池袋晶葉「できたぞユッコ!ロケットだ!」 (58)

晶葉「見たまえ、これが私の開発したロケットだ」

裕子「すごいですねハカセ!飛ぶんですかこれ!?」

晶葉「当たり前だ。飛ばなければ話にならん」

裕子「人が一人乗れそうな大きさですね」

晶葉「その通りだ。そして、このロケットに乗る人間は……」

晶葉「ユッコ、君しかいない」ビシッ

裕子「な、なんだってー!?」

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裕子「ところでハカセ、どうして私なんですか?」

晶葉「君は以前から超能力を身につけたいと言っていただろう?」

裕子「あ、はい。でもそれとロケットと、何の関係が?」

晶葉「ファンタスティック・フォーだよ」

裕子「ふぁんたすてぃっくふぉー?何ですそれ?」

晶葉「ん?まさか知らんのか?有名なアメコミの映画だぞ」

裕子「聞いた事ありませんね」

晶葉「まぁいい。そのアメコミでは……」

晶葉「ロケットで地球を発った科学者が、ある時特殊な宇宙線を浴びてだな」

裕子「あ、それ宇宙忍者ゴームズですよね」

晶葉「宇宙忍者ゴームズ?」

裕子「ムッシュムラムラですよ、知らないんですか?」

晶葉「知らん」

裕子「あれは確か、宇宙線を浴びたら超能力に目覚めて……ハッ!」

裕子「ま、まさかハカセ……!」

晶葉「そのまさかだよ。宇宙は未だに解明されていないことだらけだ」

晶葉「私のロケットに乗って、ひとたび宇宙に飛び出せば……」

晶葉「あるいは君も、超能力に目覚める……かもしれない」

裕子「お、おおー!確かに……ハカセが言うと、説得力がありますね!」

晶葉「だろう?」

晶葉「君がスペースサイキッカー・ユッコを名乗る日も、そう遠くはないという事だ」

裕子「スペース、サイキッカー……くぅぅぅ!良い響きですね!」

晶葉「で、引き受けてくれるかな?」

裕子「乗りますっ!」

晶葉「それは良かった。実はもうこのロケットは実用段階でな」

晶葉「大気圏なんぞ軽く突破して宇宙に飛び立つ事ができるのだよ」

裕子「ホントですか!?じゃあ早速ロケットに……」

晶葉「いや、待つんだユッコ」

裕子「何故止めるんです!?」

晶葉「輝子から提供してもらったキノコを乗せて、一度発射実験をしていてな」

晶葉「成層圏を軽々突破し、ロケットも無事に戻ってこれはしたんだが……」

裕子「何か問題が?」

晶葉「乗せたキノコのなれのはてが、これだ」ボロッ

裕子「け、ケシズミじゃないですか!」

晶葉「どうも降下時の摩擦熱でロケット内の温度が急激に上がるようでな」

おしおきかな?

裕子「じゃあ、もし私がこのロケットで宇宙に飛び立って、地球に戻る頃には……」

晶葉「そうだな、万が一ユッコが超能力に目覚めなかった場合……」

晶葉「このロケットの中には、かつて堀裕子と呼ばれていた白骨体が……」

裕子「そ、それは嫌です!何とかしてくださいよ、ハカセ!」

晶葉「ふっ……天才たるこの私が、何の対策もしていないとでも思ったか?」

裕子「!?」

晶葉「来たまえ。君にもう一つ、見せたい発明品がある」

裕子「こ、これは……何ですか?」

晶葉「『絶対安心カプセル』だ。衝撃、熱、放射線……」

晶葉「外界からのあらゆるダメージを想定して作られた、パーフェクトなカプセルだよ」

晶葉「これをロケットの内装として採用した。この中にいれば、摩擦熱もまったく問題ないだろう」

裕子「す、すごいじゃないですか!これでもう、宇宙に行けますね!」

晶葉「いや、待つんだユッコ」

裕子「何故止めるんです!?」

晶葉「確かにロケット自体は完璧ではある、が……」

裕子「何か、問題が?」

晶葉「目的地がな。このラボ以外に設定して飛ばしたことが、まだ一度もない」

裕子「えっ」

晶葉「当然だろう?飛ばしたけど帰って来れませんでした、では話にならんからな」

晶葉「まぁユッコが星になりたいのなら、別にどこの星だろうと構わないのだが……」

裕子「スターにはなりたいですけど星になりたくはありませんよ!?」

晶葉「心配するな、燃料にも限りがある。ロケットをスペースデブリにするのは私も惜しい」

裕子「宇宙に出るだけじゃダメなんですか?目的地は地球でも……」

晶葉「さっきも言ったが、すぐここに戻ってくる事になる。宇宙線を浴びる暇もないぞ」

裕子「それはちょっと困りますね」

晶葉「条件の当てはまる
星に、心当たりはないか?」

裕子「うーん……そもそもハカセが知らないのに、私に星を聞かれても……」



裕子「……ん?星?」

晶葉「どうした?」

晶葉「――ブリリアントだ。この星なら、条件も全てクリア出来る……!」カタカタ

晶葉「目的地の設定が完了したぞ!」カチャターン

裕子「やっぱり……あったんですね、あの星が!」

晶葉「ユッコ、そこの宇宙服に着替えたまえ!いつでも飛ばせるぞ!」

裕子「分かりました!」




晶葉「ふっふっふ……有人ロケットで史上初の、惑星間往復……!」

晶葉「天才であるこの私が、遂にその名を歴史に刻むのだ!」フゥーハハハ

おいやめろ

マッドサイエンティストか

ギエロン星じゃないんだ。

そのカプセルに入ってると宇宙線も防いじゃうんじゃ……(小声)

裕子「発射台って、こんなすぐ近くにあったんですか」コーホー

晶葉「当然だ。何のために私のラボが数百メートルもの地下にあると思っている」

裕子「そういえば寮でエレベーター使うの、ハカセの部屋だけでしたね」コーホー

晶葉「寮を秘密裏に改造し、地下から屋上までブチ抜いて作った発射台兼格納用のリフトだ」

晶葉「防音、耐熱、耐震、耐衝撃その他諸々全てに優れ、外界からは完全に隔離されている」

晶葉「ロケットがあのリフトから出入りしていること自体、誰も気付かん」

裕子「たまに寮の屋上から煙が上ってるのはロケットだったんですね……」コーホー

晶葉「燃料もシステムチェックもオールグリーンだ。いつでもいけるぞ」

裕子「あ、あの……ハカセ?」コーホー

晶葉「ん?」

裕子「私、ロケットに乗るのも飛ぶのも初めてで……その、不安が……」コーホー

晶葉「何だ、そんなことか」

裕子「そんなことかじゃありませんよ。私、これから宇宙に行くんですよ?」コーホー

裕子「爆発事故とか良く聞きますし、もし失敗したらって思うと……!」コーホー

晶葉「ロケットを信じる必要はない。ロケットを信じる私を信じるんだ」

>>16
天才現る

裕子「で、でも!」コーホー

晶葉「……いいかユッコ。成功率なんてものはな、単なる目安だ」

裕子「単なる、目安……」コーホー

晶葉「あとは、サイキックで補えばいい。違うか?」



裕子「……そ、そっか……そうですよね!」コーホー

晶葉「やってくれるな?」

裕子「はい!」コーホー

(そのサイキックに目覚めるために宇宙に行くんじゃなかったっけ…?)

目的が変わるのはプロジェクトによくあること

晶葉「ユッコ、通信機能はどうだ?聞こえるか?」

裕子『はいハカセ!ロケットの中って、意外に快適ですね』

晶葉「シートベルトをしっかり装着したまえ。途中までマスドライバー式で加速させるからな」

裕子『?英語の歌が聞こえますけど……これは?』

晶葉「景気づけにな。I don't Want to Miss a Thingをかけている」

裕子『あっ!これ聞いた事あります!何かの映画で……確か、主題歌でしたよね!』

晶葉「では、発射シークエンスに入るぞ」

その歌はあかん

https://www.youtube.com/watch?v=qdX6XrDOOrM
(アカン)

晶葉「―――5……4……3……」

裕子『スペースサイキッカー・ユッコ!いってきまーす!』

晶葉「0!」


バシュウゥゥゥゥゥゥ…



ゴ オ゙ オ゙ オ゙ オ゙ オ゙ オ゙ オ゙ オ゙ ……





晶葉「……よし!発射成功だ!」

キノコ「ユッコ…ユッコ…僕は先に逝くよ…、ユッコ…ユッコ…僕は……」

この一つ一つ歯車がずれていく感
どう考えてもアカン

―――――

―――







菜々「あ、もしもし?……お母さん?」

菜々「……うん……うん、ナナは元気だけど」

菜々「別に~?不自由はしてないよ?……うん、平気~」

菜々「だ、大丈夫だって……心配し過ぎだってばぁ~」



菜々「……え?」



菜々「またその話?」

菜々「もう……お母さん?前から何度も言ってるじゃない……」

菜々「今のナナは、17歳!未成年なの、未成年!」

やっぱりな(レ)

菜々「……だーかーら、ナナはアイドルなんだってば!相手なんていない方がいいの!」

菜々「貰い手が無くなるとか、そういう話は……」



菜々「ち、違うから!別に気になる人とか……そんなの、まだいないし……」ゴニョゴニョ

菜々「……って!あのねお母さん?アイドルって言うのは―――」





菜々「――そう!ファンの皆がナナの恋人なわけ!だから今は……」

菜々「……うー……そ、そんなの分かってますよーだ」

コロッケに見えた

菜々「うん……ちゃんと良い人は、見つけるから。絶対」

菜々「……え?そうだけど……」



菜々「へ?……プロデューサーさんを?」



菜々「……ま、まだ家に紹介は、ちょっと……」

菜々「わ、分かってる!……その内、会わせたげるから。その内……ね」

菜々「……それじゃ、切るね……うん。お母さんも、元気で」ピッ

菜々「はー……そろそろ洗濯物、取り込まなきゃ」ガラララッ

菜々「うぅ~、寒っ!……暗くなるの、早くなったなぁ……うん?」


キラッ


菜々「あ、あれは……流れ星っ!?」

菜々「CDが売れますようにCDが売れますようにCDが売れますようにっ!」

菜々「……や、やった!消える前に三回言え……」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



菜々「たっ……?!」

きっと、緊急着陸やな…しかたないんやな…()

ズズゥー……ン


晶葉「ん?……地震か?」

裕子『ハカセ!聞こえますか、ハカセ!』

晶葉「ああ、バッチリ聞こえるぞユッコ。どうした?」

裕子『つ、着きましたよ!ウサミン星に!!』

晶葉「本当か!?……そこは一体、どんな星なんだ?」

裕子『はい、菜々さんがいます!』

晶葉「そんな事は分かっている!周りはどうなのかと聞いているのだ!」

裕子『えっと……昭和です!』

晶葉「昭和?」

止めて差し上げろ

プシュー……ガコン……


裕子「はい。何と言うか、昭和の香りがします!」コーホー

晶葉『そうか。宇宙服に嗅覚センサーまで付けた覚えはないんだが、まぁいいだろう』



菜々「なっ……な、なな……な……何、何……っ!?」ビクビク

裕子「あ、そうだ……菜々さん!」コーホー

菜々「はぇっ!?」ビクッ



裕子「ウーサミン!ハイ!」コーホー

菜々「……う、うーさみん、はいぃ……」ガタガタ

ドタドタドタ……ガチャッ


P「な、菜々さぁーん!!大丈夫ですk」

裕子「えっ!……プロデューサー!?」コーホー

P「?!」



菜々「ぷ、ぷろりゅーさーさぁーん……」プルプル

裕子「ハッ!……ま、まさかプロデューサーも、ウサミン星人だったんですか!?」コーホー



P「……な、何じゃこりゃあ……!?」

晶葉「………」



晶葉「おかしい……目的地は確かにウサミン星に設定したはず」

晶葉「何をどうしたら寮の一室にロケットが突っ込む事になるのだ?」

晶葉「………」



晶葉「……直通エレベーターの電源は、しばらく落としておこう。うむ、それがいい」カタカタ

「……ねぇ」

晶葉「っ!?」ビクッ

輝子「………」

晶葉「な、なんだ輝子か……」ホッ

輝子「フフ……つ、つい、さっきから、いましたけどー……」

晶葉「で、私に何か用か?」

輝子「……シンユウ……」

晶葉「ん?」



輝子「親友……そ、そろそろ……返して、ほしい」

晶葉「………」

(アカン)

晶葉「あー……この間輝子に提供してもらった、あのキノコか?」

輝子「……し、してもらってない……貸しただけ、だし……フフ」

晶葉「………」



晶葉「あ、あれはだな……何と言うか、実はその……」

輝子「………」

晶葉「これが……そう、なんだが」ボロッ

輝子「……は……?」

晶葉「……熱に、耐えきれなかったようでな。炭化してしまったんだ」



輝子「」

これは怒りのスーパーモード入りますわ

人の親友をなぜ実験体にしたのか

晶葉「……ま、まぁ、私だって失敗はするさ。それは認めよう」

晶葉「だが、失敗は成功の母だ。そのキノコは、無駄ではなかったぞ」

輝子「………」プルプル





晶葉「そ、それにだな……こうも言うだろう?」

晶葉「科学の発展に、犠牲は付き物d」

輝子「オ マ エ も キ ノ コ に し て や ろ う か ぁーーーーー!!!!」ユサユサユサユサ

晶葉「おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」ガクンガクンガクンガクン

~翌日~


裕子「サイキーック……シャワー!」プシャー

輝子「あ……水、やり過ぎないで……」

裕子「え?ダメなんですか?」

輝子「……アオコ、カビ……は、生えてくるから……」



晶葉「……どっちも同じ菌類じゃないか」

裕子「ダメですよハカセ、ちゃんと協力しないと」

晶葉「あぁ、分かっている」チョロロロ

裕子「あ……そういえば、ハカセ」

晶葉「なんだ」

裕子「菜々さん、昨日はプロデューサーさんの家に泊まったみたいですよ」

晶葉「らしいな。朝からあんなノロケを見せられるとは思わなかったが」

裕子「流石に菜々さんの部屋を半壊させちゃったのはマズかったですね」

晶葉「ちひろは全額を保険から出して直すと言っていたがな」

裕子「……保険効くんですかあれ?」

晶葉「彼女が効くと言えば効くんだろう。ユッコが気にする必要はない」

裕子「とにかく、弁償の代わりに輝子ちゃんの手伝いで済んで良かったですね」

晶葉「全く良くない。ロケットは処分、地下ラボは閉鎖。こっちは散々だぞ?」

裕子「それは仕方ないですよ、ハカセの作ったロケットが原因の事故なんですから……」

晶葉「何を言う、ロケットは完璧だった。私の落ち度はキノコの件だけだろう」

裕子「そうですかね……?」

晶葉「そもそもユッコが目的地をウサミン星にしようなどと言い出さなければだな……」

裕子「わ、私のせいにするんですか!?」

晶葉「他に誰がいる」

裕子「私はロケットに乗ってただけじゃないですか!」

裕子「あの事故は、ハカセのロケットがポンコツだったせいで起きたんですよ!」

晶葉「なっ!……ぽ、ポンコツだとぉ!?」

輝子「シャーーーーラップ!!」



裕子「………」プシャー

晶葉「………」チョロロロ

裕子「……怒られちゃいましたね」ヒソヒソ

晶葉「まったく……天才たるこの私が、何故キノコの飼育など……ん?」

裕子「?……どうしました?」ヒソヒソ





晶葉「……そうだ……キノコだ!キノコだよ、ユッコ!」

裕子「え?」

晶葉「ユッコは、イタリア人の配管工のヒゲを知っているか?」

裕子「イタリア人の、配管工の、ヒゲ……あ、知ってます知ってます!」

晶葉「あのヒゲは、キノコを食うとどうなった?」

裕子「確か、大きくなったり残機が増えたり、変身したりしましたけど……あっ!」

晶葉「巨人化に分身、変身まで可能、そして自分をも軽々と飛び越える強靭な脚力……」

晶葉「これらの事実から導き出される答えは、何だ?」

裕子「……超能力者、サイキッカーですね!それも、肉体強化に長けた……!」

晶葉「その超能力パワーの源になっていると思われるのは?」

裕子「それはもちろん……ハッ!ま、まさか……!」

晶葉「ふっふっふ……そのまさかだよ。キノコには、様々な種類があると聞く」

晶葉「食すことで、その者に超能力パワーをもたらす……」

晶葉「そんなキノコが存在していても、何ら不思議ではない!……いや」

晶葉「無ければ、私の手で作り出せば良いのだ!」



裕子「は、ハカセ……!」グッ

晶葉「輝子。今一度、この私にキノコを提供してくれないか?」

輝子「……フヒ」

裕子「輝子ちゃん、お願いします!」

輝子「………と、友達が、増えるなら……いいよー」



晶葉「フフフフ……あれしきの事で私はくじけんぞ、プロデューサー!」

晶葉「このキノコの苗床のように!天才は、何度でもよみがえるのだっ!」フゥーハハハ

裕子「頑張りましょう、ハカセ!」



おわり



ダメだこのポンコツコンビ

あちゃー博士もぽんこつだったかー

Pa寄りのPaになってるあきえもんの
ダメっぷりは異常

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