岡部「ラボメンガールズ全員に素直に接するとどうなるか」(278)

岡部「くっ、助手のぶんざいでええ!」

紅莉栖「なによ、馬鹿岡部!」

岡部・紅莉栖「ぐぬぬ……!」

紅莉栖「ふんっ!もういい!」

岡部「あっ、おい!どこに行くつもりだクリスティーナ!」

紅莉栖「ホテルに戻るのよ。今日はこれ以上あんたの顔を見たくないから!じゃあね」

バタン

岡部「くっ……」

まゆり「もう~ダメだよ、オカリン。紅莉栖ちゃんと仲良くしなきゃ」

岡部「しかしだな、まゆり。今回は助手が!」

まゆり「オカリ~ン?」

岡部「……分かってる。今日のは俺にも問題があった」

まゆり「う~ん、オカリンはもう少し紅莉栖ちゃんに素直接してあげた方がいいとまゆしぃは思うのです」

岡部「素直に、か」

次の日

ガチャ

紅莉栖「ハロー……なんだ、あんただけか」

岡部「………」

紅莉栖(な、なによ。挨拶くらいしなさいよ!……き、昨日の事、まだ気にしてるのかしら)

岡部「……」

紅莉栖(で、でもあれは岡部も悪いんだから!だから岡部が謝ってくるまで私も無視して)

岡部「昨日は、すまなかった。紅莉栖」

紅莉栖「……」

紅莉栖「ふぇ?」

紅莉栖「あ、えっ……?」

紅莉栖(い、いま紅莉栖って……名前で、呼んだ……?)

岡部「あれは完全に俺が悪かった。本当にすまない」ペコリ

紅莉栖「あ、あんたがそんな態度を取るなんて珍しいわね!明日は槍でも降るのかしら?」

岡部「俺だって、自分の非を認める時はちゃんと詫びる」

紅莉栖「あ、そ、そのっ……と、とにかく頭を上げなさいよ!調子狂うな、もう」

岡部「許してくれるのか……?」

紅莉栖「も、もういいわよ!昨日は私にも、非があったと思うし……」

岡部「ありがとう、紅莉栖」

紅莉栖「はぅ……」

紅莉栖(な、なに!?なんなの!?岡部がこんな素直になるなんて、私……)

岡部「どうにもお前と会話をすると下らない事で毎回衝突してしまうな」

紅莉栖「あ、あんたが私をからかってくるからいけないのよ!あ、相変わらず変な名前で呼んでくるし!」

岡部「ちゃんと名前で呼ばないのは……その、照れ隠しねようなものだ。許してくれ」

紅莉栖「て、照れ隠し!?」

紅莉栖「て、照れ隠しってどういう意味?」

岡部「紅莉栖、俺はお前に感謝している」

紅莉栖「きゅ、急になによっ」モジモジ

岡部「お前がラボメンに加わってから、我がラボのガジェットは明らかにクオリティが上がった」

紅莉栖(な、なんだ結局、ガジェットの事か……)

岡部「それに、お前が話してくれる理論は刺激的だ。科学者としての牧瀬紅莉栖には憧れもしているし、尊敬もしてる」

紅莉栖「なっ……」

紅莉栖(そ、尊敬!?憧れ!?岡部が、私に!?)

岡部「それに……ふふっ」

紅莉栖「な、なによ。人の顔見てにやけるなんて、気持ち悪い」

紅莉栖(お、岡部がまゆりに時々しか見せない優しい笑みが、わ、わた、私に向けられてるうう!!?)

岡部「いや、何でもない。この言葉は、まだ告げる時ではないな」

紅莉栖「途中で止めんな!なんなのよ、もうっ」

紅莉栖(つ、告げるって、も、もしかして、こ、こく、こくは、)

岡部「まあ、そういう事だ。お前には感謝している。これからも、よろしく頼むぞ?紅莉栖」

紅莉栖「はぅ」

紅莉栖「……」ポー

紅莉栖(お、岡部に、よろしくって、これからも……?つまり末永く……?)

岡部「うん?ドクペが切れているな。少し買い出しに行ってくる」

紅莉栖「……」ポー

岡部「紅莉栖?聞いているのか?」

紅莉栖「は、はひ!?な、なにかしら?」

岡部「少し買い出しに行ってくる。お前は何か欲しいものはあるか?」

紅莉栖「な、ない……」
岡部「そうか、では行ってくる」

バタン

紅莉栖「う、うん。いってらっしゃい、あなた……」

紅莉栖「……」ハッ!?

