恒一「死の色?」(213)

-4月中旬-

怜子「どう?もう痛くない?」

恒一「まだ少し痛みますけど…大丈夫です」

民江「本当にもう…まだこんなに若いのにかわいそうにねぇ」

恒一「えっと…ごめんなさい、お祖母ちゃん」

民江「やだねぇ、気にするんじゃないよ。仕方ないからね」

怜子「それにしても…やっぱりそれ外して見せてくれないの?私は綺麗だと思ったんだけど」

民江「こら、いい加減にしなさい!」



早苗「ほほう、今度はキング先生ですか~、ホラー少年♪」

風見・桜木・赤沢「……」

早苗「んじゃ、あとはよろしく~」

風見「僕達、夜見山北中学の3年3組の生徒です」
   「僕は風見智彦といいます。こっちはゆか…桜木さん」

桜木「あ、初めまして。桜木ゆかりです」

風見「こっちは―」

赤沢「赤沢泉美よ」

恒一「あの…何か?」

風見「あっ、えーとですね…」
   「僕とゆか…桜木さんはクラス委員長で赤沢さんは対策係で今日は3組の代表として来たんです」

恒一「対策係?」

桜木「えっと本当は月曜から出てくるはずだったのが急な怪我でって聞いて」
   「クラスの代表でお見舞いに行こうって話になったんです」

恒一「なんかごめんね…」

桜木「いいえ!そんな…」

風見「あの、これを。一学期が始まってからのノートをコピーしてきたから」

恒一「ありがとう!登校はたぶん来週辺りからになると思うけどよろしく」

赤沢「さかきば…恒一君よね。恒一君って呼んでいい?」

恒一「え…どうぞ」

赤沢「それじゃあ本題に入りましょうか」
   「今日ここにきた本当の理由は恒一君に3組の災厄について説明することなの」

恒一「3組の災厄…?」

赤沢「―というのが災厄について現在分かっていること」

恒一「毎月一人以上クラスの関係者が死ぬ現象、か。ちょっと信じ難い話だね…」

赤沢「無理もないでしょうね。でもこれは実際に起きている現象なの」
   「今までの犠牲者や詳しい情報は第二図書室に資料として保管されているわ」

恒一「……」

赤沢「今年は確かに机は足りていた」
   「それなのにクラスメイトから姉妹が急死したという報告が出ている」
   「単なる偶然かもしれない…それでも警戒する必要はあると思うの」

恒一「分かったよ…」

赤沢「それじゃ、これからもよろしくね。恒一君」

-初登校日-

ピピピピピ ピピピピピ

陽介『おう、おはよう!元気か?』

恒一「ん…おはよう」

陽介『こっちは夜中の二時だ。暑いぞ~インドは』

恒一「…どうしたの?」

陽介『今日から学校なんだろ?激励の電話だ、感謝しろ』

恒一「ああ、うん」

陽介『目の方はどうだ?俺がオーダーしてやったアレ、気に入ったか?』

恒一「あのさぁ…なんでこんな派手な色にしたの?」

陽介『はははっ、綺麗でいいだろ~』

恒一「…ったく」

陽介『まぁ学校の方は気楽に頑張れ。んじゃお義父さんとお義母さんによろしくな』

恒一「うん」

陽介『暑いぞ~インドは!』ブツッ

ツーツーツー

恒一「…はぁ」

レーちゃん「オハヨウ レーチャン オハヨウ」

恒一「レーちゃんはお前の名前だろ」

レーちゃん「ゲンキ ゲンキ ダシテネ」

民江「恒一ちゃん。ご飯だよー」

恒一「はーい」

恒一「父の仕事の都合で東京から引っ越してきた榊原恒一です。どうぞよろしく」


多々良「怪我…大変だったみたいですね」

恒一「まぁ自業自得みたいなものだから仕方ないよ」

勅使河原「やっぱり色々と不便だろ?何か困ったことがあったら遠慮せず言ってくれよ」

風見「キミじゃあまり役に立ちそうにないけどね」

勅使河原「なんだよそれ!?」

恒一「はは…ありがとう」

綾野「こういっちゃんはさ~、東京から引っ越してきたんだよね」
   「東京と夜見山だとどう?」

恒一「うーん、どちらかと言うとこっちの方が僕は好きかな」

多々良「どうしてですか?東京の方が色々あって楽しいと思いますが…」

恒一「東京は一日中ザワザワしてるような感じで落ち着かないんだ」
   「こっちは静かだし、なんだか落ち着くような雰囲気があって気に入ったよ」

綾野「なるほどなるほど~」

風見「東京に住んでた者ならではの意見だね」

望月「そういえばお父さんが大学教授なんだってね。それで今は外国に行ってるって」

恒一「あれ?なんでそれ知ってるの?」

多々良「久保寺先生から聞いてるので知ってますよ」

恒一「そうなんだ。前の中学のことも?」

風見「うん。大体の人は三神先生から聞いたよ」

勅使河原「あー、どうせだったら三神先生が担任ならよかったなぁ。美人だしよー」

望月「うんうん!」

恒一「ははは…」

綾野「おやおや?こういっちゃんは綺麗なお姉さんはお好みではないのかな?」

恒一「いや、そういうワケじゃ無いよ」

多々良「あ、あの!榊原君はど、どういうタイプが好きなんですか?」

恒一「あはは…勘弁してよ」

望月「そういえばお父さんが外国って、どこに行ってるの?」

恒一「インドだよ。この春から一年」

勅使河原「インドかー。俺は暑いの苦手だから無理だなー」

風見「大丈夫だよ。キミが研究でインドに行くことなんてまず無いから」

勅使河原「へいへい、行けませんよーだ」

恒一「そういえばこの前お見舞いに来てくれた赤沢さんは?」

綾野「泉美か~。なんか急に熱出したとかで休みだよ」

恒一「へぇ」

勅使河原「あ、そうだ!昼休みにでも校内をざっと案内してやるよ」

望月「そうだね。早くこの学校にも慣れて欲しいしね」

恒一「ありがとう。じゃあ是非」

-体育の授業-

綾野「由美は今日もちっこいね~」チョイチョイ

小椋「うっさいわね!アンタも大して大きくないでしょ!」

杉浦「はぁ…」

宮本「おーい次のヤツ!」

綾野「はい!」タタタッ
   「ぶべっ」ズザー

高林「榊原君も見学かい?」

恒一「まだ慣れてなくて危ないからってさ」
   「高林君は心臓が悪いんだっけ」

高林「うん。生まれつき、ね」

恒一「そっか…」

高林「気にしなくていいよ」
   「この体とも長い付き合いだしあまり気にしてないんだ」
   「……ちょっと具合悪いから保健室で休んでくるよ」

恒一「え!?ついて行こうか?」

高林「大丈夫だよ。いつもの事さ」

桜木「あれ?高林君、どうしたんですか?」

恒一「具合悪いから保健室に行くって」

桜木「そうですか…」

恒一「桜木さんは?」

桜木「昨日ちょっと転んで足を挫いちゃって」

恒一「そうなんだ」

桜木「そういえば昼休みに勅使河原君たちに校舎の案内してもらったみたいですけど、どうでした?」

恒一「案外すぐに慣れそうだよ」

桜木「それは良かったです」

-美術の授業-

三神「なんですか、これは?」

望月「レモンの叫びです」

三神「これでいいと思うわけ?」

望月「僕にはレモンがこう見えるんです」

三神「はぁ、授業の趣旨には合わないけど…まぁいいわ」

望月「すみません」

三神「謝る必要は無し。そのまま仕上げちゃいなさい」

恒一「ムンクが好きなの?」

望月「うん」

多々良「榊原君、結構絵上手いんですね」

恒一「そうかな?絵を描く事は結構好きだけど」

望月「ならさ、美術部に入らない?」

恒一「うーん、考えとくよ」

三神「勅使河原君、あなたは何を描いているの?」

勅使河原「リンゴです!」

三神「リンゴに手足は生えてません」

勅使河原「僕にはリンゴがこう見えるんです!」

三神「真面目にやりなさい!」

恒一「ムンクの叫びってさ、じっくり見ると怖い…と言うか不安にならない?」

望月「不安…そうだよね。全てが不安でどうしようも無い」
   「そんな気持ちを抉り出してくれる絵だから好きなんだ」

恒一「不安になるから…好き?」

望月「見ないフリしてても仕方無いからね」

恒一「災厄の事…だよね」

勅使河原「よっ、サーカキ!女の子の話か?だったら俺も混ぜろよ!」

恒一「残念ながらもっと暗い話」

勅使河原「なんだよそれ?」

恒一「世界を覆う不安について」

勅使河原「ははっ、何だよそれ」

恒一「勅使河原も不安?」

勅使河原「そりゃもう!なんせ3年に上がって呪われた3組になっちまったんだからな」

恒一「やっぱり1,2年でも噂になってたの?」

望月「うん。でも殆どの人は信じてなかったけどね」

勅使河原「3組になって第二図書室の千曳先生や卒業生たちに色々な資料突きつけられて」
      「それで信じざるを得なくなったんだ」
      「って言っても目の前で誰か死んじまったわけじゃねぇし実感湧かねぇけどな」

望月「このまま誰も死なず、無事に終わってくれればいいんだけどね…」

勅使河原「あの何て言ったけな…あぁ、見崎だ!見崎!」
      「アイツの姉妹が死んだってのも、ただの偶然ならいいんだけどな」

恒一「……」

-三神家-

怜子「ぷはぁ!」
   「ところでさぁ、恒一君。部活はやらないの?」

恒一「そうですね…実は今日、美術部に入らないかって誘われちゃって」

怜子「美術好きなの?」

恒一「興味はあります。ただ、あまり自信は無くて」

怜子「ふむふむ。まぁ時間はあるしゆっくり考えなさい」
   「自信なんてのは最初から誰にでも備わってるものじゃないんだから」

-5月-

先生「交流回路で消費される精力がー、交尾回路で消費される電力の例がー、負荷がコンドームの時ー」

恒一「(はぁ…一度受けた授業だしやっぱり暇だな…)」


勅使河原「試験が終わったら進路指導かー。改まってそんな話するってのも激しく憂鬱だぜ」

風見「高校進学率は今日日95パーセント以上だ。大丈夫、君にも行ける高校はある」

勅使河原「それ、励ましてんのか?」

風見「そのつもりだけど」

勅使河原「そういやサカキは高校どうすんだ?」

恒一「来年の春には父さんが帰国するしたぶん東京の私立に」

綾野「いいな~。私も東京の学校行きたいな~」

小椋「アンタの成績じゃ無理でしょ」

恒一「そんな事ないよ。今からでも頑張って勉強すれば成績なんてどうにでもなるさ」

-試験当日-

恒一「(結構時間余っちゃったな…)」

風見「(ダメだ…ゆかりの事ばかり考えてしまう…)」

赤沢「(どうしよう全然分からない…災厄の対策に集中し過ぎて試験の対策忘れてたわ)」

猿田「(全く分からんぞな。諦めたぞな)」

佐藤「(眠い…)」

宮本「桜木ー!」ガラッ
   「お母さんが事故にあったって連絡があってな。すぐに病院行け!」

桜木「え…そ、そんな…はい!」ガタッ

ナ、ナンダッテー!! マサカサイヤク?

久保寺「み、皆さん落ち着いて下さい…!」

桜木「はぁはぁ…」タタタッ
   「あっ!」ツルッ

グサッ ドンッ

宮本「何だ今の音は!?」タタタッ
   「…んなっ!お、おい桜木!!!」

ドーシタドーシタ ナンダナンダ

久保寺「どうしました!?こ、これは…」

宮本「久保寺先生!すぐに救急車を呼んで下さい!」
   「それから生徒は絶対に教室から出るな!」





久保寺「皆さんで桜木さんのご冥福をお祈りしましょう…」

赤沢「ゆかり…やっぱり今年は『ある年』なのね」

恒一「……」

医者「傷もほぼ完全に治ってますね」
   「ただ、手入れは毎日欠かさずにね」

恒一「はい」


恒一「(災厄…信じたくないけど本当にあるんだな…)」

綾野「あ!お仲間はっけーん!」

恒一「あれ?」

綾野「やっほー!こういっちゃんバックレ?」

恒一「いや、病院の帰りなんだけど」

綾野「あ、あははー。そっか、そうだよね~」

恒一「綾野さんは?風邪でも引いたの?」

綾野「あ、そうそう。げふんげふんっ!」

恒一「ダメじゃないか。早く家に帰って休んでなくちゃ!」

綾野「え!?あ、うん…そうだよね!」

恒一「…なんて騙されるワケないでしょ」

綾野「む!こういっちゃんの意地悪~!」

恒一「ごめんごめん」
   「でもダメだよ。学校サボっちゃ」

綾野「はーい」

ビュオオオオオッ ギィ

綾野「え?」

恒一「危ない!」ガバッ

ガシャァァァン!

恒一「ふぅ…あ、綾野さん大丈夫!?」

綾野「うぅ…やだ…死ぬのはやだよぉ」グスグス

恒一「綾野さん!」ガシッ

綾野「…こういっちゃん?」

恒一「もう大丈夫だから!」

綾野「でも…またいつ災厄が……うぅ」グスグス

恒一「また綾野さんに何かあっても僕が守るから!ね?」

綾野「…本当?」

恒一「うん!」

綾野「…分かった」

恒一「よし!じゃあ今日はもう家に帰ろうか」
   「僕が送ってくからさ」

綾野「えへへ、うん!」

-6月-

久保寺「高林君が自宅で心臓の発作を起こし亡くなったという事は聞いているかと思います…」
    「辛い事が続きますが…皆さんで頑張って乗り越えましょう」

赤沢「対策タイサクたいさくTaisaku…Countermeasure!」

杉浦「(泉美が最近おかしい…)」

望月「うぅ…高林君…」

-第二図書室-

恒一「………お母さん?」

千曳「見つかったかな」

恒一「はい」

千曳「よりによって74年とは…」
   「どの人かな、君のお母さんは」

恒一「この人です」

千曳「理津子君か…!」

恒一「知ってるんですか?」

千曳「ん、まぁ…理津子君とはなぁ」
   「しかし亡くなったと言っていたが…いつ?」

恒一「15年前…夜見山で僕を産んですぐに」

千曳「なるほど…つまり怜子君の年の災厄に巻き込まれた、と言うことか」

恒一「やっぱりそうなんですか…」

千曳「あぁ恐らく…」
   「だがね榊原君。怜子君を責めないでやって欲しいんだ」

恒一「もちろん責める気なんてありませんよ」
   「悪いのは…災厄ですから」

千曳「……」

-屋上-

勅使河原「たまには屋上で飯ってのもいいよなー!」

望月「ねぇ、立ち入り禁止って書いてあったけど大丈夫なのかな?」

勅使河原「細かいことは気にすんな!」

多々良「あの…私なんかを誘って頂いてよろしかったのでしょうか?」

恒一「もちろんだよ!一度多々良さんともゆっくり話したかったしね」

多々良「さ、榊原君///」

綾野「むっ!…こういっちゃん!」ギュッ

恒一「あ、綾野さん!?」

勅使河原「なんか随分と綾野に懐かれてんなーサカキ」

恒一「あはは…」

望月「榊原君のお弁当は今日も自分で?」

恒一「うん」

多々良「榊原君ってお料理出来るんですか?」

恒一「前の中学で料理研究部に入ってたからある程度ね」

多々良「あの…も、もし良かったら私にお料理教えてもらえませんか?」

恒一「え?僕なんかで良ければ」ニコ

綾野「じゃあさ、私にも教えてよ!こういっちゃん!」

恒一「いいよ」

多々良「(綾野さん…厄介なライバルね…)」

望月「三神先生のお弁当も榊原君が?」

恒一「ん?毎日ってワケじゃないけどたまに作ってるかな」

望月「へぇ」

恒一「そういえば対策係の赤沢さん、最近様子が変だよね」

勅使河原「ああ、アイツか」
      「災厄の事で色々と考えてるうちにおかしくなっちまったんだよな」


――
―――

赤沢「見崎さんの姉妹が亡くなった、という報告があったわ」

勅使河原「見崎って…あぁ、アイツか」
     「…今年は『ない年』だったんじゃねぇの?」
     「始業式の日、机の数は転校生の分も合わせてぴったりだったろ」

赤沢「でも実際に死人が出たの。まぁ今の段階では単なる偶然かも知れないけど」

勅使河原「じゃあよー、例のおまじないやるのかよ…いない者。俺は嫌だぜー」

風見「いない者のおまじないは始まってしまった災厄を止められるってワケじゃない」

赤沢「そうなのよ…」
   「それに机がぴったりだったという事はクラスに紛れ込んだ『もう一人』が存在しない、とも考えられる」
   「元々いない者は数合わせが目的だし…」

勅使河原「んー、よく分かんねぇな…」

赤沢「とりあえず今は様子見ね…」

―――
――


勅使河原「てなワケで対策も最初から手詰まりなんだ」

恒一「対策係も大変なんだね…」

綾野「災厄を止める方法って無いのかな…?」

多々良「最初の災厄が起きてから既に20年以上見つかってないみたいですし…」

恒一「でも何もしないで怯えてるより、何か方法が無いか探す方がいいかもしれないね」

勅使河原「そうだな。んじゃ後で過去の資料とか色々調べてみるか!」

-三神家-

ヴー゙ ヴー ヴー

恒一「はい―」

陽介『暑いぞ~インドは!』

恒一「なんだ父さんか…」

陽介『おいおい、なんだとはなんだよ」

恒一「…あのさ、お母さんから中学の思い出とか聞いたことある?」

陽介『なんだまた急に?』

恒一「お母さんも3年3組だったんだよね?」
   「何か思い当たることって無い?」

陽介『あー、…無い!』

恒一「…そっか」

陽介『ところで恒一!どうだ、一年半ぶりの夜見山は?』

恒一「一年半ぶり?中学上がってからこっち来たの初めてだけど」

陽介『いや、そんなハズは…』
   『あー…うだな……おく…いだ』ブツッ

ツーツーツー

-7月上旬-

勅使河原「結局、分かったのは過去に災厄が途中で止まった年があったこと」
      「しかし何故止まったのかは不明…ただ、その年は合宿を行っていた」

望月「やっぱり合宿で何かが起きて災厄が止まったのかな?」

恒一「その年の3組だった怜子さんに聞いても思い出せないって言うし…」
   「でも合宿には行けるように先生方に掛け合ってくれるってさ」

久保寺「……」ガラッ スタスタ ドンッ

一同「!?」

久保寺「イ゛エ゛アァアァァァッアア゛ツァァッァアッツァゥ――ヴンッ!!!」シャキンッ

勅使河原「包丁!?」

久保寺「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」ブンブン

恒一「…っ!皆、急いで教室の外へ!
   「望月君は他の先生を呼んできて!勅使河原はバケツに水を!」

勅使河原「お、おう!」

望月「分かったよ!」

恒一「やめてください!久保寺先生!」ガシッ

久保寺「ア゛ア゛ア゛?」ブンブン

恒一「っく…」

勅使河原「おい!水汲んできたぜ!」

恒一「ありがとう!」
   「うおおおおおおお!」バシャァ

久保寺「ア゛…!?」

恒一「落ち着いて下さい!自分の生徒達の前で何やってるんですか…!」

久保寺「う…あ…私は何をやろうと…?」

千曳「皆大丈夫か!」バンッ
   「む…もう終わったみたいだね」



勅使河原「お手柄だったなサカキ~」

望月「一時はどうなるかと思ったよ」

多々良「榊原君、流石です!」

恒一「いや、僕に出来ることをやっただけだよ」

綾野「久保寺先生がしばらく休むから代わりに三神先生が担任になるってさ~」

-7月中旬-

三神「急な話ですが8月8日から10日まで二泊三日のクラス合宿を行います」
   「これは大切な行事だと思ってください。都合のつく人は出来るだけ参加して下さい」
   「詳細は近日中に」


-昼・屋上-

勅使河原「今日は重大な話がある!」

恒一「うわ、急に大声出すなよ」

綾野「こういっちゃんの卵焼き美味しい」モグモグ

多々良「災厄に関わることですか…?」

勅使河原「おう!望月、お前から話せよな」

望月「うん。災厄の件、お姉さんも巻き込まれちゃう可能性だってあるから…」
   「あ、お姉さんってのはね」

恒一「イノヤの智香さんだよね」

望月「うん。…それで災厄のこと黙ってられなくて事情を詳しく話しちゃったんだ」
   「そしたらお姉さんも夜見北出身で3組の噂は知ってたみたいで」

勅使河原「ここでだ。その智香さんからビックリ情報が出てきたんだな」

望月「松永克己っていうイノヤの常連客が居るらしいんだ」
   「実はその人、3年3組出身だったみたいでお姉さんが色々聞いてみたらしいんだ。そしたら…」

『あの年の呪いは俺が止めたんだ。俺は悪くないんだ。皆を助けたんだ。』
『だから伝えなきゃと思って…残したんだ。アレを…』
   
勅使河原「呪いが止まった年、15年前の3組の生徒だったって事だな」

恒一「怜子さんの同級生…それより『アレ』を残したって?」

望月「それ以上聞いてもダメだったみたい…」

綾野「その松永って人に直接会って聞いてみるしかなくない?」

多々良「松永克己さん…?」

勅使河原「どうした多々良?」

多々良「小さい頃、隣の家に住んでた人で良く遊んでもらっていたので…」

勅使河原「マジか!今どこに居るか分かるか?」

多々良「いえ、それは…」

勅使河原「そっかー…」

恒一「分かった。松永さんについては怜子さんに聞いてみるよ」

勅使河原「おう、頼んだぜ」

-三神家-

怜子「災厄を止めた?」

恒一「ええ、本人がそういう事を言ってたみたいです」
   「ただ詳しいことは覚えていないらしくて」
   「怜子さんは松永さんのこと、覚えてますか?」

怜子「もちろん、同じ美術部だったしね」

恒一「そうだったんですか。あの、どうやって止めたとかそういう話は聞いてますか?」

怜子「そんなこと一言も…何も聞いてないと思う」

恒一「やっぱり合宿で何かが?」

怜子「うん…何かがあったのは確かよ。かと言って何があったのか…っていうのは思い出せないの」

恒一「やっぱり本人に聞くしか…」

怜子「分かった。マツには私から話をつけるわ」

恒一「よろしくお願いします」

恒一「―と、いうワケで隣町のリゾートホテルまで松永さんに会いに行くことになったよ」
   「なんでも住み込みで働いてるらしくて」
   「あと、海も近いから皆で遊びましょうって怜子さんが。夜見山の外なら災厄も無いからって」

勅使河原「イヤッホーイ!」

綾野「わーい!こういっちゃんと海だー!」

望月「三神先生の水着姿…」

多々良「あの、車のほうは…」

恒一「ああ、それなら怜子さんが6人乗れる車をレンタルしてくれるってさ」

-当日-

怜子「さて、準備完了」

恒一「あとは皆を待つだけですね」

勅使河原「おはよーっす」

望月「おはようございます」

怜子「あら、おはよう」

恒一「勅使河原の荷物、随分大きいね」

勅使河原「ま、色々準備してきたからな」

多々良「お待たせしました」

綾野「おっはよー!」

怜子「よし!全員揃ったわね!」
   「出発しましょうか」

勅使河原「んじゃ望月は助手席な。それで…」

綾野「楽しみだね。こういっちゃん!」

恒一「うん、そうだね」

勅使河原「んー、綾野はサカキの隣でいいか」
      「んで残った俺と多々良が一番後ろ」

多々良「むぅ…」

勅使河原「ん?」

怜子「よーし、飛ばすわよー!」

恒一「ちょっと怜子さん!まだ夜見山市内なんですから落ち着いて!」

怜子「それもそうね。…ん?何かしら」

望月「渋滞かな?」

勅使河原「うへぇ…マジかよ」

怜子「結構大きい事故みたいね…うちの生徒が巻き込まれてなければいいけど…」



綾野「着いたー!」

勅使河原「あぢぃ…」

怜子「松永君、急な出迎えに出てるらしくて」
   「一応、私の携帯の番号教えてるから戻ってきたら連絡が来るはずだけど」

勅使河原「よし!それじゃ先に海行くか!」

怜子「うん!そうしましょう」

勅使河原「よいしょ、よいしょっと」

恒一「随分荷物が多いと思ったら」

望月「あはは、折角の海だしね」

多々良「たまには羽を伸ばさないと気が滅入ってしまいますしね」


綾野「海だー!」

勅使河原「夏の海!俺の海ー!」

勅使河原「そういや、眼帯外したサカキ見るの初めてだな」

怜子「実は私も初めてなのよね。いつも嫌がって見せてくれなくて」

綾野「凄い綺麗ー!」

恒一「そうかな…ちょっと派手な色だから恥ずかしくて」

多々良「恥ずかしいなんて、そんな事ないですよ!」

望月「僕もそう思う」

恒一「ありがとう」
   「(なんだろう…怜子さんを見ると視界が少し曇るような不思議な色が…)」

綾野「よーし!ここだー!」ブンッ

勅使河原「うお!?危ねー!スイカはあっちだ!」


望月「三神先生!スイカ持ってきました」

怜子「ありがとー」

勅使河原「うめぇー!おらぁ!」ブブブブー

望月「うわっ!種飛ばさないでよ!」

そういや恒一が眼帯付けてる設定はっきり書いてなかったか…

綾野「こういっちゃん、行こう!」

恒一「うん!」

ザブーン!

綾野「てっしー!もっちー!」

勅使河原「おりゃ!」ガシッ

望月「よっと」ガシッ

多々良「きゃっ!?」

ザブーン!

恒一「あはは!」

多々良「ちょ、ちょっと!」

怜子「ふいー」プカプカ

勅使河原「せーの!」

恒一「おら!」

怜子「え、えー!?」

ザブーン!

怜子「こらー!二人とも!」

勅使河原「逃げろー!」

恒一「ごめんなさーい、怜子さん!」



怜子「そろそろお昼にしましょうか」

勅使河原「待ってました!じゃじゃーん!」

多々良「これは…ここで料理するんですか?」

勅使河原「その通り!」

恒一「あの大荷物はこういう事か…」

勅使河原「望月ー!釣り道具持ってきてるよなー」

望月「うん」

勅使河原「よし!ってことで材料調達だ!」

勅使河原「むぅ…釣れん」

望月「そんなすぐには釣れないよ」

綾野「こういっちゃん、これ何?」

恒一「それはアオサ。美味しくないよ」

多々良「これは何でしょう?」

恒一「それはテングサ。そのままじゃ食べられないかな」

勅使河原「お、来た来た!こいつは大物―」ザバッ
      「昆布…」

望月「あ、僕の方も来た!」ザバッ
   「魚だけど…小さい…」

勅使河原「よし、また来た!今度こそは―」ザバッ
      「ナ、ナマコ…?」





怜子「フグ、タコにヒトデ」
   「昆布?それにナマコと…ヤドカリ?」
   「ま、こんなもんか。お肉と野菜を買ってきておいたから皆で食べましょう」

一同「はーい!」

恒一「(タコとナマコにも怜子さんと同じような色が見える…?)」

勅使河原「ふー、食った食った」

望月「美味しかったね」

怜子「うぃ~」

松永「怜子か…?」

怜子「ん?」

松永「携帯に電話したんだけどな。電池切れてないか?」

怜子「え?…ありゃ」

松永「相変わらずそそっかしいな」

怜子「良くここが分かったわね」

松永「まぁホテルから一番近い浜だしな、ここは」

怜子「そっか」

多々良「松永さん?」

松永「ん…もしかして恵ちゃん!?」

多々良「はい。お久しぶりです」

松永「おー、そうか!いやぁ、随分大きくなったな(身長の話)」

多々良「え!?そ、そんな…杉浦さんや佐藤さんと比べたら私なんて…(おっぱいの話)」

松永「ん?」

多々良「え?」

松永「俺と同じくらいだよね?(身長の話)」

多々良「そ、そんな…いくらなんでもそんなに小さくは…(おっぱいの話)」

松永「小さいか…まぁ俺も男にしては小さい方だけどさ…(身長の話)」

多々良「え?」

松永「ん?」

怜子「はいはい、漫才はその辺にしときなさい」

恒一「あなたが松永さんですか?」

松永「あぁ。君は?」

恒一「僕は榊原恒一です」

松永「なるほど。君が怜子の甥か」

恒一「それで…智香さんの話によるとあなたが災厄を止めて、その方法をどこかに残したって…」

松永「あぁ…智香ちゃんもそう言ってるんだが、俺もそんなこと話した記憶が無いんだ」
   「だけど合宿の後、何かを隠したのは確かなんだよ…」

勅使河原「どこに隠したかってのは覚えてないんすか?」

松永「ちょっと待てよ……んー、そうだ学校…教室だ!」
   「教室のどこか、あまり目立たない所に何かを隠したんだ」

望月「教室…ってことは旧校舎だよね」

恒一「何を隠したんですか?」

松永「すまない…そこまでは思い出せそうにない」

恒一「そうですか…」

綾野「でも教室に隠したってことが分かっただけでも大きい収穫だよね!」

勅使河原「そうだな!」

恒一「ありがとうございました、松永さん」

松永「あぁ、少しでも役に立てて嬉しいよ。だが…気を付けてな」

恒一「はい」

怜子「今日はわざわざありがとね、マツ」

松永「気にすんな。久しぶりに会えて良かったよ」

怜子「ふふ、私もよ」

勅使河原「すぅ…すぅ…」

綾野「こういっちゃ~……むにゃむにゃ」

怜子「2人とも遊び疲れたのね」クスッ

望月「そうみたいですね」

恒一「(結局、怜子さんと同じ色が見えたタコとナマコは料理され食べられた…)」
   「(もしかしてあの色が見えたものは近い未来、食べられてしまう…?)」
   「(まだ怜子さんからはその色が見える…つまり怜子さんも近い未来…)」

恒一「怜子さん!」

怜子「ん、何?」

恒一「怜子さんは僕が守りますから!」

怜子「きゅ、急にどうしたの!?」

恒一「(怜子さんを食べる…とりあえず望月辺りを警戒しておく必要がありそうだな)」

-旧校舎・美術室-

勅使河原「見崎ってヤツが交通事故で死んだってのは皆聞いてるよな」

望月「うん、同じ部活だったこともあって少し残念かな。まぁ殆ど幽霊部員みたいな感じだったけど」

勅使河原「おいおい、こんな時に幽霊だなんて洒落にならねぇぜ~!」

恒一「あはは!」
   「まさか、あの渋滞の時の事故とはね…」

多々良「もしかしたら死んでいたのは私達だったかも知れないんですよね…」

綾野「怖い…」

勅使河原「まぁ、そういう事だ。事態は一刻を争う!」
      「今日集まってもらった理由は他でもねぇ、災厄を止める手がかりの捜索だ!」

綾野「それじゃ早速―」

勅使河原「おっと、行かせねぇぜ」
      「災厄の渦中に居る限り何が起こるか分からないからな」
      「女子2人にはここで待っていてもらう!」

望月「そうだね。それに人数が多いと誰かに見つかっちゃうかもしれないし」

綾野「えー」

多々良「ですが…」

恒一「大丈夫だよ」
   「必ず松永さんが隠した手がかりを持って戻ってくるから」

勅使河原「そうだぜ!男3人も居れば簡単に死にはしねぇよ」

綾野「うぅ…分かった」

多々良「分かりました。気を付けて下さいね」

恒一「よし、じゃあ行こうか」

望月「うん」

恒一「ここだね…」

勅使河原「よし、開けるぞ」ガラッ

望月「散らかってるね…」

恒一「慎重に探そう」

勅使河原「そういやサカキ、眼帯付けるのやめたのか?」

恒一「うん、ちょっと事情があって…」



望月「無いね…」

勅使河原「目立たない場所に隠したって言ってたよな」

恒一「かと言って絶対に見つからないような場所には隠さないだろうし…」

望月「そういえば掃除用具入れは?」

勅使河原「おー、そういやまだ見てないな」

恒一「ちょっと待ってね」ガチャッ
   「…掃除用具だけ、かな」
   「ん、何だろう?」バリバリ

勅使河原「何かあったか?…なんだこれ」

望月「何か書いてあるね」

恒一「えっと…『将来このクラスで理不尽な災いに苦しめられるであろう後輩達に』」

勅使河原「ビンゴ!」

望月「きっとこれだね!」

恒一「中身は…カセットテープ?」

綾野「こういっちゃん達、まだかな?」

多々良「そうですね…」


勅使河原「ただいまー」ガラッ

恒一「なんとか見つけられたよ、2人とも」

綾野「おかえりー!」

多々良「おかえりなさい!大丈夫でしたか?」

望月「うん、皆怪我一つしてないよ」

勅使河原「んじゃ早速このテープを放送室からパクってきたコレで…」

望月「ねぇ、勝手に持ち出して大丈夫なのかな?」

勅使河原「バレなきゃ大丈夫だって!あとで元の場所に返してくるし」
      「んじゃ再生!」カチッ

松永『えーと、俺の名前は松永克己』
   『1983年度の3年3組の生徒で…録音が終わったらこのテープは教室のどこかに隠すつもりだ』
   『今このテープを聞いている君、もしかしたら君達かもしれないが…君達が未来の3年3組の生徒の可能性はどれくらいかな?』
   『そして君達が今年俺達が経験した理不尽な災いに怯えている可能性は…まぁいい』
   『俺がこのテープを残そうと思ったのには2つの意味があるんだ』
   『1つは俺の、俺自身の罪の告白。もう1つの理由は…君達へのアドバイスだ』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   『―――と、言うワケで…つまり……死者を死に還せ。死者を死に還すんだ!』
   『…それが始まってしまった災厄を止める方法だ』

恒一「死者を死に還す…?」

綾野「でもさ、死者って見分けが付かないよね…?」

多々良「松永さんの時は偶然だったみたいですし…」

勅使河原「それによー今年は机の数ぴったりだったし、そもそも死者が紛れ込んでないんじゃ?」

望月「これじゃ、どうしようもないね…」

一同「……」

-8月・合宿-

勅使河原「結局何も出来ず…か」

多々良「仕方ないですよ…」

綾野「『死者を死に還せ』…無茶な話だよね」

赤沢「………」

恒一「(未だに怜子さんからあの色は消えない)」
   「(それに今日来た人達にもちらほらと…)」
   「(同じ屋根の下、男女が一夜を過ごすワケだし…いや、考えるのはやめておこう)」

望月「写真撮ろうよ。記念写真」
   「中学最後の夏休みなんだし、ね?」

望月「ほら皆そこに並んで。そうそう」
   「先生も入って下さいね。それじゃ撮りますよー」パシャッ

勅使河原「望月も入れよ。俺が撮ってやっから」
      「綾野と多々良はサカキにくっ付き過ぎ、望月はもう少し三神先生の方に寄って」
      「はい、チーズ」パシャッ

三神「明日は皆で神社にお参りをしてクラスの無事をお祈りしましょう」

一同「はい」

恒一「立派な合宿所ですね」

千曳「地元の企業が使っていたんだがね、学校に寄付してくれたんだよ」
   「正直な所、学校では持て余しているようだがね」

峯子「ようこそ、いらっしゃいました」
   「お部屋の方が全部空けてありますからね」

三神「これから三日間、よろしくお願いします」

峯子「はい、こちらこそ」
   「何かあったらなんなりと言ってくださいね」

-夕食-

勅使河原「俺さ、仮に死者が紛れ込んでいるとして…そしたら誰が死者なのかってずっと考えてたんだけどさ」

恒一「検討がついたの…?」

勅使河原「ああ、かなり言い辛いんだけどよ。俺が思うに死者は―」

赤沢「………」ジロッ

勅使河原「うっ…やっぱ後で話そうぜ。自由時間になったらよ、サカキと望月の部屋に集合な」ヒソヒソ

綾野「そうだね…うん、分かった」

多々良「ここでは話しづらいですしね…」

赤沢「先生、ちょっといいですか?」ガタッ
   「この際ですから言っておきたいことがあるんですが」

三神「そ、そうね。どうぞ赤沢さん」

赤沢「4月から度重なる不幸があって…対策係として何も出来なかったことをこの場を借りてお詫びします」ペコ
   「ですが安心して下さい。この合宿で私が災厄を止めますから」ニコッ

-榊原・望月部屋-

恒一「さっきの赤沢さんの宣言…どういう事なんだろう?」

望月「何か…僕達とは別の方法を見つけたのかな?」

勅使河原「どうだろうな…」

綾野「それよりてっしー、さっきの話の続き」

多々良「死者は誰なんですか?」

勅使河原「あぁ、それは―」

ウワー!

勅使河原「…ん?今、悲鳴みたいなのが聞こえなかったか?」

恒一「微かにだけど…1階の方からかな」

望月「何かあったのかも…!」

綾野「とにかく皆で見て来ようよ」

-1階-

望月「あ、あれは…」

勅使河原「ま、前島!?」
      「おい、しっかりしろ前島!」

恒一「ダメだ…死んでる」
   「(前島君に見えていた色が濃くなってる…?これってもしかして…)」

多々良「そ、そんな…」

綾野「いやだ…いやだよぉ」ガクガク

恒一「綾野さん、落ち着いて!」

望月「背中の傷…何かで刺されたような…」

勅使河原「俺、ちょっと先生達呼んでくる!」

恒一「うん、分かった」

望月「…食堂の扉がちょっと空いてる」ソー
   「うわっ!火が…火がついてるよ!」

多々良「火事ですか!?」

三神「どうしたんですか!?」

千曳「尋常ではない様子だね」

勅使河原「連れてきたぜ!」

恒一「先生…前島君が…」

三神「そんな…」

望月「そ、それに食堂で火事が!」

千曳「三神先生、至急警察と救急を!」
   「放火して前島君を刺した犯人がまだうろ付いてるかもしれない、私はそっちを」
   「君達は火事のことを皆に伝えてくれ!ただし十分に気を付けてね」





勅使河原「なんとか全部の部屋に火事のことは伝えられたが…」

望月「みんな半信半疑だったよね」

多々良「早く逃げてくれるといいんですけど…」

恒一「……」

綾野「こういっちゃん、どうしたの?」

恒一「僕、死者が分かったかも知れない…」

多々良「え!?」

恒一「実はね、この義眼の左目…死の色が見えるみたいなんだ」

綾野「死の色…?」

恒一「最初に気づいたのは海に行った時」
   「皆で捕ったタコとナマコに緑のような青のような不思議な色が見えたんだ」
   「他の生き物には見えなかったのに料理されたその2匹だけに」

勅使河原「……」

恒一「今日は前島君を含む数人にそれが見えた」
   「そしてさっき前島君の死体を見たらその色は濃くなってたんだ」

多々良「それって…もしかして常に濃い色が見える人が死者って事ですか?」

恒一「たぶん、そういう事なんだと思う」
   「最初はあれが死の色だなんて思いもしなかったんだけど…前島君の件で気付いたんだ」
   「死者は…怜子さん、三神先生だと思う」

望月「そ、そんな!」

勅使河原「…実は俺も三神先生が死者だと思ってたんだ」

綾野「どうして!?」

勅使河原「生徒の机の数は足りていたのに災厄は始まった」
      「もしかして足りなかったのは職員室の…先生の机なんじゃないのか?」
      「だって担任だって災厄の対象ならよ、教師が死者だったとしてもおかしくねぇだろ?」

恒一「……」

勅使河原「それになんで3組だけ副担任がいるんだよ!」
      「他のクラスにはいないのに不自然だろ?」

望月「う…あ……」

多々良「それじゃあ…三神先生を殺すんですか…?」

綾野「で、でも!こういっちゃんは…」

恒一「……」

赤沢「あら?皆仲良くどうしたのかしら?」

勅使河原「あ、赤沢!?」

綾野「泉美!?早く逃げないとダメだよ!」

赤沢「それはアナタ達も同じでしょ?」
   「私にはやらなくちゃいけないことがあるの。ね、恒一君?」ブンッ

恒一「うわぁ!?」ヒョイッ

多々良「ナイフ!?ちょっと赤沢さん、何やってるの!?」

赤沢「何って…アナタ達が言ってたんじゃない。死者を死に還せばいいんでしょ?」

望月「ちょっと待ってよ!榊原君は死者なんかじゃ―」

赤沢「うるさいうるさいうるさい!始業式の日、机は足りてたの!それなのに災厄は始まって!」
   「そしたら死者は誰かって!そんなの決まってるじゃない!転校してきたコイツが怪しいじゃない!」
   「それ以外ありえないの!絶対そうなの!コイツが死者なの!」

勅使河原「落ち着けよ赤沢!サカキの分の机だって始業式の時にあったじゃねぇか!」

赤沢「うるさい!コイツ殺せば災厄は止まるの!皆助かるの!」

綾野「やめてよ泉美!」

赤沢「ああああああああああああ!!!」
   「死者を死に還す!!!」ブンッ

恒一「…っ!」

赤沢「!?げふ…」ドサッ

千曳「尋常ではないね」

恒一「千曳先生!?」

千曳「何やら大きな声が聞こえたから駆けつけてみれば…」
   「赤沢君…対策係としての責任感か…精神的にかなり追い詰められていたんだろう…」

恒一「赤沢さん…こんなになるまで…」

勅使河原「もしかして前島殺ったのも…」

千曳「いや、恐らくそれは違うだろう」
   「さっき管理人の女性が自殺しているのを発見したんだが」
   「足元に前島君を刺したと思われる刃物が落ちていたよ」

多々良「なんで前島君を殺したんでしょう…」

千曳「そこまでは私には分からない」
   「とにかく今は外に避難するんだ。急ぎたまえ」
   「私は残っている子たちを誘導する」

ボン!

辻井「本当に火事なんだ!逃げろ!」

川堀「嫌だ!死にたくない!

渡辺「私だって嫌よ!」

柿沼「あれ!?松子ちゃんが居ない!」

ギギギギ ガシャーン!

辻井「シャンデリア!?う、動けない…」

渡辺「……」

川堀「うおぉぉおおお!」ガラン
   「よし出られた!俺だけでも助かるんだ!死んでたまるか!あは、あははははっ―」グシャッ
   「あ゛あ゛…あ゛……」


千曳「…こりゃまた尋常ではないね」

綾野「ねぇ、こういっちゃん…本当に三神先生を殺すの?こういっちゃんはそれで…」

恒一「いいんだ。皆が助かるならそれで…」

勅使河原「っく…」

望月「うぅ…」ポロポロ

多々良「榊原君…」

恒一「僕一人で行くよ。皆に辛い思いはさせたくないし」

勅使河原「…何言ってんだよサカキ!俺はついてくぜ」
      「松永さんのテープ通りなら死に関わった者以外は死者について全部忘れちゃうんだろ?」
      「お前一人に辛い事抱え込ませるわけねぇだろ!」

恒一「勅使河原…」

望月「僕も…三神先生の…最期を…」ポロポロ

多々良「私もついていきます!」

綾野「こういっちゃん一人を苦しませるわけにはいかないもんね!」

恒一「皆…」

三神「警察と救急、まだかしら…」

恒一「怜子さん…」

三神「!?皆無事だったのね…良かった…」

勅使河原「……」

望月「うぅ…三神先生…」ポロポロ

三神「ど、どうしたの望月君!?」

多々良「……」

綾野「うぅ…」

恒一「ごめんなさい…怜子さん…」ドスッ

三神「え…」ガクッ

『怜子はあんな風でいて恒一ちゃんのこと、何となく自分の子供みたいに思ってたんだよ』
『陽介さんが酷い父親だったら私が引き取って育てるなんて』
『小さい頃たまに会ったことしか無かったのにねぇ』

ドーン!

有田「きゃー!」ヒュー

ゴチン!

恒一「(さよなら、お母さん)」ドサッ

綾野「こ、こういっちゃーん!」



-三神家之墓-

勅使河原「やっぱり俺達以外覚えてなかったな…三神先生のこと」

望月「僕達もいつか忘れちゃうんだよね…」

恒一「うん…」

多々良「榊原君…」

恒一「災厄は…終わったんだよね…」

勅使河原「もう少し様子見ないとなんとも言えないが…たぶんな」

恒一「死んでいった皆のためにも、僕達がヘコんでちゃダメだよね」

綾野「こういっちゃん…無理しなくてもいいんだよ?」

恒一「無理じゃないよ。たぶん怜子さんだってヘコんでる僕のことなんか好きじゃない」

勅使河原「…よし!んじゃ、あそこの遊園地寄って行こうぜ!あの観覧車!」

多々良「…そうですね!」

望月「うん!」

恒一「…ありがとう、勅使河原」

勅使河原「それにしてもよー、まさか有田が降ってくるとは思わなかったよな!」

綾野「うん!でも2人とも無事で良かったよね~」

多々良「2人とも、大きなタンコブが出来て一時は大変でしたけどね!」

恒一「ははっ、そうだったね」



カチッ

『俺達と同じように3組の災厄に苦しめられているであろう後輩達へ』
『災厄を止める唯一の方法は死者を死に還すことだ』
『死者を見つけることは難しい。それにもし死者が分かったとしても―』

ブツッ


「あの、榊原先生」

「『先生』はやめてよ。僕は司書であって先生では無いんだから」

「それでは榊原さん。何か用があるって聞いて来たんですが…」

「うん…ごめんね」ドスッ

-終-

読んでて気分がいいSSじゃなかった
割りと駄作

>>206
だよなww

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