ハルヒ「もうちょっと奥にっ……あっ、違うもうちょっとだけ右……」 (40)

スカッ
キョン「あっ」
ハルヒ「あっ」
キョン「……」
ハルヒ「……ヘタクソ」

コィーン
キョン「…」
ハルヒ「……あっ、ちょっと奥すぎ……でもないか‥…」
キョン「…」
ハルヒ「んで……もーちょい……右、右……あっ……あっ、あー」

スカッ
キョン「…」
ハルヒ「……はぁ……ダメね」
キョン「…」
ハルヒ「ほらなにぼーっとしてんのよ! もう一回! もーいっかい!」
キョン「…」


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スカッ
キョン「…」
ハルヒ「……はぁ……ダメね」
キョン「…」
ハルヒ「ほらなにぼーっとしてんのよ! もう一回! もーいっかい!」
キョン「…」


コイーン
キョン「…」
ハルヒ「今度は左側に引っ掛けてみてから……」
キョン「あ、こうか、おぉ……こうだな……」
ハルヒ「一回で取ろうとするから失敗するのよ。だからそうやって……」

スカーッ
キョン「…」
ハルヒ「……あれ」
キョン「かすりもしなかったな」
ハルヒ「……もーいっ」
キョン「もういいだろ! 勘弁してくれ!」
ハルヒ「ここまで来て諦めるって言うの? 許さないわよ、そんなのは!」コイーン
キョン「おおおぉ……俺の100円が、ちょっ、せめて勝手に金を入れるのはやめてくれ!」


【数時間前】

ナンデモアリノー タノシイエキー
キョン「貯金箱?」
ハルヒ「そ、貯金箱。貯金箱が欲しいのよ」
キョン「へぇ、そうか。買えよ」
ハルヒ「買うわよ。買うけど、買いたいのがないの」
キョン「買いたいものがあるけど、買いたくないので、買いたいものを探しているということか」
ハルヒ「いやそうじゃなくて、買いたいけど買いたくないのばっかりで買いたいから買いたい――」

キョン「あぁ、わかった。つまり欲しいデザインの貯金箱がないってことだな」
ハルヒ「あんたの理解力、どうなってるのよ!?」
キョン「最初からそう言えよ」
ハルヒ「そう言ってたわよこの鳥頭! ハッチポ○チステーションの再放送、終わっちゃったじゃない!」
キョン「いかん、また見逃した。グッチさんが外人の真似をしているトコまでは覚えているんだが」
ハルヒ「だいたい毎週そんな感じじゃない! って、どうでもいいわ! 貯金箱!」


キョン「貯金箱か……俺はいらないな」
ハルヒ「うん、聞いてないわよ。でもなんで?」
キョン「買うじゃん」
ハルヒ「買うわね」
キョン「小銭を入れるだろ?」
ハルヒ「入れるわ」
キョン「するとこう……開けたくなるんだ……すぐにな」
ハルヒ「うわあ」

キョン「いや、なんとなく貯金できるときもあるんだぞ?」
キョン「しかしだんだん……高額な硬貨からなくなっていって」
ハルヒ「…」
キョン「最後は一円と五円玉ばっかりしか残っていないんだ。怖いだろ」
ハルヒ「怖いわね。あんたが大人になったときの貯蓄額が」
キョン「そういう話はやめろ!」



ハルヒ「でね、さっきいいのを見つけたのよ」
キョン「ん?」
ハルヒ「これこれ。なんかね、ゲーセンの景品なんだって」
キョン「プライズか……フィギュアとかじゃなく、貯金箱もあるんだな」
ハルヒ「ねー。景品で可愛いのないかなーって、探してみたらあるもんなのね」
キョン「あぁ、お前のせいか……」
ハルヒ「?」

キョン「なんだ、携帯の充電が少ないな」
ハルヒ「んー、テレビ観たりしてたし、こんなもんじゃないかしら?」
キョン「あ、そろそろピタ○ラスイッチが」
ハルヒ「もういいわよ! なにここ、託児所?」


