鷺沢文香「あの……運動は……その」 (30)

誕生日おめでとうございます。思いつくまま書き散らすので百合に見える可能性があります

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晶葉「プールだあ?」

ちひろ「はい、先日の番組でお世話になったレジャー施設から、ご挨拶に招待券を頂きまして」

文香「あの……運動は……その」

ちひろ「運動といってもレジャープールですし……流れるだけでも楽しいものですよ」

晶葉「……しかし妙なメンツだな、ちひろ?」

ちひろ「いえ、晶葉ちゃんつながりで至極自然なグループですとも。たまたまそこにいたグループと言い換えてもよろしい」

晶葉「悪意を感じると言っているんだ、あの辺とか」



あの辺↓

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文香「……菜々さんが……」

ちひろ「あっはははははははははは!!」

晶葉「この外道!」

菜々「……はっ! 非常に不本意な扱いを受けていますね!? ナナはそんな、二の腕とかおなかまわりとか気にしてませんから! 十七歳ですから!」

ちひろ「そんなナナさんにこちら、ドキッ!中略ポロリも後略で使われた由緒正しいビキニー」

菜々「ポロリ要員じゃないですかやだー!」

文香「……レジャープール……ですか」

「ところで菜々さん、アイドル水泳大会が最後にテレビで放送されたのっていつでしたっけ」

「え? えーっとナナが覚えてるのはー」

「ウサミンよせ!」

そういえば……最後に泳いだのっていつだっけ。

高校の授業……? 多分……そう。

何度か機会はあったはずなのだけれど。

行きたいとは、思わなかった。

「これ……いただいても……?」

「はい、もちろん。そう思って呼びましたから」

「ありがとう……ございます」

そう、行きたいとは、思わなかった。こんな風に。

……なぜ?

「それでは、千川”こんなこともあろうかと”ちひろの水着コレクション、とくとご覧あれ!」

壁の一部が開いて、衣装掛けが飛び出してくる。

「……え、何ですか、これは」

「……あ、これ私が作った奴じゃないか?」

「その通り、実用新案申請中の壁面収納型ポップクロゼット! パテントコンテスト用試作機として備え付けてみました」

まあまあ、そんなことより、と、やたら楽しそうに水着を示してきます。

「サイズはばっちりですよ、愛海ちゃん監修で全員分用意しましたから」

「全員分……あの……私、自分の分、買い取った方が……?」

「いいええ、これもまた運用の一、初期投資を惜しんでは資本の回収に差し障ります。
 かみ砕いて言えば、これも儲けのタネにして会社の資産! 好きに使ってもらって大丈夫ですが、あくまで備品であることに意義があるのです!

 ……あ、勿論売ったりしませんよ、ブルセラじゃあるまいし」

「まだ行くとも言っていなかった気がするが……まあ、これも一興か……」

「モノキニ……? いえ、ナナは十七歳……逃げのシルエットを見せるわけには……いやしかし……もう少し上背があればパレオに逃げられたというのに……!」

「はあ……では……失礼して」

「どうにも装飾過多だな。水泳用装身具だろう? 力学的に無駄が多すぎる」

「水泳用である前にひとつの衣装です。いーですねー目線こっちくださーいフリル揺らす感じでー」

撮ってる……。

「そう、水泳用である前に衣装、水泳である前に水遊び、であれば袖付き襟付きでも何等の問題もないのです!」

「いいですねー無駄なカフスと襟がマニア受けしますねーさすが菜々さんわかってる! ブラックバニー最高!」

「ちひろは時々おかしくなるなあ」

「働きすぎ……なのかもしれません」

モノキニのどこが逃げかと小一時間ry

>>6
×「モノキニ……? いえ、

○「タンキニ……?

