ほむら「願いの果て」(963)

本SSは

まどか「想いはきっと…」

の続編です

至らない所が多々あるかと思いますが、ご容赦下さい


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………。

 
 
 
 
 
真っ暗だ…何も見えないや…

 
 

 
 
 
 
 
ここはどこなんだろう…

 
 
 
 
 

 
 
あ…光が…



…明かり…


月の…


今は…夜なんだ…

 
 

 
 
 
ここは…



 
部屋の中だ…

 
 
 

 
 
カーテンの無い窓


 
棚の上の写真立て


吊るしてある学校の制服

 
 

 
 
 
そして…今寝てたベッド




ここは…わたしの…

 
 
 

 
 
 
 
…知らない部屋だ

 
 
 
 

 
 
 
……。




当たり前だよね…

 
 
 

 
 
 
  
 
 
自分が誰かも分からないんだから…






――――――――
―――――
―――

―校舎屋上―



ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら(……良い天気ね…雲一つない…)

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら(……こんな日に独りで屋上にいると…どうしても思い出してしまうわね…)

ほむら(…一緒にお昼ご飯を食べて、隣でわらっていたあの子の事を…)

ほむら「……」

ほむら「まどか…」ポツリ…




―――まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!』




ほむら(……)

ほむら(あの子の願いによって、かつてあった魔法少女が魔女になるという、哀しみと絶望の連鎖は断ち切られた)

ほむら(あの子はこの世界を改編して私達、魔法少女全てを救った…)

ほむら(自身の存在と引き換えにして…)

 
 

ほむら(あの子の選択は誰にも否定できはしない。彼女自身が出した答えなのだから…)

ほむら(でも…それでも…)

ほむら(私はあなたに……!)

ほむら(……)

ほむら「……」じっ…

ほむら(まどかから貰った腕時計…)

ほむら(あの子と一緒に選んだのよね…大切な想い人に贈るって…)

ほむら(そういえばあの時、まどかはお金足りなくて落ち込んでたっけ…)ふふっ

ほむら(……)ソッ…

ほむら(この時計はまどかの想いそのもの)

ほむら(そのあなたの想いは確かに受け取ったわ…)

ほむら(…あの時、両想いなんだって分かって、とても嬉しかった)

ほむら「……」

ほむら(…でも)

ほむら(同時に哀しかった)

ほむら(だって…私の想いは…)

ほむら(まどかに伝わって無いのだから…)

ほむら(まどか…私の想いを伝えられないまま、あなたはこの世界からいなくなってしまった…)

ほむら(……)

ほむら(この時計は同じ時を示し続けるだけ…)

ほむら(あの時から動く事はないのね…)

ほむら「……はぁ…」

ほむら(ダメね…わたし…)

ほむら(もう…まどかはいなくなってしまったというのに)

 
 

ほむら(でも…)

ほむら(今でも、不意に感じる事がある)

ほむら(直ぐ側にまどかがいるような…)

ほむら(あの時みたいにあの子が隣でわらっているような…)

ほむら(そんな気がして――)チラ

さやか「……」モグモグ…

ほむら「……」

さやか「……うっす」

ほむら(さやかああああああ!!空気読みなさいよおおお!!!)

さやか「…いやぁ、あんまり真剣に考え込んでたみたいだったからさ?」

ほむら「……はぁ…いつから…」

さやか「ふいさっき」モグモグ、ゴクン

ほむら「……そう…」

さやか「……」じっ…

ほむら(…なに?私の手元を見つめて…)

さやか「…さっき言ってたまどかちゃんてさ」

ほむら「……」ピクッ



さやか「その時計の子…だったよね?」

ほむら「…ええ…」

さやか「贈り物を受けるくらいなんだからさ、ほむらとはよっぽど親しいんだね」

ほむら「…そうね」

さやか「今度機会があったらさ、紹介してよ」

ほむら「……」

さやか「昔からの友達?それともあたしの知らない魔法少女仲間…とか?」

ほむら「……」きゅっ…
 

さやか「まぁ親友の友人とあれば挨さ――」

ほむら「……」スッ…

さやか「あれ…?どしたの急に立ち上がって?」

 
 

ほむら「……あなたも…いずれ会えるわ」

さやか「へ?」


キーンコーンカーンコーン…♪


ほむら「…予鈴よ。教室に戻りましょう」

さやか「あ…うん…?」

 
 
そう、いずれ逢える



私達魔法少女がその力を使い果たしソウルジェムが濁り切った時、まどかの手によって円環の理へと導かれる…

 
 

 
 
いつか私にもその時がやって来るだろう



もう一度、あなたに逢えるその日を信じて


今はただ約束を果たす

 
 

 
 
あなたと最後に交わした――




まどか『わたしの願いを…わたしの好きなこの世界を、皆の希望を護って…』



――あの約束を

 
 

 
 
そしてもう一度逢えたその時は



今度こそ私の想いを

 
 

 
 
 
あなたに伝えよう





――――――――――

―教室 放課後―



キーンコーンカーンコーン…♪


女生徒A「じゃあねー」

さやか「んじゃね、また明日ー」

さやか(…んー!疲れたー!)ノビー

さやか(んじゃあ、あたしも帰りますかー…)

さやか(恭介は…今日は委員会だったっけか…)

 
 

仁美「……」ガタッ…

さやか(最近…仁美と一緒に帰ってないなぁ…それどころか話さえ…)

さやか(…よし)

 
 

さやか「…あ、仁美…」

仁美「…はい、何でしょう?」

さやか「その…たまにはさ、一緒に帰んない…?」

仁美「……」

仁美「申しわけありませんが…」

さやか「あ…」

仁美「…失礼します」スッ…

さやか「……仁美…」



ほむら「………」

―さやか 帰宅路―



さやか(……仁美…しばらく前から、何か急によそよそしくなって…)

さやか(前はあんなに仲良かったのに、なんでだろ…)

ほむら「……」

さやか(あたし、何かしたかな…?)

ほむら「……」

さやか「……てかさ」

 
 

さやか「ほむら、普通にあたしの横歩いてるけど、あんたん家逆じゃなかったっけ…?」

ほむら「ええ、そうよ」

さやか「こっちの方に何か用事?」

ほむら「正確にはあなたに、ね」

さやか「…あたしに?」

ほむら「志筑仁美のことよ」

さやか「…!」

ほむら「しばらく彼女の事はそっとしておいてあげなさい」

さやか「え…!?仁美…なんかあったの?」

ほむら「ええ…」

ほむら(…過去幾つかの時間軸でさやかと志筑仁美は上条恭介を巡って、恋敵の関係にあった)

ほむら(だから、私はさやかをフォローし何とか告白させ、それは上手くいったけど…その結果として、志筑仁美は失恋してしまった)

ほむら(恋敵に…それも敗れた相手に対して、今迄通りに接しろというのは無理な話よね…)

 
 

ほむら(私は過去の時間軸で二人の確執を知っているから、志筑仁美の上条恭介に対する想いを知っているし、今の彼女の心中を察せられるけれど…)

ほむら(さやかはそれを知らない)

ほむら(ここで私が下手な事言って、話をこじらせても困るわ。だから、最低限の事だけ伝えて波風が立たないように…)

 
 

さやか「……なにがあったのさ?」

ほむら「…志筑仁美は失恋して落ち込んでいるのよ」

さやか「え!?…あ…そうなんだ…」

さやか「…仁美…友達なんだから相談してくれれば良かったのに…」

ほむら「……」

さやか「…好きな人が、遠い存在になっちゃったらさ、どうすれば立ち直れるんだろう…」

ほむら(……)

さやか「あたしに出来ること、なんかないのかな…」
 

ほむら「……きっと…時間が解決してくれるわ」

さやか「……時間かぁ」

ほむら「結局…本人次第なのよ…」

さやか「うーん…」

ほむら「だから余計な詮索はしないで、彼女をしばらく独りにさせてあげなさい」

さやか「……」

ほむら(本人次第、か…私にも言えるわね…)

ほむら(……まどか…)



―――――――

短いけどとりあえずここまで

続きは木曜あたりに

ご指摘があったので1レス内の行数を少しだけ増やします

―翌日 放課後の教室―



キーンコーンカーンコーン…♪


ほむら「それじゃあ…今日は私が街のパトロール当番だから…」

さやか「あ、うん。じゃあねほむら、また来週」

ほむら「ええ、お先に失礼するわ」

さやか(…さて)

さやか(……昨日ほむらは仁美をそっとしとけて言ってたけど…)

上条「さやか、途中まで一緒に帰らないかい?」

さやか「あ、恭介…」

仁美「……」ガタッ…スッ…

さやか(…仁美…)

さやか(……)

さやか「ゴメン恭介!今日ちょっと用事あるんだ!またね!」ダッ

上条「あ…さやか…」

さやか(…やっぱり友達が落ち込んでる所なんて見たくない!)タッタッ…

さやか「仁美!」

仁美「…! さやか…さん…」

さやか「良かったー、追いついて」

仁美「……わたくしに何か用でしょうか?」スッ…

さやか「いやーまぁ、最近一緒に帰ってないじゃん?前は登校だって一緒だったのにさ」

さやか「なんかさ、そういうのあたし寂しくて…」

仁美「……」

さやか「……仁美…最近元気…ないよね」

仁美「……」

さやか「……なんかあったんなら、話してよ。あたし達友達じゃん」

仁美「……」

さやか「溜め込まないで吐き出しちゃえばさ、案外スッキリするかもよ?」

仁美「………」ピタッ…

さやか「……?」

仁美「…さやかさん…あなたが善意で言ってくれてるのはわかってます…」

仁美「ですが…負けた相手に何を言われたって、惨めになるだけなんです」

さやか「え…負け…?」

仁美「どうぞ、わたくしなんかのことは放っておいて下さい」スッ…

さやか「あ…」

仁美「では…」

さやか「…仁美…」

さやか(…仁美は失恋してて…負けた相手はあたしって…それって…)

さやか(仁美の好きな人は…)

さやか「……」ギリっ…

さやか(バカだ…あたし…)




『……』じっ…

『……』スゥ…

―仁美 さやかと別れた後―



仁美「……」トボトボ…

仁美(さやかさんは何も悪くありませんわ…)

仁美(わたくしが彼女を無意識に避けて…その上、善意を台無しにしてしまって…)

仁美(お二方を心から祝福できないなんて…)

仁美(なんて…なんてわたくしは醜い女なのでしょうね…)

仁美(…さやかさんは上条君の幼馴染みで…ずっと隣で彼を支えて来たのですから…)

仁美(…最初から、わたくしの割り込む余地なんて…)

『諦めることないよ』ズズズ…

仁美「…そうで…しょうか…」

『君だって彼に対する想いは負けてはいないだろう?』

仁美「…彼…上条…君……」

『幸せになりたくはないかい?』

仁美「幸せ…に…」ボー…

『目を閉じて、さあ、お休み…』

仁美「……」ウトウト…

『叶えてあげるよ、君の夢を』

夢の魔獣『そして彼女の悪夢を――』

仁美「あ……」ガクッ…



――――――――

さやか(明日…仁美に謝らなきゃ…)

仁美「……」フラフラ…

さやか(あれ…前にいるのは…?)

仁美「あら、さやかさん。ご機嫌よう」

さやか(仁美!?)

さやか「…あの…仁美…」

さやか「その…さっきはごめん…あたし、無神経だった…」

仁美「そんなことは気になさらないで下さい」

さやか「え…でも…」

仁美「謝らなきゃならないのはこちらなのですから」

さやか「……?」

仁美「だって、わたくし…」

仁美「上条君と付き合うことになったんですもの」

さやか「え…」

上条「……」スッ…

さやか「恭介!?」

仁美「ウフフ…」

さやか(どどどういうこと…?急展開過ぎて話しが…)

仁美「上条君…」

上条「志筑さん…」

さやか「あ、わかったードッキリなんでしょー、んでほむらもグルなんだー」

さやか「さやかちゃん騙されちゃったなー、あはは…」

仁美「いいえ…そうではありませんわ…その証拠に…」

上条「………」スッ…

仁美「……ん」チュ…

さやか(……え…?なんで…恭介…)

さやか(仁美とキスして……?)

上条「……」スッ

仁美「いかがでしょう?信じて頂けましたか?」

さやか「……そん…な…」

仁美「それに上条君がおっしゃってましたわ…」

さやか「え…?」

仁美「さやかさん…貴女はもう…」ズイッ…

さやか(!? 顔が近っーー!?)



――ガシッッ!!



さやか「!!?」

仁美「……必要ないと…!」ギリギリ…

さやか(息が…っ!首が絞め…!)ギュウゥ…

さやか「…が…っ…ひ……と…!」

上条「……」ニヤニヤ…


さやか(恭介……仁美……なん…で…?)ググ…

仁美「…だから貴女には、消えて貰いますの…!」ギリギリ…

さやか(…なんて…力……!)

仁美「……っ!!」ギリリ…

さやか(…ヤバイ……意識…が…)


――ガッッ!!


仁美「あ……」ドサッ…

さやか「ッ…!ごほっ…!」

ほむら「……仁美に取り付いていたのね」

さやか「ゼー…ヒュー…!」ハァハァ…

QB「大丈夫かい?さやか」

さやか「ケホッ…ほむら…とキュゥべえ…どうしてここに…」

QB「さっき取りのがした魔獣を捜してたのさ」

さやか「仁美は…!?」

ほむら「彼女には眠ってもらったわ」

上条「……」

さやか「恭介…!」

上条「……」…ズズズ――

QB「さやか!近づいちゃダメだ!」

夢の魔獣「………」――ズズズ…

さやか「――!」

ほむら「さやかは仁美の保護を!」

さやか「……」コクリ…

夢の魔獣「………」ボシュウウウウ!!!

ほむら(魔獣が煙を…!煙幕…!?)

ほむら(もう陽が落ちかけてるってのに、厄介ね…)

さやか「ほむら!!」

ほむら「大丈夫よ。さやかはそのまま仁美と一緒に、煙幕の外に」

ほむら「魔獣が外に逃げたときは叩いてちょうだい」

さやか「…わかった…!」

ほむら(この煙…特に害は無いみたたいだけど……)

ほむら(…視界はほぼゼロ……迂闊には動けないわね…)

ほむら(なら、相手の攻撃を待って位置の特定をし、矢を叩き込む)

ほむら(…最悪相打ちだけど、仕方ないわね)

ほむら(……さぁ来なさい!)

ほむら(………)

ほむら(………)

ほむら(……?)

ほむら(………攻撃が…来ない…?)



――ほむらちゃん!



ほむら「!?」

ほむら(え…この声は…!?)



――ほむらちゃん?



ほむら(まどかの声…でも彼女がここにいるはずは…!)

ほむら「…!!」ハッ

ほむら(しまった!このガスは煙幕ではなく…精神攻撃!)



――わたし鹿目まどか!まどかって呼んでね!

――あなたが魔女に襲われた時、間に合って。今でもそれが自慢なの

――えー…いないよぅ…

――時計、どれがいいかな?

――えへへ、ありがとう!



ほむら(…のぞかれている…)

ほむら(…私の…記憶を……)

ほむら(……さない…)ワナワ
ナ…

ほむら(ゆるさない…)

ほむら(わたしを…まどかの記憶を穢した…)

ほむら(お前だけは絶対に…!!)



まどか『ほむらちゃん』



ほむら「ぐ……っ!」くらっ…

ほむら(徐々にまどかが実体化して…)

ほむら(体の動きが鈍い…意識が…乗っ取られつつあるのね)

ほむら(早く…仕留めなければ…)

ほむら「…攻撃して来ないというのなら…」

ほむら(変身を一時解除してソウルジェムで魔獣の居場所を感知する…)

ほむら(危険だけど、これしか…!)パァァ…!


――キィィィン…


ほむら「―っ!」

ほむら「……」

まどか「どうしたのほむらちゃん?怖い顔して」

ほむら(…そうだったわね…仁美の時も…)スッ…

まどか「! やめて…ほむらちゃん…どうしてわたしに矢をむけるの…?」

ほむら「………」ギリリ…

まどか「うそだよね…」

ほむら「………」

まどか「ほむらちゃんがそんなことするわけないよね…」

ほむら「……黙れ…」ぎりっ…

まどか「……そっか…」

 
 

  
まどか「……またわたしを[ピーーー]んだ?」








―――バシュッッ!!!
 

さやか「あ…煙が晴れて…」

ほむら「………」

さやか(良かった…ほむらは無事みたいだ…)

仁美「う……」

さやか「! 仁美!」

仁美「…さやか…さん…?」

仁美「…その…首の痕……」

さやか「あ……」サッ…

仁美「ああ…あ…!」

仁美「わたくし…なんて…ことを…!」ガタガタ…

仁美「うっ……」じわっ…

さやか「大丈夫…あたし仁美がそんな事する子じゃないって、分かってるから…」ギュッ…

さやか「夢を見てただけなんだよ…悪い夢を…」

仁美「うあああっ…」ボロボロ…

QB「…さて、彼女はさやかに任せて、僕らは帰ろうか」

ほむら「………」

QB「……?どうしたんだい?」

ほむら「……」フラッ…


―――ドサッッ!!


さやか「!? ほむら!!」





―――――――――

 
 

  
まどか「……またわたしを刹すんだ?」








―――バシュッッ!!!
 


フィルター忘れてた
再開します

―???―



――ほむらちゃん!

ほむら「……」

――ほむらちゃん…?

ほむら「……」

「どうしたのほむらちゃん?」

ほむら「まど…か…?」

まどか「ふふっ、へんなほむらちゃん!」

ほむら(……何か違和感が…?)

まどか「ねぇ、それより…時計、どれが良いかな?」

ほむら「時計…」

まどか「ほむらちゃん自身はどれが良い?」

ほむら「…そうね…私は…」



――キィィィン…!

 
 
 

ほむら「―!」


ほむら「このソウルジェムの反応は…」



舞台装置の魔女「キャハハハハ!アッハハハハ!!」



ほむら「ワルプルギスの夜……!」

鹿目「……」スッ…

ほむら「!? まどか!なにを…」


鹿目「もうワルプルギスの夜を止められるのは、私だけしかいないから…」

ほむら「無理よ!まどかまで死んでしまうわ!」

鹿目「それでも、私は魔法少女だから。みんなのこと、守らなきゃいけないから」

ほむら「…ねぇまどか…一緒に逃げましょう?誰もあなたを恨んだりしないわ…」

鹿目「ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった」

鹿目「あなたが魔女に襲われた時、間に合って。今でもそれが自慢なの」

鹿目「だから、魔法少女になって、本当によかったって。そう思うんだ」

ほむら「まどか…」

鹿目「さよなら。ほむらちゃん。元気でね」

ほむら「いや…!行かないで…まどかああああああああ!!!」





鹿目「……」

ほむら「どうして…?いなくなっちゃうって、わかってたのに…」じわっ…

ほむら「あなたと……一緒にいたかったのに…」ツゥ…

鹿目「…ぐ…!うぅっ…!」ビクッ…!

ほむら「―!」はっ!

ほむら「どうしたの!?まどか!」

ほむら「…! まどかのソウルジェムが濁って…」

鹿目「…ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね…?」

鹿目「こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ってたよね…」

ほむら「ええ…」

鹿目「キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?」

ほむら「約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!」

鹿目「よかった…」

鹿目「うぐっ…!」

ほむら「まどか…!?」

鹿目「もう一つ、頼んでいい…?」

ほむら「ええ…」

鹿目「私、魔女にはなりたくない…」

鹿目「嫌なことも、悲しいこともあったけど…」じわっ…

鹿目「守りたいものだって、たくさん、この世界にはあったから」ググッ…

ほむら「……!」

ほむら「……っ!」

ほむら「ぐっ……うぅ………うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!」グッ…!



――ギリリリ…!

 
 
 
 

 
 

 
まどか「……そっか…」


ほむら「―っ!!」ハッ

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
まどか「…またわたしを刹すんだ?」

 
 
 
 
 
 

ほむら「…あ…ああ……」

まどか「助けてくれるって約束したのに…」

ほむら「ひっ…!」

ほむら(わたしの手が…血まみれに…!)

ほむら「…うあああ……」ガタガタ…

まどか「私の為だなんて、嘘ばっかり」

まどか「ホントは自分の事だけ考えて」

まどか「何度もわたしを見刹しにして」

ほむら「そんな…私はただ…あなたが魔女にならないように…絶望の運命から救うために…」

まどか「その血まみれの手でわたしに触れないで」

ほむら「あ…ああ…」

まどか「ほむらちゃんなんて」

まどか「キライ」

鹿目「嫌い」

 
 
 
 
 
 
鹿目まどか「「  大  嫌  い  」」

 
 
 
 
 
 

ほむら「そんな…まどかぁ…」じわっ…

まどか「…さようならほむらちゃん」

ほむら「あ…行かないで……」

まどか「……」スゥ…

ほむら「いや…まどか……まどかあああああああああ!!!」

 
 
 

ほむら「うっ…うう…っ…まどか…」ポロポロ…

ほむら「あなたに…っ…見放されたら…」

ほむら「私にはもう…何の…っ…存在価値も……無い…」ポロポロ…

ほむら「いいえ…最初から私は…必要とされない…」


――ズズズ…


ほむら(そう…そうだったのね…)

ほむら(だったら…もう…)

あなたに逢えないというのなら…)

(このまま…堕ちるとこまで落ちて…)


――ズズズ…


私なんか…消えて…なくなって…


しまえばいい…

……。


――ズズズズズ……!

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
    『       』

 
 
 
 
 
 
………。



………ひかり…?

 
 
 

―――ソッ…


誰かが…


私の手を…握って…


…ああ


絶望の淵にあっても


この小さな手は


何処までも


優しくて


暖かくて…

だけど…


この手が導くのは希望なの…?


それとも新たな絶望なの…?



………。



どっちだって構いはしない


この先に何が待っていたって


この手だけは絶対に離さない

こんな私にまた手を差し伸べてくれた


あなたのその想いに


今はただ――




―――ギュッ…

 
 
 
 

 
 
 
応えたい












――――――――
―――――
―――
 

―夜 路地裏―



はっ…!はっ…!

一体何なの…!?

知らない場所で…目が覚めたと思ったら…!

変なのが…っ…襲ってきて…!

はっ…!はっ…!

わたしだけを追ってきて…!他のっ…!人にはっ…!

見えてない、みたいだしっ…!

はぁっ…!はぁっ…!

息…がっ…!もぅっ…だめっ…!走れない……!

……!!

……そんな…!

行き止まり…!?

ハッ…!

魔獣1「ケケケケ……」ズズズ…

魔獣2「ウフフフ……」ズズズ…

ひっ…やだ…来ないで…!

 
 
 
―…クルルルッ

――――――ザンッッ!!!


きゃ!?何か降って…槍…!?

 
 
 

杏子「魔獣二匹たぁ、ついてんな」ガシッ!

…だ、誰…?

もしかして…助け…?

魔獣1「ケケッ?」

魔獣2「ウフッ?」

杏子「マミの頼みを聞いて来たかいが…あったってもんだ!」クルルル…ビシッ!!

魔獣1「ケヒィーーーッ!!」サッ!!

杏子「逃がすかっ!!!」バッ!!


――ザシュッッ!!!


魔獣1「ギャっ!!」

杏子「もう一匹ッッ!!!」ザンッ!!!

わっ…すごい……!あっと言う間に…!


――クルッ…パシッ!!


杏子「はん…たあいねーな。こんな雑魚ばっかじゃ身体が訛っちまう一方だ」

一体この人は何者なんだろう……

そしてさっき襲ってきたのは…?ま…じゅう…だっけ…?

杏子「さて…グリーフシードは、と」スッ…

あ、そうだ!お礼しなきゃ!

杏子「ひぃふぅ…おいおい、これっぽっちかよ…今日はただでさえ瘴気が薄いってのに…」

あ、あの…!

杏子「…ん?」

あの…ありがとうございました…!

杏子「……」

助けて…くれて…

杏子「あんたの為じゃねーよ。自分の為だ」

え……

杏子「こんなとこウロウロしてねーで、さっさと帰んな」バッ!

あ……

行っ…ちゃった……

………………。

………………。

………………。

静か……

まるでさっきまでの事が嘘みたい…

………………。

………………。

…これから…どうしよう…

…どこに行けば…いいんだろう…

………………。

………………。

…お腹……空いたな………。

…う……っ…。


―――じわっ…

 
 

杏子「おい」

!!?


―――ビクッ!!!


杏子「なにしてんだ…?ずっと膝抱えて」

あ…!さっきの方…

杏子「聞こえなかったのか?さっさと帰れっての」

……。

杏子「それともまた襲われてーのか?」

……わたし……帰るところ…ないんです…

杏子「あん…?」

……それどころか…自分が誰かも…分からないんです…

杏子「…それって…記憶喪失…ってやつかい?」

……はい……多分…

杏子「…ふーん…」

…………。

杏子「その制服は…あいつらと同じとこだな」

あいつら…?

杏子「あー、何て学校だったか…?」

学校…

!…そうだ!

さっきまで混乱してて気付かなかったけど…

ポケットに多分あれが……

杏子「……?」

あった…!

生徒手帳!

杏子「…なんだそれ?」

…ここにわたしの事が…

名前……名前……

……!…あった…

「……わたしの名前は――」

 
 

 
 
 
 
まどか「……鹿目…まどか…」









―――――――――

 
 


今回はここまで
現在ストーリーの再構成を行なっているため
次回投稿日は未定です、すいません

乙乙
結構な長編になりそうなのかな?
投下時はフィルタ回避のためにメル欄に「saga」(サガ)を入れよう

殺すとか魔力とかドラえもんとかが

>>122>>123
ありがとうございます
前回まではいれてたのに…

―風見野―



杏子「……」スタスタ…

まどか「……」

まどか(…ついてこいって、言われるまま一緒に来たけど…)

まどか「あの…これから何処に行くんですか…?」

杏子「ん、もうすぐ着く」

まどか(…まぁ、何処でもいいか…他に頼る人もいないし)

まどか(それにわたしのこと助けてくれたんだもの。きっと悪い人じゃないよね)

杏子「着いたぜ」

まどか(ここは…)

まどか「教会…?」

杏子「あそっからだとマミんとこよりこっちのが近いからな」

まどか(この教会…何か古いような…長い間利用されてないような…)

杏子「明日、手帳にあった住所のとこいくんだろ?今日はもう遅いから泊まってけ」

まどか「あ……」

杏子「来な、こっちだ」スタスタ…

まどか「…でも、いいのかな?勝手に…」

杏子「いーんだよ。ここはあたしん家なんだからな」

まどか「え…」

杏子「この部屋だ」ガチャ…

杏子「ちょいと散らかってるが…まぁいいだろ…」

まどか(簡素なベッドが二つだけ……)

杏子「大したもてなしはできねーが…ま、贅沢は言わねーでくれ」

まどか「あ、ありがとうございます…あの…えっと…」

杏子「杏子。佐倉杏子ってんだ」

まどか「佐倉さん…」

杏子「固っ苦しいな、杏子で良いぜ」

まどか「えと…杏子…ちゃん」

杏子「ん」

杏子「…と、ちょっとまってな」スッ…

まどか(あ…どっか行っちゃった)

まどか(……杏子ちゃんここに住んでんのかな?)


――グウゥ…


まどか(…そういえばお腹空いてたんだ…)

杏子「ホレ」ヒュッ…

まどか「わっ…!?」ポフ…

まどか(あ…ハンバーガー…)

杏子「あんたの分だ。食いな」

まどか(……)じっ…

杏子「遠慮すんなよ、腹へってんだろ?」

まどか(あ…お腹の音、聞かれてたのかな///)

まどか「い、いただきます…」モソモソ…

杏子「ん、ダメんなったって聞いてたけどまだいけるな」モグモグ

まどか(え…!?)ゴクン!

杏子「はは、大丈夫だって死にゃあしねーよ」

まどか(いつのなんだろ…食べちゃった…)

杏子「それに、さっきのに比べりゃこんなのへでもないだろ?」

まどか「……?」

杏子「魔獣に襲われててたろ。あれ、普通だったらとっくに死んでるぜ?」

まどか(魔獣…)

杏子「そういやお前、見た感じ鈍臭そうなのに良く逃げ切れたよな」モグモグ…

まどか「…あの、魔獣って何なんですか?」

杏子「魔獣ってのはな…あー」

杏子「不安や猜疑心、怒り、憎しみ…そういう人間の負の感情から生まれた、呪いを振り撒く存在だ」

杏子「心が弱った連中は、こいつ等に目を付けられてまた新たな呪いを撒き散らすか…」

杏子「もしくはその感情に耐え切れなくて押し潰されておっ死んじまうか、だ」

まどか「そんな…」

杏子「ま、今のは受け売りだけどな」

まどか「じゃあ…ほんとはこの世界にはあんなのがいっぱいいて…」

まどか「皆知らないだけで、毎日どこかで誰かが襲われてるんですか…?」

杏子「ああ、そうだ」

杏子「だからその為にあたしら魔法少女がいるのさ」

まどか「魔法…少女…!」

杏子「よーするにあたし達は、人々の平和な日常の為に戦う正義の味方ってわけだ」

まどか「凄いです…魔法少女ってお話しの中だけだと思ってたけどホントに居るなんて…」

杏子「まーでも、それは建前だ。魔獣を倒せばグリーフシードが手に入るんだが…」

まどか「グリーフ…?」


杏子「魔法少女の魔力の回復に必要なんだ。それが無いと死んじまうから魔獣を倒してる、ってのが本音だな」

まどか(あ…自分の為にって、助けてくれた時に言ってたのはそういうことだっんだ)

杏子「他にも魔獣を倒す理由があるらしいが良く解らんかった。たしかエコロジーがどうとか…」

まどか(…? 環境問題と何か関係が…?)

杏子「とまぁ、そんな感じだ」

まどか「あの…魔獣って普通の人には見えないんですか…?」

杏子「ん?そういやお前には見えてんのか」

杏子「もしかしたら素質あんのかもな」

まどか「素質?」

杏子「…お前、叶えたい願いって…あるか?」

まどか「え…?」

杏子「と、そういや今、記憶喪失だったな…なんでもねぇ、忘れてくれ」

まどか(願い…)

杏子「ちと、喋りすぎたな…そろそろ寝るか」

まどか(………)

杏子「あんたはそっちのベッドを使ってくれ」

まどか「あ、はい…」ギシ…

まどか「……」モゾ…

まどか(……う…)ブルッ

杏子「……」

まどか(…毛布1枚だとちょっと寒いかな…)モゾモゾ…

杏子「…使いな」バフッ…

まどか「これって…杏子ちゃんの毛布じゃ…」

杏子「あたしら魔法少女は丈夫に出来てんだ。別に無くたってかまわねーさ」

まどか「…でも、悪いです。何から何まで…」

杏子「気にすんな、あたしがしたくてしてるだけだ」

まどか(…なんか申し訳ないなぁ…)

まどか(わたし何もお返しできないのに…)

まどか(………)

まどか「杏子ちゃん…もう寝ちゃいました…?」

杏子「……いや…」

まどか「…何で、見ず知らずのわたしにこんなに色々してくれるんですか?」

まどか「わたしのこと何も知らないのに…」

杏子「………余計なお節介だったか?」

まどか「え!?ああの…!そんな事無くって…」

まどか「どうしてこんなわたしなんかに親切にしてくれるのかなって…」

杏子「………」

まどか「…思っ…て…」

杏子「………」プイッ…

まどか「……?」

杏子(………どっか似てるのかもな)ボソ…

杏子(……モモ…)

まどか「え…?」

杏子「なに、ただの気まぐれだ」

まどか「あ…そう…ですか…」

まどか「でも、さっきまでわたし不安だったから…」

まどか「その優しさがとても嬉しくて安心できたっていうか…」

まどか「何か、その…お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかなって」

杏子「………」

まどか(……?)

杏子「……もう寝る。お前も早く寝な」

まどか「あ、うん…お休みなさい」

まどか(何か変なこと言っちゃったかな…?)

まどか(………)

まどか(あ…月の明かり…)

まどか(…目が覚めた時と違って…)

まどか(何だか優しい光に感じる…)

まどか(………)

まどか(この短い時間で…色々あって…)

まどか(疲れ…ちゃった…な…)

まどか(……明日は…)

まどか(……)

まどか「……Zzz」すぅ…すぅ…

―まどか 夢―



…………。

(………)

魔法……に会わ………は

(……?)

魔法少女に会わなくては

(え…?)

暁美ほむらに

(あけみ…ほむら…)

わたしが無くしたものを彼女がもってる

(無くしたもの…)

暁美ほむらに会わなくては

(…あなた、だれ?)

 
 
 
 
 
 
わたしはあなた








――――――
――――
――

―朝 教会―



まどか(………眩しい…)

まどか「…う……」パチ

まどか(…………)

まどか(ここは……)ムクリ

まどか(あ…そういえば教会に泊めてもらったんだっけ…)ゴシゴシ

まどか(変な夢…。あけみ…ほむら…?)

まどか(杏子ちゃん知ってるかな?たしか魔法少女だって…)

まどか「杏子ちゃん…?」キョロキョロ…

まどか(いない…のかな?)

まどか「……」

まどか「……」ゴソゴソ…

まどか「……」じっ

まどか(手帳に書いてあるこの住所が、私の…)

まどか「………」

まどか(…行こう)

まどか(杏子ちゃん、ありがとうございました。また改めてお礼に来ます)

―鹿目家周辺―



まどか「えっと…」

まどか(生徒手帳に書いてあった住所は多分このあたり…)

まどか「あ…!ここだ…」

まどか「表札に鹿目って」

まどか(…でも…)

まどか「……………」

まどか(住所は…あってる…)

まどか「……………」


ピンポーン♪


まどか(……押しちゃった…)

<はい、どちら様でしょう?

まどか「! あ…あの…」

<ああっ!だめだよタツヤ、それはオモチャじゃないよ!

まどか「あ…」

<すいません、すぐ出ますのでちょっとまっててください

まどか「あ…はい…」

<こーらタツヤー、ちょっとママの所で…プッーー

まどか「…たつや……」

まどか(だめだ…やっぱり何も思い出せない)


――ガチャリ…


まどか「…!」

知久「すいません、お待たせしました」

まどか「あっ…あの…!」

まどか「その…わたしまどかっていいます」

知久「君は…」

まどか(………)

知久「だれだったかな?」

まどか(あ……)

知久「おや?その制服は…。確かママの友達が学校の先生だったかな?」

まどか「あの……」

知久「ん?」

まどか「この辺に鹿目って苗字の家は他にありますか?」

知久「いや、たしか…ここだけだよ」

まどか「そう…ですか…」

知久「…? ちょっとまっててね、ママをよんでくるから」ガチャ、バタン…

<ママー、お客さんだよー

まどか「……」

まどか(…ここは…ちがうんだ…)

 
 
 
――ガチャ…



詢子「ふぁあああ…休みの日ぐらいゆっくり寝させてくれ…」ぐしぐし…

知久「ちょっとママ…お客さんの前なんだから…」

詢子「…?そのお客さんってのはどこだい」

知久「え…?あれ…いなくなっちゃった…」

知久「なんか…どっかで見たことあるような子だったなぁ」

知久「うーん…どこだったか…?」

タツヤ「まろか!」

知久「あ…それだ!良く絵に描いてたね。どっかであの子に遊んでもらったのかい?」

詢子「…なんのこっちゃ?」
 

―路地―



まどか(……)トボトボ…

まどか(手帳にあった住所と同じで、苗字も同じ…)

まどか「……でも」

まどか(……無かった)

まどか(表札に、わたしの名前が)

まどか(あの人も知らない振りしてるわけじゃないみたいだし…)

まどか「あそこは三人家族で住んでて…わたしの家じゃ…無い」

まどか(知らない場所で目が覚めて…)

まどか(変なのに襲われて…)

まどか(手帳の住所は私の家じゃなくて…)

まどか(どうなってるの…?どうすればいいの…?)

まどか(もう…わけわかんないよ…)じわっ…

まどか(鹿目まどかは…何者なの…?)

まどか(ここにいるわたしは…)



まどか(一体誰なの…?)





――――――――――

今回はここまで


次回は今週日曜か来週木曜の予定です

SS談義スレでこのスレの名前が挙がらない悲しみ


続きいきます

―夕方 教会入り口―



まどか(……)

まどか(……結局、また来ちゃった……)

まどか(これがダメだったら……その時はまた考えよう……)

まどか「杏子ちゃん……居るかな……?」


―――コンコン…


まどか「……失礼します……」


―――ギィ…


まどか(………)キョロキョロ・・・

まどか(……いない・・・みたい・・・)

まどか(……帰ってくるまで待ってよう)


………………。


………………。


………………。


まどか(……なにかしてないといろいろ考えちゃって…)

まどか(…気分が落ち込んじゃうな……)



………………。

………………。

 
 

まどか(………あのステンドグラスの絵…)

まどか(マリア様だっけ……)

まどか(……夕陽のせいかな、やわらかくて暖かな…優しい表情……)

まどか「……神…様…」ポツリ…

まどか(………えと、手を組んで…)

まどか(………)

まどか(……神様、どうしてわたしはここにいるのですか?)

まどか(記憶が無いのは、何か悪い事をした罰なのでしょうか?)

まどか(……もし、この声が届いてたら教えて下さい…)

まどか「………なんて」

 
杏子「……済んだかい?」

まどか「ひゃあっ!!?」ビクッ!

杏子「……祈り、か」コツ…コツ…

まどか「あ……杏子…ちゃん…」

杏子「神様ってやつはよ、話は聞いてくれるけどなんにもしちゃあくれねーんだ」

杏子「結局、自分でなんとかするしかねーのさ」

まどか(………)

杏子「で、どうだった? 行って来たんだろ?」

まどか「………あそこは違いました。私の家じゃありませんでした…」

杏子「……? 手帳に書いてあったんじゃねーのか?」

まどか「……はい。…でも違ったんです…」

杏子「はぁ?どういうことだそりゃ」

まどか「……わたしも何でこんなことになってるのか…わからなくて…」

杏子「……ふーん…んで、これからどうすんだ? まだ記憶は戻ってないんだろ?」

まどか「……」

杏子「悪いが、記憶が戻るまでなんて面倒見きれねーぜ」

まどか「……昨日はありがとうございました。大丈夫です、これ以上ご迷惑はかけません」

まどか「1つだけ聞きたいことがあってまた来たんです」

杏子「聞きたいこと…?」

まどか「あの……」

 
 
まどか「あけみほむらって人を知ってますか?」








―――――――――

 
 

―巴マミ 自室―



マミ「………」カキカキ…

マミ「………」ペラッ

マミ「……あ、こっちの公式を応用すればいいのね」ケシケシ…

QB「………」ジー…

マミ「……んー…」トントン…

QB「今日は休日だというのに一日中机に向かって一体何をしているんだい?」

マミ「あら、キュゥべえ。悪いわね…任せっきりにしてしまって……」

QB「いや、それは別に構わないさ」

マミ「ほんとはこんな事をしている場合じゃないのかもなれないけど…」

QB「出来る事はもう君がしてしまったしね。限りある時間を有効に使うことは何も悪くはないと思うよ」

マミ「ええ……」

QB「あっちは特に変化はないし、ちょっとマミが何をしてるのか見に来ただけなんだ」

マミ「これは勉強よ。もうすぐ高校受験だもの」

マミ「ただでさえ魔法少女しててなかなか時間が作れないから、こんな時だけど…出来るときにしておかなきゃ」

QB「ふーん……でもマミは集団学習施設なんて新たに行く必要ないんじゃないかい?」

QB「魔法少女として生きていけばいいじゃないか」

マミ「そういう訳にもいかないわよ……」ハァ…

マミ「事故の後以来ずっと、親戚のおじさん達には金銭的にもお世話になってるから…」

マミ「私がちゃんとした人生を歩んでるって安心させてあげなきゃ」

QB「つくづく非合理的で面倒だね、感情ってのがあると」

マミ「それにね」

QB「……?」

マミ「選択の余地なくして魔法少女になってしまった私だけれど……」

マミ「できることなら普通の女の子としての人生も可能な限り歩んでみたいって、そう思うの」

QB「マミ……」

マミ「あ、契約を後悔しているわけではないのよ。あの時に終わるはずだった私の命を誰かのために使えてるんですもの」

マミ「それはとても尊くて、素敵なことだと思ってるわ。だから、これは私のわがままね」

QB「ま、グリーフシードを回収してくれさえすれば、あとは個人の自由だ。別に非難しないさ好きにすればいいよ」

マミ「相変わらず素直な言い方してくれないのね」ふふっ

QB「……ところでその学習行為はまだ続けるのかい?」

マミ「そうねぇ、ちょっと休憩しようかしら…」

マミ(それに彼女の様子も見ておかなきゃね…)

QB「それがいいと思うよ。適度な休憩は作業効率の上昇が期待できるからね」

マミ「へぇ、そうなの?……あと、たしか甘いものも頭の回転に良いのよね?」

QB「確かにブドウ糖は脳の活動エネルギーに必要だけれど……」

マミ「そうよね、ならケーキを食べましょう!仕方ないわよね、勉強のためだもの!」

マミ「確か冷蔵庫にあと2つあったはず……」トテトテ…

QB「でもいいのかい?あんなに体重で一喜一憂して……って行っちゃったよ」

―廊下 寝室前―



マミ「………」ピタッ

マミ「勉強も大切だけど…」

マミ(そんな事より差し当たっての問題は……)

マミ(さっきまでQBが看ていてくれてたけど……彼女、まだ良くならないのね……)じっ…


―――コンコン


マミ「失礼するわね……」ガチャ…

マミ「…………」じっ…

マミ(………一体どうすればいいの…?)

ほむら「……う、うぅ………」ハァ…ハァ…

マミ(暁美さん……ずっとうなされて……)

マミ(きっと悪い夢を見ているのね……)

ほむら「…う、あ……ま…ど…っ」ハァ…ハァ…

マミ(……でも、私には何も出来ない……)






―――――――
――――
――

 
―前日の夕 マミ自宅―



―――ガチャ



マミ「ただいまー……」

マミ(……あ、今日キュゥべえは暁美さんと一緒に魔獣退治だったわね……)

マミ「はぁ……疲れた……」バフッ…

マミ(うぅ…ベッドに直行してしまった……)

マミ(勉強……しなきゃ…お料理の下ごしらえも……ああ、あと洗濯物もいれなきゃ…)

マミ(やることがいっぱい……)

マミ(………はぁ)

マミ(制服のまま寝てたらしわになっちゃうわね……)

マミ(ま、いっか……ちょっとだけ、ほんのちょっと目をつぶるだけ……)

マミ「…………」

マミ「…………z」

 
 
 
 
さやか『マミさん!!!』

 
 
 
 

マミ「!!?」ガバッ!!

マミ「え!?美樹さん!?」キョロキョロ

さやか『マミさん!!助けてください!!』

マミ「…あ!テレパシー!」

さやか『ほむらが…ほむらが……!』

マミ『お、落ち着いて美樹さん、暁美さんがどうしたの?』

さやか『ほむらが魔獣の攻撃で倒れちゃったんです!』

マミ『なんですって!?』

さやか『怪我はないみたいなんですけど…ソウルジェムがどんどん濁っていって……!』

さやか『でも手持ちのグリーフシードじゃ足り無くって……!』

マミ『わかったわ……場所は?』

さやか『学校の前の公園です!』

マミ『すぐ行くわ。念のため動かさないでそのまま待っていて!』

マミ(そんな……暁美さん……一体どんな魔獣に……)

マミ(……今は考えるより他にすべきことがあるわね……)

マミ(ありったけのグリーフシードを持って…。行きましょう…!)

―公園―



さやか「…ほむらぁ…」

ほむら「……」ズズ…

さやか「キュゥべえ、何とかならないの!? このままじゃほむらが……!」

QB「対策を講じるには原因がわからなければどうしようもない。今はマミの到着を待とう」

仁美「うああ…ごめんなさい……ごめんなさい…」ポロポロ…

さやか「……仁美は悪くないよ……」

ほむら「……」ズズズ…

さやか「……くっ」

マミ「お待たせ美樹さん!暁美さんは!?」

さやか「マミさん!!」

ほむら「……」ズズズズ…

マミ(暁美さんのソウルジェムが…)

マミ「取り敢えず持ってきたグリーフシードで浄化しましょう…!」



―――シュウウウ…



マミ「……?」

ほむら「……」

マミ(変ね……完全に浄化し切れない……?)

マミ(外傷は……美樹さんの言ってた通り無いみたいだし……)

さやか「どう…ですか…?」

マミ「できる限りの浄化はしたけど…目を覚まさないわね……」

さやか「ほむら……」

QB「取り敢えず当面の危機は去ったし、いつまでもここに暁美ほむらを寝かせているわけにもいかないんじゃないかな」

マミ「……そうね……ここでは人目についてしまうわね、私の家に運びましょう」

仁美「うっ……うぅ…っ…」ポロポロ…

マミ「彼女は……?」

さやか「あたし達のクラスメイトです。ほむらが戦った魔獣に操られて……」

マミ「そう……なら彼女にも一緒に来てもらいましょう」


―マミ自宅 寝室―



マミ「………取り敢えず私のベッドに寝かせたけど……」

マミ「………」

ほむら「……」

マミ(……暁美さん)

ほむら「……う、ぐ……っ!」ビクッ!

マミ「―! 暁美さんっ!?」

ほむら「……うぅ…っ……!」ズズズ…

マミ(酷いうなされよう……それにまたソウルジェムが濁って……!)

マミ(早く何とかしなきゃ……)

マミ(暁美さんが目覚める前にグリーフシードがつきてしまうかも知れないわね……)スッ…


―――ガチャ


さやか「あ、マミさん…。どうですか? ほむらは……」

マミ「何とも言えないわね……」チラッ…

仁美「……」

マミ「彼女……落ち着いたみたいね……」スッ…

さやか「あ……」

マミ「仁美さん…だったわね……ちょっといいかしら」

仁美「………?」

マミ「さっきあなたに起こった状況を出来るだけ詳しく教えてもらえるかしら」

仁美「―! あ、ああ……!」ポロポロ…

さやか「ちょっ!?マミさん、仁美はまだ……!」

マミ「分かっているわ……でも…余裕がないのよ」

さやか「う……」

仁美「ごめん…なさい…っ…私が…悪いんです…」ポロポロ…

マミ「落ち着いて…私はあなたを責めているわけではないのよ……」

マミ「暁美さんを助けるために何があったのか知りたいの」

仁美「……う…っ…」ぐすっ…

マミ(……)

仁美「……わたくし…さやかさんに嫉妬していて…」

さやか「……」

仁美「落ち込んでたら…声がしたんです…」

仁美「私の夢を叶えるって…さやかさんの悪夢を現実にするって……」

マミ(やはり精神攻撃を主とした魔獣ね……」

仁美「……それで気がついたら…さやかさんの首を……!」

仁美「ああ…わたくし……とんでもないことを…」じわっ…

マミ(………)

さやか「マミさん…もう……」

マミ「そうね……ごめんなさい仁美さん。辛い思いをさせてしまったわね」

仁美「……うぅ…っ…」ポロポロ…

マミ『美樹さん』

さやか『……はい』

マミ『何か手が見つかるまで、暁美さんはこのまま私が様子をみるわ。だから今日の所は彼女を送っていってもらえるかしら』

マミ『仁美さん…だいぶ思いつめてるみたいだから、暫くのあいだ間違いを起こさないように様子を見てあげてね』

さやか『はい…わかりました……』

マミ(…取り敢えず今日のパトロールは佐倉さんに引き継いで貰いましょう。グリーフシードも必要だし…)

マミ『何かあったらまた連絡するわ』

さやか『すいません…お願いします』

さやか「仁美……帰ろう…送ってくよ」

仁美「……はい……」ぐすっ…



―――ガチャ…バタン



マミ「……」

マミ「キュゥべえ……」

QB「うん。どうやらこれは魔獣の精神攻撃を受けた影響のようだ」

マミ「ないか解決策はないのかしら……このままじゃ……」

QB「残念ながらこういった事例は今回が初めてなんだ」

マミ「そんな……」

QB「1つだけ方法があるとすれば…こちらもほむらの精神に干渉できればあるいは……」

マミ「できるの!?」

QB「いや無理だ、僕にもそれは出来ない。これはただの可能性の話しさ」

マミ「そう……」




―――――――
――――
――

 
 

―再びマミ自宅 寝室―



マミ(あれから丸1日たったけれど……その間ずっとうなされて……)



―――シュウゥゥ…



マミ(やっぱり暁美さんのソウルジェムを何度浄化しても、濁りが残ってしまう……)

ほむら「…う……うぅ…」

マミ(回復の魔法も一応かけてみたけれど……効果は無いみたいね……)

マミ「すごい汗……熱は…大丈夫ね…」

マミ(何も出来ないけど、せめて体を拭いてあげましょう)スッ…

マミ(えっと…タオルは…)



―――ピンポーン…



マミ「あら誰かしら…?こんな時間に…」

 
 

あまり切り良くないけど、今回はここまで

次回は遅くて2週間後を予定してます、すみません

時系列とミスリードがこの話の鍵です
バレバレかもしれませんが今後の展開を予想しつつ気長にお待ち下さい

投稿が不定期でごめんなさい

あと、いつも読んでくれてる人、乙とレスしてくれる方
ほんとにありがとうございます

続きいきます

―少し前 マミ自宅周辺―



杏子「着いたぜ、このマンションだ」

まどか「ここがあけみさんの……」

杏子「こっちの階段だ」

まどか(あけみほむらさんをわたしが知ってたってことは、向こうもわたしを知ってるはず……)

杏子「あー、それでだ……ほむらはここに居るんだが、ちょっと今問題があってな……」

まどか「……問題?」

杏子「実はあいつ今寝込んでてな、マミって奴が様子みてんだ」

まどか「え……」

杏子「あいつも魔法少女なんだが……魔獣にやられちまってぶっ倒れたまま目を覚まさねぇんだ」

まどか「あの……ごめんなさい……そんな時に……」

杏子「いや、あたしも用があったしな。そのついでだ」

杏子「それに……」

まどか「……?」

杏子「お前が気が付いたのは昨日だったな」

まどか「はい……」

杏子「ほむらがぶっ倒れたのも昨日だ。そっから色々試してもうどうしようもないって時にあたしはお前に出会い……」

杏子「そしてお前は唯一、ほむらのことを覚えていた」

まどか「……」

杏子「まるで神様があたしにお前らを引き合わせろって言ってるかのような……そんな気がしてな」

杏子「もしかしたら、お前が声を掛ければ眠り姫が目を覚ますかもしれねーぜ?」

まどか「そうなんでしょうか……?」

杏子「さーな……と、ここだ」



―――ピンポーン…



杏子「……さっき教会で神様は何もしちゃあくれないって言ったけどな」

まどか「……」

杏子「……迷ってる人に道を示してくれるんだ」

まどか「……道……ですか?」

杏子「ああ……ただその道を行くのか引くのか、また別な道を探すのか……それは自分で決めなきゃならねぇ」

杏子「あたしはこの道を『行く』ことにしたんだ。可能性があるなら、やらない手はねぇからな」

まどか「わたしは……」

まどか(……わたしもあけみさんに会って自分が何ものなのか知りたい……)



―――ガチャ…



杏子「よう、マミ」

マミ「あら佐倉さん」

まどか「あの……こんばんは……」

マミ「こんばんは、初めまして……よね?佐倉さん、こちらの方は?」

杏子「ほむらの知り合いだ。ちょいとワケあって一緒になってな。こいつ、ほむらに会いたいんだとよ」

マミ「あら、暁美さんのお友達?……でも暁美さんは今……」

杏子「ああ、そのことはもう話してある」

マミ「わざわざここまでお見舞いにきてくれたのね」

杏子「まぁ、そんなとこだ」

まどか「は、初めまして、わたし鹿目まどかっていいます」

マミ「鹿目さんね。わたしは巴マミ、同じ中学の3年よ。マミって呼んでね」ニコ

杏子「おいマミ、挨拶もいいけどよ、寒ぃから早く中に入れてくれ」

マミ「あ、そうね! どうぞあがって」

杏子「おう、じゃまするぜ」

まどか「……おじゃまします」

杏子「と、マミ手ぇ出しな」ゴソゴソ

マミ「……?」

杏子「ほれ、少ねえけど今日の分だ」スッ

マミ「あ、グリーフシード……」

杏子「この辺りの魔獣は粗方狩っちまった、雑魚しかいなかったぜ」

マミ「ありがとう佐倉さん。助かるわ」

杏子「他ならぬあんたの頼みだ、これで昔の借りはチャラだからな」

マミ「……こっちこそ大きな借りができちゃったわね」

杏子「……ほむらの様子は相変わらずなのか?」

マミ「ダメね……ソウルジェムを浄化しては濁っての繰り返しでちっとも良くなる気配がないの」

杏子「……なぁマミ……あたしとしてはだ、正直あいつがくたばろうが知ったこっちゃねえ」

マミ「……」

杏子「けど、マミはあいつを助けたいんだろ?」

マミ「大切なお友達で、共に戦う仲間ですもの、…助けたいわ」

杏子「……んで、どうすんだ? このままじゃマミの分のグリーフシードまで無くなっちまう。……ジリ貧だぜ」

マミ「……わかっているわ。でも……」

杏子「この先ずっとほむらにグリーフシードを回すほどの余裕はねぇし、グリーフシードの手持ちが少ない今、あたしらに何かあったら全員共倒れだ。それも分かってるよな」

マミ「……ええ」

杏子「それにほむらだって魔法少女だ…こうなることは覚悟の上のはずだぜ」

マミ「……ありがとう佐倉さん。あなたは私の為に言ってくれてるのね」ニコ

杏子「……う」

マミ「……でも、それでも…せめてギリギリまで粘って、暁美さんが目を覚ます可能性に賭けるわ」

杏子「……変わってないなあんた、相変わらず認識が甘過ぎるぜ……」

マミ「……」

まどか(何か凄く深刻そう……そんなにあけみさんの調子良くないんだ……)

マミ「あ、ごめんなさいね鹿目さん、話し込んじゃって。暁美さんはこっちの部屋よ」

まどか「……やっぱり迷惑でしたよね……急に来ちゃって……」

マミ「そんなことないわよ。暁美さんが早く良くなるように声を掛けてあげてね」

 
 
 
 
―――コンコン、ガチャ…




マミ「……どうぞ、鹿目さん」

まどか「……」

ほむら「……すぅ…すぅ……」

マミ「……暁美さん、今は落ち着いてるみたいね」

まどか(この人が……あけみほむらさん……)

まどか(透き通るかのような白い肌と艶やかな長い黒髪が印象的な……とても綺麗な人……)

まどか(でも……)

杏子「どうだ……何か思い出したか?」ボソッ…

まどか「……」フルフル…

杏子「そうか……悪かったな、期待させるようなこと言っちまって」

まどか「いえ……」

マミ「佐倉さん、私はお茶の用意をして来るわね」

杏子「ん、あたしも手伝うよ、先に行っててくれ。……まどか、お前はどうする?」

まどか「……わたしはもう少しここにいます」

まどか「……うまく言えないけど……この人を見ていると初めて会う筈なのに、なんだか懐かしいような感じがして…」

まどか「もう少しでなにか思い出せそうな…そんな気がするんです」じっ…

ほむら「……すぅ……すぅ…」

杏子「わかった……あたし達は向こうにいるから何かあったら呼んでくれ」ガチャ…

まどか「はい……しばらくしたらそっちに行きますので」



―――パタン…

 
 
 
 

杏子(……一応この後もマミとの約束通りほむらの為に風見野の魔獣を狩るけどよ……)

マミ「……」カチャ…コポポ…

杏子(……マミ。打つ手が無いってんじゃ、悪いがほむらはもう……)

マミ「あ、佐倉さん。悪いけど冷蔵庫からお菓子をとってもらえるかしら」カチャカチャ…

杏子「……ああ」

QB「やあ、杏子。ちょっといいかな」

杏子「キュゥべえか、何か用か?」ガパッ…

QB「さっき君と一緒に来た子なんだけど、彼女は一体何者なんだい」

杏子「さーな、あたしも何者かは知らん。お、ドーナツ見っけ」

QB「……知り合いじゃないのかい?」

杏子「記憶喪失なんだとよ。んでほむらを知らないかって言われてここに案内したんだ」モグモグ…

QB「彼女の名前はなんて言うんだい?」

杏子「鹿目まどかだ、あいつがどうかしたのか? もしかしてあいつ魔法少女の素質でもあるのか?」

QB「……やはりそうか…彼女が……」

杏子「あん……?」

QB「素質があるなんてものじゃないよ杏子。彼女は――」



―――ドタドタ、バンッ!!



まどか「杏子ちゃん! マミさん! あけみさんの様子が…!!」

杏子「……! マミ!!」

マミ「ええ!行きましょう」



―――ガチャ!



ほむら「……う、うぅ……!…ぅぐ……!」

まどか「看てたら急にあけみさんが苦しみだして……」

マミ(まずいわね、間隔が短くなって来ている……)

杏子「おい、ソウルジェムがどんどん黒くなってってるぜ!マミ、早くグリーフシードを!」

マミ「ええ!」


―――シュウウ…



マミ(お願い……暁美さん……早く目を覚まして! でないと……!)

ほむら「……う……っ!……ぁ…!」ハァハァ…



―――シュウゥ…
――――ズズズズ…



マミ「……そんな……!」

杏子「なんだ?どうしたマミ!?」

マミ「ソウルジェムが濁るスピードが速過ぎて、浄化が間に合わない……!」

杏子「……くそっ!」

まどか(……たしか昨日、杏子ちゃん言ってたよね……魔力の回復が出来ないと死んじゃうって……)

ほむら「……ぅ……ぁああ……!」ツゥ…

まどか(……あけみさん泣いて……とても苦しそう……)

ほむら「……うぅ……っ……」ポロポロ…

まどか(あけみさんの手……何かを探しているような、掴もうとしているような……)

杏子「やべぇぞ、マミ!」

マミ(暁美さん… もうダメなの…?)

まどか(気休めかもしれないけど、この手を握ってあげたら少しでも楽になるかな……)



―――ソッ…



ほむら「……ぁ……………」

まどか「……暁美さん…」ツゥ…

まどか(……?あ、あれ……?なんでわたし涙が……?)ポロポロ…



―――シュウウウゥ…



マミ「――! ソウルジェムが浄化されていく…!?」

杏子「なんで急に……?」

マミ「分からないわ……でも、良かった……」

杏子(……もしかしてまどかが……?……いやまさかな……)

ほむら「…………まどか…」ボソッ…



―――ギュッ…



まどか(あ……握り返して……)

ほむら「う…うぅん……」パチ

ほむら「…ぅ……ここは……?」

杏子「ほむら!!」

マミ「暁美さん……!」

ほむら「……杏子……と、マミ……?」

マミ「良かった暁美さん……目を覚まして……私もうダメかと……」じわっ…

ほむら「ああ、そうだ……私…魔獣の攻撃を受けて……」

ほむら(……? 手に何か柔らかい感触が……?)ニギニギ…

まどか「あ……ごめんなさい……勝手に……」

ほむら(――え?まどかの…手?)

ほむら(どういうこと…何故目の前にまどかが……!? これは夢…いえ魔獣の!?)

ほむら「……!」ガバッ!

マミ「あ、まだ立ち上がっちゃ……」

ほむら「う……」くらっ

まどか「危ないっ!」ギュッ!

ほむら(…あ………)

まどか「……」

ほむら(一体、どうなっているの……?)

ほむら(……ソウルジェムの……魔獣の反応が『無い』……!)


ほむら(まさか……本当に……まどかなの……?)

まどか「あの…まだ安静にしてた方が……」スッ

ほむら「……ありがとう、落ち着いたわ……」

QB「暁美ほむら、無事目を覚ましたようで何よりだよ。君を失う事は我々にとっても大きな損失だったからね」

ほむら「……キュゥべえ」

QB「そして初めまして、鹿目まどか」

まどか「え……なに? わたしを知ってるの?」

QB「君の事は暁美ほむらから何度も聞かされてたからね。良く知ってるよ」



QB「まぁ、実際に今この目で見るまでは暁美ほむらの妄想だと思ってたけどね」

ほむら「キュゥべえ、彼女は本当に鹿目まどかなの…?」

QB「君はこう言っていたね。鹿目まどかはこの世界のルールを変えて概念に、即ち神に等しい存在になったと」

ほむら「ええ……そうよ」

QB「そんな膨大な量の因果を持つ人間は有史以来……いや、この先の未来を含めても二人といないだろう」

QB「そして彼女は背負っているんだ。望めば神にだってなり得る膨大な因果を」

今回はここまで またあまり切りがよくないけど

次回は正月明けぐらいの予定です

まだSS書いて日が浅いので、ご意見やご指摘等ありましたら
何でもいいのでレスしていって下さい
以後の参考にします

どんなレスついたかなーとどきどきしながら見たら
ほぼ乙のみでなんか笑っちゃった

そしてSS談義スレの改変後一覧での華麗なスルーっぷりに凹んだ

基本的にこのSSは ほむらが最後にまどかから受け取ったものが
「まどかのリボン」から「思い出の腕時計」に変わった改変後SSです

うーん、前作の続きにしなければよかったのかな?

談義スレとかゴミの話しかしてねえじゃん
放っとけ

乙だけじゃなんか悪い気がするけど、レス内容がまだ思いつかない。

展開予想とかは自分がされる分には嬉しいけど、他の人はあんまり喜ばないみたいだし。

とりあえず楽しみにしてます。

談義スレで出てこないのは、前作というか前編の出来が微妙だったからじゃないかなー

このスレを今読んでる人は、それの続編であることを理解した上で読んでる、
選抜されたメンバー(?)なわけで、人数的には不利かもしれない。

だが、乙をつけてる人は(オレも含めて)展開を楽しみにしてる人だ。

シリアス系は終盤に入るまでは感想レスが付きにくくて、たいていのレスが乙だけだったりするから、
心配する必要は無いはず。


あと、あのリストはけっこう脱落があるし。赤リボン伝説とかさ。

>>240-242
レス有難うございます

前回のラストでみんなに微妙微妙言われたのが半分トラウマになってしまって
今回のSSがどう見られてるのか気になっちゃうのです……
あまり歓迎されないようなので談義スレのことはもう話しません


>>241
乙だけでもうれしいです、読んでくれる人いるんだなぁって。
ありがとうございます

>>242
そうなんですよね、続編ということにしたので見限った人には
最初から見てすら貰えないというのが少し残念です
そして「選ばれし者」ワラタww


今度こそ読んで頂いた方に面白いと思ってもらえると信じて
なるべく早く続きを完成させます
かまってもらってすみません、有難うございました

ランボー怒りの休日出勤
みなさんもインフル、ノロにご注意を


続きいきます

ほむら「それじゃ……今、私の目の前にいるのは……」

QB「ああ、身体的特徴も君の話していた鹿目まどかと違わないんじゃないかな」

ほむら(本当に……本当にあなたなのね……)

ほむら「まどかぁ……」じわっ

まどか「……?」

ほむら「まどかああぁっ!!!!」ガバッ!

まどか「きゃっ!?」


杏子「うおっ」

マミ「まぁ///」

ほむら「まどかぁ……まどかぁ……っ!!!」ギュウ…

まどか「わわわっ!?///」

ほむら「まどか……会いたかった……!」すりすり

杏子「お、おい……ほむら……」

マミ「佐倉さん、よく分からないけどこういう時は邪魔してはだめよ」グイッ

杏子「いや、そうじゃなくてだな……あいつは記憶が……」

ほむら「……まどか……私……私あなたに――!!」

まどか「あ、あの……暁美さん……?」

ほむら「……」ピクッ

まどか「ごめんなさい……その……私、あなたのこと分からないんです……」

ほむら「……え?」バッ

まどか「私……記憶喪失みたいなんです……」

ほむら「記憶……喪失……!?」

まどか「はい……どこか知らない場所で目が覚めて……何も分からなくて困ってた時に杏子ちゃんに助けて貰ったんです」

ほむら「……」

杏子「昨日の夜だ、お前がぶっ倒れてた時にな。こっちで魔獣を狩ってたらこいつが襲われてたんだよ」

杏子「成り行きで助けたら、ほむらの名前が出てきて驚いたぜ」

まどか「……他の人のこと全然思い出せなくて……」

まどか「でも、夢の中であなたの名前を聞いたんです。そしたら暁美さんに会わなくちゃって思って」

まどか「あなたに会えば、もしかしたら何か思い出すのかもって……」

まどか「それで、杏子ちゃんにお願いしてここに来たんです」

ほむら「……そう……だったのね……」

ほむら(……まどかの記憶が……無くなって……しまった……)

ほむら(私との出会いも……ワルプルギスの夜を越えたことも……共に過ごした時間も……一緒に時計を買いに行ったことも)

ほむら(共に過ごした時間も……私と交わした……あの約束も……)

ほむら(何もかも、全て……忘れてしまった……)

QB「そいえばまどか、君は僕を見ても驚かないんだね。大抵の子は最初変な目で僕を見るんだけどね」

まどか「うん、杏子ちゃんから魔法少女のこと聞いてたから。もしかして魔法少女もので良くあるマスコットとかかなって」

QB「理解が早くて助かるよ。僕の名前はキュゥべえ、魔法少女の勧誘とサポートが役割さ」

まどか「……教えてキュゥべえ、わたしは何者なの?」

QB「別にかまわないけど……僕の口から話してもいいかい? 暁美ほむら」

ほむら「……」

ほむら(……まどか……)じっ

まどか「……?」

ほむら(暁美さん……か)

ほむら(何度も繰り返したあの転校して来た日を思い出してしまうわね)

ほむら「……」

ほむら「……私から話すわ」

ほむら「かつてこの世界に魔獣は存在しなかった。代わりに魔女と呼ばれるモノが人々を呪い、襲っていたわ」


ほむら「魔女……それは魔獣と同じく呪いを振りまく存在……」

ほむら「唯一違うのは魔獣は人々の呪いから生まれるのに対し、魔女は魔法少女の絶望によって生まれること」

マミ「魔法少女の絶望で……それって……」

ほむら「そう、グリーフシードを得るために倒していた魔女はかつて希望を願った魔法少女の成れの果て……」

ほむら「全てはキュゥべえの目的、『宇宙の寿命』を延ばす為……」

ほむら「私たち魔法少女は皆、何も知らずに利用され使い古され、やがて絶望の淵へと堕ちていった」

まどか「……」

QB「……暁美ほむらの言う『かつての世界』において、僕らはソウルジェムが濁り魔法少女から魔女になるという希望から絶望に変わる際の相転移エネルギーを利用していたようだ」

QB「もちろん、この世界ではそういったことはしていない。ソウルジェムが濁り切っても原因不明の現象によって肉体と魂が消えてしまうからね」

マミ「円環の理への導きの事ね」

まどか(えんかん……?)

QB「まぁ、僕としてはこの宇宙を救うに足るエネルギーを回収できればそれでいい」

QB「その為に僕らは地球に来て、君達に与える一つの奇跡と引き換えに、納得して宇宙の存続の為にグリーフシードを集めて貰っている」

QB「有史以来の付き合いである僕らは人類にとって良きパートナーだと自負しているんだけど、どうかな」

杏子「あたしらが自分で願った奇跡だ、そのこと自体に文句はねーさ」

ほむら「……続けるわ」

ほむら「希望を抱いた魔法少女がやがて魔女になり、新たな魔法少女がその魔女を狩る……」

ほむら「この螺旋の中で、キュゥべえの言う通り人類は発展してきた」

ほむら「……でも……」

ほむら「彼女たち魔法少女の中には望まずになったものや、何も知らずに奇跡を願ったものもいたわ」

マミ「……」

ほむら「真実を知った者たちは皆、最期こう思ったはずよ……」

ほむら「――魔女にはなりたくない、と」



―――『私、魔女にはなりたくない……嫌なことも悲しいこともあったけど……守りたいものだって、たくさんこの世界にはあったから……』



ほむら「……」じっ

まどか「……」

ほむら「……その悲しみと絶望の連鎖を一人の少女の願いが断ち切った」

ほむら「魔法少女全てを救うために……願った希望を絶望で終わらせないために」

ほむら「その少女は小さな体と引き換えに私たち全ての業を背負ってくれた……」

ほむら「彼女の願いによって全ての魔女は消滅したわ。……でも、その代償に彼女自身もこの宇宙から消えてしまったのよ」

まどか(……その娘……いなくなっちゃったんだ……)

ほむら「その少女の名前は鹿目まどか……」

ほむら「……あなたよ」

まどか「ええ……!? そんな……わたし……?」

マミ「……待って暁美さん、それってつまりこの子が円環の理そのもの、ということ……?」

ほむら「そうよ、この世界はまどかの願いによってルールが書き換えられ生まれた、新しい世界なの」

杏子「マジかよ……こいつがねぇ……」

まどか「……」

ほむら「まどか、あなたは私の……いえ、私たちにとって掛け替えの無い、とても大切な存在なのよ」

マミ「こんな可愛い子が神さまだなんて」

まどか「……でも、そんなこと急に言われても……はっきりいって実感ないです……」

杏子「細かいことはさて置きだ、こいつが神様だとして……なんでこんなとこに居んだ?」

まどか「……」チラ

ほむら「……」じっ

まどか(……う……さっき抱きつかれたこと思い出しちゃった……///)フイッ…

マミ「……そうね……きっと、暁美さんに会いに来たんじゃないかしら?」

ほむら「え……」

マミ「彼女は暁美さんのことだけを覚えていたのでしょう?」

マミ「時間と存在の壁を越えて再び巡り合った二人……これはそう、二人の想いが起こした奇跡なのよ!!」

杏子「うわぁ……マミ、お前よくそんなこっ恥ずかしいこと言えるな……」

マミ「あら、だとしたらそれはとても素敵だと思わない?」

ほむら「そ、そうなのかしら」

まどか「ごめんなさい……お話を聞いても何も思い出せなくて……」

ほむら「……そう」

杏子「まぁでも、良かったじゃねーか、まどかを知ってる奴が居てよ」

杏子「丁度いい、今日からほむらん家に泊めてもらえよ。他に行く所ないんだろ?」

ほむら「え、行く所がないって……まどかのご両親は……」

まどか「あ、今日行って来たんですけど……わたしのこと、知らないって……」

ほむら(……そうだったわね、ここはまどかの存在が消失した世界……彼女の居場所は、もうどこにも……)

マミ「そうねぇ、一緒にいれば何かのきっかけで暁美さんのこと思い出すかも知れないわね」

杏子「それでも駄目なら奇跡で記憶を戻すってのも有りかもな」

ほむら「――!」

まどか「奇跡で記憶を戻す…・・・?」

QB「僕と契約した魔法少女は願いごとを何でも一つ叶えられるんだ」

まどか「願いごとを……なんでも……」

QB「まどか、君の素質なら魔法少女になれるし、願いによってその望みを叶えることができる」

QB「でもそれはやめておいた方が良いんじゃないかな」

ほむら「え……!?」

QB「どうしたんだい暁美ほむら、そんな驚いた様な顔をして」

ほむら「いえ……」

ほむら(QBがまどかと契約したがらないなんて、意外だわ)

杏子「なんで契約しちゃあいけねーんだ?」

QB「さっきも言った通り、鹿目まどかには膨大な因果が集中している」

QB「もし、彼女が契約すれば願いに関わらず計り知れないほどの力を持った魔法少女が誕生するだろう」

マミ「……」

QB「確かに彼女の加入による戦力の大幅な増加は魅力的だ。けど、その為には現時点では一つだけ問題が発生してしまうんだ」

ほむら「問題……?」

マミ「……魔法少女の数ね」

QB「そうなんだ、この町には既に魔法少女が三人も存在している。ここに鹿目まどかが加わればグリーフシードの供給量に対して需要量が上回ってしまうんだ」

QB「見滝原の魔獣の発生頻度が他より比較的高いといっても、いずれグリーフシードによる魔力の回復が追い付かなくなるだろう」

QB「そうすれば結果的に魔法少女としての寿命が縮まってしまう。これが僕が契約を勧めない理由だよ」

ほむら(……そういうこと……。つまりQBにとってのまどかは単なるストック……)

ほむら(魔法少女が何らかの理由により不足した時の為に温存しておきたい、ということね……)

ほむら(まどかとの契約を止めたから驚いたけれど……)

ほむら(やっぱりキュゥべえはキュゥべえね。打算的で合理性を重視して、それのみを持って行動する、前の世界の時と変わらない……)

QB「他の地域で魔獣を狩るっていう手も有るけど、そこに元からいた魔法少女にはきっと歓迎されないだろうね」

ほむら(……そうね……どうしても縄張り争いが起こってしまうわ……)

ほむら(例え勝利して居場所を勝ち取っても、優しいまどかは心を傷めて契約したことを後悔してしまうかもしれない)

ほむら(それに、もう繋がりは無いとはいえ、家族と離れてしまうし。かつて自分が育ったこの町を出て行く事に対して記憶を取り戻したまどかがどう思うか……)

ほむら「……私もキュゥべぇの意見に賛成よ。まどかには申し訳ないけど、当面彼女は契約すべきではないわね」

マミ「そうね、たった一度の奇跡ですもの。焦ってもきっと良いことはないわ。慎重にいかなきゃね」

ほむら「でもまどか、あなた自身はどう思うのかしら」

まどか「あの……お話しは難しかったけど、何となく分かりました……」

まどか「私は魔法少女になって記憶を戻せる……でも、そうしたらわたしのせいで皆さんに迷惑がかかってしまうんですよね?」

まどか「だったら、わたしはこのままでも良いです。わたしのこと知ってる人がいて安心できましたし」

ほむら「まどか……」

まどか「でも……これからどうしよう……」

ほむら「何も心配しなくていいわ」

まどか「え?」

ほむら「記憶が戻るまでの間は、あなたの面倒は全て私が見てあげるわ」

まどか「……いやあの……でも、迷惑じゃないですか? こんな急に……」

ほむら「そんなことないわ。私はあなたの為にできる事をなんだってしてあげたいの。……それだけの恩があなたにはあるのよ」

まどか「……すみません……ありがとうございます、暁美さん」

ほむら「……いいえ」ニコ

杏子「……取りあえずはこれで一件落着か? だったらあたしはもう風見野に帰るぜ」

ほむら「杏子、マミ、今回は面倒をかけてしまったわね」

杏子「おう、今度メシ奢れよな」

マミ「暁美さんが無事でほんとに良かったわ。でもまだ無理をしないようにね」

ほむら「ええ、感謝しているわ。――そしてまどかも、ありがとう」

まどか「え……? わたし、別になにも……」

ほむら「手を……握ってもらったわ」

まどか「あ……」

ほむら「……とても温かかった」

ほむら「わたし……夢を見ていたの……とても悲しい夢を……」

ほむら「その悪夢に飲まれなかったのは、きっと……あなたの温もりを感じていられたから」

ほむら「だから……ありがとう、まどか……」

まどか「そんな……大したことじゃ……///」

ほむら(……まどか……またあなたに巡り逢えた……そのことが今はとてもうれしいわ)





―――――――――

今回はここまでです

展開的にはここで半分くらいでしょうか

次回予定ですが、また1~2週間ほど時間下さいすんません

マミ「それじゃあね、暁美さん、鹿目さん」

ほむら「ええ、お先に失礼するわ」

杏子「ほむら……次はヘマすんなよ」

ほむら「……肝に銘じておくわ、私だって誰かさんを泣かせたくは無いもの」

杏子「……ふん」

マミ「……?」

まどか「あ、あの……マミさんの紅茶、とっても美味しかったです」

マミ「あら、気に入ってくれて嬉しいわ」

マミ「何時でも来てちょうだいね、また一緒にお茶しましょう」ニコ

まどか「はい!」

マミ「それと……鹿目さん、これ」スッ

まどか「……紙?」

マミ「私の住所と連絡先よ。また暁美さんの調子が悪くなってしまったら連絡してね」

まどか「分かりました」

まどか「杏子ちゃんもありがとうございました」

杏子「おう」

まどか「杏子ちゃんがいなかったら、わたしどうなってたか……

まどか「……あの、今は何もお返しできないけれど……」

杏子「気にすんなって、それに礼ならもう貰ったさ」

まどか「……え?」

杏子「ほむらを起こしてくれた、それで十分だ」

まどか「そんな……偶然です……」

杏子「そんなことないさ……ありがとな、まどか。お前のお陰だ」

まどか「あの……えっと……///」

まどか「……どう…いたしまして……?///」

ほむら(む……どういうことなの? まどかが乙女の眼をしている!?)

ほむら「……ちょっと、どうして杏子とまどかがそんなに親しげなのかしら?」

杏子「なんで、って……」

杏子(なんだ? 嫉妬でもしてんのか? ん、そういやこいつ……まどかに抱きついてたっけ)

杏子(丁度良い、からかってやるか。手間かけさせた罰だ)にや

杏子「そりゃあ、まどかとは一夜を共にした仲だからな」にやにや

ほむら「なっ!!?」

マミ「え、それって///」

ほむら「ほほほ本当なの!?まどか!!!?」ガバッ

まどか「わっ!? 」

ほむら「……」ゴクリ…

まどか「……ほ、本当……だよ……」

ほむら「」

マミ(ええーっ///)

まどか「でも……へ、変な意味じゃなくてね、杏子ちゃんのお家に泊めてもらったってだけで……」

ほむら「」

杏子「あー、こりゃあ聞こえてねえな」ケケケ

まどか「あわわ……」アセアセ

杏子「見たことねぇ顔してやがる、マミの携帯で写真撮っとこ」パシャリ

ほむら「」ピクッ

杏子「お? 復活したか」

ほむら「……まどか……それがあなたの……選んだ道なのね……」ぶつぶつ…

まどか「あ、あの……暁美……さん……?」

ほむら「あなたが幸せなら、わたしはそれでも構わないわ」ニコッ…

まどか「えっ……?」

ほむら「さようならまどか!! 二人でお幸せに!!!」ダダダッ

まどか「あっ……!! 暁美さん!?」

杏子「……行っちまいやがった。ほむらって、あんなキャラだったか……?」



まどか「そ、それじゃ、マミさん、杏子ちゃんさようならっ」ペコリっ

杏子「それじゃーな。記憶、戻るといいな」

マミ「あっ、ええまたね、鹿目さん」

QB「まどか、困った事があったら、何でも僕に言っておくれ。きっと君の力になれるよ」

まどか「うん、ありがとうございました! キュゥべえもね、バイバイ!」ダッ

まどか「暁美さぁーーーん!! 待ってぇーーー!!!」

杏子「……」

マミ「鹿目さん……暁美さんが神様だなんて言ってたけれど、普通の可愛いらしい子ね」ふふっ

杏子「だな。……それにしてもほむらがあんな単純だとはな、後であの写真さやかにも見せてやろーぜ」ひひ

マミ「……あ、それでね佐倉さん、さっきの事なんだけどね……」

杏子「……あん?」

マミ「当人同士のことだから……あまりとやかくは言わないけど……」

マミ「鹿目さんと、その……そういう事しちゃったのなら、ちゃんと……せ、責任取らなきゃダメよ?///」

杏子「お前もかよ……」




QB「………………」





――――――――

―ほむらとまどか 帰宅路―



まどか「―――という訳で杏子ちゃんに助けて貰っただけなんです」

ほむら「……そうだったの。じゃあ、さっきのは誤解なのね」

まどか「暁美さん、急に走り出したからびっくりしちゃいました」ふふっ

ほむら「ごめんなさい、まどか……早とちりして……」ショボン

まどか「でもよかったぁ、追いついて。またひとりぼっちになるかと思っちゃった」

ほむら(杏子め……まどかの前で醜態を晒してしまったじゃないのよ)

まどか「……そういえば、暁美さんのお家って遠いんですか?」

ほむら「いいえ、もう着いたわ。ここよ」


―――ガチャ!


ほむら「……?」

ほむら(鍵が……開いてる……? 掛け忘れたかしら……)

まどか「……どうかしましたか?」

ほむら「……何でもないわ。狭いところだけれど、どうぞ」

まどか「……お邪魔します」

ほむら「今日からここはあなたの家よ。だから遠慮はしないでね」

まどか「はっはい、お世話になります」

ほむら「それじゃ、改めて……私は暁美ほむらよ。よろしくね、まどか」

まどか「鹿目まどかです。よろしくお願いします、暁美さん」

ほむら「……それでねまどか、お願いがあるの」

まどか「お願い……ですか……?」

ほむら「あなたと私は同い年なの。だから……そんなにかしこまらずに、お友達のようにしゃべって貰えると嬉しいわ……」

ほむら「それで……よければ、その……」

ほむら「……ほむらって……名前で呼んでくれないかしら」

まどか(あ、そうか……暁美さんから見たわたしは、抱きつく位の親しい……)

まどか(そうだよね、そんな人が急に他人行儀になったら、多分わたしも悲しいと思う……)

まどか「……うん、わかったよ。よろしくね、ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」

まどか「……ごめんね。頑張って、思い出すから……」

ほむら「……いいのよ、無理しないで。ゆっくり行きましょう」

まどか「……うん」

ほむら「……」

まどか「……」じっ

ほむら「……?」

まどか「……ふふっ」

ほむら「……な、何かしら?」

まどか「さっきのほむらちゃんの顔、思い出したら可笑しくって」

ほむら「……お願い、その事は早く忘れて……」

まどか「……最初ね、寝ているほむらちゃんを見たときに綺麗だけど、ちょっと怖そうな人だなって思ったの。取っ付きにくそうっていうか……」

ほむら「……」

まどか「でもね、お話してると分かるんだ。とても優しい心を持った人なんだって、わたしのこと思いやってくれてるんだって」

ほむら「まどか……」

まどか「それでね、ちょっとおっちょこちょいなところがあって、そこが可愛いなって」

ほむら「もう!」

まどか「えへへ///」



―――グゥゥ…



まどか「あ……」

ほむら「お腹の音……?」

まどか「……///」

まどか(……マミさんの所で軽く食べたのに、またやっちゃった///)

ほむら「……ふふっ」

まどか「あー!今笑わなかった!?」

ほむら「いいえ? 笑ってないわ」

まどか「うぅ///」

ほむら「私もお腹が空いてしまったわ。直ぐに用意するわね」ふふ

まどか「むー、また……///」

ほむら(……とても懐かしいわね、この温かな感じ……)

ほむら(……と、しまった)

ほむら(調味料と……カロリーメイトしかないわ)

ほむら(いつも夜はお惣菜を買って済ませてたから……)

ほむら(そうだ! せっかくだからアレを作りましょう!)

ほむら「まどか、晩ご飯の材料を買って来るから少し待っててもらえるかしら」

まどか「え……」



―――ガチャ、バタン



まどか「あ……行っちゃった」

まどか「一緒に買いに行っても良かったのに……」

まどか「……」

まどか「……」

まどか「……それにしても……このお部屋……」キョロキョロ

まどか(あまり家具とか置いてなくて少し寂しい感じ)

まどか(ぱっと目に付くのっていったら……)

まどか(カーテンの無い窓と……)

まどか(棚の上の写真立て……)

まどか(そして、吊るしてある学校の制……服……)

まどか「………」

まどか(…………あれ?)

まどか(もしかして……ここって……)

まどか「え……? うそ……!?」

まどか(わたしが目を覚ました場所!?)

まどか(ええーっ!!?)

まどか(……)キョロキョロ

まどか(……やっぱり、そうだ。あの時と全く一緒だ……)

まどか(マミさんが言ってたみたいに、ほむらちゃんとわたしは特別な何かがあるのかな……)

まどか(……ほむらちゃんの手を握った時、急に哀しい気持ちが湧いて来て……)

まどか(でも、その中に別な気持ちも感じて……それが何かは分からないけど)

まどか(……気付いたらわたし、泣いてた……)

まどか(……)

まどか(わたしにとってのほむらちゃんてどんな人だったんだろ……?)

まどか(……)

まどか(……わかんないや)

まどか(でも……ほむらちゃんが居てくれて、わたしを知ってる人がいてくれてホントによかった。ひとりぼっちじゃないんだもの)

まどか(それに、ほむらちゃんと一緒に居ると何だかあったかい気持ちになるんだ)

まどか(えへへ、ほむらちゃん…まだかな……)

まどか(…………………)

まどか(…………)

まどか(……)


 
 
 
 
『 
  ―――ほむら「どう?まどか?決まりそう?」


  ―――まどか「あの、やっぱり決まんなくって、どんなのが良いのかなって…」

  ―――ほむら「そうね…思い出になるような、見返す度にまどかを思い出すような…そんなものが良いんじゃないかしら?」

  ―――まどか「思い出かぁ…あ!」

  ―――まどか「これなんて、どうかな?」

  ―――ほむら「写真立て…」

  ―――まどか「これならその人の大切な思い出も一緒に飾れるから」

  ―――ほむら「まどからしくて、とても良いと思うわ」
                             』

 
 
 
 

  ―――まどか「えっとね…さっきとは別に、とても大切な人に贈るプレゼントなの」

  ―――ほむら「……それってもしかして、例のまどかの…その…好きな人に、かしら?」

  ―――まどか「う、うん///」
                  』

 
 
 

 
 
 
 

  ―――まどか「ほむらちゃん自身はどの時計が良いと思う?」

  ―――ほむら(……そうね)

  ―――ほむら(さっき見つけた…これかしら。控えめなピンクの意匠がまどかを連想させるから・・・)

  ―――ほむら「私は…この時計が欲しいわね」
                         』

 
 
 
 
 

  ―――ほむら「プレゼント…上手くいくと良いわね」

  ―――ほむら「いいえ、あなたならきっと上手くいくわ。だからその大切な人に、想いの全てをぶつけなさい」

  ―――まどか「……うん!がんばるね!」

  ―――ほむら(そうよ…まどかなら…きっと)
                         』

 
 
 

 
 
 
 
『これが彼女の心の拠り所。唯一の希望』




(希望……? )

(彼女……って、ほむらちゃんの……?)

 
 
 

 
 
 
 
『そう、そして同時に―――』




(―――え?)









――――――――
―――――
―――

 
 
 

今回はここまで

次回は、また1~2週間後の予定です

 
 
 
―――トン……


―――トンッ……!



まどか「………ん……ぅん……?」

ほむら「あ、ごめんなさいまどか。包丁の音……うるさかったわね」

まどか(いつの間にか寝ちゃってたんだ……)ぐしぐし…

まどか「……」ボー…

まどか(……何か夢を見ていたような……?)

ほむら「今ご飯を作っているから、もう少しだけ待っててもらえるかしら」トンッ…!

まどか(うーん、思い出せない……まいっか)

まどか「ほむらちゃん、わたしもお料理手伝うよ」

ほむら「いいのよ休んでても。色々あって疲れてるでしょうから」

まどか「ううん、お世話になるんだもの。何もしないのは悪いよ」

ほむら「……じゃあ、お言葉に甘えて手伝ってもらおうかしら」

ほむら「実はお料理なんてしたことなくて、不安だったのよ」

まどか「あ、そうなんだ」

ほむら「ええ、それで今じゃがいもの皮を切っていたのだけれど、なかなか上手く出来なくて……」

まどか(切り口がダイヤモンドのカット面みたいになってる……)

ほむら「皮だけを切れないのよね、どうすればいいのかしら」

まどか(さっきのアレは皮を剥いてる音だったんだ……まな板の上に置いてそのまま切ったのかな)

まどか「えっと……」

まどか(……ん?)

まどか「あれ? ほむらちゃん、このお野菜洗った?」

ほむら「いいえ……?」

まどか「お野菜はね、ちゃんと洗わないと泥とか農薬とか残っちゃって良くないんだよ」

ほむら「そうだったのね」

ほむら(煮沸するからそのままでも構わないと思っていたわ)キュッ、ジャー

まどか「あ! ほむらちゃん、その腕時計……」

ほむら「え……」ピクッ!

まどか「外したほうがいいよ、濡れちゃうから」

ほむら「…………」

まどか「……?」

ほむら「……そうね」スッ…コト

ほむら(…………)ジャバジャバ

ほむら(……まどかが時計を意識した時に何かを思い出すんじゃないかと、淡い期待をしていたけれど……)ジャバジャバ

ほむら(…………)ジャー、キュッ

ほむら(……落ち込んでも、しょうがないわね)


ほむら「洗い終わったわ」

まどか「うん、そしたらさっきのじゃがいもの皮を切ろっか」

まどか「ちょっと包丁借りるね」

ほむら「ええ、どうぞ」

まどか「さっきほむらちゃんが切ってたやり方じゃなくて、もっと良い切り方があるの」

ほむら「やっぱりあのやり方は間違ってたのね……」

まどか「えっとね、まずお野菜を手に持って……」

ほむら「持ったわ」

まどか「そしたら、包丁の真ん中をナナメにあてて……少しずつ力を入れて行くの」ショリショリ

ほむら「むむむ……」

まどか「あ、親指で抑えるとやり易いよ」

ほむら(えーと、角度を調節して親指で抑えて……)

ほむら(包丁に力を……入れる……!)ショリッ

ほむら「出来たわ!」

まどか「それを皮を切り離さずにそのまま一周させるかんじで、こう……」ショリショリ…

ほむら「む、難しいわね……」ショリッ

まどか(ほむらちゃんの横顔、すごい真剣……)

まどか(殆どお料理知らないのに無理してわたしの為に作ってくれようとしてたんだなぁ……)

ほむら「……何とか剥き終わったけど……まどかのと比べると歪だわ」

まどか「大丈夫、わたしの初めての時より上手だよ」

まどか「後はこうやって包丁の角で芽をとるの」グリグリ

ほむら「何だかずいぶんと手馴れてるのね」

まどか「よく一緒にお料理してたから」

まどか(……あれ?)

まどか「一緒に……って、誰とだっけ……?」

ほむら「……きっとまどかのお父様ね。素晴らしい料理の腕の持ち主なのよ」

まどか(あ、お昼に行った時に見たっけ。眼鏡をかけた人の良さそうな感じの……)

まどか(いまいちピンとこないや……)

ほむら「記憶が戻って来ているのね、良い傾向だわ」

まどか「そうなのかな……」

ほむら「少しずつ、ね」

まどか「……うん」

ほむら「 それで、次はどうすればいいのかしら」

まどか「あ、次は食べやすい大きさに切るの」

ほむら「……こう?」トンッ、トンッ

まどか「うん、バッチリだよ!」

ほむら「ありがとうまどか、助かったわ。後は切って煮込むだけだから、もう大丈夫よ」

まどか「え? もういいの?」

ほむら「ええ、残りは自分でやりたいから……」

まどか「……うん、わかったよほむらちゃん。何かあったら聞いてね」

ほむら「ええ、任せて頂戴! でも……あまり期待はし過ぎないでね……」

まどか「ふふっ、楽しみに待ってるね!」

まどか(……あ、そういえば何を作るか聞いてなかった)

まどか(何だろう? えーと、材料はじゃがいもとニンジンとタマネギとお肉……)

まどか(それらを煮込むから……カレーかなぁ……)





――――――

ほむら「……」グツグツ…

まどか(あ……良い匂い……)

ほむら(味は……多分大丈夫……)ペロ

ほむら(お皿に盛り付けて……これで完成ね……!)

ほむら(炊飯器が無いから御飯は出来合いだけど、しょうがないわね……)

ほむら「お待たせ、まどか」トン

まどか「わぁ、クリームシチューだったんだ。 えへへ、美味しそうだね」

ほむら「……どうかしら、まどかの口に合うといいのだけど……」


まどか「いただきます」

ほむら「……!」じっ

まどか「……あの」

ほむら「……?」

まどか「そんなに食べるとこ見つめないでほしいな///」

ほむら「あっ、ご、ごめんなさい……」ふい

まどか「……あむ」

ほむら(……)ドキドキ

まどか「……うん、美味しいよ!」

ほむら「あ……」

ほむら(よかった……)ほっ

まどか「ほむらちゃんも食べようよ」

ほむら「ええそうね、私も頂きましょう 」

ほむら「……あむ」モグモグ…

ほむら(……あれ?)

ほむら(少し苦みが……味見の時は大丈夫だったのに……?)

ほむら(――あ……! しまったわ……)

ほむら「混ぜ方が甘かったのね……底の方が少し焦げて……」

ほむら「ごめんなさいまどか、自分でやるだなんて大見得切っておいて……失敗ね」

まどか「……」モグモグ、ゴクン

まどか「……失敗だなんて、そんなことないよほむらちゃん」

ほむら「え……」

まどか「気持ちが込もってればね、どんな味だってそれは食べた人にとって、とても美味しい味になるんだよ」

まどか「このシチューを食べるとね、とても優しい味がして暖かい気持ちになれるんだ」

ほむら「まどか……」

まどか「料理のなれてないほむらちゃんが、私なんかの為に気持ちを込めて一所懸命に作ってくれたから」

まどか「 だから、わたしはこの味が好き」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「それにね……失敗したって、間違えたって良いんだよ。それでお終いじゃないんだから」

まどか「だから一歩ずつ、前に進んで行こっ?」

ほむら「あ……」

まどか「えへへっ、また明日一緒に作ろうね!」

ほむら「ええ……!」




――――――

まどか「それじゃ、お風呂。先に入ってくるね」

ほむら「ええ、私はまどかの後に入るから。その間に片付けを済ませちゃうわね」

まどか「ごめんね、明日は私がやるから」

ほむら「いいのよ気にしなくて、私が好きでしているのだから」

ほむら「……」ジャー、キュキュッ…

ほむら(……ご飯、美味しいって言ってもらえて良かった)

ほむら(あの子は本心から言ってくれてる、ってのは分かっているけど……)

ほむら(次は気を遣わせないよう必ず成功させるわ!)

ほむら「……♪」ジャバジャバ

ほむら(……あ、そうだ)

ほむら「そういえば、まどかの着替えって……無いわよね……」

ほむら(明日まどかと一緒に買い物に行きましょう。二人で暮らすには服の他にも色々必要だし……)

ほむら(……はっ!? 何てことなの!? 二人で暮らすって、よく考えたら同棲じゃない!!)

ほむら(つまり……!)



―――まどか『お帰りなさい、ほむらちゃん』

―――まどか『ご飯にする? お風呂にする? それとも……///』



ほむら(まどかぁーーーっ!!)

ほむら「はっ!?」ジュル…

ほむら(っと、妄想してないで早くまどかの着替えを持っていかないと……)

ほむら「私のパジャマ、サイズは多分大丈夫よね。後は……」

ほむら(下着……ね。ごめんねまどか、新品が無いから私ので我慢してね。ちゃんと洗濯してあるから)

ほむら(これでよし)

ほむら「まど――」ハッ!!?

ほむら(こっ、これは!? )

ほむら(脱ぎたてホヤホヤの……! まどかのパンツ……!!!)

ほむら(……)ゴクリ…

ほむら(……い、今ならっ)

ほむら(……くっ! いや、しかしそれは人として一線を超えてしまうっ……!)ブンブンっ

ほむら(こんな変態じみた最低なこと……)

ほむら(……それにこんなのただの布でしかないじゃない!)

ほむら(……そうよ! まどかが履いたってだけの……)

ほむら(…………)

ほむら(……でも、そこに価値があるのよね)そ~っ…

 
 
 
―――ガチャッ!




ほむら「!!」ビクビクッ!

まどか「わっ!? ほむらちゃん!?」

ほむら「ままままどか!!」

まどか「あわわ///」



―――バタンッ!!



<ど、どうしたの?///

ほむら(まどかの裸まどかの裸まどかの裸……)ボー…

<ほむら……ちゃん……?

ほむら「はっ!? じゃなくて、きき着替えをおこうと……!」アセアセ

まどか(あ、そっか。わたし着替えないもんね///)

ほむら「やっやましいことは何もないわ!!」

<う、うん……?///

ほむら「ごめんなさいまどか! き着替え、ここに置いておくわねっ!」ダッ

まどか(あうぅ……/// 全部見られちゃったよぅ///)




――――――

 
 

―ほむら 風呂―



―――ピチョン…



ほむら「はぁ……」

ほむら「やってしまったわ……」

ほむら(彼女にとっての私はほぼ初対面……同性とはいえ体を見られるのはきっと嫌よね)

ほむら(……)

ほむら(でも……まどかの裸……)

ほむら(とても綺麗だったわね)ホゥ…

ほむら(慎ましやかな膨らみかけの胸と……)

ほむら(弾力のありそうなハリのあるおなか……)

ほむら(そして……その下にある……まどかの……)

ほむら「……///」

ほむら(それに今、私のパンツがまどかの可愛いらしいおしりを包んでいるのよね……)

ほむら(……)ムラッ…

ほむら(……想像したら、昂ぶってきちゃった///)

ほむら(……ごめんなさい、まどか……ちょっとだけ……)モゾモゾ

ほむら(んっ…………)

ほむら(まどかぁ……)はぁ…はぁ…

ほむら「…………っ…………」はぁはぁ…

ほむら「…………………ぁ…」ピクッ



―――ピチョン…





―――――
 

 
 
 
まどか(……お布団あったかい)


まどか(ほむらちゃんにわたし床でも良いって言ったのに……ベッド譲ってもらっちゃった……)

まどか(……)くんくん

まどか(……お布団もパジャマもほむらちゃんの匂い……いい匂い……)

まどか(……なんだか変態さんみたい///)

まどか(うぅ……///)

まどか(さっき裸見られちゃって変なんだ……ドキドキしっぱなしで……)

まどか(……ほむらちゃん)



まどか(お家に泊めてもらって、ご飯作ってくれて、ベッドも譲ってもらって……)

まどか(……)

まどか(杏子ちゃんもマミさんも、ほむらちゃんもみんな優しくていい人で……)

まどか(魔法少女、かぁ……)

まどか(出来るならわたしも一緒に戦って、みんなの役に立ちたいなぁ)

まどか(……わたしもなろうと思えばなれるん……だよね……)

まどか(そして一つだけ願いを叶えられるって……)

まどか(みんなが困らなくて済むような、なにかいい願い事ってないのかな)

まどか(……)チラッ

ほむら「……」



まどか「……ねぇ、ほむらちゃん?」

ほむら「……何かしら、まどか」

まどか「寝る前に少しお話ししてもいいかな」

ほむら「ええ、構わないわ」

まどか「えっとね、ほむらちゃんも魔法少女……なんだよね?」

ほむら「……そうよ、これを見て」スッ



―――ポゥ…



まどか「わぁ、キレイな宝石」

ほむら「これはソウルジェムといって、魔法少女である証しよ」

ほむら「……そして、わたし達の魂そのもの」

まどか「え? 魂……?」

ほむら「そう、私達の肉体はただの入れ物に過ぎないわ。魔獣との戦いに身を投じる魔法少女にはその方が都合がいいのよ」

ほむら「魔法少女と言っても楽しい事なんてそうないわ。有るのは戦いの毎日だけよ」

ほむら「あなたも、もしも……」

ほむら「……もしも契約するというのなら良く考えてね」

まどか「うん……」

ほむら(魔女のいなくなったこの世界では、まどかが契約する事自体に問題はないけれど……)

ほむら(でも、出来ればまどかにはそのままでいて欲しい)

ほむら(そして、わたしと……)じっ

まどか「……」

ほむら(……分かっているわ。所詮、独りよがりな私のわがままだって)

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん。契約って、魔法少女になる代わりに願いごとをなんでも叶えられるんだよね」

ほむら「……そうよ」

まどか「ほむらちゃんは、どんな願いごとをして魔法少女になったの?」

ほむら「……」

まどか「あっ! ご、ごめんね! 言いたくなかったらいいの!」

ほむら「…………」

まどか(うぅ……失礼だったよね……そうだよ、たった一つの願い事だもん。聞かれたくない人だっているよね……)

ほむら「……少しだけ……長くなるけど、いいかしら」

まどか(あ……)

まどか「……うん、よければ教えて欲しいな」

ほむら「……」

まどか(……ほむらちゃんの願い事……)

まどか(一体何だろう……)

ほむら「……あの時の事は……今でも昨日の事のように覚えているわ……」

まどか(……)

ほむら「魔法少女になる前の私は……とても病弱で、心臓の病を患っていたためにろくに学校も行けずに入院生活の日々を送っていたわ」

ほむら「同じくらいの年の子が友達同士で一緒に下校しているのを、病室の窓からただ羨ましそうに眺めるだけの毎日だった……」

まどか(今は全然そうはみえないけれど、ほむらちゃんて昔、体の弱い子だったんだ……)

ほむら「長い入院生活だったけど、それでも少しずつ病気は良くなって、ついにまた学校に行けることになったわ」

ほむら「不安もあったけど、それ以上に嬉しかった。また元の生活に戻れるって、皆と同じ人生を送れるんだって」

ほむら「そしていつも窓から見ていた光景に友達と笑い合う自分を重ねて、そんなことを考えながら登校の日を心待ちにしていたわ」

ほむら「……でも、その期待はすぐに打ち砕かれたわ」

まどか(え……)

ほむら「学校での私は授業にはついて行けず、虚弱なせいで運動でも直ぐにへばってしまって」

ほむら「急な環境の変化に私は馴染めず、一人浮いた存在になってしまった」

ほむら「周りから聞こえる嘲笑と、憐憫に満ちた視線に晒されて……私は悟った」

ほむら「ここには私の居場所なんて無くて、こんな体に生まれた私は最初から普通の人生を歩むことなど出来はしなかったのだ、と」

まどか(……)

ほむら「でもね、そんな中で一人だけ私に優しくしてた人がいたの」

ほむら「彼女は、転校してきたばかりで困っていた私に声をかけてくれて、他にも色々優しくしてくれた」

ほむら「……それがとても嬉しかった」

ほむら「何も出来なくて劣等感しかなかった学校生活の中で、彼女の存在だけが私の心の支えだった」

まどか「……」

ほむら「ある日の帰り道、私はまた人に迷惑を掛けてしまい皆に蔑まれたことを思い出して、憂鬱な気持ちで歩いていた」

ほむら「そしたら声が聞こえたの」

まどか「声……?」

ほむら「そう……どこまでも暗く冷たい声で私に語りかけてきたわ」

ほむら「ずっとこんな人生なら、死んだほうがいい、って」

ほむら「その時私は思ってしまった、声の言う通りこの先も良い事など何もない」

ほむら「だから、いっそ死んでしまおう……と」

まどか「だ、ダメだよ……死んじゃだめだよ!」

まどか「死んだほうがいいなんて、そんなことないよ! 生きていれば、良かったって思える事がきっと、きっとあるよ!」

ほむら(……)

ほむら「そうね……その通りよ」

ほむら(そして、あなたがそれを与えてくれたわ……数え切れない程に……)

ほむら「……でも大丈夫よ、まどか。私は今ここにいるもの」

まどか「あ……そっか、そうだね///」

ほむら「ふふ、続けるわね」

ほむら「……気付いたら周りの景色が変わっていて、いつもの帰り道では無く、まったく別の場所になっていたわ」

ほむら「心の弱りきっていた私は魔女に半ば魅入られ、奴らの結界に誘い込まれてしまったのよ」

ほむら「当時の私には何が起こったのか分からなかったけどね……」

まどか(うーん……ここでほむらちゃんが魔法少女になってピンチから脱出する……のかな……?)

ほむら「わけも分からず混乱していた私の目の前に、怪物が現れて襲い掛かってきたわ」

ほむら「パニックで逃げる事も出来ず、恐怖に足がすくんでしまった私は、迫り来る死のイメージを感じ取り……思ったわ」

ほむら「私の人生はここで終わってしまうのだ、と」

まどか「……」ゴクリ……

ほむら「目をつむった瞬間、銃声が鳴り響いた」

ほむら「驚いて目を向けると、その先には二人の少女が立っていたわ」

ほむら「銃を構えた大人びた少女と弓を携えた小柄な少女、二人は自分達のことを魔法少女だと言った」

ほむら「小柄な少女が放つ矢で、魔女は一撃の下に消滅したわ」

ほむら「でもそんなことより、私は弓をもった少女を見て驚いていた」

ほむら「その少女は、私が転校して来た日に優しくしてくれたあの子だったから」

まどか「えーっ! すごいよ!! 漫画とかアニメのお話しみたい!」

まどか「知り合いのピンチに現れて、悪を倒す! カッコいいなぁ……そういうのちょっと憧れちゃうなぁ……」

ほむら「そうね、私も彼女の勇姿に心を奪われてしまったわ」

まどか(あれ? でもまだ魔法少女にはならないんだ……)

ほむら「それから二人が魔法少女であるという秘密を知った私は、彼女達と仲良くなったわ」

ほむら「もう、学校だって苦にならなかった。秘密を共有する友達と頼りになる先輩が出来たし、何より魔法少女というファンタジーな存在がすぐ側にいるという事実に、私はある種の優越感に浸って浮かれていたわ」

ほむら「一緒にお昼休みにお弁当を食べて、買い物にもいって、たまに先輩の家に呼ばれてお茶を飲みながらおしゃべりして……毎日が楽しかった」

まどか「なんだか、めでたしめでたし、って感じだねっ」ふふっ

ほむら「……そうね、ここでお終いならば――」

ほむら(あなたも、私も……)

まどか「……?」

ほむら「……でもねまどか、そんな日々は長くは続かなかったのよ」

まどか「え……?」



ほむら「ある日、とても強大な力をもった魔女が現れたわ」

ほむら「その魔女は大規模な自然災害と同程度の、とてつもない力をもっていた」

ほむら「人々を守る為に魔女に立ち向かった先輩は死んでしまい……街も破壊し尽くされ、残る魔法少女は彼女だけになってしまった」

まどか「そんな……」

ほむら「……私は彼女に言ったわ」

ほむら「一緒に逃げましょう、って」

ほむら「私は怖かった、死にたく無かった。そして……卑怯だった」

ほむら「でも、彼女は違った。街の人達の為に、家族の為に、散っていった先輩の為に……無駄だと分かっていながら、一人で魔女に向かって行って――」

まどか(……)

ほむら「私と友達になれて嬉しかったって、私を助けられた事が誇りだって。それが彼女が去り際に残した……最後の言葉だった……」

ほむら「……彼女の亡き骸を前に私はむせび泣いたわ」

ほむら「私なんかを助けるよりも……彼女に……生きててほしかったから……」

ほむら「一緒に……いたかったから……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……だから、私は願った」

ほむら「彼女を助ける為に、守れてばかりいた弱い自分ではなく、彼女を守れる自分になる為に――」

ほむら「……」

ほむら「彼女との出会いをやり直す」

ほむら「それが私が望み、叶えた願いよ」

まどか(……)

ほむら「時間遡行の能力を手に入れた私は、彼女との出会いと……それと同じ数の別れを繰り返して来た。何度も何度も、同じ時間を巡って……」

ほむら「全ては彼女を救う為……」

まどか(出会いを……やり直す……これがほむらちゃんの願い………)


ほむら「……」

ほむら(……きっとまどかは自分の願いの参考に、純粋に私の願いが何か気になっただけ……)

ほむら(だから……まどかの名前は伏せたわ。この話しを聞いてまどかが思い出せなければ、また自分を追い詰めてしまうでしょうから……」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら」

まどか「ほむらちゃんは出会いをやり直して……その子を助けることが出来たん……だよね?」

ほむら「……いいえ、助けられなかったわ」

まどか「……」

ほむら「結局、彼女は私の手の届かない所へ行ってしまった。でも、私はそれでも構わなかった……」

ほむら「それが、彼女の選択だったから……」

ほむら(それに……あなたの想いを受け取ることができたから……)じっ

まどか( ほむらちゃんの哀しそうな目……マミさんの家で私を見つめてた時と同んなじ……)

まどか「……」

まどか(……そっか……そうなんだ……)

まどか(ほむらちゃんが契約する理由になった子って……)

ほむら「……」

まどか「……どいよ」ボソッ

ほむら「まどか……?」

まどか「そんなの……酷いよ……」じわっ

ほむら「……!」はっ

まどか「そこまでして……そこまで想っていた人が……何も…っ…覚えて……ないんだもん……っ」ツゥ…

まどか「わたし……何も覚えてないんだもんっ……!!」

ほむら(……まどか……気付いて……)

まどか「わたし…っ…何も知らないでっ……ほむらちゃんに甘えて……」

まどか「きっと……無神経な言葉も…っ…一杯言ってて……っ」

まどか「わたし…っ…自分の事ばっかり考えてて……!」

ほむら「そんなことないわまどか……」

まどか「うっ……うえぇ……っ」ポロポロ…

ほむら「泣かないでまどか、あなたを責めてるわけじゃないのよ」

まどか「わかってる……わかってるよぉっ……」

まどか「でも……でも……っ……」じわっ

まどか「うっ……うああぁ……っ……」ボロボロ…

まどか「ごめんなさい……っ……」

まどか「何も…っ…覚えてなくて……」

まどか「ごめん……っ……なさ……っ」ボロボロ…

ほむら(ああ……まどか……)

ほむら(あなたはいつだって他人の傷みを自分も感じて……その小さな体で全てを受け止めようとして……)

ほむら(まどか……あなたは優しすぎる……)

ほむら(いつでも、どんな時でも、どの世界だって、たとえ私のことを忘れていたって)

ほむら(やっぱりあなたは、私の憧れたあの日と同じ……鹿目まどかなのね)

ほむら(そんな……そんなあなただから私は――)

まどか「……ひっく……ぐすっ……」

ほむら(……最初はただあなたの役に立ちたかった)

ほむら(自分のことなんてどうでも良かった……あなたを助けられればそれで良かった……)

ほむら(でも、繰り返す時間遡行の中で何度もあなたに出会って、何度もあなたのその優しさにに触れて)

まどか「…………」ぐすっ…

ほむら(いつしかあなたの存在は私の中でとても大きなものになってしまっていた)

ほむら(あなたの側に居たいと思ってしまった……あなたの笑顔を隣でいつまでも見ていたいと思ってしまった……!)

ほむら(まどか……)

ほむら(今はこの想いが届かなくたっていい)

ほむら(あなたが今ここに居るうちに伝えたい……でないとまた――)

ほむら「まどか……」

まどか「……」

ほむら「私……私ね、あなたのことが――」
 

まどか「……すぅ……すぅ……」

ほむら(……まどか……)

ほむら(……)

ほむら(きっと感情が溢れ過ぎて疲れてしまったのね………)

まどか「…………ほむら……ちゃ………」ツゥ…

ほむら(……)

 
 
 
 
 
ほむら(……おやすみなさい……まどか)








――――――――
―――――
―――
 

今回はここまで、次回の投稿日は未定です
ちょっと間隔空くかもです、すんません

ではまた、ありがとうございました



「まどかが契約すること自体に問題はない」ってすげー違和感あるんだが
絶望して呪い振りまいて終わる、願いに裏切られるってことが無くなっただけで、生きるために死の危険を冒して
魔獣と戦い続けなければいけない、命の安売りであることは何も変わってないんだぞ
マミやさやかのように(改変後も同じ願いかどうかは知らないが)、重大な、もしくは他に致し方無い願いを叶えたなら
まだ少しはマシだろうが、野良猫だのケーキだので契約しちまったら目も当てられない
せっかく戻ってきたまどかに対してそんなことを許容するはずはないのに、このほむらは危機意識が薄すぎだろう

>>375
ご指摘ありがとうございます


順番に考えて見ます



1.>願いに裏切られるってことが無くなっただけで、生きるために死の危険を冒して
   魔獣と戦い続けなければいけない、命の安売りであることは何も変わってないんだぞ

このSSのほむらは「まどかが契約して魔法少女になる」ことをどう思っているのか? ですね
基本的にはこのSSのほむらも>>354にあるように、>>375さんと同じような認識です

>ほむら「そう、私達の肉体はただの入れ物に過ぎないわ。魔獣との戦いに身を投じる魔法少女にはその方が都合がいいのよ」

>ほむら「魔法少女と言っても楽しい事なんてそうないわ。有るのは戦いの毎日だけよ」

>ほむら「あなたも、もしも……」

>ほむら「……もしも契約するというのなら良く考えてね」

>まどか「うん……」

>ほむら(魔女のいなくなったこの世界では、まどかが契約する事自体に問題はないけれど……)

>ほむら(でも、出来ればまどかにはそのままでいて欲しい)

2.>野良猫だのケーキだので契約しちまったら目も当てられない
   せっかく戻ってきたまどかに対してそんなことを許容するはずはないのに、このほむらは危機意識が薄すぎだろう


なぜ原作ほむらはまどかの魔法少女の契約を阻止していたのか? ですね
それは、ほむらはループ内でまどかと交わした約束があるからです


>まどか「キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?」
>ほむら「約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!」


この約束の為に、当初まどかと一緒に戦いたかった、まどかと対等な関係でそして彼女に認められたかっただけであろうほむらの気持ちは
当初とのズレを生じてしまい、11話での心情の吐露へと繋がりました


>ほむら「彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」
>ほむら「鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ!これから一緒に頑張ろうね!」


>ほむら「繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。たぶん私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」
>ほむら「あなたを救う。それが私の最初の気持ち。今となっては…たった一つだけ最後に残った、道しるべ」
>ほむら「わからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい。それでもどうか、お願いだから、あなたを私に守らせて」


まとめますと
以上と最終話のリボンを結ったほむらの笑顔を鑑みて
ほむらはまどかの契約そのものを否定している訳ではないと、私は推察した次第です

なので改変後である当SSでは契約してもキュゥべえに騙され、魔法少女が魔女にるということはないため
まどかの意思とその選択を尊重し、契約を許容しつつもほむらの心情的には否定的、といった
>>354のようになりました

ageてしまった……


どうでしょう、少しは説得力あったでしょうか?
自分まどマギの議論大好きなので、突っ込みどころや疑問がまたありましたら
ぜひどうぞ

まどかの契約阻止の理由の一つに、まどかには家族が居る幸せな生活があることがあったし、インフォームドコンセントを欠いてない状態で幸せな生活を手に入れる為の契約を行うならほむらは口出しすべきじゃないと言っているんじゃないのかと思ってた。

むしろ
ほむら「絶対契約してはいけないわ」
まどか「大丈夫、ほむらちゃんさえいればそれでいいよ」
みたいなのだったら即閉じ

楽しみにしてるじぇ

鹿目『うぐっ…ぁ……っ!』ビクッ

暁美『――! どうしたの!?』

鹿目『うぅ……っ……!』

暁美『鹿目さん? しっかりして!』

鹿目『……どう……して……?』ツゥ…

暁美『鹿目さん!?』



―――ピシッ……!



暁美『ソウルジェムにひびが……!?』


鹿目『あああーーーっ!!』

暁美『鹿目さん!?』



―――パリンッッ!!バシュウウゥ!!



鹿目『……』ズズズ…

暁美『何で…? どうして……? なんで……こんな……』



―――ズモモ……

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
魔女『ヴォオオオオォ!!』ズモモモ…

 
 
 
 
 
 

ほむら「――っ!!」ガバッ!

ほむら(……)ハァ…ハァ…

ほむら「……はぁ」

ほむら(……夢……)

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「――!」ハッ

まどか「よかった……目を覚ましてくれて……」

ほむら「まど……か……」

まどか「ほむらちゃんまたうなされてたから……」

まどか「起きなかったらどうしようかと……」

ほむら「ありがとうまどか、大丈――」クラッ

まどか「あっ、もう少し横になってた方が……」

ほむら「……そうね、そうさせてもらうわ」

まどか「うん、それが良いよ」

ほむら「……時間は……もうお昼なのね」

まどか「あ、ご飯……どうしよっか? 食べられるかな?」

ほむら「そうね……いただこうかしら」

ほむら「昨日のシチューがまだ鍋に残っていたわね」

まどか「うん、じゃあ温めなおしてくるからほむらちゃんはそのまま寝てて」スッ

ほむら(……何だか、気分が優れないわね)

ほむら(きっと、さっきの夢せいね……)

ほむら(まどかが魔女になるだなんて……私が最も見たくない……)チラ

まどか「~♪」コトコト

ほむら(……でも、もうその過去は過ぎ去った)

ほむら(そして、目の前にいるまどかは夢なんかじゃない、確かに存在しているわ)

まどか「お待たせほむらちゃん」

まどか「温めるついでに残りのシチューとご飯を混ぜてリゾット風にしてみました。これなら食べやすいと思うから」

ほむら「ありがとう、まどか。気が利くのね」

まどか「えへへっ、昨日のお返しってわけじゃないけど……して欲しい事があったら何でも言ってね」

ほむら(何でも……? そうね、今して欲しいのは……)

ほむら「……あーん、ってしてくれないかしら」ぼそっ

まどか「えっ……!?」

ほむら(!? し、しまった声に……!)

まどか「……」

ほむら(はぁ、引かれてしまったかしら……引かれてしまったわね……)

まどか「……あ、あの」もじもじ

ほむら「……?」

まどか「あ、あーん……///」

ほむら「」ブシュッ……

ほむら(か、可愛い過ぎて鼻血ががが…上目遣いからのあーんだなんて反則レヴェルよ!)

まどか「あ、あの……///」

ほむら「ごめんなさい、いただくわ」

まどか「ど、どうぞ……///」

ほむら「あむ……」モグモグ

まどか(な、何だか、すっごく恥ずかしいよー///)

ほむら「おいしいわ」

まどか「うん///」

ほむら「まどか、もう一回……」

まどか「も、もうおしまいっ!」

ほむら「……さっき、何でもしてくれるって……」

まどか「うぅ……///」

ほむら「じゃあ……まどか……」

まどか「……?」

ほむら「はい、あーん……」

まどか「えぇっ!?///」

まどか「わわ、わたしはいいよ……///」

ほむら「……そう」ショボン……

まどか「あっ……」

ほむら「そうよね、私からこんなことされても……」

まどか「あ、あの、やっぱりして貰おっかな~なんて……」

ほむら「ええ、どうぞ!」シュバッ!

まどか「うぅ……///」

まどか(何だか上手く乗せられたような……)

ほむら(ああ、まどか。あなたはなんてチョロいの。チョロかわいいわ!)

ほむら「あーん」

まどか「あ、あーん……///」

まどか「……///」モグモグ

ほむら「……」

まどか「……///」ゴクン

ほむら「これ……」

ほむら「やる方も結構恥ずかしいわね……///」

まどか「……うん///」

まどか「さ、冷めない内に食べちゃお?」

ほむら「ええ」

まどか「ふ、普通にね!」

ほむら「……あら、残念。もっと食べさせてあげたかったのに」

まどか「もぅ!」

ほむら「……ふふっ」

まどか「……えへへっ///」

ほむら(ああ……なんて幸せな時間なのかしら……)

ほむら(……今ぐらいは何も考えずに、この暖かな感情に浸っていましょう)





―――――――

 
 
 
  
リン…ゴーン♪




まどか「あ、チャイム……お客さんかな?」

ほむら(……そろそろ来る頃だと思ったわ)

ほむら「いいわ、出なくても」

まどか「え……」



リンゴンリンゴンリンゴーン♪



まどか「わわっ、すごい鳴ってるよ?」

ほむら「……はぁ、なんて迷惑な」

まどか「ちょっと出てくるね」


 
―――ガチャ……



さやか「いようほむら!」

まどか「わっ!?」

さやか「おおっ! 君がまどかちゃんだね! 話し通りちっちゃくて可愛いねー!」

まどか「え? え?」

ほむら「……どうせあなただろうとおもったわ。そして相変わらずやかましいわね」

まどか「あの……ほむらちゃんのお友達……?」

ほむら「彼女は美樹さやか。単なるクラスメイトよ」

さやか「おいおい! そりゃないぜ親友!」



まどか「あ、あの……よろしくお願いします」

さやか「うんうん、よろしくねまどかちゃん! まどかちゃんは礼儀正しくて可愛いなぁ」

まどか「ええっ!? か、可愛いだなんてそんなコトないです……」

さやか「それに比べてほむらの無愛想なことと言ったら」

ほむら「なら、もう少し病み上がりの人をいたわってもらえないかしら」

さやか「あ、そうだ、マミさんからきいたぞー?」

ほむら「……なにをよ」

さやか「まどかちゃんの事! ほむらと抱き合って運命の出会いでそしてラブラブ同棲生活なんだってー?」

ほむら「ラブ……って、何をそんな……ねぇ///」チラ

まどか「う、うん///」

さやか(え、何この反応……? え?)

ほむら「それで、あなたは何をしに来たのよ」

さやか「ん、ああ! もっちろんお見舞いさね。マミさんからほむらが目を覚ましたって聞いてすっ飛んできました!」

さやか「いやー、弱ったほむらってあれだね、薄幸の美少女って感じでこう……ギャップがいいね!」

まどか(あー……)

ほむら「何よそれ……」

さやか「それと、今日は恭介が中沢と買い物行っちゃってねー」

ほむら「……要するに、単なる暇つぶしじゃないのよ」

さやか「うーむ……否めないな!」

ほむら「全く……」

さやか「でもさ……」

ほむら「……?」

さやか「また、こんだけ冗談が言えるようになって本当によかったよ」

さやか「あの時、あたしと仁美を助けてくれた代わりにほむらが倒れて……」

さやか「あたしら……こんな生活だしさ、いつ死んじゃってもおかしくないじゃん」

さやか「結構……心配したんだぞ……」

ほむら(……)

ほむら「……有難う、さやか。心配……かけてしまったわね……」

さやか「……うん」

まどか(……何だか、この二人って……)

ほむら「でも、折角来て貰って悪いけど、これからまどかと買い物にいかないといけないのよ」

さやか「あ、そうなんだ」

まどか「え……でも、ほむらちゃん顔色良くないし……また今度のほうが……」

ほむら「そうもいかないわ。今日の晩御飯の食材とか、生活必需品も揃えなくちゃ、その……下着とか、ね///」

まどか「あっ……うん/// それは、まぁ……///」

さやか(何故そこで二人して顔が赤くなるのか)

さやか「あー、まぁそういうコトでしたら……あたしがまどかちゃんと一緒に行ってあげようか」

ほむら「あなたが?」

さやか「ほむらが倒れた時にさ、マミさん達が色々動いてくれたけど……あたし何も出来なくて」

さやか「それだけが心残りっちゅーか。ホラ、助けてくれた借りも返したいし?」

さやか「だ、だから別にあんたの為なんかじゃないんだからねっ!///」

ほむら「……正直さっきのであなたのこと見直してたのに……やっぱりあなたって時々ウザいわ」

さやか「えー何だよー、ノリ悪いなー」ブー

ほむら(でも、確かにかつてまどかの親友だったさやかと街を回れば何か思い出すかもしれないわね……)

ほむら「ま、その心遣いには素直に感謝するわ。……お願いしてもいいかしら?」

さやか「まっかせなさーい。エスコートからボディーガードまでこのさやかちゃんが何でもこなしてしんぜよう!」




まどか「ボディーガード? 何か格闘技でもやってるんですか?」

さやか「あっと、あー、その……」チラッ

ほむら「大丈夫、まどかは知っているわ」

さやか「あ、そうなんだ」

まどか「……?」

さやか「オホン! 実はねまどかちゃん、あたしも魔法少女なのだ!」

まどか「ええ!? そうなんですか!?」

まどか「えっと、マミさんと杏子ちゃんにほむらちゃん……魔法少女って思ったより居るんですね」

さやか「この辺りは魔獣が多いからね。だから、あたしら三人が日夜見滝原市民の平和な生活を守っているのである! あ、杏子は隣の街ね」

ほむら「そうね。その中でも彼女は人一倍正義感の強い優秀な魔法少女なのよ」


まどか「すごいです!」

さやか「おっ! ようやくほむらもこのさやかちゃんの実力がわかってきたかー」

ほむら「……だから、何かあったらまどかの代わりに彼女が犠牲になってくれるわ」

まどか「えぇっと……」

さやか「まあ、そんなコトだろーと思ってましたよ」

さやか「んじゃ、まどかちゃん。さっそく買い物に行きますかい?」

まどか「あ、はい。大丈夫です! それじゃほむらちゃん、行ってくるね」

ほむら「……ええ」

ほむら(……)



―――ガチャ!



ほむら「待って、美樹さやか」

さやか「ん? どしたの?」

ほむら「……さっきのは半分冗談だけれと、半分本気よ」

さやか「え……?」

ほむら「お願いさやか……もしも……何かあったら……」

ほむら「まどかは……まどかだけは何としても護って……」

さやか「う、うん」

ほむら「……」

さやか「……あのさ、ほむらにとってのまどかちゃんてさ……」

ほむら(……)

まどか「……あの、どうかしましたか?」ヒョコ

ほむら「何でもないわ……いってらっしゃい」

さやか(……ほむら)



―――キィ、バタン



ほむら(…………)

ほむら「………はぁ」

ほむら(……まどかが戻るまで横になったまま起きてましょう)

ほむら(眠るとまたあの悪夢を見てしまいそうな気がするから……)



―――コンコン



QB『入っていいかい? 暁美ほむら、話があるんだ』

ほむら「……休もうと思ってたんだけど、空気読んでくれないかしら?」

QB「これでも読んだつもりなんだけどなぁ……」

QB「さやか達が出て行くまで待ってたっていうのにあんまりだよ」

ほむら「それで……? 何の用かしら」

QB「ああ、鹿目まどかの様子はどうだい? 記憶の有無の以外に君から見て何か相違点はあったかい?」

ほむら「……? ……どうって、特にないわ」

ほむら「彼女は私の知っている鹿目まどかよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」

QB「うーん、やはりそうなるか」

ほむら「……なるべく手短かに話して貰えないかしら、早く休みたいのだけれど」

QB「いや、 一つだけ知りたい事があってね」

ほむら「なにかしら?」

QB「それは、君の願いさ」

ほむら「え……?」

QB「暁美ほむら、君の願いをもう一度聞かせて貰えないかい?」

ほむら「……鹿目まどかとの出逢いをやり直したい、よ。前にも話したはずよ」

QB「そうだ、それが君の願いだ……ただしそれはかつての、だ」

ほむら「かつて……ですって?」

QB「現在、君のその願いは消失してしまっている」

ほむら「私の願いが無くなってる!? どういうこと……!?」

QB「別におかしなことじゃあない。むしろ、矛盾の解消の為にそうならなければならないんだ」

ほむら「え……?」

QB「詳しく説明すると」

QB「鹿目まどかがこの世界に於いてその存在が無くなった時点で、彼女の為に魔法少女となった君もまた、存在しなくなる」

QB「つまり、君の『鹿目まどかとの出会いをやり直す』という願いは無くなっているわけだ」

ほむら「……」

QB「その証拠に君は時間遡行の魔法を失い、別な特性へと変更されているだろう?」

ほむら「……確かにそうね。今の私の魔法は魔力を込めた矢と弓による遠距離攻撃……かつてまどかが魔法少女だった時に使ってたものだわ」

QB「『この世界の僕』は君と契約をしていない。にも関わらず、君は依然魔法少女だ」

QB「ということは、契約と願いのルールにしたがって君には何らかの願いが存在するはずなんだ」

QB「かつての願いとは別な、『新たな願い』がね」


ほむら「新たな……願い……」

QB「つまり、だ」

QB「暁美ほむら、君の願いは鹿目まどかによって世界が改変された際に、別なものへと変化しているんだ」

ほむら「……何故、今さらこの話しを? あなたはその願いのことは前から知っていたのでしょう?

QB「もちろん、把握していたさ。 でも、関知する必要が無かった」

QB「しかし、事情が変わった」

ほむら「……それって、もしかして……」

QB「そう、鹿目まどかの降臨だ」

ほむら「……」ピクッ

QB「これにより君達の関係と願いのに矛盾が生じてしまったんだ」

QB「鹿目まどかが背負う膨大な因果は君の時間遡行の副産物だったね」

ほむら「……そのはずよ」

QB「鹿目まどかの因果の蓄積には君の時間遡行が必須だ」

QB「したがって、彼女の降臨に伴って君の願いも以前のものにならなければならないんだ」

ほむら「……!」

QB「……にもかかわらず現在の君はその時間遡行の魔法を有していない」

QB「いるはずの無い人物が存在して、あるはずの願いが存在しない。この矛盾が何によって引き起こされたのか。そしてその是正の為に何が起こるのか」

ほむら「……」




QB「この矛盾の解消する為の仮説は幾つかある」

QB「その内の一つにして最も有力な説は、鹿目まどかの降臨は暁美ほむら、さっき話した君の『新たな願い』によるというものだ」

ほむら「……キュゥべえ、あなたはこう言いたいの? 私の新たな願いがまどかをこの世界に呼んだ、と……」

QB「まだ確証は無い。しかし、鹿目まどかの為に全てを捧げて来た君だ。恐らく新たな願いも鹿目まどかに関するものなんじゃないかな」

QB「君の現在の魔法の特性から見てもそれが伺えるね」

ほむら「……」

QB「前置きが長くなってしまったね」

QB「僕が知りたいのはね暁美ほむら、君の新たな願いの内容とその願いがこの世界にどのような影響を与えているか、だ」



QB「このイレギュラーな状況に於いて、不確定な要素は極力排除しておかなくてはならない」

ほむら「……」

QB「鹿目まどかが存在するこの状況は、はっきりいって異常なんだ。君だってそれ位は分かるだろう?」

ほむら「……異常だとしても……現状、何の問題も無いわ……」

QB「そう、今はね」

ほむら「……」

QB「しかし今話した感じだと、どうやら君も願いを把握していないようだね」

QB「でも、一応聞いておくよ」

QB「どうだい? なにか思い当たる事はないかい?」


ほむら(……)

ほむら「……無いわ」

QB「……そうかい」

QB「願いについてなにか思い出したら、何でもいい教えてくれないか」

ほむら「……ええ」

QB「そして最後にひとつだけ。これは説というより、どちらかというと希望的観測なのだけど……」

QB「元時間遡行者暁美ほむら、そして神に等しき存在である鹿目まどか。別な世界を生きて来た君たち二人は互いの願いによる矛盾を補完し合い、その存在が成り立っていた」

QB「その補完がなくなって矛盾を生じた今なお、この世界に変化が生じないということは、もしかしたら君たちは既にこの世界の理から完全に切り離された特殊な存在だからなのかもしれない」

ほむら「……」

QB「僕らも現状維持が望ましい。今の魔法少女システムに不満があるわけじゃないからね」

QB「それじゃ、失礼するよ。願わくば何も起こらない事を祈っているよ、君達の神様にね」スッ…

ほむら「……」

ほむら「新たな願い……」

ほむら(私は……何を願った……?)

ほむら(……私の願いが彼女を呼び寄せてしまった……?)

ほむら(QBの言っていた、鹿目まどかの存在による矛盾と……その影響)

ほむら(そしてその結果、引き起こされる事象……)

ほむら「……」

ほむら「……大丈夫、まどかの願いがある限り」

ほむら「きっと何も起こらないわ……きっと……」

ほむら(そうよね、まどか……)







――――――

―大型百貨店内 フードコート―



さやか「――んで、そっちの用事が終わったらで良いから……一階のフードコート……うん、待ってるから……ういー、んじゃまったねー♪」ピッ

まどか「……」

さやか「電話したらさ、もうしばらくかかるらしいからジュースでも飲みながら待ってよっか」

まどか「うん……」

さやか「いやぁ、しかし随分買ったもんだねぇ、ほむらの本気っぷりが――」

まどか「あっ、あの!」

さやか「おっ、何だいまどかちゃん?」

まどか「さやかちゃんは、ほむらちゃんと凄く仲良しなんですよね……?」

さやか「まーねー。なんだかんだ知り合ってから結構経つしねぇ」

まどか「あの……ほむらちゃんの事、どう思いますか?」

さやか「んー……?」

まどか「……」

さやか「あー、大丈夫。あたしはほむらを取ったりなんかしないって」

まどか「……へ?」

さやか「そもそも、あたしには彼氏がいるしねー」

まどか「あ! そういう意味じゃなくって……わたしあのっ……」

さやか「あいつ見た目だけは文句なしに良いからなー、美人は得だよなー」

まどか「た、確かに、カッコ良くて綺麗だけど……で、でもそれだけじゃないっていうか……性格も優しくって……ごにょごにょ……」

さやか「おおぅ」

まどか「じゃなくって!!///」

さやか「いやぁ、なんつーか……ほむらも隅に置ませんなぁ」

まどか「だから、そんなんじゃないんです……うぅ……さやかちゃんのいじわるっ! もういいですっ」

さやか「あははっ、ごめんごめん。可愛いまどかちゃんの困ってるトコ見たくてつい、ね?」

まどか「むー……」

さやか「確かさ……まどかちゃんは記憶、無いんだっけか。 んでまどかちゃんの事を知ってるほむらの家に泊まったんだよね」

まどか「……」

さやか「あ、マミさんから聞いたんだけどね」

まどか「……わたし……何も思い出せなくて、ほむらちゃんに色々聞いたんです……」

まどか「わたしのこと……ほむらちゃんのこと……」

まどか「そしたら記憶がなくなる前のわたしのことを凄く大切に思ってるって、分かっちゃったから……」

まどか「だからほむらちゃんのことをもっと知って、思い出してあげたくて……」

さやか「ははぁ、なるほどねぇ。それであたしから見たほむらはどんな感じか聞いたってわけ」

まどか「……はい」

さやか「んー、そうだなぁ……」


さやか「ほむらってさあたしらの前じゃクールぶってるけど、実は結構寂しがりやなんだよね」

まどか「……」

さやか「誰かと一緒にいる時なんか『なんてことないわ』、って涼しげな顔してるけど……」

さやか「一人になると、いつもどこか悲しそうな表情でさ、時計を見てるんだ」

まどか「時計?」

さやか「ほら、まどかちゃんがほむらに送った腕時計……って」

まどか「……」

さやか「……あー、もしかして時計の事聞いてなかったり……」

まどか「……うん」

さやか(あちゃー、しまったな……結構大事そうなことなのにほむらのやつまだ話してなかいのか……)

まどか「……」

さやか「うーん、なんて言うかなー……思い出すことも大事かもしれないけど」

さやか「大切なのはさ、今…なんじゃないかな」

まどか「え……?」

さやか「ほむらはさ、まどかちゃんに『私のために思い出してくれ』…って言った?」

まどか「……ううん」

まどか「無理しないでいいって、別にわたしを責めてないって……言ってくれました」

さやか「うんうん。ほむらはきっとさ、まどかちゃんがいれば今はそれだけで良いんじゃないかな」

さやか「だから時計のこともさ、時間が経てばそのうち話すと思うよ」

まどか「そう…なのかな……」

まどか(……)

さやか「……おっ! メール来た。えーと、むこうの買い物終わってもうこっち来れるってさ」

まどか「……」

さやか「……あたしさ」

まどか「?」

さやか「もうずいぶんあいつの親友やらしてもらってるけどさ……」

さやか「やっぱり、あたしだけじゃほむらの心に空いた穴は埋められないんだと思う」

さやか「あいつのあんな優しい笑顔、初めて見たんだ」

さやか「まどかちゃんにまた会えたから、だから、あいつは心から笑えるんだと思うよ」

まどか「……うん」

まどか「ありがとう、さやかちゃん」

さやか「いやいやぁ、事情も録に知らないのに偉そうなコト言っちゃったねぇ」

さやか「あ、そうだ、時計のコトはあたしが話したっての内緒でお願いね、バレたらヤバそうだから」

まどか「はいっ」ふふっ

上条「お待たせ、さやか」

さやか「遅いぞ恭介ー! あれ、中沢は? 一緒に来てたんでしょ?」

上条「ああ、彼は気を利かせて帰ってくれたんだ」

まどか(この人がさっきさやかちゃんが言ってた彼氏さんかな?)

上条「……? さやか、こちらの方は……?」

さやか「あー、友達の鹿目まどかちゃん」

上条「へぇー、最近親しくなったのかな。たしか初めて見る子だよね」

さやか「あ、そうそう。そうなんだよねー」

上条「はじめまして鹿目さん。いつもさやかがお世話になってるね」

まどか「い、いえ! こっちこそ相談にのってもらって」

さやか「うっし、んじゃ自己紹介も終わった所で恭介はこっちの荷物担当ね」

恭介「……もしかしてさやか、その為に僕を呼んだのかい?」

さやか「男の子でしょ? かっこいいとこ見せてよね! それに美少女二人に奉仕できるんだから光栄に思いなさーい!」

上条「美少女……って自分でいうのかい? やれやれ」

さやか「ほら、ごちゃごちゃ言わないの!」

さやか「それじゃまどかちゃん。ほむらも待ちわびてるだろうし、帰ろっか」

まどか「はいっ!」







――――――

―まどか達 帰宅路―



さやか「~♪」

上条「さやか、今日はなんだか上機嫌だね。なにか良い事でもあったのかい?」

さやか「いやぁ、平和な日常っていいなぁっ、て」

上条「なんだいそれ?」

さやか「わからなくて結構! そのほうが幸せなのさ~♪」

上条「……?」

まどか「あの、上条さん」

上条「なんだい? 鹿目さん」

まどか「さやかちゃんって明るくて元気で、とても素敵な方ですね」

上条「いやぁ。元気すぎて困っちゃう事の方が多いけどね」

まどか「ふふっ」

上条「でも、さやかのあの明るさには感謝してるんだ」

上条「僕がある理由でどうしようもないくらい落ち込んでた時にね。彼女はずっとそばに居てくれたんだ」

上条「いつも大丈夫だよって言って、そして笑っててくれた」

上条「そしたら、さやかが言ったとおり奇跡が起きたんだ」

まどか(……)

上条「彼女が居なかったら、僕は途中で全てを投げ出していたかもしれない……」

上条「彼女の笑顔には周りの人も笑顔にして、そして幸せにする不思議な力があるような気がするんだ」

まどか「さしずめ、笑顔の魔法……ですね」ふふっ

まどか「そういうの……とても素敵だと思います」

上条「なんだか話過ぎちゃったかな。今更恥ずかしくなって来ちゃったよ」

さやか「……」

上条「あ……さやか、どうしたんだい? 上機嫌で前歩いてたのに急に黙って」

さやか「……」スッ

まどか「……?」

まどか(今さやかちゃんっが手に隠したのって……ソウルジェム、だったっけ)

さやか「あーそのー……ごめん! あたしさっきの店に忘れ物してきちゃった……みたい」

上条「え……じゃあ戻ろうか?」

さやか「大丈夫大丈夫! 一人で取ってくるから!」

まどか(……)

上条「……そうかい? じゃあ、鹿目さんと二人で先に行ってるよ」

まどか「ねぇ……さやかちゃん……もしかして……」ボソッ

さやか「うん……」



―――キンッ!



さやか「……魔獣が来る……!」

上条(二人とも小声で何を話しているんだろう……?)

さやか「そういうわけだからさ、悪いけど二人で先にいっててもらえるかな」

まどか「さ、さやかちゃんも……!」

さやか「駄目だよ。この先には大通りがあるんだ。ここで魔獣を見逃したらどれだけの被害がでるか……」

まどか「でも……」

さやか「大丈夫だって、こう見えてもさやかちゃん強いんだぞ―?」

まどか(……)

さやか「それにさ、ほむらと約束したしね」

まどか「約束……?」

さやか「そ、まどかちゃんを絶対守るってね! だからほむらの所に戻るまでさやかちゃんは負けたりしないのだっ!」

まどか「……うん……わかった。でも、無理はしないでね……!」

さやか「……」コクリ

まどか「行こっ! 上条くん!」

上条「……? う、うん……」

さやか「……」

さやか(……さーって、と)



―――キィィィィン!




さやか(一丁、やってやりますか!)ヘンシン!


  
―――ズズズ……



魔獣「グオオオオオオオオ!!」ズズズ…

さやか(……む、結構でかいな。7、8m位……?)

魔獣「グオオッ!」ブンッ

さやか「うおっとぉ!?」バッ

魔獣「グゥゥ……」

さやか(見た目に依らず結構速い!)

さやか(相手は物理攻撃のパワータイプ……あたしとの相性は悪く無いと思うけど……)

さやか(やっぱここはまどかちゃんの言うとおり無理せずに……テレパシーを送ったし、時間を稼いでマミさん達を待とう、うん!)






――――――

 
 
 
まどか(ここまで来れば……)


上条「どうしたんだい、そんなに急いで? それに後ろを何度も見てたけど……」

まどか「う、ううん、なんでもないの」

上条「……」

まどか(お願い……さやかちゃん、どうか無事で……)

上条「ねぇ鹿目さん……さっきのさやか、変じゃなかったかな」

まどか「え……?」

上条「さっき二人で何を話していたんだい?」

まどか「ああの、えっと……大したことじゃない……ですよ?」

上条「鹿目さん、なにか隠してる?」

まどか「い、いいえ?」

上条「何だか胸騒ぎがするんだ……」

上条「……ごめん……やっぱり戻るよ!」クルッ、ダッ

まどか「あっ、ダメ! 上条くん待って!」





――――――


 
  
魔獣「グオオッ!!」ブンブン! 
 
さやか「鬼さんこーちらっと!」ヒラリッ


さやか(よし……スピードは完全にこっちが上……!)

魔獣「グゥゥ……」ピタッ

さやか「ん…?」

魔獣「……」プイッ

さやか「ありゃ? ちょ、ちょっとどこいくのさ!?」

魔獣「……」ズズズ…

さやか(まずい……こっちを無視して大通りに……!)

さやか「……」

さやか(……チィ、仕方ない。注意をこっちに引きつけるには――)

さやか「一発かましてやりますか!」ジャキッ

さやか(取り敢えず動きを止める為、足に一閃!)

さやか「おおおりゃぁああああッ!!」シュバッ!!



―――ガキィィンッ!!!



さやか「なっ!?」

さやか(硬ッ!!)ジィィィン……

魔獣「グオッ!!」ブンッ!

さやか「――!?」

さやか(しまった!! 体勢が――)



―――グシャアッ……!!!







―――――――
――――
――

 
 
 

「――か……! さやか!」


……。


上条「しっかりするんださやか!」

上条「全身血まみれで……一体何が……! そうだ! きゅ、救急車!」

まどか「さやかちゃん!?」

魔獣「グ……?」

まどか(ハッ! 上条君には魔獣が見えてない!?)


う……。


まどか「上条くん危ない!!」

上条「え……?」

魔獣「グォオ」ガシッ!!

上条「うわっ、何だ!? 体が宙に!?」


あ……あれ……恭……介……?

なんで、恭介が魔獣に掴まれて……?

さやか「き、恭す……ゴボッ」ビタビタッ!

まどか「さやかちゃん……!」

さやか「ヒュー……ヒュー……」ヨロ…


そうだ……さっきモロに攻撃を喰らったんだった

肋骨が肺に刺さってるんだ……回復の魔法で……!



―――シュウゥ……



魔獣「グオオッ!!」ギュウウゥ!

上条「ぐっ……!? あ……!」グギギ……!

さやか「恭介!?」

  
くっ! マミさん達を待ってる暇は……

……やるしかない!

……奴は硬い。

ならば……!

面で駄目なら点 、斬で駄目なら突。魔力の一点集中……!

……それでも奴を上回れるかどうか……

……こんな事なら、もっとグリーフシード持ってくればよかったな


さやか「はぁぁあああああああ……!」シュオオォ……


魔力を剣先と足に集中させて……

解き放つッ!!


さやか「破ッッ!!!」ッピュン!!



―――ガイィィィインッッッ……!



!!

通らない!?

いや、まだっ!!!

押しこむッ!!


さやか「うおおおおおおおッッッ!!」

魔獣「グウウ!?」


―――ピシッ…!!


いける!後一押し!!


―――ズズズ……


くっ、フルパワーのせいでソウルジェムの濁りが……!

 
……。

……構うもんか

ここで止めたら恭介が!!


さやか「うおおおおああああああああッッ!!」



―――ピシッ……!ピシシッ……!!



魔獣「グオオオッ!?」ギュウゥッ!

上条「あ……ぐ……ッ……さ…やか……っ」ゴキキッ……!

さやか「恭介っ!? ――!」ギリっ!

 
……いつか

いつかこの時が来るって、覚悟はしてたつもりだけど……

いざとなるとちょっとね……

……あーあ

これでお終いかぁ……

でもま、恭介はさ、あたしが居なくなってもやっていけるよね

そうだよ

それにほら、仁美がいるじゃん

仁美ならあたしなんかよりずっとお似合いだね

……だからあたしのコトはさっさと忘れてさ

あたしの為に泣いたり、立ち止まったりしなくていいから

恭介が幸せなら……あたしそれでいいから

 
 
 
 
 
 
さやか「あああああああああああッッッ!!!」ポロポロ…




―――パリンッッ!!



魔獣「グオオォォ……」バシュゥゥ……

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
さよなら恭介



愛してる










――――――
――――
――



マミ「鹿目さん!大丈夫!?」

まどか「あ……あぁ……どうして……?」ガタガタ…

マミ(……錯乱してるけど、取り敢えず怪我はないみたい……大丈夫そうね)

マミ「美樹さんは!?」

さやか「……」

杏子「さやか!? おい!しっかりしろ!!」

さやか「……」ダラン…

マミ「美樹さん……!?」

杏子「……くそっ!」

まどか「ああぁ……」ガタガタ…




杏子「……このデカブツか」キッ!

杏子「こいつがさやかをやったんだな……?」ワナワナ

杏子「殺す……!! ブッ殺す!!!」

マミ(そんな……美樹さんが……?)

マミ(ダメ……! 今は目の前の敵に集中しなきゃ……)

まどか「なんで……? さやかちゃんがあんなに頑張ってやっつけたのに……別な……」

マミ(え……? なんですって? 美樹さんが……倒した?)



―――ズズズ…



マミ「――ハッ! 辺りの景色が変わった!? 気を付けて佐倉さん! 来るわ!!」






――――――

QB「ほむら、こっちだ!!早く!!」

ほむら「わかってるわ!!」ザッ!

ほむら「――なっ!!」

ほむら「そん……な……!?」

ほむら「何で……? どうしてこれが……!」

ほむら「……なんてこと……これは……」

ほむら「……」ギリっ

ほむら「魔女の……結界……!!」

 
 
 
 
 
 
人魚の魔女「ヴォオオオオォ!!」

 
 
 
 
 
 

今回はここまで
次回は未定です。また2~3週間後くらいで……すんません

そしてようやく予告のとこまで来たよ。長かった……

>>382
ありがとう……ありがとう……

あ、ちなみにあと2回でラストです

そして一応貼っとこ
以下BGM

 
ttp://m.youtube.com/watch?v=yoakrQwcjz8&feature=related






ttp://www.youtube.com/watch?v=yoakrQwcjz8

―魔女の結界内―

 
 
 
 
 
 
―――ガィンッ!!




杏子「チィッ!」 バッ

杏子(ダメだ、飛んで来る車輪と奴の剣が邪魔して近づけねぇ!)

マミ「ハッ!」ドンドンッッ!!

人魚の魔女「ヴォオオッ!!」


―――ギキィン!



マミ「……くっ! 通らないっ!」


杏子(くそっ、マミの銃撃も車輪に防がれちまってる……!)

杏子(だったら……)

杏子「マミ! 車輪はあたしが全部引き受ける! その隙にあんたは遠距離から本体を!」

マミ「ええ!わかったわ!!」

人魚の魔女「ヴォォオオオ!!」

杏子「おらっ! こっちだ! まとめてかかってきやがれ!」ガキィンッ!

人魚の魔女「ヴォオッ!!」

マミ(佐倉さんに攻撃が集中した!)

マミ(いけるっ! 今なら!)

マミ「ティロッ――!!」

人魚の魔女「――! ヴォッ!!」ブンッ!!

マミ(剣を投げっ…!? しまっ…!!)

杏子「マミ! 危ねぇっ!!」バッ



―――ザンッッ!!



杏子「がッ!?」

マミ「佐倉さん!!」

人魚の魔女「ヴォオオオオ!!」

ほむら(ようやく結界の最深部……! 状況は!?)カッ…

ほむら「――ハッ!」

ほむら(やはりあれは、美樹さやかの魔女……!)ギリっ

ほむら(何故……? 何故なの……!?)

杏子「……ぐ……あたしに構うなッ……! 撃てえぇぇぇ!!」

マミ「……!」コクッ

ほむら「――!」ハッ

ほむら「……だめよマミ……止めなさい!」

ほむら「その敵は私が―――」

マミ「ティロッ!! フィナーレッ!!!」



―――ズドオオオン!!!



人魚の魔女「ヴォアアァァ……」バシュウゥ……




マミ「はぁ…はぁ…やった……!?」

マミ「――! そうだ佐倉さんは……!」

杏子「……大丈夫だマミ。それよりさやかを……!

QB「……どうやら無事倒したみたいだね。辺りの景色も元に戻ったようだ」

ほむら(ああ、やってしまった……せめて私が手を下すべきだだった……)

まどか「……」ガタガタ…

ほむら「まどか……!」ハッ

まどか「ほむら……ちゃん……」

ほむら「よかった……あなたが無事で……」ギュッ

まどか「さやかちゃんが……さやかちゃんが……」じわっ

ほむら「……」ぐっ

杏子「さやか! おいさやかぁっ!」ユサユサ!

マミ(目立った外傷は無いのに何故目を覚まさないの……? 何故……)

QB「ちょっと失礼するよ」

杏子「……?」

QB「僕の予想が正しければ……」ゴソゴソ

マミ(キュゥべえ、美樹さんの体をまさぐって……何かを探している……?)

QB「ふむ、やはり……」

杏子「なんだ? 何か解ったのか!?」

QB「どうやらこれは最悪の事態に陥ってしまったのかもしれない」

マミ「最悪の事態……?」

杏子「おい、御託はいいからさっさと説明しやがれ! 一体さやかはどうなっちまったんだ!? 何でぶっ倒れたままなんだよ!」

QB「ああ、美樹さやかのことかい? 彼女が目を覚まさないのはソウルジェムが無くなっているからさ。恐らくそれが原因だろうね」

QB「さやかが身に着けていないか探したのだけど見つけることは出来なかった」

杏子「なに!? じゃあそれを見つければさやかは助かるんだな!?」

QB「見つけられればね……どうだい杏子? さやかの魔力の波動を追えるかい?」



―――ポゥ……



杏子「……」

杏子「……ねぇぞ」

杏子「何処にも反応なんか無ぇぞ!!」

QB「そう、『無い』んだ。消失してしまっている」

マミ「そんな! 美樹さんのソウルジェムは何処へ行ってしまったの!?」

QB「それに関しては僕もまだ判断する為の情報が必要だ」

QB「まどか」

まどか「……」ピクッ

QB「先ほどまで君はさやかと行動を共にしていたね」

マミ「……教えて鹿目さん、美樹さんの身に何があったの?」

まどか「……」

ほむら「今、まどかはショックで混乱しているわ、落ち着いてからの方が……」

杏子「今はそれどころじゃねぇだろ! 間に合わなくなっちまったらどうすんだ!」

ほむら「……美樹さやかは……もう……」

杏子「あ……?」

まどか「わたし……」

ほむら「……! まどか……無理しなくてもいいのよ」

まどか「……さやかちゃんと…上条君とお家に帰ろうとしたら……」

杏子(上条……ってそこで気絶してる奴か……。たしかさやかの彼氏だったか……)

まどか「そしたら魔獣が出てきて……わたしさやかちゃんに一緒に逃げようって言ったのに……」

まどか「町の皆を守る為に逃げないって、一人で……」

ほむら「……」

マミ「……美樹さん……」

まどか「上条君、さやかちゃんが心配で……戻ったら、魔獣に捕まっちゃって……」

まどか「さやかちゃんが助けようとしたの……!」

まどか「必死に、血まみれの体で……」

杏子「さやか……そいつの為に……くそっ! もう少し到着が早ければ……!」

ほむら(……美樹さやかは決して弱くは無いわ。……きっと、強敵だったのね)

マミ「……」

まどか「なのに……」

まどか「……」

杏子「何だよ、何があったんっていうんだよ」

まどか「……」

QB「さやかがその敵を倒した後に、もう一体別な敵が現れた。……違うかいまどか?」

まどか「……」

ほむら「……」ぎりっ

杏子「どういうことだ?」

マミ「そういえば鹿目さんさっき呟いてたわね。美樹さんが倒したのに別の……って」

まどか「……」

杏子「……連続で魔獣と戦ったってのか?」

QB「魔獣? それは違うよ杏子」

杏子「あん……? 何が違うってんだよ?」

QB「さっき君たちが戦っていた別な敵の正体、それはおそらく―――」

 
 
 
―――バシュッ!!

 
 
 
QB「きゅぷッ!?」パァンッ!!


まどか「きゃっ!?」

QB「……」トサっ…

マミ「……え?」

ほむら「……そこから先は話してはならないわ」

マミ「暁美……さん……?」

杏子「なにやってんだほむら……! なんでキュゥべえを射った!?」

ほむら「……」

まどか「ほむら……ちゃん……?」

QB「まったくだよ、こんなことをしても無駄だって君は知っているだろうに」スッ

ほむら「……」

マミ「キュゥべえがもう一体!? え? あなた無事なの!?」

QB「そういえば君が知るのは初めてだったねマミ。僕らには死、そして個体という概念はないんだ」

QB「ただ、無駄につぶされるのは困るけどね」

ほむら「……」くっ

QB「さて、暁美ほむら……この行動を持って君は語ってしまった訳だ」

QB「君が隠そうとしている事、そして僕のその予想が真実であると」

ほむら「……」

QB「その沈黙を肯定と受け取るよ」

マミ「暁美さん、あなたは何を隠しての? もしかして美樹さんの事に関係あるのかしら?」

ほむら(隠し通すのは……無理……か)

ほむら「……それを知れば、きっと聞いたことを後悔するわ」

マミ「え……?」

QB「僕から説明しようか? それとも暁美ほむら、君から話すかい?」

ほむら「……好きにしなさい」

QB「では僕が話すとしようか。美樹さやかがどうなったのかを」

QB「最初に僕は、美樹さやかのソウルジェムが消失したと言ったね」

マミ「ええ……」

杏子「だから、それを見つければ良いんだろ!?」

QB「いや、それはもう叶わないことなんだ杏子」

杏子「なんでだよ……なんでそうなるんだよ……!!」

QB「さっき言ったソウルジェムが『消失した』と言う表現は正確じゃあない」

QB「ソウルジェムは『変質し、結果消滅した』……これが正しい表現なんだ」

QB「美樹さやかのソウルジェムはもうどこにもないんだよ」

杏子「な……!」

マミ「そんな……美樹さん……」

ほむら「……」

マミ「でも、キュゥべえ。変質って……?」

QB「彼女のソウルジェムはグリーフシードへと姿を変えたのさ」

杏子「はぁ? そんなの聞いたことねぇぞ!?」

QB「まぁ、グリーフシードと言っても君達が普段手にしているものとは違う」

QB「さっき君たちが敵を倒した所に落ちていたのを見つけたよ。この丸い奴がそうだ」スッ

マミ「初めて見る形だわ」

QB「そしてこのグリーフシードこそが、かつて美樹さやかのソウルジェムだったものだ」

杏子「これが!?」

杏子「……なぁ、これじゃ駄目なのか!? これでさやかは目を覚ますんじゃねぇのかよ!?」

QB「残念ながら、このグリーフシードに美樹さやかの魂と魔力は宿っていない。よって彼女の状態は不可逆なんだ」

杏子「諦めるしかないってのかよ……! ちくしょうッ!!」

マミ「……」

マミ「……ねぇキュゥべえ……」

QB「なんだいマミ?」

マミ「……そのグリーフシードは私が倒した敵が落とした……っていったわよね……?」

QB「ああ、そうだよ」

マミ「……美樹さんのソウルジェムは……グリーフシードになってしまったのよね……?」

QB「その通りだ」

マミ「……キュゥべえ……私が倒したのって……魔獣…よね……?」

QB「いいや、魔獣じゃあない」

マミ「なら……何だと言うの……?」

QB「魔法少女のソウルジェムが濁りきった時にその性質をグリーフシードへと姿を変え、そして産まれる呪いを振りまく存在」

 
 
 

  
 
 
QB「『魔女』だ」

 
 
  
 
 
 

杏子「魔女……って、ほむらが前に話してた……?」

ほむら「……」ぐっ…

マミ「そんな……それじゃ……私が倒したのは……!」

QB「そう、美樹さやかの、いや……君たち魔法少女のなれの果てだ」

杏子「な……!?」

マミ「それじゃ……それじゃ私が殺したようなもんじゃないのよ……! 私が……美樹さんを……!」

杏子「おいキュゥべえ! いままでそんなことは無かったはずだろ!? なんで……!」

QB「そうなんだよ杏子。君の言う通り、今までそんなことは無かった」

杏子「だったら、なんで……!?」

QB「鹿目まどかさ」

まどか「……!」ビクッ…!

QB「彼女の存在がこの世界のルールを変えてしまったみたいだ」

まどか「わたしの……せい……?」

QB「君たち魔法少女の魂は円環の理へと導かれることはなく、魔女となり呪いと災いを振りまく存在に生まれ変わるように変更されてしまったんだ」

QB「これは以前暁美ほむらが過ごしていた、前の世界のルールだ」

マミ「本当なの……? 暁美さん……?」

ほむら「……」

QB「訂正箇所はないようだね」

杏子「なんてこった……」

マミ「鹿目さん!!」ガシッ

まどか「きゃっ!?」

ほむら「……!?」

マミ「暁美さんが言ってたわよね……? あなた……私達にとっての神様だって……」ギュウッ…

まどか(……っ! 肩が…痛……!)

マミ「お願い……! なんとかして!」

まどか「うぅ…っ!」ギュゥゥ

ほむら「止めなさいマミっ!!」バッ!

マミ「これじゃ、私は……私は……」ヨロッ…

杏子「お、おいマミ、大丈夫か……?」

マミ「ソウルジェムが魔女を生むのなら……」

マミ「私は何のために生きているの…? 何のために今まで戦ってきたの……?」



―――ズズズ…



杏子「マミ……! ソウルジェムが濁って……!」

マミ「……だったら……もう……」フラッ…

杏子「おいマミ、待てよ! どこ行くんだよ!?」タッ

まどか「マミさん……」

ほむら(……)

QB「……! サイレンの音だ。どうやら救急車がこちらに向かっているようだね」

QB「僕らもここから離れた方が良い。見つかると後々面倒だ」

ほむら(……そうね、美樹さやかの遺体と上条恭介の事は彼らに任せましょう)

ほむら「場所を変えましょうキュゥべえ。あなたには聞きたいことがあるわ……」

QB「ああ、構わないよ」

ほむら「まどか、これはあなたにも関係のあることなの」

まどか「……」

ほむら「あんな事の後でつらいでしょうけど……一緒に来てもらえるかしら」

まどか「……うん」





――――――

―廃虚―



QB「ここなら誰にも見られる心配はないね」

まどか「……」

QB「それで暁美ほむら、話しってなんだい? まぁ、大方予想はつくけれど……」

ほむら「キュゥべえ、あなたの言うとおり…あれは確かに……」

ほむら「美樹さやかの……魔女よ……」

QB「……だろうね」

ほむら「答えなさいキュゥべえ……! どうして魔女が現れたの!? まどかの願いで全て消え去ったはずよ!」

QB「簡単な話しさ」

QB「まどかが神に成り得る因果を持って降臨したからだ」

QB「つまり願いが因果に還元され、その為にかつての叶えられた奇跡が消失してしまった、ということさ」

まどか(やっぱりわたしのせい……なんだ……)

QB「言ったろう? 彼女の因果は二つと無いものだ、と」

ほむら「そんな……」

まどか(……)

ほむら「なんでこうなる事を言わなかったの……!? キュゥべえ、あなたは知っていたのでしょう……?」

QB「聞かれなかったからね。それにあの時点ではまだ確証も無かった」

QB「だからこそ、僕はまどかと会ったあの時に契約はせず保留にしておいたのさ。いかなる事態にも対応出来るようにね」

ほむら「……」

QB「さて、暁美ほむら。君が以前僕に話していた通り美樹さやかのソウルジェムが濁り切ったであろうその瞬間、かなりの量の相転移エネルギーが観測されたよ」

QB「感情の差異から産まれ出る実質コストのかからないそのエネルギーは、現在魔獣から得られているものとは比べ物にならないほどの量だ。成る程かつての僕らが放って置かない訳だ」

QB「そしてこれでようやく確信が持てたよ。君の以前の話しが全て真実であり、かつて別な宇宙が存在していたという事をね」

ほむら(……やはり……状況が変われば効率の良い方に目を付けるか……キュゥべえなら当然ね)

ほむら(……となれば、かつての世界でそうであったように、キュゥべえはまどかを魔女にしてその莫大なエネルギーを得ようとするはず……)

ほむら「キュゥべえ、あなたとの共闘は短い間だったけれど悪くはなかったわ」

ほむら「……でも、それもお終いね」

QB「……」

ほむら「まどかを魔女にさせるわけにはいかないわ……!」

ほむら「例えどんな手を使っても、絶対にあなた達の思い通りにはさせない……!」

QB「……いや、僕らの共闘はこれからも続くんじゃないかな」

ほむら「え……?」

QB「暁美ほむら、君は一つ大きな勘違いをしている。言っただろう? この状況は僕らにとって最悪の事態なんだ」

ほむら「……?」

QB「結論から言うと……」

QB「僕はまどかを魔女にしたくはないのさ」

ほむら「なんですって……!?」

ほむら(……どういうこと? キュゥべえはまどかの持つエネルギーを得られなくても構わないと言うの?)

ほむら「利に聡いあなたが、今度は一体何を企んでいるの」

QB「そう警戒しないでくれないか。今からその理由を述べよう、きっと君も納得するハズだ」

ほむら「……聞きましょう」

QB「まず現状を整理しよう」

QB「鹿目まどかが因果を持ってこの世界に降臨したことにより、魔女を消し去るというかつての願いが消失した。そしてその結果、再び魔女が現れた」

QB「ここまではいいね?」

ほむら「……ええ」

QB「しかし、これだけではまだ正確に説明し切れてはいない。この事象にはさっき君の家で話した内容とはまた別の矛盾を孕んでいるんだ」

ほむら(さっき話した矛盾……まどかの存在と私の願いの事ね……)

ほむら「……別な矛盾?」

QB「そうなんだ」

QB「鹿目まどかの願いが消失してしまっている。これはおかしいとは思わないかい?」

ほむら「……?」

QB「考えてごらん。かつて鹿目まどかはその願いを叶え宇宙そのものを改変した」

QB「ならば―――」

QB「願いが無ければこの世界への改変は起きない。逆を返せば『願いが消失した場合、元の世界に再改変』されなければならない」

ほむら「……でも、あなたの言う再改変は起きていないわ」

QB「そう。そこが矛盾点なんだ」

QB「まどかの願いが消失したのにこの宇宙そのものに変化は生じていない」

QB「何故、世界は再改変されないのか?」

QB「……その答えは逆説的に考えれば自ずと出てくる」

QB「それは―――」

まどか「……もしかして……私がまだ願いを叶えられるから……?」

ほむら「――!」ハッ!

QB「そうなんだまどか。当事者である君の理解が早くて助かるよ」

QB「鹿目まどかの願いはまだ『完全に』消失してはいない」

QB「まどかがかつての願いを叶えられる状況を抱えている限り、この宇宙はこのまま継続していくだろうね」

QB「つまり、今この世界は暫定的に型を成しているに過ぎない」

まどか「……」

QB「まどか、君がこの先取る行動によって世界は必ず改変される」

QB「その上で僕らが最も避けたいのは君が願う前に死亡すること、そしてかつての願いとは別の奇跡を願うこと、だ」

QB「つまり、僕らは鹿目まどかがかつて願った『全ての魔女を消し去りたいという願いが完全に消滅し、それに伴って宇宙が再改変されること』これを何としてでも避けたい」

QB「その為にまどか、君にお願いが有るんだ」

まどか「……?」

QB「僕と契約して魔法少女になってくれないかい?」

QB「そして魔女を消し去るという、かつての君と同じ願いをして欲しいんだ」

まどか「……それって……」

ほむら「ま、待ちなさいキュゥべえ! 何故なの……? あなたはまどかを魔女にして得られる莫大なエネルギーが欲しいはずよ……」

ほむら「その行動はあなた達の利に反しているわ。感情で動かないあなた達にとって一体それになんのメリットがあるというの?」

QB「正直なところ君の言うとおり、このまどかの持つエネルギーを入手出来るチャンスを逃すのはあまりにも惜しい」

QB「しかし、それは出来ないんだ。いや正確に言うとしてはならないんだ」

ほむら「……?」

QB「理由は二つある」

QB「一つはこの世界でエネルギーを手に入れても宇宙が再改変され、それが無意味になってしまうこと」

QB「ならば再改変した後にまどかを魔女にすればいいと思うだろうけど……これに二つ目の理由が絡んでくる」

QB「そして、この二つ目の理由こそが最も重要なんだ」

ほむら「……」

QB「何度も言っている通り、まどかのかつての願いが消失すれば、この宇宙は改変前のものに再び創り変えられる……」

ほむら「……」

QB「するとどうなるか」

QB「暁美ほむら、君が辿ってきたかつての世界の歴史が宇宙の始まりから寸分違わず繰り返されるんだ」

ほむら「……? 当たり前でしょう? 前の世界に戻るのだから……それがどうして理由になるのかしら」

QB「いいかい? 歴史上の出来事から個人の気まぐれの行動まで、自然現象も含め完全に同一なんだ。何から何まで」

QB「それが何を意味するかというと」

QB「同じ宇宙が生まれ、同じ地球が生まれ、そこに人類が生まれ我々と接触し同じように繁栄していく」

QB「そしてその歴史の中でいつか鹿目まどかと暁美ほむらという個体が誕生するだろう」

QB「そして魔法少女となった暁美ほむらが鹿目まどかの為に時間遡行を幾度となく行う」

QB「そして因果の集中した鹿目まどかがこう願うんだ……」

QB「『全ての魔女を消し去りたい』、と」

ほむら「……!」ハッ

QB「そしてその願いで再々改変された世界に何らかの理由でまどかが降臨するだろう、その際に願いが消失すればまたかつての世界の姿に戻ってしまう」

ほむら「まさか…繰り返すと言うの…… 永遠にそれを続けると……?」

QB「君の繰り返した一ヶ月なんて目じゃない。二つの宇宙をその自覚のないままやり直し続けることになる」

QB「まったく、これ以上無いほどのジレンマだよ。目の前に宇宙の存続に足るエネルギー源があるというのに、ヘタにそれに手を出せば永久に『その先の未来』には進む事が出来ずに、その瞬間何ら変化の生じない『死んだ宇宙』と同義になってしまう。これでは本末転倒だ」

QB「タチの悪い事に記憶の持ち越しができないから、可能性を切り換える事も出来やしない」

QB「まさに時の牢獄さ」

ほむら「なんてこと……」

まどか「……」

QB「一度そのループが確定してしまえば他の要素が加わらない限り、もう抜け出すことは出来ないだろう」

QB「しかし、幸運なことに恐らく第一周目であろう今この時にそれに気が付く事が出来た」

QB「永遠のループを回避し、宇宙を正常な時間の流れに乗せることが出来るんだ」

ほむら「……」

QB「……これが僕がまどかを魔女にしたく無い理由さ。どうだい? 納得出来ただろう?」

まどか「……」

ほむら「……あなたの言いたい事は全て理解出来たわ……」

QB「それは何よりだ」

ほむら「でも……同じ願いをするという事は……またまどか一人に全てを背負わせることになってしまうわ……!」

まどか「……」

ほむら「せっかく……折角その全てから解放されたというのに……」

ほむら「そんなの、あんまりじゃない……!」

まどか「ほむら……ちゃん……」

QB「しかし、まどかの願いは君達人類や魔法少女の未来の為に無くてはならない犠牲なんだ」

QB「それに暁美ほむら、君はかつてのまどかの願いを、ともすればかつてそれを願った鹿目まどかという存在を否定するのかい? 彼女は望んで自ら犠牲になったというのに」

ほむら「……」ぐっ…

QB「皮肉なことに今や彼女の願いは魔法少女だけでなく、僕らにとっても希望そのものなんだ」

まどか「……」

QB「だから、鹿目まどか」

QB「魔法少女達の希望の為に、この宇宙の未来の為に」

QB「僕と契約して魔法少女になってくれないか」

QB「そして君はたった一言こういえば良い…『現在、過去、未来。全ての時間軸の魔女を消し去りたい』、と」

まどか「……」

QB「何も迷う事はない、君のその言葉で全てが救われるんだ」

まどか「……」

ほむら「まどか……」

まどか「……」

QB「……」

まどか「……わたし……」

まどか「……わたし……分からないよ……」じわっ

まどか「本当にそれしか無いの……? 本当にそれが正しいの……?」

まどか「そんな事……急に言われても……」

まどか「決めることなんて……そんなの……でき…ない……っ」ポロポロ

ほむら(……)

まどか「うっ……うぅ……っ……」グスッ

ほむら(……まどか……)

QB「……ま、今すぐに答えを出す必要はないよ」

QB「いつだって構わない、願ったその瞬間にこの時間軸の過去に修正が入るだろうからね」

QB「君の存在は再び消え去り、さやかが魔女と化した時点か、もしくはまどかがこの世界に降臨した時点に時間が戻り、今とは違う時間軸に分岐するはずだ」

QB「そうすれば美樹さやかの運命も今とは違ったものになる」

まどか「……」ピクッ

まどか「……さやかちゃんが…助かるの……?」

QB「断言は出来ないけどね。ただ、今とは違った過程を辿るのだから、自ずと結果も変わってくるだろう」

まどか「……」

QB「いずれにせよ、僕が君と契約した際に僕が叶える願いは、かつての君の願いだけだ。それ以外に叶える気はない」

QB「後はまどか、君の覚悟……それだけだ」

QB「そして忘れないでくれ。膨大な因果を背負い神と成り得る君だけが、君のその願いだけが奇跡を起こし皆とそして宇宙を救えるんだ」

まどか「……」

QB「……答えが出るまで考えるといい。それまで君に危害が及ばない様に見守っているよ」

QB「その気になったらいつでも良い、僕を呼んでおくれ」

まどか「……」

QB「それじゃまどか、良い返事を待ってるからね」スッ……

まどか「……」

ほむら「…………」

まどか「……ねぇ…ほむらちゃん……キュゥべえの言ってたコトって……」

まどか「ぜんぶ…全部ホントの事……なの……?」

ほむら「……」

ほむら「……あいつ等は嘘はつかないわ……それだけは確かよ」

まどか「そっか……そうなんだ……」

まどか「……」

まどか「じゃあ、やっぱり……わたしはキュゥべえの言う通りにした方が……いいのかな……」

ほむら(それは違っ――!)



―――QB『暁美ほむら、君はかつてのまどかの願いを、ともすればかつてそれを願った鹿目まどかという存在を否定するのかい? 』



ほむら「……」ぐっ

ほむら「……その答えを出せるのは…あなただけよ……」

まどか「……うん……」

まどか(……でも…どうすればいいんだろう……)

まどか(……どうすれば……)










―――――

今回はここまで
次回は未定です。また2~3週間後くらいに……

そして全然あと2回じゃなかった……すんません

>>498
>>499
>>504の補足

例によって(ry
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4027847.jpg


多分あってる……はず……

―マミ自宅―



QB「―――今話した通り、これが今この世界に起こっている事象だ」

マミ「……世界のルールが……変わってしまっただなんて……」

杏子「ほむらはなんて?」

QB「彼女も僕とほぼ同じ認識だね」

杏子「……そうか」

マミ「ねぇ、キュゥべえ……もうどうしようも無いの? この魔獣と魔女がいる世界のままなの?」

QB「いや、変わってしまったルールを以前のものに是正すれば良いのさ」

B「その為には鹿目まどかが前と同じ願いを叶える必要がある」

マミ「そっか……鹿目さんが願えば……!」

マミ(……でも……)

杏子「……なぁ、マミ」

マミ「……」

杏子「あたしは難しい事はよく分からないけどさ……あんま深く考え無くてもいいんじゃないか……?」

杏子「キュゥべえの言う通りなら、まどかが何とかしてくれるんだろ?」

杏子「なら―――」

マミ「……かったら……?」

杏子「……?」

マミ「何とかしてくれなかったら……?」

杏子「う……」

マミ「もし鹿目さんが願わなかったら……」

マミ「そうなれば、いずれ私たちは呪いを振りまく魔女になってしまうわ……!」

マミ「佐倉さん……この話しを聞いてあなたは何とも思わないの?」

杏子「それは……」

マミ「……いつだったか、あなたに話したっけ……私が魔法少女になった時のこと……」

杏子「ああ……聞いたよ……」

マミ「死の淵で願い、そして叶った奇跡は……私にとって結局なんの意味も無いものだった」

マミ「大好きだったお父さんもお母さんも居なくなって……残ったのは哀しい思い出と、私だけ助かってしまったというその後悔だけ……」

マミ「なら、せめて他の人が魔獣のせいで私と同じ思いをしないようにって……」

マミ「それが私にとっての全てだった……魔法少女は私の生きる意味そのものだった」

マミ「それなのに……」

マミ「それを否定されたのなら私は―――」



―――ズズズ……



杏子(――!! やべぇ! このままじゃマミのソウルジェムが濁り切っちまう!)

杏子「とりあえずソウルジェムを寄越せ! 早く浄化しないと―――!」

マミ「いいのよ」

杏子「……あ?」

マミ「……もう……いいの」

杏子「なに言ってんだよ! このままじゃあんたは……!」

マミ「もうその必要は無いのよ、佐倉さん……」ユラッ…



―――シュルルルッ!



杏子「――っ!?」ハッ!



―――シュルル……! ビシッ!!



杏子(これはマミのリボン!? 手足が動かねぇっ……!)ギチギチ

マミ「ごめんなさい、佐倉さん。あなたに動かれると困るから」



―――チャキッ……!



杏子「なっ!? おい正気かマミ!? 銃を下ろせ!」

マミ「ダメなのよ……」

マミ「私はもう……限界なのよ……!」じわっ

杏子「マミっ!! ぐっ……!」ギュウゥ…!

マミ「鹿目さんが願わなかったら、私達はいずれ魔女になってしまうわ」

マミ「私たち魔法少女が他人を呪うだなんて……そんな事許すわけにはいかない……」

マミ「私にとっての魔法少女は希望のままでいなきゃダメなのよ」

マミ「……だから……」

マミ「だから、その前に……ね」

杏子「おい、キュゥべえ! お前からも何か言ってやれ! マミを止めろ!」

QB「……これがマミの選択だというのならば、たとえそれが自己満足だろうとなんだろうと好きにすれば良いと思うよ」

QB「どうしようと構わない、それは彼女の自由だ」

杏子「なっ!? てめぇ、それがずっと一緒にいたやつの言うセリフかよ!」

QB「……」

QB「……今の僕が興味あるのは鹿目まどかの動向だけだ」

杏子(くそっ! まずい!!)

マミ「ごめんなさい、わがままで弱い私をどうか許して……」

マミ「さようなら……佐倉さん」チャキッ!

杏子「や、やめろ……マミ……!」

マミ「……願わくば鹿目さんが元の、魔法少女が希望という名の存在だった世界に戻してくれることを……」ググッ…

マミ「そうなれば、また笑って皆と……」じわっ

杏子「オイよせっ!! やめろっ!!」

杏子「やめろぉおおおおっ!!」

マミ「……」ニコッ



―――ドンッ……!!







――――――

―ほむら自宅―



TV『本日夕方頃、市内の路上にて少年と少女が倒れているのが通報を受けた救急隊によって発見されました』

TV『少年の方は全身打撲による意識不明の状態にあり、少女の方は搬送先の病院で死亡が確認されたとのことです』

TV『警察は事故と事件の両面から捜査を進めるとともに、少年の回復を待って詳し―――』ピッ…


ほむら「……」

まどか「……」

ほむら(重い空気を紛らわそうとテレビを点けたのは失敗だったわね……)

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「美樹さやかの死……」

まどか「……」ピクッ

ほむら「……そのこと自体にあなたが責任を感じる必要なんてないわ」

ほむら「魔法少女にとって、魔獣との戦いは避けて通ることの出来ない宿命なのだから」

ほむら「……彼女だって、それがいつか来るものとして、覚悟していたはずよ」

ほむら「だから……」

まどか「……」

ほむら(……)

まどか「……」

ほむら「……」はぁ…

まどか「……」

ほむら「……まどか……ご飯が冷めてしまうわ」

まどか「……」

ほむら「少しだけでも……」

まどか「……いい……」

まどか「……お腹……空いてないから……」

ほむら「……そう……」

まどか「……」

ほむら「……それじゃ……このまま冷蔵庫に入れておくから、食べたくなったら温めて、ね」

まどか「……うん、ごめんね。折角作ってくれたのに」

ほむら「……いいのよ、気にしないで」

ほむら(……まどかはああ言っているけど、お腹は空いているはず……でも喉を通らないのね)

ほむら(無理もないわね。あんな事の後じゃ……)

ほむら(一緒に談笑してた人が目の前で怪物に変わり、その原因が自分にあると知ってしまったのだから)

ほむら(あまり自分を責めすぎないで欲しいけれど……)

ほむら(……するなと言う方が無理よね)はぁっ…

まどか「……」

ほむら「……まどか、お風呂は……?」

まどか「……」

ほむら「そう……じゃあ、先に頂くわね」

まどか「……うん」

ほむら(……)じっ…

まどか「……」

ほむら「……」スッ…



―――カチャ、パタン……

 
 
 


まどか「……」

まどか「……」

まどか(ほむらちゃんは……)

まどか(何も言ってくれない)

まどか(わたしに契約しろとも、するなとも……)

まどか(それって、ほむらちゃんはわたしのこと何とも思ってなくて、どうでも良いってこと……なのかな……)

まどか「……」

まどか「……!」ズキッ…!

まどか(マミさんに掴まれた肩……まだ少し痛いや……)


――マミ『鹿目さん……! お願い……! なんとかして!』

――マミ『これじゃ、私は……私は……』


まどか(マミさん……凄くショックを受けてた……)

まどか(……そうだよね。自分が怪物になっちゃうって知ったら、わたしだって……)

まどか(……)

まどか「マミさんならほむらちゃんと違って、どうするのが一番良いのか一緒に考えてくれるのかな……?」






――――――

 
 

―浴室―



―――シャアァァ……



ほむら(……)

ほむら(……キュゥべえは言っていたわね)

ほむら(この先、世界は必ず改変される、と……)

ほむら(一つは前の世界に戻る道)

ほむら(もう一つは魔女のいない世界が継続する道……)

ほむら(そして当然、その魔女のいない世界にはまどかも存在しない)

 
 
 
―――シャアァァ…




ほむら(……)



――まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!』



ほむら(……)



―――ピチョン……ピチョン……



ほむら(……どちらにせよ、たぶん私はまどかとは……)スッ…

ほむら(なら―――)

 
 
 
―――ガチャ!




ほむら「お待たせまどか、上がったわ」

ほむら「入るのならどうぞ」

ほむら(……)

ほむら(……? 反応が無いわね)

ほむら「まど――」チラッ

ほむら「!?」

ほむら(いない……!?)

ほむら(はっ! まどかの靴が無くなっている……)

ほむら(外へ出たの……? なんで……!)

ほむら(でも、今のまどかが行く所なんて……)

ほむら(……一つずつ探すしかないわね)

ほむら「……まどか……」






――――――

 
 

―路上―



まどか「……もらった紙にある住所だと……」

まどか「そうだ、この道を右だっけ」

まどか「……着いた、マミさんの住んでるマンション……」

まどか(……)

まどか(……何も考えずに飛び出して来ちゃったけど……やっぱり迷惑かな……)

まどか(でも、もしかしたらマミさんショックで凄く落ち込んでるかもしれないし……一緒にこれからのことを話せば、少しだけでも……)

まどか(……わたしのせい……だもんね……)

まどか(……)



―――ピンポーン



まどか(……)

まどか(……)

まどか(……いない……のかな?)

まどか「……」

まどか(……何やってんだろわたし……ほむらちゃんにもきっと心配かけちゃってるよね……)

まどか(……帰ろう)

 
 
 
―――ガチャ!




まどか「!!」



―――ギイィィ……



まどか(え!? ドアが開い……?)



―――しーん……



まどか(……あれ? 誰も出てこない……?)

まどか(……)

まどか(これって……入っていいってことなのかな……?)

まどか「し、失礼しまーす……」ソロー…

まどか(玄関、暗いや)

まどか「こ、こんばんはー……」

まどか「……」しーん

まどか(奥の部屋の明かりが点いてる……ってことはやっぱりマミさん居るん……だよね?)

まどか(……お部屋に行っちゃってもいいよね……)

まどか(なんでこんな静かなんだろ……)スタスタ

まどか「あの……おじゃまします……」スッ

マミ「……」

まどか「あ……! マミさん!」

まどか「よかった、誰も出てこないから……」

マミ「……」

まどか「あ! す、すみません勝手に上がっちゃって……あ、あとこんな時間に……」

マミ「……」

まどか「あの……その……」

まどか「わたし……マミさんに聞きたいことがあって……」

まどか「……それで来たん……ですけれど……」

マミ「……」

まどか(……?)

マミ「……」

まどか「あの……マミさん……? 何でずっと黙ってるんですか……?」

杏子「……どのツラ下げて来やがったんだ? 今更……」

まどか「え!?」クルッ!

杏子「……」

まどか「あ! 杏子……ちゃん……!」

杏子「……もうマミは喋らねぇよ」

まどか「え? あの……マミさんは……? 喋らないって……?」

杏子「……なんで……」ユラッ…

まどか「……杏子……ちゃん……?」たじっ…

杏子「なんでっ……! 途中で投げ出した!!」ガシッ!!

まどか「っ……!!」

まどか(く……苦し……!)ググッ…!

杏子「テメェの……テメェのせいで……」ギリっ

まどか「……っ……マミさ…っ…助…け……!」グググッ…!

杏子「――っ!!」ブチィッ!!

まどか(殺され―――!)

 
 
 
―――バシュッ!!




杏子「――!!」バッ!!

まどか「……っ!」トサッ

まどか「げほげほっ……!」

杏子「弓矢……ほむらか」

ほむら「まどかから離れなさい杏子……!」

ほむら「彼女に手を出すというのなら、私が相手になるわ!」

まどか(……ほむら……ちゃん……)

杏子「……」

ほむら「まどか、こっちへ……!」

まどか「う、うん……」トトッ

ほむら「……」はぁ…ふぅ…

まどか(ほむらちゃん……息を切らして……急いで来てくれたんだ……)

まどか(じゃなきゃ今頃……)ゾッ…

ほむら「佐倉杏子……! あなたは自分が何をしようとしたか解っているの!?」

杏子「……ああ、解ってるさ」

杏子「……それより、ほむらの方こそ解ってんのか?」

ほむら「……」

杏子「こいつが全ての元凶なんだぞ!!」

まどか「……っ」ビクッ!

ほむら「……」

杏子「こいつのせいでマミは……!」ギリッ

ほむら「マミ……? 巴マミがどうし――!」ハッ!

マミ「……」

ほむら「巴マミ!? まさか……!」

杏子「マミはキュゥべえの話しを全部聞いた後……」

杏子「魔女になりたくないって……! そう言ってあたしの目の前でっ……!」



――マミ『さようなら、佐倉さん』ニコッ…



杏子「マミは自分で……自分のソウルジェムをっ……!」

ほむら「……」ぐっ…

まどか(え……? うそ……?)

マミ「……」

まどか(マミさん……死ん……?)

まどか(あぁ……あああ……)

杏子「何も出来なかった……何も……」

ほむら「……巴マミの事は残念だったわ……」

ほむら「でも……彼女はその行為に意味を見い出し、そして選択したのよ……だからあなたが―――」

杏子「テメェに何が分かるっ!!! 」

ほむら「……っ!」

杏子「……マミは昔からあたしの面倒をみてくれてたんだ……さやかとはようやく友達になれたんだ……」

杏子「二人は……家族を失っちまったあたしがようやく取り戻した……大切な温もりだった……!」

杏子「あたしにとってのあの二人は……お前にとってのまどかとおんなじなんだよ……!」

ほむら「……」ぐっ

杏子「それを……」

杏子「それを……! こいつがっ!!」

まどか「ひっ……!」ビクッ

杏子「……こいつが……願いを途中で投げ出したせいで……あたしはまた全てを失っちまったんだ……!」

ほむら「……」

杏子「あたしは……そういう中途半端な奴が大嫌いなんだよ! 反吐が出る程になぁっ!!!」

まどか「……あ、あの……」オロオロ…

杏子「まどかァッッッ!!!!」

まどか「――っ!!」ビクッッ!!!

杏子「……テメェ、なんで投げ出した?」

杏子「なんでこっちに来た!!!」

まどか「あ、あのっ……その………」

まどか「……っ……わたしっ……」じわっ…

まどか「わたし……わから……ないん……です……自分でも…っ…」ポロポロ…

まどか「……なんで……こんな……っ……ことに……」

まどか「うっ…うええ……」ボロボロ…

ほむら「やめなさい杏子! まどかには記憶が無いのよ!」

杏子「まどか、テメェは神様だったんだろ……!? また成れる力があるんだろ!!?」

杏子「だったら……」

杏子「だったら……っ!!!」ギリっ…!

まどか「うぅっ……ぐすっ……」

杏子「……お願いだ……! あたしの為に……」

杏子「世界を元に戻してくれ……!!」じわっ…

杏子「マミとさやかを……返してくれよ……」ツゥ…

ほむら「杏子……」

杏子「……」

まどか(……)ぐすっ…

杏子「まどか、あたしは全てを奪ったお前が憎くて憎くてしょうがねぇ、けど殺しはしねぇよ……」

杏子「殺しちまったらまどかの願いが無くなるって、キュゥべえから聞いたからな……」

杏子「だがまどか、もしもテメェが拒むというのなら……」

杏子「願いを言わせる為には手段なんて選ばねぇ……! 手足が無くなるくらいは覚悟しろよ……!」

ほむら「……っ!」

まどか(……)

杏子「……」クルッ

マミ「……」

杏子「……マミ」そっ…

マミ「……」

杏子(……)

杏子「……話は……終いだ」スッ

ほむら「――!」バッ!

杏子「……いまやり合う気はねぇよ、ほむら。今日は大人しく引き下がるさ」

まどか「杏子ちゃん、あのっ……」

杏子「……うるせぇ、話し掛けんな」

杏子「願い以外の言葉なら、聞くだけ無駄だ」

まどか「あ……」

杏子「……」


――マミ『……願わくば鹿目さんが元の、魔法少女が希望という名の存在だった世界に戻してくれることを……』


杏子「……何が神様だ、祈る気ににすらなりゃしねぇ……」ボソ…

まどか(……)



―――キィ、パタン…



ほむら「……」

まどか「……」






―――――――
―――――
―――
 

今回はここまで
次回は未定です
1~2週間後くらい目安に……すんません……

―ほむら自宅 ベッドの中―




まどか(……)

まどか(……)ゴロン

まどか(……)

まどか(何も考えられない……)

まどか(……)

まどか(なんで……って……どうして……って、思うことが有り過ぎて……)

まどか(……)ゴロン

まどか(もういやだ……)

まどか(何も考えたくないよ……)

まどか(だって全部……全部わたしの……)

まどか(……)じわっ…



―――スゥッ……



まどか(……光……)

まどか(月の光……雲の隙間から……)

まどか(……)

まどか(……そういえば、杏子ちゃんのお家で同じように窓から夜空を眺めてたっけ……)

まどか(……)

まどか(あの時のわたしは、月を見上げながらなんて思ったんだろう……)

まどか(ついこの前のことなのに……もう思い出せない)

まどか「杏子……ちゃん……」ボソ…

 


  ――杏子『魔獣二匹たぁ、ついてんな。マミの頼みを聞いて来たかいが……あったってもんだ!』


  ――杏子『なにしてんだ……? ずっと膝抱えて』


  ――杏子『杏子あんたの分だ、食いな。遠慮すんなよ、腹へってんだろ?』


  ――杏子『固っ苦しいな、杏子でいいぜ』


  ――杏子『……祈り、か』


  ――杏子『神様ってやつはよ、話は聞いてくれるけどなんにもしちゃあくれねーんだ』


  ――杏子『結局、自分でなんとかするしかねーのさ』

                                         』



まどか(……魔獣に襲われてたところを杏子ちゃんが助けてくれて、食べ物と寝る場所も)

まどか(……それから行く所の無くなったわたしは、マミさんのお家に行って……)




  ――マミ『鹿目さんね。わたしは巴マミ、同じ中学の3年よ。マミって呼んでね』


  ――マミ『こんな可愛い子が神さまだなんて』


  ――マミ『……そうね……きっと、暁美さんに会いに来たんじゃないかしら?』


  ――マミ『だとしたらそれはとても素敵な事だと思わない?』


  ――マミ『何時でも来てちょうだいね、また一緒にお茶しましょう』ニコ

                                      』



まどか(マミさんの淹れてくれたおいしい紅茶を飲みながら難しいお話しして……あの時はあまりよく分からなかったけど……今なら……)

 


  ――さやか『おおっ! 君がまどかちゃんだね! 話し通りちっちゃくて可愛いねー!』

 
  ――さやか『オホン! 実はねまどかちゃん、あたしも魔法少女なのだ!」』


  ――さやか『この辺りは魔獣が多いからね。だから、あたしら三人が日夜見滝原市民の平和な生活を守っているのである! 』


  ――さやか『ほむらはきっとさ、まどかちゃんがいれば今はそれだけで良いんじゃないかな』


  ――さやか『あいつのあんな優しい笑顔、初めて見たんだ』
 

  ――さやか『まどかちゃんにまた会えたから、だから、あいつは心から笑えるんだと思うよ』

                                              』



まどか(さやかちゃんは親身になって私の相談にのってくれたっけ……)

 
まどか(杏子ちゃんも……)

まどか(マミさんも……)

まどか(さやかちゃんも……)

まどか(みんな……)

まどか(みんな、初めて会うわたしにやさしくしてくれた……)

まどか(……してくれたのに)

 
 
 
 
まどか(なのにそれを……)



まどか(それを……)


まどか(わたしが―――)

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
裏 切 っ た

 
 
 
 
 
 

 


  ――さやか『さよなら恭介……』



  ―――パリィィィンッッ!!



  ――人魚の魔女『ヴォオオオオオオオオ!!!』

                          』

 


  ――マミ『鹿目さん!!』


  ――マミ『お願い……! なんとかして!」 』


  ――マミ『暁美さんが言ってたわよね……? あなた……私達にとっての神様だって……』


  ――マミ『これじゃ、私は……私は……』


  ――マミ『ソウルジェムが魔女を生むのなら……』


  ――マミ『私は何のために生きているの…? 何のために今まで戦ってきたの……?』


  ――マミ『……だったら……もう……』

                         』

 


  ――杏子『まどかァッッッ!!!!』


  ――杏子『……なんで…… 』


  ――杏子『なんでっ……! 途中で投げ出した!!』


  ――杏子『こいつが全ての元凶なんだぞ!! こいつのせいでマミは……!』


  ――杏子『……こいつが……願いを途中で投げ出したせいで……あたしはまた全てを失っちまったんだ……!』


  ――杏子『あたしは……そういう中途半端な奴が大嫌いなんだよ! 反吐が出る程になぁっ!!!』


  ――杏子『願いを言わせる為には手段なんて選ばねぇ……! 手足が無くなるくらいは覚悟しろよ……!』


  ――杏子『……何が神様だ、祈る気ににすらなりゃしねぇ……』

                                  』

 
 
まどか「うぅ……っ……」じわっ…


まどか(ねぇ……どうすればいいの……)

まどか(どうすれば……皆を救えるの……)

まどか(誰か教えて……教えてよ……)ポロポロ…
 

 


  ――杏子『神様は迷ってる人に道を示してくれるんだ』


  ――杏子『ただ、その道を行くのか引くのか、また別な道を探すのか……』


  ――杏子『それは自分で決めなきゃならねぇ』
                          
                            』



まどか(……っ……)ぐすっ






  ――QB『まどか、君と契約した際に僕が叶える願いは、かつての君の願いだけだ。それ以外に叶える気はない』


  ――QB『後はまどか、君の覚悟……それだけだ』


  ――QB「そして忘れないでくれ。膨大な因果を背負い神と成り得る君だけが、君のその願いだけが奇跡を起こし皆とそして宇宙を救えるんだ』

                                                                    』



まどか(……わたしは……わたしに出来るのは―――)ボロボロ…


 
 
 
 
 
ほむら「まどか……」



まどか(――!)ハッ

 
 
 
 

ほむら「泣いて……いるの……?」

まどか(……)プイッ…ぐしぐし…

ほむら(……)

ほむら「……そっちへ行っても……いいかしら?」

まどか「……」

まどか「……」…コクリ

ほむら「……失礼するわね……」ゴソゴソ…

まどか(……)

ほむら「……佐倉杏子のことを考えてたのかしら……?」

ほむら「大丈夫よ、わたしが守ってあげるから」

まどか(……)

ほむら「それとも……貴女はまた自分を責めていたの……?」

まどか(……)ピクッ

ほむら「……そう」

まどか「……」

ほむら「……私ね、貴女と約束したの……」

まどか「……」

ほむら「その為に死ねるなら、それでも構わないって」

ほむら「そしていつか、あなたの元へ行けたらって……そう思ってたわ……」

ほむら「でも……」

ほむら「もしかしたら……私はずっとこの世界を守り続けなきゃならないのかもって、もう貴女と逢えないのかもって……思ってしまったの……」

ほむら「貴女がこの世界に来て、また貴女の優しさに触れて、私の考えは変わってしまった……」

まどか(……)

 
 
 
―――ギュ……




まどか(――!!)

まどか(後ろから抱かれ――)

ほむら「何も……言わないで……」ギュゥ…

ほむら「お願い……少しでいいから……このままでいさせて……」

まどか(……ほむら……ちゃん……)

ほむら「何度も同じ時間を繰り返して……私は成長したって、強くなったって……そう思っていたのに……」

ほむら「私の心は貴女に守られていた頃の、弱くて醜くいあの時のまま……」

ほむら「……ごめんなさい……身勝手だって……わがままだって……分かってる……」

ほむら「でも……もう貴女と離れたくないの……!」じわっ…

ほむら「もっと側で……貴女の温度を……感じていたい……」ポロポロ

ほむら「だって……だって貴女は……」

ほむら「この世界でたった一人だけの……私の大切な……っ!」ギュウッ…

まどか(……)

ほむら「……っ……うぅ……っ…」ポロポロ…

ほむら「お願い……」

ほむら「お願いまどか……」ポロポロ…

ほむら「何処にも行かないで……」ギュ

まどか(……)









――――――――
―――――
―――

 
 
 
 
 
 
 
 
 

―???―




   ……


   ……


   ……?


   ……ここは……?



和子『はーい、それじゃあ自己紹介いってみよう」』

暁美『あ、あの……あ、暁美…ほ、ほむらです……』



   ……!



暁美『その、ええと……どうか、よろしく、お願いします……』



   ……これは一体……?

女子A『暁美さんって、前はどこの学校だったの?」』

女子B『部活とかやってた?運動系?文化系?』

女子C『すんごい長い髪だよね。毎朝大変じゃない?」』



   ……?

   ……??



暁美『あの、わ、私、その……』



   ……これは昔の私……

   私の古い記憶を見てる?

   いえ、夢……? なのかしら……?

鹿目『暁美さん』



   ……!



鹿目『保健室、行かなきゃいけないんでしょ? 場所、わかる?』



   まど……か……



鹿目『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』

暁美『え? そんな……』



   最初に私が出会った……まどか……

鹿目『いいって。だから私もほむらちゃんって呼んでいいかな?』

暁美『私、その……あんまり名前で呼ばれたことって、無くて……。すごく、変な名前だし……』

鹿目『えー? そんなことないよ。何かさ、燃え上がれーって感じでカッコいいと思うなぁ』

暁美『名前負け、してます……』

鹿目『そんなのもったいないよ。せっかく素敵な名前なんだから、ほむらちゃんもカッコよくなっちゃえばいいんだよ』



   ……懐かしい……

   もう遠い遠い過去なのね……

 
 
 
―――ダンダンッッ!!!




マミ『間一髪、ってところね』

鹿目『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』

暁美『あ、あなたたちは……』

QB『彼女たちは魔法少女。魔女を狩る者たちさ』

鹿目『いきなり秘密がバレちゃったね』ギリリ…!

鹿目『クラスのみんなには、内緒だよっ!』 バシュッッ!!



―――ドゴオオオオオン!!!



暁美『あ……』



   ……そうだ、この時からわたしは貴女に憧れて―――


鹿目『じゃ……いってくるね』

暁美『えっ……そんな……巴さん、死んじゃっ、たのに……』

鹿目『だからだよ。もうワルプルギスの夜を止められるのは、私だけしかいないから』

暁美『無理だよ! 一人だけであんなのに勝てっこない! 鹿目さんまで死んじゃうよ!』

鹿目『それでも、私は魔法少女だから。みんなのこと、守らなきゃいけないから』

暁美『ねぇ……逃げようよ……だって、仕方ないよ……誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ……』



   私とは何もかもが違う

   そんな強くて優しい貴女だったから

鹿目『ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった』

鹿目『あなたが魔女に襲われた時、間に合って。今でもそれが自慢なの』ニコっ

鹿目『だから、魔法少女になって本当によかったって。そう思うんだ』

暁美『鹿目さん……』

鹿目『さよなら、ほむらちゃん。元気でね』

暁美『いや! 行かないで……!』

暁美『鹿目さぁぁぁぁぁん!!!』



   ―――だから、私は願った

暁美『どうして……? 死んじゃうって、わかってたのに……』

暁美『私なんか助けるよりも、あなたに……生きててほしかったのに……』

QB『その言葉は本当かい? 暁美ほむら』

暁美『――!』 ハッ

QB『君のその祈りの為に、魂を賭けられるかい?』

OB『戦いの定めを受け入れてまで、叶えたい望みがあるなら、僕が力になってあげられるよ』

暁美『……あなたと契約すれば、どんな願いも……叶えられるの?』

QB『そうとも。君にはその資格がありそうだ。教えてごらん。君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?』

暁美『私は……』

暁美『私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい……!』

暁美『彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい!!』
 


   まどかの運命を変える為に

   そして何も出来なくて弱かった自分を変える為に……



暁美「鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ!これから一緒に頑張ろうね!」

鹿目「え?……えぇと……う、うん……///」

マミ『暁美さん、おねがい!』

暁美『は、はいっ!』カチンッ

委員長の魔女『』ピタッ…!

暁美『爆弾で……えいっ!』 ポイッ!



―――ドオオオオン!



暁美『やった!? やった……!!』

鹿目『やったぁーっ!』ダキっ!

暁美『わっ!?』

マミ『お見事ね』

鹿目『すごい! すごいよほむらちゃん!』スリスリ

暁美『あ……えへへ///』



   ようやくまどかと同じ立場に立てて彼女に認められて……

   嬉しかった

   魔法少女になって本当に良かったって、そう思った

 
 
 
 
 
でも……

 
 
 
 

 
 
 
   現実は厳しくて




鹿目『嫌だぁ……もう嫌だよ……こんなの……』ポロポロ…

暁美『大丈夫だよ。二人で頑張ろ? 一緒にワルプルギスの夜を倒そう?』

鹿目『うん……』



   容赦無くて



鹿目『私たちも、もうおしまいだね』

暁美『グリーフシードは?』

鹿目『……』

暁美『そう……』

暁美『ねぇ……私たち、このまま二人で怪物になって……こんな世界何もかも……メチャクチャにしちゃおっか?』

暁美『嫌なことも、悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい、壊して壊して、壊しまくって、さ……』じわっ…

暁美『それはそれで、良いと思わない……?』

 
 
 
―――カチンッ…




暁美『!』



―――シュウウゥ…



鹿目『さっきのは嘘。グリーフシード……1個だけ取っておいたんだ』ニコっ…

暁美『そんな…! 何で私に!?』

鹿目『私にはできなくて、ほむらちゃんにできること、お願いしたいから』



   それでも彼女は諦めなかった

 
 
 
   私と違って


   どんな絶望の中でも希望を持っていた



鹿目『ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね……?』

鹿目『こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ってたよね……』じわっ…

暁美『うん……』

鹿目『キュゥべえに騙される前のバカな私を……助けてあげてくれないかな……?』ツゥ…

暁美『約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!』

 
 
 
   そして、その希望を私に託して




鹿目『……もう一つ、頼んでいい……?』

暁美『うん……』

鹿目『私、魔女にはなりたくない……』

鹿目『嫌なことも、悲しいこともあったけど、守りたいものだって、たくさん、この世界にはあったから』じわっ…

暁美『まどか……!』

鹿目『ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しい……な』ツゥ…

暁美『……!』

暁美『ぐっ……うぅ……』チャキッ!

暁美『……うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!』



   彼女は深い眠りについた

 
 
 
   私はあなたの為だけに




ほむら『繰り返す。私は何度でも繰り返す』

ほむら『同じ時間を何度も巡り、たった一つの出口を探る』

ほむら『あなたを、絶望の運命から救い出す道を』

ほむら《まどか……たった一人の、私の友達……》

ほむら《あなたの……あなたの為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められても……》

ほむら《構わない……!》

 
 
 
   あの時交わした約束を果たす為に




ほむら『本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ……!!』
 
ほむら『だって、私は……!』

ほむら『私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!!』

まどか『……!』ギュッ!

ほむら『……』ギュゥ…

ほうら『……私ね、未来から来たんだよ……』

ほむら『何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、あなたが死ぬところを見てきたの……』

ほむら『どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して……』

ほむら『ごめんね……わけわかんないよね……気持ち悪いよね……』

ほむら『まどかにとっての私は、出会ってからまだ1ヶ月も経ってない転校生でしかないものね』

ほむら『だけど私は……私は私にとっての貴女は―――』



   そう思って、同じ時間を何度も繰り返してきた

   ただ、だだ……ひたすらに

 
 
 
   貴女を絶望の運命から救う


   それが私の最初の気持ち

   ……もうそれがどれ位前の事か分からなくなってしまったけれど

   この日々のことは決して忘れたりはしない

   いつ迄もこの胸の奥に留めているわ

 
 

 
    
 
 
   そして私は、皆と協力しワルプルギスの夜の撃退を果たすこことが出来た


   まどかを守れた

   まどかを救えた

 
 
 

 
 
 
   ようやく手に入れることが出来た


   永らく夢見ていた平穏な日々……



ほむら『まどかはクリスマスに、その……相手に贈るプレゼントとか何か決めているのかしら?』

ほむら『もしそういうのを決めていないのなら、微力ながら協力するわ』

まどか『……その……えっと』

まどか『あ、あの! 私まだ決まってなくて、よかったらいい一緒に買いに行ってくれるとう嬉しいなって///』

ほむら『ええ、もちろん構わないわ。今度都合の良い日を教えて頂戴。わたしは何時でも構わないから』

まどか『うん! えへへっ///』

ほむら《あ……まどかの笑顔……何だか久しぶりな気がするわ》


  
まどか『それじゃ、もうひとつだけ買いたいものがあるの、お店に一緒に来て貰っても、いいかな?』

ほむら『それで何を買うのかしら?」

まどか『えっとね……さっきとは別に、とても大切な人に贈るプレゼントなの』

ほむら『……それってもしかして、例のまどかの……その……好きな人に、かしら?』

まどか『う、うん///』
 

 
 
まどか『あー……それもすごく良いと思うけど……ほむらちゃん自身はどの時計が良いと思う?』


まどか『あ、あの……その、さ参考までに……?』

ほむら《……そうね》

ほむら《さっき見つけた……これかしら。控えめなピンクの意匠がまどかを連想させるから……》

ほむら『私は……この時計が欲しいわね』スッ

まどか『あ……』
 

 
 
ほむら『プレゼント……上手くいくと良いわね』


まどか『……』

ほむら『いいえ、あなたならきっと上手くいくわ。だからその大切な人に、想いの全てをぶつけなさい』

ほむら《そうよ……まどかなら……きっと》

まどか『……あのっ!』

ほむら『……?』

まどか『……うん! がんばるね!』

ほむら《ふふ、変なまどか》
 

 
 
ほむら『それじゃあ、また明日ね』


まどか『うん、今日はほんとにありがとう』

まどか『最近ほむらちゃんとおしゃべりできなかったから、今日いっぱいおしゃべり出来て、すごく楽しかった』

ほむら『あ………それは』

ほむら『その、ごめんなさい。私も…今日はまどかと話せて嬉しかったわ』

まどか『えへへっ』

ほむら『ふふっ』

まどか『……それじゃまた明日ね! ほむらちゃん。バイバイ』

ほむら『ええ…また明日』



   眩しいその日々は

   まるで煌めく宝石のよう

 
 
 
 
 
   でもそれは



   単なるまやかし

 
 
 
 

 
 
ほむら《……もうソウルジェムも砕く魔力さえなくなってしまった……》


ほむら《でも盾は回さない、もう過去へは戻らない》

ほむら《この時間軸を無かった事になんて、出来ない……このまま、この魔女と一緒に結界ごと消えてしまいましょう》

ほむら《死ぬのはもう少し先だとおもってたけど……まどかの未来の為なら》

ほむら『ふふ、喜んでこの運命を受け入れるわ』

ほむら《……もうすぐ完全に濁りきる……手持ちのグリーフシードも尽きてしまったわ……》

ほむら《……これでお終いね……》



―――ズズズ…

 
 
 

 
 
ほむら《まどか……あなたならきっと、好きな人に想いは届くわ……どうか、幸せに…》


ほむら『……』

ほむら《……想い、か》

ほむら《……鹿目さん。貴女は私の憧れで……たった一人の大切な……》



―――ズズズズズ…



ほむら《私…変われたよね…?》

ほむら《貴女を守れる私に、なれたよね…?》じわっ…

ほむら《鹿目さん…》ツゥ…

ほむら『     』ポタッ―――



―――パリンッッ

 
 
 

 
 
 
 
 
   魔法少女はやがて魔女になる……



   そう、ワルプルギスの夜を撃退しても


   結局世界は何も変わってはいない

 
 
 
 

 
 
 
   だから、彼女は願った






―――まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!』





   全ての希望を絶望で終わらせない為に


   全ての魔法少女を救う為に

 
 

 
 
 
   結局私は……貴女を守ることは出来なかった


   救うことは出来なかった

   だからせめて―――



神まどか「ほむらちゃん…」

神まどか「勝手なお願いだって分かってる…だけど…」

神まどか「前のわたしじゃない今のわたしと約束して…」



   貴女と最後に交わしたあの約束だけは―――

 
 
 
     『これが、彼女の歩んだ道』




    ―――!!



     『そしてあなたの歩んだ道……』



   誰……? その声……もしかして……まどか……なの……?



鹿目まどか「そっか……そう……なんだ……」



   まどか……!?



     『あなたが願わなかったら、またこの悲劇が永遠に繰り返されてしまうの』

鹿目まどか「うん……」

 
 
 
   なんで……!? どうして貴女が……?




鹿目まどか「そうだよね……こんな悲しいことは終わらせなきゃダメだよね……」



   まどか……? ねぇ……! まどかったら!



     『そう、その為の力があなたにはあるんだもの』

鹿目まどか「そう、その為の力が私にはあるんだもの」



   聞こえないの!? まどか!



     『さぁ、行こう。そして一緒に叶えよう……』

鹿目まどか「うん、行こう。そして私の願いを叶えなきゃ」



   まどか! 待って!! まどか!!

 
 

まどか「……」チラっ…



   ―――! まどか!!



まどか「……」クルッ、スタスタ…



   あ……! お願い待って!

   行かないで! まどか!!

   まどかああああああ!!









――――――――
―――――
―――
 

―ほむら自宅 ベッドの中―




ほむら「――っ!!」ガバッ



   ……はぁ……はぁ…… 

   ……っ……

   ……はぁ……はぁ……

   ……はぁっ

   ……

   ……外はまだ……

   ……夜

ほむら「さっきの……夢……」



   ……

   ……嫌な予感がする

   一緒に寝たはずの……隣に居るはずのまどかが……もしかしたら居ないんじゃないかって……

   ……

   ……そんな訳ないわよね……



ほむら「……」ドクン…ドクン…



   ……っ







―――――――


―見滝原を一望できる丘―




まどか(……)

まどか(……)

QB「やぁ、鹿目まどか。待たせてしまったね」

まどか(……)

QB「僕を呼んだという事は、決心がついたんだね」

まどか(……)

QB「……夜空を眺めているのかい?」

まどか「……うん」

まどか「こうやって月と星の瞬きをずっと見ているとね、だんだん空の方にね吸い込まれていくの」

まどか「そして気づいたら、空を見上げるちっぽけな自分が見えるの」

まどか「空に浮かんだ私はまだまだ登って行って、そしたら今度は街の人達が住んでいる家の光が、たくさん、たくさんたくさん見えるんだ」

まどか「光がついたり消えたり、まるで見上げる星空みたいに……」

まどか「天と地が無くなるようなその感覚が、なんだか懐かしい気がして……夜がくる度にこうしてた」

QB(……)

まどか「その明かりの一つ一つが人の営みの証で、希望の光であるのなら、それをわたしのせいで消してしまうわけにはいかない……って」

まどか「人々の希望の為に魔法少女がいて、魔法少女の希望の為にわたしがいるんだ……って」

まどか「なら、わたしがするべき事は、一つ……なんだよね」

QB「そうだね。かつての君もきっと同じことを考えて、そして願ったんじゃないかな」

まどか「……うん」

ほむら「まどか!!!」

まどか「……!」

ほむら(……)はぁ…はぁ…

まどか「ほむら……ちゃん……」

QB「暁美ほむら。この後に及んでまだ彼女を止めようというのかい」

ほむら「当たり前じゃない……! きっとまどかだって―――」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「……!」

まどか「わたし……もう、決めたんだ」

ほむら「……まどか……そんな……」

まどか「……」

ほむら「どうして……」じわっ…

ほむら「どうしていつも……貴女はそうやって自分を犠牲にして……!」ツゥ…

まどか「……これは前のわたしが出した答えで、今のわたしがやらなきゃならない事だから……」

まどか「だから、その為に今、わたしはここにいるの」

ほむら「うっ……うぅ……まど……か……」ポロポロ…

まどか「ありがとうほむらちゃん。わたしの為なんかに泣いてくれて……」

まどか「ほむらちゃんがわたしにくれた言葉の一つ一つがとても優しくて」

まどか「大切に想ってくれてるって伝わって、心の奥がとても、とてもとても暖かくなったの」

ほむら(……)

まどか「……でもね、同時に哀しくなっちゃった」

まどか「だって、その優しさと暖かさは、今のわたしじゃなくて……」

まどか「ほむらちゃんを知っていた、前のわたしに向けられていたものだから」

ほむら「そんな事……そんな事ないわ……! 私は……ただ貴女が―――!」

まどか「ほむらちゃんが今着けてる腕時計……」

ほむら「―――!」ハッ

まどか「……思い出してあげれなくて、ごめんね……」

ほむら「……あ……あぁ……」じわっ…

ほむら「……ふっ……ぐうぅ……っ……」ポロポロ…

まどか「ごめんね……ごめんね、ほむらちゃん……」

まどか「これ以上ほむらちゃんの優しさに甘えちゃったら、きっとわたし、もう戻れなくなっちゃうから……」

まどか「だから……これでお別れ……」

まどか「さよなら、ほむらちゃん」

まどか「いつか……あなたを知ってるわたしになって、また逢えたらいいな……」ツゥ…

ほむら「……まどか……うっ……うぅっ…………まどかぁ……」ボロボロ…

QB「……さぁ、まどか」

まどか「……うん」



   『いいんだね?』



まどか「大丈夫、これが私の願いだから。私の希望だから」



   『じゃあ、叶えましょう』



QB「鹿目まどか、君の因果をかつての願いに戻す為に」

QB「君の祈りをもって世界を有るべき姿にする為に」


まどか「……」コクッ…!

 
 
 
   まどか……



   貴女はまた遠くへ行ってしまう……


   私の手の届かない所へと……

 
 

 
 
 
   ダメ……




まどか「……私の」



   その言葉を口にしたら……



まどか「……私の願いは―――」



   また貴女と離れ離れに……

 
 

 
 
 
 
 
 
 
まどか「かつてのわたしと同じ願い……!」



まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!」 
 
 
 
 
  
 

 
 
 
   ああ……




QB「契約は完了だ。感謝するよ鹿目まどか、ありがとう」



   これで……もう……



ほむら「……うっ……うぅ…っ…」ポロポロ…


 
 
 
   ……。

 
 
 
まどか「……ほむらちゃん」




   ……。



まどか「わたしを殺して……」



   ……。

   ……。

   ……え?

   今……なんて……?

 
 

 
 
 
―――キイィィィイン!




ほむら「……ソウルジェムに反応……? え……?」



   ……嘘よ


   ……嘘でしょう……?


   ……こんなの嘘よ……



まどか「……お願い……ほむらちゃん」ポロポロ…

 
 

 
 
 
 
 
    『さぁ、鹿目まどか』



    『叶えよてあげるよ、君の夢を』

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
夢の魔獣『そして彼女の悪夢を―――』

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
まどか「わたし……怪物になりたくない……だから……だから……」ボロボロ



ほむら「まど……か……?」

 
 
 

 
 
 
 
 
 
ワ タ シ ヲ コ ロ シ テ

 
 
 
 
 

QB「これは一体……? 世界が修正されない……?」

QB「それどころか、まどかから莫大な量の負の感情が溢れ出している!」

ほむら「……なんで……!」

ほむら「なんでまどかから魔獣の反応が……!!」

QB「魔獣の反応だって!?」

QB「……そうか……そういうことか……まどかが持つこの負の感情エネルギーは……!」

QB「なんてことだ……願いの根底にあるのは彼女の希望なんかじゃない」

QB「魔獣の呪いと絶望をもって、まどかの奇跡は叶えられてしまったんだ!」

ほむら「そんな……なんで……」

QB「ほむら、覚えているかい? 以前、志筑仁美を襲い、君の精神に干渉した魔獣を」

ほむら「――!」

ほむら(あの時の……! 私の記憶を覗いた魔獣……!)

QB「その魔獣の出す煙幕の中で、僕は君が魔獣に向かって放つ矢の音を聞いた」

QB「しかし、その矢は確かに魔獣を仕留めたのかい?」

ほむら「……」



――『また、わたしを殺すんだ?』



ほむら「……かった」

ほむら「殺せなかった……」

ほむら「この手がまた……あの子の血で染まってしまう思うと……私は……」じわっ…

QB「……成る程ね」

QB「鹿目まどかの存在は、君の願いによるものじゃない。魔獣と君の記憶を媒介として顕現したんだ」

QB「もしかして君は、まどかが降臨した時に心の何処かでこうなる可能性を予見していたんじゃないのかい……?」

ほむら「……」ポロポロ…

QB「ま、こうなってしまっては今更どっちだろうと構わないけどね」

QB「しかし、まんまとやられたよ。まさかまどかと魔獣が融合していたとはね」

ほむら「……まどかを……」

ほむら「まどかを助けないと……」フラッ…

QB「それは無理だよ、暁美ほむら」

ほむら「え……?」

QB「もう、どうする事も出来ないよ。彼女の願いは叶えられてしまったのだから」

QB「まどかは神に等しき存在となり、その膨大な因果に見合う量の呪いを生みだすだろう。彼女の中の魔獣と共にね」



   ……嫌……



QB「そして、このまま呪いが宇宙レベルで振りまかれるとしたら―――」



まどか「……ほむら……ちゃ……」ポロポロ…



QB「当然この先に待つものは―――」



   嫌ぁ……! まどか……!



ほむら「まどかあああああああああああああああ!!!!」

 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
QB「―――全宇宙の終焉だ」

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今回はこここまで
ようやくageれる……

そして今度こそクライマックス、次回か次々回が最終回です


次回の投稿日は未定です、すんません

―『ほむら自宅 ベッドの中』―




ほむら「――っ!!」ガバッ



   ……はぁ……はぁ…… 

   ……っ……

   ……はぁ……はぁ……

   ……はぁっ

   ……

   ……外はまだ……

   ……夜

 
 

ほむら「さっきの……夢……」



   ……

   ……嫌な予感がする

   一緒に寝たはずの……

   隣に居るはずのまどかが……もしかしたら居ないんじゃないかって……

   ……

   ……そんな訳ないわよね……



ほむら「……」ドクン…ドクン…



   ……っ

 
 

まどか「……すぅ……すぅ……」

ほむら(……)

まどか「……う……ぅん……」モゾモゾ…

まどか「むにゃ……ほむら……ちゃ……」

まどか「……すぅ……」スヤスヤ

ほむら(……)



   ……まどか……







―――――――
――――
――
 

―『翌朝』―






   ……

   ……

   ……

   ……眩しい

   ……

   ……もう朝……なのね

   ……

 
 

  
 
 
   目を開ければまた始まってしまう


   いつもの日々が

   辛く、苦しい現実が……

   

   ……身体が重い

   赦されるのなら

   このままずっとこうして

   眠っていたい

   ……

 
 

 
 
 
   ……でも、起きなくちゃ


   いままでだって、そうやって来たのだから

   私にはそうしなくてはならない理由があるのだから

   さぁ、目を開けて

   重い身体を起こして

   まだ見ぬ明日を今日に変える為に

   その先に待つ貴女に

   また逢う為に

 
 

ほむら「……ん」ムクッ

まどか「あ、お早う。ほむらちゃん」ニコ



   ……

   ……

   ……



ほむら「……お早う、まどか」ボー…



   ……なんだろう……? 酷い疲労感と倦怠感……



まどか「わっ! ほむらちゃん眼ぇ真っ赤!」

ほむら「え……?」

まどか「それに涙の跡……もしかして悪い夢でも見てたのかな」



   涙……

   夢……



ほむら(そう言えば、起きる時に何か考えていたような……?)



   ……

   ……

   忘れてしまった



ほむら(まぁ、いいわ。そんなことより……)

ほむら(……こんな酷い顔をまどかに見られてしまうなんて……)ぐしぐし…

まどか「……」じっ

ほむら「まどか、あんまり見ないで……恥ずかしいから……」

まどか「あっ、ご、ごめんね」

まどか「でも大丈夫……?」

ほむら「ええ、平気よ」

ほむら「……顔、洗ってくるわね」

まどか「うん、じゃあ終わる迄には用意しておくね」

ほむら「用意……」

まどか「今日は学校だもんね。いま朝ごはん出来るから、もうちょっと待っててね」カチャカチャ

ほむら「……ええ」

 
 
 
―――ジャー…




ほむら(……)バシャバシャ…



―――キュッ



ほむら「……」フキフキ

ほむら(……)ふぅ

ほむら(……鏡に映った私……)

ほむら(私から見た私、か……)

ほむら「……」

ほむら「……ほんと、酷い顔」

まどか「あ、ほむらちゃん。ご飯、出来たよ」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「どうぞ召し上がれ。お代わりもあるからねっ」ニコニコ

ほむら「……っ」



   ……笑顔



まどか「……味、どうかな?」

ほむら「とても美味しいわ」ニコ

まどか「もうっ、ほむらちゃんてばいつも美味しいばっかり」

まどか「嬉しいけれど、味付けのコトとかもっと言ってくれてもいいんだよ?」

ほむら「そうね、わかったわ……けれどこれはお世辞ではなくて、本心よ」

ほむら「それにあなたが作ってくれたのだもの、私の口に合わないわけがないわ」

まどか「そ、そう……? えへへ///」

まどか「でも、ほむらちゃんにはもっと美味しいものを食べて欲しいから、遠慮しないで何でも言ってね」

ほむら「ええ。ありがとう、まどか」

まどか「えへへっ」

ほむら「ふふっ」



   まどかの笑顔……

 
 

まどか「それじゃ、わたしも……いただきまーす♪」

ほむら「……」



   当たり前のまどかの表情

   当たり前の日常風景



ほむら(……)      



   それらが

   とても儚く見えるのは

   ……何故かしら



まどか「……? どうしたのほむらちゃん?」

まどか「……やっぱりおいしくなかったかな……」

ほむら「いえ、違うわ……そうじゃないの」

まどか「……?」

ほむら(……)

ほむら「……ねぇ、まどか」

まどか「なぁに? ほむらちゃん」

ほむら「……貴女は……何処にも行かないわよね……?」

まどか「え? どうしたの急に?」キョトン

ほむら「あ……ご、ごめんなさい……」

ほむら「……その……なんだか、貴女とこうしていることに現実感がなくて……」

ほむら「ふと気付いたら、貴女がいなくなっているような……そんな気がして……」

まどか「……」

ほむら「……私ったら、何を言っているのかしらね……ごめんなさい、何でもないわ」

ほむら「忘れてちょうだい……」

まどか「……ほむらちゃん。手、出して?」

ほむら「え……手……?」

まどか「うん!」

ほむら「……ええ……?」スッ…



―――ギュ…



ほむら(……!)

まどか「えへへっ、ほむらちゃんの手、あったかいな」

ほむら(あ……まどかの手が……)

まどか「わたしの温度は、ほむらちゃんに伝わってるかな……?」

ほむら「……ええ……まどかの手も、温かいわ」ギュ…

まどか「うん。ちゃんとわたしはこうして、ここに居るから、ね」

ほむら(あ……)

まどか「ほむらちゃんがわたしなんかの側に居てくれるから……」

まどか「だから、わたしも何処にも行ったりなんかしないよ」ニコっ

ほむら(まどか……)

まどか「……それに、わたしも」

ほむら「え……」

まどか「わたしも時々ね、ほむらちゃんがいなくなっちゃうかもって、思っちゃう時があるんだ」

まどか「いつかこんな馬鹿な私に愛想尽かして、どっかいっちゃうんじゃないかって……」

ほむら「そんな事……! やめてまどか……そんなに自分を卑下しないで……!」

まどか「あ……」

ほむら「私は貴女をそんな風に思ってはいないし、私の方こそ絶対に貴女の側から離れたりなんかしないわ」

まどか「……ありがとう、ほむらちゃん……」

まどか「……でもきっとまた、ほむらちゃんはわたしのこと心配してくれたんだよね……?」

まどか「ごめんね……いつも心配かけて」

ほむら「いいえ、そうじゃ……」

まどか「ううん、ほむらちゃんは優し過ぎるから……あんまり自分を追い詰めないで、溜め込み過ぎないで……」

まどか「そ、それでね……? 辛いこととか、悲しいことがあったりしてどうしても我慢出来なくなったら……その……」チラっ

まどか「いつもいつも、わたしがお世話になってばっかだから……」もじもじ…

まどか「……た、たまには、わたしに……あ、甘えても……ごにょごにょ……///」

ほむら「まどか……」

まどか「///」

ほむら(……優し過ぎるのは貴女の方よ……)

まどか「あ! が、学校に遅れちゃうから早く食べなきゃ///」パッ

ほむら「……」

まどか「……///」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「う、うん///」

ほむら「……耳まで真っ赤なまどかも可愛いわ」ぼそっ

まどか「……!///」

まどか「うぅ……いぢわる……///」

ほむら「ふふっ」

ほむら「……もし、私がまた不安になったら……」

ほむら「その時は思いっきり甘えさせてね」

まどか「あ……!」パアッ…

まどか「 ……うん!」








――――――
 

ほむら(……さて、と)

ほむら(……制服に着替えて……)



―――シュルッ…パサ



ほむら(髪を整えて……)

ほむら(後はヘアバンドを着けて)

ほむら(……ん)

ほむら(……これで準備は完了ね)

ほむら(……)

 
 
 
 
   完了……


   よね……?

 
 
 

ほむら(……? 何か足りないような……?)

まどか「あ、ほむらちゃんもう準備出来ちゃったの?」

ほむら「……! ええ……」



   ……ま、いいか



まどか「わたしも、あと髪だけだから」アセアセ

ほむら「まだ時間あるから、そんなに焦らなくても大丈夫よ?」

まどか「う、うん……」

ほむら(……)

ほむら「……髪、よかったら私がといても良いかしら?」

まどか「ほんと!? お願いほむらちゃん、やってやって!」

ほむら「じゃ、失礼するわね」ふふっ

まどか「~~♪」フワッ…

ほむら(あ……まどかの匂い……)

ほむら(……いい匂い……)

ほむら「どう? 痛くはないかしら」

まどか「うん、とっても気持ち良いよ!」

まどか「えへへ、ほむらちゃんにとかして貰えるなんて、嬉しいな」

ほむら「そんな……大袈裟よ」

まどか「え~? そんなことないよ」

ほむら「ふふ、そう思ってもらえるなら申し出たかいがあったわね」

まどか「……でも、ほむらちゃんが羨ましいよ」

ほむら「……?」

まどか「わたしもほむらちゃんみたいなサラサラのストレートが良かったな~」

まどか「わたし癖っ毛だから毎朝嫌になっちゃうよ。こんなんじゃなければ良かったのになぁ……」

ほむら「そうかしら? 私はこの柔らかい髪が好きよ……?」

ほむら「とても可愛いらしくて、まどからしくて、ね」

まどか「あ///……うー///……だ、だったらやっぱり、このままでも良いかなって///」

ほむら「あら、まどかったら調子良いのね」

まどか「えへへー///」

まどか「~~♪」

ほむら「仕上げにリボンを付けて……」シュル…キュ

ほむら「これで、完了ね」

まどか「うん、完璧だよほむらちゃん。ありがとう!」

ほむら「どういたしまして」ニコっ

 
 
 
   穏やかな時間と温かい空気がある


   貴女が私の隣に居てくれる



ほむら「……それじゃ、行きましょうか」

まどか「うんっ!」




   私が求めていた全てが

   ここにある









――――――――
 

―『通学路』―




まどか「ん~! 良い天気だねぇ」

ほむら「そうね、風も穏やかで温かくて……もう春なのね」

まどか「なんだか遠くへお出かけしたくなっちゃうね、お弁当持ってたりして」

ほむら「あら素敵ね」

ほむら「じゃあ、今度のお休みは一緒に桜を見に行きましょうか?」

まどか「うん! 行こう行こう!」

まどか「楽しみだなぁ、はやくお休みにならないかなぁー」

ほむら「ふふっ、まどかったら子供みたいにはしゃいじゃって」

まどか「ぶー! だってほんとに楽しみなんだもん」

ほむら「そうね、私も一緒よ」ニコっ

まどか「うぅ、ほむらちゃんていつも言い方がずるいよね」

ほむら「あら、そうかしら?」ふふっ

まどか「むー……」

まどか「……!」ぴこんっ!

まどか「ほーむーらーちゃんっ!」

ほむら「……?」

まどか「えいっ!」ダキっ!

ほむら「!!?」

まどか「んふっ」ぎゅー!

ほむら「ままままどかなななな!!///」

ほむら(まどかの胸の感触ががが)アワワ


女生徒A「キャー/// 見た見た!? あの二人っ!」

女生徒B「噂は本当だったのか……」

女生徒C「キ……キキ……キマ……」ブルブル…

まどか「えへへっ、驚いた? いつもいじわるするからお返しだよっ」

ほむら「まどかっ/// み、見られてるからっ///」

まどか「皆にはナイショしてたのに、ばれちゃったねっ」てぃひひっ

まどか「もっと、見せつけちゃおっか」

ほむら「もう、まどかっ!///」

まどか「いじわるしすぎちゃったかな」ぱっ

まどか「じゃ、これならいい?」ぎゅっ

ほむら(こ、恋人つなぎ……!)

ほむら「うぅ///」

まどか「えへへっ///」


女生徒B「誰かコーヒーをくれ。それもとびきり苦い奴をだ」

女生徒A「あぁいいなぁー……私もああいう相手がほしいなぁ……」ちらっ

女生徒B「……なぜこっちを見て言う?」

女生徒A「べっつに~?」ぷい

女生徒C「」ビクンビクン…!

ほむら(まどか……)

まどか「~~♪」にこにこ




   冷え切っていた私の心は

   今では貴女の想いで満たされているわ


  
   ああ……

   これが幸せなのね

   このまま時間が止まってしまえば――――

 
 

 
 
 
 
 
??『おい! ほむら!!』

 
 
 
 

ほむら(声!?)ハッ!

ほむら(誰――?)クルッ



??『……』



ほむら(長髪のポニーテールの女の子……)

ほむら(……?)



   誰だろう……

   知らない人だ……

 
 

ほむら(でも……どこかで見たような……)



   誰だっけ

   どこかで会ったっけ

   なぜだろう

   思い出さなくてはならない気がする

   ええと……たしか……

   たしか――――



まどか「あ、わたし知ってるよ」

ほむら「まどかの……お友達?」

まどか「ううん」

ほむら「え……?」

まどか「この娘はね―――」

 
 
 
 
 
 
まどか「 魔 女 だ よ 」

 
 
 
 
 

ほむら「魔……女……?」

まどか「うん! 不安や猜疑心、怒り、憎しみ……」

まどか「そういう人間の負の感情から生まれた、呪いを振り撒く存在」

ほむら「……魔女!」ハッ!

??『……』

まどか「……怖いよ……ほむらちゃん」ビクビク

ほむら「まどか! 私の後ろに!」

まどか「うん」サッ

ほむら「大丈夫よ……私に任せて」



―――ギリリッ……!



ほむら(こんな奴、私の矢で一撃よ)

??『……』

ほむら(なにも問題ないわ……)



   ……でも……



まどか「どうしたのほむらちゃん? 何をためらっているの?」

ほむら(……目の前にいるのは魔女で、私は魔法少女……)



   ……ならば私のやるべきことは―――

 
 
 

ほむら「……っ!」



―――バシュッ!!



??『……ぐっ!?』ドサっ…



―――ガラン…ガラン…



ほむら(魔女が何か落とした? これは……槍……?)

まどか「やった! さすがほむらちゃん」

ほむら(……)

ほむら「ねぇ……まどか……」

まどか「なぁに?」

ほむら「これで……いいのよね……?」

ほむら「私、間違って……ないよね……?」

まどか「うん、これでいいんだよ。だってほむらちゃんは魔法少女なんだから」

ほむら(……)

まどか「助かったぁ! ありがとうほむらちゃん!」

ほむら「……ええ……」

 
 
 
―――キーンコーンカーンコーン…




ほむら(……!)ハッ!

女生徒A「やばっ! 授業始まっちゃう!」

魔獣B「まったく、お前が変な事を言って絡むからだ、ほら行くぞ!」ダッ

女生徒A「えー、それは関係なくない?」

女生徒C「あ、待ってよー」

ほむら「……?」

ほむら(……何か違和感が……?)

まどか「わたし達も行こう、ほむらちゃん。遅刻しちゃうよ?」

ほむら「え、ええ……」

ほむら(……何? この胸のざわめきは……)

ほむら(それに……この魔女……)

??『……』ダラン…

ほむら(……)

まどか「ほむらちゃーん!」

ほむら「……」

ほむら「……ええ、今いくわ」クルッ

杏子『……』









―――――――
 

―『教室』―




早乙女「―――では次、My friend, who can play baseball very well, practices……」

早乙女「この後に入る語句は? ということで……」

ほむら(……)ぼー…

ほむら(なんだか変な感じ……)



   さっきの出来事から感じている

   ほんのささいな違和感……



早乙女「比較対象である形容詞の前に付くasの更に前に付くことで『倍』を表し……」



   一瞬、まどかがまるで別人のように……

 
 

ほむら(……)ちらっ

まどか「……!」

まどか「……」にこっ

ほむら「……っ!///」

   

   ……何でもないわ

   きっと、気のせいね

   そう……ただの勘違い……



早乙女「では、この問題の解答と日本語訳を……暁美さん」

ほむら「――! は、はいっ!」

ほむら(しまった……今どこの問題なのか全く聞いてなかった……)

早乙女「……? どうかしましたか?」

ほむら「……ぼーっとしていて聞き逃がしてしまいました……」

早乙女「あら、いけませんね。昨日は夜更かしでもしちゃったのかしら」

ほむら「……申し訳ありません……」

早乙女「うーん、それじゃ気の抜けてしまった暁美さんには罰を受けてもらいましょう!」

ほむら「ば、罰……ですか……?」

ほむら(一体なにを……?)

早乙女「鹿目さんの後ろの席の……」

ほむら(後ろの……)

 
 
 
 
 
 
早乙女「魔女を殺しなさい」ニコっ

 
 
 
 
 

ほむら「え!?」

ほむら(魔女!? まどかの後ろに……?)

早乙女「どうしたの、暁美さん? 魔法少女なら出来て当然のはずよ?」

ほむら「まどかの席の後ろって……」


さやか『……』


ほむら(……う……まただ、またこの感覚……登校時と同じ……)

まどか「ほむらちゃん、がんばって!」

ほむら「……」

早乙女「さぁ、暁美さん」

ほむら「……はい」



―――ギリリッ…



さやか『ほむら……』

ほむら「……っ!」ハッ!



―――バシュッ!!



さやか『……うっ!?』ドサッ…

ほむら(……)

魔獣「大変よくできました」にっこり

ほむら「はい……先生……」

魔獣D「やっぱ暁美さんは優秀だなぁ……」

魔獣A「憧れちゃうよねー」

まどか「やったね、ほむらちゃん。カッコよかったよ!」

ほむら「……」



   胃の辺りがムカムカする……

   正しいことをしているはずなのに

   嫌悪感が胸の奥からこみ上げてくる



ほむら「……うぷっ」

まどか「……! ほむらちゃん大丈夫!?」

ほむら「……」はぁ…はぁ…

まどか「体調……悪いの……?」

ほむら「……ええ、少しだけ……」

まどか「先生!」

魔獣「あら、どうかしましたか?」

まどか「暁美さんが体調悪いみたいです」

魔獣「そうですか、保険係は……鹿目さんでしたね。では、付き添いをお願いしますね」

まどか「はい!」

ほむら(……とてもじゃないけど授業を受けてる余裕はないわね……少し静かな所で落ち着きましょう)

まどか「行こ、ほむらちゃん。保健室で休もう?」

ほむら「……ええ」







――――――
 

―『保健室』―




まどか「ベッド空いてるね。さ、ほむらちゃん」

ほむら「ん……」ギシ…

まどか「お布団をちゃんと足まで掛けて……と」

ほむら「……」

まどか「保健の先生は会議で居ないみたいだから、わたしがお世話してあげるね」

ほむら「そんな……看てもらわなくても大丈夫なのに……」

まどか「だめだよ! なにかあったらわたしが……その……困るもん」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「……ううん」

まどか「それで、体調はどんな感じ……かな?」

ほむら「そうね……胃の痛みと、それに伴う悪心かしら……」

まどか「熱はどうかな……?」

ほむら「それは大丈夫だと思うけど……」

まどか「念のため熱がないか診てみるね」

ほむら「ええ……体温計どこかしら……」

まどか「体温計はいらないよ?」

ほむら「え……」

まどか「動かないでね……」ぴと…

ほむら(まどかの額が私の額と……!)ボッ///

ほむら(顔が近い……///)

まどか「ん~、少し熱っぽいかな///」うぇひひっ

まどか「じゃ、お薬とってくるねっ!」ぱっ

ほむら「……///」

ほむら(もう、まどかったら……)

まどか「はい、ほむらちゃん。胃のお薬と解熱のお薬だよ」

ほむら「ありがとう、いただくわ」

ほむら(そういえば、薬を飲むのなんてどのくらい振りかしらね……)

ほむら(……入院中以来……かな)ゴクン…

まどか「わたし、まだここにいるから少し目をつむってゆっくり、ね?」

ほむら「ええ……」

ほむら(……)

 
 
 
   ……


   ……

   ……

   

   とても静か……

   消毒薬の匂いと窓から優しく吹く風がとても心地いい    

   なにも知らなかったあの頃に戻ったみたい……

    
   

   今だけは何もかも忘れてしまっても……

   いいよね……

   ……………
  
   ………

   …






―――――――
 

ほむら「……ん」ぱち…

ほむら(……)むくり

ほむら(ああ……眠ってしまったのね……)

ほむら「そうだ……まどかは―――」

まどか「……すぅ……すぅ……」

ほむら(あ……)

ほむら(ベッドにうつ伏せになるようにして……私を看て、そのまま眠ってしまったのね……)

まどか「むにゃ……えへへぇ……だめだよ……?」すやすや

ほむら(一体どんな夢を見ているのかしら)ふふ

ほむら(……もう少しだけこのままで―――)



―――キィィン!



ほむら(――!? このソウルジェムの反応……!)

ほむら「そこねっ!?」バッ


マミ『……』


ほむら(やはり……魔女!)

ほむら(……)チラっ

まどか「すぅ……すぅ……」

ほむら(まどかが起きてしまったら、また不安を与えてしまう)

ほむら(その前に―――)

マミ『暁美さん……!』

ほむら「……私達の邪魔をしないで、目障りよ」



―――ギリリッ…



マミ『暁美さんっ!!』

ほむら「魔女……消えなさい!」



―――バシュッ!



マミ『……あっ!』ドサッ…

ほむら「……」

ほむら(……これで良いはず……これで……)ふぅっ…

まどか「……う、うぅん」ムクリ

ほむら「……!」

まどか「ほむらちゃん……? 何か……あったの……?」グシグシ…

ほむら「……いいえ、何でもないわ」

まどか「ふーん……」

まどか「あ、そうだ! 体調は……」

ほむら「ええ、もう大丈夫よ。まどかが看ていてくれたおかげね」

ほむら「安心して眠れたわ」ニコっ

まどか「うん!」

まどか「あ、わたしも寝ちゃってごめんね///」

まどか「……でもよかったぁ、治って」

ほむら「それじゃ、教室に戻りましょうか?」

まどか「え……」

ほむら「……?」

まどか「あの……せっかくだから……もう少しだけ……その、一緒に……///」

ほむら「……!」

まどか「……///」

ほむら「……そうね、もう少し休めばもっと良くなりそうね」ふふっ

まどか「えへへっ///」






――――――
――――
――
 

―『ほむら 自宅』―




まどか「あー、つかれたー。やっと学校おわったよ」

ほむら「二人して戻ってくるのが遅すぎるって、先生に注意されてしまったわね」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん」うぇへへ…

ほむら「いえ、私のせいでもあるわ」



―――ガチャ!



ほむら「ただいま……」

まどか「お帰りなさい、ほむらちゃん!」

まどか「わたしも、だだいまっ」

ほむら(……)

まどか「……?」

ほむら「なんだか変な感じね。まどかが私の家に来て『ただいま』って言うの」ふふっ

まどか「えー? どうしたの今更? もうずっと同じ所に住んでるのに」

ほむら(……)

ほむら「……そういえば……そうね……」

ほむら(何故、そう思ったのかしら……?)

まどか「ふふ、変なほむらちゃんっ!」

まどか「晩ご飯のお買いものは、少しくつろいでから行こっか?」

ほむら「ええ、そうね」

ほむら(……それまで少しベッドで横になりましょう)



―――ぼふっ



ほむら(……はぁ)ギシ…

ほむら(……)

ほむら「……」ちらっ

まどか「~~♪」

ほむら(まどか……)

 
 
 
   まどかが隣にいる日々


   満たされているはずなのに

   なんだろう、この虚無感

   時折感じる、この欠落感



ほむら(たぶん何かを……忘れてる……)



   大事な何か

   なんだろう

   なんだっけ



ほむら(まるでどこかで歯車が狂ってしまったかのような―――)

 
 
 
   ―――疲れちゃっただけじゃない?




ほむら(うーん……そうじゃなくて)



   ―――じゃあ、不安になっちゃった?



ほむら(ちょっと違う……かな)

ほむら「……」チラっ

まどか「……?」

ほむら(……ああ、そうか)



   分かった

   『怖い』んだ

 
 

 
 
 
   何もかもを忘れてしまうことが


   忘れてしまったことすら忘れてしまうことが

   私が私でなくなる

   私が私でなくなっていく

   そんな感覚が



ほむら(私……)



   わたし……



ほむら(……私ってなんだろう)



   わたしってなんだっけ……

 
 

 
 
 
―――ギシッ……!




ほむら(―――!)ハッ!

まどか「ほむらちゃん、となり……いいかな?」

ほむら(まどか……)

ほむら「どうしたの? 貴女もまた眠くなっちゃった?」

ほむら「……一緒に寝る?」ニコ

まどか「うん!」

まどか「おじゃましまーす、えへへ」もぞもぞ

まどか「ん~」ぬくぬく

ほむら(なんだか巣に籠る小動物みたいで可愛らしいわね)ふふっ

まどか「……なぁに?」にこにこ

ほむら「いいえ?」

まどか「……ん」もぞもぞ

ほむら「……」じっ

まどか「……」

ほむら(……)

まどか「ねぇ、ほむらちゃん……」

ほむら「なにかしら、まどか」

まどか「もしかしてまた何か、悩んでないかな……?」

ほむら(あ……)

ほむら「……大丈夫よ、ちょっと疲れちゃっただけ」

まどか「うそ。そうやって、またわたしに心配かけないようにしてる」

まどか「わたしもほむらちゃんの役に立ちたい、支えてあげたいよ」

ほむら(……)

まどか「何もしてあげられないのは……辛いよ……」

ほむら(まどか……)

ほむら「……ありがとう、まどか」

ほむら「でも、これはそういうのじゃないの」

ほむら「……怖くなっちゃったの……かな?」

まどか「怖く……?」

ほむら「そう、貴女が隣にで笑ってるこの日常が幸せ過ぎて、ね」

ほむら「私はきっと、望んでいた以上のものを与えられているから」

まどか「……」

ほむら「貴女は自分が何もしてあげられないって、そう言ったけれど……」

ほむら「今みたいに貴女が傍にいてくれることが、それが私にとっての……一番よ」

ほむら「それだけで充分なの。他には何もいらないわ」

まどか「……本当に?」

ほむら「ええ、本当よ」

まどか「……えへへ、そこまで想ってもらえるなんて嬉しいな///」

ほむら(……だって私はその為に……その為だけに繰り返して来たのだから)

まどか「……でもね、ほむらちゃん」

まどか「わたしは充分じゃないの、それだけじゃ足りないよ……」スッ

ほむら「!?」

ほむら(まどかから足を絡ませてくるなんて、な、なんだか積極的ね///)

ほむら「ま、まどか///」

まどか「んふふっ、ほむらちゃんっ」ずいっ

ほむら「……? まどか……?」

まどか「えいっ!」ガバッ!

ほむら「――!?」

まどか「えへへっ、ほむらちゃんの上にのっちゃった」

ほむら「え……?」

まどか「……心だけじゃ足りないの」

ほむら「ま、まどか……?」

まどか「組み敷かれて身をよじるほむらちゃん、とっても可愛い」はぁはぁ

まどか「ごめんね、ごめんねほむらちゃん」

まどか「ずっと我慢してたけど……もう限界なの! 抑えられないの!」

まどか「だって、ほむらちゃん私に甘えてれないんだもん」

まどか「……ほむらちゃんが悪いんだからね」スッ…

ほむら「まどか……? 何を言って―――」

 
 
 
―――かぷっ




ほむら「ひゃあっ!///」ビクっ

まどか「ほむちゃん……耳……弱んだね……」

ほむら「ま、まどっ―――!」

まどか「首筋はどうかな……」

ほむら「あっ……!?」ゾクゾクっ…

まどか「胸も、もう固くなってる……ほむらちゃんは敏感なんだね……」

ほむら「やめてまどか……! どうしたの!? 貴女は無理やりこんな事する人じゃ……!」

まどか「……ほむらちゃんの言うわたしって、どのわたしなのかな?」

ほむら「んっ……まどか……っ……なにを言って……あっ」

まどか「ほむらちゃんが言ってるわたしは、前のわたし」

まどか「もう、その前のわたしは居ないんだよ……?」

ほむら「前の……っ……まどか……?」

まどか「そ、ほむらちゃんが時間を戻して幾つも出逢って来た前のわたし、そして最初のわたしはここには居ないの」

ほむら「……っ」ビクビクっ…!

まどか「ね? だから今のわたしだけを見て……」

まどか「そして受け入れて欲しいな……」



―――スルッ…



ほむら(下着の中に手が―――)ビクっ!


ほむら「やっ!! ダメっ!!」

ほむら「お願いまどか、やめて……」じわっ

まどか「えー、なんで?」

まどか「……わたしね、知ってるんだよ?」

まどか「ほむらちゃんがわたしのこと想って」

まどか「お風呂でオナニーしてる、こ、と」ポソっ

ほむら「――っっっ!!」カァァァ///

まどか「ほむらちゃんもわたしとこういうコト……したかったんでしょう?」

ほむら「ち、違うのよ……あれは……そのっ……///」

まどか「んふっ、何が違うのかなぁ?」

ほむら「う、うぅ……///」バッ

まどか「ごめんね、顔を隠しちゃうくらい恥ずかしかったんだね?」ヨシヨシ

ほむら「……あ///」

まどか「下、触るね……」モゾ

ほむら「んっ……! あ……っ!///」ビククっ



   まどかの細い指先が

   私の敏感な部分を弄っている

   どれだけこの場面を想像して自分を慰めたことだろう
 


まどか「わぁ、ほむらちゃんのここもうぐしょぐしょ!」

ほむら「いやぁ……///」

まどか「すごい、どんどん溢れてくる……ほむらちゃんてとってもエッチな娘なんだねっ」



   淫らな音を聞かれてる
 
   羞恥に歪み快楽に乱れた顔を見られてる



まどか「ね、気持ち良い?」



   確かにまどかの言うとおり

   こうなる事を

   望んでた



まどか「強くするね……」

ほむら「あっ……わ、わたっ……変に……あっ……!」

まどか「そんなに自分を抑えなくても良いんだよ?  もっと素直になっちゃお?」

ほむら「ダメっ!! やっ―――!!」

ほむら(――――――っ!!)ビクビクッ!

ほむら「……っ……」はぁっー……はぁー……

まどか「えへへっ」

まどか「とっても可愛いかったよ、ほむらちゃん!」

ほむら「うぁ………まろかぁ……///」くて…

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」ぎゅっ

まどか「変わっちゃうのが恐い?」

まどか「無くなっちゃうのが怖い?」

ほむら「……」はぁ…はぁ…

まどか「大丈夫だよ……わたしが全部受け止めてあげるから」

まどか「その為に、わたしとほむらちゃんの邪魔になるものを忘れさせて来たんだから」

まどか「ね、だからわたしに、ほむらちゃんの全てを委ねて」



   私の……全て……



まどか「目を閉じて……」



   あ……まどかの顔が近づいてくる

 
 

まどか「心も身体も」



   まどかの甘い息が優しく耳を擽って

   柔らかい声だけが蕩けた頭の中でこだましている



   だめ……何も考えられない……
   
   何も……

 

まどか「わたしと一つになろうよ」



   ひとつに……

 
 

 
 
 
 
 
 
まどか「それがあなたの願いでしょう?」




   まどかと一つに―――

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
   それが私の―――――

 
 
 
 
 
 

 
 
 
―――ドンっ!!




まどか「きゃっ!?」

ほむら「あ……」

ほむら(……突き飛ばして……しまった……)

まどか「……」

ほむら「あ……私……ご、ごめんなさい……!」

まどか「……ううん、いいの」

まどか「まだ……なんだね」

まどか「まだ、ほむらちゃんの記憶に居座ってわたし達を邪魔する奴がいるんだね」

ほむら「え……?」

まどか「ね、ほむらちゃん。外を見て」

ほむら「外……?」

ほむら「……?」

ほむら「―――!?」ハッ!

ほむら「これは……一体……!?」



   街が壊されている

   跡形もないほどに

   まるで巨大な災害があったかのように

   ビルも道路も橋も全て

   全て

   何もかもが

 
 

ほむら(この状況は……!)



   この光景

   忘れるはずもない……!

   この惨状を乗り越えるために何度も繰り返して来たのだから



??『……』

ほむら(……? 人影が……)

まどか「みんな死んじゃって、もう残ってるのはわたし達だけ」

??『……』

ほむら「まどか、あれは……」

まどか「そう、『ワルプルギスの夜』が来たんだよ」

 
 
 
 
 
??『……』




ほむら「あれが……ワルプルギス夜……?」



鹿目『……』





   ―――あれが……ワルプルギスの夜……?

 
 
 
 

ほむら「……う」フラっ…



   眩暈が酷い……

   動機も速い……

   何なの……何だと言うの……?

   この強烈な違和感、齟齬は……?



まどか「全てを破壊しつくす、最悪の魔女。このままじゃわたし達までやられちゃう……」

まどか「だから、ね? これを受け取って?」スッ

ほむら「……?」

ほむら(これは……)ズシリ…




   銃……!?



ほむら(……まどかのソウルジェムを撃った時のと、同型の……)



―――ヌルっ……



ほむら(……? 持ち手に生温かい液体が……?)

ほむら「ひッ!?」

ほむら(血……!?)ドロリ…

ほむら「あ……ああ……」

ほむら(手が……血が……)ガタガタ…

まどか「さぁ、その銃であの魔女を倒そう?」

まどか「そして、わたし達二人だけの世界を守ろうよ、一つになろうよ」ニコっ

ほむら「で、でも……あの魔女を倒しても皆は……!」

まどか「……他の人なんて関係ないよ」

まどか「ほむらちゃんさえ居れば、それで良いの」ニコっ

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんは、わたしと一緒に居たくない……?」

ほむら「私は……」チラっ

鹿目『……』

ほむら(私は―――)

 
 
 
   分からない


   解らない

   何が正しい?

   何がおかしい?



鹿目『……』

ほむら(……)

 
 

 
 
 
 
 
 
   わからないよ……まどか……

 
 
 
 
 

まどか「大丈夫……わたしの言う通りにすれば、ね……?」

ほむら(……)

ほむら「……うん」

まどか「じゃ、銃をしっかり握って」

ほむら「……」ぎゅっ

まどか「弱点の胸にある宝石を良ーく狙って……」

ほむら「……」

まどか「照準がブレてるよほむらちゃん。わたしが後ろから支えて、一緒に狙ってあげるね」ぎゅ

ほむら「あ……」

まどか「あとは……引き金を引くだけだよ」

ほむら「……」ググっ…



   これでいいのよ……

   そう、これで―――

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――鹿目まどか『      』

 
 
 
 
 
 
 
 

ほむら「―――っ!」はっ!

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「……」スゥッ…

まどか「!? ど、どうしたのほむらちゃん!?」

まどか「なんで銃を下ろしちゃうの!?」

ほむら「……違う」

まどか「え……?」

ほむら「こんなの違う……!」

ほむら「だって……」

ほむら「だって、この世界には―――」

 
 
 
 
 
―――『全ての魔女を消し去りたい!』



―――『ねぇ、ほむらちゃん。わたしの願いを……』


―――『わたしの好きなこの世界を皆の希望を護って……』


―――『そしたら……ほむらちゃんと離れていても心は繋がってるって……そう思えるから』


―――『だから、私と――――』

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――『約束して』

 
 
 
 
 
 
 
 

ほむら「……だってこの世界には……貴女の願いが、希望が、どこにも無いもの……」じわっ…

ほむら「どこにも……」

まどか「……」

ほむら「ここにあるのは欲深い私の……醜い願望だけ……」

ほむら「私が守りたかったのは……この世界じゃない」

ほむら「こんな世界はまどかが望んだものじゃない……」

鹿目『……』

ほむら「……だから……私には撃てないよ……」ツゥ…



―――ポロッ、ガチャッ…

 
 
 

ほむら「ごめんねまどか、ごめんね……」ポロポロ…

まどか「……」

まどか「……そっか」

まどか「そうなんだ……」

まどか「ほむらちゃんは私の想いに応えてくれないんだ」

ほむら「あ……」

まどか「それじゃ、お別れだね」

まどか「さようなら、ほむらちゃん」

ほむら「まどか……!」

ほむら「まどかあああああああああ!!」

 
 
 
 
 
 
   景色が遠ざかっていく



   まどかの後ろ姿が小さくなって


   私の世界が、また深い闇に包まれていく

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   きっとまた、私は手放してしまった



   色鮮やかな昨日は……今ではもう過去の事


   あるのは出口のない暗い暗い今日のこの日だけ


   また一人きり

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
ほむら(……そうだ……行かなきゃ)




   振り返っている暇なんてない


   立ち止まっている時間はない


   また涙が落ちる前に行かなくては

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   この深い暗闇の中を……



   出口の見えない


   この道を―――

 
 
 
 
 

 
BGM
ttp://www.youtube.com/watch?v=VMS-GyJ7yWs

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

―『出口の無い迷路』―






   ……

   ……

   ……

   ……どのくらい

   ……

   ……

   ……どのくらい……歩き続けただろう……

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   ……


   ……

   ……

   ……どのくらい

   ……

   ……

   ……どのくらい……進み続けて来ただろう……

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   ……


   ……

   ……

   ……

   ……

   ……?

   ……

   ……あれ……?

   ……なんで私はここにいるんだっけ?

   ……何の為に前に進んでるんだっけ?

 
 
 
 
 

ほむら「あっ……!?」フラっ



―――ドサッ…



ほむら(……うぅ……痛い……)



   ……

   ……



ほむら(……疲れちゃった)



   もう足が動かない

   身体も重い

   赦されるのなら

   このままずっとこうして

   眠っていたい……

   ……

 
 

ほむら(……)



   ……でも、起きなくちゃ

   いままでだって、そうやって来たのだから

   私にはそうしなくてはならない理由があるのだから

   さぁ、目を開けて

   重い身体を起こして

   まだ見ぬ明日を今日に変える為に

   その先に待つ誰かに

   また逢う為に

 
 

ほむら「……っ」ヨロ…

ほむら(……そういえば、どこかで聞いたっけ……)フラフラ…



   人の足を止めるのは、絶望ではなく諦観であり

   人の足を進めるのは、希望ではなく――――



ほむら(―――希望をつかもうとする意思である、と)フラフラ…

 
 
 
   相変わらず終わりの見えない絶望の中にいるけれど


   大丈夫……

   まだ私は諦めてはいない

   前に、進めるわ



ほむら(例え―――)



   例え、どんな暗闇の中だろうと

   この一歩が未来へと続く道になり

   この一歩が希望に繋がる道になるのだと

   私はそう信じている

 
 

 
 
 
 
 
ほむら(―――だから)

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   だから私は



   諦めたりはしない


   くじけたりはしない

 
 
 
 
 

 
 
 
―――ポゥっ…




ほむら「あ……」

ほむら(奥に……光が……!)



   もうすぐだ

   もうすぐなんだ

   きっともうすぐ終わる

   ようやくこの迷路から抜け出せる

   ようやくまた逢える

 
 

 
 
 
 
 
 
   数え切れない時間の中で


   この光を探してた

   ずっと……ずっと……それだけを



   ほら、手を伸ばせば

   届きそう

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
   光が広がっていく




ほむら(そうだ、この光の先にあるモノ)



   光が私を包み込んでいく



ほむら(それを私は求めていた)

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
   それが……



   それが私の……


   私の本当の――――

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
魔獣『―――たとえ、あなたが進むその先に絶望しかなくて……』














まどか『わたしが居なくても?』

 
 
 

 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                  ―――カチッ……!



今回はここまで
そしてこれで当SSは一応の終了です


次回は未定です、また目途が立ち次第お知らせ致します、すんません

読んで頂いてありがとうございます
今回のは切るか入れるか、かなり迷いました
多分みんな「は?」とおもったかと

解説を少し
今回はほむらの内面世界を書きました、エヴァのTV版ラストを意識してます
なので次回はAir/まごころを君に的な感じです。外面です。次回の展開でほんとは分かる感じです

そして最後のはほむらの盾の音じゃないです

―願いの果て―




   ……

   ……

   ……

   ……無い


   ……

   ……

   ……

   ……何も無い


   ……

   ……

   ……

   ……ここには……何も無い

 
 
   ここはどこなのだろう……?


   さっきから辺りを見渡しているのに

   視界に広がるのは果て無い深淵

   今ここに在るのは

   私

   私という存在

   ただ、それだけ




   ……

   ……

   ……

   この何も無い空間で目が覚めてから

   一体、どのくらいの時間が経ったのだろう

   もう永いこと上下左右の区別もないこの空間に私はずっと浮かんでいる

   暗い暗いこの闇の中に
 

 
 
   たしか、私は大きな光に包まれたはずなのに……


   なのに、ここには一筋の光も存在しない


   

   無い

   何も無い

   ここには何も無い




   ココハドコ……?
 

  『やぁ、暁美ほむら』



   ――!

   あなたは……!?



QB『やはり、というべきか……君も目覚めたんだね』



   その声は……キュゥべえ……

   ……私は……眠っていたの……?



QB『うーん、眠っていたと言う表現は誤謬があるけど……まぁ、いいか』



   どのくらい……?



QB『人間の時間単位にして約42日と1時間だね。もっとも、こんなものは観測者の居ない現在となっては、もはや無意味な概念さ』



   観測者……?

 
 

 
 
 
   そうだわ……そんなことより聞きたいことがあるの




QB『なんだい?』



   ここは何処なの?
  
   私はなぜここにいるの?



QB『何故って……』

QB『そんなの聞くまでもないじゃないか。君もあの場に居ただろう?』



   ……?



QB『……覚えてないのかい? 全てが無に帰してしまったあの瞬間を』



   え……



QB『まぁ、君にとってそれだけショッキングな出来事だったという訳か。忘れてしまうほどの』



   ……

 
 

QB『知りたいと言うのなら別に構いはしない、教えてあげるよ』



   聞かせて

   一体何が起こったの?

   なぜここには何も存在しないの?



QB『……全ては彼女が引き起こしたものだ』



   彼女……?

   

QB『そう、希望を願い、呪いを振りまいた魔法少女』



   呪い……


QB『鹿目まどかがね』

 
 
 
   カナメ……マドカ……



   鹿目……まどか……


   ―――!!


   まどか!



QB『思い出したのかい?』



   そうだ……たしか……

   たしかあの時……まどかは願い  

   そして、もたらした……

   もたらしてしまった
  
   この世界中の生けとし生きるもの全てに








   呪いと絶望を









――――――――
―――――
――
 

―『回想 まどかと魔獣契約直後』―




ほむら「……うっ……うぅ……っ……」ぽろぽろ……

ほむら「……まどかを……」

ほむら「まどかを助けないと……」フラッ…

QB「それは無理だよ、暁美ほむら」

ほむら「え……?」

QB「もう、どうする事も出来ないよ。彼女の願いは叶えられてしまったのだから」

QB「まどかは神に等しき存在となり、その膨大な因果に見合う量の呪いを生みだすだろう。彼女の中の魔獣と共にね」

QB「そして、このまま呪いが宇宙レベルで振りまかれるとしたら―――」

まどか「……ほむら……ちゃ……」ポロポロ…

QB「当然この先に待つものは―――」

ほむら「嫌ぁ……!」じわっ

ほむら「まどか……!」

ほむら「まどかあああああああああああああああ!!!!」
 
QB「―――全宇宙の終焉だ」

まどか「……」



―――ズオオオオオオオオオオオ……



ほむら(どす黒い輝きがまどかを覆っていく……!?)

QB「まどかの姿が変わるんだ。彼女の願いに沿ったものに、魔法少女としての姿に」



―――カッッ!



ほむら(うっ!? 眩し……!)



―――スウッ…



魔獣まどか「……」

ほむら「あ……ああっ……!」

QB「烏羽色の翼を広げ暗黒色の衣服に身を包んだ少女……」

QB「以前の彼女が女神だというのなら、今の彼女のその姿は堕天使か悪魔か……」

ほむら「まどか! まどかぁっ!!!」

魔獣まどか「……」チラッ

ほむら(……! 反応した……?)

魔獣まどか「……」プイッ

ほむら「あ……」

QB「もう君の声も届かないようだね。今の彼女は半ば魔獣であり呪いという概念になってしまった」 

ほむら「そんな……」

QB「あとは、その手に携えた弓に呪いを込め、全ての時間軸へと放ち、その願いを全うするだけだ」

ほむら「……一体、どうなるの……?」

ほむら「この世界は……」

ほむら「まどかは……!」

QB「……それは僕にだってわからない」

QB「ただ、彼女の願いは『魔女を消し去る』というものだ」

QB「世界のルールを根底から改変するその願いが、果たして魔獣の呪いにより、どのようにしてこの宇宙に反映されるか……」

ほむら「……前と同じ様にはならないの? 魔女のいない世界に……」

QB「鹿目まどかの願いの基になっているのは、希望ではなく呪いと絶望なんだ」

QB「残念ながら全く同じ様にはならないだろうね」

ほむら「……」

魔獣まどか『……』スウッ…


―――ズズズ…!


QB「さあ、終わりの始まりだ。まどかの弓に力が集約されていく」

ほむら(なに……? なんなの……!? この魔力は!?)ゾッ…

ほむら(ここに立っているだけで気が遠くなるなる程の……!)ガタガタ…

QB「神と呼ぶに相応しい規格外の魔力と呪いだね」

QB「その全宇宙のエネルギー総量を遥かに超えた膨大な二つの力を負のエネルギーに転換し、一気に放出するんだ」

QB「矢が天上に向かって放たれれば宇宙は熱的死を迎え、確実に終わりがやって来るだろう」

QB「その後に、また新たに今とは違った、絶望に満ちた宇宙が始まるのか」

QB「それとも、そこには揺らぎすら存在しない、暗黒の宇宙が広がるのか」

魔獣まどか『……』ス…



―――ギリリリ……



QB「彼女の願いの果てにあるもの……」

QB「全ては……まどか次第だ」










―――バシュッッ!!





―――――――
――――
――

 
 
 
   ……そうだ、そして大きな光に包まれて


   その後、私の意識は消失した……



   目が覚めると一縷の光も無い暗闇の中

   私はただ一人孤独に浮かんで……

   ……

   ……

   ……

   ……ねぇ、キュゥべえ

   ……なら、ここは

   ここは、あなたの言う『まどかの願いの果て』なの?



QB『そのはずだね』



   この何も無い、真っ暗な空間が?

 
 

QB『どうやらこの状況から鑑みるに、やはりまどかの願いは、呪いを含んでいた為にマイナスのベクトルを向いて叶えられてしまったようだ』

QB『魔女の存在を消し去る為にその元である人類、更にはそれを生んだ星と宇宙をもろとも消し去ったのだろう』

QB『全ての魔女を消し去る……確かに彼女のその願いは叶えられている』



   そんな……



QB『そしてどういう訳か、僕らはその空間に意識体として漂っているみたいなんだ』



   意識体……?



QB『形や肉体といった概念はここには存在しない、あるのは自己が自己であるという認識だけだ』



   だからあなたの姿は見えなくて、声だけなのね……

   それで、私達だけ……なの……?

   他の人は……?

 
 

QB『僕ら以外の存在は皆、消滅してしまったよ』



   ………

   ………

   ……何故、私達の意識だけがこうやってここに存在出来るの?



QB『僕もそれを考えていたんだ……でも、答えは出なかった』

QB『【何の為に】……理由があるとすればそこだろうね。僕らは鹿目まどかの意図無しでは存在出来ないはずなのだから』



   ……まどか……

   まどかも……ここにいるの?



QB『もちろんさ』



   どこ!? どこなの!?



QB『さっきからずっと、僕らを眺めているよ』

 
 
 
―――ズズズ…




   な、何……? 空間が歪んで……?



―――ズズズ…



QB『ああ、彼女だ。鹿目まどかだ』

QB『彼女も君の目覚めを待っていたのだろう』



   暗い空間に人型の輪郭が浮かび上っていく……

   黒衣に身を包んだ私の見知った顔が……

   紛れもない、その姿は……



魔獣まどか「……」スゥッ…



   ……まど……か……!

 
 
 

魔獣まどか「……ほむらちゃん……」



   ……!

   まどか……!

   まどか! 貴女なの!?



魔獣まどか「うん……わたしだよ……鹿目まどかだよ、ほむらちゃん」



   そんな……じゃあ……あの願いは……

   貴女の……

   ……



魔獣まどか「……」

魔獣まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

魔獣まどか「私の願いが叶ったんだよ?」

魔獣まどか「……なのに、なんでほむらちゃんはそんなに悲しそうな顔をしているの?」

 
 
 
   ……っ


   これが……

   こんな何もかもが無くなってしまった世界が貴女の願いなの……!?

   貴女の願いがこんな終わりでいいの!?

   まどか、もうやめて……

   こんな……

   こんな事は……もう……



魔獣まどか「……ほむらちゃんは前の世界がいいの?」

魔獣まどか「あんな理不尽な不幸と他人への呪いに満ちた醜い世界なんかが」

魔獣まどか「どうしようもなく下らない所だって、ほむらちゃんもそう思ったのに?」



   ……っ!

   そ、それは……



魔獣まどか「……あんな世界なんて、もうどうだっていいよ」

魔獣まどか「だから私の願いで全部消しちゃった」

 
 
 
   全部……




魔獣まどか「そ、 怒りも、哀しみも、苦しみも……」

魔獣まどか「そして、喜びも。全部、ぜ~んぶ、ねっ」にこっ



   まど……か……



魔獣まどか「もう、魔女になって他人を呪う魔法少女も、不幸に嘆く人もいなくなったんだよ?」



   お願い……

   お願いまどか ……目を覚まして……

   貴女は……貴女はそんな風に考える人じゃないわ



魔獣まどか「……」



   そう……そうよ……! 貴女は魔獣に操られているだけなのよ

   貴女は……私の知ってる貴女は、哀しみの中で生きてきた人を、苦しみの中で歩んできた人を否定したりなんかしない!

   決して全てを無くしたりなんかしないわ……!



魔獣まどか「……」



   そうでしょう……?

   まどか……

 
 

魔獣まどか「……そうやって」

魔獣まどか「そうやってまた、ほむらちゃんは私を否定するんだね」



   え……?



魔獣まどか「そうやってまた、また私の想いを消そうとするんだね」



   私は……まどかの想いを否定したりなんかしないわ

   今までも、これからも……!



魔獣まどか「……なら……ほむらちゃん、なんで……」

魔獣まどか「何であの時、死んでしまったわたしを、静かにそのまま眠らせてくれなかったの……?」



   え……? あの……時……?

   死ん……?

 
 

魔獣まどか「ねえ、ほむらちゃん、覚えてる? 最初のわたしと会った……ほむらちゃんが契約するきっかけになった時の事」



   ……ええ……もちろんよ……

   忘れたりなんかしないわ



魔獣まどか「圧倒的な力を持つワルプルギスの夜の前には、才能のないわたしなんかじゃ全く歯が立たなくて……」

魔獣まどか「それでもわたしはね、ほむらちゃん。街を護る為に戦ったの。ほむらちゃんが無事に逃げられるようにって精一杯戦ったの」



   …………



魔獣まどか「そして、無残に死んじゃった」



   …………



魔獣まどか「でもね……」

魔獣まどか「わたしはそれで良かったの」



  ……え?



魔獣まどか「魔法少女として死ねて、ほむらちゃんを守った私として死ねて……」

魔獣まどか「あの時、わたしは覚悟を持って、そして誇りを持って立ち向かって行ったんだよ?」

魔獣まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

魔獣まどか「何であの時、願ったの?」

魔獣まどか「何でわたしを、あのままにしてくれなかったの?」



   何で……って……

   私はただ……貴女を助けようと……



魔獣まどか「本当に?」



   ええ、本当よ!

   私は貴女の為に……

   私の命を救ってくれた貴女の為に―――



魔獣まどか「わたしの為に……?」

魔獣まどか「そうやって、綺麗事を並べ立てて、自分に無いものは他人に求めてばかりで、いつも自分を正当化して」

魔獣まどか「そしてその事に、自分じゃ気付きもしない」



   ま……まどか……?



魔獣まどか「ううん、心の奥底にある薄汚れた事実にほんとは気付いているのに、目を逸らしてる」

魔獣まどか「そこにあるのは自分勝手で利己的な考えだけ」



   そ、そんなこと……!



魔獣まどか「ほむらちゃんのその願いはね。わたしの望みとは関係なく、わたしに生と死を繰り返させたんだよ?」

魔獣まどか「ほむらちゃんの時間遡行と同時に幾つもの時間のわたしが歩んだ、その軌跡も想いも消し去って」

魔獣まどか「……わたしはほむらちゃんによって、何度も哀しみを与えられ、絶望に堕とされ、そして死を迎えたの」



   ……っ!



魔獣まどか「何度も、何度も何度も……」

魔獣まどか「そこにわたしの意思なんて無い」

魔獣まどか「あるのはほむらちゃんの傲慢で自分本位な願いだけ」



   わ、私は貴女を……

   まどかを助けたかったから……!

   だから―――!

 
 

魔獣まどか「―――だから、願った?」

魔獣まどか「わたしを守る自分になる為に? わたしを助けられる自分になる為に? わたしとの理想の立場を手に入れる為に?」

魔獣まどか「醜い醜い自分だけの欲望の為に?」




   ち、違う……!



魔獣まどか「うん、しょうがないよね。ほむらちゃんはわたしに憧れる一方で、心の奥に劣等感を抱いていたんだものね」



   ……っ!



魔獣まどか「だから、ほむらちゃんは願ったんでしょう?」

魔獣まどか「劣等感から解放されて、ちっぽけな優越感に浸る為に」



   違う……! 違うわ……!



魔獣まどか「『鹿目まどかとの出逢いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい』」



   ……っ……うっ……

   ………違……っ……違うの……

 
 

魔獣まどか「……これがほむらちゃん、あなたの願い」

魔獣まどか「わたしと一緒に過ごしたあの時間と、大切な想いを蔑ろにして、自分だけが望んだ世界を手に入れる為の」



   ……うぅ……ああぁ……っ……



魔獣まどか「目の前にいたわたしだけじゃない、他人の人生も自分の理想の為の使い捨て」



   やめて……

   お願いやめて……聞きたくない……

   まどかの声で、まどかの貌で、まどかの瞳で

   私を責めないで……



魔獣まどか「誰かの為の願いなんかじゃない……」



   貴女に否定されてしまったら……

   私は……私は……




魔獣まどか「全部自分の、ほむらちゃん自身の為の願い」



   うっ……うぅ……っ……まどか……

   あなたに……っ……見放されたら…… っ……

   私にはもう……何の……っ

   ……存在価値も……っ……無い……



魔獣まどか「ほむらちゃん、あなたは自分の思い通りにする為に、全部無かったことにして来んだよ?」

魔獣まどか「……あ! なぁんだ。今のこの、世界全部が無くなっちゃった状況と同じだね!」



   ……あ……ああ………



魔獣まどか「そうだよね、だってここはほむらちゃんが望まない悪夢が現実になった世界なんだから」

魔獣まどか「何でほむらちゃんは願ってしまったの? 望んでしまったの?」

魔獣まどか「……最初にほむらちゃんが願いを叶えなければこんな最後にならなかったのに」



   全て……

   私の……せい……

   全て……全て……



魔獣まどか「そ、ほむらちゃんのせいなんだよ」にこっ



   ……うあ……あ……あ……

   うあああっ……! っ……ごめんなさいまどか……っ……!

   ……っ……ごめん……なさっ……!



魔獣まどか「……ほむらちゃんにはね、誰かを語る資格なんてないの」

魔獣まどか「人の想いの残骸を足蹴にして、そうやって前に進んで来たあなたには、誰かの為にだなんて口にする資格なんてないの」

QB(……なるほどね……悪夢が現実に、か……ふむ)

QB(悪夢を司る魔獣……それがほむらの記憶から生まれたまどかの中に最初からあったということは、まどかが降臨したその瞬間からほむらの悪夢が始まっていたということになる)

QB(その後に起こったさやかの魔女化、マミの自害、杏子との離別、まどかの願いの消失、そして宇宙の消滅……)

QB(それらは全て、ほむらの悪夢として魔獣によって現実に反映されたもの……)

QB(そして、まだそれは続いている)

QB(この鹿目まどかのイメージもほむらの悪夢、つまり魔獣の影響によるものだ)

QB(ほむらの深層意識にある認めたくない醜い自分自身、それをまどかに知られ、拒絶されてしまう……)

QB(成る程、彼女にとってこれ以上の悪夢はないだろうね)

魔獣まどか「ほむらちゃん、あなたが全てを望んだから、全てを求めたから」

魔獣まどか「だから、失ってしまったの、その手から零れ落ちてしまったの」

魔獣まどか「わたしも、わたしの願いも、そしてほむらちゃんの願いも全て」



   ………



魔獣まどか「これは欲深いほむらちゃんの望みの代償で、赦される事の無い罰」

魔獣まどか「意識有る限り、あなたは後悔し続けるの」

魔獣まどか「己を呪い続けるの」



   …………

 
 

魔獣まどか「……でもね」

魔獣まどか「わたしはほむらちゃんと違って、誰かの想いを無駄になんかしないよ」



   え……



魔獣まどか「もし、ほむらちゃんが一つだけを望むなら」

魔獣まどか「もし、ほむらちゃんがわたしだけを求めるなら……」



―――スッ…



魔獣まどか「いつだってわたしはこの手を差し伸べてあげるよ」ニコっ



   あ……



魔獣まどか「さあ、この手を掴んで」

魔獣まどか「ほむらちゃんの想いをわたしに伝えて?」



   ……まど……か……



魔獣まどか「そしたら、わたしの中で一つになって」

魔獣まどか「何もかも忘れて、二人で一緒に幸せな夢を見ようよ」

魔獣まどか「終わらない夢をいつまでもいつまでも」

 
 
 
   ……貴女は……


   貴女はまた……手を差し伸べてくれるの……?

   貴女はまだ……わたしを想ってくれるというの……?

   想いを踏みにじって、裏切った

   こんな私なんかを……



魔獣まどか「さあ……ほむらちゃん……」

 
 

 
 
 
   ならば私は……


   私は……

   ……

   ……

   ……

   ……

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――ギュッ…

 
 

魔獣まどか「……ありがとう、ほむらちゃん。わたしを選んでくれて」

魔獣まどか「とっても嬉しいよ」にこっ



   ……

   わたしを包み込むこの小さな手は

   やっぱり何処までも

   優しくて……

   暖かくて……

   ……ああ、まどか……

   まどか……まどか……

   まどか……



―――ズズズ…

 
 

QB(暁美ほむらの意識が鹿目まどかに吸収されていく)

QB(……そうか、そういう事か……何故、終焉を迎えた世界に僕と暁美ほむらの意識だけが残ったのか疑問に思っていたけれど、今それがわかった)

QB(それは鹿目まどかが魔獣となって尚、暁美ほむらを求めていたからだったんだ。だから暁美ほむらの意識をまどかは残したんだ)

QB(融合を果たし、二人だけの新たな世界を創造する為に)

QB(……だとすれば、僕の存在はその為の媒介……)

QB(僕の意識を新たな世界としての概念に転換し、そこに永遠に固定するつもりか……)

魔獣まどか「……」ズズズ…

QB「やれやれ……鹿目まどか、これは散々君達を利用してきた僕らへの罰でもあるという訳かい?」

魔獣まどか「……んふっ」にこっ

 
 
 
   ああ、まどか……


   貴女を感じる……



   一つになっていく……

   貴女と一つになっていく……



   私の意識が溶け出して

   自己の境界が拡がっていく



   何もかもを忘れていく

 
 

 
 
 
   貴女の意識と混じり合って


   私の心が塗り替えられていく



   私が私でなくなる




   私が私でなくなっていく

 
 
 





魔獣まどか「……ようやく、ようやくわたし達の想いが一つになれるんだね」



魔獣まどか「ほむらちゃん、新しい世界になったら今度は二人で幸せになろうね……?」

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
魔獣まどか「これからはずっと、一緒だよ」にこっ

 
 
 
 
 
 
 

今回はここまでです
投稿が遅くなってしまってすんません
次回はまた未定です

あそこに顔出したからには結末には期待していいんですよね

以下より、地の文が入ります

-まどかの精神内部-







わたしにも出来ると思ってた

それが正しい事だと信じてた



でも

そんなものは、呆気ないくらいに脆く、弱いものなんだって

あの時のわたしには気づけなかった……



前のわたしと違ってしまった、今のわたしに

存在価値なんてものは……








……いや、まだ






まだ、一つだけ……

 
 
 

  

 
 
限りなく無に近い深淵がそこには広がっている。

そのひどく殺風景な地平の中心で、まどかは無言で俯きながらたたずんでいた。

かつて、そこには光に満ち溢れていた。

それが今では深い闇へと取って代わり、彼女の心から希望は消え去り絶望が支配していた。


まどか「……」


きつく唇を結んだまま少しだけ顔を上げる。

その視線の先で、一条の光が遥か果ての見えない天上から降り注いでいる。
それは、この絶望の中で唯一残った希望の光、そして一縷の望みに他ならない。


まどか「……」


光の下へと向かって歩きだす。
一歩一歩、重い足を引きずりながら
光の中心に居るであろう人物の近くへと。


まどか(……)


円形に降り注ぐ光と、無限に広がる闇の境界で立ち止まると
見下ろす視線の下で、艶やかな黒髪が無造作に地面に拡がっている。
一人の少女が仰向けの状態でまるで人形のように静かに眠っていた。


まどか「ほむらちゃん……」


まどろみの中にいるその少女の名前を呼ぶ。

当然のごとく返事は帰ってこなかった。
 

 
 
まどか「……」



ほむらの横に膝をつき、顔にかかった前髪を整えてあげると
僅かに胸を上下させているのが分かり、ゆっくりとした息づかいが感じられた。
 
その寝顔は、いつも無表情だったりむつかしい顔をしていた普段の彼女からは
とても想像できないくらいに―――


魔獣「とても安らかな顔をしているね」


闇に溶け込むような黒いドレスをたなびかせ、宙を漂っていた魔獣が
まどかの思考の末尾を言葉にした。


魔獣「彼女は今、どんな夢をみているのかな」

魔獣「あなたのことならば、直ぐにわかるのに……」


まどかと共に願いを叶えた今、そ魔獣の精神はまどかと混じり合うようにしてほぼ同一のものとなっていた。
そして現在ほむらがまどかに吸収されたことにより、鹿目まどかの体には三つの精神が混在している。


まどか「……」


まどかの沈黙に構わず、魔獣は人差し指をあごに当て、少し考えるような仕草をする。

ややあって自己解決したのか、うん、と頷いた。


魔獣「きっと、幸せな夢を見ているんだろうね」


かわいらしい声をはずませて、無邪気な笑顔でまどかに語りかける。
その声も顔も仕草までもがまどかと同一の性質を持っており
それがまどかにとっては堪らなく嫌悪感を募らせる。
 

 
 
魔獣「だって、呪いから解放されたんだもん」



呪いからの解放……その言葉を聞いたまどかの体が僅かに動いた。


魔獣「まさか、自分じゃ気付いてない……なんて言わないよね」

魔獣「何の為に暁美ほむらは同じ時間を繰り返してきたのか、あなたが一番知っているでしょ?」

まどか「……」


無言。

魔獣はやれやれといった感じで、目を閉じ首を横に振る。
そしてなおも沈黙を守るまどかに対し、ゆっくりと語り始める。


魔獣「彼女は願い、魔法少女となった。あなたを救う為に……」

魔獣「でも、繰り返していくうちにあなたを何度も死なせてしまった自責の念は積み重なって、そして望む理想と得られる現実の差が剥離していった」

魔獣「少しずつ、少しずつ……ね」

まどか「……」

魔獣「連綿と続く時間の中で、彼女は常に悩み苦しんでた」

魔獣「……あなたを最強の魔女から守ったその後も」


ズキリとまどかの胸の奥が痛む。


魔獣「その中で彼女は求めてしまった。望んでしまった」

まどか「……」


唇をきゅ、と強く結ぶ。

暁美ほむらが望んだもの
それは、きっと―――。
 

 
 
魔獣「あきらめることのできない渇望が、彼女に決してかなうことの無い夢を見させてしまった」



それがどういう事なのか、今ならばわかる。
……今なら。


魔獣「……それが彼女の行動原理」

まどか「……」

魔獣「彼女の人生は雁字搦め。鹿目まどかという名の呪縛でね」

魔獣「これはもう、りっぱな呪い」

まどか「……私の……呪い……」


意味を確かめるように、言葉をなぞる。


魔獣「やっと喋ってくれたね。反応無くて寂しかったんだよ?」


意地悪な笑い声。


魔獣「……でも、もうその呪縛は解かれた」


まどかの傍らに横たわるほむらを見て、妖しく微笑む。


魔獣「彼女は求めた」

魔獣「だから私が与えてあげた。虚飾の世界を、ね」

魔獣「彼女は今、決して目覚めることの無い夢の中で、理想の世界を見てる」

まどか「……」

魔獣「この永遠の眠りはね、あなた達二人に与える慈悲と罰」

魔獣「最も大切な人の側に居ながら、お互いを感じることはもう決して無いの」

魔獣「これで全部お終い。もう、彼女は繰り返すことはないんだよ」

まどか「……まだ」

まどか「……まだ……終わってなんか……ないよ」


消え入りそうな呟きを魔獣は鼻で笑う


魔獣「まだ、彼女が目覚めると思っているの?」
 

 
 
魔獣「そうやって、わずかに残った意識でほむらの人格を繋ぎ止めても無駄なのに」


魔獣「もう、諦めれば良いのに」

魔獣「暁美ほむらだって、それを望んでいるよ」

まどか(ほむらちゃんが望んでる……?)


みんな居なくなっちゃって
ほむらちゃんは嘘の世界をみせられて。


まどか「……」


……そんなはず無い。
ほむらちゃんが望むはずなんか無い。


まどか「……違うよ……そんなの……違う」


行き所の無い感情の昂りが強がる声を震わせる。


魔獣「そうかなぁ?」

まどか「……」


そうだよ……ほむらちゃんなら……

きっと……



魔獣「でも、暁美ほむらは私の手を取った」



まどか「う……」


返す言葉が浮かばない。


魔獣「それが彼女の選択」
 

 
 
魔獣「後はあなたが諦めて、私に体をあけ渡せば新たな世界を作れる」


魔獣「呪いと絶望に満ちた世界をね」

魔獣「だから、暁美ほむらの事はわたしに任せて、あなたはわたしの中で眠っててね」

まどか「……」

魔獣「心配しないで、あなたには飛び切り素敵な悪夢を見せてあげるから」


屈託の無い笑顔を向けながら、まどかに近づく。


まどか「……なんで」

まどか「なんで、こんな悲しい事ことをするの……?」

魔獣「……ふふっ」


小さく嗤うとまどかのあごに人差し指をかけ、くいと持ち上げる。
それに驚いたまどかと魔獣、同じ顔をした二人の視線が重なる。


魔獣「それはね……私があなた達、人の呪いから生まれた存在だから」


魔獣の目は星の無い空よりも暗く、吸い込まれそうなくらい冷たく深く
そこには涙を堪えるまどかの姿が映しだされるだけで、人の持つ感情からは最も遠い色をしていた。


魔獣「あなた達が希望を求めるように、私たち魔獣はただ絶望を求めるわ」


そっか……違うんだ……

まどかは悟った、根本的に人とは考え方が異なるのだと。価値観の共有など、出来はしないのだと。


魔獣「憎しみ、悲しみ、嘆き、怒り、それら全てが私の悦びになる」

魔獣「だから、世界全ての犠牲が凝縮された涙を流して、その可愛い顔を歪ませて、ねぇ、私をもっと悦ばせて?」

魔獣「あぁ……あなたがくれる宇宙規模の絶望はとても、とてもとても美味しそう……」


恍惚の表情でまどかを眺める。



魔獣「んふっ。ありがとう、まどか。私の為に願ってくれて」



もう離れられないよと、魔獣は囁いて、軽く微笑んでから茫然自失としたまどかを背にして
また宙をひらひらと漂いだした。
 

 
 
まどか「……」



焦点の合わない虚ろな瞳で、眼前に横たわるほむらを見つめる


まどか(……)

まどか(こんな終わりじゃ……ほむらちゃんは何の為に……)

まどか(わたしは……何の為に……)


暁美ほむらはずっと戦ってきた。
たとえ、それが誰の為であろうと、孤独の中で苦しみに耐えながら
それは誰にも否定することはできない、まぎれもない……事実。


まどか「こんなの……」

まどか「こんなのひどいよ……」

まどか「なに一つ報われてなんかないよ……」


涙を堪えて、肩を震わせる


まどか「なに一つ叶ってなんか……ない……っ!!」
 

 
 
爆発寸前の激情に、まどかを囲むようにして現れたいくつもの影が囁き諌める。



使い魔「望まなければ、裏切られることは無いのに」

使い魔「願わなければ、失うことは無いのに」


……やめて


使い魔「どうして望んだの?」

使い魔「どうして願ったの?」


……聞きたくないよ……!

……やめてよっ……!


使い魔「どうして?」

使い魔「どうして?」

使い魔「「「 ね ぇ 、 ど う し て ? 」」」


まどか「やめてええええええぇっっっっっ!!」


耳を塞ぎ、心の中に芽生えかけてしまったある感情を振り払うようにして
周囲から聞こえる嘲笑を掻き消すように全身で叫んだ。

癇に障るようなあざけり声を残して使い魔の輪郭が消えていく。


まどか「はぁっ……はぁっ……」


ただ、助けたかった。
救いたかった。
嘆きの運命から、絶望の宿命から。


それだけ……ただ、それだけなのに……

 
 

 
 
まどか「……わたしの願いも……ほむらちゃんの願いも……」


まどか「他の皆の大切な願いも……みんな間違っているっていうの……?」

まどか「願うことが間違いで……こんなに一生懸命頑張ってきたのに……最初から報われないって、そう言うの……?」


力無く言ったまどかの前に、誰かに良く似た影が現れる。
そいつは長い後ろ髪をかき上げるように手首を跳ね上げ、見上げるまどかに告げる。
諭すように優しい口調で。


使い魔「魔法少女になるって、そういうことよ」

まどか(―――!)


それは、いつかほむらの記憶の中で聞いた言葉。
焼けるような夕日の中で、寂しそうにふせた横顔が甦る。

かつて、別な自分とほむらが交わした言葉の一つ一つが浮かんでは消えていく。
彼女の冷たい言葉の裏には、いつだって暖かな想いが込められていたことに今更ながら気が付く。


まどか「ほむらちゃんの……言う通りだね……」

まどか「わたしの……やさしさが大きな悲しみを呼びよせる、って……」

まどか「違う自分になろうと思わないように、って……」


目頭に熱いものが込み上げてきて、必死に抑えようと眉間にしわを寄せる。
 

 
 
まどか「……ほむらちゃんが言ってたこと、もっと良く聞いて……もう少し考えればよかったな……」



純白の麻布がこぼした水を吸って、その色を変えていくように、じわじわと後悔の念がまどかの心の隙間を侵していく。

天から差し込んでいた一条の光が徐々に消えていく。

その様子を見た魔獣は目を細め、ニタリと笑う。
涙が零れ、後悔が諦観に変わったその時、まどかの心は絶望に塗りつぶされ
ほむらの意識もまどかの意識も全て、魔獣のものとなる。


まどか「ごめんね……ほむらちゃん……」

まどか「もう……わたしには何も出来ないけれど……」


双眸に涙が滲む。


まどか「わたしのせいで……世界がめちゃくちゃになって……何もかもが無くなっちゃったけれど……」


感情を仕舞い込んだ、もの言わぬ少女の
雪の様に白く細い手の甲に燦然と輝いている宝石の上から
包み被せるようにそっと手を重ねる。


まどか「もしも……こんなバカでどうしようもないような……わたしなんかでいいなら……」

まどか「それでも……ほむらちゃんはわたしを求めてくれたのなら……」

まどか「わたしを感じられなくても……せめて……せめて……っ」


ほむらの背中から腕を回し抱きかかえ、顔を埋める。


まどか「ほむらちゃんの……っ……傍で……」
 

 
 
 
溢れ出る涙はついに



限界を迎える。




流れる涙は頬を伝い

ぱたた、と数滴

ほむらの顔へと零れ落ちる。



まどか(わたしに出来ることはなんだろうって……)

まどか(わたしも出来ることがあるのかなって……)



そう……思ってきたのに……



まどか(もう……これくらいしか出来ることが……ないよ……)

まどか(ごめんなさい……ママ)

まどか(上手くやれって背中を押してくれたのに……)

まどか(間違え方を、間違えちゃった……)

まどか(ごめんなさい……)





ほむらちゃん―――








目の前が暗くなっていく、意識も薄らいできた。



まどかの中の希望が、今

潰えようとしていた。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
魔獣「―――!」


まどか「え……!?」


驚いて目を見開く。
涙のせいか、それとも朦朧としているせいなのか、ぼやけてはっきりとは見えない

見えないが―――


声が、聞こえた。
聞こえるはずの無い声が。


気のせいではなかった。
柔らかい感触が優しく頬を撫でるのを、まどかは確かに


感じた。

今回はここまで、地の文入れると進まねぇ…… 
次回は未定です


そして公式のキャッチコピーによるネタつぶしに怯える日々
はぁ、時が経つのが早い……


>>855
ノーコメントで、すんません

叛逆までに完結させなかったら・・・お前・・・

乙乙
出来たらもう少し更新頻度を上げてくれるとうれしい

次回予定日は今週の日か月に

>>872>>873
もう展開的にはラスト近いのでがんばります


そしてのくす見てたら面白いものを見つけた。SSじゃないけど


(閲覧注意)虚淵「みんな~!まどかマギカ好き~?」まど豚「大好き~!」
   虚淵「みんな~!まどかマギカ好き~?」まど豚「大好き~!」 - SSまとめ速報
(ttp://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1370698231-0.html)


どうやら「QB会議」の人らしい。議論に参加したかった……
当SSと多少内容が被る所もあるので、完結したら少し語りたいと思います

 
 
―願いの果て―





QB(……変だな)


まどかのもたらした虚無空間を意識体となって漂っているキュゥべぇは
あることについて思案していた。


QB(どうして、なにも起きないのだろう)


魔獣となったまどかはほむらの意識と同化した。
それは、新しい世界を創るために行われたはずだ。

しかし、あれから何の変化も生じてはいない。


QB(すぐにでも世界が創造されるものと思っていたのだけれど……)


魔獣はほむらを取り込んだ後、まるで母親の胎内にいる赤子のように丸まって、そのまま動かなくなってしまった。


QB(現在のこの状況を説明する為に考えられるものはいくつかある)


一つは、既に新しい世界は創造されており、彼女らの魂はもうそこに転生している。
二つ目は、まだほむらとまどか二人の同化が完了していない。終わり次第、世界の創造が開始される。
三つ目は、同化が完了したが、何らかの事情により当初の予定が修正されてしまった。
 


  
QB(まず、一つ目。これは簡単に否定できる)

QB(僕の意識を依り代として世界を造るのなら、もう僕の意識は消失しているはずだ。この可能性は除外していいだろう)

QB(二つ目に関しては特に否定できる要素は無い。状況が現在進行形であるなら、それをただ待つだけだ)

QB(最後、三つ目は……)

QB(……ありえない)


キュゥべぇは魔獣によって精神的に責められ、衰弱しきっていたほむらの様子を思い返す。


QB(あの心理状況では、取り込まれた彼女の自我はもうほぼ保たれてはいないだろう)

QB(……しかし)


彼女は数多の世界を渡り歩き、そして最も神の近くにいた少女だ。


QB(暁美ほむら……君はとっておきのイレギュラーだ、もしかしたら……)


未だ微動だにしない魔獣を眺める。


QB(ん……?)


両腕で体を抱くようにして丸まっている魔獣の胸の辺りで、何かが煌めいた。


QB(あれは……魔獣の―――)
 

 
 
―まどかの精神内部―







顔の側面へと断続的な刺激が与えられているのを感じる。

閉じた目と覚醒したばかりの鈍重な思考では、その微弱な感覚が何によるものなのかが判別できない。


ほむら(雫……? 水……雨……?)

ほむら(……いいえ、違うわね……)

ほむら(……温かいわ)


少しずつ意識が明澄になってきてはいるものの、まだ完全ではない。
だが、体の方はもう動かせそうだ。


ゆっくりと目を開く。


朧げな視界一面に、よく見知った表情があった。

それは数え切れないくらい繰り返した時間の中で、もっとも心の中に焼き付いている
一番大切な人の、一番見たくはなかった表情。

先程の感覚の正体が解った。


ほむら(……涙……)


……きっと彼女は、私を想って泣いてくれているのだろう。
あの時のように……。


ほむら(こんなにも弱い……私なんかの為に……)


嗚咽と共に零れ落ちてくる涙の一滴一滴の、その温度が
心をギュッ、と締め付ける。


ほむら(でも……今度はあの時とは、逆)


私が貴女を―――。


ほむら(……)


だから、その悲しむ顔もこれで……もう……。


ほむら(もう、最後だから……)
 

 
 
弱々しく震える右手を持ち上げて、静かにそして出来る限り優しく、愛しき人の頬を伝う涙の軌跡に重ねる。



まどか「―――!」


唐突に触れたその感触に、まどかの体が跳ねる。


……驚かせてしまったかしら。
でも、伝えたいことがあるから……。
やらなければならない事が、まだあるから……。


まどか「え……?」


驚いているまどかの瞳に、重い瞼をむりやり半分開いて今できる精一杯の微笑みを返す。


ほむら「また……泣かせてしまったわね……」

ほむら「貴女の悲しみを消すために……貴女の涙を笑顔に変えるために私は生きてきたのにね……」


止まることなく流れるまどかの涙が、頬に触れるほむらの手を伝い、その軌道を変えて零れ落ちていく


まどか「あ……」


強張っていたまどかの表情がみるみる弛緩していく。


まどか「あ……うぁ……」


泣き果ててくしゃくしゃなった顔をさらに歪ませて。ほむらへ掛ける声を必死に探す。
まどかは言いたいことが有り過ぎて、伝えたい言葉が有り過ぎて。


まどか「ほむら……ちゃ……」


名を呼びながら。


まどか「ほむらちゃん……っ!!」


力いっぱいほむらを抱きしめて、頬を寄せた。
 

 
 
ほむら(あ……)



背中に回されたまどかの腕は、決して離しはしないとでもいうように
苦しいくらいにしっかりと、ほむらを自身の胸へと押し付ける。


まどか「ごめんなさい……っ……ごめんなさい、ほむらちゃん……」


嗚咽を押し殺した途切れ途切れのまどかの声が、体の奥で反響する。


ほむら(まどか……)


今すぐにでも貴女を抱きしめ返したい―――。

まどかの背中越しに見えるほむらの手が、その意思に従って内側へ動いていく。


ほむら(―――ダメ……!)


その思いをぐっと抑える。


ほむら(それをしてしまったらきっと……)


前に進めなくなってしまう。
諦められなくなってしまう。

ほむらは歯を食いしばり、空いた両の掌に虚空をつかませる。

それからほどいた手をまどかの肩にそっと置き、ゆっくりと己の体から引き離す。
 

 
 
ほむら「……私の方こそ……ごめんなさい、まどか……」


まどか「ううん……ほむらちゃんのせいなんかじゃない……わたしが……わたしが……っ……」


最後まで言いかけたまどかの言葉を遮って、見つめあった瞳を外しほむらはかぶりを振る。


ほむら「いいえ……違うの……そうじゃ、なくて……」

まどか「……?」

ほむら「……ごめんなさい、まどか」

まどか「え……」


私が今、何を言っているのか分からないと思うけれど
……これは、私にとってのけじめだから。


ほむら(これから起こることを貴女には知られることなく、全てを……終わらせるわ)


ほむらが言った言葉の意味を測り兼ねただじっと見つめているだけのまどか。
その背後に闇が広がっている。


ほむら「貴女はこんな真っ暗な孤独の世界で、それでも私を信じてくれたのね」


その強さを今でも羨ましく思う。眩しく思う。


ほむら(だから、せめて―――)


せめて最後くらいは、私も強くあらねば、彼女を守る私であらねば。


記憶の中にあるいくつもの『鹿目まどか』の表情が、目の前の泣き顔に幾重にも重なって
そして、消えていった。


ほむら(あなたのその想いを無駄にしない為に)

ほむら(今度こそ貴女を、貴女の願いを―――)


―――守ってみせる。

 
 

 
 
ほむら「支えてくれて、ありがとう」


まどか「……ううん」

ほむら「でも、もう一人でいけるわ」


胸にかかった長い髪を右手で後ろへ送り、心配そうに握るまどかの手を一瞬だけ握り返してほむらは自分の足で立ち上がる。


ほむら(もうこれ以上、貴女の手は借りない)


そして、さっきから不気味に押し黙りながら、二人を静観していた魔獣の前へと歩んでいく。


ほむら「まどか……」

まどか「……?」

ほむら「これから何が起こっても……」

ほむら「もう一度だけでいいから……信じて」

まどか「え……?」


確かにまどかにはそう聞こえた。信じて、と。
もちろんまどかは彼女を疑ったりなどしない。

ただ……すこし振り返ったほむらのその瞳には、何かを諦めているような
悲しみの色が見えたような

そんな気がした。


まどか(ほむらちゃん……)


また前へと向き直り歩みを進めるほむらの背中が、何も聞かないでと語っているように感じ、心の中だけで名前を呼んだ。


ほむらが居れば何もかもが上手くいくと、そう思っていたのに。


まどか(なんでだろう……)


胸の奥で何かがつかえているような、言葉にできない不安がどうしても拭えない。

ほむらが目覚めたというのに、まどかの心の中を映したこの空間には
依然として深い暗闇が静寂の中で揺蕩っていた。
 

今回はここまで、短い&遅くなってすんません
次回は未定です


そして地の文の書き方がよく分からなくなってしまった……
これで大丈夫なのでしょうか? 

書き方をこう直せ、ってのありましたらご教授ください……



地の文で一人称と三人称が混ざってて何視点か分かりにくいかな。

>>884
興味深いって意味での面白いじゃね?

保守のみ
11日から5連休もらったので次回はその辺り予定です

>>886
やはりそれですか……半年前から何も成長していないですねorz
フルメタと学校を出ようを読んで勉強中


2ch規制されてて某スレに書き込めないので小ネタをこちらで
以下一レス本編とは無関係

まどか「はっ……はっ……ほむらちゃ……!」はぁはぁ

ほむら「まどかぁ……!」

まどか「ほむらちゃ……っ……もっと……っ……ゆっくりぃ…………」はっはっ

ほむら「ダメ……! まどか、いっちゃうわ……」

まどか「あ、待って……はやいよぉ……っ……!」はぁはぁ

ほむら「まどかぁ……あ、いっちゃう……いっちゃう……」

まどか「もぅダメぇ……!」はぁはぁ

ほむら「あっ……!!」

まどか「……」はぁはぁ

ほむら「……」

まどか「……でちゃった……ね」

ほむら「ええ……」


―――ミーンミンミンミーン……


まどか「……次が出るのはいつかな」

ほむら「見てくるわ」

ほむら「えーと……」

ほむら「40分後……ね」

まどか「……ごめんね……わたしのせいで」

ほむら「いいえ、仕方ないわ」

まどか「わたしが仕度に手間取らなければ……もっと速く走れてれば……」


まどか「そしたら、バスの出発時間に間に合ったのに……」


ほむら「あと少しの所でいってしまったわね」

まどか「う……」

ほむら「ま、今更どうこう言ってもしょうがないわ。他の三人には後で遅刻を謝りましょう」

まどか「うん……」しゅーん…

ほむら(……でも)

ほむら(こうして青い空の下で、蝉の声を聞きながらすぐ側の温度を感じられるなら……これも悪くはないわね)

ほむら「このまま二人だけで……なんて」ボソ…

まどか「え……?」

ほむら「何でもないわ」

まどか「……?」

ほむら「……熱いわね」

まどか「うん……暑いね」


―――ミーンミンミー……ジジッ……!


マミ「……今日は皆で旅行のはずなのに……」

マミ「誰も来ないじゃない!!」



しょーもなくてすんません

魔獣「ちょっぴり驚いちゃったよ、暁美ほむら」


しばらく睨み合っていたほむらと魔獣。
両者を隔てていた沈黙の壁はまどかと同じ声の主によって破られた。


魔獣「目を覚ますなんて思わなかった。私だって、ふふっ、信じてたからね」

魔獣「鹿目まどかを裏切るわけなんかない、って」


言葉の端に皮肉を含ませ、いたずらっぽく魔獣は笑う。


まどか(裏切る……? わたしを……?)

ほむら「……」

魔獣「そんなに恐い顔しないでよ。むしろあなたには感謝して貰いたいのに」

魔獣「幸せな夢、見れたでしょう?」

ほむら「……っ」


歯が軋む音が背後のまどかにも聞こえた。


魔獣「いいの? それを捨ててしまっても」

魔獣「この先に望んだ理想なんて無いってこと、あなたも―――」

ほむら「だとしてもっ!!」


魔獣の言葉を遮って、殴りつけるような声が響く。


ほむら「……だとしてもこれが、私の出した答えなのよ」

ほむら「私はお前の攻撃を受け、精神を覗かれ犯された……」

ほむら「あの時私は、お前の偽りの姿に惑わされて矢を当てることが出来なかった……」

ほむら「でも……」


見開いた眼に決意と敵意をのせて。


ほむら「次は外さない」


魔獣に告げる。


魔獣「……次だって?」

魔獣「次も一緒だよ? その次も、その次の次も」

魔獣「あなたの思い描く『次』はやって来たりはしない」

ほむら「……それが運命だというのなら、また変えるまでよ」

まどか(ほむらちゃん……これから何をするんだろう……魔獣をやっつける……のかな……?)

まどか(それとも……)


ほむらのあの眼を思い出す。
諦めを孕んだ瞳の色が、頭の隅にこびり付いて離れてくれない。


まどか(ううん、大丈夫。ほむらちゃんなら……きっと……)


かぶりを振ってまどかはその不穏な考えを打ち払う。


魔獣「へぇ……ふーん……」

魔獣「そっかぁ……やっぱり分かってるんだ。これから起こること」


ほむらの周りをくるりと一周しながら言葉を続ける。


魔獣「なら当然、その後のこともわかってるはずだよ」

魔獣「ただ、繰り返すだけ……って」

ほむら「……」


再びほむらの正面に来た魔獣から目を逸らすように浅く俯く。


まどか(え……? 繰り返す……?)

魔獣「私は別に構わないよ。人の絶望がそこに有る限り、魔獣もまた在り続ける」

魔獣「それはそれで、救いようのない素晴らしい世界だと、ふふっ、そう思わない?」


ほむらの耳の横でささやく。


魔獣「でも、鹿目まどかはどう思うのかな?」

ほむら「……」


まどかというワードに反応し、ほむらの体が僅かに揺れる。

 
 
 

魔獣「またあなたの身勝手なエゴで、世界がひとつ潰される」

魔獣「他人の運命を弄び理想の中に閉じ込めて、自分もろとも終わりのない舞台の上で回り続ける」

魔獣「そう、永遠に……」

ほむら「……」


否定も肯定もなく、ほむらは何かに耐えるように眉間にしわを寄せ、ただただ固く眼を瞑る。


まどか(……)


二人の会話を聞いていたまどかは状況がさっぱり掴めず混乱していた。

ほむらが魔獣を倒すものだと、その為に目覚めたのだとばかり思っていたまどかは
行動を起こす素振りを見せないばかりか、「繰り返す」という言葉さえほむらは否定しないことに不安を募らせる。


まどか「ねぇ、ほむらちゃん……」


考えても何も分からない。長い黒髪がなびくほむらの後ろ姿に声をかける。

 
  

ほむら「……」


ほむらは向こうをむいたまま僅かに顔を上げる動作で返事をする。


まどか「あのね、ほむらちゃん達のお話しが解らなくって……」

まどか「これから何が―――」


ほむらへの問いかけが途切れた。


魔獣「あーあ、始まっちゃった」

ほむら「……」

まどか(っ……! 何……!? 急に息が……胸が……苦し……)


前兆なく不意に襲って来た胸痛にまどかは苦悶の表情を浮かべる。
胸に手をあてがい肩でする呼吸が浅くなる。


まどか「ほむら……ちゃ……っ……」

ほむら「……」


すがるように名前を呼ぶが、ほむらの反応は無い。

 
 

魔獣「ほら、まどかが呼んでるよ? 今、手を差し伸べられるのはあなただけ」

魔獣「助けてあげないの?」


わざとらしいくらいの困った顔を作る魔獣。
それが偽物だと分かっていても、まどかと同じ顔がほむらの感情を刺激する。


ほむら「……私は」


ようやくまどかの方へと振り返る。
紫色の瞳に、苦しみから背を丸め両手で胸を抑え込む少女が映る。

その姿は祈りを想起させ、落ち着かせたほむらの心を再びざわめかせた。


ほむら「私には……あの子を救うことなど……」


言いかけた言葉を飲み込む。

そして、ほむらはまどかへと歩を進める。

 
 

まどか「うっ……ぐ……」


尋常ではない痛みが依然としてまどかの心臓付近を襲う。額に浮かぶ脂汗。その痛みは目も開けていられないほどの。

震えていた膝が限界を迎え、身体が前のめりに倒れ込む。



瞬間、衝撃―――。



何かが身体にぶつかった。

衝撃による痛みはなかったが、そんなことはまどかにとってどうでもよかった。

倒れまいと無我夢中でそれに縋る。


ほむら「……まどか」


頭のすぐ上で声がした。
ぶつかったのはほむらの身体だ。

その細い体を支えにしてまどかは辛うじて体勢を保つ。


ほむら「ごめんなさい……辛いよね、苦しいよね……」

ほむら「でも、大丈夫よ。今だけだから……」

ほむら「貴女はそのまま流れに身を任せていれば、それでいい。すぐに終わるわ」


母親が泣く我が子をあやすような優しい声。


まどか「ほむら……ちゃん……?」

ほむら「……今まで魔獣によって、私の悪夢が現実となって来たわ」

ほむら「でも、私にとって最も起こって欲しくない出来事、それがまだ実現していない」



    ……? ほむらちゃん、一体なんの話をしているの……?



ほむら「かつて私は、何度も繰り返し同じ時間を巡ってきた」



       ……ほむらちゃん……ねぇ、ほむらちゃん……



ほむら「あの時交わした約束を守る為に、貴女を絶望の運命から救い出す為に」



    お願い助けて……胸の奥から暗い感情が溢れて止まらないの
         
         悲しくて、辛くて、苦しくて……



ほむら「決まってやってくる『最悪の結末』を変えるべく、私は抗ってきた」



        じわじわと心が黒く染まってくみたい……

            いやだ……怖いよ……



ほむら「そう……」

ほむら「『それ』こそが、私の最大の悪夢」


いつかの時間の、まどかの言葉がほむらの脳裏一杯に浮かび上がる。



―――『わたし……怪物になりたくない……』

―――『嫌なことも、悲しいこともあったけど……守りたいものだってたくさん……この世界にはあったから』



それは、まどかが最期の際に涙で震わせながら言った、彼女らしい優しさに満ちた言葉。

 
 

まどか(そっか……この感情は―――)


まどかは首を上げ、ほむらの顔を仰ぎ見る。

胸の中から見上げるほむらの眼差しは慈しみに溢れ、何よりも優しく。


ほむら「まどか……」


その柔らかな眼差しとともに紡がれる言葉は、何よりも。


ほむら「貴女はこれから」


何よりも―――。







ほむら「魔女になる」








冷たいものだった。













     ―――そっか……この感情は

           
          絶望だ









まどかの精神世界の天蓋に、激しい音と共に亀裂が走った。

 
 
 

今回はここまで、次回は未定です

叛逆ネタバレ注意




映画観た
叛逆のタイトルに偽りなし、予想は大外れに外れてほむらの愛の物語だったわけで
内容や展開は面白く、円環時にはしてやられたという感じだったのだが

だが……

自分の為の愛、他人の為の愛

まどかとは違う「それ」がほむらの愛だというのなら
暁美ほむら……君には失望した




上で書いた本編には足りなかったものの一つに
「ほむらの罪の自覚と懺悔」と「まどかによる赦し」が挙げられ(当SSでも少し触れたけど)
それが見事果たされ嬉しかった
そのシーンで泣いた

……でも違うんだ、暁美ほむら

確かにまどかが望むのは、皆と一緒にいることなのかもしれない

でもあの時

ほむらがワルプルギスと戦っていた時

諦めの淵へと歩んでいた時

助けは無駄だと諌めるキュゥべぇに向かって
嗚咽を飲み込んで涙を拭ってまどかが言った言葉は、想いは……


「―――でもっ!」


誰が為の愛か、誰が為の決意か
あろうことか、結果暁美ほむらは再びまどかの想いを踏みにじってしまったのではないか?


……まだ「足りない事」はあると思っているので
続編があるなら次は双方合意の下、あの約束が果たされることを信じて


次回投稿日は、未定です

はっきり言って叛逆はハッピーエンドなのは理解している

まどか不在の改変後世界にほむらが魔を持ってまどかを取り入れることで
第二改変後世界(実質第一と変わらない)にまどかとさやかを存在させることができた
まどかはQBに利用されることなく皆と一緒にいられるし、円環は行われるし、ほむらはまどかの側にいられるし

しかしほむらをあそこまでヤン化(悪役化)させる必要は……
続編の為ってのは分かるけど、もにょる

獣のような低い唸り声が無限の静寂を裂いて暗黒の空間に残響する。

喉を掻きむしり、悲鳴ともつかぬ奇声をあげる魔獣。
その胸元の宝石が唯一闇の中で鈍く、それでいて力強い光を放っている。


QB「あの輝きは……ソウルジェム……」


魔法少女の魂の外郭、感情の器、そして魂の在処。
その中心で黒い影が渦巻いている。


QB「呪いを溜め込んでいる……?」

QB「しかし彼女は半ば概念となったはずだ……」


魔獣の存在を構成の基礎とする鹿目まどか。
彼女はインキュベーターが作り出した魔法少女のルールから逸脱し、既に旧来の仕組みは形骸化している。


QB「それが一体なぜ……?」

QB「ただ、考えられるとすればやはり―――」


      ―――暁美ほむら


QB「彼女は純粋な魔法少女だ。その存在はまどかにとって異物でしかない」

QB「それを吸収してしまったが為にまどかは魔法少女としての仕組みを取り戻し、ソウルジェムが活動してしまったんだ」

QB「だとすれば……この状況はまずい」


この先に予見される出来事はキュゥべぇにとって決して歓迎できるものではなかった。


QB「……しかし今の僕は肉体を失い精神体となってしまった。もはや事象に対し干渉することは叶わない」

QB「このまま事の成り行きを、ただ見守るだけだ……」

魔獣「あはっ、あはハはっ!」


眼を見開き、狂ったように魔獣が笑っている。


魔獣「アハハははhはははははっ!!!」


そのソウルジェムから黒い瘴気があふれ始めた。






――――――


ほむら(……もうすぐね)


まどかの精神の内部。その天蓋に広がる亀裂を眺めながら、ほむらは口の中で呟く。
ふうっ、と軽く息を吐き目線を下に落とすと、胸元で可愛らしい旋毛がふるえていた。

僅かに掛かるまどかの体重が心の奥深にずしりとのしかかる。


ほむら(……)


遠くで黒い水しぶきが上がった、続いて派手な着水音。
限界に達し、崩れ落ちた天蓋のかけらが地平の果てへと突き立った。

遅れてやってきた波紋が地面を伝って、二人の足元をすり抜けて行く。

怯えるまどかのその手に少しだけ力が入る。


まどか「……ね、ねぇ……」


言いかけたまどかの胸がトン、と軽く押される。


まどか「―――あっ!?」


2、3歩後ろによろめく。おぼつかない脚が辛うじて体制を保つ。


まどか「ほ、ほむら……ちゃん……?」

ほむら「……」


二人の間隔が開く。その心の距離を表すかのように。

 
 


それでも痛い胸を押さえ息苦しい息を整えて、まどかはなんとかほむらの真意を探ろうとする。


まどか「ねぇ……わたしを裏切るって……」

まどか「さっき言ってた魔女……ってなんの……ことなの……?」

ほむら「……」


ほむらの代わりに連続した着水音が答える。


魔獣「言いたくないってさ」


まどかの背後でくふふ、と笑うと、魔獣は身を乗り出し意地の悪い笑みでほむらの顔を覗き込む。


魔獣「まどかにだけは嫌われたくないものね?」

ほむら「……」


ほむらの前髪がうつむき、その表情に影を落とす。


魔獣「やっぱりそういうことか。さっきは強がったふりなんかしちゃって」

ほむら「……」

魔獣「ほんと悲しい生き物だよね、人間は」

魔獣「誰も彼もが耳当たりの良い優しい言葉を並べて、いつだって綺麗な建前で自分を正当化して」

魔獣「でもその実、胸の内には醜悪な本音と欲望が常に渦巻いている」

魔獣「ねぇ、その言葉は誰のため? その渇望は誰のもの?」

まどか「……」

魔獣「ふふっ、暁美ほむら、結局あなたもその中の一人」


魔獣は目を細めると、くるりとターンしほむらに背を向ける。
髪が遅れて回転を終える。


魔獣「嫉妬、侮蔑、妬み。そしてそこから生まれ出る呪い……」

魔獣「ほんと、どうしようもない世界。数多の魔獣がのさばるほどにね」

ほむら「……」
 

魔獣「……でもね、ほむらちゃん」


背中越しに顔だけが振り向く。魔獣が模すのは可愛らしいまどかの笑顔。


魔獣「私はほむらちゃんを否定したりなんかしないよ?」

ほむら「……っ」


その柔らかい表情と懐かしい声の抑揚。
それがたまらなくほむらの神経を逆なでする。


魔獣「人は誰だって希望無くしては生きてはいけないものね」

魔獣「だから私があなたの中で燻っている欲望を満たしてあげる。私があなたの汚れきった願いを叶えてあげる」

魔獣「その手の中に辛うじて残った理想を、そのまま開くことなく閉じるというのなら、世界をあなたの望む一つの終幕へと導いてあげるよ」

ほむら「……」

いつのまにか使い魔がほむら達を取り囲み、何対ものペアになってワルツを踊っていた。
重なりあうシルエットは互いに首を絞め合っている。


ほむら「……私は」

ほむら「……私はそれでも……構わない」


ペアの片方、長髪の影が一斉に赤い涙を流しながら半月状に口をひらいて、もう片方の使い魔を絞め落とした。
踊りは終わることなく続いている。


魔獣「あはっ」


同じ表情で魔獣が笑う。

 
 

まどか「だ、だめだよ……」

まどか「だめだよほむらちゃん、しっかりして……!」

まどか「魔獣の言うことなんか聞いちゃいけないよ……」

ほむら「……」


使い魔たちの踊りがピタリと止み、砂のように崩れて地面へと消えた。

突き刺さる魔獣の視線を、まどかは負けじと精一杯にらみ返す。


魔獣「……まだ、わからない?」


その声には若干のけだるさと呆れの色。


まどか「……?」

魔獣「私はただ彼女の願いを叶えるだけ。暁美ほむらの願いを、ね」

魔獣「そして鹿目まどか、あなたは彼女の心の奥底にあった欲望そのものなの」

ほむら「……」

魔獣「ねぇ、まどか、あなたが魔獣になったら―――」


意味ありげな横目でほむらを一べつする


ほむら「……!」

魔獣「……どうなると思う?」

ほむら「止めっ―――!」


魔獣の意図を察し、続く言葉を静止しようとするほむらの背後から影が素早くその口を塞いだ。


ほむら「……! ……っ!!」


もがくほむらに絡みついた使い魔が、口元に指を一本あてている。


まどか「え……? どうなる……って……」

まどか(さっきほむらちゃんが言ってたのは……)


     魔女に―――。


まどか(……)

まどか「……どう……なるの?」

魔獣「ふふっ、教えてあげる」


魔獣は嬉しそうに口の端を引き上げる。

魔獣「今、私たちの心は崩壊に向かっているわ」


目を向ける先の天井では痛々しい亀裂が走り、既にいくつもの黒い塊が剥がれ落ちてその奥の虚空を覗かせてていた。


魔獣「願いを叶えた代償として、この身の内に呪いを溜め込んでいるわ」

魔獣「そして、それが極限に達した時に暁美ほむらの悪夢の再現として私たちは魔女となるでしょうね」

まどか「……」


魔法少女がやがて魔女となる。連綿と繋がれて来た、負の連鎖。
それがまもなくやって来るのだ。


魔獣「そうなれば私たちは消滅してしまうわ」

魔獣「魔女を消し去るという、自身のその願いによって」

まどか「しょう……めつ……」

魔獣「だから本当はそうならないように暁美ほむらを眠らせて、この状態を保つつもりだったのだけれど……」

魔獣「永遠の眠りから目覚めてしまった彼女の心の中に潜む呪いが、状況を動かしてしまったみたい」

まどか(消えてしまう……)

まどか(でも……)


もとよりまどかの願いはそれを覚悟の上のものだ。
以前の別なまどかがそうしたように、同じ概念としての運命をたどるつもりだった。


まどか(なら―――)


ならば再び魔女の存在しない別な世界が始まり、何もかも無かったことにして全てやり直せるのではないだろうか?


魔獣「ふふっ、残念」

魔獣「あなたの考えているように世界は変わらないの」

まどか「え……?」

魔獣「確かにあなたの……いいえ私たちの消滅と共にこの世界も終わりを迎えるけれど」

魔獣「決してまた一から創り変えられたりはしない」
 

 
 
 
 
 
 
魔獣「世界はある地点へと回帰する」

 
 
 
 
 

まどか「回帰……?」

魔獣「そう、戻るのよ。前のあなたが願い、始めて魔法少女のルールが書き換えられ魔女のいなくなったその瞬間の地点にね」

まどか「……」

魔獣「辛い思いを消し去り、束の間の幸福を得る為に、彼女はあなたの願いを閉ざす道を選んだのね」

まどか「……?」

魔獣「ふふっ、ねぇ暁美ほむら。一体この世界は何度繰り返した後なのかしら? 私がこの言葉をいうのは何回目?」


抵抗を止め、黙するほむら。
代わりに答えるようにして複数の天蓋のかけらが崩れ落ち、辺りに音を響かせる。


まどか「ど、どういうこと……?」


反応の無いほむらを無視して、魔獣はまどかへと向き直る。


魔獣「暁美ほむらは私を介して記憶を失ったあなたに再び出会った」

魔獣「でも、焦がれた存在を得て尚、彼女は満たされることは無かったわ」

魔獣「だって彼女と過ごしたひと時を振り切って、結局あなたは以前のように願ってしまったからね」

ほむら「……」

魔獣「しかし彼女は忘れられなかった、諦められなかった」

魔獣「だから暁美ほむらは選択したの」

魔獣「離れることの無いように、再び邂逅できるように、ならば永遠の世界に閉じ込めてしまえばいいのだと」

まどか「……」

魔獣「暁美ほむらの目的……それはね」





魔獣「鹿目まどかとの出会いをやり直すこと」

 
 
 
  

まどか「え……?」


その言葉はほむらの夢の中で聞き覚えがあった。

得もいわれぬ不安がまどかの心に滲み湧く。


魔獣「あなたを魔女にしてこの世界をやり直し、ほむらは再び記憶を失ったまどかと廻り逢う」

魔獣「一から十まで全く同じ運命を辿るのよ。何度も、何度も。永遠に」


まどか「それっ……て……」


まどかの目が大きく開く。動悸が一層強くなっていく。

魔獣が右の手のひらを眼前にかざす。その手の上で二つ結びの小さな少女の影が膝を着いて祈りの姿勢を執っている。


魔獣「願ってしまったことを彼女は後悔しながら、己の矮小な欲望を満たす為に、あなたの祈りも望んだ未来も、その手で全て握りつぶした」


閉じた魔獣の右手の隙間から黒い液体が滴り落ちる。


魔獣「それが暁美ほむらの願い」

魔獣「そして、あなたへの裏切り」


まどか「うそ……」


目の端でうなだれるほむらの前髪が力なく揺れている。

 
   

まどか「ち、ちがうよね……? ほむらちゃんはそんなこと……しないよね?」


ほむらに絡みついた影が霧散し、拘束が解かれる。


ほむら「……」


微動だにしないほむら。その手に握るこぶしからは赤い雫がこぼれ落ち続けている。

もうほとんど残されていない天蓋の欠片がいくつかの使い魔の頭上に狙ったように振り注ぎ、短い音色を奏でる。





長い沈黙。




暫くしてほむらの薄い唇が静かに、静かに動いた。

その後、耳に届いた言葉を

まどかは聞きたくはなかった。

何かの間違いではないかと叫びたかった。




ほむら「私のこと……軽蔑した?」

まどか「……っ」



まどかの顔が悲しみに歪む。

ほむらの口にした言葉の意味するところは、つまりは―――


まどか「そんな……」



―――肯定だ。

 
 
 

今回はここまでです

内容が伝わるように書けてるといいのですが……解り辛かったらすんません

次回は未定です

 
 
まどか「そん……な……」



鈍器で殴られたようなショックが一瞬の内にまどかの頭の中を駆け巡る。
ホワイトアウトする思考は、痛いくらいに高鳴る鼓動も苦しい呼吸もすべて忘れさせた。

ほむらへの信頼。
今まで体を支えていた、たった一つのその心の拠り所を失ってしまったまどかにとって
もう一切がどうでもよくなってしまった。

繰られた糸が切れるかのように膝から崩れ落ち、その場にへたり込む。


まどか「あ……」


頬を伝う一筋の大粒の雫が、乾きかけた涙の跡を冷たくなぞる。


魔獣「その感情の落差。ふふっ、やっぱり何度味わっても……」

魔獣「絶望と後悔が真っ白な心を塗り潰し、やがて滲み出す激情が漆黒の呪いを生み出す」

魔獣「粉々になったガラス細工が四散して七色の光を反射的させ煌めくように、炎が消える直前に光を増すように」

魔獣「希望が潰え、堕ちて壊れるその瞬間こそが最も儚く、美しく、そして愛しいと、あなたもそう思わないかしら?」


恍惚とした表情でほむらへと問いかける。


魔獣「嫌われないように胸の内を隠してたのに、全部バラしちゃった」

魔獣「ごめんね、 ほむらちゃん?」

魔獣「あはっ」


口の端を引き上げ、無邪気な表情と口調でほむらを嘲る。


魔獣「でも、思ったよりあなたは落ち込まないのね?」

ほむら「……」


首を捻り、ほむらをジトリと睨みつける。

 
 
 

 
 
魔獣「……まぁ、いっか。もう十分に満足したし」



不敵に笑った魔獣の顔の右半分が不自然に歪み、
直後にズルリと音を立て表皮が剥がれ落ちる。


魔獣「あら……」


無惨に崩れたその顔の奥からほむらが以前に見たことのある顔が覗いていた。
いつかの繰り返してきた時間の中で見た、まどかの魔女。
その顔にとてもよく似ていた。


魔獣「限界、ね……」


まどか達の精神は魔女のものになりかかっているようだ。
残された時間はもう少ない。


魔獣「それじゃ、一足先にいっているわね」

魔獣「もうここに精神を留めておく意味もなくなっちゃったし」


虚ろな表情のまどかを横目で一瞥して、ほむらへと視線を戻す。


魔獣「それじゃあね、暁美ほむら」

魔獣「これからやって来る過去でまた相見えるその時まで、あなたとはしばらくお別れね」

魔獣「もう離れられはしない、あなたの望んだ永遠の先で『私達』は待っているわ。何時迄も……」


言い終えると魔獣は大仰に両手を拡げ、その輪郭が背景の闇へと溶け込むように消えていく。
癇に障る笑い声を残しながら。


ほむら「……ええ、分かっているわ」


自分に言い聞かせるようにほむらは呟き、天を仰ぐ。

天蓋の破片はもう殆ど崩れ落ち、最後の一つを残すのみとなっていた。
先程の魔獣と精神を同じくするまどかの人間としての意識も、もう間も無く失われるだろう。


    そうなれば、まどかとは―――

 
 
 

まどか「……そっか」

まどか「そう……なんだ……」


まどかの震えた声がほむらの思考に割り込む。


まどか「記憶の無いままほむらちゃんに出会ったのも、願ったことさえも……」

まどか「もうこうなることは最初から……全部……」


力なくうなだれたまどかの口から漏れる声はとても弱々しく。


まどか「これが、ほむらちゃんの望み……なんだね」


届く言葉は涙で湿り、語尾がかすれてしまっている。


ほむら「……」


沈黙。


まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」


名を呼ばれ、逸らしていた視線をまどかへと向ける。


まどか「さっき……ほむらちゃんは言ってたよね……」

まどか「『信じて』……って、そう言ってたよね……?」

ほむら「……ええ」


やや間をおいて返った、ほむらのそっけない返事。


まどか「……無理だよ」

まどか「あんな哀しそうな顔で言われても、信じることなんてできないよ……」

ほむら「……」


ほむらはまどかの信頼を裏切ってしまったのだ。信用は既に奈落の底へと落ちている。


ほむら(……知ってしまったのだから、当然ね)


この後まどかに何を言われようと、どのような罵声を浴びせられようとも言い返す資格などは無い。
それだけのことをしてしまったのだから、と。
そう思ったほむらは、それを受け入れ耐えるべく、目を瞑ってまどかの次の言葉をじっと待つ。

 
 
 

まどか「……ほむらちゃんのね、夢の中で見たの」


まどかが世界を滅ぼしてしまう前に魔獣によって見せられた、ほむらの過去とその歩み。
願う決心へと至ったほむらの記憶。


まどか「ほむらちゃんが何度も強い魔女に立ち向かって、ボロボロになって、心も身体も傷だらけになりながら……」

まどか「それでも諦めたりしないで私を助ける為にって、ずっと戦い続けて……」

ほむら「……」


ほむらの頭の中で幾つもの繰り返してきた日々が甦る。


鹿目まどかとの出会いと憂鬱な学校生活。


それを吹き飛ばした魔女を仕留めるまどかの得意げな横顔。


絶望を前にして、友達を助けられたことが自慢でありだから魔法少女になって良かったのだと、制止を振り切って
笑顔でさよならを言い遺し死地へと赴く彼女の後ろ姿。


―――救いたい、そして助けたい。

純粋に叶えたかった、ただそれだけの願い。


心と秘めた想いと繰り返す時間の中で徐々にすれ違う二人の心。


決戦前夜の告白に驚くまどかの表情。


魔女との死闘の果てにようやく手に入れた束の間の日常がもたらす、もうみることは出来ないと思っていたまどかの純真無垢な笑顔。


……そして、最初からそうすると決めていた別れの瞬間。


ほむら(……)


彼女と共に歩んだ色褪せることなない数々の思い出がほむらの脳裏を熱く焦がす。


ほむら(そうだ、私は―――)


    貴女が居ないそんな世界に耐えられなかった

  貴女の影を追ってしまった

忘れることが出来なかった―――

 
 
 

まどか「辛かったよね……きっとわたしが想像できないくらいに苦しかったんだよね……」

まどか「わたしだってほむらちゃんの立場にだったらきっと……」

ほむら(……)

まどか「それなのに、ほむらちゃんのこと責められるわけないよ……軽蔑なんてしないよ」

まどか「だから―――」


まどかは小さく頷いてから、ゆっくりとうなだれていた顔を上げると。


まどか「いいよ。ほむらちゃんなら」


涙でくしゃくしゃになった顔を無理やり笑顔にして、柔らかにほむらへと微笑みかける。


ほむら「あ……」


まどかの言葉が、ほむらの心の最も奥深い部分を明るく照らす。
常に罪悪感に支配され、暗く淀んでいた場所に一筋の光が降り注ぐ。

その言葉は、ほむらに与えられるまどかによる―――


     ―――赦し


ほむら「……っ」


胸が詰まって、思わず溢れそうになった感情を内へと抑え込む。


ほむら「ごめんなさい……まどか……」


ほむらの言葉にまどかは静かに首を振る。


まどか「ううん……わたしの方こそ、ごめんね」

まどか「今までほむらちゃんを一人にしちゃって」

まどか「これからはずっと、ずっとずっと先まで、わたしはほむらちゃんの隣りにいるから」

まどか「何回だって後悔してもいい。何度絶望したって構わない」


優しい声は胸の奥へと染みこむように。


まどか「だって私は信じてないから」

まどか「こんな哀しいまま終わっちゃうなんて、そんなの信じてないから……ね?」


まどかの慈愛に満ちた微笑みとその眼差しが、いくつもの過去のまどかの面影と重なって、懐かしく暖かな感情を奮い呼び起こす。

 
 
 

ほむら(まどか……貴女は……貴女は……っ)


いつだって、いつだってそうだ。
深い絶望に堕とされても、記憶を失くしても、たとえ信じていたものに裏切られようとも。
どんな時だって彼女は自分を信じる『鹿目まどか』であり続ける。

そんなまどかの姿に憧れていた。


ほむら(……憧れていたのに)


    大事に胸に抱えていた、確かに最初にあった気持ちはいつの間にか両手の隙間から零れ落ちて。

    心に唯一、残ったのは―――


ほむら(貴女は変わらないのね……)


まどかの眩し過ぎるその自己犠牲の精神が、ほむらの心にいつも罪悪感を募らせてきた。
強すぎる光は矮小で自己中心的な人格を照らし上げ浮き彫りにし、その足元に一層深い影を落とす。

だからこそ、ほむらは願った。

だからこそ、ほむらは護りたかった。

対等な立場で同じ目線で一人の人間としてまどかに認めてもらいたかった。


ほむら(……いつからか私は変わってしまった)


    今だって出来るなら、出来ることならばまどかを救い出したい。


ほむら(でも、もう……)


    だからこれは

    貴女への贖罪


    そして、弱い自分に決別する為の

    ―――禊ぎ。


ほむら(……ありがとう、まどか)


静寂の中で見つめ合う二つの瞳。
そこに映しだされたそれぞれの決意が交差し、哀しくすれ違う。


ほむら(貴女のその言葉だけで私は救われる)

ほむら(貴女のその想いだけで私は―――)

 
 

ほむらは目を瞑る。
それと同時に眩い光がほむらの全身を包み込む。


まどか「え……!?」


細い薬指に嵌めた指輪が菱形の宝石となって、左手の甲で紫色の輝きを発する。

白い服と紫のスカートの下の黒いタイツ。
魔法少女の姿をしたほむらが収まった光の中から姿を現した。


まどか「え……なんで……?」


もう魔女になるのを静かに待つだけ、そう思っていたまどかは困惑の表情を浮かべる。

そんなまどかを置き去りにして、宙に出現させた黒い弓をほむらは左手でしっかりと掴みとる。


ほむら「……音が、聞こえたのよ」

まどか「……?」

ほむら「私はずっと、先の見えない夢の中で出口が分からずに彷徨い続けていたわ」


眼を伏せて魔獣に眠らされ悪夢を見ていた時のことを思い出す。

あの時、ほむらは確かに聞いた。
聞こえるはずの無い音を。
ありふれた、しかしほむらにとって特別なあの音を。

それは歯車が時を刻む機械仕掛の調べ。

まどかに貰った時計の針が動く音―――。


ほむら「きっと、そんな私に彼女が背中を押してくれたのね……」

ほむら「そのまま『進め』、と」


寂しそうに、何の装飾も施されていない左手首に目を落とす。
着けていたはずのものは何時の間にか無くなってしまっていた。

大切な思い出の断片を失ってしまったことに悲しみを覚えない訳ではない。


ほむら(でも……これで良い)


    全てをここに置いて行くのだから―――


ほむらは深呼吸して目を見開く。

握った弓をゆっくり頭上へと持ち上げ、天上へと向ける。

もう一方の手に持った魔力を練った矢を充てがうと、弓の先から魔力の炎が放出され、大きく揺らめいた。

 
 
 

まどか「―――!」


ほとばしるピンク色の魔力の波動は、まどか自身が一番良く知っているものだった。


まどか(あれは……私の……?)


ほむらの意図の片鱗が見えたような、そんな気がした瞬間―――。


ほむら「―――っ!」


ほむらの足元から伸びた無数の手が、足を掴み身体を這ってまとわり付く。


使い魔「ダメ……」

使い魔「ヤメテ……」

使い魔「マダ……間ニ合ウカラ……」


二人の少女の形をした幾つもの影が、天蓋を見上げるほむらの顔の真横で口々に囁きかける。


まどか「だめっ!ほむらちゃんからっ……あうっ……!?」


使い魔を散らすべく立ち上がろうとしたまどかの足は既に力が入らず、前のめりになって倒れこむ。


まどか「うぅ……」


覆い被さった使い魔で見えなくなったほむらに向かって、倒れながらも手を伸ばす。

その先にみえる黒い塊の中心で巨大な翼が羽ばたいた。


まどか「……!」


身震いするほどの強大な魔力がほむらから放たれ、絡みついた使い魔を一瞬の内に塵芥へとかえる。

ほむらの背中に生えたその翼から舞い散る羽根が、闇の中で幻想的に光を反射させている。


まどか「あ……」
 

その光景に圧倒され、思わず声が漏れる。

 
 
 

ほむら(私の精神の一部もまた、魔獣と同じくしている)

ほむら(そうね……それが私の本心よ)

ほむら(でも、構いはしない……!)


再びほむらは姿勢を直し弓に手をかけると、力いっぱい引き絞り魔力を集中させていく。


ほむら(まだ、足りない……まだ……)


ほむらの周りに浮かぶ粒子の色が急速に濃くなっていく。


ほむら(もっと……もっと、もっと……!)


    想いを込めて、願いを乗せて

    心の奥底に残る、最後の最後のその一滴まで


ほむら(この力を絞り出す……!)


引き絞った矢の先に魔法陣が形成される。

その力はまさに時空を超越しかねないほどの、かつてのまどかの矢と同等の威力を秘めていた。

まどかには感覚でそれが分かった。

そして同時に、ほむらが今しようとしていることも―――。


まどか「ほむらちゃんっ!!」


視界の外でまどかの声が聞こえた。


まどか「わたしっ! ほむらちゃんのこと絶対っ……絶対に……!」

まどか「だからっ、ほむらちゃんもわたしのこと―――」

 
 

 
 
そこから先は聞き取れなかった。

目の前が暗い。全身の感覚が曖昧だ。
五感はもう失われてしまったようだ。

もう空っぽだ。
全部、全部。


    ―――出し切った。


弛緩した右手をふりきって、光速となった矢が放たれる。

全てが崩れ落ちる感覚を、止まってしまいそうなくらいにゆっくりと流れる時の中で確かに感じ取った。


ほむら(これで……もう―――)


輝きを失った瞳が矢が放つ光を乱反射させる。


ほむら(ああ……しまった……)

ほむら(最後まで泣かないって、そう決めてたのにな……)


    結局私は私は強い自分なんかになれなかった

    でもきっと、貴女を守れる私にはなれたんだ


ほむら(ようやくあの時の約束を果たせるよ)

ほむら(ごめんなさい……鹿目さん)

ほむら(遅くなっちゃったね……)


    これでいい、これで……



    これが

    これが私の

    私の本当の―――





    

    
    ―――願い











――――――――――

 
  

 
虚無空間に浮かぶまどかと魔獣の複合体が、苦しそうに体を丸め呻き声を上げている。
両手で抑えるその胸で黒く光るソウルジェムに突如として矢が身体の内側から突き立った。

穿たれた矢に引っぱられるようにして、手をダラリと後方へ投げ出し目を見開きながら仰け反ると、
魔獣は不気味に笑った顔と全身を硬化させ
絶命したかのように、そのまま指一つさえ動かなくなってしまった。

矢の先からほとばしる紫と桃色、淡い光を放つ二つの粒子が、空間の彼方に二重の螺旋を描いて伸びて行く。


QB「鹿目まどかの願いの矢。それが今、魔女となった彼女自身を貫いた」

QB「この瞬間、始まりと終わりを繰り返す閉じた宇宙が完成した。やはり、結果は最悪をもってその終幕を迎えてしまったようだ」


一連の様子を眺めていたキュゥべぇは、予想が的中してなお淡々と無感動に状況を整理する。


QB「やれやれ……こんな辺境の惑星の、それもたかだか二生命体がこれ程までに途方もない事象を引き起こすとはね」

QB「人類の……いや、君たち二人の感情というものを甘く見ていたと言わざるを得ないようだね」


矢の先で、絡まり合っていた二色の光が先端徐々に解れいき、
若葉が芽吹き成長するが如くそれぞれの光は枝分かれして、仄暗い空間の隙間を埋めて行く。


QB「暁美ほむら。愚行とは言え、宇宙の在り方に干渉してみせた君に僕らはある種の敬意すら覚えているよ」

QB「数多の命と宇宙の未来、その多くの犠牲の上に成り立つ次の宇宙は、暁美ほむらと鹿目まどか、たった二人の為だけに用意される世界だ」

QB「ならば長い付き合いだ、他の存在の意識と意味が消失してしまうその前に、僕らが代表して手向けの言葉を送ろうじゃないか」

QB「君達二人の為だけの世界。せめて、その永遠の時の中で二人が幸せであり続けることを願うよ」


混じり合った二色の光が闇を覆い尽くすと、空間全体が魔獣の身体を中心にして収縮していく。

その特異点の中で渦巻く無から強烈な閃光が無限に四散し、空間を押し広げる。

宇宙の外郭が形成へと至る。

全てが滅び、全てが生まれる。

永遠の死と新生。

誰かの想いを果たす為に、新たな世界の幕が、再び開く

 
 

 
 
 
 
 
 
  
それが、二つと無い願いの為の


たった一つの彼女の選択。

  
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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