高垣楓「ハッピーエンド」(18)


楓「……」
http://i.imgur.com/Xo3boBq.jpg
http://i.imgur.com/PglGTZp.jpg

楓「……はぁ」

楓(もう…あと少しで……お別れ)

楓(今まで数え切れないくらい何度も、…いつでもそうだけど……やっぱり、このときはつらいな……なれないな)

楓「…………はぁー…」

P「……」

楓「……あのっ」

楓「や、やっぱり、最後の一口はプロデューサーが飲みませんか…?」

P「いやだから俺は車があるんですって」

楓「いじわるー」



・短い


楓「…うぅ。…でもやっぱり…おいしいお酒の、最後の一口って……自分では飲み切れないんです……」

P「飲み切らずに残しておくとか」

楓「味がおちてしまいますし…」

P「…、じゃあ俺が持って帰って飲みますよ」

楓「それなら私飲みたいです」

P「怒っていいですか」グニ

楓「だめれふ」アウー



むにむに


P「飲んでって頼んだのはどの口ですか」グイ

楓「いふぁいれふ…」グニー…

楓「…ふふ。れもおふぁけをのむろもこのくひれふのれ……」

P「それは屁理屈です」グニニ

楓「あうあー」ぐににー・・



ぱっ


楓「はう」

P「じゃあ、また明日同じお酒を買えばいいんじゃないですか?」

楓「うー…」ひりひり・・

楓「…それはまあ…そうですけど…」

P「はい」


楓「うぐ…」

楓「じ、じゃあ……飲んでしまいますね」

P「はい。どうぞ」

楓「は、はい」

楓「……えい」クイ

楓「…んく――ぷはっ…」

楓「……」…コクン

楓「んっ…。ふふっ…おいしい……」ニコ

P(…おいしそうに飲むなぁ…)



からっ


楓「……終わっちゃった…」シュン…

P(子どもみたいだ…)クス


パタン


P「よし。じゃあ帰りましょうか。送ります」

楓「あ…ありがとうございます」

楓「……あの…飲み終わるまで待っていてくれたんですか?」

P「あとちょっとでしたから」

楓「わぁ…」

楓「あ、ありがとうございます」ペコ

P「いえいえ」


P「すぐ準備します。のんびりしていてください」

楓「はい」

楓「……」キュ

楓「……ちゃんと蓋をして…箱にもどして」ゴソ

楓「ごちそうさまでした」ペコ

楓「…ふぅっ…おいしかったなぁ……」ポワワ

楓「…えへへ」ニヘニヘ

楓「――……あ…そうだ。」ゴソゴソ


P「お待たせしました」

楓「いえいえ。のんびりしていました」コロコロ

P「そうでしたか」クス

楓「はい」ニコ

P「はい。…それじゃあ――…、?」

P「…楓さん、それ…なんですか?」

楓「あ、これですか?…ふふー」

ごと

楓「…えっと、おいしかったなーという想いを込めて、ハッピーエンドって。書いてみたんです」ニコ

P(空き瓶にサインか…な、なんか勿体ない…とか思っちゃうな)

楓「ふふっ。なんだかボトルキープみたいですよね…」コロコロ…

P(発想はおっさんだな)


楓「このおさけとはさようならです…」

P(…おおげさな…というか)

P(酒にお別れを言うのもそれをハッピーエンドと表現するのも…な、なんかおっさんくさいのかセンスがあるのか分からん…)

楓「…」フフ

楓「…でもハッピーエンドって、…なんだか不思議な言い方ですよね…」

P「え?」

楓「だって…どうせ終わってしまうなら」

楓「幸せも不幸せも、なにも」

楓「ないとは思いませんか?」

P「…」

P「そう、ですかね」

楓「…」ニコ

楓「なんとなく、です。でも、私はそんな風に思います」

P「…そうですか」

楓「はい」


楓「ずっと変わらずに続いていることが、ほっとできて、すごく幸せで」

楓「…お酒も、なくならないでいてくれたら、私はそれが一番嬉しかったりー……なんて。ふふっ」

P「ははは」

P「…そうですね。そうかもしれません」

楓「はい」ニコ


P「でも」

P「それならよかったんですか?ハッピーエンドって…終わりだって、自分で書いてしまって」

楓「…」ニコ

楓「…また新しく、買いますから。そうやって続きます。だから」

楓「…明日もまた、私とお酒に、付き合って頂けますか?」

P「…ええもちろん」

P「……俺が楓さんの横で飲んでいるのは、きっとコーヒーですが」

楓「そうですね」クスクス


楓「でも…それでもいいので」

楓「明日の私も、よろしくお願いします」ペコ

P「いえいえ。こちらこそ」

楓「はい」ニコ


楓「…??」

楓「こちらこそ…ですか?」

P「はい」

P「俺こそ遅くまで仕事に付き合ってもらえて、ありがたいです。だれかがいるだけで、すごく、気が楽だから」

楓「…」

楓「…ふふふ。…そうですかー」

楓「じゃあ、変わりませんね。私も、プロデューサーも」

P「はい。変わりませんね」

楓「はい。ですね。…ふふふ」


楓「えへへ…」

楓「では…帰りましょう。運転よろしくお願いします」ペコ

P「はい。お願いされます」

P「…そうだ。どうせなら帰りがけ寄りましょうか。酒屋さん」

楓「え……い、いいんですか?」

P「はい。俺も晩酌用になにか買って帰ります」

楓「おー…」

楓「い、いいですね。楽しそうです。ぜひぜひ」コクコク

P「はい」

楓「はい。…ふふ。……ありがとうございます」

P「いえ」

楓「れっつごーです」フンフン

P「はい」クス

P「…。楓さん」

楓「?はい」

P「このまま変わらないハッピーエンドが続くといいですね」

楓「……」

楓「…ふふ」…ニコ

楓「はい。あ、でもべつにプロデューサーも一緒に飲むようになるって、それは変わってもいいかな…」

P「飲みません」

楓「けちです」プクー

P「はいはい。一緒に飲むのはまた今度。ちゃんと席座ってください」ツン

楓「ぷひゅ」プスー

楓「…えへへ。はーい」ニコニコ

楓「……。ハッピーエンドなのさー…♪」


・・・・おしまい

以上です。ありがとうございました


andymoriの『ハッピーエンド』という曲がなんとなくモチーフにはなっていますが、
曲の解釈は人それぞれ千差万別だと思います。ご了承くだせー

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom