春香「惚れ薬」 (110)

春香「これが?」

謎のピヨ「そうだピヨ。一見ただの水だけど、強力な惚れ薬だピヨ」

謎ピヨ「目標の人物に飲ませるんだピヨ。飲ませた後は五分ほどその人の近くにいるんだピヨ」

春香「なぜ私に?あとあなたは一体...?」

ピヨ「ただの事務員だピヨ」バッ!

春香「行ってしまった...」


春香「プロデューサーさん!今日はココアですよ!」ドドドドド

小鳥(まぁただの水なんだけどね)

P「お、春香か。ありがとう」

春香「はい!グイッと!グイッといってください!ココアをグイッと飲むと疲れがとれるそうですよ!」

P「なるほど。じゃあ遠慮なく」グイ

春香「シャオラ!」

P「うむ。確かにうまい。ありがとう春香」

春香「えへへ...」

            ノヘ,_
    ,へ_ _, ,-==し/:. 入
  ノ"ミメ/".::::::::::::::::. ゙ヮ-‐ミ

  // ̄ソ .::::::::::: lヾlヽ::ヽ:::::zU
  |.:./:7(.:::::|:::|ヽ」lLH:_::::i::::: ゙l   いぇい!
 ノ:::|:::l{::.|」ム‐ ゛ ,,-、|::|:|:::: ノ   道端に生えてる草は食べられる草です!

 ヽ::::::人::l. f´`  _  |:|リ:ζ    畑に生えている草は美味しく食べられる草です!
 ,ゝ:冫 |:ハ、 <´ノ /ソ:::丿
 ヽ(_  lt|゙'ゝ┬ イ (τ"      ホント 貧乏は地獄です! うっう~~はいたーっち!!!

       r⌒ヘ__>ト、
      |:  ヾ   ゞ\ノヽ:    __  .      ri                   ri
      彳 ゝMarl| r‐ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
       ゞ  \  | [,|゙゙''―ll_l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
        /\   ゞ| |  _|_  _High To

P「...」パソコンカタカタ

春香「...」

P「...?どうした、春香?」

春香「えっ!?あ、いえいえ、えーと、その、何してるのかなーって」

P「ん、これか?ただのスケジュール調整だ。そんなこと聞くなんて珍しいな」

春香「ヴェっ!?いやぁ、プロデューサーさんも毎日大変ですねぇ」

春香(あれ...効いてないのかな...プロデューサーさんは鈍感だからジワジワ効くのかな...?いやいやいや!あんなもの信じてるわけじゃ...!)

ピピピピ

P「ん、電話...もしもし?真美か。どうした?」

                _,. : : : ̄ ̄ ̄: : :- 、__ /: : : ヽ
           ,. : :´: : : : : : : : : : :--:、: :__/: : : : : : ハ

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             Ⅳrtチテ从  伐テテ' }  |:/_,/  {: : / : : l: :.
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P「なぬ?忘れ物?わかった、今から行く」

P「悪いな春香、ちょっと留守番頼む!」

春香「は、はい!」

バタン

春香「はぁ...惚れ薬...こんなの効くのかな...」

春香「...」

プロデューサーさんが座ってた椅子...あ、外寒いのにコート置いてっちゃったんだ。

ちょっとくらいなら座っていいだろう。留守番してろって言われたし。

春香「はぁ...」ギシッ

椅子に座り、付けっ放しのパソコンのキーボードを適当に叩く。
プロデューサーさんはこんな風に仕事してるんだなぁ。

春香「...さむい」

コート羽織っちゃおう。

春香「...うん。暖かい」

プロデューサーさんのコートを羽織って、プロデューサーさんの椅子に座って、プロデューサーさんの机に突っ伏す。

春香「匂いがするなぁ」

匂いを嗅ぐなんて変態かな?

春香「馬鹿だなぁ私。惚れ薬なんて使って」

春香(自分に勇気がないせいで...)

美希は抱きついても変じゃないし、ハニーなんて呼んで。亜美と真美はイタズラと言えばくっつけて。

春香「私も...」

私も、かまってほしい。
いつからだろうか。好きになったのは...

春香「ハニーとか呼びたいなぁ...あ...」

顔を左に向けると、白いボールペンがある。

春香「...」

顔がついにやけてしまう。
誕生日に私があげた物だ。使っててくれたんだ。

春香「...///」

嬉しい。

ボールペンを持って、机をなぞった。

支援

春香「...」

インクが机に走る。
何でもいい。私の証を付けたい。でも束縛とはちょっと違う。

春香「天海春香、ここに参上」

ぐりぐりと、適当に黒く丸をつける。
少しでも近くにいたい。ただの、ボールペンのインクだけでも。それほどに。

春香「...好き」

独り言なのに、顔が真っ赤になる。
惚れ薬を盛った威勢の良さはどこにいったんだろう。

春香「明日、クッキー焼いてこよう...」

匂いに包まれて目を閉じると、すぐ寝てしまった。

...

こんな夢を見た。

春香「はぁ...遅いなぁ」

私がコタツに入っている。

春香「Pさん、まだかなぁ」

Pさんだって。夢で結婚してるのかな?

春香「もう!仕事で遅くなるなら言って欲しいな!春香さんを待たせるなんていけない旦那です!」

春香「はやく帰ってきてよぅ...」

ガチャ

春香「!」

...

春香「...ん...」モゾモゾ

P「ああ、春香、ただいま」

あれ、やっと帰ってきた?

春香「Pさん...」

P「...えっ?」

あれ?

春香「えっ?...ふっ、ふあっ!!あああの、プロデューサー...さん!」

P「ああ...真美に届けて帰ってきたら寝てたから...そっとしておいたよ」

春香「えっ、わ、私寝てて...あっ!///」

P「あーあー、いいのいいの。コートくらい。机も、俺は律子の机使ってるから」

春香「あ...あぅ...///」

               , --------、
             rr/        rくフ
               〈∨/_ノ_/_/_/_/_| V〉
             | | ノ  ー   |  | | それっておかしくないですか?プロデューサーさん
             | |(・) (・) | | |

             | |  (     | //
             |/ヽ O    |人_,>
               >ー-― ´   ̄ ̄\
  ⊂ニニ ̄ ̄ ̄ヽ  /              |
     くメ) _ノ  |  |  |        |   |
       (/  |  | /  |        |   |
          |  |/  /|        |   |
          |  ト  / |        |   |
          ヽ__/ |        |   |

P「Pさんって...どんな夢を見てたんだか」

春香「あ、あぁ...///」

P「真っ赤になった。まぁ、聞かないさ」

...

春香「プロデューサーさん」

P「ん?」

春香「もしも、もしもですよ。アイドルの誰かに告白されたら...どうします?」

P「んん?告白?好きだって?」

春香「...愛してるって」

好きとは違う。もっと好きだから。
愛してると言いいなおす。

P「断るさ」

だろうな、と思った。わかりきっている。プロデューサーさんはそういう人だ。
鈍感で、ミスばっかりして、電話をすれば誰かにペコペコして。
でもそんなプロデューサーさんが、私は...

春香「それは、アイドルだからですか?」

P「そうさ」

アイドルとプロデューサーだから。聞き飽きた言葉だ。
アイドルをやめたらどうするだろうか。
駆け落ちでもしてくれるだろうか。

春香「その人が、アイドルじゃなかったら?」

P「...まぁ、考えるさ」

沈黙。何かの書類に真剣な顔を向けている。
仕事をしている姿、好きだなぁ。
仕事をしていても、私のことを考えてくれていたらいいのに。
私は本当に、この人が好きなんだって再確認できる。私の力になる。

春香「プロデューサーさん」

P「ん?」

春香「夢は、なんですか」

P「お前たちを一人残らずトップアイドルにすること」

春香「トップアイドルから告白されたら?」

P「なんだぁ春香?今日はずいぶんと恋する乙女だな」

はい。あなたに恋する乙女です。

春香「私だって高校生ですよ。そういうこと、考えます」

P「ははは、そうだな」

P「んー、お前たちをトップアイドルにして、そのあと告白されたら?」

春香「はい」

P「...考えるさ」

春香「!」

P「そりゃ、そうだろう。トップアイドルからの告白だなんて、断る男はいないさ」

考える、だなんて言うけど。プロデューサーさんは鈍感だから考えてもいないんだろうな。

春香「...プロデューサーさんは、いいんですか?」

P「そうだなぁ。トップアイドルになれば、誰を好きになってもそんなにうるさくないだろうしな。好きな人を好きになるといい」

春香(好きって言葉が自分に向けられると思っていないんだろうな...)

春香「わかりました!」

ぴょんと立ち上がる。

春香「天海春香!がんばります!」

P「おっ?好きな人でもできたか?」

春香「...さあ!どうでしょうか!」

コートを返す。名残惜しいけども。

P「アイドルに恋されるなんて。幸せなやつもいるもんだ」

あなたですよ。その幸せなやつは。
やっぱりこの人は鈍感だ。何も気がついていない。

P「ま、プライベートまで干渉するつもりはない。春香の好きにしたらいいさ」

でも。

春香「はい。がんばります」

P「ああ、がんばれよ」

あなたを。

春香(トップアイドルになった時...)

また、好きになった。


天海春香の場合。おわり

(別の世界線)

千早「惚れ薬?」

謎のピヨ「そうだピヨ。強力な惚れ薬だピヨ」

千早「こんなもの、信じませんよ。ただの水じゃないですか」

ピヨ「それはあなた次第...私はただの事務員だピヨ」バッ!

千早「...」

千早「惚れ薬...こんもの...信じるわけ...」


千早「プロデューサー、お茶です」

P「ん?千早がお茶なんて珍しいな...ありがとう」ゴクゴク

千早(信じてない...信じてないけど...入れてしまった...)

千早「...」

P「...」カタカタ

千早「...」ピト

P「!?ど、どうした千早」

千早「いえ...その、寒くて」

P「ああ、暖房、早く直さないとな...」

P「手、冷たいじゃないか」ギュッ

千早「あ...」

この人は、こういうことを平気でやる。
どんな暖房より暖かい手。嬉しい。

P「ちゃんと手袋してるのか?」

千早「は、はい...」

P「おっと、レコーディングの時間だ。千早、いくぞ」

千早「はい」

千早(惚れ薬、ちゃんと効いているのかしら...って、あんなもの信じたわけじゃ...なくて...)

ブロロロロロ

...

P「お疲れ様」

千早「はい」

P「今日もよかったぞ!素晴らしい歌だ」

千早「はい。ありがとうございます」

プロデューサーは私を褒めてくれる。プロデューサーが一番私を見ていてくれる。
もっと褒めてほしい。

千早「新曲は、どうでしたか」

P「うん、言うことなしだ」

千早「えへへ...」

褒められると、つい顔が緩んでしまう。頭もなでてほしい。

P「千早は、いい顔するようになったよな」

千早「え?」

P「なんていうか、素直に笑うようになった」

P「服も、最近はおしゃれだし」

千早「...」

P「みんなともよく話すようになった」

P「最初と比べると、努力したんだなと思って」

千早「そう、でしょうか」

確かに、プロデューサーが来る前と比べるとそうだ。
プロデューサーに褒められれば嬉しいし、見て欲しくて流行りの服だって買っている。

千早「言われてみれば、そうかもしれませんね」

恋は盲目って、本当ですね。

            ノヘ,_
    ,へ_ _, ,-==し/:. 入
  ノ"ミメ/".::::::::::::::::. ゙ヮ-‐ミ

  // ̄ソ .::::::::::: lヾlヽ::ヽ:::::zU
  |.:./:7(.:::::|:::|ヽ」lLH:_::::i::::: ゙l   いぇい!
 ノ:::|:::l{::.|」ム‐ ゛ ,,-、|::|:|:::: ノ   道端に生えてる草は食べられる草です!

 ヽ::::::人::l. f´`  _  |:|リ:ζ    畑に生えている草は美味しく食べられる草です!
 ,ゝ:冫 |:ハ、 <´ノ /ソ:::丿
 ヽ(_  lt|゙'ゝ┬ イ (τ"      ホント 貧乏は地獄です! うっう~~はいたーっち!!!

       r⌒ヘ__>ト、
      |:  ヾ   ゞ\ノヽ:    __  .      ri                   ri
      彳 ゝMarl| r‐ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
       ゞ  \  | [,|゙゙''―ll_l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
        /\   ゞ| |  _|_  _High To

事務所

P「よし、俺は書類片付けるから、千早はどうする?」

千早「...少しだけ、ここにいます」

P「そうか」

千早「...」

千早「プロデューサー」

P「ん?」

ソファーから話しかける。プロデューサーはついたての向こうで、顔は見えない。

千早「確かに私は、変わりました」

千早「それはアイドルとしてではなく如月千早として、いろいろ変わりました」

P「そうだな」

千早「私はあなたのおかげで、笑うようになったし、いろいろなものに興味を持ちました」

おかしい。いつもは、こんなこと言わないのに。

千早「でもそれは...」

言ってはいけない。この先、言ってしまうと、いけない。
でも、止められない。

千早「あなたの為ですよ」

P「俺のためか。そりゃ嬉しいな」

ああ、やっぱりこの人は鈍感だ。あなたの仕事のためじゃない。あなたのため。

千早「いいえ、あなたの、ためです」

私は立ち上がる。
ついたての向こうに、プロデューサーの真剣な目がこちらを見ている。

P「...千早」

この先は、言ってはいけない。
アイドルと、プロデューサーだから...
でも。

千早「私に笑顔を思い出させてくれたのは、765プロのみんなと、あなたです」

P「...」

千早「わかっています。私はアイドル。あなたはプロデューサー。でも、」

だからなんだというのか。

千早「だから何だと言いたいです」

P「千早」

千早「私は、仕事ではアイドルです。でも、あなたの前では、如月千早でいたい」

千早「私は、あなたが好きです」

千早「ひとりの、男性として」

P「...」

言ってしまった。果たしてあの惚れ薬は、効いているのだろうか。いや、むしろ私に効いているのではないだろうか。
でも、この気持ちは、惚れ薬のせいではないと思う。

P「俺は、お前たちのプロデューサーだ」

千早「わかっています」

お前たちの、と言われて
ズキンと心が痛む。
私の、プロデューサーでいてほしい。

P「千早」

千早「っ」

その先は言わないでほしい。
わかっている。何を言われるか。

P「その答え」

千早「...」

断られる。わかっている。
でも...悔いはない。

P「少しだけ、待ってくれないか」

千早「...え」

P「俺と、その、付き合うのが、今のお前の夢か?」

千早「...はい」

P「なら、先に俺の夢を叶えてくれ」

千早「トップアイドル」

P「そうだ。今の俺は、お前たちを頂点に押し上げることが夢だ」

P「今はそっちが先だ。答えは、少し待て」

断られなかった。
それだけで、嬉しさと涙があふれてくる。
でも涙をぐっとこらえて。

千早「はい。がんばります」

P「ああ。ありがとう」

千早「でもプロデューサー、落ち着いてますね」

千早「もしかして...言われ慣れてます?」

P「まさか」

P「そりゃあお前、あれだけされりゃ気がつくさ」

千早「え?」

P「毎晩電話して、毎朝俺が来る前に来て、たまに俺の顔を見てニヤニヤしてただろ」

千早「えっえっ」

P「隙あらば俺のコートやらマフラーやらを...」

千早「ちょっ!ちょっと!やめてください!やめ...///」

P「もうみんな影で噂しまくりだったぞ」

P「...気がついてなかったのか?」

千早「...///」

P「恋は盲目だな」

千早「あなたは鈍感かと思ってました」

P「千早がわかりやすいだけだ」

P「まぁ...でも、直接言われると恥ずかしいな...」

千早「私も、恥ずかしくて死にそうです」

恥ずかしそうな笑顔。
私だけに向けて欲しい。
そのために。

千早「...がんばります、からね」

P「ああ」

あなたを、また好きになった。




如月千早の場合。おわり

あと真編と響編を書いてある
このまま続けます

どんどん続け給え

真「惚れ薬?」

謎のピヨ「そうだピヨ。一見ただの水だけど、強力な惚れ薬だピヨ」

真「そんな乙女チックなもの...あるわけ...」

ピヨ「それを使えば、王子様の虜!」

真「!」

ピヨ「私はただの事務員だピヨ」バッ!

真「...」


真「プロデューサー、お茶、です...」

P「お?真がお茶とは珍しい」ゴク

真「えへへ、雪歩に教えてもらったんです」

P「うん、おいしいよ。ありがとう真」

真「えへへ、やりい!」

...

真(って、冷静に考えればボクは何をしてるんだ...惚れ薬なんてあるわけないだろ...)

真「でもボクだって乙女なんだー!ピンクの乙女なんだよーわー!!」

P「ぅええ!?どうした真!」

真「ああっ!な、なんでもないです!!」

P「やっぱり、ボーイッシュは嫌か?」

真「えっ...い、いえ、ファンのみんなが好きでいてくれるなら、いいですよ、それで」

P「やっぱり、お姫様役を無理してもらってくるか...?」

真「!」パァア

P「おっと!真、収録の時間だぞ!」

真「今日の番組は...あ、真王子、の出番ですか...」

P「仕方ないだろ、そういう番組なんだから...さ!気を取り直して行こう行こう!」

真「はいっ!そうですよね!」

...

D「いやー!今日もよかったよ真くん!」

真「はいっ!ありがとうございます!」

D「やっぱり真くんはかっこいいね!女の子に恋したりするのかな?」

P「あはは...さぁ、真行こうか」

真「は、はい!ありがとうございました!」



P「まったく、あんな言い方ないだろディレクターの野郎...」

真「ほんとですよ...ボクだってちゃんと男の人に恋しますよーだ」

P「ん、今、好きな人いるのか?」

真「えっ!いいいや、いえ...」

あなたです!なんて言えないでしょ...

D「おっ!いたいた、765Pさん!ちょっと言い忘れたことがあったんだ。新番組なんだけどね!」

P「あっ、はい!悪い真、ちょっと待っててくれ」

真「はい」

...

真「はぁ~あ、行っちゃった...」

真「でも、新番組?ちょっと気になるな...」

コソコソ

D「...でね、新番組だけど、真くんにコーナーひとつ任せようかと思ってね」

P「ほ、本当ですか!?」

コーナーかぁ。お姫様がいいなぁ。

真「...そんなわけ、ないか...」

D「ああ。真くんに男の格好させて、テキトーにナンパしてさ。おいしいもの食べるんだよ」

P「ナンパ、ですか?」

真「...」

また、男の役だ。ナンパだなんて、やりたくない。
断ってよ、プロデューサー。

真「でも...」

番組やらせてもらって、断れるわけないよね

P「すみません」

え?

D「はぁ?」

P「女の子をナンパするとか、そういうのは...ちょっと」

プロデューサー、何言ってるんですか。干されちゃいますよ。

D「ちょっとちょっとPくん、真くんはそういうキャラでしょう?」

P「はい。わかっていますが、それ以前に」

プロデューサー...

P「真は、女の子なんです」

真「...!」

D「はぁ...もういいよ。このコーナーは別の人にやってもらうから」

P「すみません!」

D「いーよいーよ、また来週ね。じゃ」

...

P「あ、真...聞いてたのか...」

真「プロデューサー、断ったんですね」

P「やりたかった、のか?」

真「そんなわけ、ないでしょう...でも...」

P「いいんだ。あれは企画が悪いよ」

...

出待ち女ども「ぎゃー!まことくーん!」

真「ははは!ありがとう!」

P「さ、真帰るぞ」

真「はい!」

プロデューサーだけだなぁ。男の人で、真、って女の子らしく呼んでくれるの。
ディレクターも、ファンのみんなも、真クンだし...そういうキャラだし。

P「さぁどうぞ、お姫様」

プロデューサーはいつもドアを開けてくれる。お姫様って言ってくれるのも、この人だから嬉しい。

真「ふふん、今日は助手席に乗る!」

だから、いたずらしたくなる。

P「ははは。さぁ、帰ろうか」

真「プロデューサー、今日、ありがとうございます」

P「ん?何がだ?」

真「断って、くれたことです」

P「いやぁ...断っちゃったなぁ...仕事減るかも...」

それでも。

真「それでも!ボクは、嬉しかったです。ナンパだなんて、やりたくないですから」

P「真は女の子だからな。そういうのは、よくないよ」

真「...///」

真「プロデューサー、だけですよ。ボクを女の子って言ってくれるのは」

P「えー?765プロの中じゃ、みんなそうだろ?」

男の人では、という意味ですよ。
鈍感なんだから。

真「さっきの、王子様みたいでしたよ」

P「ははっ、そうかぁ?白馬になんて乗ってないぞ」

真「ピンチを救ってくれたんです。十分、王子様ですよ」

P「嬉しいこと言うよ」

真「ボク、言いましたよね。いつか、ボクを本当に女の子扱いしてくれる王子様が現れるって...」

あれ、ボク、なに言ってるんだ?
プロデューサーに感謝を伝えないと...

真「今は、プロデューサーが王子様ですよ!」

P「そ、そうかぁ。嬉しいぞ」

わぁああああ!なに言ってるんだ!なに言ってるんだボクはぁ!
これは...告白じゃないか!?

P「...」

あれ、プロデューサー...

真「耳まで、真っ赤ですよプロデューサー」

P「お前もな」

真「!...」プイ

...

P「ついたぞ」

真「...プロデューサー」

P「ん?どうした?」

真「ボーイッシュなボクと、キャピキャピしたボク、どっちが好きですか?」

P「うーん、俺は...」

P「俺は、どっちの真も好きかなぁ」

真「っ!///」カァアアア


P「あっ、いや、変な意味じゃないぞ!その...」

真「変な意味じゃ、ないんですか?」

P「え、変な意味のほうがよかったか?」

もうここまで来たなら。
ぶつけてしまおう。

真「ボクは、プロデューサーのこと、好きですよ」

P「あ、ああ...プロデューサーとして、な?」

プロデューサー、困ってる。
黙ってシートベルトを外して。

P「真?」

真「王子様として、ですよ!」

真っ赤になりながら叫んだ。
誰に見られようと知るもんか。
そのまま車を飛び出して、事務所に走った。

そして、事務所の扉にもたれかかって。

真「へへっ、やーりぃ...」

つぶやいた。


菊地真の場合。おわり

                _,. : : : ̄ ̄ ̄: : :- 、__ /: : : ヽ
           ,. : :´: : : : : : : : : : :--:、: :__/: : : : : : ハ

          /: : : :, : : : : : :l: : : : : : : :(__。)_:_: : : : : |
         ,:': : : : :/: : : : : ::/_: ,: : :__: : : :(__。): , : : : :!
          /: ; : : : {: : : : : :./ `/イ: : -: : : :{: : : : : : :|
        ,: : l: : : : : :j: : : :.l     \: :_/:ハ: : : : : :.|
         |: : }: : : : :/!: : l:/         l: :,ィハ |: : : : : :|
         }: イ: : : : / l: : l:{    /   }:// } !: ; : : : :!:.
         l/ ∨: :/、_ Ⅵ!リ 、__/_   ,: { ' / |:/: :; : :.|::.
             Ⅳrtチテ从  伐テテ' }  |:/_,/  {: : / : : l: :.
            }ハ  ̄ ,    ` ̄    j:{/`ヽ. |: /: : :.:.|: :}
               }           /リ / },!イ: : : : :!: ;
              人  ー-、   ,..ィ   /  //: :!: : : : :|:/
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             /   /   __/ /  {/ l/  }: : :/

響「惚れ...薬...?」

小鳥「ウス」バッ

響「こんな水みたいなものが惚れ薬なわけないぞ!絶対嘘だな」

響「自分完璧だからな。こんなもの使わなくてもプロデューサーのハートを...ハート...///」

響「うわああああ!何言ってるんだー!恥ずかしいさー!」ジタバタ

響「プロデューサー、これ沖縄料理だぞ」

P「ん?どう見ても普通のお茶なんだが...」

響「お、沖縄の!サトウキビを使ったお茶なんだ!ほらほら飲んで飲んで!」

P「ほぉー。それは珍しいな。いただきます」ゴクゴク

響(ふふん、ちょろいなプロデューサー!)

...

P「...」カタカタ

響「...」

P「なぁ」

響「んぁっ!?」ビクッ

P「響、今日は午後からだろ?誰か待ってるのか?」

響「んー、いや、たまにはのんびりするのもいいかなーって思ってな!」

P「そうかそうか。午後の台本はちゃんと読んだか?」

響「ふふん、ちゃんとできるさー。自分完璧だからな。我那覇と書いて完璧だぞ」

P「意味がわからないけど大丈夫そうだな」

うー、プロデューサーに完璧って思われたい。しっかりできるところを見て欲しい!

響「ちゃ、ちゃんとできたら褒めてくれる?」

P「ああ、俺でよければいくらでもな」

プロデューサーがいいんだぞ!
で、できれば頭を撫でて...って!うがー!そんなこと言えない!!!

響「!...ー!!」ジタバタ

...

響「よし、プロデューサー!そろそろ行くぞ!」

P「ああ。ドラマの撮影だぞ?大丈夫か?」

響「ふふん。大丈夫さ!なんくるない!」

P「どうにかなるじゃだめだぞ」

響「大丈夫だって!」

...

監督「じゃあ次行くよ!シーン13!」

響「どうしても、ですか...?」

俳優「アアデモキミノタメニモドッテクルヨ」

響「あ...」

響(ああっ!しまった!次のセリフ...!次のセリフは...!!)

監督「カット!ん!?どうした!?」

響「あ、ああ!すみません、とんじゃいました...」

監督「おいおい困るよー!まぁ、ぶっ通しだったからなー。少し休憩入れるか!」

響「監督、わ、私はできます...!」

P「響」

響「プロデューサー、自分...」

P「少し、休憩入れよう。監督の言うとおり、ここまでぶっ通しで来たんだ」

響「自分、自分...完璧だから!できるぞ!このまま最後まで...」

P「響」

響「!」

P「少し休め」

響「...うん」

...

オツカレデシター

...

響「...」

P「あのあとはつっかえずに出来たじゃないか。やっぱり響は...」

響「...完璧じゃ、なかった」

P「ん、気にしてたのか。でもその他はいい演技だったぞ。見惚れたよ」

プロデューサーに見惚れたよと言われて、つい口元がにやける。
でもすぐにプイとして。

響「完璧じゃ、なかった...」

頭をわしゃわしゃされた。

響「!...やめて、ほしいぞ...」

P「なんでだ?」

あれだけ昨日練習したのに。
何度もやったのに。

あの時、プロデューサーのことが頭をよぎった瞬間、一瞬だけ真っ白になった。

響「自分は間違えたんだ!つっかえたんだぞ!褒められることは何も...できなかった!」

P「響」ギュッ

響「!」

P「確かに、響は完璧じゃない」

言われて、しまった。
完璧なら、プロデューサーに褒めてもらえる。プロデューサーがこっちを見ててくれる。
完璧じゃなくなったら...

P「でも、完璧じゃないからこそ、俺がいるんだ」

響「え...?」

P「世の中に完璧な子なんていないさ。何のためにプロデューサーの俺がいると思ってるんだ、響」

響「だって...だって完璧にすれば...褒めてくれるから...」

P「確かに、うまくできたら褒めるさ」

よくやった!響!
あの笑顔が自分は好き。
もっと自分に、その笑顔を向けて欲しい。
だから自分は頑張れた。猛特訓で、ミスなんてしなかった。

P「でも...」

響「?」

P「こうして、ミスした時に慰めてやるのも、プロデューサーの仕事だ」

ダメだ。

響「ぷろでゅうさぁ...」ポロポロ

泣いてしまう。

P「響は今までずっとミスなんてしなかったからな...余計に辛いだろ」

ちがうよ。泣いてるのは、プロデューサーの優しさに泣いてるんだ。
自分はすごくちっぽけだ。
完璧でいようと心に決めたのに、今はプロデューサーの胸で泣いてるちっぽけな存在。

響「...」グスングスン

でも、プロデューサーの手は暖かかった。

P「...よし、響、帰ろうか」

響「うん...」

グイ

響「...」

P「ん?どうした、響」

響「もう少し、泣いていいか?」

P「んん?どうした...今日は女の子だな」

響「自分だって女だぞ...」

胸の中が居心地がよかったから。

もう一度、飛び込む。

響「へへ...」ニヤニヤ

P「おいおい、泣いてないじゃないか」

響「いっ、いいの!」

ずっとこのままでいたい。
でも、

響「...///」

やっぱり急に恥ずかしくなる。

響「もっ、もう、いいぞ」バッ

だめだなぁ、自分は。素直じゃない。

でもせめて。

響「...」チョイチョイ

P「ん?」

車まで、手だけは握っていたい。

P「響は甘えんぼか?」

響「な、何とでも言えば?ヘンタイプロデューサー...」

P「響はあんまり甘えてこなかったからな。いつでも甘えていいんだぞ?」

響「...うん...」

響「プロデューサーは、完璧じゃなくても良いの?」

P「ああ、さっきも言ったとおり、完璧なんていないのさ。完璧に近付く努力をすることが素晴らしいんだ」

響「...」

P「確かに響は演技や歌、ダンスは素晴らしい。収録の時は完璧と言っていい」

響「う、うん...」ニヤニヤ

P「でもな、たまに、終わった後に俺が手を貸しても「大丈夫だぞ」とか言う時があるだろ?」

響「あれは、大丈夫だから...」

P「あれはよろしくないな」

響「え...」

P「響、見るからにクタクタだからな。手を貸してやりたくなるんだ」

P「たまに響は、こんな強がりを言うんだ」

強がり。
そうか、自分でできるぞって無理に言うことは、強がりなんだ...

P「でも、そんな響を見てると元気になるよ」

響「?」

P「なんていうのかな、頑張ってる子を見ると、自分も頑張らなきゃなって思うんだ」

響「それは...」

P「うん...やっぱり響はそのままでいいかもな!」

響「ええー、どっちなのさ」

P「うん。そのままで十分可愛いから」

響「ぅぇえっ!?///」ドキッ

P「でも...」

響「でも?」

P「無理は、するなよ」

ダメだよプロデューサー...そんな真剣な顔されたら...

響「う、うん...///」

今、自分顔赤いのかな?

P「よし、そろそろ帰ろうか」

響「うん...///」

...

P「...」

響「...」

もう正直、好きだって伝えたい。

響「プロデューサー...」

自分を支えてほしい。完璧なんかじゃない自分を...

P「ん?」

響「その...」

でも、言えない。
言ってしまえば、今の関係、事務所だって居づらくなるだろう。
それくらいはわかる。
自分、完璧だからな。

響「また、ミスとかした時は...」

P「ああ。いつでも慰めてやるよ」

嬉しい。自分は、その言葉だけで。

響「うんっ」

また少し、好きになった。



我那覇響の場合。おわり

最後は駆け足ですまん


春香が舐めたいんだ俺は
読んでくれてありがとう

スバラスィ

他メンバーは今度書きます
その時はまたよろしく

春香舐めたい人でした

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