朝倉「うぅ……ぐすっぐすっ」キョン「なんだこれ……捨て朝倉?」(226)

キョン「何やってんだお前……」

朝倉「ふぇ?……あ、キョンくん」ヒック

キョン「おいおい顔が鼻水やら涙やらでえらいことになってるぞ」

朝倉「エッグエッグ……らってぇ~……」ゴシゴシ

キョン「ああ、こらこら袖で拭くな目が腫れるぞ?」

朝倉「うぅ~……いいわよぉもう、放っておいてよぉ……グスッ」

キョン「俺としてはお前はおっかないしそうしたい所だが泣いている所を見るとな……ほら、チーンしなさいチーン」

朝倉「ふぁい……」チーン!

キョン「で、何があったんだよ?」

朝倉「……家がなくなったのよ」

キョン「家って……長門と同じマンションはどうした?」

朝倉「……解約されてたのよ、長門さんがもういらないだろうって」

キョン「だったら長門と一緒に住めば良いじゃないか」

朝倉「私もそう思ってお願いして最初は快諾してもらえたんだけど追い出されて……」

キョン「何やったんだよお前?」

朝倉「何もやってないわよ!一緒にお風呂入ったら急に機嫌悪くなったんだから!」

キョン「お風呂……?」

朝倉「『そんな脂肪の塊を付けた不埒な輩とは一緒には住めない』って言われて気が付いたらこの状態だったのよ」

キョン「あぁ~……この『拾ってください』ってダンボールはせめてもの情けか」

朝倉「こんな情けあってもなくても同じよぉ!」ウルッ

キョン「ああわかった、俺が悪かっただから泣くな」

朝倉「うぅ~……」

キョン「お得意の情報操作でなんとかならんのか?」

朝倉「そんなの再構成されたときには一切使えなくされてたわよ!」

キョン「え、じゃあお前今は普通の女子高生となんら変わらないってことか?」

朝倉「そうよっ!だから途方にくれてたんじゃない!」

キョン(こんな橋の下で泣きじゃくっている帰る宛てのないJK……不味いよなぁ)

朝倉「……なによ、力が使えないって聞いて過去の恨みを晴らそうって算段でも立ててるのかしら?」

キョン「お前が元気なときならそんなことも考えただろうがそうやって泣いている所を見てそんなことは思わんよ」

朝倉「……別に弱ってなんてないわよ、ちょっとどうしたらいいかわからなくって混乱してただけだもん」

キョン「さいですか」

朝倉「そうよ、別に放っておいてくれて結構よ」

キョン「そうか、わかった邪魔したな」クルッ

朝倉「ぁ……」

キョン「……」スタスタスタ

朝倉「…………いっちゃった」

朝倉「…………ぐすっ」

朝倉「べっ、別にキョン君なんて最初から当てにしてなかったんだから……」

朝倉「……ひぐっ」

朝倉「ふぇえええええええ~ん!」

キョン「ったく、こんな時に強がってどうすんだお前は」

朝倉「キョン君……」グシグシ

キョン「しゃーない、ほら来い!」グイッ

朝倉「わわ!?ど、どこに連れてく気よ!?」

キョン「ああもう俺の家だよ!いーから黙って付いてきなさい!」

朝倉「ぁ……はい」

キョン「……」ガチャッ

キョン「……」キョロキョロ

キョン「よし、大丈夫だ。この部屋に入れ」

朝倉「う、うん」

キョン「早く!」

朝倉「うん!」ガチャッ

キョン妹「あ、キョン君おかえりー!」トテトテ

キョン「お、おぉ、ただいま」

キョン妹「キョン君今日おそかったねー?」

キョン「あ、ああ、ちょっと寄り道しててな(人を拾ってきたなんて言えるはずがない……)」

キョン妹「ご飯できてるよー」

キョン「分かった、すぐ食いに行くよ」

ガチャ

朝倉「……!」

キョン「ふぅ、何とかバレずに中に入ることは出来たな」

朝倉「うん……」

キョン「で、俺は今から飯を食うわけだが……」

キョン(朝倉も腹は減ってるよな……)

朝倉「わ、私のことは別に……」グゥーッ

朝倉「!!」ボワッ

キョン「……はぁ、分かったよ。何とかしてやるから待ってろ」

朝倉「……」

……

…………

朝倉「うぅ(お腹空いたなぁ……)」

朝倉(でも、家に入れてくれただけでも、十分ありがたいことなんだよね)

朝倉(なのに、食べ物まで……。そんな贅沢……)

ガチャッ

キョン「悪い、待たせたな」

キョン「ほら」

朝倉「あ……」

キョン「リンゴとパンと飲み物。冷蔵庫とか漁ってきたけどそれだけしかなかった」

キョン「まだ食うのかって驚かれてちょっと面倒だったんだぞ……」

朝倉「……」

朝倉「ありがとう……」

キョン「っ!?」

朝倉「どうしたの……?」

キョン「な、何で俺を殺そうとした奴に礼を言われないといかんのだ……」

キョン「どうかしてる……、どうかしてるぞ、俺は……」

朝倉「……」

朝倉「ううん。本当に感謝してる」

キョン「だからやめろって!!」カァァァ

朝倉「……ふふっ」

朝倉「ふぅ、美味しかった。ごちそうさま」

キョン「……」

キョン(制服の洗濯はコインランドリー、風呂は銭湯でいいか……)

キョン(俺の懐が痛むが……、ええい、仕方ないだろう)

朝倉(キョン君、怖い顔してる)

朝倉(やっぱり、色々なことでイライラしてるんだよね……。許されないこともしちゃったし……)

キョン「……とりあえずこれで風呂入ってこい。1時間経ったら迎えに行く」

朝倉「えっ……、いいの……?」

キョン「それ以上何も言うな。さっさと入って来てくれ」

キョン「着替えは俺のジャージしかないが……、文句言うなよ」

朝倉「……」ドキ

朝倉「う、うん」

キョン(……ふぅ、無事に言ったな)

キョン(……しかし、勢いで連れてきてしまったものの、これからどうなることやら……)

キョン(先が思いやられるな)

キョン「やれやれ……」

……

…………

朝倉「……」チャプ

朝倉(お風呂、気持ちいいな……)

朝倉(……)ドキドキ

朝倉(な、何だろう、この感じ)

朝倉(キョン君……)

キョン(……そろそろ1時間か)

キョン(俺も風呂入れたし、迎えに行くか)ガチャ

キョン「!!」

キョン妹「?」

キョン妹「キョンくん、どこいくの?」

キョン(よりによって何故ここで見つかる……!)

キョン妹「……?」

キョン「……そ、そうだ!」

キョン「ざ、雑誌の発売日だから、ちょっとコンビニにだな……!」

キョン妹「こんな遅くに……?」

キョン「あぁ!!」

キョン妹「……」

キョン妹「ヘンなキョンくん」

キョン(…………ふぅ)

朝倉「……」

キョン「……」テクテク

朝倉「あっ……」ドキ

キョン「マズいことになった」

朝倉「え?」

キョン「まぁとりあえず、家に帰ってから話す」

朝倉「う、うん」

……バタン

キョン「ふぅ……(家に入るだけでも一苦労だ)」

朝倉「……で、マズいことって」

キョン「……」

キョン「毎日銭湯に行くのは無理かも知れない」

朝倉「え?」

キョン「お前を迎えに行くとき、妹に見つかった」

キョン「こんな時間に外出する俺を不思議そうに見ててな……」

キョン「何とか言い訳したが、毎日これを繰り返すのは多分無理だ、怪しまれてしまう」

朝倉「……」キュン

朝倉「ふふっ、なんだ、そんなこと」

キョン「ん……?」

朝倉「いいよ、そんなの。全然気にしない」

朝倉「むしろ……、キョン君がそこまで考えてくれてたなんて」

キョン「っ!?」

キョン「ち、違う、ただ俺はだな……!!」

朝倉「……」クスクス

朝倉「ありがとう」

キョン「!」

キョン「…………」ポリポリ

キョン「……そろそろ寝るぞ」

キョン「布団は貸してやるから、そこで寝てくれ」

朝倉「うん、ありがとう」

キョン「……」

キョン「電気消すぞ」

朝倉「うん」

パチッ

キョン「……」

朝倉「……」

キョン「…………」

朝倉「……」

キョン「………………」

キョン「ええいっ」

朝倉「?」

キョン「朝倉、こっちに来い」

朝倉「えっ!?」ドキッ

朝倉「そ、そ、そんなっ」

朝倉(こんないきなり……?)

朝倉(まだ心の準備が……。でもキョン君には色々してもらったし、私自身ちょっとそういう気持ちもないと言ったら嘘に)ドキドキドキドキ

キョン「……お前がベッドで寝ろ。俺は床でいい」

朝倉「うん、いいよ、キョン君なら……」カァァァ

朝倉「……」

朝倉「……ふぇっ??」

キョン(部屋に女子がいるのに俺がベッドなんて、眠る気にならん……)

キョン(例えそいつが、一度俺を殺そうとした奴でもだ)

キョン「ほら、早く」

朝倉「で、でも」

キョン「……」ギュッ

朝倉「んっ」

朝倉(キョン君に抱きかかえられて……)

朝倉(こ、これ、お姫様だっこ……?)

キョン「……」

朝倉(キョン君と顔、こんなに近……)ドキ

朝倉(キョン君……)ドキドキ

ギュッ!

キョン「うわっ!?」

ドサッ!

キョン「いつつ……」

キョン(バランス崩してベッドの上に……)

キョン「おい、なんでいきなり抱きついて……」

ムニュ

キョン「!?」

朝倉「んぅ……」ビク

キョン(こ、この、目の前にある柔らかくて丸い膨らみは……!!)プニュ

朝倉「ゃ……」ハァハァ

キョン「っ!!」

キョン「す、すまん!」バッ

朝倉「キョン君……?」

キョン「俺が悪かった、訴えるのだけはやめろ!」モゾモゾッ

朝倉「あ……(お布団に潜っちゃった……)」

キョン「今のことは忘れてくれ!俺は寝る!」

朝倉「……」

朝倉(ちょっと、いいムードだったのに……)

キョン「……」

キョン(なんで俺が謝ってるんだ!!)

キョン「……」

キョン(……しかし)

キョン(朝倉、いい匂いだったな……)

朝倉「……すぅ、すぅ」

……

…………

キョン「なんだこいつら!俺の書いたSSが百番煎じのゴミだと!?」

朝倉「せっかく私も楽しんで読んでたのに!」

朝倉「他人のSSにケチを付けるなんて、そんなの絶対おかしいわ!」

キョン「それは違うぞ朝倉。お前にそんなことを言う権利はない」

朝倉「私はキョン君の味方なのになんでそういうこと言うの!?」

朝倉「キョン君は自分の書いたSSの悪口を言われて頭に来ないの!?」

キョン「批評する権利は誰にでもある。嫌なら人に見せなければいいのさ」

朝倉「あれ?でもキョン君怒ってたよね」

キョン「読者に批評する権利があるなら、俺には怒る権利がある!」ドンッ!

キョン「こいつらはSSをけなした!俺は怒った!」

キョン「これでこの話はおしまい!」

ハルヒ「ねえ、なんか単発ID多くない?」

キョン「むむ……、むにゃ」

ゴソゴソ

キョン「ん……?」

朝倉「あ、ごめんね。起こしちゃった」

キョン「……」

朝倉「いつものくせで、つい早起きしちゃって」

キョン「……?」

キョン(早起き……?起こす……?)

キョン「!!」

キョン「隠れろ朝倉っ!!」

朝倉「えっ?」

ガチャッ

キョン妹「キョンくんおきてー!!」

キョン妹「あれ……?」

キョン「お、おはよう!」

キョン妹「……」

キョン「ど、どうしたんだ、不思議そうな顔して!俺だってたまには早起きぐらいするぞ!!」

キョン妹「うん……」

キョン妹「でも、なんか……」

キョン(……っ!!見つかったか!?)

キョン妹「なんだか、すごくいいにおい」

キョン「っ!!」

キョン「そ、それはだな!えっと……!!」

キョン妹「……?」

キョン「そ、そうだ、香水だ!」

キョン妹「こーすい?」

キョン「そうだ!!」

キョン「昨日、学校で友達に香水付けてみなって勧められてな!」

キョン「試してみたんだが、こんなすぐ分かるもんなんだな!良かったよ、はは!」

キョン妹「どんなこーすい?」

キョン「!」

キョン妹「みせてー」

キョン「み、見せ……?」

キョン妹「じーっ」ジーッ

キョン「……!!」

キョン「が、学校で!」

キョン妹「がっこーで?」

キョン「学校で付けさせてもらっただけだから、家には置いてないんだ!」

キョン「ざ、残念だったなぁ、見せてやりたかったなぁ、ははっ!」

キョン妹「ふぅーん……」

キョン妹「……あ」

キョン(今度はなんだ!!)

キョン妹「なんで床にお布団しいてるのー?」

キョン「」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom