小野田「強虫ペダル」(45)

※一応注意事項

社会に溶け込むために人間の振りをしていた妖怪ペダル回し(クレイジーハイケイデンスモンスター)が本性を現した内容となっております

第二期アニメ化の前に第一期のあらすじを把握したい人には全く不向きな内容です。


・一年生ウェルカムレース


小野田「追いついたよ………今泉くん、鳴子くん! 一緒に走ろう!」ニタァァァアア

鳴子「ぴ、ぴぎィーーーーーーーー!?」

今泉「おぎゃぁぁぁああああああああ!?」


 小野田坂道。後に『妖怪ペダル回し』と呼ばれるロードバイク乗りの部活デビュー戦であった。

 ママチャリでの参戦。

 八分という絶望的なタイム差を埋めて、先頭の二人に追いついた小野田は、笑みを浮かべていた。



小野田「やっと………やっと追いついたぁ…………」ヒヒヒヒ

鳴子(来とる! ついて来とる!! バケモンか!! マジで杉元、桜井、川田の三人抜いてきおったんか!!)

今泉(てめーみたいな初心者がいるかクソがああああああ!!)

小野田「待ってよー」ニタニタ


 その笑みはさながら悪鬼のようであったという。


 ママチャリからロードレーサーに乗り換えた彼の走りは異次元のそれであった。

 水を得た魚、どころではない。

 むしろナントカに刃物であった。


鳴子「スカシィ!! 全力で回せぇえええ!!」ジャカッ

今泉「言われるまでもねぇよ!!」ガシュッ


 ギュオッ


小野田「あれー?」

鳴子(三人抜いてきたばっかや! ここで仕掛けりゃ、いくらあのバケモンでも千切れる!)

今泉(千切れろ、千切れろ、千切れろ、千切れろよ………マジでついてくんな)



 凡百の乗り手であれば影すら踏ませぬ速度で坂道を登っていく二人。


 しかし、心せよ、若きロードバイク乗りよ。


小野田「サイクリング?」ニコニコ

鳴子「」

今泉「」


 真正の化け物というのは、少年漫画には割といくらでも存在するのだということを。


小野田「タノシイ………ミンナト走ルノ、楽シイヨ!!」

鳴子「あ、っ、ああっ、あっ、ああああああああああああああああ!!!」シャカシャカシャカシャカ

今泉「う、うぉっ、お、う……おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」シャカシャカシャカシャカ


 二人の頭の中に、もはや後先などを考える余裕はなかった。

 怖い。怖い。怖い。

 『こんなもの』と一緒に走りたくはない。こんな名状しがたきおぞましいものから、逃げ出したい。

 スプリンターがゴール手前で見せるアタックもかくやというほどの速攻。

 故に、それは全くの無駄である。己の走りに自信を持っていた二人であったが、それ故の過ち。


 そう、彼から離れたいのであれば。


小野田「全力で駆け抜けー加速してー♪」フンフフーン

鳴子「」

今泉「」



小野田「just going」ニタァ



鳴子「うわあああああああああああああああああああああ」

今泉「ふぎゃああああああああああああああああああああ」



 さっさとペダルを廻すのを止めればいいのである。



……
………


異名:妖怪ペダル回し(クレイジー・ハイケイデンス・モンスター)

生態①:山間部などの登りで頻繁に出没し、自転車乗りのケツにべったりと張り付いて笑顔を向ける。(相手の心は折れる)

生態②:どんな上り坂でもニコニコしながらついてくる上に相手の速度が落ちると「どうしたの? 具合でも悪いの? 本気出していいんすよwwww」と煽ってくる。(相手の心は折れる)

得意技①:坂道の斜度や現在の回転数に関係なくケイデンスを30回転上げる。(相手の心は折れる)

得意技②:互角の勝負やスタミナ切れなどを巧妙に演出して自らが人類であることをアピールする。(相手の心は折れる)

得意技③:放課後帰宅時から夕飯までの限られた時間内でアキバまでの往復90キロの道のりをママチャリで走破しつつオタク趣味を満喫する。ロードバイク乗りの心は折れる。

対策:妖怪ペダル回しが目の前を走っている間は安全。抜き去った途端に笑顔で牙を剥く。相手の心は折れる。

名言:小野田「僕は(人間に)友達いないから」相手の心は折れる。


 一年生ウェルカムレースの山岳賞は小野田が獲る。

 そんな小野田は、山頂を獲ったところでリタイアを宣言した。

 スタミナ切れなどではない。

 彼の凶悪なペダル回しによる負荷により、ペダルが破砕したが故のリタイアであった。


金城「よ、よく、やった………」


 部長である金城は、立場上、彼を誉めねばならない。その笑顔はひきつっていた。


金城「だ、だがな、も、もう少しなんというか、こう………手心というか」

小野田「目の前を走っていたら仲間であろうと即千切る。それがロードレースなんでしょう?」ニコォ……

金城「………?!(な、なんなんだこいつのプレッシャーは……?!)」

寒咲「/////」キュンッ



……
………


………
……




 三年による指導練習にて、小野田を指導する立場にある巻島裕介は戦慄していた。


巻島(なんなんッショ、こいつ………)

