まどか「あのね、さやかちゃんの様子が変なの」(293)

キーンコーンカーンコーン

早乙女「はいっ、それじゃぁ今日の授業はここまで!」

さやか「やっと終わった~」

まどか「さやかちゃんずっと寝てたよね…」

さやか「はははは」

ほむら「この前、『期末試験補習確定!』とか言ってたわりには随分と余裕ね」

さやか「終わったことは仕方ないじゃん。もっと前を向いて行かなきゃ!」

ほむら「前向きと思考放棄は別物よ」

まどか「まぁまぁ、ほむらちゃん。そのほうがさやかちゃんらしいよ」

さやか「へへへ」

ほむら(褒め言葉じゃないような気がするけど、まどかがそう言うのなら…)

早乙女「続いてホームルームを行いますが…、ここで皆さん大事なお話があります」

ざわっ

まどか「な、なんだろう…」

ほむら「また転校生が来たのかしら」

さやか「もうこれ以上転校生はお腹いっぱいだって」

早乙女「クリスマスは一人で過ごす派ですか!?大切な人と過ごす派ですか!?」

早乙女「はい!中沢君!」

中沢「えっと…、大切な人がいるなら、大切な人とじゃないですか?」

早乙女「そのとおり!せっかく好意を持った相手がいるというのに、その人とクリスマスを一緒に過ごしたくないなんて言うなど言語道断です!」

早乙女「女子の皆さんは決してその様な男性とお付き合いしないように!」

早乙女「男子の皆さんは決してそんな大人にならないように!」

さやか「クリスマス前に破局かぁ…」

まどか「先生今年も一人クリスマスだね…」

ほむら(一人でクリスマス…。病気で入院していた頃は時々あったわね…)

ほむら(一人ぼっちは、寂しいわよね…)

~下校途中~

ほむら「それじゃぁ、私はここで失礼するわ」

まどか「うん、ばいばいほむらちゃん!」

さやか「バイバイ、ほむらっ」

ほむら「ええ、さようなら」

バタン




てくてく

まどか「…」

まどか「ねぇ、さやかちゃん?」

さやか「何~?まどか」

まどか「今日ね、この後一緒にお買い物に行かない?」

さやか「ごめん、今日もこれから用事があるんだ」

まどか「え…」

まどか「もう、ずっと用事ばっかりだよね。2週間くらい」

さやか「本当~にごめんっ!」

まどか「ううん、用事なら仕方ないよ」

さやか「また今度埋め合わせするから!」

まどか「うん、無理しないでね」

さやか「それじゃぁ、バイバイまどか!」タタタタッ

まどか「ばいばい、さやかちゃん…」

まどか「…」

まどか(今度埋め合わせって、前にも言ってたよね…)

まどか(さやかちゃん、どうしちゃったんだろう。放課後はいつも一緒に遊んだりお買い物したりしてたのに…)

まどか(何か嫌われるようなことでもしちゃったのかな?私…)

~ほむほーむ~

ピンポーン

ほむら(…誰かしら?)

まどか『ほむらちゃん、ちょっといいかな?』

ほむら(まどか!)

ほむら「ええ、いいわよ。今開けるからちょっと待って」

ぱたぱたぱた

ガチャリ

まどか「さっきさよならしたばっかりなのに、ごめんね」

ほむら「いいえ、いいのよ。いつでも好きな時に来てくれれば」

まどか「えへへ、ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら(…)

ほむら(何か思いつめた表情をしているわね)

まどか「あのね、ほむらちゃんに相談があるの」

ほむら「私に?」

まどか「うん。あのね、さやかちゃんのこと」

ほむら(美樹さやかのこと?まさかまた恋愛がらみのイザコザかしら)

ほむら(こういうことに関しては、さすがに私だけでは対処しにくいわね)

ほむら(念のため、あの2人も呼んでおいたほうがよさそうね)

ほむら「わかったわ、まどか。その前にお茶とお菓子を用意するわ」

まどか「うん、ごめんね?ほむらちゃん」

ほむら「気にしなくていいのよ」ぱたぱた

ほむら「…」Prururu カチャ

ほむら「もしもし…」


ほむら(あのワルプルギスの夜を乗り越えてから数ヶ月)

ほむら(私は今も魔法少女としての生活を送っている)

ほむら(もう時を止める能力が使えなくなったけど)

ほむら(爆弾とかを駆使して皆のサポートにまわっている)

ほむら(杏子は一旦隣街の風見野に戻ったけど)

ほむら(巴マミの強引な説得で、今は彼女の家に居候となった)

ほむら(美樹さやかは私やまどか、杏子や巴マミの説得もあって)

ほむら(決心して上条恭介に告白した)

ほむら(結果としては現状維持の関係ということでとどまった様だけど)

ほむら(上条恭介との関係は以前よりは進展したみたいね)

ほむら(美樹さやかの魔女化問題についてやっと一段落したかと思った矢先の出来事…)

ほむら(一体何を考えているの?あの子は…)



ほむら「おまたせ」コトッ

まどか「ありがとう」

ほむら(2人が来るまで、状況だけでも聞いておこうかしら)

ほむら「それで、美樹さやかのことがどうかしたの?」

まどか「あのね、さやかちゃんの様子が変なの」

ほむら「…?」

ほむら「変、というのはどういうことかしら」

まどか「もう2週間以上、ずっと用事だって言って放課後どこかに行っちゃうんだ」

まどか「本当は一緒にお買い物行ったり遊んだりしたいのに…」

ほむら「おおかた上条恭介の所にでも行っているのでしょう」

ほむら「私達が後押しして、ようやくさやかも素直に告白したんだから」

ほむら「上条恭介も明確に告白を断ったわけでもないし」

まどか「それがね、上条君に聞いてもわからないんだって」

ほむら「…どういうこと?」

まどか「上条君も学校以外では、ほとんどさやかちゃんに会っていないんだって」

まどか「用事があるからって言って、同じ様に2週間くらい…」

ほむら「…」

ほむら(2週間前に何かあったのかしら…?)

ほむら(たしか放課後、まどかや巴マミと一緒にデパートに買い物に行って…)

ほむら(クリスマスケーキの予約の話や冬休みの話をして…)

ほむら(喫茶店に寄って帰っただけだったけど…)

ほむら(何か問題でもあったのかしら…?)

ピンポーン

まどか「?」

ほむら「協力者を呼んでおいたの」

まどか「協力者?」

ガチャ

マミ「おじゃまします」

杏子「久しぶりだな、ほむらの家は」

まどか「マミさん!杏子ちゃん!」

マミ「ふふ、こんにちは、鹿目さん」

杏子「まどか!あんたも久しぶりだね」

まどか「杏子ちゃん、マミさんの家での生活にはもう慣れた?」

杏子「んー、やっぱり共同生活ってのは堅苦しいけど…」

杏子「誰かと一緒にいるっていうのは、悪い気分じゃねーな」

マミ「ふふふ、佐倉さんったら、初日から大はしゃぎしてたわよね」

杏子「それはあんたの方じゃねーのか?マミさん…」

まどか「くすっ」


まどか「…というわけなの」

杏子「んー、あの坊やの所でもないわけか」

マミ「たしかに、突然すぎる感があるわね」

まどか「さやかちゃん、私のこと嫌いになっちゃったのかなぁ…?」

ほむら「そんな訳無いでしょ?」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「あの子がまどかのことを嫌いになんてなる訳が無い。私が保証するわ」

ほむら「あの子はこの中で一番まどかと一緒の時を過ごしてきたのだから…」

ほむら(そう、この時間軸でのまどかとの時を…)

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「とにかく、美樹さんはクリスマス近くの今になって様子が変になってきたわけね」

まどか「はい…」

ほむら「…(クリスマス…、上条恭介には内緒…、私達にも内緒…)」

ほむら「(ホームルーム…、早乙女先生… …!)」

ほむら「もしかしたら、美樹さやかのおかしくなった原因は、男じゃないかしら」

杏子「はぁ?」

マミ「暁美さん、何を言って…」

まどか「ど、どういうこと!?」

ほむら「美樹さやかには新しく男の友達ができたんだと思うわ」

ほむら「クリスマス前に毎日一緒にいて仲良くなって」

ほむら「いい雰囲気でクリスマスに臨もうとしているんだわ」

まどか「そんな!あれだけ上条君のこと好きだって言ってたのに、そんなわけ無いよ!」

ほむら「上条恭介からは明確なOKはでなかったわ」

ほむら「あれだけ思い悩んだ相手に返事がもらえなかった以上、どこかにあきらめの気持ちがあるんじゃないのかしら」

まどか「そんなことないもん!さやかちゃんは上条君のこと嫌いに思ったりなんかしないよ!」

ほむら「嫌いになるのではなく、あくまで興味の対象が他に移ったんじゃないかってことよ」

まどか「それじゃぁ、ほむらちゃんはどうなの?」

ほむら「私?」

まどか「ずっと私のこと助けようとしてくれて、何度も何度もやり直してくれて」

まどか「その苦難を乗り切って、こうして私のこと助けてくれた」

まどか「失敗しても、うまくいかなくても、決して諦めずに頑張ってくれたんだよね?」

ほむら「それは…」

まどか「だったら、さやかちゃんだってきっとそうだよ!」

ほむら「…」

マミ「ふふふ、暁美さんはまだまだ考えが浅いのね」

ほむら「…、そこまで言うのなら、あなたの意見を聞かせて欲しいわ。巴マミ」

マミ「もうそろそろ『巴さん(はぁと』って呼んで欲しいんだけど…」ウルウル

ほむら「…」ツネッ

マミ「痛いわ、暁美さん」

まどか「マミさんはどう思います?」

マミ「そうね…」

マミ「おそらく、原因は女の子じゃないかしら」

ほむら「…」

まどか「…」

杏子「…」

ほむら「何を言うかと思えば…」

まどか「考え方がほむらちゃんと一緒だよね…」

杏子「まぁ、そんなことだろうと思ったよ」

マミ「皆最後までちゃんと聞いて」

マミ「美樹さん、男勝りなところあるじゃない」

マミ「だから私達と一緒にいる時、いつも生き生きしてたわ」

マミ「だけど、上条さんに告白して思うような結果が得られなかった」

マミ「それなら他の男の子なんかよりも、女の子と一緒にいるほうがいいって思ったんじゃないかしら」

マミ「だけど、後押ししてもらった以上、私達には話しづらいから」

マミ「だからこっそり新しい女の子のお友達を探しているに違いないわ!」キリッ

まどか「でも、さやかちゃん学校でも女の子のお友達多いですよ」

ほむら「そうね。わざわざ隠れて、しかも学校の外で活動する必要は無いと思うわ」

杏子「だとさ。残念だったな、マミさん」

マミ「…」

マミ「だったら、佐倉さんの意見はどうなの?」

杏子「あたしの意見?んー、そうだな」

杏子「食いもんが関係してんじゃねーのか?」

マミ「…」

ほむら「あなた達に意見を聞いたのが間違いだったわ」

杏子「最後まで聞けって」

杏子「さやかさ、この前まで『食欲の秋~』って言って、食べまくってたんだよ」

杏子「だから、『最近体重やばい』とか言ってたからさ。ダイエットでもしてんじゃねーの?」

マミ「…」ガクブル

まどか「…」ガクブル

ほむら「?まどか、どうしたの?」

まどか「う、ううん、なんでもないよ?」

まどか「ほむらちゃん、最近体重増えた?」

ほむら「私はあまり食べない方だから…」

まどか「そ、そうだよね!えへへっ///!」

マミ「さ、佐倉さんはどう?あなたも毎日いっぱい食べてるじゃない」

杏子「んー、どうもあたしは太らない体質ってやつみたいだな」

杏子「どんだけ食っても体重なんて増えねーよ」

マミ「…」ピキ

まどか「…」プルプル

ほむら「…この話題はやめましょう」

ほむら「でも、そうなるとますますわからなくなってきたわね」

マミ「一度美樹さんを尾行してみればどうかしら?」

ほむら「あなたにしては良い案ね。たしかにもうそれしかないわ」

まどか「それがね、何回かさやかちゃんの後をつけてみたんだけど…」

まどか「さやかちゃん、いっつも見失っちゃうの」

ほむら「バレてるってこと?」

まどか「うん…」

杏子「尾行が下手なんじゃねーの?」

まどか「そんなことないよ!ママにもお願いしてみたけど、結局わかんなくなっちゃったの」

ほむら(あの詢子さんをしても気づかれてしまうとは…)

マミ「美樹さん、野生的なカンみたいなものを持ってるから…」

杏子「昔漫画で見た事がある。人間には第7感ってやつがあるんだって」

マミ「セブン・センシズね…、ついに目覚めたのね、彼女」

まどか「?」

ほむら「わけのわからない話はやめなさい」

杏子「でも、これじゃぁ八方塞だな」

ほむら「仕方ないわ、これを使うわ」ゴソゴソ

サッ

マミ「…これって」

杏子「何だ?この小さいのは」

まどか「ほむらちゃん、これは何?」

ほむら「超小型の発信機よ」

ほむら「昔、美樹さやかの行動を把握するために調達した物よ」

マミ「暁美さん、美樹さんのこともストーキングしてたの?」

まどか「そ、そうなんだ… /// 」

杏子「おいおい、それ犯罪じゃねーのか?」

ほむら「誤解しないで、あの子を救うためよ。あと、杏子。あなたにだけはその台詞言われたくないわ」

まどか「でも、さやかちゃんにバレちゃうんじゃ…」

ほむら「あの子はこういう機械系はそんなに得意じゃないと思うわ」

マミ「でも、どこにつけるのかしら?いつも肌身離さずつけていそうな物じゃないと駄目だと思うわ」

ほむら「たしかにそうね…」

まどか「!それならあの髪留めのピンに付けたらどうかな?」

ほむら「…なるほど、それなら風呂以外のときに外す確率は低いわ」

杏子「でも、どうやって付けるのさ?」

ほむら「私に考えがあるわ。まどか、手伝ってくれる?」

まどか「うん!」

ほむら「巴マミと杏子は明日の夕方、私の連絡があるまで待機していて」

マミ「わかったわ」

杏子「頼むぜ」

ほむら(美樹さやか、今になって何を考えているのか知らないけど…)

ほむら(これ以上まどかを苦しめるようなことはやめて欲しいわ)

~翌日~

ほむら「それじゃぁ、ここで失礼するわ」

さやか「うん、バイバイ、ほむら!」

まどか「…」

さやか「?まどか、どうしたの?」

シュバッ

さやか「なっ!?何すんのさ、ほむら!」

ほむら「…」

さやか「ふざけてないで私の髪留めを返し…」

ほむら「あなた、最近まどかのことを避けているようね」

さやか「えっ!?」

ほむら「帰りに何度誘っても、用事用事で相手にしないみたいじゃない」

さやか「本当に用事なんだってば!」

ほむら「だったら、せめて何の用事なのか、教えてくれないかしら?」

さやか「それは…」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「…何?まどか」クルッ

ほむら(さやかがまどかのほうを向いた。今のうちに!)コソコソ

まどか「私、さやかちゃんのことが心配なの」

まどか「また何か悩み事抱えているんじゃないかって」

さやか「まどか…」

まどか「だからね?何か困ったことがあるのなら話して欲しいな、って」

まどか「私じゃ力不足かな?」

さやか「そんなことない!」

まどか「!」ビクッ

さやか「あ…、ごめん。まどか」

さやか「ありがとう。大丈夫だよ、何も困ったことなんて無いから!」

さやか「あと数日のことだから、心配しないで!」

まどか「さやかちゃん…」

まどか「うん、わかった」スッ

さやか「あ、髪留め…」

まどか「じっとしてて?」

さやか「うん… ///」

キュッ

まどか「はい、もういいよ」

さやか「うん…それじゃぁ」

さやか「ごめんね?まどか」

タタタタッ

ほむら「行ったわね」

まどか「うん」

ほむら「早速私の家に戻るわよ」

まどか「ほむらちゃんのお家?」

ほむら「ええ、そうよ。他の二人にも連絡しておいたわ」

まどか「うん、わかった」

まどか(さやかちゃん、本当に心配だよ…)



さやか「ん~…」

さやか「しまったな。予想以上にまどかのこと心配させすぎちゃった」

さやか「後でいっぱい謝らなきゃ…」

さやか「あと、ほむらにも」

さやか「きっとまどかはほむらに色々と相談してるだろうしなぁ…」

さやか「っと、いけない!そろそろ時間だ!」

タタタッ

~ほむほーむ~

ほむら「この画面に映し出されているのは見滝原市とその周辺の市街図よ」

ほむら「ここに美樹さやかの現在地が映し出されるわ」

マミ「すごいわ…、一軒一軒の家までかなり詳しく書いてあるわね」

杏子「よくもまぁ、こんなに情報集めたもんだな」

ほむら「それだけまどかを救うことと、ワルプルギスの夜対策が必要だったってことよ」

まどか「あ、このお店に何か走り書きがしてある」

『2: ○月○日鹿目さんと行った喫茶店。お洒落でいい雰囲気!』

まどか「鹿目さんって…、そういえばほむらちゃん、最初は名前で呼んでくれなかったっけ」

ほむら「ごめんなさい、最初はどうしても言えなかったの。あなたを不安がらせたくなかったから」

まどか「でもちゃんと名前で呼んでくれるようになったよね?だったら全然気にしないよ!」

まどか「これもほむらちゃんとの青春の1ページだから!」ティヒヒ!

ほむら「まどか…」

マミ「あら、ここにも」

『4: ○月△日巴さんと一緒に薔薇の魔女退治!巴さんかっこいいなぁ』

マミ「あらあらうふふ ///」

ほむら「恥ずかしいのを見ないで頂戴 ///」

杏子「あたしのもあるな…って」

『6: 7: ○月□日杏子がりんごを盗んだお店』

杏子「あたしの犯行日記かよ…」

ほむら「まったく…あなたは何度同じことを繰り返していたのかしらね…」

まどか「まぁまぁ、もう終わったことだから…あれ?病院のところにもびっしりと…」

『5: ○月×日巴マミ お菓子の魔女に敗れる』
『7: ○月×日巴マミ お菓子の魔女に敗れる。いい加減話を聞いて欲しい』
『8: ○月×日巴マミ 死亡』
『9: ○月×日巴マミ 死亡 もう駄目』


マミ「…」プルプル

杏子「ほむら、あんただんだん投げやりになってねーか?」

ほむら「そうじゃないわ。何度も何度も同じ死を止められず、死ぬところを見せられて、心が折れてきてるの」

マミ「!暁美さん…」

ほむら「だからこうして今回のように、私の忠告を受け入れてくれたあなたには感謝しているわ。巴さん」

マミ「こちらこそ、あなたのおかげで…って、え!?今さっき巴さんって…」

ほむら「何のことかしら」フイッ

マミ「もう、暁美さんってば!」

まどか「ほむらちゃんは照れ屋さんだからね」

ほむら「///」

杏子「…」

杏子(隅っこに書かれてて皆気づいてねーみたいだけど…)

『1: ○月☆日 鹿目さんが死んじゃった場所…絶対にあなたを救ってみせる』
『2: ○月☆日 鹿目さんが死んじゃった場所 今度こそ鹿目さんを救う』


『9: ○月☆日 まどかが死んでしまった場所 どうしてあいつを倒せないの?』
『10: ○月☆日 まどかが死んでしまった場所 もう嫌だ…誰かまどかを助けて…』



杏子(あいつは…ずっと一人でこの苦しみの中生きてきたんだな…)

杏子(これはまどかには見せられねーよな…)

ほむら「前置きはここまでにしておいて、今から美樹さやかの追跡に入るわ」

ほむら「今さやかは自宅から出たところね」

まどか「あ、コンビニ寄ってる!そういえば今日雑誌の発売日だっけ?」

杏子「まさか、そのためだけに用事だなんていい訳してんじゃねーだろーな?」

マミ「さすがにそれは無いと思うわ」

まどか「あ、すぐに出てきた」

ほむら「…どこかに向かっているようね」

マミ「この先って…駅があるわ」

杏子「どっかに遠出すんのか?」

ほむら(まずいわね。見滝原から離れすぎるとこの地図は役に立たなくなるわ…)

まどか「すごい速さで移動してるね」

マミ「多分、電車に乗っているんだと思うわ」

ほむら「…」



まどか「あ、止まった」

杏子「ここ、風見野じゃねーか?」

ほむら「ええ、隣街ね」

マミ「わざわざ見滝原を離れて何の用なのかしら?」

ほむら「…これは」

杏子「?どうした?ほむら」

まどか「何か気になるの?」

マミ「繁華街ね。買い物か何かかしら」

まどか「!やっぱり私とお買い物行くのが嫌で…」

ほむら「それにしても、どこにも寄らずに一直線に目的地に向かっている感じね」

杏子「ひょっとしてバイトとかしてるんじゃねーのか?隠れて」

ほむら「!」

マミ「なるほど…それなら納得がいくわね」

まどか「でも何でわざわざ隣街まで…。それに私達にも内緒で…」

ほむら「知られたくないからじゃないかしら」

マミ「そうね…。となるとどんなアルバイトに…」

ほむら「ここまでわかればいいわ。今から私達も現地に行きましょう」

マミ「でも、それじゃ場所が…」

ほむら「風見野だけの地図なら、この小型の液晶でも確認できるわ」サッ

杏子「どっかのレーダーみたいな形だな」

まどか「早く行こうよ、皆!」

マミ「鹿目さん、そんなにあわてなくても…」

まどか「うん…でも…」

ほむら「そんなに焦ると危険よ、まどか」

まどか「うん…ごめんね、皆…」

ほむら「念のため、皆私服に着替えて」

マミ「そうね、制服のままで歩いていると補導されるかもしれないわ」

まどか「うん、じゃぁ、着替えてくるね!」

ほむら(…私の記憶が確かなら、この辺りにはいかがわしいお店が多かったはず)

ほむら(美樹さやか、あなたまさか…)

~1時間後 風見野 目的地~

ほむら「着いたわ、ここね」

マミ「でも、このビルって…」

杏子「なんだか怪しい空気がぷんぷんしやがる」

まどか「さやかちゃん…」

ホストA「ちょっと君達、どいてくれないかな?」

まどか「あ、え?ご、ごめんなさい!」ササッ

マミ「すみません」スッ

ほむら(…この人たち、以前どこかで見た気が…)

ホストB「今日は誰指名します?ショウさん」

ホストA「そりゃぁさやかちゃんに決まってるだろ?」

ホストB「ですよねー。さやかちゃんお店じゃダントツで可愛いし」

ホストA「今日はなんたってこのチケットがあるからな」

ホストB「優先指名チケット!?これ500QBPでやっと手に入るやつじゃないですか!」

ホストA「このお店には結構通ってるからね」

ホストB「さすがショウさん!俺も見習いたいッスよ、ほんと」

エレベーター『ウエヘマイリマス』

ガチャン

まどか「…」

ほむら「…」

マミ「…」

杏子「…」

マミ「い、今の人たち…」

まどか「さやかちゃんって言ってたよね?」

杏子「しかも指名とかなんとか…」

ほむら「まさか…」

ほむら(エレベーターは…4階、5階、6階、7階、8階…止まった!)

ほむら「マミ、杏子、8階って…」

マミ「…」プルプル

杏子「どういうことだ、オイ…」

まどか「そんな…さやかちゃんが…」

8階 ファッションヘルス風見野(風俗店 20歳未満入店禁止)

マミ「ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう あ、あ、あけみっさん!?」ガクガク

ほむら「だ、だ、大丈夫よ!まだあきっ、あきらめる時間じゃないわ!」ワナワナ

杏子「おい!そんなことより早くあいつを助けねーと!」

マミ「そうね!何か弱みを握られているのかもしれないわ!」

ほむら「行くわよ!」ダダダッ

まどか「ま、待って!皆!」

まどか(私は魔法少女じゃないから、階段で8階までなんていけないよぉ…)

まどか「…あれ?」

まどか「エレベーター、9階で止まってる…」

まどか「9階って…」

まどか「!ここってまさか…」

~店内~

さやか「よし!準備万端!」

店長「やぁさやか、準備はできているようだね」

さやか「うん、今日もバッチリ頑張っちゃうから」

店長「まったく君達人類は不思議だね。こんな単純な接客業で多額の対価を払おうとするなんて」

店長「僕には理解できないよ」

さやか「まぁ、あんた達はそうなんでしょうね…」

店員A「美樹さん、それじゃぁ交代よろしくね」

さやか「うん!任せといて!」

店員A「あ、それといつもの本、置いておくから」

さやか「ありがとう、助かります!」

ホストA「まったく、8階と9階押し間違えるなよな」

ホストB「すみません、ショウさん」

ホストA「入るぞ?」カランカラン

ホストA・ホストB「ただいま~」

店員B((皆、お客さん来たよ!))

店員C((うん!))

さやか((それじゃぁ、せーのっ))

店員達「お帰りなさいませ!ご主人様!」

ホストA「皆ただいま~」

店員D「お疲れ様です、ご主人様」

店員E「こちらの席にかけてお待ちくださいませ、ご主人様」

ホストB「やっぱりこうやってちやほやされるのっていいッスよね?ショウさん!」

ホストA「だな、たまにはこういうメイド喫茶にこないとな」

さやか「お立ち寄り頂きありがとうございます、ご主人様♪」

さやか(またこの人たち…。よく来るなぁ…)

ホストB「さやかちゃん、いつ見ても可愛いね!」

さやか「ありがとうございます」

さやか(まぁ、褒められるのはまんざらでもないんだけどね…)

ホストA「今日はこれを使ってさやかちゃんを指名するから」

さやか「!500QBPの指名券ですね?ありがとうございます!ご主人様!」

さやか(100円お会計で1QBP、5万円でオーダー+食事の配膳+お見送りする人の指名券っていうのも、ボッタクリな気がするなー…)

さやか(でも、これでバイト代が変動するし。ありがたいんだけどね)

客A「やっぱさやかちゃんいいよねー」

客B「ここコスプレメイド喫茶だから、服装は自由なんだよね」

客C「あの胸元のあいた服、パンツが見えそうなミニスカート」

客A「それでいてあのマントと甲冑みたいな格好が、またギャップがあっていいんだよなぁ」

さやか(魔法少女姿でバイトっていうのも最初は変かと思ったけど)

さやか(この格好のほうがいろいろと便利なんだよね~)

店員B「美樹さん、やっぱりすごい人気よね」

店員C「でも、そのことを鼻にかけたりしなくて、皆に優しく明るいからいい子だよね」

店員D「私も…さやかさんにすごくお世話になりました…」

店員C「何々?」

店員B「この前この子をストーキングしてる男が店外で待ち伏せしててね、大変だったんだよ」

店員D「私怖くて声が出せなくて…でもそんな時さやかさんが来てくれて…」

店員B「すごかったよ~美樹さん!ガタイのいいストーカーだったけど、たったの1発で撃退しちゃったからね!」

店員C「すご~い」

さやか(こういう仕事だと変なやつが来ることが多いから、そういう意味でも魔法少女モードは役に立つわ~)

店長「さやかが入ってきてくれて店の売り上げもうなぎのぼりだね」

さやか「あんたの目的は売り上げじゃないんでしょうけど」

店長「まぁ、そのとおりなんだけどね」

さやか「…」



~9階~

ほむら「8階のお店が休みでよかったわ…」

マミ「佐倉さん、本気で殴りこみかけそうだったから…」

杏子「うっせーな /// 9階が本命だなんて知らなかったんだよ!」

まどか「9階、コスプレメイド喫茶QB」

マミ「…」

杏子「…」

ほむら「絶対やつの差し金ね…」

マミ「それじゃ、開けるわよ」

杏子「ああ…」ゴクリ

まどか「さやかちゃん…」

ほむら「まどか、あなたは見ない方が良いと思うわ」

ほむら「これから目撃するのは美樹さやかの黒歴史」

ほむら「あなたに見られることでたまる、さやかのソウルジェムの濁りはとてつもないものと思うから」

まどか「うん…」

~店内~

さやか「?また新しいお客さんかな」

店員C「1、2、3…4人いるね」

客E「店員Cさ~ん」

店員C「は~い。ごめん、美樹さん。入ってくるお客様宜しく」

さやか「OK~」

さやか「私一人だけでお出迎えだけど」

さやか「さやかちゃんは元気いっぱいだから問題ないのだ!」

カランカラン

さやか「お帰りなさいませ!ご主人様!!ようこそコスプレメイド喫茶QBへっ!」ニッコリ

ほむら「」

杏子「」

マミ「」

まどか「」

さやか「」

杏子「…ぷぷぷ」

マミ「み、美樹さん、さっきのは…」ぷふっ

ほむら「い、今帰ったわ、メイドさん…さっそくお食事お願いできるかしら…」ブハッ

まどか「さ、さやかちゃん…今の…」

さやか「」

さやか「う…」

さやか「うわぁぁぁぁぁぁぁ」じわじわじわ

ほむら(まずい!)

ほむら「早くソウルジェムを!」

杏子「うわ!まじで濁りまくってる!」

マミ「グリーフシードよ!早く!」

杏子「浄化浄化っ」

シュウウウ

さやか「うわぁぁぁ… ///////」ガタガタ

まどか「さやかちゃん、ごめんね?どうしても心配だったから…」

ほむら「そうよ、美樹さやか。あなたのせいで皆心配してたんだから」

さやか「うう…」ぐすっ

杏子「ほら、涙拭けよ」

さやか「うん…」ぐしぐし

店員D「さ、さやかさん?」

店員B「ど、どうしたの!?」

客B「何だ~?」

客D「さやかちゃん泣いてなかった?」

客C「嘘まじで?許せん!」

店長「どうしたんだい?さやか。いきなり叫んだりして」

マミ「!み、美樹さん…誰?この銀髪イケメン長身灼眼カッコいいイヤリングをした殿方は…」

杏子「へー、外人みたいだな」

まどか「嘘…さやかちゃんのこと呼び捨てにする仲とか…」

まどか「さやかちゃん…本当に上条君のこと諦めちゃったの!?」

さやか「??ど、どういうこと?」

ほむら「…なんとなくだけど、この男、すごい嫌悪感を抱くわ」

店長「おや、まどかに杏子にマミ、それにほむらまで来ているのかい」

マミ「!?私達のこと知っているんですか!?」

杏子「何モンだ、てめぇ…」

まどか「私、あなたと会ったことないんですが…」

ほむら「この喋り方と不条理さ、なんとなくだけどあなたの正体に予想がつくわ」

さやか「あー、こいつは…」

QB店長「何言っているんだい、僕だよ、QBだよ」

マミ・杏子・まどか「!????」

ほむら「あなた、そんな姿格好して何のつもりなの?」

QB「この方が都合が良かったからさ」

QB「僕達はね、魔法少女システムと並行して、新しい感情エネルギーの取得方法を模索してきたんだ」

QB「そして、見つけたのが人類の持つ『萌え』エネルギー」

QB「君達人間は自分の理想となる異性の姿や絡みを見るとき、何故か『萌え』と呼ばれる一種の感情を抱く」

QB「このエネルギーは一つ一つは小さいものの、何度でも回収が可能な上、ある意味『無』から生み出すことのできる理想的なエネルギー源だ」

QB「だから僕はこの『こすぷれめいどきっさ』という店を開いて、人間の『萌え』エネルギーの実験・研究を行っていたというわけさ」

マミ「でも…、あなたはいつも猫みたいな小動物の姿をしていたじゃない…」

QB「まぁ、あちらがメインだね。僕達はその場その場で活動しやすい様、外見を変えることのできるテクノロジーを生み出した」

杏子「てめーらのテクノロジー、マジで万能だな…」

QB「女性店員を集めるにはこの姿が一番というわけさ」

QB「まぁ、魔法少女の素質がある子しか採用できないんだけどね、僕のこと見えないから」

ほむら「そんな大事なこと、何故黙ってたの?」

QB「聞かれなかったからさ!」ドヤァ

ほむら「…」

マミ「…」ガクガク

まどか「マミさん?ど、どうしたの??」

マミ「私、QBと何度も一緒にお風呂に入ってたのよね…」

マミ「一緒に寝たりもしてたのよね…」

マミ「QBって本当は…」

マミ「……///////(かぁぁぁぁ)」シュゥゥゥ

まどか「ああっ、マミさんがゆでだこみたいに真っ赤に!?」

QB「何を恥ずかしがっているんだい?そもそも感情の無い僕が君達の裸を見て何かを感じるかとでも思ったのかい?」

マミ「…//////」

まどか「その発言はちょっと酷いと思うな」

QB「なんで?」

ほむら「…もうこの話はやめましょう。さやかが一人いじけたままよ」

杏子「さやか~気にすんなって」

さやか「だって…だって…」

店員C「店長~、美樹さんも早くフロアに戻ってくださ~い」

店員D「お客様が多くて…対応し切れませ~ん」

QB「それじゃぁ僕達は戻るけど、ゆっくりしていくといいよ」

さやか「…」フラフラ

まどか「さやかちゃん、大丈夫かなぁ…」

マミ「///…」

杏子「こっちも重症だな」

ほむら「でもこれで一安心ね。あの子が変な道に走ってないとわかった以上、長居は無用ね」

まどか「え?もう帰っちゃうの?」

ほむら「これ以上いても、あの子を苦しめるだけよ」

まどか「うん…」

店員B「店長!大変です!!」

QB「何だい?」

店員B「この後シフト予定の2人が急用で来れなくなったみたいで…」

店員B「私もこの後用事があるので変われないし…」

店員D「私も今日はちょっと…」

QB「これは困ったね」

QB「君達は気にする必要は無い。あとは僕の方で何とかするよ」

店員B「ありがとうございます!(かっこいい…)」キラキラ

QB(そろそろ契約せまってみようかな)

さやか「フロア2人じゃ多分回せないと思うよ」

QB「そうだね、さすがに人出が足りないね」

QB「…そうだ、良い方法があるじゃないか!」

さやか「…え?」

QB「僕達のことを良く知っていて、君の助けになってくれる子たちが!」

さやか「まさか…駄目!それだけはやめ…」

QB「君達も一度バイトしてみないかい?」

マミ「え!?」

杏子「はぁ?」

ほむら「どういうつもりなの?QB」

QB「実はこの後、人出が足りなくなるんだ」

QB「さやかのためにも手伝って欲しいんだけどね」

マミ「…(魔法少女姿で堂々と接客…何かいいかも)」

ほむら「…(これを断ってまどかに契約を迫られても困るわね…)」

さやか「私のことは大丈夫だからさ!皆はゆっくりしていってよ!」

杏子「金はでんのか?」

QB「もちろん、バイト代ははずむよ」

杏子「ならやる」

マミ「!佐倉さん!?」

杏子「さやかと一緒に仕事ができて、かつ金ももらえるんならいいんじゃねーか?」

マミ「…そうね、美樹さんのためにも。美樹さんのためにもね」

ほむら「…(何故2回繰り返すの?)」

まどか「私は…」

ほむら「まどかはお客としてここに座っていて」

まどか「でもっ…」

ほむら「大丈夫よ、お客にも知り合いがいたほうが、あの子もやりやすいと思うわ」

まどか「…うん、わかった。皆は魔法少女に変身したらすぐにお仕事できるもんね」

まどか「私は皆のこと応援してるよ!」

マミ「お願いね、鹿目さん」

杏子「よーし、それじゃぁ、早速準備しよーぜ」

さやか「…」ガタガタ

さやか(やばい…これはやばいよ…)

~店入口前~

中沢「とうとうこの時が来たんだ…」

中沢「このお店に通うこと2週間…」

中沢「友達(上条以外)を連れてきて奢り続けて、溜まったポイントは1500QBP…」

中沢「去年と今年のお年玉に加えて、2年分の小遣いと臨時収入をつぎ込んでやっと到達した…」

中沢「『15分間テーブル同席ご奉仕券』」ピラッ

中沢「手痛い出費だったけど、これもあの衣装の美樹さんとのひと時を楽しむため…」

中沢「上条、お前には表の世界での美樹さんは譲るよ」

中沢「だけど、こちらの世界での美樹さんだけは譲れない!」

中沢「すー」

中沢「はー」

中沢「よし、行くぞ!」

カランカラン

中沢(美樹さんから声かけてもらえますように!…って、ええ!?)

マミ・杏子「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」

さやか「…様ー」

ほむら「サマー」

中沢(な、何だここは!?いつから天国に来たんだ!?)

さやか「!(超カモ…じゃなかった、超常連の中沢!?)」

さやか(今までの計算だとそろそろ同席ご奉仕券発動時期…)

さやか(指名された子はご祝儀1万円…!)ゴクリ

さやか「やぁ~中沢君!また来てくれたんだ!」

中沢「え?あ、ああ、そうなんだ…」

中沢(どういうことなんだ…いつもはあんなに輝いて見えた美樹さんが少しかすんで見える…)

中沢(いや、違う。輝きは変わってないんだ…。ただ、新鮮味が違うんだ!)

マミ「お仕事お疲れ様でした」ニコッ

中沢(こ、このお姉さんは…なんて特盛、いや、メガ盛なんだ!?)

杏子「まーまー、とりあえず席についてくれよ」

中沢(この子からはほとばしるツンデレ臭…、最高だ…)

ほむら「注文が決まったら、そこの呼び鈴を押して」

中沢(この子はどこかで…  !まさか)

中沢「き、君、暁美さん?」

ほむら「ええ、そうよ。そういうあなたは同じクラスの中沢君ね」

中沢「!?」ドキン

中沢(暁美さんが…あの容姿端麗スポーツ万能頭脳明晰な暁美さんが僕の名前を!?)

ほむら(早乙女先生のお気に入りの子ね…)

ほむら「それじゃ、ごゆっくり」

さやか「注文決まった!?いつものアレでいい!?」

さやか(私の今までの苦労を横取りされてたまるか~!)

中沢「これを…」ピッ

さやか「!これ、『15分間テーブル同席ご奉仕券』!?(キタ!)」

さやか「これを私に…」

中沢「暁美さんにお願いしたいんだ」

さやか「」

ほむら「?何のことかしら」

さやか「」

ほむら「ねえ美樹さやか、あなた知っているんでしょ?教えなさい」ユサユサ

さやか「」

QB「それはね、15分間気に入った店員と同席して食事ができる権利なんだ」

ほむら「…何故私が彼と?」

QB「残念ながら拒否はできないよ。ここのお店では『券』の力は絶対だ」

ほむら「…」

QB「ちゃんと君にもご祝儀が出るから安心して」

ほむら(ご祝儀…まどかの食事代にするのも悪くないわね)

ほむら(それにここで仕事を投げ出してはまどかにあわせる顔がない)

ほむら「わかったわ」

中沢「!」

さやか「」

中沢「それじゃぁ、えっと…」

QB「ほむら、これを持って行くといい」ササッ

ほむら「?彼はまだ注文をしていないわよ?」

QB「彼自身が頼む料理はいつも決まっている」

QB「『愛情オムライス・ネーム付・ラブ注入セット』だ」 中沢「『愛情オムライス・ネーム付・ラブ注入セット』で!」

ほむら「…」

ほむら「これね」スッ

中沢「早っ」

ほむら「それで、私はどうすればいいの?」

QB「ネーム付だからね。このケチャップで、『中沢』と書いてあげるんだ」

ほむら「わかったわ」

ほむら「…」にゅるにゅる

『NAKAZAWA』

マミ「…(何でローマ字…!?)」

中沢(これはこれで…)

ほむら「それで、ラブ注入って何のことかしら?」

QB「それはね、こう胸元で両手をハートの形にして、オムライスに向かって両手を突き出し、叫ぶんだ」

QB「『ラブ注入!』ってね」

ほむら「…なっ!?」

中沢「(ドキドキ)」

杏子「ひでぇ罰ゲームだな…オイ」

杏子「でも1万円の祝儀なら…あたしでも考えるな…」

ほむら「…(何故私がこんなことを…)」

まどか「(ジーッ)」

ほむら「!(まどかが私のことを見てる!?)」

まどか「…」パクパク

ほむら(何か口パクしてる…)

ほむら(が…ん…ば…て…… 頑張って!?)

ほむら(まどかが励ましてくれるのなら、私も頑張らなくては!)

ほむら「ん…んん…」ススッ

ほむら「ら…」

ほむら「ラブ注入っ!/////」ぽわわわ~ん

マミ「!?(まさか…)」

杏子「!?(やりやがった…)」

さやか「」

まどか「!(ほむらちゃん可愛い!)」

中沢「…」

中沢「…」

ほむら「…な、中沢君?」

中沢「我が人生に、一片の悔い無し」グッ

杏子「右手を突き上げてるな…アレもどっかで見たことあるぞ?」

客C((おのれあの男…))

客B((うらや…許せねぇ!))

マミ「さて、暁美さんも頑張ってることだし、私達も張り切って行きましょうか」

杏子「だな」

ほむら「…(私は15分もこの空気を耐えなければいけないのかしら…)」ゲッソリ

マミ「お帰りなさいませ!ご主人様」ユサッ

マミ「本日のおすすめは杏仁QBに謎の白い液体ジュースです」タユン

マミ「おしぼりをどうぞ」プルン

マミ「はいはい、今参ります!」バイーン

男性客A「いい…」

男性客B「あの大きさ、可愛さ、可憐さ、犯罪だ」

男性客C「俺、早く1500QBPためてあの子と食事したい…」

男性客D「俺ちょっとATM行ってくる!」ダッ

マミ「皆私に注目してる…」

マミ「こういうのも、悪くないわね」

マミ「…」

マミ「体が軽い」

マミ「こんな気持ちでお仕事するのは初めて!」

マミ「もう何も怖くない!」

まどか「あの服装であの物腰であの胸の大きさは反則だよねー」シャクシャク

QB「たしかに、男性客については統計上、巨乳店員に弱いというデータが揃っている」モグモグ

まどか「私なんか見向きもされないだろうなぁ…」シュン…

QB「気にする必要は無い。この国の言葉で、『貧乳はステータスだ』という言葉があるじゃないか」キュップイ

まどか「QB、それフォローになってないから…」

さやか(駄目だ…男性客は皆マミさんにとられてる…)

さやか(私だって結構胸あるほうだし、胸元の開いた格好なのに…)

さやか(マミさん、あんまりッス!)

さやか(こうなったら、女性客の方に…)

女性客A「なんかあそこの席の男達って嫌だよね」

女性客B「というより、ここのお店、そういう店員ばっかり集めて来てるんじゃない?」

女性客C「たしかに多いよね」

QB(好感触のデータのフィードバックは当然のことだと思うんだけどね)

女性客A「このお店来るのやめようかな」

女性客B「店員の服装は良かったのにね」

女性客C「たしかにね…  あっ!?」

ベチャッ

女性客A「あんた、それ1500円もするスペシャルエントロピーケーキじゃない!?」

女性客B「落としちゃったか…勿体無いなぁ…」

女性客C「せっかく楽しみにしてたのに…」じわっ

杏子「…」

杏子「おーい、QB。あの『すぺしゃるえんとろぴーけーき』ってのはまだあんのか?」

QB「あるけど、店員の責任以外での商品の保証、補填は無い。全て有料だよ」

杏子「けっ、けちなところだな」

QB「それが普通だと思うんだけどね」

杏子「まぁいいや。あたしのバイト代から引いといてくれ」スッ

女性客C「…」

女性客A「そんなに落ち込まないでよ」

女性客B「もう一つ頼めば良いじゃん!」

女性客C「もう今月の小遣い使い切ったから…」

女性客A「…私らもあんまし残ってないよね…」

女性客B「うん…」

杏子「おい、そこのあんた」

女性客C「?え?」

杏子「もう食い物落とすんじゃねーぞ」コトッ

女性客C「これ…『スペシャルエントロピーケーキ!?』」

女性客B「でもこの子もうお金足りないから…」

杏子「あー、金は別にいいよ」

杏子「あんた達さっきから全然楽しそうじゃないし」

杏子「やっぱりさ、皆で食事する時くらい、楽しまないとな」

杏子「だからそいつはあたしの奢りだ」

女性客C「!あ、ありがとうございます!」

女性客A・B「ありがとうございます」

杏子「気にすんな。それよりちょっとどいてくれねーか?」

女性客C「?あ、すみません!(落ちたケーキも片付けてくれるんだ…)」

杏子「よいしょ。もったいないけど床についてた部分だけ取り除いて…」

杏子「はむ!」

女性客一同「!?」

杏子「んむんむ…へー、なかなかうまいじゃねーか」ペロリ

女性客A「でも、それ、床に落ちたやつじゃ…」

杏子「落ちたっていっても、汚れているのは一部だけだろ?」

杏子「やっぱり食い物を粗末にしちゃいけねーよな」

杏子「それに、あたしもこのケーキ食ってみたかったからさ」

杏子「だから、あんたとあたしがケーキを交換したってことにしといてくれ。まぁ、気にすんな」

女性客一同「…格好いい…//////」ポーッ

杏子「?」モグモグ

さやか「…」

さやか(こいつ…普通にカッコいい時があるから困る… ///)

客「アケミサーン」

ほむら「この仕事、かなり大変ね」

客「キョウコサマー」

杏子「何かあたし、女の客からばっかり指名かかるな…」

客「マミサーン」

マミ「オーダーで私を呼ぶ時は、『ティロフィナーレ』って呼んで欲しいわ」

客達「「ティロフィナーレ!」」

マミ「/////」ゾクゾクゾク

さやか「・・・」ぽけー

さやか「どうしてこうなった…」

さやか「これじゃぁ全然指名かからずにバイト代も減っちゃう…」

さやか「クリスマスまであと少しだというのに…」

さやか「どうしよう…」

「さやかちゃん♪」

さやか「!?」

まどか「さやかちゃん、こっちこっち!」

さやか「あ、まどか!」

さやか「まどかはやらないの?店員」

まどか「えへへ、私は魔法少女じゃないから…」

まどか「それに私ドジだし。注文間違えたり商品落としたりしそうだから…」

さやか(ドジっ子メイド…やばい、ますます私の立場が無くなりそう)ゾクッ

さやか「はー、それにしてもあの3人が来てから商売あがったりだよ。まったく」

まどか「くすっ。皆ノリノリだもんねー」

さやか「お客さんももうちょっとこのさやかちゃんの魅力に気づいて欲しいんだけどなー」

まどか「そうかなー?私はこのままでもいいと思うな」

さやか「ちょっとまどか、それはさすがに酷…」

まどか「そしたらさ、こうやってさやかちゃんを独り占めできるでしょ?」ニコニコ

さやか「え?」

さやか「あ… ///」

さやか「うん… そうだね… //////」

さやか「ってこのぉ~、だったら通いつめて私を指名しろ~」グリグリ

まどか「きゃっ、さやかちゃん痛いってば!」

まどか「ふふ、でも本当によかった」

さやか「ん?」

まどか「さやかちゃん、いつもどおりで安心した!」

さやか「まどか…」

さやか「ごめんね、本当は皆に話しておくべきだったんだけど…」

まどか「ううん、いいって。だって、恥ずかしいもんね!」

さやか「それもあるけど、本当は…」

ほむら「美樹さやか、まどかを独り占めは良くないわ」

さやか「げげっ、ほむら!?」

まどか「ほむらちゃんもケーキ食べてみてよ。美味しいよ?」

まどか「はい、あーん」

ほむら「!?」

ほむら「あ、あーん…」

パクッ

ほむら「…」モグモグ

ほむら「甘い…甘いわっ… ////」

まどか「ケーキなんだから当たり前だよ。大げさだな、ほむらちゃんは」

さやか(その甘いじゃないな、これは…)

マミ「あら、暁美さんばっかりずるいわよ」

まどか「マミさんも、あーん♪」

マミ「はい、あーん♪」

パクッ

杏子「まどか、あたしにもそれ、くれないか?」

まどか「うん!杏子ちゃんあーん」

杏子「あーん…はむっ」

杏子「へぇ、これはうまいな!」

まどか「えへへ」

さやか「それじゃぁ、今度はこっちが食べさせてやるぞ~」

まどか「え?」

ほむら「まどか、あーん」サッ

マミ「鹿目さん、私のを食べて!」スッ

杏子「まどか、食うかい?」ササッ

まどか「み、皆ちょっと待って!一人ずつお願いっ」

ざわざわ

客A「あ、あの4人の店員をてなづけている…」

客B「何者だ?あの少女は…」

客C「あれこそがセレブ…いや、女神かっ…」

店員C「皆、仕事してよ…」

QB「いやはや、とても面白いものを見せてもらったよ」

QB「1ヶ月間このお店を開いて『萌え』という名の感情エネルギーを集めてきたけど」

QB「結局のところ、君達5人の『愛情・友情』という名の感情エネルギーの方が勝っていることがよくわかったよ」

QB「君達人類が持つ絆が深ければ深いほど、このエネルギーの総量は増加する」

QB「魔法少女同士の交流を深めさせ、ここに絶望を与えることで今までも効率よく大量のエネルギーを得ることができそうだ」

QB「お手柄だよ!ほむら、まどか、マミ、杏子、そしてさやか!」

QB「君達はこの宇宙を救うための基盤を完璧なものに仕上げたんだ!」

店員C「店長~、仕事してくださ~い」

QB「…」

~バイト後~

さやか「皆おまたせー」

ほむら「それじゃぁ、行きましょう」

杏子「ちょっと待てよ、まだバイト代貰ってねーぞ?」

QB「君達、ちょっとは待っていて欲しいんだけど」

まどか「あ、QB」

QB「はい、君達にバイト代」

ほむら「感謝するわ」

マミ「ありがとう、QB。またいつでも呼んでほしいわ」

杏子「ひぃふぅみぃ…ひょ~結構入ってるじゃねーか」

まどか「え?私もいいの?」

QB「額は少ないけど、この3人を連れてきてくれた張本人みたいだから、まぁご祝儀だね」

まどか「ありがとうQB!」

QB(今日はいまだかつて無い売り上げだったからね…)

QB(今日1日で1500QBPをためた人間が4人もいたし…。わけがわからないよ)

さやか「ちょっと、QB」

QB「なんだい?さやか」

さやか「これ、多すぎじゃないの??」

QB「今まで貢献してくれた御礼だよ、さやか」

QB「これで目標の金額は達成したんだよね?」

さやか「!そ、そうだけど…」

QB「『萌え』の研究・実験はそろそろ一区切りがつくから、このお店を近々閉めようと思うんだ」

QB「だから、さやかを雇うのは今日までだ」

さやか「QB…」

さやか「ありがとね、QB。あんたのおかげでいろいろと助かったよ」

QB「礼を言うのはこちらの方だよ。君達のおかげで貴重なデータが取れた」

QB「次はいつになるかわからないけど、その時もまた協力して欲しい」

さやか「うん、都合が合えばね」

まどか「そのときは、私達も一緒に!」

さやか「まどか…うん、そうだね!皆で一緒に!」

まどか「うん!」

ほむら「それじゃぁ、帰りましょう」

マミ「ええ」

杏子「今日はパーッといこうぜ?」

まどか「マミさんの家に寄って行っていいですか?」

マミ「ええ、勿論よ」

ほむら「それなら私も…」

マミ「歓迎するわ」

さやか「それじゃぁ、私もいいですか?マミさん」

マミ「勿論!主役が来ないと話にならないわ」

さやか「へへっ」

まどか(こうして、さやかちゃんのアルバイト生活が終わり、いつもどおりの日常が戻ってきました)

まどか(結局、さやかちゃんが何のためにアルバイトに行っていたのか、よくわからなかったけど…)

まどか(こうしてまた皆で一緒に遊んだりできるんだから、それでいいって思うようになりました)

まどか(そして、数日がたったクリスマス・イブの日…)

~学校~

キーンコーンカーンコーン

早乙女「はいっ、それじゃぁ今日の授業はここまで!」

さやか「やっと終わった~」

まどか「さやかちゃん、またずっと寝てたよね…」

さやか「ははははは」

ほむら「まったく、あなたという人は…」

さやか「気にしない気にしない」

まどか「そういえばさやかちゃん、今日放課後あいてる?」

さやか「あ・・・ごめん!今日は夜から用事があるから…」

まどか「え!?またあのアルバイト!??」

さやか「違う違う!今日はもっと別の…」

ほむら「上条恭介の家に行くのね」

さやか「!?ほ、ほむら、何でそんなことを…」

まどか「!さやかちゃん上条君のお家にお呼ばれされてるんだ!」

さやか「う、うん… ///」

マミ「クリスマス・イブの日の夜、愛しあう二人はお互いの顔を近づけ、その唇と唇を重ね…」

さやか「うわぁぁぁぁぁ、そんなんじゃないから!」

ほむら「巴マミ、ナチュラルに2年生の教室に入ってくるのはやめて欲しいわ」

マミ「いいじゃないの、減るものじゃないし」

ほむら「…」

まどか「そんなんじゃないって、どういうこと?」

さやか「それは…」

仁美「あら、皆さんおそろいですのね」

まどか「仁美ちゃん!」

ほむら「志筑仁美、あなたの今晩の予定は?」

仁美「上条君の家でクリスマスコンサートがありますの、そこにさやかさんと一緒にいきますわ」

まどか「クリスマスコンサート?」

さやか「うん…、恭介の両親、親戚、友人を集めてのミニコンサートをするの」

さやか「だから、今晩はあいてないんだ、ごめんね」

まどか「ううん、良かったね!さやかちゃん!」

さやか「へへ、ありがとう、まどか」

ほむら「2人きりになれなくて残念ね、サヤカチャン」

さやか「そうね、とても残念だわ、ホムラチャン」

マミ「あらあら、仲がいいわね」

まどか「マミさん…」

さやか「…あ、恭介!」

上条「?どうしたんだい、さやか」

上条「今日の集合時間は18時だけど」

さやか「あのね、後でだと時間がないかもしれないから、今渡しておこうと思って」

上条「?何をだい?」

さやか「はい!クリスマスプレゼント!」

まどか・ほむら・マミ・仁美「!」

上条「…開けていいかい?」

さやか「うん!」

上条「よいしょっと…」ガサガサ

上条「!これは…」

まどか「マフラー!」

ほむら「…と、手袋ね…」

マミ「それに帽子!」

仁美「やりますわね、さやかさん…」

上条「これを僕に?」

さやか「うん、今年の冬はとても寒いっていう話だから、風邪なんかひかないように、って」

上条「ありがとう、さやか。大切にするよ」

さやか「へへっ/////」

ほむら((なるほど、上条恭介へのプレゼントを買うためのお金が必要で、バイトをしていたのね))

マミ((でも、あの3点だけでそんなに高額になるのかしら?))

まどか((!あれ見て、毛糸、ところどころほつれてる))

上条「?これは…」

さやか「あはは…ごめんね。私普段編み物なんてしてなかったからさ、ところどころ汚いと思うけど…」

ほむら(まさか…手編み!?)

まどか(さやかちゃん、すごい!///)

上条「ううん。とてもよくできている」

上条「それにとても暖かい。さやかと同じだ」

さやか「//////////」

マミ((きゃー////))

ほむら((マミ、あなたが一番照れてどうするの///))

まどか((ほむらちゃんこそ///))

仁美((さやかさん、あなどれないですわ…))ギリギリ

~放課後~

まどか「さやかちゃんまだ顔真っ赤だよ?」

さやか「思い出しただけでにやけてくるわー」ニヘラ

ほむら「そのだらしない顔はもうやめなさい」

マミ「そうよね~」ニヘラ

ほむら「あなたも…」

まどか「でも、上条君へのプレゼントって、手編みなんだよね?」

さやか「うん、バイト先のさ、店員Aさんって子が編み物が好きみたいで」

さやか「いろいろと本とか貸してもらったり教えてもらったりしてたんだ」

まどか「へー」

マミ「アルバイトに行ってたのは、そういう理由があったのね」

さやか「うん」

ほむら「でも、あなたは結構な額のお金が必要だったみたいじゃない」

ほむら「そのお金はどうしたの?」

さやか「それは、また説明するからさ!」

ほむら「?」

早乙女「残ってないで早く帰りなさーい」

さやか「はーい」

マミ「それじゃぁ、帰りましょうか」

ほむら「ええ」

まどか「うん!」

ゾロゾロ

杏子「お、来た来た」

杏子「おーい」

さやか「あ、杏子!」

マミ「もう、佐倉さんったらまた校内に入ってきて…」

生徒A「あ、例の赤髪の子」

生徒B「佐倉さーん」フリフリ

杏子「おー」フリフリ

まどか「しかも、結構なじんでるよね」

ほむら(普通、生徒でない者は即座に追い出されるはずなんだけど)

ほむら(偶然とはいえ、不審者撃退・捕獲2件、校内美化活動(裏向きは小銭探しだけど)、怪我をしたり体調不良の子の救護活動4件)

ほむら(学校側も害は無いとして放置しているのかしら…ありえないわ…)

杏子「今日はさ、さやかが学校前で待っててくれって言ってたから」

マミ「美樹さんが?」

さやか「うん」

ほむら「?どういうことかしら」

まどか「皆を集めてたってこと?」

さやか「そうなんだ。今日のうちに済ませておきたいと思って」

マミ・杏子・ほむら・まどか「?」

さやか「えっと…」ガサゴソ

さやか「はい!皆っ!」

マミ「えっ?」

ほむら「このプレゼント用の包装された袋って…」

まどか「もしかして、クリスマスプレゼント?」

杏子「これ、くれるのか?」

さやか「うん!今までのお礼と、これからも宜しくってことで」

マミ「あ、開けてもいいかしら?」

さやか「どうぞどうぞ!」

マミ「えっと…」ガサガサ

ほむら「これは…」

杏子「マフラーと」

まどか「手袋!」

マミ「しかもこれ、皆色違いだわ」

ほむら「私が黒でまどかがピンク」

杏子「マミさんが黄色であたしが赤か」

さやか「へへっ、それでこれが私の!」

まどか「あっ!青色のマフラーと手袋!」

さやか「本当は皆の分も手編みにしたかったんだけど、時間が足りなくて」

ほむら「どうして、こんな…」

さやか「皆にはさ、本当にお世話になったからさ」

さやか「恭介のことと、魔法少女のこと。それ以外にも、いっぱい」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「だから、私もどんな形でもいいから恩返しがしたいって思ってさ!」

さやか「ちょうどクリスマスが近かったからいろいろ考えたんだ」

さやか「こうしてさ、皆でおそろいのマフラーと手袋してさ、初詣とか行けたらとってもいいなって思って」

ほむら「さやか…あなたって人は…」

さやか「ごめん、気に入らなかった?」

ほむら「いいえ、ちょっと驚いただけ」

ほむら「ありがとう、とても嬉しいわ」

ほむら「それに暖かい。あなたの心と同じ様に」

さやか「ちょっとほむら!////// 恥ずかしい台詞禁止!」

マミ「暁美さん…」ガシッ

ほむら「な、何かしら?」

マミ「名言、頂いたわ」グッ

ほむら「巴マミ、あなたは頭の中が年中暖かいわね」

マミ「ありがとう」ニコッ

ほむら「…」

杏子「ありがとな!さやか!あたし、一生洗わずに大切に使うから!」

さやか「いやいや、そこはちゃんと洗って欲しいんだけど」

まどか「さやかちゃん、ありがとう!」

さやか「どういたしまして!これからも宜しくね、まどか」

まどか「うん!」

マミ「それじゃぁ、そんな美樹さんのプレゼントに感謝をこめて…」

マミ「明日は私の家でクリスマスパーティーをしましょう!」

杏子「お!いいねー」

ほむら「名案だわ。まどかも行くわよね?」

まどか「うん!勿論だよ!」

マミ「美樹さん、どうかしら?」

さやか「マミさん…」

さやか「ありがとう!大丈夫だよ、明日は皆で遊ぼう!」

マミ「うふふ、それじゃぁ買出しに行かなくちゃね」

まどか「あ、私も手伝います!」

杏子「それじゃぁあたし達は飾り付けでもするか」

ほむら「そうね、うんと派手な飾り付けをしましょう」

マミ「美樹さんは、今日一日存分に楽しんできて」

さやか「はい、ありがとうございます!」

杏子「明日が楽しみだなー」

まどか「そうだね!杏子ちゃん!」

ちら…


ちら… ほら…


ほむら「あ…」

まどか「雪だ!」

マミ「そういえば、今日から明後日にかけて一段と冷え込むって言ってたわ」

さやか「ホワイトクリスマスになりそうだね」

杏子「何かうまそうな名前だな」

さやか「杏子ったら食い意地張りすぎだよ」

杏子「へへへ、ご馳走が出るって聞いたらお腹がすいてきてさ!」

ほむら「あなたらしいわ」

まどか「だよね!」

ほむら(この1年…実際には1年以上だけど、本当にたくさんのことがあったわね…)

ほむら(こうしてもう一度、クリスマスを迎えることができるとは思わなかった…)

ほむら(しかも、4人の大切な友達が、誰一人欠けることなくこうやって一緒にいてくれて…)

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「ほーむら!何一人でしんみりしてんのさ!」

杏子「ほら、ほむらも早く手を繋いで!」ギュッ

ほむら「あ…」

マミ「皆、せーので言うのよ」

杏子「わかってるって」

ほむら「ふふ…」

ほむら(どうかこれからもこの4人と一緒に過ごして行けますように)

ほむら(クリスマスなんだから、願い事一つ、叶えてくれるよね…)

マミ「せーのっ」


まどか・ほむら・さやか・マミ・杏子「「「「「メリー・クリスマス!」」」」」


~Fin~

>>171
ティロフィナーレ!!
マミさん最高(笑)

~おまけ~

『アリガトウゴザイマシター』

早乙女「はぁ~…メリクリメリクリ…」

早乙女「今年のクリスマスも、やっぱり、一人なのね…」

早乙女「クリスマスに一人、部屋で氷結を片手にツマミで一杯」

早乙女「見栄を張って買ったホールのケーキをほそぼそと食べ続ける…」

早乙女「もう、こんな生活疲れてきちゃったな…」

ドンッ!

早乙女「っ!ちょっとあなた、気をつけて歩きなさ…」

QB「ごめんね、少し考え事をしていたようだ。謝るよ」

早乙女「!??(誰?この銀髪イケメン長身灼眼カッコいいイヤリングをした人は…)///」

早乙女「い、いえ、私のほうこそよそ見していてごめんなさい…」

QB「おや?君はまどかやさやかのクラスの担任じゃないか」

早乙女「!??私のこと、知っているんですか!?」

早乙女「鹿目さんや美樹さんとはどういう関係で??」

QB「彼女達は僕の友達だよ」

早乙女「そ、そうでしたか!」

早乙女(ど、どうしよう…いえ、これはチャンスだわ…)

早乙女(鹿目さん達のお知り合いってことは、十分なアドバンテージだわ!)

QB(彼女には僕が見えるようだね。既に第2次性徴期は越えてしまっているようだけど)

QB(彼女の心に眠る『乙女心』は今も第2次性徴期のままということか)

QB(彼女ならもしくは魔法少…いや、初の魔法淑女になれるかもしれない)

QB(これは実に興味深いね)

早乙女「あ、あの、もしよろしかったら今晩ご一緒に」

QB「是非お願いするよ。僕の方も、君に興味が出てきた」

早乙女「!??(き、き、き、きたわ!!)///////」

早乙女「そ、それじゃぁ、私の家に案内します!」

QB「宜しく頼むよ」

>>237
マミさんwwwwww

QB(まさかこんなイレギュラーな事例まで出てくるとは)

QB(君達人類は実に興味深い存在だ!)

QB(宇宙の永続のため、これからも君達のことをゆっくりと観察させてもらうことにするよ!)


~~~三十路とインキュベータが交差する時、物語ははじまる…~~~

     ~~~魔法淑女和子☆マギカ 始まります~~~


終わり

>>270
先生ー早く逃げて~(笑)

長文読んで頂きありがとうございました。
普段はシリアス系ばかり書いていましたが、ほのぼのコメディな話もいいものですね。

※補足不要かもしれませんが、バイト代は5人分のマフラー+手袋代です
※緑の人にもプレゼントしていると思います。きっと…
※突っ込み所多いですがご容赦を。12月24日でも終業式まだな中学校ってあるんでしょうかね…?

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