小鷹「よく考えたら、幸村と友達になればいいじゃん!」(448)

小鷹「幸村、一緒に帰ろうぜ」

夜空「!?」

星奈「!?」

理科「!?」

幸村「しょうちしました、あにき」

小鷹「じゃあな、また明日」

幸村「しつれいします」

バタン

星奈「……あれはどういうこと?」

夜空「知らん。男同士どこか遊びに行っても不思議はあるまい」

理科「男同士……」ハアハア

小鷹「さて、どこに行くか」

幸村「わたくしは、あにきのためならたとえひのなか」

小鷹「いや、そんな心構えはいらん。一般高校生の寄り道をしようぜ」





星奈「なんでアンタがついてくるのよ!」

夜空「今日はこっちから帰る気分なのだ。貴様こそタクシーでも呼べ、肉」

理科「お二人とも、結局尾行するんですね」

小鷹「今日は買い食い……ってのにチャレンジするぞ」

幸村「何をご所望ですか、あにき」

小鷹「パシらんでいい。友達なんだから、二人で買いに行くぞ」

幸村「ですが……」

小鷹「いいから!」ギュ

幸村「あ……」




星奈「手、繋いでる」

夜空「繋いでるな」

理科「ホォアアアア!! これはひょっとしてひょっとするかもですよォォぉ!」

小鷹「俺はレーズンパフェ。幸村は?」

幸村「わたくしはちょこぱへを」

「かしこまりましたー」



「お待たせしましたー」

小鷹「きたきた」

幸村「あちらのべんちでたべましょう、あにき」

小鷹「モグモグ……ん、なかなかいけるな」

幸村「さすがあにき、ほれぼれするたべっぷりです」

小鷹「幸村もはやく食べろよ」

幸村「ではしつれいして」パク

小鷹「どうだ?」

幸村「ん……とてもおいしいです」



幸村「きっと、あにきといっしょだからですね」

小鷹「!」

星奈「なんか……いい雰囲気じゃない?」

夜空「小鷹め……抜け駆けしてリア充デビューしようとは」ワナワナ

理科「そこ! そこです! 押し倒して!」ハアハア

小鷹「あ……と、そうだ! 幸村のパフェ上手そうだな! 一口もらっていいか?」

幸村「はい、よろこんで」

小鷹「じゃ、遠慮なく……」パク





夜空「か、関節キス!?」ピシャーン

星奈「ちょ!? 大声出さないでよ!」

夜空「モガッ」

小鷹「チョコもうまいなぁ。ほら」スッ

幸村「?」

小鷹「一口のお礼に一口どうぞ」

幸村「…………」


幸村「あにきから褒美をたまわるとは……わたくし、かんむりょうです」ジーン

小鷹「はは……まぁ、徐々に慣れてもらうしかないか」

幸村「しからば……はむっ」

小鷹「どうだ? レーズンパフェもいけるよな」

幸村「はい。くりーむのあまみにれぇずんのさんみが……」

小鷹「!」

幸村「? いかがしました?」

小鷹「幸村、クリームがついてるぞ」スッ

幸村「あ……」





理科「キタムグッ!?」

夜空「落ち着け……落ち着け……奴らは男同士……」ギュウッ

理科「―――――ッ」パンパン

星奈「ちょ!? 極まってる! 夜空タップタップ!」

……

小鷹「いやぁ、買い食いがこんなにいいものだとはなぁ」

幸村「あにきがたのしめたようでなによりです」

小鷹「そういう幸村はどうなんだよ」

幸村「わたくしは……」



幸村「わたくしにとって、きょうはわすれられぬほうかごになりました」

幸村「あにき、また……ごいっしょしてもよろしいですか?」

小鷹「勿論だ。むしろ毎日一緒でもいいぐらいさ!」

幸村「あにき……」

小鷹「じゃ、俺はこっちだから」

幸村「はい。おきをつけて」

小鷹「また明日!」

幸村「……」フリフリ

夜空「ふ、ふん! 美しき男の友情……ってやつだな」ファサ

星奈「あんだけ取り乱しておいて、よく言うわ」

夜空「うるさいぞ肉」

理科「いやぁーデートにしか見えませんでしたねー」

夜空「断じてデートではない!」

…………

小鷹「たたーかいにみーをさーさーげー♪」ジュー

小鳩「あんちゃんうるさい……」ネムネム

小鷹「おはよう小鳩!」

小鳩「いいにおい…………クックック、今朝の供物は昨日より豪勢なようだな」

小鷹「全部が朝飯じゃねーぞ。半分は弁当だ」

小鳩「お弁当!?」パァァ

小鷹「ああ、昨日言ってた幸村って奴と屋上弁当と洒落込むのさ」

小鳩「」

小鷹「あ、小鳩のもあるぞ」

キンコンカンコン

幸村「さて、あにきへを差し入れをかいにいかなくては……」

「幸村ー!」

幸村「! あにき!」

小鷹「ちょっといいか?」



この日、小鷹がいたいけな後輩を屋上に呼び出したという噂が校内を駆け巡った

そのおかげで屋上は貸切状態になったのだが、小鷹の評判はますます悪くなった

幸村「これがいわゆる『ツラかせよ』というやつですね」パァァ

小鷹「違う! 友達同士でやるシリーズ第二弾だ」サッ

幸村「これは?」

小鷹「開けてみ」

幸村「では、しつれいして……」

パカ

幸村「これは……」

小鷹「友達と屋上で昼飯は鉄板だろ!」

幸村「さすがはあにき。めのつけどころがちがいます」





夜空「そりゃバカップルの鉄板だろ!」ギリギリ

星奈「私も『かにかに』のコトミンと屋上イベントを見たわ! 確かに鉄板ね」

夜空「だ、駄目だ小鷹! ホモなど断じて」

バチンッ

夜空「ギャウン!?」バタッ

理科「理科はホモ大歓迎です! ジークホモ!」

小鷹「さ、昼休みは有限だ。さっさと食おうぜ」

幸村「はい」

小鷹「いただきぁーング」パクパク






小鷹「ング、幸村?」

幸村「あ、すみません。なんだかもったいなくて……」

小鷹「……また作ってくるから、遠慮なく食ってくれ」

幸村「はい、あにき」

ここまでやっておいてなんだけど
アニメとwiki知識しかないからちょっと幸村について調べてくる

調べたけどよくわからなかった
自分なりの幸村ルートを開拓してみる

小鷹「ん、我ながら上出来」モグモグ

幸村「あにきはりょうりがお上手ですね。このきんぴらごぼうはとくに絶品です」

小鷹「はは、ありがとう。気に入ったなら、俺のも食べていいぞ」

幸村「そんな、おそれおおいです」

小鷹「遠慮すんな。幸村は線が細いから沢山食わないとな」






夜空「……」グー

星奈「おいしそう……」グー

理科「理科達、何してるんでしょうね」グー

小鷹「あー食ったぁ」

幸村「ごちそうさまでした。こんなにおいしい昼食ははじめてです」

小鷹「俺もだ」

幸村「あにきはごじぶんのりょうりをいつもしょくされているのでは?」

小鷹「何言ってんだ。好きな人と一緒に食った方が美味いに決まってるだろ」

幸村「!」

幸村「あにき……」

小鷹「それにこの青空……!」

小鷹「こうして友達と昼休みを過ごすのが夢だったんだ」

幸村「ゆめ……」

星奈「……動かないわね」

理科「お腹いっぱいで眠くなっちゃったんですかね」

星奈「……にしても、画だけ見ると」

理科「本当にカップルみたいですねー」

キンコンカンコン



幸村「あにき、予鈴です」ユサユサ

小鷹「……ん」ゴロン

幸村「きゃっ」




幸村「……あ、あにき?」

小鷹「たまねぎ残すなムニャ……」

幸村「……ふふっ」

……

小鷹「ん……ふぁぁあ……」

幸村「おめざめですか、あにき」

小鷹「幸村か、おはよ…………」

ガバッ

小鷹「なんで幸村の膝枕で寝てるんだ!?」

幸村「あにきをおこそうとしたところ、わたくしのももをまくらに二度寝をされたので」

幸村「おきにめしませんでしたか……?」

小鷹「いや、適度な柔らかさでよく寝れ」

小鷹「じゃねえ! 今何時だ!?」

幸村「にじはんです、あにき」

小鷹「6限目始まってんじゃん!?」



小鷹「はぁ……部室行くか」

幸村「さすがあにき。たしょうのことでとりみだしたりせぬ、きょうじんなこころのもちぬし」

小鷹「思いっきり取り乱しましたが」

……


「――――となる訳だ。ここにさっきの(1)を代入して」


夜空「!?!?!?」

夜空(一体全体どうなっている!? 何故小鷹は欠席しているんだ!?)

夜空(まさか……本当に理科の持ってきた同人誌よろしく、めくるめく薔薇色な)


「三日月! 三日月夜空!」

夜空「ひゃい!?」ガタッ

「ここ、前に出て解きなさい」

夜空(ユニバースッ!!)

ガチャ

小鷹「ういー……って、誰もいるわけないか」

幸村「いちばんやりですね、あにき」

小鷹「一番乗り、な。さて、夜空達が来るまでもう一眠り」

幸村「……」カチャカチャ

パサッ

小鷹「何故脱ぐ」

幸村「ぶしつではめいどふくをきろと、よぞらのあねごが」

小鷹「そういやそうだったな…………外出てる」

幸村「…………はい?」

バタン

「あにき、きがえがおわりました」

ガチャ

小鷹「はぁ…………」

幸村「どうされました?」

小鷹「いや、あの」

小鷹(言えない。メイド服が似合いすぎて女にしか見えないなんて……)

小鷹(いや! 幸村は自分の容姿にコンプレックスがあるんだ。俺がちゃんと男として扱ってやらんでどうする!)キッ

幸村「あにきのするどいまなざし……たまりません」ポッ

小鷹「……」

……

小鷹「んー、マンダム」ズッ

バンッ

「小鷹!」

小鷹「っ!?」グイッ

夜空「何故授業をサボった! よもや幸村と昼休みからずっと…………」

小鷹「な、なんだよ」

夜空「い、イチャイチャしてたんじゃないだろうな」

小鷹「……は?」

幸村「よぞらのあねご」

夜空「なんだ」

幸村「いちゃいちゃとは、どのようなことをいうのでしょうか」

夜空「いっ!?///」



幸村「あねご?」

夜空「わっ、私に聞くなっ」

小鷹「どうやったら俺と幸村がイチャイチャするなんて思い付くんだよ」

夜空「だ、だって、小鷹と幸村が仲良くしてるから……」

小鷹「はぁ……隣人部の目的はなんだ? 友達と仲良くして何がおかしいんだよ」

夜空「それは……でも……」




幸村「あにき、いちゃいちゃとは」

小鷹「それはもういい」

風呂はいる

……

星奈「……」



小鷹「……」ズッ

幸村「……」

夜空「」



星奈(な、何? この重苦しい空気)

星奈「……」


幸村「あにき、おかわりは」

夜空「」

小鷹「ん……いいや」

夜空「」

幸村「はい」

夜空「」

星奈「……」



星奈「……」ピロリーン

小鷹(せっかく部活に来たってのに、お茶飲んでばかりってのもなぁ……)

星奈「はあぁぁ……早苗ちゃんかわいいよぉぉ! ずっと一緒だよおおぉ!」

小鷹(星奈はゲームに夢中だし……)

夜空「」

小鷹(夜空は息してない)


小鷹「帰るか」

幸村「おともします」

幸村「きょうもかいぐいですか、あにき」

小鷹「今日は少しレベルをあげてみようと思う」

幸村「と、いいますと」

小鷹「今日はゲーセンにチャレンジだ」

ジャンケンポン ズコー

小鷹「はぁー……」

モウイッキョク アソベルドン

幸村「……」

ハァーン フェイタルケイオー

小鷹「すごい活気だな」

幸村「めがちかちかします」

小鷹「とりあえず、ゲーセン素人の俺達にもできそうなのを探してみるか」

幸村「しょうちしました」

夜空「タカ!?」ビクッ

夜空「夢……?」




星奈「うう……早苗ちゃぁぁん」グスッ

夜空「おい肉」

星奈「えぐっ…………え?」

夜空「タカと幸村はどこへ行った」

星奈「先に帰ったわよ……ずびっ」

夜空「友達と仲良く……か」


星奈「ううう……早苗ちゃん……」

ゲームオーバァ

小鷹「これ難しいな!」

幸村「てきのこうげきをうちおとすのはしなんのわざですね」

小鷹「やっぱり太鼓のやつで和気藹々とやってるぐらいが性にあってるわ」

幸村「わたくしは、めだるげーむがいいですね」

小鷹「へぇー、どんなところが?」

幸村「いっとき、おおあたりでふえためだるも、またときとともになくなってゆく」

幸村「これぞ、じょうしゃひっすいのことわり。めだるげーむはしょぎょうむじょうをじっかんできるすばらしいげーむです」

小鷹「……そうか」

小鷹「結構遊んだなー。次で最後にするか」

幸村「はい、あにき」

小鷹「しかし、せっかくゲーセンデビューしたんだし、何か記念になるようなのが欲しいな」

幸村「せんりひんをご所望ですか」

小鷹「いや、UFOキャッチャーじゃなく……」

小鷹「あれだ!」

ピロリーン

小鷹「結構狭いな……」

幸村「しゃしんとは、さすがあにき」

フレームヲ エランデネ

小鷹「フレーム!? おお! いろんな枠が選べるのか」

幸村「あにき、よろいかぶとはありませんか」

小鷹「えと……無いっぽいな」

幸村「ざんねんです」

ピロリーン

小鷹「え!? まだ選び終わってねぇぞ!」

カメラニムカッテ ポーズヲキメテネ

小鷹「ポーズ!?」

3 2

幸村「あにき、じかんが」

小鷹「ええい! 幸村笑え!」

幸村「はい!」

パシャ

小鷹「ぎこちない笑みだけど、初心者だしこんなもんか」

幸村「さすがあにき。はぁと柄の枠でもかくしとおせぬおとこらしさ」

小鷹「お前はバッチリなじん……コホン」




小鷹「ほら、こっちは幸村の分」

幸村「はいりょういたします」

小鷹「さって、帰るか」

幸村「はい」

…………

小鳩「ふぁぁぁ……あんちゃんごはん」

小鷹「おはよう小鳩」

幸村「おじゃましております」

小鳩「!?」

小鳩「あんちゃん! その人だれ!?」ササッ

小鷹「前にも話したろ。後輩で同じ部活で友達の幸村だ」

幸村「くすのきゆきむらともうします。せんえつながら、あにきの友人兼ぱしりをつとめさせております」

小鳩「貴様か! 我が半身を誑かす不届き者は!」バッ

小鷹「小鳩、とりあえずちゃんと着替えてからにしなさい。幸村はこう見えて男だ」

小鳩「あんちゃん! その人だれ!?」ササッ

小鷹「前にも話したろ。後輩で同じ部活で友達の幸村だ」

幸村「くすのきゆきむらともうします。せんえつながら、あにきの友人兼ぱしりをつとめさせていただいてます」

小鳩「貴様か! 我が半身を誑かす不届き者は!」バッ

小鷹「小鳩、とりあえずちゃんと着替えてからにしなさい。幸村はこう見えて男だ」

小鳩「して、幸村とやら。我が半身に何用だ?」

小鷹「用も何も、友達が遊びに来るのにさして理由は必要ないだろ」

小鳩「う……でも」

幸村「王手です」ピシッ

小鷹「げっ!? マジかよ」

小鳩「……」




小鳩「あんちゃんのあほ……」

あれ、小鷹に友人ができるとヒロイン達不幸になるんじゃね?

そして今晩中に終わらせれない

小鷹「むーぅ……」

幸村「あにき、しょうようにいってまいります」

小鷹「しょうよう?」

幸村「といれです」

小鷹「ああ、どうぞ」







コンコン

小鳩「! あんちゃん……?」

「ゆきむらです。はいってもよろしいですか?」

小鳩「……」

「…………こだかのあにきはおっしゃいました」

「ゆうじんとなかよくして、なにがいけないのだ、と」



「わたくしは、あにきが手をとってくださるまで、まともにだれかとあそんだことがありませんでした」

「だから、ゆうじょうのとうとさ……すきな人とすごすじかんのすばらしさがわかります」

小鳩「……」

小鳩「最近、あんちゃんはあんたの話ばっかりしよる」

小鳩「うちといるより、あんたといる方が楽しいんじゃ」ギュ






「でも、あにきのことはすきなのですよね」

小鳩「…………」

「でしたら、そのきもちをあにきにぶつければいいとおもいます」

「大丈夫、あにきはあなたの『あんちゃん』なのですから」

幸村「……」

小鳩「んーっ」ギューッ

小鷹「小鳩っ、急にどうしたんだよ」


幸村「おまたせしました、あにき」

小鷹「お、おう、待ってたぞ」

小鳩「ん~っ」ギューッ

小鷹「……はは、甘えん坊な妹でさ」

幸村「……」



幸村「おうてひしゃ取りです」ピシッ

……

小鷹「大したもてなしもできず、すまんな」

幸村「いえ、あにきの家におよばれしたことじたい、わたくしにとってはみにあまる光栄です」

小鷹「大袈裟なやつだ……また来いよ」

幸村「ありがとうございます」


幸村「こばとのおじょう、おじゃましました」

小鳩「幸村、あんたは……」



幸村「わたくしは、あにきの友人です」

…………


小鷹「」

夜空「……」

小鷹「」

夜空「…………何か言え」

小鷹「か……髪切った?」

夜空「そうじゃないだろ!」




眠い

おはようございます
仕事行ってきます

夜空「タカ、私のことを忘れたのか?」

小鷹「! ソラ……ソラなのか!?」

ガバッ

夜空「タカ! タカぁ!」ギュウ




星奈「これは……」

理科「どういうことだってばよ」

小鷹「ちょ、夜空……」

夜空「夜空じゃない! 友達ならちゃんとあだ名で呼べ!」ギュウ

小鷹「そ…………ソラ」

夜空「~っ///」ギューッ

キンコンカンコン

星奈「授業が始まるってのに、あいつらいつまで抱き合ってんのよ!」

理科「まさか夜空先輩がデレるとは……想定外です」

星奈「……」

理科「……」


星奈「アンタ、授業いきなさいよ」

理科「理科は理科室登校だからいいんです。先輩こそ授業行った方がいいですよ」

星奈「私だってパパが理事長だからいいのよ!」

小鷹「なあソラ、授業も始まるし教室戻らないか?」

夜空「嫌だ!」ギュッ

小鷹「……はぁ」


小鷹「部室、行くか」

夜空「……」

小鷹「ほら行くぞ」ググッ

夜空「っ!? うーっ」ズルズル

ガチャ

小鷹「ここならゆっくり話を……って」

マリア「すぴー……」

小鷹「……誰? なぁソラは知って」

夜空「タカ! キャッチボール! キャッチボールしよう!」パァァ

小鷹「!? い、いや授業サボってキャッチボールはマズいんじゃ」

夜空「じゃあ公園だ! あの、思い出の公園いこう!」

小鷹「公園……か」

小鷹「なあ、夜空」

夜空「タカ!」

小鷹「…………ソラ」

小鷹「なんであの日、公園に来なかったんだ?」

夜空「……」



夜空「怖かったんだ」

夜空「私が女だと知ったら、タカは私を嫌いになるかもしれない」

夜空「……そう考えたら、怖くて、怖くて震えが止まらなかった」

夜空「ごめんタカ……」

小鷹「……」


小鷹「髪を切ったのは、またあの頃みたいな関係……友達に戻りたかったからか」

夜空「うん……」

小鷹「……」



小鷹「ソラ……それは出来ないよ」

夜空「!? どうして!?」

夜空「私達は親友だろ!? 何があっても……世界中が敵になっても友達なんだろ!?」

夜空「あの言葉は……嘘だったのか!?」

小鷹「……」

夜空「タカ!」




理科「なんだか険悪な雰囲気ですね」

星奈「黙って。今フラグ回収できるかの瀬戸際なの」

夜空「信じて……信じてたのに」ブワッ

小鷹「ソラ、聞いてくれ」

夜空「いまさら何を聞けというんだ!」ボロボロ


小鷹「俺達の、ソラとタカには埋められない10年という時間がある」

小鷹「10年の間、変わらなかった事もあれば、変わった事もある。俺もソラも」

夜空「やっぱり……わたしの事……」ジワッ

小鷹「待て待て、最後まで聞け!」

小鷹「ソラと過ごした時間は本当に楽しくて……俺にとって心の支えだった」

小鷹「でも、だからといって、無理にあの頃の俺達に戻らなくていいんじゃないか、そう思うんだ」

夜空「どういう……ことだ?」

小鷹「10年前、親友だった俺達にはもう戻れないけど……」

小鷹「でも、また俺達はこうして出会った」

小鷹「俺達の大切な部分が変わってなければ、俺達はまた友達になれる筈さ」

小鷹「10年ぶりに再会した俺達は、俺達なりの友情を育めばいい」

小鷹「……と、俺は思うぞ?」

夜空「……」



ペチーン

小鷹「ぉあ!?」

夜空「全く、『小鷹』のクセに、私に説教垂れるとは……」


夜空「生意気なやつだ」ニカッ

小鷹「…………ははっ」

星奈「あ、小鷹殴られた」

理科「夜空先輩ふられたんですかね」

星奈「くぅぅ……メッセージウィンドウが表示されればいいのに」

理科「部室に仕掛けた盗聴器ならありますけど」

星奈「うげっ!? アンタ、何やってんのよ!」

理科「聞きたくありません?」

星奈「……聞きたいです」





マリア「お、起きるタイミングを失ったのだ……」

……

幸村「あにき、さしいれです」

小鷹「おお、いつもありがとう」

幸村「いえ、ではわたくしはこれで」

小鷹「まぁまぁ幸村くん、座りなさい」

幸村「なにかごようでしょうか?」

小鷹「友達たるもの、机をくっつけて昼飯を食べるのは基本中の基本だ。一緒に食おうぜ」

幸村「なるほど、さすがあにき。ごいっしょさせていただきます」

夜空「さ、そうと決まれば机をくっつけるぞ!」ガタガタ

小鷹「うお!? びっくりした」

「星奈様、御命令の昼食です」

星奈「ご苦労、踏んであげるから跪きなさい」

「ありがとうございまひゅ」グミュ

星奈「はぁ……こんなキモい連中じゃなく、かわいい女の子とごはんが食べたいわ」

「スーハークンカクンカ」

星奈「息するなキモい」ゲシッ

「ありがとうございます!」

星奈「はぁぁ……小鷹達は今日も屋上に行ってるのかひら」チュー


「おい聞いたか? あの金髪ヤンキーに彼女ができたらしいぞ」

「あの黒髪美人だろ? いつもムッとしてるのに、ヤンキーと舎弟と楽しそうに飯食ってたな」


星奈「!? ぶはっ!」

「ありがとうございます!」ビチャッ


星奈「夜空が笑顔? 有り得ないわ……」

星奈「……」チラッ


小鷹「アハハハハー」

夜空「ウフフフフー」

幸村「エヘヘヘヘー」

※イメージです


星奈「」


幸村「あにき、あーん」

小鷹「あー、あむっ」

夜空「小鷹ぁ、わたしにもぉ」

小鷹「まったく、夜空は甘えん坊だなぁ」

夜空「てへり☆」


※イメージです

星奈「」

星奈「ちょっと夜空!」ズカズカ

夜空「おや、星奈ではないか。どうした、恐い顔して」

星奈「せ、星奈……!?」ブルッ

小鷹(馬鹿な……名前呼びだと?)

星奈「あ、あんた何私の許可もなしに楽しそうにご飯食べてんのよ!」

夜空「友達と食事を共にするのに、何故星奈の許可が必要なんだ?」

星奈「食事の方じゃなくて! あんたがニコニコしてるのが気に入らないって言ってるの!」

夜空「ああ、それはすまない。友人ととる食事があまりに楽しくて、つい笑みが」

星奈「うぐっ」ギリッ

夜空「あー美味しいなぁ。ただの惣菜パンも友達と一緒だと二倍も三倍も美味く感じる」

星奈「うぎぎ……」ワナワナ

小鷹「お、おい夜空……」

夜空「わかってる、冗談だ」


夜空「星奈」

星奈「……なによ」

夜空「ほら、さっさと机を持ってこい」

星奈「…………え」

夜空「ほら、ぼけっとしてたら昼休みが終わるぞ」

星奈「ちょ、ちょっと待ってよ!」ガタガタ


幸村「よぞらのあねごと、なにかあったのですか?」

小鷹「……なにかあったように見えるか?」

幸村「はい。あねごをしばっていた、憑き物のようなものがなくなったようにかんじます」

小鷹「……そっか」



夜空「あー食べた食べた。お腹いっぱいだ」

星奈「ちょっと! 私まだ座ったばっかなんだけど!」

………

「起立ー、礼」


小鷹「終わったぁー」グッ

夜空「小鷹、部活に行くぞ!」

小鷹「おう」

幸村「かばんをおもちします」スッ

小鷹「うお!? 忍者かよ!」

幸村「あにきのかげといういみでは、わたくしもまた、しのびとおなじですね」

小鷹「忍ばんでいい」

星奈「小鷹ー、夜空ー、部活行きましょ!」

夜空「一度優しくしたぐらいで調子に乗るな、肉」

星奈「なっ!?」ガーン

夜空「……っと、すまん。つい癖で」

星奈「……」プルプル

小鷹「すっごく複雑そうな顔してる」

夜空「わ、私も直そうと思ってはいるのだが……」

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