【咲-Saki-】憩「ウチ肉まんが食べたいですーぅ」 (68)

咲-Saki-のSSです。照×憩×智葉をどうぞお楽しみください。

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憩「小腹もすいてきましたし、コンビニ寄ってきましょうよ」ダキツキ

照「時間は……3時15分か。ちょうどおやつの時間」

智葉「……おい」

憩「照さん何にしますーぅ?」

照「当然あんまん。あとうまい棒も欲しい」

智葉「……二人とも」

憩「うまい棒ですか?」

照「最近はまってる」

智葉「……ちょっといいか」

憩「あ、ちょうどええとこにセブンイレブンありますよ」

照「セブンイレブンか。私はローソンの方がいいんだけど」

智葉「……お前ら」

憩「さすが照さん。コンビニのあんまん一つにもこだわりもってはるんですね」

照「ただの気分」

智葉「……いい加減に」

憩「そういうわけですから」

照「智葉、買ってきて」

智葉「はったおすぞッ!?」

憩「ていうか智葉さん、なんでいはるんです?」

智葉「いやお前が呼んだんだろうが!?」

照「え、ていうか智葉いたんだ。気づかなかった」

智葉「どこのメガネキャラだ!?」

憩「いやーさすが智葉さん。元個人戦3位のツッコミはちゃいますねーぇ」

智葉「やめろ!まるで私が漫才か何かのコンテストで入賞したかのような言い方はやめろッ!」

照「智葉、道の真ん中で叫ぶのは迷惑だよ」

智葉「」


テルッ☆


照「……痛い」グスン

智葉「アア、スマン。ツイテガデテシマッタ」

照「すごい棒読み」

憩「ちょっと智葉さん。さすがに暴力はまずいですよーぅ」

智葉「言葉の暴力って知ってるか?」

憩「わかりませーん」

智葉「帰っていいか?」

憩「ああん、ダメですよーぅ」

照「ていうか、なんで憩にはやらないの?」

智葉「後輩に手を出すのはまずいだろう」

照「ズルい」

憩「やっぱり智葉さんは、後輩思いのええ人で――」

智葉「訂正。公 共 の 場 で後輩に手を出すのはまずいだろう?昨今、体罰云々で色々騒がしいからな」

憩「」

照「ふふん」

智葉「ああ、それと」

照憩「「?」」

智葉「……私はピザまんにする」

照「おいしい」モグモグ

憩「あったまりますね」モキュモキュ

智葉「たまに食いたくなるんだよな」ムシャムシャ

照「わかる」モグモグ

憩「なりますねーぇ。丁度テーブルのある店っていうのもラッキーやったですし」モキュモキュ

智葉「まったくだ。まさか、ホワイトクリスマスにコンビニでピザまん食うことになるとは思わなかったがな」ムシャムシャ

照「寒いのは苦手だから、ちょうどいい」モグモグ

憩「…………」モキュモキュ

憩「……照さんの、一口ほしいですーぅ」

照「…………え?」

憩「そんな泣きそうな顔せんといてくださいよ。無条件でこっちが罪悪感出てくるやないですか」

智葉「別にあんまんの一口ぐらいいいだろ」

照「……私の食べかけなんかより、新しいの買ってきたらいい」

憩「私は照さんのが食べたいんですよーぅ」

智葉「…………」ムシャムシャ

照「……………………わかった。一口だけだよ」

憩「今すごい悩みましたね。いただきまーす」パク

智葉「……ん?」

憩「…………うん、おいしいですーぅ」

照「別に、ただのあんまんだけど」

憩「ただのあんまんじゃないですよーぅ。照さんの間接キスを添えたあんまんです」ニコ

照「……ッ!」カア

智葉「……おまえ、そういうこと言うタイプだったのか」

憩「ええー、ウチだってそういうネタは使いますよーぅ」

照「……ネタ」

憩「じゃ、お返しに照さん。あーん」

照「えっ、あ、あーん」パク

照「」モグモグ

憩「どうです?」

照「」シクシク

智葉「はっ!?」

憩「て、照さんどうしたんです!?」

照「……あんまんの口に残った甘さと、肉まんの餡が絡み合って絶妙な不協和音を奏でてるの」グスン

憩「な、なるほど!」

智葉「無駄に気の利いた食レポだな、おい」

照「智葉、智葉の頂戴!お口直しに!」

智葉「待て。餡子と中華餡にピザをぶち込むとか、口を直すどころかむしろ破滅に向かうだけだぞ!?」

照「最後の一口、それちょうだい!」パクッ

智葉「あ、おい!それは――」

照「」ゴフッ

憩「照さーん!?」

智葉「――生地がベチャついてたから、わざと残しておいたやつなんだが……」


照「」ゴキュゴキュゴキュ

照「」プハッ

照「……地獄を見た」

憩「……そんな大げさな」

智葉「それで、この後の予定はどうなってるんだ?というか私は今日帰れるのか?」

照「これから私の家で三人で一晩中クリスマスパーティーするつもり」

智葉「は?」

憩「智葉さん今日暇やないですか」

照「そういうわけだから」

智葉「いやいや待て待て。まずは……そう、なんで私が今日予定空いてることを知ってる?」

憩「いくのんネットワークですよーぅ」

智葉「こええな、いくのんネットワーク。ていうかなんだそれ、個人情報ダダ漏れじゃねえか」

憩「聞いたところによりますと、ネリーちゃんでしたっけ?その子の国の暦に合わせて、年明けにクリスマスパーティーするらしいやないですか」 

智葉「なっ……!」

照「そっか。臨海は純粋なキリスト教信者の子が多いもんね」

憩「確かこの時期は、一年の罪を懺悔して断食するとかなんとからしいですよー?」

照「その子に気を遣って、パーティーは延期と。智葉、結構優しいんだね」

智葉「ちっ……それで、そういうお前らはチームメイトとパーティーしないのか?」


照「白糸台のみんなには、無理言って明日にしてもらった」

憩「ええー?弘瀬さんと淡ちゃんは阿知賀、亦野さんと渋谷さんはデート中て聞いてますけど?」

照「間違えた。咲が遊びに来る予定だったけど、こっちのために明日にしてもらった」

憩「咲ちゃんは清澄の人らと過ごしてるらしいですよ?」

照「じゃなくて本当は――」

智葉「……ああ。つまり白糸台の連中も宮永妹も、気付いたら予定が決まっちまってて一人だったんだな」

照「……お母さんも、今日は仕事でいないし」グスン

憩「他に学校の友達とかおらんのです?」

照「……他の子たちは、私は麻雀部の人たちと過ごすと思ってるから誘ってくれないの」

智葉「……ああ」

憩「……心中お察ししますよ」

照「そういう憩はどうなの?」

憩「はい?」

智葉「いやだから、三箇牧のチームメイトだったり、もしくは千里山あたりに誘われててもおかしくないと思うんだが」

憩「ええー、そんな寂しいこと言わんといて下さいよーぅ。ウチは純粋にお二方とおりたかっただけなんですよ」

照「?よくわからない。どうして私たちなの」

智葉「それは私も同感だな。別にお前が嫌いなわけじゃないが、個人戦決勝卓で当たっただけで学年も違う私たちと居たいと思うのはよくわからん」

憩「」ポタッ

憩「……照さんも智葉さんも、ウチと一緒におるんは嫌なんです?」ウルウル

智葉「目薬さして泣き顔作るやつと過ごしたいとは思わんな」

憩「冗談ですよーぅ……せっかく知り合ったんですし、仲ようなりたいって思ってるだけですよ。奇跡的に、お二方とも予定空いてるいうことでしたし」

憩「それに、三箇牧麻雀部は基本、クリスマスは各々で過ごすていう暗黙の了解があるんです。ですからウチのことは変に気にせんといて下さい」

照「……わかった」

智葉「ん、そうか。まあ、今すぐ追い返すつもりもないが、言い方が悪かったな。すまん」

憩「いいですよー」

智葉「そうか、それで――」

憩「……智葉さんがプレゼントくれたら」ボソッ

智葉「おい、今なんか言ったかそこのデビルナース」

照「家で生地は作ってあるから、後はデコレーション用の食材を買い揃えたらいいだけ」

憩「え、今から買うんですか?」

智葉「というか、お前焼くだけとはいえケーキ作れたのか」

照「智葉、それどういう意味?」

智葉「そのままの意味だ」

憩「ま、まあまあ。それで、まだ買ってないんですか?」

照「うん。いつもはクリスマス明けてから安くなったのを買いだめするんだけど……今年は誰にも誘われなかったから、もういいかなと思って」

智葉「そのケーキは普段いつ食うんだ?」

照「年越しケーキにする」

憩「うわ、照さん太りますよーぅ。ただでさえ年末年始は高カロリーが続きますのに」

照「……むしろ太りたい」ポンポン

智葉「やめろ、悲しくなるだろ」

憩「あははー、私たち全員見事に煎餅ですからねー」

智葉「むしろバカみたいに膨らんでるやつが多すぎるんだよ。永水とか原村とか、うちの留学生たちよりデカいとか最早病気だろあれ」

憩「ですよねー」

智葉「……じゃなくて!買うもんがあるならさっさと行くぞ。日が落ちて、寒くなってから荷物持って歩くなんざお断りだ」

憩「それもそうですね。照さんも、いい加減叶わない夢望んでないではよ行きましょうよー」

照「え?待って今、すごく残酷なこと言われた気がしたんだけど」

智葉「残酷もなにも事実だろ」

照「ねえ、私のこと嫌いなの?ねえ二人とも!?」

憩「わー。流石にデパートは人多いですねーぇ」

智葉「クリスマスだからな。人ごみはあまり好きじゃないんだが」

憩「まあまあ、色々見て回りましょうよー。照さんも、落ちこんどらんと必要なもん買って帰りましょうよーぅ」

照「……叶わなくないもん……尭深もあんなに大きいんだから私だって」ブツブツ

智葉「まだ引きずってるのかコイツ」

憩「ほら照さん。幻想に浸るのはええですけど、今は現実見てくださいよー。必要なもんは何なんです?」

照「……チョコとか生クリームとか、ケーキに合うやつあらかた揃えられれば。あと果物」

智葉「ん?お前何作る気なんだ?」

照「お母さんいないのわかってたから、パンケーキを好きな形で食べようかなって思ってた。私ひとりじゃ、生地は焼けてもデコレーション出来ないし」

憩「へー、ええですねー」

憩(照さんに一人でデコレーションさせたらどうなる思います?)

智葉「パンケーキか。一時期ネリーと明華に連れまわされたが、食うのは意外と久しぶりだな」

智葉(生クリーム鼻先に乗せながらあたふたするに一万点)

憩(萌え!)

照「……なんか失礼なこと考えてない?」

憩「まったくもってー」

智葉「いや、食材以外にプレゼントみたいのはいいのかを考えてた」

照「あ、そういえば……」

憩「クリスマスプレゼント!すっかり忘れてましたわー。さすが智葉さん」

憩(真顔で嘘ついて堂々と出来るなんて)

智葉(やめろ)

照「そっか。じゃあひとまず別れて、それぞれがプレゼント用意できたらまたここで合流しよう」

憩「ええですよ。でもそれやと、あんまかさばるもんは買えませんねー」

智葉「でかいもんや金かかるもん渡されても逆に困るだけだ。手持ちを考えても、せいぜい凝った小物ぐらいか」

照「うん。じゃあとりあえず、あんまり高すぎないもの、かさばらないものにすること、買ったらここに集まることにする。憩もそれでいいね」

憩「はーい、OKですーぅ」

憩(照さんが一番心配なんですけど)

智葉「ああ」

智葉(こいつが一番心配なんだが)

照「それじゃ、また後で」

ワイワイガヤガヤ

コノケーキオイシソー

キャー、コレカワイイ

憩「…………」

憩「やっぱり東京は若い子が多いなー」

憩「そういうウチも、まだピッチピチの高2やけどな」

憩「んー。ここ来んの初めてやし、どないしましょかなー」

ア、コノキャンドルカワイイー

キミノホウガカワイイヨ

エ、ナンダッテ?

憩「…………」

憩「……恋人かー」

憩「…………」

憩「……それはともかく、キャンドルは照さんあたりとかぶりそうやしなー」

憩「あ、あれなんかええんとちゃうかな」

憩「すみませーん、これくださーい」

ア、コレイイナー

コッチモイインジャナイ?

智葉「…………」

智葉「はあ。やっぱ苦手だな、こういう浮かれた感じの雰囲気は」

智葉「メグたちがいれば少しは……いや、あいつら好き勝手に回って面倒が増えるから同じか?」

智葉「憩は読めんが、照は雰囲気系の小物、キャンドルあたりを選びそうだからそのへんはやめとくとして」

コノチョコイイナー

デモネダンガチョット……

智葉「……チョコか」

智葉「……そういえば、前に明華が言ってたな」

智葉「すいません、これとこれをお願いします」

智葉「…………」

智葉「……あ、ラッピングは同じで。友人に渡すものですので」

憩「あ、智葉さん早いですねー」

智葉「ああ、そういうお前も早いな」

憩「もっと悩むおもてましたけど、意外とはよ決まりましたからねー」

智葉「定番みたいなのが固まってたから、決めやすかったっていうのはあったな」

憩「ですねー」

智葉「で、お前照は見てないか」

憩「いいえー。会わなかったですね」

智葉「そうか。まあ私たちが早く決まっただけだろうし、そのうち来るだろう」

憩「まさか、迷ってるなんてことないですよね?」

智葉「デパートの中だぞ?建物の中で迷うような方向音痴なんているわけが――」

プツン、ピンポンパンポーン

『迷子のお知らせをいたします。大阪府よりお越しの荒川憩さん、東京都よりお越しの辻垣内智葉さん。お連れ様がお待ちです。1階、サービスセンターにお越しください』

智葉憩「「……………」」

テルッ☆

照「……痛い」プクー

憩「わー、クレヨンしんちゃんみたいなタンコブが」

智葉「何か言うことは?」

照「暴力反対」

智葉「もう一発所望のようだな」

照「間違えた、だからその腕を降ろして」

智葉「で、言うことは?」

照「デパートで迷子なんて、二人とも恥ずかしい」

憩「やめて智葉さん!これ以上打ったら照さんの残念なおつむ引き返せへんところまで行っちゃいますよ!?」

智葉「放せ憩!一周するまでしばけば少しはマシになるはずだ!!」

照「怒っ照」

一端出かけるので中断します。
書き溜めはあるので10時くらいからまた一度にうpしていきます。

ただいま戻りました。
完結してるので最後まで一気にうpしていきます

照「生クリームにチョコクリーム、チョコスプレーにカスタードクリーム、メ―プルシロップにクリームチーズ」プクー

憩「イチゴにバナナ、蜜柑に桃、ベリーにブドウ!」

智葉「各々のプレゼントも買ったし、こんだけ買い揃えれば十分だろ」

照「早く帰ろう今すぐ帰ろうハリーアップ!」キラキラ

智葉「インハイチャンピオンの時の顔からは考えられないほど目輝かせてるな」

憩「タンコブ二段重ねって実際見るとかなりシュールですねー」

照「日も落ちてきたし、ちょうど夕食食べたらいい時間になる」

