右京「平成仮面ライダーで好きな作品は……クウガですかねぇ」 (72)

ー回転寿司屋ー

 小野田「ふーん、具体的にどういうところが好きなのかしら」

 右京「やはり話の軸がぶれず、芯がしっかりしているところでしょうか。そしてクウガは仮面ライダーの中では

  かなりリアリティ感を追及している節があります。それに主役の五代雄介を始め、登場人物たちみな
  立派な人格者たちばかりなのも個人的には評価出来ます。他の作品をけなすわけではないのですが、
  クウガは児童向け番組の理想的な形をとった良作だと僕は思っていますよ」

 小野田「やっぱりね」

 右京「はいぃ?」

 小野田「お前ならきっとそう言うと予想してたんだよ。一番お前が好みそうな勧善懲悪ものの内容だしね」

 右京「多かれ少なかれ、仮面ライダーはどれも勧善懲悪ものだと思いますが……。まあそれはいいでしょう。
  そういう官房長は、なにかお気に入りの作品はありますか?」


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小野田「僕?僕はね、あれですよ、龍騎」

右京「ほう。差し支えなければ、理由をお聞きになってもよろしいですか?」

小野田「今までのライダー作品とは一線を画す斬新な設定が良いよね。なにせ単なる正義VS悪ではなく各々自身の願望を叶えるために殺し合うというある意味、過去の怪人軍団よりも自分勝手な動機で戦うんだもん」

右京「それは称賛なさってるのでしょうか?」

小野田「もちろん、褒めてますよ。なんでそんなこと尋ねるの?」

右京「あんまり褒めてるようには聞こえなかったものですから」

小野田「モグモグ……あらこのイクラ前に食べたときよりも美味しい」

右京「官房長」

小野田「ああ、はいはいちゃんと話は耳に入ってますよ。うーん、自分勝手っていうのはちょっと語弊があるかな。それぞれ別の正義のために戦ってる……って言ったほうが正確かもね」


右京「ええ、僕も龍騎のそういうところには好感が持てます」


小野田「でしょ。あと僕はあいつが好きなの。北岡さん。あの人は良いよ。飄々としてつかみどころがないところとか僕にソックリじゃない?」


右京「官房長がつかみどころがない人物、という点は同意しますが北岡さんと官房長が似ているというのはどうも……」


小野田「あら?どうして」

右京「北岡さんは官房長ほど腹は黒くないかと」


小野田「ずいぶんひどいこと言ってくれるじゃない杉下。そんな発言しちゃうんならもう『これ』をあげるのはやめちゃおうかな」スッ


右京「!それは……」

小野田「この前偶然手に入ってね。なんだかんだでお前とは長い付き合いだし譲ってやろうと思ってたんだけど」


右京「…………」


小野田「うーん、どうしようかなぁ……。そうだ、一つお前に依頼しようかな」


右京「依頼とは?」


小野田「僕の情報網によると結構警視庁内ではやってるらしいのよ。平成仮面ライダーが」


右京「初耳ですねえ」


小野田「そりゃあお前がいる部署はほら、特命係だから。あんまり他の刑事たちと会話することないでしょ?最近はこれといった難事件も起きないからお前も捜査に首をつっこまないし」


右京「なるほど、納得のいく答えですね」

小野田「それでさ、出来るだけ調べてきてほしいのよ。警察内ではどの平成ライダーが人気なのかをさ。ついでに好きなキャラとかも聞いてきてほしいね。理由とかも込みで」


右京「僕に頼まなくても、ご自身の部下をおつかいになればよろしいのでは?」


小野田「いやいや、それがそうもいかないわけよ。だってさ考えてもみてよ。官房長官がわざわざ手先をつかって特撮番組の人気調査を行うんだよ。マスコミにでもばれたらいい餌食になっちゃうじゃない」


右京「まあそうでしょうねぇ」


小野田「だからお前に頼むの。お前なら表沙汰にばれても、古い友達同士の戯れってことで済むからさ」


右京「お言葉ですが僕と官房長が友人になった記憶はありません」

小野田「きみさ、最近僕に冷たくない?」ガタッ


右京「そんなことはないですよ」


小野田「そうかしら。まあいいや。そういうわけだからよろしく頼むよ。ちゃんとしらべてきてくれれは『これ』はあげるからさ」


右京「仕方ありませんね、わかりました。それから……」

小野田「ん?」

右京「これで何度目になるかわかりませんが、皿は戻さないようお願いします」ガタッ

ー翌日ー


右京(ああは言ってみたもののどうしましょうかねぇ)


右京(官房長は八~九人程度の刑事に話を聞ければ充分とおっしゃってましたが世間話をするほど親しい相手はそんなにいないですし……)


亀山「おはようございます」


右京「おはようございます」


亀山「いやぁもうすぐ春だってのに今日は寒いッスねえ」


右京「そうですねぇ」


亀山「…………」


右京「…………」


右京「少し質問があるんですがよろしいですか?」


亀山「あ、はい、なんですか」


右京「きみ、仮面ライダーという特撮番組は知っていますか?」


亀山「ええ、そりゃあもちろん。国民的作品ですから。それがどうかしたんですか?」


右京「実は官房長からとある命を受けまして……」


右京「カクカクシカジカ」


亀山「それはまたずいぶんと突飛な依頼をされたもんッスねぇ」


右京「まったくです。ところで亀山くん。きみ平成ライダーについてはどの程度の知識を持ち合わせているのでしょう?」

亀山「一応一通りの作品は見てますよ。ガキのころからああいうヒーローものには目がなかったもんですから。美和子もイケメン俳優目当てでDVDを結構レンタルしてるんですよ」


右京「それは幸いです。ではまず手始めにきみにお尋ねします。好きな作品・キャラはなんでしょう」


亀山「そうッスね。作品はフォーゼ。キャラはウィザードの仁藤攻介ですかね」


右京「理由もお願い出来ますか」


亀山「フォーゼはやっぱり主役の弦太朗がいい味出してると思うんですよ。今どき珍しいまでの熱血バカで、絵にかいたような熱い男。敵のゾディアーツのデザインも俺の琴線に触れましたし」


右京「なるほど。いかにも亀山くんらしい回答ですね」


亀山「?どういう意味ですか」

右京「いえ、フォーゼを拝見していたときに如月弦太朗ときみとがだぶって見えることが多々あったものですから」


右京「やはり自分自身と主人公が似ているとその作品にも愛着が湧くものなんだなと得心していたところです」


亀山「いやいや、俺あそこまで脳みそバカじゃないですよ」


右京「そうでしょうかねぇ。それはそうと亀山くん」


亀山「はい?」


右京「きみは今、弦太朗のことを脳みそバカと評しましたがそれはTV本編の中だけでの描写です。冬映画のMOVIE大戦アルティメイタムでは大学を出て教師になっていました。それを考えるに地頭はあったと僕は思いますよ」


亀山「はぁ、いやぁ相変わらず右京さんは……」


右京「細かいところを気にしますね、そう言いたいんでしょう?わかっています。僕の悪いクセですから」

右京「続いていきますよ、好きなキャラは仁藤攻介ですか」


亀山「ええ、弦太朗と迷ったんですけど。仁藤は弦太朗と違って熱い中にも冷静さみたいなものがある印象なんですよ」


右京「確かに。彼は考古学を習う大学生ですからね。なにかを研究するときには冷静力はかかせないものですから」


亀山「それに面倒見が良いところも好きですね。譲くんを弟みたいな感じでかわいがってましたし。あと最終局面で笛木の野望を打ち破ったシーンなんか仁藤カッケーってなりましたよ」


右京「ええ、それは同感です。二号ライダーは終盤戦力外になることが多い中、彼は最後に大仕事をやりとげました」


角田「よっ暇か?」

亀山「あ、課長おはようございます」


角田「ああ、おはようさん。二人してなに楽しそうに会話してるのさ?俺も混ぜてくれよ」


亀山「そうだ、課長にも聞いときましょうか」


右京「そうですね。アンケート人数は一人でも多い方が良いですから」


角田「ええ、なに、俺にインタビューとるの?いやぁ照れるな、なんか有名人になった気分だよ」


亀山「課長。質問は一つだけです。好きな平成ライダー作品・キャラを返答して下さい」


角田「?なんだってそんなこと尋ねるんだ?」


亀山「いいから答えて下さいよぉ。そもそも課長平成ライダーってなんのことかわかります?」

角田「当たり前だろ、なめてもらっちゃ困るね。今警察内で大流行中なんだよ?俺がそんなはやりにうとい人間に見えるかい?」


亀山「いーえ、なんたって課長はバリバリのミーハーですもんね」


角田「そうそう、基本俺は話題になっているものしか興味を示さないから」


亀山「あら……。冗談だったのに認めちゃったよこの人」


右京「課長、それでは亀山くんの問いには答えられますね」


角田「ああ、好きなのはアギト。キャラクターは……。クウガの桜子さんかなぁ」


亀山「課長、今完全にどの女性が好みかを考えてたでしょ」

角田「あ、ばれた?まあ良いじゃないの。それに別に下心だけで桜子さんを選んだわけじゃないんだよ」


右京「と言いますと?」


角田「基本的に他のヒロインってさ、物語のキーパーソンキャラだったりはするけど戦闘のときには正直あまり役にたってないことが多いじゃない」


角田「でも彼女はさ碑文の文字を解読してズ・バヅ・バー戦で五代に助言したりしてるじゃん、そういうところが良いなぁって。なんか二人で切磋琢磨しながら仕事してるみたいでさ」


