ゾンビ娘「私恋しちゃったのかも」 (159)


黒く枯れた花をくるくる

ゾンビ姉「なんですって! あなたにもついに春が……」

ゾンビ娘「でも、私は死体であの人は生で……」

ゾンビ姉「殺しちゃえばいいじゃない」

ゾンビ娘「」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387077469


ゾンビ娘「なるほど!」

ゾンビ姉「私もそうやってゲットしたからね!」

ゾンビ義兄「(また被害者が……)」


ゾンビ娘「シャー!」

勇者「!」

スパン!

ゾンビ娘「あら」

コロン!(頭

パタ


ゾンビ娘「お話にならないよ……」

ゾンビ姉「うーん、この人は雑魚だったんだけどねぇ……」

ゾンビ義兄「……」


回想


ゾンビ姉「シャー!」

「うわ!?」

ズルッ! (こけた

ゴン! (木の根に!

「」チーン

ゾンビ姉「え!?」


回想終了


ゾンビ娘「あの人はそんな間抜けじゃないよぉ」

ゾンビ姉「まあ私もあの死に方はどうかと思ったわ」

ゾンビ義兄「……」


ゾンビ姉「そうだ、あなた相手してきてあげてよ」

ゾンビ義兄「俺……?」

ゾンビ姉「力は私達より強いんだから!」


………



スパン!

ゾンビ義兄「(やっぱりね)」

コロン(首


ゾンビ義兄「あいつ、最近噂になってた勇者じゃないか……
      魔物をバタバタ倒せるのに俺たちみたいな雑魚ゾンビじゃ相手にならないって」

ゾンビ娘「そんなぁ」

ゾンビ姉「なら、攻め方を変えましょう!」


酒場

戦士「バカ言うな! 魔王軍なんて相手に戦えるわけねぇだろ!」

勇者「そ、そこをなんとか……」

傭兵「命あっての物種だ、どんだけ金積まれたって誰もついていかねぇよ」

勇者「」シュン



勇者「はぁ……」

???「あの」

勇者「? 何?」

???「パーティーを探していると聞いたんですが」

勇者「え、も、もしかして……」

魔法使い「はい、是非魔王討伐のパーティーに入れて欲しいんです!」



勇者「嬉しいなぁ、誰も協力してくれないから、魔王倒すとか考えてるの僕一人だけなのかと」

魔法使い「いえ! 私も魔王軍に殺されたんですから!」

勇者「え? こ、殺された?」

魔法使い「はい!」

勇者「」

魔法使い「……違う! お姉ちゃんが殺されたんです!」

勇者「だ、だよね!」


魔法使い(ゾンビ娘)「(ふふふふふ!
     墓地の死肉を食べることで、一時的に肉体の鮮度を向上!
     そして!)」

勇者「ZZZ」

魔法使い「(眠っていればいかに勇者とは言え!)」シャキン(ナイフ

魔法使い「やああ!」

勇者に3のダメージ!

魔法使い「……」

勇者HP 234/237

魔法使い「やあ! やあ!」

勇者に7のダメージ!

勇者HP 237/237(睡眠による回復

魔法使い「……もう寝よう……」




勇者「あ、ゴハン作ってくれてたの?」

魔法使い「はい!」

魔法使い「(ふふふ、ゾンビの腐毒を混ぜ込んだ朝食!)」

勇者「いただきます」

モグモグ

勇者「!」

勇者は毒を受けた!

魔法使い「(よっしゃ!)」

勇者は毒消しをつかった!

魔法使い「(えええええ)」

勇者「何か見たこと無いきのことか入れた?」

魔法使い「……もしかしたら食べられるものと間違ったかも……」

勇者「次からは気をつけてね」

魔法使い「はい……」


魔法使い「(こうなったら、きちんとレベルアップして殺せる実力をつけなくちゃ!)」

スライム「」ウゾウゾ

魔法使い「とりゃあ!」(ナイフ

NO Domage

魔法使い「ファイアー!」

ジュッ

スライム「」HP 29/32

スライム「」ムカッ

ペッ(強酸性体液

魔法使い「きゃあ!」HP 12/23

勇者「大丈夫!?」ヒール!

魔法使い「ギャアアアアアアアア!?」-18/23

勇者「な、なんで!?」

ゾンビなので


魔法使い「(寝こみを襲っても毒を盛ってもダメ、あげく回復魔法で死にかけるなんて……)」

魔法使い「(なんてやさしくないシステムなの!!)」

ついにシステムにケチをつける


勇者「まあ、のんびりレベルアップしようよ」

魔法使い「はあ……そうですね……」



モンスター「グオオォォ!」

勇者「ほら、魔法撃って!」

魔法使い「ファイヤー!」

ポスン

魔法使い「」

勇者「」

モンスター「?」ポリポリ

勇者「よし、上手いよ!」ザク!

モンスター「ギャアァ!」バタン!

魔法使い「(嘘だ!)」


モンスター「グオォ!」

魔法使い「きゃぁ!」

勇者「危ない!」

ザク!

勇者「クッ」 HP211/237

勇者「はああ!」

ドス!

