニーの残骸の、立ち並んでいる高層建築物の内の一つに身を隠している。

そこでフリットは息を整えていた。

カロッゾの能力と、それを最大限に生かしたラフレシアの攻撃は凄まじいものだった。
ビギナたちはラフレシアから離れ、外壁が無く中身が剥き出しのコロニーの残骸の中に入り、
それらを盾に使うことでラフレシアの猛攻と戦っているのだ。

フリット「あんなの、どう近づけっていうんだ…!」

AGE1のシールドは上部が少し欠けている。

ラフレシアのテンタクラー・ロッド先端にあるチェーンソーによって切り裂かれたことによるものだ。

無数かと思うような、様々な方向から迫る触手。先ほど相手にした白の巨大な機体(エビル・ドーガ)の繰り出す
機械的な移動ビーム砲台とは違う、生物的な動きで襲ってきたそれをフリットは思い出す。

下手に近づけば触手の網に包まれ、この身を引き裂かれる。

フリット「しかも、コックピットが剥き出しだなんて――あれが、鉄仮面…」

F91はラフレシアとの遭遇前に拾った小型MS用のビームライフルとビームランチャーで攻撃する。

シーブック「ッ…!」

F91はラフレシアの放つビームの群れに果敢に挑む。

しかし、ラフレシアの機体はIフィールドに守られており、それらの攻撃は効果がない。

F91の攻撃など物ともせず、ラフレシアは機体内臓のビーム砲やテンタクラー・ロッドから多数のビームを繰り出し、
コロニーの残骸の廃墟へと後退しながらビームを撃つF91を追い回す。

アムロ「F91を見ている今なら!」

アレックスは廃墟から飛び出し、花弁をF91に向けている隙を見て茎部へ向けて接近する。

セシリー「血縁は自分の手で断ち切る!」

ビギナも廃墟から身を出し、ラフレシアに向かって突撃する。

カロッゾは二機の接近に気づくも、その動きの素早さに対応が遅れる。

カロッゾ「よくも動く!ニュータイプとでもいうか!」

セシリー「あそこがコクピット…!」

セシリーはラフレシアの花弁の中央、剥き出しのコックピットをその目に捉える。

セシリー「ならばこの手で!」

ビギナは左手のビームランチャーを捨てビームサーベルを手に持ち、カロッゾをこの手で葬り去らんと向かった。

アムロ「――!ダメだセシリーさん!」

はやるように向かっていくビギナをラフレシアのテンタクラー・ロッドは見逃さない。

ビギナの後ろから襲い、さらに前から数本の刃がビームライフルを持つ右腕と頭部の先を切り裂く。

さらに襲い掛かるテンタクラー・ロッドを助けに入ったF91がビームサーベルで切り裂き、ビギナを押して後退する。

アレックスは右手にビームサーベルを持ちながら、ラフレシアに接近して左腕内蔵のガトリング砲で機体を狙って攻撃する。
しかし、テンタクラー・ロッドに守られそれらを砕く程度に止まり、ビーム攻撃で接近を困難にさせられる。

カロッゾ「別世界のMSめ」

十数本のテンタクラー・ロッドがビームを発射しながらアレックスを襲う。

アムロ「うっ!」

その中の、アレックスは後ろから接近するテンタクラー・ロッドに反応し、ビームサーベルで切り裂くも、
直ぐに前方から迫ったテンタクラー・ロッドがアレックスの機体を叩きつける。

アムロ「うわぁーっ!!」

フリット「アムロさん!」

残骸から飛び出したAGE1は、吹き飛ばされ態勢を崩したアレックスに駆け寄り、追い撃ちをかけてくる
十数本のテンタクラー・ロッドを散らばらせようとドッズライフルで攻撃する。

テンタクラー・ロッドの群れは怯むことなく向かってくる回転するビームを避け、進む。

フリット「あたらない!」

ビギナは再びラフレシアに向かって突撃する。

シーブック「セシリー!」

F91はビギナを追いかける。

ビギナはラフレシアが伸ばした幾つものテンタクラー・ロッドに囲まれ、その刃に機体を傷つけられながらも、
左手に持つビームサーベルを振るい先へ進もうとする。

シーブック「セシリー、入りすぎだ!」

アレックスは態勢を立て直し接近の機会を窺うが、それを見いだせない。
テンタクラー・ロッドからのビームが接近を阻む。

アムロ「近づかなければ!」

フリット「しまった!」

AGE1を守っていた欠けたシールドは、ラフレシアからのビームが命中し、ついに破壊された。

アレックスはビームサーベルを振るい、自身とAGE1に近づくテンタクラー・ロッドも切り裂く。

AGE1は左手で腰の装甲からビームダガーを取り出す。

フリット「こんなのどうやって」

セシリー「あ、ああーっ!」

ビギナはテンタクラー・ロッドに機体を搦め捕られる。

ラフレシアはビギナの胴体に巻きつけたそれで、カロッゾの下へ連れて行く。

セシリーは剥き出しのコックピットの中にいる、仮面とマシンを有線で繋がれているカロッゾを見る。

セシリー「…鉄仮面!」

カロッゾ『お前が私のもとへ来たいらしいからこうしてやったが…つくづくお前は悪い子だ。
 大人のやることに疑いを持つのはよくないな』

セシリー「あなただって…強化人間にされたからっておじい様に反逆をしています!
      ――でも少しでも人間らしさを残しているならば、今すぐこんなことはやめなさい!」

カロッゾ「人類の10分の9を抹殺しろと命令されればこうもなろう!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ザムス・ガル級宇宙戦艦_ザムス・ガル

艦首部≪ガル・ブラウ≫が外れているザムス・ガルの艦橋付近に、ザビーネが乗るデナン・ゲーがいる。

ザビーネ「エビル・ドーガ、そしてラフレシアの件…私も知らなければマイッツァーも知らないことだった
      ――鉄仮面の直属でなければ思うように働けないのでは話が違う」

カロッゾの腹心であり、ザムス・ガルを指揮していたジレ・クリューガーの遺体が宇宙を漂う。

ザビーネ「ザムス・ガルは鉄仮面が帰投するまでこの空域に待機!いいな!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アムロ「――!」

アレックスの背後に大きな一本の赤いビームが襲い掛かる。

アレックスはビームを避け、撃ってきた方を向く。

フリット「後ろ…!クロスボーン・バンガードが追い付いてきたのか!」

XM-07Rビギナ・ロナ

ヴァリアブル・メガビームランチャーを片手で構えるビギナ・ロナの上、そして両隣に赤い光が現れ、
そこからMSが姿を見せる。

XM-04ベルガ・ダラス

フリット「あの光は僕の居る世界でUEを包んだ――」

アムロ「ジェネレーション・システムのMSか!」

カロッゾ「お前が別世界のMSと共にいるとはな、ジェネレーション・システムも何れ私の近しい者が
      それと共に私の下に来ると言っていたが」

セシリー「そんな…得体の知れない機械と手を組むなんて!」

カロッゾ「機械による無作為の粛清…誰の良心を痛めることがない」

セシリー「機械が喋ることかぁッ!!」

カロッゾ「私は機械ではない。任務遂行のためにエゴを強化した者だ!」

F91はラフレシア本体に大分近づき、ラフレシアのコックピット近くを目掛けビームを撃ち込む。
しかし全く効いている様子はなく、ビギナを捕える触手が緩むこともない。

シーブック「セシリーーッ!」

シーブックの叫びに合わせたかのように、F91のスピードはさらに加速する。

その際に両肩の放熱フィンが露出して赤く発光し熱を吐き出す。F91は戦闘により機能に
支障が出そうなほどの熱を出しており、機体を統括するバイオコンピュータは機体の強制冷却を行っている。

そのような状態で、F91は自身を襲うテンタクラー・ロッドをビームサーベルで切り裂きながら、
ビギナを助けようと必死に戦う。

ビギナはテンタクラー・ロッドによりコックピット部を守る装甲を解体されている。

カロッゾ「フハハハハハ…怖かろう」

カロッゾは頭部の有線をコックピットのマシンと繋げたまま、コックピットから宇宙へ出ていき
露わになったビギナのコックピットの扉をその手で抉じ開ける。

カロッゾ「しかも脳波コントロールできる!」

セシリーは拳銃をカロッゾに向けて撃つが、怯むことなくセシリーの手を掴み、宇宙へと引き摺り出した。

カロッゾ「しかも手足を使わずにコントロールできるこのマシーンを使う私を…ナディアと同じように見下すとは!」

セシリーをその場に止まらせているのは腕を掴むカロッゾの手のみだ。

カロッゾ「つくづく女というものは、御し難いな!」

セシリー「そうさせたのは!仮面を外せないあなたでしょう!!」

フリット「バケモノ…!」

ビギナ・ロナと三機のベルガ・ダラスを相手にしつつ、フリットは視界に入ったその光景を見て戦慄する。

アムロ「アレックスの武器は接近しなきゃ効果が薄い!」

アレックスはビギナ・ロナからのヴァリアブル・メガビームランチャーからの砲撃を避け、
ビームサーベルを抜き、ビギナ・ロナに接近戦を仕掛けようとする。

ビギナ・ロナはヴァリアブル・メガビームランチャーを捨て、背中に装備されている六本と
一際大きい大型一本の刺突武器――バスターランサーの内二本を両手に持ち、一本を突撃するアレックスに投げつけた。

アレックスはそれをギリギリで避けるが、間髪を容れず投げられたもう一本がアレックスの胸部に直撃する。

それによる怯みを突き、ビギナはさらに四本のバスターランサーを撃ち込む。

アレックスはそれを肩、足、腰部の前スカートのチョバムアーマーの装甲で受ける。
ビギナ・ロナは最後の一本、大型のバスターランサーを右手に持ち、アレックスを刺突せんと突撃した。

アムロ「…!」

アレックスはチョバムアーマーの全てをパージする。

ビギナ・ロナは目の前にばら撒かれた幾つもの装甲片に邪魔され、アレックスを見逃してしまう。

アレックスはビギナ・ロナの後ろを取り、ビームサーベルで斬りかかる。ビギナ・ロナは反応するが遅く、
武器を持つ右腕を切り落とされた。

ビギナ・ロナはすぐに離れ、投げ捨てたヴァリアブル・メガビームランチャーを拾い、
ビギナ・ギナに近いフェイスから赤のツイン・アイのガンダムに近いフェイスに変え照準をアレックスに合わせる。

ビギナ・ロナはその目で本来の姿を現したアレックスを確認した。

RX-78NT-1ガンダムNT-1/アレックス

フリット「うぅっ!」

AGE1は三機のベルガ・ダラスのショット・ランサーのマシンガンによる連携射撃に苦戦する。

ベルガ・ダラスたちが一斉にAGE1にビームサーベルで斬りかかろうとしたその時、
三機の背後に二本のミサイルが向かってくる。

クリス「なんとか間に合った!」

攻撃の主はガンダムである。F91たちの識別信号を辿り、ここまで来たのだ。

ガンダムのカメラがラフレシアを捉える。

クリス「花…!?」

フリット「もしかして、クリスチーナさん!?」

アレックスはビギナ・ロナの胸部中央に突き刺したビームサーベルを抜き取る。

アムロ「クリスチーナさん!こいつらはジェネレーション・システムのMSです!」

フリット「僕が元の世界に戻るには!」

AGE1は接近するベルガ・ダラスにドッズライフルで攻撃する。

ベルガ・ダラスはビーム・シールドで回転するビームを受け止め、反撃にショット・ランサーの円錐状の槍を撃ちだす。

フリット「飛ぶのか!?」

回避が遅れたAGE1の右肩に命中し、右肩の装甲が外れる。

クリス「アスノ君!」

そのまま、ベルガ・ダラスは態勢を崩したAGE1に接近する。

ガンダムはAGE1を助けるため、ジェガンタイプ用のシールドからミサイルを撃ちだす。

そしてシールドの内側から小型の爆弾を出す。ジェガンタイプ用のハンド・グレネードである。

ガンダムはシールドを手放し、手前で漂うハンド・グレネードを掴み、投げる。

ベルガ・ダラスはAGE1と自身の間に撃たれたミサイルを避けた際に、投げられた
ハンド・グレネードの、設定された時間に達したことにより起こったその爆発に曝される。

AGE1はドッズライフルで爆発に怯んだベルガ・ダラスを撃ち抜いた。

フリット「次!…!?」

フリットはセシリーがカロッゾに手を放され、テンタクラー・ロッドやビームが飛び交う場へ、
その身を投げ出されたのを見る。

フリット「ここは宇宙なんだぞ!――うっ!」

別のベルガ・ダラスがマシンガンでAGE1を攻撃する。

フリット「無人の殺戮兵器をコロニーに投入して逃げられない人々を襲う!」

AGE1はラフレシアへ向かって突撃する。

フリット「鉄仮面!UEと同じだァ!!」

シーブック「セシリィィーーッ!!」

F91のフェイスガードが外れ、人の顔のようなエアダクトが露出、溜めた息を一気に吐き出すかのように冷却触媒を排出する。

カロッゾ「何機いるのだ敵は!?」

フェイスガードを閉じたF91は黄色のオーラを放ちながら、右手にビームライフル、右腰にはヴェスバー、
そしてビームサーベルで邪魔をするテンタクラー・ロッドを砕き、切り裂きまわっている。

そのF91が、カロッゾを始めとするパイロットたちには、分身しているように見えているのだ。

これは≪MEPE≫と呼ばれる、F91が最大稼働状態に入った際に生み出された機体の熱を冷ます効率を高めるために、
装甲表面を剥離する機能によって引き起こされるものである。この機能が、F91が移動した後、
剥がれ落ちた装甲表面がF91そのままの姿の軌跡として残り、F91が分身していると誤認させているのである。

アムロ「レーダーの誤認?――!」

アレックスは頭部バルカンで眼前に接近するベルガ・ダラスの頭部を破壊し、メインカメラを潰され
狼狽えるベルガ・ダラスを避けてラフレシアへ突撃する。

AGE1はそのベルガ・ダラスに向かっていき左手に持つビームダガーで胸部を刺突する。

フリット「…ッ!」

突き刺したダガー状のビームの刃を、周囲の部分を焼き切りながら強引に抜き取りアレックスに続く。

カロッゾ「この!」

カロッゾをコックピットに収納したラフレシアは、三機を相手に奮戦する。その猛攻は三機の進撃に劣ることはない。

テンタクラー・ロッドはF91のヴェスバーとビームライフルを同時に貫く。

アムロ「弾切れ!?――うっ!」

アレックスの左腕のガトリングガンの弾が切れた所をテンタクラー・ロッドが襲う。
すぐに回避行動をとるも、胸部のダクト付近に刃が掠め、裂傷が出来る。

フリット「うわあーーッ!!」

AGE1は右足をビームで破壊され、さらに下腹部や腰部にビームを掠め、装甲に傷や切断跡が増えていく。

フリット「ダメだ!――アムロさん!」

AGE1はドッズライフルを手放し、近くにいるアレックスへ向けて押し放った。

フリット「ドッズライフルを!」

アムロ「フリット!」

アレックスはテンタクラー・ロッドの攻撃を掻い潜って左手でそれを受け取り、すかさず
ドッズライフルでテンタクラー・ロッドを、ラフレシアを攻撃する。

フリット「…!」

AGE1に数本のテンタクラー・ロッドが迫る。

フリット(ダガーじゃ斬る前にやられる!)

AGE1は右手に持ったビームダガーの刀身を伸ばし、サーベル状へと変化させる。

AGE1はビームサーベルを振るう。迫るテンタクラー・ロッドを叩き、斬り払い、
その中で左腕を切断されるも、ラフレシアの攻撃から後退した。

フリット「…ハァッーー!」

ラフレシアからの攻撃から逃げ延び、フリットは深く息を吐きだす。

ビームサーベルは火花が出た後爆散し、右手首辺りまで巻き込み、右手が焼失した。

フリット「ビームサーベルはまだ不完全か…!」

シーブック「捕まるかぁ!」

F91は右足を切断され、さらにテンタクラー・ロッドが何本も襲って来ようとも、
ただひたすらラフレシアのコックピットへ近づくことを止めようとしない。

テンタクラー・ロッドはF91が通った後に残る機体そのままの軌跡も含めて攻撃する。

シーブック「残像に攻撃をかけているのか?――なに?」

アムロ「――!――何だ?」

シーブックはラフレシアの機体近くを漂っているビギナ・ギナに注目する。

シーブック「――あれを使えというのか…セシリー!」

F91は腰のリアスカートに付けていたビームランチャーを取り出し、ビギナ・ギナにビームを撃ち込んだ。

アムロ「――!」

アレックスはラフレシアへの攻撃を取りやめ、すぐに離れた。

ビギナ・ギナの動力炉に命中したビームは大きな爆発を起こし、
ラフレシアのコックピットの目の前を熱と光で一杯にする。その上、爆発の衝撃と熱で花弁の一基がちぎれ落ちた。

クリス「誰の爆発!?――ッ!」

ガンダムは目の前のベルガ・ダラスに向け、シールドを投げる。

ガンダムとベルガ・ダラスの間にシールドが入る形となった。

そしてガンダムはビームサーベルをシールドの、その先にいるベルガ・ダラスに向けて投げつけた。

ビームサーベルはベルガ・ダラスにとって目隠しとなったシールドを貫通し突き進み、ベルガ・ダラスの胸部に
ビームの刃が突き刺さる。

ガンダムは頭部バルカンを撃ちながら接近し、ビームサーベルを抜き取り、すぐに後退した。

バルカンによるダメージも加わり、ベルガ・ダラスは爆散する。

カロッゾ「MSのエンジン一つくらいで…そこだ!」

アレックスのドッズライフルでの攻撃による助けも借り、F91は再度ラフレシアに接近する。

F91はラフレシアが残像に攻撃をかけるのを利用し、わざと飛び回って周囲に機体そのままの形の軌跡
…残像を残しながら徐々に接近していく。

しかしラフレシアのビーム攻撃は残像だけではなく、F91本体にも向かってくる。

アムロ「ッ――!」

アレックスは足と肩の装甲にラフレシアのビームが掠め、F91も左腕をビームで切断される。

シーブック「なんとぉぉぉぉ…!」

F91は一気に突撃し、遂にラフレシアの四基の花弁中央、コックピットに辿り着く。

カロッゾ「化け物か…!」

F91がビームランチャーの砲口を自身に向けたのに反応し、防衛のためにテンタクラー・ロッドがコックピットに集まる。

F91はフェイスカバーを開いて冷却触媒を掃出し、一気にそこから離脱した。

テンタクラー・ロッドは攻撃を仕掛けるが、そこにはすでにF91が残した残像しかない。

攻撃はそのままラフレシアのコックピットへ行き、ラフレシアは自身の攻撃でコックピットを破壊した。



ラフレシアが炎に焼かれ朽ちていっている中、F91やアレックス、ガンダム、AGE1は宇宙へ投げ出されたセシリーを探す。

シーブック「セシリー…セシリー!どこに行っちまったんだよ!
       ――どこだよ!セシリー!」

F91はビームランチャーを手放す。

シーブック「こんなこっちゃ…なにやったって意味ないじゃないか!」

シーブックの焦燥はザビーネ機のデナン・ゲーにワイヤーを付けられているのにも気づかない。

ザビーネ「ベラ・ロナのためにラフレシアを倒せたか…ご苦労だったな」

ザビーネはドレル大隊と合流することを部下に告げ、その場を去った。

アムロ「引き揚げたか――F91、見逃してもらった」

アレックスたちは先にザビーネたちに気づいたが、F91から離れていて、通信を使うことや戦闘も危険であったため、
近くの大きなスペースデブリに隠れていた。

アレックスはザビーネ機に向けていたドッズライフルの銃口を下ろす。

クリス「スペース・アークの難民船の偽装も、上手くいったみたいね」

クリスは識別信号でこちらに接近するスペース・アークを確認する。

筒型のスペース・ボートが、何本もある細いアームで白旗を掲げながら、F91に近づいていく。

フリット「早く、早くセシリーさんを探さないと!」

AGE1は隠れていたスペースデブリから身を出してセシリーの捜索に回る。

シーブック「ミノフスキー粒子が薄くなっていたって、こっちのレーダーはダメなんだよ!」

シーブックはF91のコックピットハッチからその身を乗り出し、スペース・ボートと、
その奥にいるスペース・アークに向かって叫ぶ。

シーブック「そっちと、スペース・アークのレーダーで見つけてくれよ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――スペース・アーク

ケーン「マシーンの破片だっていっぱい流れてんだぞ!」

マヌエラ「だからって、ほっとけないでしょ!」

ナント「月にいかないんですか?」

レアリー「ん?漂流者を捜索する!総員、360度監視!」

ビルギット「…そうかい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

戦闘後の宙域はスペースデブリが大量に漂っている状態であり、ミノフスキー粒子の影響も相まって、
何処に流れていったかもわからない人ひとりを探すのは非常に困難、発見は絶望的であるのではないかと…
そうアムロは考えている。

アムロ(もう、駄目なんじゃないだろうか…)

モニカ『シーブック、捜せるわよ』

アムロ「え?」

モニカ・アノー(以下モニカ)がスペース・ボートの船体を蹴り、近くにいるF91の下へ向かう。

モニカ「サイコミュとレーダーの座標を重ねることはできるはずよ」

F91に取りつき、コックピットに入ったモニカはシーブックに説明する。

モニカ「F91は脳波に呼応する、システムがあるのは知ってるでしょ?――それをセンサーにするのよ」

シーブック「どうやって?」

モニカ「この熱感知のレベルを人間の放出する、熱の波長に限定してフィルターを通して…
     それをレーダー・ディスプレイに接続する――これで知覚は数倍になるはずだけど…でもあなたの感性しだいね」

モニカはコックピットの外に出る。そしてハッチから中のシーブックを覗き込む。

F91の傍にいたAGE1――フリットは通信でその話を聞く。

フリット「戦闘用のMSのシステムで、そんなことが…」

シーブック「――要するに感じろってこと?」

モニカ「ええ、そう…機械なんて使う人次第なのよ。さっ!どうなの?」

シーブックはコックピットの中で目を閉じてその通りに感じようとする。

シーブック「――…カメラだって、半分以上死んでいるんだ!」

確かに、コックピット内の全天周囲モニターは部分部分が映像を映さなくなっていた。

モニカ「目の前の景色に囚われていたら…何も見えない、なんにも感じられないわ!」

シーブック「…そんなニュータイプ、ニュータイプなら!アムロ・レイならやれるだろう!」

アムロ「僕…?」

アレックスやガンダムもAGE1に続いてF91に近づいており、それを見守っていた。

モニカ「甘ったれないで。セシリーさんは、あなただけを求めているのよ。意識を空にして、
     宇宙に漂っている、彼女の生命の鼓動だけに感覚を開くの」

シーブック「…――――!」

クリス「F91が、動いた」

F91はアレックスたちからゆっくり離れる。

フリット「わかったんですか!」

モニカ『無線は使わないで!』

F91はある方向にむかって進んで行く。

アムロ「あれが……ニュー、タイプ」

フリット「誰が、何があるか、わかる、感じられる…ユリンもそうだったの?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

しばらくして、F91は立ち止まった。

シーブック「…~~ッ…!」

シーブックは再び焦りだす。

モニカ「シーブック、あなた以外、誰があの娘のことを想ってあげられるの?」

シーブック「でも…でも!なにも感じられないんだ!」

モニカ「…だったら引き寄せなさい!それが出来るのも、人の生命の力なのよ」

シーブック「引き寄せるったって――――――!」

シーブックはコックピットから何か取り出そうとする。

モニカ「!?なに?どうしたの?――感じられたの?セシリーを?」

シーブック「違うんだ、あれ、花なんだ、セシリーの花なんだよ!」

ノーマルスーツに推進装置を取り付け、シーブックは宇宙へ飛び出す。

モニカ「セシリーの花?」

シーブック「セシリーに決まってるじゃないか!」

モニカ「バーニア一つじゃ無茶よ!」

モニカの視界からシーブックが消えていく。



























シーブックは、花を見つけた。

ビギナ・ギナに貼り付けてあって、その後、コックピットに入れられていた、白い、ユリの花。

その先に、セシリーが漂っている。

そしてシーブックは見る。

禍々しく感じさせる赤色の、大きな光がセシリーの傍で現れ、
そこから出てきたMS――フェニックスガンダムが、その手で彼女を掴むのを。

シーブック「あ、ああっ……!」

バルバトス「これは戦いの始まりに過ぎない、シーブック・アノー」

シーブック「セシリィィーーーーー!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アムロ「――?呼んでいる、アプロディア…!」

アレックスは何かに導かれるようにある方向へ――シーブックが向かっていった方へ行く。

フリット「アムロさん!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バルバトス「シーブック・アノー、私の下へ来ないか?」

シーブック「セシリーを…セシリーを返せ!」

バルバトス「君に彼女を渡すかわりにだ。私の部隊に入って欲しい。君のニュータイプの力を
       世界のために役立てたいのだ。スクラップのガンダムF91の代わりに、新しいガンダムをやる」

シーブック「クソッ…!」

バルバトス「――まあいい、連れて行ってからゆっくり交渉しよう」

フェニックスガンダム(以下フェニックス)はセシリーを掴んでいない方の手でシーブックを捕まえようとする。

シーブック「…ッ!」

その時、青白い光がシーブックの背後に現れ、そこから出たMSがシーブックをその手に掴む。

GGH-001ハルファスガンダム(以下ハルファス)

バルバトス「――アプロディア」

ハルファスはフェニックスと距離を取る。

アプロディア「シーブック・アノー、ハルファスガンダムに乗ってください」

シーブック「何だ…?」

バルバトス「流石はハルファスガンダム。この位置への転移を私のようにかなりの労力や時間を掛けることもせずに、
       容易にしてみせる」

フェニックスガンダムの周囲に四つの赤い光が現れ、MSが出てくる。

XM-03エビル・S

XM-06ダギ・イルス

三機のエビル・Sとダギ・イルスがフェニックスの後ろに並ぶ。

バルバトス「私はこのために、これらのMSたちも使ったのだよ?」

アムロ「あれはハルファスガンダムと、ジェネレーション・システムのガンダム!それに小型MS!」

フリット「また別のガンダムが二機、紺色の方がハルファスガンダムか」

クリス(あれがハルファスガンダム…確かに、私をここに連れてきたMS)

アレックス、ガンダム、AGE1が到着する。

ハルファスはアレックスたちの方へ移動した。

クリス「手に掴んでいるのは、アノー君」

フリット「クソ、使える武器がないんだぞ!」

アムロ「この戦力では…!」

アレックスはドッズライフルの銃口をフェニックスに向ける。

ハルファスも四つの翼に内蔵されているビーム砲――クロス・メガビームキャノンの砲口をフェニックスに向ける。

シーブック「やめろ!」

バルバトス「…いいだろう、ガンダムNT-1が撃たなくとも、アプロディア、君は撃つだろうからな――それは困る」

シーブック「なに…!」

シーブックはハルファスの顔を見る。

アプロディア「…」

バルバトス「もっとも、私も君たちを相手にはしてられない。君たちを逃がしたモノの、やってしまったことの為に」

フェニックスを出現させた際と同じ禍々しく、赤い光がフェニックスを、そして赤い光が
エビル・Sたちやダギ・イルスを包む。

バルバトス「シーブック・アノー、また会おう…今度は戦場で」

フェニックスとその配下のMSたち、そしてセシリーはこの世界から姿を消した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フェニックスは、自身を包んだ赤い光の中にいる。

バルバトス「――お前の所為だ、D.O.M.E…お前が月のヴェーダにあったガンダム・ワールドのデータを消去しなければ…!
       ――勿体ないことをしている。あれだけのデータと、ニューロを用いた再現の技術…そのために、
       どれだけの年月と、労力をかけたか…私たちを作った人々への冒涜だよ」

光が消えたとき、そこはGジェネレーションの世界、その世界の月に出た。

フェニックスはゆっくりと降り、月の地表に着地する。

バルバトス「私とて無限ではない…失ったデータの分の修復、新たな収集、解析等と同時に、
       ガンダム・ワールドやそこへ逃げた主人公たちへの戦力投入をしているのだ。
       ――色々と滞りが出来てしまう…君たちにとってはいい時間稼ぎにはなっているだろうがな」

フェニックスは、人が手に持つモノを見つめているような仕草をする。

手のひらのセシリーは眠っている。

バルバトス「色々と、私も考えねばな」

フェニックスは月の地表を歩く。先にあるのは、巨大な太陽光発電システムとそれに囲まれたマイクロウェーブ送信施設である。

バルバトス「楽しみにしているがいい…戦いはまだこれからだ」

後にセシリーは目を覚ましたが、彼女が求めた少年は目の前にいなかった。

見てくださった方、ありがとうございます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ガンダム0080の世界

サイド6、リボーコロニーにて密かに運び込まれた地球連邦軍のMS――ガンダムNT-1にサイクロプス隊が仕掛けた、
奪取もしくは破壊のための作戦は最後の展開を迎えている。

RX-78NT-1-FAガンダムNT-1/アレックス…チョバムアーマー装備(以下アレックス)

MS-18Eケンプファー

連邦軍の秘密基地を背景に、アレックスとケンプファーが対峙する。その間に青白い光が割り込むように現れた。

クリス「なんなの!?」

GGH-001ハルファスガンダム(以下ハルファス)

アプロディア「この場面に飛び込んできたのか」

ミーシャ「どうなってやがる!?」

アプロディア「ファンネル」

ハルファスはすぐさま、フェザーファンネルを飛ばし、ケンプファーの両手足を破壊した。

支える手足を失ったケンプファーは、そのまま地上に倒れ落ちる。

アプロディア「アルフレッド・イズルハ…」

ハルファスは、少し離れた場所でその光景を見ていたアルを見つける。

アル「…!!」

アプロディア「あなたも、世界に影響を与えられる存在なのでは…」

ハルファスは機体から青白い光を放ち、それを掌に収束させる。

そして呆然と立ち尽くすアレックスにその掌を向けて集めた光を解き放ち、アレックスに浴びせる。

クリス「ああ…!」

アレックスは光の中に消える。そして――同じようにアルにも光を浴びせる。

一機のMSと、子ども一人がこの世界から別世界へと転移した。

こうして、アルたちはその別世界――ガンダムF91の世界でシーブックらと出会うことになる。

アルたちをガンダムF91の世界へと送り届け機体から光を失ったハルファスは地上に降り、地面に膝を付いた。
ハルファスのツイン・アイが一瞬点滅する。

Gジェネレーションの世界での戦いからずっと、ハルファスは機体に負担をかけ続けている。

アプロディア「まだ…ハルファス…」

シン「う…」

機体の振動で、コックピット内で力尽き眠っているシン・アスカ(以下シン)が呻く。

アプロディアはコックピット内にシンと向かい合う形で、人と対話する際に用いる自身の擬人化した姿の映像を映す。

姿は金髪で赤目の女性である。肌は白く、緑系色の髪飾りを付け、同系色のドレスを着ている。

映像のアプロディアはシンの容体をその目でじっくり見る。

アプロディア「バーニングフレアはパイロットの精神力もパワーにする攻撃…
        しかし強大な威力と引き換えにパイロットに大きな負担をかけてしまう
        ――Gジェネレーションの世界に残してきた彼らも気になる」

ハルファスは再び青白い光を機体から放つ。

アプロディア「Gジェネレーションの世界
        ――そこは、ジェネレーション・システムがガンダム・ワールドを再現した世界…偽りの世界」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――Gジェネレーションの世界

かつては、この世界も他のガンダム・ワールドと同じであった。

宇宙へも生活圏を移し、MSを使った争いが起こり、ガンダムと呼ばれるMSが活躍した。

そのような中で完成したあるマシン、それがジェネレーション・システムである。

ジェネレーション・システム完成後の遥かな未来――現在。
あの驚異的なマシンを作り出すほどの技術力を持っていた世界は、もう存在しない。

今この世界は、ジェネレーション・システムが様々なガンダム・ワールドを元に、
その力で造り出した世界となっている。

この世界でも、MSを使った戦いは世界中で繰り広げられている。

戦いは世界を混乱させ、この世界に住む人々を大いに苦しませている。

ガロード・ラン(以下ガロード)がハルファスによってこの世界の地球に転移し、
その光景を見て抱いた感想は「元の世界に帰ってきたみたい」だった。

今、ガロードは地面の色に似たフード付きのマントに身を包み、MSの残骸
…かろうじてガルスJの上半身だと分かるモノに身を隠している。

ガロードの周りには、MSや建造物の残骸や瓦礫の山があちこちにある。
この辺りはジェネレーション・システムに襲われるまで、栄えていた街だったそうだ。

中には綺麗に固められた瓦礫の山が幾つかある。それらはここに住んでいた人々が作り出したものだ。

地面には建造物やMSの破片が転がっているが、少しずつ手を加えられ日毎にデコボコだった地面が綺麗になっていっている。

戦禍を被ったあとでも、彼らは逞しく生きていた。

ガロードが隠れている残骸の近くで、一機のMSが荒れた土地に適した、
屋根のない四輪の小型自動車に乗った少年たちに呼び止められていた。

OZ-06MSリーオー

ビーチャ「おいそこのMS!この先に何の用だ!」

少年たちの一人、ビーチャ・オーレグが拡声器を使ってリーオーに向かって問いかける。

リーオーのコックピットが開き、ガタイの良い身体とそれを目立たせるランニングシャツ、トゲ付きの肩パッドと、
どこかの世紀末から来たような風体の男が出てくる。

「こいつの整備に使うパーツを分けてもらいたいだけさ!あんたら軍基地に住んでるんだろう?
  俺もこのMSで赤い光から現れるMSと戦いたいのよ!」

エル「ウソつけ」

運転席にいる少女、エル・ビアンノがそう呟く。

ビーチャ「相応の対価があればくれてやる。金とかさ」

「あァ、あぁ…ちゃんと用意しているよ」

ビーチャ「それと、MSを置いていけ。チビたちがMSを怖がるんだ」

「クク…ハッハッハ!!ほら、これが対価だよ!」

リーオーは手に持つマシンガンの銃口をビーチャたちが乗る自動車に向ける。

エルはすぐさま自動車を走らせ、ハンドルを切った。

自動車は急な方向転換で転倒しそうなほど傾く。
後部座席にいるビーチャとモンド・アカゲが端に捕まり揺れに必死で耐えた。
反対方向への転換は成功し、そのままリーオーから逃げ出す。

「ガキどもが!」

リーオーは逃げるビーチャたちに狙いを定める。

モンド「決めろよガロード!」

モンドが手に持っていた銃を空に向けて撃つ。信号弾。
赤色の弾は大きな音を出しながら空へと昇っていく。

「なんだぁ?」

リーオーがその信号弾に顔を向ける。

ガロード(今だ!)

MSの残骸から飛び出したガロードは、真っ直ぐリーオーへ向かって突っ走る。

「ん?」

ガロードはマントの内側から取り出した遮光グラスを掛け、リーオーに向かって
小型のフラッシュバンを投げつける。

それの爆発によって生じた閃光は、リーオーのメインカメラを見ていた男の目を奪った。

「うわあっ!目が!目が見えねぇ!!」

リーオーが動きを止めている隙に、ガロードはマントを脱ぎ棄てリーオーの足元に到着する。
そして、いつもの私服である赤と黄色の上着の内側から取り出した、
金属に対して強力な吸着力を持つ物体を飛ばす銃でリーオーのコックピット近くを狙い、撃つ。

その飛ばした物体と銃は丈夫なワイヤーで繋がっており、ガロードは飛ばした物体が
リーオーのコックピット付近の装甲に接着したのを確認すると、ワイヤーを引き戻した。

ガロードはワイヤーを戻す力で物体が吸い付いている先まで到着する。

そしてすぐさま外側からコックピットハッチを開けるレバーを探し出し、ハッチを開けた。

「何だ!?」

ハッチが開く音に気づき、強引に目を開いて正面を向いた男は、拳銃を構えたガロードと対面する。

ガロード「いわゆるホールドアップってヤツ?」

「…!!――あ…!」

ガロード「降りなよ。MSが俺を握りつぶすより、コイツを撃つ方が早いよ?きっと」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

見事にガロードはリーオーを乗っ取り、男はコックピットから叩き落された。

男の前にビーチャとモンドが立つ。

ビーチャ「さぁて、お前こそ身ぐるみをはいでもらおうか」

モンド「覚悟しろよ~」

「ヒ、ヒィィィィィ~~!!」

エル「アイツ、ホントにやるわね」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「へへ、MS一機、丸ごと儲けだぜ…」

リーオーの捕獲に操縦席に座って喜んでいたガロードだったが、ふと顔から笑みが消え、コックピットから身を乗り出した。

ガロード(――遠いな…ティファ)

雲がほとんど見当たらない青空を見上げながら、ガロードは空の向こうにいるだろうティファを想う。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ん゛~!ん゛ん゛~!!」

リーオーを獲られた男は縄で両手と体を縛られ、猿ぐつわを咥えさせられている。

ビーチャ「そのMS、動かせるのか~!」

ビーチャはリーオーに向かって大声で叫ぶ。

ガロード「やってみる!離れてくれ――ん?」

リーオーのセンサーがこちらに接近する存在を捉えている。

ガロードはそれをカメラで映し出し、拡大した。

ガロード「…戦車?――デカい!」

RTX-440陸戦強襲型ガンダンク…突撃砲形態

陸戦強襲型ガンタンクは前面に突き出していた上半身を上げ、人型に近い形態へと変形する。

そして胸部に付いている長い砲身をこちらに向けてくる。

ガロード『みんな、ここから逃げろぉ!!』

ビーチャ「…!!?…なにぃ!?」

ビーチャは突然大音量で流れたガロードの声に耳を塞ぎながら、ガロードに問いかける。

リーオーはバーニアを吹かし、ジャンプしてある方向へ進む。

エル「どこへ行く気!?」

モンド「逃げろっていってた!」

ビーチャ「攻撃されるのか!」

「ん゛ー!!」

ビーチャたち3人はその場から駆け出した。

縛られている男も器用に両足で立ち上がり何処かへ走り出す。

その後まもなく、ガロードのリーオーが向かった先で爆発音が起こる。

ビーチャ「~~~!?」

その爆発音が、ビーチャたちの耳を突き刺す。

エル「早く乗って!」

モンド「あっちに置いてあるトラックは!?」

ビーチャ「置いてくしかないだろう!」

いち早く乗ってきた自動車に辿り着いたエルは運転席に座り、自動車のエンジンを掛ける。

ビーチャ「ガロードが抑えてくれるんだな!」

ビーチャとモンドが後部座席に乗ると、自動車は直ぐに走り出した。

エル「ロランさんを呼ぼう!」

モンド「怒られるだろうなぁ~」

エル「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!あっちに行かれて戦闘が起こったら、それこそただでは済まないよ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リーオーは手に持つマシンガンで陸戦強襲型ガンタンクを攻撃しつつ、
注意をこちらに向けさせビーチャたちを逃がそうとしている。

陸戦強襲型ガンタンクは腕部のボッブガンでリーオーを攻撃する。

「ちょこまかと!」

操縦席にいる男はリーオーに乗っていた者に負けず荒々しい恰好だ。

リーオーはバーニアを吹かし、横に逃げ、正面からの撃ちあいを避けつつ反撃する。

ガロード「正面から撃ちあったら負ける!」

破片の集まりによるデコボコの段差であっても、陸戦強襲型ガンタンクは構わず突き進む。

リーオーはジャンプしつつ後退し、相手の滑腔砲の照準を合わせないよう引き付けようとする。

「俺も目的を忘れないさぁ」

陸戦強襲型ガンタンクの右のキャタピラに装着されているロケットランチャーから
いくつものロケット弾が発射、リーオーに向かって襲い掛かる。

ガロード「やばい!」

リーオーはその場を離れているが、ロケット弾は地面に着弾し、その爆発の炎や熱風がリーオーを襲う。

ガロード「うわあああああ!!」

リーオーは姿勢を崩して転倒する。

「あんなMSに用はねぇ!俺が欲しいのはこの辺に現れたというガンダムよ!」

陸戦強襲型ガンタンクは上半身を前面にスライドさせて地面に接地することでなる、
突撃砲形態へと変形しビーチャたちの乗る自動車を追う。

ガロード「ま、待て!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

陸戦強襲型ガンタンクはすぐに自動車を見つけて追い、ビーチャが覗く双眼鏡にその姿を映させていた。

ビーチャ「ガロード、やられちまったのか!」

モンド「ええっ!?」

陸戦強襲型ガンタンクはビーチャたちとの距離を縮めていく。

モンドの肉眼でもぼんやりながらその姿が見えてきた。

モンド「ロランが来る前に、俺たちやられちゃうかも」

「地上での走りでこのガンタンクに勝てるか!」

陸戦強襲型ガンタンクは、主砲である滑腔砲の照準をビーチャたちの自動車に合わせる。

「殺しはしねぇ…軍基地の子どもなら、こいつ等を人質にガンダムを頂く!」

ビーチャ「うわあっ!大砲をこっちに向けてるぞ!」

エル「…!」

エルは、前方に砂ぼこりが舞っているのを見る。

エル「何?」

〈何か〉が近づいてきている。それは、地表と平行に、触れない程度に低く飛行している。

エルは、それが赤と白の羽を持つ青い機体であることを、それと接近しているうちに分かった。

ドモン「爆発音を聞いて行ってみれば、戦車が子どもを追い回しているのか」

ドモン・カッシュが操縦する、ゴッドガンダムのコア・ランダーである。

コア・ランダーはエルの運転する自動車を越し、陸戦強襲型ガンタンクに向かっていく。

「なんだ?ホバークラフトか?…俺の邪魔をするな!」

陸戦強襲型ガンタンクは右腕を突出し、ボッブガンでコア・ランダーを攻撃する。

ドモン「うっ!」

コア・ランダーはその攻撃を横へ大きく逸れて避け、上空へと逃げる。

ドモン「いいだろう!ゴッドガンダムで相手になってやる!」

ドモンはコア・ランダーのコックピットのキャノピーを開け、立ち上がる。

ドモン「ガンダァァァァァァァム!!」

ドモンが天に向かって掲げた手で指を鳴らすと、近くの廃墟が崩れ、バックパックのないゴッドガンダムが現れた。

ビーチャ「あれって…!」

「ガンダムじゃねぇか…!俺はツいてるぜぇ!」

ゴッドガンダム(以下Gガンダム)はコア・ランダーに向かって走る。

機体と繋がり吊り下がっているだけの右腕はその振動でブラブラと揺れ動く。

ジェネレーション・システムとの戦いで酷使した右腕は損傷し、修復出来ないままなのだ。
また、Gガンダムの全身にはあの時の戦いで付けられた傷跡が幾つも残っている。

コア・ランダーも、Gガンダムのもとへ向かう。

「ガンダムは俺のモンだああああああ!!」

陸戦強襲型ガンタンクはコア・ランダーを邪魔するために、ロケットランチャーからいくつものロケット弾を放つ。

ドモン「なにっ!?」

コア・ランダーは襲い掛かるロケット弾を何とか振り切り、Gガンダムのもとへと急ぐ。

しかし、ロケット弾は次々とこちらに襲い掛かってくる。

その中の一つが、コア・ランダーへの命中コースに入ったが、横から来た銃弾に破壊された。

ガロード「ドッキングの邪魔はさせないぜ!」

追いついたリーオーは、マシンガンでコア・ランダーを襲うロケット弾を破壊し、
また陸戦強襲型ガンタンクにも攻撃してコア・ランダーを援護する。

ドモン「誰かは知らないが、助かった!」

コア・ランダーがGガンダムの背部に収納されバックパックとなり、
Gガンダムは本来の姿となって起動する。

GF13-017NJ IIゴッドガンダム

ドモンの動きに合わせ、Gガンダムは機体を稼働させるが、右腕は垂れ下がっているままだ。

ドモン「腕一本でも、俺とゴッドガンダムは戦って見せる!」

「たとえ腕一本だけでも、ガンダムなら高く売れるし、ガンダムを倒せば俺とコイツの名前も上がる…」

陸戦強襲型ガンタンクは人型形態となりGガンダムへ向かって突進する。

ドモン「行くぞおお!」

Gガンダムは左手で左腰のアーマーからビームソードを取り出し、背部バーニアを吹かして向かっていく。

陸戦強襲型ガンタンクも右腕のボッブガンで攻撃しつつ前進する。

ドモン「懐にさえ飛び込めば!」

Gガンダムはその攻撃を回避しつつ相手との距離を一気に詰めていく。
そして、陸戦強襲型ガンタンクの左側面に回り込み、ビームソードで斬りかかった。

ドモン「うおおっ…!」

陸戦強襲型ガンタンクは攻撃を仕掛けたGガンダムに、左手を向ける。

左手の放射口から火炎が噴き出し、Gガンダムを襲った。

高熱の火炎に晒されたGガンダムの機体は瞬時に熱が上がり、ドモンにも熱による温度の変化がトレースされ伝わっていく。

ドモン「ぐううう…!」

Gガンダムはすぐに離れて距離を取った。

ガロード「この!」

リーオーは陸戦強襲型ガンタンクの背後に向かって前進しつつマシンガンで攻撃する。

「後ろを取ったと思ったかぁ!」

陸戦強襲型ガンタンクは自身の頭部付近にあるドラム缶の形状に近い物体を地面に落とし、
その場を去った。

それは程なくして爆発し、大きな爆炎を上げながら地面を燃やす。

リーオーはその爆炎に遮られ、陸戦強襲型ガンタンクを逃がしてしまう。

陸戦強襲型ガンタンクは六枚の羽状エネルギー発生装置を展開し、羽から出来た光の輪とバーニアの噴射による推進力で、
地面から浮遊しながら突撃してくるGガンダムと真正面に対峙した。

ドモン「ゴッドフィールド!ダァァッシュ!!」

Gガンダムはビームソードを構え、胸部中央の装甲を展開させハイパー・モードとなり、
そして光の輪から炎のような光が噴出した。

それはGガンダムのスピードを爆発的に加速させる。

「ぶち抜いてやる!」

臆することなく前進する陸戦強襲型ガンタンクは、正面から突撃してくるGガンダムに滑腔砲で砲撃する。

砲撃の瞬間、Gガンダムは突撃する方向を変えた。
機体を左に逸らして砲弾を回避し、Gガンダムは陸戦強襲型ガンタンクとのすれ違いざまに
ビームソードで正面と左のキャタピラを切り裂く。

「なにぃっ!?」

キャタピラを壊された陸戦強襲型ガンタンクはバランスを崩し、段差に引っかかり地面を飛び跳ね、
上半身から地面に落下して機体を強く打ちつけた。

ゴッドガンダムは背部の光の輪を消滅させ、速度を落としながら地面に着地する。

そこへリーオーが歩いて近づく。

ドモン「あのMSには助けられたな…ん?」

ドモンはリーオーのコックピットハッチが開いているのに気づき、カメラを拡大した。

画面にはシートに座り、こちらに向けて笑顔で手を振っているガロードが映る。

ドモン『ガロード!』

ガロード『やっぱりドモンか!』

リーオーとGガンダムは互いに手を挙げる。

ドモン『お互い生き延びたな』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ビーチャたちからの連絡を受け、戦闘が行われている場所へ一機のMSが駆け付けようと走っている。

WD-M01ターンエーガンダム(以下ターンエー)

そのだいぶ後ろをもう一機のMSが走ってターンエーを追いかける。

CMS-328 デスペラード

ターンエーにはロラン・セアック(以下ロラン)が、デスペラードにはイーノ・アッバーブ(以下イーノ)
が乗っている。

イーノ「ビーチャたち、無事なのかな?」

ロラン(戦闘が終わっている…?)

ロランはVRヘッドを被り、それが見せる各種センサーの反応結果を見て状況を確認している。

ロラン「…この識別信号、ゴッドガンダム!もう一機別の機体が」

ロランはゴッドガンダムへ通信を送る。

ロラン「ロラン・セアックです!ドモン・カッシュさんですよね?」

ドモン『ロラン!』

ロラン「一緒にいる機体は?」

ドモン『ガロードが捕ってきたヤツだ』

ロラン「捕った?」

暫くして、ターンエーとGガンダム、リーオーとビーチャたちの乗る自動車。互いの姿が見えた。

ロラン「ホントに人が乗っていたのを捕ったのか」

遅れてデスペラードがその集団と合流する。

イーノ「ガンダム!」

ロラン『味方のガンダムだよ。僕と同じ別世界から来た人だ』

イーノ『そうか…ビーチャ、モンドにエル!』

ビーチャ「イーノか!あっちにガンダムが仕留めたMSモドキのタンクがあるんだ!あと使える部品を容れたトラック!」

イーノ「もう!」

ガロード『…よう』

ロラン「ん」

ターンエーはこちらにゆっくりと近付いてきたリーオーを見ると、そっぽを向く。

リーオーの、開いたコックピットハッチから見えるガロードは後ろめたそうにしていた。

ドモン『ふっ…謝った方がいいんじゃないか?』

ガロード『…悪かったよ』

ロラン『ドモンが近くに来てなかったら、危なかったんだぞ』

ガロード『ああ、みんなを危険に晒しちまった…俺、バカだったよ』

通信機を通して聞こえるガロードの声は次第に小声になっていった。反省しているらしいことを感じ取る。

ロラン(ビーチャたちが逸るガロードを唆したってのもあるんだろうけどさ)

ドモン『――連絡があった。もうすぐここに到着するそうだ』

ガロード『俺、ビーチャたちのところへ行ってくるよ』

リーオーはビーチャたちの自動車とデスペラードの向かった方へと歩いて行った。

ドモン『捕ったMSをレジスタンスとの交渉の材料にする、と言っていたな』

ロラン『こっちにガンダムがあっても、念には念を入れるんだ、って。
     僕たちだけでなく、軍基地に避難している人たち全員も安全な場所に連れて行ってもらえるように。
      …アイツ、優しいけど行動が危なっかすぎる』

ドモン『生身でMSを狩るまでしたのも、そのためか。しかし、肝が据わっている』

ロラン『ガンダムと一緒にアプロディアに転移させられた人と会ったんですよね』

ドモン『ああ、≪すぐに自分も行く≫と言っていた』

ロラン『どんな人でした?』

ドモン『人当たりがいい男だ。アムロと同じ時代で同じ所属の軍人らしい』

ロラン『――近づいてくる、あれか』


陸戦艇ギャロップ

AMX-109カプル

RX-79[G]Ez-8ガンダムEz8(以下Ez8)

ロラン「あれ、ギャロップ…僕のいる世界で使ってるのと一緒で、前に、カプルがいる。
     ――隣を歩いているのがそのガンダム…角がないのか」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ターンエーたちのもとへ向かう陸戦艇ギャロップはロランが自身の世界で用いているモノと同型のものである。

前方の開いたハッチにはカプルが座っていて、それにより口が塞がっている。

そのギャロップの隣をEz8が並走する。

Ez8を操縦するシロー・アマダ(以下シロー)はEz8のカメラが捉えた前方の機体たちを見つめていた。

シロー「あれがドモンの言っていた、ヒゲの、ガンダム…別世界の、ガンダムか」

シローはターンエーと隣のGガンダムを見て、この世界と、初めてGガンダムを見たときと同様に、
自身が異世界に入り込んだという事実を改めて突き付けられたように感じた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「まあ、レジスタンスもここの物資が目当てなんだろうけどな。
      この基地に放置されていたウァッドとかを使えるようにしているのも、レジスタンスの勧めと協力があったからだ」

ドモン「レジスタンスのことはよく知らないが、確かに戦力は欲しがっているようだな。
     シローと境遇が同じというのもあるが、目を付けられた理由はガンダムに乗っているからだ」

二人は倉庫の中でこの世界で知り得た情報を交換し合っていた。

ドモンはレジスタンスに拾われるまで一人だったという。

ハルファスの能力によってGガンダムが降り立った処は、荒れた大地と廃墟だらけの場所であった。
人っ気は無く、ただ一人ぽつんとその空間に立たされていた。

そこで一日寝泊りし、その後Gガンダムで移動しているところをレジスタンスのギャロップが見つけたのだった。

今思えばアプロディアが引き合わせたのではないかとドモンはガロードに話す。

ガロード「この世界だとガンダムは赤い光から現れるMS軍団の中にいる、一際強い二つ目で角付きの敵、って認識なんだよな」

ドモン「得体の知れない敵だけが使っている強力な兵器を人が使っているのだから、目を引くのは当然だな」

ガロード「だからさ、その評判を利用してターンエーをレジスタンスに売ってやるのさ」

ドモン「ターンエーガンダムを売る?」

ガロード「天下無敵のMSターンエーとそのパイロット、ロラン・セアック、そしてガロード・ラン様を雇いたければ…ってヤツさ。
      さらにおまけで使えるMSも何機か付ける!」」

ドモン「まあ、少なくともお前たち二人は大丈夫だろうな」

ガロード「難民の方はどうだかわからないけど」

ギャロップは倉庫の外に停められ、ターンエーやGガンダム、リーオーなどは倉庫の中に入っている。

それぞれは倉庫内で備え付けのMS専用の整備・補給スペースに直立で固定されている。

元々大きさの違うMSをそれぞれ扱っていたのか、MSの機体を囲う通路はそれぞれの大きさに合わせて設定できるようになっていた。

リーオーのコックピットにはビーチャがおり、モンドやイーノが外の通路から覗き込んでいる中、操縦機器をいじっている。

ターンエーを置いている区画にはロランとギャロップの乗船員、技師ホレス・ニーベン(以下ホレス)がいた。

ホレス「いやぁ、地球に来た甲斐がありました。あのガンダムタイプを調べられるとは」

ロラン「ホレスさんは月の出身で?」

ホレス「まさか、月に人なんて住んでませんよ。月には何に使うかわからないエネルギー送信施設とそれを守る無人防衛兵器しかありません」

ロラン「へぇ…」

ホレス「ジェネレーション・システムとやらが月にいるというのは予想通りでしたね。
赤い光の正体は不明でしたが、何かあるかもしれないとすれば、手のつけられていない月が真っ先に挙がりましたから」

ロラン「月が手をつけられていない?」

ホレス「そのエネルギー送信施設が誰に、いつ、何故造られたのかは全くわからないのです。
     それと現実問題のことが優先で、今までずっと、月への調査は後回しにされてきました」

ホレスとロランはターンエーから離れ、ドモンたちのもとへ向かう。

ガロード「どうだい?ターンエーガンダムは」

ホレス「ええ、とても素晴らしいものでした」

ガロード「こっちの要求は受け入れてくれるだろう?」

ホレス「あなた方のレジスタンス参加は大歓迎ですし、難民受け入れに反対する気はないですよ」

ガロード「よしっ」

ドモン「あんたの用事は済んだんだ。ゴッドガンダムの修理を頼むぞ」

ホレス「ええ。ドモンさんも手伝って頂きますよ。あなたのガンダムだって私たちの知らないテクノロジーなんです」

ドモン「わかっているさ。赤の他人だけにゴッドガンダムを任せはしない」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「そうか…なら作業を急がないと」

ドモン、ガロード、ロランはシローに集められ、その件を知った。

ドモン「尋問も担当していたとはな」

シロー「まさか別世界まで来て軍と似たような仕事をすることになると思わなかったよ」

ロラン「アムロと同じ軍隊で兵隊の隊長をなさっていたんですよね?」

シロー「そうだが、アムロ・レイ少尉と面識はない。彼の活躍が周りから聞こえてくる位だ。
     ……一緒に戦ったことのある君たちの方がよく知ってるんじゃないか?」

ドモン「そんなものか」

シロー「軍の規模が大きいからな」

ロラン「……そういえばそれ以前に、同じ歴史を辿ってはいても違う世界の人、の場合があるんでしたね」

ガロード「ああ。そうアプロディアが言った、って刹那から聞いてたから、
      ラウ・ル・クルーゼ……だっけ?の言うことが信じられなかったんだよ」

ドモン「そういえばカミーユがアムロのいる世界へ行った際、
     話に聞いていた戦いの地で“あった”と記録されていたはずの兵器が存在してなかったとか言ってたか」

シロー「へぇ……」

ガロード「……それで、本当に難民を連れて行くための応援は来てくれるんだろうな?」

シロー「大丈夫だ……ただ、110m級の陸上戦艦と、人員運搬用の大型トラックによる移動になる。
     難民の人数約720名全員、漏れることはない」

ドモン「その代わり、窮屈な長旅をすることになる、か」

シロー「陸上戦艦は基地跡の物資運搬用、難民はトラックだ。これぐらいの手配が限界だったらしい。
     ドモンの言う通り、難民にとっては辛い移動になる。女性や子どもたちには優先的に陸上戦艦へ乗せられるだろうが……すまない」

ロラン「そんな、あなたが謝ることはないですよ」

ドモン「お前はただギャロップに俺より先に拾われただけだろう。レジスタンスが勝手にそう決めていただけのことだ」

シロー「ありがとう。……出来れば早く別世界から来たみんなと、こうして顔を会わせて話してみたかったんだが、
     色々任されて後回しになっちまったなぁ」

ガロード「別に後でもよかったじゃねぇか。武装集団のことも、他の人に伝えさせればよかったし」

シロー「まあ、なんというか、これから一緒に戦う事になる仲間だから、どんな人たちか早く知りたかったんだ」

ガロード「なるほどな。……同じガンダム乗りで、アプロディアから連れて来られた仲間同士、よろしくな、シロー」

シロー「ああ、よろしく」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

駐留軍基地跡にシローやドモン、レジスタンスが来訪してから二日が過ぎた。

その間、ドモンはホレスたちとGガンダムの修理に勤しみ、
シローはクラウス、シーリンらレジスタンスのリーダー陣と共に難民移動の打ち合わせや武装集団への対策等の計画を練り、
ガロードとロランはレジスタンスや難民の者たちで移動の為の荷造りを行っていた。


今、ロランは休憩中のガロードを探している。

シローから此処の防衛についての件で集まって欲しい、と連絡されたからだ。
ガロードは休憩の際ひょっこりといなくなる。人のいない所へ行っているらしく、捜すのに一苦労していた。

その途中で子どもたちに囲まれているドモンを見かける。

声を掛けると、彼も休憩を取っていたようで「自分ももう少ししたら向かう」と
自身に興味津々の子どもたちを見ながら言っていた。表情はどことなく柔らかかった。

彼といえば眉間に皺を寄せた表情の印象、を持っていたロランにとっては、意外な一面を見たように思った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロードはMSや重機、人が犇めく騒がしい倉庫を抜け出し、空の箱型コンテナの影に入り、地面に座り込んでいた。

近くにはそこかしこにテントが張ってある。避難民たちの生活の場だ。

ここでは複雑な機械操作や力仕事に向かない女性や子どもが中心で、
レジスタンスの構成員ら指導の下、移動のための作業を行っている。主に持って行ける荷物の選別だ。
シローから聞いた話の通りなら、ほとんどの用品や私物を置き捨てていくことになるだろう。

難民たちは以前から準備や心構えこそしてきたものの、予想以上の待遇に多少なり困惑はあるようだ。

レジスタンス側からすればこれでも頑張った方で、
クラウスたちが出発する頃はまだどの程度の戦力を用意できるのかは決まり切ってなかった。

始めにやって来たレジスタンスがギャロップ一隻とカプル一機だったのもそのためである。

地位も人望もあるこの作戦の主導者がその程度の戦力で武装集団が徘徊する
こんな状況の中を飛び出していったので、賛同者たちは急ぎ戦力を整え、後を追っている、とのことだ。

その際、やはりクラウスたちは武装集団に襲われ、ちょうど転移してきたシローとEz8がその窮地を救い、
その後ドモンとGガンダムを拾って此処に来たという次第であった。

ここも人の声や作業音等が飛び交うが、あの倉庫と比べればずっと穏やかな場所である。

ガロードは今日も快晴の青空を見る。

ハルファスの力を使った後、宇宙へ行く道を探すことのなんと遠いことか。

だが、立ち止まっているわけには行かない。ティファを助け出すために、一刻も早く宇宙へ飛び出したい。
このままアプロディアを待つだけなのは嫌なのだ。

レジスタンスは、話を聞く限り地球から宇宙へ行くための手段を持っていない。

だが宇宙まで一歩、踏み出してはいるはずだ。

だから世話になった分も含め、何としてもこの移動は成功させたいと思っていた。

「ガロード」

ここに自分がいたのが意外だったと思わせるような声で名前を呼ばれ、ガロードはその声の主の方を向く。

ガロード「マリナ、さん」

マリナ「呼び捨てでいいわ。……ロランくんもいないし」

ガロードの慣れていない言葉づかいにマリナは浮かない顔ながらも笑顔で返す。

彼女は所謂上流であった身だが、その身なりは繊維が粗雑で、
地味目な茶系色の上下でズボンを履いているという、およそそのような人物とは思えないものである。

本人は動きやすいという理由でその恰好を選んでおり、
子どもたちの面倒や炊事洗濯等の生活に関わる仕事を避難民に混ざり行っている。

ここは丁度人がおらず、そのためガロードはここを休憩の場に選んだ。

ガロード「レジスタンスの依頼、断ったって聞いたよ」

振った話題は彼女の表情を曇らせた後、やんわりと頭を振る。

マリナ「……もう少し、考える時間をもらったの」

マリナはシーリンからの再三の説得に呼ばれ、そう返答した後の帰りであった。

彼女は兵器による戦いそのものを忌避していた。対話することで問題を解決することを望んでいる。

故に、レジスタンスへの協力によって自身の所為で新しい戦乱を創りだしてしまうのを懸念していた。
一方で、この協力は難民たちの待遇を良くする可能性も十分にあった。
心情と利益と、それを考えたいため、シーリンからの提案を“保留”にしたのだ。

ガロードはビーチャたちから「断った」と聞いていたため、彼らの勘違いか何かだったのだ、と思った。
ただ、彼女の頑なさは聞かされていたため、考えた末断るのかもしれないとも考えた。

マリナは暴力での解決を望んではいないだけで、この災厄に見舞われた際、軍基地への避難を提案して難民たちを導き、
難民の捜索や避難生活の向上、レジスタンスへの道を拓くための障害物撤去目的ならば、
軍基地跡に置き捨ててあったMS使用も、レジスタンスの勧めに同意し実行している。

それらの率先した提案と動きは、避難民の感心と支持を得ていた。

そして、それらはレジスタンスに参加してこの国の、自分たちの意思を背負っていくことへの期待も芽生えさせた。

その上でレジスタンスへの協力要請に答えの保留を求めればどうなるか、マリナは承知の上で自身の意思を示している。
今も悩みと葛藤を抱えながら。

ガロード「まぁ決めるのはアンタの勝手だし、戦いは俺たちに任せればいいさ。
      ガンダムや他のMS、そのパイロットだって手に入るんだ。あんたがレジスタンスに入らなくても満足するって」

マリナ「あなたにも、戦って欲しくないのよ」

ガロード「無茶言うなよ。ジェネレーション・システムは戦争が目的のマシンだ。対話も何もない」

マリナ「それは……」

ガロード「アンタが戦いたくないのはわかった。でも俺はティファを取り戻さなくちゃならない。
      そのためには、戦うしかないんだ」

ガロードは立ち上がり、マリナと向かい合ってそう言った。

マリナはガロードの有様にただ感心する。

マリナ「……大切な人のために、あなたは戦って、強く、生きてきたのね」

ガロード「今の状況みたいに目茶目茶な世界でずっと生きてきたからさ。逃げたり、戦ったり、俺にはこれが普通なんだよ。
      ……そうか、ここ、元々は争いと関係ない街だったんだから、マリナにとってこんな状況の今は普通じゃあ、ないか」

ガロードが一人マリナの戸惑いに納得しているなか、マリナはガロードがさらりと出した自身の境遇に悲しみに満ちた口調で言葉を零す。

マリナ「……そんな、悲しい世界で生きてきたなんて」

ガロード「――悲しい時代。思い出も、悲しい……」

マリナの呟きに、ガロードはティファの言葉を思い出し、それを言葉に出す。

マリナ「え?」

ガロード「ティファがそう言ってたんだよ。…………ティファ」

ガロードの表情が曇りだした。

マリナは感じ取る。

ガロードは強くあろうとしているのだ。悲しみを乗り越え戦っているのだ、と。

ティファが無事でいる。必ず助け出せる。

そう信じることが、ガロードの心の支えとなっていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

休憩から上がったガロードはロランと会い、軍基地施設の会議室に向かった。

ドモンは既におり、シロー、クラウス、シーリン、そしてギャロップに座っているカプルのパイロット、
ソシエ・ハイム(以下ソシエ)やレジスタンスの他面々もそこにいてガロードたちを待っていた。

ソシエ「遅い!」

ロラン「すいません、おじょ……ソシエさん」

ガロードとロランは遅れたことへの謝辞を述べた後、空いたスペースに入る。

クラウスとシーリンと向かい合う以外は皆それぞれ数少ないイスに座るか、
ドモンのように壁にもたれるなり、真面目に直立する等していた。

ロランの、初めてソシエを見た際の受けた衝撃は大きかった。
しかし、彼女がGジェネレーションの世界の人間で、この世界の常識に沿って生きているのを知ると、
少しずつ“この世界の住人”であることを受け入れている。

会議の内容は、難民大移動の道程とその間に攻めてくるかもしれない武装集団からの防衛についてが主であった。

その中で陸戦強襲型ガンタンクの男から聞き出した、MS商人の存在にも触れた。

あの男はそのMS商人から陸戦強襲型ガンタンクを買い取り、またこの駐留軍基地の状況とガンダムの存在を教えられたという。

このMS商人は他の所へ行ってはMSを安く売渡し、この軍駐留基地跡のことを話して回っている。

もし此処を狙っている者たちがいるとして、多少なりともこちらの事情が知られているとするならば、襲われるのは戦力の少ない今。

そしてジェネレーション・システムの存在である。

ロランたちがここに来て以降、出現することはなかった。

元々神出鬼没の存在であるため、後手に回らざるを得ない相手ではある。

ただ、ガンダムを狙うことは今までの経験から可能性が高いため、
来た場合すぐに難民たちの下を離れ対応していくことはこの会議内で決まった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロランたちは早速、軍駐留基地跡の防衛作戦への準備に入った。

倉庫の中はMSや作業車両の発進で慌ただしくなっている。

ソシエ「素人は足を引っ張らないでちょうだいね!」

ビーチャ「へっ!あんたもそのチンチクリンなMSで迷惑かけるなよ!」

ソシエ「カプルは関係ないでしょ、ナマイキ!」

リーオー搭乗での作業に志願したビーチャとソシエの言い合いにイーノとエルが諌めているのをガロードとシローは傍目で見ている。

シロー「助けるはずの子どもにここまで手伝わせることになるなんてなぁ……」

ガロード「ビーチャの強い希望があったしな。それにレジスタンスにすら他に動かせる人がいなかったし、
     この作業で動ければ、このままビーチャがリーオーに乗っててもいいわけだ」

シロー「そうなんだが」

ガロード「シローのいる世界では、やっぱり珍しいか?子どもがこういうのに混ざるの」

シロー「いや」

ガロード「そっか。……戦争だもんな……知り合いとかにいるのかい?」

シロー「お前みたいに年上に“さん”付けをしない、元気がいいのがいるよ」

ガロード「う……悪かったな」

ビーチャとソシエの口論は、エルを交えての口論となり、ロランが入っていって、
イーノがビーチャとエルを引っ張って行って事なきを得た。

ガロードとシローのもとにドモンが来る。

ドモン「ロランはまだ取り込み中か」

ドモンがロランの方に視線を向けると、ちょうどよく、ロランがガロードたちの方へ歩いてきた。
その後ろを不満いっぱいな表情のソシエが付いてくる。

シロー「頼りにしてるぞ、ソシエ。君が彼らを支えるんだ」

ソシエ「わかってる」

ガロード「よろしくな」

先程までの態度を一転、真剣な面持ちでガロードに向く。

ソシエ「あの子たちを連れて作業に向かうのよね」

ガロード「ああ。この辺りでモノを集めてた分、アイツらが一番今の地理を知っている」

ドモン「確かに、作業には適任だな」

ソシエ「ドモンさん、またふらっと出て行ったりしないわよね」

ドモン「あれはアンタがゴッドガンダムを見て喚いたりするからだ」

ソシエ「カタキに似た顔のが出てきたら誰だって嫌よ!」

ロラン「カタキ」

ソシエ「お父様の、お母様の、お姉さまの、メシェーの……!」

ソシエの深まる顔の険しさ、語気の強まりと共に語られる犠牲者の名にロランの顔も青ざめていく。

シロー「ソシエ。俺たちに恨み言を言っても仕方ない」

ソシエ「……そうね、お門違いだわ。ごめんなさい」

ソシエはその場を去る。

ドモン「ゴッドガンダムの整備に戻る。ロラン、ホレスが見てもらいたい道具があると言っていた」

ロラン「わかりました」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロランはターンエーの整備場近くの壁に掛けてあるMS用の道具に目をやる。

ロラン「これは」

ミンチドリル。MSイーゲルが持っていた武器である。元の世界で一時期、ターンエーはこれを使い採掘作業を行っていた。

ホレス「ターンエーのサイズならこれを扱えると思いましてね。これからの作業には便利だと思い、
     ギャロップから引っ張り出して使えるようにしたんです」

ロラン「使えるでしょうね」

イワーク「ロラン」

ロラン「イワークさんも参加するんですね」

ホレス「今回の作業は、一緒に組んでもらいます」

イワーク「戦闘はともかく、こういった作業ならデスペラードでも十分だ」

ロラン(この世界に来てから、元の世界のことを意識させるのがいっぱい出てくる。
     ――それにあの話、いくら別人といったって……!)