小野田「スゴいです、巻島さん!」グルグルグルグル

巻島(さっきからこっちをベタ褒めしてる………だけど、どんなに速度上げても―――――)ギュオンッ

小野田「カッコいいです! 巻島さん!」グルグルグルグル



巻島(引 き 剥 が せ ね え ッ シ ョ)ガーン



 ここに来て巻島は、小野田という存在が化け物であることにようやく気づく。

 クライマーが来たことでインターハイの勝利も見えて来た矢先の事であった。


巻島(クライマーが入部したことは喜ぶべきことッショ………コイツがいれば、インハイで東堂と闘れる………なのに)

小野田「どうしたんですか、巻島さん? 僕に気を使ってゆっくり走らなくてもいいんですよ?」

巻島(なんで歯の根が合わないッショ、オレ………)ガタガタ

小野田「これは本気出さなきゃ意味がない練習なんですよね………?」

巻島(ふざけんな……すでに心拍八割のペースで走ってるッショ………おめーが速すぎるッショ………し、しかも)

小野田「僕なんかに気を遣わずとも………」ニコニコ

巻島(笑ってやがるッショ………)

小野田「本気出して―――――いいんですよ?」ニタァ

巻島「ッ………!!(上等ッショ、一年坊!!)」クワッ


 巻島の走りに変化が現れる。

 大きく車体を左右に揺らして走る我流走法は、玉虫色の彼の頭髪が揺れる不気味な様であった。

 しかし、速い。

 誰が呼んだか人呼んで『頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー)』。


小野田(これが………三年の先輩。ピークスパイダー・巻島か………)ジーッ

巻島(見てる………ケツにぴったり張り付いたままオレを見てきてるッショ………いつでもオレを抜けるってかァ!?)ギリギリギリギリ

小野田(乗っているバイクは………TIMEか)ジーッ

巻島(ッ!? ち、千切れねェ………全開で踏んでるのに、なんて野郎ッショ………)ゼェゼェ

小野田(たしかTIMEというメーカーはどれもこれも高級なフレーム販売だった筈……成程、コレか)カチカチ

巻島(!? て、手放しで、スマホ弄り始めたッショ!? な、ナメてんのか!!)ハァハァ

小野田(VXRS ULTEAM WORLD STAR………フレーム価格だけで70万!? ホイールやコンポ含めりゃ100万を優に超える……だと……?)カチカチ

巻島(ク、クソッ! こ、コイツ、呼吸が全く乱れていないどころか汗ひとつかいてねえ………この激坂でどういう筋力してんだァ!? なんなんッショマジで!?)

小野田(ククク、金持ちの坊ちゃんといったところか………)ニィィィイイ

巻島(なんで笑った?! 何を調べた!? 何を調べたッショ!?)

小野田(いい財布になりそうだな………)クックック

巻島(怖いよぉ………)ポロポロ


 そうして巻島の心は折れた。


・夏の合宿編


鳴子「ワイのピナレロが赤ザク仕様にィィイイイイイイイ!?」


 4日で1000キロ走破を言い渡された矢先、早々に鳴子章吉の絶叫が響き渡る。


小野田「ツノ付だよ? 真っ赤で強そうでしょう? 前方に走る奴のケツをそれで抉って蹴散らせばいいよ!」ウフフ

鳴子「そういう競技やないわアホかッ!! なんつーアホバイクやッッッ! つーかフツーにレギュレーション違反や!!」

金城「シャア専用ピナレロだ………ちなみにヘルメットも特注だ。この合宿の間はこれをつけて走れ」スッ

鳴子「それヘルメットちゃう仮面や!!」

金城「め、目立つの………好きだろ………?」

鳴子「こっち向いてしゃべれや!!」


 小野田はガノタであった。(ガンダムオタクの略)


今泉「お、俺のスコットのハンドルが………まるでブルホーンバーみたいに………」

小野田「グフカスタムの肩の突起をイメージしてみたんだ。すれ違いざまに敵のケツをそれで抉って蹴散らせばいいよ!」ウフフ

今泉「だからそういう競技じゃねえからコレェ!! レギュレーション違反だっつってんだろ!!」

金城「グフカスタム仕様スコットだ………そしてお前のヘルメットも特注だ。この合宿の間はこれをつけて走れ」スッ

今泉「それヘルメットじゃねえよ!! ヅラだよ!! しかもハゲの!!」


 小野田はガノタであった。特に宇宙世紀が大好きである。


通司「ちょっと………弄らせてもらったよ………」ドヨーン

鳴子「!?(なんや寒咲さんのあの生気のない顔は?!)」

今泉(ま、まさか、こ、こいつ………小野田………!!)」


 総北高校OBであり、何かと自転車部に融通してくれる自転車屋、寒咲通司はレイプ目だった。

 時は一週間ほど前に遡る。


……
………


………
……



小野田「メカニック………この設計書通りに二人のバイクを改造しろ」

通司「えっ」

小野田「金は巻島家もといチャリネット巻島が負担する」

巻島「」

小野田「できるな?」

通司「」

小野田「やりたくねーんならやめろ。やりてーんならやれ」

通司「ファッ!?」

小野田「やりてーのにやらない。こんなバカな話はねえ!」

通司「人の名言を汚すな!!」

小野田「断る気か? ならこちらにも考えがある………」ククク

通司「な、なんだ、脅す気かてめえ………」



小野田「どうしても貴様が断ると言うのならば是非もない………このサドルに」

通司「さ、サドルに?」ゴクリ



小野田「貴様の妹の………寒咲さんの処女マ○コを捧げさせたいのならば…………いいだろう。笑顔で断るがいい」ニタァァアア

寒咲「お、おにぃ、ちゃぁん…………///」ビクンビクン




通司「」

小野田(まあとっくに僕ので貫通調教済みだが)ククク


 妖怪は夜もペダル回しになるのである。


通司「やりゃいいんだろちくしょおおおおおおおおおっ!!」ポロポロ

小野田「おい、通司………」

通司(呼び捨て!?)

小野田「やらせていただきます………だろ?」

通司「ッッッ………!!」

小野田「ちょっと仕事するだけで金が手に入り、妹の貞操が救えるんだ………嬉しそうにしろ」

通司「」

小野田「笑顔で六角レンチを回せ………いいな」ニコリ

通司「…………や、やらせて、いただきます」ポロポロ

小野田「そうか、泣くほど嬉しいか」ニコォ……

通司(あ、悪魔だ………総北の眼鏡の悪魔………)ブルルッ

小野田「それとあのクロモリな、返すわ」

通司「アッハイ」

小野田「その代り――――コイツを貰う」ユビサシ

通司「エッ」


 小野田が指さす先、納車して組み上げたばかりのBMCがあった。


小野田「クライマーにゃ軽いバイクが必須だ。得意分野は登りだっつーのに、ただでさえ重いクロモリとかアホか」

通司(そ、そりゃそうだけど! そうだけど!!)

小野田「料金はチャリネット巻島もといショ先輩にツケておいてくれ」

通司(返答も待たず持っていきやがった………ちくしょう、ちくしょう………)エグッエグッ

通司「…………ひっく、ひっく」ポチポチ

通司「…………」トゥルルルル、トゥルルルル


 ガチャ


巻島『はい、なんスか寒咲センパ――――』

通司「――――あ、チャリネット巻島か? BMCの代金の支払いなんだけど」

巻島『』



……
………


………
……



 なんやかんやで合宿一日目が終了した。


鳴子(お、終わった………1日目が……ようやっと終わった………)

今泉(眠ろう……泥のように眠ろう……)


 特に疲労困憊である二人。無理もなかった。あんな痛車仕様のロードバイクなど風の抵抗をモロに受けて、速く走れるはずもない。

 それでも一日当たりのノルマ250キロを走破している当たり、二人もまた並でない自転車乗りであった。


鳴子「おやすみな………って、小野田くんどこや? おらへんがな」

今泉「そうだな………ん? なんか声が聞こえないか?」


鳴子「な、なんや? 脅かす気ぃか? ゆ、幽霊なんかいるわけないやろ……」ドキドキ

今泉「いや、そうじゃなくて、隣の部――――」


小野田「鳴け」パンパン

幹「あっ………あふっ、あ…………だめ、だめぇっ………/////」ギシギシ


鳴子「」

今泉「」


 繰り返すが、妖怪は夜もペダル回しである。


小野田「どうした? 声を押し殺したりなんかして」ククク

幹「だ、だってっ………んぁ、と、隣にっ………聞こえちゃッ……ッぁ~~~~~~ッ!」ビクンビクン


鳴子(聞こえてます)ウワァ

今泉(う、嘘、だろ………なんで、寒咲と………)ガクガク


幹「はぁ……はぁ……」ビクビクッ

小野田「イッたのか………全く」パァン!

幹「っあああっ?!」

小野田「僕がここにブチ撒けてやる前に、先にイくとは………厭らしい子だ………」

幹「ッぁ、んぅあああ………ごめんなさいっ、ごめんなさいぃぃっ………//////」アンアン

小野田「先に果てた罰だ………いつものように、甲高い鳴き声を上げろ………隣にもハッキリシッカリ聞こえるような大声でな」クックック

幹「は、はひぃっ………! い、いいッ! いいのぉっ! 小野田くんのハイケイデンスち○ぽいいのぉおおおっ!!!」



鳴子(なんやハイケイデンスち○ぽて………ツッコミ待ちか、そうなんか? ツッコまんで! 関西人でもドン引きやわマジで!)

今泉(聞こえない聞こえない俺は何も聞こえてない密かに思っていた幼馴染の聞いたこともない切なげな喘ぎ声なんて聞こえない違う違う俺は負けてない俺はNTRてなんかいない聞こえない聞こえないんだよおおおお何も何も何も何も何も先頭は静かだ)ブツブツ

小野田(そもそも寝とる寝取られ以前に、お前に芽はないもんなァ、弱泉クゥン)

今泉(直接心に語り掛けてくるんじゃねえええええええええ!!!!)


 そうして一日目、二日目と合宿での練習の日々は過ぎていくのであった。


・合宿三日目。


 凡人代表、手嶋純太は追い詰められていた。

 言うまでもなく、相手は例の妖怪である。


小野田「どうしたんですか、手嶋先輩………FXで有り金全部溶かしたような顔してますよ?」

手嶋「」


 小野田は手嶋を抜いた後、抜き返されてはまた抜き、抜き返されてはまた抜きを繰り返していた。

 互いの実力が接戦しているわけではないことに気づいたのは、そうしたやり取りが五回ほど繰り返された後の事である。

 小野田は、手嶋という存在をこれっぽっちも認めていなかった。

 努力? 努力すれば誰もが一位になれるとでも? 物事の優劣を競うために競技がある。点数がある。試験がある。

 そんなシビアで残酷な世界なのだ。

 そこを何の才覚もなく実力も伴わないクズが現れたとき、小野田は一切容赦をしない。


今泉(………もうこれ、先が見えたな)

鳴子(あ、これアカンやつや)


手嶋「ち、畜生………だ、ダメだっていうのかよ、凡人が、夢を見ちゃ、いけないっていうのかよ………」ゼェゼェ

小野田「凡人でもいいじゃないですか」

手嶋「え?」ハァハァ

小野田「気にすることないですよ、凡人でも」

手嶋「お、おの………」ウルッ


小野田「凡人は―――――才能のある人間には絶対に勝てない。それが当たり前だからです」


手嶋「」←FXで有り金全部溶かしたような顔

小野田「気にすることはありません。気に病むことはありません。気を落とすことなんかないんです」

小野田「才能の差が結果の差。才能は生まれついてのものです。決して覆りはしないんです。凡人が努力する間に、天才も努力をする。故に天才が勝つ」


小野田「子供でも分かる理屈です。それが当たり前なんですから―――――諦めもつくでしょう?」ニコニコ

手嶋「(´;ω;`)」ブワッ

鳴子(出よった……悪小野田くん)

今泉(相手が揺れた瞬間、ここぞとばかりに小野田は相手の心を折りに来る……アレは辛い……)


鳴子(しかも一度上げたと思わせておいて一気に奈落の底に落としに来よる………絶対に上司にしたくないタイプや)

今泉(いつもお前は俺の想定した最悪の少し斜め上を行く……まるで悪魔だ)



手嶋「ま、まだ、ま………まだだァアアアアアア!!!」シャカシャカシャカシャカ

小野田「涙ぐましいですね。感動的ですらある」グルンッ

鳴子(パーマ先輩……あんた強いで。小野田くんの揺さぶりで折れないだけ、マジでたいしたモンや。けど、その辺にしといたほうがええでイヤマジで)

今泉(手嶋さん、もうやめるんだ……早めにあきらめた方が傷は浅い。目を閉じて、耳を塞いでいたほうがいい)


今泉&鳴子(俺達の時もそうだった(やった))



 この時、今泉と鳴子の思いは、奇しくも一致していた。




今泉&鳴子(小野田坂道―――――あいつの得意分野は、『 追 い 打 ち 』 だ)


小野田「凡人でも努力すればエリートに勝利できる……?」グルグルグルグル

手嶋「!?」

小野田「なんのファンタジー小説ですか、それ?」グルグルグルグル

手嶋(け、ケツに張り付いて………こ、こいつ!)

小野田「ひめ……ひめ……」グルグルグルグル

手嶋(離れろッ! 離れろよォオオオオオ!!)

小野田「すきすきだいすき………」グルグルグルグル

手嶋「ヒィギィイイイイイイイイイイ!!!?」

小野田「KILL羅KILL羅輪………」グルグルグルグル


鳴子(ヒィイイイイイ)ガクガク

今泉(イヤァアアアア)ブルブル


手嶋(は、離れねえ………速度を上げても、下げても、一定距離で………)ゼヒーゼヒー

小野田「手嶋さん。僕から見て、手嶋さんには足りないものがあります。なんだと思います?」

手嶋(た、足りない、もの………?)カヒュッカヒュッ


小野田「自 転 車 の 才 能 で す よ」


手嶋「」ボキッ

今泉(こ、壊しにかかった………)ガクガク

鳴子(もう見てられん………)ブルブル

手嶋「あっ……あっ……(た、溜めていた足が……もう)」ガクガクブルブル

手嶋「うっ、あっ………い、ぃ、や、だ……いやだぁ………(ち、違う。俺の脚、ふ、震えて………)」

小野田「ひょっとして手嶋さん――――まだ自分がインターハイに出れる可能性があるとでも思っているんじゃあないかね……?」グルグルグルグルグルグルグル


手嶋「おぎゃあああああああああああああ!!!」バッキャアアアン


今泉(あ、折れた)

鳴子(折れたな)



 オギャアアアアアアアアアアア………


青八木「!?(純太の……悲鳴?! 後ろで、何が―――――)」クルッ

小野田「ドーモ、青八木サン。ペダル=マワシです」

青八木「」

小野田「知らなかったんですか? ――――妖怪からは逃げられない」


青八木「おぎゃあああああああああああああああああああああああ」


小野田「弱虫のHONOO♪」


田所「」

金城「」

巻島「」


 合宿三日目、終了。

 手嶋・青八木――――再起不能(リタイア)。


………
……


 合宿四日目。


小野田「ほぉれwwwwほぉれwwwww」

幹「だ、だめえええっ! こ、壊れっ、ちゃっ………」アヒンアヒン


 三日目で1000キロ走破を達成した小野田は、寒咲幹と野外ファックに興じていた。


田所「」

金城「」

巻島「」

今泉「」

鳴子「」


 幹の嬌声が響く雨天の中、走り続ける他の自転車乗り達。

 その瞳はまるでスリガラスのように光を失っていた。


………
……


・合宿終了後


金城「レ、レギュラーメンバーは、俺、田所、巻島。一年から今泉、鳴子そして…………お、小野田」

小野田「えぇーーーっ! ぼ、僕ですかぁ!?」

今泉(白々しい)

鳴子(もっと演技しろや)


 こうして総北高校のインターハイメンバーは決定した。

 しかし彼らの戦いはまだまだこれからだ。

 箱根インターハイ――――灼熱の三日間が始まる。



第一部――――総北高校制圧編・完。

【おまけ】


小野田「待つでござるよwwwwww今泉氏wwww鳴子氏wwwww」


今泉(うわぁ………)

鳴子(うわぁ………)


小野田「ウッヒョイお二人の驚き顔いただきましたコレwww」



小野田「僕がガチオタだったら」


【完】

※なんていうのかな、こう、インスピレーションっていうか、その場のノリっていうか、うん、深夜ってこういうテンションになる時があるじゃん?

 弱ペダ好きの友達に見せたら『お前を殺す』と言われたやつを衝動的に投下したっていうか。


 なんか、ごめん。

※なんか纏められちゃったので、別スレで続き書きます。

 弱ペダ好きもとい寒咲幹ちゃん好きの友達も『殺されたくなかったらまともな続きを書け。あと幹ちゃんに酷いことしたら殺す』というので、頑張ろうと思います。

 でも友達は何であんなに怒っていたんだろうなあ。ぼくにはとてもわからない。

 こんなに幹ちゃんが可愛く喘いでいるのになあ。ぼくにはとてもわからない。

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