杏子「胸糞悪くなる夢を見た」 (45)

ここはおとぎ話の中の世界。

思い出と絶望で満たされた海の中。

わずかに残された希望は水の泡となり逃げていった。

人魚姫は大好きな王子様のために戦い、そして力尽きて海底へと沈んでいく。

私はその手を必死になって掴もうとした。

杏子「さやか!」

目が覚めるとそこはベッドの中だった。

いつもと同じ部屋、いつもと同じ風景、いつもより少し早い朝だ。

飛び起きた私は慌てて隣を確認すると、さやかが静かな寝息をかいているのを見て安心した。

まだ心臓がドクドクと波打っている。

とても不吉な夢を見た。見たくない夢だ。

杏子(昨日ほむらに妙なことを言われたからかな……)

―ほむら「あなたが一番、変だったから……」―

心臓を落ちつかせながら、今度は肌寒さを感じて再びベッドの中に潜った。

私は隣で寝ているさやかの背中をそっと抱きしめた。

さやか「んっ」

さやかの体がピクッと反応し、そしてすぐに体の力を抜いて腕を私の腕にからませてきた。

私は安心して抱きつく腕の力を強めた。

さやか「んん……どうしたの杏子?」

さやか「昨日の続きぃ?えへへ」

杏子「何でもねぇよ」

 よっこらしょ。
    ∧_∧  ミ _ ドスッ

    (    )┌─┴┴─┐
    /    つ. 終  了 |
   :/o   /´ .└─┬┬─┘
  (_(_) ;;、`;。;`| |

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ほう

さやか「……」

一度はからかいの言葉を発したさやかも、私の震えた声を聞いてそののっぴきならない様子に気が付いたようだ。

さやか「……怖い夢でも見た?」

杏子「別に」

さやか「……」

さやか「あんまりさ」

さやか「一人で思いつめるのはやめなよ?私がいるんだからさ」

杏子「いや、そんなんじゃ……」

これは全てが私の思い過ごしかもしれない。

ほむらが言っていたことも、たまたま私が見た夢のことも、何もかも想像であり仮定の話だ。

さやか「独りぼっちはすっごくつらいよ」

ここに来るまで、私はずっと孤独だった。

今はさやかと一緒にいることが私にとってかけがえのない心の糧となっている。

今が一番幸せなんだ。それはもう不安なくらいに。

杏子「一人になるのは……嫌だ」

これでさやかちゃんには記憶あるとか泣けるわ

―ほむら「一緒に風見野に行って見ませんか?」―

ほむらにそう言われたときの、かすかに感じた心のざわつきを、今の私ははっきりと感じることができる。

―ほむら「今度こそ間違いないですよね」―

言いようのない不安に包まれる。

―ほむら「今度は歩いて」―

ぬるま湯に浸かった私の心臓に冷たい風が吹き込んでくる。

ついカッとなってバスの運転手に掴みかかりそうになったが、一方で私の心が訴えていた。

 こんなことを追求するのはもうやめないか?

いつもと違うほむらに違和感を感じた。

明かりのない洞窟を突き進むほむらに、戸惑いを覚えた。

そのまま進めば行ってはいけない場所に着いてしまうかもしれない。

そうしたらもう二度とさやかの元には帰って来れなくなるかもしれない。

杏子「なあ、私って変か?」

話したくないのはそれが自分の勘違いかもしれないからではない。

言葉に発することで不安が具現化してしまうのが怖いからだ。

しえん

さやか「はぁ?何言ってんの?」

その声はまるでいつもの調子のさやかだった。

杏子「いやさ……」

さやか「ひゃあん!」

さやか「ちょ、ちょっと、耳元で喋らないで。くすぐったい!」

さやか「待って、体の向き変えるから」

さやかは私の腕を振り解き、体勢を変えて私と向き合った。

私はすかさずさやかを布団の上に押し付けて、その上にのしかかった。

~~~

杏子の胸の鼓動が直接感じられる。

杏子の吐く息が私の顔にかかった。

杏子「なぁ……さやかは……」

涙をいっぱいに溜めた美しい瞳を見て心が締め付けられた。

杏子「さやかは、ホントに本物だよなぁ」

杏子の震えた声が私の理性を狂わせる。

私は考える暇もなく、杏子の体を引き寄せて、その愛しい唇にキスをした。

はよ

もしかしたら、同じタイミングで杏子もまた私にキスしようとしてきていたのかもしれない。

しかしもうそんなことはどうでも良かった。

私は杏子の中へと舌を這わせることに意識を集中させた。

さやか「ん……杏子ぉ……」

杏子「はむ、はむ……んんっ」

私たちはお互いに激しく求め合った。

一度唇を離して息を整えてから、再び長い長いキスを交わした。

杏子「はぁ……はぁ……」

さやか「はぁ……杏子……」

長い行為を終えた後、杏子の体を抱きしめる。

杏子も私のことを抱き返してくれた。

杏子の体が脈を打っている。

それを感じられることがとても心地よかった。

この何もかもが危うい世界の中で、私たちは確かに生きているんだと実感した。

杏子「ほむらがさ……」

さやか「なんだぁ?私と寝てるのに他の女の話か~?」

杏子「いいから聞けって!」

さやか「……」

杏子「ほむらが昨日妙なことを言ってやがったからさ」

杏子「急に風見野に行こうとか言い出して」

杏子「でも道に迷って結局行けなかったんだけどな」

ほむらもついにこの世界の異変に気づき始めているようだ。

もしかしたら、この物語もそろそろ終わりに近づいているのかもしれない。

さやか「何それ?」

杏子「なんだかすげぇ変な感じなんだよ。狐につままれたようなっていうかさ」

さやか「見滝原に何か異変が起こってるっていうこと?」

杏子「まだよく分からねぇんだけど、たぶんな」

杏子「本当はほむらに口止めされてるんだけど、やっぱりさやかには言っておきたかったから」

さやか「そうなんだ。ありがとう。言ってくれて」

杏子「それで、自分ももしかしたらおかしいのかなって、少し不安になって……」

この世界は全てがほむらによって創り出された幻の世界。

今の杏子は何もかも忘れている。私は全てを覚えている。

本気で憎しみ合ったこと、本気で殺し合ったこと、本気で信念をぶつけ合ったこと――

全部今では私の大切な杏子との思い出だった。

自分の全てをぶつけられる相手だから、今こうして全力で抱きしめたいと思えるんだ。

さやか「安心して。あんたは何も変じゃないよ」

再びこうして会えたことが奇跡のような出来事で、それが私にとっては嬉しくて、

いつの間にかこの幸福な世界に染まっていた。

さやか「杏子は私が知ってる通りの杏子だし」

さやか「ここにいる私はあんたが知ってる通りの私だよ」

さやか「佐倉杏子のことを心から愛してる美樹さやかだから」

それでもやっぱりいつまでもこのままっていうわけには行かないんだ。

私にはやらなければならない大切な仕事があるから。

この現実と夢の境界で、少しの間杏子と一緒になれただけでも、あいつに感謝しないといけない。

さやか「この気持ちだけは絶対に嘘じゃないから」

さやか「例え世界が滅んだって……私はずっと杏子のそばにいるよ」

杏子が鼻をすする音が聞こえる。

少し臭いことを言い過ぎたかなと、気恥ずかしくなりながら、私は杏子の頭を撫でてあげた。

杏子「あたしもさやかのこと好きだ」

杏子「不思議なんだよ。初めて会ったときから初めてって気がしなかった」

杏子「今の生活も楽しくて、学校も楽しくて、みんなと遊ぶのも楽しくて」

杏子「どれもこれもさやかと一緒だから楽しかったんだ」

杏子「私も……さやかのこと、愛してるから」

杏子「今が幸せすぎてときどき怖くなるんだ」

杏子「本当にこのままでいいのかって、心の中で誰かが言ってるみたいでさ」

さやか「幸せなことは罪じゃないよ」

さやか「幸せを願うことが悪いなんて、そんなのは絶対違うから」

さやか「私もね、ずっと杏子とこうして幸せになりたかったって、そう思ってた気がするんだ」

杏子「さやか……」

杏子「いいのかな……このままで……」

さやか「なんだ、らしくないじゃん」

さやか「そりゃ!」

私は杏子の体を自分の上から押しのけた。

そして今度は自分が杏子の上に覆いかぶさった。

支援

~~~

私はさやかのされるがままに体を預けた。

さやかの唇が私の唇へと導かれるようにくっ付いた。

そこから私の頬、耳、首筋へと順に優しい口付けがされた。

まるで私の心の汚れが浄化されていくように、私は思わず声を漏らした。

怖い夢を見たのは何も今日が初めてではない。

ありもしないはずの恐ろしい映像が私の頭の中のスクリーンに映し出される。

私がやめろと言ってもしつこく、何度も繰り返し、見たくない物語を聞かせられる。

黒い子供たちが私を放さない。

いつもは夢のことなどすぐに忘れてしまうが、今はなぜだか今までに見た夢を思い出せそうだった。

真っ白で汚れのない手が私の心臓をもぎ取っていく。

真っ赤に熱く燃え滾る炎が、私の魂を底から冷やしきっていく。

私の一番大切な人形たちが、真っ黒に焦げてバラバラになっていく。

杏子「さやか……もっと……」

さやかの唇は私の首から鎖骨、そして胸へと流れていった。

杏子「はあっ……ああんっ」

さやか「ふふ、杏子かわいい」

何も考えられなくなる。何もかも忘れられる。

さやかの触れた場所から、暖かい音楽が流れ出す。

綺麗な弦楽器の演奏が、嫌いな音をかき消してくれる。

杏子「はぁ、はぁ、さやかぁ……」

私の胸の上で動くさやかの頭を思わず抱きしめた。

来るはずのない過去も、見覚えのない未来も、もう関係ない。

今の私にはさやかがいる。

もっと、私の中をさやかで満たしてほしい――

胸糞悪くなるスレを見た

さやか「杏子……こっちも……」

杏子「あっ、そこはダメっ……あっ」

来て。私の中に来て。

さやか「杏子のここ、すごいよ……」

杏子「ダメぇ、あっ、あっ!さやか!」

もっと、もっと!

~~~

絶頂に達した杏子はぐったりと横たわり、呼吸を整えていた。

私はその無防備な頬にキスをした。

さやか「かわいいなぁ、杏子は」

杏子「えへへ」

杏子が私に抱き付いてくる。

杏子「さやかは私にゾッコンだもんな?」

そう言いながらヘラヘラと笑う杏子が本当に可愛らしくて、すぐには反撃の言葉が出なかった。

ここに来なければ、この笑顔を見ることもなかったのだろうと思うと、また感情が高ぶりそうになった。

俺なら挫折する

杏子「私のことを愛してるって」

杏子「世界が滅んでも一緒だってな!アハハ」

さやか「何を!」

さやか「あんただってさっき愛してるって言ったじゃん!」

杏子「知らねーなぁ?」

さやか「はぁ!?」

杏子「なんのことだっけぇ?」

さやか「こいつっ!もう一回鳴かせてやろうか、この!」

杏子「ちょっ!ひゃっ!」

杏子「あひゃひゃひゃひゃ!待って、待って!」

さやか「ほらほらぁ!どうだ!」

杏子「くすぐったいから!お腹はダメ!アッハッハッハッハッ!」

杏子「分かった!分かったからぁ!もう許してぇ!」

杏子「ハァ……ハァ……アハハッ」

さやか「えへへっ」

さやか「もう、最初っから素直になってりゃいいものを」

杏子「分かったって。わりぃ、わりぃ」

杏子「ずっと一緒にいてやるよ。独りぼっちは寂しいもんな」

不意に発せられた言葉がとても懐かしくて、

杏子「なーんてな。アハハッ」

猫のようにじゃれてくる杏子が、やっぱりあの杏子なんだなって嬉しくて、

さやか「ありがとう、杏子」

ようやくその返事ができたことがすっごく嬉しくて。

さやか「あっ、もうこんな時間だ。学校行く支度しなきゃ」

杏子「えっ、でもさやかはまだ……。あたしだけ気持ち良くなって悪いよ」

さやか「いいって。その分はまた今夜、ね?」

杏子「そうか。それじゃあ、一つだけいいかな?」

さやか「ん、何?」

杏子「宿題、写させて」

さやか「……」

さやか「はあああああああああ!?」

さやか「あんたそれ今言うこと!?」

杏子「頼む!もう三日連続で宿題出してないんだ!」

さやか「だから!毎日毎日あれほど宿題やろうって言ってきたでしょ!」

杏子「今回だけ!これ一回きりだから!」

さやか「知らない!ほらさっさと服着て!」

杏子「さやかぁあ」

宿題をしたら負け

何もかもが作り物で、すぐに壊れてしまいそうなこんな世界だけど、

それでもこれは私たち全員が望んだ世界なんだ。

だから、私はこの世界を大切にしたい。

杏子「一生のお願い!」

さやか「あんた、それもう100回くらい使ってるでしょ」

杏子「いいじゃ~ん」

さやか「よ・く・な・い」

胸糞悪くなるSSを見たんだ…
地の文が、寒いSSを

SS速報でやれ

ここに集まったみんなの想いは本物だと思うから、最後まで後悔して欲しくない。

そのためにも、そろそろ私も動き出さないといけないんだ。

最後にこんないい思い出をくれてありがとうね、ほむら。

杏子「さやかぁ~頼む!」

さやか「こらっ、いい加減パンツくらい履けぇ!」

終わり

さやか「もうしつこいなぁーさっさと下だけでも台所で洗ってきなさいよ!」

杏子「・・・チェッ・・・」

>>43
まかせた

書き溜めだったんだろうけどこれを一人で打ち込んでる姿想像したら涙出てくる

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