咏「これからもよろしくね」えり「こちらこそ、よろしくお願いします」 (72)

咏えり

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ピンポーン

えり「お邪魔します」ガチャッ

咏「おお、えりちゃんいらっしゃーい」

えり「おはようございます、咏さん」

咏「おはよ~」

えり「掃除の進み具合はどうですか?」

咏「ぼ、ぼちぼちじゃねぇの?知らんけど」

えり「……これでぼちぼちですか。まあ、そうなんでしょうね」ハァ

咏「うぅ……ごめんねえりちゃん」

えり「構いませんよ。私の家で生活していたようなものですし、疎かになってしまうのも分かります」

咏「えりちゃん……」ジーン

えり「……まぁ、ここまでとは思ってませんでしたけど」

咏「あぅ……」

えり「……せっかくの土曜日です、早く終わらせてゆっくりしましょう」ニコ

咏「……うん、そうだねぃ」ニコ

咏「よっし、やるか~」

えり「もう少しやる気出してください」

咏「はいは~い」

えり「咏さん、これはどうしましょう」

咏「あ~。いらんかな」

えり「これは?」

咏「う~ん……いる、かなぁ」

えり「ではこれは…………いりますね」

咏「え?いらんやつけど」

えり「私が欲しいんです」

咏「何だそれ」ケラケラ

えり「ほら、続けましょう」

咏「あとちょっとだし、頑張るか~」

昼過ぎ

えり「……ふぅ」

咏「綺麗になったねぃ」

えり「えぇ……お疲れ様でした」

咏「お疲れ~。いやぁ助かったよホント」

えり「次からはもう少し生理整頓するようにしてくださいね」

咏「知らんし~」

えり「もう」

咏「あははっ」

えり「そういえば、炬燵出されたんですね」

咏「流石に恋しくなってねぃ。いやぁ、いいもんだね~炬燵」

えり「夜にそのままそこで寝ないようにしてくださいね」

咏「えりちゃんはすぐそうやって小言を言う~」

えり「ありありと想像できるんですよ。だらしなく炬燵で寝てる咏さんを」

咏「失礼だな~えりちゃんは。まあ否定できないんだけどねぃ」ケラケラ

えり「やっぱり……風邪引かないでくださいよ?」

咏「ほ~い」

えり「もうお昼回ってますね……。どうしましょうか」

咏「どっか食べに行こうぜ~。本音言えばえりちゃんの手料理がいいけど、今からは流石にねぃ」

えり「……そうですね。冷蔵庫の中もあまりありませんし」

咏「近くに美味しい店あるし、散歩がてら歩いていかね?」

えり「ああ、ありましたね。いいですよ」

咏「決まりっ!んじゃ、行こうぜぃ」

えり「はい」

レストラン

咏「ごちそうさま~」

えり「口の周り、ソースがついてますよ」

咏「この辺?」ゴシゴシ

えり「そっちじゃなくて……。私が拭きます。ほら、動かないでください」フキフキ

咏「サンキュ~」ニコニコ

えり「えらくご機嫌ですね」

咏「ふふーん、分かるぅ?」

咏「ケーキも食べちゃおうかなーっと」

えり「食べすぎじゃないですか?」

咏「甘いものは別腹ってねぃ。えりちゃんも何か頼む?」ポチッ

えり「では、コーヒーのおかわりを」

咏「ケーキあんま~」ニコニコ

えり「それで?何でそんなに舞い上がってるんですか」

咏「いや~なんつーの?掃除も終わったし、今からえりちゃんとのんびりできると思うとねぃ」

えり「ああ……そうですね。たしかにゆっくりできそうです」

咏「しかも私、月曜休みなんだよねぃ。ビバ・3連休!」

えり「え?咏さんもですか?」

咏「あれ?えりちゃんも?アナウンサーは祝日とか関係ないと勝手に思ってたけど……」

えり「はい。休暇を取ってなかったので、休んでくれと……」

咏「…………」

えり「…………」

咏「ぷっ……。あははっ」

えり「ふふっ……」

咏「奇遇だね~」クスクス

えり「不思議なこともあるものですね」クスクス

咏「そっか……そっかぁ。お互い休みなわけだ……」

えり「どうやら、そうみたいですね」クス

咏「えりちゃんは何か予定あったりするん?」

えり「いえ、何も」

咏「……よし。本屋行こうぜ、えりちゃん」

えり「唐突ですね……。構いませんが」

咏「よっし、レッツゴ~!」

本屋

咏「えりちゃんは何か買うものある?」

えり「そうですね……料理のレシピ本と、小説と、雑誌と……」

咏「沢山あるねぃ」

えり「咏さんは?」

咏「ふふーん。秘密」ニヤニヤ

えり「何ですかそれ……。時間かかりそうですか?」

咏「うんにゃ。30分もあれば大丈夫だと思うぜ」

えり「それでは、30分後にここで落ち合いましょうか。よろしいですか?」

咏「おっけ~」

えり「では、30分後に」

えり「…………」パラパラ

えり(面白いレシピが多い……買ってみようかな……)パタン

えり(欲しい小説も、咏さんの記事が載ってる雑誌も買ったし……後は……)

えり(ああ。お菓子のレシピ本も買おうと思ってたんだった)

えり(今まで作ったことないからなぁ……上手くできるといいけど)

えり(失敗しても咏さんなら美味しいって言って食べてくれそうだけど。でも……)

えり(やっぱり、ちゃんとできたものを食べて欲しいから)

えり「……ふふっ」

えり(何だか張り切ってるなぁ……)

えり(この間、咏さんに料理のこと感謝してるって言われたのがそんなに嬉しかったのかな)

えり「我ながら、単純というか……」クス

えり(……そういえば、咏さんは何を買うつもりなんだろ)

えり(秘密って言ってたけど……気になる……)

えり「教えてくれるまで待つしかないか……それまでは聞いてもはぐらかされそうだし」

30分後

えり「お待たせしました」

咏「これからどうする?」

えり「夕飯の食材を買っておきたいですね。咏さんは何かありますか?」

咏「私は何も。んじゃ行こっか」

えり「はい」

路上

えり「しかし咏さんの家の近辺、色々揃っていて便利ですね」

咏「んー?そう?」

えり「ええ。こうして歩いているだけで楽しいですよ」

咏「あぁー。何の気なしにブラブラしたり、その辺の喫茶店にブラリと寄ったりしてねぃ」

えり「そういうのもいいですね」

咏「また今度にしようぜぃ。今はお腹いっぱいだからさ」

えり「だから食べすぎですよ」クスクス

スーパー

えり「咏さん、今晩何が食べたいですか?」

咏「おっ。何でもいいの?」

えり「ええ。普段はあんまり聞けませんからね。せっかくの休日ですし、何でも言ってください」

咏「えりちゃんの作るものなら何でもいいんだけどねぃ」ヒラヒラ

えり「それ、一番困る返答ですからね。というか分かってて言ってますよね」

咏「知らんし~」ニヤニヤ

えり「まったく……」

咏「まぁそれは冗談として、そうだな~……オムライスが食べたい!」

えり「分かりました。楽しみにしていてください」ニコッ

咏「おぉー!めっちゃ期待してるぜ~」

えり「オムライスなら……サラダとスープかな……」

咏「…………」

えり「あとはソース……無難にケチャップでもいいけど、せっかくだし何か……」

咏「……んっ、ふふっ……」ニコニコ

えり「……どうしたんですか?そんなニコニコして」

咏「いやぁ。えりちゃん楽しそうだなぁって」ニコニコ

えり「……そんなに、ですか?」

咏「うん。そんな顔されたら私も嬉しくなってくるってもんよ」

えり「何だか恥ずかしいです……」

咏「照れんなよ~。ほら、色々買うんだろぉ?行こうぜ~」グイッ

えり「あっ、ちょっと……」

咏「あははっ」ケラケラ

えり「もうっ……」クス

えり「大体買ったかな。後は何か……」

咏「ほいほい」ドサッ

えり「この時期にアイスですか!?しかもこんな、お徳用というか業務用というか大きいのを……」

咏「えりちゃん知らねぇの~?炬燵にアイスは超やばいんだぜぃ?」ニヤニヤ

えり「……」

咏「生真面目なえりちゃんはそういうのやったことないんだろうねぃ。あの楽しさを知らんとかもったいね~」

えり「…………」

咏「お酒かけて食べるとまた一段とね。ほら、何て言ったっけ。ア、アホ……」

えり「アフォガードです」

咏「あーそれそれ」

えり「……美味しいんですか?」

咏「知らんしー」ニヤニヤ

えり「……しょうがないですね」

咏「おー折れた。えりちゃんも好奇心には勝てないかぁ~」

えり「くだらないこと言ってると置いて行きますよ」スタスタ

咏「図星だからって冷たくすんなよ~」

えり「そういえばお酒は買わなくても……いえ、聞くまでもないですね」

咏「うん。家に色々あるぜ」

咏「あーでも、炭酸入りの弱いやつも買っとこうか。えりちゃんにはそっちのが合うかも」

えり「では、これと――」

路上

咏「袋、半分持つよ」

えり「一つしかないですけど……」

咏「いいからいいから。一つを二人で持つんだよ~」ガサッ

えり「ありがとうございます」

咏「あー、それとも逆に持ちにくい?身長差が結構あるもんねぃ」

えり「いえ、助かりますよ」

咏「……すっかり寒くなってきたねぃ」

えり「街並みはもうクリスマス一色ですね」

咏「えりちゃん仕事入ってる?」

えり「はい、生放送の司会がありますね。咏さんの方は?」

咏「どっかの学校行って子供たちのための麻雀教室やることになってる。何教えればいいのか分かんねー!」ケラケラ

えり「それってカメラも入るんですか?」

咏「あー、そうだったかも。生放送かどうかは知らんけど」

えり「それぐらい知っておいてくださいよ……」

えり「しかし、子供に教えるんですか……咏さんが……」

咏「バイオレンス感マックスだよねぃ。こういうのはすこやんの仕事だろうにさー」

えり「それもそうですが……何というか……」

咏「うん?」

えり「子供たちと一緒にいても違和感がなさそうというか……」

咏「うんうん」

えり「咏さんがその学校の制服を着たらますます馴染むんだろうなぁ、と……」

咏「……」パッ

えり「きゃっ……」ガクッ

咏「きゃっ!?」

えり「……きゅ、急に手を離さないでくださいよ!」

咏「きゃっ、だって~!えりちゃんが、あのえりちゃんが!キャア~!」ケラケラ

えり「うぐっ……」カアア

咏「あはは。しかし、えりちゃんらしからぬ発言だったねぃ。それもあれかい、素直になるってやつ?」

えり「クリスマスの雰囲気に当てられただけですよ」プイッ

咏「ほ~?」

えり「……すみません、悪ノリが過ぎてしまいました」

咏「別に気にしてないけどねぃ。ああ、半分持つよ」ガサッ

えり「ありがとうございます」

咏「お互い仕事かぁ~。まあしょうがないか」

えり「夜はどうしましょう」

咏「私の家でいいんじゃね?えりちゃんとこの局からも近いし」

えり「それもそうですね……分かりました」

咏「……」

えり「どうしたんですか?」

咏「うんにゃ。帰ったらそのうち話すよ」

咏「じゃ、帰ろうか」ニコ

えり「はい」ニコ

玄関前

えり「咏さん、鍵を……あぁ、私も持ってたんでしたね」ゴソゴソ

咏「ちょーっち待った!私が先に入る!」

えり「え、な、何ですか」

咏「私が先に入るから、インターホン鳴らしてそのまま待ってな!自分で入っちゃ駄目だかんね!」

えり「それに何の意味が……」

咏「いいからいいから~」バタン

えり「はぁ……」

えり「…………」

ピンポーン

咏「おかえりなさい、えりちゃん!」バタン

えり「ぁ……」

咏「ほら、返事返事」

えり「えっ、あ、えっと……た、ただいま……」

咏「うん、おかえり」ニコッ

えり「……はい……」

咏「いやーただいまは前に言ったからさー、逆もやってみたかったんだよねぃ。えりちゃんはどうだったよ?」

えり「……何というか……」

咏「うんうん」

えり「いいものですね」ニコ

咏「だよね~!私が前にいいって言ったのも分かるっしょ?」

えり「正直、凄く分かりました」

咏「さ、入って入って」

えり「はい」

咏「炬燵、あったけ~」

えり「そうですね……」

咏「そうそう、お菓子買ってたんだった。ちょうど3時だし、持ってくるから一緒に食べようぜ~」バタバタ

えり「…………ふあぁ……」

咏「おまたせー……って、おお?」

えり「…………」スー

咏「えりちゃん?」

えり「……んぅ……」スー

咏「珍しいこともあるもんだねぃ……こんなところで寝るえりちゃんなんて初めて見るかも……」

えり「…………」zzZ

咏「突っ伏して寝ちゃって……首とか腰とか痛くなりそうだねぃ」

咏「よい……しょ、っと……」グッ

えり「……ぅ、ん……」ゴロン

咏「よし……何とか寝かせられた……これでさっきよりはマシっしょ」

咏「小さいとこういう時に困るねぃ……私じゃこれが限界か」

咏「これがえりちゃんだったら、お姫様抱っこなんてしてベッドまで運んで行くんだろうなぁ」クス

えり「…………」zzZ

咏「…………」プニッ

えり「……んっ……」プニプニ

咏「あはは。ほっぺたやわらけー。無防備すぎだぞ~えりちゃーん」プニプニ

えり「……すぅ……」zzZ

咏「…………」

咏「えりちゃんみたいな人は、寝顔をそう簡単に人には見せないと思うんだけど、どうなんだろうねぃ」

咏「……気持ち良さそうに寝てくれちゃって。でも、それぐらい心開いてくれてるってことなんかな」ナデナデ

咏「……やべっ。めちゃくちゃ嬉しい」ナデナデナデナデ

えり「ん、んぅ……」

咏「おっと。ごめんよ」

咏「……炬燵で寝るなって言ってた張本人がこれだもんねぃ。どっちがだらしないんだか」クスクス

咏「起きたら色々からかいたいけど……それはまた今度でいいか」クスクス

えり「…………」zzZ

咏「疲れが溜まってたのかねぃ。ただでさえ仕事人間なのに、夕飯には毎日のように私が押しかけてたし……」

咏「……前にも言ったけどさ、ホントに感謝してるし、めっちゃ嬉しいんだよ?」ナデナデ

咏「でも一方的なのもあれだしさ、あれ。わっかんねーけど」

咏「点棒しかり、取られたら取り返さないとねぃ」

咏「……えっと、買った本は……」ガサガサ

咏「…………」パラパラパラパラ

咏「……ここら辺からいってみるか」

夕方

えり「……んっ……」ムクリ

咏「あ、起きた。おはよーえりちゃん」

えり「……おはようございます。……ふあ……」

咏「ほい水。炬燵で寝ると喉渇くよねぃ」

えり「ありがとうございます。……んっ……」ゴクゴク

咏「随分ぐっすり眠ってたけど、疲れてる?」

えり「どうなんでしょう。あまり意識はしてませんでしたが、そうなのかもしれません」

咏「……よし」

えり「?」

咏「えりちゃん、明日から一泊二日で温泉旅行へ行こうぜ。ちょっと早めのクリスマスデートだ」

えり「あ、明日からですか!?」

咏「おうともさ。こことかどうよ!」バサッ

えり「……ああ。本屋で買ってたのはこれですか。わざわざ隠す必要あったんですか」

咏「隠してこそのサプライズってもんよ!……で、どう?」

えり「……いいですね……」パラ

咏「おっ!やっぱそう思う?」

えり「ええ。距離も遠いという程ではないですし、旅館も素敵だと思います」

咏「そこ、さっき予約入れといたから」

えり「え……ええ!?さっきって、私が寝てる間にですか!?」

咏「クリスマス直前だから逆に少ないのかねぃ。知らんけど」

咏「駄目もとで幾つか当たるつもりだったけど、いきなり取れたからねぃ。正直私も驚いた」

えり「……明日ですか」

咏「駄目?」

えり「行きましょう。今からとても楽しみです」ニコニコ

咏「そうこなくっちゃ!」

えり「では、夕食の準備始めますね」

咏「あのさ、えりちゃん」

えり「何ですか?」

咏「作るの手伝っちゃ駄目?」

えり「何を手伝うのかによりますが……」

咏「包丁使うやつで。サラダの野菜切ったりとかさ……」

えり「駄目です」

咏「……えりちゃんは心配性すぎだって。責任感じる必要なんてないのにさ~」

えり「あれは目を離してしまった私の責任です」

咏「前にちょっと指を切っちゃっただけじゃん。大げさだっての」

えり「ですが……」

咏「なら目を離さないで見といてよ。それなら大丈夫だってきっと。知らんけど」

えり「…………」

咏「何も気まぐれで言ってるわけじゃないんだぜ?私だってえりちゃんの役に立ちたいってこと」

咏「例えばえりちゃんが風邪か何かでダウンしてしまった時さ、私は何にもできないわけよ」

咏「そんなの嫌だっての。何か作ってあげたいとか思うのは当然じゃん?」

えり「…………」

咏「前に、いつも料理を作ってくれることに感謝してるって言ったじゃん?あれにはもう少し続きがあってさ」

咏「申し訳ない……とは違うけど、何というか思うところがあったわけよ。このままでいいんかなー、って」

咏「だからさ、ちょっとずつでも覚えていって、えりちゃんの助けになりたい……というか、えりちゃんと一緒に頑張りたいの」

咏「…………知らんけど」プイッ

えり「咏さん……」

咏「…………」

えり「……お酒でも飲まれたんですか?もしかして私が寝てる間に……」

咏「飲んでねーよ!」

えり「すいません……あんまり珍しいので、つい……」クスクス

咏「私が真面目だとそんなに珍しいか……失礼にも程があるねぃ」ピキピキ

えり「拗ねないでください。日頃の行いの結果ですよ」

えり「でも、嬉しいです。ありがとうございます」

咏「……」

えり「私も少し過保護になりすぎてましたね。不安はまだありますが、何とかなると思いましょう」

咏「おっし!」

えり「ただし、私の見てる時だけですよ?」

咏「分かってるって~!」

えり「……ありがとうございます。咏さんの気持ち、とても嬉しいです」

咏「ふふん。もっと感謝してくれてもいいんだぜ~?」

えり「調子に乗らないでください。ほら、じゃあ一緒に作りましょう」

咏「よーし!頑張ろうぜぃ、えりちゃん」

えり「切る時は猫の手です。こう……」

咏「こう?」

えり「こうです。ちゃんと押さえて……そう。そのまま……」

咏「……っと」ザク

えり「その調子です。気を緩めないでください……不安になってきますから……」

咏「…………」ザクザク

えり「……あぁぁ……」ハラハラ



えり「いただきます」

咏「いただきま~す!」

パクッ

モグモグ

咏「オムライスやわらかっ!うまっ!」

咏「ソースもえりちゃんが作ったんだよね?すげぇー!」

えり「ありがとうございます」

えり「咏さんの方も上手くできましたね。ハラハラしましたが何事もなく終わってホッとしています」

咏「ふふーん、私の切ったサラダだよ……って何このドレッシング!?うまっ!」

えり「今日買った本に書いてあったので作ってみました。バジルと……」

咏「ドレッシングまで自分で作るなんてえりちゃんすげぇ!」

えり「……そんな大したものでもないですよ。さっきから驚いてばかりですね」クスクス

咏「だって美味しいんだからしょうがないっしょ~」モグモグ

えり「そんなに急いで食べない。喉つまりますよ」

咏「……これからも、こうやって手伝ったりしてもいい?」

えり「ええ……。こちらとしても助かります」

えり「ただし包丁は私が見てる時だけですからね。危なっかしいったらないですよ」

咏「ほ~い」

咏「それとさ、もう一個、話があるんだけど」

えり「何ですか?」

咏「…………」

えり「咏さん?」

咏「……一緒に住まない?」

えり「…………。何で、いきなり……」

咏「さっきの料理の話もそうだけど、何かえりちゃんの助けになれたらなぁって」

咏「私がしてもらってばかりだから、小さなことでもいいから何かお返しがしたいんだよ」

咏「一緒にいたら、そういう時に力になれるんじゃないかって。よく分かんねーけどさ」

咏「あ、もちろん掃除とかもちゃんとするから!私が楽したいからじゃないかんね!?」

えり「当然です」

咏「あはは……」

咏「ややこしいこと色々言ったけどさ。要するに、えりちゃんと一緒に暮らしたいから。これだけだよ」

えり「……嬉しいです」

えり「こちらこそ、よろしくお願いします」

咏「……うんっ!よろしくね、えりちゃん!」ニコッ

えり「はいっ」ニコッ

咏「涙ぐんでる?」

えり「そ、そんなことないですよ!」グシッ

咏「……そっか。ならいいや」

咏「あー緊張した~。断られたらどうしようとかちょっち考えてたんだよねぃ」

えり「らしくないですね」クス

咏「うるせー」

えり「自分の持ち物の整理整頓はキチンとしてくださいよ?」

咏「わ、分かってるって」

えり「どっちの家に住むんですか?」

咏「えりちゃんが決めていいよ~。家事とか私も手伝うとは言ったけど、しばらくはえりちゃんメインだろうし」

咏「えりちゃんがやりやすい方を選んでよ」

えり「…………では、ここ……咏さんの家でいいですか?」

咏「何で?」

えり「広さもありますし、近くに色々揃っていて便利ですからね。家事に関しても不便なことはありませんし」

咏「おっし決定!」

咏「この後アイス食べようぜえりちゃん!パーッといこう!」モグモグ

えり「分かりました。……だから急いで食べないでくださいってば」クスクス

咏「炬燵もあったかくなってきたし、そろそろ食べるか」

えり「…………」コクコク

咏「えりちゃん、そのチューハイちょい貸して」

咏「掬ったアイスに、こう、お酒を……」シュワー

えり「泡だってますね」

咏「炭酸だからねぃ。私は梅酒でもかけようか」トクトク

えり「では、いただきます」パク

咏「どう?」パク

えり「……美味しいですね。スッキリしてて、お酒って感じがしないです」

咏「おっ、いいねぃ。こっちのはどう?」

咏「はい。あーん」スッ

えり「それ……やらなきゃ駄目ですか」

咏「ほら早く。溶けちゃうからさ~」

えり「…………」

えり「……あっ、ん……」パク

えり「あっ……美味しい……」

咏「梅の酸味とアイスの甘味が良い塩梅で濃厚だよねぃ」

えり「…そうですね。良い物を教えていただきました」パク

咏「炬燵にアイスも乙なもんっしょ?もう言うまでもなく満喫してるだろうけど」ニヤニヤ

えり「たしかにこれは……人を堕落させる組み合わせですね……」パク

咏「うんうん。幸せそうなえりちゃんが見れて私も嬉しいよ」パク

えり「……いいものですね……」コクコク

えり「アイスのおかわりよろしいですか?私も梅酒でお願いします」

咏「あんまり食べ過ぎると太るぜ?知らんけど」

えり「今夜は特別です。今日は素敵な事が沢山ありましたからね、お祝いのようなものです」

咏「素敵な事、か」

えり「料理を手伝ってくださる咏さんは、不安もありましたが微笑ましかったし、嬉しかったです」

えり「明日からの旅行も楽しみですし、一緒に暮らそうと言ってくださった時は、幸せで胸が躍りました」

咏「そっか~。何だか照れくさいねぃ」

えり「元々半分は一緒に生活してたようなものでしたが、それでも舞い上がってしまうんですね」クス

えり「先ほど浮かれていた貴女の気持ちが、今はよく分かります」クスクス

咏「……えりちゃん、ほい」スッ

えり「ふふっ……はい」スッ

咏「乾杯!」チン

えり「乾杯」チン

咏「ねぇ、えりちゃん」

えり「何ですか?咏さん」

咏「これからもよろしくね」

えり「こちらこそ、よろしくお願いします」

浴室

えり「……ふぅ……」チャプ

えり「やっぱり、お風呂が大きいといいですね……んっ……」ググッ

咏「えりちゃんはお風呂大好きだねぃ。住む場所をこっちにしたのもこれが関係してるとか?」パシャ

えり「ふふっ、どうでしょう。関係なくもない、かもしれませんね」クス

咏「…………」チャプ

えり「……こうですか?」

咏「ん、後ろから腕回して……そう」パシャ

えり「……」ギュッ

咏「……」キュッ

えり「せっかくこれだけの広さがあるのに、何だかもったいないですね」

咏「いいじゃん。えりちゃんだってこうしたかったんでしょ?」

えり「知らんしー、です」

咏「ちぇー」

えり「……明日の温泉でも、こんな風にされるつもりですか?」

咏「え。う、うーん。……分っかんねー」

えり「私は構いませんよ?楽しそうじゃないですか」

咏「えりちゃん微妙に酔ってるねぃ。まああれから梅酒も普通に飲んでたし、しょうがないか」

えり「ふふっ……こうして浸かっていれば醒めるでしょう」ギュッ

咏「明日に響かないといいけど……まあ大丈夫かなぁ。知らんけど」

えり「もう少ししたら上がりましょう。この間みたいにのぼせるといけませんし」

咏「は~い」

えり「…………」ギュウ

咏「…………」キュッ

咏「いつになったら上がんの?」

えり「……」ギュッ

えり「もう少し、経ったらです」

ゴーッ

咏「あ~ドライヤー気持ちええ~」ゴー

えり「頭揺らさないでください。ほら、ジッとして」

咏「は~」ゴー

えり「せっかく綺麗な長髪なんですから。手入れしないともったいないですよ」

咏「そんなこと言われてもよく分かんねー。えりちゃんに任せるよ~」ゴーッ

えり「もう……」

咏「後で私もえりちゃんの髪にドライヤーかけたい!」ゴー

えり「……分かりました。その代わり、私の髪で遊ばないでくださいよ」

咏「うお、よく分かったねぃ」ゴー

えり「だてに咏さんと長く付き合っていませんから」

咏「お見通しかー参ったね~」ゴー

えり「ほら、終わりましたよ」

咏「さんきゅ~」

えり「では、お願いします。くれぐれも遊ばないように」

咏「はいはいっと」カチッ

えり「…………」ゴー

咏「どう?」

えり「暖かくて、心地いいです……」ゴー

咏「えりちゃんの髪は柔らかくて、触りがいがあるよ」サワ

えり「んっ……」ゴー

咏「あはは。気持ちいいのか~?」ナデナデ

えり「ん……ぅ……」ゴー

咏「何だか色っぽいねぃ……風呂上がりだから余計に、こう……」ナデナデ

えり「変なこと、んっ……言わないでください……」ゴー

咏「……はい終わり。どうだったよ?」カチッ

えり「頭を温められながら撫でられると、何だかボーッとしてきますね……」

咏「アルコールが抜けてないからってのもあるんだろうけどねぃ」

えり「そういえば、咏さんはよく私の頭を撫でますよね」

咏「あーそうかも。さっきも言ったけど、えりちゃんの髪はふわふわしてて撫でがいがあるんだよね~」

えり「大人になったら頭を撫でられる機会なんてありませんからね。何だかくすぐったい気持ちになります」

咏「えりちゃんは嫌なん?」

えり「いいえ?そんなことありませんよ」

咏「そっか。ならいいや」

えり「咏さんもどうですか?」ナデナデ

咏「…………」

えり「…………」ナデナデ

咏「……悪くないねぃ」

えり「ふふっ、そうでしょう」クスクス

寝室

咏「明日、楽しみだねぃ」

えり「ええ」

咏「雑誌の記事、もう一回見ようぜ」ゴロン

えり「いいですよ」

咏「朝から行って、日中は観光かねぃ」パラ

えり「そうですね。時間もたっぷりあるでしょうし」

咏「私ここ行ってみたいな~。えりちゃんはどっかある?」パラ

えり「……私はこの辺りを見てみたいです」

咏「おっ、いいねぃ。んじゃルートはこんな感じ?」ツー

えり「こっちの方はどうでしょうか。これならお勧めスポットなる場所も多く回れますし」

咏「ああ、これなら宿にも遠回りせずに行けるんか。んじゃそれでいっか」

えり「お昼はどうしましょうか。これもいくつかお勧めのお店が書かれてますが」

咏「そこらは行き当たりばったりでいこうぜぃ。旅の醍醐味ってやつじゃね?知らんけど」

えり「気の向くままにブラブラと、ですか」

咏「そうそう」

えり「今日の帰り道の話を思い出しますね」クス

咏「あはは。この辺ものんびり散歩でもしながら開拓してこうぜ。二人でさ」

えり「はい。面白そうです」

咏「……んで、温泉かぁ」

えり「……」

咏「お風呂好きなえりちゃんとしてはどうよ?」

えり「とても楽しみです」

咏「そりゃ良かった」

えり「二日目はどうしましょうか」

咏「うーん。これも適当にブラブラでいいんじゃね?面白そうだし」

えり「……そうですね。それでいいでしょう」

咏「えりちゃんはこういうのキッチリ決める人だと思ってたんだけどねぃ」

えり「貴女の奔放さにいつも付き合わされてますからね。変わって当然ですよ」クスクス

咏「馬鹿にしてる?」

えり「感謝してるんです」

咏「なら良し!」パタン

えり「ふふふっ」クスクス

咏「あははっ」クスクス

えり「……もう寝ましょうか」

咏「そうだねぃ。明日もあることだし……あっ」

えり「何ですか?」

咏「明日の天気見てなかった……」

えり「ちゃんと確認しています。晴れでしたよ」

咏「さっすがえりちゃん、頼りになるねぃ」

えり「ただかなり冷え込むそうです。しっかり防寒して行きましょう」

咏「最近寒いからね~」

えり「そうですね……」

咏「……そっち寄っていい?」

えり「ええ」

咏「……あったけー」ギュッ

えり「……はい」ギュッ

咏「えりちゃん」

えり「何ですか?咏さん」

咏「おやすみ」ニコ

えり「おやすみなさい」ニコ




カン

やまもオチもないけど終わり
のんびりまったりな咏えりを見たかった
みんなも咏えり書こうぜ

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