亀山「ふーん、課長の理想の夫婦像はそういうのなんですか」


角田「いやいや亀ちゃん、なんでそこで夫婦の話になるのさぁ。それとこれとはまた別物だよ」


亀山「はぁ。なんかよくわかんないッスね」

角田「あ、そうだ夫婦っていや、うちのかみさんも俳優目当てで仮面ライダー見てるんだよ。レンタルショップで大量に借りてくるもんだから置き場所に閉口しちゃてさ」


右京「おやおや、どこかで似たような話を聞いた気がしますねぇ」


亀山「ハハハ……。奥さんはなにか好きな作品でも?」


角田「うーん、はっきり本人が口にしたわけじゃないけど多分、作品の内容とかは重視してないと思うんだよな。さっきも告げたけど目的は俳優だからさ」


角田「その証拠に先週の仮面ライダーを一緒に見てたときにタイプワイルドのことを黒いドライブなんて言ってたし」


亀山「ああ、そりゃあダメだ。多分戦闘シーンとかは流し見しちゃてるでしょうね」


右京「まあ娯楽ものですから楽しみ方は人それぞれではありませんか」


亀山「うーんでも俺としてはちゃんと丸々全部集中してご覧になってほしいですね課長?」

角田「いや、俺に振られても困るよ。あ、そうだアギトが好きな理由はね……」


亀山「逃げましたね」


右京「ええ、見事なまでに」


角田「やっぱ群像劇が見事なまでにはまってたところかな。仮面ライダーである津上翔一、仮面ライダーになろうとする氷川誠、仮面ライダーになってしまった葦原涼、三者三様の物語が見れるからお得感があるんだよね」


亀山「それはわかります。しかもその物語が三ついっぺんに交錯するときがあるのが面白いですよね。アギトVSG3VSギルスの三つ巴対決は胸が熱くなりました」


右京「あかつき号事件関連の伏線が一気に回収された42話なども素晴らしかったですねぇ。刑事である僕としては北條さんが自身の先輩に引導を渡した19話なども感慨ぶかいものがありました」


角田「ああ、俺も北條のやつが先輩を逮捕するシーンは好きだな。推理のところも結構ちゃんとしててさ、あそこだけ抜き取ると刑事ドラマを見てるみたいだったぜ」


亀山「今まではただの嫌味野郎としか思わなかった北條さんのイメージがあのシーンでだいぶ変わりましたよね。ちゃんと正義の心は持ってたんだって」

角田「そうだよな。やっぱアギトはいいよなぁ。最後の5話は蛇足ってよく言われてるみたいだけどあれがないと『ただの人間だ!』の名言は生まれなかったわけだし、それに真魚ちゃんも可愛いしなぁ」


亀山「課長、急に関係ないこと言うのやめて下さいよぉ。ってか課長も実は奥さんと一緒で女優メインで仮面ライダーを……」


角田「いやいや違うって!」


亀山「必死で否定するとこが怪しいですね」


角田「いや本当に、そういういやらしい目で見てるわけじゃないんだってさ!」


米沢「なにやら盛り上がっておりますな」

亀山「あ、米沢さん」


右京「これはこれは、今日はまたどういったご理由でこちらに?」


米沢「ええ、実はこの前お借りした落語のCDを返却に参りました」


右京「それはどうも、わざわざご足労をおかけしました」


米沢「いえいえ、それよりこの部屋に入る前からアギトだの北條さんだのという単語が聞こえておりましたよ。ずいぶんとライダー談議に花が咲いていたようですな」


亀山「ああ、結構でかい声で喋ってましたもんね俺ら」


右京「僕はいつもと変わらない声量でしたよ。大きな声を出していたのはきみ一人だけです」


角田「そうだよ亀ちゃん、さり気なく俺たちまで共犯者扱いしないでくれよ」


亀山「共犯者って……。なんか俺だけ悪いことしたみたいじゃないですか」


角田「フフン、さっき俺を責めたお返し」


亀山「うう……。すみませんでした」

右京「そういえば米沢さん、あなたも仮面ライダーをご覧になっているんですか?」


米沢「ええ、幼少のときから見てました。平成ライダーが始まってからは週一の楽しみになっております。いや、しかしよもや杉下警部まで仮面ライダー好きだったとは」


右京「視野を広げるために拝見しだしたのですが、それから予想に反してはまってしまいましてねぇ」


角田「落語以外に米沢と警部殿に共通の趣味があったとはな」


亀山「そうだ、米沢さん好きな平成ライダーってあります?あとキャラとかも」


米沢「そうですなぁ。わたくし個人としましては鎧武などが気にいってます」


角田「わりかし最近の作品だな」

米沢「ええ……。あ!今こいつにわかだなって思いませんでした!?」


角田「おいおいおい、俺そんなこと一言も言ってねえよ。それにさっき自分で告白したじゃねえか。子供のときから仮面ライダーは見てたって」


米沢「はぁ……。いえすみません。ネットの見すぎで少々過敏になっていたようです」


亀山「ネットというと?」


米沢「個人が自由に書き込みできる掲示板なんですが、そこの特撮カテゴリーの方々がなにかしら理由をつけてすぐにわか認定とかしてくるんですよ」


亀山「ああ、いますね。そういう人」


角田「ほぉー。具体的にはどんな風に?」


米沢「○○の面白さがわからないやつはにわかとか、その逆に○○が好きなやつはにわか、って言われるパターンもあります。あと少しでも間違った知識で会話をしてもにわか扱いされますね」

亀山「はぁ。なんかすごいギスギスしてますね」


右京「ネットというのはよくも悪くもそういうものですよ。不特定多数の人間が自由に発言できる場所ですからねぇ」


米沢「お三人方はご存知ないかもしれませんが鎧武は脚本家がアニメ好きの中では有名な虚淵玄という方もあってか特にもめるんですよ」


米沢「おっと話がそれてしまいましたな。あと好きなキャラクターですな。これも最近、と言うより現在放送中のドライブからなんですが、西城究がお気に入りです」


角田「ああ、あいつお前にそっくりだもんな」


米沢「少しイラっとくる言い回しですが否定出来ない自分がいることに若干の悲しみを覚えます……。まあいいですが。おっしゃる通り西城究はわたくしに似たオタク気質の人間。それゆえ彼の言葉に色々と共感してしまうんですよ」

亀山「深夜アニメの一気見はさすがに目にくるなぁ。とかですか?」


角田「よくそんなセリフ覚えてたね」


亀山「米沢さんが前に同じようなことをつぶやいてたもんですから。TVで見ててハハハ、米沢さんが特状課に居るよって思いましたし」


米沢「このあいだのアイドル声優問題などのときは主役の進之介に共感してしまいましたが」


亀山「ああ、字幕アニメに声が入ることに文句言ってましたもんね」


角田「あの回はなんだかカオスだったよな」


右京「しかしメディックが072を殺害してからの展開は胸にくるものがありました」


米沢「ええ、コメディーとシリアスが絶妙にマッチしていた良回でしたな」

亀山「米沢さん、話を蒸し返すようで悪いですが鎧武はどういうところが米沢さん的に良かったんですか?」


米沢「そうですな、やはり2話完結型ではなく連続ものだという点でしょうか。話がほぼ毎回続いておりますから次はどうなるんだ!って思わせる手腕にはおそれいりました」


亀山「俺も鎧武は結構続きが気になった作品ではありますね」


米沢「中盤のユグドラシルが壊滅状態に陥ってからの怒涛の盛り上がりには米沢守、恥ずかしながら大変興奮してしまいました」


角田「鎧武か……。ミッチがどんどん悪どくなっていくのはなんだか見てて悲しくなっちまったなぁ」


亀山「でもある意味あいつが居ないと鎧武のストーリーは成立しませんしね。必要悪みたいな存在だったんじゃないかなぁと」


右京「ええ、それでも彼は最終的に立派なヒーローになりました。鎧武は呉島光実の成長物語と言っても過言ではない気がします」

米沢「いやぁ、みなさん本当にちゃんとご覧になっておられるんですね」


角田「まぁな。ほら俺、流行に敏感だから」


米沢「はぁ、ミーハーなんですな」


角田「そうそうミーハー、ミーハー」


亀山(課長にとってミーハーって単語は褒め言葉になるのか……?)

右京「とりあえず話をまとめると米沢さんは鎧武に西城究。課長はアギトに桜子さんがお好みというわけですね」


亀山「二人分の資料がとれて良かったですね右京さん」


米沢「はて、資料とは?」


亀山「いえいえこっちの話です。えーと、次は誰に質問しましょうかね?」


右京「とりあえず警視庁内を回って話を聞いてくれそうな方を探しましょう。この部屋には滅多に人は来ませんから」


亀山「了解!それじゃあ早速行きますか」

米沢「なんの会話をなさってるのかよくわかりませんが、教えてくれなさそうなんで、あえてなにも言いません。わたくしも用事がございますので、この辺でおいとまさせていただきます。いやぁ、今日は色々とみなさんとお話が出来て喜ばしい限りでした。それでは失礼致します」


角田「おう、またな。……で、一体なんなのさ、どうせなにかの事件に仮面ライダーが深く関わってるとかなんだろ?なんだってまた内緒にしてるのさ」


亀山「すみません課長、説明してる暇はないんですよ。あ、そうだもし誰か知り合いの刑事がここに来たら足止めをお願いしますね。ライダーについて尋ねたいことが種々あるんで」


角田「ええ!そりゃあねえだろ亀ちゃん。長年隣同士仲良くやってきたじゃないの。あ……行っちまいやがった。くっー、その内絶対聞き出してやるぞ」

ー警視庁内廊下ー


右京「亀山くん、きみ課長と米沢さん以外に親しい刑事はいますか?」


亀山「うーん、捜一に所属していたときは何人か居たんですけどね……窓際の特命に配属されてからはおもいっきり避けられてます」


右京「それはそれはご愁傷様でした」


亀山「他人事だと思って……あ、そうだ一人居るじゃないですか、俺たちと面識があって話を聞いてくれそうな人が」


右京「ほう、どなたのことをおしゃっているのでしょう?」


亀山「俺の次に特命係に来た第三の男ですよ」


右京「彼ですか……どうにも僕は気が進みませんねぇ」


亀山「俺も正直同意見ですがより好みしてる場合じゃないッスよ」


右京「……。そうですね、経理部に行ってみましょう」


亀山「はい!」

ー捜査一課ー


亀山「さぁて陣川さんはどこに……」


伊丹「なーにしに来やがった特命係の亀山~」


亀山「うわっちゃあ、面倒な奴に会っちゃった。シッシッ!」


伊丹「人を蚊みたいに扱うんじゃねえ!」


三浦「警部殿、またなんのご用件ですか」


芹沢「陣川さんを探しているみたいですけど」


右京「ええ、まあ色々とありまして……。もしよろしければ三人にも少しお時間を頂けたいのですが」

亀山「え、右京さんもしかしてこいつらにもアンケートとるんッスか」


右京「そのつもりですが、なにか不都合でも?」


亀山「いや、別にそういうわけじゃないですけど、こいつらとかぁ……」


右京「嫌なのですか?さっきより好みしてる場合じゃないと言ったのはきみじゃないですか」


亀山「まあ、そりゃそうなんですけど」


伊丹「なぁにこっちを無視してごちゃごちゃ喋ってんだ」


亀山「うるせぇ、ちょっと黙ってろ!……はあしょうがねえか、おいお前ら少し俺らの質問に答えてくれ」


三浦「なんだよ藪から棒に」


芹沢「もっとちゃんと説明してくださいよ」

亀山「いいから!お前ら平成ライダーは見てるか?」


芹沢「……。まぁ一応は」


三浦「俺も見てるぞ。息子の付き添いでだけどな」


伊丹「…………………」


亀山「おい、お前はどうなんだよ」


伊丹「…………………」


芹沢「ああ、これあれッスわ。先輩が今黙ってろって言ったから」


三浦「おいおい伊丹、子供じゃないんだからさぁ」


伊丹「…………………」

右京「どうしましょうかねぇ、こうなったときの伊丹刑事は結構強情ですよ」


亀山「大丈夫ですよ、俺に任せて下さい」


亀山「一言だけ言っといてやるぞ。俺らは現在小野田官房長の指示で動いてるんだ」


三浦「なに?」


芹沢「官房長って……。ええ!それマジッスか?」


伊丹「おい、どういうこった」


亀山「けっ、ようやく口を開きやがったか。どういうもこういうもそのままの意味さ。官房長直々に命令が下ったんだよ。何人かの刑事に一番好きな平成ライダー作品とキャラを聞いてこいってな!」


三浦「おいおいおいおい、マジかよ」


芹沢「エイプリルフールならまだ一週間以上先ですよ先輩」


伊丹「ハ、てめえ、つまんねえ冗談ぬかしてんじゃねえぞ」

亀山「そう思うならどうぞご勝手に。そのかわり官房長にしっかり報告するからな。捜査一課の三名は官房長の名を出してもまともに取り合ってくれませんでしたぁーって」


三浦「おい伊丹どうするよ」


芹沢「もし……万が一先輩の言ってることが本当なら」


伊丹「……チッ、しょうがねえ、いくらてめえでも官房長の名前を出してまでそんなくだらねえホラを吹くとは思えんからな。なにか官房長なりの深い考えがあるんだろう。俺もライダーは見てるぞ」


亀山(単なる興味本位なんだけど。いやぁーバカが見当違いの深読みをしてくれて助かるわー)


右京「それでは答えてくださるのですね。好きな作品とキャラ。あとその理由も教えてもらえるとありがたいです」

伊丹「俺はカブトがお気に入りだぜ。最初見たときは、天道の俺様性格にイライラしまくりだったが、後半になるにつれあいつの過去が明らかになってきて、ああ、こいつも色々と苦労してるんだとシミジミ思ってよ。最終的には大好きになった作品だぜ」


三浦「俺は響鬼かな。怪人退治が職業ってのが面白い試みだなぁって思ってさ。ヒビキを始め鬼の人たちも個性的で魅力があったし。あとこれは俺だけかもしれんが明日夢が映ると息子を見てる感覚になるんだよなぁ。それもあってか明日夢を心の中で応援しながら視聴してたよ」


芹沢「自分はキバですかねぇ。まあなんでっかって言うと彼女と一緒に見た唯一の作品だからなんですけど」


伊丹「てめえ、それは俺に自慢してるのか」


芹沢「いやいや断じてそういうわけでは……」


亀山「あーはいはい落ち着こうね。独り身の寂しい生活を送ってる伊丹くん」


伊丹「やかましい、勝手に寂しいって決めつけんな!」

右京「では続いて好きなキャラをお答え願えますか」


伊丹「ドライブの追田警部補。あのステレオタイプな熱い刑事……。嫌いじゃねえぜ」


三浦「オーズの伊達さんだな。あの一見能天気そうに見えてオーズのキャラの中じゃ一番大人な性格してるのがカッコ良いよなぁ。俺もあんな風になりたいよ」


亀山(捜一トリオの中では一番大人な性格してますよ……ってかあとの二人が幼稚すぎるのか)


芹沢「俺はブレイドの相川始ですかね。なぜならって彼女の好きなキャラが始だから……」


伊丹「だぁー!もういい、これ以上てめえのノロケ話は聞きたくねえ」


芹沢「だからそんなんじゃないですってば……」

伊丹「はぁ……。さあこれで質問には答えたぞ、とっとと狭い特命部屋に戻りな」

亀山「言われなくてもそうするよ!じゃあな!独り身の伊丹さん」


伊丹「だからさっさと帰れ亀!」


右京「あ、そうそう、もう一つだけ」


三浦「警部殿、まだなにか用が?」


右京「陣川くんの居場所をご存知ないですか?僕たちがもともとここにきた理由は彼と話をするためだったので」


芹沢「陣川さんなら先ほど腹痛を訴えながらトイレに行ったきりですよ」


亀山「あら、お腹壊しちゃったの?」

芹沢「ええ、冷蔵庫の奥に見つかったおにぎりを食べてそのあとでパックを見たら消費期限が超過していたことに気づいたらしいですよ」


亀山「陣川さんらしいなぁ。ここで待ってるのもなんなんで直接トイレに行ってみましょうか」


右京「ええ、それが良いでしょう。ここに長居すると内村刑事部長に見つかってしまうかもしれませんし」


亀山「じゃあ今度こそみなさん、バイナラー」


右京「失礼します」


伊丹「二度と来るんじゃねえぞ」

ー警視庁内廊下ー


亀山「どうでしたか、俺が発案した官房長の名前を使って捜一の奴らを脅してやろう大作戦は?上手くいったでしょ」


右京「ええ、少々オーバー気味でしたが」


亀山「でも嘘は言ってませんよね?」


右京「いいえ、官房長の命令で俺らが動いてるという部分の『俺ら』は事実とは異なりますね。正確には命令を受けたのは僕だけで、きみは無関係なんですから」


亀山「うーん、まあ些細な点ですから嘘の内には入らないですよ、きっと」


右京「ずいぶん自分に甘いですねぇ」


亀山「ハハハ……。あれ?向こうの方からやって来るのはひょっとして」

陣川「あれ、杉下さんに亀山さん。お久しぶりです。その節はどうも」


亀山「ちょうど良かった、探してたんですよ陣川さん」


右京「腹部の調子はもう大丈夫なのですか?」


陣川「え?ああはい。出すもん出したらもうスッキリしましたよ。ってあれなんで杉下さんがそのことを?」

亀山「芹沢の奴から聞いたんですよ。それより陣川さんちょっと良いですか」


陣川「えーと、今ちょっと経理の仕事が溜まってるんですよ、だから出来れば手短かに済ませてもらえればありがたいんでけど」


右京「それほどお時間は取らせませんよ、それでは単刀直入にお聞きします。陣川くん、きみは平成仮面ライダーを見ていますか?そして、もしその答えがイエスであるならば好きな作品、キャラを理由も込めて返答してください」

陣川「平成ライダー?」


亀山「あ、ご覧になっていませんか?毎週日曜8時から……」


陣川「いえいえ見てはいますよ。流行っていますから乗り遅れないようにと」


右京「では好きな作品とキャラを」


陣川「ええと、作品は電王、キャラもこれまた電王の野上良太郎です」


亀山「ああ、陣川さんああいうコメディーな物語好きそうですもんね」


陣川「亀山さん、電王はコメディだけじゃなくて、ちゃんとシリアス要素もあるんですよ!」


亀山「わ、わかってるますって、桜井さん関係とかでしょ」

陣川「ええ、そうです。現在とイマジンの世界を繋げないために自分に関する記憶を代償に戦う……。大変立派な方ですよ」


右京「そうですねぇ。しかも彼は最後の最後にゼロノスカードを使いきり、儚く消失してしまう」


亀山「侑斗は居るから愛理さんと結ばれるとは思うんですけどね、それでもなんだか最終回のあのシーンだけは虚しかったです」


陣川「そうですよ、そしてその作品の主人公、良太郎!僕に似て運のない奴なんですよね」


亀山「え?いや、陣川さんの場合は運がないっていうか、どんくさいだけ……」


陣川「いいえ、違います。僕は不運なんです。主に女運が!」


亀山「あ……ああ、そこでその話にいっちゃう?」

陣川「いっちゃいますよ!僕はね、とにかく好きになる女性とは縁が続かない。でも僕は諦めませんよ。良太郎を見習って、常に前向きに生きたいと思います!」


亀山「そ、そう頑張ってね……」


陣川「彼はすごいですよ。サイフを失くしても不良に絡まれてもけしてめげない精神力、そしてまだ十代なのに成熟した忍耐力。この二つだけで僕は彼のことが好きになりましたね……あ、そうだ、僕も不屈の精神で特命係に異動してもらうよう志願しにいこうかな。お二人ともぜひご一緒に……」


右京「そうですか、これで要件は以上です、経理の仕事が忙しいようなので、これで。亀山くん、行きましょう」


陣川「あれ、杉下さん?」


亀山(逃げるように足早に去っていくぞ!?)「待ってくださいよ、右京さんー」

亀山「はあはあ……。やっと追いつきましたよ」


右京「危なかったですね。もう少しあの場に居たら、かなりやっかいなことになっていたはずです」


亀山「まあその意見には賛同しますけど、だからって走って逃げなくても」


右京「……。確かに逃走を図ったのはまずかったようです」


亀山「え?」


右京「もっと面倒な事態になりそうです」


内村「なにをこんなところで、うろつき回っておる!」

亀山「あーらら。こりゃあ確かに……」


中園「お前たち、またなにか事件に首を突っ込んでいるんだろう」


右京「いえいえ、今回はそういうわけではないんですよ」


内村「ふん、信用ならん」


亀山「部下の言うことですよ?信じてくださいよ、部長ぉ」


内村「問答無用。さっさとこじんまりとした特命部屋に帰って紅茶でもがば飲みしてろ」


中園「今日またお前たちを見かけたら、ただじゃおかないからな」


亀山「ええーそんな殺生なぁ。俺らは小野田かん……」


右京「わかりました。自分の部署に戻ります。では失礼いたします。亀山くん、行きますよ」


亀山「え?右京さん、もうまた急に移動するんだから……。失礼します!」

内村「今の杉下、やけに素直だったな」


中園「はあ。おそらく部長の日頃の愛の喝がようやくあいつにも、効いてきたのかと」


内村「ほう。俺の長きに渡っておこなってきた説教が、ようやく実を結んだというわけか」


中園「その通りであります!」


内村「フフ……。気分が良い。今夜はお前に食事をおごってやろう」


中園「あ、ありがとうございます!中園照生、大変うれしゅうございます!」


内村「うむ、わはははは!」


中園「ははははは!」

ー特命部屋ー

亀山「俺に課長に米沢さんに陣川さんで四人だろ、んで捜一の三人を合わせて七人。やっぱりあと一人か二人足りませんよ、どうするんですか?」


右京「心配いりません。当てはあります」


亀山「当てって言っても、警視庁内をぶらついてたらまた部長にどやされますし……」


右京「いえ、庁内をうろつき回る必要はありません」


亀山「え?」


右京「居るではありませんか。僕たちが部署を出ることなく会えて、なおかつ僕たちに少なからず、接点のある人物が二人も」


亀山「だ、誰のことを言っているんです?全く心当たりがありませんけど」


右京「わかりませんか、それは……。あの人たちのことですよ!」ビシッ!

小松「な、なんですか、急にこっちに向かって指をさして……」

大木「ビックリさせないでくださいよ……」


亀山「あ……。ああ!そうかお前らが居たか!」


右京「ええ、どうやらこれで調査は無事終了出来るみたいですねぇ」

ー花の里ー

たまき「それでなんとか九人分のアンケートがとれたんですか?」

亀山「ええ、意外な盲点でした。すっかり忘れてたんですよ大木と小松のこと」

美和子「ちょっと薫ちゃん、隣の部署の人たちのことぐらいちゃんと覚えておきなさいよ。もうボケはじめちゃったの?」

亀山「ムッ、そんなわけないじゃない、失礼だな。それにあの二人とは顔はよく合わせるけど、課長と違ってあんまり会話とかはしないからつい記憶から……」

美和子「はぁー男の言いわけは見苦しいわよ。右京さんは当然覚えてましたよね、その大木さんと小松さんのこと」

右京「ええ、ただ先ほど亀山くんが述べたように、会話などはそれほど交わしていない仲なので、僕の中では真っ先に候補から外れていたのですよ。ただそれから特命係の部屋を出たあと、亀山くんがより好みしている場合じゃないと告げたものですからね。その意見を参考にした結果、一度消えたあの二人が浮上してきたわけです」

亀山「つまり俺のアドバイスのおかげってわけですよね」


美和子「なーにどさくさに紛れて自分の手柄にしようとしてんだ、すみません右京さん、うちのバカ亭主が」


亀山「バカ、今バカって言った?」


右京「いえいえ、おおむね彼のおしゃってることは事実ですから」


亀山「ほうらみろ、ほうらみろ!」


美和子「……なんかそのドヤ顔すげームカつくんですけど」


たまき「良いじゃありませんか、たまには旦那さんのことを認めてあげられても」


亀山「そうですよねぇー」


美和子「あんま調子に乗らないの」


たまき「それにしてもそんなに面白いんですか最近の仮面ライダーって」


亀山「あれ、たまきさんは見てらっしゃらないんですか」

たまき「ええ、なんとなく男性の娯楽番組ってイメージがあるものですから」


美和子「ああ、それは確かに」


亀山「そういうお前は見てるじゃねえかよ。あ、そうだついでにお前にも聞いておこう。好きな作品とキャラはなんだ?」


美和子「え、私?私はそうだな……」


亀山「……そういやお前、俳優目当てで見てるって言ってたな。ハハーン、これはもしかして課長の嫁さんパターンですかなぁ」


美和子「違うわよ!ちゃんと作品の中身も頭に入ってるわ。そうね、Wが好きかな。キャラはクウガの一条さん」


亀山「今適当に答えただろ?」


美和子「そんなわけないでしょ!」


亀山「じゃあ理由も白状してもらおうか」

美和子「白状ってあんたねぇ……。はぁ、まあいいわ、突っ込んでたらキリがなさそうだから。Wが好きな理由はね、二人が居る前で言うのも何なんだけど翔太郎くんとフィリップくんの関係性が右京さんと亀ちゃんに似てるなあって思ったのよ」


右京「はいぃ?」


亀山「俺と右京さんに?いやいや全然違うでしょ、多分右京さんがフィリップで俺が翔太郎なんだろうけど」


美和子「まあそりゃあ、翔太郎くんと薫ちゃんは全然違うけどね。性格がま逆の二人がコンビを組んでいるって点は結構似てない?」


たまき「ああWって作品は知らないけど、右京さんと亀山さんの性格がま逆なのは確かにそうね」


美和子「うん、だからさぁ、なんかWを見てると、ときおり右京さんと亀ちゃんのこと思い出すのよねぇ。それがなんか、身近な人が仮面ライダーになってるみたいで面白くってさ」


亀山「フッ、なんだそのよくわかんねえ理由」


美和子「ええ、わかんないかなあ」


亀山「ああ、全く。んで?一条さんが好きな理由はなんだよ」

美和子「そうねえ、やっぱり優しいところが素敵よね。仕事も出来るし、ハンサムだし。あと親に電話をしたときの方言が個人的にポイント高いわ」


亀山「おいおい異性として見てんじゃねえかよ」


美和子「アハハ、ごめんごめん、でもそれだけが理由じゃないよ」


亀山「ん?他にどんな理由があるって言うんだよ」


美和子「刑事で名前が薫ってところ。薫ちゃんと共通点が多いからだよ」


亀山「……お前このやろー!嬉しいこと言ってくれるじゃねえか」


美和子「フフちょっと照れくさかったわ」


たまき「あらあら、妬けますわね」


右京「ええ、同意です」

たまき「みなさんの話を聞いていたら私もなんだか見てみたくなってきちゃったわ」


亀山「あれ、たまきさん興味が湧きましたか?」


たまき「ええ、すごく」


右京「では近いうちになにかDVDをお貸しますよ」


たまき「あらじゃあお願いしようかしら」


右京「ええ」

ー数日後ー


ー回転寿司屋ー


右京「これが今回の調査結果です。みなさんの嗜好やご意見が書いてあるプリント用紙です」


小野田「ん、ありがとう。ええと、これを見ると……。なんだかみんなバラバラの作品やキャラを挙げてるね」


右京「ええ、僕もここまで好みが分かれるとは想定してませんでした」


小野田「なんでなんだろうね」


右京「これはあくまで僕の推測なんですが」


小野田「なにかな?」

右京「平成仮面ライダーというのは常に新しいことに挑戦し続けているシリーズです。ライダー同士が戦ったり、コメディータッチな作風になったり、ベルトに意思があったり。多種多様な側面を持っているのが特徴です。それはつまり秀でているものがそれぞれ異なるということ。ゆえに人によって、好みがばらけているのではないかと」


小野田「なるほどね」


小野田「じゃあまあ、ゆとり教育のマラソンみたいにみんなが一位ってことにしときますか」


右京「あなたはどうしてそう、ひねくれれたもの言いしかできないのでしょうか」


小野田「心外だね。そんな言い方をしたつもりはないよ」


右京「無自覚というわけですか。ああタチが悪いですねぇ」


小野田「……やっぱりきみ、僕に冷たくなってない?」


右京「前にも申し上げた通り、そんなことありませんよ」


小野田「無自覚というわけか。ああ、タチが悪い、タチが悪い」

右京「………………」


小野田「…………」

小野田「そういえば、お前の好きなキャラを聞いてなかったね」


右京「官房長ならもう察しがついているのでは?」


小野田「うん、まあね……」


小野田「五代くんでしょ?」


右京「…………」


小野田「彼以上に正義のヒーローをしてる人も居ないしね。まさにお前の理想像と言っていいだろう」


右京「ええ」


右京「それはそうと官房長……。礼の品を」


小野田「ん?ああそうだったね、じゃあまあ、取り合えず頑張ってくれたお礼だ。約束の『あれ』を渡そう」


右京「ありがとうございます」


小野田「大事に扱えよ、スーパーヒーロー大戦GPの前売り券チケット2枚」

右京「ええ、それはもちろん」


小野田「ちょうど今日公開だろ、まだ午前だから今からでも誰かを誘って見に行けば?ああ、もう用事は済んだから帰ってもいいし」


右京「ではお言葉に甘えて。映画を楽しんできます」


小野田「一応聞いておこう、誰と行くつもりなのかな?亀山くんと?」


右京「さあそれはどうでしょうか、それでは失礼します」


小野田「……はぐらかされちゃった……か」



右京「あ、もしもしたまきさんですか?ええ、ええ実はこの前言ってた仮面ライダーの件なんですが……DVDではなく映画なのですがもしよろしければこれからご一緒に……」



END

以上で終わりです
ss書きは初めてだったので拙い部分もあったでしょうが最後まで読んでくださって
ありがとうございました

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