ちひろ「そして本命文香ちゃんは……おっほ」

晶葉「おっほてお前」

ちひろ「イメージカラーである濃紺の……! ホルターネックのモノキニ……! 腰細! 色白っ! ていうか背中つるっつる! これはいかんですよ!」

晶葉「お前が割といかん感じだよ」

文香「あの……あんまり見られると……恥ずかしい……です」

菜々「晶葉ちゃんのさめた突込みが光ってますねー、ナナ着替えてきます」

「ちひろも来るんだろ」

「ええ、まあ、一応」

「じゃあ着替えないとな」

「はい?」

「はいじゃないが」

「いや、私は……」

「あっただろう、なんか事務所で乳揺らしてたやつが。あれにし給え」

「し給え!? って、ち、乳とか言わないでください!」

「事務所でおっぱい揺らしてたやつが!」

「ちょっとテンションあがっちゃっただけじゃないですかー!」

……楽しそう。

「仲良いですよね、ちひろさんと晶葉ちゃん」

「……はい」

「実は、ここの最初のアイドルって晶葉ちゃんなんですよ」

「そう……なんですか。それで……」

……。

「羨ましいですよね」

「え……?」

「ナナも、時々羨ましいです。ずっと一緒にいた友達って……あ、ほら、ナナはウサミン星人なので」

寂しそうに、目を細めて。

「そうですね……羨ましい」

「はい」

「でも、きっと同じ関係にはなれないと思います」

「はい」

でも。

「多分、それでいいんですよね」

「そうですね。ナナはいまの関係、好きですよ」

「はい。もっと、あの二人とは違う形の、関係を繋いでいけたら……」

人と人との縁は、とても不思議なものです。

いろんな絡まり方をして……いろいろな繋がり方をして。

ちひろ「はい、レジャープールどーん!」

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                  ( ̄`ー-―┴ 、:_:_: -'―-
                  \    . . -┴┴. 、   `ー--‐ァ 「あー今めっちゃいい話で締められそうだったのにー!!」
                     { /〃 : :i:i : :\ \     /
                    У : {{ : : :l | : : : .ヽ: :.ー-‐く
                {_ /^´: : : : : ^ : ヽ}: : :ヽ: : :.,
                  /}y:^: : :/ : : : :{ : : : : : : : : : } : : }
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             //{: : : /}/'}{: : : | ∨ : : :{ : : : .\ノ
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「まだですよ! プールの招待券を貰った導入でプールに行かずしてどうしますか!」

「ナナは平穏であれば良いのです! 起承承承で!」

「あははは、転結担当が何か言ってる」

「酷い!?」

「準備体操……ですね」

「そうだな。ロボに一通り覚えさせてきた」

きゅらきゅらきゅら。装履帯の上にディフォルメされたウサギの半身。頭はCRTディスプレイ。
コミカルな表情を映写した、晶葉さん特製ウサちゃんロボ。

「……この格好で……?」

「顔に映すんだよ」

……ロボットがお手本を見せるのかと。

「『わあ、アナログ』とか言う顔だな。急に聞いたんだからしょうがないだろう。歌って踊れるロボットアイドルだって作れるんだぞ私は。」

「あ、ごめんなさい……そういう、意味では」

「……冗談だ」

「……」

「難しいな。……いや、なんだ……さっきちひろと遊んでいたとき、君の顔が……少し翳って見えたものだから」

「……ふふ」

「……まったく、不器用でな。昔から、こういうことはからきしなんだ」

「お揃い……ですね」

「ああ」


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     あ、さっきのどこが冗談だったんですか? V|:::::. l:::::: |::::::: l:::: |:::. |::|::|:::::|::::: |:::|_]:::|:::::::::.

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 V:.:.|:.{ {佗笊ミメ、      叱芹雫ア ≧=‐‐--
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ちひろ「ならば、ならばですよ。泳ぐしかない、そして撮るしかない。やがては売るしかない!」

菜々「ヤメテ!」

ちひろ「だーいじょうぶですってほらこんなぷにぷに」

菜々「ぷにぷにじゃないですからー><!」


晶葉「流れるだけでもっていうのは、これのことか……」

                                                  文香「…………」

                                    -‐'´_ ̄:.:.`ヽ、
                                    /:.:./三二`ヽ:.:.:.: \
                                / i|:.:/´ ̄ ̄`ヽハ:.:.:.、:..:ヽ

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                                レ!小l●i|/iノ ● 从:. |、i|
                                 ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ . |ノ:i|
                               /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i:i|
                             \ /ニ |:.:.l>,、 __, イァ/  /.i|
                       .        /ニニ.|:.:.| ヽ__ノヘ、__∧ i|
                              `ヽ< |:.:.|   ヾニニニニニニニ/:i|
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                                     ~~~~~  ~~~~~~

晶葉「なるほどな、よく考えたものだ」

                          文香「…………」

                       . .--――-...

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                       ト、|

晶葉「渓流を再現などしていては水がいくらあっても足りるものではないし」


       文香「…………」

    ,.:.:.´ ̄_` ー-、
  /:.:.:.:/二三`ヽ:.\
/:.:/:.:.:ハ/´ ̄ ̄`\ハヘ

|i:.:|:.l:.|、:.i|:.:ト、:|:.|.:.:.i}_}ハ
|i:.:|:.:.:从 ●i|/iノ ●l小N
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|i:ヽ  ヽx>、 __, イl.:.|ニヽ/.
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   ~~~~~~~

晶葉「これはどちらかと言えば流しそうめんの……」


……」

晶葉「楽しそうだな、おい」

はっ。
我を忘れてはしゃいでしまったような気が……。

…………。

「……気のせい……ですね」

「違うと思うぞ」

「……不覚」

「まったくだ。……行こう、何か人手が必要だそうだから」

「ヒトデ?」

「……君、まだちょっと戻ってきてないだろう」

「で、人手って何のことかと思えば」

「被写体と言い換えても良いのですよ」

「ならば初めからそう言い給え!」

「これは……UFO!」

「はいウサミン正解! ウォータースライダー変わり種の一、UFOスライダーです! では被写体GO!」

UFOスライダー
http://goo.gl/L5Sd5f

被写体1:ななふみ

「UFOと聞いては……ナナは行かねばなりません……!」

「とっ、飛び降りるという……行為は古くから……度胸試しとして普遍的で……有名なのは、バヌアツ共和国の成人の儀式……」

「文香ちゃーん? 大丈夫ですか?」

「ウォータースライダーが日本で最初に設置されたのは船橋ヘルスセンター、1963年とされています……(wikipediaより)」

「行きますよー? しっかりつかまってくださいねー、最初だけー。いいですかー、横向いて落ちちゃダメですよー?」

「そもそも急流下りやラフティングがスポーツとして成立し……ひゃあああぁぁぁー……」

「きゃー♪」

被写体2:ちひあき

ちひろ「さて……カメラは菜々さんに、メガネは文香ちゃんに預け……先生、大丈夫ですか? 見えますか?」

晶葉「……ギリ」

ちひろ「では晶葉ちゃん、そこに座ってー、お上手ー」

晶葉「覚えてろ千川……」

ちひろ「まあまあ、そう言わずに……晶葉ちゃんと遊びたいっていうのもあったんですよ?」

晶葉「ちひ……バカ押すな貴様やめっ……!」

ちひろ「チッ」

晶葉「……」

ちひろ「こわーいーダメですよ後ろむいちゃ、危ないですからね。はいぎゅー」

晶葉「……」

ちひろ「どうしました?」

晶葉「いや。後でいい。掴まってろ」

ちひろ「喜んで♪」

晶葉「……」

ちひろ「……どうしました?」

晶葉「……流体の挙動を示すレイノルズ数は密度と長さ、流速に比例し粘性に反比例する……特にチューブ内ではその断面積と潤辺から定まる特性長さが大きな

ちひろ「はいゴゥ」

晶葉「きゃああぁぁぁ……」

ちひろ「御馳走様でした」

晶葉「やめ給えよ……」

菜々「しっかり楽しんでしまいました……」

文香「……右に、同じく」

ちひろ「それは重畳。お誘いした甲斐がありました」

晶葉「しかし……なんだな、生理学は専門外だが……このふわふわとした……なんというのか」

ちひろ「そういうのはテキトーでいいんですよ、テキトーで」

菜々「そうですね、この場合はほら、余韻とかで」

晶葉「うーん……いまいち釈然としないが……まあ、知らんことをいくら考えても詮無いことだしな。それでいいか」

文香「余韻……」

余韻。
それは、
少しぱさついた髪とか。
ふわふわする足元とか。

あとは……、

全身の疲れとか……?