智葉「メシはどうするんだ?」

照「お母さんが作り置きしてくれてある」

憩「三人分もあるんです?」

照「足りないと思うから、そのへんは適当に作って」

智葉「一応聞いとくが、お前料理出来るのか?」

照「IHヒーター『が』出火してから、二度と触らないことを誓った」

憩「何やったんですか!?」

照「ただいま」

憩「寒いですーぅ。あ、ほのかにええ匂いが」クンクン

智葉「さすがに冷える。お、いかにもケーキ焼きましたと言わんばかりの香り」

照「焼き終わってすぐ出てきたから」

憩「匂い嗅いだらお腹減ってきました。照さん、冷蔵庫お借りしますねーぇ」

照「よろしく」

智葉「どう考えても作ってもらう立場のやつの反応じゃなかったぞ。まあいいか」

照「智葉は料理出来るの?」

智葉「得意だって言えるほどじゃないが、ある程度はな。留学生たちに店紹介して食べに行くことも多いから、なおさら作ることは少ないんだ」

照「へー」

憩「照さん照さん」

照「なに?あ、食材そんなになかった?」

憩「いえ、そうやなくてですね」

智葉照「「??」」

憩「……でっかいホールが三つもあったんですけど、あれ全部食べるんですか?」

智葉「」

照「??もちろん」

夕食後

照「ケーキ、ケーキ、ケーキ!」

智葉「子供か」

憩「準備手伝ってくださいよーぅ」

照「私には毒見という大切な仕事がある」

憩「あ、おいしいですーぅ」パク

智葉「ん、なかなかいけるぞ。こがしたりもしてねえし」パク

照「手伝う!手伝うから先に食べないで!」

憩「じゃあ照さんは、買ったプレゼントも一緒に出しちゃってください」

照「イエス、サー」ビシッ

智葉「その言葉を年下に言うことの意味を解ってるのか?食器は、まあこれでいいな」

憩「果物の準備も出来ましたよー」

照「その他もろもろ必要なものもセット完了です」

憩「ほな、いただきましょー」

照「」パク

照「」モグモグ

照「……ふ、我ながら自分の才能が恐ろしいぜ」ドヤッ

憩「照さんのキャラ崩壊がひど……馬鹿みたいなことなってますよ?」

智葉「放っておけ。菓子が絡んだ時のそいつの馬鹿さ加減は今に始まったことじゃないだろう?」

照「二人ともひどい」パクパク

照「でもウマ!」ドヤッ

智葉「次それやったらフォークが手から滑って中を舞うことになるぞ」ムシャムシャ

憩「関西人が何でもかんでもツッコむおもたら大間違いですよーぅ」モキュモキュ

照「すいませんでした」パクパク

憩「でもこのケーキ本当にうまいこと焼けてますね。作った人がこれとは思えないですよー」モキュモキュ

智葉「そうだな。製作者はともかく、ケーキそのものは店に置いてあってもおかしくないレベルだぞ」ムシャムシャ

照「」グスン

憩「…………」モキュモキュ

憩「照さん。あーん」

照「え、また?あ、あーん」パク

智葉「…………」ムシャムシャ

照「まいう」ドヤッ

智葉「だからその顔やめろ」

憩「玄ちゃんのドヤ顔はかわいいのに」

憩(実力の伴ってへんドヤ顔っていうのが特に)

智葉「今ここにいない奴を貶めるのもやめろ」

照「じゃあ智葉も、あーん」

智葉「え、ああ。あーん」

照「って私にして」

智葉「いや私にさせるのかよ!」

憩「智葉さんのツッコミ切れてますねー」

照「お願い智葉。1勝のお願い」

智葉「なんか今ニュアンスおかしくなかったか?」

照「気のせい」

智葉「……はあ、わかったよ。ほら、あーん」

照「あーん」パク

憩「…………」

照「」パクパク

照「」チラ

智葉「…………お味は?」

照「智葉の味がする」

智葉「ぶッ!」ケホ、ケホ

智葉「……お前は何を言ってるんだ?」

照「智葉の間接キスはブドウ味」

智葉「そりゃブドウ乗っけて食ったからな……もういい」

照「智葉、顔赤い」

智葉「うるさい」

照「照れ照」

智葉「…………ッ!」ピキッ

憩「智葉さん落ち着いてくださいよー。それよりも、お二方ともそろそろプレゼント交換と行きましょうよー」

照「え?そのまえに、智葉のあーんが残ってるよ?」

智葉「やるわけないだろ、んな恥ずかしいの」

照「えー」

憩「照さんストップです。それ以上やったら智葉さん本気で切れちゃいますよー」

照「残念」

智葉「ったく」

憩「まあまあ。それじゃあまずウチから、お二方に」

照「これは……ハンカチ?」

智葉「実用的なものか。お前らしいというかなんというか、イメージ通りのプレゼントだな。ありがとう」

照「私が赤で、智葉が青なんだ。ありがとう憩。大切に使う」

憩「喜んでもらえてよかったですーぅ」

智葉「…………」

智葉「これ、柄がバラの花になってるんだな」

憩「はい、可愛かったんでこれにしてみたんですー」

照「あ、本当だ。かわいい」

照「そういえば、バラの花言葉ってなんだったっけ?」

憩「」ピクッ

智葉「……意外だな。知ってると思ってたが」

照「私は本が好きだけど、別に知識が豊富なわけじゃない」

智葉「……そうか」

照「うん。あれ、憩はどうかした?」

憩「い、いえ。何でもないですよーぅ」

照「そう。智葉はわかる?」

智葉「私が花言葉に精通してるように見えるか?」

照「すいませんでした」

智葉「本気の謝罪はやめろ、なんか悲しくなる。と、次は私の番か」

智葉「ほら、こっちが照で、こっちが憩だ」

憩「ありがとうございますー」

照「ありがとう。開けていい?」

智葉「構わん」

照「」ビリビリ

照「ッ!?」キラン

照「これは……チョコレート、だと!?」

智葉「そこまで反応されると逆にすがすがしいな」

照「智葉様、今日まで行ってきた数々の御無礼をお許しください」

智葉「お前の人生それでいいのか!?」

憩「へー、ウチと照さんで種類ちゃうんですね」

照「え?」

智葉「照が甘めのノーマルなチョコで、憩はホワイトチョコ中心の詰め合わせだ」

照「…………」

憩「なんでウチはホワイトなんです?」

智葉「お前のイメージに合わせようと考えたつもりだが?」

憩「意外ですね。智葉さんのことですから、てっきりウイスキーボンボンでも買うてくるおもてましたけど」

智葉「そっちの方がよかったか?」

憩「どっちでもよかったですよーぅ。いただけるだけありがたいですし」モキュモキュ

智葉(チョコにもその効果音になるのか)

照「」パク

智葉「そっちは静かになったな。気に入らなかったか?」

照「まさか。私の好みにピッタリだよ」パクパク

智葉「ならよかった」

照(そう、私の好みに本当にマッチしてる)

照(ノーマルのチョコだけど、あまり好きじゃないブラックやビターはほとんど入ってないタイプ。適当に選んだようで、その実ちゃんと考えてくれてる)

照「…………」パク

憩「これ値段大丈夫やったんです?」

智葉「いや、そこまでしなかったぞ?諭吉一人でお釣りが出来る程度だ」

憩「……二つ合わせてですよね?」

智葉「一つでだが?」

憩「」

照(ままならないなあ)パク

照「で、最後は私。どうぞ、こっちが智葉でこっちが憩」

憩「これなんです?」

照「アロマキャンドル。素敵でしょ」

憩(やっぱりですかー)

智葉(菓子好きのくせに、他人に菓子をプレゼントするところはさっぱりイメージ出来ないんだよな、コイツ)

憩(人にあげるくらいなら、自分で食べちゃうって真顔でいいそうですーぅ)

照「……またなにか失礼なこと考えてる」

憩「そんなことないですよー」

憩「あ、でもかわいいですー」

智葉「雪の積もった自然の中にある山小屋か。ベタっていったら悪いが、しかしよく出来てるなこれ」

憩「アロマキャンドルって大抵、火つけるの躊躇うの多いですよねー」

照「それね。中に火に強い麻雀牌が入ってるの」

憩「麻雀牌ですか?」

照「そう。それで出てきた牌によって相手に気持ちを伝えるの」

智葉「麻雀牌に意味を込めるとか無理矢理すぎるだろ。いくら麻雀がメジャーにとなったはいえ、ゴリ押し感半端ないぞ」

憩「ええやないですか。関西人のウチとしては、その商売根性は見習わんとあきませんねー」

智葉「まあともかく、ありがとう。今度のメグたちとのパーティーで使わせてもらおう」

憩「ウチも、家帰ったら使わせてもらいますーぅ」

照「ん、ではケーキの続きを」パクパク

智葉「それなりの数あったチョコが無くなってる、だと……!?」

憩「食べるの早いですねー。あ、照さん。ちょっとお手洗いお借りします―ぅ」

照「玄関の横」

憩「はーい。あ、智葉さんも」

憩「言わんでええですからね」

智葉「…………」

照「何の話?」

智葉「個人的な話だ」

照「ふーん?」

憩「」タタッ

智葉「…………」フウ

照「…………」パクパク

照「智葉はさあ」

智葉「なんだ?」





照「……憩のことが好きなの?」




智葉「」ピタッ

智葉「……なぜそう思う。そう思われるような素振りをしたつもりはないぞ」

照「憩にあーんしてるとき、こっちを見てた」

智葉「……気づいてたのか」

照「なんとなくだったけど、憩へのプレゼントでピンときた」

智葉「……ただのホワイトチョコ詰め合わせだぞ?」

照「『アナタ色に染めて』」

智葉「…………」

照「俗説だけど、白色に対してそういう認識を持ってる人も多いみたい」

照「私は知識があるわけじゃない。けれど本をたくさん読んでるから、『そういう』のはそれなりに知ってるつもり」

智葉「そういえばそうだったな」

照「智葉がこのやり方を選ぶとは思わなかったけど」

智葉「明華……うちのメンバーにフランス出身がいてな。以前喋ってる時に教えてくれたのを覚えてただけだ」

照「……いつから?」

智葉「……正直にいうなら、恋愛感情を持ってるのかも微妙だぞ。去年と今年とアイツと打って、最初は年下なのにやるなって印象的なだけだった」

智葉「だがな、例の十連戦でもそうだったが、私はアイツに一度も勝てていない。それが悔しくてアイツの牌譜やアイツの動きとかを研究していった」

智葉「時たま憩の方から誘われて三人で遊んで、麻雀打って、負けて。そうやって仲良くなっていくうちに、気付いたらアイツを追いかけていた」

照「…………」

智葉「て言っても、小説みたいに心臓が云々とかは全然ないぞ。だから少しだけ悩んでた。憩に好意を持っているのか、それとも単に勝てないことに対してガキみたいにライバル視してるだけなのか」

智葉「……まあ、本当はアイツに振られるのが怖くて理由付けしてるだけっていうのもわかってるんだけどな」

智葉「だから、糸一本より細い希望に掛けてみた。それだけだ」

照「……そう」

智葉「そういうお前はどうなんだ、照?」

照「……私は」

智葉「教えてやれよ。そこで立ち聞きしてる憩に向かってな」

憩「…………ッ!!」ガタッ

照「えっ?」

智葉「私らがこんな話題始めたから仕方ねえが、自分だけ知るっていうのは見過ごせんな」

憩「…………!」

憩「…………」スッ

照「憩?」

智葉「…………」

憩「……照さん!」

照「な、なに?」ビクッ




憩「ウチ、照さんのこと好きです。付き合ってください!」



照「…………え?」

智葉「…………」

憩「…………!」ギュッ

憩「照さんが好きなんです!麻雀めっちゃ強くて、お菓子大好きで、麻雀やってへん時は天然でえらいギャップあって、そやっておもたら読書しとるときはえらい静かで上品で、えと、とにかく好きなんです!」

憩「ウチは大阪で、照さんは東京やから可能性なんて万に一つもあるおもてませんけど、でも我慢して抑え込んで苦しむの嫌やったから……!」

憩「ホンマに好きなんです!」

照「……………………ごめん」

憩「ッ!」ビクッ

照「私は憩とは付き合えない」




照「私は、智葉のことが好きだから」






照「私は、智葉のことが好きだから」



智葉「…………は?」

憩「えっ?」

照「……さっき、智葉が憩に送ったホワイトチョコの意味を当てたでしょ?それわかったのって、私も同じことしてたからなの」

智葉「……なに」

照「智葉のキャンドルには、白の牌が入ってる」

智葉「……なるほど、そういうことか」

照「うん」

智葉「道理で。いくらなんでもカンが良すぎるとは思ってたが、まさかお前とネタがかぶってたなんてな」

照「すごい偶然」

智葉「そうだな」

智葉「……すまん、お前とは付き合えない」

照「知ってる。というよりさっき知った」

智葉「…………は?」

憩「えっ?」

照「……さっき、智葉が憩に送ったホワイトチョコの意味を当てたでしょ?それわかったのって、私も同じことしてたからなの」

智葉「……なに」

照「智葉のキャンドルには、白の牌が入ってる」

智葉「……なるほど、そういうことか」

照「うん」

智葉「道理で。いくらなんでもカンが良すぎるとは思ってたが、まさかお前とネタがかぶってたなんてな」

照「すごい偶然」

智葉「そうだな」

智葉「……すまん、お前とは付き合えない」

照「知ってる。というよりさっき知った」

照「それに、私も智葉と同じだったから」

智葉「なに?」

照「菫も淡も、インハイが終わってから阿知賀の人たちと一緒にいる時間を作り始めた。麻雀部を引退して推薦が確定してからは、なおさら。淡は私を見つけたら前と同じように引っ付いてくるけど、電話やメールの数は明らかに減った」

照「菫は付き合うことになったのかな、私には見せない顔をその人に見せるようになった。少しだけど付き合いも悪くなったし、菫がそれをわかっていてフォローしてくれたりするのが余計につらかった」

照「誠子と尭深も仲のいい後輩だったけど、プライベートでは学校の友達と変わらないぐらいの仲だったし。そうやって、気付いたら私は一人だった」

照「実際に一人だったわけじゃないけど、虎姫メンバーの私に対する優先順位が低くなったのは感じてる」

智葉「……だから、私か」

照「ごめん。恋愛感情が全くないわけじゃないけど、引退してからも私への意識が変わらなかったのは智葉と憩だけだったから」

智葉「……そうか」

智葉「……なあ、憩」

憩「……はい?」

智葉「私、まだお前の返事を聞いてないんだが」

憩「……なんのことです?ウチ、智葉さんから直接何か言われたことないですよ」

智葉「好きだ。付き合ってくれ」

憩「……この状況で躊躇なく言えるのはかっこええ思いますけど、智葉さんとはつきあえません。カンニンしてください」

智葉「そうか」

憩「はい」

照「…………」

憩「…………」

智葉「…………」

照「…………」

憩「…………」

智葉「…………」




「「「…………ぷっ」」」


照「ふふ、ふふふふふ……!」

智葉「くく、ははははははは……!」

憩「あはははははは……!」

照「すごい、こんなことあるんだ……!」フフフ

憩「好きな人が別の人好きで、その別の人がウチのこと好きなんて……!」アハハ

智葉「もはやギャグだろ……!」ハハハ

憩「あははは……」ハア

憩「…………」

憩「……もう、何なんですかこれッ!!」

憩「ウチ、一応振られるつもりで来たんですよ!?」

憩「それやのに……こんなん、泣くに泣けへんやないですか!!」

憩「……はあ」ペタン

照「これが本当の三角関係」

智葉「同性同士だからこそできることだな」

憩「もー」

照「……憩」

憩「……なんです?」

照「私、憩とは付き合えない。けど、憩は大事な後輩で友達。だからこれからもよろしく」

智葉「お前もだぞ、照。恋人未満の誘いならいくらでも付き合う。お互い住んでるところは離れてるが、呼ばれればいつでも飛んでいくさ」

憩「…………」

憩「ほな、お二方に1つお願いがあるんやけど」

照「お願い?今?」

智葉「なんだ?」

憩「……綺麗なお月さん三人で見に行きたいですーぅ」

照「……月?」

智葉「……今日は雪が降ってるから、月なんか見えないぞ?」

憩「ちゃいますよー」

憩「コンビニに売ってる中身がいろんな種類あって――」




憩「心を温めてくれるホカホカのお月さんをやけ食いしたいんですーぅ」





―――カン―――

(あれ、意外に早く終わっちゃった)

これにておしまいです。『文字通りの三角関係』をさせてみたかった結果がこれです。
咲キャラはみんな大好きですが、SSを書くとなると、この三人が一番書きやすいです。

まったく、照憩智葉は最高だぜ!

PS
明日目覚めたら、いの一番に咲の新刊を買いに行くんだ……(死亡フラグ風)

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