モンスター「ギャアァ!」


魔法使い Lv2

勇者   Lv38


魔法使い「あの……今更ですけど私を仲間に入れたのって何かの間違いじゃ」

勇者「ううん、実力なんて戦ってればつくけど、魔王軍と戦ってくれる仲間なんて、そういないからさ」

魔法使い「でも……」

勇者「僕、君が仲間になってくれて、とっても嬉しいんだ
   だから頑張ろ?」

魔法使い「は、はい!」


地道なレベルアップにより、魔法使いは成長した

魔法使い Lv2→Lv27!




ファイヤー
サンダー
アイス
バリアー
毒の息
毒の爪
毒の牙
かみつき
再生
感染増殖
...

勇者「なんか変なのが混じってない?」

魔法使い「ひ、人のステータスを覗くなんてエッチです!」

勇者「……」


サーペント「シャハァ!」

ガキィン!

勇者「コイツ、鱗で剣が……」

魔法使い「サンダー!」

バチバチ!

サーペント「!」ピリッ!

魔法使い「や、やった! 剣より効いてる!」

サーペント「」イラッ

ビュン!

勇者「! いけない! 逃げろ!」

魔法使い「え」

バクン!


サーペント「」ゴクン!

勇者「魔法使い!」

サーペント「…………」

勇者「こ、こいつ! 魔法使いを吐き出せ!」

サーペント「……」

サーペント「」ゲロリ!

勇者「!?」

吐き出せと言いつつホントに吐出されるとビビる

勇者「ま、魔法使い……?」

魔法使い「」ヌルヌル……

勇者「(ほんのり溶けてる!!)」


サーペント「……」

勇者「くっ……」チャキ

サーペント「ギャァァァァス!」ゴロゴロ(腹の音

サーペントは逃げ出した!

勇者「え、なんで!?」


町長「ありがとうございます!
   あの魔物を追い払っていただいて……」

勇者「いや、僕にも何が何やら」

町長「これで街の者達も安心できます……こころばかりですが、感謝の意をこめたパーティーを……」

勇者「いえ、仲間が重症で……お気持ちはありがたいんですが、魔法使いを置いて楽しむわけにはいきませんから」







宿屋

勇者「あれ? 魔法使い……?」

勇者「(どこかに行ったのか? あの状態で……)」


墓地

ゾンビ娘「うう、あの戦いで体がかなり傷んじゃった……」バリバリ

骨ごと屍肉を

ゾンビ娘「早く治さなきゃ……」ガツガツ

子供「」

ゾンビ娘「」


子供「う」

ゾンビ娘「う?」

子供「う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ん"!!」ダッ!

言うまでもないが、死体に喰らいつく体が若干溶けたゾンビ娘はとびっきりホラーである

ゾンビ娘「あ、ちょっと!」


ゾンビ娘「(いけない、このままじゃ騒ぎになっちゃう!)」


町長「な、何! 墓地にゾンビが!?」

町人「はい! うちの子が死体をあさっているのを見たと!」

勇者「ゾンビですか……」

町長「勇者殿、申し訳ないが……」

勇者「……はい、協力させてもらいます」






オ"オ"オ"アアアアア"!





町長「! この声は!?」

勇者「……(ゾンビが仲間を呼び寄せる時に使うという、遠吠え……)」


・・・・・



魔法使い「お待たせしました!」

勇者「……もう動けるんだ」

魔法使い「はい、立て直し早いのが取り柄なんで!」

勇者「そう」


町人「あ、いたぞゾンビだ!」

ゾンビ「俺がさっき墓を荒らしたゾンビだ!」

町人B「よし、一匹だけか! とっちめろ!」



ボコボコボコ!
チョ、マッテ…ギャァァ!


町人「あ、勇者さん!」

町人B「見てください、ゾンビは我々が!」

ゾンビ「」モザイク

勇者「た、大変でしたね……」

魔法使い「(うわぁ……)」

町人C「おお、魔法使いさん、もう体は大丈夫なんですか?」

魔法使い「は、はい、おかげさまです」

町人D「では是非パーティーに参加してください!」

魔法使い「え、いえちょっと……」

マアマア! イエイエ!

……





ムクリ

ゾンビ義兄「(何やらされてるんだ俺……)」

テクテク……



魔法使い「……この村も、滅ぼされちゃってますね……」

勇者「……魔族の土地が近いからね」



???「……」ガレキニ コシカケ

勇者「」

???「」
装備・フードマント「」トテモ アヤシイデス!


魔法使い「(あの人、一人でこんなところにいて危なくないですか?)」

勇者「……(いや、只者じゃないよ)」

???「」チラ

???「」スック

……ヒュン

勇者「!」

ガキィン!

魔法使い「!」


???「止めたか、話通りのウデだな」

勇者「何者だ!」

火の四天王「俺は魔王軍、火の四天王
      貴様の首、貰い受けるぞ!」

魔法使い「し、四天王!?」

勇者「なるほど、ようやく魔王軍から実力を認められたってとこかな!」スチャ!

火の四天王「その不敵な物言い、気に入った!」


勇者「(さっきの打ち合いで聞こえた金属音……マントで手元が見えない
   剣を持っている風には見えないけど……)」

ビュン!

ギャリィ!

魔法使い「剣の刃を素手で受け止めた!?」

火の四天王「俺の皮膚は強靭な魔力金属で覆われている!
      剣など通じはせんぞ!」

勇者「くっ……!」


魔法使い「な、なら私の魔法で! アイス!」

火の四天王「ぬるいわ!」

バキバキン!

魔法使い「魔法の氷を手で砕いた!?」

火の四天王「邪魔をするな魔法使い!
      所詮人間の魔力では、我ら魔人の貴種に太刀打ちなどできんわ!」

魔法使い「うう……」


ガン! ギィィン!

火の四天王「面白いぞ! 魔人でも俺とここまでわたりあえる奴はおらん!」

勇者「(隙が無いわけじゃない、無いわけじゃないけどまず刃が通らない!
    確実なダメージを与えなければ、反撃でこっちがやられる……)」


魔法使い「(剣も魔法も効かない……
     でも、私の毒なら?)」

魔法使い「(でも、勇者さんに正体がバレちゃう……)」

魔法使い「(あれ? でも……)」

魔法使い「(このまま勇者さんが死んだら……)」

魔法使い「(ねがったりかなったりなのでは?)」


火の四天王「どうした! 動きが鈍くなってきたな!」

勇者「(集中が、切れてきた……マズイ……)」





魔法使い「……」




おねぇちゃん、体が痛いよう……

……

おねぇちゃん?



……う、うう……ぅ……




魔法使い「……(勇者さんをあんな目に合わせるわけには行きません!)」

新たな決意に目覚めた!

魔法使い「(殺すときは苦しまないようにサクッと私が殺します!)」

方向性に難があったが


魔法使い「やああ!」

勇者「ば、バカ!」

火の四天王「邪魔だ!」

ビュン!

魔法使い「!(は、速すぎ……)」

勇者「! まほ……!」

ドス!

腹部を貫く貫手!

火の四天王「くだらんことを」

ズポン!

魔法使い「」ドサ……


勇者「こ、このおおお!」

ヒュン!

火の四天王「ふん……」スッ

ザク!

火の四天王「何!?」

勇者「え、斬れた!?」

防ぐためにつきだした手が、ざっくりと

火の四天王「(なんだ!? あの女の体液がかかった皮膚が、腐食している!)」


勇者「もらった!」

火の四天王「舐めるな! もう一本の腕はなんとも」

魔法使い「」ガシィ!

火の四天王「な、何だと!?」

勇者「はああ!」

ザン!

火の四天王「く……俺の体を切り裂くとは……見事だ!」ガク!

火の四天王を倒した!


勇者「だ、大丈夫なの?」

魔法使い「大丈夫です! 偶然急所を外れたっぽいです!」

勇者「え、い、いや、そのお腹の穴」

魔法使い「急所は外れてますから! マジで!」



勇者「立てる?」

魔法使い「大丈夫です!」


勇者「ほら、手、伸ばして」

魔法使い「あ、はい」

パシ

ポロ

勇者「」

もげた

魔法使い「!!!」

手が(倒置法


勇者「」

魔法使い「あ、ほ、ほら、私超乾燥肌で!
     この時期はもろくなっちゃうんですよね!」

勇者「……自分で言ってて無理あると思わない?」

魔法使い「…………はい」


魔法使い「気づいてたんですか? 私が、手がもげる特異体質ということに!」

勇者「いい加減まじめに行こうか」ゲンコツカマエ

魔法使い「ごめんなさい」


勇者「まあ、おかしいとは思ってたんだ
   回復魔法でダメージ受けるし教会に近づこうとしないし
   普通のゴハンは全然食べないし、ことあるごとに僕の食事に毒を混ぜようとするし
   寝てる時に何度かナイフで刺されたし」

魔法使い「き、気付いてたんですか」

勇者「疑いたくなかったよ……初めて仲間ができたと思ったんだもの」ションボリ


勇者「目的は……僕の命、なんだろうね」

魔法使い「はい、是非とも勇者さんには死んで欲しくって」

勇者「……はっきり言うね」シュン……

割とショック


勇者「僕に向けてくれた好意は、嘘だったの?」

ゾンビ娘「いえ! 私本気です!」

勇者「……?」

ゾンビ娘「(今、今こそ言うべき時なんだ!)」


ゾンビ娘「あなたのことが好きです!
     私と同じ墓地で暮らしてください!!」

勇者「」

ゾンビ娘「」

勇者「」

ゾンビ娘「」

勇者「嫌」

ゾンビ娘「」ガーン


勇者「え、っていうか、好きって、僕に惚れてるってこと? だよね?」

ゾンビ娘「や、やだなぁっ! 確認しないでくださいよ!」

勇者「なんで僕に惚れたの?
   ゾンビなら何人も倒したし、恨まれる覚えならあるけど……」

ゾンビ娘「え、そ、そんなことを私の口から言わせる気ですか!?」

勇者「いや、言いたくないならいいんだけど」

ゾンビ娘「あれは私が死んでからちょうど一年……」

勇者「……」

本当は言いたかったに違いない

ゾンビ娘「私は生前の記憶の衝動を抑えきれず、滅ぼされた村へ戻っていました」

・・・・・・


ゾンビ娘「せめて服が残ってるといいな……
     これなんてもう、糸から数えたほうが早いもん……」

魔物「ちっ! 何だこのガキ!」

ゾンビ娘「」ビクゥ!

ゾンビ娘「(ま、魔王軍の魔物!?)」


勇者「この村の人達をどうした」

魔物「聞かないとわからねぇのか? 頭悪いなお前」

勇者「そうか、やったのはお前たちでいいんだな?」

チャキ!







ザク!

魔物B「な、何だコイ、つ……」ドサ!

勇者「人間に仇なす魔王軍は、僕が叩き潰す」

魔物「ち、違う! た、確かに元は魔王軍だが、俺達は脱走兵……」

ドス!

魔物「」バタ

勇者「この村の人たちを殺したなら、同じことだ」




ゾンビ娘「怖!」





勇者「誰だ!」

ゾンビ娘「」ビクゥ!


勇者「まだいたのか!」

ゾンビ娘「え」

スパン!

キャー


・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・




体「」ムクリ

体「」ペタペタ

チョン

頭「」

ヒョイ

体「」グチ

ゾンビ娘「」

ゾンビ娘「ひ、ひどい目にあった……」

ゾンビ娘「もうあの人いないよね」キョロキョロ

ゾンビ娘「!」

村の入口に、花

ゾンビ娘「あの人が私達のために……?」キュン


・・・・・


ゾンビ娘「ということがあったんです」

勇者「よくその経緯で惚れれたね……っていうか魔物と見るや襲いかかってごめん」

ゾンビ娘「いえ! あの時のお花は私の宝物です!」コレ!

勇者「枯れて真っ黒じゃない! せめて押し花とかにしなよ!」

ゾンビ娘「触ったら枯れたんです……」

勇者「そ、そうなの……なんかごめん」

ゾンビ娘「いえ……」


ゾンビ娘「と、いうわけで、是非とも私と同じアンデッドになって欲しいんです」

勇者「と、いうわけでとか言われても……僕死にたくないし」

ゾンビ娘「でもアンデッドになったらそうそう死にませんよ?」

勇者「いや、アンデッドになるには死ななきゃダメでしょ?」

ゾンビ娘「でもでも、一回死んだら楽なもんですよ?」

勇者「いやいや普通は一回死んだらおしまいだけどアンデッドになったらもう一回死ぬってことでしょ?」

ゾンビ娘「でもでも、病気とかしないし首がこんなことになっても死なないんですよ?」モギッ

勇者「いやいやいや、体がくさったりしてるじゃない」

ゾンビ娘「……シャー!」(説得を捨てた

パシコン!

ゾンビ娘「あうっ!」

パタ



パチパチ(焚き火

勇者「はぁぁ……」

ゾンビ娘「私がゾンビだったからってそんなに落ち込まないでくださいよ……」

勇者「いや……キミがゾンビとかどうでもいいんだけどさ
   一緒に魔王を倒すっていう同志が、初めて見つかったと思ったのに……」

ゾンビ娘「え、そうなんですか?」

勇者「人間はね、みんな魔王軍に怯えてるんだ
   報復を恐れてる」

ゾンビ娘「でも、勇者さんはみんなから感謝されてるじゃないですか」

勇者「魔物に苦しめられた人たちからは、ね
   そうじゃない人たちは違う
   下手に手を出して、自分たちが巻き込まれるのが怖いんだ」

勇者「魔王軍は、着実に力を伸ばしてるっていうのに……」

ゾンビ娘「……」


ゾンビ娘「よし、決めました!」

勇者「?」

ゾンビ娘「心機一転、これからは勇者さんの命は一切狙わずお供させてもらいます!」

勇者「……ほんとに?」

ゾンビ娘「だってこのままだと、私の村みたいなことがもっと起こってしまうんでしょう?
     なら、命を狙うのはすべてが終わってから、ということで!」

勇者「(最後の一言がなければじーんと来るんだけどなぁ)」


勇者「じゃあ、改めてよろしく」

ゾンビ娘「はい!」

ギュ(握手

ポロ(もげた

勇者「」

ゾンビ娘「」


魔法使いの毒息!

魔物「グアァ!」

魔法使いのかぶりつき!

魔物「グオォォ!?」ブチブチ!

魔法使い「」グッチャグッチャゴクン!

肉体鮮度上昇! 全ステータスアップ!

魔法使いの再生!

魔法使い「」HP MAX!

勇者「(強っ!)」




魔法使い「」パチリ

勇者「ZZZ……」

魔法使い「……」




魔法使い「(こんなにぐっすり寝て、私のこと、ほんとに信用してくれたんだ……)」

勇者「ZZZ……」






チュッ





勇者「昨日僕が寝てる時にキスとかした?」

魔法使い「おおおおお、起きてたんですか!?」

勇者「違うけど、まあなんとなく」

魔法使い「な、なんとなく……」カァァ

勇者「(ホントのことは言わないでおこう)」ステータス・毒


僧侶「あなたが勇者様ですか?」

勇者「そうですけど、何か?」

僧侶「お会いできて光栄です、私は神聖教会の僧侶
   私達神聖教会は、あなた達の旅を全面的にバックアップさせていただきます」

勇者「え?」

魔法使い「え?」






僧侶「勇者の活躍により、人々の意識は変わりつつあるのです
   私達教会はその意を、旅をサポートする形で表したいのです」

勇者「はぁ……」


僧侶「とりあえず旅費に一万G、お納めください」

ジャリン!