文香「……はふ」


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.          |.:.:{.:.:.:.:.‘,.:.:.:. ______⌒≧=-   イ  \  \ニ-_:.:.:.:.|        「余韻……眠気?」
             .:.:.:.:.:.:.:ア´     `ヽ     {.   /\  ヽニ-_ ノ
              :.:.:./         ‘,      乂 /   }   }二二_
                /.          ‘,         _ノ  }^∨二-_
                             ‘, ______  -=ニ[   ,八 ∨二二-_
                            /,  __   _,,.  イ    ∨二二ニ-_
                    ‘,       ‘,   /, ⌒¨¨´    ``: . . ∨二二二-_
                  |       ‘,   /,           \}二二二ニ}
                 |       ‘,   /,                 ヽ二二}-八
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                    | ,          \:/,             }二-}二-∧
                  |.‘,           \            ;二ー}二二∧
                  |. ‘,            ヽ               ′ニ}二二-∧
                 l. ‘,       _ -‐===-} _            /ニ二/二二二,∧
                     l:二‘,___ -=ニ二二二二二ニ=- _    /二ア二二二二二
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晶葉「……さて、事務所の方はどうかな」

ちひろ「さっき準備が終わったそうですよ」

菜々「では、第二部ですね!」

文香「第二部……?」

菜々「さ、帰りましょうか。ね?」

ちひろ「そうですねー。あまり待たせても良くないですし」

晶葉「……悪くない。実に、悪くない」

文香「……そうですね、いい気分です」

新しい世界。なんて……少し大げさかもしれませんが……。

私の知らないことは、本の外にもこんなにたくさんあって。

私の本に……自分史に、残して行きたい新たな一歩を、これからもこの場所で、刻んでいけたら。

文香「……なんて」


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       |人    | ノ /´ / /ー――---イ_:.:./  .7l:..:i|:.:.:.:.,
       |:.:. \  l      l        /:.' ̄ ̄ /ノ.i!:.:.:.:.:.,   「……恥ずかしいことを……思ってしまいました」
       |:.:.i|:./.\ハ.      |        .イ.'   イ:.イ. .i|:.:.:.:.:.:.,
       |:.:.i|:.:i|:.:.:≧゚,.     |     ././  _/:.:/ i:.:.:i|:.:.:.:.:.:.i
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       イ ̄≧---.7.    /.   / /:.:.:.:.'イ    7¨ヽイ:.:.:/人__
   __/   ィ ̄ ̄≧ 、  ハ____i::.:.:.:'    /   」---二二二i
.  /ニニ≧._  |.      ノ_./.      |:.:.:.:i   /._ ≦ニニニニニニニニニ.゚,
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./ニニニニニニニ.〈 |  /    l    ィ‐、 >〈_. .-、ニニニニニニニニニニニニ |
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ニニニニニニニニニi|       .イ、  r 、.       \∨ニニニニニニ----≧!
ニニニニニニニニニ.゚        | \イ\         .,:∨ニニニニニニニニニニム
ニニニニニニニニニ゚      , ≦_ ≦:::::::::\       」__∨ニニニニニニニニニ7

ニニニニニニニニ. ゚      /ニ」::::::::::::::::::::::::::\  ,.イ  ̄ヽ  ∨ニニニニニニニ/
ニニニニニニニニ ゚      i 〈  マ:::::::::::::::::::::::::::::Y        ∨≧ニニ _ニi|
ニニニニニニニニ.゚.      |.∧.  マ:::::::::::::::::::::::::/         ∨ニニニニニ\
ニニニニニニニニ゚      |ニ.∧  マ::::::::::::::::::〈           ∨ニニニニニ/

鷺沢文香(19)
http://goo.gl/qW0E7x
http://goo.gl/jiioX2

かわいい。つまりそういう話。このあと誕生会をして、めっちゃお祝いされてメカクレで、なんか、そんな感じで。そういう話。

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