美希「千早さんが合同ライブに出ない?」 (12)

 「竜宮はわかるけど……なんで?」

 「千早は……その前日にソロライブがあってな。スケジュール的に厳しそうだから今回は見送るとのことだ
  見には来るらしいが、参加はしないらしい」

 (ソロライブって……だって今回は、雪歩が復帰してから初めての幕張メッセなんだよ!?)

 10月のある日の打合せのことだった。

 喉元からでかかった言葉をギリギリのところで閉じ込める。

 美希がなんて言ったところで千早さんにもプロデューサーにも美希の言葉は届かない。

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 四年前、当時の無理なスケジュールが負担になって、喉を痛めた雪歩はアイドル活動を休止した。

 それからリハビリを続けて、半年後に復帰はできたけど。無理なリハビリのせいで、声質が少し変わってしまった。

 ファンのみんなからしたら、間違いなく抵抗はあっただろう。

 それでも美希は、四年前のあの日。

 雪歩が出た時にかすかに見えた、白いサイリウムの光を一生忘れないと思う。

 四年前、当時の無理なスケジュールが負担になって、喉を痛めた雪歩はアイドル活動を休止した。

 それからリハビリを続けて、半年後に復帰はできたけど。無理なリハビリのせいで、声質が少し変わってしまった。

 ファンのみんなからしたら、間違いなく抵抗はあっただろう。

 それでも美希は、四年前のあの日。

 雪歩が出た時にかすかに見えた、白いサイリウムの光を一生忘れないと思う。

 雪歩が復活して始めてステージに立ったのは幕張メッセという会場だった。

 それから、そこに立つ機会に恵まれなかった雪歩を含めた私たちは、これから四ヶ月後、もう一度幕張の舞台に立つ。

 正直、雪歩が今抱えているプレッシャーは尋常じゃないと思う。

 声の変わった自分が初めて立った会場での、ある意味凱旋ライブみたいなものだ。

 できれば美希は、全員で雪歩を支えたい。

 もちろん雪歩は強い人だ。本当は美希たちの助けなんていらないと思う。

 けど、自分が一人で舞台に立つ時に、裏に仲間がいるかいないかは大きな違いだと思う。

 美希は765プロ、千早さんからそれを教わったのに。
 その本人が来ないなんて……


 「なにそれ!? そんなの許されるの!?」

 美希が感じていたもやもやを、最初に言葉にしてくれたのは、意外なことに響だった。

 「うーん。千早ちゃん、今回のは流石にやりすぎじゃないかなあ……」

 それに乗っかる形で春香も呟く。

 そっか。二人は雪歩と同じユニットだもんね。
 気持ちはすごくよくわかるよ。

 「千早、どうせライブは見にくるんでしょ?
  『しまった! やっぱり私も参加すればよかった!』って思わせる方法ってないかな?」

 テンションのままに立ち上がった響が、こっちに話を振ってくる。

 その瞬間、美希は思いついてしまった。
 千早さんの唯一と言ってもいい弱点、そこを攻める方法を。

 「……美希たちが、千早さんの歌を歌うってどうかな?」

 それから話し合い、美希と響で目が逢う瞬間を。

 春香と雪歩でLittle Match Girlを歌うことになった。

 きゅん!ヴァンパイアガールを響と一緒に歌えないのは残念だけど、響にはBrand New Days!とビジョナリーがあって、しかもそれが連続で続いている。

 流石にきゅん!ヴァイパイアガールまで歌ってもらうのは響に負担がかかりすぎる。

 フェアリーは美希にとって大事なユニットだけど、今優先するべきことは千早さんの分まで雪歩を支えることだから。

 響本人は歌いそうにしてたけど、無理を言って諦めてもらった。

 いざ歌ってみると、目が逢う瞬間はすごく難しい歌だった。

 前もarcadiaを歌ったことがあるけどあれもすごく難しかった。

 arcadiaはメドレーの一部だったけど目が逢う瞬間はまるまる一曲だ。

 こんな難しい曲は千早さんは一回のライブで二曲も三曲も歌ってる。

 そう考えると改めてあの人のすごさが実感できた。

 春香も同じようでLittle Match Girlの振り付けに苦戦しているようだった。

 そうして迎えたライブ当日。

 舞台に立ち、目が逢う瞬間を歌いだしたその時、美希はあることに気づいてしまった。

 あの時千早さんと一緒に歌ったarcadiaは、千早さんからの挑戦状だったんだ。

 その時の美希は、千早さんと歌えることが嬉しくて、そんなことに気づけなかったけど。

 聞いてください、千早さん。

 これが、美希からの答えです。

 「ごめんなさいみんな。私、すごく嬉しかった」

 アンコールが終わり、楽屋にやってきたちはやさんが、ぐったりしている美希たちを見て開口一番にそういった。

 自分の曲が自分のいないライブで歌われたこと。そんなライブで、しかも雪歩が復帰後初めてになる凱旋ライブに参加できなかったことを誤っているようだ。

 「美希、春香……それから響、雪歩も、目が逢う瞬間、すごい迫力だった。二人共、綺麗だった」

 「ち、千早ちゃん……」

 「今自分たちのこと名前で……」

 「自分の歌を、あそこまで上手に歌ってくれた人に、さん付けなんて他人行儀な真似できないわよ」

 響と雪歩が千早さんに抱きついて喜んでる。
 雪歩、嬉しいのはわかるけど、その泣き顔は女の子としてどうかと思うな。

 そうして美希たちの合同ライブは終わった。

 この後、美希が響と一緒にした返事を、今度は響が挑戦状として受け取ることになるけど。

 そのことを美希たちはまだ知らない。

 美希「千早さんが合同ライブに出ない?」Fin.

元ネタは今年の冬フェスです
春香・雪歩・響のユニットは漫画「THE IDOLM@STER2 The Wprld is all one!!」が元ネタ
多分千早「我那覇さんとVault That Borderline!!を歌いたい」に続きます

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