やすな「ベイベープリーズキルミー!」ソーニャ「いいのか?殺して」(562)

ソーニャ「……こいつも違う。一体どいつなんだ……」ブツブツ

やすな「ソーニャちゃーん!」トン

ソーニャ「!?」ビクッ

ヒュパッ

やすな「うわっ!」ササッ

やすな「ちょっと突然ナイフなんて振り回さないでよ! 危ないじゃん!!」

ソーニャ「だから後ろから触るなと言っただろ。というかよく避けたな」

やすな「それはそうですけどー。ソーニャちゃんもいい加減慣れるべきだと思います」

ソーニャ「今の私は特に気が張っているんだ……。」

ソーニャ「死にたくなければしばらくは私に軽率な行動を取るのをやめろ」

やすな「どうしたのそんな怖い顔しちゃって。いつもだけど。」

やすな「ていうかいつもは首絞めるか手首外すかだったのに、さっき完全に殺しに来なかった?」

ソーニャ「こっちの話だ。お前には関係ない」

やすな「えーっ、気になるよぉ」

ソーニャ「うるさいな、首を突っ込んでくるな。教えないものは教えない!」

やすな「えー……。いいよ! 教えてくれるまでつきまとってやるー!」

ソーニャ「……お前、私がなんの仕事してるか知ってるだろ?」

やすな「え、知らない」

ソーニャ「…………。」グギギギギギ

やすな「いだだだだだだ! 思い出しました殺し屋ですいだたっだったた!
    こ、高校生で殺し屋なんてかっくいー! It's so クォゥール! だからはなしてぇええ!!」

ソーニャ「ふん」パッ

やすな「いたた……。ソーニャちゃんのお仕事と秘密に何の関係があるの??」

ソーニャ「職業柄、一般人に言えないことも多いってことだよ」

やすな「まさか、また人を殺すの!? だめだよソーニャちゃん、そんなの!!」

ソーニャ「ダメもなにも、私は殺し屋だぞ?」

やすな「でもダメ! 人を殺したらその人がかわいそうだし、ソーニャちゃんのためにもならないよ!」

ソーニャ「……なんで?」

やすな「け、健康に悪い……」

ソーニャ「それは前に聞いた。どんだけ見え透いた嘘なんだよ」

やすな「ぜ、前科持ちとかで就職するとき不利になったりとか!」

ソーニャ「お、今度は割と正論だな」

ソーニャ「といっても、私は既に殺し屋という職業に属しているわけだが。

ソーニャ「しかも、計画的な殺人は前科とかのまえに、ほぼ死刑判決だぞ」

やすな「だったらなおさらダメだよ!」

ソーニャ「いや、見つかるようなヘマはしないし」

やすな「でもダメ! 友達として見過ごせないよ!!」

ソーニャ「友達なら私の仕事の邪魔をしないでくれ」

やすな「ぐぬぬぬぬ。ええい、ならば実力行使だ! ヘイ、ベイベー!
     プリーズキルミー!! その人を殺す前に私の屍を越えてゆけっ!」ピョーン

ソーニャ「ぬーーーーーん!!」ドゴォッ

やすな「うっひゃーーーーい!」ドサッ

ソーニャ「……いいのか? 殺して」パキポキ

やすな「あ、いえ、そっとどかせるくらいでお願いします……」

ソーニャ「はぁ……。あのな? 私も仕事なんだよ」

やすな「そんな自分のためにならない仕事やめちゃいなさい!!」

ソーニャ「やめるって。組織を裏切るような真似して、ただで済むはずないだろ」

ソーニャ「組織を脱退する意思を伝えた時点で、用済みとして消されるだろうな」

やすな「えーっ! ソーニャちゃん消えちゃうの!?」

ソーニャ「消えねーよ! やめる気ないんだから」

やすな「むー、殺し屋はやめて欲しいけどソーニャちゃんに死んで欲しくない」

ソーニャ「無理な相談だ。さて、私は用事があるからこれで……」ヒラッ

やすな「あ、なにか落としたよ」ヒョイ

ソーニャ「ん……? あっ、こら返せっ!」

やすな「チョー? あっ、まさかこの人が今回のターゲット!?」

ソーニャ「あまり大きな声で言うな。聞かれたら困る」ボソッ

やすな「素顔で変装もせず本名で堂々と高校に通ってる
    ソーニャちゃんが今さら何を怖がってるんだか」

ソーニャ「……今となっては後悔している。今回ばかりは部が悪い」

やすな「ソーニャちゃん?」

ソーニャ「そいつはな。この学校の生徒なんだ」

やすな「えっ!?」

ソーニャ「私と違い、チョーという本名を隠し変装して、
      目立たぬように行動しているヤツのようなんだ」

やすな「え、なんで? ソーニャちゃんは殺し屋だからそうする必要が
     あるかもしれないけど、そのチョーさんはただの生徒なんでしょ?」

ソーニャ「いや、コイツはどうやら私を殺すために入学してきた刺客らしい」

やすな「えええーっ!? でもそれじゃあ、どうして今まで手を出してこなかったの?」

ソーニャ「わからないが予想はつく。相手側の組織に殺す時期を指定されているんだろう。
     他にも相手がフリーの殺し屋であれば。クライアントの意志である可能性がある」

やすな「ん、んんー? よくわかんないけど、今のところは安心なんだね!」

ソーニャ「そうは言ってられん……。その時期というのがいつかもわからないし」

ソーニャ「何より、組織が気づいて連絡してくるまでは、その存在に全く気づけなかった相手だ……」

やすな「割と強そうに聞こえるんだけど、今まで見てきた刺客さんが
    バカばっかりだったからどうしても危機感がわかない……」

ソーニャ「お前にバカ呼ばわりされるだなんて。ヤツらに同情するよ……」

ソーニャ「今回は敵対組織の戦力を潰す仕事でもあり、私の保身のための活動でもあるんだ。
      悪いがやすな、いつものように邪魔をして欲しくはない。引き下がってくれ」

やすな「……わかったよぅ。今回だけだからね!! 人を殺すのはいけないことなんだよ!」タタタッ

ソーニャ「やらなきゃ生きていけないんだから仕方ないだろう……」

ソーニャ「……さて。この学校の生徒内からチョーと思われるヤツらを絞り出さないとな」


ソーニャ(まず、あぎりはありえない。あいつは私と同じ組織に属してるからな)

ソーニャ(そしてやすなもありえない。調べてみたが、折部やすなは本名だった。
      ……しかもあれが変装だったらとっくにボロがでているはずだからな)

ソーニャ(自分の変装を看破されにくく、尚且つ私をいつでも殺せる状態なはずだ。
      あのバカみたく私に近すぎることなく、だからといって遠すぎることもなく……)

ソーニャ(そうすると、クラスメイトの誰かが怪しいわけだが……)

???「うおおおおおおおおッ!!」ダダダダダッ

ソーニャ「!?」ビクッ

没キャラ「今日こそはお前を倒して出番を手に入れてやるぞ!!」ザッ

ソーニャ「だ、だれだお前! まさか、チョーか!?」

没キャラ「なにぃ!? そんな新キャラが増えたのか! 私をさしおいて! くそぉ~~ッ!!」

ソーニャ「……よくわからんが、そらっ!!」シュパパッ

没キャラ「へんっ、ナイフなんて投げたところであたらないよ!」ヒョイ ヒョイ ピョンッ

ソーニャ「あ、そっち窓……」

没キャラ「え」パリーン

没キャラ「そんなああああああああ」ヒュウゥゥウウウウ……

ソーニャ(何だったんだ……? 突然現れて、自分で窓から落ちていった?)

ソーニャ(チョーというわけではなさそうだが……。でもあいつは要注意人物だな)

ソーニャ(とにかく、チョーが誰かを特定して早いところ始末しよう。)

ソーニャ(組織はターゲットの排除に対する時間は特に指定していないが……)

ソーニャ(敵が身近いるとなるとやっぱり少しな)

ソーニャ(それにやすな……じゃない、無関係の人物を巻き込みたくはない)

ソーニャ(私以外の生徒に被害が出る前に、さっさと見つけ出さないとな)

あさり「何かお困りですか~?」

ソーニャ「!!」シュパッ

あさり「きゃっ」ドスドスッ

ソーニャ「……あっ、あぎり!?」

あさり「ソ、ソーニャ……どうして……?」ドサッ

ソーニャ「そんな、あぎり!! すまん、すまん! お前だとは思わなかった!!」

ソーニャ「ていうかお前なら避けれただろっ ……って、え?」

あさり『…………』パカッ

ソーニャ「あさりかよッッ!!」

あぎり「変わり身の術ですよー」ガララッ

あさり『恐縮です』

ソーニャ「貝とお前を見間違えた自分の眼を疑うよ……」

あぎり「そういう忍術ですから~」

ソーニャ「あぎりとあさりって…… 特に面白くもないし」

あぎり「ご満足いただけない? 私は面白いと思ったんですが~。」

あぎり「……それにしても~、そんなに切羽詰ってどうしたんですか~?」

ソーニャ「それが…………」

あぎり「チョー? ……私は本部から何の連絡も受けてないですけどねぇ~」

ソーニャ「何言ってるんだ。この学校に潜んでる敵戦力だぞ?」

ソーニャ「排除命令は私だけじゃなくあぎりにもいくはずじゃないか」

あぎり「もしかして~、本部はそのターゲットをソーニャに倒して欲しいのかも」

ソーニャ「……どういうことだ?」

あぎり「ソーニャは技術はすごいんだけど~、殺し屋としての自覚が足りないから……」

あぎり「きっと本部はこれをきっかけに、ソーニャに成長して欲しいんじゃない~?」

ソーニャ「自覚?」

あぎり「ソーニャが殺し屋だってこと、割と知られちゃってるみたいじゃない」

ソーニャ「そりゃまあそうだが。大体の奴が信じちゃいないぞ」

あぎり「そうよね~、ここまで無防備な殺し屋なんているはずないし」

あぎり「私が言えたことじゃないけど、殺し屋が普通に高校に通ってるはずないしね」

ソーニャ「コソコソしなくても私はやっていけるからな」

あぎり「でも組織はそれをよく思ってないんじゃないかしら~」

ソーニャ「そうなのか……?」

あぎり「わからないけどね~」

あぎり「けど、ソーニャの情報が一方的に相手に知られている時点で、ソーニャは不利よね~」

ソーニャ「まぁな」

あぎり「この不利な状況を作り出したのもソーニャなわけで」

ソーニャ「確かにそうだ。反省はしている」

あぎり「だから今回の件をソーニャ自身で解決できたなら~、
    そのスタイルでも十分やっていける証明になるじゃない?」

ソーニャ「つまるところ、私のスタイルでもやっていけると証明してみろ、と」

あぎり「じゃあないかしら~? 私も昔同じようなことがあった気がするし」

ソーニャ「そうか……。いいぞ、受けて立つ! すぐに見つけ出して殺してやる」

あぎり「ええ~、殺しちゃうの~?」

ソーニャ「本部からそう通達が来てる。『必ず殺せ』とな」

あぎり「……珍しいわね~。私たちに来る任務はたいてい刺客の排除とはいっても、
    組織がターゲットを円滑に回収しやすくするだけで、直接殺しまではしないのに」

あぎり「そういえばソーニャって、直接人を殺したことって数えるほどあったかしら?」

ソーニャ「ほとんどないな。……私がまだ高校生だからって組織側が配慮してくれてるのか?
     余計なお世話だな全く。確かに直接殺るのに全く抵抗がないと言えば嘘になるが……」

あぎり「そういう意味での成長も望んでいるのかもしれないですね~」

ソーニャ「昔はかなり抵抗あったけど、今はそこまででもないんだけどなぁ」

あぎり「じゃあ、殺せますか?」

ソーニャ「なんだよ、誰を?」

あぎり「あなたのクラスメイトを」

ソーニャ「そう言われると……。ほとんど付き合いのないやつばかりだが」

ソーニャ「面識のあるヤツを殺すとなると確かに抵抗があるな……」

あぎり「ふむ。やっぱり今回の任務はソーニャにとってなかなか鬼門かもしれないわね~」

ソーニャ「そ、そんなことはない! 私はやる。やるぞ……」

あぎり「手を貸したいのは山々だけど、組織の意を汲み取るに、それはやめたほうが良さそうね~」

あぎり「頑張ってね~、ソーニャ。さすがにもしものことがあったら助けますよ~」

ソーニャ「余計なお世話だといいたいが、この不利的状況だしな
     そう言ってくれるだけでも助かるよ。それじゃあ、またな」



Prrrrr... Prrrrr...

あぎり「……少々、残酷過ぎだと思いますが?」

あぎり「……はい。わかっています」

あぎり「ですが、それでも……」

あぎり「もしものことがあれば。はい」

あぎり「私がソーニャたちを……」

あぎり「はい。それでは」ピッ

老人「…………zzz」

ソーニャ(あれから一週間か……)

ソーニャ(クラスメイト全員の本名、戸籍やその他の情報をできる限り調べ上げたが)

ソーニャ(残念ながらこれといって有力な情報は見つからなかった)

ソーニャ(ただ一つ、気がかりなのが……)

老人「はっ、寝とった」

ソーニャ(あの爺さんの通り名がチョーってところだな)

ソーニャ(わりとよく遭遇するし、刺客は生徒に紛れていると見せかけて実は――)

ソーニャ(なんていうのもありそうだな)

ソーニャ(だがただのあだ名程度で確定はできないし、あの老人弱そうだし)

ソーニャ(まだまだ気は抜けないな……)

やすな「ぞおおおにゃぢゃあああああああん」ドロロロロ

ソーニャ「いぎゃああああああ!?」ビクゥッ

やすな「ぷははははは! ソーニャちゃん変な顔ー!」ケラケラ

ソーニャ「……殺す!!」ビュンッ

やすな「危なっ」ヒョイッ ズバッ

やすな「あー、私のお化け仮面が真っ二つにー!」

ソーニャ「次はお前の顔を真っ二つにしてやろうか?」

やすな「ま、まってよー! 私はソーニャちゃんが最近元気ないから元気づけようと……」

ソーニャ「やり方を考えろやり方を!」

やすな「それにしてもなんで私への反撃がナイフ主体になったの?」

ソーニャ「え?そうか?」

やすな「そうだよー。いつもなら殴るか関節技極めるタイミングなのに」

ソーニャ「……すまん。どうも最近、居心地が悪くてな」

やすな「もしかして、まだチョーさん見つかってないの?」

ソーニャ「ああ。だから無意識に警戒してしまってるらしい」

やすな「どこまで絞り込めたの?」

ソーニャ「クラスメイトの誰かとは思うんだが、有力な情報がなくてな」

やすな「そうなんだー」

ソーニャ「なにかヤツを絞り込む方法はないものか……」

やすな「うーん、変装だったら激しい運動をする体育とかには参加できないよね」

ソーニャ「チョーは写真によると白髪だし、カツラを被ってるとしたらボロがでるだろうしな」

やすな「変装マスクとかも、水泳授業とかに参加するとマズいだろうし」

ソーニャ「……なんだやすな、お前バカのわりにはなかなか頭回るじゃないか」

ソーニャ(つまるところ、水泳や他の体育にあまり参加してない生徒を睨めということか……)

やすな「まあウチのクラス、体育に参加してない子一人もいないんだけどね」


ソーニャ「……………………」ドゴッ バキッ バシッ


やすな「あん、無言はやめて! 怖いから無言で淡々と殴らないで!」

ソーニャ「お前に期待した私がバカだったよ……」

やすな「でもでも、これって逆に考えたら
     "このクラスに変装している子はいない"ってことになるよね」

ソーニャ「……まさか、チョーはクラスメイトじゃない?」

やすな「わかんないけど……ねぇ、あの写真って本物なの?」

ソーニャ「なんだ? ウチの組織のデータベースにケチつけようっていうのか」

やすな「そうじゃなくて……なんで殺し屋の本名と写真が出回ってるのかなって」

ソーニャ「そりゃあまぁ、私の組織の情報収集力が高いからじゃないか?」

やすな「チョーさんの存在をつい最近知ったような組織が?」

ソーニャ「バカにしてるのか」

やすな「違うよ、一回全部ひっくり返して考えてみるんだよ」

ソーニャ「どういうことだ」

やすな「その写真は偽物……それか殺し屋として活動するときだけ変装していて、
    "その写真が変装後の姿"で、"ここでは変装していない"とか」

ソーニャ「む……。それならありえるかもしれないな」

ソーニャ「その理屈でいけば名前も……」

やすな「だね。チョーは本名じゃないのかもしれない」

ソーニャ「そう考えると、やはりクラスメイトの可能性が高いな……」

やすな「ねぇ、ソーニャちゃん」

ソーニャ「なんだ?」

やすな「……殺すの? クラスの誰かを」

ソーニャ「……………………」

ソーニャ「だがヤツも私を殺すつもりなんだ。これはお互い様なんだよ」

やすな「で、でもっ! 駄目だよ殺しちゃ!! みんないい人なんだよ!?」

ソーニャ「やすな。私がこうも堂々と日向を歩いてるから合点がいかないと思うが」

ソーニャ「私たちは、殺し屋なんだ。闇に生きる人間なんだよ」

やすな「ソーニャちゃん…………」

ソーニャ「だから……、わかってくr――

やすな「あひゃひゃひゃ! 闇に生きる人間なんだよ(キリッ
     ってソーニャちゃん、それはさすがに痛いわー!!」ゲラゲラ

ソーニャ「ふん!!」ドゴッ

やすな「うわらば!」ドサッ

ソーニャ「シリアス展開をぶち壊すな馬鹿野郎」

ソーニャ(だがそれじゃあチョーを特定しようがないじゃないか……)

ソーニャ(名前も偽物で写真に写っているこいつも変装後の姿だとしたら)

ソーニャ(それって手がかりゼロってことじゃねーか!!)

ソーニャ(今思えばクラスだって生徒が思うように決めれるわけじゃないんだから、
     私を殺しやすい立場であるクラスメイトにチョーがいるとは限らないわけで)

ソーニャ(どうすりゃいいんだよ、迷宮入りだよ……)

やすな「でもでもソーニャちゃn…… うわわっ!!」バッ

ソーニャ「どうした、やすな!?」

やすな「なんか飛んできた! ……ナイフだぁ!」

ソーニャ「何っ!? どこからだ? 気配は全く感じられないが……」

シュバババババッ カカカカッ

やすな「うわあああああっ、い、いっぱい飛んでくるよおおお!!」タタタッ

ソーニャ(まさか……チョーが動き出した? だがなぜやすなを狙う!?)

やすな「ソーニャちゃあああん!」ドタドタ

ソーニャ「そこかっ!!」シュバッ

やすな「……や、やっつけたの?」

ソーニャ「いや、手応えはない。でも攻撃が止んでいる……」

やすな「た、助かったのかなぁ?」

ソーニャ「しばらくは気を抜けないな……」




あぎり(そうですか…… やはり、そうだったのですね)

あぎり「もしもし、あぎりです。チョーの正体についてなのですが……」

あぎり「……そうですか、やはり」

あぎり「すみませんが、私はあなたたちを軽蔑します」

あぎり「……わかっています。私たちはあくまで闇の住人」

あぎり「私も、ソーニャも、仕事を優先しますから。それでは」

―― 昼休み ――

ソーニャ「――で、なんだあぎり。用事って」

あぎり「ソーニャ。非常に言いにくいことなのだけど、冷静になって聞いてね」

ソーニャ「なんだよ、改まって。口調まで改まってるぞ、いつものゆるい喋り方はどうした」

あぎり「何言ってるの? 原作ではいつもこの口調じゃない、私」

ソーニャ「え? え、なんだ原作って?」

あぎり「真剣なの、そんなことどうでもいいから聞いて」

あぎり「……チョーの正体が、わかったわ」

ソーニャ「……何ぃ!?」

あぎり「チョーの正体は……」



あぎり「――折部やすなよ」

ソーニャ「……はぁ?」

あぎり「チョーの正体はやすなさん。あなたを殺すためにこの学校に入学したのね」

ソーニャ「気は確かかお前、あのやすなだぞ?」

あぎり「ええ、私も驚いているわ。そりゃあ、長い間気づかなかったわけね」

ソーニャ「いやいや、まてまてまて。なぜやすなをチョーだという前提で話を進める?」

あぎり「なぜって、やすなさんがチョーだからじゃない」

ソーニャ「おまえもしかしてあぎりじゃなくてあさりか?食用貝か?」

あぎり「違うわ、私は至って真面目よ」

ソーニャ「まあ、お前がこんなハキハキと喋ることなんて滅多にないしな」

あぎり「だから原作では――」

ソーニャ「だがよく考えてみろ」

あぎり(どうでもいいって言ったのは私だけどスルーされると悲しい……)

ソーニャ「やすなは私に接近しすぎだ。そんなことしたら変装がバレ……あれ?」

あぎり「あの写真が変装後の姿で、今は変装していない……だったかしら?」

ソーニャ「馬鹿な……。いや、そんなはずはない!」

ソーニャ「だって今、チョーが攻撃をしかけてきたんだ! それもやすなに!!」

ソーニャ「おかしいだろう! 私は飛んでくるナイフがやすなを襲うのを確かに見たぞ!?」

あぎり「私よ、それは」

ソーニャ「え?」

あぎり「私が、気配を消してやすなさんに向けてナイフを投げつけたの」

ソーニャ「お前……なんでそんなことを!!」

あぎり「組織から連絡が来てね。『チョーの正体は折部やすなだ』って」

あぎり「組織が言うんだから間違いないんだろうけど、私も信じたくなかった」

あぎり「だから、試したのよ」

ソーニャ「も……もし違ってナイフがあたったら、どうするつもりだったんだよ!!」

あぎり「もちろん、当たりそうになったら変わり身の術で助けるつもりだったわ?」

あぎり「でも……全てことごとく躱されてしまった」

ソーニャ「あれはたまたま……」

あぎり「ソーニャとじゃれあっているときもそうよ」

あぎり「打撃だったり関節技は素直に喰らうけど、ナイフだけは必ず避ける」

あぎり「あれ、不自然じゃないかしら?」

ソーニャ「そりゃあぶないから、避けるだろう」

あぎり「……さっき私が投げたナイフ。一度に6本を3度、合計18本投げたの」

ソーニャ「あ、ああそうだな。確かに見ていた」

あぎり「あれ、常人じゃあ絶対避けられない形で投げたのよね」

ソーニャ「そう……なのか?」

あぎり「やすなさんは大慌てで走り回っているように見えて、実に的確な避け方をしていたわ」

あぎり「錯乱していると見せかけて、2本以上のナイフをうまく弾き落としていたしね」

あぎり「彼女は確実に、訓練されている」

ソーニャ「……考えすぎだろう」

あぎり「現実逃避したくなるのはわかるわ、ソーニャ。 あなたの唯一の親友だものね」

あぎり「でもソーニャ、私たちは日陰者なの。一般人の友達なんて、できるわけなかったのよ」

ソーニャ「違う。やすなは殺し屋の私と唯一仲良くしてくれようとしたヤツで……」

あぎり「実にいい作戦だったと思うわ。現に、ソーニャは彼女を全く疑っていない」

ソーニャ「あいつはバカだから……そんな器用なことできるハズがない」

あぎり「あなたにそう思わせるための演技だったのね」

ソーニャ「あ、あいつが嘘をついてたら、私にはわかる。」

あぎり「それは知らなかったわ。どうしてわかるの?」

ソーニャ「あいつは嘘を付く時表情が――」

あぎり「ありがちね」

ソーニャ「は?」

あぎり「わざとバレてもいい嘘をつき、その時特徴的な行動を取ることで嘘をつく時の癖だと勘違いさせる」

あぎり「後々、バレてはいけない嘘をつくときにはそれをせず、信憑性を高める……」

あぎり「割とよくある手法よ? あなたもターゲットを油断させる時、使ったことあるでしょう?」

ソーニャ「あ、あいつがそんなに頭が回る訳がないじゃないか!!」

あぎり「バカのふりするのは簡単でしょう……。あなたもやったことがあるはずよ?」

ソーニャ「か、仮にそうだとしても! あいつは弱っちいし、私を殺せるわけが……」

あぎり「認めたくないのはわかる。けど正気になって、ソーニャ」

あぎり「あの子はかなりの手練よ。あの動きは常人じゃあなかなかできない」

ソーニャ「あいつは人を殺すのはよくないって言ってた。だから、私を――」

あぎり「殺すわ。ここまで念密にやっているのだもの。彼女は本気よ」

ソーニャ「や、やすなは……わたしの唯一の友達で……!!」


あぎり「幻想よ。悲しいけれど」


ソーニャ「……………………」

あぎり「……………………」

ソーニャ「教室に戻る」ガララッ

あぎり「ソーニャ。最後に」

ソーニャ「……なんだよ」

あぎり「写真に写ってるチョーが変装後だとか、チョーは本名じゃないだとか」

あぎり「やすなさんが自分に不利なヒントを出してきたってことは
    自分が怪しまれないようにあえて言ったのかもしれないけど」

あぎり「指定されたあなたを殺す時間が迫ってて油断してきているのかも知れないから……」

あぎり「決断は急いだほうがよさそうよ」

ソーニャ「……そうかい」バタンッ

―― 教室 ――

やすな「あ、ソーニャちゃん! おかえり! どこいってたの?」

ソーニャ「うるさい、お前には関係ないだろ。寄るな」

やすな「えー、関係あるよー! 私はソーニャちゃんの友達だもん!」

ソーニャ「……!!」グッ

やすな「……え? なんで黙るの? …………違うの?」

ソーニャ「う、うるさい。お前のこと友達と思ったことなんて……ない」

やすな「えっ……」

やすな「そんな……ソーニャちゃん……」

ソーニャ「…………」

やすな「あっははー、かっわいぃー!」

ソーニャ「!?」ビクッ

やすな「まったくツンツンデレデレしちゃってー! ツンデレですか?
    時代の最先端走っちゃってますかー!? どう攻略してやろうかー!」

ソーニャ「デレてはないだろ、別に。特に最先端でもないし」

やすな「えー、デレてないの? じゃあどうやったらデレてくれるの!?」

ソーニャ「しらん! 自分で考えろ」

やすな「ソーニャちゃんがデレる方法……。 ソーニャちゃんがデレる方法……」

やすな「よし!」

やすな「おいソーニャ! デレろ!!」

ソーニャ「…………」

やすな「デレろデレろデレろデレろデレろレろれレろデレろデレろ!!」

ソーニャ「うるっせぇええー!!」ドゴォッ

やすな「デれりゃっ!!」ドサッ

やすな「くっ……かくなる上は、犬の真似をして
     ソーニャちゃんが怖がったところを命令するしかない!

ソーニャ「それ前もやっただろ」

やすな「わん!わんわん!」

やすな「わん!わんわんわんわんわん!わんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわん!!」

ソーニャ「その耳叩き切って犬らしく頭頂部に引っ付けてやろうか!?」シュパァッ

やすな「うひゃぁっ!」サッ

ソーニャ「!?」

やすな「ストップストーップ。ナイフハ、デンジャラスデース。シマッテシマッテー」

ソーニャ(たしかに当てるつもりは無かった……。だがこの反応速度はなんだ?)

やすな「……どしたの?ワサーップ?」

ソーニャ「おいやすな、ちょっとそこ立ってろ」

やすな「え、うん」

ソーニャ「ふんっ!」シュババババッ

やすな「え、わ、うひゃああああ!?」ササッ キンッ

ソーニャ「……!?」

やすな「ちょ、危ないよ! これ当たってたら割とマジで死んでたよ!!」ドキドキ

ソーニャ「…………ッ!!」シュババババババババババッ

やすな「え、ちょっ!!」ササササッ キキンッ

やすな「どうしたのソーニャちゃん!? どうしてこんなことするの!!」

ソーニャ「……おもちゃのナイフだ。あたっても痛くも痒くもない」

やすな「あ、そうだったんだ。もう、ビックリさせないでよ」

ソーニャ(おかしい、流石におかしい)

ソーニャ(今私は何本投げた? そして何本が的確な位置に飛んでいった?)

ソーニャ(あれで1本も当たらなかったのは、おかしい)

ソーニャ「……ナイフよけゲームだ、避けてみろ。そらっ」シュババババッ

やすな「ちょ、そんな何度も避けられないよ!」コンコンコンッ

ソーニャ(そして危険性のないおもちゃだと教えた瞬間この当たりかた……)

――『私はソーニャちゃんの友達だもん!』――


――『私たちは日陰者なの。一般人の友達なんて、できるわけなかったのよ』――


ソーニャ(こいつは……、やすなはきっと……)



急ぎ足で書き溜め投稿しまくったからもう折り返しだよ
BADとTRUEを無駄に用意しててどっちも書くつもりだけど
先に書くとしたらどっちがいいよ


ちょいシャワー浴びて洗濯してくるから保守がてらに意見聞かせて

おk

30分、多分長くても一時間後には戻る

iPhoneコピペやけに多いなおい

どうせ俺と同じでお前らSundayヒマだろ
ガブリチュウでも食いながら待っててくれよ



――『私はソーニャちゃんの友達だもん!』――


――『私たちは日陰者なの。一般人の友達なんて、できるわけなかったのよ』――


ソーニャ(こいつは……、やすなはきっと……)

ソーニャ(……チョーだ)



ソーニャ(もし私が本当にこいつを殺す気でナイフを投げたとして)

ソーニャ(もし私が本当にこいつを殺す気で首を絞めたとして……)

ソーニャ(こいつは絶対に死ぬことはないんだろう)

ソーニャ(そして、こいつはそれでもふざけて返してみせるんだ)

ソーニャ(やすなが私のたった一人の友達だと思い込ませるために……)


ソーニャ(思い込ませるために……?)

ソーニャ(やすながふざけて私がキレる……、それでもやすなはふざけ続ける……)

ソーニャ(でも気づいたら、いつも一緒にいる……)

ソーニャ(そんな私とやすなの関係は……)


――『幻想よ。悲しいけれど』――


ソーニャ(偽物……だったのか?)

ソーニャ「……ククク、クックククク」

やすな「……? どうしたのソーニャちゃ――

ソーニャ「ケッケケケケハハハハァハハ!!」

やすな「……!?」

ソーニャ「すまんすまん、ゲームが始まったとたんナイフに当たったところがツボにはいった」クスクス

ソーニャ「始まる前はよけれたのに本番で当たっちゃ意味ないじゃないかーっ」ケラケラ

やすな「う、うるさいなーもーソーニャちゃんは! じゃあ自分がよけてみてよぉ!」

ソーニャ「じゃ、投げてみろよ」キッ

やすな「……あーいいよ! 私の華麗なナイフさばき、見せてやる!!」

やすな「宣言するねっ! 一投目で当たるからっ!!」

ソーニャ「……ゴチャゴチャいわず投げろ」ギリッ

やすな「よっしゃー、いくぞー! 私フォークとか投げれるからね!!」

やすな「あ、フォークっていうのは食器じゃなくて変化球のことだよ!」

やすな「まぁ食器のフォーク投げて『ほら投げた』って言うつもりだったんだけどねっ」テヘッ

ソーニャ「……いいから」ボソッ

やすな「ハッ……。そう考えたら私、野球の投手の才能があるかも!!」

やすな「スクリューってあれかな!ぐるぐる回りながら投げたらいいのかな!」

やすな「あれ、スクリューって右と左どっちで投げるんだっけ!?」

ソーニャ「……さっさと」ググッ

やすな「よし、折部やすなの記念すべき投手デビュー! 初の一球目!!」

やすな「あ、まずはリリーフカーに乗ってこないと!」

やすな「でもそんなのないし……。タクシーでも呼べばいいのかな?」

ソーニャ「いいからさっさと投げろ折部やすなァッッ!!」ドンッ ガシャァッ

やすな「ひっ……!?」

男子「うわっ、なんだ!? ソーニャがいきなり机蹴り倒した!」

女子「またやすなちゃんがちょっかい出してるんでしょー。仲いいわねあの二人」ヒソヒソ

男子「あー、そういうことか。あいつらのおかげで退屈しないなこの学校は」

ソーニャ「……記念すべき一球目だ。最高の一球を見せてみろ」

やすな「う、うん……。いくよ! てりゃぁーッ!!」ヘナッ

ソーニャ「…………」コツンッ

やすな「あー、もう! ソーニャちゃん、ちゃんと取ってくれなきゃ!」

ソーニャ「…………」

やすな「もう、"とーるい"されちゃうじゃん! あ、"ふりにげ"だってされるかも!」

ソーニャ「これは野球じゃない。ナイフ避けゲームだ」

やすな「あ、そうだった。」

やすな「……って。あっはははははッ! ソーニャちゃんもあたってやんの! ダッサー!!」

ソーニャ「お前の全力は……この程度じゃないだろう」ボソッ

やすな「……えっ?」

ソーニャ(舐めやがって……、舐めやがって……! わざとらしすぎるんだよ!!)

ソーニャ(私の知ってるやすなでも、ナイフ投げでここまで速度が出ないわけがない)

ソーニャ(あざとすぎるんだよ……!!)

ソーニャ「……なぁ、やすな」

やすな「なに? ソーニャちゃん」

ソーニャ「あとで二人きりで相談があるんだ」

やすな「ソーニャちゃんが二人きりで私に相談!?」

ソーニャ「ああ。お前にしか頼めない頼みがある」

ソーニャ「ここじゃ恥ずかしくて言えないから、あとでいいか?」

やすな「ナ、ナンデスカソレ? え、二人きり??」

ソーニャ「……21時、空き教室で待ってる」タッ

やすな「え、放課後すぐじゃだめなの? ってか帰るの!? 授業は!?」

――― 20:45 空き教室 ――


やすな「う、うぅー。先生みんな帰っちゃったよ。暗いよう」

やすな「ソーニャちゃんたら、こんなところに呼び出して!」

やすな「トイレに隠れてたからいいものの、先生に見つかったら大事なんだからね!」

やすな「っていうか、夜に二人きりで私じゃないとダメな恥ずかしい頼みってなんだろう?」

やすな「えーと、えーと……」

やすな「えっ!?」カァー……///

やすな「ま、まさかマジでデレ期来ちゃいました?」アセアセ

ソーニャ「早かったな」スタッ

やすな「あ、ソーニャちゃん」

ソーニャ「予定より早いが、もう誰もいないようだし、大丈夫だな」

やすな「そ、ソーニャちゃん? 誰もいないようだしって……」

ソーニャ「ここに来たということは、やはりお前、今日がその日なのか」

やすな「今日、その日? え、……んでソーニャちゃん……私の……理周期を……」ボソボソ

ソーニャ(こいつが私を殺す日は。私を殺す予定日はきっと、今日なんだ)

ソーニャ(じゃなきゃこんな不自然な誘いに乗るわけがない。適当に理由をつけて断るはずだ)

ソーニャ(自分が相手を殺せない状態で、相手が殺し易い時間と状況の場所に飛び込むものか)

やすな「あ、あの! 夜に二人きりで私じゃないとダメな頼みって、……なんなのかな?///」

ソーニャ「ああ、それな」

やすな「えと、あのね? 私いますごいお子様な下着しか着てなくて……」

やすな「あと確かに私はそういう日だけど、女の子同士じゃ関係ないかなーっていうか」アセアセ

やすな「嫌ってワケじゃなくて、あの、私はその、ソーニャちゃんのことは大好きだけど――」オロオロ


ソーニャ「Baby, please kill me.」


やすな「え……?」

ソーニャ「殺せ――。と、言っている」

やすな「ころせって、誰を?」

ソーニャ「とぼけるな。……私をだ」

やすな「どういう、こと……?」

ソーニャ「お前がチョーであることは、私はとっくにわかっている」

やすな「…………」

ソーニャ「私は、お前を殺したくない。……お前が刺客であってもだ」

ソーニャ「なんなんだろうな。お前のこと、敵だって確信したのに」

ソーニャ「それでも……殺そうって、思えないんだ」グスッ

ソーニャ「お前がもし私をまんまと騙された愚かな敵だと笑って見せても」ポロポロ

やすな「…………」

ソーニャ「それでもやすなは私の友達だ。私はお前を殺せない」

ソーニャ「お前を殺すくらいなら、私が死ぬ」

ソーニャ「でもせめてチョー、いや、やすな……。お前の手で、私を殺してくれないか?」

やすな「……ソーニャちゃん」

Prrrrr... Prrrr...

ソーニャ「? ……あぎりか?」

あぎり『もしもし、ソーニャ。私です、聞こえますか?』

ソーニャ「なんだ、あぎり……。後にしてく――」

あぎり『ソーニャ、あなたに伝えなければいけないことがあります』

ソーニャ「……? なんだ?」

あぎり『今、空き教室の前で待機しています』

ソーニャ「…………!!」

あぎり『こうなるとは思っていました。あなたは折部やすなに依存していたから』

ソーニャ「やめてくれ……! やすなは、やすなは……!」

あぎり『いいえ、殺します。本部からの命令です。彼女があなたを殺したなら、躊躇いなく殺れと』

あぎり『でも私は、あなたが殺される前に排除します。私はソーニャを失いたくありません』

ソーニャ「どうして……!? やすなは私のたった一人の……!」

あぎり『いい加減目を覚ましなさい!』

ソーニャ「……!?」

あぎり『私たちのような裏の世界に生きる人間に、普通の友達なんてできるはずないでしょう!!』

ソーニャ「だって、だって……!!」

あぎり『あなたの気持ちは痛いほどわかる……。私だってそうだもの』

あぎり『やすなさんがチョーだと知った時、わけがわからなくなったわ』

ソーニャ「なら……!」

あぎり『でも、諦めなさいソーニャ。そいつは私たちの心の隙に入り込んだだけなの』


あぎり『私が殺すか、あなたが殺すかは、……あなた自身が決めなさい』

ソーニャ「心の……隙に……」ガタガタ

ソーニャ「うわあああぁあぁあぁぁぁぁあっっ!!」ブンッ ガシャッ

あぎり『ソーニャ!?ソー……』ブツッ プー プー

ソーニャ「…………」

ソーニャ「やすな。……最初から、騙していたのか?」

やすな「…………ソーニャちゃん」

ソーニャ「……本当のことを話してくれ」

ソーニャ「『ずっと一緒にいる』っていう、あの時の言葉も! 『友達だよ』って言葉も!!」

ソーニャ「私に向けてくれた笑顔も、私の……私のす、好きだったやすなは……!!」


ソーニャ「……全部、嘘だったのかよ……!?」

やすな「…………」

ソーニャ「答えろぉおッ!!」


やすな「…………そうだよ」

ソーニャ「……ッ!!」

やすな「でもね、ソーニャちゃ――」

ソーニャ「う、ぅうううあううぁあああぁああ!!」シュバババッ

やすな「…………」ザクザクザクザクッ

ソーニャ「……ナイフ……あたった!? なんで――」

やすな「私はもう生きられない。そうだよね?」

ソーニャ「……!」

やすな「ソーニャちゃんに殺されるか、組織の誰かに殺されるか」

やすな「きっと、もう私は生きてここを出ることはできないんだ」

やすな「だから、本当のことを言うね」

やすな「ソーニャちゃん……。私は、ソーニャちゃんを殺す気なんて、ないんだよ」

ソーニャ「嘘だっ……。やめろ! 最後の最後まで騙すつもりかぁっ!!」

やすな「ねえ、ソーニャちゃん。信じてくれなくてもいい、だから聞いて?」

ソーニャ「なんで、なんで最後までそんなこと言うんだよ!!」

ソーニャ「愚かなヤツだと笑ってくれたほうが! 貶してくれたほうが、よっぽどよかった!」

やすな「ソーニャちゃん……」

やすな「私は、いつまでもソーニャちゃんの友達だよ……」


『ねえ、遊ぼうよソーニャちゃん!』

『ソーニャちゃんが殺し屋でも、私は友達だからねっ!』

『ずっと一緒にいるよ、ソーニャちゃん』


――『そいつは私たちの心の隙に入り込んだだけなの』――

ソーニャ「あ、あぁ、うぅぅうああぁああぁあああああああっ!!」ブンッ

ザクッ…… ブシャッ

やすな「ソー……ニャちゃ…………大……す………………」

やすな「……………………」

ソーニャ「……ああ、ああ」

ソーニャ「ああああああああああああああああああっっ」ポロポロ

あぎり「…………」ガラッ

あぎり「ミッションコンプリート。ソーニャ、よく最後まで頑張りました」

ソーニャ「あぎり……キサマ――

あぎり「…………」ポロポロ

ソーニャ「あぎり……泣いているのか?」

あぎり「……って…………だって!…………こんなひどい話ッ……!!」

あぎり「うああああああああああああああっ!!」

ソーニャ「や、めろ……私の前で、泣くな……」ポロポロ

ソーニャ「諦めてるんじゃなかったのかよ……! 私とちがって、お前は!!」

あぎり「ごめんなさい……わかってる。諦めないと……だめなの……!!」

あぎり「でも……でも、やすなさん、やすなさんは……」

あぎり「あんなに可愛くて……いい子で……友達で……!」ポロポロ

あぎり「なのに……嘘で……! いや……こんなの……いや……!!」

ソーニャ「やすな……クソ、質が悪い、質が悪い……ッ!!」

ソーニャ「せめて最後に……憎める言葉の一つでも残していってくれよ……!」

ソーニャ「やすな……ああ、ああああああああああああああああああっ!!」



―――あれは一体いつの出来事だっただろうか。


チョーの正体は、折部やすなだった。

それはわかりきっているのにあの後、救いを求めるかのように、
チョーの正体について間違いがないかどうか再度確認したが、無駄だった。

……私はそれからというもの、人間不信になっていた。

最後まで『友達だ』と、『殺す気はない』と言っていた折部やすなは、
紛れなく私を殺すために私と同じ高校に入学してきた、チョーだったのだから。

元いた高校から私は別の高校に転入し、そこで卒業までの時間を過ごした
その高校では誰とも話さず、近寄ってきたものは追い払っていた。

それが原因でいじめが始まりかけたが、首謀者を半殺しにしたら場は収まった。
組織が圧力をかけてくれたおかげで、退学問題にはならなかった。

その高校に転入してからは、組織からの任務だけでなく、
フリーの殺し屋として金儲けのため依頼も請け負うようになった。

その頃にはあの時の失敗から学び、『チョー』こと
折部やすなのように、常に変装し偽名で活動するようになった。


そこで、私に来た一つの依頼が、私を大きく変えることとなる。

○○大学に進級する、私と同い年の殺し屋の女を殺せというものだ。
時間指定もあり、大学在学中のその女の誕生日に殺せという悪趣味な仕事だった。

誕生日に殺すなどという拘りを持っており、しかも賞金もかなりの多額だった。
そのクライアントがその殺し屋に恨みをもっているというのは、明確だ。

どうせロクでもないヤツなのだろうと私は思っていた。

私は○○大学に、変装をせず本名で入学した。
そのほうが返ってバレにくいからだ。

私は、彼女を殺し易い立場に立つためすぐに彼女に話しかけ、友達になった。

バカをやって、おどけてみせて。自分で何をやっているんだろうと呆れそうになったときもある。
こいつはしんどそうにしながらも、とりあえずは付き合ってくれた。

何度も学校で話すうちに、こいつが思っていたよりもいいやつで、
"ロクでもないヤツ"などではないことがわかってきた。

逆に、こいつにも実は可愛いところがあって、なんというかすごく憎めないヤツなのだ。

最初は任務だからということでこいつと付き合っていたが、
今では私は本心からこいつのことが好きで、一緒にいて楽しいと思っている。

こいつを、私の友達を殺すだなんて、ありえない。
だから、私はこの依頼を取り消そうと思った。

結果的にいえば、それは無理だった。

『私が依頼を取り消すのであれば、他の殺し屋を用意してお前ごとヤツを消す』。

私が依頼人に、辞退する旨を伝えた後に言われた言葉はそれだった。

どうも本気らしいので、その場では『必ず遂行する』と言っておいた。

もちろんそんな気はさらさらない。
実行日であるこいつの誕生日に、私は彼女と共に逃げることを決意した。

……そして今日は、その誕生日の1週間前である。

私は、こいつに呼び出されていた。

何でも、『二人きりでお前にしか頼めない頼みがある。恥ずかしいから今は言えない』
とのことで、夜の教室で待ち合わせようとのことだった。

……正直、私も彼女のことを意識していなかったと言えば嘘になる。
同性趣味などないが、でもこいつなら……。そう思ってしまう自分がいた。

そんな中で『夜の教室で二人きりでしか頼めないことがある』などと言われて、
私は心臓をバクバクさせながら教室に入ったのを覚えている。


……なぜ突然回想が始まったかというと。



「……全部、嘘だったのかよ……!?」

ソーニャ「…………」

これは走馬灯なのだ。

現在、私は体中に数本のナイフが突き刺さっており、虫の息なのである。

そのナイフを私に投げつけたのは、私の友達であるこいつだ。

「『ずっと一緒にいる』っていう、あの時の言葉も! 『友達だよ』って言葉も!!
  私に向けてくれた笑顔も、私の……私のす、好きだったソーニャは……!!」

やっと。やっと気づいた。

同じだったんじゃないか。

やすなは、やっぱり私の友達だったんじゃないか。

あいつも、確かに最初は任務だからということで私と付き合っていて、
それでも途中から、本当に友達だと思ってくれるようになったんだ。

だから、『殺す気はない』と言ったんだ。


もしかして、あいつは今の私と同じように
私と一緒にどこか遠くへ逃げるつもりだったんだろうか?

いや、そうだったんだ。


ごめん。やすな。

気づけなくて、ごめん。

……さっき、こいつは何者かと電話をしていた。


きっと、こいつの組織の連中が包囲しているのだろう。

もう、終わりだ。

一緒に逃げることなんて、もう叶わない。

私はこいつに殺されるか、こいつの組織の人間に殺されるか。

どちらにせよ、もう生きてこの教室を出ることは叶わないのだろう。


だから、最後くらい。


ソーニャ「私はもう生き残れない。そうだよね?」

「……!!」

ソーニャ「きみに殺されるか、組織の誰かに殺されるか」

ソーニャ「きっと、もう私は生きてここを出ることはできないんだ」

ソーニャ「だから、本当のことを言うね」


最後くらい、素直になってもいいよね?



ソーニャ「私は、いつまでも……」


やすな『私は、いつまでもソーニャちゃんの友達だよ……』



銀色の刃が私の喉を切り裂く音と共に、ふと、どこか懐かしい声がしたような気がした。



BAD END

あーやっとBAD書き終えた
鬱展開苦手なのになんでこんなん書いたんだろ俺

TRUEはちょっと長いから先に休憩したい
ってかさっきガブリチュウ買いに行ったせいでシャワー浴びれてない

またまた待たせて悪いけど保守お願いします。
逃げるとか絶対しないんで

読み返したけど>>178>>179の間で何が起こったのかまったくわからない…
>>178まではやすなが死んでるよな?
>>179から回想に入って>>195でソーニャが死んでる…

>>215

――あれは一体いつの出来事だったろうか。

の「あれ」が今回の事件の事を指してる
178~179に至るまでのソーニャの歩みは回想の通り

もうちょっとわかりやすくかけばよかったごめん
なんかこういうまどろっこしい書き方好きでさ

ここで魔法の言葉を使おう
「初SSなんで許してください^^」

シャワー浴びる準備できたから行ってくる

>>104から。



――『私はソーニャちゃんの友達だもん!』――


――『私たちは日陰者なの。一般人の友達なんて、できるわけなかったのよ』――


ソーニャ(こいつは……、やすなはきっと……)

ソーニャ(……チョーじゃない)


ソーニャ(そりゃあ命に危険が生じるものを投げられたら必死になって避ける)

ソーニャ(こいつは私がいつもナイフを投げるから慣れているから避けれたんだ)

ソーニャ(違うとわかれば安心してしまうのは当たり前だ)

ソーニャ(だからきっと、違う。やすなは違うんだ……!)

ソーニャ(やすながふざけて私がキレる……、それでもやすなはふざけ続ける……)

ソーニャ(でも気づいたら、いつも一緒にいる……)

ソーニャ(そんな私とやすなの関係は……)


――『友達として見過ごせないよ!!』――


ソーニャ(偽物なはずがない……!!)

やすな「ヘイヘーイ! もっかいカモーン!」

ソーニャ「……そらっ」シュバババッ

やすな「あててっ」コンコンコン

ソーニャ「ゲームが始まったとたん当たるのかよ……。」

ソーニャ「始まる前に避けれたって本番で当たっちゃ意味ないだろ」

やすな「う、うるさいなーもーソーニャちゃんは! じゃあ自分がよけてみてよぉ!」

ソーニャ「やだよ。なんで私が」

やすな「えー、いいのかなー? プロが素人の挑戦を無視しちゃっていいのかなー?」

ソーニャ「いや、殺し屋は挑戦とかそういうスポーティな職じゃない」

やすな「さてはソーニャちゃん、ビビっているな!? 私のナイフを避ける自信がないのだろう!」

ソーニャ「はぁ? ……いいよ、そこまで言うなら受けて立ってやろうじゃねーか」

やすな「いいねいいねそのノリ! 私の華麗なナイフさばき、見せてやる!!」

やすな「宣言するねっ! 一投目で当たるからっ!!」

ソーニャ「お前みたいなバカが投げるナイフ、かすりもするかよ」

やすな「よっしゃー、いくぞー! 私フォークとか投げれるからね!!」

やすな「あ、フォークっていうのは食器じゃなくて変化球のことだよ!」

ソーニャ「いつのまに野球に目覚めたんだよお前は……」

やすな「では第一球ー!!」グルグル

ソーニャ「……なんで回転するんだ?」

やすな「スクリューだよ!」

ソーニャ「……スクリューは左手で投げるものなんだが」

やすな「あれ、つっこむのそっち!?」

やすな「とかいいつつ剛速球ゥウー!!」ポイッ

ソーニャ「甘いッ」キンッ

やすな「あーっ! 駄目だよソーニャちゃん、避けないと! 弾くのなしー!」

ソーニャ「お前も弾いてたじゃないか」

やすな「それはゲームが始まる前だけだよ!」

ソーニャ「……てかこれナイフじゃなくてフォークじゃねーか」

やすな「これぞフォークボール……とか言っちゃって!!」ケラケラ

ソーニャ「……さっき食器の方じゃないとか言ってなかったか?」


ソーニャ「……ったく。納得いかないなら10本でも100本でも投げてみろ」

やすな「よっしゃーいくぞー! てりゃりゃりゃ!!」ポイポイポイ

ソーニャ「遅い、甘い、ぬるい!!」サササッ

やすな「ならばこれを避けてみろ!」ビシュッ

ソーニャ「うわ、野球のボール!? どこに持ってたんだよ!」

ソーニャ「だがボール2つ分高い! 初心者が頭を狙うもんじゃ――」ズゴッ

ソーニャ「うぐおおおおお…… フォ、フォークボール……」ドサッ

やすな「あ、今落ちた? 落ちた!? 私、ピッチャーの才能あるかも!」

ソーニャ「ああそうか、来世は男性だったらいいな」ギリギリギリ

やすな「じょ、女性でもプロは目指せ――ああっ落ちちゃう! 落ちちゃうよ!? あっ」ガクッ


ソーニャ(それにしても、チョーはいったいどいつなんだろうな……)

ソーニャ(もしかして、あぎりなんてことはないよな?)

ソーニャ(私にやすながチョーであると勘違いさせてー、みたいな)

ソーニャ(いやそれもないか。私あいつとはこの学校に入る前から面識あるし)

ソーニャ(やばい、軽く疑心暗鬼になってきた)

―― べつのひ ――


ソーニャ(あれから5日……。特になにも起きないな)

やすな「あ、電話だー」Prrrrr.... Prrrrr,,,,

ソーニャ(やすなにも不審な動きはないし)

やすな「あれ、あぎりさんから? 私、番号教えたっけ?」ピッ

ソーニャ「あぎりから……。あいつ、まさか!?」

やすな「もしもしー、あぎりさん? よく私の番号知ってたね」

やすな「え、登録済み? そうだったっけなあ」

やすな「あれ、でも私の携帯にも『あぎりさん』って表示された気が……」

やすな「あれ、あれぇ?」

やすな「え、あ。はい。わかりましたー。ではまた後で。」ピッ

ソーニャ「なんて言ってた」

やすな「二人きりで話したいことがある、だってー」

ソーニャ(あぎりがもし、本気でやすなのことをチョーだと思っているとすれば)

ソーニャ(嫌な予感が……)

ソーニャ「い、いくな、やすな!」

やすな「え、なんでー? なんか早く来て欲しいって言ってたし」

ソーニャ「あ、あいつのことだ! どうせ胡散臭い道具を売りたいだけに決まってる」

ソーニャ「そんなことより……そうだ! 数日ぶりにナイフ投げゲームやらないか?」

やすな「えー、あれ危ないし嫌だよ」

ソーニャ「おもちゃだから大丈夫だろ!」

やすな「それでも目に入ったりしたら危ないよっ」

ソーニャ「私のコントロールを舐めるなよ、私を信じろ!」

やすな「いや、私が投げる番の時の心配をしてるの。ソーニャちゃんが危ないじゃん」

ソーニャ「ぷ、プロともなればお前の投げるナイフなど一つたりとも当たらん!」

やすな「それじゃゲームにならないよ!」

ソーニャ「う、それなら、私に一本でも当てれたらジュースおごってやる!」

やすな「え、ホントー!?」ウキウキ

ソーニャ「ああ、しかも10本だ! 出血大サービスだぞ」

やすな「じゃあ、先にあぎりさんとの用事済ませてくるね!」

ソーニャ「まてまてまてまてまて」

やすな「いやだから早く来てってあぎりさんが」

ソーニャ「い、今だけジュース20本だ」

やすな「……なんでそんなに必死なの?」

ソーニャ「いや、その……」

やすな「そんなに買ってもらったらソーニャちゃんに悪いし、いいよ。それじゃ」タタッ

ソーニャ「まてっ、待ってくれやすなぁ!」ダキッ

やすな「ひゃあっ!? ちょ、ちょっと今日のソーニャちゃん変だよ!」ドキドキ

ソーニャ「行っちゃダメだ、行っちゃダメなんだ……ッ!!」

ソーニャ「お前、殺されるかも知れないんだぞ!!」

やすな「……!」

やすな「ソーニャちゃん、それどういうこと?」

ソーニャ「やすな。チョーについてのことは話したよな」

やすな「うん」

ソーニャ「組織は、チョーの正体がお前だと睨んでいるんだ」

やすな「な、なんでー!?」

ソーニャ「いろいろと思い当たる部分が多いんだろう」

やすな「そ、そんな……」

ソーニャ「でも、私は信じてる。お前が私を殺すわけがない」

やすな「あ……ありがとう」

ソーニャ「チョーは組織の意向からして私が殺さないといけないんだろうけど……」

ソーニャ「場合によってはあぎりや他の組員が殺すこともあるだろう」

ソーニャ「結局は排除すべき組織の敵であることには変わりないからな」

やすな「つまりチョーと勘違いされている私があぎりさんに呼び出されたってことは」

ソーニャ「……あとは言わなくてもわかるな」

やすな「でも、だめだよ! だからこそこの誤解を解かないと!」

ソーニャ「なら私も連れていけ。いざとなったら私が出る」

やすな「だ、大丈夫なの……?」

ソーニャ「正直、大丈夫じゃない。あぎりは殺しに関してはウチの組織のトップだからな」

やすな「ええーっ!? そんな設定初めて知ったよ!」

ソーニャ「けど逃げるお前が逃げる時間くらいは稼げるハズだ」

やすな「ソーニャちゃんはどうするの?」

ソーニャ「策はないが、真正面からの戦闘ならギリギリ互角……だったら嬉しい」

やすな「こんな弱気なソーニャちゃん初めて見た」

ソーニャ「あいつああ見えて色々なものがケタ違いなんだよ」

やすな「それでも行かないと、私が今後狙われることには変わりはないしなぁ」

ソーニャ「そう言われれば確かにそうだ」

やすな「えっと、いつもあぎりさんがいる空き教室に呼ばれたんだけどね」

ソーニャ「わかった。じゃあ、入口付近に潜んでおく」

―― 空き教室 ――


やすな「あぎりさん、呼びましたか?」

あぎり「はい~、呼びましたよぉ」

ソーニャ(よし、ここなら様子も伺えて何を話しているかも聞こえるな)コソコソ

やすな「それで、用事って?」

あぎり「あーはい。二人きりで話したいことがあってですね……」

やすな「はい、なんですか?」

あぎり「二人きりで、話したいことがあって、ですね……?」

やすな「は、はい。ですからその話って――」




あぎり「だれか、いる気が、するんですよねぇ~……?」

やすな「き、気のせいじゃないですか!?」

あぎり「そうですね、気のせいですよね」

あぎり「だって、もう誰もいませんもんね」

やすな「え――」

ソーニャ「……ここはどこだ」

ソーニャ「トイレ……? ここ、トイレじゃないか!」

ソーニャ(なんでだよ!? ついさっきまで空き教室の目の前にいたじゃないか!!)

ソーニャ(あぎりの術か……?)

ソーニャ「……しまった! やすなが危ない!!」タタッ

ソーニャ「ここは……体育館のトイレか! クソッ、遠い!!」タタタタッ

ソーニャ「ホント、どういう原理なんだよこの術は! わけがわからん!!」

『だれか、いる気が、するんですよねぇ~……?』

ソーニャ「あの時の殺気、半端じゃなかった……」ゾクッ

ソーニャ「よしっ! やっと空き教室の前に……! って、やすな!?」

やすな「あっ、ソーニャちゃんおかえり! どこいってたの、もう!」

ソーニャ「あぎりの術で飛ばされたんだよ。それでお前、無事なのか?」

やすな「うん、普通に二人でお話しただけだったよ」

ソーニャ「はぁ……?」

やすな「ソーニャちゃんが『殺されるかも知れない』とかいうから怖かったけど」

やすな「特にいつもの会話と変わらなかったかなぁ」

ソーニャ「そ、そうなのか? それならいいんだが……」

やすな「そんなことよりさ、ソーニャちゃん!」

ソーニャ「なんだ、やすな?」


その日は、やすなの希望で一緒にクレープ屋に行った。

やすなが私のクレープも食べようとしてきたから止めたが、
『一口だけ』というものだから、仕方なくくれてやった。

『おいしい』と顔を少し赤らめて微笑むやすなをみて、私も微笑んだ。

あぎりはやすなを殺さなかった。

やすながチョーではないということに気がついたのだろう。
冷静になれば、わかることだからな。

あぎりは普通にやすなと話すようになったし、
私に対して急かすようなことも何も言わなくなった。

そして、一週間が過ぎた。

安心した反動だろうか、私は放課後やすなが毎日どこかに誘ってくるのに対して、断ることはなかった。
一度だけ自分の家に招き入れたこともあった。

やすなは、今まで入れることの無かった私の家に入れたことが
嬉しかったらしく、そのままその日は私の家に泊まっていった。

一緒に風呂にも入った。
前に、一緒に銭湯に行ったのが記憶に新しい。

だが、家の狭い浴槽に二人で入るときは、流石に緊張した。

やすなが体を洗ってくれるのがすごく心地よくて、
逆に私がやすなの体を洗う時、変に意識してしまって、ドキドキした。

こんな日々がずっと続くのだろうと思っていた。

こんな日々をずっと続けるために、早くチョーを探し出そうと思っていた。

こんな日々がずっと続けばいいと思っていた。


あんな日々がずっと続けばよかったのに、と思う。

やすな「来てくれたんだね、ソーニャちゃん。」

ソーニャ「え、ええっ? やすな、その格好は一体……。」

夕日の眩しい夕方の空き教室には、体操服姿のやすなが一人。

この学校の指定の体操服はハーフパンツなのだが、
なんとも時代遅れというか二次元的というか、こいつはブルマを履いていた。

やすなの太ももや手が、夕日に照らされて綺麗だ。

少し悲しげな表情で、いつもと違う雰囲気のやすなに、つい色っぽさを感じてしまう。
といっても、こんな状況なら意識してしまうのは仕方がないのだが……。

……私がこの教室に来たのは、やすなからの一通のメールが理由だ。

今日は私の誕生日。高校の部活が終わる夕暮れ、誰もいない校舎。

メールには二人きりでしたいことがあると書いてあり、私はここに来た。
そのメールの文末にはこうも書いてあった。


『誕生日おめでとうソーニャちゃん、大好きだよ』

ソーニャ「え、えーと、やすなさん?」

やすな「だって、このほうがやりやすいから」

ソーニャ「あ、ああー。そういう趣味をお持ちですか?」

ソーニャ「なんだー、言ってくれればいいのに。私もスク水くらいならもってこれだぞ」

ソーニャ「そっかー、コスプレかー。いや、でもやすな、似合ってるぞ!」

やすな「ねえ、ソーニャちゃん」

ソーニャ「うんうん、確かにブルマにロマンはある」

ソーニャ「私も日本に来てずいぶん立つが、日本人の着眼点は素晴らしいな!」

やすな「……ねえ、聞いてよ」

ソーニャ「セーラー服に体操服にスク水!」

ソーニャ「まだ私はそういう趣味はないが、嫌いじゃあないぞ!」

やすな「わかってるんでしょ? ソーニャちゃん」

ソーニャ「いや、私はたった今その趣味に目覚めてしまったようだ!」

ソーニャ「ふむ、やすなの体型にベストマッチだな!今度スク水も着てみてくれないか?」

やすな「私さ、ソーニャちゃんを……」


ソーニャ「……わかってるよッ! ちくしょうッッ!!」

やすな「やっぱり、そうだよね。ソーニャちゃんって、いつも警戒してるから」

ソーニャ「なんでだよ……。なんでお前が……」

やすな「私が持ってるものなんて、すぐわかっちゃうよね」

ソーニャ「だって、おかしいだろ……? なんで、なんで……」


ソーニャ「お前が武器を隠し持ってるんだよッ!!」

やすな「ソーニャちゃん。『そういうもの』なんだよ」

ソーニャ「何が……だよ」

やすな「一般人の友達なんて、できるわけないでしょ」

ソーニャ「……ッ」

やすな「だって、『私たち』は、闇の住人なんだよ……?」

やすな「初めましてかな、ソーニャちゃん。私は『チョー』。殺し屋だよ」

ソーニャ「嘘だ……」

やすな「本名は折部やすな。チョーってのは偽名ね」

ソーニャ「嘘だッッ! 信じないぞ、そんなの絶対信じるものか!!」




やすな「……バッカじゃねーの?」


ソーニャ「!?」

 
 
 

やすな「バァアアッカ。甘ェんだよソーニャ。同職同期だというのにお前が哀れでしょうがないわ」

やすな「殺し屋風情に友情も青春もクソもねぇんだよ? わからないかな、お嬢ちゃん?」

やすな「……わっかんねぇよなあ。人の命奪って生活してるくせに幸せな日々を願ってる甘ちゃんにはよ」

ソーニャ「やすな……?」

やすな「ああ、うぜぇ。なんだよその捨てられた子犬みたいな目は」

やすな「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねえ。私ら人殺しにそんな権利はねえんだよ」

やすな「私が気に入らねえお前に言う必要があるのは一言だけだ」

やすな「今日がクライアントに指定された、お前の命日だよ」

ソーニャ「私の……誕生日……?」


やすな「ハッピーバースデー、ソーニャ。……プレゼントだ。その眉間に鉛玉をくれてやる」

ソーニャ「嘘だろ……嘘だと言ってくれよ……」

やすな「抵抗するならしてみな。お前みたいな甘ちゃんじゃ勝負になんねえだろうがな」

ソーニャ「そうだ……、ドッキリなんだろ? ひどいな。手荒い誕生日プレゼントくれやがって」

やすな「まあ、そうやって現実逃避するのもいいさ。私の仕事が楽になる」タタッ

ソーニャ「ああ、ああ……あああああ……」

やすな「長くも短い甘い夢、存分に味わったろ? そろそろ起きる時間だ」シュッ

ソーニャ「うぅうわあああぁぁあぁあッッ!!」キィンッ

やすな「おっと、やはり腐ってもソーニャか。簡単には殺せないな」タジ…

ソーニャ「なんでだよ……なんでこんなことしたんだよ……!!」

ソーニャ「普通に……普通に殺してくれればよかったじゃないか……!」

ソーニャ「私と友達なんかにならずに、変な夢を持たせずに……!!」

やすな「あのさぁ……」

やすな「私はお前に気づかれず殺されず、今日を迎えることができた」

やすな「結論、でてんじゃん」

ソーニャ「うあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ッッ!!」

私は、ただ闇雲に吠えることしかできなかった。

――何分たっただろう。

いや、数秒、数瞬。それとも数時間だろうか。

やすなから向けられる刃を避け、反撃を繰り返す。
そしてそれは余すことなく避けられ、さらなる反撃を繰り出される。

互角にも見える殺し合いだったが、そうではなかった。
体術も、ナイフの扱いも、銃の扱いも、すべてやすなが上だった。

そして何より、やすなが隠し持っていたヌンチャクにはかなり苦戦させられている。

こんなにも銃弾が飛び交い、窓が割れ、机が倒れているのに、誰も気づかない。
そういえば、あぎりが暗殺に使う術にこのような術があった気がする。

やすなはあぎりのように非現実的な能力も持ち合わせているのだろう。
どう考えても私に勝機はなく、やすなの言うとおり今日が私の命日だと悟らされる。


でも、やすなに殺されるなら……。と思ってしまう私もいる。

私はやすなを殺す気になれなかった。

防戦一方な理由は実力の差も確かにあるが、
私自身が彼女を死に至らしめる攻撃をする気がないというのもある。

たとえ偽物の友情でも。偽物の記憶でも、
『やすなが好きだ』という気持ちが、どうしても抑えられないのだ。

それは、この一週間で積極的に付き合ってさらに思うようになった。

ソーニャ「……やすな」シュッ キィンッ

やすな「んだよ、守ってばっかでさぁ!? つまんねえな!」サッ ババッ

ソーニャ「好きだ、やすな。お前のことが」シュパッ

やすな「……はぁ? 何言ってんだ、この状況で! お前はマジで頭の中お花畑なのか!?」カンッ

ソーニャ「だから」ガシッ

やすな「……!?」チュッ

やすな「……何の真似だ」

ソーニャ「お前こそ、今の隙に私を殺せたはずだぞ?」クスッ

やすな「……バカにしてるのか」

ソーニャ「いや、やすなにも年相応の反応があるんだと思うと嬉しかったよ」

やすな「構えな。てめぇは殺す」

ソーニャ「ああ、そうだな」

ソーニャ「Baby, please kill me.」


やすな「え……?」



ソーニャ「殺せ――。と、言っている」

やすな「……なんだと?」

ソーニャ「私は、お前を殺したくない。……お前が刺客であってもだ」

ソーニャ「なんなんだろうな。お前のこと、敵だって確信したのに」

ソーニャ「それでも……殺そうって、思えないんだ」グスッ

ソーニャ「お前がもし私をまんまと騙された愚かな敵だと笑って見せても」ポロポロ

やすな「…………」

ソーニャ「それでも私はやすなが好きだ」

やすな「……ッ」

ソーニャ「私はお前を殺せない。お前を殺すくらいなら、私が死ぬ」

やすな「…………」

ソーニャ「やすな……。お前の手で、私を殺してくれないか?」

やすな「……ふざけないでよッ!!」


ソーニャ「!?」ビクッ

やすな「私たちはね、殺し屋なんだよ!? 生きていくために殺す人間だ!」

やすな「いや人間じゃないね、殺人鬼、ソーニャちゃんに至ってはむしろ機械! 殺人機さ!」

やすな「特にソーニャちゃんみたいに組織に属している人間は鬼にすらなれないよね!」

やすな「殺すのが嫌でも、稼ぐ必要がなくても、もう組織に入った以上やめられないんだ!」

やすな「その点私はフリーだからねぇ! 組織のせいにすることもできず自分の意志で人を殺してきたよ!」

ソーニャ「なんで……。フリーだったら、いつでも足を洗えただろう!?」

やすな「生きるためだよ。私には親がいない、いるのかも知れないけど、私にはわからない」

やすな「今の私の家だって、ソーニャちゃんを殺せと依頼してきたクライアントからの借り物だよ」

ソーニャ「クライアントが、そこまでのサービスを提供してきたのか……?」

やすな「うん。高校生活の生活費も供給されたし、無駄遣いできるくらいには余った」

やすな「高校である程度の生活方法を手に入れたら、足を洗って普通に働いて暮らすつもりだった」

やすな「だからこれが高校時代の最初で最後の殺し屋としての仕事だったんだ」

やすな「笑っちゃうよね」

ソーニャ「何が……だよ」

やすな「クライアントの望みは、私がソーニャちゃんを殺すことじゃない」


やすな「ソーニャちゃんが、私を殺すことだったんだ」


ソーニャ「え……」



あぎり「そこまでです。折部やすな」

やすな「あぎりさん……」

ソーニャ「……あぎり? まさか、この人避けの結界はやすなじゃなくてお前が?」

あぎり「約束と違いますね。」

あぎり「あなたはソーニャを怒らせて、自分を殺させるはずではなかったのですか?」

ソーニャ「……えっ?」

やすな「それはやりましたよ。結果は見ての通りですが」

ソーニャ「どういうことだよ、やすな、あぎり」

あぎり「……これ以上黙っていても仕方がありませんね」

あぎり「ソーニャ。これはあなたへの試練です。折部やすなを殺しなさい」

ソーニャ「なっ……!?」

あぎり「詳しく説明しなければいけませんね……」

あぎり「・・・・・・・・・・・・・・」

ソーニャ「・・・・・・・・・・・」

やすな「・・・・・・・・・・・・・・・・」


あぎりの話をまとめるとこうだった。

私は殺しに関してはまだまだだが、戦闘に関しては秀でていて、
組織としても有望な私を更によい人材として育成したかった。

私は人を殺す仕事に躊躇いを持っていて、
大抵は戦闘又は拘束のみで、標的は組織に回収させていた。

組織は私に非情さを求めていたのだ。


その踏み台として、組織は同年代の殺し屋に匿名で依頼を出す。

『殺し屋のソーニャを彼女の誕生日に殺せ』と。

やすな曰く、報酬は莫大で学校への入学手続きなども全て執り行ってくれたそうだ。
たぶん、私のクラスメイトになったのも組織の手引きなのだろう。

匿名であったため、やすなは不審に思いはすれど標的の組織からの依頼とは気づかなかった。

つまり、殺しにかかってくるクラスメイトを殺すことで、私を非情にしようとしたのだ。
私が本当に殺されそうになったときは、組織の人間がやすなを殺すことになっていた。

ソーニャ「ふん……どこの企業も、新人育成には金のかかるこったな。クソが」

あぎり「そうです。全てを知ってしまったけれど、それでもあなたはこの子を殺す必要があります」

ソーニャ「嫌だ……と、言ったら?」

あぎり「私が殺します。あなたには別の方法で教育を受けてもらいます」

キルミーベイベーみたいな糞アニメでもssになると面白いんだな

ソーニャ「……やすな」

やすな「……なに」

ソーニャ「さっきの口の悪いお前が、本当のお前か? 今までのやすなは、演技だったのか?」

やすな「わかんない」

ソーニャ「はぁ?」

>>387 こんな糞SSでも素材がよければそこそこなんだな だろ

やすなかわいい

やすな「最初はそうだった。私は、ソーニャちゃんに近づくために、この口調に変えた」

ソーニャ「じゃあやっぱり、あれが本性なんじゃないか」

やすな「演技でこの口調にしていたはずなのに、途中から変わってきた」

やすな「どっちが私だかわかんなくなって、すごく混乱したよ」

やすな「でもね、気づいたの」

やすな「私ね、ソーニャちゃんのことが好きになってたんだ」

ソーニャ「えっ……」

やすな「だから私は、こっちの自分を、自分にした」

やすな「実はね、今日、私はソーニャちゃんと一緒に遠くへ逃げるつもりだった」

あぎり「それは、許されませんけどね」


やすな「私はね、ソーニャちゃんを殺したくなんてない」

やすな「殺せと頼まれたって、殺せないよ。組織の人もそれを許さないだろうし」

やすな「だからね、ソーニャちゃん」


やすな「私を、殺して……?」

ソーニャ「悪い、あぎり。……一度席を外してくれないか」

あぎり「ええ、いいですよ。大体察しましたから」

ソーニャ「ふん、話が早くて助かるが、恥ずかしいから変なこと察するな」

あぎり「残された時間は短いですが、どうぞごゆっくり~」カララ パタン

やすな「…………?」

ソーニャ「……さて、やすな」

やすな「え?」

ソーニャ「私は、お前が好きだ」

やすな「え、私も……だけど」

ソーニャ「だから、抱くぞ」

やすな「うん……って、えぇっ!?」


それから私とやすなは唇を重ねた。

私も、そしてやすなもキスのやり方なんてわからない。
つつき合うような、触れ合うような、そんなキスを何度も何度も。

淡く、切なく、儚い。愛を確かめ合う行為とはとても思えないほど哀しかった。

それでも、私たちの心は満たされていく。

そして私はやすなに包まれるように重なる。
やすなの小さくても暖かいその体を感じ、やすなもそれを感じてくれていた。

やすなの胸の高鳴りが、こちらに伝わってくる。
同じく、やすなも私の鼓動を感じてくれているのだろう。

目が合うと、私たちはまたキスをした。

やすな「あはは……友達っていうか、恋人みたいだね。好きってもしかしてそっちの意味だった?」

ソーニャ「バカ、最近は女同士でこういう遊びくらいするもんなんだよ」

やすな「そうなの?」

ソーニャ「知らんけどな」

やすな「適当いっちゃって」クスッ

そう、これは遊び。じゃれあいなのだ。

愛し合う恋人達がその結晶を作るために行う行為でもなく、
ましてや快感を求め、欲望をぶつけ合う行為でもない。

ただただ、友達と調子に乗って変な遊びを始めてしまった。

そういうことなのだ。

そして、これが一番ちょうどいい。

きっとやすなもそれはわかっていた。
だから、やすなは『これ以上』を求めないし、私もそうしない。

恋人として結ばれてしまえば、目の前にある別れを受け入れられなくなる。

仲のよかった友達とちょっと行き過ぎてしまって、
思春期相応の遊びを一緒にやってしまった。

それはきっと、甘酸っぱい思い出として一生忘れず残る。

やすなとの時間が、記憶が、忘れることなく残ってくれる。
私はこの友情が本物であったという証明が、これから先崩れることなくできるだろう。

私たちの共にいた時間を確かめ合うように、また唇を交わす。

互いの歯が当たり、全く気持ちよくなんてなれない。
それでも、私たちは慣れないキスを続け、互いの体に手を伸ばす。

やすなのブルマの下に手を伸ばし、そこを触る。
体を、髪を、唇を、瞳を、全てを、体と脳裏に焼き付けていく。

やすな「はぁ……あ、あんっ……」

ソーニャ「ふぅっ……あっ、あぅ……」

やすな「ソーニャちゃん……ありがとう……」

やすな「私……死ぬ前にソーニャちゃんと重なれて、本当に嬉しい」

ソーニャ「やすな……」

やすな「私ね……生きてて良かった。最後まで、誰にも愛されない人生を送るんだと思ってた」

やすな「だからね、ソーニャちゃんが私を好きって言ってくれた時、本当に嬉しかったよ」

やすな「それでね、今もこうやって、ソーニャちゃんから……」

やすな「ありがとう。本当に嬉しかった。もう、十分だよ。十分すぎるくらいに」

やすな「だから、ね? 私を殺して? ソーニャちゃん」

ソーニャ「…………あぁ」サッ

やすな「せめて、一瞬で死ねるところを刺してね。私の苦しむ姿、みせたくないから」

ソーニャ「……そうだな。できるかぎり、急所を狙うよ」

やすな「ありがとう、それじゃあ」

ヒュッ……


やすな「バイバイ」




TURE END

長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいま した!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです(正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じていま す。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸 れたのか、それは人それぞれだと思います。 少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちに なってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にありがとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお願いします! ではこれにて。

カキンッ


やすな「……?」

ソーニャ「やっぱ無理かー……。急所のど真ん中を狙ったのに」

あぎり「……急所もなにも、弾かれたら意味はないですよ」

あぎり「ていうかまず」


あぎり「ナ イ フ ぶ っ 刺 す 相 手 間 違 え て ま せ ん ?」ギロリ

ソーニャ「お前こそ、人の情事を覗き見たぁいい度胸じゃねえか」キッ

ソーニャ「最後の最後で気がついたよ」

ソーニャ「殺しに関してはあぎり、お前が組織でトップだったなぁ」

あぎり「そうですが、何か?」

ソーニャ「ならお前を倒せば、私以上の人材はウチの組織にはいない」

ソーニャ「そうすると、裏切り者の私を殺すことなんて、組織にはできはしないよな?」ニヤッ

あぎり「気でも狂いましたかソーニャ。私に勝てる可能性なんて1%もないでしょう」

やすな「そ、そうだよソーニャちゃん! 気持ちは嬉しいけど、やめて!」

やすな「これじゃあ、ソーニャちゃんまで死んじゃう! そんなの私、嫌だ!」

ソーニャ「……今さら気づいたよ。」

ソーニャ「私に託された2つの選択肢は、私が殺すかやすなが殺すかだったと思っていた」

ソーニャ「けどそれは違ったみたいだ」

ソーニャ「やすなと共に生きるか、やすなと共に死ぬかの2つだったんだなッ!」シュバババッ

あぎり「ッ!!」キキキキンッ

ソーニャ「認めるよあぎり! 私一人じゃお前には勝てない!」

ソーニャ「けどやすながいればどうかな!?」

やすな「えっ!?」

ソーニャ「あぎりと戦うぞ、やすな! 私らにはもうこれしか残ってない!!」

あぎり「せっかく儚くも美しいビターなトゥルーエンドを迎えられるはずだったのに」

あぎり「残念ながらここからは、ただただ残酷なデッドエンドですねえ?」

ソーニャ「ふん、やすなと共に戦えて、それで散るなら本望だ」

やすな「ソーニャちゃん……。わかったよ、私も戦う!」

あぎり「……標的をやすなから、やすな及び裏切り者のソーニャに変更。排除します」

あぎり「二人の決意だなんて熱い展開を繰り広げているところ申し訳ありませんが」

あぎり「展開もクソもない。……殺し屋はね、ただ粛々と殺す。それだけなんですよ」

あぎり「なので、一切の遊びもなくさっさと殺させてもらいます」パチッ



あぎりが指を鳴らしたと同時に、私たちは宙に浮いた。

ソーニャ「う、わっ、わああああっ!!」

いや、これは浮いたのではない。
私たちの周りの『地面がなくなった』のだ。


やすな「なにっこれっ!? 地面が!!」


そしてその底に見えるのは、地球の核。

なんだ、地球は青かったのではなかったのか?
地球の本当の姿は、こんなに禍々しいほど赤かっただなんて。

こんなの……まるで、


あぎり「忍法、地獄落とし」


地獄のようじゃないか。

その声とともに、私たちは地球の核へと自由落下を始める。
必死にやすなに手を伸ばすが、落ちながらなので届かない。

ソーニャ「やすなっ! やすなあああああッッ!」

やすな「ソーニャちゃん! ソーニャちゃんっ!!」

あぎり「残念。二人抱き合って地獄に落ちるなんてこともできません」

あぎり「ソーニャ。この落下時間はあなたへの猶予です」

あぎり「あなたが持っている銃でやすなさんを撃ち殺しなさい」

ソーニャ「……!?」

あぎり「その距離で、あなたの腕なら落下中でも当てられるはずです」

あぎり「そうすれば、落下を止めてあげます。組織ももう一度あなたを歓迎するでしょう」

あぎり「そうでなければ、落下中に燃えて地獄に行くことすらできず塵となるでしょう」

ソーニャ「そうか……猶予、か」

あぎり「はい、そうです」

やすな「ソーニャちゃん……。お願い、私を……!!」

ソーニャ「嫌だよ、私はやすなと一緒に」


ソーニャ「生きる未来を選択する!!」シュバッ

あぎり「!!」キンッ

やすな「ソーニャちゃ……!? あれ、私たち落ちてない……?」

ソーニャ「ありがとよ、あぎり。この術について考える猶予をくれて」

あぎり「気づくのが早いですねぇ、ソーニャ」

ソーニャ「ああ、おかげさまでな」

ソーニャ「私たちは落下中で、あぎりとはもうかなり離れてた」

ソーニャ「それでもお前の声がハッキリと聞こえるとすれば」

あぎり「ええ、そうですよ。これはただの幻術です」

ソーニャ「だからあぎりの声がした方にナイフを投げた。それだけさ」

ソーニャ「つーか地面がなくなって地球の核が見えるとか、色々おかしいだろ」

あぎり「私としてもこれが最後のチャンスでした……」

あぎり「あなたがやすなさんを殺して、あなたに生きてもらう最後の。」

あぎり「残念ながら、もうダメですね。どちらにも死んでもらいます」シュバッ

ソーニャ「確かに殺しに関してはお前が組織でトップさ」

ソーニャ「けど忘れるな、戦闘に関しては私がトップだっ!」タタッ

ソーニャ「うおぉおおッッ!!」シュババババッ

あぎり「甘いですね。忍法、変わり身の――」

ソーニャ「やすな! そっちだ、撃て!!」

やすな「う、うん!!」パンッ

あぎり「――ッ!?」キンッ

ソーニャ「あぎり。お前、私と何年一緒にやってきてると思ってるんだ」

ソーニャ「お前の速度に追いつけなくとも、お前の行動を予測することくらいはできるよ」

あぎり「だから、やすなさんと一緒なら勝てると……」

ソーニャ「ま、2対1だからな。簡単には殺されないぞ?」

あぎり「そうですか~」

あぎり『じゃあこちらも二人になってしまえばいいんですね』

やすな「……あぎりさんが、二人に!!」

あぎり「忍法、」

あぎり『分身の術』

ソーニャ「やすな、騙されるな。相手は二人なんかじゃない」

やすな「え、どういうこと……? まさか、残像とか!?」

ソーニャ「違う。正しく言えば1.5人だ」

ソーニャ「確かにあの分身は質量をもつ、正真正銘の分身だ」

やすな「あ、もしかして、分身はあぎりさんほど強くない……とか?」

ソーニャ「そういうことだ……! 分身を適当にあしらって本体を狙え!!」ダッ

あぎり「勘違いされては困りますね、ソーニャ」

あぎり『例え私が本体の半分の力しか出せないとしても』

あぎり「それでちょうどあなたたちの実力じゃないですか。」

ソーニャ「舐められたもんだなあ、私たちもッ!」シュバババッ

あぎり『適当に投げても当たりませんよ』カキキキンッ



やすな「だあっ!!」ブンッ

あぎり「おっと」サッ

やすな「ソーニャちゃんっ! こっちが本体だ! 分身は任せるよ!!」ヒュバッ

あぎり「やすなさんを私本体とぶつけて来ますか」サッ ササッ

あぎり「これは偶然か、それともやすなさんが自分より実力があると判断してのことですか?」タンッ

ソーニャ「残念、不正解」

ソーニャ「私もお前狙いだ」

あぎり「なに……?」

やすな「ソーニャちゃん……!」ササッ

ソーニャ「すまんな、あぎり……!!」カチッ

ドガアアァァアンッ!!

ソーニャ「……C4爆弾。さっきやすなと抱き合った時に床に塗りつけた」

ソーニャ「流石に高威力だな。床ごと持っていくとは」

あぎり「が……は……。ぬかり、ないですね。ソーニャ」

あぎり「愛液に紛れさせるなんて……普通考え付きませんよ……」

ソーニャ「別に、そこまで計算して抱き合ったわけじゃあないぞ」

あぎり「ふふ……そうでしょうね……うぐっ!!」

やすな「あぎり……さん」

ソーニャ「さすがのあぎりも、両足を失ってはそれまでだろう」

ソーニャ「降参しろ、あぎり。そしてそこの分身。そうすれば命は助けてやる」

あぎり「降参……? 何を馬鹿な」

あぎり「こうなった以上私はあなたたちに殺されるか組織に排除されるかどちらかですよ」

ソーニャ「降参しても、組織に回収され排除される、か。」

あぎり「ええ、そうです。いえ、例え組織に排除されないにしても」

あぎり「それでも私を殺しなさい、ソーニャ。あなたにはそれをする義務がある」

ソーニャ「……どうしても、か?」

あぎり「あなたはやすなさんの話を聞いていなかったの?」

あぎり「私たち殺し屋は、自分たちが生きるために他人を殺している」

あぎり「他の人間たちもそう。自分が幸せになるために他人を不幸に落とす」

あぎり「幸せになるって、そういうことなのよ」

あぎり「だから、私を殺す覚悟のないあなたが、生きる権利なんてない。」

あぎり「私を不幸に突き落とせないあなたに、幸せになる権利なんてない……!!」

ソーニャ「あぎり……」

やすな「……殺し屋は、綺麗であろうなんて思ってはいけない」

やすな「それから足を洗っても、殺してきた人の無念は、背負い続けなければいけない」

やすな「誰かを不幸に突き落として、そしてそれを背負える人間しか、幸せにはなれないんだ」

やすな「だから私たちは、私たちのわがままを通すために、この人を殺すんだ……!!」

ソーニャ「……そうだな」

ソーニャ「あぎり。お前と同じ組織で活動した期間、私は救われたようだった」

ソーニャ「人を殺すためだけに生きていた私に、お前は色んなことを教えてくれた」

ソーニャ「お前と過ごした時間、思い出、全部、絶対に忘れない。だから……」



ソーニャ「――私たちの身勝手な幸せのために、死んでくれ」

あぎり「非情になりましたね、ソーニャ。これで組織に残ってくれれば組織的には万々歳なのでしょうが」

ソーニャ「あぎり……」

あぎり「ソーニャ。お願いがあります。どうか私の死体を残さないで」

あぎり「私はこれでも忍者。最後は跡形もなく消え去りたいのです」

やすな「……ソーニャちゃん。C4爆弾を、あぎりさんに」

ソーニャ「…………」

ソーニャ「私は――」グスッ

あぎり「いいんです、ソーニャ。何も言わないで」

ソーニャ「でも……私は……」ポロポロ

あぎり「ソーニャ。あなたは、私に最高の贈り物をくれました」

あぎり「私のような人殺しが、誰かの為に死ねるんです。……これが喜劇でなくてなんなのか」


あぎり「ありがとう、ソーニャ」



体が、揺れる。

さほどエンジン音の鳴り響くわけでもない車に乗って
長い時間を過ごした私は、まどろみに誘われて、頭で船をこぐ。

今までの光景が全てウソだったかのように思えた。

やすなが用意した車に乗って、しばらくたった。
運転手であるやすなは、前を見据えて運転に集中している。


あれほどの経験をしたのに、全く動じずに長時間運転できる彼女には驚いた。

運転技術もなかなかのもので、任務遂行のために私も車を使うことはあるが、
その技術に関してはやすなに敵いそうもないと素直に思った。

いや、私がやすなに敵うところなんて、あるのだろうか?

きっとやすなは、今回のようなことを何度も乗り越えてきたのだろう。
対して、私はさっきのショックを未だに忘れられない。


あぎりは何も悪くない。

断じて、私たちの不幸を願って立ちはだかったわけでも、
彼女が今回の件の黒幕だったわけでも、無い。

あぎりは、私とやすなの監視及び取締役に抜擢されただけだ。
あいつはただ、組織に命令されて動いていただけなのだ。

「そろそろ、お目覚めかな……?」

やすなが、私のいる後席部を見て言う。
私が静かだったので、寝ていると思ったのだろうか。

「ん……、起きているよ、やすな」

「あー、おはよう。ソーニャちゃん。それと――」

「ふぁ~……。 おはようございます、やすなさん」

私の後ろの荷物入れのほうから、長い髪の女性があらわれる。
ああ、やすなが見ていたのは私ではなく私の後ろのヤツか。

「おはようございます。そろそろ付きますよ」

後ろのヤツ……?



あぎり「あらソーニャ。顔色が悪いですよ? 酔いましたか?」



ソーニャ「……!? あぎり!? なぜ生きている? なぜここにいる!?」

あぎり「偉く哲学的な質問ですね~。生きる理由などなくとも人は生きられますよ~」

やすな「あー、ちょっと説明長くなるね。ごめん、そこらで車止めようか」

ソーニャ「ちょ、お前、やすな、なんでそんな平然として……」

あぎり「あなたが殺したのは、私の分身です。もう一人の方が本体でした」

ソーニャ「で、でも、あの時やすなが『こっちが本体だ』って……?」

やすな「あの時、わたしとあぎりさんで話をした時、決めたことなの」

あぎり「あなたの行動によって、私たちがどう行動するか」

ソーニャ(いや確かにあのC4爆弾に簡単に引っ掛かったのには合点がいってなかったぞ……?)

ソーニャ(そもそも愛液がどうとか、そこまで激しくやすなと触れ合ってないし)

ソーニャ(つーかそれ以前に色が違うから色々とおかしいところはあった)

ソーニャ(あの時は勢いに流されてしまったが……)

あぎり「……選択権は、あなたにありました。これは、あなたの選択の結果です」

ソーニャ「選択権って、何だよ……?」

あぎり「やすなさんを殺して、殺し屋として職務と責任を全うするか、
    私を殺して、無責任に幸せな日々に逃げるか、選択する権利です。」

やすな「ソーニャちゃんが前者を選んだなら、私は殺されるつもりだった」

あぎり「でもあなたは、ギリギリになって後者を選びました」

あぎり「あなたが本当に無責任に後者を選んだのであれば、
    本体はこっちだと名乗り出て、私は殺されるつもりでした」

ソーニャ「どうして……?」


あぎり「私を背負おうとしてくれない人の為に、生きていても意味がないからです」

ソーニャ「…………」

あぎり「でも、違った。あなたは言ってくれた。『私たちの身勝手な幸せのために、死んでくれ』と」

あぎり「自分を正当化することもなく、ましてや責任転嫁をすることもなく、
    自分自身が行う非道な行為を受け止め、私の死を背負う決意を見せてくれたから」

あぎり「だから、私はあなたを。そしてやすなさんを守る為に生きましょう」

ソーニャ「あ、あぎり……!!」

あぎり「組織は私が殺されたと思って、あなたのことを諦めているでしょう。
    ですが、新たな戦力を手にすれば、あなたに対して報復行為を行うはずです」

やすな「私と、あぎりさんと、ソーニャちゃんなら、誰が来たって平気だよ!」

ソーニャ「やすな、あぎり……!!」ウルッ…

あぎり「ソーニャ、再確認しますよ?」

ソーニャ「あ、ああ」



私たちは、殺し屋だった。

私たちは、自分たちが生きるために他人を殺していた。

やすな「大好きだよ、ソーニャちゃん」

ソーニャ「……私もだよ、やすな」

あぎり「うふふ~。守るだけじゃなくて、お邪魔虫にもなってやろうかしら?」

やすな「あはは。あぎりさんも、好きですよ」

ソーニャ「え、やすな……」ガーン



人は誰しも、自分が幸せになるために他人を不幸に落とす。

私たちは、今になってそれをやめ、幸せな日常に甘んじようとしている。

やすな「あっ、えと、そういう意味じゃなくて!」

あぎり「あらあら、友達として好き合っていたお二人も、今では恋人同然ね。
    『最近は女同士でこういう遊びくらいするもん』とか言ってたくせに」

ソーニャ「バカ、ただの友達同士でそんなことするわけないだろ」

やすな「さっきと言ってること違うよソーニャちゃん……」

ソーニャ「ああ、違うよ。嫌か?」

やすな「い、嫌じゃないけど…… ///」カァア



だからこそ、今まで殺して来た人の犠牲を忘れずに、私たちは生きていく。

過去をなかったことにせず、自分を正当化せず、しっかりと背負って、私たちは生きていく。

やすな「さて、これからどこにいこうか?」

あぎり「運転手のやすなさんにお任せしますよ」

ソーニャ「ってか、そのへんの計画は全くしてなかったのかよ?」

やすな「えへへ。でも、いいじゃん! あてのない旅ってのも!」

ソーニャ「それもそうかもな。んじゃ、どこか遠くにいこうか」

あぎり「遠くって、どこかしら?」

ソーニャ「そうだな。誰も私たちの事を知らない、どこか遠くだな」

やすな「なかなかロマンがあるね! それじゃ、気の向くままにレッツゴー!!」



その事実を、きちんと背負える人間しか、幸せになってはいけないのだから。





TRUE END

アニメ放送中に書き溜めし始めて
アニメ最終回の日と同時に投稿しようとしたら用事入ってできなくなって
そっからタイミング逃しまくって今日に至るクズによる初SSでした
バトルシーンはもう流し読みでいいっすよあれもうマジで。二度と書かん。

作者本人だったしにたい

>>540

今日からキルミーSSでVIP埋め尽くすからまってろ
あとガブリチュウは値段の割にうまい

↓以下、ガブリチュウスレ↓


ラムネ味

ガブリチュウ知らない俺に3行で

>>543

         ,, _
       /     ` 、
      /  (_ノL_)  ヽ
      /   ´・  ・`  l    キルミーベイベーは死んだんだ
     (l     し    l)    いくら呼んでも帰っては来ないんだ
.     l    __   l    もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ
      > 、 _      ィ
     /      ̄   ヽ
     / |         iヽ
    |\|         |/|

    | ||/\/\/\/| |

>>548

30円
コスパ最強
この商品の素晴らしさを語るには3行もいらず

>>549

うっせーよ
俺ァ原作全巻とCD3種とBD全種(予約含む)買ったんだ 二期来るに決まってんだろ
こなくても、今でもカヅホさん楽しそうに料理作ってんだから原作続くよ


つーかなんでSS書いた後に全レスする
痛い作者みたいになってんだよ
名前欄に心中書くのもミスリードのつもりだったけど今見直したら痛ぇよ

ガブリチュウ食って寝る  乙!

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