小野田「え 勝負!?」御堂筋「薬局までや……」(35)


インターハイ編のネタバレ若干ありなのでアニメ組は注意

御堂筋「何にも残らんレースやったわ。インターハイ」シャー

御堂筋「……」シャー

御堂筋「!」

御堂筋「(うしろから誰かきとる。誰やこんな時に……)」

?「あ…あ…あの…。ぐ…偶然だね。み…みど」シャー

御堂筋「(うわ、話しかけてきた。ウザキモ!散れ!)」シャー


小野田「あ、あのっ、あ、みっ、御堂筋くんも買い出しですか!?」

御堂筋「!!」

御堂筋「(登りでついてきた…!?)」

御堂筋「(こいつ、千葉の総北の…ウザイ、量産型やないメガネ!)」

小野田「あ…と、とえーと、ボクは金じょ…いや部長さんに頼まれてですね!テーピングとスプレーをだすたんですけど」

御堂筋(だす?)

小野田「旅館の人に聞いたらでっかい薬局がこの先の山のとこの国境のところにしかないっていうことで自転車で……」

御堂筋「…………」

小野田「……」

小野田「話しかけずにす通りするのも悪いかなあ…って」

小野田「あの、思ったんですけど……」

御堂筋「…………」

小野田「…………」

小野田「御堂筋くん…あのひ、ひとつ聴いてもいいかな?」

御堂筋「(……何いっとんのこいつ)」

御堂筋「ダメや。気安く話しかけるな」

小野田「ま、前からすごく気になったたん…だけど…あ」

御堂筋「(ダメや言うとるやろ!!)」

小野田「ザ……」

御堂筋「(ウザ!!キモ!!キモ!!!キモ!!!!!)」


小野田
「『ザク』『ザク』言ってるけどアニメ好きなの!?」キラーン

御堂筋「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ハア!?)」

小野田「……」ガンミ

御堂筋「アニ?」

小野田「ザクは素晴らしいと思うんだ!
軍の底辺!ザクは量産型ゆえの機能美と強さがあるんだ!スゴイよね!
そしてそれをまとめている御堂筋君は……」

小野田「いわば、真紅の隊長機なんだよね!!!」ドーン!!

御堂筋「……」シャー

小野田「あっ」

御堂筋「……」スルー

小野田「…ご、ごめん。ザクくらい誰でも知ってるよね……早とちりしちゃって……」

小野田「気にしないで。もしかしたらって思っただけだから…」

御堂筋「(聞きたいことが…そんなことかい)」

御堂筋「アホか…」

御堂筋「(キモッ…)」




御堂筋「真紅で例えるならボクは”王立軍 人型兵器”2号機や」

小野田「!!!!!!」

小野田「み、御堂筋くん!や、薬局まで一緒に走らない!?」

小野田「ボク話したいことがたくさんあるんだ!山の上n」

御堂筋「アカン」

御堂筋「(『王立軍』…何言っとんのやボク。レースでつかれとるな)」

御堂筋「群れることにイミはない。走らない」

御堂筋「先に行け。それかボクが先に行く」

小野田「……」シュン

小野田「……ずっとボク1人で…アニメの話する人いなくて」

小野田「秋葉原まで毎週自転車で通ってたんだ!独りで!」

御堂筋「…………」

御堂筋「(くだらん)」

小野田「夏休みは……」



小野田「毎日通ってたんだ!!欠かさず!」

御堂筋「!」

御堂筋「(毎日…欠かさず… 夏…)」

御堂筋「・・・・・・・・・・・・」



御堂筋「そんなに勝負したいんやったらやったるわ」

小野田「え!?勝負!?」Σ

御堂筋「薬局までや……勝ったら、」



御堂筋「じっくりアニメの話したるわ」

小野田「……!」パァア

御堂筋「(まァ…「勝負」出来たらの話や)」

御堂筋「(次のカーブでちぎってそのまま……)」グォオオオ

御堂筋「(京都に帰っ……)」

小野田「・・・・・・!!!」グオアア

御堂筋「(!?!?)」

御堂筋「(付いてきよる…!!ちぎるはずがぴったりつけてボクの加速についてきよる!!)」

御堂筋「(しかも……)」

御堂筋「(キモイ!!笑うとる!!)」

小野田「うおああああああああああああ!!!」グルグルグルグルグルグル

御堂筋「!」

御堂筋「(尋常やないケイデンスでボクの加速についてきよる……!)」グオオオオン

小野田「ああああああああ!!!!」ギュイイイン

御堂筋「・・・・・・・」

御堂筋「(なんやこいつ……昨日今日と2回走り見たけど苦痛にカオゆがめとった…)」

御堂筋「(アレが…全力の走りやったはず…!!!)」

小野田「あああああああ!!!!」グルグルグル

御堂筋「(ええわ。ギア上げて一気に加速。次の右カーブでちぎる)」カチカチッ

御堂筋「・・・・・・・・」ゴォオアアアアアア

御堂筋「(さあ終わ……)」

小野田「あああああああ!!!」パアァ

御堂筋「!!!」

御堂筋「(なんやこいつ……!!)」グオオオオン

御堂筋「(笑とる時の方が…圧倒的に速いやないか!!)」コオオオオ

小野田「ハア……」ニコニコ

小野田「み、御堂筋君!」

御堂筋「(なんでや・・・・・・)」

小野田「速いね!!御堂筋クン!!」

御堂筋「(なんでボクはこんなんと走っとるんや?)」

御堂筋「(……何を確かめようとしとるんや?)」

御堂筋「(……ッ)」

御堂筋「(どのみち、このままいけばボクの勝ちや)」

御堂筋「(次のカーブで終わりや)」カチッ

小野田「ヒメ……」

御堂筋「!?」


小野田「ヒメ…ヒメ……スキスキ……」グルグルグルグル

御堂筋「(歌……やて?)」グオオオオ

小野田「ヒメ……!」ギュイイイイン

御堂筋「(こい…つ、歌い始めたとたんに)」グオオオオン

小野田「ヒメなのだっ!」ドッ!!

御堂筋「(ペースが上がりよった……!)」ギュウウウン

小野田「(やった!!並んだ!)」

小野田「ヒーメヒメ!!」ギュイイイイイン

御堂筋「(……ッ!アホなッ!)」グオオオン

小野田「大きくなぁれ!!魔法かけても!!!」ギュイイイイイン

御堂筋「(抜かれ・・・)」グオオオオオン

小野田「ヒメはヒメなの!ヒメなのだッ!!!!」ドッ!



―――薬局
小野田「ハア・・・・・ハア・・・・・」

御堂筋「・・・・・・・・・・」

小野田「や、っぱり速いね…荷物もあるのに……御堂筋クン」

御堂筋「・・・・・・・・・」

小野田「レースが…ハア……無いときに…ハア…また」

御堂筋「(どういうことや……!)」

小野田「やりたいな!」ニコニコ

御堂筋「(ボクが……こんなんと同着やなんて……!!)」

また来ます
良かったら支援しちくり~


御堂筋「……」

小野田「あ、あの」

御堂筋「引き分けや」

小野田「う、うん……」

小野田「『勝ったら』だもんね…だよね……」

御堂筋「……」

小野田「ホントに…あの……王立軍とかアニメの話できないの残念だよ……」

御堂筋「ちょっとだけ」

小野田「アニメの話ですか!?!?!」

御堂筋「ききたいことがある」

小野田「(ちがった…)」シュン

小野田「あ、はいなんでしょう…」

御堂筋「さっき勝負してるとき笑っとったのは勝ってアニメの話をしたかったからか?」

小野田「あっ、あ、気になりましたか!?すみません!勝負なのにふざけるなってコトですよね!?」

御堂筋「ちゃう」

御堂筋「単純に理由きいとるんや」

小野田「え…アニメの話もありますけど…」


小野田「なんていうかついつい、誰かと一緒に走ってると楽しくなって笑ってしまうんです」ニコッ

御堂筋「…………」

御堂筋「(自転車乗ると…楽しく?)」

御堂筋「(それで笑うって…単純すぎるやろ)」

御堂筋「キモッ……!」

小野田「どひゃーーー」

小野田「そうかな……やっぱり……」ショボーン

御堂筋「ほんなら歌っとったのもか?」

小野田「あ~~//」

小野田「あれはその……リ、リズムですかね?」

小野田「実は僕もよくわかんないんです……」


御堂筋「お前、ほんまキモイな」

小野田「うっ」

御堂筋「まあええわ。買い出しやろ?」

小野田「え?」

御堂筋「引き分けやったから買い出ししながらちょっとだけアニメの話したるわ」

小野田「!!!!」

御堂筋「(ボクはなにを言うとるんや……。……いやそれより)」

御堂筋「(……なんでボクは勝てへんかったんや)」


小野田「やったあぁぁぁぁああああ!!!」

御堂筋「……フン」

小野田「そ、それで御堂筋くんはどんなアニメが好きなの!?ロボットアニメは好き!?」

御堂筋「……まあ、そのアレや」

小野田「うんうん!」ウキウキワクワク

御堂筋「ザクの完成されたデザインにはロードバイクと同じものを感じ(中略)それこそがZaft Armored Keeper of Unityたるゆえんやねん」

小野田「わかる!わかるよ!世代を経るごとに少しずつ(中略)だからこそザクは軍の最下層でありながら量産型としての地位を…」

御堂筋「キモッ」

小野田「えー……」ガックリ

御堂筋「ホンマキモイな」

小野田「そ、そこまで…うう、そうか……そうだよね……」

御堂筋「買い出しも終わった。ほな帰るわ」

小野田「あれ、御堂筋くん何も買ってな……」

御堂筋「……」カシャン←自転車に乗る

小野田「待って!一緒に帰ろうよ!!アニメの話しなくてもいいから、ね?」

御堂筋「…………」

御堂筋「(もう一度走ればこのメガネがボクについてこれた理由がわかるんやろか)」

御堂筋「(もう京都帰る気ィなくしたし……試してみるか)」

御堂筋「……ええで」

国道
小野田「おああああああああ!!」ギュイイイン

御堂筋「……」グオオオオン

小野田「おおおおおおお!!!」ギュイイイイン

御堂筋「(やっぱりマグレなんかやないな……こいつ)」

御堂筋「(ホンモンや……!)」

**薬局にて**
御堂筋『ただし、条件付きや』

小野田『え?』

御堂筋『ボクの風よけになれ。ほんでボクに話しかけてくるな』

小野田『……うん!わかったよ!一緒に帰ろう!』

御堂筋『それから……本気で回せよ』

小野田『……!!』

小野田「ううおおおおおああああ」ニコニコ

御堂筋「…………」

御堂筋「(やっぱし坂道に入ると笑いだしよる……)」

御堂筋「(こいつの速さはなんや!?)」

御堂筋「(集中力?ちゃう、そんなもんやない)」

御堂筋「お前」

小野田「うおおおああああっ、?え?何!?」ギュイイイイン

御堂筋「キモくないな」グオオオオン

小野田「えっ!?なんて?ごめん、必死でっ」

御堂筋「話しかけるな言うたやろ!キモッ!」

御堂筋「(こいつもせおっとるんや)」

御堂筋「(何をかは知らんし興味ないけどな)」

御堂筋「もうええわ、ほなな」グオオオオン

小野田「ハア…もう慣れてたはずなのにやっぱりはっきり言われたら…」ボソボソ

小野田「ってええ!?待ってよ!」キコキコ

御堂筋「…………」グオオオオオン!!

小野田「あ……行っちゃった……」

小野田「平坦続くし追いつけなさそう…だなあ……」

小野田「でも……楽しかったよ、御堂筋くん!」

御堂筋「(あのメガネが何背負っとるかなんてどうでもええ)」

御堂筋「(けど、あいつから感じるんはそれだけやない。それは)」

御堂筋「(闘争心でも集中力でも潜在能力でもない)」

御堂筋「(ロード、それ自体の……楽しさ)」

御堂筋「キモッ」

御堂筋「(……でも、それも量産型やない、そこらにおるようなレベルとはちゃう)」

御堂筋「(それが結果的にボクと並ぶほどの実力を紡ぎ出したいうことか)」

御堂筋「(ボクは勝利への執念、あのメガネはロードを楽しむという気持ち)」

御堂筋「(それが結果的には純粋な強さになっとるいうことか……?)」


御堂筋「…………おもろいやないか」

御堂筋「……最終日、楽しみにしとるで」プククク

今泉「御堂筋と競争!?」

小野田「うん、結局引き分けで、帰りには平坦であっさりちぎられちゃったんだけどね」エヘヘ

鳴子「すごいやないか小野田クン!1年生とは言え京都のエースと並ぶやなんて!」

小野田「そんなことないよ、御堂筋くんは荷物も多かったしそれにそれにその」

鳴子「なんや?」

小野田「みんなと走ってる時みたいで楽しかったから!いいんだ!」ニコッ

今泉「…………くはっ」

鳴子「カーッカッカッカ!小野田くんはほんまに変わらへんなあ!まだ明日レースあるっちゅうのに」

小野田「ああ……思い出しただけで脚が…うおあ…」ガックリ

鳴子「うわー!小野田くんが死んだ!!手嶋さーん!!」

今泉「おい、勝手に殺すな」

小野田「え 勝負!?」御堂筋「薬局までや……」完

くぅ疲

支援ありがとございました
レース中心じゃなくて純粋にアニメを語らう二人を書くはずだったのにどうしてこうなった

では失礼

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