レッド「ポケモン?否ッ!!」(341)

オーキド「ここに三つのモンスターボールがあるじゃろ?」


オーキド「それぞれゼニガメ、ヒトカゲ、フシギダネが入っておる」


オーキド「レッド、お主はどうする?」


レッド「ふむ……」

レッドは三匹を繰り出すと
まずゼニガメを甲羅から引き抜き
フシギダネの背の種を剥ぎ落とし
ヒトカゲの尻尾の先をタバコの火を消すように踏みにじった


レッド「……如何ですかな、お師匠様……」


オーキド「よろしい…合格じゃ」

シゲル「甘いッ!甘すぎるッ!貴様のその慈悲の心には反吐が出るわァッ!!」


レッド「!?」


振り返るとそこにはシゲルが腕を組みながら扉にもたれかかっていた


シゲル「貴様はその程度で三匹全てをモノにしたと思っているのだろうが……」



シゲル「それは傲慢と言うものだ……」

シゲル「真のッ」


シゲル「武道とはッ!」


シゲル「こういう事を言うのだァーーーッ!!」バァ――――z___ン!!


シゲルは三匹の死体から脳みそを穿り出すと
その液体とも固体とも言えぬゲル状の物をミキサーに突っ込み引っ掻き回す


シゲル「ごきゅっごきゅッ!!」



シゲル「これで三匹は……俺のものだ……!!」

レッド「三匹をッ!」


オーキド「飲み込みおったッ!!」


シゲル「ジジィ……俺は行くぜ……」

ギュオオオオオ!!



オーキド「今、ポケモンマスターに一番近いのはまさにあやつッ!!」


レッド〈……完敗だッ!!〉

オーキド「……行くのか」


レッド「はい……己の未熟さを痛感致しました故……」



オーキド「死ぬなよ……」


レッド〈ポケモンマスターになるだけでは奴に追いつく事は出来ぬ……〉


レッド〈更に上を目指さなければ……ッ!!〉


――――かくして、レッドの伝説が幕をあけた!!

ートキワの森ー


レッド「目が……合ったな……!!」


虫取り少年「勝負だ!!行けッ!!キャタピーッ!」


レッド「キャ・タ・ピー……?」


虫取り少年「……?」


レッド「キャタピーだとォ!?」

レッドは虫取り少年の繰り出したキャタピーの頭部を
粉々に踏み潰した!


レッド「愚か者め!!真のポケモン道とはッ!己自身の身体を磨き上げる事にあるッ!!」


虫取り「!?」


レッド「そんな他人任せの暴力で……この俺の道を遮れると思うなァッ!!」


ドゴォ!!


虫取り「か……はっ……」ドサッ


ーニビシティ・ジムー



タケシ「噂はかねがね聞いている……お前がレッドか……」


レッド「ふん、なら話は早い…勝負だ……」


タケシ「いいだろう!いけ!イシツブテ!!」



レッド「貴様…ジムリーダーともあろう者が、よもやポケモンに頼ろうなどという事はあるまいな……」



タケシ「ッ!?」


レッド「舐めるなッ!!」


レッドは振り上げた踵を振り落とし
イシツブテの眉間を粉々に砕いた…!!


レッド「この程度……己の肉体を持ってすれば……」


タケシ「ふふふ……面白いッ!!」


レッド「ッ!?」



タケシはイシツブテを掴むと
粉々に握りつぶした!!

レッド「ほう……貴様……『握力』に自信があるようだな……」


タケシ「私も貴様のような挑戦者を待っていた……!」



レッド「いざ……尋常に…!」


タケシ「勝負ッ!!」



タケシがイワークの両端を持ち、そのまま引きちぎる…!
漢達のゴングが今、鳴ったのだ…!

飛びかかるレッドをかわすと
タケシはそのままレッドの脇腹をつまんだ


レッド「なんだぁその指は……?どうやら貴様は自分の立場が…」


タケシ「渇ッ!!」


レッド「おぅふッ!!?」


タケシはレッドの脇腹を指で引きちぎったッ!!

レッド「オギャ――――z___ッ!! 」


レッド〈これが奴のッ!!『握力』ッ!?〉



タケシ「ふん……貴様ごとき、指の力でバラバラにすることも出来るぞ……!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・



レッド「なるほど……ジムリーダーに申し分ない実力だ……!」


タケシ「これだけではない……!」


タケシがレッドの懐へと潜り込む


レッド「……!?」


タケシ「せっかくここまで来たんだ……『握力』の方も存分に味わっていくがいい……!」


タケシがレッドの片腕を掴む…
次の瞬間、ベキバキと骨の折れる音が鳴り響いた…!!

タケシ「フハハハハハッ!!自慢の腕っぷしもこの程度かァッ!!」


レッド「……かかったな…」


タケシ「!?」



レッド「わざわざこの俺のリーチに飛び込んでくれたんだ……」


レッド「取っておきを……お見舞いしてやるッ!」



レッドはタケシ目がけて
もう片方の腕を振り下ろした!!

ゴキィ!!


レッド「………馬鹿なッ!?今ので確実に首の骨が折れている筈だッ!!」


タケシ「あ……あまいわ……この俺の真骨頂は『握力』などではない……ッ!」


レッド「ま……まさか貴様ッ!!『我慢』…!?『我慢』しているのかッ!!」


タケシ「ふふふ……せめて掴んだこの腕……再起不能にさせてもらうぞ!!」


ゴリュッ!!べきッ!!ゴキッ!!



レッド「ぐああああああああああああッ!!!」

ブチィッ!!


タケシ「……?」


レッド「貴様は……既に再起不能だ……これ以上ダメージを喰らうわけにはいかない……」


タケシ「馬鹿な……自分の……腕を………捻り切ったというのか………」


レッド「首の骨が砕かれてまで喰らいつく精神に免じて………その腕の一本……くれてやる……」


タケシ「見事……」ドサッ



レッド WIN!!!!!

レッド「たかがジムと息巻いてはいたがここまでも『苦戦』するとは……」


レッド「やはり……一から鍛え直さねばなるまい……」



己の未熟さを痛感したレッドは
実に3年もの間、その身を御月見山に預ける事になる……

ー三年後ー


レッド「御月見山の主よ……長い間修行に付き合って下さったその御心、感謝致しまする……!!」


山男「うむ、行くがよい…」


三年もの月日を費やしたレッド
その道、足場と言う足場にピッピの肉塊が敷き詰められ
栄光へのレッドカーペットと呼ぶに相応しい道が築かれていた……!!



やまおとこ「へッ……今日は一段と朝日が眩しいぜ……」

ーハナダシティー


男「お兄さん!!ゴールデンブリッヂに挑戦するかい?」


レッド「……?」


男「5人抜きすれば素敵な商品がゴハァッ!!!」


レッドの手刀が放たれ
橋が真っ二つに割れる…!!


レッド「ふむ、どうやら俺も中々強くなったようだ……!」

ーハナダシティ・ジムー


レッド「看板を貰いに来た……」


カスミ「な……何あのマッチョ!?」


海パン男「リーダーに近づくやつはゆるさん!!」


レッド「………」

レッドはジムを一通り見回すと
その場に屈み、両手でプールの水をすくい上げた……


海パン男「?」


バシャっ



海パン男「ぐああああああああ!!?」



直後、ジムに機関銃が放たれたような轟音が鳴り響く……!
レッドが水をかけたことで、海パン男達は瞬く間に壁に叩きつけられる形となった…!!


レッド「もう一度言う、看板をもらいにきた……!」

カスミ「そんな……!奴は水をかけただけなのに……ッ!!」


海パン男「り・・・リーダー~……」


レッド「門下生どもは戦意喪失している様だが……」


カスミ「いいわ……いざ、尋常に!」


レッド「勝負ッ!!」



カスミが高台からプールに勢い良く飛び込む!!
漢達のゴングが今、鳴ったのだ…!

レッド〈くっ……水中がこれ程まで動きづらい所だとは……!!〉


カスミ「かかったわね!!」


レッド「これは……『サブミッション』!?」



カスミ「一度決まってしまえばこれを外す事など不可能……見誤ったわね!!」

レッド「華奢な割りに中々ロックが硬い……こいつのこの肉体は……!!」


カスミ「あなたは見かけ倒し……身体のその馬鹿みたいに盛り上がった筋肉を見ればわかるわ…!」


レッド「!?」


カスミ「水の中を自由に動くには抵抗力を極力無くさなければならない……!」


レッド「き……貴様!?筋肉が邪魔だと言うのか!?ならば何故この私と対等のパワーを……!」


カスミ「筋肉をつけていないわけじゃ無いわ……筋肉も鍛え方次第でここまで凝縮させる事が出来るのよ……!!」


レッド「この……今にもヘシ折れそうな細い腕が……筋肉だとォッ!!」

レッド〈くッ!!水の中では息が続かん!!このままでは……!!〉


カスミ〈ふふふ……このまま窒息するといいわ……!!〉


レッド〈なんだ…?泡……?泡だと?泡……つまり『空気』だ……〉


レッド〈この泡で息継ぎを……!!〉


カスミ「かかったわね!!」


レッド「!!?」

レッド「馬鹿な!?この泡は!!」


カスミ「そう……人読んで『バブル光線』ッ!!私の吐いた『二酸化炭素』よ!!」


レッド「取り込んでしまった……!意…識……が………!!」


逃れようにもカスミの関節技により動きを封じられたレッド
その肉体が徐々に沈んで行く………

カスミ「終わったようね……」


カスミが油断したその時…!!
レッドは絞め技のその僅かな弛緩を見逃さなかった!!


レッド「ウォォォォォォッ!!」


カスミ「馬鹿なッ!!身体が浮いていく!!」

レッドは水面から跳ね、高く飛び上がると
その身体をプールサイドに打ち付けた!!


カスミ「いやあああああああああ」


レッド「ふん……所詮『女』……その程度の痛みで甲高い声を上げるようでは……」



レッド「俺の目指す『ポケモン道』の障害とは程遠い存在と言えよう!!」

レッドがカスミに背を向け
立ち去ろうとしたその時……!!


レッド「………ッ!!」


カスミ「油断……したわね……!」


レッドが振り向くとそこには息も絶え絶えのカスミ…
その手に握られたナイフが自身の脇腹に突き刺さっていた!!

レッド「馬鹿な!!プールサイドに衝突した貴様の頭部は確かに半壊したはず…!!」


カスミ「『自己再生』…!!私は傷を治すことができるのよ!!」



レッド「!?」



カスミ「ふふ……この技は寿命を削るから使いたくなかったんだけど……!」

『自己再生』……
その言葉に呼応するように
レッドの身体は独りでに動き出していた!!


カスミ「何!?腕を…!?」


レッド「貴様の腕を……引きちぎる!!」


ブチィ!!


カスミ「――――――――ッ!」

引きちぎったカスミの片腕を
レッドは自身の失った片方の腕に突き刺した!!


カスミ「!?」


レッド「この細胞の再生能力で……タケシ戦で失った俺の片腕を蘇らせる!!」



カスミ「なんですって……!?」

レッド「治癒能力によって俺の細胞が一時的に『活性化』する……!」


レッド「その『活性化』を利用して……貴様を焼き殺す!!」


カスミ「焼く……ですって……?」



レッドはカスミにそう言い放ち
プールの水面に飛び込んだ!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………



レッドが飛び込んだプールの水かさが
徐々に減っていく…!!


カスミ「…一体どうなっているというの…!?」


レッド「………プールの水を………全て飲み干した……!!」



カスミ「!?」

レッド「腕の治癒の為に活性化した俺の肉体は……莫大なカロリーと共に『水分』を消費する…!!」


レッド「その水分は『汗』となり体外に排出……そして活性化された肉体の体温により汗は『蒸気』と化す!!」


レッド「地獄のサウナを味わえッ!!」シュウウウウウウウウウウッッ!!



カスミ「あ……熱い………」ドサッ



レッド WIN!!!!!!!!!!!!!!!

クチバシティのジムリーダー、マチスは元軍人である


その厳格ゆえのスパルタ指導は未だ健在であり
ジム通いのトレーナーと共に日々、トレーニングに明け暮れていた
腕立て、腹筋、スクワットetc…
1メニューの回数は1セット1万回にも及ぶ……!!


マチス「今日モ!ウォーミングアップ、ハジメマーース!!」


トレーナー「リーダー!!後ロ!!後ローーーーーーーーッ!!」


マチス「?」

振り向いたマチスが目にしたのは……

港街、クチバシティの街中をゆく
サントアンヌ号であった


マチス「フ……船ガ……陸地ヲ……ウォーキングNow……ッ!!」


レッド「あんたの玩具かい…?落し物だぜ……ッ!!」


トレーナー「コ……コッチニ向カッテ来マーーースッ!!!」


マチス「oh……ONーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


ドガアアアアアアアアアアアアアン!!



レッド WIN!!!!!!!!!!!!!!!

戦えよ

レッド「ふん……この程度か……まだ女の方が私を傷つけることができたぞ……」


マチス「ア………アウ………」


レッド「ほう……まだ息があったか……」



その時である…!
マチスの身体の周りを、黄金の気流のようなものが走った…!!



ドクン……ドクン…!ドクン!!!





レッド「こいつ……自分の肉体を……『電気マッサージ』していやがるッッ!!」

ちょっと10分ほどおちます

マチス「HAHAHAHAHA……中々ヤリマスネー……!!」


レッド「あれだけの不意打ちを受けておきながら……起き上がりやがったッ!!」


マチス「常人ナラ一撃デシタデショウガ……MEイッツ『ジムリーダー』…ジョークミタイナモノデスネー」


レッド「野郎……俺の一撃がジョークかどうか……」


レッド「もういっぺん喰らってから言ってみやがれッ!!」 ドゴォ!!


レッドの全力を込めた一撃は
地をえぐる結果となった…!!


マチス「HAHAHAHAHAHAHA!!」


レッド「当たらない!?」


マチス「ワタシハ元アーミー……銃弾相手二死線ヲ潜リ抜ケタモノデーース!!」


マチス「『高速移動』無クシテ任務ノ達成ハ至難ッ!!」

マチスの繰り出したナイフが
レッドの胸を貫く…!!


レッド「ガハッ……!!」


マチス「ア~~ンド……『10万ボルト』ッッ!!」


刃を通して
レッドの体内に電流が伝わる…!!



レッド「ぐああああああああああああああああッ!!」

マチス「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」


レッド〈こ……拳が握れねぇ……こうなったら……ッ!!〉


マチス「ッ!!」


レッドは指二本で目潰しを繰り出し
マチスの両目をくりぬいた!!


マチス「OHーーーーーSITTTTTTTTTTTTTTTッ!!!!」


レッド「ふん…そう喚くなッ!次の一撃で楽にしてやろうッ!!」

マチス「風ノ流レガ変ワッタ……!?」

マチスがキョロキョロとあたりを這う…
その後ろには、建設中のビルを担ぎながら近付くレッドの姿があった…!!


レッド「死ねぇぇぇぇぇッッ!!」



ドゴオオオオオオオオオッ!!



マチス「オアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

レッド「ふん、今度は胴体が引き裂かれた……これでは貴様でも助からん……!!」


マチス「カ……カクナル上ハ!!」 ピンッ!!


レッド「そ……そのスイッチはッ!!」


マチス「私ノ体内二隠シテオイタ超大型爆弾デース……粉々二ナリマショウ」



レッド〈この男………『自爆』を……〉



カッ!!



直後、クチバシティは輝きに包まれた!!


爆風によりレッドは
遥か彼方に吹き飛ばされていた……!!



レッド「ウォオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」



レッド〈この威力ッッ!!このまま地面に衝突すれば俺は確実に『絶命』するッ!!!〉



レッド「しかし…ッ!!この風圧では『受身』すら取れないッ!!これが…絶体絶命かッ!!」



レッド「むっ……何やら塔がそびえ立っているではないか……丁度いいッ!!」



レッド「あの塔で『受身』を取らせてもらおうかッ!!!」


ーシオンタウンー



ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!



街の人「ポ……ポケモンタワーが崩壊した……!!」


崩れた瓦礫の中から一人の男が飛び出す…!!


祈祷師「怨念じゃ……ポケモンの怨念じゃ!!」


レッド「何寝ぼけてやがるッ……俺は人間だ……ッ!!」 ゴキィ!!



祈祷師「 」


レッド「何やら街についた様だな……この町にはジムリーダーはいないのか……」


レッド〈む……ッ!〉



レッド「西の方角……なにやら血が騒ぐ……沢山のトレーナーがいるようだな……」



レッド「御月見山とハナダジムで鍛えたこの強靭な脚力があれば……二分で着きそうだ…!!」



レッド「ハァァァァーーーーーーーーーーッ!!!」ドギュウゥ―――z___ンッ!!

ータマムシシティ・ジムー


女の子「エリカおねえちゃーーーーん。」


エリカ「まぁ、きれいな花の冠」


女の子「エリカおねえちゃんにあげるーーー」


エリカ「うふふ、ありがと」


トレーナー「エリカさんの人気は相変わらずねぇ」




エリカ〈―――殺気ッ!?〉



エリカ「皆さん!!ジムから離れなさい!!」


ドゴオオオオオオオオン……!!



エリカ「そん……な……」


エリカは恐る恐る顔を上げると
その目に絶望的な風景が飛び込んできた…!


さっきまで和やかな時をすごしていたタマムシジムは
ドミノの様に倒れてきたタマムシデパートの下敷きになり
その原型を無くしていた

レッド「貴様が玉虫をつかさどる者か……」


エリカ「……ッ!」



レッド「……看板を貰いに来た」



エリカ「い…いざ……尋常に…!」


レッド「勝負ッ!!」



レッドが勢い良く飛び出し、タマムシデパートの看板を踏み潰す…!
漢達のゴングが今、鳴ったのだ…!

エリカ「大自然の力……とくと思い知りなさい……!!」


レッド「!?」


やはり…!エリカも只者では無かった!
大森林に紛れる木々の如く
その身を風景に溶け込ませたのだ!!


レッド「保護色か……しかも気配を殺している……中々の達人」


レッド「――――――とでも言うと思っていたのかッ!?」


エリカ「!!」


レッドは空に拳を突き出す!!
その拳はエリカの脇腹をえぐっていた!!



レッド「甘い……甘すぎる!俺は汗を蒸気のように発散させる事で『気流』を読むことができるッ!!」


エリカ「…ッ!!?」



レッド「その程度のごまかしが………通じると思うなァ!!!」


ゴシャァァッ!!




レッド WIN!!!!!!

レッド「頭部の一撃で玉砕か……ぬるいぬるい……」


レッドは気付いてはいなかった!!
マチスの爆風を受け、瀕死の重傷から蘇った事により
その肉体は以前の何倍ものパワーアップを果たしていたのだッ!!



レッド「どうやら俺は『ポケモン道』を徐々に極めつつあるようだ……!」



レッド「待っていろよ……オーキド!!まず、俺を戦いに駆り立てた貴様から息の根を止めてやる……!!」

ーヤマブキシティ・ジムー



ナツメ「……何か用でも?」


レッド「看板を貰いに来た……」


ナツメ「残念だけど…ジムは隣の空手王のところよ……」


レッドが道場の方角を指差す……


ナツメ「……!!」



レッド「どうした?『半壊』した道場と血達磨になっている男達が見えたか?どうやら貴様、『透視』が使えるようだな…」



ナツメ「くっ……この私にフェイクをかますなんて…!!」


ナツメ「いいわ……いざ、尋常に…!」


レッド「勝負ッ!!」



レッドがジムの床を渾身の力で殴る
漢達のゴングが今、鳴ったのだ…!


レッド「ふははははァ!!どうだ!!岩の味はッ!!」


ナツメ「あまり私を舐めてもらっては困る……」


レッド「ッ!?」



レッドのえぐった床の破片は
ナツメの手前でピタリと静止していた……!



ナツメ「指一本………この指一本で仕留めてあげるわ……!!」



レッド「ーーーーーーッ!!」ブチィィッ!!


レッド「女の分際でッ……この俺を愚弄するかァッッ!!」



レッドが勢い良くとびかかる……!
しかし、その拳がナツメを捉える事はなかった!!



ナツメ「何人たりともこの私に触れることすら許されない……!!」


レッド「この女ッ!!『瞬間移動』が出来るのかッ!!?」




ナツメ「パワーが空回りした気分はどう……!?」クンッ!!



レッド「!?」



ナツメが中指を突き立てると
ヤマブキシティのジムごと、レッドは吹き飛んでしまった…!!


レッド「ガハァッッ!!」


ナツメ「おっと……どうせ地面に叩きつけられるのなら……」



ナツメ「床の破片で作った『剣山』に落ちるといいわッ!!」


ナツメが親指を下に向けるのを合図に
レッドの肉体は剣山へと突き落とされた!!


ザクッ!!


レッド「ぐあああああああああああああああああ!!」


倒れたレッドの肩にナツメの人差し指が触れる…!!


レッド「………ッ!?」



ナツメ「『サイコウェーブ』を流したわ……そこの皮膚は『ひっくり返る』…!」


レッド「肩の中の『肉』がッ!!露出するッ!?」グチュッグチュッ!


ナツメ「次は『顔』から『つま先』にかけて触れてあげるわ……!!」


レッド「野郎ッ!!」 瞬!!


ナツメ「無駄よ…私にはテレポートがある……あなたの攻撃は当たらない…!!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・


レッド「うぉぉぉぉぉぉッ!!!」


レッドの攻撃はナツメに届く事は無く…
とうとう人差し指による攻撃を許してしまった!!


ナツメ「あなたの全身の皮が裏返るわ……!!」



レッド「うわあああああああああああああああああああああッ!!!」




ナツメ「――――――ッ!?」



ナツメは目を疑った……!!
サイコウェーブの注入により肉体が裏返ったはずのレッド……!!
神経や血管が浮かぶその全身から溢れんばかりの血を絞り出しながら
『立ち上がった』のだ!!



ナツメ「ば……化け物め……!!」



レッド「忘れていた……俺は『レッド』……不死鳥の如く蘇り、紅蓮の炎を身に纏い戦うようにと……父から授かった名だァーーーーッ!!」


レッド「貴様のような雌にッ!!敗北する事は絶対に許されてはならんッ!!」


ナツメ「ひっ……!!」



レッド「渇ッ!!」


ドゴォッ!!



ナツメ「かはッ!!」



レッド「……貴様に直接触れることが出来ないなら……拳圧を飛ばし貴様の肉体を貫くまで……!!」

レッドの放った拳圧はナツメの心臓を貫き
後ろに立ちはだかっていたシルフカンパニービルを崩壊させた……


ナツメ「む………無念……!」バタッ


レッド「……肉体が裏返ってしまったおかげで内臓や心臓までもが外に露出してしまったが……」


レッド「死の淵から這い上がった俺はまた『ポケモン道』へと近づくことが出来た……感謝……ッ!!」



レッド WIN!!!!!!!!!!!!!


ーセキチクシティー


レッド「看板を貰いに来た……!」


キョウ「………!」


キョウ「なんじゃこの人体模型のような男は…!!」


レッドは天に向かって拳を掲げた…!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・


キョウ「大地が!!揺れている……ッ!!」


――――――19XX年


――――――セキチクシティは地球上からその姿を消した……!!


レッド「この浜辺を渡れば……我が故郷、マサラの集落へと辿り着くのか……」



レッド「長き……戦いと修行の旅であった……!!」



レッドは大きく深呼吸をすると
勢い良く海へ飛び込んだ……!!
目指すはマサラ……いかなる島が行く手を阻もうが
今の彼を止める事は出来ないであろう……!!



レッド「グレンタウン、か……この大陸、母上の手土産に持って帰ろう……」


ふたご島「軽く貫通されましたわ…」


ーマサラタウンー



ズーン・・・・ズーン・・・・・



オーキド「な、何じゃこの地鳴りは!?」


研究員「は、博士!!あれを!!」


オーキド「!?」


研究員の指す先……
人体模型のような男が巨大な大地の塊を担いでいた…!!



オーキド「全員、構え!妙な動きを見せ次第、撃ち殺すんじゃ!!」


レッド「………」


レッド母「ああ…!あれは!!レッド……レッドなの!?」


レッド「母上ぇ……!」



レッド母「レッド!そんなに傷ついて……こっちへいらっしゃい!!」


レッド「母上ェッ!!!」


オーキド「みなのもの!!!撃て!!撃つんじゃあああ!!!」


カツラ「うちの看板を狙っている少年は何処に行ったんだ…?」

銃撃による一斉掃射…
いかにレッドが鍛え上げたとはいえ内臓を露出させた今、こうかはばつぐんだ!!

グレンタウンを支えていた腕に被弾し、レッドは体勢を崩してしまう……


マサラタウンは大量の土砂で押しつぶされる形となった……




レッド「母上ーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」  ゴシャアアアアアアアアア!!



レッド「これが……ッ!これが俺の目指していた『ポケモン道』なのかッ!!?」


レッド「何と小さいッ!!何と醜い『道』かッ!!これだけの力を持ってしてもッ!!愛のひとつも守れないのかッ!!!」



そもそもグレンタウン持ってこなきゃ潰される心配は…

いいぞもっとやれ


シゲル「フン……それは単に貴様の志が小さかったからにすぎん…ッ!!」


レッド「貴様ッ!!シゲルかッ!!」


シゲル「見よッ!!」


シゲルは高々と生首を掲げ
レッドに見せつけた…!


シゲル「一世一代を築き上げた『ロケット団』の首領でさえ、我が『ポケモン道』の前では無に等しいッ!!」


シゲル「これが『志』の差だッ!我が志、天よりも高く、故に『ロケット団』は歴史からその名を消したッ!」


シゲル「貴様のような半端者が己の拳を『ポケモン道』などと名乗るなど……ッ!!」


シゲル「10年早いわぁッ!!」  ビリビリビリ・・・・・!


レッド「………ッ!!」


レッド「……これから貴様はどうしようと言うのだ…!」


シゲル「無論、セキエイの頂にて貴様を待つッ!!」


レッド「……ッ!!」



シゲル「貴様の『ポケモン道』が未熟なように、我が『ポケモン道』も完成されてはいないッ!!」


シゲル「10年!!否ッ!!100年かけてでも この拳、完成させてみせようッ!!」


レッド「…ッ!!」


シゲル「貴様もまだ、心の奥底の灯火が失せていないのであればッ!!何時の日か、この俺に見せてみるがいいッ!!『ポケモン道』のその果てをッ!!」


かつての戦友の激励により
絶望の淵から再起したレッド…!

再びニビシティへと北上し、ハナダへ渡り南下する
もう一度己の拳を見つめ直す為に…

後に語り継がれる『ポケモン行脚』
その回数、実に100周を超えたという……


そして10年の月日を経て
セキエイの頂に一人の挑戦者が舞い降りた……ッ!!



ーチャンピオンロードー


シゲル「来たか……何だそれは……」


ゴロッ…


レッド「四天王……彼等との戦い無くして、我が『ポケモン道』がここまでの高みに上りつめる事は無かった……」


レッドは四天王の頭をミキサーに詰め込むと
グチョグチョに引っ掻き回した……!


レッド「ごきゅっごきゅ」


シゲル「よかろう……貴様の『志』、しかと受け取ったッ!!」


レッド「いざ……尋常に…!」


タケシ「勝負ッ!!」



合図は無かった……ッ!
しかし、それぞれの『ポケモン道』を賭けた、漢達のゴングが今、確かに鳴ったのだ…!


レッド「いざ……尋常に…!」


シゲル「勝負ッ!!」



合図は無かった……ッ!
しかし、それぞれの『ポケモン道』を賭けた、漢達のゴングが今、確かに鳴ったのだ…!



レッド「キリストは更なる高みへと上り詰める為『荒野』を40日もの間、彷徨ったという……ッ!」



シゲル「ほう……して、貴様は何を学んだ……!」



レッド「私も更なる『ポケモン道』へと昇華させる為……10年もの間『荒野』を彷徨ったッ!!」



シゲル「……!?」


レッドはシゲルの頭を鷲掴みにすると…
空高く舞い上がった……ッ!!


シゲル「貴様ッ!『武空術』が使えるのか……!!」


レッド「俺が言ったことが飲み込めぬ様なら……今一度地上を見渡してみるといいッ!!」



レッド「破壊光線ッ!!!」




シゲル「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


>>267

>レッド「いざ……尋常に…!」


>シゲル「勝負ッ!!」



>合図は無かった……ッ!

どういうこと?


ズシーーーン・・・・!


シゲル〈こ……これ程腕を上げているとは……!!〉



シゲル「こ…これは!?ここは確か『ハナダシティ』があった場所……!!」



シゲル「全て……『荒野』と化している……ッ!!」



レッド「私が通るたびに……家がひとつ無くなっていった……」



シゲル「人々はみなジョウト地方へと疎開したと聞いてはいたが……とことん自分を追い詰めた様だな……」


シゲルとレッドがお互いぶつかりあい
拳と言う拳が二人の間を飛び交う……!!
肉体は徐々に上昇し
気がついた時には、既に宇宙空間へと進出していた…!!


シゲル「よかろう……貴様には『資格』があるようだ……!」


レッド「…?」



シゲル「我が『ポケモン道』の果て、しかと見るがいい……!!」 


レッド「来る……ッ!!奴の奥義が!!」




シゲル「貴様には見えるかッ!?この『ポケモン道』の果てッ!!『太陽の軌跡』がッ!!」


レッド「!?」


シゲル「我が力を森羅万象の理へと乗せッ!その灼熱の『脈』を渡り再びこの肉体へと還らんッ!!」


レッド「奴に……太陽のエネルギーが集中しているというのかッ!!」


シゲル「この熱線を防ぐ手は無い……これで貴様の『ポケモン道』は潰え、我は更なる高みへと登る事が出来るッ!!」


シゲル「我が力の糧となるがいいッ!!滅びよ!!『ソーラービーム』ッ!!!」


レッド「不届きッ!!!」



シゲル「!?」



レッド「貴様のソーラービームは確かに、この肉体を燃やし尽くす事が出来るだろうッ!!」


レッド「だがしかし!!貴様も所詮『人間』ッ!!この、『母なる大地』を燃やし尽くす事は出来ないッ!!」


シゲル「ま……まさか貴様は……極めたというのか……あの技を……!!」


レッド「いくぞシゲルッ!!!『地球投げ』ッ!!!」



シゲル「………馬鹿な……間違っていたというのか……我が道は………」


シゲルの肉体は地球ごと
灼熱の太陽に飲み込まれた……



レッド「全てを失ったが……我が『志』を守る事はできた……」


さらば、そしてありがとう。友よ――――――――



『大地の子よ、よくぞポケモン道を極めた』



レッド「何だ…光が……!?」

『我が名、アルセウス。この宇宙を想像せし者なり』



レッド「これが……ポケモン道の果て!?」



レッドの肉体が輝きを増し、消滅していく…!


『そなたの名はアグノム、今一度生まれ変わり「意思の神」として再びこの世に舞い降りるがいい』



レッド「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお――――――――

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