幼馴染「男が死亡フラグをたてても死ぬ気配がない」(48)

幼馴染「おはよ、寒いね」

男「だな」

男「雪、降ってる?」

幼馴染「んー降ってはないけど積もってるかな」

男「じゃあちょっと出てくる」

幼馴染「最近変な人多いから気を付けなよ」

男「ハハ、そんなやつ俺が叩きのめしてやるさ」

男「じゃ」

幼馴染「うん」

3時間後

『速報です、たった今一人の青年が何者かに銃殺されました』

『警察は引き続き操作を続けています』


幼馴染「……やけに遅いな」

幼馴染「まさかこのニュース……」

幼馴染「男!」ダッ

男「はい」

ガンッ

幼馴染「いっつつ……生きてたの!?」

男「さぁ」

幼馴染「心配させないでよ……」

男「すまんな、飯にしようぜ」

幼馴染「……でね、ニュースで男のことかと思っちゃって」

男「そっかそっか、立ち読みしてたら遅くなってな」

幼馴染「これから大学が始まるんだから身体には気を付けてよ」

男「うん、お前が良い人見つけるまでな」

幼馴染「どういうことよ」

男「さぁ」

幼馴染「肝心なところいつも濁すんだから」

男「すまんな」

男「さて、ちょっと見回りに行くかな」

幼馴染「え?」

幼馴染「さっき帰ってきたばかりだよ?」

男「最近物騒だしな」

男「先のニュースより前の犯人もうろついてるみたいだし」

幼馴染「やめなよ」

男「義務なんだからしょうがない」

幼馴染「義務って……男が勝手に言ってることじゃん」

幼馴染「男まで私の前からいなくなったら嫌だよ」

男「……すまん、でも行かなくちゃ」

幼馴染「……もういい勝手にすれば!」タッタッタ

男「……」

部屋

幼馴染「……はぁ」

幼馴染「どうせいなくなるなら……今すぐ消えちゃえばいいんだ……」ボソッ

幼馴染「お姉ちゃん……」

幼馴染「どこにいるの……?」


2年前

『少女が森で行方不明になりました、年齢は19、見つけ次第こちらまで……』

幼馴染「……これって」

男「おい!幼馴染!」

男「お前んちのねーちゃん消えたって!?」

幼馴染「や、やっぱりこのニュースお姉ちゃん!?」

男「来い! 探しにいくぞ!」

幼馴染「危ないよ……!」

男「でもねーちゃんと今日約束してたんだよ」

男「だから俺にも責任がある」

幼馴染「えっ……」

男「早くこい!」


タッタッタ


タッタッタ


タッタッタ



幼馴染「はぁはぁ……お姉ちゃーん!」

男「ねーちゃーん!」

男「いないな……」

幼馴染「……約束ってどんな?」

男「はい?」

幼馴染「約束ってどんな約束してたの?」

男「何で今それ聞くんだよ」

幼馴染「だって……」

男「……あー……もう薄暗くなってきた……」

男「お前さき帰ってろ、俺もう少し探してる」

幼馴染「だ、ダメだよ! 危ないよ!」

男「大丈夫だって、ほら早く」

幼馴染「ダメ!」

幼馴染「お姉ちゃんいなくなったのに男までいなくなるなんてダメ!」

男「まだいなくなった訳じゃないだろ?」

男「もしかしたら」

幼馴染「もしかしたらじゃないよ! 一緒に帰る!」

男「……わかった、じゃあ30分待って来なかったら帰るんだ」

幼馴染「ダメ、今すぐか、私も一緒に行く」

男「いい加減にしろ!」

男「確かに連れてきたのは俺も悪い、でもこれ以上はお前まで危険に晒すかも知れないんだ!」

男「わかってくれよ」

幼馴染「でも……」

男「とにかく30分だ、それ以上経ったら帰れ、な?」

幼馴染「……」

男「じゃ」

30分後

幼馴染「男ぉ……」

幼馴染「……やっぱり先になんて帰れないよ……」

男「で、探しに行こうと?」

幼馴染「!」

幼馴染「戻ってたの!?」

男「あぁ、ねーちゃんはいなかったよ、帰ろう」

幼馴染「え、あ……あの……」

幼馴染(何でだろ……心配したのに言葉がでない……)

男「さ、おいで幼馴染」

幼馴染「う、うん……」

現在

チュンチュン

幼馴染「ん……朝……朝!?」

幼馴染「ヤバいいつの間にか寝てた!」


シーン


幼馴染「やけに静かだな……男は……」

幼馴染「……男ー!」タッタッタ

幼馴染「男?」

幼馴染「あれ、いない……」

幼馴染「鍵は開いてるし……まさか昨日から?」

幼馴染「………………うそ……昨日消えちゃえって言ったから………?」

幼馴染「ひっ、お、男!」

男「ん?」

幼馴染「うわぁっ!」

男「どうしたんだ」

幼馴染「い、いつの間に?」

男「いつの間にって俺を呼ぶ声が聞こえたから来たんだが」

幼馴染「……外まで?」

男「いや家にいたよ」

幼馴染「え? いなかったよね? 外から…………え? 鍵が閉まってる」

男「ボケたか?」

男「あと2ヶ月で大学生なのに大丈夫か?」

幼馴染「うん……多分……」

幼馴染「……?」

男「さ、朝食にしよう」

幼馴染「あ、今すぐ作るね」

男「目玉焼きにケチャップとしょうゆな」

幼馴染「それじゃお姉ちゃんと同じだよ」

男「?」

幼馴染「ん?」

男「あぁすまん、目玉焼き頼む」

幼馴染「うん!」

食事後

幼馴染「じゃあ私、友達と遊びに行くね」

男「あぁ」

幼馴染「出掛けるなら鍵閉めといてよ」

男「わかった」

幼馴染「あぁそうそう、昨日の犯人がすぐそこで目撃されたって」

幼馴染「気を付けてよ?」

男「そんなやつどうってことないさ」

幼馴染「じゃね」



幼馴染「ただいま」

幼馴染「うわっなにこれ!」

男「あ、おぉ……」

幼馴染「男!? どうしたの口からなにか出てるよ!?」

幼馴染「なにこの散らかりよう! まさか泥棒!?」

男「いやケチャップ」

男「泥棒ではないけど取っ組み合いしててな」

幼馴染「紛らわしい……って誰と?」

男「秘密」

幼馴染「いやいや」

男「すぐ片付けるよ」

幼馴染「説明してよ、どういうこと?」

男「秘密」

幼馴染「……」

幼馴染「そんなのはいそうですかって納得できるわけないよ」

幼馴染「説明して」

男「……意見が割れてな、お互い譲らなかったからここまでになった」

男「折衷案として大学は朝と夜でわけることになった」

幼馴染「……?」

男「すまん、ちょっと出てくる」

幼馴染「はぁ?」

幼馴染「こんな時間にどこ行くの?」

男「森の方」

幼馴染「何で?」

男「用事があるんだ」

幼馴染「……もうそんな嘘やめてよ」

幼馴染「まだお姉ちゃん探しに行くの? まだ約束のこと忘れられないの?」

男「いや……」

幼馴染「男に何かあったら今度こそ私……」

男「……ごめん」

幼馴染「男!」

男「大丈夫、死にはしないよ」

『速報です、森の外れで遊んでいた少年が何者かに銃殺されました』

『前回の報道より二度目の殺人と……』

幼馴染「ほ、ほら! こんなニュースやってるんだから!」

男「……」

幼馴染「やめて、ね?」

男「お前は俺のことが心配なのか? それとも、ねーちゃんの代わりの俺が心配なのか?」

幼馴染「え……?」

男「死にはしないよ、じゃ」

数分後

コンコン

幼馴染「男!?」

?「こんばんは」

幼馴染「えっ……と……こんばんは……」

?「そう警戒なさらなくても」

?「私はこういうものです」

幼馴染「案内人……?」

案内人「はいそうです、迷える死者の魂をあの世に案内する仕事の者です」

幼馴染「……」

案内人「ご安心を、宗教などではございません」

案内人「といってもまぁ信じてもらえないでしょうね、論より証拠、どうぞこちらへ」

幼馴染「け、結構です!」

案内人「んー……」

案内人「最近あなた疑問をお持ちじゃないですか?」

案内人「心寄せる人に対して」

幼馴染「!」

案内人「その疑問や不安を解消できるかもしれません」

案内人「私は神に支えし者、襲ったりなどしませんので」

幼馴染「でも……」

案内人「ここでついてこないと、恐らく後悔します」

案内人「準備ができたら、森の前の小さいが立派な橋の上にいますので」

幼馴染「……」

………

案内人「やぁやぁお待ちしておりました」

幼馴染「……ホントに私の……」

案内人「保証はできかねますが、疑問は解決できるでしょう」

幼馴染「……」

案内人「ではまず、どんな疑問を解消したいですか?」

幼馴染「……男が秘密にしていること」

案内人「それを知ってしまったらあなたはもう元には戻れませんよ?」

幼馴染「結構です」

案内人「幻滅する、信用できなくなる、気が触れそうになるかもしれませんよ?」

幼馴染「……結構です」

案内人「よろしい、では私のあとに」

森の外れ

案内人「ここには今殺人鬼がいます」

案内人「ニュースで流れましたね、そいつです」

幼馴染「はい」

案内人「時に幼馴染さん、あなたは死者の魂をこの世に留められると知ったらどうします?」

幼馴染「……どうもこうも、死者の魂なんて」

案内人「たらればの話です」

幼馴染「……私は」

案内人「それでも留めようとはしない、だってそれが死者に対する礼儀だから」

幼馴染「……」

案内人「素晴らしい考えですよ」

案内人「それを実行できたとしたらね」

幼馴染「どういう……」

案内人「アレをご覧なさい」

「やめろやめろやめろやめろやめろ…………やめろぉぉぉ!!」

「イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!」


幼馴染「ひっ……」

案内人「アレは失敗した者の成れの果て」

案内人「ああなっては二度と正気になることはないでしょう」

幼馴染「一体アレはなんなんですか!?」

案内人「己の身体器にし、死者の魂を閉じ込めた者です」

案内人「小さすぎる器に大きいものを無理に詰め込んだら壊れますよね、それと同じ」

幼馴染「あの人はどうなっちゃうんですか……?」

案内人「さらに大きい器を求めて人を殺し、さまよい続けます」

幼馴染「あの人と男が何の関係なんですか?」

案内人「先ほど申した通り、アレは失敗した者です」

案内人「まぁ成功する確率はダイスを振って同じ目が100回続くくらいですがね」

案内人「そして、その成功例が……」

男「何してんだ?」

幼馴染「! 男!」


案内人「おやおや、久しぶりですね」

男「何しにきたんだよ」

案内人「私は悩める方たちの声を聞いて現れます」

案内人「限られた条件下の悩みを持った者のね」

男「さっさと帰れ、二度と現れるな」

案内人「それはどうでしょう、では失礼」

幼馴染「お、男? どうしたの? 怒ってる……?」

男「何でもない」

幼馴染「ごめんね、疑って……でも」

男「いいよ、でもあの死神には近づくな、いい?」

幼馴染「……うん」

幼馴染「あ、あの人は……?」

男「ここらにはお前とあいつしかいないぞ、何言ってんだ」

幼馴染「いやそんなはず…………あれ……?」

幼馴染(叫び声がない……どうなってるの?)

月日は流れ2ヶ月後

男「支度は?」

幼馴染「バッチリ」

男「じゃあ行こう」

幼馴染「あ、待って」

幼馴染「忘れ物」

男「バッチリじゃないじゃんか」

幼馴染「ごめんね」

数分後

「うん、わかってる」

「幼馴染ちゃんをよろしく」


幼馴染「おーい」

男「忘れ物はないな」

幼馴染「うん、誰かと話してたの?」

男「テレビだよ」

幼馴染「そっか、いこ」

大学

幼馴染「田舎の大学だからか、人少ないね」

男「国から援助してもらってるし、別にいいんじゃない」

幼馴染「そうなの? なんで?」

男「国にとって都合の悪い人間を消すのに最適な場所だからな」

幼馴染「またまた」

男「実際年間10人は行方不明者が出てるだろ?」

幼馴染「んー……」

男「始業が始まるぞ」

………

幼馴染「長い!」

男「仕方ないさ、でも今日は終わりだから」

幼馴染「だよね、帰りにどっか寄ろ!」

男「そういえば近くに喫茶店が出来たんだってな」

幼馴染「そうそう、行こうよ、男持ちで」

男「今回だけだぞ」

男「あ、すまん、忘れ物」

幼馴染「あーいいよいいよ、待ってるよ」

男「先行っててくれ」

幼馴染「はーい」


幼馴染「さて……」


「アァァァァァァァアアアァァア!!」


幼馴染「えっ!?」ビクッ

幼馴染「な、なに今の……」


「やめてくれぇぇぇぇぇぇ!! アァァァァアアアァァア!!」


幼馴染「行かない方がいいんだろうけど……ええい!」タッタッタ

男「ダメだよ」

幼馴染「!?」

男「行っちゃダメ」

幼馴染「男……忘れ物は……?」

男「鞄に入ってた」

男「帰ろう」

幼馴染「……でも叫び声が」

男「さっきからここは静かだよ、きっと空耳」

幼馴染「……じゃあなんで止めたの?」

幼馴染「離してよ……助けにいかなくちゃ」

男「ダメ」

幼馴染「……」

男「……」

幼馴染「もう隠し事なんてやめてよ」

幼馴染「わかってるんだから……男が前と違うこと」

男「俺は変わらないよ」

幼馴染「……家に帰る、だから全部話して」

男「……」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月18日 (土) 22:36:05   ID: 1Gi5IVtx

はよ

2 :  SS好きの774さん   2014年11月08日 (土) 14:52:02   ID: -aN5iUre

へたくそ

3 :  SS好きの774さん   2016年03月13日 (日) 12:33:32   ID: fu43LWtb

気になりすぎる

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