勇者「(お納めくださいって悪代官じゃないんだから)」

僧侶「装備もこちらの神聖教会の強力なものを」

魔法使い「神に祝福された装備ですね」

僧侶「そうです」

魔法使い「(うう、近づくだけで昇天しそう)」フラフラ


僧侶「そして、私自身も旅の末席に置いていただきたいのですが」

勇者「えー……」

僧侶「(えー!?)」


勇者「回復魔法は僕も使えますし……
   二人のほうが身軽ですし」

僧侶「あ、足手まといになるようなことはありません!」

勇者「うーん……察していただけませんか?」

僧侶「は……何を……」


勇者「いえ、僕と魔法使いはこういう仲でして」

ギュ!

魔法使い「ひゃああああ!?」

僧侶「!?」

勇者「今、一人外様の人が入ると空気がぎこちなくなりかねませんから……」

魔法使い「」アウアウアウウ……

僧侶「わ、私のことは女ではなく旅の仲間の一人と見ていただければ!」

勇者「そういうのが無理と言うのは女性ならわかりませんか?」

僧侶「う、うむむ……」


僧侶「わ、分かりました、しかしこの装備とお金は……」

勇者「いえ、僕と魔法使いの装備はボロいですが思い入れが深いもので……
   お金も、ここまで厚意を無駄にしたのにいまさらいただくというのも」

僧侶「(遠回しだけど明確に拒絶されている!?)」


僧侶「わかりました……出すぎたマネだったようです
   しかし、神聖教会はいつもあなた達の味方であるということは覚えておいてください」

勇者「はい、ありがとうございます」

僧侶「では……」


勇者「ふー」

魔法使い「」アウアウ

勇者「あ、ごめ」

魔法使い「勇者さん!」ガバ!

ベチ!

魔法使い「あうっ!」


魔法使い「うう、さっきのは一瞬の演技だったと!」

勇者「わかってたくせに」

魔法使い「僅かな希望にでも! あったら縋りたいじゃないですか!」

勇者「あーはいはい」







魔法使い「……あの」

勇者「?」

魔法使い「私に気を使ってくれたんですか?」

勇者「うん、僕にとって大事なのはキミのほうだからね」

魔法使い「ゆ、勇者さん!」ガバ!

ベチ!

魔法使い「あうっ!」




露店

勇者「ん?」


勇者「ただいまー」

魔法使い「おかえりなさい」

魔法使い「……」ハッ!

勇者「?」

魔法使い「今のやりとり夫婦っぽい!」

勇者「考えすぎ、ここ宿屋だし」


勇者「あ、これ」

コトリ

魔法使い「? なんですか?」

勇者「香水」

魔法使い「! く、くれるんですか!」

勇者「そうだけど」

魔法使い「プレゼンツですか!」

勇者「いやだからそうだってば」

魔法使い「きゃっほう!」

勇者「(安いなぁ)」


魔法使い「」ハッ!

魔法使い「……」

勇者「(今度はなんだろ……)」

魔法使い「もしや気になりますか、私の体臭……」

勇者「え、いやそういうわけじゃないよ」

魔法使い「で、ですよね! フローラルないい香りですよね!」

勇者「そこはまあほのかに腐った肉の臭いだけど」

魔法使い「」


魔法使い「」シュン

勇者「……」

魔法使い「」チラ

勇者「(何か慰めの言葉を待っている!)」

魔法使い「」チラチラ

勇者「ほら、お肉は新鮮なのより熟成されたほうがおいしいって言うじゃない?」

最悪である


魔法使い「……人を指してお肉ってなんかえっちぃですね」

魔法使い「(もしかしてこれは遠回しに誘われている!?)」

誘うにしても遠すぎであろう

勇者「(魔法使いが言うと食べ物の事言ってるようにしか聞こえない)」

そしてかすりもしていなかった


勇者「あ、おみやげは他にもあって……」

魔法使い「?」

防腐剤

魔法使い「」

勇者「これで少しはマシになるんじゃ」

魔法使い「勇者さんのバカ!」

バシコン!

勇者「オウフ!」ステータス異常・毒




勇者「魔王の城も近づいてきたな……瘴気を感じる」

魔法使い「なんだかお肌がつやつやしてきました」ツヤツヤ

勇者「そういうもんなの?」


魔王城

勇者「ゼィッ、ゼィッ!」

魔法使い「さすが魔王城、とんでもない数の敵ですね……」ガツガツ!

勇者「つ、疲れない?」

魔法使い「ゾンビですから……体力も敵のお肉を食べればすぐに」モグモグ!

勇者「(便利だな……)」


風の四天王「グオオオオ!」バタン!

勇者「ふう……これで火と風の四天王か……」

魔法使い「折り返し地点ってところですね」

勇者「魔王もいるんだから、ちょっと遠いんじゃないかな……」

ガク!

魔法使い「勇者さん!?」


勇者「ううん……」ネコロビ……

魔法使い「ああんもう、そんなに疲れてたなら言ってくれないと……」

勇者「魔法使いは、疲れないの?」

魔法使い「私はゾンビですから」

勇者「タフだねぇ……」

魔法使い「ちょっと、そこら辺の隅で休みましょう
     敵が来たらすぐ教えますから!」

勇者「うん、ありがと……」クー……








???「……」





ガバ!

勇者「」ハー、ハー……

魔法使い「どうしました? 怖い夢でも見てたんですか?」

勇者「あー……うん、ちょっと昔のね……」


魔法使い「勇者さん……」ズイ

勇者「ど、どうしたの」

魔法使い「」ヌギヌギ

勇者「!?」


勇者「なんでこんな時に発情するの!?」

魔法使い「発情なんて、そんな言い方やめてください……」

勇者「ちょっと落ち着いてよ」

魔法使い「勇者さんの意気地なし!」

バチコン!

勇者「オウフ!??」


魔法使い「いつもそうじゃないですか!
     私が何言っても本気にしてくれない!」

勇者「え、え???」

魔法使い「私の気持ちは知ってるでしょう!!」

勇者「い、いやいや! なんでこんな時に!?」


魔法使い「もしかしたら、これで終わりなのかもしれないんですよ?
     だから、その前に……思い出をください」

勇者「え、えーと……な、なんでやねん……」ピシ!

魔法使い「」

勇者「」

トサ(体を預けられた


勇者「(なんなの!? いつもの魔法使いじゃない!!
   これが最終決戦の力なの!?)」

魔法使い「」ジッ…

勇者「(最近忘れてたけど、よく見たら華奢だな……いや、出会った時からわかってたけど)」

まじまじと見れば、服を脱ぎ去った肩幅はなんとも小さく頼りない
見慣れた不健康にも見える白い肌はほんのりと薄桃色に色付き、
しっとりと薄く汗ばんだ体は灯りを照り返し艶やかな輝きを放っていた
魔法使いが体を傾ける、熱を帯びた肌の香りが、鼻の奥に届いて……



水の四天王「……」

魔法使い「勇者さん! 起きてください! 魔物です!」

勇者「」ベシベシ!

水の四天王「……(この女、私の術が効かない!?)」

魔法使い「あなた! 勇者さんに何かしたんですか!?」

水の四天王「淫夢幻影の術よ、私が許可するまで、その男は幻惑から逃れられない」

魔法使い「淫夢幻影!?」

魔法使い「(なんかエロス!)」

興味の出てくる年頃真っ只中である


水の四天王「あなたには効かないようだけど……まあいいわ
      ひとりではどうしようも」

魔法使い「どんな夢を見せているんですか!」

水の四天王「え」

魔法使い「詳しく!」

水の四天王「な、なんで教えなきゃならないの!」

魔法使い「減るもんじゃないでしょう! ケチ!」

水の四天王「けち!?」





勇者「……」

魔法使い「? どうし」

ザン!

魔法使い「!?」

魔法使い「な、なんで……」バタン!





水の四天王「!?」ザックリ!

魔法使い「! いきなりダメージを!?」

勇者「」パチリ

勇者「やっぱり幻覚だったか……さっき急に眠気が来たのも魔法か」

水の四天王「ば、バカな……私の幻術を……」パタリ

水の四天王を倒した!


魔法使い「なんだ、そんなにえっちくなかったんですか?」

勇者「……匂いがね……」

魔法使い「臭かったと」

勇者「いや……」

逆にいい匂いだったが言わないでおくことにした




土の四天王「なるほど、貴様はゾンビか……」

魔法使い「……?」

勇者「……老人か
   道を譲ってくれないか、まさか勝てるとは思ってないだろう」

土の四天王「……魔人とはいえ千年を生き老いたこの身では、たしかにお主らは手に余る……しかし」


魔法使い「!?」ビクン!

勇者「! ま、魔法使い!?」

土の四天王「ふふ……ゾンビが仲間とは酔狂な事をしたものだ」

勇者「何をした!?」

土の四天王「私は亡者を操るネクロマンサー……その中においても、最高位の称号を戴いておる
      主なきゾンビを操ることなど、たやすいことよ!」

魔法使い「」ザッ!

魔法使いは勇者の前に立ちふさがった!

勇者「くっ……」ジャリ……

魔法使い「……」


魔法使い「ゆ、勇者、さん……」ハァハァ……

勇者「」

魔法使い「わたしに、かまわ」

スパン!

魔法使い「アラ」

ゴロン!

土の四天王「あ、あっさりと!?」

勇者「はああ!」

ゴーン!

土の四天王「」バタリ!


魔法使い「あーんもう! ヒドイですよなんのためらいもなく!!」

勇者「いや、キミがわざとらしくあんなこと言い出すまではためらってたけどさぁ……」

いかにもなセリフにイラッときたらしい


土の四天王「ば、バカな……私の制御を受け付けぬとは……」

魔法使い「ふふん! わたしの主人は決まってますからね!」チラ

勇者「」フイッ

魔法使い「……ふふん!」(空威張り

土の四天王「(こいつら意味がわから……ん)」ガク!

土の四天王を倒した!


玉座の間

魔王「……来たか」

勇者「お前が魔王か」チャキ!

魔法使い「ゆ、勇者さん、あの人すごい魔力……」

勇者「うん、わかるよ」



魔王「素晴らしい実力だな
   人間よりもはるかに優れた我々魔人を、意にも介さぬとは」

勇者「僕達が特別なんじゃない
   人間はだれだって、これくらい強くなれる……なれるんだ」

魔王「なかなか言うものだ……しかし
   お前の力も持ってあと10年、やがて衰えそこらの凡に埋もれることとなるだろう
   それが人間の限界よ」


魔王「だが、私なら与えてやれるぞ
   魔人にのみ許された、長き時をな」

勇者「興味がないな」

僧侶「そうですよ! 勇者さんは私と同じお墓で永遠に愛し合うんでウブ!」パシコン!

魔王「」

勇者「今の数秒は忘れて」

魔王「……」


勇者「僕が剣を高めたのは、すべてはお前を倒すこの瞬間のため
   その後はどうなろうとかまわない!」

魔王「なるほど……ならば消え去るがいい!」



魔王「はああ!」

魔王は巨大な火球を作り出した!

魔王「死ねい!」グッ!

勇者「!」


ジュゥ!



勇者「(! 壁が溶けてる!? 避けれてよかった……)」

魔法使い「勇者さん!」

勇者「!」

ヒュン!

ザクザク!

勇者「(見えない武器!? 風を刃物みたいに飛ばしたのか!)」


魔王「まずは足を切り裂き動けなくしてやろう!
   その後、ゆっくりと焼き殺してくれる!」

ヒュンヒュン!

勇者「くっ……」

魔法使い「私に任せて下さい!」バッ!

ザクザクザクザク!

勇者「!」


魔法使い「とまあ、このくらいのダメージならどうってこと無いです!」

勇者「……ありがと!」

魔法使いの肩に手を置いて

勇者「」トン!

魔法使い「!」

馬跳びのように跳躍!



高く飛び上がり魔王の頭上を強襲!

勇者「」シャッ!

ギィン!

魔王「!」


勇者「(なるほど、確かに魔法はすごい威力だけど……格闘はそこまで大したこと無い!)」

ギリギリィ……!

魔王「ちぃ!」バッ!

突風呪文!

ブオン!

勇者「!(距離を開けてきたか……)」ジャリッ!

魔王「」ボウ!

巨大火炎呪文!


勇者「……(大丈夫だ、問題なく避けられる!)」

勇者「(さっきので攻撃のタイミングはわかった……
   あの魔法を躱した後、術後にできる隙を狙って叩き切る!)」

魔王「ふふ、後ろに気を使ったほうがいいぞ」

勇者「!」

魔法使い「」

勇者「(そうだ、魔法使いはさっきの攻撃で足を切り裂かれて……!
   素早い動きなんてできない! クソ、それを考えた位置に吹き飛ばしたのか!)」

魔王「さあ、食らうがいい!」

ゴウ!


勇者「……」チャキ!

勇者「(避けるわけにはいかない、魔法使いは仲間だ
   魔法使いを守って、魔王も倒せればいい!)」

ダッ!

魔法使い「―――!」

魔法使いがなにか言ったが、勇者には何も聞こえなかった
魔王が放った火球に、飲み込まれたから

>>115
一瞬僧侶さんつけて来たのかと


勇者「(コレなら、最短距離だ……
   魔法使いも守って、体が燃え尽きる前に、魔王との距離を詰められる!)」

勇者「(目も見えないし、何も聞こえない、痛みだって無いけど……剣を一振りだけ、できればいい!)」

ザン!




魔王「!!!」ガク

魔王を倒した!



勇者「(……)」

勇者「(終わった……)」

パタ



勇者「(全身大火傷、剣だって手に焼きついてるはずなのに、ぜんぜん痛くない……
   これが、死んだってことなのかな?)」

魔法使い「―――」


勇者「あれ、僕は……?」



魔法使い「よかった、ちゃんと効いたんですね」

勇者「魔法使い……?」

魔法使い「」ニコリ

ボロ……


勇者「ま、魔法使い!?」

勇者「(この光は! 神聖属性の回復魔法!)」

勇者「(そんなものを魔法使いが使ったら……!)」

魔法使い「私のレベルなら、できないことはないと思いました……」ボロボロ……

勇者「止めるんだ! 浄化されて、体が崩れて……!」

魔法使い「ふふふ……受け入れてみれば、結構気持ちいいもんですよ」

勇者「待って―――」

魔法使いだったもの「」




勇者が魔王を倒した、その報は人間・魔物両陣営に瞬く間に広まった
魔王を失った魔物たちの統率は乱れ、以前のような脅威は無くなった

しかし、魔王を倒した勇者その人は、どこにも姿を現すことはなかった





勇者「……もう一ヶ月かぁ」

魔法使いのふるさとの村
変わり果てた体を埋葬し上に大きめの石を据えた、簡素な墓標

勇者「(ゾンビとして、生き返らせてくれればよかったのに)」

どうせ帰る場所もない身である、魔王を倒せば、もうなんの目的もない人間が一人いるだけだ

だが

勇者「(魔法使いがくれた命なんだ、無駄にしてなるものか)」

花を一輪だけ墓前に添えると、勇者は村に背を向けた



FIN

>>125
やっちゃいけないミスを……
すいません、そこは僧侶じゃなく魔法使いということで……


魔王が倒れた報は、こんなところにも

ゾンビ姉「あの娘、うまくやってるかしらねぇ」

ゾンビ義兄「魔王を倒したのがあの勇者とは限らないだろ」

ゾンビ姉「あなた夢が無いわねぇ……」

ゾンビ義兄「……」


……シャサン……

勇者「……?」

ユウシャサン……

墓石「」ガタガタ!

勇者「!?」

ボゴァ!

ゴースト娘「やめてくださいよちゃんとしたお墓作るなんて!
      あやうくホントに成仏しちゃう所だったじゃないですか!」

勇者「」


ゴースト娘「もう、すーっと体が上向きに消えていくの感じましたもの!」

勇者「……なんで生きてるの?」

ゴースト娘「いやどっから見ても死んでますよ!」

勇者「そういうことじゃなくって!!」

ゴースト娘「たとえ体朽ち果てようと!
      この想いは不滅なんです!」

勇者「……」


勇者「でもまたどうして、一ヶ月後なんて時に……」

ゴースト娘「いえ、私もあやうく輪廻転生の輪に入ってしまうところだったんですが……」


ゴースト娘「(ああ、なんて暖かな……)」

ゴースト娘「(いろんな死者の魂が一つになって、融け合っているのを感じる……)」

ゴースト魔王「……」

ゴースト娘「!」


ゴースト娘「お久しぶりですねぇ」

ゴースト魔王「! き、貴様は!」


ゴースト娘「まあまあ落ち着いて
      死んだ今となっては、昔のことなんて水に流しましょうよ」

ゴースト魔王「何が昔だ!」

ゴースト娘「まあまあ、人間死んだらそこまでですよ」

ゴースト魔王「ふん、人間らしいちっぽけな考え方だな……」

ゴースト娘「?」


ゴースト魔王「魔王の肉体は不滅よ、今頃は生き残った部下たちが我が肉体を復活させる、蘇術の儀の準備をしているはず
       我が肉体は、より強大な力を持って甦るのだ」

ゴースト娘「! なんですって!」

ゴースト魔王「ククク、残念だったな……」

ゴースト娘「つまりその儀式を乗っ取れば私の体も本当の意味で甦る!」

ゴースト魔王「え」

ゴースト娘「勇者さんと念願のアレやコレやも……」ハナヂ


ゴースト娘「こうしちゃいられません!
      いますぐ現世にいかないと!」ドヒュン!

ゴースト魔王「まて貴様! おい止めろ!」

ゴースト娘「(あの必死さ、間違いない! 私にもチャンスあり!)」

ゴースト魔王「く、クソ! なんで奴は平然と現世に戻れるんだ!?」

ゴースト娘「幽霊の強さは想いの強さ! 私の勇者さんとアレやコレやをしたいという想いをナメてもらっちゃ困りますね!」

ゴースト魔王「待て! おい、まてぇぇぇ!」

マテェェェェ……


ゴースト娘「……ということがあったんです」

勇者「んな無茶な」

ゴースト娘「と、いうわけで行きましょう!」

勇者「……うん、魔王の復活はなんとしても止めなきゃね」

ゴースト娘「そんなのついでですよついで! 本命は……」

勇者「はいはい、覚えてたらね」

ゴースト娘「ああんもう、ヒドイ!」


勇者「そうだ、魔法使い」

ゴースト娘「? はい?」

勇者「おかえり」

ゴースト娘「……はい! ただいまです!」



おしまい

ごめん、リロってなかった
改めて乙

ひょっとして、前に剣と少女の話を書いてた人?

おっつおっつ

この終わり方、第二部あるんですよね?

ゾンビ姉「この子をキズモノにした責任、とって(結婚して)もらうよ」

ゴースト娘「いやん♪」

勇者「いや、身体ないじゃん」

ここまで読んでいただき、ありがとうございました
火の四天王を出したはいいけど戦闘を5つも(魔王を合わせて)考えるのは私の脳ミソでは不可能だったので
風の四天王をカットする運びとなりました、なんか不憫ですね
最後まで楽しんでいただけたのなら幸いです、では

>>148
剣「お前は勇者か」少女「違うよ」だったら、私です
そちらも読んでいただけたのなら嬉しい限りです

乙です
他にも似たようなお話を書いていたら教えて下さい

>>153
似たようなお話だと、
人魚「人間に恋をしてしまいました」
娘「ここに竜が……」竜「ZZZ……?」
女淫魔「それは何ですか?」調教師「ロープ」
が似ているかもしれません

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年06月24日 (日) 21:17:04   ID: hqsIDbh5

ハッピーエンドほんと好き

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