ルーク「二週目!」アッシュ「周だ!屑が!」(374)

前回までのあらすじ

ルーク二週目
ライガクイーン生存
タルタロス奪われてない
アリエッタが仲間に

今はカイツールからバチカルまでの船の中

ビィー ビィー


ルーク「何だ!?」

ティア「…侵入者のようね」

ルーク「きっとアイツだ……」

ティア「え?」

ルーク「何でもないよ、行こう!」


タタタ

ティア「彼が侵入者のようね」


ディスト「ハーッハッハッハ!」

アリエッタ「あ…」

ジェイド「おや」

ガイ「譜業だ!」

ルーク「やっぱり…」

ディスト「私は神託の盾六神将のひとり…」

ディスト「は…」

ジェイド「鼻垂れディストじゃないですか」

ルーク「鼻垂れディストだ」

アニス「げ、死神ディストだよ…」

ディスト「ムキーッ!鼻垂れでも死神でもありませんよ!」

ディスト「薔薇です!薔薇!!」

ディスト「この美しい私が、どうして薔薇じゃなく死神なんですか!」

ディスト「…まあいいでしょう」

ディスト「我が友ジェイドよ、大人しく親書を渡しなさい」

ガイ「友?」

アニス「え、うそ?」

ジェイド「嫌ですねぇ、いつ誰が誰の親友になったんです?」

ディスト「ディストが!ジェイドの!」

ジェイド「どこの物好きジェイドですか?」

ディスト「ムキーッ!」



ティア「なんだか、ついて行けないわ」

アリエッタ「アリエッタも…」

ルーク「俺もだ」

ディスト「どうやら、大人しく親書を渡す気は無いようですね…こうなれば」


ドスン


ディスト「私の華麗な譜業で、あなたたちを親書ごと海に沈めてあげます!」



ガイ「譜業かぁ、壊したくないなぁ」

アリエッタ「六神将同士だから、戦いたくないです」

ルーク「じゃあ、ガイとアリエッタは下がっててくれ」

ジェイド「旋律の戒めよ、死霊使いの名の下に具現せよ」


ディスト「え?」

ジェイド「ごきげんよう」


ズズゥーン

ギャー‼

ルーク「そうこうしてるうちに、終わったみたいだな」

ティア「え、ええ」


アニス「うへぇ、大佐ってば容赦ない」

ジェイド「あの程度では死にませんよ、ゴキブリ並みの生命力ですから」

ガイ「あああ折角の譜業が…」

ジェイド「おや、あなたもアレと同じく偏執狂でしたか」

ガイ「誰が偏執狂だ!」

アリエッタ「……ヘンなの」

ミュウ「変ですの!」


イオン「皆さん、もうじき船が港に着くそうですよ」

ルーク「よし、みんな支度を整えてくれ」


オー

~バチカルの港~


セシル「御迎えに参りました、ルーク様」

ルーク「ああ、ありがとう」

セシル「??」

セシル「も、勿体無き御言葉!」

セシル「話は聞いております」

セシル「ルーク様は屋敷に、大使の方達は城へ案内しましょう」

ルーク「いや、俺も城へ行くよ」

ティア「ルーク?」

ルーク「やるからには、最後までやり通したい」

ルーク「頼むよ」

セシル「御意」

~バチカル城~


バァン


ルーク「失礼します」

インゴベルト「おお、ルーク…!」

モース「お前たち!陛下の御前であるぞ!」

ルーク「失礼だと言った」

モース「なっ……!」

イオン「モース、すみませんが席を外していただけますか?」


モース「…はっ」

……




インゴベルト「この親書、確かに受けとった」

インゴベルト「明日改めて答を出そう」

インゴベルト「宿を取らせよう、明日また来てくれ」

イオン「はい」

インゴベルト「時にルークよ」

ルーク「はい」

インゴベルト「ナタリアがお主を呼んでおった」

インゴベルト「会って安心させてやって欲しい」

ルーク「わかりました」



ガイ「ナタリア様、怒ると怖いからなぁ」

ルーク「逆鱗に触れないようにするよ」

ジェイド「では、私たちは先に宿へ行きます」

アニス「行きます!」

アリエッタ「…ます」

イオン「ルーク、また明日会いましょう」


ルーク「ああ……そうだ!」

ルーク「ジェイド…」ヒソヒソ

ジェイド「なるほど、わかりました」

ティア「ルーク、屋敷へ連れて行ってくれないかしら」

ルーク「?」

ティア「今回の事…ご両親に謝罪しないと」

ルーク「気にする程の事でもないよ」

ルーク(今回は、俺のせいだし)

ルーク「てもまあ、案内するよ」

~ルークの屋敷~


ナタリア「ルーク!」

ガイ「わわっ!?」

ルーク「心配かけてごめん、ナタリア」

ナタリア「……ルーク?」

ナタリア「まぁ、素敵ですわ」

ナタリア「外の世界を経験して物腰が柔らかになったのですね」

ナタリア「ガイ、よくやりました!」

ガイ「お、お褒めにあずかり光栄です」

ナタリア「このままあの日の約束も思い出して…」

ルーク「い、いやあそれはまだかな…ははっ」


ナタリア「そう、ですか」

ナタリア「でも私待っていますわ!」

ルーク「う、うん」


ナタリア「では、私はこれにて」



ティア「ナタリア姫、美しい人だったわ」

ガイ「ティアも美人だと思うけどな」

ルーク「うんうん」

ミュウ「ティアさんも、美人ですの!」

ティア「え?………ありがとう」

ガイ「ひっ!?」

ティア「……」

ルーク「さすが女嫌い」

ガイ「さて、俺も行くよ」

ガイ「白光騎士団の方々にゴマすりしなきゃならないんでね」


キャー ガイガカエッテキタワー ウワー


ルーク「……」

ティア「……」


ルーク「行くか」

ティア「ええ」



シュザンヌ「おお、ルーク」

ルーク「ご心配おかけしました、母上」

シュザンヌ「あなたが無事で帰ってきてくれて、何よりです」

ルーク「母上…」

ティア「お母様…」

ティア「申し訳ございません、ご子息を巻き込んでしまい…」

シュザンヌ「故意にした事ではないのでしょう?」

ティア「はい、誓って」

シュザンヌ「ならば良いのです、ルークも無事に帰ってきてくれました」

シュザンヌ「ですから、あなたが気に病む事はありません」

ティア「お母様……」



ルーク「言ったろ?ティアが気にする事はないって」

ティア「ええ」

ティア「…優しい母君ね」

ルーク「うん」

ティア「じゃあ、私も宿に行くわ」

ルーク「ああ、また明日」

~夜、バチカル~



シンク「導師イオン、僕と一緒に来てもらおうか」

アニス「イオン様、下がってて!」

アリエッタ「……」

シンク「さあ、一緒に行くよ?アリエッタ」

アリエッタ「…イオン様は、渡さない!」

イオン「アリエッタ…」

シンク「ふぅん…"イオン様"ね」

シンク「手荒な真似はしたくないけど…」

シンク「少し痛い目にあってもらうよ!」



ジェイド「これはこれは、ごきげんよう」


アニス「大佐!」

イオン「ジェイド!」

シンク「ちっ、死霊使いか…」

ジェイド「ここでやり合うほど愚かではないでしょう?」

シンク「流石に分が悪いね…撤退するよ」

アリエッタ「アリエッタは、行かない」


シンク「そうか、七番目と一緒にいるか」

アリエッタ「七番目?」

シンク「まあいいさ、それじゃあね…」

イオン「シンク…あなたも…」

アニス「それにしても、よく気づきましたね大佐」

ジェイド「ある王族が教えてくれました」

アリエッタ「ルークが?」

アニス「どんだけ先読みできるの!?」

ジェイド「先読み、と言うよりは」

ジェイド(やはり…)

イオン「どうしました、ジェイド」

ジェイド「いえ、それより今日はもう休みましょう」




アッシュ『なるほど、先手を打ってたか』

ルーク「ああ、幸いジェイドも封印術を使われてないし」

ルーク「セフィロトを操作させる訳にもいかないし」

アッシュ『そんな事より、お前アクゼリュスに行くつもりか?』

ルーク「ああ、今度は本当の意味で救いに行くつもりだ」

アッシュ『明日ヴァンが投獄される』

ルーク「俺を誘拐した疑い、だっけ?」

アッシュ『ついでに俺もだ』

アッシュ『そのまま処刑しても良さそうなもんだが』

ルーク「六神将の誰かが止めるだろ…ラルゴとかリグレットとか」

アッシュ『ひとつ、提案がある』



ルーク「……なるほど」

ルーク「よし、それで行こう」

アッシュ『気付かれるなよ』

ルーク「お前こそ」

~翌朝、城~


インゴベルト「我がキムラスカも、マルクトとの停戦に応じる事にした」

インゴベルト「そこで、ルークよ」

ルーク「はい」

インゴベルト「マルクト領にあるアクゼリュスが瘴気の被害にあっている」

インゴベルト「お主には親善大使として民の救助を手助けして来て欲しい」

ルーク「……はい」


インゴベルト「つい先ほどグランツ謡将が投獄された」

ルーク「それは…」

インゴベルト「誤解だと分かったゆえ、じき釈放されるであろう」

ルーク「少し、話して来ます」

インゴベルト「うむ」

~地下牢~


ヴァン「親善大使か…」

ルーク「はい」

ヴァン「なぜお前が選ばれたのか、わかるか?」

ルーク「……いえ」

ヴァン「お前には特別な力がある」

ルーク「特別な力?」

ヴァン「七年前誘拐されたのも、ずっと屋敷に幽閉されていたのも」

ヴァン「その力を兵器として利用するためだった」

ルーク「……」

ヴァン「だが、もう大丈夫だ」

ヴァン「お前の持つ、その力が」

ヴァン「お前を英雄にしてくれる」

ルーク「英雄…?」

ヴァン「そうだ、兵器としてではなく、英雄として凱旋するんだ」

ルーク「……」

ヴァン「しっかりしろ、未来の英雄がそんな憂鬱な顔では心許ないぞ」


ルーク「はい」



ルーク「みんな揃ったか?」

ガイ「おう」

ジェイド「ええ」

アニス「はーい!」

アリエッタ「はい」

ティア「問題ないわ」

イオン「揃いましたね」

ルーク「じゃあ、いざアクゼリュスへ」


一同「おー!」

ヴァン「私は囮として、船で向かおう」

イオン「はい、お気をつけて」

ヴァン「では、アクゼリュスで会おう」



ルーク「さ、ケセドニアまでは陸路だな」

ジェイド「砂漠越えですか、年寄りには応えます」

ガイ「だから、旦那はまだ若いだろう」

ナタリア「お待ちになって!」


ルーク「ん?ナタリア…」

ガイ「ナタリア様…どうしたんですか、その格好」

ナタリア「私もついて行きます!」

ティア「……」

アニス「……」

アリエッタ「……」

ルーク「ナタリア」

ナタリア「何ですの?」

ルーク「一度外の世界を体験してるから言うけど」

ルーク「そんなに楽しいものじゃない」

ナタリア「そんな事……」

ガイ「ルークの言う通りですよ、ナタリア様」

ガイ「最悪、人を殺さなきゃいけない」

ティア「命のやり取りをする覚悟はお持ちですか?」


ナタリア「……ええ!」

ナタリア「この国の王女として、やれるだけの事はしなければならないのです」

ジェイド「そこまでの覚悟があるのなら、良いのではないですか?」

ルーク「じゃあ、よろしく頼むよ」

ナタリア「ええ」

ナタリア「それと…」

ナタリア「皆と旅をする以上、私には敬語を使わなくてもよろしいですわよ」


ティア「はい……よろしく、ナタリア」

ジェイド「おや~、ルークには最初から敬語ではなかったですよね?」

ルーク「そういえば、そうだったな」

ティア「え、あの…ごめんなさい」

ガイ「お、ここからは砂漠だ」

ジェイド「途中オアシスがある筈ですから、ひとまずそこを目指しましょう」

ルーク「みんな、水分補給は怠らないようにな」

ナタリア「ええ、気をつけます」

アニス「行きましょ~!」

……



アニス「うーあー、うーあー」

アリエッタ「うー、あー」

ガイ「大丈夫か?」

アニス「もう無理ぃ、おんぶしてぇ」

アリエッタ「無理ですぅ」


ガイ「わわっ!?」

ガイ「やめろー!!」

ジェイド「いやぁ、元気ですねぇ」

ティア「大佐は涼しそうですね」

ジェイド「いえいえ、暑くて死にそうです」

ナタリア「何なんですの、その余裕は」

ルーク「やっぱり自分だけ涼しい譜術使ってるんじゃ…」

イオン「ジェイドはそんな意地悪ではないですよ」

ジェイド「そうですよ、みなさん」

~オアシス~


アニス「疲れたぁ~」

アリエッタ「…砂だらけ」

ティア「確かに、水浴びでもしたいわね」

ルーク「水浴び…」

ナタリア「ルーク!鼻の下が伸びていますわよ」

アニス「ルーク様、えっちぃ~」

アリエッタ「えっち」

ラルゴ「導師イオンを奪う、ね」


ヤイヤイ


ラルゴ「あの守りではとても無理だな」

ナタリア「まぁ、なんと立派な体躯」

ラルゴ「ん?」

ナタリア「もし、よろしければケセドニアまで案内していただけませんこと?」

ラルゴ「いや」

ナタリア「皆さん!ケセドニアまでの護衛を見つけましたわ!」


ルーク「ん?……あ!!」

アニス「ラルゴ!」

アリエッタ「元気?」

ラルゴ「怪我は問題ない」

ジェイド「なかなかしぶといですねぇ」

ナタリア「あら、お知り合いでしたの?」

ラルゴ「知り合いも何も、敵同士だ」

ナタリア「まあ、それは失礼しました」

ガイ「おいおい、ナタリア」

ラルゴ「!!」

ラルゴ「なるほど……そうか」


ナタリア「?」

ラルゴ「いいだろう、ケセドニアまでの案内引き受けた」

ルーク「いいのか?助かるよ」

イオン「心強いです」

ガイ「おいおい大丈夫なのか?」

ティア「ええ、不意を打たれるかも…」

ルーク「不意打ちするような卑怯な奴じゃないよ」

アニス「そうだね」

アリエッタ「そう思います」

ジェイド「やれやれ、ではお願いします」

ザッザッ


ラルゴ「……ナタリア姫、俺の影に入るといい」

ナタリア「ええ、助かりますわ」



ルーク「……」

ティア「…何故かしら、あの2人がとても馴染んで見えるわ」

ルーク「そ、そうか?」

ティア「まるで……いえ、なんでもないわ」

ティア(親子みたいだなんて、そんな筈無いわよね)

~ケセドニア~


ラルゴ「俺の役目はここまでだな」

ルーク「助かったよ、ありがとう」

ナタリア「ありがとう、このご恩は必ず変えしますわ」

ラルゴ「…そうか、では……」


ナタリア「行ってしまわれましたわ…」

ナタリア「またいつか会いたいものです」

ルーク「うん、会えると思うよ」

ガイ「ようやく船だな」

アニス「疲れた~」

イオン「ふふ、お疲れ様です」

アリエッタ「ふわぁ……」


ルーク「乗船の手続きを済ませたら今日は宿に泊まろうか?」

ジェイド「ふむ、そうしましょうか」

~夜~


ルーク「ジェイド」

ジェイド「どうしました?ルーク」


ルーク「全部、話しておきたい」

ジェイド「………聞きましょう」

……




ルーク「と、いう訳だよ」

ジェイド「はやり、そうでしたか」

ジェイド「という事は……」

ルーク「このままアクゼリュスに行くと、崩落して戦争が起こる」

ルーク「そういう預言だし」

ジェイド「しかし、あなたから聞いた話とは現状が違う」

ルーク「そうだな」

ジェイド「あなたが全てを知っている事」

ジェイド「そしてまだセフィロトを操られていない事」

ジェイド「状態は思ったより悪くない」

ジェイド「なにか策があるようですし」

ルーク「ああ」

ルーク「まあ、その辺は任せてくれ」

ジェイド「何よりも、アクゼリュスの人達を避難させるのが先決ですね」

ルーク「そうだな、念のために」

ジェイド「そういう事です」


ルーク「…さて、今日はもう寝るか」

ジェイド「ええ、そうしましょう」

~翌朝~


ルーク「よーし、みんな準備はいいか?」

一同「はーい!」


ルーク「よし、行こう!」


ナタリア「ルーク、本当に成長しましたわね」

ガイ「うんうん、何時の間にかこんな…」

ティア(昔はどんな人だったのかしら…)

~船内~

ナタリア「プリンセスナタリア号より、こぢんまりとしていますわね」

アニス「プリンセスナタリア号!はわ~、乗ってみたーい」

アリエッタ「アリエッタも……」


ナタリア「ふふ、今回の遠征を無事終えた暁には」

ナタリア「思う存分乗せて差し上げますわ」

アニス「やった!」

アリエッタ「ティアは?」

ティア「私は、トクナガの方が…」

~カイツールの軍港~


ジェイド「さて、ここからアクゼリュスに行くにはデオ峠を越えて行かなければなりません」

ルーク「けっこうキツいから、無理はしないように」

ガイ「救援に来た俺達がバテてたらお話にならないからな」

イオン「そうですね」

~デオ峠~


ガイ「思ったよりキツいな」

イオン「ええ、そうですね」

アニス「うー、あー」


ルーク「よし、一旦休もう」

アニス「やった!」



ルーク「さ、食おうぜ」

アニス「いただきまーす!」

ティア「いただきます」

ナタリア「ルークが料理を…」

ナタリア「私も負けてられませんわ!」

ルーク「な、ナタリアのは今度だな」


ナタリア「そうですか、残念ですわ」

ガイ「飯も食ったし、後は下るだけだな」

アニス「あと一息だね!頑張ろー!」



バァン


リグレット「ティア、いつまでそんな奴らと行動を共にしている?」

ティア「リグレット教官!?」

ルーク「……」

リグレット「その出来損ないと居ると取り返しのつかない事に…」

ジェイド「彼は出来損ないなんかではありませんよ」

リグレット「ほう…貴公がそれを言うか」

リグレット「死霊使いジェイド」

ルーク「ジェイド……」

ジェイド「少なくとも、ここにいる全員がそう答えるでしょう」


リグレット「下らんな」

リグレット「いいだろう、出来損ないかどうか確かめてやろう!」

リグレット「数の不利こそあるが」


バン バン


ガイ「ぐっ…」

リグレット「間合の外に居る限りは死霊使い以外は脅威ではない」

ジェイド「そうして油断して居ると…」


ドスッ


リグレット「ぐぅっ!?」

ナタリア「上から脅威が降ってきますわよ?」

リグレット「弓使いがいたとは…!」

ルーク「隙だらけだっ!」

リグレット「しまっ……」


バキッ


リグレット「うあっ!」

ルーク「ふぅ…」

ナタリア「よくやりましたわ!」

リグレット「う……」

ジェイド「相変わらず甘いですねぇ」

ルーク「いいんだ、殺したい訳じゃない」


ガイ「ま、木刀じゃせいぜい大怪我止まりだよな」

ルーク「まあ、ね」

ティア「すみません、教官…」

ガイ「もうじき、アクゼリュスだな」

ナタリア「気を引き締めましょう!」

アニス「やったるもんね!」

アリエッタ「頑張ります!」


ティア「あら、ルークは?」


ルーク「……」

イオン「ルーク?行きますよ」

ルーク「ああ…すまない」

~アクゼリュス~


ガイ「これは…」

ナタリア「酷い…大丈夫ですか?」

ルーク「おい、しっかりしろ!」

イオン「まさか、ここまでとは」


神託の盾騎士「ティア・グランツ響長ですね」

ティア「はい」

神託の盾騎士「先ほど第七譜石と思われる物が発見されたのでご確認を」

イオン「ここは僕たちに任せて、ティアは確認に行ってください」

ティア「はい、お気をつけて…」


ジェイド「私達は被害状況の確認を急ぎましょう」

ガイ「ああ、そうだな」

ルーク「ああ」



ルーク「坑道の奥が特に酷いようだ」

ルーク「取り残され作業員もかなりいるらしい」

ガイ「そうか…」

ジェイド「ともかく、行ってみましょう」

イオン「アニスとアリエッタは、外の人を避難させて下さい」

アリエッタ「はい」

アニス「わかりました」



ティア「それで…譜石というのは」


ガシッ


ティア「え!?」

神託の盾騎士「すいません、これもグランツ謡将からの命令かんです」

ティア「兄さんが!?なぜ…」

ティア「……!!」

ティア(まさか…)

ティア「この縄を解いて!!」

ティア「兄さんを止めないと…!」


神託の盾騎士「そういう訳には……ぐわっ!?」


ドサ


ティア「え…?」




………

~坑道内~


ガイ「こりゃあ酷いぞ」

ジェイド「ええ、手分けして救助を…」


ヴァン「おお、来たか」

イオン「ヴァン…」

ガイ「思った以上に酷いですね」

ヴァン「手分けして作業を進めよう」

ヴァン「導師とルークはこちらへ」

イオン「はい」

ルーク「…はい」


ガイ「旦那、気合いいれようぜ」

ジェイド「そうですね」

ナタリア「善は急げですわ!」

ヴァン「こちらへ…」

イオン「これは、ユリア式封咒?」

イオン「これを解除すればいいんですね」


ウィン


ヴァン「さ、ルーク…中へ」

ルーク「……」




ジェイド「何やら騒がしい…」

ガイ「何かあったのか?」


タッタッタ


ナタリア「ティア?」

ティア「兄さんは!?」

ジェイド「グランツ謡将ならこの先へ」

ジェイド「どうしたんです?」

アッシュ「説明は後だ!みんな避難していてくれ!」

ティア「…!」

アッシュ「大丈夫、必ず生きて帰ってくる」


ティア「……無事で!」

アッシュ「みんなも無事で!」

ガイ「アッシュ?」

ジェイド「いえ、あれは……」



ヴァン「さあ、集中するんだ…」

ルーク「……」

ヴァン「さあ、力を開放しろ!愚かなレプリカルーク」





ヴァン「……?」

ルーク「残念だよ、ヴァン」


ザシュ

ヴァン「ぐぅっ……馬鹿な!?」


ヴァン「ルークは何処へ行った!!」

ルーク「何寝ぼけてやがる」

ルーク「ルークなら目の前に居るじゃねえか」


ヴァン「御託はいい!劣化レプリカは何処へ行ったのだ!」

ヴァン「アッシュ!」

アッシュ「ふん……」

アッシュ「劣化レプリカ…ね」

アッシュ「そうやって弟子を甘くみるから」


バキッ


ヴァン「ぐおっ!?」

アッシュ「……二度も不意を打たれるのさ」

ルーク「本当に…残念です、先生」

ヴァン「貴様ら……!」


『我が魂の片割れよ…』

ルーク「!!」

アッシュ「来たか!」

『鍵を渡す…それで私を……』


キィィ


ヴァン「馬鹿な…!?」

ヴァン「ローレライの鍵だと?」

ヴァン「……ふ…」


ルーク「響け!集え!」

アッシュ「全てを滅する刃と化せ!」


ヴァン「見事だ…」

ルーク・アッシュ「ロストフォンドライブ!!」




……

……



ルーク「ふぃー、疲れた…」

ルーク「セフィロトは…無事だ、良かった」

アッシュ「当たり前だ、ちゃんと方向も調整したんだからな」

アッシュ「威力も一割も出ていない」

アッシュ「本来の威力だったらセフィロトごとヴァンも粉々だ」

ルーク「さ、早いこと脱出しよう」


グイ


アッシュ「助けるのか?」

ルーク「ん?もちろん」

アッシュ「甘いこった」

ルーク「はは…あれ?瘴気が….」

アッシュ「さっきので消し飛んだんだろう」

ガイ「何だったんだ、今のは?」

ジェイド「物凄い衝撃でしたね」

ナタリア「でも、瘴気が全て消え去りましたわ」

ティア「ルーク、兄さん……」

ティア(どうか無事で……)

ザッ

ルーク「ただいま」

ティア「ルーク!兄さん!」

アッシュ「心配するな、気を失っているだけだ」

ジェイド「やはり、デオ峠を越えた後に入れ替わってましたか」

アッシュ「ふん、さすがお見通しか」

ナタリア「ルークが二人?」

ルーク「…説明は後でするよ、それより...」

ガイ「ああ、外が気になるな」

ワーワー


村人「救世主ディスト様!」

村娘「ディスト様~!」

ディスト「ハーッハッハッハ!崇めなさい!」

ディスト「この天才、薔薇のディスト様を!」

村人「薔薇のディスト様!」


ルーク「何?これ…」

アニス「あ、ルーク様ぁ!」

アニス「大丈夫でしたか……はぅあ!」

アニス「ルーク様が、二人!?」

アリエッタ「片方は、アッシュだよアニス」

ルーク「それより、どうしたんだ?」

アリエッタ「ディストが、暇そうにしてたから…」

アニス「物資の輸送とか怪我人の搬送を手伝ってもらってたんですよ」

アニス「渋々作業してるうちに」

アリエッタ「皆に感謝されて…」

ガイ「ああなったと」


ディスト「ハーッハッハッハ!!」


ジェイド「放っておきましょう」

ルーク「そうだな、面倒臭そうだ」

ルーク「さ、バチカルに帰ろう」

ティア「そうね」

アッシュ「……」

ルーク「アッシュもだぞ」

アッシュ「!?」

ガイ「そうだな、ルーク?」

アッシュ「ふざけるな!」

イオン「まあ、そう言わずに…」

アッシュ「ぐっ……」

ナタリア「見事親善大使としての役目を果たしたのです」

アニス「胸を張ってかえりましょー!」

ティア「そうよ?英雄さん?」

ルーク「へへっ、だそうだ」

アッシュ「…ふん!」

いちおう一区切りです
プチ後日談をやりたいんですが小一時間ほど席を外さねばならんのですいません

まだ残ってた!
のんびり後日談やっていきます
もうしばし茶番にお付き合い下さい

~バチカル~


シュザンヌ「おお、ルークなのですね!」

アッシュ「ご無沙汰しております、母上」

ファブレ公爵「アッシュと名を変えて神託の盾にいたのか」

アッシュ「はい、父上」

ファブレ公爵「よく帰った、ルーク」

シュザンヌ「おかえりなさい、ルーク」


アッシュ「父上、母上……」

アッシュ「これからはアッシュと呼んで下さい」

アッシュ「それはもう、あいつの名前です」

ファブレ公爵「うむ、アッシュ」

シュザンヌ「改めて…おかえりなさい、アッシュ」


アッシュ「はい、只今戻りました」

~ダアト~


イオン「預言が覆った今、我々は預言に頼らない生き方を歩まねばなりませんね」

シンク「なぜボクにそれを言うのさ」

イオン「僕一人では体が足りないですから」

シンク「ふん、随分と都合がいいね」

イオン「僕たちレプリカの生きる道を示してくれたルークのためでもあります」

イオン「協力してくれませんか?」

シンク「…ふん」

アリエッタ「どっちがどっち?」

アニス「捻くれてる方がシンクだよ!」

シンク「この…!」

アリエッタ「こっちがシンク」

イオン「アニス、そんな事を言ってはいけませんよ」

アリエッタ「こっちがイオン様」

アニス「以外とわかりやすいかもー♪」

トリトハイム「これ、静かにせんか」

アニス「詠師トリトハイム…」

アリエッタ「ちがう、大詠師だよ」

アニス「そっか…モース隠居したもんね」

アニス(パパとママも解放されたし、いっか)

トリトハイム「両国が調停を結んでいる最中なのだから」

アニス「はぁーい」

アリエッタ「はい」

インゴベルト「まさか預言が覆るとはな」

ピオニー「預言通りだと戦争が起こったんだろう?」

ピオニー「なら覆る方がいいに決まってる」

インゴベルト「まさに、和平の使者だった訳だ」

ピオニー「親善大使様に感謝だ」

ピオニー「ま、これからは仲良くしていこう」

インゴベルト「うむ、そうだな」

セシル「ん?」

フリングス「……?」

セシル(ちょっと…)

フリングス(好みのタイプかも知れない)


セシル「……///」

フリングス「……///」

~砂漠~


ラルゴ「ん?」

ナタリア「あら、またお会いしましたわね」

ラルゴ「わざわざこんな砂漠まで…活発な姫君だな」

ナタリア「また、護衛をお願いできますか?」

ラルゴ「仕方ないな…どこまでだ?」

ナタリア「ザオ遺跡までですわ」

ラルゴ「よし、また俺の影に入るといい」

ナタリア「お優しいのですね、ラルゴさん」

ラルゴ「……バダックだ」

ナタリア「…?」

ラルゴ「俺の本当の名だ、そう呼んでくれ」

ナタリア「わかりましたわ、バダックさん」

ラルゴ「ところで、ザオ遺跡は中の魔物も危険だ」

ラルゴ「事のついでにその護衛も引き受けよう」

ナタリア「あら、ありがとうございます」

~アクゼリュス~


ジェイド「救世主ディストさん?」

ディスト「おや、我が友ジェイドじゃないですか」

ジェイド「虫唾が走るほどの人気っぷりですね~」

ディスト「この天才ディスト様なら、当然ですよ!」

ジェイド「それはそれは」

ジェイド「……サフィール、相談があります」

ディスト「……何です?」

ジェイド「フォミクリーの研究、手伝ってはいただけませんか?」

ディスト「…!!」

ジェイド「救いたい人が出来ました、それも複数名」

ディスト「何を今更……」

ジェイド「いやぁ天才のあなたしか頼れる人がいないものですから」


ディスト「……くっくっく」

ディスト「ハーッハッハッハ!!」

ディスト「良いでしょう!この天才が力添えしましょう!」

ジェイド「それはどうも」

~ユリアシティ~


ヴァン「預言は、覆ったのだな」

リグレット「閣下…」

ヴァン「それも、誰も犠牲者を出さずに」

ヴァン「ふふ、見事としか言う他あるまい」

ヴァン「お前も、この預言に縛られない世界で好きにするといい」


リグレット「預言があろうとなかろうと、私の居場所はここにしかありません」

ヴァン「物好きだな」

リグレット「そうでしょうか」



ヴァン「世界を旅してみようか、ジゼル」

リグレット「いいですね、ヴァン」

ヴァン「ひょっこり弟子と妹に会うかも知れんな」

リグレット「成長が楽しみですね」

~タタル渓谷~


ルーク「ここに来るのも、久しぶりだな」

ティア「ええ、懐かしいわね」

ルーク「思えばここから、全てが始まったんだな」

ティア「ええ……」


ティア「良かったの?アッシュに全て丸投げして屋敷を飛び出して」

ルーク「構わないさ…元いた場所に戻るだけなんだから」

ティア「じゃあ、あなたはどうするの?」

ルーク「うーん…」

ルーク「世界中旅して、どこか住み心地の良さそうな所で暮らすよ」

ティア「そう…」

ティア「私も、その旅について行くわ」

ティア「あなた一人だと、何だか危なっかしいわ」

ルーク「はは、そうか…」

ルーク「もし、もし良ければ」

ルーク「これから先、二人で一緒に暮らさないか?」



ティア「ええ、喜んで」

ルーク「やった!!」

ルーク「くぅ~……やったぞ!!」

ティア「そ、そんなに喜んで貰えるなんて…」

ルーク「大好きだ!ティア!」

ティア「ええ、私も好きよ、ルーク」

ルーク「へへっ」

ティア「ふふっ」


ルーク「じゃあ、行くか」

ティア「ええ…」

……




ミュウ「という訳で、みなさんハッピーエンドですの!」

ライガクイーン「ガウッ!」

ミュウ「ですの!」



~fin~

終わりだ!
見てくれてありがとう!愛してる!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom