まどか「私が杏子ちゃんの妹!?」 (199)

ゲームセンター

杏子「ゲームはこれぐらいで終わりにして、今日は帰るかな」

妹「お姉ちゃん、あのぬいぐるみ取ってー!」

姉「えー!私、クレーンゲーム得意じゃないのよ」

妹「やだー!あれ欲しい!」

杏子(妹か…)


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姉「私には無理よ」

妹「やだ!やだ!あれが欲しい!」

杏子「やらないなら、そのクレーンゲームあたしがやらせてもらうよ」

姉「あ…どうぞ」

杏子「それっと」

姉「凄い!一回で!」

妹「あ!あのぬいぐるみとられちゃった…」

杏子「ほらよ」

妹「え!くれるの!」

杏子「そんかわり、姉ちゃんをもう困らすなよ」

妹「ありがとう!」ニコリ

姉「ありがとうございます」ペコリ

杏子「あーあ、200円損しちゃった」

杏子「…モモが生きてたら、さっきの娘ぐらいになってたかな…」

モモ(お姉ちゃん!あのぬいぐるみ欲しい!)

杏子(よーしお姉ちゃんがとってやるぞ!)

杏子「何、馬鹿な事想像してんだ!そんな未来はもうないんだよ…」

杏子「あたしが魔法少女になって馬鹿な願い事をしたせいで親父も母さんもモモも死んだんだ」

杏子「でも、あたしがしっかりしてれば親父はともかく母さんや妹は助ける事ができたんじゃ…」

杏子「せめてモモだけでも…」

杏子「くそー…今日のあたしは後ろ向きすぎるぞ…」

杏子「墓参りでもいくかな…」

墓地

杏子「くそ…足が進まない!どうしたんだ?」

杏子「はぁ…はぁ…何びびってんだよあたし。墓参りに行くだけだろ?」

(お前が家族を死に追いやったんだ)

杏子「うっ!」

(お前が余計な事をやらなければ、家族は死なずにすんだ)

杏子「怖がってんじゃねーぞあたし!」

杏子「今日はモモに会いたくなったから来ただけだ。それだけなんだ!」

(お前が妹を死なせたんだ)

杏子「ちくしょー!!」

杏子「やっぱり、あたしにはみんなのお墓に行く資格なんて無い…」

杏子「ごめんなモモ…」

その夜、ホテルのいつもの部屋で杏子は眠りにつき、夢を見ていた…

杏子「うーん…」

(お姉ちゃん…)

杏子(!!モモ!)

モモ(お姉ちゃん!助けて!熱いよ!家が火事になってる!)

杏子(モモー!今助けてやるぞ!)

杏子(うわー!火が!くそー!)

モモ(お父さんがー!お父さんが刃物を!)

モモ(お姉ちゃーーん!!)

杏子(モモーーー!!!!)

まどか「ここが杏子ちゃんの住んでるホテルかー」

さやか「どうやって、お金払ってるんだろ、あいつ。まさか、また犯罪やってるんじゃないでしょうね」

まどか「何でも、ホテルの従業員として働かせてもらってる代わりに、住まわせてもらってるんだって」

さやか「へー。でも、中学生で働かせてもらえるのかな?」

まどか「えーと、それは…」

ほむら「年齢を偽ってるらしいわよ」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」

さやか「なっ!杏子のやつ…」

マミ「美樹さん、確かに年齢を偽って働いているのはいけない事だわ。でも、中学生が働ける仕事場なんてほとんど無いの。だから、見逃してあげて」

さやか「むぅ…まあ、これぐらいなら許してやってもいいかな…」

まどか「良かった…」

マミ「一度、私の家で一緒に暮さないって佐倉さんに聞いてみた事があるのだけれど、『マミだって一人分の生活費をやりくりするので大変だろ。毎回マミにばかり頼っていられない』って断られてしまったわ」

ほむら「相変わらず意地っ張りね」

さやか「でも、まあ杏子らしいかな」

マミ(あなた達も結構意地っ張りだと思うけどね…)

まどか「あっ着いたよ。ここが杏子ちゃんの部屋だね」

ガチャ

さやか「おーっす杏子!遊びに来たよー!」

杏子「モモがいない、モモがいない!どこにいったんだモモー!」

さやか「どしたの杏子?血相変えて」

杏子「モモが消えちゃったんだよー!」

ほむら「何か様子が変ね」

さやか「桃?相変わらず杏子は食い意地が張ってるなあ」

マミ「食べ物が見つからないだけで、あそこまで慌てるかしら…」

まどか「何があったの杏子ちゃん?」

杏子「!!」

杏子「モモー!!探したんだぞー!!」

まどか「ふぇっ!?」

杏子「モモ!どこにいってたんだ。起きたらお前がいなくなってて、ずっと待ってても帰ってこないからどうしたかと思ったぞ」ギュッ

まどか「わっ///杏子ちゃん!!急に抱きしめてくるなんて大胆だね///」

ほむら「き、き、きょうこおおおおおお!!まどかから離れなさい!!!い、いくら、あなたでも許さないわよ!!」

杏子「モモー!お姉ちゃんは心配したんだぞ馬鹿やろー!」スリスリ

まどか「わ!わ!わわわ///」

ほむら「まどかを抱きしめるだけでなく、ほっぺたスリスリまでするなんて!!!私でさえ、2回しかした事ないのに…」バタッ

さやか「あっ!気絶しちゃった」

マミ「お姉ちゃん?もしかして、モモって佐倉さんの妹さんの事かしら?」

ほむら「知ってるのか、巴マミ!」

さやか「あっ!起き上った」

マミ「ええ、モモっていうのは果物の桃の事ではなく、おそらく人の名前。佐倉さんの妹さんの事を指しているに違いないわ」

ほむら・さやか「なっ、なんだってー!!」

マミ「でも、佐倉さんの妹さんはあの時の事件で亡くなったはず…」

さやか「それよりも、何で杏子がまどかをモモ…妹さんだと思ってるんでしょうか?」

マミ「うーん…」

杏子「お姉ちゃんに黙ってどっか行くなんて悪い子だ!そういう子にはお尻ペンペンしないとな!」

まどか「ええーー!!」

ほむら「きょうこおおおおおおおおおおお!!!」

ほむら「まどかをお尻ペンペンするなんて、私でさえ一度もした事が無いのよ!!そんな事絶対させない!!」

さやか「ちょっと、ほむらは黙ってて」

マミ「いい?佐倉さん。この子は鹿目まどか。あなたの妹ではないわ」

まどか「うんうん」

杏子「何言ってんだよこいつはモモだよ。マミも何度か会っただろ?」

まどか「ええー」

マミ「私が会ったモモちゃんはもっと小さかったし、髪の色もあなたによく似た赤色だったわよ」

杏子「はぁっ!?マミ目がおかしくなったのか?どう見たって、モモの髪の色は赤色じゃないか」

マミ「え!?」

ほむら「目がおかしいのはあなたよ、杏子!どう見たって、まどかの髪の色は美しい桃色じゃない!」

杏子「ほむらも目がおかしくなったのかよ…それにどうやってモモとまどかを間違えるんだ?」

マミ(鹿目さんの事は忘れているわけじゃないようね…でも、何故鹿目さんをモモちゃんだと認識しているのかしら?)

杏子「モモー。今日の晩御飯は何にしよっか」

まどか「カレーがいいなあ…じゃなくって!私はまどかだよー杏子ちゃん!」

さやか「いったいどうしたんだろ杏子…」

ほむら「もしかして魔女による精神攻撃でも受けているのかしら?」

マミ「さっき、佐倉さんの体を見ていたけど、魔女の口づけはなかったわ」

さやか「でも、服の下は見なかったですよね」

ほむら「なら、脱がせましょ」

ほむら「杏子、服を脱ぎなさい」

杏子「はぁ!?何でだよ?」

さやか「むむむ!脱ぐのを嫌がった!これはもしかしてビンゴかも」

ほむら「なら強制脱衣ね」

杏子「わー!!やめろー!!」

ほむら「大人しくしなさい」

杏子「やだー!」

マミ「ごめんなさい。でも、これも佐倉さんのためなのよ!」

さやか(杏子の肌、スベスベだなあ///)

まどか「見ちゃ駄目だ、見ちゃ駄目だ…チラッ(杏子ちゃんの体ってこんなんなんだ///)

さやか「杏子の体を隅々まで見たけど何もなかったね」

ほむら「ええ、あらゆるところを見たけど何もなかったわ」

マミ「良かったわ。魔女のくちづけなんて無くて」ホッ

杏子「うわーん!モモー!お姉ちゃん汚れちゃったよー!」

まどか「よしよし、怖かったね…って私はモモじゃなくてまどかだよー!」

マミ「魔女のくちづけが無いのだとしたらいったい何が原因かしら?」

さやか「よくある記憶喪失とか、記憶の混乱ってやつじゃないですか?」

ほむら「でも、何が原因でそんな事が起こったっていうの?」

さやか「例えば強く頭を打ったとか」

マミ「なるほど、それならありうるわね。私たち、魔法少女は戦う事を日常としているのだから、頭を打つ事なんて何度でもあるわ」

さやか「でも、杏子だったらバナナを食べた後、捨てたバナナの皮で滑って転んで頭を打ったとかいう方が似合ってるかも」

ほむら(どちらかというと、あなたの方がそういう状況を想像しやすいわ…)

マミ「もし頭を打ったショックで記憶が混乱してるなら、どうしたら佐倉さんの記憶を元に戻せるかしら?」

さやか「ここはベタにもう一度頭に強いショックを与える、つまり杏子の頭を思いっきりバットとかで殴るってのはどうでしょ?」

ほむら「馬鹿ね、漫画じゃあるまいし。杏子が死んでしまったらどうするのよ」

さやか「冗談だよ、魔法少女ジョーク」

杏子「今日は二人でお風呂入ろうか!」

まどか「えええー///」

ほむら「バットか鉄パイプあたりを探してくるわ」

マミ「暁美さんストーップ!!」

マミ「こうなったら会話で記憶を呼び戻すように誘導してみるわ」

さやか「頑張ってマミさん!このままじゃほむらが杏子の頭を鈍器でかち割っちゃうよ」

ほむら「止めないでー!さやかー!このままじゃまどかが杏子と一緒にお風呂に入っちゃう!私でさえ一度も無いのに!!」

マミ「佐倉さん、いい?よーく私の目を見てしっかりと私の話を聞いてね」

杏子「なんだよ、マジな目をして」

まどか(頑張ってマミさん)

マミ「ジー!」

杏子「ジー!」

マミ「…」

杏子「ジー!」

マミ「そんなにジーっと見つめられたら恥ずかしい///」

まどか・さやか・ほむら(はよ話をすすめろ…)

マミ「(ちょっと視線をそらしながら)佐倉さん、私とはそれなりのつきあいよね」

杏子「そうだな」

マミ「だからあなたの過去の事も知っている」

杏子「ああ」

マミ「こんなとこでしかも、みんなの前で話すのは気が引けるけど、あの事件の顛末も知っているのよ」

杏子「…うん」

マミ「あの事件の時、あなたの妹さんは亡くなったのよ」

杏子「嘘だ!でたらめいってんじゃねえ!!いくらマミでも、そんな事言ったらただじゃ済まさねーぞ!モモは死んでなんかいない!!あたしがこの手で!燃え盛る教会の中から、モモを助けたんだ!!」

マミ「え!?」

マミ(佐倉さんの記憶の混乱により、事件の事を記憶から忘却したため、妹さんが生きていると勘違いした。でも妹さんが存在しないため代わりに何故かわからないけど鹿目さんを妹さんだと思い込んだのだと私は推測した…)

マミ(でも、佐倉さんは事件の事を覚えている…しかも、妹さんを助けたという事実とは違った記憶に書き換えて。そんな都合のいい記憶喪失なんてあるのかしら?)

QB「なるほど、そういう事か…」

まどか・さやか・ほむら「キュウべえ!!」

マミ「いつからいたの?」

QB「杏子がまどかを抱きしめてるあたりぐらいからだよ。ちょっとイレギュラーな事に気を取られていたため、僕がこの部屋に入ってきた事に気がつかなかったみたいだね」

ほむら「油断も隙もないわね…」

さやか「急に何しに来たの?」

QB「今、何時だと思ってるんだい!そろそろ晩御飯の時間だよ!なのに、誰の家に行っても誰もいないじゃないか!これじゃあ誰からもご飯を恵んでもらえないよ!」

マミ「ごめんねキュウべえ。後で一緒に食べましょ」

QB「まったくー。激おこプンプン丸だよ!」

さやか(うぜええ…)

ほむら(人から食事を貰ってる分際で何様のつもりよ、この淫獣は…)

まどか(さっきのちょっと可愛かった)

マミ「それよりキュウべえ。佐倉さんの事で何か気づいたのかしら?」

QB「杏子の目を見てごらん」

まどか「目?」

まどか・さやか・ほむら・マミ「ジー」

杏子「な、何だよ!みんなしてじーっと見てきたら恥ずかしいだろ」アセアセ

さやか「ほんとだ!若干、虚ろな目をしている」

QB「何でそんな目になってるかわかるかい?」

まどか・さやか・ほむら・マミ「うーん…」

さやか「まさかシンナー!?」

まどか「ええー!!」

ほむら「いえ、もしかしたら麻薬かも…」

マミ「そんなー!!」

マミ「そんな事はやっては駄目よ佐倉さん!」

さやか「早く麻薬もシンナーも辞めて!」

まどか「杏子ちゃんの人生が滅茶苦茶になっちゃうんだよ!!」

ほむら「くぅ…杏子の異変に気付いてあげられなかった!早く気付いてあげられたらこんな事にはならなかったのに…」

マミ「あなただけのせいじゃないわ…。私たちみんなに責任があるのよ…」

QB「残念だけどハズレだよ」

さやか「なんだ、良かったあ…。本当に良かったよ…まあ、あたしは杏子がそんな事する子じゃないって信じてたけどね」

ほむら「あなたが最初にシンナーって言い出したんでしょ?」

マミ「暁美さんも麻薬かもって言ったでしょ?」

まどか「もうそんな事はどうでもいいよー。とにかく杏子ちゃんがシンナーも麻薬もやってなくて本当に良かった!」

さやか・ほむら・マミ「そうだねー」

まどか・さやか・ほむら・マミ「アハハハハハハハハ!!!!」

QB「でも、ある意味シンナーや麻薬といった薬物よりも厄介なものかもしれないよ」

まどか・さやか・ほむら・マミ「え!?」

QB「マミ、杏子の目を見て思い出すことはないかい?君はこんな目を一度見たことがあるはずだ」

マミ「うーん、そうね…」ジー

マミ「ハッ!この目は、昔、佐倉さんの教会で見た事があるわ!」

マミ「そうだわ!この目は佐倉さんのお父さんが教会に集めた信者の人たちの目にそっくりよ!」

さやか「ああ!杏子があたしに話してくれたあの時のですね」

マミ「そうよ。美樹さんは佐倉さんから話を聞いていたのね」

ほむら「どういうこと?」

まどか「なんだか話が見えないんだけど?」

マミ「佐倉さんのお父さんは佐倉さんの願いにより、自分の言う事を他人が必ず聞くようになるあるいは必ず肯定させる事のできる能力を得たのよ」

QB「そのとおりだよマミ。その能力は魔法では幻惑や幻覚の能力に分類される。その魔法にかかった人間は麻薬を摂取した人間と同じような虚ろな目となるんだ」

QB「佐倉杏子は今、幻惑の魔法に囚われている」

マミ「いったい、誰が佐倉さんに幻惑の魔法をかけたのかしら?佐倉さんと同じ能力を持った魔法少女がこの近くにいるのね…」

さやか「誰がこんな事をしたか知らないけど、杏子にこんな事するなんて絶対に許せない!」

ほむら「なんにせよ、すぐに魔法をかけた魔法少女を探して出して魔法を解除させましょ」

QB「残念だけど、この近辺に杏子以外の幻惑の能力を持った魔法少女はいないよ」

まどか「それじゃあ、もう遠くに逃げちゃったって事?」

QB「それもないね。幻惑の能力を持った魔法少女がこの町に来たという情報すら聞かないし、幻惑の能力を得た魔法少女が新たに生まれたという情報も聞かない」

マミ「それじゃあいったい誰が…」

QB「まだわからないのかい?すぐ近くにいるじゃないか幻惑の能力を持った…いや持っていた魔法少女が」

まどか・さやか・ほむら「え!?」

マミ「…まさか!」

QB「マミは察しがついたようだね。おそらく杏子は今、自身の魔法によって幻想を見せられている」

まどか・さやか・ほむら「なんだってー!!」

マミ「そんな…佐倉さんの幻惑の魔法は使えなくなったはずじゃあ…?それに何で佐倉さんが自分に魔法をかける必要があるの?」

QB「他に幻惑の魔法を使える魔法少女がいない以上、以前使えた杏子が何故だかわからないけど使えるようになった、そして何故だかわからないけど自身に魔法をかけたと考えるのが妥当な推理だと思うよ」

ほむら「なんてことなの…」

さやか「理由はこの際どうでもいいよ。どうやったら杏子にかかった魔法は解けるの?」

QB「簡単な事だよ、術者の杏子が魔法を解除すればいいんだ」

マミ「それじゃあ、佐倉さんはすぐに戻るのね!」

QB「ただし、杏子自身に魔法を解く意思があるかが問題だ。そもそも、自分が魔法をかけたという意識さえないだろうから、これは困難な事だよ」

さやか「結局、難しいんじゃないの!」

杏子「なあ、そろそろうちの妹を返してくれよー」

まどか「き、杏子ちゃん!」

杏子「なあ、モモ。何であたしの事を呼ぶのに『杏子ちゃん』なんだ?前は『お姉ちゃん』だったろ?」

まどか「だって、今までは杏子ちゃんって呼んでたし…」

杏子「おいおい、お姉ちゃんをからかうなよ…今までずっと『お姉ちゃん』だっただろ」

ほむら「杏子!まどかにお姉ちゃんなんて呼んでもらうなんて私の目が黒いうちは絶対に許さないわよ!『お姉ちゃん』はまどかに呼んでもらいたい言葉ベスト5に入る言葉なのよ!!」

杏子「何で妹に『お姉ちゃん』って呼んでもらう事がおかしいんだよ?」

まどか「二人とも喧嘩しないでー!」

マミ「幻惑にかかったのはいいとして、何で鹿目さんを妹さんだと認識しているのかしら?」

QB「多分、杏子は魔法により妹を心中事件から救い出したと思い込んでいる。だけど、実際には妹は存在しない。そこで、妹に近しきものが妹に見えるんじゃないかな」

さやか「まどかが妹かー。なんとなくわかるわー」ニヤニヤ

まどか「ほんとは(タツヤの)お姉ちゃんなのに!!」

マミ「いい?佐倉さん。今、あなたには幻惑の魔法がかけられているの。それも、あなた自身の魔法で。すぐ、解除して!」

杏子「何言ってんだ。あたしは正常だよ」

ほむら「いいえ、あなたは異常なのよ!まどかを妹にするという人類の誰もが望んでいる夢をあなた一人が叶えようとするなんて私は絶対に認めない!」

さやか「ほむらも異常だよ」

マミ「うーん…説得は難しいみたいね」

QB「様子を見るのも一つの手だよ。魔法によっては時間が経過するにつれて効果が弱まっていく場合もある」

まどか「という事は、私しばらくの間杏子ちゃんの妹なの?」

マミ「ごめんなさい、鹿目さん。少しの間だけ我慢してもらえるかしら?」

ほむら「ぎにゃあああああああああああ!!認めない!認めない!こんなの私は絶対に認めない!」

ほむら「まどかが杏子の妹になるなら、私も杏子の妹になるわ!杏子が長女、私が次女、まどかが三女。杏子お姉ちゃん、まどか、これからは三姉妹で頑張りましょ!」

さやか「ほむらが壊れた!?」

杏子「いや、あたしとほむらは特に血のつながりも無いし」

ほむら「普通に断られた!」ガビーン

さやか「それじゃあ、しばらくの間は一緒に杏子お姉ちゃんと仲良くするんだよ」

まどか「え!?しかも一緒に暮らすの!?」

マミ「無理に連れて行こうとしたら、佐倉さん凄く怒りそうだもの」

杏子「当たり前だ!家族がいっしょのとこで生活するのは当たり前だろモモ」

ほむら「しかも、まどかと一つ屋根の下で一緒の生活!!どこまであなたは羨ましいの佐倉杏子!!」

まどか「でも、ママとパパが許してくれるかなあ…」

さやか「とりあえず今日は、おばさんに友達の家に泊まるって言ってごまかすしかないね」

まどか「うー…、いつまでごまかせるんだろ…」

今回はここまでです。
続きはまた今度。

さやかとマミとほむらとキュウべえは、杏子とまどかを後に残し、ホテルを後にした

マミ「はあー…大変な事になったわね」

さやか「でも、杏子がまどかを妹にするかー。これは魔法が解けたら、これをネタにして大いにいじくってやろっと!」

マミ「もうー、美樹さんったらいつ魔法が解けるかわからないのに笑い事にして…」

ほむら「まどかぁ…」しくしく

さやか「えらい落ち込みようだねーほむら」

ほむら「あなたには私の悔しさはわからないわ…」しくしく

さやか「ほむらはそんなに妹が欲しかったんだね。なら、このさやかちゃんを妹だと思いなさい。ほむらお姉ちゃ~ん♪」

ほむら「はぁん」

さやか「こ、こいつ鼻で笑いやがった!!妹にそんな態度をとるなんて、お姉ちゃん酷ーい!」ぷんぷん

QB「お腹すいたなあー」

一方、杏子とまどかは…

まどか「…」

杏子「それでさあ、モモ。今日は晩御飯何にする?」

まどか「えーと、そうだね杏子ちゃん…」

杏子「こら!モモ!実の姉に向かって杏子ちゃんはないだろ。それじゃあ、友達同士みたいじゃないか」

まどか「えー、だって実際友達同士だし…」

まどか「それに、お姉ちゃんって言うのちょっと恥ずかしいかな…」

杏子「何言ってんだ。今まで普通にお姉ちゃんって言ってたのに」

まどか(…杏子ちゃんは今、私の事を妹だと思ってるんだ。そうなると、私も妹らしくふるまった方がいいのかな?)

まどか「あ、あの…お姉ちゃん…私カレーがいい」

杏子「よし!それじゃあお姉ちゃんがカレー作ってやるぞ!」

まどか(うわあ…なんか恥ずかしいよ///)

杏子「ちょうど、カレー粉もあるし、野菜もある!すぐに作るから、モモは待っててよ」

まどか「う、うん」

杏子「ふふふふーん♪」

まどか(杏子ちゃん、凄く張り切ってるなあ。こんなに嬉しそうな杏子ちゃん初めて見たかも)

まどか(もし、私が妹じゃないってわかったら杏子ちゃん何て思うだろう。凄くがっかりすのかなあ…)

…数十分後

杏子「よしできたぞ!」

まどか「うわあー!凄く美味しそう」

杏子「それじゃあ、一緒に食べよっか」

まどか「うん!きょ…お姉ちゃん!」

まどか(そういえば、杏子ちゃんが作ってくれた料理を食べるの始めてだ…)

まどか「凄く美味しいよ!きょ…お姉ちゃん!」

杏子「そうだろ!そうだろ!」

まどか「パパが作ったカレーには負けるけど凄く美味しかった!」

杏子「パパ?親父が料理を作ることなんてあったかな?」

まどか「あっ…えーと友達のパパがね、凄く料理が上手い人がいるんだ」

杏子「そっかー。それじゃあ、その友達のパパに負けないようにあたしも料理の腕を上げないとな!」

まどか「う、うん!期待してるよ(危なかったー…)」

杏子「さてと、ご飯食べたし、お風呂入って寝よっか」

まどか「ええー、きょ…お姉ちゃんお皿洗いはー?」

杏子「そんなの今しなくていいじゃん。今日はなんかめんどくさいよー」

まどか「駄目だよーお姉ちゃん。そんな事したら汚いし、お皿が貯まっていくよー」

杏子「しゃーないな、それじゃあ今からやるかな」

まどか「いいよ、お姉ちゃんは。ご飯作ってもらったんだし、私がお皿洗いするね」

杏子「いやいや、妹にさせられるかよ。モモが皿割って怪我したらどうすんだ!」

まどか「それは、過保護すぎじゃないお姉ちゃん?」

杏子「そんな事ないー!これぐらい普通だ」

まどか「それじゃあ、二人でしよっか。私もずっときょ…お姉ちゃんのお世話になってばかりじゃ嫌だし」

杏子「それなら、まあいいかな」

まどか「それじゃあ私が洗剤で洗うから…」

杏子「いや、洗剤はあたしが使う。モモが洗剤のせいで手が荒れたら嫌だからな」

まどか「そ、そう?それじゃあ、私が水洗いするね(本当に凄く過保護だな…)」

ぱしゃぱしゃ

まどか「なんか二人分だと、直ぐに終わっちゃうね…あっ!」

皿「パリーン!ガシャーン!」

まどか「あいたっ…」

杏子「大丈夫か!モモ!血が出てる!直ぐに消毒して絆創膏を貼らないと」

まどか「大丈夫だよ、ちょっと切れただけだから。そんな事しなくてもこれぐらいなら全然平気…」

杏子「馬鹿やろー、傷が化膿したらどうすんだよ…」

まどか「大げさだよ…」

杏子「あたしは嫌なんだよ、お前が少しでも怪我したり痛い目にあうのが。もしかしたら、親父や母さんみたいにモモがいなくなってしまうんじゃないかって考えてしまうだけで…」

まどか「お姉ちゃん…」

杏子「それじゃあ、あたしは風呂に入ってくるよ」

まどか「じゃあ、きょう…お姉ちゃんの次に私も入るよ」

杏子「大丈夫か、怪我した後だろ?」

まどか「流石にそれは大げさすぎだよ…」

杏子「そんじゃあ、一緒に入ろっか!」

まどか「うん!…ってええええ!!」

まどか「うわあ、結構広ーい!ホテルだから、みんなで入れる浴場があるんだね」

まどか(バスタブに二人で入るのかと思った…)

杏子「一番乗りー!」

まどか「きょ…お姉ちゃーん!駄目だよ、先に体を洗わないと」

杏子「ええー。そんなの後でいいじゃん」

まどか「駄目だよー」

杏子「今日のモモはなんかいつもより小言が多いなあ」

まどか「だってお姉ちゃんがしっかりしないから」

杏子「うー。こんなんじゃ、どっちが姉かわかんないや」

まどか「ティヒヒ♪」

シャワシャワ

現在、まどかが杏子の髪を洗ってます

まどか「うわあ!きょ…お姉ちゃんの髪こうして見るとすんごく綺麗だね」

杏子「そうか?いつも見てるじゃん」

まどか「い、いつもより凄く綺麗かなって意味だよ」

杏子「ふーん。それじゃあ、次はあたしがモモを洗う番だな」

まどか「うん。交代だね」

杏子「なあ、モモ?お前ってこんなに体大きかったっけ?」

まどか「せ、成長期だからね」

杏子「肉付きが良い具合に成長しやがって、このー!」

まどか「止めてよお姉ちゃん!セクハラ親父みたいだよ…」

杏子「魅力的に成長したモモが悪いんだ。あたしは悪くない。それにしても、お前、小学生なのに胸大きいな…」

まどか「え、う、うん…(中学生だからね)」

杏子「あたしと同じぐらいか、いや、もしかしたらあたしより大きいかも。凄いぞ、小学生でこの大きさは」

まどか「そうかな…(でも、中学生だと小さい方なんだけどね…)」

ちゃぽーん

まどか「うわあ、暖かいし気持ちいい…。温泉じゃないけど、大きな浴槽でお風呂に入ると、なんだか気持ちが良いね」

杏子「そうだな、毎日の疲れがとれるよ…」

杏子「それ!」バシャ

まどか「キャ!やったなー、私も!」バシャ

杏子「うわ!こいつー」バシャ

まどか「反撃だー!」バシャ

杏子・まどか「あははは!!」

まどか「なんだか楽しいね♪」

杏子「そうだな…」

杏子「…うっ…ぐす…」

まどか「どうしたのきょ、お姉ちゃん!(杏子ちゃんが急に涙を!)」

杏子「わかんねー…。わかんねーよ。モモと一緒にご飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったり、ふざけ合ったありするなんて、昔っから今までずっとやってきた事なのに、なんだか凄く懐かしい事な気がして…」

まどか(杏子ちゃん…)

まどか(パジャマは杏子ちゃんのを借りました)

杏子「さて、明日はあたしは仕事、モモは学校があるし、寝るとするか」

まどか「そうだね」

杏子「おやすみーモモ」

まどか「おやすみーきょ…お姉ちゃん」

まどか(お姉ちゃんか…)

まどか(そういえば、友達にお姉ちゃんがいるのを羨ましがって小さいころお姉ちゃんが欲しいって思ってたな…)

まどか(ママに頼んだら、『それは時間を巻き戻さないと無理!』って言われたっけ…)

まどか(まさか、こんな形で夢がかなっちゃうなんてね)

まどか「明日もよろしくね、杏子お姉ちゃん♪」

杏子「グー、グー…」

次の日

まどか「ふぅあ~。おはよー杏子ちゃん…」

杏子「おはよーモモ…杏子ちゃん呼びは嫌だって昨日言っただろ…ふぅあ~」

まどか「(やばい!)ああ、ごめん、杏子おねえちゃん」

杏子「うん。それでいい」

杏子「朝ごはん用意するから待っててよ」

まどか「うん…」

杏子「はい。今日の朝ごはんは卵ご飯とみそ汁だ」

まどか「え…朝ごはんはパンじゃないの?」

杏子「え?パンの方が良かったか?モモは毎朝卵ごはん食べるのが好きじゃなかったっけ?」

まどか(しまった!鹿目家では朝はパンって決まりだったから、つい言っちゃった…)

まどか「えーと…たまにはパンが食べたいと思ったけど、今日はいつもの卵ごはんでいいよ!」

杏子「そうか!そうだよな!モモは本当に卵ごはんが好きだもんな!」

まどか(うう…私、卵ごはん苦手なのに…)

まどか「ごちそうさま…」

まどか(「食い物を粗末にすんな!」って言われそうだから、全部食べるしかなかったよ…)

まどか「あっ!そろそろ学校に行かないといけない時間だ」

まどか(放課後に家に帰らずそのまま杏子ちゃんのホテルに来たから、制服と教科書は取りに行かなくていいね)

まどか「それじゃあ行ってきます!お姉ちゃん」

杏子「あれ?モモ、ランドセルはどうした?」

まどか「え?え!?ランドセル!??」

杏子「小学校に行くなら、絶対にいるものだろ」

まどか「えーと…そ、それは…(ど、どうしよう?)」

まどか「な、無くしちゃった!」

まどか(われながら苦しい嘘だなぁ…)

杏子「な、何!?」

杏子「どうしたんだよ!ランドセルを無くすなんて滅多に無い事だぞ!何かあったんだろ、モモ。もしかして誰かに苛められて隠されたりしてるのか!」

まどか「な、な、何でもないよ…」アセアセ

杏子「モモ、何も隠す事はないんだ。お姉ちゃんに言ってごらん?」

まどか(うぅ…杏子ちゃん滅茶苦茶真剣な目してる…下手な嘘はつけないぞ…)

まどか「き、昨日学校でランドセル投げ大会があって、そん時に投げたランドセルが燃え盛る焼却炉に入ってしまい、燃え尽きちゃったんだ!」

杏子「な、何―!!」

まどか「今日は目を覚ましてからしばらくしてランドセルが無くなった事を思い出して泣いたぐらいショックだったよ」

杏子「そ、そんな事があったんだ…可哀そうに…」

まどか(ふぅ…何とかごまかせた…)

まどか「それじゃあ、今日はランドセル無しで学校に行くね」

杏子「待ちなモモ。あたしに良い考えがある」

まどか「え?」

杏子「このホテルのパートのおばちゃんに娘がいるんだけど、今年小学生を卒業して中学生になったらしいんだ」

まどか(嫌な予感…)

杏子「そのおばちゃんに連絡を入れてランドセルを借りよう」

まどか「(やっぱりー!)い、いいよお姉ちゃん。時間も無いし、その人にも悪いし」

杏子「いいや、ランドセルは必要だ!小学校に行ってランドセルが無かったら、恥かく可能性もあるからな。大事な妹に恥をかかせるつもりはないから、心配すんなモモ」

まどか(ランドセルある方が恥かくんだってば!!)

杏子「はぁ…はぁ…借りてきたぞモモ!」

まどか「う、うん…ありがとうお姉ちゃん…」

杏子「全速力で借りてきたから、これで学校にも間に合うな!」

まどか「そこまでしなくて良かったのに…」

杏子「何言ってんだ!可愛い妹のためだ!」

まどか(どう考えてもいらないって言える空気じゃないよ…)

杏子「うん、うん。やっぱり小学生にはランドセルがないとな!」

まどか「…それじゃあ行ってきます…」

杏子「いってらっしゃーい!頑張れよ学校!」

まどか「お姉ちゃんもお仕事頑張って…」

杏子「おう!」

まどか(中学生にもなって、ランドセルを背負うなんて…恥ずかしすぎる…)

今回はここまでです。
続きはまた後日に。

見滝原中学校

さやか「ぷっ!そ、それで、ランドセルで登校してきたわけ?」

まどか「うん…。捨てるわけにもいかないし…」

ほむら「とんだ災難だったわね (ランドセル背負ったまどかハァハァ)」

さやか「だからってランドセル背負う必要ないじゃないのww杏子が見えなくなったら降ろしたらいいのにww」

まどか「!そうだった!」

さやか「もう、鹿目まどかちゃんは頭脳まで小学生になったんでちゅね」

まどか「あんまりだよ、さやかちゃん!」

さやか「ごめん、ごめん!でも、良いもの見れたわー。凄く似合ってたよ、まどか!」

ほむら「ええ、凄く可愛らしかったわ」

まどか「酷いよ二人とも!!」

昼休み屋上にて

マミ「やっぱり大変そうね鹿目さん」

まどか「確かに大変な事もありますけど、お姉ちゃんは優しいし、なかなか楽しいですよ」

さやか・ほむら「お、お姉ちゃん!?」

まどか「昨日ずっと杏子ちゃんの事をお姉ちゃんって言ってたから、ついお姉ちゃんって言っちゃった///」

ほむら「嫉妬!ああ!まどかが私の妹である時間軸にタイムリープしたい!」

さやか「ほむらお姉ちゃんにはあたしという妹がいるでしょ?」

ほむら「絶対にノー!」

マミ「暁美さん…美樹さんを妹にするのが嫌なら、私を妹にしてもいいのよ、お姉ちゃん♪」

まどか・さやか・ほむら(どう考えても、それは無理があるでしょ…)

まどか「お姉ちゃんただいま!」

杏子「おかえりモモ!」

まどか「買い物に行こうよ」

杏子「わりー、今日はホテルの仕事で疲れてるんだ」

まどか「ええー」

杏子「友達と行っておいでよ」

まどか「お姉ちゃんと一緒に買い物に行きたいから、友達と遊ぶの断ったのに…」

杏子「マジかよ!ならしゃーねーか…」

まどか「やったー!」

杏子「たくもー」

まどか「ティヒヒヒ♪」

まどか(杏子ちゃんには悪いけど、お姉ちゃんに甘えるのは今しかできないからね♪)

まどか「CD屋に行こう」

杏子「おう」

試聴中

まどか「演歌はいいね…演歌は心を潤してくれる。日本人の生み出した文化の極みだよ」

杏子「あれ?モモ、演歌なんて聴くのか?渋いな~」

まどか「え!う、うん。最近はまってるんだ」

杏子「昔は、シャウト系のハードロックが好きだったのに」

まどか(どんな小学生だったんだろモモちゃんって…)

まどか「今度は服を見に行こうよ!」

杏子「慌てるなって」

まどか「このワンピース似合うんじゃない?」

杏子「確かにモモには可愛い系が似合いそうだな」

まどか「違うよー、私じゃなくてお姉ちゃんが着たら似合うかなって」

杏子「ええ!!あ、あたしが!?こんなフリフリの似合うわけねえよ!」

まどか「似合うか、似合わないかなんて着てみないかぎりわかんないよ!試着してみようよ」

杏子「い、嫌だ!」

まどか「むぅ…お姉ちゃんは妹の些細な願い事も聞いてくれないんだ…」

杏子「うっ…」

まどか「見てみたかったなあ、お姉ちゃんがその可愛いフリフリのワンピースを着たとこ…でも嫌なら仕方ないよね…」

杏子「わ、わかったよ!着ればいいんだろ///」

まどか「やったー♪」

試着完了

杏子「///」

まどか「うわあああ!!!杏子お姉ちゃん可愛い!!!!」

杏子「うぅ…///」

まどか「普段のカッコイイ系のお姉ちゃんもいいけど、こういう可愛いフリフリのを来たお姉ちゃんもいいね!!やっぱりお姉ちゃんは可愛いから何着ても似合うよ!」

杏子「ぬ、脱ぐ!」

まどか「駄目だよ!もっとそのかっこでいようよお姉ちゃん!」

杏子「絶対に嫌だ!」

まどか「お金は私が払うから、普段も着てよ!」

杏子「嫌だあああ!!」

まどか「くすん、結局買わせてくれなかった」

杏子「流石にモモの頼みでもそれは無理だ」

まどか「それじゃあ、次はなんかケーキでも食べに行こうか」

杏子「いいぞ」

まどか「あっ!待って」

まどか「このリボン可愛いな…よしこれにしよう」

「ありがとうございましたー!」

杏子「何を買ったんだ?お金ならあたしが出すぞ」

まどか「お姉ちゃんでも内緒だよ♪それと、これは私がお金を出して買わないと意味がないんだ」

杏子「?」

ケーキ屋

まどか「お姉ちゃんのアップルパイ美味しそうだね」

杏子「一口食べるか?」

まどか「いいの?」

杏子「その代わりモモのイチゴのケーキも一口ちょうだい」

まどか「うん、いいよ♪(モモのイチゴのケーキってなんかややこしいな)」

杏子「それじゃあ、あーん」

まどか「えええ///お姉ちゃん!あーんってのは恥ずかしいよ///」

杏子「何言ってんだよ、姉妹でそれぐらい普通だろ」

まどか「そうなのかな…」

杏子「それじゃ、モモ。口をあーんして」

まどか「あーん…///」

まどか「パクっ…むしゃむしゃ美味しい!」

まどか「それじゃあ、次は私の番だね。お姉ちゃん、あーんして」

杏子「え!や、やめろよ恥ずかしいだろ///」

まどか「やっぱりお姉ちゃんも恥ずかしいんじゃないの!私もしたんだから、お姉ちゃんもあーんしないと駄目だよ」

杏子「わかったよ…あーん///」

杏子「ぱくっ…うん…なんか色んな意味で甘酸っぱい…」

ゲームセンター

まどか「よーし。あのアザラシのぬいぐるみをとっちゃうぞ!」

まどか「集中して…あーん!失敗しちゃった…」

杏子「おいおいこれで何回目だよモモ。流石に下手すぎるぞ」

まどか「むぅー!そんなに言うならお姉ちゃん取ってみてよ」

杏子「まかせな!お姉ちゃんのテクニックを見てビビるなよ」

まどか「へへーん!お姉ちゃんでも、あれはなかなか難しいよ」

杏子「あらよっと!とったどー!」

まどか「えええ!一回で!!」

杏子「見たかお姉ちゃんのテクニック!」

まどか「凄い!ほんとに凄いよお姉ちゃん!」

杏子「えへへへ」

「凄いよお姉ちゃん」

杏子(何でだろ…モモに誉められるのが凄く久しぶりな気がしてくる…)

杏子「それじゃあ、このアザラシのぬいぐるみ大事にしろよ」

まどか「え!お姉ちゃんがとったものなのにいいの?」

杏子「ああ!なんてったってお前のためにとったんだからな!」

まどか「ありがとう!お姉ちゃん!」

「佐倉さん!テレパシー聴こえている?こちら巴マミ!大至急、駅の方に来てもらえないかしら?魔女の結界が見つかったの!」

杏子「モモ、わりー!どうしてもやらなけりゃいけない野暮用ができちまった」

まどか「魔法少女としての仕事だね」

杏子「え!?モモ、あたしが魔法少女だって事知ってたのか!?」

まどか「え!あっ…うん、知ってた(妹のモモちゃんは知らなかったんだね…)」

杏子「なんだよ…なら言ってくれてらいいのに」

まどか「うん…でも、お姉ちゃんが隠したがってたみたいだから、言わない方がいいと思ったんだ」

杏子「モモ…ごめんな、隠し事なんかして…」

まどか「ううん、そんな事はいいの。それより、いつもありがとうお姉ちゃん!」

杏子「え!?」

まどか「お姉ちゃんが魔法少女として戦っているから、私やたくさんの人たちが平和に暮らしていける…本当に今日までありがとう…杏子お姉ちゃん」

杏子「モモ…こちらこそありがとな。モモがそう言ってくれるだけで、あたしは何倍もの元気を持って戦える」

杏子「今日ほど、もう一度正義の魔法少女に戻って良かったって思った事はないよ。それじゃあ、ぱっぱと悪い奴をブッ飛ばしてくるからモモはあたし達の家で待っててくれよな!」

まどか「うん!今日は、私が夕ご飯を作って待ってているからね!」

杏子「わお!そいつは気合が入るな!それじゃあ行ってきます!」

まどか「行ってらっしゃい!」

杏子(今日は早めに帰らなくちゃな。それとも、モモが料理する時間を考えたら遅めに帰ってくるべきか…)

杏子(にしても、本当に正義の魔法少女に戻って良かったな。自分のためだけに魔法を使う魔法少女じゃ恥ずかしくてモモに本当の事話せないもんな)

杏子(あれ…?)

杏子(あたしって、何で正義の魔法少女を一旦辞めたんだっけ?)

杏子(…ああ、そうだ。親父が母さんと無理心中してからだ)

杏子(…何か違和感を感じる)

結界内

杏子「お待たせー」

さやか「ちょっと遅いよ杏子」

杏子「悪い、モモと買い物をしていたせいで遅れた」

マミ「遅れる事があるのは仕方がないわ。用事の途中、急に呼び出されたらたまったもんじゃないものね」

さやか「なるほど~。しっかりまど…モモちゃんと姉妹ライフを楽しんでるわけね…。あたしには、お姉ちゃんも妹もいないから、うらやましいなあ」ニヤニヤ

ほむら「イライラ」

ほむら「杏子…」

杏子「なんだよほむら、怖い顔して」

ほむら「今日の戦いでは、援護を期待しないことね。それどころか、誤射してしまうかもしれないわ…」

杏子「急になんだよ!」

マミ「ちょっと暁美さん!」

魔女「○▽%#*!!??」

さやか「さっそく現れたわね!」

マミ「ティーカップの形をした魔女ね」

ほむら「お茶の魔女ってところかしら。マミ、あなたと気が合いそうじゃない?」

マミ「ティーカップだからってコーヒーかもしれないじゃない」

杏子「お茶だが、コーヒーだが知らないが、速攻で片付けさせてもらうよ!妹が料理を作って待ってるんでね!」

ほむら「イラッ」

杏子「槍の錆にしてやる!」

スカッ

杏子「あれ?避けられた!?」

魔女「&#“”!!!??」バキッ!

杏子「うわー!!」

さやか「杏子―!!」

マミ「紅茶を大量に吸って鋼鉄のようになったティーパックで佐倉さんを攻撃したわ!!これは強烈よ!!」

ほむら「やっぱりお茶、それも紅茶の魔女のようね」

マミ「ぐぬぬ…」

杏子「よくもやったなー…仕返しだ!」

スカッ

杏子「あれ?また!?」

魔女「&‘###@??!」ゴキッ!

杏子「うわあああ!」

さやか「またしても、杏子が魔女の攻撃で吹っ飛ばされたー!」

マミ「どうしたの佐倉さん?!いつもの佐倉さんなら、二度も攻撃をミスする事も無いし、魔女のあれぐらいのスピードの攻撃なら避けるか受け止める事ができるはすなのに…」

ほむら「たくさん魔力を消費するから、できるだけ使いたくなかったんだけど、杏子がピンチな状況じゃ仕方がないわ…。マミ、私と手つないで!時間停止している間に攻撃を!」

マミ「わ、わかったわ」

ほむら「時間停止!」

カシャッ!!

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ドカーン!!

魔女「ギャアアアアアア!!」

さやか(叫び声は普通に言えるんだ…)

マミ「今日のお仕事終了っと」

杏子「みんな、ごめん。あたしが足を引っ張ってばかりで…」

ほむら「本当に今日のあなたは変よ…。あれぐらいのレベルの魔女ならあなただったら、そこまで苦戦しないはず」

杏子「…ごめん」

マミ「魔女退治の後の食事でもどう?」

さやか「いいですね♪」

ほむら「異論は無いわ」

杏子「わりー。今日はパスさせてもらうよ。妹が料理を作って待っててくれてるんだ」

マミ「そういえば、魔女と戦っている時にそんな事を口にしていたわね」

さやか「いやあ、本当に仲の良い姉妹だこと」

ほむら「もげろ、爆発しろ」

杏子「それじゃあ、また今度な」

マミ「ねえ、今日の佐倉さん。なんか変じゃなかった?」

さやか「そうですか?特に変わった様子は無かった気がしましたけど」

ほむら「そんなのだから、あなたは私達に追いつけないのよ」

さやか「何をー!!」

マミ「やっぱり、暁美さんは気づいてたのね」

さやか「やっぱり暁美さんはって、あたしは気づかないと思ってたんですねマミさん…」

ほむら「ええ。何て言うのかしら…簡単に言うと杏子がいつもより弱くなったんじゃないかって気がするの」

マミ「そうよね…いつもの佐倉さんならあの程度の魔女に二度も攻撃を避けられたり、魔女の攻撃を二度もまともに受けてしまうなんて事ないはずですもの」

ほむら「本当にどうしたのかしら…あの子の強さは認めていいと思っていたのに」

さやか「これってあれじゃないですか。まどか…妹とのラブラブ生活にふぬけて弱くなってしまったとか」

マミ「ハングリー精神を無くしてしまったっていうわけね」

ほむら「なるほど。大義名分ができたわ。さっそくまどかを杏子から引き離しましょ」

マミ「暁美さん!!」

QB「杏子は今、危険な状況にある。こんな事に気がつかないなんて、僕とした事がとんでもないミスをしてしまったようだ!」

マミ・さやか・ほむら「キュウべえ!!!」

さやか「本当に最近は急に出てくるよね」

QB「キュウべえの『キュウ』は『急に』のキュウなのさ!」

マミ「まあ!そんな意味だったの」

QB「嘘に決まってるじゃないか」

ほむら「また肉体がハチの巣になるけど、かまわないわよね?」

QB「ごめんなさい。もうつまらない事言いません」

さやか「そんな事はいいから」

マミ「佐倉さんに何があったの?」

QB「それはね…」

今回はここまで。
次回に続きます。

まどか「お帰りー!お姉ちゃん!」

杏子「おう、ただいま」

まどか「魔女との戦い、大丈夫だった?」

杏子「…うん、楽勝だったよ」

まどか「凄ーい!流石お姉ちゃんだね」

杏子「えへへ(モモに心配かけるわけにはいかねえな)」

まどか「じゃあ頑張ったご褒美に、私が作ったハンバーグだよ!」

杏子「うわあ!美味しそう!」

杏子「モモの料理期待していたかいがあったな」

まどか「お口に合うか、わからないけど」

杏子「モモが作った料理なんだ。まずくたって残さず食ってやるよ!」

まどか「ええーまずくたってって、それは酷いなあ」

杏子「ご、ごめん。そうだよな、口にする前からまずくたってって言うのはマナー違反だよな」

まどか「気にしてないから、冷めないうちに」

杏子「おう。それじゃあ、いただきまーす!!」

ムシャムシャ

まどか「どうかな…?」

杏子「美味しい!!このハンバーグ凄く美味いぞ!モモも冷めないうちに!」

まどか「良かったー。それじゃあ私もいただきまーす」

杏子「ふー食った、食った。ごちそうさま」

まどか「喜んでもらって私も嬉しいよ」

杏子「本当に美味しかったよ。モモの腕前なら将来はシェフになれるかな」

まどか「もう誉めすぎだよ、お姉ちゃん。これは昔、料理を教えてくれたパパのおかげなんだ」

杏子「パパ…?」

まどか「あ!えーと、友達のパパがね!」

杏子「ふーん。前にも言ってた友達のパパだな。凄いな、その人は。あたしも、いつか会ってみたいな」

まどか「うーん…まあ、いずれね(幻惑の魔法が解けたらね)」

まどか(流石に二日連続で友達の家に泊まっているってママに言うわけにはいかないから、今日は家に帰らないとね)

まどか(でも、どうやって帰ろうか…そうだ!)

まどか「ところで話は変わるんだけど、今日、友達の家に泊まりにいってもいいかな?」

杏子「え!?な、なんで?まさか、男か!!お、お姉ちゃんは、小学生で不純異性交遊は許さないぞ!」

まどか「ち、違うよー!えーと、明日テストがあるから友達の家に泊まって勉強するんだ」

杏子「ふーん。本当かあ?」

まどか「ほ、本当だよ!」

杏子「なんか怪しいなあ」

まどか「お姉ちゃん、妹の言う事を信じれないの?」うるうる

杏子「えっ?い、いや、信じるよ。い、妹を疑うわけないだろ!」

まどか「それじゃあ、行っていいね」

杏子「最後に一つだけ。友達の名前は何て言うんだ?」

まどか「え?」

まどか「友達の名前?」

杏子「うん。一応、聞いとこうと思って」

まどか「えーと…」あせあせ

まどか(どうしよう?さやかちゃんやほむらちゃんって言うわけにもいかないし…。うーん…)

杏子「じー」

まどか「か、かなめちゃん!円(まどか)かなめちゃんって言うの、その友達!」

杏子「ちょっと時間がかかったなあ。まあいいや、ご両親に迷惑かけるなよ」

まどか「はーい!!(なんとか切り抜けたー…)」

杏子「あたしが送って行かなくっても大丈夫か?」

まどか「大丈夫だってば。心配しすぎだよ、お姉ちゃんは」

杏子「それじゃあ、気をつけて行くんだぞ」

まどか「はーい、行ってきまーす!」

まどか(自分の家に帰るだけで一苦労だよ…)

杏子「まどか、かなめ…。そういえば、まどかとは最近会ってないなあ」

ピンポーン

杏子「はーい…ってお前らか。どうしたんだ?」

マミ「お邪魔するわね」

ほむら「あなたに大事な用事があって来たのよ」

さやか「そういえば、まど…モモちゃんは?」

杏子「今日は友達の家に泊まりに行ってるよ」

ほむら「え?何ですって!?誰?男なの?あなた、あの子のお姉さんでしょ!何でしっかり見てあげないの!!」

さやか「おちついて、ほむら」

杏子「女の子だよ。円(まどか)かなめって娘の家に泊まるんだってさ」

さやか・ほむら・マミ(円(まどか)かなめ?…ああ、自分の家に帰るってわけね)

杏子「そういえばさあ、最近まどか見ないけど、どうしたんだ?」

マミ「前にも言った事をもう一度、言わせてもらうわね佐倉さん。あなたの妹が鹿目さんなのよ」

杏子「はあ!?また、それかよ。つまんねージョークだな」

ほむら「ジョークなんかじゃないわ。本当に、あなたが妹だと思っているあの子がまどかなのよ」

杏子「ふざけんじゃねえ!ほむらまで、そんな事言いやがって…あたしを誑かそうってのか!」

さやか「マミさんとほむらが言ってる事は本当の事だよ…」

杏子「さやかまで…三人とも魔女の魔法にでもかかってるんじゃねえのか?」

マミ「いいえ、私たちは正常よ。おかしくなっているのはあなたなのよ」

杏子「あたしは正常だ!」

マミ「魔力の減少が早い事、ソウルジェムの濁りが早い事に気がつかなかった?」

杏子「あっ…!」

マミ「それが、あなたが今正常じゃないって事の何より動かし難い証拠よ。あなたは今、自分自身に幻惑の魔法をかけて鹿目さんが妹さんであると認識してしまっている。その魔法の効果を持続させるため、大量の魔力を消費しているの」

―回想―

QB「杏子が弱くなったように見えるのはね、大量の魔力を消費してるせいなんだ」

さやか「え?でも、そんなに魔力を使う事してたかな、あいつ?」

QB「杏子は自身に幻惑の魔法をかけ続けているんだよ、24時間寝てる時も起きてる時もずっと。そんな状態なら大量の魔力が消費されてしまうに決まってるじゃないか」

マミ「!!じゃあ、何でその事を教えてくれなかったの?」

QB「だから、僕のミスと言ったんだ。僕は杏子の父が信者たちに言う事を信じさせていた時と今の杏子の状態を一緒の事だと勘違いしていた。よく考えたら、杏子の父の場合は願いによるエントロピーを凌駕して生まれたもの。誰かの魔力を消費して効果が持続してるわけじゃない、いわば杏子の父に新しい法則が備わったようなものだ。対して、杏子は魔法少女として、自身の魔力を消費して幻惑の魔法を使い続けているんだ」

ほむら「なんてこと…」

QB「このままだと、杏子はグリーフシードでの浄化が追いつかないほどの魔力を消費してしまう。そうなったら…」

ほむら「魔女になる…」

さやか「杏子…」

―現在―

マミ「こんな事になるんだったら、様子見しようなんてせずに最初の時に気づかせてあげるべきだったんだわ」

杏子「あ、あたしが自分の魔法で幻を見ている…?そんな、馬鹿な話があってたまるか!!」

杏子「もしその話が本当だってんなら、モモはどこにいるんだ?」

さやか・ほむら「…」

マミ「…話しづらいとか今は言ってる状況じゃないわね」

マミ「佐倉さん、最初の時にも言ったわよね。あなたの妹さんはもうすでにいないの」

杏子「嘘だ…」

マミ「あなたのご両親といっしょに亡くなられたのよ」

杏子「あたしは信じない…」

マミ「嘘なんかじゃない、真実よ」

杏子「嘘だあぁ!!!こんなの嘘に決まってる!!!」

杏子「あたしは絶対に信じないぞ!モモが死んでいるなんて!モモはあたしがこの手で助けたんだ!!」

マミ「そう思い込んでいるだけなのよ…」

杏子「あたしは信じないぞ…。幻を見ているのはマミ達の方なんだ…」

マミ「佐倉さんもおかしいと思い始めてきたんでしょ?だから、最初の時と違って今は私の言う事に動揺してしまっている、そうでしょ?」

杏子「ハッ!」

―回想―

まどか「えーと、そうだね杏子ちゃん…」

杏子「こら!モモ!実の姉に向かって杏子ちゃんはないだろ。それじゃあ、友達同士みたいじゃないか」


まどか「パパが作ったカレーには負けるけど凄く美味しかった!」

杏子「パパ?親父が料理を作ることなんてあったかな?」

まどか「あっ…えーと友達のパパがね、凄く料理が上手い人がいるんだ」


杏子「…うっ…ぐす…」

まどか「どうしたのきょ、お姉ちゃん!」

杏子「わかんねー…。わかんねーよ。モモと一緒にご飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったり、ふざけ合ったありするなんて、昔っから今までずっとやってきた事なのに、なんだか凄く懐かしい事な気がして…」


杏子「はい。今日の朝ごはんは卵ご飯とみそ汁だ」

まどか「え…朝ごはんはパンじゃないの?」

杏子「え?パンの方が良かったか?モモは毎朝卵ごはん食べるのが好きじゃなかったっけ?」


まどか「凄い!ほんとに凄いよお姉ちゃん!」

杏子「えへへへ」

杏子(何でだろ…モモに誉められるのが凄く久しぶりな気がしてくる…)

―現在―

杏子「うわあああああああああああ!!」

マミ「佐倉さん…」

杏子「あたしは信じない信じない信じない信じない信じない…」

さやか「お願い杏子!目を覚まして!じゃないと、魔力が尽きて魔女になっちゃうんだよ!!」

杏子「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…」

ほむら「現実を見て杏子!あなたは現実を直視できる強い心を持っているはず…」

杏子「モモは生きてるモモは生きてるモモはあたしが助けたモモはあたしが助けた…」

マミ「ストップしましょ。これ以上やると佐倉さんの精神が壊れちゃう…」

さやか「そうですね…」

ほむら「これ以上精神を病むと魔女になってしまうかもしれないわ…」

マミ「グリーフシードをこんなに汚してしまって…浄化させてもらうわよ佐倉さん」

ジョワワ

杏子「モモはあたしが助けたモモは死んで無いモモは生きてる…」

マミ「今日は私、佐倉さんの部屋で泊ろうと思うの。こんな佐倉さんを一人にしておけないわ」

ほむら「それがいいでしょうね。グリーフシードの予備はある?」

マミ「ええ大丈夫よ」

ほむら「それと当分の間、杏子は戦わせない方がいいと思うわ」

マミ「ええ、わかってるわ」

さやか「マミさん…あたしも残りましょうか?」

マミ「大丈夫よ美樹さん。二人残っても仕方がないわ」

さやか「それじゃあ杏子の事お願いします…」

マミ「ええ任せて!」

さやか「杏子、あたし信じているから…。杏子は幻にずっと逃げ続ける娘じゃないって」

ほむら「私もよ杏子」

杏子「モモは生きてるモモは生きてるモモは生きてるモモは…」

マミ「佐倉さん、今日は疲れているでしょう?直ぐに寝ましょう」

杏子「ぶつぶつぶつ…」

マミ「こうやって一緒のベットで眠るのも久しぶりね佐倉さん…」

杏子「ぶつぶつぶつ…」

マミ「佐倉さんの家にお泊まりした時以来ね…、ベットが一つしかないからって一緒のベットで眠る事になったんだったな…」

マミ「あの時の佐倉さんは家族と一緒で幸せそうだったのに…」

杏子「ぶつぶつ…」

マミ「ごめんね…私がしっかりしていればあの時も、今回もこんな事にはならなかったかもしれない…本当にごめんね…佐倉さん」ギュッ

マミは憔悴した杏子の体を強く抱きしめた。マミの瞳から大粒の涙が落ち、虚ろな杏子の顔を濡らしていく。

杏子「ぶつぶつ…」

杏子「マミ…」

次回に続きます。

次の日

さやか「杏子があんなに取り乱す事があるなんて…」

ほむら「仕方がないわ、妹が実は別の人間で本当の妹は死んでいたなんて事を知ったんですもの…信じたくないのも無理はないわ」

ほむら「それに今、杏子は何が本当の事なのか、幻想なのか判別できない状況に陥ってしまっている…」

ほむら「さらに魔力の減少によりソウルジェムが濁り、精神が不安定な状態にあるのよ」

ほむら「精神がおかしくなりうる事が何個もあるのに、精神を安定させるなんて事無理よ」

さやか「杏子が今そんな辛い状態なのに、あたし、何もできないなんて…」

まどか「おはよう!さやかちゃん、ほむらちゃん!」

さやか「お、おはよう、まどか」

ほむら「おはよう…」

まどか「昨日は二人に馬鹿にされたけどランドセルじゃないんだよ!」

さやか「そ、そうだね…」

まどか「昨日は自分の家に帰るのにも一苦労したんだー」

ほむら「それは大変だったわね…」

まどか「まあ色々苦労はあるけど、杏子ちゃんとの姉妹生活も凄く楽しいんだ!本当はこんな事言ったら駄目なんだろうけど、もう少しだけこのままでも嬉しいかなって///」

さやか(ねえ、ほむら。昨日の事言わなくていいの?)

ほむら(あんなに杏子との生活を楽しそうに話すまどかに、昨日の事を話せる?)

さやか(確かに話しづらい…)

ほむら(でも、いずれ話さなければいけない事…ショックを受けさせたままで、今日一日をすごさせるのは可哀そうだから、放課後に話しましょ)

昼休み、屋上にて

まどか「今日はマミさんお休みなんだね」

さやか「そ、そうみたいだね。な、なんでだろうなー、あたしわかんないや」

ほむら「…(棒読みすぎるわよ、さやか)」

まどか「それでね、杏子ちゃんの話に戻すけど…」

さやか「そいつは傑作だー、あははは」

ほむら「…」

まどか「どうしたのほむらちゃん?」

ほむら「え?」

まどか「今日はずっと黙りこんでいて」

ほむら「え?そ、そんな事ないわよー!ちょっと今日はいつもよりクールなだけなのよー!」

まどか「おかしいの、ほむらちゃんったら」

さやか(声が上擦ってるよ、ほむら…)

まどか「でもね、私凄く心配な事があるんだ…」

さやか・ほむら「え?」

まどか「今の杏子ちゃん、凄く楽しそうでいきいきとしている…」

さやか「そう…それは良い事じゃないの?」

まどか「でも、私が本当の妹じゃない、本当の妹のモモちゃんはすでに亡くなっているって事を杏子ちゃんが知ったらどんなにショックを受けるだろうか、どんなに辛いだろうかって思って…」

さやか・ほむら「…」

ほむら「まどか」

まどか「なあに、ほむらちゃん?」

ほむら「放課後、大事な話があるの。さやかの同席付きで。ちょっと時間いいかしら?」

まどか「うん、大丈夫だよ」

放課後

まどか「あれ、マミさんもいるんですか?」

マミ「ええ」

ほむら(杏子の事は大丈夫なの?)

マミ(少しぐらいなら大丈夫だと思うわ)

まどか「…それで大事な話って何かな?」

ほむら「杏子の事よ…」

まどか「杏子ちゃんの事?」

さやか「落ち着いて聞いてね、まどか。杏子は、今危険な状態にあるんだ…」

まどか「え…?!」

マミ「佐倉さんは自分自身に幻惑の魔法を一日中、起きてる時も寝てる時もかけ続けているの」

マミ「そのため大量の魔力を消費し続けている…。この状況は魔法少女にとって、極めて危険な状態だわ。しかも自分で幻惑の魔法をかけている事を認めないから、解除もできないの…」

まどか「そ、そんな…!!」

まどか「きょ、杏子ちゃんはどうなるんですか?」

マミ「精神状態がよくないわね…。記憶の混乱とソウルジェムの濁りが原因だと思うわ」

まどか「私に何かできる事は…」

ほむら「残念だけどないわ…」

マミ「むしろ、鹿目さんは佐倉さんに対して今は何もしない方がいいと思うの」

まどか「ど、どうして…?私も杏子ちゃんの役に立ちたいです!」

マミ「佐倉さんの幻惑の魔法を解くには、現実を認識させて妹さんの事を諦めさせるしかないっていうのが私たちの結論よ。なのに、佐倉さんが妹だと勘違いしている鹿目さんが佐倉さんの前に姿を現したらどうなると思う?辛いと思うけど、当分は佐倉さんと会わない方がいいわ…」

まどか「…はい、わかりました…。それが杏子ちゃんのためになるなら…」

QBのテレパシー(大変だよ、みんな!!見滝原のA地区に使い魔が出現し、魔女の結界が見つかった!!)

マミ「なんですって…」

さやか「何でこんな時に!」

QB(今回の魔女は恐らく強敵だ!結界から強大な魔力を感じる!)

ほむら「泣きっ面に蜂みたいな状況ね」

マミ「直ぐに行きましょ!!」

ほむら「ええ」さやか「はい!」

杏子(あたしも行くぞ!!)

ほむら「テレパシー!?」

マミ「その声は佐倉さん!!」

さやか「馬鹿、あんたは休んどけってマミさんに言われてたでしょ!」

杏子(強力な魔力を持った魔女なんだろ?3人に任せるのは心配だ!)

ほむら「何で、杏子にまでテレパシーで知らせたのよキュウべえ!」

QB(ごめん、僕のミスだ。最近はミスが多くて嫌になるね)

ほむら「後で蜂の巣にする」

マミ「正直言うわよ佐倉さん。今のあなたじゃ足手まといよ、来ないで!」

杏子(足手まといだなんて認めちゃいねえし、ずっと待ってなんていられるか!あたしは嫌なんだよ、もしかしたら大切なものが失われるかもしれないってのに何もできないなんて!)

マミ「このわからずや!」

杏子(何て言われたって行くからな!)

マミ「いったい、どうしたら…?」

ほむら「マミは杏子のホテルまで行って、あの子を止めて。魔女は私とさやかの二人で相手するわ」

さやか「任せて下さいよマミさん!」

マミ「駄目よ!キュウべえが言ってたでしょ?強力な魔力を持った魔女なのよ」

ほむら「でも…」

マミ「私も佐倉さんの事叱ってられないわね。私も、大切なものが失ってしまう可能性を考えてしまうと、待っているなんて事できないわ…」

マミ「こうなったら仕方がないわ、鹿目さん」

まどか「は、はい?」

マミ「あなたが、佐倉さんを止めて」

まどか・「え!?」ほむら「ちょっとマミ!」さやか「いいんですか?」

マミ「この際、仕方がないわ。佐倉さんの幻惑の魔法を解くのは後回しにしましょう。いい、鹿目さん?絶対に佐倉さんを戦わせない事、いいわね?守れなかったら、もうお茶会に呼ばないわよ!」

まどか「は、はい!!」

マミ「佐倉さん、今あなたの元に妹さんが向かったわ。何でも、凄く重たい病気にかかったみたいよ」

杏子(何だって!?)

杏子(くそー強大な魔力を持った魔女が来ているってのに、どうすれば…)

マミ「とりあえず、病院に連れて行ってあげて。魔女との戦いは遅れて来ていいから」

杏子(…悪い)

マミ「…という事になったから、私たちは魔女退治に、鹿目さんは佐倉さんのところに行きましょ」

まどか・さやか・ほむら(今日のマミさんは何か怖い…)ガクブルガクブル

ホテル

まどか「ただいまー」

杏子「大丈夫かモモ!重病だって聴いたぞ!」

まどか「えーと…大丈夫かなあ」

杏子「え…そうか、マミのやろう!あたしを戦わせないために嘘ついたんだな、ちくしょう!よく考えたらマミが重病のモモをほったらかしにするはずがない!」

杏子「くそー!あいつら、大丈夫かよ!今すぐ行くぞ!」

まどか「駄目!お姉ちゃん、行かないで!」

杏子「駄目だ!いくらモモの頼みでも、こればっかりは聞けない!」

まどか「大事な人がいなくなってしまうかもしれない怖さはお姉ちゃんだけじゃないんだよ!!」

杏子「!!」

まどか「マミさん達に聞いたよ、今お姉ちゃんが凄く大変な事になってるって…」

杏子「…」

まどか「みんなも私も、お姉ちゃんの事を心配している…、もしかしたらお姉ちゃんの身に何かあったらって考えたら辛くなるのはみんなも私も一緒なんだよ!」

杏子「でも…」

まどか「お願い!みんなを…信じてあげて!」ポロポロ

杏子「…」

杏子「わかった、あいつらを信じるよ…」

まどか「お姉ちゃん!!」

杏子「ったく…妹を泣かせるなんてあたしもお姉ちゃん失格だな」

結界内

魔女「ヴァアアアアアアア!!」

ほむら「何てプレッシャーなの!」

さやか「見た目も、いかにも強そうな雰囲気だね。仮面にマントって」

マミ「長期戦になる前に倒してしまった方がよさそうね。今日という今日は速攻で片付けるわよ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

ドカーン!!!

魔女「ギャアアアアアアアア!!」

グリーフシードが結界内の地面に落ちてきた。

さやか「あれ?あっさり倒せちゃったね…」

ほむら「腑に落ちないけどグリーフシードも落としたし、これで攻略完了かしら…」

QB「気をつけてみんな!まだ、強大な魔力が消えていない!!」

マミ「え!?」

魔女「グオオオオオオオ!!」

マミ「キャーー!!」

魔女が振り下ろすステッキに直撃したマミは吹っ飛ばされ、壁に激突した!

さやか「マミさーん!!」ほむら「マミー!!」

さやか「そんな、マミさんの攻撃で魔女は死んだはずじゃ…」

ほむら「グリーフシードはフェイクだったようね」

魔女「ヴァアアアアアアアアアアア!!!!!」

ほむら「さやかはマミの治療をお願い!この魔女は私が引き受ける」

さやか「オ、オッケー!」

魔女「グァアアアアアアアアアアア!!!!!」

ほむら「来る!!」

ほむら「時間を停止して…え?盾が無い!?」

ほむら「そんな!?落としたっていうの!?」

QB「何をしてるんだ、ほむら!盾なら左腕にあるじゃないか!」

さやか「あっ、危なーい!ほむらー!」

ほむら「え!?」

魔女「ガアアアアアアアアアアアア!!!!」

魔女が振り下ろすステッキでほむらは吹っ飛ばされた!

ほむら「きゃあああああ!!」

さやか「二人がやられた!?くっ…二人の治療は後回しにして、魔女の相手をしなければ…」

魔女「グォオオオオオオオオオ!!!」

さやか「え!?魔女が分裂した!?」

手品の魔女

その性質は『幻想(イリュージョン)』。相手に幻を見せるのを得意とする魔女。魔女になる前は、手品を得意とする魔法少女だった。

ホテル

杏子「…」イライラ

まどか「落ち着いて、お姉ちゃん」

杏子「あ、あたしはいつだって冷静だよ、落ち着いてるよ!あ、あいつらを信じてるからな!」

まどか「そ、そうだね。みんななら大丈夫だよね!」

杏子「お、おう!あいつのために、美味い飯でも作っていようぜ!」

QB(大変だよ杏子!三人がピンチだ!!)

まどか「こ、この声はキュウべえ!」

杏子「テレパシーか!あいつらがピンチってどういう事だ!?おい!!」

QB(相手の魔女は幻惑系統の魔法を得意とした魔女だ!その魔女の幻惑に惑わされて、三人とも苦戦している!)

杏子「何だって!!」

QB(幻惑の魔法を使える君なら、対処できるかもしれない!)

杏子「だから言ってるだろ!あたしは幻惑の魔法はできなくなったんだ!」

QB(現に今できてるじゃないか?)

杏子「ふざけた事言うんじゃねえ!」

QB(そんなに現実を認めるのが嫌かい?)

杏子「くっ…もういい!今すぐそっちへ行く!」

まどか「止めてお姉ちゃん!!」ギュッ

まどかは後ろから杏子を抱きしめた。

まどか「お願い、行かないでお姉ちゃん…。マミさんから聞いたよ…今の弱ったお姉ちゃんじゃ危険なんだって…」

杏子「モモ…ごめん。あたしは、三人を見捨てる事なんてできない!」

まどか「私も、お姉ちゃんもみんなも見捨てる事なんてできない!」

まどか「キュウべえ聴いて!私、魔法少女になる!!」

杏子「な、何を言ってんだモモ!!」

まどか「今すぐ、そっちに行くから、私をその魔女を倒せる、みんなを助ける事のできる魔法少女にして!!」

QB「魂を差し出し、命を危険に晒す覚悟があるんだね?」

まどか「うん!全部覚悟の上だよ!」

杏子「止めろ!!お前が犠牲になる必要なんてないんだ!」

まどか「私は犠牲だなんて思わないよお姉ちゃん…。みんなを救える、みんなを守る事ができる…だから私はどんな事も辛いとも苦しいとも思わない!」

杏子「止めろ!まどか!!」

まどか「え…お姉ちゃん、今なんて…?」

杏子「ごめんな、まどか…あたしは大馬鹿やろうだ…」ギュゥ

杏子はまどかを強く抱きしめた。

まどか「どうして…?」

杏子「みんなのために、進んで命を投げ出し、それを怖がったりしない…そんな大馬鹿野郎はまどか、あたしの知ってる奴じゃお前しかいねーよ…」

杏子「気づきそうになっていたのに、…あたしは気づかないように、見ないようにしていた…。現実から、いや、まどか、お前から逃げてたんだ…」

杏子「自分の妹がもう死んでる事を認めたくなくて、妹を守れなかった事から逃げたくて、まどかをあたしは見ていなかった…」

杏子「誰かのためなら自分を犠牲にするのをいとわない、こんな優しくて強い友達をあたしは今までずっと別の人間だと思い込んでいた…ずっと近くにいたのにずっと見ていなかった…本当にごめん」

まどか「おね…杏子ちゃん!」

杏子「妹を守れなかった過去を無かった事にしようとやっきになったせいで、今度は今、守りたいものを守れないとこだったよ…あたしは本当ド級の馬鹿だな…」

杏子「だから行かせてくれまどか!今度こそ守りたいんだ!」

まどか「それは駄目…」ふるふる

まどか「私だって、杏子ちゃんをみんなを守りたい!だから私は魔法少女になる!」

杏子「駄目だ!まどかが魔法少女になれば、お前が戦ってほしくないと思って今日まで努力してきた奴らの想いをお前自身で台無しにしてしまう事になるんだぞ!」

まどか「でも…」

杏子「…あたしだってお前に戦ってほしくない…」シュタッ

杏子はまどかの首筋を叩いた。

まどか「え…?き…きょうこちゃん?」バタっ

杏子「ごめんな…まどか…」

杏子「短い間だったけど、お前のお姉ちゃんでいられて嬉しかった…」

杏子「だから、お前を戦わせたくない」

杏子「妹に手をあげる姉なんて最悪だな…」

杏子「待ってろよ、あいつら!」

今回はここまで。
次回に続きます。
次回でラスト!(予定)

結界内

魔女「ブアアアアアアア!!」

ほむら「ワルプルギスの夜と戦うどころか、他の魔女と戦って終わりになりそうなんてね…」

マミ「諦めないで暁美さん…はぁはぁ」

さやか「こんな事なら恭介にちゃんと告白しとくんだったな…」

マミ「美樹さんも!」

魔女「ヴァアアアアア!!」

三人まとめて倒してしまおうと、魔女がステッキを薙ぎ払った

マミ・さやか・ほむら(や、やられる!!!)

ガキーン!!

どこからともなく降ってきた槍により、魔女の攻撃は弾かれた!

マミ「え?」

ほむら「な!」

さやか「あ!」

杏子「よー待たせたお前ら!」

マミ「佐倉さーん!!」さやか・ほむら「杏子―!!」

さやか「あの馬鹿!」

ほむら「あれほど言ったのに!」

杏子「悪態つくわりに嬉しそうな顔してんなお二人さん」

さやか「う、嬉しそうな顔なんかしてないわよ!あれほどみんなで来るなって言ったのに、あんた馬鹿よ!」

ほむら「本当に愚かだわ…でも助かった…」

マミ「佐倉さん!妹さんはどうしたのよ?」

杏子「妹のまどかなら、今おねんね中さ」

さやか「え!?今、まどかって…」

ほむら「妹のまどかですって!?まどかを妹にするなんて私は許さないわよ!」

さやか「つっこむとこ、そこかよ!!」

マミ「佐倉さん、もしかして幻惑の魔法が…」

杏子「ああ、待たせて本当にごめんな。みんな…」

マミ「…本当に待たせすぎよ!馬鹿!」

杏子「わりぃ…」

魔女「グォオオオオオ」

QB「つもる話は後回しだよ杏子、みんなへの正式な謝罪は魔女を倒した後だ」

杏子「わかってるよ…。魔女!お前はこの佐倉杏子復活記念の最初の獲物だ!!」

杏子「とりゃあああ!!」

ガキン

魔女「ヴァアアアアア!!」

さやか「今のうちにみんなの回復を…」

マミ「私はいいから暁美さんを…」

ほむら「いいえ、マミの方が先よ」

マミ「いいえ、あなたの方がダメージが大きいわ」

ほむら「私は、魔女の攻撃を最小限にして防げたわ」

マミ「嘘おっしゃい!」

さやか「ああもう!こんな時にしかもしょうもない理由で言い争いなんてしないで!最初に魔女の攻撃をくらったマミさんが先でいいですね!」

マミ「はい…」

さやか「痛いとこあったら痛いって言って下さいね」

マミ「大丈夫よ…」

マミ「ところで、佐倉さんはあの魔女に勝てそうかしら?」

QB「同じ幻惑系の魔法を使う者同士の戦いだ。魔女の方が魔力は上だが、杏子は戦闘経験の豊富なベテランだ。恐らく実力は互角。マミ達がいるぶんこっちの方が有利だと思うよ」

杏子「うわあああああ!!」

ほむら「全然互角じゃなさそうよ」

マミ「佐倉さん!!」

杏子「くそー…つえー…」

さやか「大丈夫、杏子!?」

ほむら「あなた、さっきから戦いを見てたら、全然幻惑の魔法を使ってないじゃない!」

マミ・さやか「え!?」

杏子「使ってないんじゃない、使えないんだ…」

さやか「どういう事?」

杏子「あたしにもわからねぇ…」

ほむら「どういう事よ、キュウべえ?杏子は幻惑の魔法を使っていたから、まどかが妹に見えていたんでしょ?」

QB「僕にもわけがわからないよ」

魔女「ヴァアアアアア!!」

杏子「うわああ!!」

杏子「くそー…どうしたら…」

マミ「佐倉さん!原因を考えるのよ!!」

杏子「え!?」

マミ「佐倉さんの家族が亡くなられた時、何故幻惑の力を失ったのか。何故、今回、鹿目さんを妹さんだと認識するための幻惑の力が働いたのか。原因がわかれば、きっと力を取り戻せるはずよ」

魔女「ギュウウウウオオオオオ!!!」

ガキン!魔女の攻撃を杏子は槍で防いだ

杏子「そんな、考えろって言われても戦ってる最中に…」

さやか「マミさん回復できました!」

マミ「ありがとう美樹さん!さっそく、暁美さんの回復をお願い」

マミ「佐倉さん!魔女は私が戦うから、その間に幻惑の魔法が使えるようにして!!」

マミ「私が相手よ魔女!」

魔女「シャアアアア!!!」

杏子「原因を考えろか…」

杏子(最初の時、幻惑の力を失ったのは何故だ?家族が死んだからだ…。あたしのこの力が家族を滅茶苦茶にしてしまったんじゃないかと思うと、怖くて使えなくなったんだ…)

杏子(まどかをモモと認識してしまう幻想を見たのは何が原因だ?)

杏子(妹を守れなかった事を認めたくなかったから?なら、何故今頃になって、そんな事になった?)

杏子(…)

―回想―

(お姉ちゃん…)

杏子(!!モモ!)

モモ(お姉ちゃん!助けて!熱いよ!家が火事になってる!)

杏子(モモー!今助けてやるぞ!)

杏子(うわー!火が!くそー!)

モモ(お父さんがー!お父さんが刃物を!)

モモ(お姉ちゃーーん!!)

杏子(モモーーー!!!!)

―現在―

杏子「そうだ!あの時、夢を見たんだ」

杏子「あたしは夢の中でも必死だった…妹を助けるために」

杏子「そして、今度は妹を助けるために…いや助けたと思い込むために、現実から夢へ逃げるために、幻惑の魔法を思い出して使ったんだ…」

杏子「でも、何で今回は使えないのかわかんねぇー!」

―現在―

杏子「そうだ!あの時、夢を見たんだ」

杏子「あたしは夢の中でも必死だった…妹を助けるために」

杏子「そして、今度は妹を助けるために…いや助けたと思い込むために、現実から夢へ逃げるために、幻惑の魔法を思い出して使ったんだ…」

杏子「でも、何で今回は使えないのかわかんねぇー!」

マミ「幻惑の魔法が使える魔女は本当に厄介ね」

ほむら「回復はできたわ。助太刀するわよ、マミ」

さやか「同じく、さやかちゃんも」

マミ「暁美さん!美樹さん!」

さやか「ねえ、ほむら。幻想を見せられているのはわかっているけど、左腕に盾があるのもわかっているんだから時間停止は使えないの?」

ほむら「残念ながら、脳みそにジャミングがかかっているような状況で、どうやっても、盾を触る事ができないのよ。認識できないって言った方がいいかしら」

さやか「私たちが変わりに使うってのは?」

ほむら「本人じゃなければ使えないのよ」

マミ「本格的に厳しくなってきたわね…」

ほむら(盾を認識できないから、幻惑の魔法がかかる前に盾から取りだしたピストル一丁しか使えないわ。本格的に役立たずじゃない、私)

魔女「ウラアアアアアアア!!!」

ドゴォ!!魔女の攻撃が三人もろとも吹っ飛ばす!

マミ・ほむら・さやか「キャアアアアア!!!」

杏子「くそー、みんながピンチだってって時にあたしは何もできねーのかよ…どうすれば…?」

QB「杏子。君が幻惑の魔法が使えなくなった原因はおそらくメンタル的なもの…」

QB「恐怖だ」

杏子「え!?」

QB「最初の時も、この力のせいで家族を失ったのではないかという恐怖で力を失った。今度もそうだ。推測だが、杏子はまた同じように妹や家族が死んだ事を否定するような幻惑の魔法を自分に使うのではないかと恐れている」

杏子「多分、そうなんだろうな…」

QB「まどかを妹と思い込むために幻惑の魔法を使ったのは、夢とはいえ妹を助けるために必死だったから恐怖を忘れていたんだろう…」

杏子「それじゃあ、恐怖を忘れるほど必死になればいいのか?」

QB「忘れるのでは駄目だ。それじゃあ自在に幻惑の魔法を操る事はできない」

QB「自分の力で克服しなくちゃいけない。恐怖を乗り越える事が出来れば自在に力を使えるはずだよ」

杏子「現実から逃げてばっかだったあたしに、そんな事できるだろうか…」

QB「何言ってんだよ、杏子。君は現実と向き合う事ができたからこそ、自分にかかった幻想を振り払う事ができたんだろ?」

杏子「キュウべえ…」

QB「君ならきっとできるよ」

杏子「ありがとうキュウべえ…」

QB「今回の事に関して僕は、ミスばっかりだったからね。ようやくまともな事ができたかな」

杏子(怖がるなよ、あたし…)

杏子(じゃないと、また守りたいものを失っちまうぞ)

杏子(ちょっとの間だったけど妹になってくれたあいつに言っただろう?)

杏子「今度こそみんなを守りたいって!!」

ほむら「弾切れよ…」

さやか「流石にきつくなってきたかな…」

マミ「みんな耐えて…」

魔女「ヴァアアアア!!!」

ガキン!!

魔女の攻撃を大きな槍がなぎ払った!

杏子「今度こそ、本当にお待たせ!」

マミ「佐倉さん!」さやか・ほむら「杏子!」

魔女「ヴァアアアア!!!」

魔女がステッキを杏子の頭上に振り下ろした!!

マミ「危ない!」さやか・ほむら「杏子!」

ブン!

魔女「???」

杏子「そっちは幻だよ」

マミ「やったわ。本当に、昔の力を取り戻したのね…」

さやか「あれが杏子の…」

ほむら「本当の力…」

魔女「ガアアアアアアアアアア!!!」

さやか「分身した!!」

ほむら「しかも、10体も!?」

マミ「佐倉さん!」

杏子「そっちが10体なら…」

杏子×20「あたしは20だ!!!!」

魔女「!?」

さやか「杏子が滅茶苦茶増えた!?」

ほむら「これが全盛期の杏子の力なの?!」

マミ「出たー!佐倉さんのロッソ・ファンタズマよ!」

さやか・ほむら「何、今の変な名前!?」ガビーン!

杏子「化かし合いであたしに勝てると思うなよ!」

魔女「ガアアアアア!!」

ほむら「行ける、この調子なら…」

さやか「勝てるかな?」

QB「杏子が何人にも分身したせいで対象を絞る事ができず、あの魔女の幻惑の魔法は杏子にはかからないだろう」

QB「それに言っただろ?君たち仲間がいる分、こっちの方が有利だって。力が互角でもマミ達との戦いで消耗した魔女なら杏子が勝てる」

杏子「終わりだよ!!」

魔女「ギャアアアアアアア!!!」

杏子の槍が魔女の胴体を貫いた!

魔女は消滅し、グリーフシードが転がり落ちてきた

マミ「今度は大丈夫よね?」

QB「もう魔力は感じない。安心していい、君たちの勝利だ」

さやか「やっ…」

マミ・さやか・ほむら「やったー!!!」

さやか「あら?ほむらが、柄にも無くやったー!なんて珍しい」

ほむら「はっ!…みんなに合わせてみただけよ」

杏子「やったな…」バタッ

杏子は力尽きたように倒れる

マミ「佐倉さん!」さやか・ほむら「杏子!!」

(ここはどこだろ…真っ暗だ…)

(あたしは確か…魔女と戦ってたんだっけ)

(って事はもしかして死んじゃったのかな…勝ったと思ったんだけどな…)

「…ちゃん」

(え?誰かの声がする?)

「お姉ちゃん」

(モモ!?)

(また幻なのか…それとも天国?)

「お姉ちゃんはまだこっちに来ちゃいけないよ、だってお姉ちゃんを必要としている人がそっちにたくさんいるんだから…」

(モモー!!)

杏子「モモー!!!」ガバッ

看護婦「良かった、ついに起きたわ!」

杏子「え!?」

看護婦「大丈夫?痛いところとか苦しいとことかない?」

杏子「え?え?」

看護婦「ここは病院よ」

杏子「ええええー!!?」

看護婦「あなた、1日中意識が回復しなかったのよ」

杏子「えええええ!!!!」

看護婦「静かに」しー

杏子「はい…」シュン

看護婦「すぐに先生を呼ばないと…」

看護婦「それと、待合室にいる桃色髪の女の子にもこの事をすぐに教えてあげないとね」

杏子「まどか!?」

看護婦「あなたが病院に運ばれたって知ってから、ずっとあなたの事を見守ってくれていたのよ」

杏子「まどかが…」

看護婦「凄く大切に思われてるのね、なんとなくそう思ってたんだけど妹さんかしら?」

杏子「…いいえ、友達です」

まどか「杏子ちゃ~ん!!」

杏子「まどか!!」

まどか「も、もう凄く心配したんだよ!だから行かないでって言ったのに!ううぅ、えぐっ、ひっく」

杏子「ごめんな…」

杏子「それより、何であたし病院にいるんだ。さやかの回復魔法で治るだろ。つうか、あいつらはどうした?」

まどか「傷の方は問題なかったんだけど、キュウべえが言うには魔力を大量に使用したり長時間幻惑の魔法にかかっていたせいで精神的に大きな負担がかかって、そのせいでずっと倒れていたみたいなの」

杏子「だから、いちお病院にってわけか…」

まどか「それでね、さやかちゃん達はね…」

さやか・ほむら「杏子―!」マミ「佐倉さーん!」

杏子「ちょ、お前ら!」

さやか「良かった、杏子が目を覚ましてる!あたし、ずっと杏子がこのままなんじゃないかと…」

杏子「お前ら!まどかにあたしの面倒押し付けて、どこ行ってたんだよ!」

マミ「魔女と戦っていたのよ」

杏子「え?」

マミ「新しい魔女が出現したから、佐倉さんの分まで戦おうって…佐倉さんが目を覚ますまで私たちだけで頑張ろうって…うっぐっす、ひっく」

杏子「そうだったんだ、ごめん…」

ほむら「まったく、今回の事であなたはみんなに迷惑かけすぎよ。反省しなさい」

杏子「ほむら…こういう時でもお前はいつも通りクールで、なんか安心するなあ」

まどか「ううん。全然そんな事ないよ。今じゃ、すました顔してるけど、ほむらちゃんったらすんごく杏子ちゃんの事、心配して落ち込んでいたんだよ」

ほむら「ま、ま、まどか///」

杏子「へえー」

ほむら「き、貴重な戦力が消える事を心配していただけよ!」

さやか「またまたー。ベッタベタなツンデレだねーほむら、可愛い!」

ほむら「そういうさやかも、鼻水垂らして泣いていたのによく言うわ」

さやか「な///は、鼻水は垂らしてないー!!」

看護婦「あなた達!ここは病院ですよ、お静かに!」

杏子・まどか・さやか・マミ・ほむら「す、すみません…」

QB「次の日、杏子は病院を退院した」

QB「こうして、一連の『杏子の妹がまどかなわけがない事件(命名さやか)』は終わった」

QB「やれやれ、今回の騒動で色んな苦労をさせられたよ。僕のミスも、騒動をややこしい事にした原因の一つだから大きく文句は言えないけどね」

QB「でも、今回の騒動で、魔法少女が使う幻惑の魔法についての良いサンプルが取れた」

QB「自身に幻惑の魔法をかけるなんて珍しい事例だからね」

QB「それと、人間の感情や心理についても面白い事がよくわかったし、苦労した甲斐があったかな」

ホテルの杏子の部屋

まどか「この部屋とも、お別れか。二日か三日ぐらいしかいなかったけど、寂しいな…」

杏子「なんなら、ここでまた住んでみるか、あたしと」

まどか「本当?」

杏子「…冗談だよ、お前にも家族がいるだろ?やっぱり家族と一緒のとこに住むのが一番だよ…」

まどか「…そうだね」

まどか「でも、また遊びに来ていいよね」

杏子「当たり前だろ。でも、今度は友達としてだな」

まどか「うん!」

まどか「あの後、大変だったよね…」

杏子「そうだな、あたしが迷惑かけた事で謝罪するのに滅茶苦茶、苦労したんだよな…」

―回想―

杏子「みんな、本当にごめん」

マミ「気にしないで、佐倉さん。あなたが無事で何よりよ」

杏子「でも、それじゃあ、あたしの気がすまないよ。お詫びに何でもするから!」

ほむら「ん?」

さやか「今、何でもするって言ったよね?」

杏子「え?」

さやか「くぅ~!焼きあがってますねーこの肉!」

ほむら「この肉はあまり焼く必要がないわ」

杏子「お前ら、大量に頼み過ぎだ!!食べ放題の無い高級焼き肉店なんだぞ!あたしの財布を考えてくれ!」

ほむら「だって」

さやか「何でもするって言ったでしょ?」

杏子「ぐぬぬぬ…」

マミ「佐倉さん。自分の言った事はちゃんと責任を持たないと駄目よ、ハフハフ」

杏子「つうか、気にしないでって言ったマミが何で一番食ってんだよ!!」

マミ「これはこれ!それはそれよ!」

まどか「あははは…」

―現在―

まどか「あれはちょっと可哀そうだったなあ…」

杏子「だろう?そういえば、まどかも…」

―回想―

マミ「そういえば、鹿目さん。私に何か言う事があるんじゃないかしら?」

まどか「えーと、何でしたっけ?」

マミ「言ったでしょ?『絶対に佐倉さんを戦わせない事、いいわね?守れなかったら、もうお茶会に呼ばないわよ!』」

まどか「あっ」

杏子「そんな約束していたのかよ!まどかは悪くない、これはあたしのせいだ!どうか許してやってくれないか?」

マミ「…そうね、鹿目さんも頑張ったんだし、お茶会呼ばないってのは無しにしてあげる」

まどか・杏子「ほっ…」

マミ「ただし、代わりに罰ゲームがないとね…私、デザートが食べたいなあ?」

まどか・杏子・ほむら・さやか(え!?まだ食べるの!?)

―現在―

杏子「で、まどかのおごりでケーキバイキングに行く事になったんだよな」

まどか「うん。マミさん以外そんなに食べなかったんだけどね」

杏子「ほんとマミはよく食べるよなあ、あたしでも凄いと思うよ」

まどか「そうだねー、ティヒヒ」

まどか「そういえば杏子ちゃん、リボン…」

杏子「ああこれか。戦いの最中に破けてしまったみたいなんだ、だから今はゴムで止めてる」

まどか「そうだ!あれを忘れるところだった」ゴソゴソ

杏子「?」

まどか「はい、プレゼント♪」

まどかは綺麗にラッピングされた箱を杏子に差し出した

杏子「え!これって…」

まどか「あの時一緒に買い物に行ったでしょ。その時に買ったんだ」

杏子「…正直受け取りづらいな。プレゼントを貰う理由が無いし、もしろ今回はまどかに迷惑かけてばっかりだったのに」

まどか「ううん、迷惑なんかじゃなかったよ。確かに苦労する事もあったけど、凄く楽しかった。ちょっとの間だけど杏子ちゃんの妹でいられて私は嬉しかった」

まどか「だから、これは私からの感謝の気持ち…受け取ってくれるかな?」

杏子「こうまで言われちゃ受け取らないわけにはいかないじゃねえか///」ポリポリ

まどか「はい」

杏子「ありがとう、まどか」

まどか「今、開けてみて」

杏子「おう」

杏子「これは…リボン!」

まどか「杏子ちゃんが普段つけてる黒色のリボンとは違う桃色のリボンだけど、どうかな?」

杏子「ありがとう、まどか!大事にするよ!」

杏子「それじゃあ、さっそく…」

まどか「待って杏子ちゃん。私がつけるよ」

杏子「サンキュー!」

まどか「ちょっと待っててね」

杏子「…なんかリボンをつけてもらうなんて、妹みたいだな。ちょっと前まであたしの方が姉だったのに」

まどか「じゃあ、今度は私がお姉ちゃんで杏子ちゃんが妹やってみる?」

杏子「そいつは無理な話だな。どうやってもまどかがお姉ちゃんには思えないよ」

まどか「ええ!それは酷いよ杏子ちゃん!」

杏子「あははは」

まどか「できた!」

杏子「おお!良い感じ!」

まどか「凄く可愛いよ杏子ちゃん!」

杏子「…ありがとう、まどか」

まどか「どういたしまして」

杏子「リボンの事だけじゃない、ちょっとの間だけど妹として一緒に暮らしてくれてありがとう」

杏子「今まではごめんっていう迷惑かけた気持ちの方が大きかった。でも、まどかが楽しかったって言ってくれて、プレゼントをくれて、それ以上に感謝の気持ちで一杯になったんだ」

杏子「現実から逃げていただけかもしれない、まどかをモモの代わりとしてしか見ていなかったかもしれない、でも家族を失ったあたしにまた家族の温もりを思い出させてくれた…そして逃げていたあたしを現実に引き戻してくれた!本当にありがとう、まどか」

杏子「それじゃあ、さよならだ…」

まどか「うん、さよならお姉ちゃん…」

数日後のとある休日の昼

さやか「それにしても、何で杏子はまどかを妹さんと認識していたんだろう」

ほむら「だから何回も説明を聞いたでしょ、杏子の幻惑の魔法だって」

さやか「だから、そういう事じゃなくて、何でまどかをって事なのよ!妹にするなら、まどかじゃなくても良かったじゃないかって」

ほむら「そんなの決まってるじゃない。妹というのは可愛いもの。そしてまどかは可愛い。よってまどか≒妹が成り立つわ」

さやか「ほむらに聞いたあたしが馬鹿だった」

QB(大変だよ、みんな!魔女が現れた!)

さやか「今日も魔女さんは仕事熱心ですなあ、たまには休んでほしいよ」

ほむら「さっさと倒して休みを取る事にしましょ」

杏子「あらよっと」

魔女「ギャアアアアアア」

マミ「もう魔女を倒してしまうなんて、流石ね佐倉さん。幻惑の魔法を使いこなしているわ」

杏子「いや、まだまだだ。もう少し上手くコントロールできるようにならないと」

さやか「魔女も倒した事だし、昼ご飯に行かない?」

杏子「あたしパス。今日はまどかと約束があるんだ」

ほむら「何ですって!?」

さやか「そういえば、まどかも杏子と約束があるんだって言ってたな」

ほむら「私もご一緒していいかしら?」

杏子「わりぃ、今日は二人だけでやる事があるんだ」

ほむら「二人だけ…ノォー!!!!!」

さやか「最近、まどかと杏子のお二人さんラブラブですな。あの事件を切っ掛けに仲が深まったのかな?」

ほむら「うぅ…まどか…」

マミ「大丈夫よ暁美さん。例え佐倉さんと仲良くなっても鹿目さんの一番はあなたなのは変わらないわ、多分…」

さやか「それにしても杏子の奴、何か雰囲気変わりましたよね。何でだろ?」

ほむら「さやか、まだ気づかなかったの?そんなんだからあなたは恋愛ごとに弱いのよ。リボンが前と変わったでしょ」

さやか「あ!」

マミ「桃色のリボン…いつもの佐倉さんと雰囲気は違うけど似合ってると思うわ」

マミ「あの桃色は何の色なのかしらね…妹さんのモモちゃんの事なのかな?それとも鹿目さんの事なのかしら…」

鹿目家

杏子「お待たせーまどか!」

まどか「キュウべえから聞いたよ。魔女退治お疲れ様」

杏子「それじゃあさっそくだけど、行こっか」

まどか「ちょっと待って。その前にもし良かったらお昼ごはん食べない?」

杏子「え!いいのか!」

知久「さあ、いっぱい食べてね」

杏子「あたしまで食べさせてもらってすいません」ペコリ

知久「いいんだよ、たくさん作りすぎちゃったからね」

まどか・杏子「それじゃあ、いただきまーす!」

杏子「ムシャムシャ…!美味しい!このパスタすんごく美味しい!」

まどか「でしょー」

杏子「なるほど、この人が前に言ってた凄く料理の上手いパパか」

まどか「ウェヒヒヒ♪」

まどか「それじゃあ行ってきまーす!」

杏子「悪いな、まどか。こんな事に付き合わせちゃって」

まどか「ううん。私もやらなくちゃいけないって思ってたんだ」

杏子「そうか、ありがとう。あいつも喜ぶよ」

墓地

杏子「父さん、母さん、モモ…お墓参りに来たよ」

まどか「…」

杏子「モモ、一番お前に話したい事があるんだ…」

杏子「今日ここにいるのは鹿目まどかっていってあたしの友達だ」

杏子「あたしはこのまどかをお前だと思い込んで、現実から逃げようとした…」

杏子「お前にとっても、まどかにとっても酷い事をしたと思う。ごめんな…」

杏子「それとありがとうなモモ…。あたしが天国に行ってしまいそうになるのをお前が止めてくれた、そのおかげで今こうして生きていられる…」

杏子「また来るよ、みんな…」

杏子とまどかの二人は墓石に花を添え、黙祷した

杏子「やっとみんなの墓の前に顔を会わせることができた…」

まどか「え?」

杏子「恥ずかしい事だけど、ずっとお墓参りなんてできなかったんだ。あたしのせいで、死なせてしまったと思うと、怖くて…」

まどか「杏子ちゃん…」

杏子「今回の事件で、あたしは現実から、恐怖から逃げるのを止める事ができたんだ。そういう意味では今回の事件も意味があったのかもな。みんなに迷惑かけちゃったけど…」

杏子「それとな、まどか。お前のおかげでもあるんだぜ」

まどか「え?」

杏子「まどかがあたしに勇気をくれたんだと思う」

まどか「ううん、私は何もしてないよ。杏子ちゃんが自分自身で怖い事から逃げないように負けないように頑張っただけだから」

杏子「おいおい、そうやって謙遜するのは悪い癖だぞ、まどか。ここは素直に受け取って良いんだよ」

まどか「そ、そうかな。ごめん」

杏子「元お姉ちゃんからのアドバイスだ♪」

まどか「ティヒヒ♪」

杏子「さあて、ほむら達を呼んでみんなでなんか遊ぼうぜ!」

まどか「せっかくの休みだもんね」

杏子「じゃないと、ほむらの奴、嫉妬でおかしくなっちまうよ」

まどか「そういえば、気になってた事があったんだけど杏子ちゃんは何で私を妹さんだと認識したの?」

杏子「え?」

まどか「何で他の人じゃなくて私なのかなって思って」

杏子「えーと…」

まどか「そんなに私子供っぽいかなあ?それとも妹さんと何か似てるとことかあったの?」

杏子「うーん、正直全然似てなかったかな」

まどか「それじゃあ、たまたまだったのかな…」

杏子「本当は似てたよ。守ってあげたくなるところとか…」ボソッ

まどか「え?今、何か言った?」

杏子「何でもねえよ」


終わり

これにて完結です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
レスにも感謝!
まどあんはもっと増えてほしい!

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