P「事務所にヤツが出た」(92)

平和な日常空間に突如として現れる脅威……

小鳥「プロデューサーさん、お茶入れましょうか?」

P「お、ありがとうございます。ちょうどのどが渇いてたんですよ」

その漆黒の躯体に人は太古から苦しめられてきたという……

小鳥「千早ちゃんも飲む?」

千早「あ、はい、いただきます」

それは まぎれもなく――

千早「この曲の譜面はどれだったかしら……」ガサッ

カササッ

千早「?」

G「Good morning」

千早「っっっっ」

「いやあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」ドガシャーーン

P「!!?な、なななんだどうした千早!?」キンキン

千早「いいいやいやいやいやいやいや!ぷ、ぷろ、ごっ、あれっ」

小鳥「ど、どうしたの千早ちゃ……」

カサカサカサ

G「Hey」

小鳥「」

小鳥「きゃあああああああああああああ!!!!!」



千早「いやあああ!こ、こないでこないで!」ギュッ

P「ちょ、千早抱きつくな!何が出たんだ!?」

小鳥「ごごごごごゴキブリ!ゴキブリですよぉ!!」

P「ゴキブリぃ?」

G「Hello」

P「うお、ほんとにいる!」

千早「プロデューサー助けて!」ギュウウウ

P「お、おちつけ千早」

ガチャ

高木「な、何の騒ぎかねキミィ!?」

P「あ、社長!足元にゴキブリが」

高木「え」

G「Yes sir」

高木「」フラッ……ドサッ!

P「しゃ、社長!?」

小鳥「プロデューサーさん早く何とかしてくださいよ!」ギャーギャー

P「と、とりあえず新聞紙か何か……あの千早、ちょっと離れて……」

千早「いいいやです!無理です!」

P「あ、あのなぁ……あれ?」

小鳥「は、はやくどうにかしてくださいよぉ!」

P「ど、どこいったんだ?ゴキブリがいないんだが」

千早「」

小鳥「」

高木「」キュウ

しーん……

P「み、見失った……」

小鳥「どうしよう、う、うごけない……」

千早「……」ガタガタガタ

P「あの、千早さんそろそろレッスンの時間なんですが」

千早「そ、そんな……いやです!いつ襲われるかわからない空間を歩けっていうんですか!?」

P「んなこといわれても……」

千早「いやです無理ですいきたくありません!」

P「じゃ、じゃあ事務所の外までおんぶしていってやるから!それなら大丈夫だろ?」

千早「う……で、でもそんなの、恥ずかしっ……」

P「このままレッスンに遅れるわけにもいかないだろ。ほらおぶされ」

千早「うう……お、音無さんは見ないでくださいっ!」

小鳥「わ、わかりました……ってあれ?私はどうなるんです?」

P「すぐ戻りますから、ちょっと待っててください」

小鳥「そんな!いたいけな乙女を戦場に残していくんですか!」

P「別に食われるわけじゃないでしょう……よっと」オンブ

千早「うう……」ギュウ

小鳥「(ああダメだわ、せっかくの貴重な甘えんぼちーちゃんなのに今は録画する余裕もないッ……!)



P「……千早、ちゃんとご飯食べてるか?」

千早「た、食べてます!なんですかいきなり!」

P「いやずいぶん軽いと思って……いたたた頭を叩くな!」

千早「早くしてください!恥ずかしいんですから!」

P「はいはい……じゃあ小鳥さん、社長の処理お願いしますね」

小鳥「え?」

スタスタ バタン……

小鳥「……」

ソローリソローリ……

ダダダッ ガバッ!

小鳥「社長テメェ起きろこらああああぁぁ!!」

高木「はっ!?お、音無くん、私は一体……」

小鳥「ゴキブリが出たんですよ!男の人なんですから何とかしてくださいよ!」

高木「おおおお音無くん首を揺らすのはやめたまえ!……しかし、ゴキブリか」

小鳥「そうですよ悪魔ですよ!やっつけてくださいよ!」

高木「実は、幼少のころ顔面に飛びつかれて以来トラウマになっていてね……見ただけでもご覧のありさまなのだよ」

小鳥「が、顔面に……」ゾゾゾゾゾ

高木「す、すまんが私ではどうにもできん!退散させてもらうよ!」ダッシュ!

小鳥「ああ!社長テメェこの置物!」

しーん……

小鳥「……音が無いのが怖いわ」

小鳥「……音無だけに」

しーん……

小鳥「なんて言ってる場合じゃないわよ!どうしたらいいのよぉ……」ビクビク

ガチャ

響「はいさーい!今日も元気n」
小鳥「響ちゃあああああああん!!」ガバッ

響「うわっなにさぴよ子!発情期か?」

小鳥「違うわよ!さっき事務所にゴキブリが出たのよ!」

響「ゴ、ゴキブリ?」

小鳥「プロデューサーさんは私を置いて出て行っちゃうし、社長はクソの役にも立たないの!助けて!」

響「うーん……まぁ沖縄ではしょっちゅうゴキブリ出てたから慣れてはいるけど、自分だって苦手なものは苦手だぞ」

小鳥「そんなこといわないで!どこにいるかわからないのよ!」

ガチャ

伊織「おはよう……なにしてんのアンタたち」

響「あ、伊織」

伊織「朝っぱらから元気ねぇ。また小鳥がなんかやらかしたの?」スタスタ

小鳥「ああ伊織ちゃんそっちはダメ!」

伊織「?コーヒーでもこぼしたの?別に気にしないわよ」

響「いやそうじゃなくてさ」

伊織「なによ、何さっきからじっとしてるの」

カサカサ

響「あ、壁に」

伊織「え?」

G「Hai sai」

バッ ピト

伊織「」

響「い、伊織のオデコに」

G「Good place」

小鳥「とまった……」

伊織「」キュウ ドサッ

響「うぎゃーー!!伊織が死んじゃったぞ!」

小鳥「ぎゃあああ!!ていうかこっちきたこっちきた!!」

カサカサカサ

響「そ、そうだ!ハム蔵、あいつをやっつけろ!」

ハム蔵「ジュイ!」ピョン

シュタタタタタ カサカサカサ

響「うぎゃー違う違うこっち来てどうするんさー!」

小鳥「ひ、ひとまず外に逃げるのよ!」

ダダダダ バタン!!

響「はぁはぁ……しまった、伊織を置いてきたままだぞ……」

小鳥「な、なんてことなの……」

P「――やれやれ、千早があんなに弱るの初めて見たな……」

響「あっ、プロデューサー!」

P「ん、響もきてたのか。ていうかなんで小鳥さんまで外にいるんです?」

小鳥「じ、実は伊織ちゃんが……」

P「……で、ハム蔵と一緒に置いてきたと」

小鳥「仕方ないじゃないですか!」

P「まぁもう大丈夫です。さっき殺虫剤買ってきましたから」

小鳥「遅いですよ!早く抹殺してください!」

P「はいはい」ガチャ

響「うーん殺虫剤かぁ」

P「さて……む、でたな」

G「Escaping」

P「ハム蔵、危険だから離れてろ」

ハム蔵「ジュイ!」サッ

カサカサ

P「おのれ壁際に逃げたか……だがこれで終わりだ」カチャ!

響「あの、殺虫剤はあんまりオススメしないぞ」

小鳥「え、どうして?」

響「当たれば確かに一撃で倒せるんだけど、ゴキブリはものすごく素早いから……」

P「それっ!」

プシューッ!!

G「Nonsense」バッ

P「え」

ピト


響「壁に張り付いたヤツだと、飛んで逃げることが……あ」

P「」

G「Not good」

P「がががががががが」キュウ ドサッ

小鳥「プロデューサーさぁーーーん!!!」

響「い、言わんこっちゃないぞ!」

G「I'm a god」

カサカサ

響「うぎゃー!ぴよ子なんか武器ないのかー!」ドタバタ

小鳥「し、新聞紙くらいしかないわよ!」

響「早く渡して!おらぁーなんくるないさー!たっくるすぞぉー!」バシバシ

G「Too late」

小鳥「ひええええこっちきたぴよおおおおお!」

ドタバタ ギエータスケテピヨー! 

ガチャ

やよい「おっはようございまーす!」

響「あっ!やよい危ない!」

小鳥「ゴキブリがそっちにいいい!」

やよい「え?」

G「Too young」

カサカサカサ



やよい「えいっ!」 グシャ!



響「……え」

小鳥「」

響「へ、平然と足で踏みつぶしたぞ……」

やよい「うー、やっぱりお掃除してなかったからかなぁ……小鳥さん、ビニール袋ありますかぁ?」

小鳥「へ?えええあるわよたっぷりと!」

ガサガサ ギュッ

やよい「最近忙しかったからなぁ……すみませんお掃除サボっちゃって」

小鳥「そ、そんなのいいのよ!それよりやよいちゃん……」

響「へ、平気なのか?ゴキブリ……」

やよい「あ、おうちに出たときは素手でつかんで逃げしてあげるんですけど……たまに噛みつかれたりするから、靴でやっつけた方がいいかなーって」

小鳥「な、なんておそろしい子……!」

やよい「でもあんまりむやみに殺したらゴキブリもかわいそうだから……できるだけお掃除はしっかりやってたんですけど……うー」

小鳥「そ、そうね……最近お菓子のカスとかきちんと掃除してなかったから」

やよい「ゴキブリは一匹でたら何百匹もそこに住みついちゃうんです。だから事務所はみんなできれいに使いましょーね!」

響「やよいはすごいなー。まるであんまーみたいだぞ!」

やよい「えへへ、そうですかぁ?……あれ?なんでプロデューサーさんと伊織ちゃんが床で寝てるんですか?」

小鳥「あはは……ちょっといろいろあったのよ~」



――その後、765プロには『事務所は清潔に使うこと』という張り紙があちこちに貼られた。
被害にあったアイドル(と一名)は事件再発を防ぐために全力で衛生活動を行ったという。

黒い悪魔の襲来はそれ以降止んだ、かのように見えたが……

後日

真美「おお、この新発売のうめぇ棒二郎ラーメン風はなかなかですな!」

亜美「こっちのポテチトップ豚骨味もチョーイケるよ→!」

美希「Zzz……」

貴音「バリボリバリボリ」

真美「お姫ちんは食べすぎっしょー……」

律子「ちょっとあんたたち、食べかすはきちんと掃除してる?」

亜美「してるしてる→」

貴音「バリボリ」

律子「ほんとでしょうね……ちゃんと綺麗にしないと千早に怒られるわよ?」

真美「あー千早お姉ちゃんめっちゃゴキブリ怖がってたんだよねー」

亜美「ちょっと見てみたかったかも!」

律子「馬鹿なこと言わないの。ほら、アンタたちみんなもうすぐ仕事じゃないの?」

真美「おおうそうだった!亜美隊員!」

亜美「がってん真美隊員!」

亜美真美「「いってきまーす!」」

律子「ああっ!ちゃんと掃除していきなさいって言ったでしょー!!」

真美「後でやるからモウマンターイ!!」

貴音「バリボリ!バリボリ!」

律子「ちょ、ちょっと貴音まで!まちなさーい!」バタバタ……

美希「あふぅ……なんだかうるさいの。目がさめちゃったの……」

カサカサ……

美希「ほぇ?机に何か……」

G「I'm back baby」

美希「」



「いやああああああなのおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


ふと、トイレに入ったとき。

ふと、キッチンに立ったとき。

ゴキブリはいつもあなたのそばに……

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