美希「好きって気持ち、すれ違う心」 (29)

――誰?

遠くの方で声が聴こえる。

叫んでる?

ミキ、怒られてるの?

何でかな?ミキ、何も悪い事してないよ?

ぼんやりだけど…?ミキの為?

何でそんなにミキの為に…

それに何だろ…ミキの事を呼んでる…?

「―――…希!美希!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386339147

11月10日(765プロ事務所)

美希「ふぇ?」

伊織「ちょっと美希!いつまで寝てるのよ!」

美希「あー、でこちゃん…おはようなの」

伊織「おはようじゃないわよ!それにでこちゃんって言わないでよ!何度言わせるのよ!」

美希「だって、でこちゃんはでこちゃんだし。何も間違ってないの」

伊織「根本から間違ってんのよ!本っ当、事務所に何しに来てんのよアンタ…」

美希「んー…お昼寝、かな?」

伊織「幸せそうで、羨ましいわね全く!私は仕事行ってくるから、アンタも頑張りなさいよ!」

美希「え?何のお仕事?」

伊織「教えてあげな~い。バイバイ」

美希「ケチ!でこちゃんの意地悪!悪魔!」

伊織「悪魔じゃないわよ!失礼しちゃうわね!もう!」

ガチャ バタン


小鳥「ふふっ今日も伊織ちゃんと美希ちゃんは仲良しね」

美希「ねぇねぇ小鳥~でこちゃんは今日、何のお仕事?」

小鳥「伊織ちゃん?今日は、一人で雑誌の撮影と取材だったかしら。竜宮小町も少しは名前が売れてきて、取材のお仕事も多くなってきたわよね」

美希「ふ~ん…ミキも、もっと色んなお仕事したいな」

小鳥「そうねぇ、美希ちゃんはスタイルも抜群だし、ルックスも可愛いからどんどん仕事が来てもよさそうなのに」

美希「ミキ的には~プロデューサーの頑張りが足りないって思うな」

小鳥「うっ…また直球な…でもプロデューサーさんも一生懸命頑張ってるから、応援してあげてね」アセアセ

美希「うん、ミキは夢の中で応援するね、ふぁいとぉーって。それじゃおやすみなさーい」ドサッ

小鳥「あら…美希ちゃんったら」


ガチャ

P「ただいま、戻りました」

小鳥「おかえりなさい、プロデューサーさん」

P「あれ?今日は美希だけですか?」

小鳥「さっきまで、伊織ちゃんもいたんですけどね」

P「そうですか…おーい、美希?起きてるか?」

美希「ん~?あ、プロデューサーおはようなの」

P「お前…よくそんなに寝られるな…」

美希「ミキの幸せな時間を邪魔しないでほしいな」

P「あはは…美希、イベントアシスタントのオーディションがあるけど、どうする?受けてみるか?」

美希「ミキ的には、そういうのパス。それに今は春香と真君とのユニットで頑張ってるわけだし」

P「そっか」

美希「プロデューサー、ミキはもっと舞台の上でキラキラ出来るお仕事したいな」

P「こういう仕事で実績を積み上げて、可能性を引き寄せていくっていうのも一つの手だぞ?」

美希「だってつまんないんだもん、何か自由が利かないっていうか」

P「了解、また違う仕事見つけてくるよ、小鳥さんちょっと屋上行ってきます」

小鳥「は~い」

美希「あふぅ…眠いの」バタッ

11月13日(765プロ事務所)

美希「ねぇねぇ、で~こちゃん」ヌッ

伊織「何よいきなり!あとね、でこちゃん禁止だから!」

美希「ファンのみんながいっぱいのステージって、気持ちいい?スポットライトをパーって浴びると、とってもキラキラしてるって気がする?」

伊織「そんなのあったり前じゃない!皆がこの伊織ちゃんの事を観て一緒に楽しんでくれてるんだもの!最高の気分に決まってるでしょ!」

美希「ミキもいつかは、でこちゃんと同じ舞台で踊ったり、歌を歌ったり出来たらイイなって思ってるんだ」

伊織「はぁ…美希、悪いけど、今のアンタじゃ無理よ」

美希「え…何で?」

伊織「アンタには足りない物が多すぎるのよ」

美希「そんな事ないって思うな、ミキだってちゃんとお仕事してるし、ダンスも歌も頑張ってるんだけど?」

伊織「…本当にそう思っているんなら、何も言う事はないわ」

美希「でこちゃんはそういう所、考え過ぎなの」

伊織「…っ!アンタのそういう所が色々足りないって言ってるのよ!バカっ!…私、行く所あるから、帰るわ」スッ

ガチャバタン

美希「あれ…でこちゃん、何で怒ってるのかな」

11月17日(765プロ事務所)

伊織「じゃあ、そういう事だから律子、よろしくね」

律子「分かったわ」

ガチャ

美希「おはよ~なの」

小鳥「美希ちゃん、おはようございます!」

律子「あ、美希おはよう」

美希「あっ、でこちゃん!今日も一段と――」

伊織「律子、先に私現場に行くから」

律子「え?あ、うん、わかったわ、気を付けて」

スタスタスタ ガチャバタン

美希「…」

律子「一体どうしたのかしら伊織、美希に対してあんな露骨に避ける態度…」

美希「…きっと、ミキの事が嫌いになっちゃった…のかな?」

小鳥「そんな事…」

ガチャ

P「おはようございまーす」

春香「おはようございま…あれ?」

真「おはようございますっ!…ん?何か皆テンション低い?」

P「…律子、ちょっといいか?」

律子「はい」

(応接室)

P「何かあったのか?」

律子「いえ、原因は分からないんですが、先ほど伊織が美希の事を避ける様な態度を取って」

P「伊織はさっき階段ですれ違ったけど、特別変わった様子は無かったな」

律子「美希との間に何かあったんでしょうか…」

P「現状、何とも言えないな。少し様子を見よう」

律子「分かりました、こっちも何かあれば連絡します」

P「うん、宜しくな」

律子「じゃあ私、現場向かいますね」

P「ああ、気を付けて」

(給湯室)

春香「美希?大丈夫?何か凄く元気ないけど…」

美希「そ、そんな事ないの!ミキはいつも通り元気いっぱいなの!」

真「本当?さっき悲しそうな顔してたから…」

美希「…ミキ的には真君が心配し過ぎって思うな!」

真「そ、そう?…ならいいんだけどさ」

P「春香、真、美希!打ち合わせ始めるから、集まってくれるか」

美希「はいなの!」

(打ち合わせスペース)

P「じゃ、23日に行われるフェスでの打ち合わせをするぞ」

春香・真「はい」

美希(でこちゃん…何で…ミキとお話してくれないのかな…)

P「―――か――だから――」

美希(ミキはただ…でこちゃんと一緒に…)

P「美希!」

美希「は、はいなの!」

P「話、聞いてるか?」

美希「あ…ちょっとぼーっとしちゃったの」

P「大事な所だから良く聞いておいてな」

美希「ご、ごめんなさい」

同日(イベント会場)

ワーッ イオリーン!! アミー!! アズササーン!!

伊織「今日は竜宮小町のミニライブに来てくれて皆ありがとーっ!」

亜美「これからもバシバシ活動していくから亜美達の応援宜しくね~っ!」

あずさ「いつもいつも応援して下さって、私、幸せです~うふふっ」

ワーッ!!

伊織「今日は本当にありがとうございましたー!」

亜美「バイバーイ!」

あずさ「またお会いしましょ~!」

(控室)

律子「みんな、お疲れ様!一旦事務所に戻ってから解散、反省会は後日行うわ」

亜美「あ~亜美、もうヘトヘトだよぉ~」

あずさ「それじゃあ、帰りましょうかぁ」

伊織「ええ」

律子「…」

765プロ事務所(給湯室)

亜美「たっだいまぁ~」

あずさ「お疲れ様です~」

小鳥「あ、みんなおかえりなさい!」

律子「ただいま戻りました、他のみんなは?」

小鳥「まだ帰って来てないですね、そろそろ帰ってくるんじゃないでしょうか」

伊織「じゃあ、悪いけど私は行く所があるから、帰るわね」

亜美「んっふっふ~♪いおり~ん、最近はイソイソと帰るのが目立ちますが、デートですかな?」

伊織「スーパーアイドルの私がデートなんかしてたら大スクープになっちゃうでしょ、バカ」

亜美「何かドキドキするじゃん、お忍びデートとか!」

あずさ「あらあら~憧れるわぁ~世間の目を盗んで誰かとデートいいわねぇ」

伊織「…あはは…じゃあ、帰るわね!お疲れ様!」

律子「あ、伊織!ちょっと待って!」

伊織「何?手短にお願い」

律子「あ、あの…美希と何かあったの?」

伊織「…何もないわよ?」

律子「この前、露骨に避けてる様に見えたから…」

伊織「…本当に何もないから」スッ

律子「あ、伊織!」

(送迎車内)

伊織(無視なんてするつもり…なかった)

――でこちゃん…

伊織(美希、怒ってるかな…)

――でこちゃんと同じ舞台で…

伊織(私だって、アンタと一緒の舞台に立てたら…)

新堂「お嬢様、到着致しました」

伊織「あ、ありがとう。またいつもの時間に迎えに来て」

新堂「かしこまりました、いってらっしゃいませ」

伊織(さぁ、時間もないから頑張るわよ!)ガチャ ミナセサンコンニチハー

11月21日 ダンスレッスンスタジオ

トレーナー「いち!に!さん!し!いち…ストップストップ!星井さん!ちょっと遅れてるわよ!」

美希「…ご、ごめんなさいなの」

春香「美希、どうしたの?いつもの美希なら簡単なパートだと思うんだけど、体調でも悪いの?」

真「本当、一体どうしたの美希?らしくないっていうか」

美希「ミキにもよく分からないの…みんなに迷惑かけたくないのに、フェスも絶対成功させたいって思うのに…」

トレーナー「…しょうがないわね、一旦休憩しましょう」

美希(何か変なの…今までこんな事無かったのに…)

春香「美希、ジュースどうぞ。何か辛そうだけど大丈夫?」

美希「ありがと、ごめんね心配かけて…何かミキ、変だよね」

真「元気出してよ美希!美希が元気無いと何か調子狂っちゃうよ!」

美希「ミキは元気なの!元気なんだけど…何かこう…モヤモヤするっていうか」

春香「もしかして美希、恋でもしてる?」

真「恋!?何!何!?ボクそういう話大好きだよ!」

美希「え!?そんな事、思ってもなかったの!」

春香「そういうのって自分じゃ気付かないもんだよね」

真「はぁ~!いいなぁ~そういうの!ボクもこうドキドキワクワクするような燃える恋をした~い!」

美希「真クン…何か…キャラ変わっちゃってるの」

春香「でも美希、恋の悩みでも仕事の悩みでも、何でも相談して!話せばすっきりする事もあると思うよ!」

真「うんうん、ボクも相談に乗るからさ、どんどん頼ってよ!」

美希「二人とも、ありがと。何だか元気が湧いてきたの!あはっ☆」

トレーナー「三人とも!練習再開するわよ!」

美希(恋?…そんなの…おかしいよね…でこちゃん)

11月22日 765プロ事務所(打ち合わせスペース)

P「みんな、今日まで練習お疲れ様、いよいよ明日がフェス本番だ」

春香「はい!」

真「はい!」

美希「はいなの!」

P「今日は、早く帰って明日に備えて欲しいと思う」

春香「わかりました」

真「体調崩したら元も子もないもんね」

P「美希、あまり調子良くなさそうだって聞いてたけど、どうだ?大丈夫か?」

美希「まだミキの全力は出せてないってカンジかな」

P「今日はゆっくり休んで、明日全力で頼むぞ!」

美希「うん、わかったの」

P「それじゃ今日は解散!」

美希「二人とも、明日はよろしくなの!」

春香「うん、帰り気を付けてね!」

真「また明日!」

(帰り道)

美希(結局…一度もちゃんと踊れなかったの…明日こそは…)


同日後刻 765プロ事務所

ガチャ バタン!!

伊織「美希は!?」

律子「伊織?どうしたのよ、そんなに慌てて」

伊織「美希はどこ!?」

P「美希ならもう帰ったぞ、明日に備えて早く解散したんだ」

伊織「トレーナーに聞いたのよ!美希、一回も通しでちゃんと踊れなかったって!」

P「俺もそれは確認してる、美希にも聞いたけど体調は問題なさそうだったし、やる気も充分だったぞ?少し緊張しているのかもしれない」

伊織「アンタ、プロデューサー失格ね。今まで美希の何を見てきたのよ!」

律子「伊織、ちょっと落ち着きなさいよ」

伊織「…律子、美希達の出るフェス、私も行くわ」

律子「行ってどうするの?」

伊織「美希に一言言わないと気が済まないわ」

P「…ああ、お前なら美希に何が起きているか解る、そしてその事に対する解決策があるって事か?」

伊織「解決するかどうかは分からないわ…けど」

P「けど?」




伊織「今の美希を何とか出来るのはこの水瀬伊織だって事だけは言えるわ」



11月23日 フェス会場(控室)

春香「フェスって何度来ても緊張するね、心臓ドキドキしてる」

真「ボク達だけじゃないからね、余計に緊張するよ」

美希「…」

春香「美希?」

美希「えっ?」

真「大丈夫?何だかぼけっとしてたみたいだけど」

美希「そ、そんな事はないの!ミキはとっても元気だよ!」

春香「ならいいんだけど…今日は美希の誕生日だし!ファンの皆にもお祝いして貰おうよ!」

真「フェスの日に誕生日かぁ、美希にとっても忘れられない一日になりそうだね!」

美希「うん、練習で出来なかった分、ここでいーっぱい頑張るから!」

春香「その意気!その意気!」

美希(…何でだろ…舞台に立つのが…怖い)

コンコンコンコン

P「春香?真?美希?入るぞ?」

春香「あ、はい!どうぞ!」

ガチャ

P「準備、出来たか?」

真「ばっちりですよ!プロデューサー!」

P「美希は…どうだ?」

美希「う、うん、大丈夫だよ…ミキの事は心配いらないの」

P「そうか、それなら良かった」

美希「…プロデューサーは心配しすぎって思うな」

P「本当に大丈夫か?」

コンコンコンコン

P「はい」

スタッフ「765プロさーん!そろそろ出番でーす!宜しくお願いしまーす!」

P「わかりました、三人とも!行こう!」

(ステージ袖)

ワァアア!!

美希(ファンのみんなの声…)

ミキミキー!!

美希(あんなに楽しみだったキラキラした舞台…)

ウォオオ!!

美希(なのに…怖いよ)

春香「美希?震えてる…大丈夫?」

真「美希…」

美希「ミキ、またみんなに迷惑かけちゃうね…ごめんね。ダメダメだね…」

P「美希…無理は――」

伊織「――何甘ったれた事言ってるのよ!」

P「えっ!?」

春香「伊織!?」

真「どうしてここに!?」

伊織「美希、アンタ舞台に立ってキラキラしたいって言ってたわよね、美希がそんなんでファンのみんなが喜ぶと思ってんの!?」ウルッ

美希「でこちゃん…泣いてる?」

伊織「アンタのそんな情けない姿…見たくないわよ…」グスッ

美希「…ごめんなの」

伊織「…無視しちゃった事で、美希に色々考えさせてしまった事は謝るわ」

美希「…」

伊織「私だって、無視なんて事、するつもり無かったわよ…でもアンタのやる気の無さがもどかしくて、才能もあるのにどうしてって」

P「伊織…」

美希「でも、でこちゃんの方がいっぱい頑張ってるし、活躍してるし、ミキはとっても羨ましかった…置いていかれちゃうって思ったの」

伊織「アンタの力はそんなもんじゃない。ずっと近くで見てきたこの伊織ちゃんが言うんだから間違いないわ」

美希「でこちゃん…でこちゃん!ありがとう!ミキ、いーっぱいやる気出てきた!あはっ☆」

春香「美希、伊織とそんな事があったなんて知らなかった、でも…仲直りできて良かった」

美希「うん、春香にもいっぱい心配かけてごめんね」

真「いいなぁ~こういうの!何か、一致団結って感じで、やる気出てくるね!」

美希「真君にも、たくさん迷惑かけちゃった、ミキ頑張るからね!」

伊織「いってらっしゃい、美希。キラキラ輝く美希をファンのみんなは待ってる」

美希「分かったの!でこちゃんも、ミキ達のステージ観て!竜宮小町も羨ましがるぐらい、最高のステージにするね!」

伊織「もちろんよ、だけど竜宮小町より凄いステージにするのは無理だと思うけど」

美希「むーっ!でこちゃんの意地悪!」ベーッ タッタッタッ…

ワァアアアアッ!!

伊織「美希、自信持ちなさい、アンタは間違いなくファンのみんなを幸せに出来る…そんな才能に満ち溢れたアイドルなんだからね、にひひっ!」

P「伊織、ありがとな。お前のお蔭で、いつもの美希が帰ってきたよ」

伊織「美希があんな風になった原因を作った張本人だからね、ちゃんと責任は取ったわよ」

P「美希もまた、一つ成長したんだと思う、俺も頑張って竜宮小町に負けないユニットにしていかないとな」

伊織「ふん、このスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんがリーダーを務める竜宮小町が負ける訳がないじゃない」

P「美希達の良きライバルとして、今後とも宜しく頼むよ」

伊織「な、何よ改まって…容赦しないんだから!」フンッ

P「ははは」

同日(ライブ後控室)

春香「はぁああああ~終わったぁあああ~」

真「すっごく緊張したけど、楽しかったなぁ~!」

春香「隣のステージでライブしてたアイドル達も凄い熱気で頑張ってたけど、逆に良い刺激になったね」

真「ボク達の方が盛り上がってた気がするよ!…へへっ!」」

美希「ミキも本当楽しかったの!いっぱいキラキラ出来たって感じ!」

春香「美希はいつも以上にキレが良かったよね!これも伊織のお蔭かな?」

美希「そういえばでこちゃん、どこ行ったんだろ、ミキ、ちょっと見てくるね」

真「うん、いってらっしゃい」

(関係者ロビー)

美希「あ、でこちゃん、見つけたの!」ダッ!!

伊織「でこちゃんは禁止ってあ――」

ガシッ!!

伊織「み、美希?」

美希「ありがとう、でこちゃん。でこちゃんのお蔭でミキ、いっぱい、いーっぱいキラキラ輝けたよ」

伊織「美希…」

美希「ミキ、すっごく怖かったの、でこちゃんともう一緒に居られないのかな?お話出来ないのかなって、すっごく怖かった」

伊織「それは、私だって怖かったわよ、自分でもあんな態度取った事を心の底から後悔してたんだから」

美希「ミキね、もうちょっとやる気出して頑張る、竜宮小町にも負けないぐらい
頑張るの」

伊織「…それと美希、これ」スッ

美希「なぁに?これ」

伊織「美希、誕生日おめでと」

美希「でこちゃん!これ誕生日プレゼント!?」

伊織「開けてみて」

パカ

美希「これ、シルバーリング?」

伊織「私のお手製なんだからね!」

美希「でこちゃんが作ったの!?」

伊織「そうよ!この日の為にわざわざ、銀細工の先生の所へ通って作ってたんだから!」

美希「だから最近早く事務所からいなくなってたんだ」

伊織「本当大変だったんだから…」

美希「ありがと、でこちゃん!宝物にするね!」ギュッ

伊織「…無くしたりしたら、一生許さないんだからね!」

美希「うん!でこちゃん…大好き!」

伊織「…私も…大好きよ…美希」ボソボソ

美希「ん?なぁに?でこちゃん?」

伊織「…何でもないわよ!あと普通にでこちゃんって言ってるけどやめてよね!」

美希「?変なでこちゃん」

11月24日 765プロ事務所

美希「ねぇねぇ~小鳥見て!このシルバーリング!カッコいいでしょ?」

小鳥「み、美希ちゃん!?いいい一体誰に貰ったの!?そんな指輪!」

美希「ナイショなの!」

小鳥「ままままさか!男の人じゃないわよね!?違うわよね!?」

ガチャ

律子「おはようございまーす、ん?二人とも、朝から何の騒ぎ?」

伊織「おはよう~」

小鳥「あわわわわ…」アセアセ

美希「あ!でこちゃん!おはようなの!見てこれ!」

伊織「げっ!」

律子「ん!美希!何よそのリング!」

美希「これはね!でこ―――」

伊織「あら~!!これは美希さん!と~~~っても素敵なリングをお召しになっていらっしゃるわね~一体どこの高級ブランドの指輪なのかしらねぇ~」

美希「だから、で―――」グイッ

伊織「美希!変な噂が立ったら拙いから、着けるのはオフだけにしてって言ったじゃない!」ヒソヒソ

美希「あ、すっかり忘れてたの」ヒソヒソ

律子「伊織?美希?何を隠れてコソコソ話してるのかしら~?」ゴゴゴゴ

美希「律子…さん、これは…その…えへへ」

伊織「律子?何でもないわよ?平和的に話し合いで解決しましょ?」

美希「ほらほら、ミキ、何も着けてないよ?みてみて?」ポーン

伊織「アンタ!今、何処かに投げたでしょ!」

美希「あれ?…どっか飛んでっちゃった?」

伊織「何やってんのよ!バカっ!」

律子「アンタら…」

ガチャ

P「おはよ~ございま~っす…ん?何やってんだ?二人とも」

伊織「ちょっと!そんな所でボケっと立ってないで、アンタも手伝いなさいよ!」

美希「ミキの宝物~どこいっちゃったの~」

P「…ほんっと…765プロは今日も平和だな」

美希「あ~ん!折角、でこちゃんに貰った大事な誕生日プレゼントなのに~!!!」

伊織「こら~!!!美希!!!大声で言ってんじゃないわよ!!!」

律子「なるほど」

小鳥「アイドルの隠れた恋、周りの目を盗んで密かに会う恋人二人!なんてエキサイティング!ロマンティック!あ~!ダメよ~!小鳥ぃ~~!!」

P「音無さん…恋も何も…男の影はなくなりましたから」

小鳥「何言ってるんですか、プロデューサーさん!世の中には百合というジャンルも存在し…え?あれ?嫌だ私ったら…おほほほほ」

P「…え」

律子「まさか…ね…」

美希「リング!どこなの~~~!!!」

おしまい

大分遅れてしまいましたが、美希誕SSでいおみき。

美希、誕生日おめでとうございましたw

読んでいただいた方、ありがとうございました。
またの機会に、お目にかかれればと思います。
それでは。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom