雪歩「わ、私にチョコ? 真美ちゃんが?」 (33)

真美「いらないなら別にいいよ、持って帰って亜美と食べるし」

雪歩「いらないなんてそんな、とんでもないよ……私とっても嬉しいよ!」

真美「……それならいいんだけどさ」

雪歩「で、でも、どうして私に?」

真美「と、友チョコってやつだよ! 別に深い意味があるわけじゃ……」

雪歩「……ふふっ」

真美「なっ、なにさぁ」

雪歩「なんでもないよ、ありがとう真美ちゃん!」

真美「……うん!」

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真美「じゃあじゃあ、さっそく食べてみてよ、ほらほら!」

雪歩「うん、それじゃ開けちゃうね……」

雪歩(うわぁ手作り感満載だ、きっと頑張って作ったんだろうなあ)

真美「……」ドキドキ

雪歩(トッピングもカラフルで見た目も可愛い、けど……)

雪歩(……真美ちゃんのことだから、中にヘンな物が入ってる可能性とか)

真美「……ねえゆきぴょん……食べないの?」

雪歩「!!」ドキッ

雪歩(その顔は反則だよ真美ちゃん……これは食べないわけにはいかないよ……)

雪歩(よし……ここは真美ちゃんを信じて、覚悟を決めよう……!)

雪歩「い、いただきますぅ!」パクッ

真美「……」

雪歩「……甘い」

真美「そりゃ、チョコだかんねっ」

雪歩「よかったぁ、普通のチョコだった……」

真美「むうう、失礼だなぁ! いくら真美でも、ゆきぴょんのチョコにヘンな物入れるわけないっしょー!」

雪歩「それって、私のじゃなかったら入れるかもしれないってことだよね……?」

真美「そこはまぁ、お楽しみっていうか」

雪歩「えぇぇ……」

真美「ねえねえゆきぴょん、美味しい?」

雪歩「うん、とっても美味しいよ」

真美「えへへ! 苦労して作ったカイがあるなぁ~!」

雪歩「真美ちゃん、これ全部一人で作ったの?」

真美「ううん、一応やよいっちにも協力してもらって……」

雪歩「そうなんだ、やよいちゃんと一緒なら安心だね」

真美「でもでも、けっこう大変だったんだよ! 一回チョコ焦がしちゃったりしてさ~」

雪歩「あらら……」

真美「あれってお湯で暖めないといけないんだよね、全然知らなかったよ……」

雪歩「……とにかく、ちゃんと出来てよかったね」

真美「うんうん! それでね、やよいっちはいおりんにあげるんだって!」

雪歩「そっかぁ、あの二人は仲良しだもんね」

真美「そだね!」

雪歩「ねえ、真美ちゃんはどうして私にくれたの?」

真美「だ、だからぁ、特に理由は……」

雪歩「……?」

真美「……うぅぅ」

真美「ゆきぴょんったら、いじわるだよ……」

雪歩「えっ、もしかして聞いちゃダメだった?」

真美「ダメっていうか、ゆきぴょんがいいならいいんだけどさ……」

雪歩「う、うん……?」

真美「……」

雪歩「……」

真美「……す、」

雪歩「す?」

真美「……やっぱなんでもない!」

雪歩「えぇーっ!? そんな、途中でやめられると余計に気になっちゃうよ……」

真美「べ、別になんでもいいっしょ!」

雪歩「でも、真美ちゃんが私のためにチョコを作ってくれるなんて珍しいよね」

真美「た、たまたまそういう気分になっただけだし……」

雪歩「えー、そうかな?」

真美「そ、そうだよ!」

雪歩「真美ちゃん、もしかして何か隠してたり……」

真美「してないー! もうこの話はいいっしょ、そのへんに置いといてよ!」

雪歩「うぅーん……気になるなぁ……」

真美「ふう……ところでゆきぴょーん?」

雪歩「な、なにかな?」

真美「真美はチョコをあげたわけだけどー……」チラッ

雪歩「はうっ……ご、ごめんね……事務所のみんなの分は用意したけど、個別には用意してなくて」

真美「うはぁー! ゆーきぴょんの真美への愛はそんなものだったのかぁー!」

雪歩「うぅぅぅ……真美ちゃんがわざわざ私のためにチョコを作ってくれるなんて思わなくって……」

真美「あーあー、ショックだなぁー、真美はこーんなにゆきぴょんのことを思ってるのになー」

雪歩「ごめんね……私って、ホントにダメダメで……」

雪歩「私ってどうしていつもこうなんだろう……本当にこのまま生きてていい人間なのかなぁ……ぐすっ」

真美「う、うあうあー! じょ、冗談だから! そんなに本気で凹まないでよぉ!」

雪歩「いいんだよぉ、どうせ私なんかチョコさえまともに用意できないへっぽこダメダメアイドルなんだから……」

真美「今回は真美が勝手に用意してきただけだから、ゆきぴょんは知らなくてもしょうがないって!」

雪歩「で、でも、なんにもお返しとかできなくて……」

真美「そんなの別にいいってば……さっきのは冗談だって」

雪歩「ごめんね……」

真美「あ、謝んないでよう……ゆきぴょんはなんにも悪くないんだしさ……」

雪歩「う、うん、ごめっ……あっ……」

真美「……」

真美(はあああ、可愛いなあもう……)

雪歩「……真美ちゃん?」

真美「ふぇ!? あ、ご、ごめん」

雪歩「私、どうしたらいいのかなぁ……このままじゃ本当にダメ人間として生涯を終えちゃいそうだよ……」

真美「そ、そんなシンコクに考えなくていいんじゃないかな」

雪歩「はぁ……ねえ、真美ちゃんは何をしてもらったら嬉しい?」

真美「何をしてもらったら……うーん……」

真美(チューとか……だ、ダメに決まってるよね、なに考えてんだろ)フルフル

雪歩「……?」

雪歩「……ああっ! そうだ、真美ちゃん」

真美「な、なに?」

雪歩「私ね、実は最近ポエムにハマってるんだけど……」

真美「う、うん」

雪歩「ポエムでお返しの気持ちを伝える、って……どうかな?」

真美「……」

真美(ぽ、ポエム……だと……? 予想外の流れだよぉ……)

雪歩「いいかな? いいよね、きっと真美ちゃんも気に入ってくれると思うし!」

真美「あ、うん……まあ、ゆきぴょんがそれで満足するなら」

雪歩「ちょっとだけ時間ちょうだいね、すぐ書き上げるから……」

真美(さっきまで凹みまくってたのに、すっかりノリノリだ……)

おはようございます
ダラダラ投下していきます

雪歩「できましたあっ!」

真美(ゆきぴょんは可愛いなあ)

雪歩「ねえ真美ちゃん、さっそく発表してもいいかな?」ウズウズ

真美「……やけにノリノリだね、ゆきぴょん」

雪歩「えへへ……思った以上に筆が乗ってくれて」

真美「そ、そっか」

雪歩「できればブログに上げたいくらいのクオリティなんだけど、真美ちゃんに捧げるポエムだからそれはできないんだよねぇ」

真美「……」

雪歩「さて、それじゃあ……読み上げるね」

真美「う、うん……」

雪歩「んんっ、おほんっ……タイトルは『チョコレート』」

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大切な友だちにもらったチョコレート

チョコレートって甘いなあ

甘すぎて歯が溶けちゃいそう

溶けちゃったら全部入れ歯にしよう

この年で総入れ歯なんて

うわっ……私の歯、脆すぎ……?

でもね 脆くて溶けちゃいそうなのは歯だけじゃないよ

それは私の心

でも心臓が溶けたら死んじゃいそうだから やっぱりそれはナシで

入れ歯を取ったらきっとフガフガ言っちゃう

そんな私だけれど これからもよろしくお願いします

.。☆・。・:*:`。☆・。・:*:`.。☆・。・:*:`。☆・。・:*:`。☆

雪歩「……ど、どうかな」

真美「ど、どうって……なにが?」

雪歩「さっきのポエム、けっこう自信作なんだけど!」

真美「い、今のがポエムなんだ……どこからツッコんでいいのかわかんないんだけど……」

雪歩「へ?」

真美「あのさ、なんで真美のチョコが毒物みたいな扱いになってるの?」

雪歩「そこはね、高度な比喩っていう感じなんだけど……真美ちゃんにはちょっと難しかったかな?」

真美「……もういいや、そういうことにしといてあげよう」

真美「そもそも、どっちかっていうと歯がメインだよねこれ……」

雪歩「……も、もしかして伝わらなかったかな、私の気持ち」

真美「とりあえず、ゆきぴょんは歯医者に行くべきだって思うよ」

雪歩「うぅぅ……ポエムでも気持ちを伝えられないなんて、やっぱり私ってダメダメですぅ……」

雪歩「こんな私は、穴掘って―――



真美「う、埋まっちゃダメだって、また律っちゃんに怒られるっしょー! はいスコップ没収!」

雪歩「うぇぇ、埋まらせてよお! むしろ真美ちゃんが埋めて、生き埋めにして!」

真美「そんなことしたら真美が東京湾に沈められちゃうよー! お願いだから落ち着いて!」

真美「……落ち着いた?」

雪歩「う、うん」

真美「ゆきぴょんって意外とすぐ暴走するよね……」

雪歩「ご、ごめんね、いつも迷惑かけちゃって……」

真美「いいっていいって! 真美、ゆきぴょんのそういうとこもけっこう好きだし!」

雪歩「……ありがとう真美ちゃん」

真美「えへへー」

雪歩「でも私、ポエムもダメならもう何もできることがないよ……」

真美「……そんなことないっしょ!」

雪歩「えっ?」

真美「あのね……ゆきぴょんは、真美のそばに居てくれるだけでいいんだよ」

真美「ゆきぴょんと一緒にいるとなんか心が落ち着くし、それだけでちょっと安心な気分になるんだ」

真美「無言でいる時間だって、ゆきぴょんと一緒なら楽しいし!」

真美「だから……真美はゆきぴょんと一緒にいられるだけで十分嬉しいんだよ!」

雪歩「……真美ちゃん」

真美(……これってよく考えたら告白っぽいよね)

雪歩「……ありがとう、なんか気持ちが楽になったかも」

真美「えっへへ、よかった!」

真美「そんじゃ、真美はそろそろ帰るね」

雪歩「えっ、もう帰っちゃうの?」

真美「うん……ゆきぴょんにチョコ渡しに来ただけだし」

雪歩「そっか……」

真美「このあと確かまこちんと二人きりでレッスンだよね? ゆきぴょん的には、真美のチョコよりそっちのがお楽しみですかな~?」

雪歩「も、もお~! からかわないでよ真美ちゃん!」

真美「んっふっふ~、じゃあまたねゆきぴょん!」

雪歩「あっ……ちょ、ちょっと待って」

真美「ん?」

雪歩「真美ちゃん、私にチョコをくれて本当にありがとうね」

雪歩「私、真ちゃんもそうだけど、真美ちゃんのこともすごく大切なお友達だと思ってるから」

雪歩「……だから、また今度ちゃんとしたお返しをするね」

真美「……ゆきぴょん」

雪歩「えへへっ」

真美「あああもう可愛いなあ!!」

雪歩「……へええええ!?」

真美「う、うあああ声に出ちゃった! じゃ、じゃあねゆきぴょん!!」

雪歩「ま、真美ちゃん!? い、今のってどういう……行っちゃった」

―――――
後日

やよい「あっ真美! 雪歩さんの反応、どうだった?」

真美「んっふっふー、超いい感じだったよ! いおりんのほうは?」

やよい「伊織ちゃんも、すっごく喜んでくれたよ!」

真美「大成功だね!」

やよい「えへへ~! 伊織ちゃんったら可愛いんだよ、チョコをあーんってしてあげたらすごく恥ずかしがって」

真美「んあー、いいなあ! それ真美もやればよかったぁー」

やよい「真美の場合、雪歩さんにあーんってしてもらってもいいんじゃない?」

真美「やよいっち、おぬし天才か……! 今度ゼッタイそれやってもらうもんね!」



春香「……なにあれ?」

亜美「おノロケ大会だってさ」ピコピコ

ダラダラやってきましたがお付き合いありがとう!!

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