まどか「さやかちゃんが男の人と歩いていた?」 (91)

~学校~

恭介(腕も動くようになったし、足のけがも完治した)

恭介(入院中は毎日のように、さやかにお見舞いにきてもらったな)

恭介(……でも最近、さやか学校が終わるとどこかに行っちゃうんだよな。
結局、ちゃんとお礼も言えてないままだ。今日も姿が見えないし)

恭介「ねえ、志筑さん。最近さやか、何か変わったことでもあった?」

仁美「あの、言いにくいんですが……最近、さやかさん、放課後、男の人と一緒に歩いているらしいんですの」

恭介「えっ」

……

まどか「あの、仁美ちゃん。さっき上条君と話しているの、たまたま聞こえちゃったんだけど。
さやかちゃんが男の人と歩いていたっていうのは本当なの?」

仁美「私も実際にこの目で見たわけではないんです。でもそういう噂を耳にしたのは事実なんですの。
それに、最近さやかさん、学校が終わるとどこかへ行ってしまいますし」

まどか「……その噂のこと、もう少し詳しく聞かせてくれないかな。その男の人はどんな感じの人なの?」

仁美「何でも、グリーンのパーカーを羽織っているそうです。
髪は赤くて、ロングヘアーで後ろで縛ってる、ちょっと不良っぽい感じの人みたいなんです。
実際、繁華街とかゲームセンターで一緒にいるのを目撃した例もあるとか、
さやかさんと一緒に夜の街に消えていくのを見たとか」

まどか(?……何だか、どこかで聞いたような特徴だけど?)

まどか「それで、上条君はどうしたの?」

仁美「……それが、その話を聞いたら、急に真剣な顔になって、走って行ってしまったんです。
私、余計なことを言ってしまったんでしょうか」

まどか「そうだったんだ」

~繁華街~

恭介(歩き回ってみたけど、見つからないな)

恭介(考えてみれば、何で僕はこんなに必死になってさやかを探しているんだろう?
さやかは別に僕の恋人でも何でもないのに。

……でも、さやかが他の男と歩いているって聞いたら、何だかいてもたってもいられなくなって)

恭介(あれ、あそこを歩いているのは……さやか? 隣に誰かいる?)

さやか「さーて、今日もパトロールと行きますか」

杏子「今度はちゃんと、戦う時に周りを見ろよ? 
正面から突っ込んで、剣振り回してたら、敵に囲まれるんだから、敵の位置は常に確認して動くんだ。いいな?」

さやか「わかってるって! もう、そんなに何度も言わなくとも」

杏子「お前が、戦い方教えてほしいって言ってきたから、アドバイスしてやってるんだろうが。全く」

……

恭介(あいつか? 噂に聞いたさやかと最近一緒にいる奴は!)

恭介(ここからだと、後ろ姿しか見えないけど。でも志筑さんから聞いた特徴に一致している……)

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

さやか「……あれ? 杏子! この反応は!」

杏子「ああ、魔女だ。近いな。この路地を入ったところだな!」タタッ

さやか「やっぱり! 結界があった!」

杏子「よし、突入するぞ!」

……

恭介「あれっ。確かにここの路地に入ったはずなのに、影も形もない。二人ともどこに行ったんだ?」

数時間後

さやか「……どうにか魔女を倒せたわね。ねえ、グリーフシード、本当にあたしがもらっちゃっていいの?」

杏子「ま、今日のさやかは結構うまく戦えてたからな。あたしのフォローもほとんどいらなかったし。
お前のものにすればいいさ」

さやか「へへ、サンキュー。じゃあ、代わりにハンバーガーでもおごるよ」

杏子「お、そりゃ、ありがたいな! じゃあ、早速行こうぜ」

……

さやか「うわあ、すごく混んでる。満席みたいだね」

杏子「それじゃ、あたしのねぐらで一緒に食べないか?
あそこなら人目を気にしないで何時間でもだべることもできるし」

さやか「……あんたのねぐらって、町はずれのホテルだっけ。
ま、他に場所も思いつかないし。そうだね、そうしようか」

~ホテル~

杏子「(ムシャムシャ)うん、美味いわ。このハンバーガー。
……どうした? 黙り込んで? 何か悩んでるのかよ?」

さやか「いや、ほら、前に、恭介と仁美の話、したでしょう」

杏子「ああ、お前が契約で怪我を治してやったのが恭介だっけ?
それでそいつとつきあってるのが、仁美とかいうお前の友達なんだよな」

さやか「うん。まどかから話を聞いたんだけど、
仁美の告白を聞いて、
恭介は「突然の話ですぐには答えだせないから、とりあえず友達から始めよう」って答えたらしいの」

杏子「あいまいな感じだなー。恋人になったんだかなってないんだか」

さやか「……でも、友達から始めるって言ったって、それをきっかけに二人で一緒に帰ったり、出かけたりするのかもしれないし」

杏子「やれやれ、あたしにゃそういう色恋沙汰はよく分かんないけどさ。
恭介ってやつもさ、入院していた時、さやかが何度もお見舞いに来てやってるのに恩に感じてないってこともないだろ。
思い切って、お前もアプローチしてみればいいんじゃねえか?」

さやか「でも、退院した時も連絡なかったし。
仁美に、もし恭介の事が好きなら告白するようにいわれた時も、私何もできなかったし。

最近魔女退治で忙しくて、話もろくにしてないし。
恭介の心の中にはあたしなんて、もう居場所もないのかも……」

杏子「そんなのわからねえだろ? 結局、お前の推測でしかねえんだからさ。
やってみてから悩みなって! 
別に告白とかまでいかなくとも、お見舞いに来てたお礼に何かおごってよとか、軽いノリで誘って様子を窺えばいいんだよ。
それで、向こうも満更でもなさそうなら、さらに踏み込めばいいさ」

さやか「……うん! そうだね! へへ、あんたと話してたら元気出てきたよ!
……あ、もうこんな時間か、そろそろ帰るよ」

杏子「そうか。じゃ、出口まで送ってくよ」

杏子「あ、そうだ。これ、前にゲーセンの景品でゲットしたお菓子なんだけど、もっていくか?」

さやか「え? いや、とりあえずおなかはすいてないし、気持ちだけもらっておくよ。
……それじゃね」

杏子「おう。……んじゃ、今日は寝るかな。おっと!」

杏子(手が滑ってお菓子落としちまった。まあ箱に入ってるもんだし、別に汚くないか)

杏子(ん?……なんだ? さっきからあたしの事みてる奴がいる)

恭介「……」

恭介(さやかが…… 
ようやく見つけたと思ったら、こいつと! この赤毛野郎とホテルから出てきた!?

……ああ、そうか。
きっと、さやかは、こいつにホテルの場所を聞かれて、案内してあげて、
それで、ホテルから出て別れたところだったんだよね)

恭介(……………………っておいおい、現実を直視しろ。上条恭介!
「繁華街を歩いていた二人の男女」が「数時間姿が見えなくなって」
その後「ホテルから一緒に出てきた」んだぞ!

この状況、どう考えても事後じゃないか!!!)

……

杏子(さっきからずっと凝視してるな、あたしのこと)

杏子(お菓子、落としたのを拾ってるところ見られたかな。ちょっと恥ずかしいな。
……それにしても不機嫌そうだな。腹でも減ってるのか?)

杏子「……へへ、見られちまったか。あんたも喰うかい?」

恭介「!!!」

恭介(……ホテルから出てきたところを見られたのに、開き直って
へへ、見られちまったか? あんたも喰うかい?

やっぱり、さやかはこいつにもう(性的な意味で)喰われちゃっていたのか!?)

恭介(まさか、ついさっきまでこのホテルの中で……

『へへ、どうだい。気持ちいいだろ?』
『はあはあ! いいよぉ、やめないで! もっとぉ!』
『おいおい、そんな自分から誘うようなポーズしちゃって……
例の幼馴染が他の男にそんなことしてるの見たら、泣き出しちまうんじゃねえの?』
『あんなやつ、もうどうでもいいの。お願い、もっとしてぇ!』

……みたいな状況だったのか!?)

恭介(しかも、気軽に「あんたも喰うかい」だなんて、さやかを使い捨ての、性欲のはけ口みたいに!)

恭介「……さやかが他の奴と付き合っているにしても、
そいつがさやかを幸せにしてくれるような立派な人間だったら、何も言わずに立ち去ったかもしれない」

杏子「?」

恭介「だけど、お前のような奴とさやかが付き合うのを黙って見過ごせない!」

杏子(? ? 何だ? こいつさやかの知り合いか?)

恭介「今まで、おまえとさやかがどんなことをしてきたのかは、あえて聞かない!
だけど、これから先、金輪際、さやかに近づくな!」

杏子「は? なんで初対面の奴にそんなこと言われなきゃならねえんだよ?」

恭介「どうやら素直に従う気はないみたいだな。
……それじゃあ、僕と決闘しろ。
負けたら、僕に従ってさやかに付きまとうのはやめるんだ! いいな!?」

~河原~

杏子「……たく、こんなところまで連れ出しやがって。
面倒なことになっちまったな。はあっ」

恭介(こうしてみると、顔だちは女の子と見間違えそうなくらいに整ってるな。
線の細い中性的な外見で、それでいてちょっと危険な不良っぽい雰囲気。
ドラマとかの女ったらしによくあるパターンだ。そのギャップにさやかもコロッと……。
畜生! よくもさやかにあんなことやこんなことを!)

杏子(さやかの友達か何かなんだろうな。まいったな。怪我させるわけにはいかないし)

恭介「いいな、僕と決闘して負けたら、二度とさやかに近づくなよ!
いくぞ! そりゃあああ!」

杏子(そりゃあああ、とかいわれても。
魔法で身体能力を強化してるあたしからしたら、普通の人間の動きなんて余裕で見切れるしなぁ)

恭介「くそ! ちょこまか逃げやがって!」

杏子「というか、何でそんなにむきになるのさ?
あんた、さやかの何なんだよ?」

恭介「僕は上条恭介! さやかの幼馴染だ!」

杏子「きょう……すけ? ほお、そうかい。
てめえがさやかを悲しませてる優柔不断男かよ!」

恭介「?」

杏子「さやかの友達だから、怪我をさせないように
お前の体力が尽きるまで、防御に徹するつもりだったけど、気が変わったぜ!

ちょっとばかり、痛めつけてやるよ」

杏子(……とはいえ、大怪我させたら、さやかが悲しむだろうしな。
手加減はしないとな。……なんだか魔女と戦うより疲れるな)

……
まどか(ママに買い物頼まれて出かけたのに、つい寄り道して遅くなっちゃった。
近道して川沿いの道から帰ろっと)

まどか(それにしても、仁美ちゃんが言ってた特徴、何か引っかかると思ってたら、
ようやく思いあたったよ。杏子ちゃんの特徴と一致してるんだ)

まどか(えっ! じゃあ、杏子ちゃんが、さやかちゃんとつきあって
いかがわしい行為をしていることになっちゃうよ!?)

まどか(なーんて、それはいくらなんでもそれはないよね。
きっと、ふたりで魔女退治のパトロールをしているところを誤解されたんだよ。きっと)

まどか(大体、二人は女の子同士じゃない……あれ、河原で誰かがもめてる)

杏子「あたしが、さやかと付き合って何が悪いんだよ!」

恭介「うるさい! さやかをお前なんかに渡すものか!」

まどか「」

さやか「はい、もしもし……まどか? どうしたの? 急に電話してきて……」

まどか「さやかちゃん! 大変なの! 上条君と杏子ちゃんが河原でケンカしてるの!」

さやか「はあああ!? あの二人って面識直接なかったと思うけど? 一体何で!?」

まどか「原因はさやかちゃんだよ! さやかちゃんを取り合ってるんだよ!」

さやか「いや……何を言ってるの? まどか?」

まどか「とにかく早く来て!」

まどか「さやかちゃん! 早く!こっち!」

さやか「……ま、待って。まどか。
あたし全力疾走してきて、息がきれそうで……」

まどか「それどころじゃないんだよ! ほら! 見て!」

さやか「?」

恭介「さやかに二度と近づくな!」ドカッ

杏子「おまえこそ、さやかを悲しませやがって!」バキッ

まどか「ね?」

さやか「ほ、本当だ! あたしの杏子と幼馴染が修羅場すぎる状態に!」

まどか「だから言ったでしょ? 早く止めないと!」

さやか「まどか」

まどか「?」

さやか「二人の男があたしを争って決闘するなんて……
あたしって罪な女だったんだねえ」

まどか「さやかちゃん。 まさかこの状況に酔ってるの?
……あと、杏子ちゃんは女の子だよね?」

さやか「だって……人生でこんな状況めったにないというか。
もう少しこのモテモテな立ち位置を噛みしめたいというか」

まどか「さやかちゃん! それどころじゃないよ! 止めないと!」

さやか「あ、うん。そうだね。わかってる。わかってるよ?

……で、なんて言って止めればいいのかな? 
やっぱり定番の「やめて! 私のために争わないで!」っていうのがいいかな」

まどか「……さやかちゃん」

恭介(それにしても、僕は何でさっきからこんな苦しい思いをして
それでもこいつに立ち向かっていっているのかな。

……それにさっきからさやかとこいつが過ごしていた時間のことを考えると
何でこんなに胸が痛いのかな)

杏子「なぁ。あんたさぁ、何でさやかの事でそんなむきになっているんだよ?
あんた、本当はさやかの事、どう思ってるんだ?」

恭介「どうって……」

恭介(ああそうか。
ぼくは、どうして、……どうして、こんな簡単なことが今までわからなかったんだろ)

恭介「さやかは……
さやかは、僕にとって大切な女の子だ! 誰にも渡しはしない!」

さやか「!!!!」

杏子「ほう、そうかい? それなら腕ずくで……」

さやか「待って!」

杏子・恭介「さやか!」

さやか「ごめん、杏子。あんたが私のためにそこまでしてくれるのは本当に嬉しいよ?
……でも、私、やっぱり恭介が好きなの」

恭介(キョウコ? 変わった名字だな)

杏子「何だよ。じゃあ、結局両想いだったんじゃねえか。
……さやかが、それで幸せなら特に問題はねえよ。
恭介とかいったか。……今度さやかを悲しませたら承知しねえぞ?」

恭介「お前に言われるまでもないさ。さやかは僕が守る!」

杏子「ちっ! 大した根性だよ。あたしにそこまでぼこられて、そんだけ言えるんだからさ。
……邪魔者は消えるぜ。あばよ」

まどか(杏子ちゃん。……何だか格好いい)

~学校~

まどか「っていうことが昨日あったんですよ! マミさん!
いやあ、杏子ちゃん、本当に潔くて格好良くて、粋だったんですよ」

マミ「……」

まどか「なかなかできることじゃないですよ。
好きな人に振られても、その相手が幸せになることを喜んでそのまま去っていくなんて!」

マミ「えっと、ちょっといいかしら? 鹿目さん?」

まどか「はい?」

マミ「今の話をまとめると、美樹さんを取り合って、佐倉さんとその上条くんという男の子が河原でケンカして、
でも美樹さんが上条君を選んだから、佐倉さんは大人しく去って行った、ということよね?」

まどか「ええ、そんな感じです。……ああ、もうこんな時間だ。
私、帰りに買い物して帰るつもりだったので、お先に失礼しますね。
さよなら、マミさん」

マミ「ええ」

マミ「……」

マミ(じゃあ、佐倉さんって同性愛者だったってこと?)

~学校の帰り道~

マミ(考えてみれば、昔、魔女退治の方針が違うために佐倉さんとは一度仲たがいしたけど、
あれは本当に方針の違いからくるものだったのかしら)

マミ(本当は、私の体と縄張りを力づくで、自分のモノにしたかったけど、私の実力をみて簡単にいかないと悟って、
わざと、仲たがいして私と別れて、自分の街で力を蓄えるつもりだった、とか)

マミ(そして、この街に戻ってきたとき、本当は私の体が目的だったけど
美樹さんという、私よりくみしやすい、なりたての魔法少女を見て、標的を変更した。

……ワルプルギスの夜との戦いを通じて、私たちの仲間としてふるまい、
美樹さんを懐柔し、その体を味わおうとした)

マミ(だけど、美樹さんは結局、上条君とかいう他の人のところに行ってしまった。

……ということは
佐倉さんは次に! 私を! 狙ってくるッ!?)

マミ(なーんてね。全部私の推測にすぎないじゃない)

マミ(考えすぎよね。あはは)

杏子「よお。マミじゃんか」

マミ「ああ、佐倉さん。こんにちは。どうしたの?」

杏子「いやなに、久しぶりにマミの作った飯が食べたくなっちゃってさ。
今日泊めてくれないか?」

マミ「!!!!!!」

杏子「何だよ? なにバケモノでも見たような顔してんだよ? 
駄目なのか? 何か予定でもあるのか?」

マミ「よ、予定はない、んだけど。実は部屋が散らかっていて」

杏子「あー、良いって! 寝るところなんて、マミと同じベッドでいいから」

マミ「!?」

マミ(遠まわしに断ろうとしているのに、ここまで押してくるなんて……
やっぱり私を狙っているの!?)

マミ(も、もしここでホイホイ泊めてしまったりなんかしたら……
突然私の見ている前で、パーカーのジッパーを下ろして
「マミ……や ら な い か」「アッー」なんてことになるんじゃ……)

マミ「そ、そう? でも、今日お肉切らしちゃって!
佐倉さんの好みの肉料理は作れないなー、なんて」

杏子「何言ってんだよ。ご馳走になるのに文句なんていうかよ。
あたしは何でも好き嫌いなく食べるぜ?」

マミ(なんでも……食べる? 
男でも女でも……ノンケでも!?)

マミ「冗談じゃないわ! 誰があなたなんて泊めるものですか!」

杏子「へ?…………何だよ、そりゃあ!」

マミ「私は、初めては本当に好きな人って決めてるの!」

杏子「何わけのわからないこと言ってんだよ?」

マミ「とぼけないでちょうだい! 私をなぐさみものにしようったってそうはいかないわ!」

ほむら「ちょっと! 二人とも待ちなさい!」

杏子「ほむら」
マミ「暁美さん」

ほむら「話はまどかから聞いているわ、杏子。
安心して。私はあなたの味方よ」

杏子「お、おう、そうか。よく分からんが、ありがたいぜ」

ほむら「巴マミ! さっきからあなたの態度はあんまりよ!」

杏子「そうだ、そうだ!」

ほむら「女の子が女の子を好きになって何がいけないというの!」

杏子「そうだ、そうだ!…………えっ」

マミ「別に他の人が私と関係ないところで、するのはその人の勝手よ?
でも、そういう趣味の人を泊めて、私がその人とそういう関係になるのはごめんだわ!」

ほむら「杏子は別にあなたにそういうことをすると決まったわけではないでしょう?」

杏子「……」

マミ「そりゃ、そうだけど」

ほむら「たまたま泊めてもらって、
たまたま、一緒にご飯食べて、一緒にお風呂入って、
寝ている間に、気持ちが盛りあがって、肌と肌の語らいになっても、それは自然な流れじゃない!」

マミ「!! やっぱりそういう展開を狙っているんじゃない! お断りよ!」

ほむら「実際に体験したら、意外といいかもしれないでしょう!?
女の子の気持ちいいところは女の子の方が知ってるんだから!!
チャンスすらあげないの!?」

杏子「なあ、ちょっといいかな?」

マミ・ほむら「何?」

杏子「さっきから会話を聞いていると、何だかあたしがまるで同性愛者のように扱われているようなんだが」

マミ「えっ、違うの?」

ほむら「さやかを争って男の子と河原で決闘したって聞いたけど?」

杏子「あれは、向こうの方から一方的にケンカ売ってきただけだ!
今までだってあたしは友達として、さやかとつきあってただけだよ!
別にさやかをそういう対象としてみていたわけじゃねえ!
どこのどいつだ! そんなデマ流してるのは!?」

マミ「えーと……」

ほむら「ま、まどかから、聞いたんだけど」

杏子「ほほう、それで、まどかはど・こ・へ行ったのかな」(ピキピキ)

仁美(上条君、昨日はどこに行っていたのでしょう。
私の話を聞くなり、血相を変えて走って行って、
今日学校に来たら、何だかすこし様子がおかしかったようですし)

仁美(まさかとは思いますが、本当は上条君はずっと美樹さんの事が好きだったのに
その気持ちを自覚していなくって、美樹さんが他の男と歩いているという話を聞いて嫉妬心が芽生えて、
その美樹さんと一緒に歩いていたという殿方を探して決闘を申し込んだりしたのでは……)

仁美(さらに、決闘をしているところにたまたま美樹さんも駆けつけたりなんかして
恋敵と気持ちをぶつけ合ううちに自分の気持ちに気づいて、その本心を口走り、
それを聞いた美樹さんと、両思いであることを確認しあって、二人の恋心が燃え上がったりしたのでは……)

仁美(なーんて、考えすぎですわね。全部私の憶測にすぎませんわ)

男「イテッ! おいどこ見て歩いてんだよ」

仁美「ああ、申し訳ありません。私、ちょっと考え事をしていたもので」

男「申し訳ありません? 謝って済むと思ってんのかよ」

男2「いきなりぶつかってきて怪我するかと思ったぜ、なあ?」

男「……その制服、見滝原中だよな? じゃあ、結構、家は金持ちなんだろ?」

仁美「な、何をなさるんです? 放してください!」

男2「まあまあ、もう少しなかよくしようや。な? 」

男「どうする? こいつ?」

男2「服ひん剥いて、写真撮っておどしゃあ、いくらでもいうこと聞くべ」

男「……いいな。何ならこいつに友達連れてこさせて、さらにお楽しみを増やす手も……」

仁美(だ、誰か、助けて!)

杏子「今時、くだらねえことしてんだな」

男「!」

男2「なんだ、てめえ! いつからそこに居やがった!」

杏子「中学生相手に、大の男が二人がかりですごんでんじゃねえよ。
ただでさえ、あたしはちょっと今日、虫の居所が悪いんだ。
それ以上、目障りなまねをするんなら、憂さ晴らしの相手になってもらおうか」

男「へ、お前みたいなチビが、おれたち二人とやりあうって?
ナマいってんじゃ……ぐへえっ!」

男2「なっ! おい!? まじかよ、一撃で……」

杏子「お前も怪我したくなきゃ、そいつ連れて失せるんだな」

男2「! ちっくしょおおお!」

杏子「大丈夫か?」

仁美「は、はい」

杏子「このへんは夜はガラの悪いのが結構多いからな。
あんたみたいなお嬢様が歩くようなところじゃない。
気をつけな」

仁美「あの、ありがとうございました!」

杏子「礼には及ばねえよ。勝手にやったことさ」

仁美「あの、お名前を……」

杏子「名乗るほどのもんじゃない。
あんたとは住む世界も生き方も違う人間、とでもいっておこうか。
……これからは夜一人で出歩かないようにな」

仁美(キュン)

翌日

~学校~

恭介(さやかの事が好きだと気が付いて、お互い両思いだったのは良かったけど。
……よく考えたら僕、今、志筑さんと付き合ってるんだよな。

どうすればいいんだ? 一度OKしたのに、今から振るのか?
でも、そうしなきゃ、二股ってことに……)

仁美「上条君、お話がありますの。ちょっと来てもらえます?」

恭介「? 良いけど……」

……

恭介「話って?」

仁美「自分から付き合うようにお願いしておきながら、大変勝手なことだとわかっているのですけれど
でも、私、自分の気持ちにこれ以上嘘がつけないんです!」

恭介「何の事?」

仁美「私、実は、本当の恋に目覚めてしまいましたの!」

恭介「へ?」

仁美「先日、街で不良に絡まれた私を、男らしく助けてくださった方がいらっしゃって……
私、その方のことを忘れられなくなってしまったのです!」

恭介「……………………ああ、えっと。
志筑さんの気持ちが僕にもう向いていないのなら仕方ない、ね。
僕は身を引くよ」

仁美「上条君。私の事を勝手な女だとお思いでしょうね。
本当に申し訳ありません」

恭介「いや、良いって」

恭介(実は僕の方もさやかの事が好きになった、とは言えないな。
まあ、結果的にこれでよかったのかな)

学校の帰り道

さやか「えーっ! じゃあ、恭介は杏子の事、男だと思っていたの!?」

恭介「うん、その、志筑さんからそういう風に聞いていたから先入観があって……」

さやか「だって、声だって高いし」

恭介「声変わりしてないのかと」

さやか「杏子、ショートパンツはいてるじゃない」

恭介「僕だって少し前までは、半ズボンとか、ハーフパンツとか着てたし。
まあいわれてみれば、たしかに、男子中学生がする格好としては、今思うと違和感があるな」

さやか「む、胸は……」

恭介「大胸筋かと思った」(キッパリ)

さやか「それ、杏子の前で言わなくてよかったね」

恭介「え?」

さやか「まどかなんて、この前、杏子と恭介が喧嘩してるの見て
てっきり杏子が私の事、好きなんだと思いこんで、同性愛者みたいに周りに話したもんだから
杏子がすごい勢いでまどかの所に怒鳴り込んだみたいよ」

恭介「そ、そうなの?」

さやか「まどかってば、相当こっぴどく怒られたらしくて、涙目になっていたもの。
毎週、向こう三か月の間、ハンバーガーおごる約束してようやく許してもらえたみたい」

恭介「へ、へー……」

さやか「だから、恭介が杏子を男扱いしていたなんて知ったら、激怒して、それこそ腕の1、2本折られたかもね」

恭介「……」

さやか「ところでさ、恭介は杏子を男だと思ってたんだよね。
わたしと杏子が、どんなことしてると思っていたの?」

恭介「えっ」

恭介「いや、あの、だから、二人で夜の街を歩き回っていたって聞いたから……」

さやか「ふーん、それで?」

恭介「そ、それで……」

さやか「じゃあさ、再現してよ。杏子が私にどんなことをしていると思っていたのか。
ね?」

恭介「えっ」

さやか「何? ここじゃできないようなこと?」

恭介「いや、あの」

さやか「もしかして、……こんなこと?」(ギュッ)

恭介(さやかが、僕の事を強く抱きしめて……
さやかの胸が、押し付けられて)

さやか「ねえ、どうなの?」

恭介(さやかの顔が僕のすぐ目の前に……)

恭介「……ん、だから、こんなこと、かな」

さやか「!」(恭介の唇が、私に……)

恭介「こ、こんな感じ、かな」

さやか「それだけ?」

恭介「つ、続きはまた今度にしよう。 ね?」

さやか「うん、もう少しあたしたちが大人になったら、ね。絶対だよ?」

数日後

仁美「名も知らぬお方! 待ってください! わたくし、あなたの事をお慕いしておりますの!」

杏子「待ちやがれ! まどか! お前、また変な噂流しただろ!
おかげで、あたしはこいつに付きまとわれて、えらい目にあってんだぞ!」

まどか「うわあああああん! 私、何も知らないよぉ! 助けて! さやかちゃん」

さやか「? ? いや、そう言われても。何でそんな状況になっているのか、私もさっぱり……」

おしまい

1です。

支援していただいた方、お付き合いいただいた方
ありがとうございました。

少しでも楽しんでもらえたら幸いです。

さよなら。

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