オトーサンスイッチ オジイチャンモカッッッ!!!
ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「あれ、作ってみようかしら」
キョン「親父にやらせるのか」
ハルヒ「なに言ってるの。キョンがやるのに決まってるじゃない」
キョン「あれ? 俺ハルヒのお父さんだっけ??」

ハルヒ「キョンくんすいっち、や!」ポチー
キョン「ヤ行かよ。選択肢あんまねえな」
ハルヒ「や!」
キョン「え、えー……」モゾモゾ
ハルヒ「? ……?……あ、焼き討ち?」
キョン「なんでだよ。怖いわ」
ハルヒ「焼畑農業?」
キョン「そうだとしたら俺の表現力とおまえの認識力は異常だ」
ハルヒ「じゃあなによ! わかんないわよ!」
キョン「野球だよ。ほら、三塁線ギリギリのバントをファールゾーンに切れるまで見送る選手の――」
ハルヒ「あんたやっぱりバカだわ」



ハルヒ「えーと……」
キョン「ぐぬぬ」ピュイーッ
ハルヒ「ゆ……ゆ……」
キョン「ぐぬぅ」ピュー
ハルヒ「ゆっくりしていってね!」
キョン「最近みないな……いやそうじゃなくて、指笛だ」

ハルヒ「いい齢して指なんか咥えて……ばっちいわね」
キョン「おまえがやれっていうからやったんだぞ」
ハルヒ「でも上手かったわよ。なんで?」
キョン「さあ? やってみたらできた」
ハルヒ「あむ」スィー
キョン「ぜんっぜんできてないな……」
ハルヒ「…」フヒィー


ハルヒ「キョンくんすいっち、よ!」
キョン「よ……よ、ょ……」
ハルヒ「…」
キョン「……なにも思いつかん……」
ハルヒ「ボキャブラリー少ないわね~」

ハルヒ「よっ」ポフッ
キョン「?」
ハルヒ「よっ、よー」モゾモゾ
キョン「なんだよ? ……あ、寄り倒しか。はいはいはっけよいはっけよい」
ハルヒ「よ・り・か・か・り! 寄り掛かりよ!」
キョン「お・も・い・ど・け! 重いから寄りかかってくるな!」
ハルヒ「なっ、重くないわよ! むしろ軽いわよ! いや、どうでもいいわ! 貯金箱の話はどこに行ったの!?」
キョン「結構ノリノリだったじゃないか」

ハルヒ「というわけで、今からゲームセンターへ行きます」
キョン「おい、そういえば俺達以外のSOS団団員はどこへ行った」
ハルヒ「さあ?」
キョン「さあって」
ハルヒ「あ、有希。ほら、外」
キョン「ん?」

ハルヒ「何やってるんだろ……スコップ?」
キョン「あれは……ドラム缶?」
ハルヒ「あんなところに穴なんか開けて……何かな?」
キョン「あのドラム缶、何か入ってないか?」
ハルヒ「よく見えないわね。んー……あれは……」
キョン「……古泉……」

ハルヒ「み、みんな、みんなちょっと今日は用事があるみたいね!」
キョン「そうだな、お、おう! そうだそうだ! これは仕方ない! 二人で出かけようすぐ出かけよう!」
ハルヒ「そういえばみくるちゃんは――」
キョン「生徒会! 生徒会の仕事だ! 多分! 生徒会に入っていなくても、多分そうだ!」

【ちょっと前】

ハルヒ「うーん……あ、あった!」
ハルヒ「キョンほら、あったわよ! って、あいつどこに?」キョロキョロ
モウイッカイアソベルドン!
キョン「うぉぉ」ポコポコ
ハルヒ「」

ハルヒ「ちょっとキョン、あんたなにやってんのよ」
キョン「あっ、こら邪魔だ! カッ!が出来ないだろカッ!が!」
ハルヒ「知らないわよ! なによあんた、ブレザー脱いでまで……」
キョン「男はな、どんな状況でも全力投球するのが――」
ハルヒ「あ、ミスしてる」
キョン「あっ」

キョン「あとすこしだったのに」
ハルヒ「一人で来た時にやりなさいよ」
キョン「なんかその、それは……寂しい」
ハルヒ「いくじなし」
モウニドトアソブナドン!
キョン「!? おい、なんか今凄く酷いことを言われた気が」
ハルヒ「気のせい気のせい、ほら、貯金箱見つけたから、こっちこっち!」グィグィ

キョン「これか。んー、思ってたよりなんか小さいんだな」
ハルヒ「そう? こんなもんじゃない?」
キョン「よし」
ハルヒ「ん」
キョン「……?」
ハルヒ「?」

キョン「ほら」
ハルヒ「なによ」
キョン「なにって……貯金箱」
ハルヒ「I know」
キョン「えっ? 何故に英語?」
ハルヒ「ほら、早く。早く取りなさいよ」
キョン「俺がかよ」
ハルヒ「当たり前じゃない! じゃあなんであんたを連れて来たのよ! ほらお金」
キョン「仕方ないな……俺も得意じゃないぞ」
ハルヒ「お金出して!」
キョン「それも俺が出すのかよ! なんだこれは! ただのカツアゲじゃないか!」

>>1に戻る】

キョン「あぁぁ……ま、またミスった」
ハルヒ「あーもー、使えないわねぇ」
キョン「なあ、俺にも感情あるって知ってるか?」
ハルヒ「よし! 攻守交代よ!」
キョン「はぁ?」

ハルヒ「だからー、あたしが操作するから、あんたがアシストしてね!」
キョン「あぁそういう……なあ、これさ」
ハルヒ「なによ」
キョン「一人でやったほうが上手くできるんじゃないか?」
ハルヒ「何言ってるのよ! わんふぉーおーる、おーるふぉーわんよ!」
キョン「二人しかいねえよ。そもそも俺は強制的にやらされているわけだが」
ハルヒ「んもー、そんなのどうだっていいわよ。クレーンゲームの協力プレイは基本中の基本よ!」

ハルヒ「わかったわよ、今度はあたしのお金で」コイーン
キョン「当たり前だ」
ハルヒ「そのかわり取れなかったら許さないから」
キョン「あれ? 協力の精神は何処に?」

キョン「もうちょい前に……あ、いや奥に」
キョン「で横に……あぁ、右か……そうそう」
キョン「あ、ちょっと行き過ぎてるな」
ハルヒ「ああああああ!!!」スカー
キョン「!? なっ、大声出すなよなんだなんだ!」
ハルヒ「ヘッタクソ! ヘッタクソだわキョン! なにあんた、どんだけ説明が下手なのよ!?」
キョン「そ、そうは言われてもだな、なんか難しいぞこれは」
ハルヒ「もー、やっぱりだめ! あんたこっち! あたしそっち!」
キョン「わかった、わかったよ、すまんすまん……」
ハルヒ「あたし教える! あんた操作する! お金、出す! あたし、喜ぶ!」
キョン「ちょっと待てこら」

コイーン
スカー
コイーン
スカー
ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「もしかして俺達って……ド下手――」
ハルヒ「言わないで。辛くなるから」
キョン「…」

キョン「もうこれ、店員さんに言って落ちやすくしてもらったほうが」
ハルヒ「ダメよ。ほら、張り紙……ここはそういうの、一切しないって」
キョン「えっ、」

キョン「こういうのはなんというか、幾らか遊んでいたら動かしてくれるもんだと」
ハルヒ「ダメみたい」
キョン「……ちょっとハルヒ、店員さんに動かしてくれーって念じてみろ」
ハルヒ「は? なにそれ、無駄よ無駄! だってほら書いてるし」
キョン「あぁもう、決め付けはよくないぞ! というかなぜ今そんなおとなしいんだ」
ハルヒ「はいはい、いいからほら! 次、次!」

書き溜め終了
ここからはまったりと……寝る前には……お、終わらせるんだな……Zzz

コイーン
ハルヒ「…」
キョン「…」
スカッ
ハルヒ「><」
キョン「><」
コイーン……

ハルヒ「あ、両替しなきゃ」
キョン「おいおい、幾ら使ったんだ」
ハルヒ「えーと……」
キョン「俺も小銭なくなってるな……両替しなきゃ」
ハルヒ「両替機は……あ、あっちか」
キョン「俺ちょっとトイレに行ってくるわ」