紅莉栖「……あ、あ、あなたってなんだああああああ!!うわああああああああ」ジタバタ

ブラウン管工房前

岡部「………」

岡部「……ふ」

岡部「…ふふ」

岡部「フゥーハハハッ!!!」

岡部(やれる!やれるじゃないか!あの生意気な助手がこうも大人しくなるとはな!)

岡部(ふっ、この鳳凰院凶真がほんの少し本気を出せば助手など恐るるに足りんのだ!)

岡部(……)

岡部(さ、さすがに本音を語りすぎたか。紅莉栖引かれてはないだろうか……)

鈴羽「あっ、岡部倫太郎だ。うぃーすっ」

岡部「バイト戦士か」

岡部「暇そうだな。またサボりか?」

鈴羽「サボりって言うか、お客さんが来ないからね~暇潰しの自転車の整備も終わっちゃったしさ」

岡部「ふむ……」

岡部(今後も紅莉栖相手に接する際には、さっきのようにペルソナを被って接した方が御しやすいな)

岡部(だが、ああも本音で語ると恥ずかしくてこっちの身がもたん。慣らす必要があるな)

岡部「なあ、鈴羽よ」

鈴羽「うん?君があたしを名前で呼ぶなんて珍しいね。なに?」

岡部「そんなに暇ならいまから一緒に出掛けないか?」

一時間後

岡部「はあ、はあ……」

鈴羽「あははっ、君って相変わらず体力がないね。ちゃんと運動してる~?」

岡部「ひ、必要最低限の体力は、はあ、ある、つもりだ」

鈴羽「もうっ、君が一緒に出掛けようって言ったんだよ?」

岡部「い、言ったが……まさか前みたいにお前を後ろに乗せてサイクリングをするとはな」

鈴羽「いい運動になったでしょ?はい、水」

岡部「す、すまん」

鈴羽「でも、どうしたの?急に出掛けようなんて。あは、もしかしてデートのお誘いだった?」

岡部「そうだ」

鈴羽「……えっ!?」

岡部「っと、言ったらどうする?」

鈴羽「ちょっ、からかわないでよ岡部倫太郎!」

岡部「まあ、なんだ。お前、この街に来たのは初めてだと言ったな?」

鈴羽「……うん」

岡部「だから、少しでも案内してやろうと思っただけだ」

鈴羽「……ふふっ」

岡部「……なぜ、笑う?」

鈴羽「やっぱり、君っていい奴なんだな~って思ってさ。なんでまだ会って日も浅いあたしにここまでしてくれるの?」

岡部「決まっている。大切な仲間だからだ」

鈴羽「岡部倫太郎……」

鈴羽「……ありがとう」

岡部「別に感謝されるような事をした覚えはない」

鈴羽「あたしさ、正直不安だったんだ。知らない街で、知らない人の中で生活するのが」

鈴羽「でも、君に、君たち会えたから、そんな不安に怯える事もなくなった。だから、ありがとう。岡部倫太郎」

岡部「そうだ。不安になる必要などない。何か困った事があればいつでもラボに尋ねてくるがいい」

鈴羽「ああ~じゃあ早速お願いがあるんだけど、いい?」

岡部「なんだ、言ってみろ」

鈴羽「その、これからは毎日ラボのシャワー、貸してくんない?」

岡部「………お前、一体どんな生活を送っているのだ」

鈴羽「あはは、実はあたし公園に野宿しててさ~」

岡部「こ、公園!?野宿!?」

鈴羽「だからシャワー借りれるとありがたいな~って」

岡部「……鈴羽」

鈴羽「うん?なに?」

岡部「受け取れ」ヒョイ

鈴羽「何これ……鍵?」

岡部「ラボの鍵だ。今日から好きに使え」

鈴羽「ええっ!なんで?」

岡部「いくらなんでも年頃の娘が公園で一人で野宿なんて見逃せる訳ないだろう!」

鈴羽「大丈夫だって!あたしは戦士だよ。そこらの男に寝込みを襲われても返り討ちにできるよ」

岡部「馬鹿者!そういう問題ではない!」

鈴羽「っ」ビクッ

岡部「す、すまん。大声を出して……だがな、鈴羽よ。万が一という事もある。今日からお前はラボで寝泊まりをしろ。いいな?」

鈴羽「で、でも君はどうすんのさ。君もあそこで寝泊まりしてるんでしょ?」

岡部「俺は実家に帰ればいい話だ」

鈴羽「でも……」

岡部「わかったな?」

鈴羽「……うん」

鈴羽「でもさ、岡部倫太郎」

岡部「なんだ?」

鈴羽「あたしがラボで寝泊まりすると、君が夜遅くまで実験をした時はどうすんの?」

岡部「そ、それは……」

鈴羽「だからさ、今まで通りでいいよ」

岡部「なっ、だから野宿は」

鈴羽「違う違う。君が今まで通りラボで寝泊まりすればいいんだよ」

岡部「なるほど」

岡部「……なに?」

鈴羽「ふふっ、君なら寝込みを襲ってきたら、返り討ちにするからね♪」

――――
――

岡部「ああ、俺だ。ふっ、これでバイト戦士までも籠絡できた。俺は自分が恐ろしいよ」

岡部「分かっている。油断はしないさ。では、エル・プサイ・コングルゥ……」

岡部「ふぅ……」

岡部「………」

岡部(どうしてこうなった……)

岡部(結局、鈴羽は今日からラボに寝泊まりする事になった。公園に荷物を取りに行くと言って別れたが……)

岡部(ま、まあ、相手はあのバイト戦士だ。間違いなど起きる訳がないだろう)

岡部(むっ、いかんな。ドクペの買い出しの途中だったな。買いに行くか……)

スーパー

岡部(ドクペに、カップ麺あと……この前、紅莉栖のプリンを食ってしまったから、プリンも買っておくか)

カシャッ

岡部「うん……?」

カシャッ

岡部「………」

カシャッ

岡部「おい、……」

カシャッ、カシャッ

岡部「何をしているのだ、指圧師」

萌郁「………かい、もの」

岡部「ちっがああああう!何故写メを撮ったのかと聞いたのだ!写メを!」

萌郁「………」カチカチカチ

岡部「……」ブーブー

岡部「メールは見んぞ。ちゃんと口で言え、口で」

萌郁「岡部くん、が……プリン、買ってた、から……意外、だと、思って……」

岡部「そんな理由で勝手に写メを撮るでない!だいたい、これは俺のではい。助手へのプリンだ」

萌郁「……牧瀬、さんの……ぱしり?」

岡部「違う」

岡部(くっ、指圧師め。こいつも中々に面倒な奴だな)

岡部(……指圧師に素直に接するとどうなるのだろうか)ジー

萌郁「……?」

岡部(慣らすためだ。一度、鳳凰院凶真の仮面を脱ぐ!)

岡部「お前も買い物か?萌郁」

萌郁「………あっ」カチカチカチカチカチカチ

岡部「メールは見ないと言った」ブーブー

萌郁「岡部、くんに……名前で…呼ばれたの…初めて」

岡部「そう、だったか?」

萌郁「………うん」

岡部「嫌だったか?」

萌郁「………」カチカチカチ

ブーブー

岡部「………」

萌郁「………嫌、じゃない」

岡部「そうか」

萌郁「………うん」

岡部「お前もカップ麺を買うのか。料理とはしないのか?」

萌郁「……」カチカ

岡部「見ないぞ?」

萌郁「………」ションボリ

萌郁「得意料理は……カップ焼きそば」

岡部「そういうのは料理と言わん。やはりお前も料理はできんか……ルカ子とフェイリスの存在は大きいな」

萌郁「岡部、くんは……料理ができる人の方が……いい?」

岡部「生憎だが俺はそんな古い考えを持ち合わせてはおらん。我がラボで料理ができん奴など他にも多くいる」

岡部「それに、奴らは料理以外の特技を持ち合わせているからな。料理が出来ないくらい、なんの問題でもない」

萌郁「…………」ションボリ

岡部「な、何故落ち込むのだ?」

萌郁「私……料理、以外も、……できない」

萌郁「お掃除も……できない……部屋、散らかってる……」

岡部「いわゆる片づけられない女という奴か」

萌郁「………」

岡部「それがどうした」

萌郁「………えっ?」

岡部「俺だって料理はできんし、部屋は散らかっている。お前と同じだ」

萌郁「……でも、岡部、くんには……友達が、居場所がある……私、には」

岡部「何を勘違いしてあるのだ。お前にもあるだろうが」

萌郁「……?」

岡部「お前はラボメンNo.005閃光の指圧師、桐生萌郁だ。俺の、俺たちの仲間だ」

萌郁「岡部、くん………」

岡部「だいたい、料理や掃除が出来ないからと言ってどうだと言うのだ」

萌郁「………」

岡部「誰だって練習さえすれば料理はできるし、掃除もしようと決心すればできる」

岡部「それに、居場所だってある。ラボはお前の居場所なのだ。遠慮などいらん!」

岡部「だから、そんな事で何もないと悲観するでない」

萌郁「……おか、べ、くん」グスッ

ギュッ

岡部「……えっ」

キャーヤーネーサイキンノワカイコハ、フヒヒリアジュウバクハツシロ、ビシィ

岡部「お、おい萌郁!こんな所で何を」

萌郁「あり、が、……とう……」グスッ

――――
――

岡部「落ち着いたか?」

萌郁「……うん、ごめん、なさい……」

岡部「気にするな。言っただろう遠慮はするなと」

萌郁「…………うん」

岡部「ま、まあ遠慮はするなと言ったが……外であのような真似は今後控えてもらうと有り難い」

萌郁「……外、じゃなかったら、いいの?」

岡部「そ、それは……ま、まあ、外でないなら、な」

萌郁「……岡部、くんって、……以外と、シャイ、だね」

岡部「なっ!?」

萌郁「……あの時、の岡部くんの顔……真っ赤だった」

岡部「くっ、い、言うでない!誰でもそうなるわ!」

萌郁「……ふふ」

岡部「あっ……」

萌郁「どうか……した……?」

岡部「いや、お前が笑っている所を初めて見た気がした」

岡部(不覚にも一瞬だけきゅんときた)

萌郁「そう……?」

岡部「ああ、いいと思う」

萌郁「えっ?」

岡部「あっ、その……普段の無表情よりは笑っていた方がいい。まゆりを見てみろ。あいつなんて年中ニコニコしているからな」

萌郁「…笑う…私…が……」

岡部「さて、そろそろ行くか、俺はラボに帰るがお前はどうする?一緒に来るか?」

萌郁「……私は、カップ麺、家に置いて、こないと、いけないから」

岡部「むっ、そうか。ではな、指圧師」

萌郁「………名前」

岡部「なに?」

萌郁「……これからは、名前で、……呼んで……だめ?」

岡部「了解した、萌郁」

萌郁「んっ、あと……岡部くんに、頼み事……いい?」

岡部「頼み事?なんだ?」

萌郁「あの………」

――――
――

岡部(料理の味見か……萌郁が料理を始めるとはな)

岡部(別に料理も掃除も出来なくていいと言ったんだがな。まあいい、今後あいつの家に行く際は味見のついでに部屋の片付けも手伝ってやるか)

フェイリス「あっ、凶真!」

岡部「フェイリス?奇遇。今日はメイクーンのバイトはないのか?」

フェイリス「今終わった所だニャン!凶真は?」

岡部「ああ、ちょっと買い出し行ってきてな。今はそれの帰りだ」

フェイリス「ニャニャ、それはちょうどいいニャン!フェイリスも今からラボに遊びに行こうとしていた所ニャン」

岡部「そうか。うむ、では一緒に行くか」

フェイリス「ニャふふ、やはり凶真とフェイリスは共に歩む運命なんだニャン」

岡部(……フェイリスか。こいつを相手に鳳凰院凶真を封印すると、どうなるのだろうか?)

岡部(紅莉栖、鈴羽、萌郁と来たのだ。よし、このままフェイリスでも試してみるか)

岡部「ああ、そうかもな」

フェイリス「……うにゃ?」

フェイリス「凶真が乗ってくるニャンて珍しいニャ」

岡部「お前とこうしてメイクーン以外で二人で話すなんて滅多にないからな。これも運命石の選択かもしれん」

フェイリス「くっ、さすが凶真ニャン。このフェイリスの精神を言葉巧みに揺さぶるニャンて……」

岡部「ところでフェイリス、メイクーンの方は最近どうなんだ?」

フェイリス「順調だニャン♪ダルニャンを始めとする常連さんたちには毎日楽しんでいってもらってるニャン」

岡部「ならいい。俺も最近行ってなかったからな。今度寄ってみるか」

フェイリス「その時は是非ともフェイリスをご指名するニャン♪フェイリスの奥義、目を見て混ぜ混ぜを披露するのニャン♪」

岡部「無論だ。メイクーンにはお前とまゆりの様子を見に行くようなものだしな」

フェイリス「ふにゃ?」

風呂

ほ(こいつ完全にメイクーンだと思ってるな)

岡部「なんだ、変な声を出して」

フェイリス「へ、変ニャのは凶真の方だニャン!そんニャ、フェイリスを見に来る為に来てたニャンて……」

岡部「お前とまゆりだ。特にまゆりの奴がちゃんとバイトを出来ているのか気になる時があってな」

フェイリス「ニャンだ。そういう事かニャ。安心して凶真。マユシィは頑張ってくれてるニャ」

岡部「ならいいんだがな」

フェイリス「……凶真はマユシィに過保護過ぎるニャ」ボソ

岡部「何か言ったか?」

フェイリス「ニャ~ンでもニャいニャ」

>>131
Oh……ミスった

岡部「……まあ、確かにまゆりを特別扱いしている自覚はある」

フェイリス「ニャニャ!?聞こえていたのかニャ?」

岡部「だがな、フェイリス。だからと言って俺は他のラボメンたちを疎かに扱おうなんて思っていない」

岡部「まゆり、ダル、助手、バイト戦士、ルカ子、指圧師……そしてフェイリスお前も」

フェイリス「えっ…?」

岡部「みんな俺にとって掛け替えのない大切な仲間だ」

フェイリス「きょ、凶真……」

フェイリス「や、やっぱり今日の凶真は少し変だニャン……」

フェイリス「凶真……」

岡部「なんだ?」

フェイリス「フェイリスの目を見るニャ」

岡部「なに?」

フェイリス「いいからっ、目を見るニャン!」

岡部「わ、分かった。そう急かすな。こうか?」

フェイリス「そのまま、じっとしてて」

フェイリス(これで凶真の真意を確かめるニャン)

フェイリス「ねえ、凶真。さっきの言葉に嘘はないかニャン?」ジー

岡部「無論だ。お前は大切な仲間だ」

フェイリス(ど、どうやら本当みたいだニャン……)


フェイリス(という事は、お、岡部さんに大切って言われたんだよ、ね……)

フェイリス(岡部さん……)ポー

岡部「……ふむ」ヒョイ

留未穂「あっ、な、なにするの!?」

岡部「やはり猫耳を取ると秋葉留未穂になるのか」

留未穂「か、返して!私の猫耳!岡部さんっ」

岡部「直ぐ返す。だが、その前に『お前』にも言っておく必要があると思ってな」

留未穂「えっ?」

岡部「留未穂、お前も同じく俺の大切な仲間だ」

留未穂「ふぇっ、あっ……ありがとう、岡部さん」

岡部「それだけだ。すまんな、勝手に取って」スチャ

フェイリス「………」

フェイリス「ね、ねえ、凶真」

岡部「なんだ?フェイリス」

フェイリス「ニャ、ニャンんでそんな事を急に言い出すのかニャ?お陰でフェイリスはさらなる精神攻撃を受けてしまったのニャン……」

岡部「こうやって二人きりで話せる機会がないからな。それに……」

フェイリス「それに……?」

岡部「少し、お前が疲れいるように見えてな。メイクイーンが繁盛しているなら越したことはないが、休みも必要だ」

岡部「ラボに顔を出すだけでも少しは気分転換にはなるだろう。だからいつでもラボに来るがいい。フェイリス・ニャンニャン。そして秋葉留未穂よ」

フェイリス「ニャ、ニャらお言葉に甘えさせてもらうニャン」

岡部「ああ、遠慮はするな。お前はラボメンなのだからな」

フェイリス「そうだ、凶真もメイクイーンにいつでも来るのニャン!フェイリスが凶真の疲れを癒やしてあげるのニャン」

岡部「ふっ、それは助かる。そうだな、今後メイクイーンに通う日数を増やすか検討してみるか」

フェイリス「約束だニャン?」

岡部「ま、まあ財布の中身次第だがな」

フェイリス「ニャふふ、分かってるニャン♪あ、あと」スッ

留未穂「も、もし、良かったら私の家にも遊びに来ませんか?岡部さんなら歓迎だよ?」

岡部「いいのか?」

留未穂「うん、岡部さんなら……」

岡部「そうか、では約束しよう」

留未穂「うんっ、絶対、来てね。岡部さんっ」

ガチャ

岡部「ふぅ、やっと戻ってこれたか」

フェイリス「お邪魔しますニャン」

まゆり「あっ、オカリンだ~オカリン、オカエリン♪フェイリスちゃんもトゥットゥルー♪」

岡部「まゆり、着ていたのか」

フェイリス「こんにちは、マユシィ」

紅莉栖「お、おかえりなさい。買い出しの割には随分遅かったわね」

紅莉栖「……あ、あなた」ボソッ

岡部「……?ああ、ただいま、紅莉栖。色々とあってな」

岡部(最後の方、聞き取れなかったな)

紅莉栖「は、はぅ」

まゆり「あっ、そうだ。オカリ~ン。ちょっとお願いがあるんだけどいい?」

岡部「なんだ?まゆり、言ってみろ」

まゆり「あのね~今日本当はルカくんも呼んでコスの合わせをフェリスちゃんと一緒にやるつもりだったんだけど」

岡部「ルカ子が?見当たらないようだが」

まゆり「うん、急に恥ずかしくなって、やっぱり着れないって」

岡部「ふむ、それでお前は俺に何を望むのだ?」

まゆり「ルカくんにコスを着るように説得しに行ってほしいのです」

岡部「フゥーハハハ!だが断る!人質風情がこの鳳凰院凶真を顎で使うなど100年早いわ!」

――――
――

柳林神社

岡部(と、普段の俺なら断っていただろうが……)

ルカ子「あっ、おか、じゃなかった凶真さんっ。こんにちは」ペコリ

岡部(どうせだ。ルカ子の場合の反応もここで見ておく)

岡部「呼びやすい方で呼んで構わない。ところでルカ子よ、まゆりのコスの話、断ったそうだな」

ルカ子「えっ、あっ、それは……」

岡部「恥ずかしい、からか?」

ルカ子「は、はい……僕なんかに似合うか判らないですし、その……色んな人に見られるのが怖いんです」

岡部「これは俺、個人の意見なのだが……」

岡部「お前はどんなコスでも良く似合うと思うぞ?ルカ子」

ルカ子「え、ええっ!?」

岡部「恥じることなどない。それは自信を持って言える」

ルカ子「ほ、本当ですか?」

岡部「うむ、本当だ」

ルカ子「で、でも……」

岡部「どうした?」

ルカ子「岡部さんに似合ってるって言われてるのに、僕……自分に自信を持てなくて」

岡部「……ルカ子」

ルカ子「僕、昔からそうなんです。いつも自分に自信を持てなくて……だから自分から何もできなくて」

岡部「なぜ、自信を持てないのだ?」

ギュッ

ルカ子「お、お、岡部さん!?」

岡部「こんなにも華奢で可憐なお前にコスが似合わない訳がないだろう」

ルカ子(お、お、岡部さんが僕を抱き締めてる!?)

ルカ子「で、で、でも僕、男の子ですよ?だから」

岡部「そんな事はどうでもいい!」

ルカ子「っ!」

岡部「お前と初めて出会った日に言った言葉だ。覚えているか?」

ルカ子「も、もちろんです!忘れた事なんてありませんっ」

岡部「男の子だから自信がないとか、女の子じゃないから自信ないと言うのなら、それは違う。間違っているぞルカ子」

岡部「そんなものなど、どうでもいいのだ。自信を持つのに性別など歓迎ない」

岡部「似合わないかもしれない?それはない。お前の師である俺が断言してやろう」

岡部「人に見られるのが恥ずかしい?なら俺がずっと側に付いていてやろう」

岡部「それでも、お前は自分に自信を持てないか?ルカ子」

ルカ子「ぼ、僕は……」

ルカ子「お、岡部さん……」

岡部「なんだ?ルカ子よ」

ルカ子「あの、大勢の人の前で僕がコスをする時に、本当に岡部さんは側にいてくれますか?」

岡部「無論だ。何なら俺もコスをしてお前の側にいても構わん」

ルカ子「ほ、本当ですか!?」

岡部「二言はない」

ルカ子「じゃ、じゃあ、僕っ……コス、して、みますっ」

岡部「ふっ、良く言ったルカ子!まずは一歩踏み出すことができたな」ナデナデ

ルカ子「は、はいっ、あっ……」

ルカ子(お、岡部さんに頭を撫でてもらえるなんて……夢、みたい)

岡部「さて、ラボに向かうか。まゆりたちが待ってる」

ルカ子「そ、そうですね」

岡部「ああ、そうだルカ子よ」

ルカ子「は、はいっ、何でしょうか」

岡部「お前は今日で新たなる一歩を踏み出した。その為、今までの修行もより一層厳しいものになる」

ルカ子「……」ゴクリ

岡部「お前はそれを乗り越えられるか?」

ルカ子「お、岡部さんと一緒ならやってみせます!」

岡部「うむ、いい返事だ。これからも日々精進するのだぞ……るか」

ルカ子「ふぇっ?あ、い、いま……」

岡部「何をぼさっとしている。行くぞ」

ルカ子「は、はいっ!」

ルカ子(お、岡部さんが初めて名前で呼んでくれた……!)

――――
――
岡部「ふぅ、今日は疲れたな……」

まゆり「えへへ、オカリン。ルカくんのこと、ありがとう♪」

岡部「俺は何もしていない。あいつ自ら自信を持って前に踏み出したのだ」

まゆり「でも、それができたのはオカリンのお陰だよ~だからお礼を言うのです」

岡部「礼などいらん。時にラボメンに発破をかけるのもリーダーたる俺の役目だからな」

まゆり「えへへ、ちゃんとみんなに素直になったんだね~オカリン。昔の頃に戻ったみたいだよ」

岡部「……勘違いするな、奴らを御しやすくするために鳳凰院凶真の上から新たなるペルソナを被っただけだ。俺の本心ではない」

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   ゞ:              / ,'  `ヽ-         ヾ、
   /::      ___,,ー-----イ   ヾ , トァー--       `;    ┃
   ,'1       _, ィー、 、 ヽ   /  -イ"`ヾ-、_    i  ━╋━┓         ┃
   !        ト__i::::’:::)》、  ソ、! ,/イヾ:::’:::;;イノ,、     i:    ┃  ┃         ┃
   ゙        ー-...::::::       `  ー ` `        |     ┃  ┃ ┃┃┃  ┃
    ヾヽ                              /               ┛  ●
     \       ./      |     ヽ.           /
━━━━━━━━━|      |      |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              \__/\__/

岡部のペルソナカットイン見てみたい

まゆり「こうやって一緒に帰るのも久しぶりだね~」

岡部「そうだな」

岡部(本当はラボに泊まる予定だったのだがな。鈴羽もラボに泊まると知った紅莉栖に半強制的に帰らされた)

まゆり「ねえねえ、オカリン」

岡部「なんだ?」

まゆり「手、繋いでいい?」

岡部「ああ」

ギュッ

岡部「……本当に、昔みたいだな」

まゆり「えへへ、ありがと。オカリン」

>>210
http://mup.vip2ch.com/up/vipper30684.jpg

まゆり「昔はこうやってお外に出掛ける時はいっつも手を繋いでたよね~」

岡部「お前は目を離すと直ぐにどこかへ行ってしまうからな。まるで犬みたいだ」

まゆり「マユシィ・ワンワンで~す♪わおーん」

岡部「ふふっ、お前、猫より犬の方が似合っているのではないか?」

まゆり「え~そ~かな~今度フェリスちゃんに犬耳付けていいか聞こうかな~」

岡部「まあ、無理だろうがな」

まゆり「そろそろお家に着くね~」

岡部「ああ、実家に帰るのは久しぶりだな」

まゆり「……ねえ、オカリン」

岡部「なんだ?」

まゆり「あの、ね……まゆしぃ、オカリンに一つお尋ねしたい事があるの」

岡部「なんだ、言ってみろ」

まゆり「まゆしぃは、これからもオカリンの人質でいいのかな?」

岡部「……えっ?」

岡部「愚問だな、まゆり。お前はこれからもずっと俺の人じ――」

岡部(いや違う。鳳凰院凶真にとって、まゆりは人質だ。だが、岡部倫太郎にとってまゆりは)

岡部「いや、違うな。まゆり」

まゆり「そう、だよね……いつまでも人質のままじゃいれないよね」ションボリ

岡部「こら」ペシ

まゆり「あぅ」

岡部「勝手に話を進めるでない」

まゆり「ふぇ?」

ギュッ

まゆり「お、オカリン?」

岡部「俺にとってお前はこれからもずっと人質であり、そして……」

岡部「これからもずっと大切で、特別な人だ」

まゆり「ふ、ふぇ?そ、それって……」

岡部「す、素直に接しろと言ったのはお前だ。だから、その、俺は素直に接したまでだ」

まゆり「オカリンっ」

ムギュ

岡部「こ、こらお前が抱き返すと、その……あ、当たるだろうが」

まゆり「オカリン、ずっと側にいていいんだよね?」

岡部「そう、言った筈だが」

まゆり「えへへ、そっか~」

岡部「やっと、放してくれたか。そ、そろそろ帰るぞ。万が一こんな所をお前の両親や俺の親父に見つかったら――」

ちゅっ

まゆり「~♪、お休み、オカリン♪」

岡部「……」

岡部「えっ、あっ……うん、お休み」

一週間後

ダル「なあ、オカリン。色々と聞きたい事があるんだけどいい?」

岡部「な、なんだ?ダルぅ、どうしてそんなもの凄い形相で俺を睨み付けるのだ?」

ダル「あれ、なに?」

紅莉栖「ふふっ、あなた~晩ご飯できたわよ」ニコニコ

鈴羽「うわっ、またカップ麺?流石に毎日だと飽きてくるね」

紅莉栖「嫌なら食べなくてもいいんですけど」

鈴羽「ここはあたしと岡部倫太郎の家みたいなもんなんだけど?つーかなんで君が居座ってるワケ?」

紅莉栖「な、なんでってそれは……」チラチラ

岡部(な、何故こっちを見て手を振るのだ紅莉栖!?)

紅莉栖「えへへ……」

ダル「っで、あれはなんなん?」

岡部「な、何と聞かれてもだな。見れば分かるだろ。助手とバイト戦士だ」

紅莉栖「おかべ~おかべ~晩ご飯できてるわよ」ヒラヒラ

岡部「す、すぐ行く!」

ダル「なんで毎日牧瀬氏がオカリンの晩ご飯作ってんの?」

岡部「紅莉栖は俺の助手だからな!助手はあらゆる面でサポートをするものだ」

紅莉栖「おかべ~一緒に食べよ~」ヒラヒラ

岡部(だ、だからわざわざ手を振るな!)

ダル「まあ、助手だってのは納得したけど」

岡部「そうか納得したか、ならいい」

ダル「じゃあなんで阿万音氏はオカリンとラボで寝泊まりしてんの?」

岡部「ば、バイト戦士は戦士だからな!何かと機関から命を狙われるからボディガードを頼んでいるのだ!」

鈴羽「岡部倫太郎~やっぱカップ麺は飽きたから、晩はいらないよ。今日は先に寝るから、お休み~」

ダル「なんで阿万音氏は二つの枕がある布団で寝てんの?」

岡部「ち、違う!俺は今まであいつと一緒に寝た事はない!いつもソファーで寝ている!信じろ!」

ダル「まあ100歩譲って阿万音氏がボディガードとするお」

岡部「うむ、そうだボディガードなのだ」

ダル「……なんで最近、フェイリスたんが毎日ラボに来てオカリンの膝の上に座ってるの?」

フェイリス「ニャニャ、大変だニャン凶真。フェイリスのステルスシールドがダルニャンに見破られたニャン!」

岡部「ああ、緊急事態だな。ダルの右手が真っ赤に燃えてるな」

ダル「あと、なんで左右で桐生氏とるか氏で固めてるの?」

萌郁「おか、べ、くん……Zzzz」

ルカ子「岡部、さん……Zzzz」

岡部「ふ、二人ともコスや料理に疲れて眠っているのだ。たまたま俺の肩を貸しているだけだ。気にするな」

ダル「なあ、まゆ氏。まゆ氏はあれ見てなんも思わないの?」

まゆり「ええ?オカリンはみんなと仲良しさんでいいな~って思うよ」

岡部「そ、そうだぞ。ダル。みんな仲良しが一番だ」

ダル「どうしてこうなった」

岡部「ふっ、決まっている。これがシュタインズ・ゲートの……いや」



岡部「素直になったから、だな」

ダル「」

おわり

書き溜ないから遅くてごめんね

読んでくれた人、ありがとニャンニャン

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