ほむら「あなたたちも魔法少女なの?」 フラム&智恵理「違うんだけど」 (240)

杏子「あたしこの子と組むの、反対なんだよね」

まどか「やめようよ、そういうの」

杏子「飛び道具の二人は気にならないかもしれないけど、危なっかしくてさぁ」

マミ「一理あるけど…」

ほむら「ごめんなさい……」

杏子「久々にコッチ来たけど、やっぱ無理だわ。帰るよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382272311

まどか☆マギカ・ガンダムAGE・AKB0048のクロスオーバーです

その他ガンダムとマクロスシリーズの設定も混ざっています

それでは、よろしくお願いします

——マミさんの部屋——

さやか「あの杏子ってヤツ? またそんなことを」

ほむら「ううん、今日のは本当に危なかったから……」

さやか「にしても、何かいい方法ないかな。せっかく時間を止めるなんてすごいの使えるんだしさ」

ほむら「……考えてみたんだけど」

まどか「どんなの?」

ほむら「他の世界の魔法少女に会ってみたらどうかなって」

まどさやマミ「……え?」

ほむら「私たちが知らない戦い方とか、教えてもらったりできると思うの」

マミ「また三人になってしまったし、ワルプルギスの夜を倒すのには他に協力者が必要だけど」

さやか「いざとなったらあたしも……」

まどか「だめだよ! 危ないことだもん、契約するならもっと慎重に考えてからね」

マミ「でも他の世界なんて、どうやって?」




さやか「やっとわかってきた」

マミ「暁美さんのは本当に時間を戻すのではなくて、パラレルワールドのようなものとつながれるから」

まどか「それを応用して、ねぇ…… いけそうだね、やってみようよ!」

マミ「待って、歓迎会の用意をしないと」

さやか「二人ともなんでそんな楽観的なの? 杏子より厄介なのが来ちゃったらどうすんのよ?」

まどか「そんな時のためのさやかちゃんだよ!」

さやか「あたしがやんのか」

ほむら「でも、美樹さんならこの中で一番、厄介な人とコミュニケーションとるのうまそうだし…」

さやか「あんたまで言うかぁ~!」

ほむら「じゃあいくよ」

 
 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

マミ「呼び出す呪文とか決めておいた方がいいのかしら」

まどか「いでよ神龍! みたいなの?」ワクワク

ほむら「もう来るよ!」

 パアァァッ!!!

フラム「ここは…?」

マミ「はじめまして!」

フラム「おわぁ!?」

ほむら「私たち、魔法少女なんです!」

フラム「は、はぁ……」

まどか「魔女と戦ってるの。あなたもなんでしょ?」

フラム「? まぁ、連邦軍と戦ってるけど、魔女っていうのはどこの部隊?」

まどか「舞台…?」

マミ「結界のことかしら……」




フラム「そう、私はいつの間にか地球に来ていたのね」

ほむら「魔法少女が宇宙人だったなんて…」

フラム「ご先祖様は地球人よ。そしてもうすぐ、私たちも地球へ帰れるところだったの」

マミ「ごめんなさい、忙しい時期に」

フラム「元の時間に戻してくれるなら問題ないわ。だけど私は魔法少女っていうのじゃないから、一緒に戦うのはね」

まどか「ちがうの? だってその衣装…」

マミ「最初から変身後だと思ってたわ」

さやか(特に頭のアレとか……)

フラム「これ? おかしいかな」

ほむら「そ、そんなことないよ! かわいいよ!」

マミ「魔法少女でないなら、戦ってるっていうのはどうやって?」

フラム「こう見えてもヴェイガンの軍人なの。モビルスーツにも乗れるよ」

ほむら「モビルスーツ……?」

さやか「なに? そういう乗物があるの?」

フラム「そうか、この時代にはまだないんだね。私たちの時代の兵器よ」

まどか「火星の魔法少女はハイテクだね」

フラム「いや魔法少女じゃないんだって」

ほむら「そのモビルスーツっていうのがあれば、魔女と戦うのもラクになったかな」

——翌朝——

まどか「おはよう、ほむらちゃん!」

さやか「一晩あの子といてみて、どうだった?」

ほむら「なんだか興奮してたみたい。畳とか障子とか、なんでも珍しがって」

ほむら「あとお風呂入れてあげたら感激してたよ」

さやか「火星ってやっぱ水が貴重なのかな? 砂漠っぽいし」

まどか「マミさんが今日、歓迎会しようってさ。来てくれるよね?」

ほむら「いいよ~ 帰ったらフラムさん連れて行くね」

——ほむホーム——

フラム(ただいま~)パタン

フラム(宇宙移民前の地球を一人で散歩なんて、ずいぶん贅沢な休日だこと)

フラム(そろそろほむらも帰って来るって言ってた時間…… ん?)ゾクゾク

フラム(まさか、この時代にXラウンダーが? 違う!)

フラム(きっと魔女ってやつだ! 行ってみよう!)

——結界——

まどか「フラムちゃん! 来てたの?」

フラム「みんな、その格好は?」

ほむら「私たち魔法少女はね、戦う時はこうなるの。武器も出てくるんだよ」

フラム「どうなってんのよ……」

マミ「早く切り上げてパーティの用意をしましょう。張り切っていくわよ!」

フラム「さやかも来たの?」

さやか「あたしもQBに勧誘されてるからね」

まどか「二人とも見学だけだからね。危なくなったらすぐに逃げてよ」

——最深部——

マミ「魔女がいるのはこの先ね」

ほむら「開けるよ」

フラム「……あれが魔女? 使い魔より強そうだし、それに」

フラム(魔女っていうから、もっと人間みたいなのを想像してたわ……)

まどか「平気だよ! そう簡単には負けないんだから!」

フラム(とは言ってたけど)

マミ「意外にすばしっこいわね。鹿目さん! そっちへ!」

まどか「今度こそ!」

フラム(手こずってるようね)

ほむら「やったの!?」

まどか「かすっただけみたい! ほむらちゃん、危ないよ!」

ほむら(時間を止めてよけ……   あれ?)

 ズドォォオム!!!

まどか「ほむらちゃん!?」

マミ「スキありっ!」

マミ「逃げていくわ……」

フラム「ほむら、大丈夫?」

ほむら「いたたた…… よけようとして失敗しちゃったよ」

まどか「ほむらちゃんが避けきれなかったなんて珍しいね」

マミ「回復させたら魔女を追いかけましょう。そう遠くへは行っていないはずよ」

ほむら「近いよ、この壁の向こう!」

まどか「どこかに入り口は…? あ、あった!」

マミ「でもこれじゃ狭すぎるわね。ちょっと向こうを覗けるだけで…… あら」

フラム「何か見える?」

マミ「誰か魔女と戦っているみたい。あれは佐倉さん……? でも武器が違うような」

さやか「アイツかぁ」

ほむら「そんなこと言ってる場合じゃないよ。助けに行こう!」

——部屋の中——

彼方「しぶといヤツ!」

凪沙「わたしたち、どこの星に来ちゃったんでしょう…」

彼方「切り抜けてから考えればいい! 行くよ!」

凪沙「はい!」

魔女「キュイイイイッ!!!」

凪沙「あと一押し!」

智恵理「てゃあぁっ!!」

 パッシュゥ!!!

智恵理「ふぅ……」

凪沙「消えて行く… 周りの景色も?」

智恵理「外に出られるみたいね」

彼方「むこうに人がいるよ!」

マミ「今度こそ、違う世界の魔法少女みたいね」

ほむら(やっぱり! さっき時間を止めたつもりで、別の魔法を使ってたんだ……)

凪沙「魔法少女?」

さやか「魔女と戦ってたでしょ」

彼方「違うよ。私たちはAKB0048の研究生なの」

フラム(AKB? ああ、ほむらの部屋でテレビ見てたら聞いたような)

さやか「あれって戦ったりもするんだ」

智恵理「ライブの時に教われることもあるから、戦闘訓練もしているんですよ」

まどか「アイドルも大変なんだねぇ」

ほむら「また魔法少女じゃなかった……」

彼方「こっちから聞いてもいいかな。あの魔女って呼んでたものは?」

マミ「あれは私たち魔法少女が戦ってる敵なのよ」

彼方「そんなのがいたんだね。知らなかった」

凪沙「あの、ここは何ていう星なんですか?」

まどか「……星?」

凪沙「わたしたち、秋葉星の劇場にいたはずなのに」

フラム「また異星人のようね。ここは地球よ」

彼方「どうしてそんな所に」

智恵理「『また』って、私たちの他にも誰か来ているんですか?」

フラム「私は火星人。でもこの時代の地球人は、月へ行くのが限界だから、他にはいないみたい」

凪沙「いつもイベントとかで来てる、あの時代なのかな」

——マミさんの部屋——

彼方「魔女との戦い、魔法少女の力…… なるほどね」

まどか「かわいい服着てるし、QBみたいなのと一緒だから、魔法少女かと思ったのに」

きらら「キュミミミィ~」

QB(僕、あれと同じ扱いなのか……)

凪沙「この子たちは、きららっていうの。アイドルに反応して光るんだよ」

ほむら「ごめんなさい。うっかりあなたたちを呼んでしまって」

智恵理「うっかりでこんな時代へ連れて来られた訳ね」

凪沙「で、でもホラ! 公演やイベント以外で昔の地球になんて滅多に来られないし……」

彼方「魔女退治の手伝いもいいトレーニングになると思えば、無駄にはならないでしょう」

まどか「一緒に戦ってくれるの?」

彼方「乗りかかった舟だもの。私はそうするつもりだよ。あんたたちは?」

智恵理「元の時代に返してくれるなら」

凪沙「わたしも!」

マミ「パーティのお料理がたくさんいるわね」

——病院——

凪沙「じゃあ上条君のケガを治すために、さやかは契約しようか迷ってるんだね」

さやか「なんだけどね。いざとなると、それでいいのかなって慎重になっちゃうんだよね」

まどか「わたしはあんまり迷わないで魔法少女になっちゃったから、こういうこと言うのもおかしいけど」

まどか「大事なことだもんね。ちゃんと迷ってから決めた方がいいよ」

凪沙「まどかはどうして魔法少女になったの?」

まどか「ねこを助けてあげてって。野良ねこがケガしてたの」

智恵理「それだけ?」

まどか「わたしは魔法少女になりたくてなったんだもの。願い事なんて何でも良かったんだよ」

凪沙「ちょっともったいないような…」

さやか「でも、まどかは前よりずいぶん明るい子になったよ。ちょっと自信ついてきた感じかな」

凪沙「そうだね。やりたいことやって夢が叶うのって、いいよね!」

まどか「うんうん。さやかちゃんの場合は、上条くんとうまくいくことかな?」

さやか「そ、そういうのは… まだちょっと早いかなって…… ねぇ?」

ほむら「気になる人がいるなら、魔法少女になんてならない方がいいよ」

智恵理「気になる人、ねぇ」

凪沙「いるの!?」

智恵理「そんなに驚かないでよ」

凪沙「いやぁ、智恵理っていつもこういう話に乗ってこないから、珍しくて」

智恵理「そういう人がいたとしても、00は恋愛禁止だからね」

まどか「マミさんも言ってた。魔法少女は恋もできないって」

凪沙「フラムさんは軍人だし、ないかなぁ」

ほむら「しかもXラウンダーっていう特殊な人なんだって」

さやか「だから今日もマミさんと出かけてるんだっけ?」

智恵理「Xラウンダー能力が魔女の気配を探すのに使えるかもって。彼方さんもそっちに行ってるわ」

まどか「あ~…… すぐ見つかっちゃったら、実験にならないもんね」

智恵理「いるの!?」

ほむら「! 私のソウルジェムにも反応してるよ」

まどか「さやかちゃんは上条君のところにいて。私たちは行ってくるから!」

さやか「うん、みんな気をつけて!」

——いっぽう、マミさんたちは——

マミ「完全にまかれたわね…」

フラム「ごめんなさい。せっかく見つけたのに」

マミ「仕方ないわ。また探しましょう」

彼方「ちょっと気になったんだけどさ、さっき遭った魔女、どこかおかしくなかった?」

マミ「あれは使い魔ね。魔女の子分みたいなものよ」

フラム「人を襲って、成長したら魔女になるってヤツだね」

マミ「特におかしい所はなかったけど…… しいて言うなら、逃げ出すのが早かったわね」

彼方「やっぱそうか。あれ、たぶん戦いの経験を積んでるよ。でなければ、訓練されてるか」

フラム「ああ見えても頭いいヤツがいるのかな」

マミ「考えたこともなかったわね」

——最深部——

フラム「いるよ。今度はたぶん、大きいのも」

マミ「どうやら本体の魔女もいるようね。決着をつけるわよ!」

彼方「こっちは白兵戦専門だからね。援護は任せるよ」

フラム(私も戦えれば… モビルスーツがあればいいのに)

彼方「いた! さっきのヤツだ!」

マミ「魔女の所へ戻るかもしれないわ。追いかけましょう」

 トクン

フラム「! 待って! 手強いヤツの気配がする!」

マミ「でも魔女の反応はまだ遠くに……」

 
 ガキィィィン!!!!

彼方「別方向からの攻撃! 本体の魔女か!?」

杏子「誰か来たかと思ったら、マミか」

マミ「佐倉さん!」

杏子「帰りな。こっから先はあたしの縄張りなんだ」

彼方「あんたも魔法少女? なら協力してよ。使い魔を追って来たんだ」

杏子「使い魔をねぇ…… これのこと?」ヒョイ

彼方「それだよ。捕まえてくれたの?」

杏子「なら狩らせるわけにはいかないな。コイツはあたしが飼ってんだわ」

マミ「飼ってるって、まさか……」

フラム「……どういうこと?」

マミ「あの使い魔に人を襲わせているの…… 狙いはきっと、使い魔が魔女に成長して作るグリーフシード」

杏子「あともう一人二人食ってくれば、立派な魔女になれるぞ」

フラム「エデンの魔法少女が、そんなことをするの?」

彼方「させないよ!」

杏子「お、変身したな? どういうことかわかってるよね?」

彼方「当然! その使い魔を倒して、あんたを止める!」ザッ!

杏子「武器は光る剣か!」

 キィン!

杏子「あたしと同じ、白兵戦タイプだ!」

マミ「やめて、二人とも! 私たちは協力しないといけないの!」

彼方「こんなヤツの手を借りなくたって!」

杏子「何ができるって?」ガッ

 ドゴッ!!

彼方「ぐっ…!!」

杏子「まだ立てるの? じゃ次でトドメだ!」

フラム「ダメッ……!!」

 ピキッ

杏子「結界に亀裂が……!?」

マミ「まさか、あれって」

 ゴオオオオオオオオオオオオオ……!!!

フラム「フォーンファルシア!」

杏子「そうか、これもモビルスーツか!」

マミ「!? 今なんて?」

彼方(このスキに!)シュバッ!!

杏子「しまった… 今日のところはお開きだ! もう来るなよ!」

——マミ部屋で反省会——

まどか「杏子ちゃん、そんなことをしてたの……」

彼方「使い魔は倒したけどね。たぶん、またやると思う」

マミ「もう一つ、気になることがあったわ。彼女と戦ってる最中に、フラムさんのモビルスーツが来たの」

ほむら「誰か乗ってたの?」

フラム「自動操縦で私を追ってきたみたい。今は結界の中に隠してあるよ」

マミ「佐倉さん、それを見て言ったのよ。『これもモビルスーツか』って」

さやか「誰かに聞いたんだよね、きっと…… てコトはさ」

フラム「私と同じ世界から来た人が、他にもいる?」

まどか「ヴェイガンだといいね。どんな人なんだろ」

マミ「いずれ佐倉さんにまた会って確認しないとね。病院で遭った魔女はどうだったのかしら」

凪沙「こっちも手強かったよ。一度たおしてもまた変身してくるし」

ほむら「せっかく新しい武器を手に入れたのに、あまり効かなかったみたいなの」

マミ「魔女には魔翌力のある武器じゃないとあまり通用しないようね。今度やり方を教えるわ」

智恵理(!?)

智恵理(あの再生能力と、通常兵器がそれほど通用しない……? 魔女ってもしかして……)

凪沙「でも00のサーベルは効くよね」

まどか「あれは普通じゃないからかな?」

智恵理(違うわ、きっと……)

フラム「0048って衣装も特別なの? 今日、彼方がけっこう持ちこたえてたような」

彼方「ステージで戦うこともあるからね。防具としてもちゃんとしてるの」

まどか「未来の魔法少女はハイテクなんだね」

凪沙「魔法少女じゃないんだってば……」

——翌日の放課後——

まどか「さやかちゃんは今日も上条くんのところへ行くの?」

さやか「うん、昨日あんなことになって行けなかったから、まどかもたまには顔出してやってよ」

まどか「そうだね。早く学校来られるといいのに」

マミ「リハビリはどんな具合なの?」

さやか「こういうことは気長にやらないと…… ってとこかな」

ほむら「でも、美樹さんみたいに支えてくれる人がいる分、まだよかったじゃない」

さやか「やめてよ、もぅ~ ほむらも言うようになったなぁ!」

まどか「上条くんがいつ頃歩けるようになるとか、ほむらちゃんも知らないの?」

ほむら「一ヶ月より先の事だから…… ごめんね、美樹さん」

さやか「いいっていいって! 一ヶ月やそこらじゃ、あたしも恭介も諦めないからさ!」

——マミさんの部屋——

QB「きみたち三人にもぼくが見えるようだけど」

彼方「私たちにも魔法少女の素質っていうのがあるのかね」

QB「少しはね。契約したとしても大した魔翌力は得られない。それでもいいならいつでも魔法少女にしてあげるよ」

彼方「でも本業があるから、魔法少女にはなれないかなぁ」

智恵理「それに、私たちの願いは誰かに叶えてもらっても意味のないことだもの」

QB「どうやらそのようだね」

彼方「フラムもQBが見るんでしょ? 契約しないの?」

フラム「私はダメみたい」

QB「彼女はXラウンダーというやつなんだろう。それで人に見えないものが見えているだけなんじゃないかな」

智恵理(こっちも……?)

智恵理「魔法少女の素質とXラウンダーって、何か関係あるのかな」

フラム「無いと思うな。私のいた世界で、魔法少女なんて聞いた事なかったもの」

智恵理「フラムさんの他にも、Xラウンダーはいたの?」

フラム「いるよ。私の上官や、ヴェイガンの指導者イゼルカント様もそうよ」

彼方「脳の普通は使わない領域を使う人、だっけ。みんな頭いいの?」

フラム「せっかくの能力だけど、今は戦闘に使ってばかりよ」

フラム「でもイゼルカント様は戦うための能力を持つことを指して『退化でもある』とおっしゃったわ」

彼方「……いい人なんだ」

フラム「こっちの戦争はもうそろそろ終わりそうだし、そうしたらきっと他の活用方法が見つかるわ」

彼方「うん。見つかるよね!」

 カラカラ
凪沙「お待たせ! 準備できたよ!」

彼方「遅いぞ~!」

凪沙「す、すいません!」

智恵理「じゃあ行きましょうか」

凪沙「地球の街へ出るなんて、ワクワクするね~」

彼方「マミたちが帰ってきたら杏子を探しに行くから、それまでには戻るよ!」

彼方「あと、きららがこの時代で見つかったら大変だから、ちゃんと隠しておかないとね」

——ショッピングモール——

さやか「あれ? みんな来てたの?」

彼方「さやか!? ってことは、もう学校終わった?」

さやか「うん、マミさんたちももう帰ってると思うよ」

凪沙「地球のお店が珍しくて、いろいろ見てたら遅くなっちゃった……」

さやか「じゃあマミさんに電話しとこうか。みんないるから迎えに来てって」

彼方「ごめんね……」

——風見野——

まどか「杏子ちゃん、どうすれば見つかるかな」

マミ「いつも通り魔女の気配を探せばいいわ。戦ってる間に彼女もかぎ付けて来るでしょう」

ほむら「そのまま戦う事になった場合に備えて、あんまり人数をわけないほうがいいね」

マミ「二手に別れましょう。昨日と同じ分け方でいいかしら」

智恵理「待って! それなら私をフラムさんと一緒に行かせてくれない?」

フラム「いいよ。でもどうして私と?」

智恵理「モビルスーツっていうのがどういうものか、見てみたくって」

マミ「智恵理さん、わかってると思うけど……」

彼方「待った。この子がそう言うなら、きっと何かあるんだよ」

智恵理「今はまだ、考えがまとまらなくて。でも実際に見てみたら何かわかるかもしれないんです」

彼方「私と代わろうか。マミもそれでいいよね?」

マミ「ええ。鹿目さんたちの面倒をみてあげてね」

——結界——

マミ「さっそく来たわね」

智恵理「派手に戦って、目立った方がいいんですよね?」

フラム「フォーンファルシアを出すよ! 二人とも、気をつけてね」

智恵理(あれがモビルスーツ…… LASとは違う!)

フラム「使い魔くらいなら、ビットの攻撃で充分通じるでしょう。佐倉杏子って子をおびき出すよ!」

マミ「お願いね。智恵理さん、私たちも手伝うわよ!」

智恵理「彼方さんたちより先に見つけてもらいましょうね!」

——他の結界——

杏子「……なんだ、今日はまどかか」

まどか「よかった! 杏子ちゃんを探してたの」

ほむら「ちょっと話を聞きたくって……」

杏子「見滝原にもいろいろあったみたいね。ん? そっちにいるのは」

彼方「……昨日はゴメン。頭に血が上ってた」

杏子「少しは落ち着いたかい?」

彼方「グリーフシードが魔法少女にとって大事なものだってマミから聞いたよ」

彼方「でも魔女を養殖するのには納得してない」

凪沙「彼方さん!?」

杏子「正直なのはいいことだよ」

彼方(手を出さなければ、むこうから襲ってくるわけでもないのか)

杏子「それよりあんた、魔法少女じゃなさそうだね」

まどか「彼方さんと凪沙ちゃんはアイドルなんだよ」

杏子「何言ってんのさ?」

ほむら「本当なの。私が間違えて、他の時間軸から連れてきちゃって……」

杏子「時間軸? もしかしてあんたらもヴェイガンなの?」

彼方「違うよ。一旦話を整理した方がいいね」

杏子「うん。あの黒いモビルスーツが来てから、ワケのわからないことばっかりだわ」

——マミチーム——

マミ「調子に乗って使い魔を倒してたら」

智恵理「最深部の扉らしいものが」

マミ「どうする? 彼方さんたちと合流しなくても戦えそう?」

智恵理「まだいけるわ。応援を待つより、私たちで倒した方が早いはずよ」

フラム「バトンの攻撃なら、魔女にもいくらか効果あるでしょう」

マミ「じゃあ開け……  ハッ! 待って、中に魔女の気配がもう一つ!」

智恵理「二体相手でも」

フラム「マミ! 智恵理と一緒に退いて! これは魔女じゃない!」

マミ「まさか…」

フラム「Xラウンダーだよ! きっと杏子って子が見たモビルスーツだ!」

 
 ゴッ! ガンッ!

智恵理「出てこようとしてるの!?」

フラム「こっちに気付かれた! 急いで!」

 ゴゴガゴゴガガガ……

フラム「魔女そっちのけで向かって来る。しかもこの感覚! 一番会いたくなかったヤツ!」

マミ「智恵理さん、早く! 扉がもたない!」

 バギャッ!

智恵理(あれがもう一体の? フォーンファルシアとは全然違う……!)

フラム「足元に人がいるのに、白兵戦をやる気か!」

『ヴェイガンは殲滅する!』グオォッ!!

智恵理「きゃぁっ!」

 ガキャァァァン!!!

マミ「……助かった?」

智恵理「みたいね… 今度は黒いモビルスーツ……」

アセム「そこのヴェイガン!」

 シュルッ   ガシッ!

フラム「しまった、ワイヤーが!」

アセム「動くなよ。魔法少女もだ!」

フリット「邪魔をするな、アセム!」

アセム「まずは情報を集めよう。ここは本当にパラレル・ワールドっていうやつみたいだからな」

フラム「その前に放せ! 話はあの魔女を倒してからだ!」

フリット「アセムよ、ヴェイガンの拘束は解くな。魔女退治ならあそこの魔法少女二人に任せれば良い」

アセム「聞こえていただろう。頼めるかい?」

マミ「魔法少女の役目ですからね」

智恵理「あの魔女を倒せば、フラムさんを放してくれるのね?」

アセム「どうだい父さん?」

フリット「魔法少女の攻撃が魔女に有効だというのは、確かなようだ」

アセム「俺たちだって、いざとなったら魔女と戦うことも充分にありうる。魔法少女を味方につけて損はない」

フリット「しかしヴェイガンとつるんでいる連中だぞ」

アセム「魔女だけじゃない。魔法少女が敵に回った時のこともあるだろう。あの赤毛のようにな」

マミ「終わったわ。これで信用してもらえたかしら」

フリット「魔女はまだ生きているぞ」

智恵理「モビルスーツが外へ出れば、大騒ぎになるでしょう」

マミ「この魔女は死なせないようにして、結界を維持しといてもらわないと」

——彼方チーム——

杏子「仇討ちってわけか…」

彼方「00に入った頃はね。そんなんだから、なかなか襲名できなくて、妹に怒られちゃった」

杏子「妹がいるの?」

凪沙「彼方さんに会うために、わざわざ密航してきたんだよ」

杏子「そうか… 妹さん、よっぽどあんたが好きなんだな」

彼方「まぁね。くっつきすぎて鬱陶しいくらい」

杏子「……」

ほむら(あれ、佐倉さんの家族って)

ほむら(あんまり聞いた事ないけど、遠くに住んでるんだっけ……? いつも一人だよね)

杏子「その方がいいよ」

彼方「ごめんね、こっちの話ばっかりしちゃったね」

杏子「気にすんなって。あんたらもワルプルギスの夜を倒したいんだってことはわかった」

彼方「戦いは本業じゃないんだけどね」

凪沙「こっちの地球の人たちも、わたしたちの力を必要としているんだもの。手伝うよ」

まどか「杏子ちゃんも一緒に戦ってくれるの?」

杏子「一緒にかどうかはまだ決めてないけど、同じ敵がいるんだからな」

ほむら「ありがとう! じゃあテレパシーでマミさんたちに連絡するね」

杏子「マミも来てるのか…」

——再びマミチーム——

マミ「暁美さんが、佐倉さんを見つけたって」

智恵理「むこうに現れたのね」

アセム「佐倉さんっていうのが、もしかして赤い服の魔法少女かい?」

マミ「ええ。会った事があるようですね」

アセム「まぁな。俺たちの探し物の在処を、どうやら知ってるようなんだ」

フラム「あなたたち、ほむらに呼ばれて来たんじゃないの? 探し物って」

フリット「貴様もヴェイガンなら聞いた事はあるだろう、EXA-DBだ」

マミ「何なの? それは」

アセム「俺たちのいた世界は、その昔激しい戦争があって、滅亡寸前まで追い込まれたんだ」

智恵理「どこも変わらないのね」

アセム「かつてニュータイプと呼ばれた宇宙移民者たちは地球圏を離れて、太陽系外へ旅に出た」

アセム「地球に残された人たちも進みすぎた軍事技術を封印して平和に暮らしていたそうだよ」

フラム「それで増えすぎた人口を地球圏に収めきれなくなった時代に、火星移民が始まったの」

マミ「ご先祖様は地球人ってそういうことだったのね」

フラム「その後火星圏で発見されたのがEXA-DBよ」

アセム「封印されたはずのテクノロジー、モビルスーツの設計図に、戦術や運用のノウハウを記録したものだ」

アセム「火星圏で見つかったのはごく一部にすぎない。俺たちは残りの部分を追って来たというわけさ」

フラム「この時代に来ていたなんてね……」

アセム「佐倉杏子は、それを手にした何者かと関係がある。この間戦ってわかったよ」

智恵理「その『何者か』とあなたたちに接触していたから、彼女もモビルスーツの事を知っていたのね」

アセム「おそらくはな。だがEXA-DBに納められているのは、あくまで俺たちの世界の情報だ」

アセム「ワルプルギスの夜だったか、君たちが迎え撃つ大型の魔女の相手に役立てられるとは思えない」

フラム「ただの魔女ならまだしもね」

マミ「詳しい事は本人に聞いて…… みられそうかしら?」

フリット「勿論そうするべきだ。人間同士の戦いなど、くだらんよ」

智恵理「あなた、さっきはフォーンファルシアと戦おうとしてなかった?」

フリット「ヴェイガンは殲滅する。ヤツらを人間と思った事などない」

マミ「でもここにいる間は、フラムさんには手出しさせませんよ。私たちの仲間なんですから」

フラム「ごめんね、マミ… 厄介ごとを持って来ちゃったみたいで」

アセム「それは俺たちからも言うべきことだな。EXA-DBを破壊したら、すぐに引き揚げるよ」

杏子「あれを壊すつもりなんだな」

マミ「佐倉さん!?」

アセム「EXA-DBは俺たちの世界で封印された人の過ち! 残してはおけないんだ」

杏子「ならアンタら、やっぱりあたしの敵なんだな」

彼方「変身した!? 待ちなよ杏子! 協力してくれるんじゃないの?」

杏子「せっかく友達になれると思ったのに、残念だよ……」

杏子「あたしはEXA-DBを守る!」

マミ「わからず屋は相変わらずね!」

 シュルッ

杏子「リボンの結界か。邪魔をするな、マミ!」

アセム「父さん! 今のうちに!」

フリット「相手は人間だが、ガンダムを破壊されては元も子もないか!」

杏子「やる気か、こいつら!」

杏子(なら利用させてもらうか。少しリボンをほどくのに手間取ったフリをして……)

アセム「マミ! 他の魔法少女も、ここは退け! 佐倉杏子は俺たちと戦うことになる!」

杏子「わかったらあたしをおいて逃げな! ワルプルギスの夜を倒すのに、あいつらは邪魔なんだ!」

マミ「そんなこと言ったって!」

フリット「アセムの言う通り、そこをどくんだ! 気を遣いながら戦える相手でない事はわかっている!」

智恵理「まどか! 弓矢でガンダムを止めて!」

杏子(それじゃ困るんだよな)

まどか「目を潰せばコクピットは無事で済むね!」

杏子「かぁっ!」ブチッ

マミ「リボンを破った!?」

アセム「やはり来るのか… ならば」

杏子「モビルスーツだろうと!」

アセム「すまない、マミ! 昔の仲間を[ピーーー]ぞ!」

 ドシュウゥゥッ!!

杏子「通常兵器の攻撃なんて!」

智恵理(魔女だけじゃなくて、魔法少女にも普通の武器は通用しないの?)

杏子「今日こそ仕留める! 食らえ!」

アセム「スーパーパイロットをなめるなよ!」シュバッ!!

杏子「ちっ!」

杏子(ビームサーベルか、あれは防ぎきれるかどうか)

凪沙「こんなことをしに来たんじゃないのに……」

マミ「早くあの二人を止めないと」

まどか「でも間合いを詰めたから、狙いがつけられないよ!」

ほむら「私がいくよ!」カチッ



ほむら「まずはヤリを外しといて」

 ポンッ
ほむら「佐倉さん、こうすれば聞こえるでしょ?」

杏子「ほむら!? あ、あれ、あたしの槍は?」

ほむら「返してあげるから、もう戦うのはやめて。これ以上やるなら他の皆だって黙ってないよ」

杏子「マミたちまで敵に回すのはさすがに厳しいか……」

杏子「いいよ。今日のところはやることやったし、帰るとするよ。だから放してくれる?」

ほむら「一緒に止まった時間の中にいられるのは、私が掴んでる間だけなの」

ほむら「ここで放したらまた戦うでしょう? 少し遠くへ行ってからにしようよ」

杏子「そうだね。じゃあ送ってもらうとしようかな」

 カチッ

アセム「消えた…!?」

フリット「赤毛め、そんな魔法まで使えるのか」

マミ「佐倉さんはなんて?」

ほむら「マミさんと戦うのはイヤだったみたい。もう帰るって」

凪沙「あんまり聞き出せなかったね…」


杏子「ガンダムの二人にまた会ったよ。それと隣町の魔法少女にも」

『巴マミたちか。時間を止める魔法はちょいと厄介だな』

杏子「それと変なヤツらが仲間になってた。ヴェイガンとも違う世界から来たみたいだね」

『そんなのが他にもいるのか?』

杏子「わからないよ。なぁ、アイツらとなら手を組めないかな」

『昔の仲間が恋しくなったか』

杏子「そんなんじゃないよ。ただ、ワルプルギスの夜っていう共通の敵がいる」

『ガンダムの二人がついてきたらどうする?』

杏子「そう来ると思って、マミたちがガンダムと手を組まないようにしてきた」

杏子「ガンダムが本気であたしを[ピーーー]つもりだったっていうのがわかるように戦ってきたんだ」

『巴マミは素直にあの二人を信用しない、か』

『そりゃあマミがお前を仲間と思ってなきゃできない話だろ』

杏子「あの甘ったるい性格は知り尽くしてる。うまくやるよ」

——マミさんの部屋——

フラム「佐倉杏子は、ワルプルギスの夜をたおしたいんでしょう?」

マミ「そうみたいね」

彼方「そいつがEXA-DBに拘ってたってことはさ」

まどか「EXA-DBって武器のデータが入ってるってヤツだよね?」

凪沙「それで魔女と戦うのかな」

ほむら「元はといえば、私もそう考えてたんだよね」

フラム「でも、モビルスーツでそんな大型の魔女と戦うのはちょっと割が合わないわね」

智恵理「アセム・アスノもそう言っていたわ」

彼方「とはいえ、ガンダムと戦ってでも守ろうとしてたぐらいだからね。使い道があるのかも」

智恵理「フラムさん、EXA-DBに入っているのは、本当にモビルスーツのことだけなの?」

フラム「私にもわからない。ヴェイガンとして正直に言うと、火星に持ち帰って調べたいわ」

凪沙「でも、あれは人の過ちって」

フラム「使い方次第ね。火星で人が生き延びるには、リスクをとる必要もあったのよ」

彼方「あんたたちも辛かったんだよね……」

智恵理「もしかしたら、魔女をたおす方法だって書いてあるかもしれない」

まどか「フラムちゃんのところに魔女はいなかったのに?」

智恵理「私たちの世界とこことは、関係があるかもしれないの。魔女と少し似てるのがいたわ」

ほむら「魔法で呼べたくらいだし、もしかしたら案外近いパラレル・ワールドなのかもしれないね」

智恵理「そうなるとEXA-DBに魔女のことが載っているとも考えられるわ」

マミ「この間から考えていたのはそのことかしら?」

凪沙「何かわかったんだね!」

——数日後 風見野の結界——

杏子(グリーフシードはまだまだ足りないってのに、ちょこまかと逃げ回って…)

杏子(だけどもう逃がさないぞ!)

魔女「キュィッ!?」

杏子「これでトドメだ!」

彼方「待った!」ガキィッ!!

杏子「またお前か! 邪魔するなよ!」

凪沙「ごめんね。あの魔女の相手を、わたしたちに任せてほしいの!」

杏子「何言ってんのさ? あんたら魔法少女じゃないんだから、グリーフシードはいらないんだろ?」

智恵理「そうよ。だからあの魔女が落としたら、あなたに譲るわ」

杏子「いいのかい?」

彼方「いいから見てて。私たちの戦い方をね」

杏子「三人ともビームサーベルなんだな」

凪沙「今日は違うよ!」

杏子「……? これは…… 歌?」

まどか「彼方さんから聞いたでしょ。あの子たち、アイドルなの」

杏子「それは知ってるけど、魔女に歌なんて……」

まどか「見てて。ちゃんと効くんだよ」

杏子「光るものが浮いてる… きれいだね、ホタルみたいだ」

まどか「あれはきらら。彼方さんたちが連れてきたの」




杏子「魔女が… いない? 消滅したの?」

まどか「QBにも仕組みはわからないって言ってた。わたしやマミさんが歌っても効果ないみたいだけど」

まどか「あの子たちの歌が、魔女の瘴気を洗い流しているみたいでしょ?」

杏子(アイツの言ってた仮説にあったな。希望と絶望のエネルギーが打ち消し合う)

杏子「希望のパワーか。魔法少女の攻撃以外にこんな方法があったなんて、知らなかった」

彼方「その反応を見ると、EXA-DBにも載ってないみたいだね」

杏子「見た事はないな。あんたらこそ、どうして試してみる気になったのよ」

智恵理「私たちの世界にも、魔女と似たようなのがいたらしいから」

彼方「EXA-DBについて知ってるあんたなら、心当たりあると思ってさ」

杏子「魔女と似たようなの? 何それ?」

智恵理「プロトデビルン。聞いた事はない?」

杏子「ゴメン、ないな」

凪沙「実はわたしと彼方さんも初めて知ったんだよ」

智恵理「私もゾディアックのことを調べてたら、たまたま資料で見たってだけよ」

さやか「0048の子たちがいた所はいろんな星に人が住んでるって聞いてたけどさ」

ほむら「宇宙って怖いんだね……」

さやか「あの三人が、それを封じ込めた何とかってやつなの?」

マミ「当時の資料はもうほとんど失われてるからはっきりしないけど、おそらく別の物と言っていたわ」

マミ「本物のアニマスピリチアの力は、プロトデビルンと相反する物ではなかったらしいの」

さやか「魔女とプロトデビルンも別物なのかな。何かあった時のために、ちゃんと資料とか残しておけばいいのに」

フラム「芸能活動が制限されてるっていうから、歌で戦争を止めた人がいたなんて情報は、公にできないんでしょう」

マミ「アニマスピリチアはさておいて、あの子たちのサーベルにはきららが力を貸してくれるそうよ」

さやか「きららってあのクラゲみたいなのか」

ほむら「本当は意外と強いんだね」

マミ「今までもライブの最中に戦う時、歌に合わせて威力が上がったりしたみたい」

フラム「使う人の気力とか、アイドルのオーラってやつ? そういうのが関わってくるなら、魔法みたいだわ」

ほむら「何にしても、歌にも効果あるってわかって、よかったね」

—— 風見野 ——

彼方「見ての通り、あたしたちの歌でも役に立てる。ワルプルギスの夜とだって戦えるよ」

まどか「お願い、杏子ちゃん。私たちと一緒に戦ってほしいの」

杏子「そう来たか……」

まどか「そうすればガンダムの人たちと戦わなくていいんでしょ?」

凪沙「フリットさんたちだって、EXA-DBを使わないならワルプルギスの夜と戦うのに協力するって言ってるからさ」

杏子「なんだそりゃ? いつの間にそんな交渉してたんだよ!」

まどか「だって、モビルスーツは結界に隠しておかないといけないし」

智恵理「マミさんも仲間は多いに越した事ないって」

杏子「……そうかい…」

彼方「どうする? あんたが来てくれるなら心強いんだけど」

凪沙「みんなでかかれば、ワルプルギスの夜だってきっと勝てるよ!」

杏子「みんなで? 今更そんな事できるか!」

まどか「待って! どこへ行くの?」

杏子「お前らとなんて組まなくたって、EXA-DBさえあれば勝てる! 証拠を見せてやる!」

杏子(どうしてだよ… せっかくお膳立てしてやったのに!)

杏子(こっちが思ってたよりも、マミは仲間に飢えている)

杏子(いいや、あたしもだ… マミの手は借りないって決めたじゃないか!)

まどか「!」

彼方「もしかして、魔女の気配?」

凪沙「また来たの?」

まどか「うん…… でもこれ、杏子ちゃんが逃げて行った方だ……」

智恵理「ならすぐ向かいましょう。もう一度説得すれば、きっとまだチャンスはあるわ」

まどか「そう、だよね……」

彼方「正直に言いなよ。何か悪い予感がするんでしょ?」

凪沙「どうしてわかったんですか?」

彼方「私もだからさ。杏子は魔女を養殖してたようなヤツだ。何をするかわからない」

彼方「それに今、アイツは『魔女の気配を感じて動き出した』んじゃないんだよね?」

まどか「はい。順番からすると、杏子ちゃんが行ってから、魔女が現れたんです……」

凪沙「魔女を呼んだの?」

智恵理「それもEXA-DBの力、か。見せてもらおうじゃないの!」

——結界の入り口——

まどか「あった! さっきの魔女が作ったヤツだよ」

彼方「この奥に杏子がいるんだ…」

アセム「佐倉杏子が来ているのかい?」

智恵理「アセムさん、来てくれたんですね」

アセム「残念ながら俺はXラウンダーじゃないんでね。ここを見つけたのは父さんだよ」

凪沙「一緒に戦ってくれるんですか?」

フリット「パラレルワールドとはいえ、地球の平和を脅かす悪魔と戦うのは我々の役目だ」

アセム「ガンダムも用意してある。俺たちだって少しは役に立てるぞ」

智恵理「でも気をつけてください。また杏子と戦うことになるし、今回の魔女は特別みたいですから」




彼方「使い魔同士の連携がとれてる。やっぱり杏子が仕込んだヤツだ!」

凪沙「じゃあこの奥にあの子がいるの……?」

フリット「雑魚の相手は我々が引き受けよう。行くぞアセム!」

アセム「ドッズランサーで薙ぎ払う! みんな、避難していろ!」

まどか「! 待って! 上から魔女、いやXラウンダーが!」

フリット「任せろ!」

 ガキャアアン!!!

『防いだか。だがここの使い魔たちはやらせないぜ!』

彼方「黒いモビルスーツ!? 杏子が見たのって、まさかあれ…?」

『ガンダムAGE-1。会いたかったぜぇ、フリット!』

フリット「生きていたとはな、デシル!」

アセム「デシル・ガレットか!」

デシル「おっと、そっちはAGE-2か?」ドゥッ!!

アセム「ちぃっ!」

智恵理「すごい… ガンダムを二体同時に相手にしている……」

デシル「再会のお祝いだ! オマエの好きそうなものを見せてやる!」

フリット「なんだと…」

デシル「EXA-DBにはな、かつて地球へ飛来したビアル星人の技術も詰め込まれている」

フリット「こちらの狙いもお見通しか!」

デシル「オリジナルには及ばないが充分だ。食らえ、『ムーンアタック』!」

フリット「ぐおおぉっ!!」

凪沙「フリットさん!」

まどか(00の子たちにモビルスーツの相手はできない。なら私がやるしか!)

まどか「援護します! 早く逃げて!」

デシル「弓矢の攻撃? 鹿目まどかか!」

 ザシュウッ!!!

杏子「デシル! 行かないならガンダムはあたしがやるよ!」

フリット「しまった、腕が…!」

デシル「待て杏子! ガンダムは俺が」

彼方「どっちにもやらせない!」シュバッ!

杏子「彼方! どうしてそいつらの味方なんてするんだよ!」

凪沙「フリットさんは、わたしたちが守る!」

フリット「杏子の相手は任せたぞ! わたしはデシルを!」

デシル「一世代前の、しかも半壊した機体なんかで!」

フリット「お前一人くらいは!」

凪沙「フリットさん! 無茶しないで!」

アセム「凪沙の言う通りだ。ガンダムAGE-1を回収する。皆も急げ! 体勢を立て直すぞ」

フリット「待てアセム! 我々はまだ負けていない!」

アセム「あのクロノスはさらに強化されているんだ。ヤツらのホームグラウンドに長居するのはまずい」

まどか「アセムさんの言う通りだよ! 魔女だってまだ温存してあるかもしれないんだから!」

彼方(まどかがあんなに怯えるなんて… それほど危ない相手なのか)

凪沙「智恵理! 何してるの、早く!」

智恵理「杏子だけでもここで仕留める! 先に行ってて!」

杏子「こりゃ面白い。来なよ、アニマスピリチアの出来損ないめ!」

アセム「そこまでだ!」ガシッ

智恵理「キャッ! ……アセムさん!?」

アセム「二人乗りには狭いだろうが、我慢してもらうぜ」

彼方「今のうちに、私たちも行くよ!」

凪沙「はい!」

——ダークハウンド コクピット内——

智恵理「降ろして! あの黒いモビルスーツだって、EXA-DBのおかげで強化されてるんでしょう?」

アセム「佐倉杏子を倒して、その力を奪う。君が考えているのは大方そんなところだろう」

智恵理「どうして……」

アセム「君には悩みがあるね? それが何かは知らないが、EXA-DBが役に立つとでも思ったのかい?」

智恵理「杏子はあれに、魔女を倒す切り札があると知っているはずです」

智恵理「もしアニマスピリチアのことなら、EXA-DBを手に入れれば私だってそこに近づけるかもしれないのに……」

アセム「闇雲に力を求める人間ってのはわかりやすいもんだ」

アセム「何しろ俺も経験者だからな。Xラウンダーの力が欲しくて、危ない物に手を出した事もある」

智恵理「闇雲ではないつもりです。危ない物… 魔法少女の契約はしませんから」

智恵理「でも、実力で成り上がるために使える技術があるなら、それを知りたくもなります」

アセム「だったら尚更、EXA-DBなんて見ないで練習に励んだらいい。俺だってXラウンダーなんてとっくに諦めがついた」

智恵理「どうして諦められたんですか? 失礼ですけど、モビルスーツで戦うなら、Xラウンダーの方が有利なんでしょう」

アセム「便利だろうとは思うよ。だけどな、生まれ持った才能だって、どうにもならないことはある」

智恵理「才能……」

アセム「覚えとくんだな。最後に勝つのは、ココが強いヤツなんだよ」トンッ

フラム「黒いモビルスーツの正体はクロノス…… まさかデシル・ガレットが生きていたなんて」

アセム「アイツはノートラムで死んだはずだ。ゼハートから聞いた事なかったのかい?」

フラム「ヴェイガンの公式記録でも戦場で行方不明扱い。他に深い話を聞かせてもらった事はないわ」

アセム「相変わらず鈍感なヤツだな。君のゼハート様は」

フラム「やめてください、変な言い方」

まどか「ねぇゼハート様って誰?」ヒソヒソ

ほむら「知らないよ… でも、たぶん」

凪沙「やっぱりそういう人、いたんだ……」ヒソヒソ

フラム「こうなるだろうから今まで黙ってたのに…」

フリット「ふざけている場合ではないぞ。ヤツが何の目的もなしにこの時代へ来たとは思えん」

マミ「佐倉さんと協力してるということは、ワルプルギスの夜を倒してくれるのかしら」

アセム「仮にそうだとしても危険すぎる」

まどか「あの… アセムさん、EXA-DBを破壊するの、待っててもらえないかな」

ほむら「うん。あれでワルプルギスの夜を倒せるなら……」

アセム「君たちだって、ちょっと気分が落ち込んだ時に、景気付けと言って麻薬を打ったりはしないだろう」

アセム「作った本人たちでさえ、危険だからと封印したものだ。この時代で使うってのはそういうことなんだよ」

マミ「元はといえば、私たち魔法少女が倒すべき敵なんだもの。実力で頑張りましょう」

凪沙「マミさんの言う通りだよ。私たちだって戦うんだから」

フラム「デシル・ガレットと戦うことになるなんて、妙な気分だけどね」

彼方「平気なの? 同じヴェイガンなのに」

フラム「とっくに死んだはずの人だもの。それにEXA-DBを無闇に使うというのなら…」

アセム「元の時代へ戻ったら、次はゼハート様に復讐しかねないもんな」

フラム「やめてくださいって言ってるでしょ!」

まどか「ねぇゼハート様って誰なの? ほむらちゃん聞いた事ない? 一緒に住んでるんだから」

ほむら「し、知らないよぉ…」

凪沙「じゃあ今度アセムさんにこっそり聞いちゃおうか」

マミ「いいわね。ぜひお願いしたいわ」

アセム「ハハッ アイツの話ならいくらでもできるぞ」

智恵理「アセムさん!」キリッ

アセム「は、はい」

智恵理「あまり調子に乗らないでくさだい」

彼方「そうだよ。これからの方針を話し合わないと」

彼方(智恵理どうしたんだろ)

マミ(キツい子だとは思ってたけど、こんなに怒ったのは初めて見たわ……)

フリット「ともかくだ。佐倉杏子が我々と戦ってでもEXA-DBを守ろうとしたほど固執しているのはわかっている」

フリット「しかし我々としても、この時代の魔法少女に犠牲を出したくはない」

アセム「EXA-DBは隙を見て破壊するつもりだったんだがな」

フリット「相手があのデシル・ガレットとなると、厄介だぞ」

凪沙「大体、その人どうやって来たんですか? フリットさんたちもですけど」

フリット「すまないな、詳しい話はまだ機密情報なのだ」

アセム「君たちの世界にデュアリウムがあるように、我々にも便利な物があったのさ」

フリット「アセム、インティパのことは」

アセム「わかってるよ」

ほむら「でも、魔法以外に方法があったなら、気になります」

フラム「ヴェイガンの私と行動を共にする以上、話しづらいことなんでしょう。あまり困らせないであげて」

ほむら「そう言われたら仕方ないかなぁ」

フリット(インティパの解析はAGEシステムを使ってもまだ未知の領域が多い)

アセム(いわば無限の可能性を秘めているもの。あのデシル・ガレットがそれを利用するとしたら……)

まどか「フリットさんたち、元の時代に戻る事はできるの?」

マミ「そうね。破損したガンダムを修理しないと」

フリット「AGEビルダーで補修パーツを作らなくてはな。一旦ディーヴァへ戻るぞ」

凪沙「ガンダムが直ったら、また戻って来てくれるんですよね?」

フリット「もちろんだとも。この時代にデシルがいるのだからな。ヴェイガンは…」チラッ

フラム(……?)

フリット「敵は残さず殲滅する」

フラム(フリット・アスノと共同戦線か… 連邦軍の情報を聞き出せそうだけど)

フラム(この時代では私と戦わないっていうマミたちとの約束を反古にする人ではなさそう)

フラム(おとなしくしてる以上、私の方から欲張るわけにもいかないわね)

——翌日——

マミ「これがフリットさんのガンダム……」

フラム「この傷、普通のビーム兵器でやられた痕じゃないわね。クロノスにこんな武装があったなんて」

フリット「ビアル星人のテクノロジーを応用したと言っていた。心当たりはないか?」

フラム「聞いた事もない星です。黒歴史時代の人類は、本当の異星人と接触していたのでしょうか」

智恵理(異星文明体か…… するとますます、EXA-DBにプロトデビルンのことが)

アセム「智恵理、俺がいないからって、滅多なことは考えるんじゃないぞ」

智恵理「……いたとしても考えません」

凪沙(また怖い顔して)

ほむら「ガンダム、直るんですか?」

フリット「心配いらんよ。自分で作った機体だからな」

ほむら「フリットさんって若い頃はそういう仕事もしてたんですね」

フリット「若いどころか、完成させたのは今の君たちと同じくらいの頃だよ。長い付き合いになるな」

凪沙「そんな昔から!?」

フリット「始まりは7才の頃だった。それ以来ずっと戦い続けて来た……」

凪沙「どうしてですか?」

フリット「知りたいかね」

凪沙「フリットさん、戦いとなると殲滅だとか、恐ろしい事を言うでしょう」

凪沙「さっきだって、ガンダムを壊されてもまだ戦う気でいた…… しかも小さい頃から、ずっと」

フリット「長かったな…」

凪沙「一体どんな事が起こったら、7才のフリットさんがそれほど強い意志を持てるんですか」

フリット「知らない方がいい。この世界には関係ないことだ」

フリット「だがな、フラム・ナラよ」

フラム「はい!」

フリット「君にはすまないが、EXA-DBを破壊して元の時代に戻ったら、わたしはまたヴェイガンと戦う。彼らを全て滅ぼすためにな」

フラム「いえ、お気になさらずに… その時は我々も全力でお相手します」

フリット「だがこの世界での我々は志を同じくする仲間だ」

フリット「虫のいい話と受け取ってくれても構わない。君のモビルスーツとXラウンダー能力、あてにさせてもらうぞ」

フラム「このエデンはヴェイガンにとっても憧れの地。ご期待には応えてみせましょう」




フラム「はぁ~…… 緊張したわ……」

ほむら「大丈夫? よろけてるよ」

フラム「あの人、地球連邦の元総司令よ。それが普通に話しかけてくるもんだから」

凪沙「わたしたちより、もっとずっと小さい頃から戦ってたなんて… なんだかかわいそうだよ」

彼方「どうして戦い始めたのか、教えてくれなかったね」

フラム「教えたくなかったんでしょう。でも私は聞いた事ある」

フラム「あの人はヴェイガンの空襲で両親を亡くしたって聞いたから、おそらくは」

彼方「また仇討ちか……」

マミ(一人だけ生き残って、私は事故だったからまだ良かったけど、なまじ相手がいることだとね……)

智恵理「アセムさんも言ってた。子供の頃から、普段はいいお父さんだったのに、戦争となると人が変わるって」

マミ(……智恵理さん、アセムさんと仲いいような、悪いような)

ほむら(その辺もうちょっと聞いてみたいけど)

彼方(余計な話する雰囲気じゃないなこりゃ……)

フラム「智恵理の聞いた話もわかるよ。さっきだって私に少し遠慮してた」

フラム「どうしてあの人が黙っててくれたか、わかる?」

凪沙「わけがあるの?」

ほむら「なんだろう…?」

フラム「私がいる前で、みんなにヴェイガンの被害に遭った話をしたくなかったのよ」

彼方「フラムが悪い訳じゃないんだ。誰も気にしないってのに」

フラム「意外なところで繊細な人なのよ、きっとね」

凪沙「優しいところのある人なのに、戦うことばっかり考えてきたんだ」

凪沙「わたしね… この四年間ずっと、00に入ってアイドルになるのを夢見てきたの」

凪沙「夢を叶えて、その先にもまだ目標があって…… そういうのをいいことだなって思ってた」

凪沙「でも、フリットさんみたいな人が、今でも子供の頃と同じ気持ちで、ヴェイガンを殲滅するってさ」

凪沙「悲しい夢もあるんだね……」

彼方「どうにかして思い留まってくれたらいいのに」

フラム「それは無理だと思うなあ」

凪沙「7歳の頃から追いかけてきた夢……」

智恵理「あの人の生き甲斐だったのかもしれないね」

ほむら「私たち、魔法少女の三人はもう願いを叶えてもらったけど…… あれ?」

マミ「…三人いる?」

智恵理「まどかどこ行ったの? まさかついて行っちゃった?」

——ディーヴァ——

キオ「じいちゃん! あれ、その子は?」

フリット「魔法少女だ」

キオ「え… ああ、うん……」

まどか「わたし、鹿目まどか! よろしくね!」

キオ「キオ・アスノです… どうも……」

——ブリッジ——

キオ「か、艦長! 大変です! じいちゃんがとうとう……」

フリット「とうとうとは何だ!」

ナトーラ「総司令、その子は?」

フリット「魔法少女だ」

まどか「鹿目まどかっていいます。よろしくお願いします!」

ナトーラ(総司令、とうとう……)

アセム「待ってくれ。父さんの言っていることは本当なんだ。俺たちはこの二週間ほど地球に行っていたんだよ」

ナトーラ「二週間前、二人とも私たちといましたよね?」

フリット「確かにその通りだが……」

アセム「しかしさっきまで、まどかたち魔法少女やAKB0048というアイドルの子たちと一緒に戦っていたんだ!」

ナトーラ(この人たち何と戦ってるんだろう)

キオ(アカン)

——格納庫——

ロディ「一体何なんだ、総司令が連れて来たあの子は」

ウッドピット「でもかわいい子だったなぁ。ビシディアンなんですかね」

オブライト「魔法少女というらしいぞ」

セリック「あの爺さん、またワケのわからないことを…」

ロディ「魔法なんて本当にあるんスかね。だったら見せてほしいもんだよ」

まどか「いいですよ~」

ウッドピット「うわぁ! 聞いてたの?」

まどか「その代わり、AGEビルダーを見学させてください。あなたたち、あれを使ってるんでしょ?」

ロディ「まぁ、司令の許可があるならいいか…」

まどか「じゃ変身するよ~」

 パアァッ……

まどか「これでいいかな」

ウッドピット「なんだぁ!? この衣装、どうなってるの?」

まどか「魔法の弓矢もあるよ。射ってみていい?」

ロディ「目の前で見てたのに変わる瞬間がわからなかったぞ。これは興味深いな……」ヒラヒラ

まどか「や、やめてくださいよぉ」

ロディ「すまん! そういうつもりじゃなかったんだ」

まどか「これでAGEビルダーを見せてくれますよね?」

ウッドピット「ガンダムを修理するんだね。これからやるところさ」

ロディ「君の装備品と、AGE-1の損傷具合…… こりゃあいよいよもって総司令の話もホンモノだな」


まどか「これがAGEビルダー?」

ウッドピット「そうだよ。この中でパーツの加工から組み立てまで、なんでもできるんだ」

まどか「なんだぁ…… 中は見られないの?」

フリット「見学者が来るなどということは想定していなかったからな」

ウッドピット「AGEビルダーを見てみたいの? 女の子なのに、珍しいね」

まどか「わたし、魔法少女になる前は何もできなくって… そんな自分がイヤだったんだ」

まどか「その頃フリットさんはガンダムを作って、もう戦うつもりでいた」

まどか「すごいなぁって感心してたら、ついね、どんなものか見てみたくなっちゃって」

アセム「それでディーヴァまでついてくるんだものな。俺にはおとなしかった頃のまどかが想像つかないよ」

まどか「智恵理ちゃんも連れて来てあげればよかったかな?」

アセム「……これ以上面倒なことを増やさないでくれ」

キオ「その子も父さんと一緒に戦ってるの?」

まどか(父さん…? あ、そういえばキオくんもアスノって)

アセム「ああ。さっきもちょっと話した、AKB0048の子でな。歌で戦うんだ」

キオ「そんなことができるの!? ぼくにもできるの?」

まどか「よくわかんないけど、Xラウンダーともまた違う、特殊な人じゃないとダメみたい」

まどか「わたしと、もう一人の魔法少女が歌った時は何も起こらなかったよ」

キオ「そうだったんだ……」

——マミ部屋——

凪沙「お風呂あがったよ~ 次、智恵理の番ね」

智恵理「じゃあ彼方さん、お先に」

彼方「気にしないでいいって。たまにはゆっくり洗ってきなよ」

智恵理「いつもちゃんと洗ってますよ」

 カラカラカラ

マミ「……さて、いない時にっていうのも気が引けるけど」

凪沙「気をつけて。智恵理いつもお風呂あがるの早いから」

フラム「あなたたち、本当にこういう話好きなのね……」

彼方「よりにもよって、相手がアレだしなぁ」

ほむら「ちょっと年離れてるよね…」

凪沙「しかも宇宙海賊ってさぁ」

マミ「真顔でスーパーパイロットはどうかと思ったわね」

ほむら(巴さんが引くってかなり……)

凪沙「智恵理、意外とそういうの気に入ってるのかな」

彼方「フラムたちの世界ってアレが普通なの?」

フラム「そんなワケないでしょ! それと、盛り上がってるとこ水をさすようで申し訳ないけど」

フラム「アセム・アスノは奥さんも子供もいるよ」

マミ「……それは」

凪沙「智恵理知ってるのかな」

ほむら「知らないんじゃないかなぁ」

彼方「それとなく教えといた方がいいよね、きっと」

凪沙「ちょっと、どうしてコッチみるんですか!?」

マミ「智恵理さんと一番仲良さそうじゃない」

凪沙「マミさんまで!」

彼方「で、そのアセムさんたちはいつ帰ってくるんだろ?」

ほむら「その二人より、鹿目さんが帰って来ないのはね」

マミ「お家の人も心配するでしょうし、私の部屋で遊んでるうちに、疲れて寝ちゃったことにしておきましょうか」

彼方「そういうウソも気が引けるけど、しかたないかね」

 トゥルルル トゥルルル……

まどか『はい、鹿目です』

マミ「夜分遅くにすみません、私、まどかさんと同じ学校の巴…」

まどか『なんだ、マミさん? 家の電話にかけてくるなんて珍しいね』

マミ「帰ってたの!?」

凪沙「どういうこと……?」

彼方「案外早かったんだね」

まどか『むこうも忙しい時期だから、あんまり長居できなかったんだよ』

まどか『AGEビルダーっていう工場みたいなの持って来たの。あとはこっちでやるってさ』

マミ「ならいいわ。でも急にいなくなって、あんまり心配させないでね」

彼方「ほむらが泣きそうだったとか言ってやろうよ」

ほむら「そのくらいで効けばいいんだけどね」

——学校——

さやか「いいじゃない。あたしも乗りたかったな~ フリットさんたちの宇宙船」

まどか「後でほむらちゃんに怒られるよ」

ほむら「せめて一言断ってから行ってくれたらよかったのに」

まどか「ごめんね。でも面白かったよ! フラムちゃんがこっち来た時に興奮気味だったのもわかるね」

さやか「あたしも呼んでくれればよかったのにな~」

まどか「ワルプルギスの夜に勝ったら秋葉星で祝勝会やろうよ」

さやか「ほむらが言ってたデカい魔女だよね。正直なところ、勝てそうなの?」

ほむら「今度のメンバーならきっと勝てるよ」

まどか「ダメっぽかったら早めに言うから、上条くんと仁美ちゃん連れてどっか逃げてね」

さやか「実際に戦ったっていうほむらの太鼓判付きなら大丈夫でしょ。それに逃げるったってねぇ」

さやか「恭介に『すごい嵐が来るから一緒に行こう!』とか言うわけ? なんか駆け落ちみたいな……」

まどか「それを普通にやっちゃいそうだからさやかちゃん大好き」

ほむら「美樹さんなら、ね」

さやか「あんたら本当にあたしの友達なのか」

——ショッピングモール CD売り場——

フラム「あそこにいるの、フリット・アスノ?」

凪沙「ホントだ。CD買いに来たのかな」

フラム「あの人、この時代のお金持ってたんだ」

凪沙「当面の分はマミさんが貸してたみたいよ。換金できるもので返すって」

フラム「私たちと一緒ね。それより、何のCD探してるんだろう」

凪沙「聞いてみよっか」

フラム「え、ちょっと!」

凪沙「こんにちは、フリットさん」

フリット「おお君か。一人で買い物かい」

フラム「私も…」

フリット「地球の暮らしにはもう慣れたかね」

フラム「ええ、ほむらや凪沙たちがいてくれますから」

フリット「火星へ帰る前に、もっと見物して行ったらいい。本物のエデンをな」

フラム「そのつもりです。総司令は…」

フリット「ここで役職はなしだ」

フラム「フリット… さんは…… どんな曲を探していたんですか?」

フラム(やりづらい……)

フリット「特に目当てはなかった。だがこのところ、魔女と戦っている最中に0048の歌を聴くだろう」

フリット「するといろいろ聴いてみたくなってきてな。初めてだよ。歌に興味がわいてきたのは」

凪沙「ありがとうございます!」

フリット「たまにはゆっくり耳を傾けるのもいいものだな」

凪沙「わたしたちの歌でよければいつでも。そうだ、後でカラオケ行きませんか?」

フリット「なんだそれは」

凪沙「防音した部屋で歌うんです。マミさんたちも呼んだら、きっと楽しいですよ!」

フラム「えっと…… みんなで行くものなの?」

凪沙「人数多い方がいいでしょ。学校終わるまで待っててさ」

フラム「面白そうじゃない。行ってみようよ」

フリット「うむ。ではそれまで…」

   『タスケテ』

フリット「!? この声は…!」

凪沙「なにか聞こえたんですか?」

フラム「気配がする! この近くだよ」

凪沙「マミさんたちは学校だし、せめて智恵理や彼方さんに知らせないと。別の売り場にいるんです」

フリット「そんなことをしている時間はない。先に行くぞ!」

凪沙「フリットさん、待って!」

フラム「マイクは持ってる? ほむらたちはいないけど、あとの二人と合流して私たちだけで戦うよ」

——結界——

フラム「使い魔の気配がこんなに…」

フリット「四人とも追いついてきたか。では早速」

フリット「出ろっ! ガンダァァァム!!!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

凪沙「地面が!」

彼方(毎回毎回、モビルスーツってどっから出てくるんだ…?)

フリット「フォーンファルシアもスタンバイしてある。さぁ乗るんだ!」

フラム「はい!」

彼方「私たちも行くよ!」

智恵理「今日はずいぶんギャラリーが多いのね」

フリット「我々は最深部へ先行する。使い魔たちを任せたぞ!」

フラム「フリットさん。あの子たちは気付かなかったけど、この奥にいる敵はおそらくXラウンダーですね」

フリット「その通りだ。君は面識ないだろうが」

フラム「デシル以外にもう一人のXラウンダーがこの時代に来ている。でもそれだけですか?」

フラム「それにしては、今回のあなたは妙に焦っているように見えます。相手をご存知なのですね」

フリット「……すまない。十中八九、罠だとは思う。しかしな」

 『フリット!』

フリット「この声に呼ばれて行かずにはいられなかったのだ」

 ギイィィ……

デシル「よく来てくれたな。嬉しいよ、フリット!」

フリット「お前の仕業か? あの声は」

デシル「ああそうだよ。ちょいと頼みがあったんで、来てもらったわけさ」

デシル「こいつを使ってな」

 『…また、会えたね……』

フリット「わたしを呼び出すのにユリンを担ぎ出すか」

フラム「ユリン……? 軍の資料で見た事ある、地球種のXラウンダー、ユリン・ルシェル……」

フリット「そうだ。奴らの人体実験に使われ、最後は戦場にまでかり出されたユリン」

デシル「どうだい? 懐かしくなったろう」

フリット「とうの昔に死んだ人間のことよ。だがな、今なお彼女を利用するお前が許せんのだ!」

デシル「おいおい待てよフリット…… 誰が死んだって?」

フリット「どういうことだ?」

デシル「ユリン・ルシェルが死んだ、か。だったらよぉ」

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……

フラム「私のと同じ機体… いや、旧型?」

デシル「あのファルシアは誰が操縦してるんだろうな?」

フリット「まさか…! しかし、確かにこの気配をマシーンで再現できるとは思えない」

 『会いたかったよ…』

デシル「イエスだぜ、フリット! こいつは正真正銘、本物のユリン・ルシェルさ」

デシル「さぁハッチを開けて出て来い! 姿を見せてやるんだ!」

 フシュウウゥゥ…

フリット「信じられん……」

ユリン「私より先に、大人になっちゃったんだね」

フリット「一体どうやって? 脱出していたとも思えない…」

ユリン「それは…」

デシル「喜べ。小細工はしていないし、まがい物でもない。お前と会った本人さ」

デシル「さぁ、教えてやりな! あの時生き延びられた理由を!」

ユリン「また勝手に動く……!」スッ

フラム「あれはソウルジェム!」

フリット「まさか、あの時既に?」

デシル「ギーラ・ゾイと一緒にEXA-DBで見た時は何の冗談かと思ったよ」

デシル「だが素質のある人間ってのは、あの時代でも見つかるもんだ」

ユリン「ごめんね、フリット…… UEに殺されるくらいならって……」

フリット「…願いは… 叶ったのか……」

デシル「それはオマエもよく知ってるだろ! 確かに叶ったさ!」

デシル「フリットに会いたいってな!」

彼方「ここが最深部みたいだね。追いついたのかな」

智恵理「見て! あそこ、ガンダムとあの黒いヤツが!」

彼方「黒いヤツと一緒にいるのは、フラムのフォーンファルシア?」

凪沙「行ってみましょう!」

彼方「気をつけて、フリットさんの慌てぶりといい、何が起こってるかわからないから」

——宇宙要塞 アンバット——

ユリン「願いを叶えてくれる……?」

ギーラ・ゾイ「一つだけな。ただし、その後は魔法少女として我々に協力してもらうことになる」

デシル「契約しておきなよ。どの道君の運命は変わらないんだから」

ユリン「本当なんですか? この生き物は何なんですか?」

ギーラ「インキュベイター。情報によると、はるか宇宙の彼方からやってきた知的生命体らしい」

ギーラ「我々ヴェイガンが地球圏で影を潜めながら探し続け、ようやく発見した個体だ。大事に使うがいい」

ユリン「あなたに頼めば、本当にどんな願いでも叶えてくれるの?」

QB「勿論さ。でも一つだけだから、ちゃんと考えてね」

ユリン「……それなら、この人たちを」

 グシャァッ!!

ユリン「きゃあぁっ!!」

デシル「勝手なことをされちゃ困るなぁ。僕たちだって願いの力には逆らえないんだから」

デシル「さぁ、まだ声だけなら出せるはずだ。魔法少女になれば、治癒魔法でその顔も元に戻せるらしいよ」

ユリン「フリットに… 会わせて……」

QB「それが君の願いだね?」




フリット「うおおおおっ!!」

 ドシュウッ!!!

デシル「ファルシアを破壊して中身を助けるつもりか。だがそうは行かねぇ!」

ユリン「フリット、よけて!」

フリット「ちっ!」

デシル「コイツはXラウンダーでもある。魔法少女としての能力も含め、俺の思うがままなんだぜ!」

フリット「またか…!」

デシル「それにな、お前の相手はコイツだけじゃねぇ!」

フラム「フリットさん、気をつけて! そのクロノスは普通じゃない!」

デシル「なんだテメェ! フリットを助ける気か!?」

 ギシャアァン!!!

フリット「フラム!」

凪沙「フォーンファルシアがやられてるよ! 助けなきゃ!」

智恵理「でも、どうやって!?」

彼方「悔しいけど、私たちじゃモビルスーツの戦いには入り込めない…」

フラム「今のでハッキリわかった… あれはもうただのモビルスーツじゃない」

フラム「ヴェイガンの私から見ても完全に規格外のパワー……」

デシル「さすがだな。だがこの機体はお前にあてがうにはもったいないぜ」

デシル「ユリン! フォーンファルシアを始末しろ! 俺はフリットをやる!」

ユリン「やめて… もう……」

凪沙「うおおああああ!!!」ダダッ!

智恵理「凪沙、待って!」

デシル「まだいたのか! しかもこの反応は!?」

デシル(どうする… 相手は生身の人間。ファルシアなら楽勝だが)

デシル(この光でXラウンダー能力に干渉されたらやっかいだ。しかもやりかねん!)

彼方「無茶するヤツ!」

凪沙「アニマスピリチアの加護を!」キュミィィィィィ!!!

デシル「杏子! あの三人は任せた!」

杏子「ったく、結局こうなるのか…… 今回はこの子ら放っといてもいいんじゃない?」

デシル「きららエフェクトを使う人間は生かしておくな!」

杏子「三人しかいないんだよ。数が足りないってのに」

彼方「こっちは三対一で気が引けるね!」




彼方(これが魔法少女…)

凪沙(三人がかりなのに、ちょっと本気で来たら)

智恵理(手も足も出ないなんて……)

杏子「魔女に対抗しうる、魔法少女とも違うもう一つの『希望』のパワー、きららエフェクト」

杏子(成長すれば、いずれは魔法少女の食料を食らい尽くす存在)

杏子「とはいえ、ワルプルギスの夜を倒したら、あんたらも帰っちゃうんでしょ?」

彼方「……何が言いたいの」

杏子「EXA-DBに手出ししないんだったら、見逃してあげても良かったのに」

凪沙「ここではない、私たちの世界も、その昔戦争で滅亡寸前までいった……」

彼方「戦乱の中で歌い続けたオリジナルメンバーの魂を受け継いでいるからにはね」

智恵理「もう迷わない! 黒歴史の再来は私たちが食い止める!」

杏子「封印された力だろうが、使いこなしてみせるぞ!」

 ザシュウッ!
 キィン!!

凪沙(ぐっ…! もう防ぎきれない…!)

彼方(冷静にならないと… 杏子の『失われた力』への拘り、きっと何かあるはず……)

彼方(それさえわかれば…… わかってどうするんだ? 一緒に戦える? まさか……!)

フラム(どうすればいい? ファルシアのビットは所詮旧型、反応速度はこちらの方が上だ)

フラム(だけど魔法少女の攻撃が同時に来る!)

ユリン「ごめんなさい、よけて!」

 キュイィッ!

フラム(ソウルジェムは魔翌力の源と、マミも言っていた。隙をみて破壊できれば止まるはず!)

デシル「逃げ回って策を考えるつもりか。だったらどこまでだって逃がしてやろうじゃねぇか」

デシル「お前ら、結界の外でモビルスーツを使うのをためらっているな?」

フリット「よせ、デシル!」

デシル「なら俺をブッ倒してユリンを止めてみろってんだ!」

ユリン「また勝手に動く……!」

デシル「結界の外壁を破壊させる!」

フリット「そうはさせんぞ!」

デシル「何度かかってこようと!」

 ドゴォッ!!

フリット「グッ…! パワーもスピードも、ガンダムを超えている…!」

デシル「インティパの導きがあった」

フリット「お前たちにもか」

デシル「こいつのパワーを引き出すには魔女の能力も利用している… 黒歴史時代のヤツらもよく考えたもんだ」

デシル「EXA-DBに記されていた最重要機密、インスパイアー・エンジンのパワー!」

フリット「悪魔め!」

デシル「黒歴史の終焉をもたらした無限力を手に入れた! 試運転に付き合ってもらうぞ!」

——学校——

「おい見てみろよ、煙があがってるぞ」

「火事かな? にしてはけっこう出てるな」

マミ「どこの話してるの?」

「この方向だよ。ずっと向こうで燃えてるみたい」

「あの辺って何かあったっけ? 爆発事故とかしそうなの」

マミ「思い浮かばないわね……」

「また光ったぞ!」

マミ(あれは…!)ゾクッ

マミ(鹿目さん、暁美さん! 二人とも聞こえる?)

まどか(こっちの教室からでも見えたよ!)

ほむら(それにこの感覚)

マミ(魔女… いえ、Xラウンダーのようね。しかもこんなにハッキリと)

まどか(もしかして、結界の外に出てる?)

マミ(可能性はあるわ。急ぎましょう!)

デシル「この世界の地球種はモビルスーツを見たことないんだったな」

フラム「なんてことを!」

デシル「逃げ惑う地球種を見れば、お前もヴェイガンの使命を思い出すだろう?」

フラム「そんな使命があるものか!」

デシル「いい踏み込みだ。しかしな!」

ユリン「フラムさん、ごめんなさい!」

フラム「ちぃっ!」

フラム(どう戦えばいい? 迂闊によければ被害は広まる一方だ…)

杏子「あんたら、どうする気だい?」

智恵理「そんなこと… 決まってる!」

杏子「あたしを倒して、デシルとユリンを止める? そうすれば、EXA-DBを葬れるかもな」

彼方「わかってるじゃない…」

杏子「あんたらはわかってないみたいだね。もうどれも叶わないんだよ」

凪沙「だとしても…」ヨロッ

杏子「ホントに根性だけならすごいよな。契約して魔法少女になったら?」

杏子「そうすりゃソウルジェムが濁らな……   !!」

彼方「よそ見をしたな!」

杏子「バカ、動くな!」ドンッ

 ガシガシガシ!!

凪沙「これ… 杏子の結界?」

杏子「動くなよ。三人ともここに隠れてれば安全だから…… たぶん」

彼方「あんた、急に何を言いだすの?」

まどか「あの黒いモビルスーツ!」

ほむら「逃げている人たちを狙うなんて……」

マミ「きっとフリットさんを挑発しているんだわ」

まどか「結界の中でならまだいいけど… この街に手を出すなら、そんなの私が許さない!」

マミ「鹿目さん!? ここで変身したって、まだ射程距離外だわ!」

まどか「悠長なこと言ってたら、みんな殺されるよ!」

まどか「人目につくけど、これだけの騒ぎなら今更どうってことないし、ここから狙い撃つ!」

ほむら(矢が… いつもと比べ物にならないくらい…)

 
 『マミ! 聞こえるか!』

マミ(佐倉さん!? どこにいるの?)

杏子『話は後だ。早くまどかを止めろ! その威力、ここからでも気配でわかる!』

マミ(でも、黒いモビルスーツがいるわ!)

杏子『クロノスは電磁装甲にも無限力を使ってるんだ。それじゃ下手すりゃ巻き添えで…』

まどか「周りに被害を出さなきゃいいんでしょ! 電磁装甲だって一撃で吹き飛ばす!」

マミ(怒りに我を忘れている……!)

まどか「必殺必中、ライジング・アロー!!!」

凪沙「! この爆風、杏子が言ってたヤツ!?」

彼方「あそこ見て! 火球がモビルスーツを呑み込んでいくよ」

智恵理「魔法で遠距離からの攻撃となると、まどかがやったのかしら」

彼方「だろうね。攻撃範囲が絞り込まれてる。こりゃあまどかだわ」

杏子(単なる力任せの攻撃じゃないぞ、これは!)

杏子(やっぱりまどかは、とんでもないやつだったな……)

デシル「ぐおおおッ!! 鹿目まどかめ…!」

デシル「だがこれしき、Iフィールドを最大出力にすれば!」ググッ

デシル「間に合わないか!? ユリン、助けに来るんだ!」

フラム「残念、ファルシアのスラスターは潰しておいたわ!」

フリット「おとなしくそこで罪を償え、デシル!」

デシル「バカな! 無限力が、黒歴史の叡智が!」

デシル「こんなところで、潰えるものかよ……! ぐわあああっ!!!」

 
アセム「……お前ら、こんな所で何してるんだ」

智恵理「今頃出てきて第一声がそれ?」

凪沙「杏子の結界に閉じ込められちゃったんです」

アセム「さがってな。ダークハウンドでこじ開ける」

彼方「アセムさんまで、ガンダムで外に出て来たんだ」

アセム「えらい大騒ぎだったからな。今更一機増えたところで大して変わらないだろ」

——今回の戦闘結果——
フリット・フラム:デシル&ユリンと交戦して、ファルシアを破壊
凪沙・智恵理・彼方:杏子と交戦するが手も足も出ない
まどか・ほむら・マミ:合流する途中でデシルを狙撃
アセム:今来たばっかりでよくわかってない

マミ「鹿目さん、立てる?」

まどか「ごめん、無理かも……」

ほむら「ソウルジェムに穢れが充満しそう。無理しすぎだよ」

まどか「うん……」

凪沙「いたいた! マミさ~ん!」

彼方「さっきの攻撃、すごかったじゃない! おかげで… あれ?」

まどか「あ…… 見てた…? 黒いやつは……?」

智恵理「たおせたみたい。フリットさんたちはガンダムで救助に行ってるよ」

マミ「モビルスーツは重機としても使えるのね」

マミ「私たちも行きましょう。暁美さん、鹿目さんを安全なところへ」

杏子「あんたらには手伝ってもらうことがあるんだよ」

彼方「杏子、まだいたの? でも今は戦ってる場合じゃないんだ!」

杏子「わかってる。これ使いなよ。さっきのでもうだいぶ消耗したはずだ」

まどか「グリーフシード?」

杏子「まどかのソウルジェムが限界を迎えたらこっちも困るからね」

マミ「珍しいこともあるものね。どうして?」

杏子「ん? もしかしてあんたら、放っとくとどうなるか知らないの?」

ほむら「魔法使えなくなるんでしょ?」

杏子「……まぁ、そういう話は後でいいや」

杏子「深刻な被害が出る前にデシルを倒したから、救助の人手もあの三人でどうにかなりそうだよ」

まどか「よかった……」

杏子「そこでだ、まどかが回復したら、この七人で魔女退治をするよ」

マミ「魔女が出たの?」

杏子「デシルが研究用に保管してたヤツが、さっきの騒ぎで逃げ出したんだ」

マミ「おまけにこの騒動じゃ、みんな動揺しているでしょうね」

杏子「あいつらが目覚めたら入れ食い状態になるよ。手分けしてもキツいかもしれない」

彼方「あんたらのツケを払わされるってのがね」

杏子「ハッキリ言うと、断れないのを見越して呼びに来たんだ」

智恵理「でも、私たち三人はどこまで戦えるか」

マミ「連戦はキツそうね」

智恵理「だからほむら、私たちをこの世界へ呼んだ時の魔法は使える?」

ほむら「できるけど…… いいの?」

彼方「なるべくなら、私たちだけで解決したかったね」

智恵理「そういうの、一緒にやめようって言ったじゃないですか」

彼方「……まぁ、言ったね… うん///」

凪沙(え、何の話!?)

杏子「グリーフシード使う? 貸しとくよ。他の00メンバーと協力して魔女倒したら返してもらうけど」

——秋葉星——

楚方「みもり~! おねぇ見なかった?」

美森「先に控え室へ戻ってますわ。今頃着替えてるでしょう」

友歌「凪沙と智恵理も一緒かな。さっきから見かけないけど」

 ガラッ

美森「ほら、控え室から出てきましたわ」

楚方「ほんとだ! おねぇ~!」タタッ

彼方「楚方がいる! 本当に秋葉星に戻って来たんだ!」

凪沙「みんな、久しぶり!」

楚方「?」

美森「あの、戻って来たって、どこから……?」

智恵理「美森さん、私たちを最後に見かけたのはいつですか?」

美森「いつというか、ついさっきまで一緒に公演をしていましたわ」

ほむら「彼方さんたちがこっちへ来てから、まだあんまり経ってない時間へ戻って来たみたい」

まどか「わたしがディーヴァに行った時と同じだね」

彼方「……ほむらは戻るのに必要だからともかく、まどかまたついて来たの?」

楚方「だれ? 78期生!? そなた先輩なの?」

凪沙「違うの。この子たちは魔法少女で……」

彼方「ここしばらくの間、一緒に戦ってたんだ」

まどか「この間、ディーヴァでもそれで混乱したんだよね。最初から話した方がいいかな」




鈴子「魔法少女が本当にいたなんて……」

友歌「そんな嬉しいことなの?」

仏像「芸能防衛権の女の子なら、小さい頃に一度は憧れるもんッスよ」

まどか「わたしもやってみたかったんだよ~」

ツバサ「『希望』の魔法少女と、『絶望』の魔女。あなたたちが戦う事情はわかりました」

ツバサ「00の歌に魔女たちを消し去る力があるなら、きっとその時代の人々に必要とされることでしょう」

彼方「それじゃあ協力できるんですね!」

ほむら「ありがとうございます!」

ツバサ「お礼には及びません。我々の活動理念に則ったまでです。それに主力の襲名メンバーは巡業中ですから」

美森「私たち研究生だけで戦うしかありませんわね」

ツバサ「あなたたちもこっちの世界へ戻って来たらすぐまた劇場公演よ。あまり無茶はしないでね」

彼方「でももうデシル・ガレットはいないんだから」

まどか「今いる魔女を片付けたら、後はワルプルギスの夜を倒すだけだね」

友歌「それもどうにかイケそうなんでしょ?」

ほむら「うん。これならきっと勝てるよ!」

牛山「むこうでは街中に魔女がいるんでしょう。セリーも貸してあげたら?」

まどか「セリーってこっちの世界のモビルスーツみたいなの?」

凪沙「もっと小さい、一人乗りの乗物だよ」

楚方「それで飛んで歌うんだよ!」

まどか(なにそれ面白そう…!)

楚方「乗り方教えてあげよっか?」

まどか「え… い、いいよ! 今は戦いに集中しないと!」

智恵理(乗ってみたいのね……)

彼方「まどかの言う通り。さっさと用意して行くよ!」

——見滝原——

杏子「魔法少女が4人に0048が9人。これだけいればすぐ片付くかな」

マミ「チームを分けましょう。魔女を探さないといけないから、魔法少女は1チームに1人でいいわね?」

彼方「私と智恵理に凪沙はわかれた方がいいね。魔女と戦った経験あるから」

まどか「楚方ちゃん、わたしと組もうよ!」

楚方「いいよ~! 仏像もおいでよ」

彼方「真琴、あんたいつも自信なさそうだから、この機会にまどかを見習ってきなよ」

真琴「そんな理由で!?」

鈴子「あの、私も……」

まどか「ありがとう。よろしくね!」

楚方(リンダ楽しそう)

美森(まどかさんが一番魔法少女らしいですものね)

まどか「じゃあまどかチームだけ四人で、あとは三人ずつにできるね」

マミ「今更遅いかもしれないけど、みんなあまり目立たないようにね」

彼方「気をつけて、モビルスーツが現れて騒ぎになってる」

彼方「セリーだってこの時代の人から見れば充分に異様なマシンだってことを忘れないようにしてよ」




—— まどかチーム ——

まどか「魔女の反応!」

鈴子「目覚めたんですね」

まどか「行こう、楚方ちゃん!」

楚方「お~し、しっかりつかまっててね!」

まどか(ついに!)

まどか「あったよ! これが結界の入り口」

真琴「魔女かぁ… 戦えるかな…」

まどか「緊張しないで。いつも通り歌ってくれればいいから」

楚方「仏像はいつもこんなだよ」

鈴子「魔女に効くのは希望の力。私たちがもっと元気に歌わないと、届かないかもしれませんよ」

まどか「普通の人たちはね、魔女に教われれば身を守る術もないの」

まどか「名もなき大勢の人たちが、あなたたちの歌を、より強い希望を求めているんだよ」

真琴「そうだったね… この歌で救われる人がいるんだ… おっしゃ、気合い入れていくぞ!」

—— マミチーム ——

美森「本当に歌うと消えていくのね。今のは使い魔っていうやつかしら」

凪沙「そうです。本体の魔女はこの奥にいるはずなんです」

マミ「使い魔も見た目は小さくたって、放っておくと、人を襲って魔女になるんですよ」

凪沙「それを止めるのに私たちの歌が役に立てるんですね」

美森「絶望と希望の力が打ち消し合うから、ね…… 絶望はどこから生まれてくるのかしら」

凪沙「そうですね。私たちは芸能解放を求めているけど」

凪沙「初めからそうなってるこの世界でも、絶望は生まれてくる」

マミ「どんな問題を解決しても、『その先』があるものなのね…… 残念ながら」


——最深部——

美森「……こんな所に魔女がいるの?」

マミ「そのはず… なんだけど」

凪沙「きれい…… 結界の中にこんなきれいな青空が広がってるなんて」

マミ「下は海になってるのね」

美森「なんだか故郷の舞網星を思い出しますわ」

凪沙「デシル・ガレットが研究用に保管していた魔女、って杏子は言ってましたよね?」

マミ「ええ。でも一体どんな研究のために、こんな魔女を使っていたのかしら……?」

——杏子チーム——

杏子「よりにもよってここか……」

彼方「杏子、この建物が何なのか知ってるの?」

杏子「見りゃわかるでしょ。教会だよ」

彼方「教会ってなに? この時代にはよくあるの?」

杏子「そんな珍しいものでもないかな。そっちの世界にはないの?」

織音「あるみたいだけど、彼方さんのいた星は芸能禁止が厳しかったから…」

彼方「ねぇ、教会って何なの? この建物、なんだか… プレッシャーっていうのかな」

織音「私もよく知らないのに、勝手に入っちゃいけない場所のような… 不思議ですね……」

杏子「いいんだよ。ここにいた神父さんは、誰だって歓迎する人だった」

彼方「その神父さんっていうのは何をする人なの?」

杏子「人に考え方を教えるのさ。辛い時もこう考えればラクになれますよ、とかね」

彼方「学校の先生とかお医者さんみたいな人なんだね」

杏子「そうなれたらよかったんだけどな… 来たぞ、続きはここの魔女を倒してからだ!」

——ほむチーム——

友歌「よし! 今ので最後かな」

ほむら「そうみたいだね。結界が消えていくから」

智恵理「帰りは森の中で迷わずに済むわね」

友歌「戦いに来たんでなければ、しばらく散歩して行きたかったのに。森林浴って感じでいいじゃない」

ほむら「本当にね。こんなきれいな結界は見たことないよ」

友歌「珍しいんだ」

智恵理「いつもはもこう …見てると何故か怖くなる絵ってあるじゃない? あんな感じね」

友歌「どんなのよ、それ……? ならどうして、今日のはいいとこだったんだろ?」

智恵理「研究用にとっておいて魔女って言ってたから、特別だったのかもしれないわね」

ほむら「魔女は人々に絶望をまく存在」

智恵理「もしかしたら、魔女にも人の気持ちがわかるのかしら。だから『絶望』を理解する……」

ほむら「『森』と『絶望』ってまさか」

友歌「ちょっと待った! 振っといて悪いけど、この話題やめよう!」

智恵理「でも魔女が」

友歌「最近気付いたんだけどさ、智恵理って変な所で弱気になったりするよね」

智恵理「なってるかな…?」

友歌「うん。変なこと深く考えすぎる。魔女に人の気持ちがわかるなら、それもそれでいいじゃない」

友歌「なおさら私たちの歌で元気にさせてあげられるってことなんだから!