キョン「ふぅ……ん? あれ、ハルヒまだ戻ってないのか」
ハルヒ「」
キョン「うわっ! び、びっくりさせるなよ! 居るなら居るって――」
ハルヒ「」
キョン「なんだおい……どうした」
ハルヒ「……両替機じゃなかった……メ、メダルが……大量に」
キョン「うわあ」

ハルヒ「……これ、ここに入れちゃったらマズいかしら」
キョン「まずいなそれは」
ハルヒ「…」
キョン「とりあえず、店員さんに言って返金を――」
ハルヒ「ダメなの。こういうのって、増やしたメダルも返金してもわからないから……ダメ……なの……」
キョン「…」
ハルヒ「……ダメよ、ダメダメ……」
キョン「おいやめろ、悲しい」

キョン「うーん、仕方ない。じゃあほら、半分払ってやるよ。だから一旦それで遊ぼう」
ハルヒ「え? でも」
キョン「いいから。というか、ちょっと一回違うので遊びたい。恐らくこれは負のループに入っているぞ」
ハルヒ「そうね、わかった。じゃあちょっと違うので遊びましょ!」
キョン「そら、カバン忘れるなよ」
ハルヒ「とりあえずメダル持ちなさいよ! 重い!」
キョン「うわ! おまっ、これ……せ、千円札じゃないな!? 幾ら両替しに――」
ハルヒ「半分払うって、言ったわよね」ニコォ
キョン「……後日払います……」

キョン「アイス食うか?」
ハルヒ「うん。えっとね、プリンのがあったらそれがいいわ」
キョン「プリンかー。俺もプリン食いたいから、別のにしてくれよ」
ハルヒ「あんたが違うのにしなさいよ!」
キョン「俺が買ってやるのに何故……」
ハルヒ「じゃあバニラ! で、持つトコがコーンのやつね!」

キョン「もうちょいそっちに座れよ」
ハルヒ「やだ、せまい」
キョン「こっちも狭いと。じゃあせめてカバンを下に置け」
ハルヒ「汚れるからやだ~」
キョン「いやさっき足元に置いてただろ。……まあいいや」
ハルヒ「ねーちょっと、プリンのちょーだいよ」
キョン「ほら」
ハルヒ「あむっ……んー、いまいちね」
キョン「なっ……ハルヒのもちょっと食わせてくれよ」
ハルヒ「え? もうコーンしか残ってないわよ? それでもいいなら、ど~ぞ!」
キョン「なんてことだ……」

キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「メダル、凄い増えたな」
ハルヒ「うぅ、さっきから小さい子供の眼差しが痛いわ……」
キョン「ちょっとあげて、あとはまた今度遊びにこようか」
ハルヒ「そーしましょうか。じゃあ、メダル預けてくるわね。キョンはさっさと仕事に戻る! はい、行けー!」

キョン「!」
ハルヒ「おまたせー。ん?」
ハルヒ「!!」
キョン「ない! ないぞ! 貯金箱がない!」
ハルヒ「!!!」

キョン「……俺達がメダルで遊んでいる間に、誰かが……」
ハルヒ「」
キョン「……おっ、店員さん」
店員「あ、これなくなってますね。補充しときますね、頑張ってくださいね~♪」ガララ
ハルヒ「」
キョン「おーい、ハルヒ。生きてるか~?」
ハルヒ「」
キョン「……死んでる……」

ハルヒ「ちみちみ動かしたのに……元の位置に……」
キョン「しかも最初のと色が違うな」
ハルヒ「いや色はこっちのが好きだからいいけど……よくないわよ!」
キョン「きちっと元の位置だな、うーん。こういうのがあるから、難しいよなあ」

ハルヒ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
キョン「ため息ながいな。カバのあくびみたい」
ハルヒ「バカに言われたくないわよぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
キョン「しかしなんだ、俺も心が……」

ハルヒ「…」
キョン「どうするんだ。もう帰るか」
ハルヒ「…」
キョン「多分今日はもうダメだ。また明日にでも出直して――」
ハルヒ「嫌よ! もー決めた今決めたすぐ決めたわ! これ取るまで、今日は帰らない!」
キョン「なっ」
ハルヒ「キョンも帰さないから! ほらやるわよ!」
キョン「あーぁ意地になってるな……仕方ないな。でも次からは本気でやるぞ?」
ハルヒ「最初っから本気も本気よ! ほら、お金お金!」
キョン「えっ、やっぱり俺の金でやるの?」

コイーン
スカッ
ハルヒ「」
キョン「」

コイーン
スカッ
ハルヒ「><」
キョン「><」

コイーン
スカッ
ハルヒ「にしこり」
キョン「にしこり」

コイーン
キョン「うぅ……取れなすぎて、一瞬妙な顔になった気が……」
ハルヒ「でもあとちょっとよ! ほら、かなり手前まで出てきたわ!」
キョン「これは奥からちょん、っと引っ掛けたほうがいいのか?」
ハルヒ「待って待って! 多分右隅から手前に」
モドリー
キョン「( ∵ )」
ハルヒ「( ∵ )」

キョン「大変だ……もう、100円あと一枚しかないぞ」
ハルヒ「うぅ……」
キョン「もうほんとにほんとの最後だぞ……どうするんだ」
ハルヒ「ギリギリ取れそうなのに……」

キョン「これで取れなかったら諦めるんだな。また今度、一緒に来てやるから」
ハルヒ「待って! あたしがやる!」
キョン「? いいけど、俺の指示じゃ下手ってお前が」
ハルヒ「最後だから! ほらもうこうなったら願掛け! こうやって」モゾモゾ

キョン「……狭い」
ハルヒ「ミスしたらキョンのせい、だからね!」モゾモゾ
キョン「あぁもう、そこで動くな。顎に頭が当たって痛い……二人羽織みたいだな」
ハルヒ「いい? レバー、動かすわよ!」
キョン「おぅ、もうなんでもいい。最後だから集中して……」

ハルヒ「もぅ……ちょい、奥にっ……」
キョン「いや、このへんだ」クッ
ハルヒ「! ちょっと、何勝手に」
キョン「ずっと操作してた俺を信じてみろって、ほら次」

キョン「あっ、ちょっと行き過ぎ――」
ハルヒ「ここっ!」ピタッ
キョン「うわ、マズイだろ! 奥に行き過ぎて」
ハルヒ「ここでいいの! 横からみると、ちょっとだけ傾いてたから」
キョン「うぉぉ……だ、大丈夫か……」

ウィーン……
キョン「…」
ハルヒ「…」




コトンッ

ハルヒ「!」
キョン「!!」

ハルヒ「!!!!」
キョン「やったぞハルヒ! 落ちた!」
ハルヒ「とれた! とれたわ! キョンとれた!」ピョンピョン  ゴンッ
キョン「アゴッ!」

キョン「し、舌噛んだ……」
ハルヒ「やったやった! うーん! 良かった~♪」
キョン「……まあいいか」
ハルヒ「キョン! ほら、貯金箱!」ニコニコ
キョン「わかったわかった。はは、よかったなハルヒ」
ハルヒ「キョンも頑張ったわね! うんうん、褒めてあげるわ!」
キョン「はいはいどうも。ほら帰るぞ、中々恥ずかしいこれは」

ハルヒ「あ」
キョン「うわぁ……ちょっと小銭で重かった財布がこんなペラッペラに……ん? どうした?」
ハルヒ「ほら、あの子」
キョン「? あ、さっきメダルのトコにいた……なんか指咥えて、こっち観てるな」
ハルヒ「ちょっと行ってくるわ! キョン、先に外に行ってていいわよ!」タタタッ……

ハルヒ「おまたせ」
キョン「? 遅かったな。……あれ、貯金箱は?」
ハルヒ「……あのね……あれ、あげちゃったわ」
キョン「はぁ!?」

キョン「なっ、さっきの子供か!」
ハルヒ「うん」
キョン「お前そんな、なんでもかんでも他人にやるなよ! それにあれ、あんなに頑張って」
ハルヒ「怒ってる? そりゃ怒るわよね……ごめん」

キョン「……理由は。別に俺はかまわん、あれはハルヒのモノだし……でもちょっと怒ってるっちゃあ怒ってるぞ」
ハルヒ「さっきの子供もね。あの貯金箱欲しかったんですって」
キョン「だからって知らない子供にあげるのは」
ハルヒ「届かないのよ」
キョン「?」
ハルヒ「だから、ほら。子供の身長じゃ、クレーンマシーンに届かないの」
キョン「あ……そうか」
ハルヒ「だからね、欲しいけど遊べないから……ずっと観てたんだって。あたし達のこと」
キョン「…」
ハルヒ「知らない子供にあげるのはいけないかもしれないけど……それ知ってて、持って帰るのはあたしはちょっと……」

キョン「なんだよ珍しい。いつものハルヒなら、自分で頑張りなさい! とか言って、帰ってくるのに」
ハルヒ「だってほら、あたしもあれ……自分一人で頑張ったわけじゃないし、また今度とりにくればいいしね」
キョン「……ここで俺の金だぞって言うのも、野暮か……まあいいさ。そりゃそうだ、また来ればいいな」
ハルヒ「怒ってない?」
キョン「怒ってないさ。むしろなんかちょっといいことしたみたいで、気分がいいな。自己満かもしれんが」
ハルヒ「可愛そうだなから、今度何かプレゼントしてあげるわよ。さ、帰りましょ!」

【翌日】

キョン「おいハルヒ、ちょっと」
ハルヒ「? なによ」
キョン「これ」スッ
ハルヒ「! 貯金箱!」

ハルヒ「え? なんで? あんたまさか、学校抜けて取りに行ってたの!?」
キョン「いやいや、ずっと居たよ学校に。というかさっきまでずっと一緒に居たろうが」
ハルヒ「じゃあなんで? あ、これ……最初取ろうとしてたやつとおんなじ色……」
キョン「俺らが離れた隙にな、朝比奈さんが来てたんだとよ」

ハルヒ「え?みくるちゃんが?」
キョン「ハルヒ、俺にあの貯金箱教える前に、朝比奈さんにも相談してたんだってな」
ハルヒ「そうね。ちょっとだけ話してたわ」
キョン「で、昨日。俺達がクレーンから離れているときに朝比奈さんが来て、これ……一回で取ったんだってよ」
ハルヒ「一回で……」
キョン「何も言うな。それは俺もちょっと悔しかったわ……でさっきすれ違ってな。俺から渡してくれってさ」
ハルヒ「…」
キョン「ほらよ。ハルヒにプレゼントだ」
ハルヒ「あ、ありがと。って、みくるちゃんに言わないとね」
キョン「そうだな。……うん、良かったな」

ハルヒ「でもこれ、はい」
キョン「え?」
ハルヒ「キョンにプレゼント!」
キョン「いやお前、これは朝比奈がお前の為に」

ハルヒ「だってこれ、あたしの気に入った色じゃないもの!」
キョン「お前……」
ハルヒ「だ、か、ら! ほら、行くわよ!」
キョン「なっ」
ハルヒ「あたしのと、みくるちゃんのお返しも! 今日は昨日よりもっと頑張らないといけないわね!」
キョン「あ、そういう……やれやれ」
ハルヒ「あとはこうなったら、有希のと、古泉君のと……」
キョン「はいストップ、その辺にしとこう」

キョン「昨日の今日だからな。あんまりお金ないぞ」
ハルヒ「無理しない範囲でね! でもほら、協力してやればいいじゃん。昨日取ったときみたいに!」
キョン「またアゴに頭突きされるのか……」
ハルヒ「ほらほら、早く行かないと! また誰かに取られるかも!」グィー
キョン「わかったわかった。なあでも、その前に何か食べに行かないか? なんか腹減って腹減って――」







                                                  終わり。

このSSは、「協力プレイ」「指を咥える」「プレゼント」の3つのお題から作りました
久しぶりに頑張って書いたけど、楽しかったです!

ではまたー!

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