えり「……」テクテク
咏「もうすぐ着くから~」ヒラヒラ
えり「はい……でも本当に良いんですか?」
咏「何が~?」
えり「プロの方々の飲み会に、私が参加しても……」
咏「別に良いんじゃね~? 知らんけど~」ヒラヒラ
えり「知らないじゃ困りますよぉ……何しに来たって顔されたら私」ウゥ
咏「大丈夫だって~、えりちゃんは心配症だねぇ」
えり「でもでもぉ……」ソワソワ
咏「……」ニコニコ
咏(そういう所も可愛いんだよなぁー! えりちゃんはー!)
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咏「皆基本いい奴らだし、テレビで人気のえりちゃんが来てくれたら喜ぶって~、知らんけど」ニコニコ
えり「そうだと嬉しいですけど……」
咏「……そ、それにさ! 皆には紹介しておきたいんだよ!」ドキドキ
咏「え、えりちゃんは私の(人生の)パートナーだって!」
咏(うおー! 言っちまったー! 告白も同然だよこれー!)ドキドキ
えり「……」
咏(え、えりちゃん……)ドキドキ
えり「そうですよね……私たちパートナーですもんね」
咏「!? えりちゃ……」
えり「大切な仕事の……」
咏「……は? 仕事?」
えり「はい、実況と解説という全国大会には欠かせない大切な仕事のパートナー」
咏「……」
えり「それ以外に何かありますか? 三尋木プロ?」
咏「……そうだね……そんな事よりもう少しでお店に着くから、知らんけど」テクテク
えり「は、はい! そんな急ぎ足で行かないで下さいよ、三尋木プロ!」
咏(バカバカ! えりちゃんのバカ! 鈍すぎるだろ! 分かれよ!)
咏(せっかく勇気を出して言ったのに……ラノベの主人公かよ!?)
咏(でも夜はまだまだこれからだ……今日こそはえりちゃんを落とす!)
咏「……っと、着いたよえりちゃん」ピタッ
居酒屋タカミ
えり「ここですか?……結構大衆的な居酒屋で飲まれるんですね」
咏「い、嫌だった?」ドキドキ
えり「いえ、意外というか……プロの方々でも私たちとあまり変わらないんだなって思って、親近感が湧きました」ニコッ
咏(えりちゃんマジ天使)キュンッ
咏「ほ、ほら早く入ろうぜ! 多分中で待ってるからさ!」ドキドキ
えり「はい」
ガラガラッ
店員「いらっしゃいませー!」
咏「どーもー、予約してる三尋木だけどー……」
店員「三尋木様ですね? こちらの個室にどうぞ、お連れ様はもう来ておりますので!」
咏「サンキュ~」ヒラヒラ
えり「ありがとうございます」ペコリ
咏「……ここだね」
咏「お待たせ~、知らんけど~」ガラッ
はやり「あ! 遅いよ咏ちゃ~ん! はやり待ちくたびれちゃったゾ☆」プンプン
咏「すまんすまん」ケラケラ
良子「でも先に飲んでましたよね? 瑞原プロ」
はやり「それは内緒って言ったでしょ~!? もぉ良子ちゃんは~」
良子「それはソーリーです」
咏「良子もすまんね~」ヒラヒラ
良子「いえいえ……ん? そちらは……」
えり「あ、初めまして、アナウンサーの針生えりです」ドキドキ
はやり「知ってるよ~! ナマ針生アナだ~! 可愛い~!」キャッキャッ
咏「今日はえりちゃんにも飲み会に参加してもらおうと思ってさー……良いよね?」
はやり「もちろんだよ~☆ はやり嬉しい~」ニパー
良子「私もウェルカムですよ」ニコッ
咏「だってさ」ヒラヒラ
えり「あ、ありがとうございます!」
はやり「お兄さ~ん! 生中4つね~☆」ニコニコ
店員「はい! 喜んでー!」
はやり「あ、針生さんビールで大丈夫だよね?」
えり「はい、あまり強くは無いですけど飲めますので」ニコッ
はやり「良かった~☆」
良子「食べる物は先に頼んでありますので」
咏「ってか、今日集まり悪くない? 他の皆は? 藤田さんとかさぁ」
はやり「靖子ちゃんね~、今日は宗教上の理由でカツ丼しか食べられない日なんだって~☆」
咏「あ~、それなら仕方ないか、知らんけど」
えり(え? カツ丼って……何の宗教?)
良子「野依プロと相方の村吉アナにも声を掛けたんですが……」
はやり「今日は2人でパジャマパーティーするから邪魔するなってみさきちゃんに凄い顔で睨まれちゃった☆」テヘッ
良子「福与アナ含め他のアナも今日は用事があるとかで断られました」
咏「……そっか~、じゃあ今日はこの4人で飲むとするか~!」
えり(……あれ?)
はやり「ワーイ! 盛り上がろう~!」ニコニコ
良子「YEAHHHHHHHHHHHHHH!」
えり「あ、あの!」
咏「ん? 何? えりちゃん」
えり「小鍛治プロは来られないんですか?」
咏「……来ないよ」
はやり「……」
良子「……」
えり(何? この雰囲気?)
えり「あ! 小鍛治プロ今日は用事があるとかですかね?」
咏「……っていうか、誘ってないよ」
はやり「……」
良子「……」
えり「え!? な、何でですか?」アセアセ
咏「……何て言うかすこやんは……ねぇ?」
はやり「うん……健夜ちゃんはねぇ?」
良子「はい……小鍛治プロはちょっと……」
えり(何で空気がこんなに重くなるの!?)
えり「まさかイ、イジメとかじゃ無いですよね?」ドキドキ
はやり「普段の健夜ちゃんの事は皆大好きだよ……」
良子「とてもリスペクトしています……」
えり「そ、それなら何で声を掛けないんですか?」
咏「……酔うと手が付けられないからだよ」ブルッ
はやり「普段は皆のイジられ役の健夜ちゃんが……本当に恐ろしくなるんだよ」カタカタ
良子「もうあの姿は見たくないです」プルプル
えり(3人とも震え上がっている……酔うと小鍛治プロどうなるの!?)
店員「ご注文のビールと料理お持ちしましたー!」
咏「……お! そんな事よりきたきた!」
はやり「……待ってました~!」
良子「……YEAHHHHHHHHHHHHHHH!」
えり(無理矢理明るく振舞ってる……)
咏「とりあえず乾杯しようぜ~! ほら、えりちゃんもジョッキ持って!」
えり「は、はい」
はやり「じゃあ皆、今日もお仕事お疲れ様☆ たくさん飲んで楽しもう~! 乾杯!」
咏・良子「乾杯!」
えり「か、乾杯!」
ゴクッゴクッゴキュッ
はやり「……カーッ! うんめー! 身体に染みるー!」
咏「ちょっとはやり~ん! 素が出ちゃってるよ~、アハハハ!」ケラケラ
はやり「あっ、いっけな~い! テヘッ☆」ペロッ
えり(分かってはいたけど、あのキャラはやっぱり作ってたのか……)
良子「仕事の後の一杯は最高ですね、やっぱり」フー
はやり「本当だね~、はやり普段は事務所の命令でイチゴミルクしか飲めないから、ビールが本当に美味しいよ!」ニコニコ
咏「オイオイ、それ飲んで大丈夫なのかよ~? 怒られるんじゃね~の?」
はやり「黙っていれば大丈夫☆ 皆も内緒だよ?」ニコニコ
良子「オフコースです」
えり(アイドルって凄い……)
えり「でも麻雀のプロとアイドルの両立は大変じゃないですか?」
良子「普通にプロとしての対局の他に、歌に踊りに『歌のお姉さん』としての番組撮影……私にはとても無理ですね」
はやり「正直最近きついよ~☆ 筋肉痛も3日後とか遅れてくるようになってきたし」ゴクゴク
咏「そろそろアイドルは引退しても良いんじゃねぇの~? 知らんけど」
はやり「アイドルははやりの子供の時からの夢だからね☆ アイドル辞めるくらいならプロを辞めるよ!」キラッ
良子(チーム関係者が聞いたら泣いちゃうだろうな)ゴクゴク
咏「私にはわっかんねーけど、さすがはやりんだぜー!」ケラケラ
咏「しっかし、あっという間に全国大会も団体戦が終わっちゃったね~」
えり「本当ですね」
はやり「皆はどこが優勝するって予想してた? はやりは阿知賀だったけど☆」
良子「私はやはり白糸台だと思ってました」
咏「良子は実際にチャンピオンの宮永と戦ってるもんな~?」
良子「はい……照の麻雀は1年生の内からすでに完成されていました」
良子「プロに入ってもすぐにトップクラスになれるくらいに……」
良子「だからいくら大将戦で阿知賀の高鴨や清澄の宮永が健闘しても、先鋒戦の照の貯金で逃げ切れるだろうと……」
えり「実際は先鋒戦も驚くほどの得点差にはならなかったですよね」
良子「私の予想以上に他の3人が照に食らい付いていました」
咏「高校生麻雀もレベルが上がってきたって事なんかね~? 知らんけど」ゴクゴク
良子「レベルが上がってきたと言えば、最近の子は可愛い子が多くなりましたね」
えり「そうですね、アイドル顔負けなくらい」
はやり「……」
咏(私はえりちゃんが一番可愛いと思うけどね~)
良子「照もマスコミ用の外面の時はアイドルっぽいし……」
えり「後は代表的な所ですと清澄の原村さん、広島の佐々野さん、有珠山の真屋さ……」
はやり「やめて!」
えり「!?」ビクッ
咏「どったの? はやりん?」
はやり「その名前は今は聞きたくないの……」ブルブル
良子「……インターネットでは原村か真屋が次期『牌のお姉さん』候補なんじゃないかって言われてるらしいです」ヒソヒソ
えり(なるほど……)
咏「はやりんとしてはポジション奪われるかもって不安な訳か~?」ケラケラ
はやり「私は一生懸命仕事してるのに……どうして社長は真屋さんの資料かき集めてるの?」ブルブル
咏「はやりんも可愛いけど、そりゃあ同じ可愛いなら若い方が良いよね~?」ケラケラ
はやり「……」ピクッ
えり「ちょ、ちょっと三尋木プロ!?」ヒソヒソ
咏「真屋ちゃんが18歳になってプロになる頃には、はやりんは30に……」
えり「三尋木プロ!」ヒソヒソ
はやり「……」ポロポロ
えり「瑞原プロ……」
はやり「……はやりだって……はやりだって分かってるよ~……」ポロポロ
はやり「はやりがもう旬じゃないって~……」ポロポロ
はやり「だから最近は出たくもないバラエティに出て頑張ってるのに~! 咏ちゃんのバカ~!」ウワーン
良子(28歳の大人のガチ泣きです)
えり(だからバラエティで熱々おでん食べたり、鼻をザリガニに挟まれたりしてたのか……瑞原プロ)
咏「ちょっと悪ノリしちゃっただけだって~! 機嫌直してよはやり~ん!」ヘラヘラ
はやり「ウウゥ……」ポロポロ
えり「……」
えり「……私は瑞原プロが旬を過ぎたなんて思いませんよ?」
はやり「……針生さん?」グスン
えり「チームの柱としてプロで活躍する一方で、アイドルとしてCDを出したりコンサートもする……」
えり「そんな二刀流……人気が無いととても出来ませんし、実際瑞原プロしかいないじゃないですか?」
えり「アイドルとして『歌のお姉さん』を10年近く続けてきた瑞原プロを、私はとても尊敬しています」
はやり「……針生さん」ウルウル
良子「……」
咏(えりちゃん……)
えり「それに私は昔からアイドルとしての瑞原はやりのファンなんですから……ファンの前でそんな悲しい事言わないで下さいね?」
えり「……は、はやりん///」カァ
はやり「え、えりちゃ~ん! ありがとう~! はやり嬉しいよ~!」ポロポロ
宣伝です
豊音「宮守の皆で飲んじゃうよー!」
はやり「えりちゃ~ん! ウワーン!」ポロポロ
えり「も、もう泣き止んで下さいよ~! 瑞原プロ!」アセアセ
咏「……」ニヤニヤ
咏(……やっぱり私が惚れた女だけあるよ、えりちゃん!)ニヤニヤ
咏(天使だよ! 女神だよ!)ムフー
咏(絶対に今日でえりちゃんを口説き落とす!)
はやり「……泣き止むから、瑞原プロって呼ばないで……はやりって呼んで」ポロポロ
咏(……は?)
えり「わ、分かりましたから! ね? はやりさん!」
はやり「……うん! えりちゃん!」ニコッ
咏(私ですら名前で呼ばれてないのに、何言ってんだこの女ァ!?)
はやり「えりちゃん?」
えり「何ですか? はやりさん?」
はやり「ただ名前呼んだだけ~! エヘヘ」ニコニコ
えり「やめて下さいよ、もう~///」カァ
咏(照れるえりちゃん可愛い……じゃなくて!)
咏(羨ましい! 私も咏さんって呼ばれたい!)チクショー
咏(……お願いしたら言ってくれるかな?)
咏「あのさ、えりちゃん? 私の事も咏さ……」
えり「三尋木プロ」
えり「お酒の席とはいえ、あまり人を傷付ける冗談は言わないで下さい」
咏「いや、あの……」
えり「私そういうのは嫌いです」
咏「……ごめんなさい」
えり「私じゃなくて、はやりさんに言って下さい」
咏「(はやりさん……)はやりん、ごめんなさい」
はやり「ん~ん、もう気にしてないから! えりちゃんのおかげだよ☆」ニコニコ
えり「私は何も……///」テレッ
咏「……」プルプル
咏(く、悔しい……絶対にえりちゃんの好感度を上げてやる!)メラメラ
良子「……」
良子(……針生えり、私の想像以上に良い女ですね)
良子(心も身体も……)
はやり「ねぇねぇ、えりちゃんは私のどの曲が好きなの?」ニコニコ
えり「私は『恋せよ麻雀少女』が好きですね」
はやり「はやりもその曲が一番思い入れがあるんだ~! 気が合うね~☆」ニコニコ
良子「私は『ドラ迷宮』が好きですね」ゴクゴク
えり「あ! 良いですよねあの曲も!」
はやり「その曲ももちろん好きだよ! えりちゃん!」エヘヘヘ
咏(ちっ……はやりんの奴えりちゃんばかりに話しかけやがって)ゴクゴク
咏(えりちゃんは私のモノなんだからな!)ゴクゴクゴクゴク
咏(……作戦開始だ)
咏(今日は一番お気に入りの着物を着てきた……)
咏(その着物の裾から私の生足をチラチラ見せて、えりちゃんを誘惑する!)
咏(その名も生足チラ見せ大作戦!)
咏(ホレホレ~! 生足だぞ、えりちゃ~ん!)チラチラ
えり「もうはやりさんってばぁ、アハハハ……ん?」
咏(かかった!)チラッチラッ
えり「……」ジー
咏(凄いガン見! もうえりちゃんは私に夢中だねこりゃ!)
バッバッバッバッ←凄い勢いでめくっている
えり「三尋木プロ……」
咏「な、なぁにえりちゃん! ホテルに行きたくなったんならすぐに……」バッバッバッ
えり「しっかりご飯食べてますか? 凄い細いじゃないですか!? この足!」
咏「……は?」ピタッ
えり「普段のお昼もあまり食べないですよね? こういう飲み会の席でもしっかり食べて下さい!」
咏「いや、あの……生足……」
えり「私が料理取り分けますから……唐揚げはレモンかけますか?」
咏「いや……レモンいらない」
えり「分かりました……後はサラダと、これと……」サッサッ
咏「……」
咏(こんなはずじゃなかったのに)
えり「……はい、しっかり食べて下さいね?」ニコッ
咏(でもえりちゃんに直接取り分けてもらえて嬉しい)コクリ
はやり(咏ちゃんイイな~! はやりもえりちゃんに取り分けて欲しいよ)
咏(つ、次の作戦だ!)
咏(女は褒められるのに弱い! だからとにかくえりちゃんを褒めまくる!)
咏(ベタ褒め大作戦だ!)
咏「え、えりちゃん今日の髪型何か良いよね~!?」ドキドキ
えり「……別にいつもと同じですけど?」
咏「いや! 私には違く見えるね~! 輝いて見えるよ!」
えり「……はぁ? それはどうも?」
咏(効果出てる! ここで一気に畳み掛ける!)フンス
咏「えりちゃんってさ、肌すっごい綺麗だよねー! ツルツルしてて!」ドキドキ
えり「……お、お世辞言っても何もでませんよ///」テレ
咏「お世辞じゃないって! とても28歳の肌には見えないよ! 本当に!」
えり「……」イラッ
えり「……どうせ肌ツヤの割りに老けてますよ私は」イライラ
咏(……あれ~? 何で怒ってるの?)
はやり「……そこまでの肌を維持するのは大変だよね? はやりも同い年だから分かるよ?」ニコリ
えり「はやりさん……」
良子「肌ももちろん綺麗ですが……年なんて気にする必要ないですよ?」
えり「戒能プロ……?」
良子「お2人には私みたいな子供には無い、大人の色気がありますからね……とても素敵ですよ?」ニコッ
はやり「ありがとう良子ちゃん☆」ニコニコ
えり「あ、ありがとうございます///」テレテレ
咏「……」
咏「……」
良子「この料理非常にデリシャスですよ」モグモグ
はやり「ホントだ! 美味しいよえりちゃん!」モグモグ
えり「じゃあ私も……凄く美味しいですね!」モグモグ
咏(……何で上手くいかないのか分かった)
咏(こいつら2人がいるからだ)
咏(……十分酒も飲んだし、飯も食ったろ?)
咏(もうこの飲み会はお開きにして、えりちゃんと2人で飲み直す!)
咏(そこで良い雰囲気になって、告白まで持っていく!)
咏(これっきゃない!)
咏「あ、あのさぁえりちゃん? そろそろ2人で……」ドキドキ
良子「あっ、そこのソルト取ってもらえますか? 針生さん」
えり「お塩ですよね? はい、戒能プロ……今何か言いましたか? 三尋木プロ?」
咏「……いや、だからこれから2人だけで飲……」
バシャッ
えり「キャッ!?」
はやり「わー! ごめーん☆ お酒こぼしちゃった! スカート大丈夫?」ハヤヤ
えり「は、はい……スカートにはかかりませんでした」
はやり「本当にゴメンね~? 足にかかったお酒拭き取るからね?」フキフキ
えり「自分で拭けますから!? スカートの中に手を入れないで!」アセアセ
咏「……」イライラ
咏(……冷静になれ自分)イライラ
咏(偶然か知らんけど、こいつらが邪魔するならその隙をぬってえりちゃんを誘うだけ)
咏(私は国際試合でいくつものピンチを潜り抜けてきた全日本のエースだ!)
咏(ここも華麗に決めてみせる!)
咏「えりちゃん! 2人で飲み……」
はやり「そうだ! えりちゃん!」
はやり「これから2人で飲みに行こうよ! お酒こぼしたお詫びもしたいから!」ハヤー
咏「」プツッ
咏「いい加減にしろよぉー! てめぇーー!」
えり「み、三尋木プロ!?」ビクッ
はやり「……」
えり「急に大声出してどうしたんですか!?」
咏「どうしたもこうしたもねぇよ!」
咏「私がえりちゃんに話しかけようとしてるのに、こいつが……」ギロッ
はやり「……ウワーン! 咏ちゃん怖い~! えりちゃん助けて~!」ダキッ
咏(えりちゃんに抱き付きやがった!)
はやり「ウワーン……」ニヤニヤ
えり「はやりさんも落ち着いて下さい! 三尋木プロが急に怒り出すからですよ!」
はやり「ウワーン! クンクン、怖いよ~! クンクン」クンカクンカ
咏「えりちゃんに抱き付いて匂いまで嗅いでるんじゃねぇーー!」
はやり「ウワーン! クンクンクンクン……」グリグリ
えり「ちょっとはやりさん!? 頭で股をグリグリしないで下さい!」
咏「」ブチィッ
咏「……いい年こいてえりちゃんに甘えて」
咏「なっさけねぇ姿」
咏「これが本当にアイドルかよ?」
咏「やっぱりアイドル引退した方がいいんじゃねぇの?」
はやり「……」ピクッ
咏「大体無理して若作りして、声色変えてさ……年を考えろよ! 中年アイドルがぁ!」
はやり「」ブチィ
えり「落ち着いて下さい三尋木プロ!」アワアワ
咏「えりちゃんは黙ってろ! これは私とこの中年アイドルの話なんだからさぁ!」
はやり「……いつもてきとうな事しか言わないガキくせぇ女が、はやりに意見するんじゃねぇよ」ギロッ
えり「は、はやりさん!?」
咏「やっと本性見せやがったなぁ、アラサーアイドル」
はやり「咏ちゃんは本性も何も、見た目通りのクソガキだよねぇ~?」
咏「あ?」
はやり「ん~?」
咏「……」ゴッゴッゴッ
はやり「……」ゴッゴッゴッ
ゴッゴッゴッゴッゴッ
えり(何で2人して、無言でおでこぶつけ合ってるの!?)アワアワ
良子(自身の欲望・嫉妬・怒りが、酒の力によって増幅されている……)
咏「前々からはやりんのアイドル姿は見てて痛々しかったんだよね~」
咏「特にフリフリの服からはみ出るわき腹がさ~」アハハハ
はやり「はやりも咏ちゃんが大人ぶって着物着てるの、笑わないようにするの大変だったんだから!」
はやり「まるで七五三みたいなんだもん☆」アハハハ
咏「……」ビキビキ
はやり「……」ビキビキ
良子(お互い顔は笑ってるのに、血管が切れそうになってる)
咏「……口で言い合っても埒が明かないね、こりゃ」
はやり「お店の裏に公園があったよ?……そこでちょっとお仕置きしてあげるよ」
咏「ああ、私も中年アイドルに焼きを入れてやんよ……行こうぜ」
えり「やめて下さい! 2人とも! 喧嘩なんて……」アセアセ
はやり「……喧嘩なんてしないよ~? ちょ~っとお外行ってお話しするだけだから~☆」ニパー
咏「そうそう、だから心配しないでよ? えりちゃん」ニコニコ
えり(全然そうは見えませんよ……)
咏「あ、店員のお兄さ~ん! 支払いはカードで~!」フリフリ
店員「ありがとうございましたー! またお越しくださいませー!」
咏「えりちゃんはちょっとここで待っててよ」ニコニコ
はやり「すぐ戻ってくるからさ☆」ニコニコ
えり「でも……」
咏「いいから……ね?」ニコッ
えり「……はい」
良子「あ、私はここで針生さんと一緒に待ってますので」
咏「分かったよ……じゃあ行こうか? はやりん」テクテク
はやり「うん! 咏ちゃん☆」テクテク
えり(三尋木プロ……はやりさん……)
良子「……」
公園
咏「いつか見た綺麗な満月……」
咏「風もこの季節とは思えないくらい心地いい……」
はやり「でもこの風少し泣いてるよ……」
はやり「きっとこれから咏ちゃんがボコ☆ボコにされるからだろうね?」ニコッ
咏「へっ、言ってろよぶりっ子ババァ」ニヤァ
咏「……」
はやり「……」
咏「いくぞおおおおおおうおおおおおおおおおおおっ!」ダッ
はやり「やってやるよおおおおおおおおおおおおおっ!」ダッ
?「……も~! うるさいな~? 酒がまずくなるよ~!」ゴクゴク
咏「!?」
健夜「あ! よく見ると咏ちゃんにはやりちゃんだ~! 偶然だね~?」ゴクゴク
はやり「す、健夜ちゃん!? どうしてここに?」
健夜「ん? だ~れにも飲みに行こうって誘われないからね~、公園で1人で飲んでたんだ~! アヒャヒャヒャヒャ!」ケタケタ
はやり(健夜ちゃん酔ってる!?)
咏(よく見るとすこやんの周りビールの缶だらけ……すこやんの年の数以上あるよ)
健夜「……2人ともさぁ、今日は飲みに行かないって言ってたよねぇ?」
はやり「あ、あの……はい」
健夜「でも2人ともお酒飲んでるよねぇ? おかしいよねぇ?」ニコニコ
咏「それは……その……」
健夜「大体何で誰も私を誘ってくれないんだろうね~? 大会中1回も無いんだよ~?」ニコニコ
健夜「……おかしいだろぉーー! なぁー!?」ゴッ
咏・はやり(ヒィー!?)ブルブル
健夜「フゥー……」ゴクゴク
健夜「……分かる~? 私の気持ち?」
健夜「誰にも誘われないのに、お母さんから『あんた今日もお友達と飲むからご飯いらないだろう?』って言われる気持ち……」
健夜「そして親を心配させまいと『うん! 大会中は毎日誘われて大変だよ~!』って言う私の気持ち」
咏・はやり「……」
健夜「プロの皆はおろか、普段イジってくる恒子ちゃんですら夜にはいつの間にか消えていないし……」
健夜「でもはやりちゃんと咏ちゃんは仲良く飲んでるんだ~? 私を誘わないで?」ニコニコ
はやり「あ、あのね健夜ちゃん? それは誤解で……」アセアセ
健夜「初めてだよ……ここまで私をコケにしたおバカさん達は…」
咏・はやり「!?」
健夜「……許さんぞ」ボソッ
健夜「ぜったいに許さんぞ、虫けらども! じわじわとなぶり殺しにしてくれる!」ダッ
咏「や、殺さなきゃ殺られる! はやりん! ここは協力するよ!」サッ
はやり「う、うん!」サッ
はやり「……って健夜ちゃんがいない!?」キョロキョロ
咏「一体どこにいった!?」キョロキョロ
ドサッ
はやり「」ピクピク
咏「は、はやりん!」
咏(一瞬ではやりんを気絶させた!?)
健夜「まず1死……」ユラァ
健夜「夜はまだまだこれからだからね? ゆっくり遊ぼうよ咏ちゃん?」ニコニコ
咏「ヒッ!?」ブルブル
咏(絶対に勝てない! もうお終いだ……えりちゃん)ガタガタ
・
・
・
えり「本当に喧嘩してないんでしょうかあの2人? やっぱり見に行った方が……」
良子「いえ、あの人たちもああ見えてしっかりしてますから……案外酔いが醒めて仲良くお喋りしてるかもしれません……待ちましょう」
えり「……そうですね」
良子(それに私のシックスセンスが告げるのです……公園に絶対に行ってはいけないと!)
えり「……」ソワソワ
良子「……しかしこんな所で立って待つのも何ですから、私と2人で違う所で飲みませんか?」
えり「え?……でも2人が」
良子「私たちがいなければ、携帯に連絡してくるでしょう……大丈夫ですよ」
えり「………でもやっぱり」
良子「私も……えりとは一度2人きりで話をしたいと思ってました」
えり「!?」ドキッ
えり「今……えりって?」ドキドキ
良子「ああ……すいません、嫌ですよね? 年下に呼び捨てにされるなんて」
えり「い、いえ!……嫌じゃないです///」ドキドキ
良子「本当ですか! 良かった……ありがとうございます、えり」ニコッ
えり「///」ドキドキ
良子「話の続きですが……」
良子「知り合いがやっている小さなバーなんですが……えりもきっと気に入ってくれると思います」
良子「だから……行きましょう! えり!」
えり「じ、じゃあ、お2人から連絡が来るまでなら……良子さん///」
・
・
・
翌日
咏「……ウゥ」
咏「……す、すこやん……そこにビールの缶は入らないよぉ……」ウゥ
咏「……もうやめてー!……ハッ!?」キョロキョロ
咏「あ、朝? ここは……公園?」キョロキョロ
咏「何で公園に……昨日はえりちゃんたちと飲んでそれから……」
咏「それからは何も覚えてなくてわっかんねー」
咏「何か凄い恐ろしい目に合った覚えはあるけど……」
咏「身体中痛いし、隣りには何故かボロボロのはやりんがいるし……」
はやり「」
咏「……そういや今日も仕事だったんだ」
咏「着物はちょっと汚れてるけど……今日は個人戦の解説の打ち合わせだからいいか」
咏「寝てるから起こさないよ、じゃあね、はやりん」
はやり「」
全国大会会場内
咏(昨日は結局えりちゃんと進展なしだったな……)テクテク
咏(今日は最初から2人で飲もうって誘うぞ、よし!)
咏「……あ! えりちゃ」
良子「えりの髪はサラサラですね、とても気持ちいいです」スッスッ
えり「あ、仕事場ではやめて下さいよ! 良子さん///」
良子「それはソーリーです」クスクス
えり「もう~///」ニコニコ
咏「」
えり「あ! 三尋木プロ! 昨日はどうされたんですか?」
咏「……」
えり「三尋木プロ?」
咏「……もう何もかんもわっかんねぇーーー!!!」
おしまい
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