イワーク「ロラン、大丈夫か。遠い目をしていたぞ」

ロラン「え、大丈夫です」

ホレス「働き詰めでしたからね。少し休憩してからいきますか?」

ロラン「いえ……何かしてる方がいいです。作業は一刻も早い方がよいでしょうし」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

数日後、ついに軍駐留基地跡を狙う者たちが現れた。

それらは青のMSと黒のMSで構成された集団である。青い機体が八機、ほぼ横一列に並び、その前を黒い機体が一機走る。

TMF/A-802バクゥ

TMF/A-802W2ケルベロスバクゥハウンド

軍団はあちこちのMSや建造物の残骸や瓦礫の山々を尻目にデコボコの地上を走る。

デコボコの道から、多少人の手が入ったと思われる場所に入ると、それらの獣を模した脚部は動作を速める。

「あそこを手に入れれば、廃墟生活からおさらばだぜ!」

「こっちはMS商人から仕入れたとっておきもあるんだ!獲物はしっかり仕留めてやる。
  俺ら“熱砂の猟犬たち”がな!」

熱砂の猟犬たちが狙うのはバクゥのスピードを活かした速攻。駐留軍基地跡の難民たちを人質にとり、レジスタンスの戦力を無力化させ、奪い取る。

MS商人の話ではレジスタンスの戦力は弱く三機のガンダムに頼っている、という話である。
ガンダム、とは謎の赤い光から現れる機動兵器たちの中にいる二つ目で角付きのMS。
MS商人に聞くまで名前を知らなかった存在だ。強力らしい。

らしい、というのも空に赤い光が出たらそこから離れるのが利口であるのだからどんなものかよく知らなかった。
赤い光のMSに何かしようとすれば、どんどんMSを出現させ襲い掛かってくるヤツらなのだ。

遠目で空にポツポツ現れた赤い光の点からMSが次々現れ、降りてくる光景は関わってはいけない災厄の類にしか見えない。
おかげで、今までの窮屈は消え、今のような力さえあれば何とでもなるいい世界になったのだが。

“レジスタンスは口だけの存在である”。

政府の不甲斐なさや軍の負け続きにうんざりした人々が囃し立て、祭り上げた存在でしかない。
あの赤い光に勝利した戦いは一度もない。
奴らは宣伝ばかりして人と金を集めるだけ集め、いい暮らしと自分たちの安全を高めているだけなのだ。

とにかく、ガンダムとやらが協力であっても三機ではあの広大かつ、開けた所に立地する駐留軍基地跡を守りきることはできない。そこを衝くのだ。

と、MS商人からの助言もある。

進んだ先にはいくつもの破片や瓦礫で出来た山があった。大きさは大小バラバラ。
不ぞろいに配置されてこちらを待ち受ける。

「センサーが熱を感知してやがる……障害物の爆弾のつもりか?素人め、事故りすらしねぇよ!」

「こんなちゃっちい罠しかなくて、いまだMSの一つも出てこないんだからレジスタンスもたかが知れている」

バクゥたちはそのまま瓦礫の山々の隙間を通り抜けることにした。通り抜けるには丁度いい間隔だった。
勢いで壊してしまってもいいが、こんなのに使うにはやはり弾が勿体ない。

バクゥが瓦礫の山の間をすり抜けた瞬間、付近の瓦礫の山の先端から赤く発光している物体が爆音と共に空へ向かって飛び出した。

「……信号弾!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「来たな!」

Gガンダムは上空へ打ち上がる赤い発光物の方へ向かって走り出した。
彼は罠に掛かったバクゥたちとは別の方面の守りを担っていた。
修繕やごまかしの効かない表面の傷と、一部の機能以外は回復したGガンダムは背中のバーニアを吹かせて加速し、侵略者の元へ急ぐ。

ドモンたちやレジスタンス側にしてみれば、いつ、何処から敵が来るか分からない。

全方位、四六時中行き届いた監視ができるわけがなく、対抗できる戦力の数も少ない。
この罠はそれらの弱点を補うためのモノである。

信号弾の発射装置を瓦礫やMS他機械の残骸、破片、土塊等で覆い瓦礫の山にする。
それらをある一定の距離まで不ぞろいに配置する。これで駐留軍基地跡を多くの瓦礫の山が輪を作って囲んでいるカタチとなっている。

瓦礫の山々の間にはスイッチを設置している。
地上からの4tほどの重圧で押される程度の深さに埋まっており、踏めば信号がケーブルを伝わり弾が打ち上げられるという流れだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

呆気に取られた彼らは動きを止めていた。

そこに一筋の光線が襲い掛かる。

「うわっ!」

それはバクゥたちのどれかを狙ったわけではなく、瓦礫の山の一つに真っ直ぐ命中した。
すると瓦礫の山が爆発を起こし、山を作りだしていた破片や瓦礫などが飛び散り熱や爆風とともに付近のバクゥに降りかかる。

瓦礫の山には爆発物も混じらせていたのだ。

光線――ビームを撃ったのはEz8だ。

瓦礫の山々の外、駐留軍基地跡の方へ続く凸凹の少ない地面となっている所から、
右手に持つビームライフルを前方に向け左手のシールドで機体を覆いつつバクゥたちの元へ走っていく。

シロー「俺が一番乗りだったようだな!」

シローは照準をガラクタの山々に適当に合わせ、ビームライフルをその性能に合わせて撃ち続ける。

放たれた数発のビームは瓦礫の山一つ一つに命中し、仕込んでいた爆発物が破裂、瓦礫や破片が飛び散る。

バクゥたちは攻撃に合わせた回避行動を取るなかでスイッチを踏んだ。
近くの瓦礫の山から信号弾が撃ち上がる。

「うわあああ」

状況に動転し、山にぶつかるバクゥもいた。

瓦礫の山々の不ぞろいの配置は行動を制限させ、音と衝撃と、敵の攻撃からくる恐怖はバクゥたちに混乱を引き起こしていた。

作戦は成功である。

Ez8は背中のバーニアを噴射し、さらに加速して接近する。

背中にはウェポンラックも背負っていない。彼らの機動力が削がれている今ならば。

「3番と5番は迎撃に回れぇ!俺を援護しろ!残りはついてこい!!」

ケルベロスバクゥハウンドに乗り込むリーダー格からの指示でバクゥたちは態勢を立て直し、二機のバクゥがEz8に向かって突っ込む。

二機のバクゥの背部レールキャノンから放たれた弾丸をかわし、Ez8はビームライフルの銃口をバクゥに向け反撃に出る。

シロー「一機でも多くここで仕留める!」

先に瓦礫の山々の罠から脱し、Ez8のいるオウトツの少ない地面に出た二機のバクゥは四本の足を間接に合わせて折り畳み、
一本ずつに仕込んでいる無限軌道を引き出す。

姿勢を低くとり、四つの足の無限軌道による走行形態となった二機のバクゥは
その姿勢による安定性と生まれた速度でEz8を囲み、動き回り翻弄する。

シロー「誘いに入ったら負けだ……!」

Ez8は頭部機関砲でバクゥ二機に向けて攻撃する。

バクゥたちは攻撃を軽々と避けていき、レールキャノンでEz8に反撃する。

Ez8はバクゥたちの攻撃をかわしつつ、機関砲の弾丸をばらまいた。
同時にビームライフルの照準を合わせようとする。

「くそっ!とっとと仕留めてやる!」

一機のバクゥが頭部の先端から、横の両端に向け二つのビームの刀身を出し、Ez8に向かって突進する。

シロー「誘いに乗った!」

Ez8はビームライフルの引き金を引いた。

放たれたビームはバクゥのレールキャノンを撃ち抜き、
装備の爆発による衝撃で速度を強引に落とされて、バクゥは地べたへ押され怯んだ。

Ez8は距離を取り、もう一機にビームライフルを向ける。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

二機のバクゥの奮闘のおかげで、残った六機のバクゥとケルベロスバクゥハウンドは瓦礫の山々の罠とEz8の猛攻から抜け出した。

ここから先は障害物が無く、オウトツの少ない地面になる。

センサーによると、この先には再び瓦礫の山々がある。おそらく先程と同じ罠だろう。
そこを過ぎれば駐留軍基地跡に辿り着く。まずはこの場を一気に走り抜け、障害物を破壊して進めば目的は達成だ。

しかし、この障害の少ない地点を素早く移動するための通路にしているのはドモンたちも一緒だった。

Gガンダムがバクゥの群れに突進する。

「角付きで二つ目!貴様がガンダムか!」

バクゥたちはGガンダムに向けてレールキャノンによる砲撃を開始する。
ケルベロスバクゥハウンドもケルベロスウィザードに付いている自身と同じ頭部、を模したビーム砲で攻撃した。

Gガンダムはビームソードを取り出し、攻撃を掻い潜って群れに突入しバクゥたちを散らばらせる。

ジェネレーション・システムとの戦いでターンXによって失われて以降、ビームソードは一本のままだ。

ドモン「でぇぇりゃぁあ!」

Gガンダムはバクゥの懐に飛び込み、機体とレールキャノンの接合部分を横薙ぎに切り裂く。
そしてバクゥの腹部を蹴り上げ、横転させその場を離れた。

転ばされたバクゥはそのまま仰向けになる。四本脚を動かすも、立て直しは叶わない。

Gガンダムは動きを止めずにバーニアを吹かし、足を地に付けない程度の飛行で滑走して
バクゥたちに砲撃態勢を取らせぬよう飛びまわる。

バクゥたちはチームワークを荒らされたことで一機一機での対処を余儀なくされ、
隙を見せた一機が懐に飛び込まれ、ビームソードで右前脚と後ろ右脚を切断された。

「速い」

「MS商人の情報と違うぞ!」

「誰だ数でかかれば勝てるって言ったの!」

ケルベロスバクゥハウンドからの号令に従い残った四機のバクゥたちはGガンダムから逃げ、
無限軌道による走行形態に変形して目的地を目指した。

バクゥたちはケルベロスバクゥハウンドの前方に二機、後方に二機位置し、ケルベロスバクゥハウンドを守る形となった。

「楽じゃねぇよ」

アラームがパイロットに高熱を持つ何かが迫るのを知らせる。

前方からビームが襲い掛かり、先を行くバクゥの左の前脚と後ろ脚を焼き切った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ターンエーは目元にビームライフルを寄せ、構えたまま前方を見遣る。
ビームライフルのグリップを収納し、右手は側面にあるダイヤルへ、左手は銃身を支える射撃の姿勢を取っていた。

その右隣にはマシンガンを持つリーオーとスクラップから取ってきた鉄柱を持つウァッドがいて、
それぞれにビーチャとガロード、モンドが乗っている。

三機は信号弾や火薬などを詰め込んだ瓦礫の山々の前に立つ。
ここを過ぎれば駐留軍基地跡までもうすぐである。最後の防衛線だ。

ビーチャ「すげぇ……カメラを拡大したって、MSがぼやけて見えるんだぜ」

ターンエーはビームライフルで射撃する。

ロラン「ギャロップとカプルはそのまま……。はい。シローさんやドモンさんとでやれそうです」

ロランは別の方面を守る、クラウスらが搭乗するギャロップに通信を送りつつ、ここからGガンダムとEz8への援護を行う。

ガロード「何とかなりそうだな」

ラスボス候補会議

シャア 「私がアクシズ落として粛正してやろうと言うのだよ。」

デュランダル 「いやここは私がデスティニープランを発動するのだろう。(なんだか他人には思えないな。)」

リボンズ 「Gジェネウォーズの時のように僕が0ガンダムに乗るんだ!もしくはリボンーズガンダムで!!」

シャア 「アムロ!?…いや人違いか…。」

ラクス 「何言ってるのあなた達ジャンクにするわよ。」

デュランダル 「中の人ネタは止めて頂きたいのだが…。」

ラクス 「私の天下はまだ続くのですわ。」

シャア 「どういうことだ?」

デュランダル 「SEEDdes以下略のリマスターの他にローゼンメイデン(新)が始まるらしい。それにガ○パンの映画やるらしい…。『やっぱり他人とは思えないな…。』」

リボンズ 「メタい…。」

シャア 「こうなれば私シャア・アズナブルはガスマスクを被る役でもやるしかあるまい。」

リボンズ 「C3シーキ○ーブですねわかります。」

デュランダル 「私は種死…SEED運命のリマスターを地道にやってくか…。」

リボンズ 「その次はガンダム00だね。僕の時代の幕開けだ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

遠方の、こちらでは捉えられない距離にいる、ターンエーからの攻撃にバクゥたちはたじろぎ、
そこへGガンダムが乗り込んでバクゥたちを散らばらせる。

そして二機のバクゥを沈黙させたEz8が接近する。

シロー「このまま一気に……!」

轟音と共に幾つもの信号弾が上空へ飛び上がる。

ドモン「新しい侵入者か、それとも迎えのレジスタンスか?」

装置が示す二つの信号。これはMSクラスが二機こちらに迫っていることを表している。

「増援か!」

「何言っている、この予定はない!」

Ez8のカメラが姿を捉える。

シロー「四足の獣……アイツらと同じタイプのMSか!」

二機のそれらは空へ飛び跳ねた。光を背にして影となったそれらは、シルエットを獣から人の形へと変える。

ドモン「変形した」

降り立ったのは黒と朱をそれぞれ主な体色にしている二つの機体だった。

ZGMF-X88Sガイアガンダム

シロー「ガンダム」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

状況は一変した。

ロランたちの元に、別の方面を守っているギャロップとカプルが二機のMSと遭遇したと報告が入った。

クラウス『ガンダムだ!妙な姿だが、間違いない!二体いる!』

ロラン「分かりました。すぐに向かいます!」

ガロード『ここは任せろ』

ロラン「頼む!」

ターンエーはそこへ向かって吹き出し、脚部の裏全体のスラスター・ベーンで機体を一気に飛び立たせた。

ガロード「ビーチャ、代わるなら今のうちだぜ」

ビーチャ『バカいえ!俺たちが戦いに出なきゃ、レジスタンスに適当に扱われるかもしれないんだ!』

ガロード「わかったよ」

ウァッドの上下の座操縦席、その下に座るガロードはウァッドがセンサー等から得た情報を見る。

モンド「あいつら口では難民救済とか言っているけれど、“使えない”と分かったらどういう待遇になるか……」

上の操縦席でモンドが今の状況への不安をこぼす。

ガロード(俺たちみたいな異邦人とこの世界を生きるビーチャたちとじゃ、レジスタンスに頼ることの問題の深さが違うんだな)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

二機のガイアガンダムの乱入、それらの自分たちを無視したGガンダムとEz8への集中攻撃に、
“熱砂の猟犬たち”の気後れしていた士気は高まっていた。

ガイアガンダムたちは二つの形態を器用に扱いドモンたちを翻弄する。

人型と四足獣形態を使い分けることによる機動性は二機のガンダムを追い掛け、逃げ回ることに十分に発揮され、
さらにもう一機との連携によってその効果を強めていた。

「どうやらあのガンダムどもは俺たちに興味を示さないらしいな」

「しかしあのビームライフル持ってる赤い目のヤツ、ガンダムに当たり負けしてねぇ」

「もしかしたらヤツもガンダムだったってわけか。だとすればレジスタンスのガンダムはあと一機……これはチャンスだ!」

「リーダー、援軍がもうじき到着するそうですぜ!」

「よし、残り一機のガンダムをアレで引き付け、その隙に基地跡に攻め込む!」

様子見をしていたバクゥたちが駐留軍基地跡へ向かいだす。

シロー「……待て!」

Ez8は後を追おうとするがバクゥが後部に回頭させたレールキャノンの適当に放った砲撃に阻まれた。

「ガンダムはガンダム同士でやりあってな!」

GガンダムはMS形態になっている、朱色のガイアガンダムに向かってビームソードで斬りかかる。

ガイアガンダムは距離を詰め放たれたGガンダムの攻撃をかわし、ビームライフルでGガンダムを狙う。

銃口と向かいあおうとした瞬間、Gガンダムは咄嗟に胴体に向けて回し蹴りを繰り出し、蹴り飛ばした。
ガイアガンダムの機体が吹き飛び地面に倒れるも、すぐに起き上がる。装甲に傷はない。

ドモン「技を浴びせても大して手ごたえが感じられない!この感覚は――あの時のガンダムか!」

Gガンダムはガイアガンダムを無視し、駐留軍基地跡へ向かったバクゥたちを追う。

シロー「こいつらがジェネレーション・システムか!」

ドモン『恐らくな!アイツらの味方ではないことは確かだ……気を付けろ!こいつ等は特殊な装甲をしている。
     少なくとも打撃は効かない!』

シロー「ならビームライフルだ!」

Ez8は目の前に立ち塞がる黒色のガイアガンダムに向けて銃口を向け、発射する。

黒色のガイアガンダムは左腕に装備するシールドでビームを受け止める。対ビーム処理が為されているこのシールドは、
襲いかかったビームを防ぎきった。

シロー「何っ!?」

シローは防がれたと判断すると、直ぐにその場から動いた。

ガイアガンダムはシールドで受けたことによる衝撃を背中のバーニアで押しとどめやりすごすと、直ぐにビームライフルで反撃する。

反応が一瞬速かったため、ビームを避けることができたが、
地面に向かって飛び込むかのような前傾姿勢で動作をしたため態勢を崩して転んでしまう。

Gガンダムは黒色のガイアガンダムへ突っ込んでいき、Ez8から注意を逸らさせる。

シロー「ビームを防ぐなんて……!」

Ez8が立ち上がったと同時に、四足獣形態の朱色のガイアガンダムが背部ビーム突撃砲と右肩に掛けたビームライフルで
Gガンダムたちを攻撃しながら突進する。

Gガンダムは黒色のガイアガンダムから離れざるを得なかった。

ドモン「ゴッドガンダムを動かせるようにするのを最優先にしていて、ハイパー・モードの調整は後回しにしていた」

バクゥたちは着実にGガンダムたちから距離を離し、駐留軍基地跡へ進んで行く。

シロー「ビーチャとガロードたちでは荷が重い」

ロランが別の方面で出現した二機のガンダムの対応に向かったという報せは二人に届いていた。

ドモン『俺があのガンダムたちを抑える!ガロードたちを助けに行け!』

Gガンダムは頭部バルカン砲で攻撃するが、朱色のガイアガンダムは被弾も構わず突進する。

Gガンダムは朱色のガイアガンダムからのビームライフルによる攻撃を避け、
後ろから迫った黒色のガイアガンダムのビームライフルでの射撃も反応し回避する。

ガイアガンダム二機のビームライフルによる別位置からの同時攻撃。

この十字砲火はGガンダムを苦しめるも、Ez8からのビームで陣形は崩された。

シロー「一機では危険だ!」

ドモン「俺に構うな!ガロードたちや基地のみんなが危ないんだ!」

シロー「くっ」

Ez8は駐留軍基地跡の方角へ走り出した。

シロー「頼んだぞ……!」

Ez8を追おうとした朱色のガイアガンダムの足元にGガンダムはマシンキャノンで砲撃し、注意をこちらに向けさせる。

並び立った二機のガイアガンダムは、四足獣形態となってカラ手で向かってきたGガンダムに襲い掛かる。

先んじた黒色のガイアガンダムが胴体背面の側面に飛び出ているウィングに装備する武装グリフォン2ビームブレイドを作動させ、
そのビームの刃で切り刻もうとした。

Gガンダムは迫る黒色のガイアガンダムの突進を、接触するか否かの所で脚を使い飛び跳ねてその真上に逃げることで避け、
落下と共にその獣の頭を踏みつけ再び跳ねた。

ドモン「ゴッドスラァッシュ!」

左腰部ホルダーに収めていたビームソードを取り出し、黒色のガイアガンダムに続いて
ビームブレイドの一撃を加えようとしていた朱色のガイアガンダムに向け、機体の落下と共にビームの刃を振り下ろす。

朱色のガイアガンダムは咄嗟に四本脚で後ろに飛び跳ねて攻撃を避けた。

着地したGガンダムは起き上がる黒色のガイアガンダムと、
モノアイでこちらを睨みつけるように見ている朱色のガイアガンダムに前後に挟まれる場に立つ。

ドモン「さあ、かかってこい!」

ドモンの掛け声と共にGガンダムは両腕でビームソードを構え見得を切った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

別方面に現れた例のガンダム二機は最初の防衛線である瓦礫の山々を抜け、
そこと、最後の防衛線である瓦礫の山々に挟まれた特に障害物の無い、オウトツの少ない
地面で陸戦艇ギャロップとカプルに遭遇し、戦闘が行われた。

結果はガンダムたちの圧勝である。

陸戦艇ギャロップは突き出ている左右のジェットエンジンのうち、右側のモノが破損しており、そのまま沈黙している。

ソシエが乗るカプルは挫けず、未だ二機のガンダムに立ち向かうも、
その丸い機体を地面に叩きつけられ転がされていた。

GF13-002NGRゼウスガンダム……モビルホース・ハーキュリー搭乗

GF13-050NSWノーベルガンダム

ソシエ「何なんだ!一思いに殺せばいいのに!」

ソシエの恐怖と憤りの混じった言葉の通り、ガンダムたちは軽く相手をいなすだけだった。

ギャロップの他の船体、船員も無事ではある。しかし、その圧倒的な力の差に、この状態で戦えばどうなるかなど察しはつく。

ソシエが戦うのは本人の意地だ。だがそれも通らなくなろうとしている。

古代の戦いで用いられた戦闘馬車、チャリオットを模したハーキュリーに乗るゼウスガンダムは
腰部左に掛けている鞘から両刃の剣、ゼウスソードを抜き出す。
両目はカプルを見詰め、ソシエはその無機物の眼差しへの恐れが意地に勝りカプルを立ち上がらせることが出来なかった。

その時、彼らの近くでビームが地面に突き刺さり、地面が破裂した。

ガンダム二機が一斉に視線を移す。
視線の先には両手で支えるビームライフルの銃口を向け、低空飛行で接近するターンエーがいた。

ソシエ「ターンエーガンダム―――ロラン・セアック……」

待っていた、とでも思っていたかのように二機はターンエーに向かって走り出す。

ターンエーは地上に着地しつつ、ビームライフル下部のグリップを出し
右手を側面のダイヤルからそれを握らせ片手で支える方に転換した。
そして銃口をガンダムたちに向ける。

ロランはソシエたちの無事を認識し、そして向かってくるガンダムたちに注目する。

ロラン「確かに妙なカタチだ。ヒゲが生えてるし、髪が生えている。それになんて恰好してるんだ」

ハーキュリーで走行するゼウスガンダムの前をノーベルガンダムはその細い脚で以って疾走し、
手から自身を容れられる程の輪型のビームの塊、ノーベルフラフープを生みだし、ターンエーに投げつけた。

ターンエーは咄嗟にノーベルフラフープに合わせビームライフルの引き金を引いた。

放たれたビームはノーベルフラフープを貫き砕く。砕けた光の輪は塵となって消え去った。

ロラン「きっと元はドモンさんのいる世界のガンダムだな……!」

ノーベルガンダムはそのまま真っ直ぐターンエーに向かうのではなく迂回していく。

ロランは前後で挟み撃ちするつもりと考えたが、迷わず前進した。
何よりの目的はゼウスガンダムの背後にいる、ギャロップとカプルの救出だった。

対面するゼウスガンダムにビームライフルの銃口を向け、ビームを放つ。

ゼウスガンダムはハーキュリーを駆使して軽やかに避け、ゼウスソードを振り上げ斬りかからんとした。

ターンエーはスラスター・ベーンの推進力で空へ飛び跳ね、ゼウスガンダムの真上を通過し、
下半身をひねり、脚部を大きく動かして脚部裏を反対に向け、そして機体全体を反転し
ビームライフルを地上のゼウスガンダムに向けて上空から射撃する。

ビームは長時間撃ち出され、銃口から続く光の柱となってゼウスガンダムを襲う。

ゼウスガンダムは左手に持つ手綱を引き、ハーキュリーの前脚を振り上げさせ車輪側を軸に反転、
背面車輪付近のバーニアを噴射して、降り注ぎ地を穿いて進むビームの柱から逃げ出した。

ターンエーはギャロップの傍に降下する。
転がっていたカプルも立ち上がり、ターンエーの傍に寄った。ターンエーは距離を取って
相対するガンダム二機にビームライフルを向け威嚇する。

ロラン「ここは僕が引き受けます」

クラウス『苦戦を想定していたとはいえ、こんな状況まで追い込まれるとは』

ロラン「ドモンさんたちもガンダムと戦って足止めされて、身動きが取れずにいます」

クラウス『突破できるか?』

ロラン「ジェネレーション・システムなら、狙いはコイツです」

クラウス『ガンダムか。――ソシエ・ハイム、ガロードたちの救援に回るぞ。いいね』

ソシエ「ガンダム相手だからって無闇に突撃する鉄砲玉じゃないです!……ロラン、やれるのよね?」

ロラン「やります」

ターンエーは揃い、立ち並ぶガンダムたちに向かって走り出す。

ソシエ「そう」

ロラン「さあ、こっちにこい……!」

ターンエーは走りながら右手に持つビームライフルで射撃する。そして左手を背中のビームサーベルの柄に掛けた。

襲い掛かるビームに怖気づくことなく、並走し接近するゼウスガンダムたち。

ターンエーはビームを撃ち込み彼らを引き離す。

ノーベルガンダムは空中へ跳躍し、ゼウスガンダムはハーキュリーをターンエーに向かって走らせゼウスソードで斬りかかる。

ターンエーは空中からビームリボンの柄を右手で振り、背後でビームの帯を渦巻かせながら落下するノーベルガンダムに顔を向けつつ、
ゼウスガンダムにビームライフルを向け発射し、左手でビームサーベルの柄を引き抜き発生口からビームを勢いよく噴出させながら
振り下ろしてノーベルガンダムの目の前に光の刃を見せつける。

ノーベルガンダムはビームリボンのビーム帯を光の刃に投げつけてぶつけ合った後、ビーム帯の反発と共に後ろ宙返りをして着地する。

両機ともターンエーに一撃を見舞おうと躍起になっている。
その隙に後部の平らな部分にカプルを載せて動く機会を窺っていたギャロップは残る左側のジェットエンジンを使い、
ホバークラフトを起動してガロードたちが守る方面へ走り出した。
カプルは両腕を突出し、取りつけているハンドガンを向け威嚇のポーズをとっている。

ゼウスガンダムはそれに顔を向けた。すると、ハーキュリーをターンエーに向けてではなく、ギャロップに向かって走らせた。

ロランはゼウスガンダムに注意を向けた。その隙を見計らい、ノーベルガンダムはビームリボンを
ターンエーの右腕に巻きつかせ、柄を引いた。
ビーム帯も縮まり、ターンエーはバランスを崩され転びそうになる。

ソシエ「嘘つきロラン!こっちに来てるわよ!」

カプルはハンドガンでゼウスガンダムを攻撃するも、ハーキュリーは悠々と避けながらギャロップとの距離を詰めていく。

ロラン「このぉっ!」

ターンエーは左手のビームサーベルの刃を収めると右腕を引き、ビーム帯を引っ張り返した。
今度はノーベルガンダムがバランスを崩す。両足を大きく開き、腰を据えたターンエーは
上体を捻り勢いよくビーム帯を引っ張り上げた。

ノーベルガンダムの両足が地面から離れ、機体は空中へ投げ出される。その勢いでビームリボンの柄が手から落ちた。

ターンエーは全身とともにビームライフルをゼウスガンダムに向け、狙い撃った。

放たれたビームがハーキュリーに命中し、ハーキュリーは爆発した。

ソシエ「やった!」

ギャロップの進行方向に上空からゼウスソードが落下し、切っ先が地面に突き刺さった。
突然の障害物の出現にギャロップは急停止し、船体を大きく揺らす。

ソシエ「わっ!?」

ゼウスガンダムは背中の大きな翼とバーニアで以って上空へと逃げ延びていた。

ロラン「仕留めきれなかった……!?」

ターンエーはゼウスガンダムにビームライフルの照準を合わせる。
その背後へ強烈な打撃が繰り出された。

ターンエーは衝撃と同時に吹き飛び、前のめりとなって地面に滑り落ちた。

ロラン「……っう!?」

ノーベルガンダムの仕業である。その機体の様子は先程とは大きく変化していた。

髪の毛を模したパーツの噴射口から真紅の細やかな光の粒が噴き出し続けている。
装置の稼働を全開にする為にその部位は分離しており、まるで束ねていた髪がバラバラに乱れ広がっている様に見せている。

その光を浴びて機体は赤色に染まり、色合いは変化したノーベルガンダムの姿をより禍々しくさせていた。

バーサーカーシステム。

本来のソレはシステムに対応したガンダムファイターとシステム起動のための外部誘導波装置ありきのシステムであるが、
当機のコレはシステム起動時の飛躍的な戦闘能力向上を擬似的に再現したものだ。

ロランは対面するノーベルガンダムの姿が変わったのを見て、
赤色に変わって強力になる刹那のガンダムと同じように性能向上が行われたのだと悟りつつ、
背後で地上に降りたゼウスガンダムが稲妻を模った柄をした槌の先をギャロップの艦橋に向けていることも認識し、動けずにいる。

クラウス「我々が生かされていたのはもしものための人質だったのか……」

そのゼウスガンダムの武器、ゼウスハンマーを向けられているうちの一人、クラウスは表情を強張らせながら呟く。

ギャロップの後部に乗ったままのカプルもまた、この危機に硬直していた。

ターンエーはそれぞれ手に持っていたビームライフルとビームサーベルを地面に落とす。
ノーベルガンダムはビームリボンのビーム帯でそのビームライフルを器用に絡め取り、上空へあげてビームライフルを放す。

そしてビーム帯でビームライフルを両断し、破壊した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バクゥたちはついに、第二の瓦礫の山々を視界に捉えた。

「見えたぜ!」

そしてその前に守備するリーオーとウァッドの姿も確認する。

「やっぱりガンダム頼りだったか!あんなのしかいないなんてな!」

ウァッドが突然前へ向かって走り出した。

だが前進こそしているものの、その行き先はバクゥたちに向かってではなくそこから外れた、地平線である。

リーオーは前に出ると、マシンガンを両手で持って構え、前方に向けて乱射した。

『逃げ出したんだろう。それよりもあのイカレMSを潰せば終わりだ』

バクゥたちのうち一機がウァッドを横目に見ていたが、ケルベロスバクゥハウンドからの通信で視線を戻した。

「確かにそうだ。俺たちの勝ちだ」

ビーチャ「うおおおおおおおおおおお!」

注意は全てリーオーに向けられた。
バクゥたちはヤケクソに撃ち続けるそれを蹂躙して倒すために脇目も振らず真っ直ぐに進む。

ウァッドは反転し、バクゥたちに向かって走り出した。ウァッドは彼らの後ろを取る。
背骨にあたるレールのような部位を利用した、その特徴的な前傾姿勢で以って全速力で駆ける。

リーオーは撃ちつつ前進し、ゆっくりとバクゥたちと距離を詰めていく。

「挟み撃ちのつもりだったのか!」

「こんな、子どもだましみたいな誘き出しで!」

ウァッドは胴体付属の機関砲で攻撃し、牽制する。バクゥたちは後ろの方への注意を強めた。

「やっちまえ!」

バクゥたちは前進しつつ前後のリーオーとウァッドに向かって砲撃する。

ビーチャ「うわあああああ!」

リーオーは命中こそ避けたが、その攻撃に怯む。
ウァッドは勢いを落とさぬままその砲撃をかわしていった。

モンド「うわっ」

ガロード「そんなへなちょこダマ、当たるかってんだ!」

そしてバクゥの集団に入り込み、近くのバクゥにとびかかった。

「こいつっ」

ウァッドはその背中に飛び乗ると、頭部と首にあたる部位の接合部に片手で持てる、自機の腕より少し短い位の長さの鉄柱を
食い込ませ、さらに奥へ鉄柱を突っ込もうと鉄柱を思いきり振って捻じ込んだ。
火花が散っていく。

「メインカメラが!」

モノアイの光を失ったバクゥが上の障害を振りほどこうと機体を振るわせる。
ウァッドは飛び降り、他のバクゥへ襲い掛かった。

「このチビが!」

バクゥたちの注意はウァッドへ集中する。

ビーチャ「このっこのっ!」

態勢を立て直したリーオーも乱闘する彼らに向けてマシンガンで攻撃する。

ウァッドがバクゥたちを相手取り、リーオーがその乱戦の外から銃撃を浴びせていく。
二機の行動にバクゥたちは血眼となり翻弄された。

だが勝算は薄い。

手が意識を変え、誰かを置いて二機を相手にさせ、駐留軍基地跡の占拠に専念すれば
瓦礫の山々での時間稼ぎしかなくなり、状況は一気に不利になる。
リーオーの弾切れが起こっても同様だ。

不利な要素を抱えながらもガロード達は必死で奮戦する。

そこへ瓦礫の山々を抜け出て、こちらまで走ってきたMSがいた。

イワーク「加勢に来たぞー!」

MS、デスペラードである。ヒートスコップを肩に担いで登場した。
作業用モビルスタンダードに分類される当機は、他のMSより緩慢な動作だ。

ビーチャ「何で出て来たんだよ!?」

ガロード「その作業用のMSじゃ流石に無理だ!

モンド「リリアは!?」

イワーク「言ってやらなきゃ……もう我慢ならない!」

イワークは通信回線を開いた。彼の怒りの叫びが戦場に響き渡る。

イワーク『お前たち!ジェネレーション・システムとかいう、得体の知れない機械の化け物に脅かされているのに、お前たちは!
      野盗をして、自分たちのことだけを、食い荒らすことだけを……!
      お前たちのせいで、俺たちはこんな生活を強いられているんだ!!』

激闘を止め注目する者は誰一人いなかったが、その叫びは届いていた。

「……何言ってんだあいつ?」

「知ったことか!俺のやりたいことに、なんでお前らのことなんか考えなくちゃならないんだ?
  余計なこともして、大人しく俺たちにモノを渡せばいいのによ。イラつく、お前ら覚悟しておけ!」

その言い分に苛立った侵略者たちは意識をデスペラードに向けた。
ウァッドの足止め効果はほとんど無くなってしまった。

ガロード「まずい!」

彼らを追うウァッドの前にバクゥが二機……
うち一機はモノアイの光を失くし頭部が力なく垂れ下がっている機体たちが立ち塞がる。


イワーク「さあ来い!」

デスペラードはヒートスコップの柄を両手で持ち、先端を上にして思いきり振るわんと構えた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

二機のガイアガンダムとGガンダムの戦闘は続いている。

二機での射撃、または一機が援護し、もう一機が格闘戦を仕掛けるといった戦法をGガンダムは捌いていく。

その後、業を煮やしたかのようにガイアガンダムたちは変形を交えた格闘戦へ移行し、戦闘は激しい乱戦となっていた。

その中でGガンダムのセンサーが上空からこちらに接近するモノたちを察知する。

ドモン「何だあれは」

上空を飛ぶ三つの機体。それらは“熱砂の猟犬たち”の仲間であり、MS商人から買い取った新しい戦力だった。

MAX-3アッザム

軽戦闘機ドップ

二機のドップがアッザムを先導するように飛行する。

「随分と手こずっているようだなぁ。ガンダム、噂通りの性能か」

道中で発見した、機体をバラバラにされて戦闘不能にされたバクゥを見ての感想である。
その彼らからの通信で、状況も大体は把握していた。

「狙いはあの一回りチビッこいガンダムか。可変タイプは無視していい、と」

アッザムは三機のガンダムの戦闘に、連装メガ粒子砲での攻撃で割り込む。

ドモン「ぐっ」

アッザムの割り込みにも意に介さず、むしろ攻め込みに利用し、ガイアガンダムたちはアッザムに気を取られていたGガンダムへ襲いかかる。

「本当の様だなぁ。赤と黒のはチビに夢中か」

二機のドップはそのまま駐留軍基地跡へ向かい、アッザムは戦闘に残った。

ガイアガンダムたちの攻撃を利用して、Gガンダムの真上を取る。

「アッザム・リーダーだ!」

アッザム機体底部の装甲の一部がスライドし、球状に近い物体が投下された。

ドモン「!?」

Gガンダムは咄嗟に頭部バルカン砲で迎撃する。命中した物体は破裂した。

中に入っていたのは黄色い粉であった。
破裂と同時にばら撒かれ、ちょうど下にいるGガンダムに降りかかり機体を覆う。

アッザムから再び別の物体が投下された。それはコマの様な形状で、棘々が伸び出し先の尖りがGガンダムの周囲の地面に突き刺さる。

Gガンダムはその物体が作り出した即席の檻に閉じ込められる形となった。

ドモン「何だ!?」

周囲の檻が光り、放った周波にGガンダムが塗れた粉が反応して煌めく。それは超高熱を発して機体を焼きだした。

「これでヤツは熱の発散にエネルギー放出して燃料切れだ!外のガンダム共にやられるんだな!」

空中で飛び回っていたドップたちを呼び戻し、アッザムは駐留軍基地跡へ向かって飛び去っていった。

ガイアガンダムたちはアッザム・リーダーで焼かれるGガンダムをじっと待つ。

ビームライフルを構え、リーダーの稼働が終わり弱ったところへ斉射して撃破するつもりだ。

ドモンはシステムを通した痛みに呻きながらも、現状の打破に頭を働かせていた。

アッザム・リーダーは使用者の言葉の通り、発生器に対象を閉じ込め超高熱で機器の破壊、もしくは麻痺を引き起こさせる兵器である。

ビームソードは刀身を失いGガンダムは地に膝を付き姿勢を縮こませていた。

ドモン「―――こうなったら、やるしかない……!」

Gガンダムはハイパー・モードを起動させる。
そして背中羽状のエネルギー発生装置の光の輪が形成されると、機体をゆっくりと立ち上がらせた。

排熱機能を利用して熱を逃がし回復を図ったのだ。この試みは成功した。

二機のガイアガンダムはビームライフルでの斉射を行った。

Gガンダムはビームを避け、ビームソードでアッザム・リーダーの檻を薙ぎ払い突撃する。

狙いはどちらか。両機ともビームライフルで撃ちながら後退さった。どちらか。朱色の方。

朱色のガイアガンダムは右手のビームライフルの銃口を対面し迫るGガンダムに向け引き金を引く、もビームソードが銃身を斬り落とす。
すかさず左腕のシールドをぶつけようと振るうが姿勢を低くされて避けられ、晒した胴体は光の刃に両断された。

上下二つに割れた朱色のガイアガンダムを背に、Gガンダムはもう一機に迫る。

ビームライフルを切断するも、頭部機関砲での抵抗を受けて距離を取られる。

その間ガイアガンダムはビームサーベルを取り出し、斬り合いとなった。

Gガンダムは勢いで以って押していくが、最中にドモンの身体にシグナルが走る。

Gガンダムはビームソードでガイアガンダムのビームサーベルを払い、
右脚でガイアガンダムの腹部を蹴り飛ばした。ガイアガンダムの機体が後ろへ吹き飛び地面へ叩きつけられる。

その後にビームソードは手から離れ、機体は全身から力が抜けたかのように下に落ち両ひざを地につかせ項垂れてそのまま動かなくなった。

ガイアガンダムは立ち上がりGガンダムを斬りつけんと走り出した。

敵が近付きビームサーベルを振りかぶる様に、Gガンダムはひくりと反応し右足の裏を地につけ、
機体を起こして懐に飛び込むと同時に左腕をガイアガンダムへ突き出す。

ドモン「うおおおおおおおお!」

ガイアガンダムの眼前に迫るは黄色の二本の尖端。

爆熱ゴッド・フィンガーを使う際に、手に被さる前腕部プロテクターの黄色の部位を拳の先まで飛び出させて作った刺突武器――
それがガイアガンダムの両目に深く突き刺さった。

ガイアガンダムは視界を失って動揺したかのようにその場から後退さる。

Gガンダムは近くに転がる刀身が消えたビームソードの柄を拾い、光の刀身を出して立ち上がり、ガイアガンダムにビームソードを振るう。

ガイアガンダムはバーニアを用いて後方へ飛び上がり、空中で四足獣形態へと変形して距離を置いて着地し逃げ去った。

Gガンダムはそれを見送った後全ての力が抜け、前のめりで受け身なくそのまま倒れた。

全身に掛かっていた重さと痛みから解放されたドモンは機体の異常を示す機器を見据える。

ドモン「すまん、ゴッドガンダム―――ガロードたちは、大丈夫だろうか?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ターンエーは弄られるままだった。

バーサーカーモードのノーベルガンダムはビームリボンを振り回し、
武器を持てないターンエーを何度も何度も叩き痛めつける。

ビーム帯は見た目と裏腹に強靭な鞭の如くターンエーを打ちつけている。

先程ビームライフルを切り裂いたように機体を切り刻むことも出来るのだろうが、
そうならない、しないのはターンエーの並々ならぬ防御力の賜物もあるが、
ノーベルガンダム自身の目的が破壊ではないのかもしれない。

ロラン「ぐ……こいつっ!」

ロランは攻撃による強い衝撃を受けその恐怖と痛みに呻きながらも、
ゼウスガンダムに人質にされているギャロップの船員たちを気に掛けている。

ゼウスガンダムの顔面はターンエーとノーベルガンダムの方を向いていた。

カプルのカメラを通して、ソシエはその様子を見る。
まるで、何もできないターンエーガンダムが苛められている姿を楽しむチンピラの様だ。
ギャロップから船員がカプル付近のドアを開けて顔をだし、身振りでソシエにコンタクトを取ろうとしていた。

ヤツは既に人質に気にも留めなくなっていたのだった。何を考えているのか。見下げているにも程がある。
恐怖で沈んでいた怒りが再び湧き上がる。今こそ勇気を奮い立たせるその時だ。


ギャロップのエンジンが起動する。轟音と共に、船体下部から土煙が吹き出した。
ゼウスガンダムが顔面をこちらに向ける。

ソシエ「わーーーーーっ!」

カプルがギャロップから飛び降り、ゼウスガンダムに飛びついた。
その両腕と上体で見事機体に組み付き締め付ける。

クラウス「撃てーーーーーーっ!!」

カプルの勢いで後ろへ下がっていくゼウスガンダムへギャロップが砲弾を放つ。
周囲に着弾し、地面が砕けて跳ね飛んだ。勿論命中させるつもりはなかった。

ロラン「動いた!―――ッ!」

ターンエーは向かって飛んできたビーム帯をその手で掴む。

ロラン「いくら赤くなったからってーっ!」

再びビームリボンの引っ張り合いとなる。
ノーベルガンダムは強力になっていたが、ターンエーのパワーはさらに強大だった。

機体を投げ飛ばされることはなかったが、力比べに負けて次第に前のめりとなり、そのまま転げた。

その時、ビームリボンの柄が手から離れた。

ターンエーはビーム帯を器用に巻き取り、手元に柄が来た時に丁度ビーム帯が消え手中に収める。
そして反転し、カプルたちの救援に走り飛んだ。

ロラン『お嬢様、下がって!』

スラスター・ベーンの推進力で地表の上を飛行し勢いよく突っ込んでくるターンエーに、
ゼウスガンダムはカプルを強引に引き剥がし、すぐさま空中へと逃げ出した。

ロランの呼び掛け通り、カプルはすんなりと放されゼウスガンダムから離れて着地する。
ターンエーはそれを確認し上へと方向を変えて飛びゼウスガンダムを追いかけていき、空中戦となった。

ロラン「翼を切ればいいのか!?」

ターンエーは右手にビームサーベルを持ち、ゼウスハンマーから繰り出されるエネルギー波攻撃を避けつつ、何度も接近を試みる。

両機の戦闘にノーベルガンダムが割って入った。
地上から自身の脚で跳び上がり、真紅の光芒となってターンエーへ迫る。

ターンエーは接近するノーベルガンダムにビームサーベルを振るう。

ノーベルガンダムは上昇してターンエーより上の高度を取り、再び突撃の機会を窺った。
攻撃の手段は素手。髪の毛を模した部位を振り乱し、五指の先を向け襲い掛かる姿はまるで悪鬼だった。

ターンエーは左手に握っていたビームリボンを中指と薬指の間に挟み込み、先端から少しを露出させビーム帯を出した。

ノーベルガンダムは地べたを蹴りだしたかのように、上から下へ跳びターンエーに向けて先程のような光となって突撃する。

それに向けて、ターンエーはビーム帯を飛ばす。
何処でもいい。標的へ真っ直ぐに伸びたビーム帯は、攻撃を避けようと急に立ち止まり、
再び跳びあがらんと下に向けて広げたノーベルガンダムの両足へ、その右脚に見事に巻きついた。

ターンエーはゼウスガンダムに向けて一気に加速し、ノーベルガンダムをそのまま引き回した。
しっかり巻きついたビーム帯はノーベルガンダムを放さず、飛行速度から来る衝撃が抵抗の隙さえ与えない。

ゼウスガンダムは後退しつつ距離を取ってゼウスハンマーでのエネルギー波を撃つ。

ターンエーは避けつつ、当たりそうな攻撃は右手に持つビームサーベルを
手首の高速回転で作り上げた光刃のローターで打ち掃いながら間を詰めていく。
そして一回転して勢いをつけ、ビームリボンを柄と継手に、ノーベルガンダムを打撃部としたフレイルをゼウスガンダムに向けて放った。

ビーム帯が伸び、ノーベルガンダムを目標まで放り込んだ。命中、激突した両機は
ターンエーの視点から前後に機体を重ねて無防備を晒す。

ロラン「やぁぁーーーー!」

ターンエーは突進し、右手に持つビームサーベルで両機を刺突した。
二機を貫く光の刃はターンエーの手の動きに応じて両者の機体を焼き切っていく。

ノーベルガンダムは腹部まで刃が達したとき、機体が放つ全ての光が消え、機能を停止した。

後ろのゼウスガンダムは左腕と片翼を切り落とされていた。
ターンエーは力尽きたノーベルガンダムの落下にビーム帯を通して引っ張られ、ゼウスガンダムに離脱の隙を与えてしまう。
ゼウスガンダムは飛行機能に支障をきたし、地上に不時着した。

ソシエ「えーーい!」

そこへギャロップからミンチドリルを持ち出してきたカプルが、その武器でゼウスガンダムを殴打した。

ダメージが蓄積していたゼウスガンダムに止めが刺される。
地面に叩きつけられた後、機能が停止する。殴られた部分はヘコんでいた。

ソシエ「やった……みんな、やったわ!」

ターンエーがノーベルガンダムの機体を両腕で抱え、カプルの傍に着地する。

ソシエ「これでレジスタンスへの参加、認めてもらうんだから!」

この世界のハイム家は戦禍にこそ見舞われたが、家族は無事なのだそうだ。メシェーも元気らしい。
ソシエの“カタキ”発言にショックを受けていたロランだったが、
その事実に別世界のことながら安堵した。同時に、全員が健在であることに羨ましさを感じていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドモンたちは何とか反撃に転じられたが、敵MS四機に対し、機体の性能や数の不利があるガロードたちは危機に陥っていた。

ウァッドは未だにバクゥ二機に足止めを受けており、リーオーとデスペラードを助けに行けずにいる。
その二機はケルベロスバクゥハウンドとバクゥの機動性に翻弄されていた。

「あまり遊んでいる暇はないぜリーダー!バッテリーのこともある!」

「チ、仕方ねぇなぁ!」

ケルベロスバクゥハウンドはリーオーの向けたマシンガンの銃口から離れ、ビームを放って武器を持つ右手を消し飛ばした。

ビーチャ「うわぁっ!?」

デスペラードと戦うバクゥは振るわれたヒートスコップを避けて、足場付近にレールキャノンの砲弾を叩きつける。
その衝撃と地面の破壊がデスペラードの態勢を崩す。

仰向けに倒れたリーオーに向けて、ケルベロスバクゥハウンドは頭部から下に向かって短いビームの刃を出した。
ビームファングと名付けられている通り、獣の牙を思わせる見た目の武装だ。

「MSだけは頂くよ」

ビーチャ「やられる……!」

イワーク「ビーチャ!」

モンド「ビーチャ!」

ガロード「やばい!」

戦場外からビームが飛びこんだ。

撃ったのはEz8。ビームライフルを前方に構え、走って戦場に入る。

散々痛めつけられた相手の登場はバクゥたちの恐れを招いた。

Ez8は前方の、バクゥ二機に足止めされているウァッドをビームライフルで支援射撃を行う。

シロー「行け、ガロード!」

ガロード「助かった!」

向かってくるビームにたじろいだ隙を突き、ウァッドは頭部が垂れ下がっているバクゥを襲う。

跳ねて頭上を取り、以前攻撃した部位に再び鉄柱を突き刺した。

「なんとっ!」

傷ついていた部分に再び勢いよく刺されたことで、遂に頭部が胴体と離れた。
ウァッドはひしゃげた鉄柱を捨て、すぐに離れてバクゥを越えてリーオーたちの救援に向かう。

リーオーは片膝を付きしゃがんだ状態で左手にビームサーベルを持ち振り回して抵抗する。

Ez8はウァッドが首なしにしたバクゥに素早く追撃を加えて武器と脚部を潰して倒し、
もう一機のバクゥに機関砲で威嚇した後ビームライフルでデスペラードを襲うバクゥを撃ち牽制した。

モンド「ビーチャぁ!」

ウァッドはリーオーに対面するケルベロスバクゥハウンドへ後ろから飛びかかった。

「このアルマジロもどきがぁ!」

動きは見られており、後ろ足で蹴り飛ばされる。

その隙に、リーオーはバーニアを吹かしその場から離れた。

ウァッドはすぐに立ち上がり、ケルベロスバクゥハウンドの注意を引き付け、走って後退するリーオーを助ける。

Ez8はバクゥとの近距離での読み合いに勝利していた。

レールキャノンの砲弾をシールドで見事受け止め、ビームライフルを捨て
持ち替えたビームサーベルで以ってレールキャノンと胴体の接合部、頭部を切り裂き、押し倒して沈黙させた。
そしてデスペラードの救援に向かう。

一目散に向かってくるEz8を意識し、バクゥはデスペラードの撃破を急いだ。
バクゥがレールキャノンの砲口と共にデスペラードと対面する。

シロー「間に合え!」

走りながら発射する機関砲の弾がバクゥの足元に着弾した。
その邪魔で、足元が揺らぐバクゥが放った砲弾はデスペラードの右腕と下半身の左よりに命中し、部位を破壊する。
右手からヒートスコップが離れ、地面に転がった。

イワーク「おおっ!?」

シロー「うおおおおっーー!」

Ez8はシールドを正面に突出し、勢いに任せたままバクゥに体当たりした。

バクゥは突き飛ばされ転倒し、Ez8も機体を地面に叩きつけるように倒れる。
その時の危機は脱したが今も窮地に陥ったまま。
片足、片腕を失ったデスペラードは動けず、Ez8はバクゥとのにらみ合いになる。

ウァッドはケルベロスバクゥハウンドと戦闘中。

そこへ、遂に二機のドップとアッザムが戦場へ飛来する。

ビーチャ「何だ、アリャ……!?」

「随分とやられたなリーダー!その地位を返上してもいいんだぜ!」

「ぬかせ、とっとと働きやがれ!」

「ドップは先行して軍基地で蹂躙、抵抗する奴にはアッザム・リーダーをお見舞いしてやる!」

意気上がり、駐留軍基地跡へ空からの侵攻を開始しようとするアッザムとドップ。

しかし、弾丸の横槍が入った。

AEU-09_AEUイナクト

内一機、指揮官用頭部をしているのを含む三機のイナクトがアッザムらを攻撃する。

アッザムとドップたちは対応し空中戦が開始された。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

クラウスたちは迎えのレジスタンスと合流を果たした。

ロッキー級陸上戦艦

戦艦はギャロップの傍に停まり、護衛のイナクトがカプルと挙手し合う。

『バッテリー切れで落っこちないよう注意しろよ!』

クラウスと相手側の艦長とで交わす通信の中に指示を出す声が紛れ込む。

駐留軍基地跡へ向かう途中モビルアーマーと思われる巨大飛行体を確認した彼らは、
その方角と、遠くで次々と高く昇っていく信号弾を見て、到着をさらに早めたのであった。
もう一隻は後方で待機している。

ターンエーはガロードたちの救援に飛び立った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「つけられてんじゃねぇか!」

「クソ!何だよ、上手い事運びそうだったのに!」

バクゥはビームサーベルを出してEz8に突撃するも躱され、反撃でビームサーベルを振るわれて距離を取らされる。

シロー「このまま押し返す!」

Ez8はデスペラードの前に立ち、バクゥに向かっていく。

その隙に、イワークは機体に残っている手足を使って何とかその場を離れようとしていた。


空ではイナクトたちがそれぞれアッザム、ドップらと一対一ずつに分かれて戦っている。

ドップと対面するイナクトのディフェンスロッドが回転し、正面からの機関砲の砲弾を弾いていく。
一方では急旋回して背後を取ってミサイルを撃ち、イナクトをその対処に追わせていた。

アッザムはメガ粒子砲での攻撃で相手をしている。

イナクト隊の奮闘は見事防衛に一役買った。


そして空からだけでなく、地上からもレジスタンスの応援が駆け付ける。

RMS-006Gジェニス(地上型)

随伴するイナクト共にロッキー級陸上戦艦と同じ赤茶色系の塗装を施された両機は、
マシンガンを構えてバクゥたちを追うように現れ、Ez8たちの立ち位置と合わせてバクゥたちを挟む形になった。

「クソ、クソ!何て装甲なんだ化け物め!」

Ez8はバクゥのレールキャノンの砲撃を物ともせず、接近していく。
攻撃が命中しても踏み止まり、行動を止めない姿は相手の心を焦らせるのに充分だった。

ジェニスとイナクトは後方から接近する何かを捉え、機体を振り向かせた。

接近するのは四足獣形態の黒色のガイアガンダム。Gガンダムの前から姿を消して向かった先はここであった。
ガイアガンダムは武器を構える二機を無視して通過する。
標的はEz8。脇目も振らずに走っていく。

シロー「あのガンダム!ドモンは―――まずい、ビームライフルは取りに行けるか?」

「ガンダム!お前は絶対にぶっ壊してやる!」

頭に血が上り本来の目的を忘れて、バクゥはビームサーベルを出してEz8に突撃した。

後方から迫るガイアガンダムもビームブレイドを起動する。

二機からの同時攻撃にスピードの差で後退は不利と判断して身構えるEz8。

「うおおおおおお!!」

バクゥはEz8にビームサーベルの刃を叩き込まんと飛び込む。

ガイアガンダムも背中のバーニアを吹かし、バクゥの後ろから飛び込んだ。

「――――あっ!」

ビームブレイドがバクゥを真っ二つに切り裂いた。そして切り裂いた光の刃がそのままEz8を襲う。

シロー「なッ!?」

バクゥの機体の中から現れ襲い掛かる光の刃にシローは面食らった。

しかし危機を脱しようと咄嗟に対応する。
刃が迫るとすぐにEz8は上体を捻り、重心を左側に置いて地面に倒れ転がった。
まさに間一髪であり、右肩の装甲は切断跡が深く刻まれた。

着地するガイアガンダムと、バクゥの爆発から逃れるように転がり続けるEz8。
その衝撃と動作からシールドとビームサーベルを落とす。
シロー自身にも激しい負担がかかった。

シロー「ぬぁっ……!」

「ヤツめ……!俺の仲間を奇襲のだしに使いやがった……!」

ケルベロスバクゥハウンドは後ろから迫るジェニスとイナクト、そして対面するウァッドに挟み撃ちを仕掛けられようとしていた。

それに対し自身の頭部とケルベロスウィザードの二つの頭部を模した部位からビームファングを起動させる。
頭部から現れたビームの刃。牙のように生えるだけでなく、人体に模すると額から、口から耳元から飛び出しているようなものだ。
残り二つの頭からはビーム砲の上から刃がそれぞれ二つ飛び出し、機体名の通り異形の怪物らしい姿となって周囲を威嚇した。

「前のチビっこいの、いい加減に壊れろぉ!」

そしてウァッドに狙いを定め突進する。

ガロード「来る!」

正面の頭上から、ケルベロスバクゥハウンドの三つ頭の刃が迫る。
ウァッドは前に出た。
しかし真っ向ではなく刃を避けるよう少し左に逸れて、突撃を躱し後ろ足を両腕で掴んだ。

「何っ」

後ろから引っ張り上げられ、ケルベロスバクゥハウンドが急停止する。

ウァッドの力いっぱいの踏ん張りだ。上半身と繋ぐレールが火花と軋む音を立てる。
だが足を地面に食い込ませるほどの下半身の頑張りに対して、上半身が引っ張りあげられていた。

モンド「うわっ!」

遂に下半身からレールが抜けて上半身が投げ出された。そして掴んでいた後ろ足に放られ地面に落ちる。

そこをジェニスとイナクトが通過する。

ガロード『ゥ……瓦礫の山を狙ってくれぇ!』

衝撃に呻きながらも声を絞り出し逸早く二機に呼びかけた。

ビームファングを仕舞ったケルベロスバクゥハウンドは第二の瓦礫の山々に侵入している。

幾つかの前後左右の山々が破裂し、空に向かって赤く発光する信号弾が打ち上がる。

「チッ!」

ガロードに応じた二機が、銃弾を放ったためだ。

破片や土塊、瓦礫の山々の先にビームサーベルを持つリーオーを視界に捉えた。

ビーチャ「ここから先は、通せるかよ!」

「お前なんかに!」

直ぐ傍の瓦礫の山が破裂する。瓦礫の山の中身がもろに降りかかり、気を取られた。
追いかける二機が狙いどころを工夫したのが功を奏する。

ビーチャ「うおおおー!」

そこへリーオーがビームサーベルを突き出して突進した。

後ろから来る銃弾の群れが脇目も振らないリーオーの攻撃を助け、周囲の銃弾と瓦礫の山の破裂で身動きが取れず
怯んだケルベロスバクゥハウンドの頭部にビームサーベルが突き刺さった。

そのままリーオーは前進し相手を押し上げ、近くの瓦礫の山に突っ込む。
信号弾の轟音と破裂して降りかかる瓦礫や土塊に彼らは包まれた。

間もなくジェニスとイナクトがその場に追い付き、リーオーの機体に被さられているケルベロスバクゥハウンドは降伏した。

Ez8はガイアガンダムの追撃を躱しつつビームライフルを拾い上げた。

四足獣形態のガイアガンダムが接近する。

撃ちあいになるかと思われたが、ここに至るまで背中のビーム砲を使ってこない。
相手は接近戦を狙って行動していた。

これはビーム兵器の使用や度重なる機体へのダメージにより、ヴァリアブルフェイズシフト装甲の機能を維持するエネルギーは減少しているためであった。

シローはガイアガンダムの抱える事情を知らない。しかし、その行動から敵方に焦りが見えるように思えた。

ガイアガンダムは向かってくるビームを避け、突入の機会を窺っている。

シロー「ヤツは必ず勝負を仕掛ける……」

Ez8と対面し、ビームライフルの銃口を向けられた瞬間、背部ビーム突撃砲で攻撃。
Ez8が銃口を下げ回避に専念すると、そこを狙って突撃した。

ビームブレイドで切り裂かんとするガイアガンダムを、バーニアを噴射し、ジャンプすることで上を取る。

シロー「うおおーっ!」

Ez8は上からビームを撃ち続ける。うち一射が左のバーニア兼ビームブレイドの片側に命中し、破損した。

ガイアガンダムはそのまま前進し後ろのEz8の攻撃から逃げる。そして変形して反転、シールドを上に向けた。

シローは追撃しても防がれると判断すると攻撃を止め、着地する。ビームライフルの残弾数はあと僅かだ。

ガイアガンダムは機体を隠したシールドを下げる。

顔面はGガンダムによって潰された両目を中心に歪みが入っており、エネルギーが行き渡ってないのか頭部全体が
フェイズシフトダウンにより灰色になっていた。

Ez8はビームサーベルを取り出す。

ガイアガンダムは四足獣形態になり、ビームを撃ちつつEz8に突撃した。
道程を変えて砲口をずらすことでビームをばら撒き、Ez8の逃げ場をなくしつつ右側のビームブレイドを起動させる。

Ez8も負けず右手に持つビームライフルでガイアガンダムを撃った。

ガイアガンダムはビームを上へ跳ねて避ける。

片方のバーニアを吹かし、滞空したまま加速。一気に距離を詰め、強引にビームブレイドを当てようとした。

Ez8はそれを躱す。

シローはガイアガンダムの攻撃を読む。ガイアガンダムは自身の後ろに着地しようとする。ならば。

右手のビームライフルを落とし、両腕でビームサーベルの柄を握り、機体を後ろへ向けた。
そして、ガイアガンダムが着地して瞬時に振り返り、こちらと対面しようとするときに、前へ踏み込んだ。

シロー「ッ!」

ビームサーベルを振り下ろす。ビームの刃が対するガイアガンダムの顔面から胴体までを切り裂いた。

傍から見ればガイアガンダム自らビームサーベルに飛び込んできたように見えた光景だった。
もし少しでも反応が遅かったなら、Ez8の方が斬られていたのかもしれない。

Ez8はその場から離れ、ガイアガンダムの撃破を確認する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

空の“熱砂の猟犬たち”との戦いは続いている。

一機のドップがジェットエンジンから黒煙を上げながら下降し、
イナクトも一機、右腕と背中のウィングを破壊され着地先を探していた。

「こうなったら俺たちだけでも……!」

アッザムはビームをばら撒き、強引に侵攻を始める。

そこへターンエーが駆け付ける。

「ここで新手!?」

両手にそれぞれビームサーベルを持ち、アッザムに向かって飛び込んで行った。


上半身のみのウァッドのコックピットカバーが開く。

外の空気に晒され、二人ともに気が抜けてすぐに疲労が身体を覆った。

モンドはぐったりして、ガロードは座席から離れ外に降りようとした。

緊張から解かれた所為か、機体から地面に降りてすぐに足の力が抜け思うように動かず、蹴躓いて転んでしまった。

ガロード「いてて……」

身体を持ち上げると、上着の内に容れていたGコンが地面に落ちた。
ガロードはGコンを拾い上げ、空の戦闘を見上げる。

ターンエーがアッザムに取りつき、ビームサーベルの刃を消してアッザムを揺らしている。
力の差を見せつけ、投降を迫っているのかもしれない。
Gコンを強く握り、固唾を呑んでターンエーの戦いを見守る。

ガロード「俺も一緒に……」

「まだ遠い」と頭に浮かぶ。しかし前に進まねば、と頭の中でその意志を押した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

セレーネ・マクグリフとソル・リューネ・ランジュはシン・アスカの
受け入れ後に現れたMSの調査の為、拘束中のパイロットへの面会に赴いた帰りである。

セレーネ「……信じられないわ」

面会したパイロットの青年との会話は、まるで異世界から来た人間と話しているようだった。
MSに用いられている技術の差異だけでなく、歴史や現在の情勢など含めて常識の基礎が違ったのだ。

ソル「僕もだよ」

青年も困惑しているらしく、こちらの質問にはある程度素直に答えてくれていた。
パイロットは例の紺色のMSとは戦闘中遭遇し、発した青白い光に包まれ、光とMSが消えたと思えばここにいたという。
所謂同じ巻き込まれた側の人物であった。

セレーネ「今までの報告と違った情報は得られなかった」

ソル「見張りの武器の携帯はやめた方が良さそうだね。その気もないのに、アレを見れば気が滅入ってしまうよ」

セレーネ「そうね―――後は彼、シン・アスカ……らしい人物」

ソル「ザフトからの回答は“シン・アスカは作戦行動中である”だったね」

セレーネ「機密である軍事行動の内容を教えるハズもないのだけれど、問題は迎えの話が無かったこと……」

丁度二人の所へ通りかかった職員が、シン・アスカが目を覚ましたことを知らせる。

ソル「じゃあ、目覚めた本人に聞いてみようか」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディアに連れ去られた青年、アセム・アスノは部屋のベッドの上に腰を落とし、うずくまっていた。

紺色のガンダムとの遭遇は敵との、それも因縁のある相手との交戦中の時であった。
劣勢に立ち、一撃が見舞われようとしたとき、それは光と共に現れた。

あの時、自分はあのガンダムに救われた形になっていたのだろう。

『面会を願い出る者がいるのですが、宜しいですか?』

外の見張りがインターフォンを通じて尋ねる。

アセム「……どうぞ」

この状況を解決する、理解できる糸口もない質疑応答に飽きていたため意気の薄い低い声が発された。

入ってきたのは近い歳ぐらいの青年だった。
自分と同じ簡素な上下地味な茶色のシャツとズボンを着ているということは、彼も拘束中の身であると示す。
そして見張りと共に部屋へ入るとそのまま沈黙した。

話の切り出し方を迷っているようだった。口は結んだままもごもごして顔も俯いたままだ。
自分から面会に来ておいて「何だ」、と言いかけようとしたとき、話は始まった。

シン「―――あー、その、アンタが置かれている状況、俺と同じなんだよ」

アセム「……どういうこと?」

シン「アンタは別世界に来てしまった、ってことだ」

アセム「は……?」

見てきたこと、知ったことを話しているだけなのだが、当然の反応なのだろう。
先にここの職員たちにも同じ内容を言ったが呆気に取られ頭を抱える人がほとんどだった。
だがアプロディアに連れて来られた以上彼もこの戦いに参加して、嫌でも理解することになる。
説明中、先の職員に対してより上手く話すことが出来ているな、とシンは思った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

トロヤステーションの宙域に一機のMSが浮かぶ。

その真っ白な機体には金色の光のラインが流れている。

GSX401FWスターゲイザー

背負っている大きな輪から、後ろに向けて何かを放出させた。
それはスターゲイザーに対して凸の半透明の膜の様なモノを形成している。
その膜の様なモノはトロヤステーションの両端に回転するドーナツ状の施設を備えている円筒状の形を
鏡の様に映し出していた。

この膜のようなモノはヴォアチュール・リュミエールという名のスターゲイザーに備わるシステムである。
太陽からの風―――太陽のコロナから放出されたプラズマを受けて推進力に変える、つまり風を受ける帆の役割となるのだ。

スターゲイザーの後方にはレーザー発振ステーション、アポロンAが控えている。
備えている砲からプロパルジョンビームが放たれた。
それをヴォアチュール・リュミエールが受け止める。光に押されるようにスターゲイザーはゆっくりと進んで行く。

これがアセムの観たスターゲイザーの実験の映像記録の内容であった。

アセム「プロパルジョンビームを擬似太陽風に見立てて行った実験だったんだ」

実物も見せて貰ったそうだ。アセムの希望にセレーネたちが応えてくれた。

アセム「スターゲイザーは無人での惑星探査を目的にしていて、そのためのAIユニットを育成中なんだとよ」

シン「ふーん」

アセム「興味なさそうだな」

シン「そういうわけじゃないけど……知っても、公表されている以上の事も言えないし」

アセム「あ、ここの世界の軍人なんだもんな。中立組織の研究なんて下手に関わっちゃいけないか」

シン「“ここ”とは限らないけど」

ここが自分の居る世界であるとも限らない。DSSDという組織もピンとこないし、世界の状況も大きく変わっていた。

地球連合軍はザフトとの地球での戦いに負け、オーブが、再び、戦場になった、らしい。
元々転移した時間とそう変わらない時間に帰される、と聞いていたので
もしかしたら自分は似た別世界に来たのかもと思ったのだ。

とにかく、ここの職員から聞かされたザフトの返答も含めるとアプロディアを待つのがもやもやこそすれ、
面倒くさくならない元の世界に帰れる方法と考えた。
……インパルスも破壊されて、放棄してしまったし。戻るなら事情を知るミネルバの所に帰りたい。

アセム「ソルやセレーネさんも夢を追いかけてるんだなってさ」

シン(いつの間にそんな仲良くなってるんだ)

アセムは学生時代にMSクラブという、小型の簡易MS、ジュニア・モビルスーツを扱うサークルに入っていた。
彼らの真剣な姿は当時の事を思い出させるものだったらしい。

シン「そういえば、あのMSお前から見ればガンダムに見えるか?」

アセム「まあ見た目は……。彼らがそのつもりで作っていないならガンダムじゃないだろうけど」

アプロディアがあの世界からの逃亡前に話したこと、“飛ばした世界の先にいる仲間と協力を要請する”。
研究に勤しむ彼らの話を聞くと、ジェネレーション・システムが攻めてきたときに巻き込むのは申し訳なく思った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ソルとセレーネは来たるスターゲイザーの次の機動実験に向けての準備として、二人乗りのコックピットで作業をしていた。

前の座席にソルが、後ろにセレーネが乗る。メインパイロットはソルだ。

セレーネ「アセム君と話している時、楽しそうだったわ」

ソル「そうかな?まあ彼の話は興味深かったし、近い年齢のナチュラルと話すのが新鮮、だったからかな」

セレーネ「そう。……別世界の人間だから、なんでしょうね」

ソル「信じたのかい?」

セレーネ「そうしておいた方がいいと思って」

ソル「でも全ての話を信用すると、厄介事に巻き込まれたことになるよ」

そう。彼等がここにいるということは、いずれジェネレーション・システムと呼ばれる脅威が訪れるということ。
厄介事といえば職員内で流れている噂を思い出す。地球連合軍がスターゲイザーのAIに興味を示しているらしいのだ。

―――シン・アスカは、ジェネレーション・システムは機動兵器軍団を操る喋る戦争マシーンだと言っていた。

技術が戦いにも用いられるのは当たり前のこと。
DSSDも様々な国家群が共同で設立に参画した組織である以上、培った研究成果は彼等にももたらされる。
それが何に使われるかはこちらが関われることではない。

だが自分たちが関わる技術の、いつか到達してしまうかもしれない“果て”の一つが戦争マシーンとして
やってくる可能性が迫ったとき、胸中に人の業への悲しみが生まれた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――ガーディ・ルー級特殊戦闘艦ナナバルク

艦内に設けられている会議室に今回の作戦に参加するメンバーが集合する。

その中にMSパイロット、スゥエン・カル・バヤンとシャムス・コーザの姿があった。

シャムス「いよいよ来たぜ……!」

標的はトロヤステーション。目的は開発中のMSの奪取である。

シャムス「関係者は皆殺しで構わない、まさに俺たち向けの仕事だ」

スウェン「……」

目に見えて、戦いに向け気分を高揚させているシャムスとは対照的に、スウェンは静かに作戦の資料を読む。


地球連合軍第81独立機動部隊。別名ファントムペイン。
反コーディネイター主義者たちの総称、ブルーコスモスが所有する私兵集団である。
ブルーコスモス最高意思決定機関ロゴスに所属しており、関係が深い地球連合軍はファントムペインへの拒否権の無い
協力を要請されている。

部隊の構成員にはコーディネイター殲滅のための思想教育と兵隊としての養成を幼い頃から受けてきた者たちがいた。
二人こそがその鍛え抜かれた兵士たちだ。

先鋭化した思想の放つ暴力がトロヤステーションに迫る。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

トロヤステーションでは非常事態が発生していた。

惑星間通信システムがダウンし、外からの情報類が全て途絶えてしまったのだ。
利用している通信衛星の操作権をファントムペインが奪い取った為だ。

助けを呼べなくさせ、さらに逃げ場すら失くすためにファントムペインはMS部隊をステーション前に展開する。

GAT-01A2R_105スローターダガー

GAT-X103APヴェルデバスター

GAT-X105Eストライクノワール

『我々はこれより諸君のステーションを接収する。本艦は無許可で諸君を攻撃する権限が与えられている』

ナナバルク艦長は脅迫する。

「そんな……元がザフト資本で出来た組織だからなのか?」

「今は独立して、連合軍部にも技術協力しておるというのに」

「交渉は無駄だろうなぁ……奴らは最初からこのステーションを狙っておる」

職員たちは困惑と状況への絶望を抱きながらも独立する中立機関である志を以って、暴力に抵抗しようとしていた。

ステーション管制室の慌ただしく動く中、セレーネはある決意をする。そこへシンとアセムが現れた。

シン「連合軍が襲ってきたんですか!?」

部屋で聞いていたラジオが突然聞こえなくなり、外へ出た際に事情を聞いたのだ。

セレーネ「お願いがあるの」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

DSSDはトロヤステーション前に自前のMS部隊を展開する。

UT-1Dシビリアンアストレイ DSSDカスタム

その中にはシンが搭乗するシビリアンアストレイと、アセムの駆るガンダムの姿があった。

AGE-2_ガンダムAGE-2ノーマル

アセム「ガンダム二機を相手にするのか……」

シン「よくあることだ」

背後のトロヤステーションは港口を閉鎖し、抗戦の準備が整った。

スウェン「完全な戦闘用MSを確認、配備していたのか」

シャムス「殺し甲斐を見せてくれよコーディネイター!」

互いの勢力がビームを撃ちあい、ファントムペイン側が迫る。

多くのスローターダガー達から突出するストライクノワールとヴェルデバスター。
DSSD側でも果敢に飛び込んでいく機体がいた。

特徴的な四枚の翼を持つAGE-2のストライダー形態だ。

アセム「ソルたちの邪魔はさせない!」

ストライクノワールとヴェルデバスターはそれぞれの手持ちのビーム兵器でAGE-2を攻撃する。

アセム「……ッ!」

AGE-2は襲い来るビームの群れから離れ、再び別の方角から敵の軍勢に飛び込もうとする。

そこに付近の二機のスローターダガーがビームライフルとシールドを構え攻撃を仕掛けてきた。

AGE-2は人型に変形し、右手に持ちかえたハイパードッズライフルを相手に向けた。

ビームを躱しつつ銃口を向けあった片方へ先駆けて発射する。

スローターダガーは咄嗟にシールドを前に出して防御したが、
放たれた螺旋を伴うビームはシールドを撃ち抜き、そのまま右腕を貫いて破壊した。

シャムス「シールドごと!」

アセム「この世界の人種問題とか知らないけど!お前たちのやっていることはヴェイガンと変わらない!」

破損し後退した機体に代わるように、別のスローターダガーが現れ再び二機でAGE-2を狙う。

AGE-2はMS形態のままで追跡者たちを超えた素早さを見せつけ、翻弄する。

アセム「守ってみせる!―――そのためなら……!」

ライフルの射線上に二機が重なるように位置取りし、放ったビームは標的を穿いた。
二機の体はほとんどをビームに掻き消され残りは宇宙に飛び散る。

シャムス「貴様ッ!」

AGE-2に気を取られているヴェルデバスターに三機のシビリアンアストレイがビームガンで攻撃する。

内一機は二機よりも前に出ていた。生意気に思ったシャムスは機体の両肩にある
ガンランチャーとビーム砲に加え、両腰と繋がる手持ち銃剣付きビームライフルで斉射した。

二機がその攻撃で撃墜される。しかし肝心の前に出ていた機体は敵の斉射を読んで他より一足先に躱し、
距離を取りつつビームガンで反撃した。

間一髪の様にシンは少し肝を冷やしていた。

シン「インパルスじゃなくったって!」

機体のパワーの違いを感じながらも果敢に挑む。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ステーション管制室では通信システムへの復旧、ナナバルクへの呼び掛けと共に戦う者たちを案じていた。

「あれが別世界のMSガンダムの性能か」

「シン・アスカのアストレイも奮戦している」

「彼らがいなければ、こちらの犠牲はもっとひどかったじゃろうな」

「強力な連合の“G”二機を抑えられているのは彼らのお蔭だ。後は……」

トロヤステーションは外からでなく内からもその侵略を受けている。

どさくさに紛れていくつかの小型艇がステーションに潜入し、兵隊が武力で以って次々に施設を制圧し目標まで突き進む。
保安隊は必死に抵抗してその侵攻を遅らせていた。

中には状況の打開に奮闘する一方で生まれた多くの犠牲に心を痛める者がいた。

理不尽の暴虐に屈さぬ意地を、今からでも捨てればこれ以上の犠牲はないかもしれない、と考える。

だが彼女は何としてでも意志を通そうとするだろう。

「セレーネは負けん気が強い。自分が傷つくことも厭わない」





やっとここまで来たのだ。

研究が形になり地球から、火星からその先へ飛び立つまであと少しだったのだ。こんなことで奪われてしまいたくない。

何よりあのブルーコスモスと密接な繋がりがある相手である。
コーディネイター中心のメンバーが無事では済まないだろう。生存の為にも戦うしかない。
だから皆必死になって戦って血を流しているのだ。

そして逃れ得ぬ危機ではあったが、引き受けてくれたシン・アスカとアセム・アスノの好意にも応えたい。

だからこそ、やることは一つだった。


セレーネはスターゲイザーのコックピット、後部座席で前部座席に座るソルと共に発進の準備をしている。

セレーネ「ごめんなさい。あなたに人殺しをさせてしまうわ……この子にも」

ソルは何も言わず準備を続ける。表情は穏やかに、その内には戦う意志を持つ。

DSSDを守りたいという気持ちはセレーネと共に確固であった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

発進したスターゲイザーが戦場を飛ぶ。

シン「スターゲイザーが出たのか!?」

アセム「ソルとセレーネさんが!」

セレーネ「稼働時間はフルパワーで17分。確実に一発で仕留めて。緩まないで」

ソル「了解」

新手に気づき、接近するスローターダガーたち。
ビームの集中砲火を浴びせるがスターゲイザーは段違いのスピードを見せつけて回避、
敵機をビームガンで撃ち抜いていく。宇宙の戦場に金色の光の輪が舞う。

シン「戦艦を落とせば」 アセム「戦いが終わる!」

シャムス「させるかよ!」

ヴェルデバスターは両手の銃剣付きビームライフルを横に連結し、破壊力と射程距離を
増加させたバスターモードでその連装ビームキャノンの砲口を遠くの、
ナナバルクへ向かうシビリアンアストレイとAGE-2へ向けて発射した。

二機はそれを躱す。だが狙撃に見事に阻まれて時間を取られ、ストライクノワールと
追随するスローターダガーに突撃される。

シン「黒いストライク!」

ストライクノワールは拳銃型ビームライフル、ビームライフルショーティーを両手に持って撃ち
AGE-2とシビリアンアストレイを完全に分散させる。
そしてAGE-2を追い掛け、スローターダガーはシビリアンアストレイを襲う。

AGE-2はハイパードッズライフルでストライクノワールを攻撃するも、避けられて距離を詰められていく。

アセム「あたらない……!ガンダム、他とは違う!」

スウェン「……ッ!」

機体の動向を予測し狙い撃たれた一射にスウェンは冷や汗をかいた。

あの敵MSの性能は驚異的である。だからこそ自分が当たって、仕留める。
そして共に突撃してきた明らかに他の保安隊とは違う動きをしているDSSDの自衛MS。
傭兵か、もしかしたらザフトの兵か、何にせよ戦いの経験を積んでいる動きだった。
だがシャムスならやれるだろう。終わった後はあの白い新手を仕留めさえすればいい。

ストライクノワールは左手をウイングに付けている対艦刀フラガラッハ3ビームブレイドに持ち替え、
相手の右手に持つビームサーベルとかち合った。


シンは対していたスローターダガーを倒すと、再びナナバルクへ向かおうとする。

シャムス「今度は俺が相手だ!」

ヴェルデバスターがシビリアンアストレイへ向かって行く。戦艦を落とすこと一念に進む
シビリアンアストレイの前に、大型ビームの横やりが入った。

シン「今度は何だ!?」

撃った主の周りには、ジェネレーション・システムが兵器を投入するときに現れるあの光が消えていくところであった。

一体の人型とそれより二倍近い体躯を持つ長い尾と大口を開けて中の三つの砲口を露出させているモノがいた。

GAT-X1022ブルデュエル

EMA-06エレゴレラ……モビルアーマー形態

スウェン「ブルデュエル……!?」

AGE-2と戦いを繰り広げるスウェンは以前の戦いで死亡した戦友の乗機と同型の姿をシャムスより近くで確認する。

アセム「もしかして、あれがジェネレーション・システム?」

シン「やっぱり来やがったか……!」

シャムス「へっ、おいおいこっちは傷心中だってのに嫌らしいことするじゃねぇか―――どこのヤツだ」

『スウェン、シャムス、早くヤツラを皆殺しにしちゃいましょう。良いコーディネイターは死んだコーディネイターだけ』

スウェン「……!?……!?」

シャムス「ミューディ!?」

ブルデュエルの左右から機体が転移してくる。

MA-04Xザクレロ

ZM-D11Sアビゴル……モビルアーマー形態

エレゴレラは開放していた正面の三連メガ粒子砲を内部に収納し、機体上部に納めていた腕を出して
機体に隠れていた腕で持つビームグレイブを掴み、長い尾を持つ下半身をモノアイとともに右側面を
進行方向に対して正面に向けた。

向けた面に対して前と後ろの二つの腕は人型の両腕となり、エレゴレラはMS形態としてその姿を変える。

ブルデュエル周囲の兵器たちは、AGE-2たちを他所にしてある方向へ進んで行く。

そして自身はAGE-2に襲い掛かる。両手に腕部と一体化しているビームガンで以って、
まるでストライクノワールを援護するかのように攻撃する。

スウェン「“援軍ではない”か。ナナバルクも困惑している。しかし―――」

シャムス「何なんだてめぇは!」

ヴェルデバスターがビームを放ちつつストライクノワールたちの方へ近づいていく。

狙いはブルデュエルだった。

スウェン「シャムス!」

シャムス「俺は見たんだぞ!ミューディの殺される様を!死体を!こんなふざけたことをしやがってぇ!
      誰の仕業だろうがお前はぶっ殺してやる!この俺がああああああああ!!」

咆哮と共に突撃し、ヴェルデバスターは手に持つ二つのビームライフルの銃剣で切り刻まんとした。

不意を突かれたブルデュエルはその機体に刀身を叩きつけられる。

身に纏うヴァリアブルフェイズシフト装甲により切り裂かれることはなかったが、
ヴェルデバスターはそのまま勢いで以って押し出して奥へ連れ出していった。

ここでスウェンは対決していた相手を取り逃がしたことに気づく。AGE-2は機に乗じてトロヤステーションの方へ向かった
新手三機に対する救援の為、その場から離脱していた。

ストライクノワールは後を追うようにステーションへ向かう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

スターゲイザーはその力でトロヤステーション付近のかなりの敵を討ち払っていた。
その活躍ぶりに付近のシビリアンアストレイから喜びの声が上がる。

『ありがとう、助かった!』

セレーネ「新手よ」

ソル「ッ!」

ジェネレーション・システムの繰り出した三体の機動兵器たちを捉える。
それらは順に迫って来て、ザクレロが一番手として襲い掛かった。

身構えるスターゲイザーの前にシビリアンアストレイらが立ち、ビーム攻撃で迎え撃つ。
ザクレロは果敢に攻撃の中を前進して口内の拡散メガ粒子砲から光線を噴き出した。

スターゲイザーとシビリアンアストレイたちは散り散りになって躱す。

ザクレロは攻撃後直ぐにスターゲイザーを追い掛ける。

ソル「こっちに来る!」

セレーネ「好都合だわ。スピードならこの子に分がある」

このまま翻弄して一撃を見舞い、撃破する。
その意向で行動するもモビルアーマー形態のアビゴルが来た。

正面尖端のビームキャノンによる攻撃がスターゲイザーを襲う。

ソル「挟み撃ちにされる」

アビゴルは注意していたザクレロよりも軽快で、素早い。
ソルの懸念通りザクレロはスターゲイザーの逃げ道を塞ごうと動く。

アビゴルに幾つものビームの弾丸が襲い掛かった。

駆け付けたストライダー形態のAGE-2が正面の両脇砲門のビームバルカンで牽制を掛けたのだ。

ソル「アセム!」

アセム「下がって!こいつらは俺がやる!」

AGE-2はMS形態へ変形しハイパードッズライフルでアビゴルを撃つ。

アビゴルは放たれたビームを二射続けて回避。AGE-2へ向かって行くと共に機体から両腕両足を伸ばした。

アセム「モビルスーツ、デカい」

MS形態となり、両肩から取りだした柄を繋ぎ両先端に湾曲したビームの刃を発生させた
ビームサイスを持つアビゴルの姿に、アセムは威圧感を覚える。

ギョロリと開く三つの目、振り回されるビームの刃。AGE-2はビームサーベルを取り出して挑む。



ザクレロの攻撃で散らばっていた数機のシビリアンアストレイたちは結束してエレゴレラと戦っていた。

エレゴレラは自身を囲んでビームを撃つ彼らに対して格闘戦を仕掛け囲い込みを破る。
その巨体から繰り出すパワーと両腕で振るうビームグレイブという長柄の武器、そして
広い攻撃範囲を持つ長い尾は恐ろしい威力を発揮した。

エレゴレラは易々と攻撃に当たってくれるものではなく、不意に近づけばその尾が飛んでくる。

「ぎゃあっ」

尾を叩きつけられたシビリアンアストレイの機体はひしゃげ、動かなくなった。

その尾の先にはビーム砲が内蔵されており、柔軟に動く尾から意外なところで発射するのも厄介さの一つであった。

セレーネ「時間は掛けられない」

ソル「わかってる」

エレゴレラとの対決にスターゲイザーが臨む。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

主な戦場から離れて行われたヴェルデバスターの猛攻に、ブルデュエルも反撃を始めていた。

ビームガンでの退きつつの射撃から上下左右への機動と攻撃へ移行して相手の火力勝負に対抗する。

ミューディ『久しぶりの実戦訓練ね、シャムス』

ブルデュエルはビーム攻撃の中に左肩部に収納される手投げのクナイ型投擲弾、
スティレットを取り出して五指の間に三つ持ち全て投げつけた。

放つ光線を目眩ましに混ぜた黒の投擲物は、ヴェルデバスターの不意を衝くのに成功した。
左肩に命中した一つのスティレットが接触した途端に炸裂する。

破壊は出来なくとも衝撃で態勢を崩させ攻撃を止めたその隙に、ブルデュエルは右手に
ビームサーベルを持ち接近する。

ミューディ『私の勝ち』

シャムス「黙れぇぇぇぇぇ!!」

ヴェルデバスターはバーニアを一気に噴射してビームサーベルで切り裂かんとする相手に向かい、
両肩の六連装ミサイルポッドを開放、発射と同時に突撃を掛けた。

12のミサイルがブルデュエルを狙い飛ぶも、ブルデュエルは左手のビームガンで撃墜していった。
ヴェルデバスターは前方に両手の銃剣を突出させて進み、爆風の中で互いに距離を詰めていく。

迫る爆発の衝撃を物ともせずに二機の接近戦が始まる。

ブルデュエルは敵の銃剣でこちらの装甲は貫けぬと確信したうえで、その身で防ぎ敵を
切り裂くつもりであった。
だがヴェルデバスターは上手だった。狙いは相手のビームサーベルを持つ手。

逸早く左の方の切っ先で突き、その衝撃で手放させることに見事成功する。透かさず銃剣を離して掴み、
奪ったビームサーベルで斬りつけた。

斬ったのはちょうど胸部、コックピットのある箇所ごとだった。シャムスはこの瞬間に生んだ亀裂を通して
死んだ戦友を演じる卑劣者が居るはずのコックピットの中身を見た。

『シャムス……』

誰もいないコックピットから、いつも聞いていた戦友の声が自分を呼ぶ。

シャムス「このおおおおおお!!」

ヴェルデバスターは空のコックピットに向かってビームサーベルを突き刺した。
反撃も許さぬ一撃でコックピットが焼けると、ブルデュエルが息絶える。

シャムス「ハァッ!ハァッ!ハァッ!ハッ……!」

ナナバルクからの通達が届いた。トロヤステーション内に侵入した部隊がターゲットを
確保して搬入作業に移ったとのことだった。

これでステーションは破壊可能になった。そう、このやり場のない怒りをぶつける相手は、そこら中に転がっている。

シャムス「コーディネイター、皆殺しにしてやる……!」

息を整えたシャムスは戦場へ戻る。エネルギーの残量は気に留めなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シン「クソッ、どうすればいいんだ」

ジェネレーション・システムの介入により激変した戦場の中、シンは取り残されてしまっていた。

ファントムペインの旗艦を落とすのも一機では厳しく、ステーションの救援へ向かうも
遭遇したスローターダガーに阻まれて大きく出遅れてしまった。

機体は消耗し、もしかしたら自分すら撃墜されてしまうかもしれない。
何も出来ずに終わる……、酷い無力感に苛まれていた。

その時戦場にいる者たちへ奇妙な通信が入った。言葉ではない、何かしらの音だった。
知らなければ偶然入った雑音と思ってしまうそれに、シンは状況打開の機会と受け取った。

シン「ザフトからの暗号……!」

その通信はある場所へと導く。



ファントムペインはただ一機戦場から離れるそれを逃げ出した者として捉えていた。

受信した通信も偶然入ったノイズとしか受け取らなかった。
誰が何を叫ぼうと、この用意周到な奇襲作戦には助けなど来ないのだから。
だから例え想定外の事態があってもこの作戦は完遂する。
ナナバルクはビーム砲、ゴットフリートの全砲門をトロヤステーションに向け、砲撃する。

トロヤステーション崩壊の時が迫る。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ファントムペインのステーション潜入部隊が入手したのはスターゲイザーに搭載される
予定だったAIユニットである。

それは本来スターゲイザーの胸部ブロックに容れられているものであり、
ソルとセレーネが出撃時にコックピットブロックと交換して留め置かれていたモノだった。

部隊は潜入時に使った複数の小型艇からワイヤーで吊るして運搬、ナナバルクへ向かう。
その姿はさながら無防備であったがDSSD側に奪回の力は無かった。

トロヤステーションはナナバルクとヴェルデバスターの長距離砲撃を受けている。
破壊されるステーションにいる人々はいつ焼き尽くされてしまうのか、宇宙へ投げ出されてしまうのか
わからない恐怖におののいていた。

AGE-2はアビゴルとザクレロ相手に奮戦を続ける。

右手にハイパードッズライフル、シールドを備える左手にビームサーベルを持ち、
二機に対して一歩も引かなかった。

アセム「ハァッ……!」

ハイパードッズライフルのビームを抜け、ザクレロがヒートナタで切り刻まんとすると、
避けてその左側面に接近し左腕をサーベルで切り裂き離れた。

アセム「飛び込めていれば全部を!」

モビルアーマー形態のアビゴルがビームキャノンで攻撃し、AGE-2は回避して反撃を窺う。
アセムは全力を振り絞っている。意識を周囲の敵味方すべてに向けて、スターゲイザーやシビリアンアストレイらを
守りぬくつもりで戦っていた。

しかしアセムの自身に課した負担は状況による消耗も含め並ならぬものではない。

アセム「ッ……!」

アビゴルが中央の割れ目から発生させ飛ばした湾曲している刃型のビームを躱し、
エレゴレラに向けてビームを放った。視線の先で、スターゲイザーがエレゴレラの尾を
叩きつけられそうだったからだ。

狙いはその尾。ビームが掠り、エレゴレラは攻撃を止める。その隙でスターゲイザーは逃げ出す。

AGE-2を捉えたストライクノワールは彼の意識が一点に集中した所を見事に突いた。
両翼に備えるレールガンの放った弾丸が二撃ともAGE-2を直撃する。

アセム「うわああああああっ!!」

ソル「アセムッ!」

AGE-2は態勢を大きく崩した。胴体への命中―――パイロットへの負傷は避けられたものの、
右足の腿付近と左肩の前羽に損傷を受けた。次に大きな衝撃が加われば崩壊するだろう傷だった。

攻撃を止めたAGE-2にアビゴルとザクレロはいざ好機と襲い掛かる。

スターゲイザーはそのスピードで逸早くAGE-2へ飛び寄る。
ビームを撃って寄ってくる彼等を追い払い、続いて攻めてくるストライクノワールと対面する。

セレーネ「アセム君、しっかりして!」

ソル「来る!」

スウェン「足が止まっていれば」

両手のビームライフルショーティーの銃口を向け、何度も撃つ。
ビームが着弾しようという所でスターゲイザーは閃光に包まれ、命中したかもわからないまま撃った側の視界を覆った。

スウェン「……!?」

消えた光から現れたスターゲイザーは無傷だった。その機体は自身を中心に回る幾つもの緑の光の輪に守られている。

ヴォアチュール・リュミエールの一つの形。

スターゲイザーを宇宙の彼方へ連れて行く“運び手”は自身を守る盾となった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

暗号が示した位置に向かうシンのシビリアンアストレイはこちらに向かう存在を捉える。

ナスカ級高速戦闘艦

シン「こちらミネルバ隊所属、シン・アスカ!IDは―――!」

発見次第すぐに通信で呼びかけると、応対後許可を出されシビリアンアストレイはナスカ級に着艦する。
シンは発着場に降りてすぐにこの戦艦の艦長他艦員たちに迎えられた。

「我々はデュランダル議長の命でここに来ました」

艦長に当たる、白い軍服の男が経緯を説明する。

「デュランダル議長はミネルバから離れ単身で任務中のあなたに機体をご用意したのです」

艦長はそう言ってシンの左胸に目を留めた。

「あの、FAITHの徽章は何処へ……?」

シン「フェイスの?持っているわけないでしょう」

「は?」

シン「?」

「―――まあ、それはともかく、試作機の稼働試験という名目で航行していました。
  あなたの任務の機密度を考慮してのことです」

シン「とにかく、自分の機体があるんですね?」

「はい。案内します」

シンは格納庫内で整列するMS群四機の中に見知らぬ二つの機体を見る。

ZGMF-1000ザクウォーリア

AMX-011ザクⅢ

そして、

シン「ガンダム……!」

ZGMF-X42Sデスティニーガンダム

「なに?」

シン「いや、何でもないです。―――すぐに戦線に復帰します。出撃準備を!」



デスティニーガンダムに搭乗したシンは艦員から通信を受ける。

『議長から録画で伝言が入っています』

シン「議長から」

『当然、中身は見ていません』

シン「急いでるのに……」

データファイルを探し出し、再生する。そこには執務室にてカメラで撮影したらしい、
デスクに座るプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルの姿があった。

シン「議長……」

デュランダル『はじめまして、別世界のシン・アスカ君』

シン「……!?」

デュランダル『人知れずバルバトスを中枢とするガンダム・ワールド管理マシン、ジェネレーション・システム
        と戦ってくれていることに数少ないであろう知る者として深く感謝する。
        私は微力ながら精一杯の支援として―――アプロディアからの要請もあるが、君の一助となるだろう
        この“力”を与えようと思う』

シン「アプロディア……!」

デュランダル『斯く言う私もアプロディアから教えられた身だ。赤の空間、別世界の存在、ガンダム・ワールド
        ……夢だと思いたかったが、彼女はこれが証拠だと何度も現実に介入してきた』

シン「そんなことを……バルバトス……赤、彼女……」

デュランダル『このZGMF-X42S、デスティニーは君に課せられた使命への力になってくれるはずだ。
        事実、この世界のシン・アスカ君はデスティニーを駆り多大な戦果を挙げている』

シン「俺が」

デュランダル『アプロディアがジェネレーション・システムを破壊する役目に君を選んだのは正解だったと私は思う。
        その力で、君の生還と、平和がもたらされることを心から祈っている』

再生が終了するとファイルを閉じて、シンはデュランダルの言葉を反芻しつつ戦いに向けて意識を整える。

シン「通信管制、発進を―――シン・アスカ。デスティニー、行きます」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ナスカ級の艦内は慌ただしくなっていた。ナナバルクがこちらを察知し、行動を始めたからである。

「デスティニー、発進!」

「敵戦艦、例のボギーワンと同型です」

「MS隊発進。敵艦への警戒、怠るな」

艦長が指示する。そして副艦長に当たる、黒い軍服の男に話す。

「シン・アスカ、奴は本当にそれなのか?自分の事情を全く知らない素振りをする」

「DSSDから“シン・アスカというザフトの兵を保護している”、と連絡があったことは知っています。
  ですがミネルバからはシン・アスカがちゃんといると返ってきましたし……どちらかが影武者?
  しかしデスティニー、急遽拵えた二番機を渡しました。それ程の人物ということです」

「うむ……」

「噂、ありますよね。優れた人物の複製―――遺伝子科学に精通している議長は、もしかして……」

「バカを言うな……!とにかく、連合軍の撃破に当たる。死ぬのは御免だからな」

シン『こちらシン・アスカ!トロヤステーション周辺の同士救援と、敵の撃破に当たります!』

「了解した(疑わしいFAITH)。我々は敵艦の撃破に専念する!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

スターゲイザーを守る光の輪はザクレロの吐き出した拡散メガ粒子のビームを弾き、
モビルアーマー形態のアビゴルの放ったビームも受け止める。

その背後から、ハイパードッズライフルの放つビームが飛び、ザクレロとアビゴルをその場から離れさせた。

アセム「もう大丈夫」

ソル「うん」

二機の攻撃を見て近距離での攻撃に切り替えたストライクノワールが接近する。
スターゲイザーは対面し、自身を覆う光の輪の内の一つを発射した。

スウェン「!?」

ストライクノワールは直ぐにそれを躱す。

輪っかは、一度伸び楕円となって放たれて宙で再び輪を作って次々飛んでいく。

ストライクノワールは後退する。周囲にあったスローターダガーの残骸に輪が命中すると、
残骸は真っ二つになった。

スターゲイザーは光の輪を発射しつつストライクノワールを追い掛け、AGE-2も背中を向け、アビゴルたちを追う。

『ザフトの部隊と戦闘に入る』

スウェンはナナバルクからの通信で危機感を煽られた。
ステーションへの砲撃は既にヴェルデバスターによるものだけになっている。

ファントムペインにとって今回の作戦は、外部からの邪魔を受けない
中立組織の施設への一方的な武力制圧のはずだった。
だが予想外の反撃を受け、そこへ正体不明の機動兵器群が出現
―――図らずも助けとはなっていたが……そしてザフト軍の介入である。

『ヴェルデバスター、シャムス・コーザ。シグナルロスト』

スウェン「……!?」

そしてヴェルデバスターからのビームも消えた。
エネルギー切れを狙われ、ステーション砲撃を断たんとするシビリアンアストレイたちにより撃破されたのだった。

後退するストライクノワールを追う、スターゲイザーの放つ光の輪を避け切れずストライクノワールは左腕を切断される。

スウェンは周囲を確認して、右手を後方へ伸ばしてワイヤーアンカーを発射する。
尖端をエレゴレラの背面に引っ掛け、スラスターとワイヤーの戻す勢いでエレゴレラの影に隠れる。

ソル「こいつ」

エレゴレラは尾の先のビーム砲でスターゲイザーを撃つ。

セレーネ「―――ステーションへの砲撃は止んだ。後はこいつ等さえ」

ヴェルデバスターの撃破で、トロヤステーションを襲うビームは全て無くなった。
無残な姿だが、ステーションはまだ生きている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「些かバランスが悪いか……」

MSの操縦席の中で、女は憂慮していた。
造り上げた状況とはいえ、思わしくない結果になるかもしれなかった。

「世界は正しく導かねばならぬ。私が、その一助となろう」

違う世界でスターゲイザーの世界での戦いを観ていた彼女は搭乗している機体と共に光の中に消える。

そして世界を飛び越え、監視していた戦場に姿を現す。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

翼を広げ、そこからさらに光の翼を発生させて飛ぶデスティニーガンダムは視界に
エレゴレラとそれにアンカーを通して付いているストライクノワールを捉えた。

捕捉された側も新手の姿を確認する。

スウェン「ヘブンズベースに出現したザフトの新型か!」

エレゴレラは尾の先をデスティニーに向けビームを発射する。
デスティニーガンダムは直ぐにそれを回避する。その時動く前にいた場所に光を纏う自身の姿を残していた。

光の翼が作り出す残像現象である。何度も放たれるビームを避ける度にデスティニーガンダムは
残像を生み出し、エレゴレラを惑わせていた。

シン「なるほど。俺を無視していたのはガンダムに乗ってなかったからってことか
    ―――相手してやるよ。このデスティニーで!」

デスティニーガンダムはエレゴレラに右手に持つビームライフルの銃口を向けて撃つ。
ビームは狙いである尾に命中し、身を千切って尾の先が宙を飛んだ。

危険を察知していたストライクノワールは既にエレゴレラから離れていた。
そこへスターゲイザーが向かっていく。

セレーネ「パワーが少ないわ!」

ソル「わかってるよ、でも一機でも数を減らさないと!」

逃げるストライクノワールをスターゲイザーが追い、二機はこの場から離れる。

エレゴレラはビームグレイブで切り裂かんと接近する。デスティニーガンダムは距離を取ると、
対抗するようにビームライフルを仕舞い背負っている大型剣、アロンダイトビームソードを取り出す。

シン「パワー!スピード!インパルスを超えている!すぐに使いこなして、
    この力でジェネレーション・システムを……倒す!」

剣先を中央に来るよう構え、長い剣身の下部からビームの刃を発生させる。
光の翼は勢いを増しその形を大きくさせて光の粒を散布する。

シン「うおおおおおおお!!」

両機ともに真っ向から突進し、互いの武器の刃がぶつかり合う。

デスティニーガンダムが離れるとエレゴレラが千切れた尾を振るう。それを避け、
敵の得物の届かない所で右肩に装備されているフラッシュエッジ2ビームブーメランを左手に持ち放り投げた。

フラッシュエッジは見事に尾の残りを切断して、残像を出しながら相手の背後を取ろうと回り込む主へと正確に戻る。

エレゴレラはデスティニーガンダムの接近を許さぬよう、尖りのある左側の可変装甲から
三連メガ粒子砲を露出させ、大型ビームを放つ。

デスティニーガンダムはビームを下に進むことで避け、今度は相手側の下方から突撃する。

直ちにエレゴレラは三連メガ粒子砲の先をデスティニーガンダムに向ける。

再び撃たれる前に、弾丸の如く光り突き進むデスティニーガンダムは両手で持つアロンダイトビームソードの長い剣身で
すれ違いざまに、その正面を相手の両腕を抜けて切り裂いた。

エレゴレラの胴体正面に一つの巨大な直線の切り傷ができ、そこから爆発が起こる。

デスティニーガンダムはアロンダイトビームソードを収納し、背負う高エネルギー長射程ビーム砲を取り出して、
収めていた砲身を広げその正面と相対する。そしてビームを放った。

ビームはエレゴレラの機体を貫き、爆散させた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

AGE-2は連携するアビゴル、ザクレロとの戦闘を続けている。
相手を圧倒せんと動き、ダメージを受けた箇所を傷めてしまうが攻撃を緩める余裕はない。

今、アビゴルがAGE-2へ接近してビームサイスの、柄の中心を持ち回転させて両端の鎌形ビームの刃を連続で浴びせんとする。

その素早い猛攻からAGE-2はハイパードッズライフルを切り裂かれるのを恐れ、ビームサーベルで受け止める。
何度も刃はぶつかり反発しあい後ろへ下がるAGE-2はサーベルの刃をぶつけた反発とスラスターを用いて一気に後退する。

アビゴルは追撃に、右手と上体を後ろへ捻って前に戻す勢いを乗せてビームサイスを投げつけた。

アセム「何ッ!」

AGE-2は咄嗟にハイパードッズライフルの銃口を向ける。

その時回転して飛ぶビームサイスを何処からか飛んできたビームが破壊した。

ビームを放ったのはビームライフル片手のデスティニーガンダム。エレゴレラ撃破の後、全速力でAGE-2の救援に向かったのだ。

シン『アセム!』

アセム「お前、そのガンダム……」

シン『ザフト軍の―――俺のいる軍の応援で受け取った新型だ。今、友軍が地球軍の戦艦を相手している。
    とりあえず俺たちはこいつらをぶっ壊してしまえばいいんだ』

アセム「わかった……。この戦い、絶対に勝ってみせる!」

並び立ったAGE-2とデスティニーガンダムは前方から迫るザクレロとアビゴルに向けて
ハイパードッズライフルともう片手に持った高エネルギー長射程ビーム砲で攻撃し、
それぞれを一対一に持っていくよう仕掛けた。

AGE-2がアビゴルと、デスティニーガンダムはザクレロと対決する。

アビゴルは両手に端の二つの発生器で卵型両刃のビーム剣身を作るビームカタールを
持ってAGE-2に突撃する。

AGE-2もビームサーベルを両手に持って応戦、斬り合いとなった。

アセム「ここで落とすんだ!うおおおおおっ!!」

溢れんばかりの気迫で以って猛攻を掛け、アビゴルに挑む。

ダメージを受けた部分が悲鳴を上げる。全力で挑むにはこの接戦が最後だった。
アビゴルのビームカタールによる攻めを、出来る限り距離を開けず機体を翻すか
ビームサーベルで受けるなどして凌ぎ、撃破の機会を探る。

そして突破の瞬間を見定めた。

振るったサーベルの刃がアビゴルの片腕を切り裂く。そのままの勢いでもう片方をも切り裂いた。

アビゴルは両足のみをモビルアーマー形態に部分変形し、離脱。
その時多くの球体を、ビームネット発生器を射出する。

アセム「逃がすかぁ!」

すかさず右手をハイパードッズライフルに持ち替え引き金を引く。

放たれた螺旋の伴うビームは展開された発生器同士で繋ぎ合わせたビームの網を突き抜け、アビゴルを射抜いた。



デスティニーガンダムとザクレロの対決は向かい合い、激突したその時に決着した。

光の翼を放出し、アロンダイトビームソードを構えてデスティニーガンダムは突進する。
その際意識して上下左右に揺れ動いた。

生み出された残像がザクレロの感知機能を混乱させる。
幾つものデスティニーガンダムが捉えきれない速さで巨大な剣を持って迫り、
標的を絞れないまま最も間近に迫った機体に刃を振り下ろされる。

ザクレロは機体を縦に両断され、爆散した。

シン「やった!後は黒いストライクと―――」

『救援を求む!』

シン「なに!?」

『突如出現した所属不明のMS部隊と応戦中!至急救援を求む!』

シン「ジェネレーション・システム?また増援を!」

デスティニーガンダムは通信主のナスカ級のもとへ急ぐ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うわぁーっ!」

ザクウォーリアはビームの刃による一撃に伏せた。

その武器は扇子を模った武器、ビームファンと呼ばれるもので、
扇ぐ部分が全てビームの刃となっている。

GGH-010レギナ

この黒と紫二色の肌を持つ、女性的な姿をした7つの機体たちはナナバルクとナスカ級の
それぞれのMSを交えた戦いの間に飛来して、唐突にナナバルク側の援護を始めた。

率先して攻撃を仕掛けるそれらにナナバルク側は驚き動けずにいた。

レギナたちの内、戦場の中で戦う姿勢を取らず悠然と見ている一機から女性の声が飛ぶ。

『ブルーコスモスの勇士達よ。コーディネイター殲滅の達成はすぐそこである。
  勇士達の志の為、この私が手を貸そう―――青き清浄なる世界のために!』

レギナのパイロットはファントムペインへだけでなく、この戦場にいる者たちに向けて言い放った。

「あ、ああ……」

ナスカ級とそのMS部隊たちはレギナたちの戦力に押されていた。こちらに力を割く余裕はなかった。
ナナバルクとスローターダガーたちは戸惑いつつも言葉に従いその場を離れ、目的達成の為にトロヤステーションへ向かう。

「貴様ら、突然出てきて!ブルーコスモスめぇ!!」

ナスカ級を守るザクⅢは両側のスカートに備えるビームキャノンで迫るレギナたちに攻撃する。

「追え」

七機の内三機がナナバルクの後を追い掛け、指示したレギナ含む残りはナスカ級に襲い掛かる。

ナスカ級、ザクウォーリア、ザクⅢから放たれる弾幕を正面から四機が内、
統率する女が乗る一機は突出して挑み掻い潜る。

「この!」

今自身を通り過ぎんとするレギナに顔面を合わせたザクⅢが口からメガ粒子のビームを放つ。

レギナはそのまま前進し追い掛けるビームを振り切ってザクⅢの背後に回り、
背部に備えるバインダーシールドライフルの片方を正面に突き出して銃口を向ける。

ザクⅢはすぐ振り向くも、放たれたビームの方が早く、ザクⅢの機体はレギナによって焼かれた。

「デスティニー、早く来い!」

「クソォ!」

ナスカ級の抵抗も虚しく、レギナは艦橋へ到達する。

「来たか、デスティニーガンダム」

女の関心は感知したデスティニーガンダムへと向き、艦橋を撃たれたナスカ級は沈黙する。

残っていたザクウォーリアも三機のレギナに蹂躙され撃破された。

シン「うおおおおおおっ!!」

レギナはその機体を迫ってくるデスティニーガンダムに向け、シールドライフルを持つ手は
そのままナスカ級に向けられ残った船体にビームを放ち続け破壊していた。

シン「おまえぇぇえぇぇぇ!!」

激昂したシンは前方のレギナに向けて引き金を引き続ける。

「来い」

レギナは相手のビームライフルから放たれるビームを避け、
内一撃が砲身をシールドに変形させ正面を覆わせたライフルに中てられつつも、後ろへ退く。

追うデスティニーガンダムに三機のレギナが迫り四対一の状況となるも、デスティニーガンダムに臆す様子はなかった。

左手に高エネルギー長射程ビーム砲を持ち、両手の武器から光弾と光線を放つ。

レギナたちは距離を取ってデスティニーガンダムを囲み、反撃に両側のバインダーシールドライフルによる射撃を行った。

デスティニーガンダムは四方から飛んでくるビームに左手を覆う手甲表面の装置からビームシールドを発生させ、
攻撃を回避、また受け止めつつも一機に接近して各個撃破を目指す。
光の翼を出して相手を超えたスピードで近づき、ビームを避けて狙い定めた一機をビームライフルで以って撃ち抜いた。

「ほぅ……」

他のレギナを操る女は残る二機を後方に付かせビームを撃たせる。
二機の放つビームはデスティニーガンダムの縦横への動きを制限するような弾幕を張り、
自身は突進して近い距離での射撃を行った。

後退と出来る限りの動きでビームを躱すデスティニーガンダムは
ビームライフルと高エネルギー長射程ビーム砲を収めてアロンダイトビームソードを取り出す。

光の翼を拡げさらに光の粒を吹き出し、襲い掛かるビームの群れに飛び込んだ。

「相手をしてやる」

女の操るレギナはバインダーシールドライフルを収めて両手にビームファンを持ち、デスティニーガンダムの突撃に応じた。

デスティニーガンダムは残像を出しての攪乱戦法を繰り出す。
白や黄色のモビルアーマーたちに効果のあった戦法―――期待したシンは、アロンダイトビームソードを振り下ろす。

だが相手は的確に、二つのビームファンの刃で一撃を受け止めた。

『ミラージュコロイドの幻惑など私には通じない』

シンの通信回線に相手からの声が届く。

『デスティニーガンダム。火力、防御力、機動力、信頼性、その全てにおいてインパルスガンダムを凌ぐMS。
  シン・アスカをパイロットにすることで完成し、その性能は鬼神の如し』

シン「は……?」

『“力”を引き出してみろ、シン・アスカ。これではまだパーツとして不完全だ』

シン「人を機械みたいに!」

『トロヤステーションの破壊は目前だ。ガンダムAGE-2とスターゲイザーはここで朽ちる』

シン「この」

『父と母と妹の死にざまを見ていた時と変わらないままでいいのか?』

シン「お前がァァァ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

移動したナナバルクは再びトロヤステーションへの砲撃を開始する。

そこへ逸早く駆け付けたAGE-2は護衛のスローターダガーたちからの攻撃を受け、
さらにナナバルクを追っていた三機のレギナも襲い掛かる。

アセム「どけよ!」

スローターダガーたちの動きはナナバルク防衛の射撃による牽制なのに対し、
レギナの方は前へ出ていき全力でAGE-2を落としに掛かる。

アセム「クソッ!」

彼らの攻撃でハイパードッズライフルの狙いを付けられず、ナナバルクへの狙撃を諦めて目の前のレギナたちの撃破に移る。

アセム「構っている暇はないんだ!ステーションはもう限界なんだぞ!」

一斉に向かうレギナたちは放たれたビームにも物怖じせずAGE-2に接近戦を仕掛け、
いの一番に飛び出した一機がビームファンで斬りかかる。

AGE-2は銃口を敵に真っ直ぐ向けるが、飛び込んでくる相手の後ろの機体が仲間ごと撃ち落とさんばかりのビームを撃ち、
躱して生じた一瞬の隙で左肩の装甲が切り裂かれ、ダメージの受けていた左肩の前羽が切断されてしまった。

アセム「ぐ……!このおっ!!」

レギナの身は突きだされて機体に触れる間近のハイパードッズライフルの銃口から放たれたビームで消し飛んだ。

―――そう。ガンダムAGE-2ノーマルのスピードを捉えるには、
    身を賭して翼を削ぐのが先決だ。

女の命令が残りのレギナを捨て身の戦闘へ導く。

一機は両手に背部から両腕と脇腹の隙間に銃身を通したバインダーシールドライフルの
引き金を持ってビームを撃ち、もう一機はビームファンを持って攻撃を掛ける。

AGE-2は二機に向かってビームを放つ。

射撃を行うレギナは攻撃を中断するも、もう一方は撃破したレギナと同じく被弾覚悟で突撃した。

AGE-2の撃ったビームが特攻する機体の両足を消し飛ばす。

レギナはそのままビームファンで斬りかかり、AGE-2は左手に持ったビームサーベルで受け止める。

瞬間、警報が鳴った。

アセム「!?」

咄嗟に機体を後ろへ退くとレギナは後ろからビームに貫かれ、爆発した。

アセム「ぐあぁあーーーっ!!」

先に動いたAGE-2はビームそのものに巻き込まれず済んだが、爆発の衝撃や飛び散ったレギナの破片が
襲い掛かり、続けて自分を狙うビームが迫る。

爆発の影響を受けていたAGE-2は対応が遅れ、右のわき腹にビームを掠めた。触れた高熱が装甲を抉る。

アセムは両手にライフルを持つレギナを捉える。―――奴は今度こそ本当に仲間を狙って撃ったのだ。

レギナはビームを撃ち続ける。立ち直れていないAGE-2は窮地に陥るも、
そこへ幾つかのビームがレギナに襲い掛かる。レギナの注意が逸れた隙を見て、
すぐに態勢を立て直した。

『アセム・アスノ君、助けに来たぞ!』

残っていたシビリアンアストレイたちが助けに来たのだ。一機がAGE-2の傍に来て
機体に触れ接触回線で話しかける。

『今、動ける俺たちで二手に別れて敵艦の破壊とスターゲイザーの救援に向かっている!
  ―――ステーションの破損で通信関係はズタズタで何もわからない!それでもやれることをせねばならん!』

アセム「わかりました。俺も手伝います!」

『頼む!』

アセム(スターゲイザー……、ソル、セレーネさん)

二人の無事を確認するように装置の示すスターゲイザーのシグナルを見る。

その時、一筋の光芒が宇宙を飛んだ。アポロンAのある方向からだ。

映像記録で観たプロパルジョンビームのモノだ。
それは確かに何かへ命中し、その何かはビームに押され飛んで行った。

アセム「どうしたんだ!?」

再び装置に目をやると、スターゲイザーのシグナルが消えていた。

アポロンAで敵機と戦っていたはずだったのに。

アセム「あ……そんな、まさか……!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

デスティニーガンダムは一対三の状況の中、二機のビーム攻撃を援護に格闘戦、射撃戦を仕掛ける
レギナに対して備える武装を駆使し奮闘していた。

先程は激昂しての突進攻撃を行っていたが、距離を取って遠距離からの面を意識した射撃や
指示を行う機体に肉薄しての斬り合いなど連携を崩すことを意識した戦い方を取っていた。

「まさに殻が弾け飛んだように、だな。フフフ……」

シンは戦いの中で何度かあった感覚を体験していた。

頭の中がクリアーになる。緊迫する状況に対しての集中力が高まり判断が冴え渡るのだ。
正体の分からない感覚を意識しつつ、目の前の敵を倒す事に全力を懸ける。

「SEEDの力。怒れる瞳の者」

集まったレギナたちは対面し接近する相手へビームを撃ちつつ後退する。

デスティニーガンダムはビームライフルで対抗しながら追いかけるも、弾幕のなか距離を詰めるのは困難だった。

そこで敵の正面からではなく迂回しての接近を図る。高い速度を維持したまま右へ左へと針路を変えて迫った。

相手に対し圧倒的なスピードで少しずつ距離を狭めていく。

センサーの機能から遠いほど光の翼の攪乱効果は高まっており、狙いを付けるのは難しかった。

レギナたちは戦法を変えて三機共に接近していく。

デスティニーガンダムは迫る多くのビームにビームライフルの引き金を引き続け、そして頭部機関砲で迎え撃つ。

内一機は攻撃を潜り抜けてビームファンに持ち替え、斬りかかった。

急襲する刃を咄嗟に突き出した左腕に備える対ビームの実体盾で受け止めるとその腕を振るって刃を弾いた。
態勢を崩した所に直ぐ様銃口を向けてビームを撃ち込み、爆発から離れる。

「援護しろ」

女の乗るレギナも両手をビームファンに持ち替えて残る一機にビームを撃たせて接近戦を仕掛ける。

撃破したレギナの爆発を背後にデスティニーガンダムもビームを避けつつアロンダイトビームソードを両手で持って突撃した。

二つのビームファンとアロンダイトビームソードの刃がぶつかり合う。

シン「このぉっ……!」

互いの刃が離れた瞬間、透かさずデスティニーガンダムはアロンダイトビームソードの剣先を少し後ろへ引き振り抜いた。

「!?」

レギナの両腕は瞬く間に切り裂かれ、再び迫る大剣の刃から必死に後ろへ退がる。

シン「待て!」

デスティニーガンダムのセンサーが巨大なビームの発射を確認する。

シン「何だ……!?」

光芒を辿ると、発射の元はスターゲイザーの実験に使う、レーザー発振ステーションがある方角からのものだった。

その先端は瞬間青白い光を発して少し途切れたが、すぐに放たれた方向の彼方へと進んでいき、末端から再び途切れた。

何故撃たれたのか?後退する敵を追いつつ生じた疑問にあの敵の女が応えた。

『スターゲイザーが飛び立った』

シン「何!?」

『世界は正しく導かれたということだ―――また会おう、デスティニーガンダム』

女のレギナはデスティニーガンダムに襲い掛かるもう一機のレギナに時間を稼いでもらい
後退を続け、この世界を後にした。




その後、スターゲイザーが飛ばされる前にセレーネに後事を託され強引に脱出させられたソルが、
指示通りアポロンAの砲でナナバルクを狙撃、撃沈させる。

DSSDは敵の撃退を果たし、辛くも危機を脱した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ロッキー級の格納庫はこれからの作戦の要となるガンダムたちの整備に忙しかった。

ドモン「ゴッドガンダムの整備はバッチリだ。いつでも出れるぜ」

点検を終えた直立する愛機の傍で様子を見に来たシローに話す。

シロー「ジェネレーション・システムのMSいや、モビルファイターの部品が使えてよかったな」

ドモン「お前のガンダムは大丈夫なのか?継ぎ接ぎと聞いたが」

シロー「元からだ。ま、何とでもなる」

この格納庫にはゴッドガンダム、ガンダムEz-8、ターンエーガンダムの他、
右手の無いリーオーと捕獲した機動兵器の姿や回収した使える部品の山があった。

そのリーオーの足元近くで、整備士に背中を押され出入り口に向かって歩かされるガロードの姿が見えた。

ガロード「おいおい!俺はまだまだやれるっての!」

「ネジの締めが甘くなってるヤツに整備なんて任せられるかぁ」

「君の機体も用意してあるんだ。パイロットは休んで準備だ」

ガロード「わかったよ!押すなって歩ける!」


ドモン「……ふっ」 シロー「くくっ」

シロー「俺たちも休憩だ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

不満そうに格納庫から出たガロードはぶらり艦内を歩き回る。

そこへ沈んだ表情をしたマリナの姿を見つけ声を掛けた。気づいた彼女はすぐに明るい表情を繕う。

ガロード「またシーリンに怒られでもしたのか?」

マリナ「彼女は正しいことを言っているだけよ」

ガロード「そうでも言い方ってもんがあるよなぁ。受け取る側がキツイって」

そう言い、指でつんと目じりを上げてみせる。シーリンの真似をしてるつもりらしい。

マリナ「あなたはどうしたの?」

ガロード「整備場を追い出されちまったんだよ。これから物入りで、人手がいるだろうに。
      お前は休めって、まだ出来るのにさ。みんなして味噌っかす扱いするんだもん」

マリナ「ふふっ……」

ガロード「何がおかしいんだよ?」

マリナ「まねたりふくれたり、子どもらしいなって……ふふっ」

ガロード「なっ……んもー!暗い顔してたから励ましてやろうと思ったのに。お、ロラン」

丁度二人の会話に通りがかった彼も会話に加わる。

ガロード「ロランも追い出されちまったのか?」

ロラン「作戦が近づいてるんだから休むのは大事だよ……まあ疲れ知らずとは感じるけれど」

右手に持つ乾パンの入っていた空袋が擦れた音を出す。通路を歩きながら食べていたのは内緒にしていた。

ガンダム他の準備がほとんど終了しているのは彼らレジスタンスの仕事ぶりのおかげだった。
自分が食べていたような長期保存の効くモノでの食事と、決まった時間のきっちりした、
ゆっくりとは少し遠い休息で彼らは働いている。
休憩を言い渡されたときロランもいよいよ気力がなくなっていた所だった。
汗を流したくもあったが、水だって備蓄しているものだ。

喧しい音や重機械の動く場所独特の匂い、感触のなかでもオヤジ中心の男たちは不思議と清々しい。
過酷な環境だからなのだろうか。駐留軍基地跡から今まで、難民から衣食住に関しての問題、諍いは起こらなかった。
とにかく計画されていた通りの消費生活を営んでいた。

それは非常に幸いなことで、その忍耐強さはロラン自身、ガロードやドモン等も感心していた。
出て来た不満は脅威に対する無力感や変わらない環境の閉塞感についてのもので、
それを変える可能性を持つと見られたロランたちはあの環境に比してもてなされていたのだった。

来た当時、パイロットスーツのままだったロランとガロードの今着ている私服は自分たちで選ばせてもらった上での貰い物である。
なので、この世界でも二人ともに馴染みの装いとなっていた。

今の状況でも重い問題にはなっていない。だが限度があるだろう。

これからの目的の一つに、この戦艦やトラックなど移動手段に使っているモノのちゃんとした整備もある。
人も、機械も疲れ切ってしまう前に休憩が必要だ。

マリナ「やっぱり、行くのね」

ロラン「……はい」


この先には、捨てられた都市がある。

ジェネレーション・システムの襲来以前からある、長きにわたる戦争によって周辺一帯ごと放棄された処で、
過去の遺物としてこの世界の人々から忘れ去られようとしている場所だ。

合流地点まで、今使っている道に沿って進むならばこの都市を通った方が最短距離である。
当然戦いの跡で建造物は倒れ、道路もデコボコだろうが、その辺りはMSが総出で整備に取り掛かる予定だ。
何より欲しがっていた隠れ処として利用できるかもしれない場所。
道づくりの上で戦艦や車両の整備点検を行い、再び大移動の準備を整える。

しかし、絶好の隠れ場所に誰もいないわけがない。そこで先行してMSによる進入を始めるのである。
始めはイナクトによる飛行での大まかな散策。その後3機のガンダムが進行する。
先にMSの来訪を見せつけて先入者を動かすのだ。

安住の地を求めて“力”の象徴が向かってくる。対する先住民の反応。その悲劇は身をもって知っている。
それでもこの行動を起こすのは、丸腰で、または安易に全員で向かって行った場合に先住者の防衛、略奪行為が
行われ大きな危険に晒される可能性があるからだ。
大きな暴力がそこかしこで為されている世界で、しかも一度人の去った場所に、非武装のまま居続けている見込みは低い。

ガロード「市街地を避ければさらに険しい道を通るし、遠回りになる。先住者とどうなるにしても、
      この大所帯を守る術は必要だと思う」

マリナ「シーリンからも、そう言われたわ」

ロラン「僕には一刻も早く先へ進む理由があります。だからといって仕方がない、の一言で済まされる行為でもありません」

マリナ「……それでも、戦いを止めることはしないのね」

ロラン「今は“力”が必要だと思っていますから」

マリナ「そう」

ロラン「でも、あなたの御気持ちは決して間違っていないと僕は思っています」


これからの為に、それぞれはこの場を離れた。
ロランと共に会議室へ向かうガロードはロランの急ぐ理由を尋ね、大まかな経緯を聞く。


ガロード「月と地球の大戦争が起きるかどうかの大一番か。大変な時に飛ばされちまったな」

ロラン「アプロディアが“元の時間に戻す”とは言っていたけれどどこまで信用できるか……。
     だから、悪いけど帰れる術が見つかったらすぐに発つよ」

ガロード「わかった。まさか月の女王様の従者だったなんてな」

ロラン「別に、僕個人が月と地球の平和と、それを考えるディアナ様をお支えしたいからやっていることだ。
     本来はソシエお嬢様の家の使用人」

ガロード「え゛っ、別人と言ってもほぼおんなじのの使用人!?」

ロラン「ああ、言ってなかったか」

ガロード「苦労してんなぁ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

作戦前に、クラウスによる参加者を集めた説明会が行われた。

事前の説明通り、イナクトによる空からの散策から始まり、その後三機のガンダムが入れ替わりで進入する。
探検は実質その三機、ドモンたちが行う。残りはこの移動集団の守備に回る。
内部の状況が困難であればガンダムたちと共に撤退し、別のルートを選択する。

クラウス「我々は侵略をしにいくわけではない。難民を無闇に危険に晒すつもりもない」

繰り返し念を押された注意事項であった。

シーリン(だが、ガンダムが侵入する以上先入者の警戒は非常に大きくなる……どうなるかはわからないわね
      ―――人の操るガンダムが、周囲にはどう影響を与えるのか)

クラウスの隣に立つ彼女はレジスタンスとガンダムが関わり合うことでの今後を思案する。
この作戦は、レジスタンス側のガンダムに対する試験でもあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

各員は発進準備に取りかかる。
格納庫の慌ただしさの隅でガンダムのパイロットたちは今回の作戦について話していた。

シロー「現状単機で最大の攻撃力、機動力を持つガンダム三機で状況に対処してほしいということだ」

ロラン「でも、それだけじゃないですよね……。
     ガンダムって、この世界ではジェネレーション・システムの兵器だけなのだから」

ガロード「ガンダムを見せて、ビビらせるってことだろ?」

シロー「そうだ。だが敵意を煽ってしまって、戦う事になるかもしれない」

ドモン(成程。レジスタンスめ……試しているのか)

ロラン「僕たちは攻撃の意思がないことを頑張って証明しなければなりません」

ドモン「“熱砂の猟犬たち”のようにあらかじめ準備がされていることも考えられる。
      例のMS商人のようにガンダムの存在を知り、またレジスタンスが来ることを触れ回っている者もいるかもしれない」

ガロード「商人や情報屋ってのは情報を伝播、共有するための独自コネクションを持ってるもんな。
      俺たちが知らないだけで、色んな情報が出回っているかも」

シロー「宇宙へ行く手段もそうだが、情報が足りない。戦力もだ。だから今はレジスタンスに頼るしかない」

ロラン「一つ一つ進んで行くことが近道」

今作戦へ向けての意思確認をした所で、喧騒に負けない大声が飛んだ。

ホレス「おーいロラン君ー!ターンエーのことなんだがー!」

ロラン「あ、はい!」

応じてホレスの元へ向かう。もうじきMSたちが出立する時間だ。

ドモン「俺たちもガンダムに乗るぞ」

ガロード「しっかりやれよ」

ドモン「お前も難民の守りがあるだろう」

シロー「MSで出るのか?」

ガロード「用意してあるって聞いたよ。リーオーかな……?」

ふとロランのいる方を向くと、ホレスの他にソシエもいた。内容は分からないが何か興奮した様子でロランに喋っている。

ガロード「ロラン、本当の世界ではあの娘の使用人なんだって」

シロー(苦労してんなぁ) ドモン(苦労してるなぁ)

ソシエ(なんだか心外な視線を感じるわ)


作戦は始まった。

三機のイナクトは飛び立ち、その荒れ果てた都市を見渡した後大きな脅威は見られないと判断。ドモンたちのガンダムが発進した。

こうして新たな戦いが幕を開けた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一方でガロードは自身の戦う手段の元へ駆けつけていた。

機体の整備場にはビーチャ筆頭のジャンク探し少年ら4人とメカニック、ガロードに用意された
突撃砲形態をとる陸戦強襲型ガンタンクの姿があった。

「バクゥの部品を使っていじったのよ」

イーノ「急場しのぎの処置だけどね。走行には問題ないはずだよ」

ガロード「サンキュー。で、お前らは」

メカニックとイーノから離れて傍観をしている三人に目を向ける。

ビーチャ「脱出に役立ったにも拘わらずトラックのすし詰めには遺憾である!」

モンド「そーだそーだ!」

ガロード「そういうことね。もう戦争はこりごりだって言ったくせに」

ふとぶすったれた表情のエルに目を留めた。ガロードが声を掛けようとするとモンドが傍によって耳打ちする。

モンド「エルが戦うって言い出したからさ」

ガロード「へぇ……。なるほどな」

ビーチャ「おいなんだ、モンド!俺たちはなぁ、待遇を良くするために仕方なく出てやるんだ!」

エル「今度はあたしが戦うっていうんだよ!」

ビーチャ「俺は一度戦ってMSを仕留めてるんだぞ!引っ込んでな!」

二人の口げんかを他所に、ガロードはメカニックから陸戦強襲型ガンタンクの説明と
今回の作戦における役割を聞く。

襲撃があればの話であるが、その時は前に出て戦って守って見せると、心の中で決意をしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

艦橋ではドモンたちの進入後に現れた変化に対応を迫られていた。

探検者達と本隊との通信の分断、高度な機器による情報収集能力への妨害。
都市からのミノフスキー粒子の拡散は自分たちの内を明かさないという意志の表れである。

「ミノフスキー粒子は今後も拡散を続け、ガンダムへの通信影響がかかります。妨害状況計測の結果を出します」

クラウス「……MS隊発進。警戒に当たらせる」

シーリン「まさか待ち伏せを」

クラウス「状況が予測以上だ。相手との戦闘は避けられないかもしれん―――シロー君、
      そっちは君たちに任せる」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

かつて有数の経済都市であった名残を見せる廃墟の中で、
ドモンたちは縄張りを侵犯する者たちへの対応を取り仕切った者とMS同士で対峙していた。

彼らは凹凸のある朽ちた建物の欠片が落ちている道路の大交差点で佇んでいる。

この都市を占める者たちの代表者が乗っているらしいMS。
それはMS用の火力増強を兼ねたバイクのように跨って乗り込むサポート支援メカに搭乗し、
メカが持つ正面先端の砲口を並び立つゴッドガンダムたちに向けていた。

MSA-003ネモ・・・FXA-08Rメガライダー搭乗

待っていたかのようにそこにいたMSネモと遭遇して間もない中、シローは考えを巡らせる。

Ez-8はビームライフルと専用シールドにウェポンラックを背負い、ターンエーとゴッドガンダムはから手である。
こちらから戦闘を仕掛けるつもりはない。銃口は下を向いたまま立っているだけだ。

相手は、そのバイクの大砲を見た印象から、遠くで狙い撃つことも出来たはず。
武装で威圧しての交渉目的なのだろうか?
あちらが散布したであろうミノフスキー粒子はセンサーや通信能力を刻一刻と蝕んでいく。

突然、ロランがコックピットのカバーを開けると立ち上がり、そのパイロットスーツの生身を晒した。

ロラン「僕たちには攻撃の意思はありません!この先にいる仲間たちの元へ行くために、ここを通らせてほしいんです!」

ターンエーと共に両手を揚げて力いっぱいの声を出して呼びかける。
シローには今の状態で攻撃の意志が無いことを訴える行動としては間違っていないやり方に見えた。
ロランに倣おうと考えた。しかし、自身の勘が相手の確かな戦意を感じていた。

ドモンの方は確かに相手の戦意を感じ取っていた。コックピットの中でいつでも行動に出られるよう身構えていた。

対してMSネモのパイロット、ヤザン・ゲーブルはコックピットの中でその牙をいざ剥かんとした。

ヤザン『目的はそうじゃないんだろう?ガンダム!』

滾らせていた戦闘意識が言葉となり溢れ出す。

ヤザン『地球と宇宙に混乱を与えて、新たな新世界を創りだすんだっけ?』

シロー「は……?」

ロラン「待ってください!そんなこと僕たちは考えていません!」

ヤザン『レジスタンスに身を置いているのは混じっている反地球政府、反コロニー連合の奴らに働きかけるためだろう!
     俺は地球軍の宇宙部隊としてお前たちと戦い、次は地球で―――
     しかもコロニーの奴らとの戦いに割り込まれた!二度やられたぁ!』

ヤザンはコックピットの中で恨み言を喚いた。
その姿は一見、明かした来歴とは離れた土煙で汚した草臥れのマントとテンガロンハットの装いで転落の程を示しているが、
その内側は軍人時からのノーマルスーツを着込み、現環境を物ともせず身体も生き生きとしている。

視線は獲物を捕らえ、笑っていた。

ドモン『ロラン、ヤツに話し合いの意思はない!』

危険を知らせるが、ロランは承知で続ける。

ヤザン『貴様たちの目的はどうだっていいさ。ガンダムに借りを返せさえすればいいんだ!』

メガライダーの砲にエネルギーの充填が始まる。砲口に光が宿った。

ロラン「駄目か……!」

ドモン『ロラン、退けっ!!』

シロー『ロラン!判っているだろう!』

ロランは急いでコックピットのなかに戻る。

ヤザン「遅いんだよぉ」

メガランチャー・ビームが充填されたのを察知してEz-8とゴッドガンダムはたまらず離れた。

相手の砲口が光を発したときに止まっていたターンエーが取っていたのは、
左足を引いて右足を前に突き出して股間部のコックピットを守り、胴の前で両腕を交差させた姿勢だった。
そして前に出していた右わき腹を中心にビームの直撃を受けた。

シロー「ロラーーン!!」

ターンエーは仰向けになって地面に倒れた。
受けた部分に多少凹みこそ出来ているが、装甲が溶解した様子もない。

ヤザン「メガランチャーの充填は十分だったはず……!」

ヤザンは狼狽えるも直ぐに次の作戦の為にメガライダーをそのまま後退させて反転、走り出した。

ドモン「俺はヤツを追う!」

シロー「ミノフスキー粒子の濃度は上がっている!通信だけじゃない、センサーも鈍くなるんだ!」

ドモン「油断はしないさ!」

ゴッドガンダムはバーニアを吹かしてMSネモとメガライダーの後を追い、Ez-8はターンエーの傍に寄った。

シロー「なんて頑丈な」

目の光は消えていた。

自身とパイロットを守り抜いた機体は機能停止に陥ったらしい。
コックピットの方を見ると、不透明カバーで見え難いが復旧を急ぐ無事なロランの姿は窺えた。

周囲は寂れて欠けた高層ビルが並び、こちらは道路のほぼ中心。崩れて重なったビル含む建造物の残骸はMSにとっても身を隠す場になる。
まんまと罠に嵌められた状況だった。

空は雲が掛かって陽の光は遮られている。影での判断も難しい。
こちらの情報をどれだけ掴み、作戦を立てたかがシローの不安だが、今はこの場を切り抜けることに考えを替えた。




ヤザン「ヒゲのガンダムの小僧め……!」

早々にガンダム一機撃破という戦果を挙げられた所を無効にされてしまったヤザンは
無事であろう敵パイロットへ向けて怒りを募らせていた。
大砲の前に生身を晒す無謀を行ったかと思えば、自身の保護をしっかり考えていたということの生意気さと、
またもやガンダムにしてやられたことに苛立ちを覚えるのだ。

しかし一機がこちらを追い掛けていることに、考えを改めて闘志を燃やす。作戦はまだこれからだった。

ヤザン「陽動以上の戦果を挙げてやるよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

レジスタンスは作戦開始時の都市との距離を変えず、此処目立って遮るもののない、ほぼ平地の場で襲撃者を迎え撃つことに決めた。

この決定は帰投するガンダムたちに余計な混乱を与えることを避けるのもあったが、
難民の護衛と移動が急な変更に向かない点も影響していた。

相手もそれを待っていたかのような機動兵器で以って襲い掛かる。

戦闘車両_戦闘バイク甲型

ZMT-A03Gモビルアーマーガリクソン

計六機の巨大バイクたちはその内一際大きいバイクに随伴してレジスタンスの群れに向けて突っ走る。

レジスタンスのMS隊は既に展開が済んでおり、ロッキー級陸上戦艦や難民用トラックの集団からさらに都市へ近づいた場所に布陣していた。

指揮官仕様含むイナクトが三機空中で待機し、一機……赤茶らしき色のイナクトはソシエの駆るカプルと共に地上で待ち構える。
その間を置いた隣に、突撃砲形態の陸戦強襲型ガンタンクがいた。

搭乗者のガロードは、レジスタンス本隊の守りになったリーオー―――ビーチャの不満を聞いていた。

ガロード「そう言うなよ。もしもここを突破されたらお前が頼りになるんだぜ」

ビーチャ『お……おう!もってこい!』

ソシエ『ダメに決まってるでしょーが!!』

ビーチャ『プライベート回線に割り込んでくるなよ!』

『オープン回線だぞ。筒抜けだ』

ガロード「ビーチャぁ……」

『ガロード。お前の機動力も頼りだ。しっかりやれよ』

ガロード「おう!―――ガンタンク、行くぜぇっ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シロー「ようやく見覚えのあるやつが出て来たな」

ビルの物陰から現れた……というよりはみ出たモノにすかさず機体識別の検索を掛けると、
シローはついそんな言葉を漏らしていた。相手の動きを判断する材料として、
これ幸いと思うのと、作戦を崩すため、揺さ振りをかけるためにEz-8のビームライフルが光を放った。

狙われたビルは易々と溶解し、けたたましい音が地面へ破片落下と共に響いた。
目的は果たされ、取り囲み襲わんとしていたモノたちが姿を現す。

MS-06ザクⅡ

慌てたようにビルの残骸から一機が上半身を飛び出させ、ザク・バズーカを構えた。

シローの対応は素早かった。すぐにビームライフルの銃口を合わせると、
ちょうど対面する形となる。瞬間Ez-8の方からビームが放たれ、発射が遅れたザク・バズーカの
砲弾に命中、炸裂して武器ごと右腕と頭部半分を吹き飛ばし、機体を焼いた。

動揺を誘ったはずだった。あとどのくらい隠れているかで、攻撃が変わる。

その時、回復したターンエーが立ち上がる。反撃の態勢が整い始めた。

ロラン『ターンエー、再起動しました。相手はボルジャーノン、ですね』

シロー「?……ザクか。凄いな、ターンエーは」

ロラン『もうダメかと思いました。こいつに助けられましたよ』

Ez-8の背負う、ウェポンラックの二つの扉が開いた。
ターンエーがそこからロケットランチャーの部品を取り出し繋げる。

シロー「本当かよ。くれぐれも無茶はよしてくれ」

ロラン『すいません』

ガンダム二機を取り囲み、一斉で撃ち倒してしまうつもりだったザクⅡたち。残り三機になった。
揃って物陰に隠れている内の角付きザクⅡに搭乗するゲモン・バジャックが吠える。

ゲモン「一人で飛び出しやがってぇ!作戦が台無しじゃねぇか!」

『どーするんだ!仲間のガンダムが立ち上がったぞ!』

ゲモン「てめぇらヤザンが来てから俺に生意気な口を利くようになりやがって!攻撃にきまってるだろう!ぶっつぶせぇ!」

三機のザクⅡが身を乗り出した。
ゲモン機がザク・バズーカを、残りはザク・マシンガンを構える。だが、ちょうど爆風が迫って、機体が塵を被る。

ロランたちはザクⅡが出てくる間に出来るだけの当たりを付けていたのだった。
ターンエーが構えるロケットランチャーの照準は、直撃を避けるつもりのモノである。

ゲモン「数ではこちらが有利だろうがー!」

Ez-8が放ったビームがゲモン機の頭部を一閃する。

ゲモン「ぬわーっ真っ黒だ!やられたぁ!!」

「ゲモンしっかりしろ!サブカメラを見るんだ!」

シロー「このまま押し切れるといいが……ん?」

Ez-8のカメラが空の奥が点滅したのを認めた。燦爛と青白い光の塊が二つ現れている。

ロラン「アプロディアの光!」

ゴッドガンダムが進んだ方角だった。
出てくるのはハルファスガンダムか、それとも別世界から送られたガンダムか。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ゴッドガンダムはメガライダーに搭乗し、疾走するMSネモを追い掛け、
道路の狭まった、更なる高層建造物の密集区に誘われる。

メガライダーは器用に道路をすり抜けていき、MSネモが右手に持つビームライフルで攻撃を行った。
狙いは鋭いものだが、ワザと中てないようにしている攻撃もあった。ゴッドガンダムは攻撃を潜り抜け、
メガライダーを追い掛けてこの一帯を相手の導くままに回っている。

ドモンは相手がこちらを誘き出していることは承知の上で挑む。
レジスタンスの一団はここを通るのだから、彼らの安全の為に相手の思惑を全て挫いてしまう必要があった。
当然この状況を突破できる自信があってのことである。

ドモン「空を飛ぶのも一つの手だろうが……センサーが効かないなら相手を見失うかもしれない。
     ミノフスキー粒子、この世界と宇宙世紀世界での戦争のやり方か」

ゴッドガンダムは別の寂れた高層ビルが道路の両側に立ち並ぶ路地に入った。メガライダーは変わらず逃走を続ける。

そこに、ビルの向こう側から貫通して迫った“何か”がゴッドガンダムの腕に張り付いた。
ビルを越えた所から張り付いたものを通して電撃が走り、中のドモンをも苦しませる。

電撃を流す鞭、ヒートロッドだった。ゴッドガンダムは熱を帯びるそれをすぐに外した。そしてヒートロッドが造った穴を通して相手の青い姿を見る。

MS-07グフ

動きを止めた瞬間を狙い、さらに対立するビルから同じ流れでヒートロッドが襲い掛かった。今度は左腕を絡め取られてしまう。

ドモン「ぐ……!」

電撃の痛みに苦悶しながらも、ゴッドガンダムは左腕を思いきり前へ突き出した。
同時に頭部バルカン砲が火を噴き、見つめていた穴あきビルを蜂の巣にする。隠れていたグフは逃げ出した。

そして地面を踏み直して再び左腕を突きだす。向こう側のグフはついに引っ張られビルに叩きつけられた。

ドモンの狙いは上手くいった。ヒートロッドが緩み、脱出を試みる。その時、上からゴッドガンダムの足元に向かってビームが落ちた。

瞬間飛び退けたが、ゆるく巻きつくヒートロッドがピンと張って着地時に少し下半身がぐらついた。
電撃は無くなったが、システムを通じて食らった身体に痺れが残っていた。思うように身体が動かせない。
空を確認すると、ノイズが走るモニター越しにメガライダーがその砲口を真下に向けているのを見た。

MSネモはビームライフルを収めてメガライダーのハンドルを握る。メガランチャー・ビームは充填完了だ。

ヤザン「上々だーー!吹き飛びたくなかったら離れなぁ!!」

ドモンは身体の違和感に気づく。ヒートロッドは使用者から切れていた。グフたちは既に離脱したのだ。

ドモン「やられた!」

メガライダーから放たれる砲口以上の巨大光線が降り注ぐ。

上空からのビームにより周囲の建造物は溶解して道路は焦げた土塊となって粉塵と煙が下界を覆った。

メガライダーの、今度こそガンダムを消滅せんとするビームは発射され続け、前後に動く光の柱によって狙われた一帯は焼き尽くされてしまった。



ビームの発射を終えた、MSネモのセンサーは限られた機能で残った周囲の熱を感知している。特にもっとも大きな熱は、
より上空に浮かぶ光の輪を背負う標的を示した。

ヤザン「何……!?」

ゴッドガンダムは背中の羽状の装置を畳むと、対峙するメガライダー、それを駆るMSネモへビームソードを構え突撃する。

ヤザン「クソ!」

MSネモのビームライフルによる攻撃をゴッドガンダムは掻い潜り、互いの距離はすぐに縮まっていた。

ドモン「おおおっ!」

ゴッドガンダムが横薙ぎに振るった光の刃は空を泳ぐ。

MSネモはメガライダーを離れ蹴飛ばし、上へ退いていた。右手にビームライフル、左手にはビームサーベルを備える。

ヤザン「死にかけで生き延びた後、俺が惨めな生活をしなけりゃならなかったのも!こんな所でお山の大将をしなきゃならなかったのも!
     お前たちにやられた所為だ!」

MSネモはビームライフルで攻撃しつつ突撃をかけた。入れ替わった上下で相対する中、再び接近戦が行われた。

ドモン「やるな!」

互いに一刀打ちあわせ、距離の離れないなかでゴッドガンダムは透かさずビームソードを振るった。
そこにMSネモはビームライフルを突きだす。瞬間砲身は切断されるも、腰を捻り左手のサーベルの刃を叩きつける。

ゴッドガンダムはビームソードで受け止めるも、一撃に圧されてしまい怯んでしまった。
そこでMSネモはゴッドガンダムから離れて降下、スラスターを吹かして距離を空けていく。
空中戦の不利を察したヤザンは不服だが退却を選んだのだった。

ヤザン「あの女め!」

気に入らぬ雇い主との約束事は果たしたと判断して、ゲモンらとの合流を図る。

一方ドモンも追撃を止めて降下を選んだ。電撃のダメージはまだ痺れとして身体に残っており、無理を押しての
集中力の消耗と罠の危険性を考えて引き下がった。

ドモン「センサーが良くなっている。ミノフスキー粒子の効果が弱くなったのか?」

各部機器の機能を確認し、カメラも解像度が戻ってきたズーム機能を試してみた。その時、空から“あの”青白い光を確認する。

ゴッドガンダムは無事着地すると、それぞれの光から地上に降りる二機の方へ向かって行った。

グフはA?B?

>>868
B型です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

MA(モビルアーマー)ガリクソンを先頭にした戦闘バイク甲型の部隊は、いよいよ
展開されたレジスタンスのMS部隊とカメラで視認できるようにまで近づいた。

『人質の代わりでも用意しておくんだなぁ!カクメイに信用は大事だろう?』

MAガリクソンの搭乗者はノイズの入った通信による都市の通過を求めたレジスタンスの要望を退け、変わらずの進行を続ける。

クラウス『相手は難民を人質にするのが目的だ。絶対に阻止してくれ!』

『了解。攻撃を開始する!』

号令を掛けた隊長機含む空のイナクトたちが先行し、先に戦闘バイク隊に近付くと、ビームキャノンによる攻撃を受けるに至った。

反撃に上空から二機の持つリニアライフルで弾丸を降らせるも、バイクたちは分かれて散り散りになる。
両手で大きなコンテナを持つイナクトを含め三機のイナクトたちもそれぞれ分散して追いかけた。

そして、突撃砲形態の陸戦強襲型ガンタンクが正面を走る集合した二機の戦闘バイクに向けて攻撃を仕掛ける。

ガロード「ロック解除、いけー!」

左後ろのキャタピラの側面に装えられた多重連装ロケットランチャーの上半分の蓋が開き、ロケット弾を前面に撒き散らす。

攻撃を受けた戦闘バイクたちはすぐに方向を転換して逃げようとした。

逃げ遅れた一機が直前に着弾して生まれた爆風で吹き飛ぶ。後に二輪が地面に着くも、弾んで機体を転倒させてしまう。
もう一機は爆風に煽られるも、ドリフトをまぜつつ姿勢を持ち直して再び落ちた速度を上げようと走り出した。

そこを陸戦強襲型ガンタンクの後に続いて現れたカプルの、腕の三連銃が狙った。

ソシエ「バイクなんだから、タイヤを割っちゃえばいいんだ!」

カプルのほぼ対面から放った弾丸が前輪のタイヤを弾けさせ転倒を促した。
陸戦強襲型ガンタンクは次のターゲットに移る。

一方でカプルと離れた赤茶系色のイナクトは地面すれすれの飛行をしつつ大物を追っていた。
MAガリクソンはパワーが違った。
戦闘バイク以上のスピードで、イナクトに後ろを見せつつも砲塔を回してビームを放ち追跡を阻んでいた。

『“オリ”を使うぞ!』

『了解。囲い込みを!』

空の指揮官機含む二機のイナクトが走り回る戦闘バイクたちやMAガリクソンの進路先を射撃で妨害する。

前半分を持ち上げて擬似人型となった陸戦強襲型ガンタンクと、カプルも相手の周囲にロケット弾を斉射して相手の思考を奪った。

陸戦強襲型ガンタンクの多重連装ロケットランチャーはこれによって空になったが、発射した量と
空のイナクトと挟撃するようにしたことで効果を上げ戦闘バイクたちは互いに接近し合った。

『流石は元ガンダムパイロットだな!』

ガロード『“元”は余計だよ!』

ソシエ『あたしもやってるんですけど』

両手が塞がるイナクトがすかさず狙いを付けて降下して地上に向けたコンテナの出入り口を開ける。

するとコマの様な何かが現れ、狙われた戦闘バイクたちの頭上に向かって落ちて自身から伸びた棘々で檻を作り出す。

“熱砂の猟犬たち”のアッザムから回収したアッザム・リーダーだった。

「何だこれは!?」

見事に二機が囚われて、なかの一機はアッザム・リーダーの格子に当たって転倒する。残りは散らばっていた。

コンテナを捨て着地したイナクトはリニアライフルを捕獲機たちに突き出して降参を迫る。

『俺たちはお前たちとの戦争を求めてはいない』

『光から現れた二つ目角付きのことを解ってて連れているんだろう!あいつらは世界を滅茶苦茶にしたんだぜ!?』

イナクトはリニアライフルの銃口を下ろした。

彼はもう勝負は決していると思っている。そこでガンダムへの恐怖を取り除いてレジスタンスの正当性を諭そうと考えたのだった。

『人が乗っていて難民を助けている。無差別な暴力も振るわない。誤解は解ける筈だ』

『知るかよぉ!!』

だが、期待は外れた。
ただチャンスと思われ、横転している戦闘バイクの砲口が光るとイナクトの左側股関節に穴が穿たれた。

『俺はただモノが欲しいだけさ!―――二つ目角突きを連れているからてっきり“ぼく達は悪者です”と言ってるようなもんだと思っていたが!』

『ザッ―ザザ――。……―――――。』

ソシエ「あ……!」

なかの戦闘バイクたちに外側から何かが飛来して近くで割れ、黄色の粉が降りかかった。

アッザム・リーダーが発光する。

「うわぁぁ!何だ!?熱が!」

そばに来た陸戦強襲型ガンタンクが左腕二門のボップガンからアッザム・リーダーの発熱に用いる触媒を容れたカプセル弾を撃ち出したのだ。

二機の戦闘バイクは表面を超高熱に晒され、動きを止めた。

ガロード「大丈夫かっ!」

『MS以下の体積だ。直ぐに電子回路を焼かれて機能を停止する。―――“オリ”を使ってくれて、助かった』

着地した指揮官型のイナクトは左足が離れ、地面に倒れる友軍機のもとへ行く。

『お前、触媒の特殊弾を持ってるってのに……しかし、ならず者であることを差し引いても我々と世間の認識の差は大きいか』

残るMAガリクソンと戦闘バイク一機は数の不利を察して都市へ逃走し、カプルと、戦いで頭部を失った赤茶色のイナクトは追撃を中断した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アプロディアの光を見たゴッドガンダムは回復した通信機能を用いてシローたちと連絡、転移してきた者たちと共に合流を図る。
そして一足先に降り立った二機のガンダムの姿を見た。

欠けたビルの頂きに降りた、両肩から生やした姿勢制御に使った放熱フィンを収納する白い機体と、
胸と頭のAマークに赤と白の太い両腕、両足が印象強い機体であった。
前者は右手にビームライフルを、後者はから手である。

F91_ガンダムF91

AGE-1T_ガンダムAGE-1タイタス

二人のパイロットは互いの確認を始めた。

フリット『あの、フリット・アスノです。シーブック・アノーさんですね?』

シーブック『そうだよ。―――ガンダム、装備が大きく変わったんだな』

フリット『はい。ガンダムタイタス。これが進化したガンダムです』

F91はAGE-1のそばに着地し、二機揃ってこちらへ歩み寄るゴッドガンダムに少し身構えた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

MSネモは廃都市の、戦場から大分離れた根城へと戻り仲間を待っている。

ヤザン達は戦争で破壊された、大人数を容れるドーム屋根のスタジアムを根拠地にしていた。
ちょうど外側の一部が無く中身がむき出しており、MSの搭載が出来る軍艦も身を隠せる位あろう広さが機動兵器の収容場としてうってつけだったのだ。

二機のグフが戻ってくる。片方は右手にギラギラと刃が発光を続けるヒートソードを持ち、もう一機は右手のヒートロッド射出口から、
そのちぎれた焦げつきの先を出してぶら下げていた。左手フィンガーバルカンの口は今も熱を持っている。

ヤザン『最後まで戦ってた俺が一番早いってのはどうなんだ?』

『すいません。み、見てたんです。青い光からガンダムが降りてくるのを……』

ヤザン『そうさ。あいつらは増えるんだよ。毎度、ココというタイミングでな』

手下との会話の中でばら撒いたミノフスキー粒子の効果が薄くなったのもあり、Ez-8達の反撃から、
カラガラ逃げ出しているゲモンが苛立ちの籠った声を通信で届ける。

ゲモン『ザッ――おいヤザン!ガンダムを倒せなかったじゃないか!どうすればいいんだ!』

ヤザン『あの女との依頼は果たした!バイク隊と合流してずらかるぞ!』

ゲモン『あんなにガンダムへの復讐に燃えていたのに、もう諦めちまうのか?』

ヤザン『こんな面子で勝てるわけがない。それにあの女の企みに利用されるのはいけ好かん!』

ゲモン『条件を受け入れる代わりに格安でモビルスーツを譲って、かつ後払いってのは気が効きすぎるのは確かだが……』

『ヤ、ヤザン隊長!赤い光です!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

赤い光から抜け出たのは黒の物体であった。

シーブックはF91のカメラ機能で肉眼では確認し切れなかった外観を補足する。
上を向いている先端を機首だと考えてしまうと、光が消えた後も上を向いたまま
手前の高層ビルの頂とそう離れていない処で浮遊し続けている姿は不気味に感じてしまうだろう。

シーブック「モビルアーマーっていうのは大概“ああいうもの”なんだな」

シロー『そうなんだ』

独り言に素っ頓狂な声が返る。唖然としていたのだろうか。恐らく、一年戦争時代にいた人にとって尚更不気味なモノばかりに映るのだろう。
同時代のアムロ・レイは“ああいうもの”に果敢に向かって行ったが。


F91とAGE-1が降り立った場所に集ったガンダム五機はこれからあのジェネレーション・システムの手先と戦う事になる。

此処に来た経緯を簡単に言えば、F91の整備が終わった時にドモン・カッシュたちの危機を悟ったアプロディアが現れて自分を連れ出したのだ。
フリットも似たような次第だった。

ドモン『わざわざならず者を雇って誘き出してきたんだ。こちらが動けばヤツも動く』

ドモン・カッシュの言葉に全員の戦う意識が高まる。
すると、こちらの戦う意識を感じたように、浮遊する物体は姿を変えた。

浮遊体の両側面から人の腕が生えて、両腕を組むような動きで腕を覆っていた装甲版を大きな盾として左腕に装着させた。
折りたたんでいた両足と地面に着かせるも、地面が不安定だったのか、片手で近くの廃ビルの屋上を抑えて踏み止まり、
空を向く先端から現れた頭部―――その二つの目がじっとこちらを見据える。

MRX−009サイコ・ガンダム……MS形態

フリット『あれは、ガンダム……!?』

シロー『デカい!倍以上の大きさか!?』

シーブック『あれをやっつければいいんですよね』

ロラン『はい。アプロディアを頼れない以上、僕たちの背後にあるレジスタンスを守ることが、目的への近道です』

シーブック『そうか……』

落胆を覚えつつも、敵への注意は怠らないように努めた。

ロランはジェネレーション・システムの手先が現れるまでの、シーブックたちのここへ来る直前についての話を思い返していた。

シーブックとフリットの前に現れたハルファスガンダムは、“ジェネレーション・システムのいる世界へ連れて行く”
と言って機体と共にこの世界へ転移させた。
アプロディアというハルファスガンダムに搭載される、思考するコンピュータはジェネレーション・システムと同じ
こちらの世界を見聞き出来る存在だから、戦力となるMSと共に移動させるチャンスを逃さないのだ。

そして、アプロディアが連れてきたのは目標とされる“月”ではなく地球の“ここ”であった。

仲間を助けたいシーブックの抱いた失望は相当なものだっただろう。一度親玉に挑み、敗れたことを話すと考えを改めたようではあったが。

ロラン(アプロディアは、この戦いが終わるまで僕が元の世界に戻ることを許してはくれないんだろうな)

目の前に現れた脅威に集中しつつも、自身の希望が果たされないだろうという落胆の気持ちはしばらく留まっていた。

フリット『あの巨大ガンダムは人工知能で動いてるモノなんですよね』

ドモン『どうかな。ジェネレーション・システムにスカウトされて協力している人間もいた』

フリット『あんな酷い事をする機械に協力するなんて……!』

シーブック「―――!来るぞ!」

F91が動いた。

そしてサイコ・ガンダムもGガンダムたちへ攻撃を仕掛け始める。

腹部の三連装拡散メガ粒子砲と二門の頭部ビーム砲が起動し、発光した。
散りばめられた複数のビームは周囲の建造物らを吹き飛ばしつつその一部がGガンダムたちへ襲い掛かる。

それぞれは回避行動を取り、先に動いたF91と態勢を直したEz-8がビームライフルで反撃した。
攻撃は命中するが、何の効果ももたらされなかった。

シロー「ビームが消えた!?」

シーブック「バリヤーか!」

サイコ・ガンダムは再び頭部と腹部の砲口を輝かせる。幾つものビームが届いた先はF91とEz-8のいた所も含めて破壊した。

今度は空に逃げたターンエーがロケットランチャーで狙いを定める。

狙いは対面する盾の無い右腕。確実に目標のみ破壊出来るよう高度を下げて発射した。

相手は察知して背中のスラスターで急上昇して回避する。道路を沿って飛ぶゴッドガンダムはその黒い巨体を見上げる形となった。

サイコ・ガンダムは頭部ビーム砲で逃げるように飛び続けるゴッドガンダムを攻撃する。

シーブック「つられた!」

そこを都市群の中をサイコ・ガンダムに向かって低空飛行するF91が、両腰に移したヴェスバーの砲身を両手で添えて陽動作戦に掛かった敵を撃たんとした。

「―――!」

シーブック「―――!」

突然F91はその場で上昇、その場を離れるとサイコ・ガンダムの右手の五指がF91のいた所に向けられ、それぞれに備えられたビーム砲が光を放った。
敵の攻撃への対応、攻撃力にシローたちは気圧される。

シロー『なんてすばやいんだ』

シーブック(あれは憎しみの形……。何だ?)

サイコ・ガンダムの攻撃から逃れたゴッドガンダムは様子を窺っていたAGE-1と合流する。

ドモン『あの連携攻撃に対応するとは』

フリット『次は僕が囮になります。連携して……!赤い光!?』

確認した空の光の塊は六つだった。

それぞれの光から現れた六機。その中の降下した五機のMSたちは真下に着地すると、
専用のビームライフルを手に携えて行動を開始した。

RGM-96Xジェスタ

   ジェスタ・キャノン

重火器を背負うのが二機、それ以外が三機である。

彼らは戦場となっている都市において標的のゴッドガンダムたちと仲間のサイコ・ガンダムを囲うように位置していた。
5つの方角に一機ずつ、標的に向かって進んで行く。

シロー『奴らに足止めされたら、ブラックガンダムに倒される!』

声を上げたシローだけでなく、ドモンたち全員が敵の増援に脅威を覚えていた。
そして、シーブックの言葉がドモンたちを驚愕させる。

シーブック『敵のガンダムは、もしかしたらニュータイプかもしれない』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

赤い光から現れ、降下しなかった残り一機。戦場からは高機能カメラでも非常に捉え難い所で“それ”は浮翌遊する。
この機体のパイロットこそがこの戦場の仕掛け人である。

ZMT-S35Sリグ・リング

コックピットの全天周囲モニターは搭乗している機体のカメラが捉える世界を映しており、
まるで空中に浮かんでいる様に見える座席にいるパイロットは、空に張られているように存在する四角い画面が映す映像を観ている。

その映像は、下界の廃都市でF91を始めに五機のガンダムが“こちら”に向かって猛攻撃を仕掛ける姿を見せていた。

映像は揺れて、粉塵と飛び散る炎の中を走り抜けていく。
突然AGE-1が画面の端から現れた。カメラはその姿を追う。そして突然別の方を向く。
向けた先はロケットランチャーの砲口を見せるターンエーの姿があった。撮影者側が発光。放たれたビームがターンエーのいた所を焼いた。

炎の向こうでジェスタが空を飛び下に向けて右腕側からビームを放ち、またビームを撃たれ、撃ち合っているのが見える。

そして、画面は場所が変わってEz-8を捉え、それが高層ビルの中に飛び込んだところに撮影者側がビームを放つ。
高層ビルは見事に破裂し周囲を含めて炎と瓦礫にしたが、狙いのEz-8は既に遠くへ走り去っていた。

「オールドタイプもやるな」

見ている映像―――サイコ・ガンダムのカメラが捉えて送信しているモノを観て、
被害が及ばない高さからリグ・リングのパイロットはひとりごつ。

「そうか……。ガンダム・ワールドの主役達、侮ってはいけないか」

映像でのF91の動きに目をやった。

「フフフ………。シーブック・アノーは気づいたかな。―――ニュータイプ、その感性……」

F91は崩れた建造物等を盾に地面を滑走してサイコ・ガンダムに接近していた。

F91に注視している所でゴッドガンダムが画面の下から現れてF91の姿を隠した。
カメラはゴッドガンダムを追い掛けて、ビームソードを振りかぶるそれに右腕を突きだす。

避けたゴッドガンダムは後ろを振り向き逃げ出した。サイコ・ガンダムの右腕の先が発光する。

飛び出した五本のビームはゴッドガンダムを追い掛けるだけでなく、指の向きを調節して、F91へも狙い撃ちを行う。

左腕のビーム・シールド発生器を作動させ、腰の両側からヴェスバーの砲身を出したF91は襲い来るビームを抜けた途端止まり、
右手のビームライフルを含めてサイコ・ガンダムに三門のビーム砲による斉射を放った。
サイコ・ガンダムも腹部の拡散メガ粒子砲を作動させる。

ぶつかり合う光。

二門ヴェスバーのビームは幾重もの光の粒子に阻まれてその場で炸裂する。

炸裂した光は周囲を破壊してしまうが、サイコ・ガンダムはバリヤーシステムによって守られ逃げる必要はなかった。しかし光の眩しさは画面を覆う。

一方のF91は高層建造物を越えない程の高さで飛びビームの炸裂から逃げつつも、
正面をサイコ・ガンダムへ向けたままビームライフルを撃った。

ビームはサイコ・ガンダムの頭部に向かうもビームは途中でバリヤーに掻き消される。

その後F91は遭遇した地上のジェスタ・キャノンの砲撃に襲われ、サイコ・ガンダムのカメラからジグザグに離れて行った。

一連の流れを見て、リグ・リングのパイロットは相手の実力に称賛した。
そして、これからの自身の行いがその実力者たちに与える影響を想像し、笑みをこぼす。

「さて、我も動くとしよう。サイコ・ウェーブの発動……、サイコ・ガンダムのパイロット。貴様の死神を彼等にも見せてやるがいい!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガロード「敵のガンダムにニュータイプが乗っているって!?」

陸戦強襲型ガンタンクの滑腔砲の上、頭部の隣にあるコックピットの、開かれたままの扉から聞こえたノイズ入り通信に
ドリンクの入ったストロー付き軟性ボトルを手で持ったまま顔を突っ込んで返事をした。

戦闘バイク部隊を退けた後、レジスタンスは戦闘不能にした敵機体、捕虜の回収と前線で戦い抜いたMS達への補給を行っている。
陸戦強襲型ガンタンクもレジスタンス本隊からやってきた陸戦艇ギャロップから補給を受けており、
カプルがその長い指を使って器用に持つ、新しいロケット弾を詰め込んだ多重連装ロケットランチャーを取り付けてもらっていた。

ホレスが艦長を務めるギャロップの、前方の大きなハッチが開く事で現れている整備場には補給用の弾薬が用意されてあり、
整備員の中にはリーオーに乗ってここまで来たビーチャを追ったモンドら悪友たちやイワークもいた。

ロラン『ザッ―――シーブック・アノーがそう言ってる』

ガロードに“ニュータイプの力”について聞く為の通信だった。カプルが装備を取り付けたのを見て、ガロードはコックピットへ入った。

ガロード「そのシーブックっていうのも、ニュータイプなんだな」

ロラン『フリットがそうだって……。本人は、否定してるけれど-ザザッ-』

ミノフスキー粒子による通信妨害の効果は薄れてはいても、ロランがいま戦場にいることも加えて音声は聞き取り難い。

ガロード「……信じるよ。ニュータイプはお互いの事がわかるんだ。こっちの動きを予知するし、あの厄介なビットも使える」

ロラン『あの飛び回る小型ビーム兵器は見てない。……!―――情報ありがと――ザザ!』

すぐに通信が切れたので言葉も乱暴な断ち方になった。

ガロードはストローを口に入れてボトルを握ると同時に中身を勢いよく吸い出した。中身は水分やミネラル摂取に適した清涼飲料水だ。

ガロード「げほっ!……俺はロランたちの救援に向かう。アンタ達は艦と難民を頼む!」

作戦に参加する者全員に向けて回線を開き、宣言した。リーオーは陸戦強襲型ガンタンクに近付き、その頭を下げて上を向いた相手と顔を向き合わせる。

ビーチャ『ハァ?どうせ挑むなら一気に叩くべきだろう!』

ガロード「敵が強いんだ。大勢で挑んでも負けるかもしれない」

ソシエ『ニュータイプっていうのがそんなに強いの?』

カプルは陸戦強襲型ガンタンクの機体に手を置いている。ロランとの通信の時から接触回線が働いていたのだ。

ガロード「強い。ガンダムに乗ってるなら尚更手ごわいはずだ。……だから、ニュータイプと戦ったことのある俺が行く」

ビーチャ『そんなよく分からないものにビビッてるってことか!こっちはガンダムが五機に増えてんだろう!?』

イワーク『ビーチャ!俺たちはガロード達を信じるしかないんだ!』

ビーチャ『イワーク、ギャロップの作業場から!……でもよぉ』

ソシエ『ロランたちだけで戦って、何のためのあたしたちよ!?』

シーリン『残念だけれどそれが現状よ。ジェネレーション・システムという謎の敵と戦えるのは彼らだけ。勝利が困難で
      あると判断すれば、ジェネレーション・システムが彼らに引き付けられるのを利用して、私たちは別のルートを選択して移動するわ』

エル『囮って事?置いて逃げるっていうの!?』

イーノ『そんなのズルいよ!』

シーリン『私たちは難民を抱えている。難民の保護を約束したのだから、それは絶対果たさなければならない』

脅威の克服、仲間を案じる側と冷静に集団の安全を求める側。
喧々諤々の中でガロードはコックピットからの機体チェックを終え、出撃準備に掛かった。

行く先で戦っている仲間と、何よりも大切な人を救い出したい気持ちでいっぱいだった。

イワーク『俺はお前たちが奴らを倒して帰ってくるって信じてるぞ!』

ガロード「ああ。……俺たちは必ず勝って、帰ってくるよ。難民を頼む」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

廃都市の戦場にて、サイコ・ガンダムの他ジェスタ三機、ジェスタ・キャノン二機による攻撃を受けるガンダム達は、
反撃の機会を逃さず状況の好転を迎えようと奮闘していた。



戦場の一角、廃ビルの立ち並ぶ路地にて対決した二機、AGE-1とジェスタがぶつかり合う。
瞬時に距離を縮め、迫るビームを遣り過ごしたAGE-1の右の拳がジェスタを突き、
対するジェスタが咄嗟に前に出したシールドで受け止めるも拉げて持ち手も軋み、態勢の緩んだ機体にさらに左の拳が突き刺さった。

ジェスタの機体は浮かび、奥の廃ビルの壁まで吹き飛んで叩きつけられる。

フリット「エネルギーを右腕磁気旋光システムに集中!」

AGE-1の掲げた右腕の装甲が開き、そこを中心に光の輪が囲み

フリット「ビーム・ラリアットッ!」

噴かすスラスターの勢いに乗って、その破壊力を込めた光の円環を叩き込まんとした。

だが、AGE-1のセンサーの反応が勢いを止め、上からジェスタ・キャノンの来襲を受ける。後ろへ下がるAGE-1とビルから抜け出すジェスタの前に降りて、
透かさず専用ビームライフル、下部のグレネード・ランチャーを発射した。

フリット「うっ!」

腕に命中、炸裂するもタイタスウェアの装甲が守った。

ジェスタ・キャノンは続けて右ビームキャノン、左四連マルチランチャーの肩の装備で怯んだ相手を狙う。
その時、飛行するターンエーが空からロケットランチャーでジェスタ達のすぐ近くに爆発を引き起こした。

ロラン『ガンダムが狙ってる!』

フリット「黒のガンダム」

フリットはサイコ・ガンダムの眼光を見上げる。

額のビーム砲が光る前にAGE-1とターンエー、ジェスタ達は逃げ出した。その場はビームによって炎に包まれる。

AGE-1とターンエーが共にサイコ・ガンダムから距離を取る中で、フリットは“力”を持たないながらもニュータイプと
戦い抜いた人物との通信の収穫を尋ねた。
提案したロランが通信の為に離れた間、残り四機で敵の注意を引き付けていたのだった。

フリット『ガロード・ランさんから話は聞けたんですか!?』

ロラン『敵のニュータイプは怖いってことがわかったよ―――とにかく注意しないと』

フリットの頭に鉄仮面との戦いの記憶が蘇る。体全体で覚えた、特異な“力”の恐怖。
口頭だけ、しかも短時間ではそれを伝え切れる筈もない。弱点も……。

きっとその人も死にもの狂いだったのだ。

だが、自分の後ろには“戦う力”を持たない人たちがいる。戦い抜いて、絶対に守り抜かなくちゃならないと、フリットは意気込んだ。

フリット(僕たちが……ガンダムが、アイツ等を倒さなくちゃいけないんだ!)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

F91とEz-8は、標的を探すサイコ・ガンダムの姿を遠くで見ていた。

シーブック「二人は無事のようだな……どうします?」

隣にいるF91に、Ez-8はビームライフルを持つ手を挙げて見せる。

シロー『コイツが効かないんじゃな。あの距離でビームに当たったら一撃の筈なんだぞ』

シーブック『時代が進んだって、ビームが当たればモビルスーツは倒せますよ。ビームの効かないモビルアーマーを倒したことだってあります』

シロー『……そうだな。相手は機械だ。必ず弱点はある……ニュータイプというのがパイロットでも!』

二機は揃ってサイコ・ガンダムへ向かって行った。


サイコ・ガンダムは今ゴッドガンダムに注意を向けている。
ドモン得意の接近戦は、ビームの群れに阻まれて試みることが出来ず苦戦しているようだった。

機動に変化を付ける為の足場にしていた高層の建造物は、標的を追って放たれるビームによって壊れていく。
あのようにサイコ・ガンダムが通った所は、ジェスタとの戦闘の時よりも酷く破壊されていき丸裸になっていた。
苦戦の中、ゴッドガンダムは隙を見て頭部バルカン砲で攻撃するも、弾丸はバリヤーシステムをすり抜けはすれど、装甲を貫く程の効果は得られなかった。

バリヤーだけではない。その威圧的な姿に見合う、堅牢な機体であることを再認識させた。

シーブック『あのビームを抜けて、装甲に直接ビームを当てるんです』

シロー『それならビームサーベルでもいいじゃないか。何でもいい、ヤツに一撃を浴びせられれば!』

近付いてくる二機に気づいたサイコ・ガンダムは左手を向ける。五指から放たれたビームが二機のいた地面を穿いた。

シロー『くそッ』

続けて、Ez-8は付近にいたジェスタ・キャノンに追い掛けられ、さらに迫るサイコ・ガンダムのビームにからがら逃げる。
F91は一機でサイコ・ガンダムのもとへ向かっていった。

シーブック「あの黒い連邦の“でか”モビルスーツ、邪魔だな……!」

約15mからの視点に4m差は大きい。体格差の威圧が障害物として余計にイライラを募らせる。

そして、もどかしさを覚えるものが一つ増えた。

赤い光の第二波、降下した五機の黒いMSと違って空に居続けた最後の一機が、
いよいよセンサーで感じ取るだけの存在ではなく、姿を視認できるようになれる高さまで降りてきた。

敵が黒の体色ばかりの中、ただ一機が黄色系の身であり、それから放たれる輝かしい光で人型とは違う機体の様子を余計に印象付けさせる。

視覚、からもそうだがシーブックの感覚が異形のMSが放つ光に警鐘を鳴らす。


―――真っ先に、奴を撃つのだ。

感覚すると共に身体が、F91が動く。

両肩の放熱フィンが展開し、機体に掛かる重みを押し上げてリグ・リングへ向かって飛び立つ。

シーブックは、一目散に目標を見据えている。

射程距離に入れば、すぐに撃ち落としてやろうと、ビームライフルの照準を意識していた。



―――――――――ふと、目の前に現れる、透き通った一指し指の、指し示す先を見た。

F91のビームライフルの銃口がそこへ向かって光る。放たれた先、ジェスタの貫かれた胴体から爆発が起こった。

撃たれる直前まで、ジェスタはF91を確実に仕留めようとビームライフルを掲げて飛び、後を追っていたのだった。
シーブックは危機を退いたことに少し気分が和らいだがそこに。

すっと―――身体の傍を冷たい固まりが通り抜ける感覚を覚える。

コックピットの空調の所為ではない。女だ。透き通った、妖艶な雰囲気を持つ女がシーブックの目の前に浮かぶ。


黒い長髪、顔と腕以外上半身に纏う黒の衣、晒している肌は作り物のように白く、腰から下は無い。女が撒き散らす黒い粉塵がシーブックを包み込む。

恐ろしさを覚え慄く彼に、笑みを湛えて女は語りかけた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

現在、ゴッドガンダムはサイコ・ガンダムからだいぶ距離が離れた場所にいた。

そしてここへ辿り着くまで、自身を追跡していたジェスタと戦闘を行って斬り裂かれたジェスタの機体が地面に伏している。

ドモン「あの黒いガンダムは、コイツと違う……!」

対峙したニュータイプの“力”。サイコ・ガンダムと戦った結果は戦慄を覚えさせるのに十分だった。

ドモン「俺は武闘家だ。相手の殺気を読み、動くことは心得ている。だが、ヤツはこちらの動きをわかっているんだ!」

自身の技を以ってすれば倒せるという自信は見事打ち砕かれた。

ドモン「これが、ニュータイプの“力”……!」

―――《そう。最強の称号“キング・オブ・ハート”を持つ男を恐れさせる“力”》

ドモン「誰だ!?」

気づけば、黒い霞がコックピット内に立つ自身を囲んでいた。正体不明のものに不気味さを覚える。

そこから黒髪の長髪、白い顔の女が、黒い衣装と共に上半身を抜け出した。

急に近づく白い顔にドモンは慄き口を開けて短い叫び声をあげる。しかし、負けまいと目を背けずに睨みつけた。

その顔には温かみをまるで感じない。冷たさと、自分を覆う黒い霞が与えているのであろう身体に掛かる重さがこの女の何者かを判断させる。

ドモン「“悪霊”め……!貴様に構っている暇など無い、さっさと消え去れ!」

―――《フフフフフフ……お前は強がっている。ニュータイプの“力”を目の当たりにして、あの黒いガンダムに敗北を抱いているのだ》

ドモン「ッ……黙れ!」

心の内を読まれ、そして嘲笑われたことにドモンは怒った。
女は腕に巻きつける黒く長い布を棚引かせながら、ドモンの背後に回り、こう囁きかける。

―――《私を信じるか?この戦いに逆転するやもしれぬ術があそこにある》

ドモン「何……?……悪霊の指図は受けん!」

―――《フフフフフ……。だが、急がねばならんぞ?ジェネレーション・システムは、DG細胞を使役している》

ドモン「ぐ……!」

女の言葉は見事にドモンの不安を突いた。

今までの戦いにおいて、ジェネレーション・システムはデスアーミーを繰り出したことがあった。
そして奴らを、DG細胞の力で巨大なガンダム(デビルガンダムJr.)に作り変えた。

奴らはDG細胞を操ることが出来る。
ならば、ガンダムファイターたちをDG細胞で以って凶悪な戦士としたように、捕われた者達を操り自らの手先とするかもしれない。

もし、DG細胞に完全に乗っ取られ回復が手遅れになり、この手で葬らなければならなくなってしまったら―――。

ドモン「ガロードや、ウッソたちは……!」

溜め込んでいた不安は“ニュータイプの力”を思い知ると共に一層強まった。捕われている彼女たちもニュータイプと言われているのだ。

悪霊と呼んでいた女にドモンは従い、ある方向へ進みだした。女の言葉が、ドモンの焦りに付け込み行動を支配したのである。




女は、“死神”である。

宇宙世紀0079……ジオンのキシリア・ザビが“重力戦線”と宣言した戦い。

地球連邦軍がジオン公国の新兵器、モビルスーツの威力に圧倒されていた時代。

宇宙から地上へ降臨した“それ”は、連邦、ジオンの兵士達両方に死にもの狂いの戦いを囁き、命を刈り取り続けた。


リグ・リングから放たれるサイコ・ウェーブは、この戦場をその死神の徘徊する地獄へと変えたのだ。
その果てはどうなるのか……、彼女を外へ放つという目的を終えたリグ・リングのパイロットは、再び空で観戦することにしている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


サイコ・ガンダムが発光した。頭、腹部、両手の指先、装備する全ての砲口が光り、
周囲の全てを破壊し尽くす。


ロラン「何を、やっているんだ……?」

ターンエーとAGE-1はビームを撒き散らす様を見遣る。
フリットと共に敵ではなくただ周りの建造物を破壊しているのを呆然と見てしまっていたのだった。

サイコ・ガンダムの全身を遮るものは周りに何もない。次の行動を起こした。
四肢を収納しモビルアーマー形態となって地上すれすれで滑る様に疾走する。巨大な塊の行く道程には、呆然としていた二機。
―――障害物を除き、こちらに体当たりを仕掛ける為だったのだ。

ターンエーと、AGE-1は一目散に逃げ出し、それぞれ被害の及ばない処へ飛び込んだ。

フリット「うああぁっ!」

自身の身の丈以上の、黒く巨大な塊が通り過ぎる。
通り過ぎると同時に、サイコ・ガンダムの巨体を自由に飛び回らせるミノフスキー・クラフトの“見えない力”による衝撃が来た。
尻餅を付いていたAGE-1はその勢いに機体を揺さ振られながらも、スラスターの勢いも使って立ち上がる。

視線の先には、振り向いた塊が再び迫ってくるのが見えた。

フリット「ハァ……!……もう一度来る……!」

ロラン「あのバリアーはビームだけを通さないはずだ……!」

ターンエーがサイコ・ガンダムの前に出た。

ロラン「ターンエーなら、やって見せろ!」

弾倉付きロケットランチャーを放り投げて、自身の機体のパワーに懸ける。
胸部のカバーが開き、“マルチパーパスサイロ”と呼ばれる胸の倉庫に、出撃前詰め込んだミサイルポッドが現れた。
その全てのミサイルが発射され、サイコ・ガンダムへ突き進む。

だが全て拡散メガ粒子砲の光に燃え上がった。両者の間に炎の壁が挟まれる。
一瞬、炎に焼かれて笑う真っ白な女の顔が映った気がした。

ロラン「うっ」

とても強い衝撃が咄嗟に身を屈めたターンエーへ襲い掛かった。炎を越えた黒い壁―――サイコ・ガンダムの正面とぶつかったのだ。

拡散メガ粒子砲の発射口に身を晒さないよう姿勢を低くし、迫る壁を受け止める態勢で以ってターンエーは踏ん張る。
脚部裏側のスラスター・ベーンが推進力を放出して、サイコ・ガンダムと押し合う。その勢いは見事、轢き潰そうとする黒い塊を抑え付けた。

ロラン『撃てぇーッ!!』

鋭い叫びを合図に、ロケットランチャーを捕まえていたAGE-1がロケット弾を放つ。

フリット「壊れろよ!!」

タイタスの大きい腕で上手く持ってトリガーを引き、弾倉の中身の限り撃ち続ける。
全て命中し弾が炸裂して叩いても、サイコ・ガンダムの装甲は打ち崩せない。

AGE-1は弾切れしたロケットランチャーを投げ捨てて突撃を仕掛けた。合わせるように、ターンエーもビームサーベルを抜こうとする。

その時、サイコ・ガンダムの拡散メガ粒子砲が光り、触れる者を自身ごと鋭い輝きで包む。

ロラン「…………ッ!!?」

突き刺さる眩しさは、身を屈めてようと容赦なく降り注いだ。
機体を焼く光はターンエーの力を奪っていき、そして操り糸を失った人形の様に地面へ崩れ落ちて、空へ上がる巨体を仰ぎ見た。

見上げる瞳に光は無い。


フリットは見ているしかなかった。ターンエーの様にはいかない。機体の形を留めていることだけですごいのだ。
五体は無事でも、ターンエーの様子は惨たらしく、頭や胸部の装甲がビームで溶かされた為に酷く抉れている。
細かい光が飛び散った痕として、ボツボツと小さな穴があいていた。
目の光は戻らず、仰向けに倒れたままだった。

フリット「あのガンダムは……!」

黒い塊は雲の薄い青空に浮かんでいた。ビームを噴き出していた部位が地上からも見えるくらいに火花をあげている。
接触しそうなほどの距離で放った攻撃に、自身の機体も無事とはいかなかったのだ。火花はそのままに、奥へ移動を始めた。

フリット「バリアが、破れる?」

―――《そうだ。ロラン・セアックの犠牲を無駄にするんじゃない》

頭の中に響いた女の声が、フリットの闘志をさらに燃やす。

確信は持てないが、あの無茶な攻撃でバリア機能に支障が出ているのではないかと考えたのだ。


いざ、サイコ・ガンダムを追いかけようとしたAGE-1の背後にジェスタ・キャノンが飛び込んできた。すぐに距離を取り、対面する。
そして向かい合う相手の背後に、落下しながらジェスタ・キャノンに爪先を突き出そうとするF91を見た。

後ろから首を蹴り飛ばされて、ジェスタ・キャノンの頭が飛ぶ。
怯んだ所に、AGE-1は片膝三つの放出部から出た、ビームの短い刃を突き刺した。ビームニーキックである。

そしてジェスタ・キャノン撃破による爆発を背に、ターンエーのコックピット・キャノピーにしゃがんで手を置くF91に駆け寄った。

シーブック『ロランは無事だよ。でも、ターンエーから出られないようだ』

フリット「……!?……でも、よかった」

AGE-1のカメラでよく観察するとターンエーの、人間に例えて臍近くにあるコックピットはビームの影響を受けていないことが分かった。
ガンダムが守ってくれたのだ。嬉しさと共に、すぐに亡くなったと断じてしまった自身を恥じた。

シーブック『あの黒いガンダムには死神が憑り付いている』

フリット「死神……?」

シーブック『黒い衣服を来た白い女の姿と声に注意するんだ。―――奴は僕たちの魂を食らおうとしている』

フリット「声……あ」


シーブックはサイコ・ガンダムに見た“憎しみの形”の正体を、“死神”と判断した。
コックピットに現れた女が「魂を刈り取る」という旨の言葉を発した事からである。そして、女は言葉巧みにまたはそのおぞましい幻覚で
自分たちを動かし目的を果たそうとしていて、“死神”はあの黒いガンダムと戦わせるよう仕向けて返り討ちに合わせようとしていると考えた。

さらに、“死神”の行動を助けているのはあの光を放つモビルスーツだろう、と。

彼のニュータイプの感覚は、戦いの元凶がリグ・リングであることまで突き止めたのだ。

このようなことを話すシーブックは、「自分は突拍子のないことを言っている」と恥ずかしがっていたが、
「僕も“死神”の声を聞いたんです!」とフリットは真剣に返した。



離れた所で、サイコ・ガンダムはモビルスーツ形態に変わって地上に降りていた。こちらとの対決に臨もうとしている。
シーブックはその肩に死神が立っているのを一瞥し、敵の動きに気を付けながらAGE-1と共に進んだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

彼らの行く先に、崩れた建物の間からジェスタ・キャノンが姿を現した。

ボロボロの装甲が目立つこの機体の、脚部両側面に装備するグレネード・ランチャーによる攻撃が対する二機の行く手を阻む。
その時、どこからかのビームの一撃がジェスタ・キャノンを爆散させた。

シロー『一機撃破!こいつらは後何機だ?』

Ez-8のものだった。サイコ・ガンダムが猛威を振るう影で、追跡し合った果ての撃破である。

シーブック『シローさん!ターンエーがやられました!ロランは無事です!』

シロー『ロランが……!どうするつもりだ』

シーブック『ロランが狙われる前に、今いる僕達で敵の指揮官を一気に叩きます!』

フリット『空に浮かぶモビルスーツです!あれが死神を操っているんですよ!』

Ez-8はエネルギー切れしたビームライフルを背負うウェポンコンテナラックに納め、100㎜マシンガンと持ち替える。

シロー『成程な。暴れ回る黒いガンダムに気を取られていたが、あの空のモビルスーツが指揮官か!……死神ってなんだよ!?』

フリット『黒いガンダムに憑りついている死神を、あの空にいるモビルスーツの放つ光で僕たちにも見せて混乱させようとしているんです!』

シーブック『黒い衣装の、黒髪の女が見えるかもしれません。言葉に耳を貸さないでください』

シロー『うん。……敵が幻覚を見せる兵器を使っているのか。分かった、気を付ける』

シーブック(全力で当たらねば、あの二機を倒す事なんて出来ないんだ)

サイコ・ガンダムへの進軍と共に心の中でロランへの謝罪は続いていた。

あの時無事を確認したと共に、ロランにはフリットのものと同じ内容を話しており、彼から自分よりも敵の撃退を優先して欲しいと頼まれていたのだ。
そして、決断をした。頭の中で囁かれる言葉に頭を満たされながら。



二人には気付いて欲しくない。

この決断が、自分の意思なのか“死神”の囁きによるものなのか、判別がつかないのだ。

僕の頭は、“死神”に苛まれ続けている。


―――《そうだ。進め。仲間の命を糧にして。生き残る為に》


迫りくるガンダム達に向かって、サイコ・ガンダムが幾重ものビームを放った。
三機はそれぞれ散り散りになって遣り過ごす。このまま戦えば、ここも焼野原となってしまうだろう。

フリット『ドモンさんは一体どこへ……通信が繋がらないんです!』

シロー『短い縁だが、そう簡単にやられる奴ではないことは十分知ってる!』

Ez-8とAGE-1はサイコ・ガンダムに向かって行く。

シロー『やるぞ皆!ロランが待ってる!シーブック、一番飛べるのはお前のガンダムだ!』

フリット『僕たちがガンダムを引き付けます!』

シーブック『頼みます!』

F91は空のリグ・リングに向かって飛び上がった。


サイコ・ガンダムはF91に頭を向け、頭部のビーム砲でF91を狙い撃とうとする。
しかし、背中からの衝撃がそれを阻んだ。

ガロード「こいつがニュータイプの乗ったガンダムか!」

戦場に追いついた、陸戦強襲型ガンタンクの砲撃だった。

擬似人型形態で挑み、続けて砲弾を撃ち込む。寸でのところで避けられ、シールドで受け止められる。

そして、反撃にビームの雨が降る。

無限軌道、特異な脚部による機動性は著しい悪路でも発揮され、襲い掛かる攻撃を何とか躱してみせた。
その命の攻防が、ガロードにサイコ・ガンダムのパイロットを意識させた。

ガロード「こっちの動きが読まれてる……!あのガンダムのパイロットの“力”なのか!?」

シロー『ガロード!あのガンダムはビームを通さないバリアーを持っている!ガンタンクの装備が頼りだ!』

ガロード「わかった!……お前を倒さなきゃ、みんなが無事に進めないんだ」

フリット『ガロード・ランさん!僕も一緒に戦います!』

ガロード「おう!行くぜ、新入り!」

陸戦強襲型ガンタンクの、背部スラスターや後頭部の傍についているドラム缶の様なものを留めるストッパーが開き、AGE-1が拾い上げた。

ガロード「一気に燃えるぜ」

AGE-1は空に跳び、陸戦強襲型ガンタンクは悪路を走り抜ける。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


リグ・リングは、戦場の支配力を失いかけていた。

F91の猛攻は下界の戦況を見下ろす余裕を欠かせて、迫り来るビームにのみ注意を向けさせる。

それはまさに、シーブック・アノーに応えるF91の“力”だった。

両肩の放熱フィンと共にフェイスカバーを剥いて光を散らし、追い付こうとする姿は追われる側に威圧を掛けていく。


シーブック「機体が重い!重力があるってのは、こうも違うんだ!」


この猛攻はシーブックの焦りでもある。

動けないロラン。黒いガンダムと戦う地上の仲間。死神。ここでヤツを倒せば、この苦悩は終わるのだ。
その為には、空中戦において敵機に劣るとしても、F91の負担が大きいとしても必死で食らいつかなければならない、と飛び込んだ。


リグ・リングのパイロットの女も相手の思惑を読み取っていた。

そして、ガンダムF91とシーブック・アノーの組み合わせは、それを可能にするほどの威力であると。


「やってみせるさ!」


勝利を果たさんとする意気込みと共にリグ・リング胸部の拡散ビーム砲が光り、F91へ浴びせる。

だが、相手はそれを躱して視界から消えてみせ、再び下から浮き上がってその姿とビームサーベルを向かわせてきた。


「何だと!?」


リグ・リングは特徴的な両腕をぐるりと回転させて尖った先端を開き、ビームの刃を出して振り下ろされた一撃を受け止めた。

ぶつけ合いの中、F91のフェイスカバーが開き熱の籠る光を吐き出す。


シーブック『早く!ここから出てけよ!』


「ガンダムF91。宇宙世紀、次世代のガンダム・フォーミュラシリーズ。バイオ・コンピュータによるニュータイプ・パイロットとのシンクロ……流石の性能だ」


F91のビームサーベルを受け止めるリグ・リングの両腕が機体から外れた。

本体は飛び去り、F91は追い掛けようとするもその両腕―――ショットクローによるオールレンジ攻撃を受ける。
二つのショットクローは、ビームの刃を発生させるだけでなく、ビームの弾丸を撃ち出して遠近交互の攻撃を仕掛けてきた。

シーブックはそれらを遣り過ごしつつも、まだF91の射程圏内に残る相手を睨んでいる。

早く振り払いたい。その意思を込めて見詰めるのは敵よりも、体の放つ嫌悪感を抱く光であった。


シーブック(光を止めれば、死神は消える。あの、黒いガンダムのパイロットも―――)


その時、地上の戦況が動いたのを知った。フリット達による黒いガンダムへの攻撃が成功したのだ。

F91は飛び回るショットクローの一つを撃ち落とし、もう一つを振り切ってリグ・リングに照準を合わせる。


シーブック「こいつを撃てば!」



――――――《本当にそれでいい?》



死神が、頭の中で囁く。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Ez-8たちはサイコ・ガンダムの右腕の破壊に成功していた。

AGE-1の投げつけたナパーム弾がサイコ・ガンダムの右腕に命中し、その爆発を起点にEz-8と陸戦強襲型ガンタンクによる集中攻撃が行われた結果である。


フリット「やった!」


ガロード「いくら相手がニュータイプでデカいガンダム乗りでも、こっちには俺様とガンダム三機がいるんだぜ!」


シロー「まだ右腕一本だぞ!―――だが、この勢いで押し切る!」


相手を警戒しつつ、Ez-8は空になったマシンガンの弾倉を取り換える。

AGE-1突撃の為に、Ez-8も陸戦強襲型ガンタンクも弾薬をかなり消費していた。
ガンタンクは多重連装ロケットランチャーの弾を全て失っていた。

出し惜しみないその勢いがサイコ・ガンダムに損傷を与えたのだが、彼らがこの難局を乗り越えるには、力の差を埋める為にはより大きな勢いが必要だった。

しかし、戦力は消耗していく。それを心のどこかで抱いているからこそ、三機は灰色の瓦礫の上を必死で駆け回り、逆転の芽を探した。



サイコ・ガンダムは、身に着けている左腕の盾を留め具を外して下に落とし、左手のビーム砲を露わにして迎撃態勢を取った。

それは、目下に散らばるものたちへ向けて、ではなく眼光の先から迫るメガランチャー・ビームに対してのものだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


再び見えた黒いガンダムは、右腕を失い胴体のビーム砲も壊れていた。
その大きく損ねた容姿にもう一息と判断し、ドモンは搭乗する兵器に期待を込める。


戦場を一時離れたドモンが見つけ出したのは、MSネモが乗り捨てたメガライダーであった。
悪霊の声に従ったのは当然快くはなかったが、この状況の打開への模索からメガライダーを手に入れた時の期待に一直線だった。


だが。


今、彼は悪霊の言葉に惑わされた、愚かな自分を直視させられている。

メガライダーの放ったビームは、サイコ・ガンダムの放てる全ての光によって受け止められ周りに細かな熱の塊を散らせていた。
人ならば飲み込まれているだろう大きさのものだ。

それは建造物の残骸や地上の瓦礫に、ボツボツと穴粒を開けていく。サイコ・ガンダムはバリヤーシステムによってその危険から逃れていた。


シーブック『何で!通信を聞いてくれなかったんです!?下にはみんながいるんですよ!』


突然入りだした通信機からの声を聞いた時、ここに至って、彼は悪霊―――“死神”に操られている事を思い知ったのだった。


ドモン「そんな」


そんな彼を、嘲笑い、死神は言い放つ。


―――《見えぬ者。心の曇り。この一撃が、私の欲する魂を与えてくれる……!》


ドモン「黙れ……!」


嗤う死神を精一杯睨みつけるが、存在が朧なモノに声を荒げるのは実に空虚で、情けなさを覚えるだけだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シーブック「ドモンさん……どうして」


F91はリグ・リングを仕留めきれず、これ以上の機体の無理を避ける為にサイコ・ガンダムから距離をとって降下していた。
そして、惨劇を見た。


シーブック「シローさん!!」


サイコ・ガンダムに蹴り上げられた鉄の人形が空に舞う。そして、高層ビルに激突する。


シーブック「ああっ!?」


F91は飛び出した。

あそこにはフリットのガンダムとガロード・ランもいるハズだ、と。先に見える、黒いガンダムが降らすビームの雨の中にいるハズなのだ。


シーブック「―――!」


サイコ・ガンダムの眼と視線が互いにあった。憎しみの形。額からのビームがF91のいた場所を一閃する。


―――《ああ……!やはりお前だ!お前があの戦士の魂を私に差し出す……》


シーブック「死神め……!」


視線の先で、ビームの雨からAGE-1と陸戦強襲型ガンタンクが飛び出すのが見えた。それを覆うように、どす黒い死神の姿が現れる。


シーブック「消えろよ!」


―――《ロラン、シロー、ドモンはまもなく……そして後の二人も地に倒れ伏せる……お前だけだ。お前の“力”で、切れた糸に縋る戦士の断末魔を聞かせて》


シーブック「まやかすな!」


―――《忘れたのか……?あの時、奴を撃たず重力に従ったのは何故か……》


シーブック「呼び止めたのは、お前だ……!」


だが、自分はあの時、手を止めた。
その事実に、その行動の結果に自棄を起こしてしまいそうで、押し止めるには目の前の敵を叩くことに集中するしかなかった。

それこそが嗤う死神の目的なのだと理解しながら、洗脳は既に抗えない所まで及んでいた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サイコ・ガンダムの上では、死神の謀略によりF91から難を逃れたリグ・リングが、メガライダーに乗るゴッドガンダムに迫る。


「不似合いなものに乗っているな、ゴッドガンダム。……死神の力は絶大の様だ」


リグ・リングは残る片腕の尖端からビームを撃ちながら執拗に追撃。そしてメガライダーの体勢を崩し、ゴッドガンダムを地上へ落とした。


「フフフフフフ………サイコ・ガンダムへの攻撃失敗がそんなにショックか。キング・オブ・ハートの称号が泣いているぞ」


女は反撃の意思を感じないゴッドガンダムを見下ろし、そして地べたに仰向けで倒れるEz-8を一瞥して、
今もなおサイコ・ガンダムへの奮戦を続ける三機を見遣る。


「如何に足掻こうが貴様等は既に風前の灯火。我等ジェネレーション・システムに歯向かう者は消去されるのだ!フフフフフフ………!」


女は勝利の確信への喜びに酔いしれた所に、黒い靄がコックピットの中に立ち込めて死神が姿を現す。

面白くないモノが来た。

女は人形の様な瞳でそれと相対した。


「機械の身にも見えるとはな」


死神は嗤っている。


「貴様はサイコ・ガンダムのCPUに憑いているのだろう。望み通り魂はくれてやる、ガンダムたちを破壊した後でな。我が前から消え失せろ!」


言葉の通りに死神と、取り巻く黒い靄は消え去った。しかし、女は疑問を抱く。

今までその姿を現さなかった“それ”が、何かの目的の為に現れた。これもリグ・リングのサイコ・ウェーブが生み出した現象なのか。
死神が行うのは地獄への誘い。まさか、自身を地獄へ巻き込もうというのか。

サイコ・ガンダムの、この戦場の支配者は我であると信じている。事を起こす前に、その囁きが耳に入る前に決着をつける。


勝利を急ぐリグ・リングが遠くのサイコ・ガンダムと、敵を挟む様に相対して戦場に突入する。


「挟撃だ、サイコ・ガンダム!」


『―――うるさい』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

光の線や粒が弾け飛び交う中、唐突にサイコ・ガンダムが地面に投げ捨てていた盾を拾い上げ、ある一点へ投げつけた。

その方向には陸戦強襲型ガンタンクがいた。

陸戦強襲型ガンタンクは、自身を覆えそうな大きさの鋼鉄の塊から全速力で駆け出し、何とか逃げ出して、それの行く先を見送る。

その先には挟撃を仕掛けようとしたリグ・リングもいたのだった。


「何!?」


サイコ・ガンダムの狙いは彼女だった。飛行中の高度に合わせ、塊は跳ねてその勢いが鈍器の様に振り下ろす。

不意打ちに面食らい、躱すと共に態勢安定の為一先ずの着地をした。


その隙を狙われた。



ガロード「アンタが敵の指令だって聞いたぜ!」


着地したリグ・リングの右足に砲撃が撃ち込まれた。

崩れた片足を補う為に、姿勢制御のスラスターが激しく噴き出す。すぐ飛び上がろうとするが、それを阻まんと次々砲撃が襲い掛かった。
陸戦強襲型ガンタンクが、着々と間を狭めていく。


ガロード「その光を止めて、戦いを終わらせてやる!」


「ええい……!」


リグ・リングは自由の効かない本体からショットクローを飛ばして迎撃する。
光弾を放ち、突き進むそれに陸戦強襲型ガンタンクはバックしながら対処に臨んだ。


ガロード「腕型のビットか」


モニターに映る、まるで変幻する物体の動きを目で捉え読み、右腕のボップガンを向けて弾丸をばら撒く。


距離を縮めずしてショットクローは爆散した。


ガロード「よっしゃあ!」


しかし、ショットクローに目を取られ過ぎ、乗り越えられぬ段差に後ろのキャタピラがぶつかった。


ガロード「しまった!?」


「“進化を断ち切られた機体”……我に楯突いた報いを知れ!」


その僅かな手間取りに、リグ・リングから意趣返しのビームが放たれる。


ガロード「うわああああああっ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シーブック『振り向くな、フリット!お前もやられるぞ!』


F91はサイコ・ガンダムに飛び掛かる。


もう犠牲を知るのはウンザリだ、と襲い来るビームの雨の中を掻い潜ってその源であるサイコ・ガンダムの足元に独り着き、
左手でビームサーベルを引き抜き飛び上がった。

傷付いた胴体へ目掛け、憎しみの光を感じぬまま電光石火で斬り裂く。


筈だった。


シーブック「重力が重いから!」


決死の突撃に生じた微妙な感覚のズレが、サイコ・ガンダムに機体を退かせる隙を与えてしまった。
一瞥した標的に手応えのある様子はなく、そのまま飛び越し黒い頭の上を見下ろす形で、憎しみの光と顔を合わせた。


『重力……。それは恨みと呪いを折り重ね、地上を地獄に変える』


シーブック「なに」

死神の妖しさとは違う正反対の低く重い呟き。それは、初めて聞く黒いガンダムのパイロットの声だった。
シーブックの頬に死神の横顔が触れていた。感触は無いが視界にはっきりと映り、語りかける。


―――《私はあの男の執念が見たい……。多くを見捨て、友を裏切り、戦場を生き抜いたその末路。
 身体の自由を失い、精神を砕かれ、僅かな命となっても生に執着する》


頭の中に響く死にかけの男と幻の女の声。じわり、じわりと身体が冷えていく。男の命が、死に往くのだ、と感覚が訴えていた。

その引き金を引いてしまうのは、死神に操られた自分。


『俺は生きる……。真っ白い場所、粘液の中で白い肌の女に頭を捏ね繰り回されて、喉の詰まりの取れないままコックピットに縛りつけられても―――』
―――《故郷へ還る事は許されず、異なる大地に逝くべき地獄は定まり、同じ異邦人と戦いその命を散らす……》


『死神……お前だけが、元の俺を思い出させてくれる……』
―――《残された魂はやがて途切れ、断末魔となり消えて往く》


シーブック「死神から離れろぉッ!!」


叫びへの答えは襲い掛かる閃光となって返った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


フリット「シーブックさん!!」


彼から見えた、両機の一瞬の沈黙はサイコ・ガンダム頭部からの発光で破られた。
F91はビームの直撃を免れたものの、落下先のビルに背中からぶつかり、崩れ落ちる。

そして視線の先を鋭い閃光が遮った。


フリット「近づけない……!シーブックさん!」


また一人、仲間が倒れるのを見ているだけになるのか。目を背けたい状況の中、眼前を黄金に煌めく機体が駆け抜けて行った。

その姿に目を見開く。


ドモン『下がっていろ、フリット。俺がやる!』


フリット『ドモンさん!……金色のゴッドガンダム!?』


ドモン『俺はキング・オブ・ハート!最強の男だぁぁぁぁぁぁぁ!!』


ドモンは、明鏡止水の境地に達することで死神の呪縛から解き放たれていた。
邪心の抜け澄んだ心には、地獄へ誘う呪文の入る余地などない。


ドモン「今、皆を悪霊の呪縛から解き放ってやる……!」


シーブックはゴッドガンダムの光にあてられて動転していた気分を整え始めていた。身体が怯えを無くしていくのを感じながら、戦いを見守る。

眩い機体は素早く、サイコ・ガンダムの放つビームを掻い潜り距離を縮めていた。
そして、渾身の一撃を放とうと更に全身の輝きを漲らせる。


死神はサイコ・ガンダムの頬に寄り添っていた。



ゴッドガンダムが両手に込めたエネルギーの塊を解き放とうとした時、サイコ・ガンダムの破損部分が一斉に、勢いよく爆発を起こした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドモン「どういう、ことだ……!?」


シーブック「前から、限界だったんだ……。あのマシンは、パイロットは……死んだ……。死んだか……」


敵ガンダムから溢れる火は、全身を轟々と燃やしていた。生の為にもがいていた黒い巨体は、動くのを止め自身の滅びを受け入れている。

……もしかしたら、自分の攻撃が届いていて、ビームサーベルの切っ先が傷付いたところを燃やしていたのかもしれない。
その前のフリットたちの攻撃から、もしかしたらその前に、ロランの特攻の時から……。


ドモン『シーブック、何か知っているんじゃないのか!?あの悪霊がなんなのか!』


シーブック「悪霊じゃない……。死神だ」


ドモン『死神……!?……なんだっていい、俺たちは最後までそんなものに邪魔されていたってことだ。クソッ!』


シーブック「そうだな……」


燃える黒いガンダムに立つ死神は、天へと昇る黒い煙を見ている。空に吸い込まれ霧散するそれに現を抜かす。その様を、まるで羨むように。

彼女のはっきりとしない身体の黒い靄が煙に交わるが、共に消えていくことはない。
死神は天へ昇れない。


ほんの少しだけ共感する。未だ重力に縛られ、飛び立つことが出来ないこの身の歯痒さに。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

F91の顔はサイコ・ガンダムの遺骸をずっと向いている。

それを見つめる中、はっと一足先に戦いの余韻から抜けたフリットは、Ez-8と陸戦強襲型ガンタンクの救出に意識を傾けた。
しかし、上空から戦場を抜けて行ったリグ・リングの姿に、大きな相手に囚われ続けてしまっていたことを自覚してしまった。敵はまだいたのだ。


ドモン「待てぇッ!」


ゴッドガンダムが直ぐに追い掛けた。慌てたフリットにノイズの強い通信が入る。


ガロード『――ザッ―――わり――逃がしザッちまった―――!ッ』


フリット「ガロードさん、無事なんですね!」


ガロード『お――ことはいいかザッ!を――とっつかまえてくれ!――ィファの居場所ザッ――かせてやる!』


ゴッドガンダムはかなり遠くへと進んでいた。既にF91も後を追っている。


ドモン『シローは無事だ!手助けはいらん、俺一人で追い掛ける!』


シーブックさんによる、仲間の安否や危険を問われての答えが耳に残った。焦燥している印象を受ける。
彼も、そんなドモンさんを心配して追ったのだろう。自分もそうだった。


フリット『すぐ戻りますから!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ゴッドガンダムが進んだ先に待っていた、向かい合う機体。
追っていた敵は、その足元に追い掛けたままの姿で光を失った残骸となって地に伏せていた。

ドモンはモニターの映像を拡大してこの状況で判断する材料となる、その姿に似ている機体の名を口に出す。


ドモン「ハルファスガンダム……?」


ゴッドガンダムの後に追い付いた二機も倣うように立ち止まり、動きを見せぬ機体を注視した。
比較対照である黒に近い、暗い青の機体色のハルファスガンダムよりも黒く、毒々しい色を装ったモビルスーツ。

間にリグ・リングを挟み相対する四体の機体が静止した時、ハルファスガンダムに似る機体が接触の口火を切る。


『よくも、ジェネレーション・システムの脅威を撃退してくれた。流石はガンダム・ワールドの主役達』


そう発して、謎のモビルスーツは相対するガンダムたちへ右腕を差し出した。
空に向けて開いた掌の上に赤い光が出現する。そして光から女が現れた。


シーブック「なに……」


女は妖艶の装いであった。挑発した視線。大きい胸元の露出等で見える白い肌。
目に付くその白肌は、シーブックとドモンにとっては死神との戦いの忌々しさを想起させるものだった。


ドモン『何者だ』


「アプロディア」


フリット「アプロディア……!?」


「このような姿で話すのは、初めてだったかな?出てくるのだ」


ドモン「確かに、人間の姿は見たことはない」


言われた面々はそれぞれコックピットを開き、身を乗り出す。肉眼で見合うには遠いが、相手の正体を見極める為に直接向かい合う事を選んだ。


「よろしい。ジェネレーション・システムに立ち向かうなら、その従順さによる団結が必要となる。決して独り善がりで余計な混乱を招くことなく」


ドモン「何だとッ……」


アプロディアと名乗る女は口の端をあげて満足気な様子を見せた。一方でシーブックたちの顔は険しくなっていく。


「これが新しい“ハルファス”だ。旧きハルファスは勿論、お前達を圧倒するフェニックスガンダムの実力も超えている」


女は高らかに語り続ける。


フリット「新しい……」


「ジェネレーション・システムは今もガンダム・ワールドを観察し続け、データを収集している。日を追って強大になるのだ―――」


ドモン「御託はいい、正体を明かせ」


シーブック「お前はアプロディアではない」


フリット「目的は一体なんだ!」


ドモンの制止から次々に女へ疑惑の声をぶつける。
身構え、携える武器を向ける準備は出来ていた。小さな足場での一触即発である。


「ただの戯れさ」


女は怯まない。両腕を広げて身体を大きく張って見せた。


C・アメリアス「我が名はコード・アメリアス。ジェネレーション・システムのコア、
        “バルバトス”により生み出されし数多のガンダム・ワールドを統べるモノ」


フリット「コード・アメリアス……」


シーブック「セシリー・フェアチャイルドは何処にいる!」


正体を知るや否や拳銃を突き付けての問い質しが始まる。


C・アメリアス「月だ。言っておくが、希少なニュータイプを傷つけるようなことはしない。
        健全な食事と、余計な気を起こさぬよう清潔な広い部屋に住まわせている」


フリット「本当なのか!?大事だったら、ガンダムに乗せて戦わせたりしない!」


C・アメリアス「“少年”フリット・アスノ。あのCPUはただ死神に魅入られた“オールドタイプ”だ」


フリット「CPUだと!?」


C・アメリアス「“力”を持たぬ、愚かな人間がどうなろうと構わん。―――“力”があっても、
        バルバトスが障害と見做したのならばその罪を断罪する。貴様達のようなモノをな」


ドモン『ならば、そのバルバトスとやらと直接決着をつけてやる。俺を月へ連れて行け!』


鬼気迫る唸りがゴッドガンダムを通じて拡声される。
コード・アメリアスとフリットとの問答の中でコックピットへと戻っていたのだ。フリットもAGE-1のコックピットへ入っていく。


C・アメリアス「断る。自力で宇宙へ上がれぬ性能しかない下衆如きが。そのまま地を這いずり回っているがいい」


シーブック「この状況を見て口を開いてもらう……!」


一人外に残る彼は、構える拳銃のグリップを握り締め銃口の向けた先を睨みつける。


コード・アメリアスは嘲る表情を変えず、一向に動じない。

銃を向けられて命の危機を感じて表情すら止まっているからなのか、それとも命はとらぬこちらの内を見透かしているのか。
考えは巡るが、脅しとして撃つ場所の狙いを付けようとしていた。しかし、彼にとって指を掛けた引き金はコックピットのものより重い。


C・アメリアス「状況を知るべきは貴様達だ。日に日にジェネレーション・システムは今までのガンダム・ワールドを吸収し超越していく。
        そして、新たなガンダム・ワールドへと挑む。貴様達では我々に勝てない」


ドモン『口の減らない女だ!』


フリット『センサー……!?敵が来る!シーブックさん!』


シーブック「な、に……」


呼び掛けに表情では反応するも、彼の姿勢は変わらなかった。


C・アメリアス「フフ……その身が危ういと分かっていても我に銃を向けるか」


脅迫されているはずの相手の嘲笑が、手掛かりを失うことへの恐れを招き身の危険への恐怖に勝っていたのだ。拳銃の引き金に掛けた指の腹が潰れていく。


C・アメリアス「下衆」


ハッキリと狙いを定める。後は引くだけだった。


シーブック「セシリーを返せぇッ!」


拳銃の引き金が引かれた後2度音が弾ける。シーブックは行為に怖気づかず、その目で経過をしっかり見ていた。

銃弾は狙った右腕を穿つ事はなかった。


C・アメリアス「我は機械だ。急所を外す意味もない」


ドモン「立体映像か!?」


C・アメリアス「浅はかだな、ニュータイプ」


言葉を投げると出現時と同じ光となって消えた。光の消失と共にコード・アメリアスのモビルスーツが動き出す。


シーブック「く……!」


コード・アメリアスのモビルスーツが動き出すのを見るや否や、失敗のショックから切り替えてF91のコックピットへ飛び乗った。
シーブックを守る為ゴッドガンダムが前に出る。その時、視界の下で残骸が動き出し面食らった。コード・アメリアスのモビルスーツが浮上する。


C・アメリアス「立ち上がるだけなら急ぎのニューロで十分。我の手足であったモノ、最期まで我の命を果たせ」


シーブック『―――!ヤバい!』


ドモン「チッ!」


稼働したF91はゴッドガンダムと共に徐に片足と推進装置で立ち上がるリグ・リングから退避する。それの頭上の空にはモビルスーツの、
ハルファスガンダムと同じ両肩四対の翼状の推進装置、その内蔵する大口径ビーム砲―――クロス・メガビームキャノンの砲口が下を向いていた。


C・アメリアス『これが、ハルファスガンダムを超えた“ガンダム”!“ハルファスベーゼ”だ!!』





AGE-1は単独、襲来した敵への迎撃を行っていた。その機体は、空手の左腕が上の関節部とかろうじて吊り下がっているようなものであった。


フリット「僕が倒し損ねたモビルスーツ」


途中で姿を消していた最後のジェスタだった。

二機の再戦は、ジェスタのビームライフルによる一方的な攻撃から接近したAGE-1の一撃を巡る接近戦へと移り、
ビーム・ラリアットの一撃がジェスタの胴体へ放たれて決着がついた。

その直後、AGE-1は自らが離れた所から大きなエネルギーを感知する。
シーブック、ドモンとコード・アメリアスの向かい合っていた場所へ視線を向けると、光の柱が空から振り下ろされていた。

光は物体を溶かし、それを起点に爆発が起こる。F91とゴッドガンダムは退避を完了して、空を見上げている。

天へ向かって、青い光が飛んでいた。


フリット「コード・アメリアス……!」


青い炎を纏い、鳥を模した飛行体が悠々と宇宙へと飛行している。
どうにも出来ぬところまで飛び去ったそれを、フリットたちは忌々しげに見送るしかなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


地球から宇宙へ抜けたハルファスベーゼは青い炎の様に全身に迸るエネルギーを纏う必殺技、“バーニングフレア”を解いた。
本来、敵の機動兵器を渾身のパワーで体当たりして打ち砕く大技は、短時間での大気圏の離脱を可能にさせたのだ。
青き地球を背後に、ハルファスベーゼはその人型の機体を浮かばせる。

そのカメラは、点々と光る星々と人工の星々を朧げに捉えている。
ハルファスベーゼに溶け込むコード・アメリアスはカメラの焦点を月にあてて見遣っていた。

独り、呆然と月を見詰めていた。


バルバトス『ハルファスベーゼに“跳躍”は不可能だ』


C・アメリアス「分かっている」


通信による試みていた行為の否定に、彼女は静かに返した。
旧型ハルファスガンダムに有り、その性能を超えている新型ハルファスベーゼに無い機能。“試みるだけ無駄”なのだ。


C・アメリアス「ハルファスベーゼの投入、感謝します。おかげで窮地を脱することが出来ました」


バルバトス『お前を殺す事はさせぬ。だが、ハルファスベーゼの攻撃力を存分に発揮しても良かった』


抑揚の薄い無機質な電子音声による所見に対して、高圧的で艶やかさも帯びる女の声がどこかの内部から、ハルファスベーゼの機体に響く。


C・アメリアス「我等は状況を広く見なければ。今は、“力”を付ける時、時成れば奴らを討ち取ります」


バルバトス『解った。私を受け継ぎしモノよ、アプロディアとガンダム・ワールドの主役達の相手、任せる』


バルバトスの音声は消えた。コード・アメリアスは独りになったのを感じた。


C・アメリアス「バルバトス。支援は良いが我の判断に口を出すとは……これでは何の為に“我等”を創りだしたのか」


苦々しく独りごつ。しかし創造主バルバトスは、ジェネレーション・システムという世界なのだから、言葉は筒抜けかもしれない。
だが、あえて聞かせるつもりでもあった。


C・アメリアス「今は、“力”を付ける時。ガンダム・ワールドを統べる為、必要な事なのだ」


コード・アメリアスの切望。ハルファスベーゼをハルファスガンダムからの完全な後継機にする事で果たされるモノ。標的は定まっていた。


狙いは、アプロディア。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


黒い煙を昇らせ続ける、サイコ・ガンダムの遺骸が残る戦場跡。

リグ・リングとの苦闘をかろうじて乗り切った陸戦強襲型ガンタンクは、役目を終えたかのように瓦礫に朽ち掛けの身を包ませている。
しかし、中のパイロットはここで納まることを認めずもがき、ガンタンクの顔面すぐ前の水平ドアから上半身を乗り出していた。


ガロード「ハァ……!ハァッ!……!」


肉眼で再び辺りを見回し、生身で空気を味わう。

周りの高層ビル群跡から生まれた破片や瓦礫は地に果て無く夥しく広がり、その上に散らばった金属片は高熱を帯びるその身が冷えるのをゆっくり待つ。
ガロードは風の行き先と、陽の光をじっくり感じ取っていた。戦いの終わりである。


ガロード「ドモンたちは上手くやったかな?」


ゆっくりと、息を整え終えるとそろそろ這い上がってこの場からの脱出を図る。
今はEz-8の下へ行くことに意識を向けている。未だ外へ出られぬシローを解放してやりたかった。
陸戦強襲型ガンタンクを覆う瓦礫群はそのまま地上へ続く緩やかな下り道に見える。
底へ落ちぬよう機体の形と大きさを思い出しながら、そっと瓦礫の地面へ足を踏み入れていく。


ガロード「うわぁ!?」


その下り道で、足場にした瓦礫が底へ抜けた。両足が一度に落ち、あっという間に腰から下が尖った地中へ沈む。


ガロード「いでで……」


きっと、ズボンの中は擦り剥いているだろう。
ふと見上げると真上には今にも落ちてきそうな破片が屋上の欠けたビルの上に刺さっていた。

思わず背筋が凍り、じたばたともがき始める。


ガロード「あ……!?」


遠くから燃え上がる音が聞こえた。近づいてくる。
それはモビルスーツだった。影の姿は、ガンダム。

しかし人間大で、大人ではなかった。


「キャプテン!落ちた人は大丈夫!?」


「待ってくれ」


この瓦礫の山の下で子どもの声が張り上がる。
背中のバーニアの噴出を止め、無様に下半身を埋めた者に近寄る小さく、頭の大きなガンダム。


「今、助ける」


差し出されたのは、間違いなく機械の、モビルスーツの腕だった。人間ではない。
しかし、その大きな瞳には親しみを感じていた。されるがまま身体を引き上げてもらう。


ガロード「あ、うん。ガンダム?」


キャプテン「そうだ。私はガンダムフォースのキャプテンガンダム。ネオトピアから来た。この世界について教えて欲しい」


ガンダムフォース キャプテンガンダム オプションV


このSSまとめへのコメント

1 :  イリス   2015年02月17日 (火) 19:12:30   ID: 5B2qec9H

いやぁ、ネモとはまた懐かしいMSを個人的に好きなので嬉しいです!

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