智恵理「特別な魔女だろうと、そこは変わらないのね」

友歌「それがわかったら次の魔女のとこ行くよ! 探せる?」

ほむら「やってみるね!」





——再び杏子チーム——

彼方「マミが杏子のこと知ってそうなのはそういうことか」

杏子「彼方には前に聞かせてもらったよね。00に入ろうと思ったわけ」

彼方「うん… ごめん、あの時はモモちゃんのこと知らなかったから」

杏子「いいっていいって。そんなつもりで話したんじゃないんだ」

杏子「でも、マミがあたしのこと話してたなんてなぁ」

彼方「少しね。だけどあんまり詳しく聞いちゃいけないような気がして」

杏子「……そうかい、少しか……」

彼方「杏子について、知らないことが多すぎたんだ…… だからもう一つ教えて」

杏子「次の魔女の所へも行くんだ。手短にね」

彼方「EXA-DBを手に入れて、あれをどんなことに使うつもり?」

杏子「力が必要なんだ… 一人でどんな魔女でも倒せる、強い力……」

彼方「魔女と戦いたいって、それだけのために?」

杏子「黒歴史の力があれば、もっと多くの魔女を殲滅できる。そうしたらみんな救われるんだよ」

彼方「それで何人見殺しにしてきたわけ!?」

杏子「この世界の地球人はな、QBたちの力を借りなきゃ、ずっと原始人のままだったんだ」

杏子「誰かが罪にまみれなくてはまっとうに暮らしていけないなら、私がその罪を背負う」

彼方「…だからって… 今からでも遅くはないよ。協力しよう。マミだって話せばわかるよ」

杏子「だろうね。あたしがちゃんとEXA-DBの力を使いこなして、ワルプルギスの夜をたおせば……」

杏子「いつか約束したんだ。そうすればきっとマミ… わかってくれるから」

彼方「……杏子、あんた今」

杏子「なんだよ」

彼方「マミさんって呼ばなかった?」

杏子「……」

杏子「呼んでないよ。無駄話してる場合じゃない。次の魔女のとこ行くよ」




フリット「結界の中で美しい景色を見た、か」

まどか「こっちもそんな感じだったよ」

楚方「マヤン島みたいだった!」

鈴子「戦いが無ければ、また行ってみたいくらいでしたね」

フリット「関係あるのかもしれないな…」

アセム「ああ… しかし一体どうしたっていうんだ……?」

智恵理「アセムさんたちにも、気になることがあったんですか?」

アセム「俺と父さんにフラムは、デシルとの戦いの後、逃げ遅れた市民たちの救助に向かったんだ」

フリット「しかしおかしなことがあってな」

アセム「街中でモビルスーツ戦をやったにしては、人的被害がやけに少なかった」

まどか「いいことじゃない」

フラム「あのデシル・ガレットが何の狙いもなしにそうしたとは思えないのよ」

フリット「不可解な点が残り、EXA-DBとユリン… ファルシアに乗っていた魔法少女も発見できていない」

アセム「まだしばらくこの時代で厄介になるよ」

彼方「私たちもワルプルギスの夜と戦うまではいるつもりだけど」

彼方「さしあたって0048の皆が住むとこはどうしよう?」

マミ「確かに、9人で住むとなると私の部屋では狭いわね」

ほむら(そこまで考えてなかった……)

アセム「他の結界を探さないと、俺たちと一緒にキャンプすることになるぞ」

楚方「キャンプするの!?」

智恵理「それも…」

彼方「やめといた方がいいと思うな」

——病院——

上条「外はすごい騒ぎみたいだね。テレビもラジオも、臨時ニュースばっかりだ」

さやか「うん……」

さやか(あれ、まどかたちが言ってたモビルスーツってやつだよね……?)

仁美「ここも危ないかもしれませんわね」

さやか(戦いは収まったみたいだけど、油断できないかも…)

さやか「ゴメン、あたしちょっと外の様子見てくるよ」ガタッ

仁美「一人で大丈夫ですか?」

さやか「うん。でも仁美、何かあったら恭介が避難するの手伝ってあげてね」

上条「さやか…」

さやか「すぐ戻るよ。心配しないで」

上条(気休めだなこれは……)

さやか(まぁ何かあったらテレパシーで教えてくれるだろうけどね)

さやか(まどか、聞こえる?)

まどか「うん」

さやか「うおぅ!?」

まどか「さやかちゃん、もうちょっと可愛い声あげなよ」

さやか「いたの!? なんで病院に…… 誰かケガしたの?」

ほむら「魔女をもう一体探さないといけなくなっちゃって」

凪沙「さやかは上条くんのお見舞い?」

さやか「あ、凪沙たちも来てたんだ」

楚方「そなたもいるよ!」

彼方「病院で大声出さないの」

さやか「えと… もしかして0048の子?」

凪沙「魔女が一度にたくさん出ちゃって、応援に来てもらったの」

 ガラッ
仁美「さやかさん、誰かとお話して…… あら鹿目さん」

まどか「今日は仁美ちゃんも来てたんだね」

凪沙「ひとみちゃんって、まどかの友達の?」

仁美「ええ、あなたがたは」

凪沙「わたし、本宮凪沙っていうの。よろしくね」

楚方「そなたたちね、みんなでアイドルになるの」

仁美「まぁかわいいお友達ですわね」ニコニコ

アセム「まどか、父さんが新しい結界を見つけたぞ」

仁美「」

まどか「あ…」

仁美「ええと…… この方もお知り合いの…」

アセム「まどかの友達かい。俺は宇宙海…  まどか「やめて」

凪沙「ごめんね、わたしたちもう行かなくちゃ」

仁美「え、ええ……」

アセム「なんだよ、自己紹介くらい」

まどか「そういうのいいから! ほら、行くよアセムさん」グイグイ

アセム「お、おう」

仁美「……」

さやか「…入ろうか」

——三日後くらい——

まどか「マミさんごめん、わたしそろそろ帰らなきゃ」

マミ「いいわよ。今日はこの辺で解散しましょうか」

彼方「みんなまだ戦えそうだよ」

マミ「油断はよくないけれど、手分けして効率よく探せるようになったんですもの」

ほむら「今日の成果だって、いつもより多いくらいだよ」

フラム「それにあんまり遅くまで出歩かない方がいいわね」

凪沙「この間のモビルスーツ出現で大騒ぎになってから、みんなピリピリしてるみたい」

まどか「というわけで、晩ご飯までに帰らないと、パパも心配しちゃうんだよね」

アセム「そうだな。家にはちゃんと帰らないとな」

フリット「お前が人のこと言えるのか」

まどか「そうだよ! キオくんかわいそうじゃない」

智恵理「むこうで戦争終わったらちゃんと一緒にいなさいよ」

——マミ部屋——

楚方「マミのお部屋ひろいね~!」

彼方「ごめんね、楚方が急に泊まりに行きたいなんて言っちゃって…」

マミ「気にしないで。あなたたちがいなくなってから、一人で帰ってくるのが寂しく感じてたんだもの」

楚方「フッカフカだ! ベッドでねていい!?」

マミ「ええ後で一緒に寝ましょうね。その前にお夕飯の支度をするわ」

彼方「今日は何作るの?」

マミ「カニクリームコロッケよ」

楚方「そなたもお手伝いしたい!」

マミ「ありがとう。作り方教えてあげるわね」

楚方「うん!」ニコニコ

楚方「マミ、お姉ちゃんみたいだね」

マミ「……そうかしらね」

楚方「? ごめんね、マミ気にしてた?」

マミ「いいのよ。ちょっと思い出したことがあっただけ」

彼方「マミ、この間聞かせてもらった… マミと杏子のこと」

マミ「前はいい子だったの… もう昔の話よ……」

マミ「ワルプルギスの夜と戦うのに協力してもらおうと、こっちへ来てもらったこともあったのにね」

彼方「私たちが来る前だよね」

マミ「代わりにあなたたちが頑張ってくれるから大助かりだわ。これもアニマスピリチアのお導きかしら」

楚方「アニマスピリチア? マミ知ってるの?」

マミ「智恵理さんから少し聞いただけよ」

彼方「楚方こそどうして知ってるの?」

楚方「なんでかな……? そうだ! リンダが言ってた!」

——翌日——

まどか「アニマスピリチアの資料映像って」

ほむら「持ってちゃいけないものなんじゃないの?」

マミ「00の鈴子さんっていう子が持ってるみたい

まどか「あ~……」

ほむら「なにを納得したの」

まどか「あの子だったらおかしくないかなって」

マミ「今日持って来てもらうのよ」

まどか「わたしたちも見に行っていい?」

マミ「私の部屋だからちょっと狭くなるけど、よかったらどうぞ」

ほむら「あの子たちでもまだ研究生で、本物の00メンバーっていうのがいるんだよね」

ほむら「アニマスピリチアは00のみんなよりもっとすごかったんだよね」

まどか「どんな人だったんだろう……」

マミ「どこから手に入れたのかが気になるわね」

—— 一方 ——

フリット「……お前、一体どこからそんなものを手に入れたのだ」

アセム「怪しいものじゃあないよ。CDにブロマイドにうちわ。全部この世界で普通に売ってるものさ」

フラム「いきなりずいぶんハマったのね」

アセム「このところ、魔女と戦っている最中に0048の歌を聴くだろう」

アセム「するといろいろ聴いてみたくなってきてな」

フラム「……親子ですね」

フリット「ほっといてくれ」

アセム「さっき街でアイドルグッズの専門店というのを見つけたので、入ってみたんだ」

智恵理「そこまで気に入ってもらえると嬉しいですね」

アセム「いや、すまない。これは自分で買ったものじゃないんだ」

アセム「店にいた同好の客たちが、この間の戦闘を目撃してたらしくてな」

凪沙「研究用の変な魔女とみんなで戦った時のですね」

アセム「ああ、0048に興味を持っていたようなので、少し話したんだ。そしたら興奮していろいろくれたよ」

美森「この時代もオタの人たちは熱心ですのね」

フリット「突然モビルスーツが現れたのだ。当分騒ぎは収まらないだろうと思っていたが、気楽なものだな」

美森「あら、いいことではありませんか」

フリット「戦争の実感がわかないのだからな。みな平和な時代に生まれ育ったということだ」

凪沙(……)

凪沙「わたしたちやフリットさんたちの時代も、そうなったらいいのに」

フリット「ワルプルギスの夜との戦い以外にも、我々にはこの時代で学ぶべき事があるかもしれないな」

フラム「私も、こっちへ来たばかりの頃はまだマミたちを警戒していたわ」

アセム「……真面目な話をしてる所に申し訳ないが、一旦俺たちの住処へ戻っていいかい」

アセム「なにしろ魔女狩りにこの荷物は持って行けないからな」

フリット「その姿をロマリーが見たら泣くぞ」




——マミ部屋——

 ピンポーン

アセム「中が騒がしいな」

凪沙「鈴子がアニマスピリチアの記録映像を見せてるみたいですよ」

アセム「00の世界にいた英雄か。歌でプロトデビルンを追い払ったっていう」

智恵理「鈴子がそっちまでカバーしてたのは知らなかったわ」

 ガチャッ
マミ「お待たせしました。今いいとこだから、あがっていってください」

アセム「悪いね。ほら、今日稼いできたグリーフシードだ」

マミ「いつもありがとう。助かってますよ」

『戦争なんてくだらねぇ!』

アセム「なんだこれは…」

フリット「相手はプロトデビルンだけではないのか」

鈴子「彼の活動は、当初移民船団側からも理解されなかったようです」

マミ「それでも歌い続けるのがいいわね!」

フリット「この赤い機体は君たちの世界にあるモビルスーツのようなものか」

鈴子「統合軍の可変戦闘機です。VF-19のカスタム機ですね」

智恵理「VF-19? アニマスピリチアがいたのはもうだいぶ昔のことだと思ってたけど、意外と新しい機体なのね」

フリット「素晴らしい運動性能だな。いや、パイロットの腕か」

鈴子「アニマスピリチアは、操縦テクニックも人間離れしていたと言われています」

マミ「しかも歌いながら操縦していたんでしょう? 本物の神業だわ!」

アセム「ずいぶん気に入ったみたいだな」

マミ「歌でプロトデビルンとの戦いをやめさせたなんて、最高じゃない」

鈴子「夢と希望を叶える魔法少女と通じるものがあるかもしれませんね」

マミ「そうね… 私は特に目的があって契約したわけではないけど」

マミ「どのみちこれからも魔法少女でいつづけるんだもの、いつかはこんなふうになりたいものだわ」

フリット(いずれは終わる戦いならな……)

——ほむらたちも魔女狩りに行っていた——

ほむら「またきれいな景色…」

楚方「ゆきだ! おねぇ、ゆきふってる!」

彼方「そのわりに寒くないね」

ほむら「映画みたい…」

彼方「またデシルが遺していったタイプの魔女か」

楚方「ねぇ雪だるま作っていい?」

彼方「魔女がここまで成長してるんだから、早めにたおさないと」

楚方「そうだね… せっかく雪なのになぁ~」

彼方「私ももうちょっと見ていたいけど、急ごう」

ほむら「二人とも、そんなに雪が好きなの?」

彼方「私たちの故郷は砂漠ばっかりの星だったからね、見た事なかったんだ」

楚方「だからこんな雪の中で遊んでみたかっ…  ! あそこ! なにかいるよ!」

ほむら「使い魔!」

楚方「よっし、この結界にちょうどいいのを歌うよ!」

『♪真っ白い地平の むこうから』

彼方「なに? この歌…?」

『♪アイツの影が 俺を呼ぶんだ』

ほむら「彼方さんも知らないんですか?」

彼方「これじゃ一緒に歌えないな… 仕方ない、私は白兵戦で残ったヤツを仕留める!」

『凍てつく空気を 切り裂いて』

『ヤツに遅れず 飛んでみせたい』

ほむら「すごい効果……」

彼方「寒いとこの歌みたいだし、相性いいのかもね」

『明日という日 覗きたいから』

ほむら「ソウルジェムに反応! 本体の魔女がこっちに来ます!」

彼方「早かったね」

『抱かせてくれよ お前の心 命を!』

魔女「グゴオオォ…… ンン…」

彼方「おとなしい魔女だな」

ほむら「楚方ちゃんの歌を聞きに来たみたい…」

彼方「まさか? 魔女が歌に興味を持つの?」

楚方「メタル・フル・コート!!」

魔女「ウォォ…… チキュウ ニ……」

魔女「タマシイ……  カエレル……」

ほむら「魔女が喋った!?」

彼方「シッ! 聞いてみよう」

魔女「ヴェイガン……」

『愛と勇気は 口だけのことと』

魔女「キボウ」

『わかれば 求め合い』

彼方「魔女と一緒に、結界が消えていったか」

楚方「…なんだか、さみしいね……」

彼方「おいで、楚方」

楚方「おねぇ……」ぎゅっ

彼方「ほむらの言った通りだ。あの魔女、楚方の歌を聞きに来てたように見えた」

楚方「魔女が『希望』って言ったの、そなたも聞こえたよ……」

ほむら「きっと最後は満足して、浄化されていったんだね」

彼方「あの歌、よく知ってたじゃない。00の持ち歌じゃないよね?」

楚方「リンダに教わったの。アニマスピリチアが地球で作った歌なんだって」

彼方「アニマスピリチアも、地球であの景色を見たんだね。きっと」

ほむら「ヴェイガンとも言ってましたね」

彼方「うん。デシルが温存してた魔女みたいだから、むこうの事情も知ってたのかもね」

楚方「なにか落ちてないかな?」

ほむら「グリーフシードがあったよ」

楚方「ん~…… 魔女の日記とか、ないの?」

彼方「言葉がわかるなら、記録を残してた可能性はあるね。探してみよう」

——マミ部屋からの帰り道——

フリット「この時間、他に戦っている00メンバーはいるかい?」

凪沙「彼方さんと楚方が、ほむらと一緒にいるはずですよ」

フリット「ではわたしも合流しよう」

アセム「いい年して、あまり無茶はするなよ」

フリット「歌を聞きたくなったのだ……」

フリット「アニマスピリチアというのは、君たちくらいの子かと思っていたよ」

智恵理「私たちも、詳しいことは知りませんでした」

凪沙「情報通りなら、わたしたちの世界の英雄になってもいい人なのに」

智恵理「プロトデビルンが他の星へ進出してたらと考えると、救世主と言ってもいいわね」

フリット「救世主、か……」

凪沙「フリットさんたちのところにもいたんですか?」

フリット「君たちと同じくらいの頃、そうなりたいと思っていたよ……」

凪沙「なればいいのに… フリットさんは、なろうと思えばなれる人なんでしょう?」

フラム「よしなよ、凪沙」

凪沙「わたしには、フリットさんがずっと戦争ばかりしてる人なんて思えません」

フラム「…よしなったら…」

凪沙「あっ… すみません、つい」

フリット「そう思ってもらえるのはありがたいことだよ」

アセム「でも残念ながら、俺たちの世界が抱えている問題は地球とヴェイガンの戦争だけじゃない」

智恵理「EXA-DBに魔法少女の記述があったことですね」

フリット「魔法少女の軍事利用か…… あってはならんことだ」

凪沙「そういう人がどうしてキオくんをモビルスーツに乗せたのか、わたしにはわかりませんよ……」

フリット「わたしがキオに教えたのは戦い方だ」

フリット「敵が来れば払いのけ、いずれは平和に暮らして行くための方法なのだ」

フリット「だが魔法少女に平和は訪れないのだろう」

智恵理「……そういうものみたいですね。覚悟を決めて選んだ道…」

フリット「あの子たちを見ているとな、時々辛くなるのだよ」

フラム「終わりがないとわかりきった戦いですからね……」

フリット「できることなら、少しでも多くのグリーフシードをわけてやりたいものだ」

フリット「それにユリン・ルシェルも探さねばならない。デシルが遺して… ん?」

フラム「!!」

アセム「どうした、二人とも?」

智恵理「魔女の反応? どこから!?」

——ほむらたちと合流——

ほむら「魔女はもうたおしたのに、消えていかないんです」

フリット「我々が今いる施設は結界の一部ではない、ということだな。それにしては」

智恵理「この時代のものには見えないわね」

彼方「これもデシルが持ち込んで使っていた機材なのかな」

フラム「その可能性が高いわね。ヴェイガンのマシーンと同じインターフェースだもの」

楚方「むずかしそうだね……」

フリット「…結界の中で美しい景色を見た、か」

まどか「この間もそういうことあったよね」

鈴子「戦いがなければ、また行ってみたいくらいでした」

智恵理「きっとデシル・ガレットが研究用にとっておいた魔女の特徴なのね」

アセム「父さん、これはやはり…」

フリット「ここに残された資料を見ると、そう考える他ないようだな」

智恵理「原因がわかったんですか?」

アセム「俺と父さんにフラムは、この間のデシルとの戦いの後、逃げ遅れた市民たちの救助に向かったんだ」

フリット「しかし気になることがあってな。だがあのデシルが…」

フラム「結界の話を聞いた今なら納得いきます」

アセム「街中でモビルスーツ戦をやったにしては、人的被害がやけに少なかった」

アセム「おそらくデシルにとっても、生きた市民を失うのは避けたいことだったんだろう」

まどか「本当に普通の人を、そのうち魔女の餌にしようとしか思ってないんだ……」

フラム「そしてデシルが秘蔵していた魔女たちの材料となったのは、おそらくヴェイガンの一般市民」

アセム「材料として使いやすいとでも思ったのだろうな……」

ほむら「使いやすいとか使いにくいなんて、あるの?」

マミ「魔女は深い絶望へ陥った人間に好んで目をつける」

アセム「ヴェイガンは火星圏の過酷な環境に耐えなければなからなかった」

アセム「いつか地球を手に入れるという希望を糧に、200年近くも生きながらえてきたんだ」

フラム「希望と現実の落差から絶望が生まれ、デシルの食い物にされる……」

美森「すると私たちが見た光景は」

凪沙「火星人たちの希望… 地球への憧れが、魔女の力にされていたなんて……」

フラム「誰もがみんな、弱い生き物だったのよ」

フリット「ヴェイガンの民もまた、守られるべきただの人間だったということなのだな」

まどか「わかってくれたらフリットさん、元の時代に帰ってもヴェイガンと戦わなくて済む?」

フリット「そうもいかない。戦いはまだ続くのだ」

アセム「父さん、まだそんなことを」

フリット「『希望』の力とは素晴らしいものよ」

フリット「それを餌にヴェイガンを煽動し、地球を脅かす悪魔たちとは戦わねばならんのだ」

まどか(そういう言い方するから、キオくんとうまくいかないんだよね……)

凪沙「やりましょうよ、フリットさん!」

凪沙「前に言ってた、ヴェイガンを殲滅するとか… そういうのは間違ってると思う」

凪沙「でも本当は、皆で安心して暮らせるようにっていういのが、フリットさんの夢だったんでしょう?」

フリット「地球の誰もが見ていた夢だよ」

アセム「もうわかっているんだろう? 地球人だけじゃない」

フリット「彼らが救われれば… イゼルカントのまやかしに縋ることなく生きられたら……」

フリット「我々と同じ悲劇を繰り返させないためには、悪くない方法だな」

凪沙「それなら応援できますよ!」

フラム「……帰ったら忙しくなりそうね」

アセム「こいつは60年ぶりに歴史が動くかもな……」

——それから数日 病院——

 コン コン
まどか「上条くん、いる?」

上条「どうぞ。開いてるよ。鹿目さんが来てくれるなんて珍しいね」

まどか「おじゃましま~す。さやかちゃん来てない?」

上条「さやかなら、志築さんと話があるってどこか行っちゃったよ」

まどか(ワルプルギスの夜のこと、それとなく話しておくつもりなのかな)

上条「すぐ戻るって言ってたから、ここで待ってるといいよ」

まどか「ありがとう」

まどか「この間、ロボットが出たって大騒ぎになったでしょう。怖くなかった?」

上条「そりゃあ驚いたよ。学校でも大騒ぎだったんじゃない?」

まどか「うん。でもすぐに見つからなくなっちゃったから、調べてもわからないみたい」

上条「何だったんだろうな… どんなものか、見てみたいよ」

まどか「男の子ってそういうの好きだよね」

まどか「……あれはね、ガンダムっていうんだよ」

上条「鹿目さん、知ってるの?」

まどか「乗ってるのはフリット・アスノ。未来から来た、連邦軍の偉い人で……」

上条「ちょ、ちょっと待ってよ! どうして知ってるんだよ、そんなこと!?」

まどか「やっぱりそうなっちゃうよね…… でもこうしないと」

『見滝原市の皆様にお伝えいたします』

上条「あ、ちょっと待った。院内放送だ」

『こちらは陸上自衛隊東部方面隊です』

まどか「始まったよ……」

フラム「みんな信じてくれるんでしょうか……」

アセム「この時代の正規軍は話が早くて助かったよ」

ほむら「よかったね」

マミ「私たちが生まれる前に、新宿でも突然ロボットらしいものが現れた事があったんですって」

マミ「だからこういう時のマニュアルは一応あったみたいね」

フリット「おかげでガンダムがオーラバトラーというやつかどうか、しつこく聞かれたよ」

マミ「避難誘導はプロに任せて、私たちは戦いの用意を進めておきましょう」

フリット「彼らを戦力としてアテにするわけにはいかないからな」

マミ「デシル・ガレットが生きているとなるとね……」

ほむら「本当なんですか?」

フリット「インティパといってな、やつの機体のエンジンが利用している粒子を検出した」

マミ「インスパイアー・エンジン… 未来の世界にはとんでもないものがあるのね」

——中庭——

『次の襲来までは四日間の猶予があります』

仁美「さやかさん…」

さやか「だからさ、恭介を連れて逃げなって言ってたんだけど…」

『期限まではまだ時間があります。市民の皆様は、どうか冷静に避難されるようお願いします』

さやか「全員避難するの? そんな大事になってるなんて、あたしも知らなかったよ……」

仁美「! あそこを飛んでいるの、もしかして放送で言ってたガンダムというの?」

さやか「ガンダムは飛べないはず… あれは映像で見せてもらったことが」

 ゴオォォ……

仁美「こっちへ来ます!」

さやか「大丈夫。0048のロボットだよ」

 フシュゥ……

楚方「さやか~!」

さやか「楚方ちゃんが乗ってたんだね」

仁美「あの子は、この間の… アイドルになるって……」

楚方「なるよ~! 応援してね!」

仁美「え、ええ…… ??」

さやか「楚方ちゃん、これから戦いに行くの?」

楚方「ちがうよ。そなたたちはね、飛んでLASをみんなに見せてるんだよ」

さやか「余計に混乱するんじゃないの……?」

ホストA「今の放送…」

ホストB「ああ、AKB0048って本当にいたんだな…」

ホストA「この間の金髪、面白いオッサンだと思ってたら、マジだったんすね……」

ホストB「ありゃ一体何者だったんだ? ガンダムってやつに乗ってるのかな」

ホストA「俺らも乗ってみたいっすね、ガンダム」

ホストB「ああ~… あいつら宇宙人なんだっけ? 俺らもむこうに生まれてりゃなぁ」

ホストA「昔、新宿に来たっていうオーラバトラーなんて狙い撃ちッスよ」

ホストB「白兵戦の方がカッコよくないか? 変形して突撃~!とかさぁ」

まどか「…いつかバレるかなぁとは思ってたよ」

ほむら「家族の中で鹿目さんだけ避難所にいないと大騒ぎになるし」

鈴子「かといって、魔法少女の正体はバラしてはいけない決まりなのに」

凪沙「そういうもんなの?」

フリット「仕方ないだろう。きちんと話しておいた方がいい。これでも遅いくらいだ」

フリット「行方をくらませたあげく、魔法少女になったと知ったら、ご両親も気が気で無いだろうからな」

まどか「だろうね…」

アセム「俺なんて久々に顔出したら、カミさんと息子にまでだいぶ絞られたぞ」

まどか「……だろうね」

まどか「さっき試しに上条くんと仁美ちゃんにそれとなく話してみたんだけど、けっこう慌ててたし」

まどか「あんなもんじゃ済まないと思うと、気が重いよ……」

——ついに前日——

マミ「ついに来たわね……」

凪沙「天気予報で言ってるコレがワルプルギスの夜なんだね」

ほむら「そうだと思う… 前に来た日と一緒だから」

智恵理「この時代の軍隊はどうしてるの?」

アセム「避難誘導に専念してもらってるよ。ガンダムを調べたいと散々言われたけどな」

楚方「ロボット見たいの? 終わったらLAS見せてあげようよ!」

鈴子「ではちゃんと無事に帰って来ましょうね。ボロボロのまま見られたら恥ずかしいですから」

彼方「そうならないように、最後の練習いくよ!」

まどか「まだやるの?」

彼方「今日はちょっと控えめにね。明日に備えてゆっくり休もう」

マミ「差し入れにっていろいろ頂いたから、晩ご飯は楽しみにしてていいわよ!」

楚方「マミ太っ腹~!」

まどか「そういうこと言っちゃいけません」

マミ「いいんだけど…」

フリット「我々も機体のチェックをしておこう」

アセム「フラム、ヴェイガンの機密なのはわかるが、できる範囲で手伝わせてもらうよ」

フリット「AGEビルダーもある。必要なパーツもある程度なら作れるぞ」

フラム「ありがとうございます。できることなら、決戦までにデシル・ガレットを探し出しておきたかったけど……」

彼方(きっと杏子も一緒にいるんだろうな)

——翌日——

まどか「ひどい天気だね」

ほむら「前と一緒だよ……」

まどか「ほむらちゃん、怖い?」

ほむら「だって、前に戦った時はみんなやられちゃったんだから…… 鹿目さんだって」

フラム「今度は大丈夫よ。私たちがついてるんだもの」

マミ「モビルスーツが三機に0048のみんなもいるのよ。負けはしないわ!」

—— 5 ——

彼方「始まった!」

アセム「便利だなコレ」

—— 4 ——

まどか「デシル・ガレット… 今度は好き勝手させない……!」

フリット「ヤツの相手は我々がする。君たちは」

まどか「わかってる。ワルプルギスの夜だね」

ほむら「大丈夫、今なら勝てる… 今なら勝てる……」ブツブツ

真琴「ワルプルギスの夜って、魔女の中でも一番強いヤツなんですよね…」

楚方「ま~た始まった!」

アセム「これはこれでいいコンビになれそうだな」

まどか「二人とも、この戦いが終わったらイメチェンしてみたら? 明るくなっちゃいなよ!」

マミ「無駄話してる場合じゃ……  あれ?」

智恵理「カウント止まってる?」

友歌「このメンバーにひるんで逃げてったんじゃない……?」

フリット「いや、デシルは来るぞ! インティパの反応だ!」

『つまり無限力は生きていた、と、君は!』

まどか「テレパシーにまで割り込んでくる…」

アセム「俺にも聞こえたぞ! なんだってんだ!」

智恵理「これが、インティパの効果……?」

ほむら「あ、あれ… むこうにいるのは…」

フリット「新型機か。インティパはあの機体から検出されている」

ほむら「違います… 逆さまになって… ええと、元通りだけど… あれが……」

ほむら「あそこにいるのが、ワルプルギスの夜です!」

『今喋ったのは誰だ? なぜコイツのことを知っているんだ?』

『まぁいい。見かけないモビルスーツもいるが、聞こえているだろう、フリット!』

フリット「デシルは魔女を引き連れているはずだ。LASは対処を。モビルスーツは白兵戦だ」

アセム「父さん、フラム、掴まれ! 一気に間合いを詰める」

まどか「わたしたちも後で合流するからね!」

彼方「マミ、あんたは私と一緒に来てもらうよ! たぶんデシルの所に杏子もいる」

マミ「説得できるとは思ってないわよ」

彼方「だとしてもだよ」

 
 ゴォウッ!!
アセム「二人とも、変形を解くぞ!」

デシル「来たか…」

アセム「EXA-DBを起こすんじゃない!」シュバッ!

デシル「無駄なあがきを!」

アセム「サーベルが効かない?」

デシル「ワルプルギスのボディを構成するナノマシンは全ていただいている」

フリット「うおおおお!!」バチィッ!!

デシル「ユリン・ルシェルを奪ったようにな! わかっているのか、フリット!!」

フリット(あの中にユリンもいるのか…? 魔女をコントロールする生体ユニットに?)

凪沙「フリットさんたち、押されてるよ!」

まどか「わかってる。みんなを魔女の所に誘導したら、わたしとほむらちゃんも加勢してくるよ!」

楚方「おねぇとマミも、大丈夫かな…」

美森「きっとどうにかしてくれますわ。彼方ならね」

鈴子「私たちはできることに集中しましょう。普通の魔女たちだって、逃がしたら大変ですもの」

まどか(できること、ね… どうしよう? あのワルプルギスの夜に勝つ方法……)

まどか(今までの魔女よりずっと強そうだし、どうにか考えないと…)

——一方 マミと彼方は——

彼方「こんな所にいた!」

マミ「フリットさんたちが戦っているわ。正直、けっこうキツそうなの」

杏子「知ってるよ」

彼方「ワルプルギスの夜を倒すっていう目的は一緒だったんじゃないの?」

杏子「……あれをコントロールできるようになったんだ。もう戦わなくていいんだよ!」

彼方「そりゃあ、そうだけど……」

杏子「デシルがワルプルギスを捕まえるつもりだったのは薄々気付いてた」

杏子「いざとなったら、不意打ちでたおせると思ったんだ。でも本当にコントロールできたんだから…」

マミ「ダメよ。あれは破壊しないと」

杏子「マミ! どうしてわかってくれないんだよ!? いつもそうだ!」

マミ「だって、あの力は… 無限力なんて……」




佐倉父「またか……」

母「嫌なニュースばかりね」

杏子「ああいう人たちもさ、父さんの話聞きに来たら、助かってたのかな」

父「それほど都合よくはいかないと思うな。どんな教えだって、魔法じゃないんだから」

杏子「……もし、魔法が使えて、なんでも願いが叶っちゃうなら? 父さんだったらなんてお願いする?」

父「魔法をなくしてください、かな」

杏子「もったいないなぁ…」

父「何でも願いが叶うなんて、人の手に負えない力だからね」




杏子「今度は違う!」

マミ「分からず屋は相変わらずね!」サッ

彼方「やめなよ! 今日は戦いに来たんじゃないんだから」

マミ「それは裏切られても耐えられる人の考えだわ……」

杏子「来い! わかってくれないなら、やっぱコレしかないよねぇ!」

彼方(これしかない、か…… LASでやるのは初めてだけどね)

彼方「二人とも、聞いて!」

——まどか&ほむチーム——

まどか「彼方さんの歌が聞こえる!」

ほむら「どこかで魔女に遭ったのかな」

智恵理「あの二人は佐倉杏子を探しに行ったんじゃなかったの?」

友歌「もし彼方さんたちが、その魔法少女を見つけられなかったとしたら」

ほむら「ワルプルギスの夜と一緒に、フラムさんたちと戦うつもりなのかも……」

まどか「ほむらちゃん、ゴメン! わたし先に行ってフリットさんと合流してくる!」

ほむら「うん。0048のあと三人を送ったら、私も行くね!」

楚方「まどか、気をつけてね!」

まどか「ありがとう、じゃあ行ってくるね!」


・ 過去

『いつかの願いは 土の中で眠って』

マミ「あなたはお父様のために…?」

杏子「みんなの幸せの為に頑張ってる父さんに、幸せになってほしかった」

杏子「そうしてみんなの幸せを守るのが、あたしの願いだったんだ」

『約束の時刻に 希望の芽が出るんだ』

『二人が出会った頃 夢などまだ種だった』

杏子「今のあたし達ならさ、ワルプルギスの夜だって倒せるんじゃない?」

マミ「ワルプルギスの夜って、あの……?」

杏子「すごい強い魔女らしいけど、マミさんとならきっとできるって、そう思えるんだよね」

マミ「……そうね……」

マミ「ワルプルギスの夜が来たら、私たちがこの街を守るのよ」

『どれくらい 時がすぎ』

佐倉「魔法少女の力か… そうか、道理で……」

杏子「父さん… やめてよ、そんなの!」

佐倉「さあ、今日こそ正体を見せてもらうぞ… 悪魔め!」

『花は咲くのだろう』


・現在

杏子「この歌! 彼方のモビルスーツか? もうやめろ、こんな歌なんて!」

マミ「よそ見をしている場合じゃないわよ!」ドゥッ!!

彼方(あんたもだ、マミ! 二人とも思い出して!)

杏子「マミ… 今度は本気で戦うつもりなんだな」

杏子(あの時だって、本当は待っていたのに!)トクン

マミ「待っていたって、なにを……?」


・過去

杏子「マミさん… もうやめなよ、あたしと会うの」

マミ「今、一人にさせておいてはいけないわ」

杏子「マミさんはさ、役目があるから… この街を守るとか、その、正義の味方みたいな……」

『この涙を君に捧ぐ』

杏子「だからさ、こんなのと付き合ってちゃいけないんだ……」

『もっと君が輝くなら』


鈴子「ふぅ…」

鈴子(これでたおせた… みたいね)

鈴子(拾っておきましょうか。グリーフシードが多い方が、マミさんたちに有利ですから)

楚方「リンダ~!」

鈴子「そなてぃ、そっちは?」

楚方「終わったよ! ほむらに他の魔女探してもらおうよ!」

鈴子「その前に、マミさんと彼方さんが一緒に戦ってるみたいだから、グリーフシードを届けに行ってきます」

楚方「そなたも行く!」

—— >>202の続き ——

杏子「クリスマス・プレゼント、用意してたんだろ!? カードもだ!」

杏子「それなのに今になって、魔法の弾なんてくれるのかよ!」

マミ「そう… 寒い日だった……」

マミ「……彼方さんの言う通りよ… しっかりしないと……」

彼方(マミ! よけなよ!)

杏子「してないからだろ!」ガキイィン!!

マミ「グッ!! いけない、武器が…!」

彼方(リボンまで!)

杏子「あんたがしっかりしてないから… あたしの……」


彼方(杏子、ごめん!)ドガッ

彼方「マミ、今のうちに逃げて! 回復しないと」

杏子「邪魔をするな、彼方!」

 ドジュウゥッ!!

彼方(!! …脚がやられたか、タービンが無事ならまだ飛べる!)

『小さな幸せ 見上げていた太陽』

杏子「その歌をやめろって! お前から始末してやる!」

彼方(ついてきな! 魔法少女だって、空中戦なら!)

——ガンダムにまどかも合流していた——

デシル「鹿目まどか! この間はお前にやられたんだっけなぁ!」

まどか「あの攻撃はもう通用しないんだろうね…」

アセム「マミはまだ杏子の相手か!?」

フリット「彼方のLASと二人掛かりだ!」

まどか(ほむらちゃんが最初に戦った後は、街中焼け野原になったって……)

まどか(そんなことはさせないんだから!)

デシル「この機体が完成すれば、街一つなんて誤差の範囲になる」

まどか「!?」

デシル「インスパイアー・エンジンの無限力、魔女のボディを構成するナノマシン…」

デシル「EXA-DBにも完成したかどうかは記録になかったが、これらを組み合わせればできるはずだ!」

デシル「黒歴史のすべてを詰め込んだ究極のモビルスーツ! ∀ガンダムがな!」

フリット「闘争本能に囚われたお前が究極などと…!」

デシル「その闘争本能が黒歴史を、人類の全盛期をもたらした!」

アセム「滅びの歴史は、ザ・ガンダムに封印されたぞ!」

——上空での戦いも続いていた——

『期待に膨らむ あの未来が莟さ』

彼方(杏子だって、いつかはマミと同じ夢を見ていたんでしょう!)

杏子「見てたよ! ずっと一緒に戦おうってさ! そしたらワルプルギスの夜なんか……!」

『心が乾いた時 誰かの愛を求めた』

彼方(それなのに、マミに何をしようとしたか、わかってるの!?)

杏子「もう終わったんだよ!」

『悲しみの風が吹き 花が枯れる日まで』

杏子「いつか来てくれると思ってた! そう信じてたら、別れてたって平気だったのに!」

杏子「だけど自分ばっかり仲間増やして… あたしをおいていっちゃったよ……」

『この涙を君に捧ぐ』

杏子「でも、ワルプルギスの夜を倒せたらって、頑張ったよ…… ひとりぼっちで……」

『たとえ君が 気付かなくても』

『まぶたを閉じて目尻から 流れ落ちた熱いもの』

鈴子「インティパが来る…? あの赤い魔法少女、泣いているの?」

楚方「マミがお姉ちゃんでいてくれなかったから、寂しいんだよ!」

彼方(だからってデシルの手伝いなんかをして、マミやあんたのお父さんが喜ぶと思うの!?)

杏子「う、うるさいな! 死んだ人間が喜ぶかよ!」カッ!

 ドゴウッ!!

楚方「おねぇ!」

杏子「しまった、彼方が!」

『あの空へと昇って』

鈴子「セリーで脱出してます!」

彼方「あんたの言う通りならさ」ヒョイッ

杏子「!?」パシッ

杏子(なんだこれ…? マイク?)

彼方「生き残った人たちのために! 今この下にいるマミのために!」

楚方「一緒に歌おうよ!」

『俯瞰で見る 愛に変われ!』

杏子「うん… 言葉は通じなくたって、歌でなら」

鈴子「グリーフシード、使いますか?」

杏子「あっ ありがとう…… でもあたしに歌えるのって」

彼方「この時代の曲で、今のあんたたちにちょうどいいのがあるよ」

——地上——

友歌「マミさん! どっかケガしてない?」

マミ「もうすぐ治るわ…」

友歌「グリーフシード、拾っておいたから使ってよ」

マミ「ありがとう、助かるわ… 上で彼方さんたちも終わったようね… 歌いながら降りてくるもの……」

友歌「ん? この歌って… マミさん、あの佐倉杏子って子とどういう関係なの?」

マミ「……昔の仲間よ」

友歌「ああそう…… そんなこと言うなら、この歌を聞いてあげなよ」

友歌「じゃあまた後でね! 他の魔女の相手してくるから!」

マミ「待って、この歌がどうしたの?」

友歌「♪感情吐き出して 今すぐ素直になれ!」

——避難所——

上条「オーラバトラーっていうのがその気になれば、ここも危ないんだろうな……」

さやか「そうならないために、まどかたちが戦ってるんじゃない」

上条「そうだね。きっとどうにか」

 ガシャアアアアン!!!

上条「窓が…! さやか、ケガはない?」

さやか「平気… でも」

魔女『…チキュウ…… エデン ヲ……』

さやか「魔女だ!」

仁美「はあっ!!」ガシッ

魔女『グゲェエエ!!』

さやか「仁美! なにしてるの、早く!」

仁美「私、通信教育で忍法を習ってますの」

さやか・上条「マジで!!?」

仁美「ヤーパン忍法・氷分身!!」

魔女『クギイイイ!!!』

仁美「効かない!?」

スペード「これならどう!?」シュバッ!

魔女『ウゥ…』

上条「あのビームサーベル、AKB0048の!?」

さやか「智恵理! 来てくれたんだ!」

スペード「えっ? えぇと私は… 違うんだけど…」

ホストB「0048が来てるって!?」

さやか「そう! 77期の子だよ!」

ホストA「うおおおお!! 近くで見るとやっぱ可愛いッスね!」

どこからともなく現れたオタ「「「うおおおおお!!!!!」」」

スペード「違うんだって!」

魔女『……エデ…』

ホストB「何か歌ってみてくださいよ! 俺らファンなんスよ!」

スペード「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ほら、魔女生きてるし!」

さやか「00の子たちは歌で魔女をやっつけちゃうんだよ!」

スペード(そんなことまでしてたの!?)

ホストB「やっぱスゲェ! こりゃホンモノだぜ!」

スペード(ホンモノ……)

スペード「わかったわかった! やるからちゃんと応援しててね!」

オタ「「「うおおおおお!!!!!」」」

上条(この人たち、どこから集まってきたんだろう……?)

——ワルプルギスの夜——

凪沙「お待たせ!」

智恵理「なんだか知らないけど、パワーが上がっているみたい! これなら私たちも手伝える!」

デシル「きららエフェクトめ! 全員まとめて相手にしてやる!」

アセム「二人とも気をつけろ、ただの魔女とは違うぞ!」

フラム「気を抜くとXラウンダー能力に干渉してくる! 中身のユリン・ルシェルか……!?」

まどか(……そっか、ワルプルギスの夜が大きいモビルスーツになったなら、中に入れば……)

杏子「あんたらはさがってな! 魔女の相手はあたしらの役目なんだから!」

マミ「特にそのワルプルギスの夜はね!」

デシル「杏子! 裏切ったのか!」

杏子「ごめんな、気が変わったんだ! あんたとその魔女はただじゃおかないよ!」

まどか「マミさん、ちょっと外すから、その間ここをお願いね!」

マミ「任せて!」

凪沙「わたしたちもいるよ!」

まどか「アセムさん、今のうちに変形して、わたしを乗せてって!」

アセム「応援も増えてきたしな。よし、セリーをドッキングさせろ!」

杏子「どこへ行ったか知らないけど、戻ってくるまでにケリをつけるよ!」

フラム「とはいえ、攻撃してもナノマシンで修復してしまう」

智恵理「スピーカーポッドもすぐに吐き出される…」

——ほむチーム——

真琴「魔女はもう打ち止めッスか?」

ほむら「まだいくつか… やっぱりワルプルギスの夜が新しいのを生み出してるみたい」

美森「ある程度減らしたら、大元を叩きに行かないとキリがないですわね」

ほむら「うん… でも、ワルプルギスの夜は…」

真琴「怖がることないッスよ! こういう時は、私が先にやられるって決まってるから!」

美森「真琴は変なところでハイですわね」

まどか「いたいた! アセムさんちょっと降ろして!」

ほむら「鹿目さん!?」

まどか「ほむらちゃんも一緒に行こう!」

フリット(あの魔法少女…)

フラム(味方になると頼れるわね)

杏子「うおおおお!!」ドシュウゥッ!!!

デシル「ちっ 破損状況は… やはり魔法少女の攻撃は効くな」

デシル「だが魔法攻撃ならこっちにもある! いくぞ、ユリン!」トクン

ユリン(もうやめて!)

デシル「ソウルジェムを焼き払えば!」

マミ「しかし年季が違うわ!」

杏子「コンビネーションもな!」ドガッ!!

デシル(砲口部に食らったか… このダメージは)

デシル(きららエフェクトまで使いこなしてやがる! 化け物め!)

彼方「この調子ならイケそう?」

マミ「まだね…」

杏子「ダメージが奥まで行ってない。エンジンか生体コアを止めないと」

デシル「再生能力だけじゃねぇ! 完成した∀ガンダムはこの世の全てを戯曲に変えるというぜ!」

フリット「ガンダムの名を、そんなことに…!」

デシル「地表の文明は∀ガンダムで埋葬する。その姿をお前に見せてやれなくて残念だよ」

デシル「おい、ヴェイガンの女! お前は手伝わせてやろう」

フラム「この一ヶ月、地球で暮らしてみてわかった……」

フラム「ここにいる人間たちも、地球が生み出したエデンの一部! それを埋葬するなど許さない!」

まどか「その通り!」

杏子「まどか…!? その恰好は…」

まどか「今作ってきたの! どう?」

フリット「あれはタイタスパーツ!」

鈴子「悪夢だわ……」

まどか「貫けないなら叩いて壊す! 行けそう? ほむらちゃん」

ほむら「誰に聞いているの?」ファサッ

フリット「スパローまで!」

ほむら「私が生体コアを切り離すわ。まどかはデシルを」

フラム(誰よアレ……)

デシル「見覚えあるのが出てきやがった!」

まどか「おっと、ほむらちゃんはやらせないよ!」

デシル「お役御免の旧型だな! お前から始末してやる!」

まどか「『ビーム・ラリアット』!!」ウィー!

鈴子「意外と強い!?」

デシル「ちっ パワーもスピードも魔法少女ものか!」

まどか「AGEシステムは日々進化しているんだよ!」

デシル「だがな、AGEの力で∀ガンダムに敵うわけがねぇ!」

 シュオオオオォォォ……

マミ「!? 変身するの?」

杏子「ほむら! そっちからも見える? ワルプルギスの夜から青いものが出てる!」

ほむら「そんな技、前回は見なかったわ!」

まどか「バックパックを叩き潰す! そうすれば止まるんでしょ?」

フリット「待て、まどか! それには迂闊に触れるな!」

まどか「知ってるの?」

フリット「説明は後だ。それよりコクピットへの道を切り開いてくれ。ヤツに直接止めさせる!」

杏子「マミ! あたしらも加勢しようよ」

マミ「いいけどその前に、今フリットさんがどうするつもりか、インティパで大体わかったわね?」

彼方「わかったよ。でも私たちはAKB0048」

智恵理「相手がプロトデビルンの眷属ならなおさら、私たちの戦い方があるってわけね」

凪沙「あの人を生かしておいても、許されるとは思えないけど…… だとしても」

杏子「…まだまだやってもらうこともあるしね」

マミ「そういうわけで、凪沙さんと智恵理さんにプレゼントよ!」

マミ「無限の魔弾よ、行きなさい!」

凪沙・智恵理「ちょっと何を…!?」

マミ「ヴァロットラマギカ ドゥーインフィニータ!!」

 フシャアアアッ!!

杏子(うわぁ…… 相変わらず)

マミ「ペイント弾よ!」

彼方「このカラーリングって、もしかして? 二人とも、お互いの機体を見てみなよ」

凪沙「真っ赤になってる!」

智恵理「アニマスピリチアのVF-19と同じ?」

マミ「さぁ、輝いてらっしゃい!」

彼方「00メンバーは全員集合! 智恵理と凪沙以外は脱出して、ワルプルギスの夜に侵入する!」

凪沙「過激にファイヤーしてくるよ!」

智恵理「最後だからね! まどか!」

まどか「リミッター解除。磁気旋光システム、最大出力!」

デシル「なんの! まだ魔女は残っているぜ!」ゾモモモモ…

 ザシュッ!!

ほむら「シグルブレイド、急ごしらえのわりにいい仕上がりね」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「生体コアは切り離しておいたわ。フリットさん、救助を!」

フリット「デシルの相手は任せた! ユリン、今行くぞ!」

ほむら「さぁまどか、今のうちに!」

まどか「くっ… ぐあああっ!!」ミチ ミチッ

まどか「どっせい!」

デシル「しまった! ヤツらめ、来るか… ここへ!」

智恵理「うおおおおお!! デシル・ガレット!!」

凪沙&智恵理「「俺の歌を聴けぇ!!!」」

—— 避難所 ——

さやか「見て! 空が晴れてきてる!」

ホストA「その… ナントカっていう凄い魔女に勝ったんスかね?」

スペード「その瞬間を見に来たのに!」

仁美「でも、智恵理さんがここを守ってくれたおかげで皆助かりましたわ」

スペード「そりゃどうも… もう訂正する気も起きないわ……」

さやか「じゃあここでお祝いに一曲行ってみようか!」

スペード「まだやんの!?」

ホストB「勝って兜の緒を締めよってヤツですよ! お願いします!」

ホストA「オナシャス!」

ユリン「ここは…… ワルプルギスの夜じゃない?」

フリット「ユリン! 気がついたのかい」

ユリン「誰!? フリット…? フリットなの!? 大人になって……」

フリット「そうだよ…… すまない、あの時君を助けられなかった、フリット・アスノだ……」

ユリン「今度は助かったの……?」

フリット「わたし一人の力じゃない。仲間たちのおかげさ」

ユリン「後で聞かせてよ、あの魔法少女たちのこと……」

フリット「話したい事は山ほどあるさ。話し始める前に終わらせないといけないこともな」

フリット「だが今は」

ユリン「…そうだね」

マミ「……いい歌ね」

杏子「あのデシルがおとなしく聞いてると思うと、かえって気味が悪いな」

ほむら「あなたたちも行ってみたら? さっき一緒に歌ってたでしょう」

杏子「…あんたさ、その変なパーツ早く外しなよ」

まどか「そうだね。とってあげるよ」フシューーウゥ……

ほむら「かな かなめさぁん…… おわったの…?」プルプルカタカタ

まどか「おぉ~ よしよし、怖かったね~」

アセム「あとはデシルからEXA-DBの隠し場所を聞き出して、俺たちの戦いも終わりだ」

まどか「アセムさん、まだ外に出てきちゃ危ないよ」

フラム「もう平気でしょう。きららエフェクトの輝きは温かいもの」

アセム「それに、この歌をコクピットの中で聴くなんてもったいないぜ。やはり生でないとな」

フリット「ありがとう。君たちのおかげでデシルを拘束できた」

凪沙「あの… その人、これからどうなるんですか?」

フリット「我々の世界へ連れ帰って、取り調べを受けてもらう。聞きたい事が山ほどあるからな」

凪沙「それから……?」

フリット「これほどのXラウンダーは貴重なのだ。心配することはない」

杏子「その取り調べってさ、あたしも行くの?」

フリット「君にも参考人として来てもらいたいが、その処分はこの世界の魔法少女が決めるべきだろう」

杏子「というわけで、マミ。頼んだよ」

マミ「そう言われても困るわね」

楚方「マミもちゃんと面倒みてあげなきゃダメだよ」

楚方「杏子がマミのこと、本当のお姉さんみたいに思ってるって、インティパの中にいてわかった」

杏子「でも今更なぁ……」

彼方「これまでがおかしかったんだ… 本当はマミのこと大好きなくせに、その『好き』って気持ちをこじらせちゃって」

楚方「それおねぇもよくやるよね!」

杏子「そうか、彼方に似てると思ったら、そなたちゃんだな」

楚方「知ってるの!?」

杏子「彼方からよく聞いてるよ」

彼方「そんなに話したっけ?」

杏子「こっちにいる間、そなたちゃんに会えなくて寂しいよぉって、時々泣いてた」

彼方「そんなわけないだろ! 誰が楚方なんか」

マミ「と、いつもつい言っちゃうけど、本当は仲良くしてたいとも言っていたわ」

彼方「……あんたら、変なところで息が合うよね」

楚方「おねぇ…」オロオロ

楚方「ごめんね、今日いっしょにねてあげよっか?」

彼方「いや、いいよ」

楚方「いいの!?」

マミ&杏子「」

彼方「……わかったよ。いいよ」

楚方「やった!」

智恵理「こっちも決着がついたようね」

マミ「おかげさまでね」

智恵理「これでこの時代ともお別れね…」

アセム「なんだ。俺達と別れるのが辛いかい? 珍しいじゃないか」

マミ(これだからいい年して宇宙海賊って……)

智恵理「一ヶ月もいるとね」

凪沙「……楽しかったよね」

彼方「最初はほむらがうっかりして連れてこられたのに」

フラム「私もよ。地球人と混ざって暮らすの、正直言って最初はドキドキしたよ」

智恵理「大変な目にも遭ったけど」

智恵理「マミさんやアセムさんたち、みんなのおかげで最高の一ヶ月だったわ!」

鈴子「喜びも悲しみも過ぎ去れば道のり、ですね」

楚方「いいなぁ~! そなたももうちょっと地球にいたい!」

杏子「ちょっと待った。あんたら帰る気でいんの?」

彼方「私たち、本当はこの時代の人じゃないからね」

杏子「それは知ってるよ。でも周り見てみなって」

美森「街の人たちはみな避難していたとはいえ」

まどか「思ったよりも深刻だね……」

マミ「それに」

ホストA「お、なんかそれぽいのがいたッスよ!」

ホストB「さやかちゃん、あの子たちでいいのかい?」

さやか「そうだよ! お~い、まどかぁ~!」

オタ「「「うおおおお一番乗りだぁ!!」」」ドドドドド

マミ「ギャラリーはもう準備できてるみたいよ」

凪沙「もうちょっとは一緒にいられそうだね」

——それから——

凪沙「もうちょっと、のつもりだったのに」

智恵理「何事もなかなか計画通りにはいかないものね」

フリット「マーズ・レイ対策の方は計画通りだぞ」

ゼハート「おかげで我々ヴェイガンにも活気がつきました」

フラム「でも地球の文化が全面的に受け入れられるまでには、時間がかかりそうね」

彼方「だからこそだよ。初めてのセカンド・ムーン公演、必ず成功させるよ!」

まどか「護衛は任せて、思いっきり歌ってきてね!」

彼方「臨時メンバーの二人も用意はいい?」

マミ「いつでもいけるわ!」

杏子「引き立て役くらいにはなれるよ」

DES イ「気をつけろ! 今日のは手強い… うわぁっ!」

DES ロ「脱出するんだ! まだ間に合う!」

デシル「へへっ… こんなんじゃ飽きちまうぜ!」

リーダー「なんだか、すごい新人が入ってきたな……」

護「すげぇや、この短期間でLASを完全に乗りこなしてる」

DES イ「こんな辺境まで00を追いかけてきたばかりに、酷い目に遭ってばかりだ…」

デシル「ほらよ、スピーカーポッドだ!」

護「お、また一機やった」

デシル「お前らも0048の歌を聴けぇ!!」


 おわり

すみません
239レス中2つを除いて全部俺とか、もうね…
0048のSSを読みたかったのに、誰も書いてくれないから、長いの書きたくなったんだ……

ガンダムはAGEの他に∀やアベニールの世界とつながってて
マクロス7にキングゲイナーにザンボットにダンバインと
いろんな関連作品の設定ねじ込めて楽しかったです

どこかでまたお会いしましょう

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom