【安価】比企谷「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」雪ノ下「その2ね」 (978)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】の安価SSです

原作7巻までのネタバレあり

話は基本安価で進める

主人公は総選挙で決定し、上位3名の各視点で物語は進行 

物語に一区切りがついたら主人公が切り替わります

総選挙については以下を参照、不明瞭な部分の説明は第二回総選挙開始時に伺います



【第○回 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。真の主人公選抜総選挙】

 《候補者一覧》

・比企谷八幡 ・雪ノ下雪乃 ・由比ヶ浜結衣 ・戸塚彩加 ・材木座義輝 ・比企谷小町
・葉山隼人  ・三浦優美子 ・海老名姫菜  ・戸部翔  ・大和    ・大岡
・川崎沙希  ・相模南   ・城廻めぐり
・鶴見留美  ・川崎大志  ・雪ノ下陽乃  ・平塚静


 《ルールと投票上の注意点》

・この書き込みから↓10までが有効票となります
・有権者は総選挙で当選させたいキャラを3名まで選択し、下記のように書き込んでください

 1 比企谷八幡 2 雪ノ下雪乃 3 由比ヶ浜結衣

・上記は数字が小さい順にそれぞれ3ポイント獲得、2ポイント獲得、1ポイント獲得、という意味です
・その結果、総獲得ポイントが多い上位3名が順番に主人公となります
・同率一位(二位、三位)の場合はその同票者同士で再選挙となります(その際のルールは基本同じです)
・キャラ名無記入の場合は無効票となります
・個人の連続コメントは禁止です


前スレ 【安価】そうして比企谷八幡は安価で行動を始める ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363329936/


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364852635


前スレ 【安価】そうして比企谷八幡は安価で行動を始める

【安価】そうして比企谷八幡は安価で行動を始める - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363329936/)


すみません、まだ前スレで話が続いてます。

総選挙は今の海老名さんの話が終わってから行います。

もうこれだけ投票してんだから先に投票やった方がいいんじゃない?

>>10さん そうですね

では残り↓3までで

《結果発表》

第1位 雪ノ下雪乃 22ポイント 【前回 第1位】

雪ノ下「……これで、二連覇」グッ


第2位 比企谷八幡 13ポイント 【前回 第3位(同票)】

比企谷「俺の順位は実質変わってねぇけど雪ノ下お前強すぎだろ……」


第4位(同票) 由比ヶ浜結衣 6ポイント 【前回 ランク外】

由比ヶ浜「わわわっ、いっきにランクイン!?」


第4位(同票) 川崎沙希 6ポイント 【前回 ランク外】

川崎「(意外と人気者なんだ、あいつ)」


第6位(同票) 平塚静 4ポイント 【前回 第4位】

平塚「くっ、……これが若さか。……アンチエイジングを急がねば……!」


第6位(同票) 雪ノ下陽乃 4ポイント 【前回 ランク外】

陽乃「静ちゃん、あんまり無理しないほうがいいんじゃないかな?」


第8位 (同票) 比企谷小町 2ポイント 【前回 第6位(同票)】

小町「お兄ちゃんが人気なのを素直に喜んでいいものなのかどうか。ここは小町的にどうすればポイント高くつくかな……うーん……」


第8位(同票) 城廻めぐり 2ポイント 【前回 ランク外】

めぐり「雪ノ下さん、はるさんより断然人気なんだね。すごいなぁ……」


第9位 葉山隼人 1ポイント 【前回 ランク外】

葉山「(お、結衣が健闘したみたいだな。……優美子や姫菜は今出番があるからいいが、あいつらは……)」



というわけで、同票3位が出来てしまったので再選挙です


《再選挙対象者》

・由比ヶ浜結衣 ・川崎沙希


↓5までで、総選挙と同じようにお願いします。

サキサキ
順位の付け方おかしくね?

>>20さん どこかおかしかったですか? 不明瞭な点があったのなら指摘してくださると幸いです。


というわけで川……川……川越さんになりました!

ガハマさんは現在海老名さんのターンで出番もらってるんで丁度いいですかね。

それで前スレで安価を出したのですが、全然書き込まれないのでこちらで再び安価を出しますね。


↓3 海老名さん達のガールズトークの内容

こういう場合は、普通高い順位に揃えるはず。例えばさっきの由比ヶ浜と川崎さんの場合は4位じゃなくて3位だと思う

安価は下で


海老名「ねぇねぇ、ところで二人はクラスに気になる男子っている?」


三浦「隼人」

海老名「(……流石は優美子、一瞬も迷いがない)」

由比ヶ浜「ひ、……い、いない!」

海老名「あれ〜? 結衣、いまなんか言おうとしなかった?」

由比ヶ浜「し、してないしてない! ひゃっくりが出そうになったの堪えただけだし!」

海老名「ふぅん。……別にもうみんなにはバレバレなんだから自白して楽になっちゃえばいいのに……」

由比ヶ浜「なっ!?」


私に指摘されて顔が真っ赤になる結衣。 ……あんなに堂々とヒキタニくんと会話してたら、彼に気があるのバレバレだよ……。

恋は盲目ってやつだね。


由比ヶ浜「そ、そそそういう姫菜はどうなの!?」

海老名「私? 私は特にいないかなぁ」

由比ヶ浜「ほ、ホントに……?」

海老名「うん、うちのクラスではあまりピンとくる男子はいないね」

由比ヶ浜「そ、そっか」

三浦「……あ、そーいえばあーし海老名に話すことあった」

海老名「? なに優美子?」


三浦「実はB組の柏ヶ谷って男子が海老名のこと好きなんだって」


…………。


三浦「柏ヶ谷はバスケ部のレギュラーで、身長高くて顔も隼人には劣るけど結構イケメンなんだよね」

三浦「で、このあいだ『海老名さんって彼氏とかいんの? いないなら紹介してくんない?』って言われて」

三浦「どう海老名? 柏ヶ谷が気になるなら写メもあるけど?」


そう言って優美子は携帯を取り出し画面をこちらに向ける。

そこには薄っぺらい満面の笑みを浮かべた男子生徒が映っていた。


海老名「(……確かに顔はそこそこだけど、私は……)」


海老名「わ、私はそういうのはいいかな……。まだちょっと早い気がするし……」

三浦「……でも、そろそろ海老名も誰かと付き合ってもいいんじゃん? あーしらの中でも一番そーいう経験少ないの海老名だけだし」

由比ヶ浜「(……うぅ、いまさら優美子に実は経験ないなんて言えないなぁ……)」


三浦「なんなら他にも海老名を紹介してほしいって奴いるけどそっちは?」


さらに優美子は携帯を操作して私に携帯を渡してくる。

画像フォルダにはたくさんの男子生徒の写メがあった。

おそらくこれが私に好意を抱いている男子生徒なのだろう。


海老名「私は……いいよ。それに腐ってるし……」


携帯を優美子に返し、私はそれを拒絶する。

私が付き合う人は今まわりにいる人間だけで充分なのに、なんで優美子はそれをわかってくれないんだろう。


三浦「そんなん擬態すればこっちのモンでしょ。黙ってれば海老名、男受けいいのにもったいなくない?」

海老名「いやー、そんなことないよ。私なんて全然……」

三浦「そんなことあるからあーしは紹介するように頼まれてんの」

三浦「どう? 海老名もイロイロ経験積まないとダメっしょ」


……優美子もしつこいなぁ。


三浦「ねぇ、どうなん?」


……しつこい。


三浦「あーし的にはC組の岡本が良さげなんだけど」


……。


三浦「……ちょ、海老名、あーしの話聞いてる?」



——プチッ


頭の中で、何かが切れる音がした。



海老名「あ、じゃあもういいや」



そこから先のことは、よく覚えていないし、思い出したくもない。

気がつけば私は、自分の部屋にいた。

自分の部屋のベッドの上で、着ていた服は皺だらけの状態で私は横になっていた。

だけど、私はそれを特に気にせず瞼を閉じる。

今は何も考えたくない。


そうして私は、意識を深い闇に沈めた。

>>26さん ありがとうございます、勉強になります。


とりあえず海老名さんの話に一区切りが着いたんですが、このまま話を続けますか?

皆さんの意見を伺いたいです。

わかりました、では続けます。




翌日、私は学校を休んだ。

平日なのに家にいるのは中学生の時以来で、なんだかとても懐かしく感じた。


海老名「……はぁ、なんだかなぁ……」


しかしそんな昔を懐かしむのはほんの一瞬で、すぐさま倦怠感に塗り潰される。

やる気がでない、身体が鉛のように重い、動きたくない。

だから私は惰眠を貪ることにした。 ……こんな日は寝るに限る。

朝食も昼食も摂らず、ただひたすら眠り続ける。

しかしその睡眠は母親の一言で妨げられる。


「姫菜、お客さんが来たわよ」

海老名「……? 誰……?」


↓3 家に来たのは誰? 以下より選択

�比企谷八幡 �由比ヶ浜結衣 �三浦優美子 �その他(キャラ名記入)


由比ヶ浜「や、やっはろー、姫菜」

海老名「結衣……」


母の後ろからひょこっと顔を出したのは結衣だった。

結衣は私の部屋に入ると、母に小さく頭を下げて入口の扉を閉める。


由比ヶ浜「ご、ごめんね急に押しかけちゃって」

海老名「……ううん、平気」

由比ヶ浜「そ、そっか」

海老名「……、」

由比ヶ浜「……あっ、これ。今日学校で配られたプリント」


結衣は背負っていたリュックサックの中からプリントを一枚取り出して私に差し出す。

そのプリントには今回の文化祭の会計報告が記されていた。


由比ヶ浜「担任に渡すように頼まれたんだ」

海老名「……そうなんだ、わざわざありがとね、結衣」

由比ヶ浜「うん、どういたしまして」


↓3 海老名はどうする? 以下より選択

�昨日の事を謝る �結衣を帰らせる �その他(選択された際に再安価で内容決め)


海老名「……、」

由比ヶ浜「……、」


結衣は無言のままじっと私を見つめている。

じっと見つめて、私が話すのを待っている。


海老名「(……結衣はきっと、昨日の事を気にかけて私に会いにきたんだよね)」


昨日の件に関して言えば、結衣は無関係だ。

結衣はただその場に居合わせ、ただ成り行きを見ていただけ。

これは私と優美子の問題なのだから、結衣が気にかける必要も気に病む必要もまったくない。

けれど、結衣は自分の意志を無視してでも他人に無理矢理合わせる人間だ。

無意識の内に他人に同化してしまうのが、結衣の長所でもあり短所でもある。

そして他人に同化してしまうということは、その人間の抱える心の痛みなども結衣は共有してしまう。

知ってしまったら、もう知らないフリなんて出来ない。

優しい結衣なら、尚の事。

だから私がこの場面でしなきゃいけないのは、結衣に謝ることだ。

私なんかのために、結衣が心苦しい気分になってしまったのを謝らなければ、私の気が済まない。


海老名「……ねぇ結衣、昨日はその……、せっかく開いてくれたパーティー、台無しにしちゃってごめんね」

由比ヶ浜「……ううん、謝らないで姫菜」

海老名「でも、」

由比ヶ浜「いいの、姫菜は謝らなくていいの。……だって、姫菜はなにも悪くないんだし」

海老名「え……?」

由比ヶ浜「優美子、姫菜が帰ったあとすっごく後悔してたの」

由比ヶ浜「『あーし、無神経に言い過ぎた。……明日ちゃんと謝んなきゃ』って」

由比ヶ浜「優美子のあんな物悲しそうな表情、あたしはじめて見たからびっくりしちゃった」

海老名「(優美子……)」

由比ヶ浜「でも今日は姫菜学校休んじゃったでしょ? だから優美子、普段より元気なくて隼人くんも心配してたっけ」

由比ヶ浜「……優美子、熱くなると周りがよく見えなくなっちゃうから、今回もたぶんそれだと思う」

由比ヶ浜「だから、姫菜が謝るのは間違ってる。悪いのは優美子と、それを止めに入らなかったあたし」



由比ヶ浜「ごめんね姫菜、あの時姫菜の気持ちに気づいてあげられなくてホントごめんっ!」


両手を胸の前で合わせて深々と頭を下げて謝る結衣。

……あーもう、なんで私が謝ろうとしたのに結衣に謝られちゃうかなぁ。

おかげで調子が狂っちゃったよ、……いい方向に。


海老名「……結衣。もういいよ、顔上げて」

由比ヶ浜「やだっ! あたしの気が済むまで顔はあげない!」

海老名「……ふぅん、そっかぁ」

海老名「なら私、その間に結衣にイケナイことしちゃおっかなー?」

由比ヶ浜「ッ!? ちょ、姫菜ソッチ系は禁止!!」


私から放たれた邪なオーラを感じ取ったのか、結衣は物凄い勢いで顔をあげると素早く壁際まで後ずさりする。


海老名「……なーんて、冗談冗談。そもそも私、ソッチの趣味はないもん」


私が好きなのはBLであって、百合はあんまり好きじゃない。 あ、でも結衣は可愛いから好きだよ?


由比ヶ浜「……ほ、ホント?」

海老名「うん、ホントホント」

由比ヶ浜「な、ならいいけど……」


若干涙目になりながら結衣は私の近くへ戻ってくる。 ……そんなおっかなびっくりしなくてもいいのに。


海老名「(……さてと、なんか結衣を見てたら色々と吹っ切れちゃったなぁ)」


↓3 海老名はどうする? 


海老名「結衣、ちょっとこっち来てくれないかな?」

由比ヶ浜「う、うん」


先ほどの発言が尾を引いているのか、結衣は肩を縮こまらせながら私に寄ってくる。

そんな子犬みたいにプルプルしている結衣の頭を、私は優しく撫でた。


由比ヶ浜「っ!? ひ、姫菜!?」

海老名「ん? なになに、結衣は頭撫でられるの嫌い?」

由比ヶ浜「べ、別にそんなんじゃないけど……。その、ちょっとびっくりしたっていうか……」

海老名「ふぅん、そっかそっか。結衣は頭を撫でられるとこんな反応をするのか……ふんふん、なるほどね〜」

由比ヶ浜「……ちょ、ちょっと姫菜? なんかヘンなスイッチ入ってない?」

海老名「ううん、全然入ってないよ。……入ってたら今頃、結衣はもう自分の足で立ってないと思うけど?」

由比ヶ浜「ひぃっ!?」


私が少し低めの声で結衣の耳元でそう囁くと、結衣は身体を大きく震わせて再び後ずさりしていく。

……うんうん、結衣はいちいちリアクションが大きいからいじり甲斐があっていいね。



海老名「ありがと結衣、おかげですっかり元気になったよ」

由比ヶ浜「あ、あたしはちょっと元気がなくなったかな……っ」

海老名「……だから私、優美子と仲直りしてくるね。優美子、いま私の家の前にいるんだよね?」

由比ヶ浜「え? ……あ、うん。確かにいるけど……、でもなんで姫菜そのこと知ってるの?」

海老名「うーん、なんでって言われても……」


海老名「まぁそれはいわゆる『乙女のカン』ってやつかな?」



私は結衣にそう言って自分の部屋から出た。

廊下を歩き、階段を降り、玄関へ向かう。

髪はボサボサで服は皺だらけ、とても乙女らしからぬ格好で私は歩く。

それでも、私が私であることに変わりはない。

BLが大好きで腐っていても、それが私、海老名姫菜という人間なのだ。

そしてそれを気にせず、受け入れてくれる居場所が私にはある。

昨日みたいにケンカする日はこれからもあるだろうけど、それでもやっぱり私は今の居場所が気に入っている。


——だから、仲直りしよう。


私は今いる場所が、一緒にいてくれる人たちが好きだから。

イイハナシカナー? 

……ごめんなさい、なんか思うように書けませんでした。

この無理矢理終わらせた感がハンパない……。


えっと、それで海老名さんの話なんですが、まだ続けますか? 

海老名さんの話は八幡と雪乃に比べるとかなり少ない量なんで、まだまだ続けても構わないのですが……。

皆さんの意見や感想が聞けたら嬉しいです。

海老名さんマジ難キャラ BLとか良くわかんない……。

えっと、皆さんの意見を取り入れてとりあえずいつものアレやりますね。


以下より多数決 先に3票集まった選択肢で主人公を決めます。

�海老名視点で続き
�八幡でニューゲーム
�雪乃でニューゲーム
�沙希でニューゲーム
�前スレのバッドエンドからの続き(視点は決まった際に再安価で決定)

視点はどっち? 以下より多数決 先に3票集まった選択肢で主人公を決めます。

�八幡
�雪乃

あれ、よく考えてみたら視点変更する必要ない気が……。

すみません、上の安価はやっぱりなしでお願いします。




雪ノ下「待って由比ヶ浜さん、あなたはひとつ勘違いをしているわ」


沈痛に満ちた奉仕部の部室に、雪乃の澄んだ声が反響する。


由比ヶ浜「……かん、…………違い……?」


その声に引き寄せられるように由比ヶ浜が顔をあげる。

由比ヶ浜の両眼は泣いていたせいか紅く腫れぼったくなっているが、瞳の奥には何かにすがるような光が垣間見えた気がした。


雪ノ下「ええ、勘違い。……由比ヶ浜さん、あなたは話の前提の時点で間違っているのよ」


繋がれていた俺の手から離れ、雪乃は由比ヶ浜の目の前まで歩み寄っていく。

そして雪乃は両手を組んで、由比ヶ浜に語りかける。


雪ノ下「まず由比ヶ浜さん、何故あなたは私と比企谷くんが一緒に登校しただけで涙を流しているの?」

由比ヶ浜「……え? そ、それは…………その、…………ゆ、ゆきのんに先越されちゃったから…………」

雪ノ下「私が由比ヶ浜さんの先を越す……?」

雪ノ下「……由比ヶ浜さん。それが具体的に何を指した事柄なのかを言ってもらわないと、私は非情に理解に苦しむのだけど」

由比ヶ浜「……っ。……そ、それは、その…………ヒッキーと、付き合うこと…………っ」

雪ノ下「……、」

雪ノ下「……そこよ、由比ヶ浜さん。そこがあなたの勘違い」

由比ヶ浜「……………………へ?」

由比ヶ浜「……だ、だって、ヒッキーとゆきのんが腕組んで登校したってことは、二人は付き合ってるんでしょっ!?」

雪ノ下「いいえ、私と比企谷くんは付き合ってなんかいないわ」

由比ヶ浜「……う、ウソだっ! だって普通付き合ってない男女が腕組みなんてしないもん!」

雪ノ下「それはあなたの固定概念よ。あなたの物差しだけで物事を語らないで」

由比ヶ浜「……っ」

雪ノ下「…………いいかしら由比ヶ浜さん、あなたが比企谷くんの事が好きなのはよくわかったわ」

雪ノ下「でも、私も比企谷くんのことが好きなの」

雪ノ下「私は比企谷くんに振り向いてもらえる為ならなんだってするわ」

雪ノ下「比企谷くんと腕を組んだのもその手段の内の1つよ。それをあなたにとやかく言われる筋合いはないわ」

雪ノ下「……けれど、もしそれを由比ヶ浜さんが悔しく感じたのなら、あなたも私と同じような振る舞いをすればいいんじゃないのかしら」


雪ノ下「そうすれば、比企谷くんがあなたに振り向いてくれるかもしれないわよ?」


そう言い放って、雪乃は由比ヶ浜に背を向ける。

どこまでも真っ直ぐな雪乃の言葉に、俺はただその場で立っていることしか出来なかった。




比企谷「(…………というか、その『比企谷くん』がこの場にいるのになんつー会話してんだお前ら……っ)」



……なにこの公開処刑、あまりの恥ずかしさに俺が小学生の時、学級裁判で教壇に被告人として立たされたときの事思い出しちゃったじゃねぇか。 

なんで俺が小倉さん(被害者)の隣の席だっただけなのに、リコーダーの窃盗犯扱いされなきゃいけなかったの?

俺は犯人なんかじゃない、信じてくれよぉ! 盗んだのは山下のアホだから、俺は盗んでねぇから! 


俺の思考が現実逃避をしていると、雪乃がこちらに戻ってくる。


雪ノ下「あ、……っ」


雪乃は俺の顔を見るなり、頬を赤らめて俯く。 

どうやら先程まで俺の存在が雪乃の意識の中から完全に抹消されていたようだ。

……だから俺は忍者かよ。そのうち潜入任務とか任されるレベルの隠密性、時代が時代なら俺大活躍じゃん。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�由比ヶ浜と話す �雪乃と話す �無言のまま部室から去る


雪ノ下「……それじゃあ、先に帰るわね」


雪乃は俯いたまま奉仕部の部室から出て行った。

そして部室に残される俺と由比ヶ浜。


由比ヶ浜「あっ、ヒッキー、……いたんだ」

比企谷「……おい、なんでお前ら揃いも揃って俺のことを意識から外すんだよ。俺ってそんなに存在感薄いか?」

由比ヶ浜「え、えっと、それはどうだろ……。でもヒッキー、クラスでは逆に存在感ありすぎて、ちょっと近寄れない……かな」


あはは…という乾いた笑い声と共に、俺へひきつった笑みを浮かべる由比ヶ浜。

さっき雪乃に言われたことがよほど衝撃的だったのか、普段の彼女は今や見る影もない。

……あーくそっ、なんか調子狂うな。


比企谷「……そうか、クラスの連中は俺の圧倒的なオーラに怖気づいて話しかけてこねぇんだな」

比企谷「どうりで俺がいつまでたってもぼっちを脱却できないわけだぜ。……ふっ、やはり俺が神だったのか……」

由比ヶ浜「……突然どしたのヒッキー? どっか頭でも打った?」


由比ヶ浜は「なんか中二みたい。きも」とでも言いたげな目で俺を見る。 ……材木座と同列視はされたくなかったんだがなぁ。


比企谷「別にどこも打ってねぇよ、俺は至って正常だ」

比企谷「……ま、代わりに俺のプライドなら安く売ってるけどな。ちなみに税込3億円」

由比ヶ浜「全然安くないじゃん!? むしろ高いよ!」

比企谷「しかし俺が窮地に立たされると無料になる」

由比ヶ浜「大爆発だ!?」

比企谷「……大爆発? 大暴落じゃなくてか?」

由比ヶ浜「あ、そっちだ。ヒッキーやっぱり頭いいね」

比企谷「いやお前、さすがにこのくらいは……」


……よし、なんとか由比ヶ浜の元気メーターが回復してきたな。 

世界中のみんな、ガハマさんに元気を分けてくれ!


↓3 八幡は何を話す?


あともう少しなんだよなぁ、……えっと、次は……。


比企谷「そういや由比ヶ浜、お前が好きな生き物って犬でいいんだよな?」

由比ヶ浜「うん、そうだよ。犬って可愛いよね、もふもふしててふわふわで、特にお腹の毛とか触り心地が超やばいもん」

由比ヶ浜「でもヒッキーはウサギが好きなんでしょ? 打ち上げの時言ってたもんね……」

比企谷「あー、いや、アレはだな……」

比企谷「……ぶっちゃけると、戸塚が可愛すぎて選んでしまったというかなんというか……」

由比ヶ浜「……。……ヒッキー、あたし前から思ってたんだけど、ヒッキーってもしかして、姫菜みたいな趣味持ってたりする……?」


由比ヶ浜の言う姫菜とは海老名さんのことである。

フルネームは海老名姫菜、夏休みに行った千葉村で戸塚に耳打ちされたからよく覚えている。……めっちゃフローラルな香りしてたなぁ。


比企谷「生憎だが、俺はあんな特殊性癖持ちあわせてねぇよ」

比企谷「……そもそも俺は戸塚が好きなだけであって、けっしてラブってるわけではない!」

比企谷「ただ俺は戸塚を愛してるだけだ! 父性的な意味でなッ!!」

由比ヶ浜「……なんか、ヒッキーの考えってよくわかんないなぁ……」


……た、大変やで工藤! ガハマさんの元気メーターがごっつさがっとるで! 

バーロー服部、そこはアレしかねーだろ!  ……なんで一人で脳内会話繰り広げてんだろ、俺。


↓3 八幡はどうする? 以下より多数決

�「お前にもいつか分かる時が来るさ」と言って頭に手を置く

�「雪乃によくひっついてるお前には言われたくねぇよ」と言って由比ヶ浜の額を軽く小突く

�「わからなくて結構、俺もよくわからんからな」と言って部室から出て行く

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


比企谷「……ま、お前にもいつか分かる時が来るさ」


そう言って、俺は由比ヶ浜の頭に優しく手を置いた。


由比ヶ浜「っ! ちょ、ヒッキー人の頭に手置くの禁止! 髪型崩れるから!」

比企谷「あ、悪い」


……そういや髪を触られるのを嫌がる女子もいたんだっけか、雪乃は全然嫌がらねぇからすっかり忘れてた。

俺は由比ヶ浜の頭から手を離そうとするが、その直後だった。


由比ヶ浜「ま、待ったヒッキー!」

比企谷「あん?」


由比ヶ浜は何を考えたのか、俺の手首を掴んでその動きを止める。


由比ヶ浜「ひ、人の頭に手を置くのは禁止だけど、……でも、またセットし直せば問題ないから……その、こ、今回は特別に置いてもいいかなっ……なんて、その……」


俺の手が邪魔で由比ヶ浜の表情はよく見えないが、耳が紅く染まっているのは伺える。

……照れてんのバレバレだぞ、お前。


↓3 八幡はどうする?

ガハマさんをからかい帰宅する

>>85さん 帰宅というのはガチ帰宅ですか? (ちなみにまだ始業前)

教室に戻るでいいんじゃない

>>89さん 了解です


比企谷「なに由比ヶ浜、お前こんなんで照れてんの? プークスクス」

由比ヶ浜「むかっ! ……ちょっとヒッキー、その言い方なくないっ!? あ、あたしはその、」

比企谷「さてと、俺はそろそろ教室に帰るかな」

由比ヶ浜「……男の子に頭触られるのはじめてで……って、——ちょ、ちょっとヒッキー!? まだあたしの話は終わってな」

比企谷「一限目なんだっけなぁ。……ゲッ、現国じゃん。平塚先生に会いたくねぇなぁ……」

由比ヶ浜「ま、待ってヒッキー! 置いてかないで—っ!?」


背後で由比ヶ浜が喚く声がしたが、俺はスルーした。

……立ち直ったのならもう手は貸さねぇ、あとは自力でなんとかしろ。


俺は部室を出て教室へと戻る。

途中で様々な意志の込められた視線を浴びたが気にしない気にしない。

気にしてたらたぶん俺、学校から帰ったら布団被って泣いちゃうまである。

豆腐メンタル舐めんなよ、ただ豆腐に一番合うのは醤油だと思う。 

ドレッシングとか邪道だ邪道、ただしカレーは許す、あれはマジで美味い。


そんなことを考えながら、俺はF組の教室に帰り自分の席に着く。

俺の周囲は台風の目のように空白域が広がっている、しかも過去最大クラスの台風だ。

……おかしいな、目の部分は雨が降らないはずなのに、俺の心の中では雨が降ってるぞ。

……いや待て、これはもしかして俺の霊力が試されているのかもしれない。

かのオレンジ色の髪した死神代行の心の中では雨がめっちゃ降ってたしな。振りすぎてビルとか埋もれてたし。

俺の始解ってなんだろう。……たぶんアレだな。


————凹め『沈殿丸』 卍解は『ガチしょんぼり沈殿丸』だな。……すげー、超弱そう。


馬鹿みたいなことを考えてると時間はあっという間に過ぎるもので、気がつけば朝のSHRの開始10分前になっていた。

あと10分、どうすっかな。

↓3 八幡はどうする?


うーん、雪乃の斬魄刀でも考えてみるか。

雪乃は……なんだろう、雪乃の名前からして氷雪系の斬魄刀なのは想像がつくんだが、氷雪系は『氷輪丸』と『袖白雪』があるからな。

たしか雪の異称で『白魔(はくま)』ってのがあったような……。

意味は災害に相当する大雪を、悪魔に見立てるときなどに用いられる言葉……だっけか? ……もういいか名前はそれで。

そんで斬魄刀の系統が斬撃系か鬼道系か治療系かのどれかと聞かれれば、あの俺への切れ味鋭い発言から斬撃系で間違いないはず。

あと雪乃が照れ隠しをするときは矢継ぎ早に言葉を繰り出すから、連撃性能がアップする……刀身の重さが軽量化するのもいいかもしれない。


解号は 凍てつけ『白魔』 卍解は『青女白魔(せいじょはくま)』 『青女』ってのは古代中国における、霜や雪を降らすとされている女神のことな。

……おお、なんかそれっぽい。 少なくとも『沈殿丸』よりは強い。

『沈殿丸』は切りつけた相手をネガティブにする効果しかないからな。……なにそのネガティブホロウ、ある意味最強じゃん。


雪乃の斬魄刀について考えてると時間はあっという間に消費され、朝のSHRの開始を告げるチャイムが鳴る。


比企谷「(……ハァ、今日ははやく家に帰って寝たい。昨日は雪乃の家でロクに眠れなかったからなぁ……)」


若干憂鬱な気分になりながらも、俺は午前中の授業に挑んだ。



——そして迎える昼休み。


比企谷「(昼メシはカレーパンと食べかけのメロンパンがあるがどうすっかな……)」


↓3 八幡はどうする


比企谷「(教室は居心地が悪いし奉仕部へ行くか。俺のベストプレイスは初々しいカップル(笑)に占領されちまってるし)」


俺はカレーパンとメロンパンを持って奉仕部の部室へと向かった。


【奉仕部部室】


比企谷「うーっす」

雪ノ下「こんにちは、比企谷くん」

比企谷「おう、今日も邪魔させてもらうわ」

雪ノ下「ええ、どうぞ」


奉仕部の部室には、すでに雪乃がいた。

いつもの定位置に座り、膝の上で弁当を広げて昼食を摂っている。


比企谷「……お前、そんだけで昼メシ足りんの?」


俺は雪乃の膝の上の弁当箱に注目する。

雪乃の膝に置いてある弁当箱は小さい。 

俺なら1分もかからない内に平らげられてしまうくらいのサイズだ。


雪ノ下「……そうね、少し物足りなさは感じているわ」

比企谷「ふーん、じゃあ俺のカレーパンでも食うか? 少し分けてやるよ」


俺はカレーパンを包装から取り出し、半分に千切って雪乃に差し出す。


雪ノ下「……受け取ってもいいのかしら?」

比企谷「ああ、なんなら食べさせてやってもいいぜ?」


軽口混じりに俺がそう言うと、雪乃は思案顔を浮かべる。


雪ノ下「……、」


↓3 雪乃はどうする? 以下より多数決

�気持ちだけ受け取る �食べさせてもらう �逆に食べさせてあげる

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


雪ノ下「それじゃあ、その…………た、食べさせてもらえるかしら」

比企谷「あいよ」


俺は椅子から立ち上がり、雪乃の目の前まで移動する。


比企谷「んじゃ口開けてくれ」

雪ノ下「……、」


雪乃は俺に言われるままに自分の口を小さく開く。

……いや、確かに俺は口を開けてくれとは言ったけどさ、そんなに小さくちゃ入んねぇよ。


比企谷「雪乃、もっと口開けねぇか? ……さすがにその百円玉サイズの開きじゃ、カレーパンは入らねぇよ」

雪ノ下「……っ、……こ、これならどう……?」


俺に指摘されて雪乃はさらに大きく口を開く。

雪乃の薄い桜色をした唇は開かれ、純白の歯が奥まで覗ける。……うん、これなら大丈夫だろ。


比企谷「……、あ、あーん」


俺は一口サイズにカレーパンを千切って、雪乃の口の前に持っていく。

そして雪乃は俺の指に吸い付くように、自身の口の中へカレーパンを運びこむ。

その直後、俺の指にはなにやら柔らかな感触と、少し湿った温もりが襲いかかる。


比企谷「っ!」


……オーケイ落ち着け比企谷八幡、深呼吸だ深呼吸。

現在の俺は自身の持つ屈強な精神力が試されている。

これは試練だ、この試練を無心で乗り越えられないのなら、この先の俺はおそらく誘惑に耐え切れずアウトだ。


……だが人間という生き物は、一度体感してしまった衝撃は中々忘れる事が出来ない。

どうでもいいことならすぐに忘れてしまうのだが、全身を駆け巡るレベルの衝撃の場合はそうもいかない。


比企谷「(つーかなんだこの唇の柔らかさ、ボールドでも使ってんのか? ……いや、人間にボールド直接使ったら危険どころの話じゃねぇか……)」


俺お得意のどうでもいいことで意識と感覚を紛らわせ、なんとか平静を装う。

指に口が触れている雪乃はなんだが小動物のようで、そのまま頭を撫で回したい衝動を必死に自制しながら俺は時が過ぎるのを待つ。


そして指先に走るむず痒い感覚に耐えること数秒、雪乃が小さく喉を鳴らした。

どうやら咀嚼し終えたようだ。


比企谷「(……さて、もういいか)」


俺は手を引っ込め、カレーパンの残りを雪乃に渡す。

そして雪乃に背を向け自分の席へ戻ろうとする。


——が、しかし


雪ノ下「ま、待って比企谷くん」


背後から雪乃に上着の裾を引っ張られ、俺は動きを止められる。


雪ノ下「あの、その………」


雪乃は俺に何かを言いたそうにこちらを見上げている。 ……上目づかいヤメロ、破壊力がヤバイから……っ!


↓3 雪乃は何を言おうとしている? 以下より選択


�「お礼にあなたにも食べさせてあげるわ」

�「もっと、……あなたに食べさせてもらいたいのだけど……」

�「……あ、ありがとう……っ」


雪ノ下「もっと、……あなたに食べさせてもらいたいのだけど……」

比企谷「も、もっと……?」

雪ノ下「……ええ、もっと」


雪乃は人差し指を自分の唇に当て、物欲しそうな表情を浮かべる。 ……ぐ、ぐぬぬっ。


……どうしよう、流石に二回目は精神的にキツイぞ? でも雪乃はこうして俺に頼んでいるわけだしな……。


俺が逡巡していると、雪乃は裾をぎゅっと強く握り締める。


雪ノ下「ダメ……かしら……?」


そしてそこから上目づかいプラス首傾げの凶悪コンボ炸裂。 八幡の精神力はゼロになった。


比企谷「……だ、だだダメじゃない! 全然ダメじゃないぞ!」


無理無理無理、流石にこのコンボからは逃れられない。 

このコンボから逃れることが出来る人間がいたら、もうその人が神だと信じてやまないレベル。


比企谷「……じゃ、じゃあ残りのカレーパン、返してくれ」

雪ノ下「はい」


俺は雪乃からカレーパンを受け取り、それを再び一口サイズに千切る。 ……あ、やべっ、カレーが指先にくっついちまった。


比企谷「(……舐めとるわけにはいかねぇから、これは放っておくしかねぇよな)」


俺は指先にカレーが付いたまま、千切ったカレーパンを雪乃の口の前へ。

それを雪乃が先ほどと同じように食べるかと思いきや、雪乃はまったく予想外の行動に出た。


雪乃はどんな行動に出た? 以下より多数決

�八幡の手首を軽く掴んで指先を甘噛み �指先についたカレーを舐める 

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


雪ノ下「んっ……」

比企谷「ッ!?」


俺の耳が拾ったのは、雪乃の口から洩れた甘い嬌声だった。

気づけば俺の手首は雪乃に掴まれ、つい先程までカレーパンを持っていた指先は雪乃の唇に挟まれている。


比企谷「ゆ、ゆゆゆ雪乃っ!……お、お前な、なにしてんだッ!?」

雪ノ下「……、」


俺は雪乃に問い質すも、雪乃はうんともすんとも言わない。

その代わりに雪乃は、俺の人差し指の第一関節までを自分の口に咥え込む。


比企谷「ッ!」


そしてそれと同時に、生温かい感触が俺の指先を包む。 いま俺が指先に触れてるのって雪乃の……っ!



……お、おいおいこれ本当に現実か? これは寝不足で俺が見てる夢だろ? そうだよな……?


↓3 これは夢? それとも現実? 以下より選択

�現実 �夢で平塚先生に叩き起こされる


雪ノ下「……、」

比企谷「痛っ」


指先に鋭い痛みが走る、どうやら雪乃が俺の指を噛んだようだ。

……そしてこの痛みで俺はハッキリした。 

これは間違いなく現実で、そして俺は雪乃に指を咥え込まれている。 ……あれ、奉仕部ってそういう意味じゃねぇよな?


比企谷「……、」

雪ノ下「……、」


俺と雪乃はお互い無言のまま見つめ合う。 ……というか、話しかける言葉が見つからないだけなのだが。


……そもそもこんなシチュエーション、高校生活中に起きることなど誰が想像できようか。

材木座あたりなら想像していたかもしれんが、生憎俺はリアリストなのだ。

パンを咥えて登校しても曲がり角で運命的な出会いなどしないし、憧れの先輩から突然告白などもされない。

街中で不良に絡まれてる美少女を助けても惚れられることもなく、川沿いの土手で寝そべっていても話しかけられることもない。

図書館で本を借りようとしたら、偶然同じ本を探していた美少女と手が重なることもない。

所詮ラブコメなど、作者が生み出した妄想の塊なのだ。 

そんなことが現実に起きることなど、絶対にありえない。 

ありえない、ありえないと言ったらありえないのだ。 ……ぜ、絶対に、ありえないんだからね!


八幡はどうする? 以下より多数決


�雪乃の髪を撫でる
�指を押し込んでみる
�指を引き抜いて雪乃の頭に軽くチョップ
�お腹が空いたのでカレーパンを食べる

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


とりあえず、俺は自由な片手で雪乃の髪を撫でることにした。

さっきラブコメが起きないと言ったな。あれは嘘だ。

ひとまず困ったときの髪頼み。 髪を撫でたら神がなんとかしてくれるハズ! ……ダジャレかよ、つまんね。


比企谷「……、」

雪乃「……っ」


特に話す事もないので、俺は無言のまま雪乃の髪に手を置いた。

俺が手を置いた瞬間、雪乃がびくっと身体を震わせたが、まぁ前回もそうだったから特に気にしない。

そうして俺は髪の流れに沿うように、手の平で雪乃の黒髪を優しく撫でる。


比企谷「(……なんかこうしてると、猫とじゃれあってる感覚に似てるな)」


片方の手で口元を弄り(というか指先を弄られ)、もう片方の手で頭を撫でる。 ……うん、もうコレ猫だな。

命名はゆきにゃ、もしくはゆきにゃん。 ……センスねぇな俺、なんの捻りもねぇぞ。


そんな事を考えながら雪乃の髪を撫で続けていると、雪乃の瞼が少しずつ閉じられてくる。 

雪乃が猫なら顎の下を撫でたらすぐに寝るレベル。……どうすっかな。


↓3 雪乃の顎の下を撫でる? 以下より選択

�撫でる �撫でない �眠気覚ましに額へデコピン


比企谷「(……よし、撫でてみるか)」


俺は雪乃の髪を撫でるのを止め、手の平を返して雪乃の喉元へ移動させる。
 

雪ノ下「……っ、……ひ、比企谷くん? こ、この手は一体なにかしら……?」


突然喉元に手を寄せられて驚いたのか、雪乃が目を丸めて訊ねると同時に、俺の指が雪乃の口から解放される。

引き抜かれた指先からは雪乃の唾液が糸を引き、妙に艶かしい気分を演出するが、そこは般若心経を唱えてなんとか湧き上がる情欲を鎮める。


比企谷「(……觀自在菩薩行深般若波羅蜜多時…………あーくそっ、ここから先はわかんねぇままだった……っ)」


だが、ひとまず心を落ち着かせることには成功した。


比企谷「……、」


俺は無言のまま雪乃をじっと見つめ、自分の指を静かに雪乃の喉元へと這わせる。


雪ノ下「え、……あ、……ひ、比企谷くん? ……こ、これは、……あの、その…………っ」


俺の指が喉元に触れた途端、雪乃の表情がみるみるうちに朱色に染まっていく。 


比企谷「(……あれ? よく考えてみればこれ、俺が雪乃にキスしようとしてるように見えてねぇか?)」


向かい合う男女、喉元に伸びる手、喧騒からかけ離れた場所、二人っきり。

うん、完全にキスシーンを撮れる条件満たしてやがる。 ……だが、それがどうした。


比企谷「(……まぁ別にキスするつもりはさらさらねぇからどうでもいいか)」


そう、俺の目的は雪乃の顎の下を撫でることであり、雪乃とキスすることではない。

これがその辺のラブコメ漫画やラノベなら空気に流されるままキスするだろうが、俺は決してそんな真似はしない。 

……け、決して自分からキスが出来ないからキスしないとかそんなんじゃないんだからね!? 

その気になればキスくらい余裕なんだから!


…………さっきから誰得のツンデレ連発、俺の頭も末期だなぁ。


比企谷「(……まあいい、それよりさっさとやることを済ませてしまおう)」


俺は指先に意識を集中させ、雪乃の顎の下を撫で始める。

指全体で撫でるのではなく、小指から人差し指を順に折り畳むように撫でるのが、猫の顎の下を撫でるコツである。

これで俺はカマクラを幾度と無くごろごろ鳴かせてきた。 でも最近はあんまりやってねぇな、家に帰ったらやってやるか。


雪乃「……っ、……っ」


俺の指が動く度に、雪乃の身体は小刻みに震える。 

両眼は硬く閉じられ、両手は握り拳を作って膝の上に置かれている。


比企谷「(……んー、なんか想像したのと違うな。もっとこう……上手く言えんが……とにかくアレだ、地味に疲れる)」


雪乃の肌はスベスベで、動かしている俺の指が途中で引っかかることはない。

だが逆にスベスベし過ぎて指と肌の間に摩擦があまり働かず、俺の指の動く速度が減速しないのだ。

そして減速しないということは、指の動きは加速度的に上昇……まではいかないが、ある一定の速さで固定されてしまう。

これが猫の場合、指が毛に引っかかってある程度遅くなるのだが、雪乃は人間であり猫ではない。 行動は猫みたいだけどな。


つまり俺は何が言いたいのかというと、『指を高速で動かしすぎて疲れた』ということが言いたい。 

最初からこれ話せよ、何もったいぶってたんだ俺……。



だから俺は指を動かすのをやめた。 ……というか、そろそろ昼メシが食いたい。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�昼メシを食べる �昼メシを食べる前に手を洗ってくる �喉が渇いたので飲み物を買ってくる。



思い立ったが即行動。

俺は放心状態の雪乃には触れずに自分の席へ戻り、残しておいたメロンパンを口に運ぶ。


比企谷「(——うん、美味い。サクサクで甘いクッキーみたいな外生地に、パサッとした味気のない中身。このパサパサ感が病みつきに…………なるわけねぇ)」


開封後すみやかにお召し上がりしなかったせいか、メロンパンは普段の倍くらいパッサパサしていた。 


比企谷「(……だ、誰か俺に水を……!)」


パサパサのメロンパンの影響で、俺の口内の水分が枯渇しかけている。 畜生ォ……持っていかれたァ……ッ! 返せよ俺の唾液……!


しかし、この奉仕部の部室の中には先程も述べたように、俺と雪乃の二人っきり。

頼りになりそうな雪乃は、さっきのなでなでで心が遠くへフライアウェイ。 一向に戻ってくる気配がない。



↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�雪乃のティーセットを拝借して自分で淹れる �自販機に買いに行く �その他

すみません>>137をお願いします
ダメなら↓で

>>139さん 了解です。

すみません、今日は学校の課題をやらないといけないので更新はここで一度ストップします。

再開は明日の午後からです、それでは

携帯から失礼します
すみません、課題が想像以上に多くて今日は再開出来そうにないです
出来たとしても日付変わったぐらいになりそうです、すみません

携帯から失礼します
すみません、課題が想像以上に多くて今日は再開出来そうにないです
出来たとしても日付変わったぐらいになりそうです、すみません

>>142 >>143 連コメしてました、すみません

課題は終わらない、今日から学校、青春なんてクソ食らえ そう思う深夜0時

お久しぶりです、色々あって遅くなりました 

とりあえず更新再開します、誰かが見てくれたら嬉しいです


雪ノ下「…………んっ、……ここ、は……、……奉仕部の……部室?」


と思ったら、意外と早くご帰還する雪乃のピュアハート。 

ドキドキからの超回復、案外雪乃はプリキュアに変身できる素質を備えているのかもしれない。 ……いや、高校生でプリキュアはねぇな、ちょっとイタすぎる。

……まあそんなことはどうでもいい、今は喉の渇きを潤さなければ。


比企谷「雪乃、すまんが紅茶を淹れてくれ」

比企谷「あとでなでなででもなんでも好きなのやってやるから、早く……っ!」

雪ノ下「……え? あ、え、えっと、……その、わかったわ」


雪乃は俺に視線を合わせることなく返答し椅子から立ち上がると、近くの机の上に置いてあるティーセットを手に取る。

湯沸かしポットに水を注ぎ入れ……ってオイ、水あるじゃねぇか! 

雪乃が手にしているのは、どこからどう見ても水。

英語で言うとウォーター、ラテン語だとアクア。……アクアでいいんだよね? ちょっと自信ない。

しかし、奉仕部の部室内には化学室や美術室などとは異なり、水道は設置されていない。

なので今雪乃がポットに入れている水も、空のペットボトルに廊下の水道から出した水をを流し込んだものだ。


比企谷「(あの水を直接飲めば喉の渇きは解消されるが……)」 


……いや、でもここは我慢だ。せっかく雪乃が俺の為に(命令したが)紅茶を淹れてくれているのだ、数分ぐらい待つべきだろう。 


比企谷「(三分間待ってやる!)」


そして雪乃は、5分後に俺へ紅茶を差し出した。 ……あちゃー、バルス唱えられちゃったわー、ラピュタ崩壊だわー。



だが、紅茶を淹れるのにはそれなりに時間がかかる。

雪乃に差し出された紅茶も、よく見ると色が薄い。 


比企谷「(……まぁ、あの短時間じゃ抽出も殆ど出来ねぇよな)」

雪ノ下「……ごめんなさい比企谷くん。その紅茶、急いで淹れたものだから、普段の紅茶より薄くなってしまったの」

雪ノ下「茶葉を多めにすればよかったのだけれど、生憎さっきの時点で茶葉がこの一杯分しかなくて……」


雪乃は申し訳なさそうに目を伏せる。 ……なるほどね、茶葉も少なかったのか。


比企谷「……いや、そんなに気に病む必要はねぇよ雪乃」


俺は雪乃から受け取った紅茶を少し啜って口の中の渇きを潤す。 ……うん、ちょっと薄い感じがするが、それでも


比企谷「だってこれは雪乃が淹れた紅茶だろ? それならどんな色してようが、そんなのは美味いに決まってる」


空いている手で雪乃の頭に軽く手を置き、そっと髪を撫でる。


雪ノ下「……っ、比企谷くん……」

比企谷「ありがとな雪乃。また飲みたくなったら頼むわ」


そう言って俺は、自身が猫舌なのを気にせず紅茶を一気に飲み干す。 

……熱っ……けど……ど、どうだ、一昨日のお前の期待に応えてやったぜ? まあお前は覚えてないかもしれんがな。

空になった容器を机に置いて、俺は自分の席に戻った。


↓3 八幡はどうする?


メロンパンを食べ終え、そのあとカレーパンも完食した俺の腹は満たされた。

実を言うと少し物足りなさを感じているが、愚痴をこぼしても食べ物が目の前に出現するわけでもない。 ……ここは我慢だ我慢。

だから俺は気を紛らす為にポケットからスマホを取り出した。

画面を指先でぬるぬる操作し(雪乃に咥えられた方じゃないぞ)、『チャリ走』を起動したのだが、その直後雪乃が俺に話し掛けてきた。


雪ノ下「……ねぇ比企谷くん、少しいいかしら?」

比企谷「ん? どうした改まって」


スマホの画面では、棒人間が自転車に乗って街中を警戒に駆け抜けて……あ、操作してねぇから崖に落下したわ、南無三……。


雪ノ下「いえ、その……。……私、比企谷くんの連絡先を知らないのよ。だから……」

比企谷「ああ、そういやアドレス交換してなかったな。そんじゃ、いま交換するか」

雪ノ下「ええ、話が早くて助かるわ。……えっと、携帯は……」


雪乃はブレザーのポケットから携帯を取り出す。

本体のカラーは名前の『雪』と関連しているのかは不明だが白、そしてこのご時世に珍しくスマホではなくガラケーだ。

ストラップには、パンダのパンさんが2匹くっついている。 ……パンさん好き過ぎるだろお前。


比企谷「じゃあ俺が赤外線で送信するわ。お前は受信してくれ」

雪ノ下「わ、わかったわ。……えっと、受信……受信…………。……比企谷くん、受信のボタンが見つからないのだけれど」

比企谷「は? ばっか雪乃、お前赤外線で受信するにはメインメニュー開いて赤外線のカテゴリから赤外線受信を選択すんだよ。ボタン一発で赤外線受信出来る便利機能はガラケーにはねぇよ」

雪ノ下「め、メインメニューを開いて……赤外線のカテゴリから……せ、赤外線……受信? が、……ががが、がらけー………???」


雪乃の頭上に沢山のクエスチョンマークが浮かび上がる。 どうやら雪乃は機械があまり得意ではないらしい。 


でもお前、文化祭の実行委員で滅茶苦茶パソコンと自分の身体酷使してたよな……?

……あ、それは昔にネットで猫の動画を見るためにパソコンの使い方は覚えたのか。 

猫の為に苦手を克服とは、流石は雪乃、俺とは違う意味で努力の方向が間違っている。


すみません、今日から学校なんで寝ます。

続きはまたのちほど(今日の夕方以降)です。


談笑して手を握る……どうやってその場面にもっていけばいいんだ……

手を握るのが無理なら偶然手が重なったとか触れたとかでいいんじゃない?

ゆきのんが機械音痴なのを利用して、八幡がゆきのんに教える時に、ゆきのんの手をとって優しく教えるとかは?

>>155さん >>156さん アイデア感謝です、参考にさせて頂きます。

すみません、お待たせしました。ちょっと課題をやってて遅くなりました。

結局課題は終わってないけど、まだ提出日までは時間はあるんでなんとかなるかな……?


あ、それと明日は学校が入学式でお休みでした。

なので今回は結構夜遅くまで更新する予定ですので、最後まで(寝るまで)お付き合い頂ければ幸いです。


比企谷「……あー、もういいや。雪乃、俺にお前の携帯貸してくれ、自分でやる」


ゲームをピコピコと呼ぶコンピューターおばあちゃん(16歳)にはアドレス交換は至難の技のようだ。

昼休みも残り少なくなってきているし、ここは俺がちゃちゃっとやってパパッと済まそう。

俺が雪乃の携帯に手を伸ばすと、雪乃はそれを拒むように携帯を自身の胸の前で抱きかかえる。


雪ノ下「嫌よ。……こういうのは、自分自身の手でやらないと意味が無いの」

比企谷「……、」


雪乃は俺が今まで出会ってきた人間の中で、誰よりも負けず嫌いである。

おそらく先程の俺の一言は雪乃の脳内で「だっさ、雪乃はそんなのも出来ねぇのかプークスクス。仕方ねぇから俺がやってやんよ」とでも変換されてしまったのだろう。 ……うわぁ、面倒くせぇ。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�雪乃の意志を尊重する �問答無用で携帯奪取


比企谷「……ったく、仕方ねぇな」


俺は嘆息混じりに椅子から立ち上がると、雪乃の前まで移動する。

……ようするに、雪乃は自分で赤外線受信が出来ればいいんだろ? 

雪乃の前に立ち塞がる問題を、俺の主体で解決するのが気に食わないわけだ。

つまり、俺がするのは雪乃のサポート。

こいつの意志を尊重しつつ、手取り足取り教えてやればいいわけだ。


比企谷「なら俺がお前に赤外線で受信する方法を教えてやるよ。……それでいいか?」

雪ノ下「……、私が比企谷くんに教えを請うのは非常に癪に障るのだけれど、……仕方ないわね」

比企谷「あ、そんな態度をとるならいいや。教えてやらん」

雪ノ下「っ! ……ま、待って比企谷くん、今のは……その……」

比企谷「さてと、そろそろ帰るかなー」


俺は背を向けて部室から出て行こうとすると、不意に左手を雪乃に掴まれる。


比企谷「……なんだよ?」

雪ノ下「え、……えっと、その…………ご、ごめんなさい比企谷くん」

比企谷「何が?」

雪ノ下「……さっきの私の無思慮な発言のことよ」

雪ノ下「つい普段の調子であなたに返してしまったけれど、あの発言は人から物を教わる立場の人間の台詞ではなかったわ」

雪ノ下「だから、ごめんなさい」


雪乃は掴んでいた俺の手を離すと、両手を膝の前で合わせて深々と俺に謝罪をする。


比企谷「(……俺が他人に謝罪するのはなんとも思わねぇけど、俺が他人から謝罪されるとなんかヘンな感じだな……)」


そして見ていて、あまり気分の良いものでもない。


比企谷「(雪乃の言動はいちいち辛辣だが、いざこうやって素直に謝られるとなんか調子が狂っちまうな……)」


雪乃が謝る姿は見たくない。 俺の憧れる雪ノ下雪乃という人物は、そう簡単に人に頭を垂れる人間ではない。

だから、俺は雪乃にこう言った。


比企谷「……やめろ雪乃、お前がそんな軽々しく頭下げるな」

雪ノ下「でも……」

比企谷「でも、じゃねぇ。いいから頭を上げてくれ雪乃」

比企谷「それに、他人に頭を下げるのは俺の専売特許だ。勝手にそれを奪うのは許さん」

雪ノ下「……っ、……わかったわ」


聞き分けの良い雪乃は静かに姿勢を垂直に正す。

そう、これでいいのだ。誰よりも正しくあろうとする雪乃が謝るのは間違っている。


比企谷「じゃあ昼休みもそんなに残ってねぇから手短に済ませんぞ」


部室にある時計の長針は、あと3分で昼休みの終了時刻を指そうとしていた。

急がないと5時限目の授業が始まってしまう。

たしか次は移動教室だったな、地学とかちょっとダルいんだが……。


雪ノ下「……ええ、わかったわ」


雪乃は携帯を両手で持ち、俺の指示を聴く体制に入る。 ……なんか可愛いな、おい。


比企谷「えっと、まずは待受画面を開いて決定ボタンを押してくれ」

雪ノ下「待受け画面を開いて……決定ボタンは…………これね」

比企谷「そしたらメインメニューが開かれたはずだ」

雪ノ下「ええ、開かれたわ」

比企谷「よし、そんで次はその中に『赤外線通信』って書かれたアイコンがあると思うんだが……」

雪ノ下「赤外線通信ね。……えっと…………あったわ。これに合わせて……決定ボタンを押すのよね?」

比企谷「そうだ。そうすると今度は『送信』と『受信』のアイコンが出てくる。雪乃は俺のスマホから何をしなきゃいけねぇんだ?」

雪ノ下「私がするのは赤外線の受信ね。そして比企谷くんが赤外線の送信」

比企谷「正解だ。だからお前が選択するのは?」

雪ノ下「『受信』のアイコン」

比企谷「そういうことだ。んでこれで準備は終了」


俺は自分のスマホを赤外線送信状態にし、雪乃の携帯に向けて差し出す。


比企谷「あとは赤外線ポート……いや、携帯のカメラのレンズ部分を、赤外線通信したい者同士で合わせれば通信完了だ」

雪ノ下「……こ、こうかしら?」


雪乃が俺のスマホに携帯を差し出すと、画面に『赤外線通信中』の文字が浮かんですぐに消える。

そして画面には新たに『送信完了』の文字が浮かび上がった。


雪ノ下「……! 届いたわ」

比企谷「よし、そんでそれをアドレス帳に登録したら本当に終わりだ。赤外線の送信についてはまた今度な」


俺が言葉を言い終わると同時に、チャイムが鳴り響く。

一時の休息が終わり、午後の授業が始まる。


比企谷「さてと、そんじゃチャイムも鳴ったことだし帰るわ」

雪ノ下「ええ、助かったわ比企谷くん」

比企谷「どういたしまして。部活は今日もあるよな?」

雪ノ下「勿論」

比企谷「りょーかい、んじゃまた後でな」

雪ノ下「ええ、また後で」


雪乃と別れて、俺は教室へと戻った。


↓3 教室に戻る途中で誰かと遭遇した? 以下より選択

�した(キャラ名記入) �しなかった



比企谷「(地学とかダルいな……。プレートの動きとかそんなん知ったからって何が出来んだっつぅの。人間は自然には逆らえねぇんだよ)」


5時限目の地学は移動教室なので、俺は早足で教室へと戻る。

階段を降り渡り廊下を突き進んでいると、前方に『エンカウントしたくない人物ぶっちぎりのトップ』である材木座を発見してしまう。

『逆にエンカウントしたい人物ぶっちぎりのトップ』は言うまでもなく戸塚だ。とつかわいいよ、とつかわいい。


材木座「……むぅ? 我の前方より来たるは、我が父君の仇である八幡ではないか」

比企谷「(……何が何でも無視だ。材木座に関わってたら時間がいくらあっても足らねぇし)」


つうか父君の仇ってなんだよ、なんで俺がお前の親父殺したことになってんの? 

自分の都合で肉親を殺してんじゃねぇ。あと人を勝手に殺人鬼に仕立て上げんじゃねぇよ。 

ただし殺人鬼じゃなくてアサシンなら許す。息を潜めて標的に気付かれることなく暗殺を粛々と熟す……痺れるよなぁ。


材木座「クックック……ここで会ったが百年目! さあ八幡よ、我の前に傅く心構えは出来たか!?」

比企谷「(……無視無視)」


だが今の俺は急いでおり、こんなアホに付き合っている暇などない。

なので材木座の妄言に耳を傾けることなく、俺は材木座の横を通過する。


材木座「ちょっ、は、八幡!? なぜ我の存在を無視してそうも先を急ぐのだ!? 貴様の向かう道の果てには、一体何が待ち構えているというのだ!?」

比企谷「(……うぜぇ)」


このウザさ、とある洞窟に住む聖剣さんを彷彿とさせる。

……アニメの放映時、聖剣さんがCMまでジャックしたのは驚いたなぁ。 

ところでアニメの第二期はいつになったらやるんですかね? 

死神体術『罪』の構えとかやって二丁拳銃ぶっ放したのはいい黒歴史。


↓3 八幡はどうする?


比企谷「……次の授業が移動教室なんだよ。邪魔すんなら叩き潰して材木にすんぞ」

材木座「ほむん。そうか、貴様が先を急ぐにはそのような重大な理由が……」

材木座「ふっ、いいだろう。今回は特別に見逃してやろうではないか八幡よ!……こ、今度は付き合ってくれるよね?」


比企谷「なぜそこで素に戻る。あと頬を染めんなきもいから。上から目線なのもイラッとくるし、あときもい。きもい」

材木座「き、貴様……! 我への禁句を三度も口にするとは万死に値するぞ!?」

比企谷「るせぇ、殺せるもんなら殺してみやがれ。生憎俺はお前に殺されるほどやわじゃないんでな」

材木座「ほう、……クックック、その余裕の表情、いつまで保つ——っては、八幡っ!? 敵前逃亡など情けないとは思わぬのか!?」


背後で材木座が何やら喚いているが関係ない。 

全力で渡り廊下を駆け抜け、F組の教室へ飛び込む。

教室にはほとんど生徒はおらず、残った数人が慌てて自分の机の中から教科書やノートを取り出していた。


↓3 そこに見知った人はいた? 以下より選択

�戸塚彩加 �由比ヶ浜結衣 �川崎沙希 �いない


俺もそれに倣い机の中から教科書とノートを取り出す。 もちろん筆箱も忘れない。

中身を取り出すために引いた椅子を戻し、いざ地学室へ向かおうとした所で肩をとんとんと叩かれる。


比企谷「だ(ry」


振り向くと同時に左頬へ細い棒のようなものが押し当てられる。

……いや、これは指だ。強く握ったら簡単に折れてしまいそうな儚さを感じるこの指の持ち主は、俺が知る限る一人しかいない。というか、クラス内で俺の肩を叩きそうな人間は一人しかいない。


戸塚「あはっ、ひっかかった」


振り向いた先には優しく微笑む天使がいた。間違えた戸塚がいた。


戸塚「急ごう八幡、授業に遅れちゃう」

比企谷「お、おう」


昼休みにテニスコートで練習をしてきた後なのか、戸塚からは制汗スプレーの良い香りがした。

……スーハー……スーハー、——よし、戸塚分補充完了! 通報されても文句は言えんなコレ。

俺は戸塚と一緒に地学室へと急いだ。



授業開始1分前に自分の席に座り、なんとか遅刻を回避する。

そして特に目立ったこともなく授業を受け、5時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

次の授業は体育、これから更衣室へ移動してジャージに着替えなければならない。……面倒くせぇ。

教室に戻って机の中に荷物を片付け、体操着の入った袋を持って男子更衣室へ。

このとき注意しなくてはいけないのは、ぼっちは更衣室へ一番乗りをしてはならない。

一番乗りだと自然と他人から注目を浴び色々と目立ってしまうので、日影を好むぼっちは中盤あたりに紛れて着替えるのがベストだ。 

しかし着替えるのが遅いと、『遅刻魔』というヘンなレッテル貼られる可能性があるので注意が必要。

遅く教室を出て素早く着替える。これできみもなれる! UB(優秀なぼっち)。

以上、ぼっちマイスターの誰得講義終了。 ……ホントに誰得。



体育の授業内容 以下より多数決

�体育祭の練習 �男女混合でサッカー �その他(選択された際に再安価で内容決定)

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


【グラウンド】


着替えを済ませ下駄箱で運動靴に履き替えてグラウンドに向かうと、そこには多くの生徒が集まっていた。

普段の体育では男子しかいないが、今日は沢山の女子の姿を確認できる。

なんでも今日は体育教師の大半が出張で教員が不足しているらしい。

だから普段は男女別々の体育も、今回は特別に合同でやることになったようだ。


厚木「……うおん、今日は俺以外の体育教師が出張だから男女混合でサッカーやるぞ」

厚木「そんじゃお前ら組内で適当に3チーム作れや」


厚木の一言でクラスの人間が動き始め、それぞれでチームを形成していく。


比企谷「(……ま、俺はいつも通り残るまで待つか)」


本日も俺のぼっちオーラは全力全開、周囲に人が寄り付いて来ない。

加えて先日の文化祭の悪評も相乗効果を発揮して、普段の倍くらいの空きスペースが展開されている。

……なんか檻にぶちこまれた動物の気分だ。おいコラ見せモンじゃねぇぞ! がるるるるーっ!


くだらない威嚇をしたりして時間を潰すこと数分、俺の周囲には十数人のグループがいくつか形成されていた。

そして俺と同じ様な境遇の人間が、ぽつんと寂しく取り残されている。 ……この時間が本当に苦痛なんだよなぁ。


厚木「なんじゃおい、お前らまだ決まらんのか」


痺れを切らしたのか、厚木が腕を組みながらこちらに歩いてくる。


厚木「まったく仕方がないのう。ならお前はそこ、お前はそっち、そんでお前は……」


厚木の流れるような仕分け作業でぼっちが各チームへ分配されていく。 

そして最後に俺が残された時点で、厚木は俺に話しかけてきた。


厚木「あとは……おお、比企谷か。この前の文実ではご苦労さん」

比企谷「……どうも」

厚木「なんじゃ、覇気が足らんのう」


厚木は俺の肩をバシバシと叩きながらそう言ってくる。

さっきの戸塚に叩かれたやつの百倍痛い、肩パンとか体育会系のノリだよなぁ……超うぜぇ。


比企谷「……すんません」

厚木「……ふむ、まあええわ。そんでお前はそこな」

比企谷「……うっす」


厚木に示された方へとぼとぼ歩いて行くと、そこには


チームのメンバーは? 以下より多数決

�カースト上位陣プラスα �相模南プラスα �モブ軍団プラスα (プラスαは川崎と戸塚)

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


そこにいたのは、4人組の女子を中心に集まった13人。

同じクラスなだけあって4人組の内3人の顔に見覚えはあるが、名前までは覚えていない。

ただそのうちの1人は、俺にしては珍しく顔も名前も鮮明に覚えている。


相模「……、」


相模南、先日の文化祭で実行委員長を務めた女子生徒。


比企谷「……、」


俺は相模の横を無言のまま通り過ぎ、集団の後方へ移動する。

するとその直後、前方からひそひそと話し声が繰り広げられる。

その内容を聞こうとする必要はない。なぜなら内容は容易に想像がつくからだ。

俺は文化祭終盤で失踪した相模をエンディングセレモニーへ連れ戻す為に、とある手段をとった。

誰も傷つかない世界を完成させる為に、俺は己を犠牲にして相模を悲劇のヒロインに仕立てあげた。

端的に言えば、ヒールになり大量の反感を買った。

そのおかげで、俺の普段の学校生活の風当たりは常に台風並みの強風だ。

おそらく前方で繰り広げられる内緒話の内容は、俺への侮蔑や軽蔑。


比企谷「(……ったく、とんでもねぇ地雷地帯に送り込まれちまったな)」


額に手を当てて天を仰ぐ。 

眼前に広がるのは雲ひとつない秋晴れの空と、頂点を過ぎたが燦々と照りつける太陽。

この眩しさは、日陰者には少し辛い。


戸塚「……は、八幡。大丈夫?」


そして今度は背後から声が聞こえた。

振り返ると、そこには荒地に咲く一輪の花のように儚い存在で、見るだけで俺の保護欲が掻き立てられて仕方のない戸塚が立っていた。


比企谷「戸塚か、お前もこのチームなんだな」

戸塚「うん、相模さんに誘われて」

比企谷「ふぅん、そうか」

戸塚「あと川崎さんもいるんだよ、川崎さんはぼくが誘ったんだ。ほらすぐそこに」


戸塚が指し示した場所には、青みがかった長い黒髪をシュシュで1つに束ねた女子が立っている。

彼女の名前は川崎沙希、重度のブラコンだ。 

あと蹴りの鋭そうな長くしなやかな脚が特徴、ボールと間違って蹴られたりしねぇだろうな……?


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�戸塚と話す �川崎と話す �試合開始までぼーっとしてる


初めてみる川崎の体操服姿をぼーっと見ていると、その視線に反応したのか川崎がこちらを向いた。


川崎「ひっ!」


すると突然川崎は小さな悲鳴を上げて、ジャージで顔の半分を隠す。 


比企谷「(……ただ見てただけでその反応は流石に傷つくぞ)」


折角だから川崎に話しかけようとしたがやめた、もういい戸塚と話す。


↓3 戸塚と話す内容

すみません、ちょっと課題やってきます。
12時過ぎくらいに再開予定です。


厚木「よし、そんじゃそことそこ、1試合15分で試合な。審判はフリージャッジでやれや」


厚木は俺の所属するチーム以外の2チームにそう指示を出すと、別のクラスの方へ行ってしまった。


「さがみんあたしら最初休みみたいだし、あっちでおしゃべりしてよー」

「いいね、それナイスじゃん」

「……それに近くにヘンなのいるからあんま近づきたくないしねー」

相模「あ、うん。わかった、いこいこー」


どうやら相模たち4人組はコート側に設置されたベンチへ移動するようだ。

その周りにいた男女も相模達のあとに続くように移動する。お前ら金魚のフンかよ。


戸塚「八幡、ぼくらはどうしよっか?」

比企谷「……そうだな、この辺で軽くパスでもしながら話でもしてるか」

戸塚「うん、わかった。じゃあぼく、ボール持ってくるね」


そう言うやいなや、戸塚は少し離れた位置に置いてあるボールカゴへと走っていった。


川崎「……、」

比企谷「……、」


そしてこの場に残される俺と川崎。

周りの喧騒が、なぜか遠く離れた様な錯覚に陥る。


川崎「……っ、」

比企谷「(なんか川崎の視線をスゲェ感じる……。でも目を合わせたらさっきみたいに拒絶されんのがオチだしなぁ)」


暫く居心地の悪い空気に耐えていると、戸塚がボールを両手で抱えて帰ってくる。


戸塚「お待たせ、八幡」

比企谷「よし、そんじゃやろうぜ」

戸塚「うんっ!」


戸塚の満面の微笑み、プライスレス。 

もし戸塚がマックでバイトしてたら、俺スマイル100個頼んじゃうかもしれん。

でも店員が客からスマイル注文されると、その店員は『笑顔が足りない』ってことで給料を減らされるらしいんだよなぁ……。


そんな噂話を頭の中に浮かべながら、俺と戸塚は5メートルくらい離れる。


比企谷「そんじゃ、いくぞ戸塚ー」


左足を軽く地面に踏み込み、足首を固定しながら右足側面の内側でボールを前方に蹴る。

するとボールは綺麗な直線を描き、難なく戸塚の足元へ到達する。


戸塚「上手だね八幡。よーし、ぼくも……えいっ!」


足の裏でボールを止めた戸塚が俺へ蹴り返してくる。

しかしボールは俺の足元とは少し離れた場所へ、それを俺は脚を伸ばして停止させる。

ごめんなさい、眠いので今日はもう寝ます。

続きは今日の夕方以降です。

すみません、戸塚は兄弟は『いない』でいいんでしたっけ?

今のところわからないが多分いないはず。

>>209さん 助かります。 原作読み返してもなかなか家族の描写が見つからなくて焦ってました。

学校も本格的に始まり、授業の初っ端から課題がどっさり。見なかったことにしよう、うん。


さて今日も睡眠時間を削って更新。今回で話を試合まで運べたらいいなと思います。

眠りにつくまでお付き合いして頂ければ幸いです。


ボールを足の裏で足元まで移動させ、俺は再び同じ動作を行う。

地面を転がってきたボールを戸塚がトラップし、再度俺へ返す。

それを何度か繰り返していく内に戸塚はコツを掴んできたのか、戸塚のパスは徐々に精度が上がっていく。


戸塚「えいっ! ——あっ!」


だがその直後だった。

ボールの扱いに慣れてきたことでつい力んでしまったのか、戸塚の蹴りだしたボールが地面を離れ、俺の胸元を目掛けて飛んでくる。


比企谷「——っ」


しかし俺はそれを慌てずに胸で受け止め、膝へと落としそのまま数回リフティングを披露してみせる。


戸塚「ご、ごめん八幡! 大丈夫っ!?」


跳ねるボールを地面へ足裏で押し付けると、戸塚が小走りでこちらに詰め寄り心配そうに声をかけてきた。

そんな戸塚を安心させるために俺は、かつてネット世界で一世を風靡した伝説の死亡フラグを口にする。


比企谷「ああ、大丈夫だ、問題ない」


……結局あれトレーラーしか見てないんだが、ゲーム自体は面白かったの? 

本編や設定に色々ツッコミどころが満載で、ギャグゲーとしては優秀だったとか評価されてたが……。


戸塚「そっか、よかったぁ……」


まあほっと胸を撫で下ろす戸塚を見てたらそんなのどうでもよくなるよね。

とつかわいい。さいかわいい。


戸塚「八幡って、テニスだけじゃなくてサッカーも上手いんだね」

比企谷「まあな。サッカーはボールがあればどこでも出来るから、家で極限に暇になった時によく自宅の塀に向かってボール蹴ってたんだ」

比企谷「だから俺はそこそこの実力を誇るぞ。極限に暇になるのは毎週あったからな」


毎週土曜日は引きこもりデー、なんならその翌日も引きこもりデーである。

人間の友達がいないと、ボールが友達になるのだ。……あー、タノシカッタナー。


戸塚「……へ、へー。それって小町ちゃんも一緒にやったりしたの?」

比企谷「小町はたまにあいつの気が向いたらやる程度だな。基本は家の中でゴロゴロしてたわ」

戸塚「そっか。でも兄妹で一緒に遊ぶのって、なんだかちょっと羨ましいな。……ぼく、一人っ子だからそういうのなくて……」

比企谷「あれ、戸塚って一人っ子だったのか?」

戸塚「うん、そうだよ」

比企谷「へー、そうなのか。俺ずっと戸塚には兄弟いると思ってたわ」


俺のイメージでは戸塚はしっかり者の弟、もしくは兄。

だらしない兄弟をやんわりと叱責するのが容易に想像できる。……俺も戸塚に叱責されてぇ。小町と結婚してくんねぇかな。


そんな幸せ人生設計を脳内で構築していると、遠くで笛の音が鳴り響く。

どうやら試合が終わったようだ。


戸塚「あ、試合が終わったみたいだね」

比企谷「よし、そんじゃいくか」


戸塚と並んでコートへと歩を進める。

初戦の相手は……あいつらか。


↓3 初戦の相手はどっち? 以下より選択

�カースト上位陣 �モブ軍団

川なんとかさん絡んでほしかったなー

>>216さん 大丈夫です、kwskさんはこのあと出番(主人公)ありますんで

それに二人は試合中にも絡ませる予定です。

でもあくまで予定なんで、急遽変更になった場合は申し訳ございません。


はまちのSSが増えてきているのを感じる今日この頃。

彼らの作品を読んでると自身の語彙力不足を痛感します。 オラに語彙力分けてくれ!

あと2時間半後にはアニガイルの第二話が放送開始です。今日でテニスまで進むんですかね……?

そんなわけで更新を再開します、暫しお待ちを。


戸部「いやーマジヤバかったわー、さっきの試合の隼人くんマジで神がかってたわー」

葉山「やめろよ戸部。そんなに俺を褒めても何も出ないぞ」

三浦「でも隼人がスゴかったのは事実だし」

由比ヶ浜「だよねー、さっきの隼人くんの……なんだっけ、…………へ、ヘアハット? であたし鳥肌立ったもん!」

海老名「結衣、ヘアハットじゃなくてハットトリックだよ?」

由比ヶ浜「はっ! そ、そうだった。うぅ……またヘンなこと言っちゃった……っ」


そこに立っているだけで、目の眩む圧倒的な輝きを放つ集団。

青春を心の奥底から謳歌し、この一分一秒を無駄にしまいと何事にも全力で取り組む人間達。

その中心に君臨する葉山を筆頭としたクラスカースト上位陣が、初陣の相手だ。



プロの国際試合のようにコート中央に整列することもなく、各チームの選手がコート全体へ散らばる。

ピッチに立つのは合計27名。俺達のチームが14名で、葉山達のチームが13名だ。

相手のキーパーは鈍重優柔不断の大和、ゴール前には童貞風見鶏の大岡、中盤には空気清浄機の葉山、最前線には金髪お調子者の戸部がそれぞれ配置されている。

そして三浦や由比ヶ浜は、葉山の周りを囲んでキャッキャウフフしている。誰か葉山にボールぶち当ててくんねぇかなぁ……。


一方こちらのキーパーは、名前の知らないサッカー部のサブキーパー、ゴール前にはやる気のなさそうな川崎、中盤には相模とその他3人、最前線には名前の知らないバスケ部数人。

……え、俺? 俺は戸塚と一緒にゴール前(川崎とは反対側)で待機してる。

だってあんまり動きたくないし、それに二酸化炭素を沢山出したら地球さんが可哀想だろ。

そんなくだらないことを考えているうちに、厚木がホイッスルをけたたましく鳴り響かせて試合が始まる。


↓3 試合開始。葉山のチームはどうやって攻めてくる? 以下より選択


�戸部が敵陣へ切り込み、葉山が戸部へロングパス

�女子にボールを渡して攻める

�戸部が開幕で油断したところをバスケ部にボールを奪われる


戸部「よっしゃ、俺も隼人くんに負けてらんねーっしょ。ここは華麗に」

「スキだらけだぞ戸部」

「いただきっ」

戸部「——って、あっ!?」


キックオフで戸部がボールを確保するも、瞬く間にボールはバスケ部の二人組に奪取される。

……あ、今思い出したけど、あいつら前に葉山とつるんでた奴らじゃん。……うわぁ、なんか複雑。


バスケ部の二人は軽快なボール捌きで相手を躱し、敵陣へと切り込んでいく。

だがその動きは、相手コートの中盤に差し掛かった辺りでぴたっと止まる。


葉山「戸部、油断しすぎだ」

戸部「隼人くんマジごっめー! あとは任せたー!」

葉山「……まったく、自分の失態は自分で取り返してくれると助かるんだけどな……」


バスケ部の行手を拒むのは、サッカー部で主将を務める葉山だ。


直下判定 コンマが8以上なら葉山を抜き去る それ以下の場合は葉山にボールを奪われる


葉山「——っ」

「あっ!?」

「くそっ!」


バスケ部の1人がフェイントで抜き去ろうとしたその刹那、葉山はすれ違いざまにバスケ部からボールを奪い去ってみせる。

そしてその見事な早業に、コートの至る所から黄色い歓声が沸き起こる。


「きゃああああっ!」

「隼人くんかっこよすぎーっ!!」

海老名「……くっ、そこはぶつかって地面に倒れ、その流れで隼人くんが片倉くんに覆いかぶさるところなのに……!」


……安定の海老名さん、ブレねぇなぁ。


葉山「さてと、——戸部ッ!」


葉山は中盤からセンターサークル付近にいる戸部へパスを繰り出す。

戸部はそれを胸で受け止め、地面にボールを落とす。


戸部「サンキュー隼人くん、マジ助かったわー! 今度牛丼おごるからー!」


片手をぶんぶんと葉山に振って戸部は精一杯の感謝アピール。 

ところでなんでリア充ってすぐ他人に食いもん奢ったりすんの? 

そんなに散財するの好きなのかよ。だったら八幡宮に全財産使ってお祈りでもしてろよ。いやして下さい。


ちなみに八幡宮っていうのは、大分県宇佐市の宇佐神宮を総本社とする八幡神を祭神とする神社のことな。……そうか、やはり俺は神だったのか……。



↓3 戸部はどう攻める? 以下より選択

�ドリブルで中央突破 

�葉山にボールを戻してその直後敵陣奥まで突入し、葉山の超ロングパスからゴールを狙う

�いきなり無謀なロングシュート


戸部「っしゃ! 今度はぜってぇに取られねーからなー!」


そう言うやいなや、戸部はコート中央からこちら側のゴールを目掛けてドリブルを開始する。


「させるか!」


名前も知らない男子が目の前に立ち塞がろうとするが、戸部は減速することなくそのまま直進する。


戸部「そんなディフェンスで俺を止められると思ったら大間違いっしょ!」


あわや正面から激突するかと思ったその直後、戸部は男子に背を向け、まるで社交ダンスでも踊るかのように身体を捻って半回転をする。

戸部が繰り出したのは『マルセイユ・ルーレット』と呼ばれるサッカー固有のドリブルである。

回転と同時に足の裏でボールを巻き込みながら移動するので、相手が足を出してきてもボールを奪うのは至難の業だ。

戸部はそのままトップスピードを維持した状態で俺達のゴールへ突き進む。

中盤にいた相模たちは戸部を避けてしまったので、もう戸部の猛進を防げる可能性を持つ者は俺と戸塚しかいない。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�男らしく一人で戸部に特攻

�戸塚とダブルチームでディフェンス

�あ、無理。これは止められねぇわ

�岡崎さんが動いた……!?

遅くなってすみません、再開します。



……いや、違う。まだゴール前には俺と戸塚以外に人が残っていた。


川崎「……、」


腕を組み不機嫌そうに眉を顰めた川崎が、丁度戸部が突き進んでいる直線上に立っている。


戸部「——お、えーっと……川崎さんだっけ? なになに、俺の前に立ち塞がっちゃう?」


戸部は川崎の前で急停止すると、普段の軽いノリで話しかける。

臆することなく川崎に話しかけるとはさすがリア充(笑)、コミュ力ハンパねぇな。


川崎「……は?」


しかし川崎は、それを冷めた声音で返す。……いや、斬り返すと言ってもいいかもしれない。

鋭利な一声(それでも雪乃には及ばないが)で、川崎は戸部の動きを阻害する。……というか、戸部のやつ若干ビビってね?


戸部「……っべー、しくったわー、どうすんのコレ? ちょ、隼人くんマジヘルプ……っ!」


なんかボソボソ言ってるし、背後からだいぶ離れた位置にいる葉山にめっちゃ視線送ってるし。

なんか見てて可哀想——とは思わない。むしろ愉快爽快いい旅・夢気分。箱根とか一度でいいから行ってみてぇなぁ。


閑話休題。


……まあ、戸部が川崎にビビるのは仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。

川崎はクラスカーストに属していない特殊な人間だ。

故に普段は下層の人間を弾圧し放題で多少強引な手も使える上位陣でも、『階級なし=赤の他人』である川崎に強い態度を出すのは難しい。

具体例を示すなら、街中ですれ違った人間にいきなり『俺の靴を舐めろ』とか言う具合である。ヘタしたら通報されるレベル。

ちなみに川崎がカーストに属していない理由には、一学期の頃の川崎の行動が深く関わっている。

一学期の頃の川崎は学校に遅刻すること多数。授業中も窓の外を眺めて授業放棄、もしくは居眠りと、素行が大変よろしくなかった。

休み時間も誰とも群れることなく、周囲に『話しかけんなオーラ』を出して外界との関係を遮断していた。

しかし最近の川崎は文化祭のクラス発表で劇の衣装関係で活躍し、ある程度クラスメイトと交友を深めたりしたのだろうが、その文化祭マジックも数日を過ぎれば効力を失う。

あと俺の風評被害はいつになったら終わるんですかね、このままだと俺の『こころ』という名の農作物が腐り落ち……いや、元から腐ってるから問題ないか。


そんな川崎は、俺とは違うベクトルのぼっちだ。

一昔前の不良のように、自分から群れるのを拒んでいる。

そして俺の場合は、俺が群れてくるのを相手が拒んでいる。

近寄ろうとしたら追い返されるとか、俺は蝿か何かかよ。

……はっ、つまりあいつらはクソってことか! 蝿が集るのは殆どが汚物だし、きっとそうに違いない。……え、違う? 違うかー。

そんなどうでもいい思考の海を泳いでいると、二人に動きがあった。

どうやら川崎が戸部からボールを奪おうとしているようだ。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�川崎に加勢する

�全力で見守る

なぜかあがってない……
ksk


川崎「とりあえず邪魔だから、蹴り飛ばす」

戸部「っ!?」


川崎のすらっと伸びた長い脚が戸部の足元へ強襲する。

背後に助けを求めていた戸部は慌てて川崎に向き直り、ボールを脚の裏で引き寄せ半身の状態になってそれを回避する。


川崎「……こういうのあんまりやる気出ないけど、なんかさっきの発言癪に触ったから本気でやるから」


川崎は戸部の動きに反応する為に腰を落として中腰になる。 

左右どちらに抜かれても対応出来る様に片足は半歩後ろに引き、ボールの動きを注意深く観察している。

……川崎のやつ、もしかして経験者か?


戸部「っかー、ヤベー川崎さん、もしかしてちょっと経験者っぽいカンジ?」

川崎「……別に。小さい頃よく弟達と遊んでただけだから」


俺の疑問を戸部が代弁し、川崎がそれをぶっきらぼうに答える。

小町に這い寄る虫とガチでサッカーとかやってたんすね川崎さん、……くそっ、微笑ましいじゃねぇか。


しかし、それでも現役サッカー部と帰宅部では実力の差が大きすぎる。

それに加えて高校生の男女では、体格も筋肉量も全然違う。

川崎は女子のなかでも高身長だが、それでも戸部に比べるとやはり小さく見える。

それに弟達と公園とかで遊んでいた程度のレベルで戸部を止めることなど非現実的で夢物語だろう。

一対一の勝負の場合は、な。


比企谷「戸塚、俺達もいくぞ」

戸塚「え? あ、うんっ!」


なので俺と戸塚も川崎に加勢することにした。

一対一の真剣勝負? サッカーは団体種目なのでそんなのは関係ない。

団体種目において個人の戦果は重視する点ではなく、団体種目ではチームが勝利することが全てだ。

古人曰く、勝てば官軍負ければ賊軍。

つまり勝利を掴んだ者こそが正義なのだ、負け犬の遠吠えなんかいちいち聞いていられるかよ。


↓3 八幡はどう動く?

�戸部を取り囲む

�横から戸部へスライディング(コンマ判定あり)

�戸部がボールを自陣へ戻す


とりあえず俺は川崎の右、戸塚は左に移動し戸部を三方向から包囲する。


戸部「あっれ、ヒキタニくんじゃん、いたの? ……っべー、今まで全然気が付かなかったわー」

比企谷「……違ぇよ、わざと存在消してたんだよ」

戸部「マジで!? スッゲーじゃん、なにそれアレっしょ! あの視線を誘導するっていうミスなんとか!?」

戸塚「……み、ミスディレクションのことかな?」

戸部「そうそれ! っかー、ヒキタニくんって実は幻のシックスマンだったのかよー」

比企谷「んなわけねーだろ」


そもそもバスケは黒バスの作中のキャラが言うとおり『欠陥競技』だ。そんなもん誰が好き好んでやるものか。

それになんでゴールが地上3メートル付近に浮かんでんだよ、せめて2・5メートルにしろよ、ダンク出来ねぇじゃねぇかバカ野郎。

……でもたぶん別の世界線の俺は、その黒バスに影響されてその道を目指したりしてたんだろうなぁ。

けど本家より影が薄すぎて誰にも認知されずに、ただひたすらシュート練積み重ねてたんだろうなぁ、……あゝ無情。


比企谷「つーかサッカーの試合には最低でも7人いないとダメだろ、俺がシックスマンじゃピッチには5人しかいねぇじゃねぇか」

比企谷「たしかサッカーの試合って、7人未満になったら試合が中止になるんじゃねぇの?」

戸部「おー、意外にサッカー知ってんじゃんヒキタニくん。なにヒキタニくんも結構イケる口?」

比企谷「なんで飲み会のオッサンみてぇに聞いてくんだよ……」

比企谷「違ぇよ。ただ昔ウイイレで相手選手にスライディング連発してカード貰って退場しまくってたら、なんか試合が強制的に終わった事があって、そんで覚えてるだけだっつぅの」


キャラメイキングで絶対に許さないリストに書き連ねた名前の選手作って、俺(総合値90オーバー)でスライディング連発して鬱憤を晴らしてたのはいい思い出。あれはホントに楽しかった。


戸部「へ、マジで? そんなことあんの? スッゲー、今日家帰ったらやってみるわ!」

比企谷「ああ、やってみろ。案外楽しいぞアレ」


川崎「……バカじゃないの?」


戸部「ん? ——って、あっ!?」

比企谷「……あー、そういやすっかり忘れてた」

戸塚「二人とも、敵同士なのに会話が弾みすぎだよ……」


いつの間にか戸部の足元にあったボールは消え、気がつくと川崎が足元にボールを確保していた。

ちゃっかりしてんなお前、人の目を盗むのが得意だからバイトもバレなかったのかねぇ。……ま、過ぎたことはどうでもいいけどな。


↓3 このあと川崎はどうする?

バトルドームだっけ?

>>246さん 安価はその↓ってことでいいんですか?

待ってるのもアレなんで再安価します

↓1 このあと川崎はどうする?


川崎「あとお願い」


川崎はそう言って俺にパスを出してきた。

俺はそれを受け取るが、目の前にはついさっきボールを取られたばかりの戸部がいる。

……ねぇ馬鹿なの? なんでわざわざ奪ったボールを敵の近くにいる俺に渡しちゃうの? なに俺どんだけ川崎に信用されてんだよ。


とりあえず半身になって、俺はボールと戸部を結ぶ直線の間に割って入る。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�戸塚にパスしてリターン(ワンツーパスで突破、コンマ判定あり【成功率高め】)

�単独ドリブル突破(コンマ判定あり【成功率低め】)

�キーパーに戻す


俺は反対側にいる戸塚に視線を向ける。

戸塚の周囲には誰もおらず完全なフリー。

戸塚にパスを出しすぐに返してもらえれば、華麗なワンツーパスで戸部を抜き去る事が出来る。


比企谷「戸塚!」


俺はやや強めのインサイドパスを出し、前方へ走り出す。

パスを受け取った戸塚は自分が何をしていいのかが分からず慌てふためくが、俺が右手を前に出して合図を送るとそれを理解したのか、俺の走っている前方へパスを出す。


直下判定 コンマ以下が0〜2の場合は失敗して戸部にボールを奪われる 3〜9の場合は成功



戸部「うおっ! ワンツーとかマジッ!?」


背後から戸部の驚愕の声が上がるが、それを振り返っている時間はない。

相手はサッカー部、少しでも距離を取らなければあっという間にボールを奪い返されてしまうからな。

なので俺はドリブルで自陣後方から前線へと向かって進んでいく。


相模「……、」


そしてその途中で、中盤にいた相模が俺のことを見ていた。 

何か言いたそうにしていたが、勿論そんな暇はない。

俺はセンターサークル付近まで駆け上がると、そこに二人の相手が立ち塞がる。

どちらも顔は知っているが、名前は覚えていないクラスメイトだ。

ディフェンスに対応する姿勢から推測するに、二人はおそらくサッカーは遊びでやっている程度だろう。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�ドリブルで突破(コンマ判定あり)

�味方にパス

�後ろにいる相模にボールを戻す


遊びでやっている程度の存在に、俺の本気を出すまでもないな。


比企谷「よっと」


俺はその場で反転し、後ろにいる相模達にボールを戻す。

ボールは吸い込まれるように相模の足元へ。……というか、狙ってパスを出しただけなんだがな。

だってほかの3人めっちゃ俺のこと睨んでるし、憎悪溢れすぎて俺の精神的ダメージがヤバイし。



「うわっ、なんであいつこっちにボール寄越したんだし」

「きも、なんかあたし鳥肌立ってきちゃったんだけど」

「わーホントすっごい鳥肌ー。てかあいつ何考えてんの? マジでキモくない?」

相模「……、」

「さがみん大丈夫? あんなキモ男が触れたボールなんて触んないほうがいいって」

「そうそう、ただでさえさがみんこの前の文化祭であいつにヒドイこと言われてるんだから」

「そーそー。だからこのボールは……あ、長原ー、これあげるよー」

「おー、サンキュー」


Q.女子にボール渡しただけでこの反応ってヤバイすか? 

A.超ヤバイ。 ……あ、やっぱりヤバイ? ……うわぁ、帰りてぇ。


俺が相模達に出したボールは汚物扱いされて、同じチームの長原とか言う奴の足元に渡った。

長原はそのボールを前線にいるバスケ部二人にパスを出して、そこで一仕事やってやったぜとでも言わんばかりに額の汗を拭う。

……誰か俺の全身から溢れ出るいろんな液体拭いてくれねぇかなぁ。

脂汗とか手汗とか、あと目元に大量の汗が溜まって超辛いんだけど。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�大人しく最初にいた場所へ戻る

�直後、カウンターで葉山が前線に上がってくる

�その他(内容記載)


このまま中心で突っ立ってても仕方がないので、俺は元いた場所へ戻ることにした。

背後から嘲笑を受けながら所定の位置に戻ると、そこでは天使が俺の帰りを待っていた。


戸塚「八幡、お疲れさま」


背後に一面満開のお花畑が咲き誇って見えるほどの微笑みを浮かべながら、戸塚が俺を労う。

そして目の前にいるあまりにも健気で愛おしい存在に、俺は思わず昇天しかけた。

俺は……消えるのか? ……いや、まだだ、まだ俺は戸塚と結婚するまで死ぬつもりは毛頭ない!

そして日が沈みゆくグラウンドで、俺は戸塚にこう言うんだ——「俺が結婚してやんよ!」ってな。

そうして俺達は結ばれハッピーエンド(海老名さん的な意味で)。

てか同性婚が可能な国ってどこだっけ? たしかデンマークとかノルウェーだっけか……? あんまりよく覚えてねぇや。


比企谷「……ああ、超疲れた。やっぱり慣れないことはするもんじゃねぇな」

戸塚「そうだね、ぼくもさっきのパスを出しただけなのに、どっと疲れちゃった」

比企谷「あーアレな。さっきのはナイスパスだったぜ戸塚、サンキューな」

戸塚「えへへ、どういたしまして。八幡も、ナイスパスだったよ」

比企谷「そうか、そりゃよかった」


↓3 八幡はどうする? 以下より多数決

�戸塚とさらに会話を続ける

�川崎と話をする

�その他(選択された後に再安価で内容決め)

先に3票集まった選択肢で先に進みます

↓3 戸塚と何を話す?


戸塚「ねぇ八幡、普段の奉仕部ってなにしてるのかな?」

比企谷「ん? 普段の奉仕部って言われても、いつも依頼があるとは限らねぇからなぁ」

比企谷「依頼がなかったら俺は読書、雪乃は読書か由比ヶ浜と雑談、由比ヶ浜は雪乃と雑談か携帯いじってんな」

戸塚「へー、そっか。でも、八幡は二人の雑談に混ざったりしないの?」

比企谷「あー、それがだな……。あいつら二人は距離が近すぎるというかなんというか、とてもじゃねぇけど俺が割って入る隙間は存在してねぇんだ」

戸塚「そ、そうなんだ。それで八幡は気まずくなったりしないの?」

比企谷「いや、俺は会話に混ざれずに弾かれるのは慣れてるから、別に今更目の前で仲良く会話されても何にも思わねぇな」

戸塚「……は、八幡っ、これからはもっと、ぼくといっぱいおしゃべりしようね! ね!」


俺の事を気遣ってか、戸塚が俺の手を握りながらそう言ってくる。

……なんて素晴らしい提案なんだ、なんならもう一生戸塚とおしゃべりしてもいいレベル。


比企谷「ああ、そうだな」

戸塚「うんっ!」


八幡はどうする? 以下より多数決

�さらに戸塚と会話

�川崎さんが会話に乱入

�その時、カースト上位陣のカウンター炸裂

�試合終了

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


川崎「……ねぇあんた」

比企谷「あ?」


おい、誰だ俺と戸塚のふわふわ(おしゃべり)タイムを邪魔する愚か者は。U&I(埋めて傷めつける)するぞコラ。

声が聞こえた方向に首を少し動かし、流し目でその人物を確認する。

そこにいたのは岡島だった。


川崎「そ、そんな、邪険な態度、しなくてもいいじゃん……」


岡崎は若干涙目を浮かべて狼狽える。……なんだろう、当初のイメージとはいい意味でかけ離れていくなこいつ。


比企谷「別にそんなつもりはねぇよ」

川崎「そ、それならいいけど……」


川崎は胸の前で両手の指を付けたり離したりして視線をあちこちに彷徨わせる。

お前はあれか、バイトでミスやらかした時の俺か。

責任逃れようと必死に言い訳を考えてる時の俺そっくりじゃねぇか。……まぁそのバイトは責任とらされてすぐクビになったけどな。

そのおかげで駅前の本屋行けねぇんだよなぁ……、なんでダンボールの中に入ってた新品の本を持ち上げようとしたら急に底が抜けんだよ、俺が悪かったのアレ?


比企谷「で、なに?」


過去のトラウマを思い返しながら、俺は川崎へ正面を向いて問いただす。


川崎「え、えっと。……あ、あんたさっき雪ノ下のこと、名前で呼んでたから、少し気になったというか、その……」

戸塚「あ、ぼくもそれ少し気になったんだ。どうして八幡は、雪ノ下さんのことを名前で呼んでるの?」

比企谷「っ、そ、それはだな……」


……どうする、二人になんて説明すりゃいいんだ? 余計な混乱は避けたいところだが……。


どう説明する? 以下より多数決

�正直に話す �適当に誤魔化す �その刹那、飛んできたボールが——!

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


比企谷「実は昨日陽乃さんと一悶着あってだな、その時の成り行きで俺は雪乃の事を名前で呼ばなきゃいけなくなっちまったんだ」

川崎「……陽乃さん? ……誰?」

比企谷「あー、そういやお前陽乃さんと面識なかったな。それに打ち上げの時にいなかったから知らないのか」

比企谷「戸塚は知ってるよな?」

戸塚「うん、もちろん」

戸塚「陽乃さんはね、雪ノ下さんのお姉さんだよ。雪ノ下さんと同じくらい綺麗な人なんだ」

川崎「……ふぅん」

川崎「てかなに、あんた達打ち上げとかやったの?」

比企谷「ああ、半ば強制的にだがな」

戸塚「ぼくは由比ヶ浜さんに誘われたんだ」

川崎「……あっそ。…………打ち上げ、ね」

比企谷「……なんだよ、お前自分が誘われなくて寂しかったの?」

川崎「は、はぁ!? そ、そんなわけないじゃん! 別に打ち上げなんて全然興味ないしッ!」

戸塚「あっ、そういえば川崎さん、ぼく後夜祭の時に川崎さんが一人でうろうろしてるのを見かけたんだけど、あれって誰か探してたのかな?」

川崎「っ!?」

比企谷「へー、後夜祭行ってたのかお前」

川崎「……な、なにその言い方。あたしが後夜祭行ったら何か悪いの?」

比企谷「いや別に。ただ意外だなぁと思っただけだ」

比企谷「つーかそれより、お前は誰を探してたんだ?」

川崎「……っ」

比企谷「……あー、お前が言いたくないなら言わなくてもいいぞ。別にそこまで知りたいわけでもねぇから」

川崎「……、」


川崎はどうする? 以下より多数決

�「…………あ、あんた。……あ、あたしはあんたを探してたの……っ!」

�「……じゃあ、言わない」

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


川崎「…………あ、あんた」

比企谷「は?」

川崎「……あ、あたしはあんたを探してたの……っ!」


川崎は頬を朱色に染めながら、震える指先を俺に突き付ける。


比企谷「……は? なんでお前が俺を探してたんだ?」

川崎「だ、だってあんた、あたしが気がついたら教室からいなくなってて、一足先に後夜祭に行ったんじゃないかと思って……。……あんたに話すこと、色々あったのに……」

戸塚「八幡はあの後どこに行ってたの? ぼく八幡と後夜祭、一緒に行こうとしてたんだけどなぁ……」

比企谷「なん……だと……?」


あの日そのまま教室に残ってたら、戸塚からのお誘いがあっただと!? 

……おい過去の俺、なんであの日最悪な空気に耐えて戸塚の誘いを待たなかった!? 

だ、誰かあの日の俺にDメール送れ! 過去改変だ! 世界線移動のバタフライ効果で戸塚が女になればなおよし! 

でも俺は『運命探知の魔眼(リーディング・シュタイナー)』持ってねぇから世界線の変化を確認できねぇじゃん……。


八幡はどうする? 以下より多数決

�「……つーか話すこと? なんかあったっけ?(すっとぼけ)」

�「……もしかして話って、校舎内でお前と会った時のアレか?」

�「……ら、来年は一緒に楽しもうな戸塚! あー、あと川崎も」

先に3票集まった選択肢で先に進みます。

すみません、朝早いんでもう寝ます。

更新は今日の18時以降になります。

遅くなりました、再開します。


比企谷「……くっ、でもいまさら後悔してもどうしようもねぇか。過去は変えられねぇからなぁ……」


でももしも過去改変が可能なら、俺は小学生からやり直して完璧なリア充人生を謳歌してみたいと思う。

今まで積み重ねてきた数々の黒歴史と反対の道を歩むことが出来れば、きっと俺は誰も寄せ付けることのない孤高のリア充になることだろう。

……でもぼっちなのは変わらねぇのかよ、なにそのキョロ充止まり、なら今のままでいいわ。


比企谷「まぁそれよりえっと……なんだっけ? 川崎の話したかったことって、校舎内で俺がお前と会った時のアレか?」

川崎「……、」


川崎は俺の問いに無言で頷き返す。

……はて、俺は一体あのとき川崎になんて言ったんだ?(すっとぼけ)


↓3 八幡は川崎になんと言った? 以下より選択

�サンキュー! 愛してるぜ川崎!

�バイキュー! 感謝してるぜ川崎!

再開します。遅くなってすみません。


比企谷「たしか『サンキュー! 愛してるぜ川崎!』……だっけか?」

川崎「……っ」


川崎はその確認に顔を真っ赤に染めながら小さく首を縦に振る。


比企谷「(ああ、だから文化祭終わった辺りからこいつの様子が少し変だったわけか。あれを本気に取られてもなぁ……)」


しかしそれを俺の本心だと受け取ったのは川崎だけではなく、川崎の隣にいる戸塚もどうやら俺の発言が冗談抜きで本気だったと思ってしまったようだ。


戸塚「あ、愛してる!? は、八幡は川崎さんのことを……そ、そんなに……す、好き……なの?」


戸塚は純真だから人を疑うことが出来ずにどんな話でも鵜呑みにしちゃうんだろうなぁ。かわいい、とつかわいい。


……だがいくら戸塚といえども、勘違いしてもらっては困る。


まず俺は川崎に好意を抱いてなどいない。

小町に近づく害虫の姉という時点でもう無理。あいつがいなければ今後の可能性としてはなくもないんだがな。

そもそも現時点で俺が好意を抱いているのは、小町(兄妹愛的な意味で)と戸塚(父性愛的な意味で)と平塚先生(師弟愛的な意味で)のみだ。

他は……まぁなんだ、ちょっと俺の管轄外だから対応出来ない。

だって俺数学とか恋愛は苦手だし、見たり触れたりするだけでなんか全身がむず痒い気分になるし。

三角関数とかなんなの? あんなん社会に出て使うのって物理学者とかその辺だけだよね? 私立文系の人間にはそんなもん必要ないんだよ!


閑話休題。


比企谷「(……まあとりあえず戸塚に弁明しておくか。このまま黙ってるとなんか色々と面倒なことになりそうだし)」


ここまでわずか3秒。流石は訓練されたぼっちマイスターである俺だ、思考速度が半端じゃない。

この速度はウサイン・ボルトも裸足で逃げ出すレベル。……でもボルトって、フィールド外だと裸足のイメージなんだよなぁ。


比企谷「ちょっと待て戸塚、勘違いするな。この『愛してる』発言はアレだ、外国人が挨拶をする時にキスやハグをするみたいな軽いノリで言ったのであって他に他意はない。なんなら材木座にも言ったまである」

戸塚「ざ、材木座くんにも!?」


身体を抱いて俺から少し後ずさりする戸塚。その表情は驚愕に満ち、若干の拒否反応が伺える。

……ぐっ、雪乃の暴言なんかより戸塚に拒絶反応示される方が精神的にくるものがあるな……っ


だが実際に言ったことなので否定はしない。

しかし俺は決してホモではないので、どっかの海老なんとかさんは鼻息を荒くしないでください。

なんかここまで「ぐ腐腐腐……」っていう奇妙な笑い声が聞こえてるんで。どんな地獄耳してんのあの人?

……ってか、海老なんとかさんってもう全部名前言ってんじゃん。揶揄する必要まったくねぇー。


比企谷「待ってくれ戸塚、そもそもお前は前提から間違ってるぞ。まず俺が材木座の事を愛しているように見えるか?」

戸塚「え、えっと……ど、どうだろう。……で、でも八幡と材木座くんはとても仲良しだよね?」

比企谷「そうだよな、見えないよな。つまりそういうことだ」

戸塚「あ、あれ? は、八幡? ぼくは——」

比企谷「見えない見えない! そもそも俺は材木座のことなんかなんとも思ってねぇし!」


……戸塚、まだ眼科に行けば間に合う。お前まで俺のような目をする必要はないから早く眼科へ行ってくれ……!

大声で材木座との関係を否定していると、なにやら背後から耳障りな歓声があがる。

そちらを振り向くと、どうやら葉山がボールを奪取したようだ。

黄色い歓声はテレビのアレで充分だろ、なんで現実でも聞かなきゃならねぇんだよ……。


このあとはどうする? 以下より多数決

�相手のカウンターに備える

�川崎にジャージの裾を引っ張られる

�——と、ここで試合終了のホイッスルが鳴り響く

先に4票集まった選択肢で先に進みます。


憎悪を込めた双眸で葉山の動きを注視する。

葉山は一人、また一人と迫り来る相手を危なげなく抜き去る。

そしてその度に周囲から巻き起こる黄色い歓声。……もうホント爆発しねぇかなぁ。

家に帰ったら絶対に許さないリストに葉山の名前を記そうと考えていると、不意に自身の身体に重みが加わる。


川崎「……ちょっとあんた、さっきの話はなに?」


背後からの声に振り向くと、そこにいたのは川崎だった。

川崎は俺のジャージの裾の部分を地面に向けて引っ張っている。

……ねぇ、なんで俺の周りの女子は俺の手とかじゃなくて裾や袖を引っ張んの? そんなに俺の身体に触れるの嫌なの? 

ちゃんと毎日風呂に入ってるんだけどなぁ……。

そんな事を考えながら、俺は葉山の動きを追うのをやめて背後へ振り返る。


比企谷「なにって、そいつはどういう意味だ?」

川崎「だから、さっきのあんたの話。……あ、『愛してる』って発言、軽いノリで言ったのって……ホント?」

比企谷「……、ああ、俺は確かにそう言ったぞ。もしかして聞き取れなかったのか?」

川崎「……っ。……ちゃんと聞き取れたけど、念の為に確認しただけだし。…………ふぅん、……あっそ、そうなんだ」

比企谷「……、」

川崎「……、…………あたし、具合悪くなったから保健室行ってくる。先生には適当に言っといて」

比企谷「ああ、わかった」





「……………………ばか」





川崎が戦線離脱した数分後、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

試合結果は1ー0で葉山達のチームの勝利だった。

試合終了間際に葉山が放った強烈なミドルシュートが俺達のゴールに突き刺さり、それが決勝点となった。

その後の2試合目は2−1でなんとか勝利し、結果は1勝1敗で2位。……まあこんなもんだろ。

体育の授業が終了し、グラウンドから男子更衣室へ引き上げてさっさと体操服から制服へ着替えを済ませる。

帰りのSHRも滞り無く終わり、時間は放課後。……さて、どうすっかな。


八幡はどうする? 以下より多数決

�雪乃の待つ奉仕部の部室へ

�教室を出た直後、平塚先生に強制連行される

�保健室へ川崎の様子を見に行く

�由比ヶ浜に呼び出されて校舎裏へ

先に4票集まった選択肢で先に進みます。


【保健室】


比企谷「……、」


放課後になった直後、俺が真っ先に足を運んだのは奉仕部の部室ではなく保健室だった。

ここに来た理由は、別に俺が怪我をしたとか体調が優れないからというわけではない。ただの見舞いだ。


比企谷「失礼します」


扉を控えめにノックし保健室の中へ。

すると同時に、鼻腔を消毒液特有のツンとする臭いが刺激する。

それに少し顔をしかめながら、俺は室内で養護教諭を探すが見当たらない。どうやらタイミング悪く出払っているようだ。

保健室にはピンク色のカーテンで仕切られた手前と真ん中と奥のベッド、計3個が置かれていた。

真ん中と手前のベッドはカーテンが開かれているが、奥のベットはカーテンが閉じられていた。

おそらくそこで川崎が寝ているのだろう。

……さて、どうすっかな。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択 

�近くの椅子に座って川崎が起きてくるのを待つ

�カーテン向こうの川崎に声をかける

�独り言を呟くと同時に川崎へ謝罪する

>>324
ちゃんと1読め
個人の連続コメントは禁止ですって書いてあるから



まず思いついた選択肢は3つ。

1つ目は近くの椅子に座って川崎が起きてくるのを待つ。

2つ目はカーテン向こうの川崎に声をかける。

3つ目は独り言を呟くと同時に川崎へ謝罪する。

まず1つ目は一見すると無難な選択肢だが、これは川崎がいつ目覚めるかが不確定なので却下だ。

『時は金なり』とよく言うし、時間は無駄には消費したくない。

次に2つ目はカーテン向こうの川崎に声をかける。これも悪くはないのだが、如何せん相手は女子で俺は男子。

寝ている女子に声をかける真似は俺には到底不可能だ。

ヘタしたら話しかけるまでの挙動不審な動作で通報されてしまうかもしれないしな。よって却下。

そして消去法で残ったのが、独り言を呟くと同時に謝罪をする。

これなら特に問題はない、独り言なら俺の得意分野だ。

それに俺は毎日自室でつぶやきまくってるからな。そしてつぶやきすぎて小町に怒鳴り込まれるレベル。ストレス解消になるんだけどなぁ……。

ただこの選択肢、唯一のデメリットを挙げるとすれば、独り言を呟いている最中に誰かが保健室を訪れた場合、俺はなにやらぶつぶつと呟いている奇人と認定されてしまう可能性があることだ。 


比企谷「(……まあ今はそれ以上の汚名を被ってるからそれもどうでもいいか)」


俺は保健室内の隅の壁に寄りかかって腕を組む。

室内において、ぼっちが心休まる場所とは隅っこだ。

掃除ではよくゴミが溜まりやすい場所だが、それでも左右と背後を壁に囲まれているというのは、心に不思議な安心感を強く抱かせてくれる。

ここならちゃんと川崎に謝る事が出来そうだ。


↓3 八幡はなんと謝罪する?

>>326さん 

すみません、その連続コメント禁止が適用されるのは総選挙のみです。通常安価の連続コメントは特に禁止ではないです。

ただ出来れば連続コメントは控えていただけると他の読者の皆さんも安価に参加出来るので、その辺りは読者の皆さんの判断に任せます。


それとちょっとしたお知らせというか近況報告です。

SS速報VIPがサバ落ちしている間に俺ガイルのIFストーリーを書きためてました(わずか1000文字程度ですが……)。

もし機会があれば投稿してみようと思います、その時に閲覧して頂ければ幸いです。


安価は↓3 八幡はなんと謝罪する?


比企谷「あー、その何だ。誤解されるような事言って悪かったな。まさかお前が本気にするとは思わなかったんだ」


室内に反響するつぶやきに答える者はいない。

だが俺は気にせずに言葉を紡ぐ。


比企谷「俺は自他共に認めるひねくれ者なんでな、いちいち発言が卑屈なんだ」

比企谷「その点で雪乃にもこう言われたことがある。『あなたは自身には何も関係ないと感じる人間には、心無い言葉を平気でかける傾向がある』……って。全くもってその通りだ」

比企谷「そのせいで俺は軽いノリでお前に告白紛いのことをした。つまり俺はお前のことは、俺自身には何も関係ない人間と感じていたわけだ」

比企谷「けれどお前はそんな俺の発言に反応した。ということは、お前は俺に少なからず好意を抱いていたんだ」

比企谷「だからその点について俺はきちんと謝らなきゃいけねぇ。俺はお前の純情を弄んじまったんだからな」

比企谷「悪かった川崎。謝って済むような軽い問題じゃねぇのは分かっちゃいるが、それでも俺にはただこうして頭を下げることしか出来ねぇんだ」

比企谷「俺は日陰者だ。葉山や三浦たちみてぇな華々しい連中とは違って、陰鬱で陰険で陰気で陰湿な駄目人間だ」

比企谷「将来は親に寄生するとか専業主夫になって絶対に働かないとか言うような救いようがないほど屑な野郎だ」

比企谷「……それでも、それでもこれだけは言わせてくれ」


比企谷「川崎、こんな俺に好意を抱いてくれてありがとな」



そう言い残して、俺は保健室を後にする。

後ろは決して振り返らない。振り返ればそこに未練を残してしまうから。

迷いのない足取りで、俺は前へと進む。

やはり俺には、人を愛することなんて出来はしないのだろう。

そして仮に出来たとしても、きっとそれは嘘や欺瞞で互いの本心の表層を塗り固めた仮初の愛だ。

そんなものなら、俺には必要ない。

俺は偽物ではなく本物が欲しいのだ。



嘘も欺瞞も秘密も詐術も含まない、穢れ無き本物の愛が。




————……なんてな。

それより今のは我ながら材木座に匹敵するレベルのきもい文章である。ホントよく考えついたな……っ。


↓4 このあとはどうする?

ゆきのんの家に教科書を忘れた事に気づいて、ゆきのんに連絡してあがらせてもらう。

>>334さんの安価はこの後に組み込みます。そのため少し安価の内容を変更しますがご了承ください。



比企谷「(……まあいい、それよりも今は奉仕部の部室へ向かうか)」


俺は階段を1段飛ばしで駆け上がり、特別棟の4階へ移動した。

喧騒から隔離された静かな廊下を進む度、自分の足跡が木霊する。


比企谷「(部室まで行くのは面倒だが、この静寂は嫌いじゃないな。なんなら空き教室に寝泊まりしてもいいレベル)」


スマホを片手で操作しながら、俺は奉仕部の部室に辿り着く。

扉を開けると、そこにいたのは雪乃と由比ヶ浜だった。


由比ヶ浜「あ、ヒッキー! やっはろー!」

雪ノ下「こんにちは、比企谷くん」

比企谷「おう」


軽く手を上げて返事をしながら俺は普段の定位置に座る。

そしてそこから由比ヶ浜の様子を伺うが、その表情に曇りはない。

どうやら今朝のアレからは立ち直ったようだ。


由比ヶ浜「ねぇねぇヒッキー、スマホで何してるの?」


俺が椅子に座ると同時に、由比ヶ浜は俺に近づいてきてそう訊ねる。

……おい、なんか距離近くねぇか? それに体育の後だからか制汗剤のいい匂いするし背中にもなんか触れてるし!


比企谷「べ、別に、ただ調べ物してるだけだっての」

由比ヶ浜「ふーん、じゃあ何調べてんの?」

比企谷「そ、それはだな……」


……言えない、フォルダに入ったプリキュアの画像を眺めてたなんて絶対に言えない。

由比ヶ浜に見つからないように親指を忙しなく動かして、とりあえずグーグル先生のトップ画面を起動。


比企谷「(えっと、なんか適当に文字を打って……)」


フリックで『趣味』と入力しようとした所で、パタンという何かが閉じる音が俺の耳に届く。


雪ノ下「……由比ヶ浜さん、こんな比企谷くんでも私達と同じように人権を持っているのよ。だから人権に基づき、比企谷くんのプライバシーは尊重すべきじゃないかしら?」


音源の方を見遣ると、そこには片手に文庫本を持って佇む雪乃がいた。

雪乃は文庫本を机の上に置いてある自分の鞄の中にしまい、俺の元へ近づいてくる。


雪ノ下「それと由比ヶ浜さん。少し比企谷くんとの距離が近すぎると思うのだけれど」

由比ヶ浜「えー、いいじゃんこれくらい。だってゆきのん、今朝あたしに『あなたも私と同じような振る舞いをすればいいんじゃないのかしら』って言ったじゃん」

雪ノ下「……それは私の物真似かしら? 由比ヶ浜さん、あなたも言うようになったわね」

由比ヶ浜「ふふんっ。いくらゆきのんでも、そう簡単にヒッキーは渡さないんだからねっ!」

雪ノ下「ふぅん、……そう、わかったわ」


……なにこの修羅場。俺のクラスメイトと知り合いが修羅場すぎるんですけど……ッ!?


このあとはどうする? 以下より多数決


�二人に気にかけず勉強を始める(>>334の安価の話になります)

�口論に白熱する二人からこっそりと逃亡(少し別の安価を行ったあと>>334の話へ)

�平塚先生颯爽登場

�依頼人が来る(キャラは選択された際に再安価)

先に4票集まった選択肢で先に進みます。

直下判定

コンマ以下が1〜8なら逃亡成功 9、0の場合は逃亡失敗 ゾロ目の場合は材木座登場


ダメだ、こんな所にいられねぇよ。空気が重すぎる……!

俺は白熱する二人から逃れるように奉仕部の部室を出た。

二人は会話に熱中していて俺の存在など頭の隅に追いやられていたのか、後を追って来る者はいなかった。


比企谷「はぁ……」


深い溜息をつきながら廊下を歩く。

廊下に人影はなく、ただ静寂のみがこの空間を支配している。

……どっか行くか。


↓3 八幡はどこへ向かう? 以下より選択

�グラウンド

�テニスコート

�屋上

�廊下の奥から平塚先生登場


部活が終わる時間まで部室には戻らない。そう決めた俺は階段へ向かおうとする。

が、廊下の奥からカツカツとヒールが地面を叩く音が聞こえてきた。


平塚「おお、比企谷じゃないか」

比企谷「平塚先生」


ヒールの音を鳴らして歩いていたのは平塚先生だった。

平塚先生は俺の前で立ち止まると、腕を組んで俺の顔をジロジロと見る。


比企谷「な、なんですか」

平塚「……ふむ。比企谷、少し私に付き合いたまえ」

比企谷「はぁ?」

平塚「実はついさっき学校の備品を買いに行くように他の先生に頼まれてな。少々男手が必要なんだ」

比企谷「えぇ……、そんなの別の先生に頼めばいいじゃないですか」

平塚「私は君と一緒がいいのだよ。……それにその表情から察するに、またなにか一人で抱え込んでいるのだろう?」

比企谷「……、」

平塚「手伝って貰えるなら、その報酬にラーメンでも奢ってやろう。それでどうだ?」

比企谷「…………まぁ、それなら……」

平塚「決まりだな。では私は正門前に車を回してくる。君は正門で待っていたまえ」


平塚先生は俺にそう言い残して去っていった。

踏み鳴らすヒールの硬質な音が静寂を突き破る。

颯爽と歩く迷いのない後ろ姿を、俺は無言のまま見送った。


……俺も移動するか。


↓3 正門に向かう途中、誰かと遭遇した? 以下より選択

�した(遭遇したキャラ名記入)

�しない


【正門】


正門前で待っていると、夏休みに世話になったワンボックスカーが目の前で緩やかに停車する。


平塚「待たせたな」

比企谷「いや、全然」


俺は後部座席のドアノブに手を掛けて乗り込もうとするが、平塚先生はそれを制してくる。


平塚「待つんだ比企谷。後部座席は荷物を積む予定だから助手席に座ってくれないか?」

比企谷「嫌です、俺助手席とか座りたくないですから。……死亡率が一番高いんですもんね?」

平塚「君はまだあの時のことを根に持っているのか……。あの時は冗談と言っただろう」

比企谷「冗談でも根に持つことに変わりはないですから」

比企谷「……つーかこれから乗車するって時に、あんな不吉なことを言われたこっちの身にもなってくださいよ」

比企谷「あと運転中とか急に殴りかかってくるし……それでもあなた先生ですか? 大事な人様の命を些細なことで失ってたかもしれないんですよ?」

平塚「ぐっ、……痛いところを突いてくるな君は」

比企谷「人が見せた弱みに徹底的に付け込むのが俺なんで」

比企谷「こういう卑劣な手段を取る人間のことを小悪党って言うんですよね? 意味合いは少し違いますけど、先生が初めて俺を奉仕部の部室に連れて行ったとき、先生が俺のことを雪乃にそう説明してたじゃないですか」

平塚「……比企谷、さすがに根に持ちすぎだ。あとで奢るラーメンで好きなトッピングを頼んでいいから、ここは手打ちにしないか?」

比企谷「……、チャーシューとゆで卵でいいですよ」

平塚「わかった、君の好きなだけ頼むがいい。店の希望があるなら聞こうじゃないか」

比企谷「じゃあ……、前に先生が超長文メールで教えてくれた『増田屋』で」

平塚「比企谷……君は覚えていてくれたのか」

比企谷「……そりゃあね、あんだけ本気出されたら嫌でも覚えてますよ」

比企谷「ちゃんと全文読みましたけど、読んでるだけで腹減ってきて大変だったんですからね?」

比企谷「あのあと深夜なのに結局インスタントラーメン食っちまったし……」

平塚「ひ、比企谷ぁ……っ!」

比企谷「……って、ちょ、なんで瞳に涙滲んでんですか!?」

平塚「だ、だって、今まで私の送ったメールは読まれずに消されるか、送った直後に着信拒否されるかで、今まで感想をもらったことが……ううぅ……っ」

比企谷「……平塚先生、なんか俺まで泣きたくなってくるんでそういう系の話はやめて下さい」


女子にメールを送っても返事がなく、翌朝になって『ごめん、寝てたんだ。また学校でね』って感じのメールが極稀に届いてたっけ。

まだ返事があるだけ救いだったけど、俺の送ったメールの本文が女子の間でやり取りされてた事を考えると死にたくなるな。

……誰かもう殺してくれよ、思春期って当時はなんにも思わないから本当にタチが悪い。頭の中お花畑ってレベルじゃねぇぞ。



双方精神に甚大なダメージを喰らいながら、傷心者二人を乗せたワンボックスカーは走りだす。


車内での会話のネタ求む

↓2と↓4

進撃の巨人のアニメについて語り合う(双方とも他人がみたらドン引きするレベルで)

ゆきのんについて


【車内】


比企谷「平塚先生、ちょっと相談してもいいですか?」

平塚「ああ、別に構わないぞ」

比企谷「じゃあ遠慮無く」

比企谷「……えっと、なんか雪乃と由比ヶ浜の二人が修羅場すぎるんですけど、それってどうしたらいいですかね?」

平塚「ふむ、修羅場……と言うと、具体的にはどういった感じなんだ?」

比企谷「修羅場は修羅場ですよ。なんかお互いに牽制しあっているというか、二人の仲が妙にギスギスしてて、正直あの空間には居たくないです」

平塚「……そうか。君になにか心当たりはあるかね?」

比企谷「心当たりはあり過ぎて、逆にどれなのかが分からないのが現状です」

平塚「ふむ。……となると、私の考えで最有力候補に挙げられるのは色恋沙汰だが、どうだ?」

比企谷「……やっぱそれですかね。なんかこういうのって自意識過剰みたいであんま言いたくないんですけど、なんか俺が論争の中心にいるみたいで」

平塚「ほう……、つまり二人は君を巡って争っているというわけか。なんだ比企谷、君も意外と隅に置けないな」

比企谷「はぁ……、出来れば隅に置いたままにしてほしかったんですけどね」

比企谷「恋愛なんて苦くて苦しいだけですし、逆に甘い恋とかは互いの本音を隠して嘘や欺瞞で塗り固められたものですしね」

比企谷「教室内でよく人間観察してる俺にはそれがよく分かるんですよ。『今日は付き合って三ヶ月目だね』とか言ってる仲睦まじいカップルも、パートーナーがいない場所では『もうあいつ飽きたわ』とか『最近あの人いいと思ってるんだよねー』って平気な顔して周りに言いふらしてるんです」

比企谷「それが照れ隠しで言った冗談なのかどうかは知りませんけど、冗談ってのは多少本音が混じってるもんですよね? そうじゃなかったら普通はそんなこと言いませんし」

比企谷「だから俺はこう考えるんですよ。世の中のカップルってのは『彼氏もしくは彼女がいる』というステータスが欲しいだけで、本当に心の底から愛し合っている者なんていない。つまり『愛すること』なんて無意味だと」

比企谷「彼らはちっぽけな自尊心を満たす為にたいして好きでもない他人と付き合う。それで『自分は恋人がいるから哀れな人間じゃない』とでも考えてるんですかね」

比企谷「まぁ俺から言わせてもらえばその姿は非常に滑稽ですけどね。なんでわざわざ自分を変えてまで他人と付き合うのか、俺には理解出来ませんよ。別にいいじゃないですか孤独でも、孤独の何が悪いって言うんですか」


比企谷「所詮彼らは群れなければ何も出来ない。数を味方につければ自分は負けないと本気で信じ込んでいる低能だ」


比企谷「でもそんな奴らがこの世界を回してるってんだから世も末ですよ。少数派は数の暴力で弾圧して有無を言わせないのは今の国会。反抗の意思を示せば適当に周囲へ少数派の悪評を流し、彼らを徹底的に追い込むのはマスコミ。もうホントに救いようがないですよ」

比企谷「……話が少し脱線しましたけど、俺が言いたいのはつまり『愛なんて必要ない』ということです」

比企谷「そもそもなんで限られた貴重な時間を、赤の他人の為に割かなきゃいけないんですかね」

比企谷「愛はお金で買えるけど、時間はお金じゃ買えないのを彼らは理解してませんよ」

平塚「比企谷……」


↓4 平塚静は比企谷八幡の主張にどう返す?

それは違うぞ!!

比企谷、君は『世の中のカップルってのは『彼氏もしくは彼女がいる』というステータスが欲しいだけで、本当に心の底から愛し合っている者なんていない。』と、言ったな。

だが、果たしてそれは真実か?少なくとも私は、雪ノ下と由比ヶ浜がそのようなステータスを得るために恋人を作ろうとするような腐った奴らではないと思うのだが。君の目から見て二人はそんなに最低な奴なのか?違うだろう?

君はどうやら、『愛』というものに対して卑屈になりすぎているきらいがあるな。今、ぼっちでいるのも他人からの優しさ、言い換えれば、他人からの好意に対して身構えてしまっているからだろう。君はもう少し他人を信用する事を覚えた方がいい。

全部でいいんとちゃうん

>>371さん ですね、そうします。みなさんなんかこう、うまく説明ができなくてもどかしいんですけど、すごいです(小並感)



平塚「比企谷、君は『世の中のカップルってのは『彼氏もしくは彼女がいる』というステータスが欲しいだけで、本当に心の底から愛し合っている者なんていない。』と、言ったな」

平塚「だが、果たしてそれは真実か?少なくとも私は、雪ノ下と由比ヶ浜がそのようなステータスを得るために恋人を作ろうとするような腐った奴らではないと思うのだが。君の目から見て二人はそんなに最低な奴なのか?違うだろう?」

比企谷「……、」

平塚「君はどうやら、『愛』というものに対して卑屈になりすぎているきらいがあるな。今、ぼっちでいるのも他人からの優しさ、言い換えれば、他人からの好意に対して身構えてしまっているからだろう。君はもう少し他人を信用する事を覚えた方がいい」

比企谷「信用する事、ですか。……そうですね、まぁそれが簡単に出来たら苦労はしないんですけどね」

比企谷「人間には必ず表と裏がある。表では楽しそうに会話をしていても、裏では容赦なくお互い陰口を叩き合う。そんな経験を多く積んできた俺だからわかるんです。自分以外に信用できる人間なんてものはいない、と」

比企谷「けれど彼らは欺瞞と詐術を駆使してそれを誤魔化している。俺はそういうのが一番嫌いなんですよ」

比企谷「表面だけは妙に好意的で親しげだが、内面ではお互いを毛嫌い別の場所で嘲笑し合う。そんな奴らはごまんと見てきた」

比企谷「それにも関わらず、そんな相手の言動や物事を間違いないとして受け入れることなんて、俺には出来ません」

平塚「……それは違うぞ比企谷。どうして君は物事をそんなに斜め下で捉えようとするんだ」

平塚「いいか比企谷、物事は否定的に考えるのではなく逆に考えるんだ。たとえば『欺瞞を許し合えるなんて素晴らしい』と」

比企谷「……はっ、『欺瞞を許し合えるのが素晴らしい』? 冗談はほどほどにして下さいよ平塚先生、そんなことあるわけないじゃないですか」

比企谷「自分の本音をひた隠して、身に纏った嘘を許し合ってどうするんですか。そんな無駄な事をしてる暇ありますか?」

平塚「無駄ではないさ」

比企谷「いいや無駄ですね、何故なら嘘は何も生まない。嘘はどこまでいっても嘘なんですよ。所詮は作り出された虚構、フィクションだ」

比企谷「実体の無いものを追いかけても手に入るものは虚しさだけだ」

比企谷「何にも役に立たない、結果もなにも残らないものを欲しがる酔狂な真似は御免ですよ」

平塚「『実体の無いものを追いかけても手に入るものは虚しさだけだ』……か。本当にそうかな?」

比企谷「……、」

平塚「実態の無いものはそうだな、今回は『夢』に置き換えてみるとしよう」

平塚「人は夢を実現させるために努力する。教師になりたければ勉強、プロのスポーツ選手になりたければ練習、料理人になりたければ調理、といった具合にな」

平塚「だが夢は必ず叶うとは限らない、むしろ叶うこと事態が稀だろう。自分が身を粉にして努力したとしても、他人に認められなければ意味がないからな」

平塚「どんな職業に就くにしても、他人からの許可を得る必要がある。ああ、専業主夫は論外だぞ?あれはただの家事と変わらないからな」

平塚「話を戻そう。しかしその許可が下りない場合もある。なぜなら定員が決められているからな。夢を抱いただけで実現するなら、今頃世の中は混沌としていたことだろう」

平塚「だがここで意味を履き違えてはいけない。夢が叶わなくとも、そこで自分に残るものは本当にないのか?」

平塚「夢が叶うか叶わないかの瀬戸際に立つまでに積み重ねてきた数々の努力は、本当に価値はないのか?無駄だったか?いいや違う、残ったものは必ずあるはずだ」

平塚「豊富な知識に様々な技術、夢を追う過程で得たものはそう簡単になくなったりはしない」

平塚「だから嘘から生み出されるものもあるんだ。君のついた優しい嘘もそうだ」

平塚「先日の文化祭で君が相模を救えたのは、君が優しい嘘をついたからだ。行為自体は褒められたものではないが、それでも君のついた嘘は結果的に彼女を救った」

平塚「……まぁその反面多くの敵も一緒に生み出してしまったが、それでも君をよく知る人間は君を敵とは判断していない」

平塚「あの一件以来、君と接する態度を一歩引いた人間はいたかね?君と会話をすることを拒んだ人間は?」

平塚「もしそんな人間がいるならば、彼らこそが君の言うところの赤の他人だろう。だから雪ノ下や由比ヶ浜は、君にとっての赤の他人なんかではないよ」

平塚「比企谷、君もたまには自分以外の人間に甘えてみるんだ」

平塚「雪ノ下や由比ヶ浜が無理なら、別に私でも構わない。たっぷりと可愛がってやるから安心したまえ」

比企谷「先生……」


↓4 比企谷八幡はどうする?

そう、ですね。
まだ、認められない部分がたくさん、いや、ほとんどですが、少なくとも雪ノ下と由比ヶ浜、それに先生が赤の他人でないことはわかりました。これからどうなるかはわかりませんが、努力はしようと思います。他人を信用する事を。

>>373>>374に加えてゆきのんとかのデレにどう対処するのかアドバイスを貰う



比企谷「……そう、ですね」

比企谷「まだ、認められない部分がたくさん、いや、ほとんどですが、少なくとも雪乃と由比ヶ浜、それに先生が赤の他人でないことはわかりました」

比企谷「これからどうなるかはわかりませんが、努力はしようと思います。他人を信用する事を」

平塚「……そうか、頑張りたまえ」

比企谷「はい。……っていうか、先生も雪乃と似たようなことを言いますね」

平塚「うん? なんだ、君は雪ノ下にも相談していたのか」

比企谷「いや、相談っていうか、その、前に……、まあ色々あったんですよ」

比企谷「その時も今回みたいなことを雪乃に言われて、さすがに似たような事を2回も言われたら無視することもできませんしね」

比企谷「この欺瞞に満ちた世界で他人を信用できるか分かりませんけど、……まぁ、……努力はしてみようと思います」

平塚「……、『努力すれば報われる、仕事も、恋愛も、そうあってほしい。もし何か偶然にいいことが起こったら、それは努力したご褒美、そう思いたい』」

比企谷「? ……なんですか今の言葉?」

平塚「今のはかつての恩師が私に言った言葉だ。努力は自分を裏切らない、諦めなければ幸運は訪れるということを意味している」

平塚「…………私にも、そろそろ幸運が訪れてもおかしくはないのだがな…………」

比企谷「……ど、努力が足らないってことなんじゃないですかね?」

平塚「……そうか。アンチエイジングにボディケア、様々な美を追求してもまだ足りないのか……」


……おい、なんで自分で地雷を踏み抜いてんのこの人? やめろよ、思わず俺が貰いそうになっちゃうだろ?


平塚「……こうなったらもう整形に手を出すしかないのか……。……でもお金かかるしなぁ……」

比企谷「ひ、平塚先生? 先生はそんなことをしなくても充分綺麗だと思うんですけど?」

平塚「……あははは、よせ比企谷、お世辞など結構だ」

比企谷「いや、お世辞じゃないんですけど……」


世の中って不条理だよなぁ、先生みたいな美人でも結婚出来ねぇんだもん。……誰か本当に貰ってやってくれよ……っ。


平塚「……なら比企谷、君は私みたいな人間と結婚したいと思うか?」

比企谷「そ、そうですね……。俺に殴る蹴る的な暴力行為を止めてくれたら、将来的な可能性としてはなくもないです」

比企谷「先生とは結構話は合うし、一緒にいて苦痛ではないですしね。むしろ楽しいくらいです」

比企谷「話題も豊富で見た目も綺麗で、それに面倒見も良い。もしも先生みたいな姉がいたら、俺もこんなひねくれた性格にはならなかったと思います」

平塚「そ、そうか……、な、なんだか照れるな……っ。ほ……褒めても拳しか出ないぞっ!?」

比企谷「そんな暴力系ツンデレいりませんから。てかさっき結婚条件で暴力は否定したばっかじゃないですか」

平塚「そ、そうだったな。いかんいかん……」

比企谷「(前向きに検討している……だと……?)」


どんだけ切羽詰まってんのこの人、普通さっきのは冗談で済ませる所だよね? ……アラサーの結婚願望、強大すぎんぞおい。

その後、専門店に到着した俺と平塚先生はそこで学校の備品を買い、再び車に乗って移動した。

次の目的地は『増田屋』。その車内で俺と平塚先生は再び他愛のない会話を繰り広げる。

過去のアニメや最近の漫画の話をしていたが、段々ネタが尽きてきたので俺は別の話題を提供する。


比企谷「平塚先生。話は変わるんですけど、先生は雪乃や由比ヶ浜のことをどう思っていますか?」

平塚「なんだね、藪から棒に」

比企谷「いや、なんか急に聞きたくなりまして……。さっきの会話のこともあるし、俺も少しずつでもあいつらの事を知る努力をしてみようかなぁ……なんて」

平塚「そうか。……ふむ、あの二人はそうだな、君とは違って素直でいい子達だ」

比企谷「(……、ひねくれ者ですいませんね)」

平塚「雪ノ下は前にも言ったが優しく正しい。……ただ彼女の精神を育む環境が悪かったのか、少々正しすぎる印象が強いな」

平塚「雪ノ下は自分の抱いた感情は包み隠さず相手にぶつける。オブラートに包むことをせず、愚かしいほど真っ直ぐに、自分の気持ちを相手に伝えることはそう簡単に出来るものじゃない」

平塚「だがその性格が原因で、雪ノ下は色々と苦労したのだろうな」

平塚「今の世の中は優秀な者ほど生きにくく、正直者が馬鹿をみる世界だ。加えて彼女は容姿も優れているから、周囲の注目を浴びやすい。本人が目立ちたくなくても、自然と視線を集めてしまう」

平塚「そういう意味では、君と雪ノ下は似ているな」

平塚「君は言動と性格はアレだが成績は数学科目を除けば優秀だ。周囲から視線を集めることはないが、悪目立ちは多く噂にもなりやすい」

比企谷「……、」

平塚「そんなに睨むな比企谷、まだ話は終わっていない」

平塚「だが君と雪ノ下は優しい。雪ノ下は持つ者故に、持たざる者に優しく手を差し伸べる。そして君は持たざる者故に、持つ者を必死に守ろうとする」

平塚「だが今回の相模の一件の様な精神を擦り減らす自己犠牲を繰り返していれば、いつか君の心は壊れてしまうだろう」

平塚「いくら君が心の痛みに慣れているとしても、君が傷つくのを見て心を痛める人間もいるんだ。そのことを、君は忘れてはいけない」

比企谷「うっす……」

平塚「おっと、なんだか説教臭くなってしまったな。すまんすまん」

比企谷「いや、いいですよ。主観以外で雪乃のことを知る機会はあんまりないんで」

平塚「そうかね?なら次は由比ヶ浜のことを話すとしよう」

平塚「由比ヶ浜は不思議な子だ。私が初めて君たちの元へ導いた依頼人が、まさか奉仕部の部員になるとは考えてもいなかった」

平塚「奉仕部の部員が増えることは想定外の事態だったが、それがいい方向に噛み合ってくれたから特に不満はない」

平塚「由比ヶ浜は場の空気を敏感に察知する能力に長けている。それを上手く利用してクラス内でも中心部分に位置しているそうだな。孤独を好む君とは真逆の存在だよ」

平塚「彼女の『周囲の人間に溶けこむのが上手い』というのは、今の社会において重要なスキルだ」

平塚「波風立てない平和主義者、それが由比ヶ浜結衣だ」

平塚「だがさきほど述べたように、今の世の中は正直者が馬鹿をみる世界だ。本心ではそう思っていなくても、嘘をついて周囲の人間に迎合しなければ、瞬く間に非難される」

平塚「これは君が嫌いな世界の仕組みだな。私も、あまり好ましくないと思っている」

平塚「実際、由比ヶ浜もそう考えてはいるのだろう。なにせ私への相談の内容が『手作りクッキーを食べてもらいたい人がいるんですけど、周りの人間とはそういう相談が出来なくて困ってるんです』だからな」

平塚「彼女自身も、この世界に対して少なからず不満を抱えている。だが彼女は雪ノ下や君のように強くはないから、仕方なく周囲の人間に同調しているのだろう」

平塚「だからこそ、由比ヶ浜は雪ノ下や君に惹かれたのだろうな」

平塚「誰とも群れることなく、孤独でありながらも確固たる意志を持つ君たちに」

比企谷「……買い被り過ぎですよ平塚先生。俺は雪乃ほど強くないです」

平塚「そう謙遜するな、君は強いよ。私が保証する」

比企谷「……、」

平塚「お、もうすぐ『増田屋』だな。比企谷、そろそろ降りる準備をしたまえ」

比企谷「……、」


俺は平塚先生の言葉に無言のまま頷き、そして車は『増田屋』隣の駐車場に停止した。

すみません、少しいいですか?

平塚先生と八幡の会話なんですが、文字が詰め込み過ぎて見にくいと感じている方はいらっしゃいますか?

もしいらっしゃるなら訂正しますので遠慮なく申し上げてください。

ついでに感想もいただけると嬉しかったり……なんて。

大丈夫です。内容も特に気になる所はなく普通に面白いです。

遅くなりました、少しだけですが再開します。

あとコメント感謝です、ご期待に添えるように頑張ります。


【増田屋】

車から降り自動ドアを抜けて店内へ入ると同時に店員の威勢のよい挨拶に迎えられる。

店内に俺達以外の客はおらず、丁度この時間帯は空いているようだ。

とりあえずカウンター席に二人で並び、メニュー表を見る。


比企谷「……あれ、この店ってラーメンの味がとんこつ醤油しかないんですね」

平塚「ああ、だが並の家系とは一味違う工夫が凝らされているから味は期待してもらっていいぞ」

平塚「特にこの店の煮玉子とチャーシューは絶品なんだ。君もきっと気に入るだろう」


にこやかに破顔する平塚先生はそう言って、店員にネギチャーシューラーメンを頼む。

それはどうやら当店一番の人気メニューだそうだ。

うん、メニュー表の裏に写真が載ってたけどすげぇ美味そう。俺もこれでいいか。

俺も平塚先生と同じ物を注文すると、店員に麺の硬さを訊ねられる。


平塚「バリバリカタで」

比企谷「あ、じゃあバリカタで」


平塚先生は夏休みの時と同様に硬麺を選択。もしかして先生は噛む力とかその辺を考えて硬麺を選んでいるのだろうか?

噛む力が衰えるとほうれい線が目立つとかよく言うし、……女って大変だな。


そして待つこと数分、ラーメンがカウンターの上に置かれる。

そういえば追加のトッピングを頼むのを忘れていたが、まぁそれはまた別の機会でいいか。

俺は割り箸を手にして両手を合わせる。

隣をちらと見ると、平塚先生は両眼を閉じて既に合掌していた。どうやら俺が先に言えということらしい。


比企谷「いただきます」

平塚「いただきます」


まずは左手に持ったレンゲでスープを掬い口へ運ぶ。

液体が舌に触れた途端に広がるマイルドなとんこつの風味、そしてやや遅れてやってくる醤油がいいアクセントを加えている。

続いて麺。麺は少しコシがある感じの中太、食べ応えもありしっかりとした噛み心地で箸が進む進む。


比企谷「うん、うまい」

平塚「そうか、それはよかった」


トッピングされた煮玉子とチャーシュー、細長く刻まれたネギを途中で挟みながら麺を啜り、スープに舌鼓を打つ。

特に先生と会話を交わすことなく黙々と両手を動かす。

そして気がつけば、麺は四分の一ほどになっていた。

隣の平塚先生はまだ半分以上麺が残っていることから判断するに、どうやら少し食べるペースが早すぎたようだ。


平塚「ほう、なかなかいい食べっぷりじゃないか比企谷。どうだ、もう一杯食べてみるか?」

比企谷「いや、流石にそれはちょっとキツイです。半チャーハン辺りなら入りそうですけど……」

平塚「ふむ、ならばそれを頼むとしよう。すみません、半チャーハンを一つ」

比企谷「ちょ、先生」

平塚「なに、心配するな。仮に君が食べきれなかったら私が食べるさ」

比企谷「いや、そういう問題じゃなくてですね……」


なんだろう、平塚先生が妙に気前が良すぎて、これはなにか裏があるんじゃないかと疑ってしまう。

今日奢ったお礼に先生の両親へ挨拶とか嫌だからね? 

婿には行きたくないでござる! ……や、嫁に来られてもそれはそれで困るけどさ……。


とりあえずチャーハンが出来上がるまでの間、俺はラーメンを食べることにした。

残り少なくなった麺とネギを絡めて一緒に啜る。

麺を噛む度に混ざり合ったネギのシャキシャキとした音が口の中で反響する。……あー、なんかこの音聞くと落ち着くわー。

そして俺が丁度ラーメンを食べ終えた辺りでカウンターに半チャーハンが登場する。


……だが、ここで問題発生。



比企谷「……平塚先生、やっぱ俺チャーハン食えそうにないです」

平塚「なん……だと? 比企谷、君はまだ一口も手につけていないじゃないか」

比企谷「いや、なんかラーメンが想像してたのよりボリュームがありまして……」


チャーハンから漂う香ばしい匂いは食欲を刺激するのだが、如何せんラーメンの胃での消化が遅くて胃袋に収まりそうにない。

30分も経てば消化は完了するのだが、ラーメン屋でそう長い時間を過ごすのは店側にとってみればいい迷惑だろう。

それに日も傾き始めたことで、定時で仕事を終えたホワイトな会社員が店の中にぽつぽつと入店してきている。

このままの流れだと店内は混雑が予想されるし、長居は避けたい。


平塚「む……、そうか。それならば仕方がないな」

比企谷「はい、折角奢ってくれたのにすみません」

平塚「なに、気にするな。……では私は、少々本気を出すとしようか」


平塚先生はそう宣言すると、Yシャツの袖を豪快に肘辺りまで捲り上げて臨戦態勢に入る。

やだ、なにこれしずかっこいい。


平塚「この世の全ての食材に感謝をこめて——いただきます」


BLEACHやONE PIECEだけじゃなくてトリコも読んでんのかよ先生、少年漫画好きだなホント。

……でも出版レーベルはちゃんと考えようぜ? アニメ化した際に色々と問題になるから、マジで。


その後平塚先生はあっという間に料理を平らげると、両手を合わせて静かに一礼する。


平塚「ご馳走様でした」

比企谷「平塚先生、お冷です」

平塚「おお、すまないな比企谷。ありがとう」

比企谷「いえいえ、奢ってもらったんでこれくらいは」

平塚「そうか」


平塚先生は俺からコップに注がれた水を受け取るとそれを一気に煽る。……ずいぶんと豪快な飲みっぷりっすね。


平塚「……さて、ではそろそろ店を出るとしようか。あまり長い時間外出していると、他の先生方から白い目を向けられてしまうからな」

比企谷「ああ、そういえば学校の備品の買い出しの帰りにここへ立ち寄ったんでしたっけ。……よく考えてみると、これって教師と生徒の関係としてどうなんだ……?」

平塚「まぁまぁ、あまり細かい事は気にするな比企谷。そんな些細な事をいちいち気にかけていたら、本当に大事なものに気が付かなくなるぞ」

比企谷「平塚先生……」


……そう、だよな。

今の世の中は情報社会だ。

ありとあらゆる真実や虚偽の情報がありふれたこの世界で、それらに触れる度にいちいち注視していたらキリがなくなる。

キリがない、それを言い換えると『終わりが見えない』ということになるが、人間は環境の変化が乏しくなると思考を止める傾向にある。

何も考えず、ただ同じ工程を繰り返す流れ作業となる。

そうなってしまえば、虚偽の裏に隠された真実に気がつくこともなくなってしまうのだ。


……でもぶっちゃけそれは、建前をどっかの爽やか王子みたいになくしてしまえばいいだけの話だ。

だから可及的速やかに世界中の人間は『笑わない猫像』にお祈りするべき。

世の中すべての人間が本音で喋るようになればきっと世界は平和になるし、雪乃や俺と似たような境遇の人間も幸せになるだろう。


平塚「あとハゲやすくなるしな」


だが、俺の淡い幻想は無慈悲にもぶち殺された。

……いやいや、たしかに神経質な人間はハゲやすいとかよく聞くけど、今それ言わなきゃいけなかった? 完全に蛇足ですよねその発言。


比企谷「……先生、途中までは凄く良かったのに最後の一言は余計でしたね。先生は詰めが甘いですよ、そんなんだからいまだに結婚で」

平塚「——ふっ!」


言葉を最後まで言い終わる前に、俺の右頬を先生の拳が通過する。


平塚「次は当てるぞ?」


にっこりと、目が笑っていない柔らかな微笑みを向けられる。

……やべぇ、雪乃とは違って精神的ダメージだけではなく肉体的ダメージが及ぶ可能性があるから余計怖い。

どうしよう……。


八幡はどうする? 以下より選択

�大人しく謝る �殴れるもんなら殴ってみろと挑発 �「……で、出来なさそうだから俺が貰ってあげようかなぁ……なんて」

先に4票集まった選択肢で先に進みます。

>>334の安価はいつ消化してくれるんですか?

>>402さん その安価はこの話が終わった(学校に戻った)あとにやります

それと>>376の対処方法のアドバイスの安価は帰りの車内で消化予定です

>>366の安価は誠に勝手ながらゆきのんの説明と一緒にさせていただきいました


その場のノリで安価を出したらまさかの静ちゃん大人気

でもゆきのんやらガハマさんが控えているので先生のターンはそろそろ自重します

その点で言えば川なんとかさんは不憫な子、このスレでもアニメの4話でも喋らずに最後のチラ見せだけだし……

あとアニメの4話で八幡が入院している場面で女子生徒の足が二人分確認できたんですが、あれって小町とゆきのんなんですかね? それとも小町とガハマさん? 

黒板にはちゃんと相模の名前もあってスタッフGJ おそらく詰め寄ってきた二人組の女子の藍色の髪の女子が相模だと思う

2話で「あたしお手洗いに行こっかなぁ」と言っていた女子も相模である可能性があるがそれははたして……


話がそれましたね、すみません

とりあえず22時前ぐらいから再開予定です、しばらくお待ち下さい


比企谷「(と、とりあえず話を逸らさなければ……)」


俺は先生に反抗の意思はないと示すように両手を頭の後ろに回す。

視線をあちこち彷徨わせて、ぼそっと蚊の鳴くような声で小さく呟く。


比企谷「……で、出来なさそうだから俺が貰ってあげようかなぁ……なんて」

平塚「……」

比企谷「……先生?」

平塚「あ、ああ。ど、どうした比企谷?」

比企谷「えっと、その……とりあえずその拳を収めてもらえると助かるんですが」

平塚「っ、そ、そうだな。すまない」


俺に指摘され、平塚先生は慌てて拳を引く。

そして気恥ずかしそうに頬を掻く先生の表情はほんのりと朱が差している。


比企谷「(……おい、なんかあまり嬉しくないデレが見れてしまったんだが)」


アラサーのデレとか誰得なんだよ、せめてあと5年遡ってくれなきゃなぁ……。

だがとりあえず、この光景は脳裏に焼き付けておこう。

もしかしたらこれが後に有効なカードとなり得るかもしれないしな、……まあそれは平塚先生にとってもだが。


比企谷「それじゃあ先生、会計お願いしますね」


俺は平塚先生にそう告げて一足先に店を出る。

スマホで時刻を確認すると、部活が終わる30分前だった。

おそらく学校に着いて備品を運んで部室に戻ったら、そこで完全下校を告げるチャイムが鳴るだろう。

こんなことなら鞄も一緒に持ってくりゃよかったな、階段昇るの面倒くせぇなぁ……。


【車内】


『増田屋』隣のコインパーキングを出て、車は総武高校への帰路に着く。

日は既に傾き、前方から差し込む燃えるような夕日が眩しくて俺は目を細める。

ちなみに隣で運転中の平塚先生はサングラスを装備して対策バッチリ。

だから格好良すぎでしょ先生、女性でサングラス似合うとか並の男ならそれだけで惚れちゃうから。

周囲に溢れ出るイケ女オーラがマジハンパない、しずかっこいいしずかっこいい。


比企谷「……平塚先生、さっきの話の続きなんですけど話してもいいですか?」

平塚「さ、さっきの話の続きというとアレかね? 君が私を貰ってくれるという……」

比企谷「いや、そっちじゃないです。店に着く前に話していた件の続きですよ」

平塚「そ、そうか……。……うむ、いいだろう。私の愛する生徒の悩みを放っておくわけにはいかないからな、存分に話したまえ」

比企谷「そっすか、じゃあ遠慮なく」


軽く咳払いをして喉の調子を整え、俺は先生に疑問をぶつける。


比企谷「えっと、それでその、俺は今まで人と深く付き合った経験がなくて、今の雪乃や由比ヶ浜とどう接していいものなのかよく分からないんですよ」

比企谷「今まで通りに接するべきなのか、それとも俺も雪乃や由比ヶ浜みたいに近づいていくべきなのか……。先生はどうしたらいいと思いますか?」

平塚「いまさらりと悲しい事実を述べられたが……ふむ、そうだな」


平塚先生は両手で握っていたハンドルから片手を離し、顎に軽く押し当てて小さく唸る。

そして数十秒の沈黙の後、先生は前を見据えたまま俺に問い掛ける。


平塚「まず比企谷、君は雪ノ下や由比ヶ浜のことをどう思っているかね?」

比企谷「あいつらのこと、ですか? ……そうですね、あいつらは俺にとって赤の他人以上友達未満の存在なんで、気心の知れた知り合い程度ですかね」

比企谷「俺の自虐ネタにもちゃんと反応してくれるし、良い奴らですよ。……というか、良い奴じゃないと俺には話しかけてくれないんで」

平塚「そ、そうか。……で、では次に比企谷、君は彼女たちとはどういう関係を望んでいるのか教えてくれないか?」

平塚「その要望次第で、私が君へ示すアドバイスの内容は大きく変わってくるからな」

比企谷「……、俺は」


八幡が望む雪乃と由比ヶ浜との関係とは? 以下より多数決

�現状維持 �まずは友達 �将来的には友達以上

先に4票集まった選択肢で先に進みます


比企谷「……俺は、現状維持が理想です」

平塚「ほう、その心は?」

比企谷「平塚先生、俺のモットーは前にも言いましたが初志貫徹です。たまに横道に逸れたりはしますが、それでも根幹の部分に揺らぎはありません」

比企谷「変わるなんてのは結局現状から逃げる為に変わる。本当に逃げてないなら変わらないでそこで踏ん張る」

比企谷「だから俺は雪乃や由比ヶ浜達からは逃げないし、俺自身も変わらない」

比企谷「たとえそれで友達が出来なくても、その延長線上の関係になれなくても、俺はこれまで冷酷無情な社会と一人孤独に闘い続けた比企谷八幡を否定するつもりは毛頭ないです」

平塚「……そうか」


平塚「では、もう私の助言は必要なさそうだな」


比企谷「へ?」

平塚「? なぜそんな間の抜けた表情を浮かべる必要があるんだ。答えはもう見つかったんじゃないのか?」

比企谷「え? ……あっ」


……そうか、そういうことか。

確かに俺は対処法が不明な現状を打破する為の得策を平塚先生に相談した。

だがその相談をしたところで、自分が抱えている問題を解決することが出来るのは結局自分自身なのだ。

仮に先生が俺達の間に介入して問題を解決したとしても、それは根本的な解決には至らない。それはただのその場凌ぎだ。

だから先生は俺の疑問には答えず、逆に俺へ質問をすることで自立を促した。

目の前に立ち塞がる壁を壊すのではなく、その壁を壊す方法を教える。

それは俺の所属する奉仕部のあり方そのものではないのか。


平塚「私は奉仕部の顧問だからな、奉仕部の仕組みは誰よりも理解しているつもりだよ。だから今回はその方法を取らせてもらった」

平塚「奉仕部のあり方はあくまで依頼人の手助けだ。しかしその手助けは、あくまで依頼人の自立を促すきっかけを与えることのみ。決してそれ以外のことをしてはいけない」

平塚「それを禁じる理由は多々あるが、その一番の理由は『知らぬ間に依頼人と自分自身を重ねてしまう事がある』からだな」

平塚「青年期の子供は他人の思想や言動に影響を受けやすいとても多感な時期なんだ。まして奉仕部に転がり込んでくる依頼はほとんどがお悩み相談、その内容に思わず同情する事もあるだろう」

平塚「しかしその同情こそが致命的なまでに命取りとなる。同情するとはすなわち、己の個が揺らぐ事を意味しているからな」

平塚「今の君たちにとって最も重要な課題とは、教師から出されるプリントや問題などではなく、アイデンティティの確立だ。それを疎かにしてしまうと、近い未来に自分が何者か分からず懊悩とした日々を過ごすことになる」

平塚「ゆえにアイデンティティがしっかりと確立している人間でなければ、この奉仕部の役目を果たすことは出来ない」

平塚「私が雪ノ下を奉仕部の部長に据えているのもそれが理由だ。私は彼女ほど完成した人間を見たことがない」

平塚「陽乃もある意味では完成された人間だったが、あいつの場合は完成というより完璧だった。……まあ優等生ではなかったがな」

比企谷「……、」

平塚「おっと、話が逸れてしまったな。それで何の話だったか…………。ふむ、まあどうでもいいか」

平塚「とにかく、だ。今の会話で君のやるべきことは決まった。あとはその目標に向かって前進するだけだな」

平塚「ああ、それと比企谷。君は上や下を眺めてばかりいないで、ちゃんと前を見据えて歩くんだぞ?」

平塚「他人を過度に羨むな、自分を卑屈に捉え過ぎるな。そうすれば、きっと今まで見えなかったモノが見えてくるはずだ」


平塚「本当に欲しい大切なものはすぐ近くにあるということを、君はよく覚えておきたまえ」



その後、車は無事学校へ到着し、購入した備品を職員室に運び終えた俺は奉仕部の部室へと向かった。

閉じられた扉を開くとそこには


奉仕部の部室内にいたのは? 以下より多数決

�雪ノ下と由比ヶ浜 �雪ノ下のみ �由比ヶ浜のみ �雪ノ下と由比ヶ浜と川崎 �誰もいない

先に3票集まった選択肢で先に進みます

大正義ゆきのん、ガハマさんが報われる日は来るのだろうか……。

思いの外見ている方が多くて驚きました。みなさんはGWの初日をどうお過ごししましたか? 

私は部屋の掃除をしてました。……はい、そんだけです、リアルヒッキーです、なんかすみません。

先程まで昼寝していたせいで全く眠くないので今からコソコソと更新していきます。お付き合いして頂ければ幸いです。

更新再開までしばらくお待ち下さい。


窓際の普段の定位置に座り、斜陽を浴びながら読書に耽る雪乃がいた。


雪ノ下「……あら、お帰りなさい比企谷くん」

比企谷「おう、なんか遅くなっちまったな……ってあれ? 由比ヶ浜の奴はどうしたんだ?」

雪ノ下「由比ヶ浜さんなら1時間くらい前に先に帰ったわ。どうやら小町さんに呼び出されたそうなのだけれど、詳しい事は良くわからないわね」

比企谷「(……あんのアホシスター、今度は何を企んでやがんだ……?)」


あの馬鹿だが頭のキレる妹のことだ、どうせロクでもない事を計略しているのだろう。

……つーか人にちょっかい出してねぇで勉強しろよ受験生、そんなんじゃ総武高校に受からねぇぞ?

アホな妹の将来を危ぶみながら、とりあえず俺は普段の定位置に腰を落ち着ける。

壁に掛けられた時計で時刻を確認すると、完全下校時刻まで残り10分を切っている。

この様子では今日も依頼人は来ないだろう、相変わらず暇な部活動である。


雪ノ下「……それで、比企谷くんは今まで一体どこをほっつき歩いていたのかしら?」

比企谷「ん? あー、そういやなんも連絡してなかったな」

比企谷「スマン、実はさっきまで平塚先生と一緒に学校の備品を買いに行ってたんだ」

雪ノ下「……ふぅん、そう。……で、それだけかしら?」

比企谷「いや、あと付き添ったお礼に帰りの途中でラーメン奢ってくれたな」

雪ノ下「……、」

比企谷「……んだよ、そんなウエットに富んだジト目をこっちに向けんな」

雪ノ下「……、」

比企谷「……、言いたいことがあるなら口頭で言えよ」

雪ノ下「いえ、別になんでもないわ」

比企谷「いや、ぜってぇなんか言おうとしただろお前」

雪ノ下「言おうとしてないわ」

比企谷「いいや、それは嘘だな。お前俺の雪ノ下検定3級の実力舐めんなよ、お前の考えなんてまるっとお見通しなんだからな!」


最近ようやく4級から昇級したばっかりだが、それでも俺の鑑識眼はいかなる人物の心の中でも正確に判別する。

伊達に日頃からリア充共の会話を翻訳してないっての。

まあぼっちの趣味は人間観察だから、こんなの普通に生活していれば身につくスキルだし(震え声)


雪ノ下「……へぇ。なら今の私が一体何を考えているのか、あなたには分かるのかしら?」

比企谷「ああ、もちろん分かる。もし間違えたら降級処分を甘んじて受けてやるぜ」

雪ノ下「そう、わかったわ。なら比企谷くん、ゲームをしましょう」

比企谷「ゲーム?」

雪ノ下「そう、ゲーム。私が何を考えているのかを当てるゲーム」

比企谷「それで見事的中したら?」

雪ノ下「あなたの命令を一つだけ聞いてあげるわ」

比企谷「……ほう、いいだろう。その言葉、忘れるなよ?」


雪ノ下雪乃からの挑戦状


これより↓4までの書き込みのコンマ判定で1つでもゾロ目が出た場合、八幡の勝利となります。

そしてゾロ目が出なかった場合は八幡の敗北となります。

勝利の報酬については安価でのちほど考えます。

ではスタートです。

ゆっきのーん

ほい

>>435さん お見事です >>436さんも何気にスゴイ……


雪ノ下「まず私は2桁の数字を思い浮かべてこの紙にその数字を書き記すわ」


雪乃は鞄からパンさんの描かれたメモ帳を取り出し、そこへ俺に見えないように文字を記入する。

そしてその紙を机の上に裏返しで伏せ、紙を押さえるように文庫本を乗せた。


雪ノ下「それで比企谷くんは私の思考を読んで、私が記した数字を当てるの」

雪ノ下「見事的中すればあなたの勝ちで、もし外せばあなたの負け」

雪ノ下「そしてあなたが勝利すれば、あなたは『私に何でも命令を下す』事が出来て、逆に私が勝てば『私はあなたになんでも命令を下す』事が出来る。以上がこのゲームのルールよ」

比企谷「おい、さらりとルール追加してんじゃねぇよゆ」

雪ノ下「制限時間は10秒。——では、スタート」

比企谷「きの——って、え、ちょ、い、いきなりだとッ!?」

雪ノ下「10、9、8、7、6、5」

比企谷「(しかも想像以上にカウントが早いだと!? ……くっ、雪ノ下検定3級の実力を舐めんなよ!)」

雪ノ下「4、3、2、1、0——はい、お終い」

雪ノ下「では比企谷くん、その答えをお聞かせ願おうかしら?」


……このアマ容赦ねぇ、勝負事にここまでムキになるかよ普通? 小学生じゃあるまいし……。


ま、答えはわかったから別にいいんだけどな。


比企谷「お前の書いた数字は…………『55』だ!」

雪ノ下「……ファイナルアンサー、でいいのかしら?」

比企谷「ファイナルも何も、俺は最初からクライマックスだっつーの」

雪ノ下「……そう。では、答え合わせをしましょうか」


雪乃の手で重石となっていた文庫本がどかされ、裏返しになっていたメモ用紙がひっくり返される。

そこに記されていた数字は俺の宣言通り『55』。よってこの勝負は俺の勝ちだ。


雪ノ下「おめでとう比企谷くん、見事正解よ」


雪乃はパチパチと小さく柏手を鳴らして俺の勝利を称える。……なんかむず痒い気分になるな。


比企谷「……よ、よーし。んじゃさっそく命令を下すとしますか」


俺はその気分を紛らわせる為に早速命令を下す事にした。とりあえず、何でもということはやはり……ナンデモ?


雪ノ下「比企谷くん、念の為に言っておくけれど、卑猥な命令だった場合は即通報するからそのつもりでいなさい」

比企谷「お前はどこの新垣さんだよ……」


邪な気配を感じ取ったのか、雪乃は携帯に指を添えながら俺に鋭い釘を刺す。

……ていうか、雪乃とは黒髪ロングでキャラ被ってんなぁとは前々から思ってたが、その台詞言われるともう区別がつかねぇよ、なんか声も似てるしな。

雪乃に包丁を握らせてはいけない、あと武器を販売しているコスプレショップに連れて行ってはいけない。血を見る羽目になるぞ俺が。

まあそんな同じ千葉県に住む兄妹の親友の話は置いておいて、とりあえず雪乃に下す命令を考えよう。

……うーん、一体なにがいいだろうか?

↓4 雪乃に下す命令は? (卑猥な命令の場合はブタ箱にぶち込まれます)

すみません、人が少なそうなんでまた時間を置いて続きを書きますね

あ、安価は↓3でお願いします。

受験で疲れてる小町の相手という名目で比企谷家に遊びに行く
なんなら流れで>>441


比企谷「……まあいいや。そんで命令なんだが、『今週末、ウチに来て受験勉強で疲れてる小町の相手をしてやってくれ』——以上だ」

雪ノ下「……ええ、分かったわ。命令はそれだけでいいのね?」

比企谷「それだけもなにも、それ以上望むと通報されそうだからやめとくだけだっての」

比企谷「俺は自他共に認めるクズだが、警察のお世話にはなるDQNみてぇなクズに成り下がるつもりは毛頭ねぇんだよ」

雪ノ下「ど、どきゅっ……どきゅん? ごめんなさい比企谷くん、その『どきゅん』という単語はどういう意味なのかしら?」

比企谷「DQNってのはヤンキーとか『粗暴そうな風貌をしている者』や実際に『粗暴な者』、もしくは『非常識で知識や知能が乏しい者』を指すときに用いられるネットスラングだ。まあこの学校にも何人かいるよな、戸部とか戸部とか戸部とか」

雪ノ下「あなたは戸部くんになにか恨みでもあるのかしら……」


……まあ戸部の場合は厳密に言えばDQNのカテゴリーには含まれないんだがな。どっちかっていうとリア充のほうが当てはまる。

だが俺からしてみれば、リア充(笑)してる奴らの大半はDQNと呼んでも差し支えない。

だってあいつら友達の誕生日にその友達の顔面にシュークリームぶち当てたり、一人が『魔貫光殺砲』とか言って決めポーズを取って、周りの人間はそれに合わせて後方に飛び跳ねてその瞬間の写真撮って盛り上がったりするとかもうね、知能が乏しい馬鹿という表現がしっくりくるわ。

とりあえず食べ物は粗末にするんじゃねぇ。

あとお前らのやってるやつは『魔貫光殺砲』じゃねぇから、ちゃんとドラゴンボール読んでこい低能共。

けどハリー・ポッターのクィディッチのあれは素直にスゲーと思った。

素直に感心する一枚なんだが、左端の奴が野球部だからかバット持ってるのは仕方ねぇとは思うんだが、あれだけ見ると襲いかかっているようにしか見えないから不思議だ。

でもあれ遠く離れた場所に、俺と同類の人間が写真に写ってたんだよなぁ。……やめろよ、なんで写したんだ、あれさえなけりゃ完璧だったのに……っ!


まあそんなことはどうでもいい。

ぼっちは所詮ぼっちなのだ。哀れみの目線とかいらないし、なんなら他の視線も必要ない。

だからすぐそばで「なにあいつ、いつも一人だけど友達いないの? プークスクス」とか言うの止めてくれよ、こっちはひっそり生きたいだけなんだっての。


比企谷「いや別に、戸部に恨みはねぇよ。ただ憎たらしくて腹が立つだけだっての」

雪ノ下「それはほとんど同じ意味じゃない……」


雪乃が小さな溜め息をつくと同時に、スピーカーから完全下校を告げるチャイムが鳴り響く。


比企谷「……さてと、そんじゃそろそろ帰るか」

雪ノ下「ええ、そうね」


俺と雪乃は椅子から立ち上がり、部室の戸締りを済ませてから部室を出た。


雪乃は職員室に部室の鍵を返却しに行き、俺は一人で昇降口に向かい靴を履き替える。

昇降口を出て駐輪場へと向かうと、少し離れた位置から部活を終えた生徒達の喧騒が飛んできて俺の鼓膜を揺らす。

それを一瞥することなく、口を一文字に固く結んで自分の自転車が置いてある駐輪スペースへ。

昨日は電車で雪乃の家に向かったりなんだりしたので、この愛騎とは一日ぶりの再会である。

鍵を外してスタンドを立て、前のカゴに鞄を突っ込んでハンドルを握り、サドルに跨りペダルに足をかける。


比企谷「(……さて、帰るか)」


地面を片足で蹴って自転車に乗り、両足に力を込めて後ろの車輪を回す。

小学生の頃の俺は自転車の前輪と後輪は一緒に動いてるもんだと思ってたが、それが実は後輪しか動いていないという事実を知った時はスゲー驚いた。

……まあ前輪も一緒に動いてたら直進しか出来ねぇもんな、よく考えれば当然のことである。

ゆっくりと自転車で駐輪場を抜けて正門前まで移動すると、昇降口から見知った顔の人物がこちらに歩いてきた。


昇降口からこちらに歩いてきた人物とは? 以下より多数決

�雪ノ下雪乃 �川崎沙希 �城廻めぐり �相模南 

先に3票集まった選択肢で先に進みます (>>334の安価は八幡の帰宅後になります)


雪ノ下「あら比企谷くん、もしかして私が来るのを待っていてくれたのかしら?」


時折吹く小風に黒髪を靡かせて歩み寄ってくるのは雪乃だった。


比企谷「別に待ってたとかじゃねぇよ、ただの偶然だ」


俺は自転車から降りてその場に立ち止まる。

雪乃は自転車を挟んだ俺の反対側まで歩いてくると、自転車の前カゴに自分の鞄をそっと入れる。……っておい。


比企谷「ちょっと待て雪乃、なんでさりげなく俺の自転車にお前の荷物入れてんだよ」

雪ノ下「?」

比企谷「とぼけるようにきょとんと小首傾げんな。俺はお前の荷物持ちじゃねぇんだぞ?」

雪ノ下「そうだったかしら。私の記憶が確かならば、昨日のあなたは『荷物持ちでもなんでもどんとこいっての。ひきこもりの底力を見せてやるぜ』と言っていたはずなのだけれど」

比企谷「あー、そういやそんなの言った記憶が……。……ってかよく覚えてたな、なにお前人の言質取るのが趣味なの? 俺の人間観察以上に悪趣味じゃねぇか」

雪ノ下「ふっ、『絶対に許さないリスト』を綴っているあなたには言われたくないわね」

比企谷「っ!? な、なんでお前はそのことを知っているんだ……!?」

雪ノ下「昨日の夜に小町さんから聞いたのよ。その内容はどうも私に対する記述が多いようなのだけれど、それは一体どういう了見なのかしら?」

比企谷「そ、それはお前が俺に対して接する態度が辛辣過ぎるからだっつぅの。だって普通同一人物に1日だけで15回も『気持ち悪い』なんて言うか?」

雪ノ下「普通は言わないでしょうね」

比企谷「そうだろ? なら」

雪ノ下「でもそれは比企谷くんが常人とは隔絶された不愉快さを身に纏っているのが原因でしょう? 当時の私はあくまで主観的に意見を述べただけよ」

雪ノ下「そしてその時、部室内にいたのは私と比企谷くんだけ。つまりあなたにとっての客観的意見は私のみという事になり、同時にそれがあなたに対する総意見ということになる。ゆえに私の言ったことは正しいの」

比企谷「め、滅茶苦茶な理屈なのになんとなく筋が通っているだと……?」

雪ノ下「いいから早く行きましょう比企谷くん。でないと過去の記録を大幅に塗り替えて、新しい記録を樹立させてもいいのよ?」

比企谷「それだけは勘弁して下さい……!」


颯爽と歩く雪乃の背中を、俺は少し重みの増した自転車を押しながら慌てて追った。


↓3 駅までの間の会話のネタを求む


雪乃の少し後ろを俺は自転車を押しながら歩く。

上を見上げると空は既に薄墨を流した様な藍色に染まり、遠くで燃えるような夕日が静かに消えようとしていた。

視線を前へ戻し、すれ違う人々の顔を伺う。その表情はみな様々だ。

疲労困憊といった表情のサラリーマン、白い歯をみせてはにかみ合う男女の二人組、キャッキャウフフと肩を寄せ合いにこにこ笑うカップル……っておい、なんでこんなにリア充(笑)が多いんだよ。

すれ違う人間の大半はなぜかカップルだった。……なにこの激甘空間、爆ぜればいいのに。

だがこの光景を見て、俺の頭の中をある一節が過ぎった。


比企谷「……『苦しみが残していったものを味わえ!苦難も過ぎてしまえば甘美だ』……か」


今のはドイツの詩人であるゲーテの残した格言の1つだ。

人間は苦境にある時、負の側面に思考が堕ちやすい。殆どの人間がその例に当てはまるだろう。

非リア充の人間がリア充を見ると、なぜか胸の奥底がチリチリと焼け付くような痛みを生じる。

それは心のどこかで彼らに劣等感を感じているからだろう。

自分には持っていないものを沢山持っている、自分には成し遂げられないことを簡単に成し遂げる。

それが己の心に暗い影を落とす。

だがそれは一瞬のことで、後々になって考えてみればそんなのは些細なことだということに気がつく。

その感情は、道を歩いていたら誤ってガムを踏んでしまった程度の嫌悪感などとなんら変わりはない。

だからそれは自虐ネタに昇華して笑い話にしてしまえばいい。

理想論だが、それが出来ればどんな瞬間も楽しく幸せに生きることが出来るというわけだ。


雪ノ下「その一節……、ゲーテね」


目の前を歩いていた雪乃は急に立ち止まって俺の方へ振り返る。

その動きに合わせて雪乃の黒髪が揺れ動き、そのあまりの華麗さに一瞬見惚れる。


比企谷「……あ、ああ。なんかすれ違う人間を見てたらなんか突然その一節が浮かんだんだよ」

雪ノ下「へぇ……、まさか比企谷くんにそんな教養があるなんて思いもしなかったわ」

比企谷「へっ、俺だって海外の詩集ぐらい読むっつぅの」

雪ノ下「そう。……でもね比企谷くん、突然なんの脈絡もなく言葉を発しないでもらえるかしら」

雪ノ下「あなた、私が言葉を続けていなかったら急に独り言を呟きだした変人よ? すぐ側には交番があるのだから、言動には十分気をつけてもらいたものだわ」

比企谷「……おい、なんかお前さっきから妙に発言が刺々しくねぇか? なんか妙に昔を思い出すんですけど」

雪ノ下「……、そうかしら。別に普段通りだと思うのだけれど」

比企谷「あ、ちょ、おい!」


雪乃は瞬く間に俺へ背中を向け、早足で駅へと歩き出す。

俺は慌てて再びその背中を追った。

ゆきのんは急に消えて先生とラーメン食いに行ったことをまだ怒っているのかな


そのあと駅で雪乃を見送り、俺は自転車に乗って自宅へと帰った。

昨日は雪乃の家にお世話になったので一日ぶりの帰宅である。

俺はポケットから家の鍵を取り出して解錠し、自宅の中へ足を踏み入れる。


比企谷「たでーまー」


靴を脱ぎ、帰宅したことを告げるも返事はない。

そもそも家の中に明かりはなく、そこには薄暗い闇が広がっているだけだ。


比企谷「なんだよ、小町のやつどこほっつき歩いてんだ……?」


ぶつくさと独り言を呟きながら、俺は部屋の明かりをつけた。

暗闇からの急激な変化に視界を一時的に奪われたが、それもすぐに回復する。


比企谷「……とりあえず部屋に荷物を置きに行くかな。あ、あとついでに勉強道具も机の上に広げておくか」


階段を登り2階の自室へと足を運ぶ。

部屋の電気を付けて鞄から勉強道具を取り出した時点で、俺はある事態に気がついた。


比企谷「……やっべ、数学の教科書忘れてきちまった」


机の上に広げられた勉強道具の中に数学の教科書が見つからない。

どうやら雪乃の家に置いてきてしまったようだ。


比企谷「とりあえず連絡しとくか。えっと……」


俺はポケットからスマホを取り出し、アドレス帳から雪乃の連絡先を探す。


比企谷「…………雪ノ下雪乃は…………って、あれ? なんでないんだ?」


いくら画面を指先でぬるぬる操作しても、アドレス帳のや行に『雪ノ下雪乃』の名前は存在しなかった。

……あ、そういえば連絡先交換したのはしたけど、赤外線送信しただけだから俺は雪乃のアドレス知らねぇんじゃん。

…………どうすんのこれ?


八幡はどうする? 以下より選択

�雪乃から連絡が来るのを待つ(川崎が主人公となり別のお話を開始。その後雪乃視点で>>459の続きを再開します)

�別の誰かにメールをして教えてもらう(訊き出す相手は再安価で決定)

�雪乃の家に直接向かう

先に4票集まった選択肢で先に進みます。

注釈ミスしたので訂正


八幡はどうする? 以下より選択

�雪乃から連絡が来るのを待つ(川崎が主人公となり別のお話を開始。その後雪乃視点で>>460の続きを再開します)

�別の誰かにメールをして教えてもらう(訊き出す相手は再安価で決定)

�雪乃の家に直接向かう

先に4票集まった選択肢で先に進みます。


……明日は数学の授業があるし、ぼっちである俺は他人から教科書を借りるという選択が出来ない。

よってこの条件より導き出される答えは、最終的に三択に絞られる。

1つは雪乃から連絡が来るのを待つことだが、これは確実性に欠けているので却下。

1つは別の誰かから雪乃のアドレスを訊き出すことだが、これは今更感があり妙な噂が立てられかねない(既に噂話が立っているが気にしたら負け)ので却下。

最後に雪乃の家に直接向かうという選択肢は、誰にも見つからなければ特に問題はない。

ただ雪乃の家までの距離が遠すぎるのと、昨日からの睡眠不足で帰り道の途中でぶっ倒れる可能性があるのが一抹の不安を感じる。


比企谷「……でもまあ、背に腹は変えられねぇか。数学の授業でテストの結果だけじゃなく授業態度まで悪かったらもう救いようがねぇしな」


授業中の態度というのは意外と成績に反映されるものである。

最近の集会で聞いた進路指導部の先生のありがたいお説法曰く、「授業中に寝ててもテストで90点を取る生徒より、授業を一生懸命受けて80点を取る生徒のほうに通知表で良い成績を付ける」らしい。

教師も人間である。やはり自分に関心を向けてくれる人間には甘くしてくれるものだ。

だから目上の人間に媚を売るのは悪くないことだと思う、人間強度は著しく低下するけどな。

俺の親父みたいな人間が量産されるとか地獄絵図だろ……。

とりあえず貯金箱から野口さんを二人財布へ召喚し、手早く制服から私服に着替える。

スマホの電池の残量を確認すると残り50%といったところだ。まあ誰からもメールとか来ねぇから問題ないだろう。

自室の電気を消して部屋から出て、階段を素早く降りる。


カマクラ「ニャー」

比企谷「ん? カマクラ?」


階段を降りたところで聞き慣れたカマクラの鳴き声が聞こえた。


比企谷「あれ、なにお前まだメシ貰ってねぇの?」


俺がそう訊ねると、カマクラは床にぺたりと座って尻尾をパタパタと動かす。


カマクラ「ニャー」


これを人間の言語に翻訳するとこうなる。


カマクラ「ニャー(腹減ったから早くメシよこせ、間に合わなくなっても知らんぞ)」

比企谷「……小町のやつ、ちゃんとメシやってから出かけろよ……」


俺は猫のエサを持ってきて受け皿に入れてカマクラに差し出す。

カマクラはエサに鼻を近づけてクンカクンカと匂いを嗅ぐと、無言のまま俺を見上げてきた。


カマクラ「……、(おい、なんでいつも固形のヤツなんだよ。たまには魚食わせろ)」

比企谷「うるせぇ、黙って食え」

カマクラ「ニャー(……ったく、これだから人間ってやつは困るぜ。てめぇらばっかいいもん食いやがって、ぶくぶく太って豚になっちまえ)」

比企谷「……、」


俺は防犯対策にリビングの電気を付けたまま家を出た。

玄関の鍵をしっかりと締め、自転車に跨り両足に力を込める。

上弦の月が夜闇で淡く輝く中、俺は雪乃の住まうマンションへと向かった。


雪乃のマンションへ向かう途中で誰かと遭遇した? 以下より多数決

�小町と由比ヶ浜 �雪ノ下陽乃 �葉山隼人 �遭遇しなかった 

先に3票集まった選択肢で先に進みます

すみません、ちょっと24時からアニガイルの3話の生放送を見てくるので更新が遅れます


【雪ノ下の住むマンション・エントランス】


俺はぼっちスキルを最大限駆使し、誰にも気付かれることなく雪乃の住むマンション前に到着した。だから俺は忍者かよ。

雪乃への連絡手段はここで雪乃の部屋を呼び出すしか他に方法はないので、俺は名称がよくわからん四角い機械に雪乃の部屋の番号を入力する。

番号を入力し終え、ベルを鳴らす。だが返事はない。

とりあえず二度三度鳴らしてみると、突然スピーカーにノイズが走った。


『……はい、どちら様ですか?』

比企谷「俺だ、ちょっとお前の家に忘れ物したからこの扉を開けてくれ」

『……どちら様ですか?』

比企谷「……、比企谷八幡だ」

『そう。いらっしゃい比企谷くん、お帰りはあなたの後方になるわ』

比企谷「おいおい、また随分と斬新なお出迎え方だな。頼むからその出迎え方は二度とすんなよ?中学生の頃にそれやられて泣いて帰ったことがあるからな」

『……、』

比企谷「おいなんか喋ってくれ、自虐ネタが滑ると精神的ダメージが結構デカイんだよ」

『……、5分だけ、待ってもらえるかしら』

比企谷「ああ、わかった」


俺は忠犬ハチ公の如く、雪乃に言われた通りにエントランスでソファに座って待った。

そして5分後、自動ドア挟んだ向かい側から私服姿の雪乃が歩いてきた。

雪乃の手には俺の数学の教科書が握られていた。……話が早くて助かるな、ホントに。

開かれた自動ドアを通過して雪乃は俺の前に立つ。


雪ノ下「はい、これ。あなたの忘れ物」

比企谷「ああ、わざわざすまんな」

雪ノ下「別に構わないわ。……それで、要件は済んだかしら?」


雪乃は冷め切った瞳で俺を一瞥すると、不機嫌そうに腕を組む。


比企谷「(……なんか雪乃のこの反応はアレだな、たぶん拗ねてる)」


おそらくその原因は俺と平塚先生がラーメンを食いに行ったからだろう。

……ねぇ、なんでたったそれだけでこんなに拗ねるの? どんだけ独占欲強いんだよお前。

俺なんか仮に戸塚が別の男子と一緒に出かけたとしても、その男子を翌日闇討ち仕掛けるぐらい……って、俺も独占欲めっちゃ強いじゃねぇか。

ぼっちは持たざる者故に、一度モノを手にしてしまうとそれに固執する傾向にある。ソースはつい先日の俺。

……あんなに取り乱したのは人生初だぞ、つーか誰かに本音を打ち明けることも人生初。昨日ははじめてだらけだったなー。


八幡はどうする? 以下より多数決

�謝罪と感謝を込めて雪乃を外食に誘う

�とりあえずアドレスを教えてもらう

�用が済んだので帰る

先に3票集まった選択肢で先に進みます

�やってからの�

>>481

これ実質二択でよかったんですかね……?

>>481さん >>482さん わかりました、�から�の流れでいきます。

あとみなさんに1つ伺いたいんですが、これ安価指定するとき皆さんに反応してもらうためにツイッターと連動させた方がいいんですかね?

その辺がちょっとよく分からないので皆さんの意見をお聞きしたいです。

やめて、Twitterとかぼっちには厳しいんだよ。誰もフォローしてくれない事が分かりきってるからやってないやつもいるんだ。例えば俺。

>>483
俺を孤独死させるつもりか

ツイッター見れる時は普通にスレも覗いてるんじゃね

>>484さん 了解です、連動させるのはやめときますね。

>>485さん 大丈夫です、フォローしてくれたらフォローを返しますので孤独死はしないと思います。

>>486さん なるほど、むしろ夜中に通知を知らせる鳥の鳴き声がしたら不愉快ですかね。


皆さんの意見を踏まえて連動するのはやめておきます。

でも名前の部分に『@ぼっち党員』と記入するとフォロワーさんが増えるのでオススメですよ。

私はそれでフォロワーさんが3人増えました。 総裁!ちゃんとお知らせしておきましたからね! 


……まあそんなどうでもいい話は置いておいて、続きを書きますね。しばらくお待ち下さい。


最近他の俺ガイルSSを書いている方々が音沙汰なくて心配です、春先は仕事が忙しいんですかね? ……うわぁ、働きたくねぇ……。


比企谷「待ってくれ雪乃、まだ俺の要件は済んでねぇ」


雪乃は俺の発言に眉を顰めて小首を傾げる。


雪ノ下「……そう、では他に一体なにがあるというのかしら?」

比企谷「あー、えっとだな。まぁ色々とお前に言ってやりたいことはあるんだが……とりあえず雪乃、俺にお前のアドレスを教えてくれないか?」

雪ノ下「……比企谷くん、残念だけどその要望に応えることは出来ないわ。私の携帯はいま家の中に置きっぱなしなのよ」

比企谷「そ、そうか。ならまたあとでそっちからメールしてくれ、その時に登録するから」

雪ノ下「ええ、分かったわ」

雪ノ下「……それで、さっきの口振りから推測するに、まだ何かあるのでしょう?」

比企谷「ああ」

雪ノ下「……そう。なら私、今から夕食の準備があるから、出来るだけ手短にお願い出来るかしら?」

比企谷「わかった」


……良かった、どうやら雪乃はまだ夕食を食べていないようだ。

これなら外食に誘っても問題なさそうだな。


比企谷「じゃあ雪乃、ちょっと今から一緒にメシ食いに行こうぜ。もちろん俺の奢りだ」

雪ノ下「……、」


雪乃はどう返す? 以下より多数決

�「分かったわ」

�「丁重にお断りさせて頂きます」

�「外食に行くくらいなら自炊するわ」

先に3票集まった選択肢で先に進みます


雪ノ下「……分かったわ。でも自分の分は自分で払うから気にしないで、あなたに借りは作りたくないから」

比企谷「え、あ、お……おう、分かった」

雪ノ下「少し待っていて頂戴、身支度を整えてくるわ」


そう言って雪乃はマンションの中へと戻って行った。


比企谷「(……ふぅ、ひとまず第一段階は突破か。……けどどうやって雪乃の機嫌を直すかな、あの様子じゃまだ拗ねたままだぞ……?)」


とりあえず雪乃が戻ってくるまでの間、頭の中で色々と計画を立てることにした。

だが上手く考えが纏まらず、頭を抱えて苦悩の声を漏らしていると不意にスマホが振動した。


比企谷「……あん? 誰だ?」


ポケットからスマホを取り出し、送信者の名前を確認すると——


送信者は誰? 以下より多数決

�undersnow.1-3@destiny.ne.jp �小町 �平塚先生

先に3票集まった選択肢で先に進みます


 差出人 undersnow.1-3@destiny.ne.jp
 題名「雪ノ下雪乃です」
 本文「外食に行くのは分かったわ。けれど私は一体どんな格好をすればいいのかしら?』


比企谷「……いや、知らねぇよ」


画面を見て思わず呟く。

ぶっちゃけそんなに身構えられるとこっちがなんか困るんですけど。

だって俺の予算はたったの2000円で、行く予定だったのはサイゼですよ?

いくら俺が小金の錬金術師といえど、流石に夜景を見ながらディナーを堪能できるレストランを予約する財力は持っていない。

とりあえずメールを返そうとは思うが、……うーん、その内容に困るな。


↓3 メールの内容をどうする?


……まあここは無難に『そんなに堅苦しくなくていいぞ。今日はそんなに立派な店に行くわけでもないしな。』って返しておくか。

そんな感じの文面をフリックで入力し、送信ボタンを押す。

そして数分待っていると再びメールが届く。

差出人はさっきと同じく雪乃である。


 差出人 雪ノ下雪乃
 題名「了解」
 本文「けれど服を選ぶのにあと15分くらいかかりそうなのよ。だから非常に申し訳ないのだけれど、もう暫く待っていてもらえるかしら」


比企谷「……、」


なんだあいつ、乙女か。……乙女だな。

しかしなぜ女子の着替えはこんなにも時間がかかるのだろうか。

男子は3分もあれば着替えられるというのに、てか3分あったらウルトラマンが怪獣倒しちまうよ。

でもあれ絶対3分以上地球に留まってるんだよなぁ、なのに変身が解けない……不思議。

とりあえず『了解』と文字を入力して送信。……さて、暇になっちまったな。


↓3 八幡はどうする? 以下より選択

�誰かにメールする(選択された際に再安価で相手を決定)

�ぬぼーっと時間を浪費する


……そうだな、誰かとメールでもして時間を潰すか。

俺はスマホを操作してアドレス帳を表示させる。


八幡は誰とメールする? 以下より選択

�小町 �由比ヶ浜 �平塚先生 �戸塚 �材木座

先に3票集まった人物にメールします


メールする相手は……うん、小町でいいか。

内容はどうすっかな。


↓3 メールの内容


えっと……、『今日は遅くなりそうだから、オカンによろしく言っておいてくれよな。』っと。


比企谷「ふぅ……」


画面に浮かぶ『送信完了』の文字を確認して一息つく。

小町のやつも家にいなかったが、あいつは一体どこにいるんだか……。

待ち受け画面を呆然と眺めていると、スマホが小刻みに振動する。

差出人は小町だ。


 差出人 小町
 題名「かしこまりー」
 本文「でもお兄ちゃん、朝帰りとかしちゃダメだからね?」


……あんのマセガキ、朝帰りなんかしねぇよ馬鹿。

『遅くても日付が変わる前には帰るから安心しろ』と打ち込んでメールを送信。

…………。

…………いかん、少し眠くなってきた。

なにここのエントランス、俺の家より空調快適だしソファもふかふかで睡魔の能力値ブーストがヤバイ。

……どうしよう。


八幡はどうする? 以下より多数決

�少し寝る(一時的に視点が雪乃に移動します)

�頑張って起き続ける(小町からの返事が来ます)

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


……ダメだ、眠すぎる。少し寝るか。

俺はスマホをポケットに仕舞い、腕を組んで両眼を閉じる。

静寂が支配するこの空間に溶けこんでいくように、俺の意識はまどろみへと落ちていった。



【雪ノ下の家・自室】



雪ノ下「……これで大丈夫かしら?」


部屋の隅に置かれた姿見に映る自分の全身を確認する。

白いワンピースの上に黒のジャケットを羽織り、首元には小さな猫型のネックレスを付けてみた。

比企谷くんは堅苦しくなくていいとは言っていたけれど、折角彼から食事に誘われたのだ。

やはり見栄えは良くしておきたい。


雪ノ下「それであとは……」


私は視線をベッドの上に向ける。

そこにはクローゼットの中から引っ張りだされた大量の私服が山を築き上げていた。


雪ノ下「(……これは帰ってきてから片付けることにしましょう。ええ、それがいいわね)」


私が比企谷くんに指定した時間は15分。

そして部屋の時計を見れば、既に13分が経過している。

このまま私服の片付けに取り掛かろうものなら、指定時刻に間に合わず遅刻してしまう。


私は鞄の中に携帯と財布、ハンカチとテイッシュを二組ずつ仕舞い、鞄を腕に掛けて部屋の電気を消した。

玄関で黒のロングブーツを履き、家の外に出て鍵を閉める。


雪ノ下「いってきます」


決して返事が返ってくることのない、冷たい鋼鉄の壁にそう告げて、私は比企谷くんの待つエントランスへと急いだ。


【雪ノ下の住むマンション・エントランス】


エレベーターを使いエントランスに到着すると、ソファに腰子を掛けている比企谷くんの姿を発見した。

けれど比企谷くんは私が近づいても、腕を組んだまま微動だにしない。……もしかして眠っているのかしら?

私は下から比企谷くんの顔を覗きこむと、彼の両眼は静かに閉じられていた。

……さて、これは一体どうしたものかしら。


↓4 雪乃はどうする? 


比企谷「……、」


……熟睡して起きる気配はなさそうだし、比企谷くんの寝顔を撮ってもバレなさそうね。

私は鞄から携帯を取り出してカメラを起動させる。

赤外線通信はよく理解できなかったけれど、カメラは問題なく使える。

これはたまに道端ですれ違う猫を撮影していた賜物ね。

携帯を両手で握りながら構え、照準を合わせる。

そして撮影ボタンである中央のキーを押した。

——カシャッ!


雪ノ下「っ!」


何の前触れもなく携帯から鳴り響いた電子音に全身がびくっと震えた。

……迂闊だった、撮影時には自動で音が鳴ることをすっかり失念していたわ。


比企谷「……、」


しかし比企谷くんはよほど疲労が溜まっているのか、今の物音でも目を覚まさない。

このまま寝させてあげたいところだけれど、ここは……


雪乃はどうする? 以下より多数決


�八幡の背後に回って肩を叩き、振り返りざまに人差し指で頬を軽く突く

�八幡の耳元に息を優しく吹き掛ける

�隣に座って八幡の裾を引っ張る


先に4票集まった選択肢で先に進みます


反応早すぎぃ! ここの住民は神速のインパルス常備なんですかねぇ……。

とりあえず安価は3で行きますが、視点はどうしますか?

皆さんの意見を伺いたいです。


まさかのガハマさん……?

と、とりあえず多数決で決めたいと思います。


誰視点で話を進める?

�八幡 �雪乃 �結衣

先に4票集まった選択肢で視点を決定します


比企谷「……っ」


不意に身体を引っ張られるような感覚を覚え、俺はゆっくりと閉じていた瞼を開いた。

まず視界が捉えたのは三本の腕。

二本は腕組みをしている俺の腕だが、残りの一本は横から伸びてきていた。

それは深雪のように穢れのない、透き通るような白く細い腕。

その腕の先にあるどこか儚さを感じる五指は、俺の上着の裾の部分を優しく握り締めていた。


比企谷「……ああ、すまん。もう時間か」


眉間を軽く揉み解しながら視線を左に移動させると、そこには雪乃が座っていた。

雪乃は白いワンピースの上に黒のジャケットを羽織り、こちらをじっと見つめている。


雪ノ下「……、」

比企谷「……、」


お互いの視線がぶつかり、沈黙が流れる。

そしてその沈黙を破ったのは雪乃だった。


雪ノ下「おはよう比企谷くん、よく眠れたかしら?」

比企谷「……いや全然だな、たった10分程度じゃ寝た気がしねぇよ」

雪ノ下「そう、昨日は夜遅くまで起きていたものね」

比企谷「それを言うならお前もだろ。それなのによく眠くならねぇな」

雪ノ下「あら、私だって現在進行形で眠気を感じているわよ? ただそれを表に出していないだけの話」

比企谷「……おいおい、それで無理して道端でぶっ倒れる真似とか御免だぞ?」

雪ノ下「その点に関して言えば大丈夫よ。だってもし仮に私が道端で倒れても、すぐ側にはあなたがいるじゃない」

比企谷「……はっ、俺が倒れてる人間の側にいても何の役にも立たねぇよ。せいぜい救急車を呼ぶ事が出来る程度だっての」

雪ノ下「あらそうかしら? あなたのそのどんよりとしたゾンビみたいな顔を見れば、どんな人間でもたちまち目を覚ますと思うのだけれど?」

比企谷「……ねぇ、俺の顔ってそんなに酷い?」

雪ノ下「ええ、酷く醜悪で卑屈さが滲み出ていて直視するのも躊躇われる凄惨な表情ね。私のようなある程度の耐性を持った人間でなければ即通報されるレベルよ」

比企谷「さいですか……」


……もうやだこのアマ、ホントに永眠させてやりたい。

こいつを永眠させて俺も永眠する! 

やだなにその無理心中、ふざけんな俺はまだ戸塚のタキシード姿を見るまで死ぬつもりはねぇから。

そして隣でウエディングドレスを着るのはマイシスター小町、戸塚になら安心して嫁に出す事が出来る。



そんな未来設計図を脳内で書き上げ、すぐに丸めてゴミ箱にぶち込んで俺は立ち上がる。


比企谷「そんじゃまあ、準備も出来た事だしさっさと行こうぜ。早くメシを済ませねぇと俺の帰りが遅くなっちまうからな」

雪ノ下「そうね、私も二日連続で徹夜は流石にキツイもの」

比企谷「だな。それじゃなくてもお前、ただでさえ体力ないもんな」

雪ノ下「……あら、それはひきこもりくんに言われる筋合いはないと思うのだけれど?」

比企谷「うっせ、俺はただ厳然とした事実を述べただけだっての」


……だからなんでお前は俺の中学時代のあだ名を知ってんの? なにお前エスパー?

そんな軽口を叩き合いながら、俺と雪乃は近くのサイゼへと向かった。


サイゼで知人と遭遇した? 以下より多数決

�陽乃と城廻 �小町と由比ヶ浜 �三浦たちカースト上位陣 �相模含む4人組 �遭遇しなかった

先に4票集まった選択肢で先に進みます

>>478
>……あんなに取り乱したのは人生初だぞ、つーか誰かに本音を打ち明けることも人生初。昨日ははじめてだらけだったなー。
って書いてあったけど、読み直したら、一昨日の事だった。昨日はゆきのんの家に小町と泊まったはず。

安価は5で。

>>563さん すみません、ミスですね。 申し訳ないです。

あと明日(というか今日)学校なので、更新は一度ストップしますね。

再開はおそらく21時以降になるかと……。

それではこの辺で失礼します。


(感想が多かったら近日中に別の俺ガイルSS投下します)

携帯から失礼します

もうひとつの俺ガイルSSの内容は、【もし八幡が雪乃と同じ小学校にいたら】というifです。

更新頻度はこちらが最優先で、むこうは週一くらいのペースを予定しています。

ただ人気があれば週二に増やすかもしれません。

逆に人気がなければ適当に折り合いをつけて徐々にフェードアウトしていくつもりです。

とりあえず今日の更新終了後にスレを建ててみるので、もしお時間があればご覧になってみて下さい。





【サイゼリア】


店員「いらっしゃいませ。お客様はお一人様でしょうか?」

比企谷「はい、ひと……じゃなかった、二人です」


しまった、ついいつもの癖が出てしまった。

ぼっちである俺がファミレスに複数人で入ることなんて滅多にないからな。

人数の確認を求められたらすぐに「一人です」と条件反射で返しちゃうし、……なにその悲しい習性。

夏休みにはクソ虫に呼ばれて川崎と一緒にサイゼに行ったが、入店のタイミングは別々だったしなぁ。


……川崎のやつ、あの後どうしたんだろうな。



店員「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」


女性店員が先導し、俺と雪乃はドリンクバー付近のテーブルへ誘導される。

椅子を引いて雪乃とテーブルを挟んで対面の形で座ると、女性店員は一度小さく会釈をしてメニュー表を手の平で示した。


店員「本日の日替わりランチは6番のハンバーグステーキ&チキンカツとなっております」

店員「ご注文の際はそちらのボタンをお押しになって暫くお待ち下さい。すぐにご注文に伺います。ではごゆっくりどうぞ」


マニュアル通りの台詞をスラスラと述べると、女性店員は軽快な足取りでバックヤードへと戻っていった。


比企谷「……さて、俺はドリンクバーとミラノ風ドリアを頼むんだが、お前はどうすんの?」

雪ノ下「そうね、私は…………、この地中海風ピラフとドリンクバーにするわ」

比企谷「了解。そんじゃ店員さん呼ぶか」


俺はボタンを押して店員を呼ぶと、自分と雪乃の分の注文を済ませる。

女性店員は注文内容を復唱し終えると、再びバックヤードへと戻っていった。


↓3 八幡はどうする? 



比企谷「なぁ、雪乃」

雪ノ下「なにかしら、比企谷くん」

比企谷「今日の放課後、お前たちに何も言わずに平塚先生と出掛けに行って悪かった。すまん」

雪ノ下「……、」

雪ノ下「比企谷くん、なぜあなたは私に謝罪をしているの?」

比企谷「え? なぜってそりゃ……」


雪乃に問われたもののすぐに答えが浮かばず、続きを紡ごうとしかけた口を閉じる。


比企谷「(……俺は、どうして雪乃に謝罪してるんだ?)」


雪乃は赤の他人以上友達未満の存在で、気心の知れた知り合い程度にしか思っていない。

それは今日の放課後、平塚先生と車内で繰り広げた会話の中で確認した。

そして今後の俺と雪乃や由比ヶ浜との関係性の展望も明確にした。

俺が望むのは現状維持だ。

雪乃と由比ヶ浜とのつかず離れずの心の距離間を維持すること。

そう望んだはずだ。

ならばこの場面で俺が謝罪をするのはおかしい。

なぜなら雪乃に謝罪する必要性が皆無だからだ。

別に俺は雪乃と恋人同士という関係ではないのだから、俺がいつどこで誰と過ごしていようが俺の勝手だ。

だから俺が平塚先生と一緒に過ごしていたのを雪乃が知って、それが原因で雪乃が嫉妬して拗ねるという流れになるのは不自然だろう。


こんなのは俺の自意識過剰が生み出した妄想だ。

そもそも前提から間違っていたのではないのだろうか。

雪乃が俺にリビングで告げた言葉は嘘だったのではないか。

雪ノ下雪乃ですら嘘をつく、それは休み明けの邂逅時に身に沁みて理解したではないか。


様々な情報が頭の中をぐるぐると目まぐるしく動き回る。

おかげで思考が上手く纏まらない。

俺は……俺は……。


八幡が雪乃に謝罪した理由とは? 以下より多数決


�現状維持を望んでいても、心のどこかではそう望んではいないから

�経験則から学んだ対処法で、謝れば物事は収束すると信じているから

�上手く説明の出来ない感情が、自然とそうさせたから


先に4票集まった選択肢で先に進みます

安価は1でいきますね。

そして別スレをこっそりと建てて更新を開始しました。

もしお時間があればご覧になってみて下さい。


【やはり俺はどの学校でもぼっちである。】

やはり俺はどの学校でもぼっちである。 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367336241/)


今日(昨日)は学校のスポーツ大会で疲れた(ソフトボールで自責点12の敗戦投手になった)のでもう寝ますね。

……なんで自分をピッチャーにしたんだよ、外野でよかったのに!

爪を怪我して投げられなくなったから「代わりに投げてくれない?」とかふざけんな! こっちは一度もピッチング練習してねぇんだぞ!

おかげで胃がキリキリと痛い……。

試合が終わった後のクラスメイトから向けられたあの妙に生暖かい視線はもうトラウマもんですよ……。


……話が逸れました。愚痴をこぼしてすみません。

それではこの辺で失礼します。

乙。
それなんて八幡?

ここは>>1にしか任せられないほど他の奴のボールコントロールが終わってたってプラス解釈しておこうぜ!

乙。それは災難だったな。できれば1のツイッター、フォローしたいわ。

>>590さん どちらかといえばガハマさんポジですね でも根っこの部分は八幡です

>>591さん @tn0051 ←がツイッターでのアカウントになります 今日もフォロワーさんが2人増えてました、ぼっち党員の効果ハンパねぇ……


アニガイルの5話の先行カット画で大志の画像がありましたが、見た瞬間素で変な声が出ました(ファッ!?みたいなやつ)

八幡視点ではいつもボロクソ言われてるので、イメージでの大志は原作第一部のナルトみたいな感じでした。

ところがどっこいなんだこのイケメン、絶対にリア充だろ(憤慨)

……でもよく考えたら川崎さんかなり美人だから、弟がイケメンの可能性もあったんだよなぁ

あと川崎家の髪の色はあれが普通みたいですね、だからサキサキは髪を染めているわけではないと

斉木楠雄の超能力がこんなところにまで影響を……


まあそんなつぶやきはこの辺で切り上げて、そろそろ再開しますね

もうしばらくお待ちください


比企谷「(俺は…………本当に望んでいるのか?)」


これ以上、心の境界線を踏み越えもせず戻りもしない完全に停滞した関係を。

つかず離れずの、手が届きそうで届かない中立的な関係を。

本当に、俺は望んでいるのか?


雪ノ下「……、」


目の前に座る雪乃は、俺の返事を無言のまま待ち続けている。

背筋を伸ばし、身じろぎひとつせずに。

愚かしいほどまっすぐな双眸を俺に向けて、雪ノ下雪乃は時が来るのを静かに待つ。


比企谷「(……いや、違う。雪乃はただ待っているんじゃない)」


彼女は待ってくれているのだ、俺の返事を。

俺が心の境界線を踏み越えるのを、今か今かと待ち望んでいるのだ。


——そしてふと、雪乃に言われた言葉を思い出す。



「…………でも私は、『期待して』待ってるから」



目の前の少女はこんな俺に期待を寄せてくれている。

救いようがないほど捻くれたこの俺を、見下すことはあっても見捨てることなく見守ってくれている。


——なら俺は、そんな彼女の希望を裏切る様な真似はしたくない。

——彼女の期待に、応えてみたいと素直に思った。



比企谷「雪乃」

雪ノ下「なにかしら」

比企谷「俺がお前に謝罪したのはだな、俺がお前の事を」


店員「お待たせしました。ミラノ風ドリアと地中海風ピラフになります」


比企谷「——…………、どうも」

店員「ご注文の品は以上でお揃いでしょうか?」

比企谷「あ、はい。大丈夫です」

店員「畏まりました。では失礼致します」


女性店員に物凄い勢いで邪魔された。これでもかってくらい完璧なタイミングで台詞を被せてきやがった。

今のなに? 平塚先生予備軍の方ですか?

パッと見た感じでは20代後半っぽい感じだったから、もしかしたらそうかもしれない。

なんだよ人が折角その気になったていうのに、世の中はどこまで俺に対して厳しくするつもりだ。ラブコメとか爆発しろ。



なんで更新に三時間もかかってんのよ、あんたバカァ!? ……すみません、遅くなってしまいました。


(以下読み飛ばし推奨)


さて、薄々気づいている方もいるかもしれませんが、ここ数日の投下内容は1巻の内容に似せるように心がけて書いていました。

特に>>593はその顕著な例です。終わり方は1巻の2章のパクリです。間違えた、オマージュです。

原作の1巻のようにツンツンしている雪乃。でも時の経過と共に積み重ねた信頼で、僅かなデレが見え隠れ……はあんまりしてないですね。

>>559のある一文はそのつもりで書いたはずなんですが、こうして見返すとただの暴言でした。ツンデレとボウゲンは紙一重。

ちなみに雪乃が拗ねてるのは>>459さんが指摘しているように、八幡が平塚先生と一緒にラーメンを食べに行ったからです。

それにプラスαで裏設定を考えていたんですが、八幡視点ではどうしようもないので使用しませんでした。裏設定考えるのって面白!!

雪乃視点で今までの流れの焼きまわしをすれば活用出来ないこともないんですが、誰もそれは望んでいないでしょうしね。

……というか、この長文誰得感想文(笑)も誰も望んでないはず。でもなんでこれはこんなに早く書けるんだろう、不思議。




とりあえず話に一区切りがついたので、ここらで久々のあれをやりたいと思います。


以下より多数決 先に4票集まった選択肢で主人公を決定します

�比企谷八幡視点で続き �雪ノ下雪乃視点で続きorニューゲーム �川崎沙希視点で続きorニューゲーム


(※�の『川崎沙希視点で続き』は>>333からの続きとなります)

サキサキなんていなかったんや……。

でもアニメのサキサキは個人的にゆきのんより可愛いと思います。(あ、嘘ですごめんなさい、だからその包丁しまってくださいお願いします)

アニメイトTVの先行カットでメイドのサキサキが見れるよ!(あと戸塚のメイド姿も見れるよ! 性別は男じゃなくて戸塚!)


とりあえず安価は2になりました。

それで念の為に聞きますが、話は>>593の続きでいいんですよね?

いちおう多数決をとりますね


話は続きから? それともニューゲーム?

>>593の続きから �ニューゲーム

先に3票集まった選択肢で話を進めます

2
川崎…人気ないんか

>>606 それは違うぞ! ゆきのんの人気が絶大すぎるだけだから! 川崎さんは人気だから!(震え声)


了解です

では次回は雪乃視点で話を進めますね

更新再開予定は早くて23時頃、遅くてアニガイル放映後ですかね。

それでは今回はこの辺で失礼します


あとフォローしてくださり感謝です! 頑張りますね!

乙。
>>559の>ええ、酷く醜悪で卑屈さが滲み出ていて直視するのも躊躇われる凄惨な表情ね。私のようなある程度の耐性を持った人間でなければ即通報されるレベルよ

は、暴言というより、あなたのそばにいれるのは私くらいね。という意味かと思ってました。

俺もそうだと思ってゆきのんかわいいわーとか思ってたけど

携帯から失礼します
>>608さん
>>609さん

はい、その解釈であってます。

自分は二人以外がその会話を聞いたら暴言と何ら代わりはない、と言いたかっただけです。

記述不足ですみません。


雪ノ下「比企谷くん、早く食べないと折角の料理が冷めてしまうわよ?」

比企谷「え? あ、ああ、そうだな」


私は裏方へ戻る女性店員の後ろ姿を恨めしそうに睨み付けている比企谷くんに声を掛ける。

それで我に返った比企谷くんは慌ててスプーンを掴み、両手を合わせて「いただきます」と呟いた。

私もそれに倣い、スプーンを握って「いただきます」と呟く。

やや閑散とした店内に流れる小粋なイタリア民謡が、夕餉の雰囲気を整える。



雪乃はどうする? 以下より多数決

�先程の続きを訊ねる

�先程とはまったく別の話題を出す(内容は選択された際に再安価で決定します)

�店の入口に見知った顔を発見する(人物は選択された際に再安価で決定します)


先に4票集まった選択肢で先に進みます


すみません、続きは今日の朝10時過ぎから書きます


雪ノ下「……、」

比企谷「……、」


お互い沈黙を保ったまま、ただ黙々と舌鼓を打つ。

先程、比企谷くんは私に何かを言おうとしていた。


比企谷『俺がお前に謝罪したのはだな、俺がお前の事を』


お前の事を……、なんなのだろうか。

意識しているから、意識していないから。

好きだから、嫌いだから。

愛し…………いえ、それは彼自身が出来ないと否定しているからありえないわね。


『比企谷くんは私のことをどう思っているのだろうか』


そう一度考え出してしまうと、そのことが頭から離れなくなる。

悶々とした蟠りが私の心を徐々に蝕んでいき、気が付けば私は彼に呼びかけていた。


雪ノ下「ねぇ比企谷くん」

比企谷「……ん? なんだ?」

雪ノ下「さっきの話の続き、聴かせてもらってもいいかしら」

比企谷「……、どうしても言わないとダメか?」

雪ノ下「ええ、ダメね。直ちに言わなければそうね……」


↓3 八幡が発言を渋った際はどうする?



雪ノ下「…………あ、あなたにもう一度告白するわ……っ」

比企谷「は?」


……なにかしら、その可哀想な物でも見るかのような生暖かい視線は? 

自分から醗酵する為の環境に近づこうとするなんて、比企谷くんの目はまだ腐り足りないのかしら。

これ以上腐ったとしても、比企谷くんが得るものはないと思うのだけれど……。


雪ノ下「……冗談よ。いいからあなたは早く続きを話しなさい、先が気になって食事どころではないの」

比企谷「さっきまで普通に食ってたじゃねぇか」

雪ノ下「ええ、そうね。だってさっきまではそんな事は考えていなかったもの」

比企谷「さいですか……」

雪ノ下「そうよ」

比企谷「……、」


比企谷くんは私から視線を下方へ逸らし、スプーンで残り半分ほどになったドリアを平坦に掻き均す。

そして均し終えた直後、彼は観念したように深い溜め息をついて顔をあげた。

自然とお互いの視線が交差する。


比企谷「…………俺はだな、お前の事を」


八幡が告げる続きは? 以下より多数決

�「気になっては……いる。だから無意識の内に謝罪したのかもな」

�「好き……なのかもしれん。それが好意からくるものか、それとも別の感情からくるものかは俺自身もよくわからん」

先に4票集まった選択肢で先に進みます



比企谷「好き……なのかもしれん」


彼は私にそう告げて、気恥ずかしそうに左頬を掻く。

そして視線をあちこちに彷徨わせながら、「だが」と前置きを置いて言葉を続ける。


比企谷「それが好意からくるものか、それとも別の感情からくるものかは俺自身もよくわからん」

比企谷「……でも、これだけは言える」


比企谷「俺はお前のことは嫌いじゃない。それは確かな事実だ」


彼はそう宣言して椅子から立ち上がると、すぐ近くのドリンクバーコーナーへ歩いて行った。

私はその背中をじっと見つめる。

猫のように曲がった、覇気がなくどこか頼りなさすら感じる彼の背中。

きっとその背中には、数えきれない程の悲哀や憂愁、憎悪などが重くのしかかっているのだろう。

だから彼の心は捻くれてしまい、その悪影響は精神だけでなく肉体にも及んでしまった。

この問題を解決しようにも、彼自身ではどうしようもない。

なぜなら彼の周囲の世界が間違っているのだから。

彼が正しくあろうとしても、間違っている世界の中では彼の言動は異端の者として見られるだけ。

どんなに頑張っても認められず、どんなに足掻いても報われない。

逆に頑張らなかったら否定され、足掻かなかったら取り残される。

どんな選択肢を選んでも、彼の前には通行止めの立て札が貼られているのだ。

だから彼はあと一歩を踏み出すことが出来ない。

踏み出したその先に道がないから、その場に留まり続けることしか出来ない。


雪ノ下「(……なら、私がそんな比企谷くんの為に出来ることは……)」


↓5 雪乃が八幡の為に出来ることとは?



雪ノ下「(……なにも、ないのかもしれないわね)」


仮に私が様々な策を弄じて彼を救い出そうとする。

そしてそれに成功したとしても、それで彼は素直に喜んでくれるのだろうか?

彼が私に何気なく話す日常会話から推察するに、彼には心の拠り所と呼べるものが存在しなかった。

信じる相手も頼る相手もおらず、ずっと孤独と向き合って彼は今まで生きてきた。

その生き方は、常に好奇の目に晒され続け孤立していた私とよく似ている。

だからこそ、彼の考えには納得出来るものも多い。

……しかし、私は彼の考えを全面的に同意しているわけではない。

初めて彼に会ったときのあの会話も、いまでも完全に納得してはいない。

それでも文化祭で多くの観衆が見つめる中、壮麗にタクトを振るう姉の姿を見てこぼした私の本音に対して彼が言った一言は、私の考えを根幹から大きく揺れ動かした。


「……ならなくていいだろ。そのままで」


前世紀500年頃のギリシャ哲学者、ヘラクレイトはかつて「万物は流転する Panta rei(パンタ・レイ)」と唱えた。

「すべてのものは流れる。何ものも存続せず、同じままということはない」と述べ、万物の真の姿は、運動・変化の状態にあると考えた。これは釈迦の唱える「諸行無常」と同じことだ。

科学、医学の進歩を経験している私たちには、この「万物流転」「諸行無常」がよく理解できる。

例えば、人間の身体を構成する物質は、日々、刻々と入れ替わっている。

自然界のすべての現象は、原子の世界から宇宙に至るまで、片時もとどまることなく、変化している。

変わっていないと見えるものも、タイム・スパンを広げれば変化しているのが分かる。

私も彼も、気付かぬ内にどこかしら変化しているのだ。

だから無理して変わろうとする必要はないし、変えようとする必要もない。

自然体のまま流れに身を任せ、運命にすべてを委ね、直感の赴くままに生きる。

そうすれば、自ずと道は拓かれるはずだ。

四方八方を完全に封鎖されていたとしても、まだ道は完全に潰えてはいない。

彼は心に深い闇を抱えた影響で堕ちる所まで堕ち、その結果辿り着いた深淵で小さく蹲っている。

これ以上堕ちる心配がない彼に残された道は、天上から降り注ぐ一筋の光だけだ。

それを自力で這い上がるかどうかは彼自身が決めることであり、私がとやかく言う筋合いはない。


雪ノ下「……、」


握っていたスプーンを紙ナプキンの上に置き、私も席を立つ。

ドリンクバーのコーナーへ向かうと、丁度飲み物が入ったグラスを握って席へ戻る彼とすれ違った。


比企谷「……、」


お互い視線を合わせるだけで、口を固く結んだまま何も語らない。

そのままドリンクバーのコーナーへ到着すると、私はカップに紅茶を注いで席に戻った。


このあと雪乃はどうする? 以下より多数決


�食事をすみやかに終えてそれぞれの家へ帰宅する

�急に睡魔に襲われて眠ってしまう(視点が一時的に八幡へ切り替わります)

�別の話題を出して食後の余韻に浸る(内容は選択された際に再安価で決定します)

�店の入口に見知った顔を発見する(人物は選択された際に再安価で決定します)


先に4票集まった選択肢で先に進みます

安価のせいでなんかgdってきたな

>>656さん

正直ぶっちゃけると八幡と雪乃の二人だけで会話を回すのがだんだんキツくなってきてます、せめてあと一人いれば……。

すみません、ちょっと課題をやらないといけないので更新が一旦ストップしますね。

22時ぐらいから再開予定です。


あと「俺ぼっち」の方は明日更新予定です。お時間がある時に見て頂ければ幸いです。

そのあと私達はお互い語り合うこともなく、ただ黙々と食事を続けた。

そして私はピラフを食べ終わり、スプーンの背を下に向けて空になった皿の上に静かに置いた。


雪ノ下「ご馳走様でした」

比企谷「……ん、じゃあそろそろ帰るか」


既にドリアを食べ終えていた比企谷くんはグラスに残っていたアイスコーヒーを一気に飲み干すと、伝票を掴んで席を立った。

私もそれに続くように席を立ち、レジへ向かいながら鞄から財布を取り出す。


店員「お会計、1338円になります」


店員に金額を告げられ、私が財布からお札を取り出そうとした所で、比企谷くんはその動きを片手で制した。


比企谷「雪乃は先に店の外に出てていいぞ。会計は俺が済ませとくから」

雪ノ下「待ちなさい比企谷くん、私は自分の分は自分で払うと言ったでしょう?」

比企谷「ああ、確かに言ってたな。けど別にいいだろ? 昨日の礼だと思って大人しくゴチになっとけよ」

雪ノ下「……、」


そう言われてしまうと、なかなか強く反論することが出来ない。

彼自身は気が付いているのだろうか。

かつての彼は人に物を奢ったりすることを嫌う人間だったということを。


雪ノ下「……、ありがとう」

比企谷「はっ、わざわざ礼を言われるようなことでもねぇよ」

雪ノ下「そう。それじゃあ私はお言葉に甘えて、先に店の外に出ているわね」

比企谷「ああ、すぐ行く」


私は比企谷くんに断りを入れて一足先に店の外へ出る。

残暑が厳しい影響か、夜にも関わらず生温い風に髪を撫でられながら携帯で時刻を確認すると、21時を少しばかり過ぎていた。

携帯を鞄に仕舞い暫く待っていると、自動ドアがゆっくりと開いてその中から比企谷くんが出てくる。


比企谷「さて、そんじゃ帰るか」


そう言って、比企谷くんは街灯に照らされた夜道を歩き出す。


雪ノ下「比企谷くん、駅はそっちではないわよ?」

比企谷「あん? なんで駅に行かなきゃなんねぇの?」

雪ノ下「なんでって……、あなたは帰宅するのではないのかしら?」

比企谷「ああ、まあそうだけどさ。……でもその前に、俺はお前を家まで送ってかなきゃダメだろ」

比企谷「世の中は平穏そうに見えて結構物騒だし、それにお前みたいな美人が夜道を一人で歩いてたら危ないだろうが」

雪ノ下「っ! び、びじ……っ」


……ふ、不意打ちでそういうことをさらっと言うのはやめてもらいたいのだけれど……っ。


雪乃はどう切り返す? 以下より多数決(先に4票集まった選択肢で先に進みます)

�「大丈夫よ。私こうみえて合気道の有段者だから」

�「……で、でもそれではあなたの帰りが遅くなってしまうじゃない」

…………なんだこれ 

もう一度言います、なんだこれ(驚愕)

どっかの組織の構成員が集結してるんじゃないかってぐらいの団結力に思わずMAXコーヒー吹き出しました。

なんなんですか、みなさんどれだけ二人の掛け合いを見たいんですか。 

誰かガハマさんのことも思い出してあげてください……。


(以下、読み飛ばし推奨)


それよりさっき>>657で二人の掛け合い書くのがキツイとか言ったな、アレは嘘だ。なんか意外といける……気がします。

明日も休みって素晴らしいね、明日もSS書けるよ! ……シュタゲの映画観に行きたいなぁ……。

とりあえず今日はこのあと少し更新したら一度中断します。「俺ぼっち」の方の書き溜めもしなきゃいけないんで。

「俺ぼっち」の反響が結構あって嬉しい限りです。「乙」の一言だけのコメントでも、それがあるとつい口元が緩みます。

なんか自分の作品(二次創作ですが)を見てくれているという実感があって頑張る気力が湧いてくるんですよね。

でもそれもこれも、すべては原作者の渡航先生がいたからこそです。先生が原作をこの世に生み出してくれなかったらこうはならなかった。

つまりわたりんは神、ぽんかん�神も神。

ゲームの特典はゆきのん罵倒ボイス集でお願いします。それか「銀魂のすごろく」の「ぬるぬるドラマメーカー」みたいなやつでも可。



そろそろ「ここはツイッターじゃねぇんだよ、引っ込めバカ野郎!」と言われそうなので自重します。

独り言はこのあたりで切り上げて本編を再開しますね、しばらくお待ちください(たぶん1時間くらいかかると思います)


雪ノ下「……で、でもそれではあなたの帰りが遅くなってしまうじゃない」

比企谷「大丈夫だ、問題ない。この世で俺の帰りを待っている人間は小町しかいないからな」

雪ノ下「あなたが小町さんに向ける全幅の信頼は相当ね……」


それに比べて私と姉さんは……。……少しだけ、比企谷くんが羨ましく感じるわ。


比企谷「けどその小町も絶賛外出中なんだけどな。なんか由比ヶ浜のやつと一緒に出掛けてるんだと」

雪ノ下「由比ヶ浜さんと小町さんが?」

比企谷「ああ、ついさっき連絡があってさ。——ほれ」


比企谷くんはそう言って私にスマートフォンを手渡してきた。

人差し指で馴染みのない画面を恐る恐る操作して、小さな画面から情報を取得する。


比企谷「途中で小町が平塚先生も呼び出したらしくてな、今は3人でラーメン食いに行ってるらしいぞ」


その画面にはラーメンを啜る平塚先生と由比ヶ浜さんの写真が映っていた。

この一枚から推測すると、写真を撮っているのは小町さんということになるのだろう。


雪ノ下「そう、小町さんはあなたとは違ってコミュニケーション能力に長けているのね」

比企谷「ああ、俺を反面教師にしたおかげでな。つまり今の小町は俺が育てたと言っても過言ではない!」

雪ノ下「……小町さんも大変ね、こんな残念無双な兄を持って生まれて」

比企谷「うっせ、ほっとけ」


雪ノ下「………………私も、あなたみたいな兄がいれば………………」


比企谷「……雪乃?」

雪ノ下「……っ、な、なんでもないわ」


私は比企谷くんにスマートフォンを返すと、彼に表情を見られないように背中を向ける。


雪ノ下「(……最近はたらればが多くて駄目ね。ありもしない幻想を追いかけても、手に入るのは虚しさだけというのに……)」


沈んだ心を無理矢理奮い立たせて、頬に力を込めて口角を吊り上げ、比企谷くんの正面に向き直り目を細める。


雪ノ下「それじゃあ比企谷くん、自宅までのエスコートを頼めるかしら」

比企谷「……あ、ああ、頼まれた。いざとなったら国家権力を呼び出すし、防衛対策はバッチリだからな」

雪ノ下「そう、それを聞いて安心したわ。……けれど、もしかしたらあなたが警察に補導されるかもしれないから、くれぐれも言動には注意しなさい」

比企谷「おいやめろ、暗に俺の顔が犯罪者っぽいとか言ってんじゃねぇよ。母ちゃんから『人は顔で判断するな』って習わなかったのかよ」

雪ノ下「生憎、私が物を習ったのは専属の家庭教師からなのよ。長女で後継者である姉さんはともかく、私が母と接する機会なんてほとんどなかったわ」

比企谷「……そ、そうか」

雪ノ下「……まあ、私の家の事情なんてものはどうでもいいのよ。とにかくエスコート、お願いするわね」

比企谷「ああ、わかった」


そうして、私と比企谷くんは並行して夜道を歩いた。


今回はここまでです。

更新再開は「俺ぼっち」の更新後となります、それでは。

「俺ぼっち」を更新したのでこちらも再開します。


夜道を歩く二人、知人と遭遇した? 以下より多数決

�小町と由比ヶ浜と平塚先生 �陽乃 �遭遇しなかった

先に4票集まった選択肢で先に進みます


比企谷くんと軽いトークを交えながら自宅へ向かって歩いていると、背後から突然声をかけられた。


小町「あれ、もしかして雪乃さんですか?」

雪ノ下「? ……あら小町さん、こんばんは」


振り返ると、そこには私服姿の小町さんがいた。

チェックのプリーツスカートにマリンブルーのシャツ、その上にベージュのジャケットを着用している。


小町「こんばんは! いやー、今夜もなんだか蒸し暑いですね」

雪ノ下「そうね」

比企谷「……おい待て小町、なんで兄である俺をスルーして先に雪乃に話しかけてんだ」

小町「あれ? どっかで見たことある後ろ姿だなーって思ったらお兄ちゃんだったんだ」

比企谷「このガキ……!」

小町「きゃーっ! せんせー助けてー!」


比企谷くんは小町さんの脳天に手刀を振り下ろそうとすると、小町さんはわざとらしい悲鳴をあげて小走りで駆けて行く。

小町さんが向かったその先にいたのは、平塚先生と由比ヶ浜さんだった。

平塚先生は学校で普段着用している黒のスーツ、由比ヶ浜さんは制服姿だ。


平塚「うむ? どうしたのかね?」

小町「目の腐った男の人に襲われかけたんです!」

平塚「なんだ、比企谷のことか」

比企谷「ちょっと先生? なんで『目の腐った男の人』っていう断片的な情報で俺って決めつけるんですか……」


比企谷くんは小町さんの後を追って三人と合流する。

私もそれを追おうとしたけれど、会話の邪魔をするのも悪いと思いこの場で傍観することにした。


由比ヶ浜「あ、ヒッキー。やっはろー」

比企谷「おう由比ヶ浜、もう夜だからハローって時間帯じゃねぇけどな」

平塚「ふむ、やはり比企谷だったか。私の推理に狂いはなかったな」

比企谷「いや、そもそも推理もクソもないと思うんですけど……。っていうか先生、なんか小町達とラーメン食ってきたみたいですけど、その前に俺とラーメン食ったばっかですよね?」

平塚「ああ、そうだな。だが学校でひと仕事終えたらいつも小腹が空くものなのだよ」

平塚「いつもはコンビニで酒とつまみを買って帰るのだが、今日は帰宅する直前で君の妹にメールで呼び出されてな」

小町「えへへっ」

平塚「だからコンビニには寄らず彼女達と合流したんだ」

平塚「そしたら二人はまだ夕食を食べていなかったようだから、私が行きつけの店に連れて行ってだな、今はその帰りだ」

平塚「今回はこの近くにある『前勝軒』という店に行ってきたんだが、あの店はつけ麺が非常に有名でな。今度君も連れて行ってやろう」

比企谷「はぁ……、どうも」


平塚「それと雪ノ下、君もそんなところで突っ立っていないでこっちに来るといい」


平塚先生がこちらに手招きをしているけれど……。

雪乃はどうする? 以下より多数決(先に4票集まった選択肢で先に進みます)

�「いえ、私は結構です」 �「……、わかりました」 �「あれー? 比企谷くんに静ちゃんに小町ちゃんにガハマちゃんだー! あ、雪乃ちゃんもいるー!」



陽乃「あれー? 比企谷くんに静ちゃんに小町ちゃんにガハマちゃんだー! あ、雪乃ちゃんもいるー!」


その声は、平塚先生達のさらに奥の方から聞こえた。

今までに幾度と無く聞いてきたその優しい声音。

その裏に隠された本音を掻き消す、温かな欺瞞に満ちた声が私の鼓膜を揺さぶる。


平塚「は、陽乃?」

陽乃「はーい、陽乃さんです♪ なになにどうしたのみんな揃って? この間の打ち上げの続きかな?」

比企谷「違いますよ、俺はただ偶然出会っただけです。先生たちは一緒にラーメン食べてきたみたいですけど」

陽乃「ふぅん、そっかー」

由比ヶ浜「は、陽乃さん。や、やっはろーです」

陽乃「うん、やっはろーガハマちゃん♪」

小町「昨日ぶりですね陽乃さん、やっはろーです♪」

陽乃「やっはろー小町ちゃん♪」

陽乃「あ、そういえば比企谷くん、ちゃんと『昨日のアレ』守ってる?」

比企谷「言われなくてもちゃんと守ってますよ。規約違反してどんな酷い命令が下るかわかったもんじゃないんで」

陽乃「そっか、感心感心♪」

陽乃「で、小町ちゃん、実際の所は?」

比企谷「ちょっとちょっと? なに俺そんなに信用ないの?」

小町「大丈夫ですよ陽乃さん、兄はちゃんと下僕のごとく順応に命令を実行中ですから♪」

陽乃「おお、やっぱり比企谷くんは奴隷の才能があるね。前世はさぞ有能な奴隷だったのかな?」

比企谷「さらっと格を下げるのやめてくんないですかね……」

由比ヶ浜「あ、あはは……」

平塚「陽乃……、あんまり私の可愛い教え子のことを貶すのはやめてくれないか。比企谷を貶していいのは私だけだぞ」

比企谷「ちょっと先生? 助け舟を出したつもりなんでしょうけど、その船底に大きな穴が空いてるんですけど?」


……なにかしら、比企谷くん達の会話を聞いているだけなのに、この胸の奥を焦がすような痛みは……。


雪乃はどうする? 以下より多数決

�「比企谷くん、付き添いはここまでで結構よ。それじゃあまた明日」

�「比企谷くん、『昨日のアレ』とはどういう意味かしら?」

�無言のまま八幡に近づき、腕を引っ張って走り出す(直下判定安価あり)


先に4票集まった選択肢で先に進みます


胸の痛みを押し殺して、私は比企谷くんの元へ近付いていく。

そして彼の手首を掴んで走りだそうと——


直下判定 コンマ以下(数字の羅列の一番右端)が偶数の場合は逃走成功、奇数の場合は逃走失敗


胸の痛みを押し殺して、私は比企谷くんの元へ近付いていく。

そして彼の手首を掴んで走りだそうとした。


比企谷「ちょ、雪乃!?」

由比ヶ浜「ッ! ぬ、抜け駆けはさせないよゆきのん!」


由比ヶ浜さんが比企谷くんの片腕を掴もうと手を伸ばすが、それでも私の動きにはわずかに追い付かない。

彼女の伸ばした手は虚空を掴み、私は彼の腕をきつく握って走りだした。


小町「なんか面白い展開になってキタ————ッ!」

陽乃「いいぞ雪乃ちゃん、もっとやれー!」

平塚「ほう、これは……」

由比ヶ浜「……っ、ゆきのん……、ヒッキー……」


背後から歓声が沸き起こるが、私は振り返ることなくただ前を向いて走った。


雪乃はどこへ向かう? 以下より選択

�海浜幕張公園 �自宅

先に4票集まった選択肢で先に進みます

21時過ぎてるって書いてあったから、2日連続でお泊まりコースか?この流れは


【雪ノ下の住むマンション・エントランス】


無我夢中で夜道を駆け抜けた。

脇目もふらず、ただ前を見据えて走り続けた。

髪は乱れ、額には大粒の雫が浮かび上がっていた。

呼吸は大きく乱れ、肺が悲鳴をあげていた。

それでも、彼の腕を離すことは決してしなかった。


——こんなに全力で走ったのはいつ以来かしら。


そんな思考を働かせる余裕が出来たのを知った時、私は自宅のマンションへ戻ってきたことに気が付いた。


雪ノ下「はぁ……、はぁ……、はぁ……っ」

比企谷「ちょ……、雪……乃、……お前、いきな、り……どうし、たんだよ……っ」


お互い普段から運動に慣れ親しんでいないせいか、エントランスに辿り着いた私達は背中合わせでソファに座り込んだ。

心臓が早鐘を撞くように高鳴り、当分収まりそうにない。

水気を含んで肌に貼りついてくる髪を一括りに纏め上げ、私は心を落ち着かせる為に大きく深呼吸をした。


暫くしてようやく呼吸の乱れも収まり、私はソファから腰を上げた。


雪ノ下「……あの、その……ごめんなさい比企谷くん。いきなり連れ出してしまって……」

比企谷「いや、別に構わねぇよ。……なんかお前なりの考えがあったんだろ?」

雪ノ下「それは……。その……」

比企谷「……。それにさ、あの時お前が連れ出してくれなきゃ俺、たぶんあのまま精神に集中砲火喰らってノックアウトしてたと思うしな。そういう意味でも、ナイス判断だったんじゃねぇの?」

雪ノ下「……、」


比企谷くんは人の機微によく気が付く。

彼の悪趣味の人間観察で培った眼力は、他人の些細な変化を見逃さない。

だから歯切れの悪い返事を返す私を見て、彼は何かを悟ったのだろう。

彼は本当に、周りの人間をよく見ている。



比企谷「……ん? なぁ雪乃、お前さっきまで付けてたネックレスはどうした?」

雪ノ下「……え?」


比企谷くんに指摘されて、私は自分の首元に視線を落とす。

そしてその時、私は初めて気が付いた。

私が着替える時に身に付けたはずの猫型のネックレスが、忽然と姿を消していたことを。


比企谷「……、もしかして走ってる時に落としちまったのか?」

雪ノ下「それは……分からないわね。とにかく無我夢中で走っていたから、全然気が付かなかったわ」

比企谷「そのネックレス、結構大事な物なのか?」

雪ノ下「いえ、あまり思い入れのある品ではないけれど……」

比企谷「そうか……」


比企谷くんはそう小さく呟くと、それっきり黙ってしまった。


雪ノ下「(……あ、そういえば鞄の中にハンカチを入れていたわね)」


私は鞄から二組のハンカチを取り出し、その内の一つで額に浮かぶ雫を拭き取り、もう一つを比企谷くんに差し出す。


雪ノ下「比企谷くん、これ、よかったら」

比企谷「ん? ああ、サンキュ」


比企谷くんはハンカチを受け取ると、それで額に浮かんだ汗や頬を伝って垂れた雫を拭き取る。

私はそれを流し目に見ながら、携帯を開いて時間を確認する。

時刻は21時30分を過ぎていた。

私のマンションから駅までは歩いて10分程、今帰ればそう遅くならない内に比企谷くんは自宅に帰ることが出来る。


比企谷「……んじゃ雪乃、俺そろそろ帰るわ」


そう言ってソファから立ち上がった比企谷くんは、ポケットにハンカチを仕舞った。


比企谷「このハンカチ、洗って明日返すからな。そんじゃ」


比企谷くんは私の横を通り過ぎ、彼は手を上げて去って行く。

その後姿は、先日の文化祭の時に見送った彼とまったく同じだった。

夜も遅い事だし呼び止めようという考えが頭を過ぎったが、それは無粋だろうと思い開きかけた口を閉じた。

その代わり、私は右手を上げて左右に小さく振ってこう告げた。


雪ノ下「ええ、また明日」


彼の後姿が見えなくなるまで、私は手を動かすのをやめなかった。


いぇい! 修羅場はあんまり書けなかったZE☆ 

まあ修羅場を書くのは結構楽しかったんですけど、どうもゆきのん視点では難しいですね。

とりあえず>>710さんのコメントにあるように二日連続でお泊りコースも視野に入れてたんですが、それをやるとまあ色々と弊害が生じるので止めておきました。

これは個人的な意見なんですが、原作同様八幡と雪乃はその親しくなっていく過程が大変素晴らしいと思っています。

二人が付き合ってしまったら、もうそれは「俺の青春ラブコメはまちがっていない」なので、まちがっている彼らにはこれが一番いいのではないかと考えています。

まあ「安価のSSで何いってんだこいつ?」と言われてしまったらそれまでなんですがね……。



とりあえず、話のキリがいいので恒例のアレやります。


以下より多数決 先に5票集まった選択肢で主人公を決定します

�雪ノ下雪乃視点で続き �川崎沙希視点で続きorニューゲーム


(※�の『川崎沙希視点で続き』は>>333からの続きとなります)



川崎「あたしの出番……ないの? ……バカじゃないの」


ああ不憫 川崎沙希は 不憫な子 ……季語は川?


とりあえずゆきのん続投でいきます。

せめて一人ぐらいサキサキを選んでもらいたかったです(同情)

アニメでも5話以降は当分出番がががが……。


そういえばさっき原作の6巻をぱらぱらめくっていたら、相模のイラストがあって思わず二度見しました。

なんで今まで気が付かなかったんや……。


とりあえず今回の更新はここまでです。

やっぱりスレ二つを更新すると疲れますね、精神的疲労がハンパないです。

たぶんGWを過ぎたら「俺ぼっち」の更新ペースは格段に落ちると思います。

ヘタしたら2週間に1回のペースです、なんか申し訳ないです。


まあそんな愚痴はこの程度で切り上げて……。

今回はこの辺で失礼します、それでは

今までの流れでゆきのんメインが固定してしまっているから川崎をメインにするのなら新規SSでスレ立てした方がいいかもね


>>725さん 

ですかね。ここのスレのゆきのん親衛隊の団結力は異常ですし(褒め言葉です)

「俺ぼっち」終わった頃に気が向いたら書いてみようと思います。あと何ヶ月後になることやら……。


GWにどこかへ出掛けることなく自宅に引き篭ってますがなにか? 

じ、自宅にいれば無駄な出費をしなくて済むからいいんだよ!(震え声)


学校の課題に飽きたので更新を再開します。

とりあえず、行動指定の安価を出しますね。


雪乃はこの後どうする? 以下より多数決

�誰かにメールする(相手は選択された際に再安価で決定)

�就寝して明日に備える

先に4票集まった選択肢で先に進みます


【雪ノ下の住むマンション・自室】


比企谷くんを見送ったあと、私は自分の部屋へ戻った。

クローゼットから引っ張り出してベッドの上に放置していた洋服を仕舞い、着替えを持って脱衣所へと向かう。

汗で肌に纏わりつく服を洗濯機に放り込み、蛇口を捻り洗剤と柔軟剤を投入して電源ボタンを押した。

静かな駆動音を鳴らす洗濯機を見ながら、私は素肌にタオルを巻いて風呂場に向かい、シャワーを浴びて全身を洗い流した。

風呂から上がると濡れた全身をタオルで拭き、下着を身に付けパジャマに着替えて髪を乾かす。

髪を乾かし終えたら次は歯を磨き、いつでも就寝できる準備を整える。

そのあとはキッチンに向かってお米を研ぎ、水に浸してしばらく置いておく。

お米を研いで濡れた手をタオルで拭きながら、私は自室に戻ってベッドに腰掛けた。


雪ノ下「……、」


これで今日やるべきことはほぼ終了した。

あとはいつものように勉強をして、水に浸してあるお米を炊飯器にセットし、タイマーを設定すれば眠りに落ちるだけ。


雪ノ下「(……なのだけれど、さっきの出来事の印象が強烈過ぎて、今日はちゃんと就寝できるか心配ね……)」


我ながら随分と大胆な行動に出たと思う。

異性の手を引っ張って夜道を駆けるなど、まるで一昔前の恋愛ドラマのような展開だ。


雪ノ下「……っ」


その光景を思い返すと、自分の頬が火照るのを感じた。

私はその熱を冷ますように首を左右に振って心を落ち着かせ、軽く深呼吸をして冷静を取り戻す。


そしてふと視線を前方に向けると、私の視界が自分の携帯を捉えた。

なんとなく携帯に手を伸ばしそれを開くと、画面には新着メールを告げるアイコンが表示されていた。


メールの差出人は誰? 以下より多数決

�比企谷八幡 �由比ヶ浜結衣 �平塚静 �雪ノ下陽乃 �比企谷小町


先に4票集まった選択肢で先に進みます


すみません、>>726の安価の内容を間違えてしまいました。

�誰かにメールする(相手は選択された際に再安価で決定)

�就寝して明日に備える


ではなく


�誰かからメールが届く(差出人は選択された際に再安価で決定)

�就寝して明日に備える


でした、申し訳ないです。

けれど内容的にはそんなに変わらないので、そのままいかせてもらいます。


↓5 そのメールの内容は?


差出人は由比ヶ浜さんだった。

私はボタンを押してメールの本文を確認する。

画面に映し出された文面には、いつも由比ヶ浜さんが私に送信してくるメールとは異なり、顔文字が一切使用されていなかった。


 差出人  由比ヶ浜結衣
 題名「ゆきのん」
 本文「逃げないで 逃げないでよゆきのん 
    ゆきのんがヒッキーのことを好きなのはよくわかった
    でも、逃げるのはずるいよ 
    あたし、二人に逃げられちゃったらどうしていいかわかんない」


雪ノ下「由比ヶ浜さん……」


普段の顔文字がないせいか、その文章は真っ直ぐ私の心に突き刺さる。

彼女は、一体どんな心境を抱いてこのメールを私に送信したのだろうか。


雪ノ下「……、」


↓5 雪乃はどう返事を返す?


……とりあえず、今回は謝罪の言葉を伝えるべきね。

そして明日、直接由比ヶ浜さんと対面してからの話し合いの末に、きちんと結論を導き出しましょう。

私は『今日は……ごめんなさい……。明日、あなたと二人だけで話す時間をもらえないかしら。』と文字を打ち込んで、由比ヶ浜さんに送信した。

そして画面に浮かび上がる『送信完了』の文字を確認すると、私は携帯を静かに閉じた。



そのあと今日の授業内容の復習と明日の授業内容の予習を済ませた私は、炊飯器のタイマーをセットして自室のベッドに仰向けになった。

ベットの上で横になった途端、昨日から蓄積された疲労が怒涛の勢いで押し寄せ、私は深い眠りに落ちていった。


えっと、突然すみません。

雪乃は就寝したんで行動不能なんですけど、他のキャラのストーリー補完の意味での裏話みたいなのってやった方がいいですかね?

あ、もちろん見たくないなら見たくないという選択肢でも構いません。


一応候補としてあげられるのが、


『雪乃と別れて帰宅するまでの八幡』

『平塚先生と陽乃の飲み会』

『小町と由比ヶ浜のガールズトーク』

『川崎のその後』


の4点で、今後のストーリーに反映されるものもあったりします。


みなさんの意見を伺いたいです。


とりあえず安価出しときますね


�「一人孤独に比企谷八幡は夜の街を行く」

�「世話焼きの二人の女性は飲み歩く」

�「気の合う二人の少女は会話に花を咲かせる」

�「残された彼女は一人考える」

�「日が昇り、また新しい一日が始まる」


先に4票集まった選択肢で先に進みます。

(反応が多ければ2個くらいやる予定です)



川崎「……っ、」


かわさきさきが なみだめで こちらをみている


……。

で、では『世話焼きの大人の女性二人の会話』と『ガールズトーク』をやりますね。

ちなみに安価はありません。あと地の文もありません。会話オンリーです。

そしてそんなに長くならない予定です。

少し書き溜めてくるのでしばらくお待ちください。


すみません、今日はなんだかものすごく眠いので更新は明日の朝にやります。


平塚「……はぁ」

陽乃「おやおや?どうしたの静ちゃん、溜め息なんてついて。残り少ない幸せが逃げちゃうよ?」

平塚「うるさい、余計なお世話だ陽乃。あと残り少ないとかさらっと言うな」

陽乃「ごめんごめん。で、どうしたの?」、

平塚「……いやな、さっきのアレのことなんだが……」

陽乃「あー、雪乃ちゃんたちのことね」

陽乃「うんうん、まさかわたしも雪乃ちゃんがあんな思い切った行動に出るなんて予想だにしなかったなぁ」

平塚「……ふん、どうだかな。陽乃、実は裏で君が一枚噛んでいるんじゃないのか?」

陽乃「静ちゃんひどーい、そうやっていつもわたしを悪役に決めつけるんだからぁ。……まぁあながち間違いではないんだけどね」

陽乃「わたしはただ煮え切らない比企谷くんの背中を少し後押ししてあげただけだよ♪」

平塚「後押し……か。それは比企谷に雪ノ下のことを名前で呼ぶように指示……いや、言質を取って退路を断ち、逃げ場をなくして強制的に命令したといったところかな?」

陽乃「おお、さすが静ちゃん、鋭いね」

平塚「なに、陽乃の本性を知る私なら造作も無いことだよ」

陽乃「ちょ、静ちゃんその言い方ひどいー」

平塚「何を今更、私は真実を述べたまでだ」

陽乃「むぅ……、」


平塚「……それと陽乃、1つ君に忠告しておこう」

陽乃「うん?」

平塚「今後、私の教え子にちょっかいを出すのは控えてくれたまえ」

陽乃「……、」

平塚「雪ノ下は君が大切にしている可愛い妹だから、君がついちょっかいを出したくなる気持ちは分からなくもない」

平塚「だが今は将来に繋がる大切な時期だ。この時期に人格形成を誤ると、今後の人生に大きな支障をきたす恐れがあるからな」

平塚「だから無闇に刺激を与えてはいけない。比企谷や雪ノ下、由比ヶ浜たちは非常にゆっくりながらも、着実に前へと進んでいるんだ」

平塚「彼らには彼らのペースというものがある。だからそれを乱すのは感心しないな」

平塚「私達が出来るのは、比企谷たちがちゃんと成長するかどうかを優しく見守ってあげることなんだ。もちろん、道を踏み外したら元に戻してあげることも重要だがな」

陽乃「静ちゃん……」

平塚「ほら陽乃、箸が止まってるぞ」

陽乃「あっ!? わたしの煮玉子!」


……こんな感じでいいんでせうか? 

よくわかりません。たぶん補完になってないかもしれませんね。

まあ平塚先生は『八幡が雪乃を名前で呼んでいる事情を知っている』ということで、今後いろいろ活躍する機会があるんじゃないですかね。

どっかのブラコンさんのように安価でスルーされないのが前提ですが……。


お次はガハマさんとマッチの会話です。

時系列は八幡と雪乃が一緒に下校している頃ですね、場所はマックとかその辺で。

書き溜めは一切していないのでもうしばらくお待ちください。



……おい、この量なら全部やってもよかったんじゃねぇか……?


由比ヶ浜「小町ちゃんお待たせー」

小町「あ、結衣さん!やっはろー!」

由比ヶ浜「やっはろー!」

小町「いやー、急に呼び出してすみませんね結衣さん」

由比ヶ浜「ううん、平気平気。……今日ちょっと部室の空気が気まずかったから、丁度よかったっていうか……」

小町「結衣さん……。——あっ、と、とりあえず飲みましょう結衣さん! 乾杯ですよ乾杯!」

由比ヶ浜「……う、うん! か、かんぱーい!」

小町「かんぱーい!」

由比ヶ浜「……、」

小町「……、」

小町「……ゆ、結衣さん。言いたくなかったら言わなくてもいいんですけど、参考までに今日なにがあったか教えてくれませんか?」

由比ヶ浜「小町ちゃん……。…………うん、わかった」


由比ヶ浜「…………今日は、今日はね、なんだか色々あったんだ」

由比ヶ浜「……朝、登校してたらヒッキーとゆきのんが腕組んで登校してるって友達が話してるの聞いちゃってさ」

由比ヶ浜「最初は嘘だって思ってたんだけど、その証拠の写真も見ちゃって……」

由比ヶ浜「……で、それ見たらなんか急に涙が出てきちゃって。それで友達に心配かけないように奉仕部の部室に行って泣いてたら、そこにヒッキーとゆきのんが来ちゃって……」

由比ヶ浜「しかも二人とも仲良く手繋いでてさ、もうあたしの完璧な負けじゃんって諦めたら余計涙が溢れてきちゃって……」

小町「……、」

由比ヶ浜「…………でもね、そのあとのゆきのん何て言ったと思う?」

由比ヶ浜「……ゆきのんね、『私と比企谷くんは付き合ってなんかいないわ』って言ったの」

由比ヶ浜「でもあたしから言わせてもらえば、普通付き合ってない男女が腕組みなんてしないもん」

由比ヶ浜「だからそう反論したんだけど、ゆきのんは『それはあなたの固定概念よ。あなたの物差しだけで物事を語らないで』ってバッサリ返されちゃった」


由比ヶ浜「それであたし、何も言い返せなくなっちゃって……」

由比ヶ浜「あたしが黙ってたらゆきのん勝手に喋り出して、言いたいこと言ったら部室からすぐに出てっちゃうし……」


由比ヶ浜「…………前から薄々気づいてたけど、ゆきのんもヒッキーのことが好きなのわかっちゃったし…………」


由比ヶ浜「……あ、で、でもね! そのあと落ち込んでるあたしをヒッキーが励ましてくれたの」

由比ヶ浜「中二みたいなこと言ったりして、無理してあたしを励まそうとしてくれたんだ」

由比ヶ浜「自意識過剰みたいなこと言うけど、あたしの為にヒッキー色々と気を遣ってくれて…………すっごく、嬉しかった」


由比ヶ浜「……あたしね。ゆきのんはあたしの大切な大切な親友だし、本音を言えば争いたくないよ」

由比ヶ浜「でも、自分の気持ちに嘘はつきたくないもん。……それに、ヒッキーにはこっちから行くって言っちゃったし……」

由比ヶ浜「……だからね。あたし、ゆきのんに負けたくない」

由比ヶ浜「ゆきのん相手じゃ勝ち目は薄いかもしれないけど、それでもただなにもしないで負けを認めたくない」


由比ヶ浜「みっともなくても、みすぼらしくても、——頑張る。そう決めた」



由比ヶ浜「……、」

由比ヶ浜「…………って、はわわっ!? あ、あたし今まですごく恥ずかしいこと言っちゃってた!?」

小町「結衣さん……そんなことないですっ! 小町感動しました!」

小町「小町も正直どっちの応援しようか悩んでたんですけど、あっちは陽乃さんがいるんで小町は結衣さんの応援をすることに決めました!」

小町「安心して下さい結衣さん、この小町が全面的にバックアップしますよ!」

由比ヶ浜「小町ちゃん。……うんっ、ありがと」

小町「あ、でも小町的に面白そうな展開になったら支援を控えるかもしれないですけどね」

由比ヶ浜「その一言で台無しだ!?」


まあこんな感じで。……相変わらず補完になっているのか判断に困るところですね。


結衣には周りに頼れる人間があまりいないんですよね。

カースト上位陣には恋愛話は打ち明けられないし、唯一打ち明けられそうな相手である雪乃はライバルですし。

なので小町の後方支援をつけました。

逆に雪乃サイドは平塚先生が陽乃に釘を刺してるのでどうなることやら……。

まああの人ならそんな釘が刺さったままでも普通に行動しそうですけどね。


さて、ガハマさんが救済された(?)ことですし、サキサキも救済してあげるのがベターですかね?

とりあえず困ったときの安価大明神です

今更な説明ですが、安価の票数が多い時は物語の分岐点となっております。(↓5とか先に5票集まった〜とかですね)

今回も大きなターニングポイントです。

安価次第で展開がガラリと変わりますのでご注意下さい。


このあとはどうする? 以下より多数決


�「残された彼女は一人考える」

�「日が昇り、また新しい一日が始まる」


先に5票集まった選択肢で先に進みます



比企谷「おい、俺の出番は?」


はい、というわけでサキサキのターンがようやくまわってきましたね。

そして川崎は少し立ち位置が特殊なんで、ここで一度川崎に主人公をバトンタッチしてもいいですかね?

もちろん話は>>333からの続きです。

それにそろそろ総選挙のヤツをを消費しないとアレなんで……。みなさん如何でしょうか?

逆に考えるんだ、終わらなくていいじゃないか。

>>799さん みなさんが望むのであればエンドレスで頑張りますよ(……たぶん)


少し「俺ぼっち」の方の書き溜めをしてきます。

大体15時過ぎくらいに戻ってくるので、それまでに話し合いをしていただければ。

>>1が書きたいキャラとか居たら優先してくれていいんだぜ

ここで言うのもちょっとあれだけど
雪ノ下雪乃「比企谷君、その…少し、相談があるのだけれど」
ってタイトルのスレ


>>1のSSも期待してる

すみません、昼寝して遅くなりました。

>>807さん いえ、別に構わないですよ むしろ雑談推奨です(あまりはまちに関係ない話は遠慮してもらいたいですが……)

ご期待に添えるように頑張ります。


そのSSさっき読んできました。

なんですかね、他の人の作品を読むと自分の力量のなさを痛感します。

なんでみなさんあんなに語彙力豊富なんですか、生きる字引なんですか。


……とまあ愚痴はその辺で切り上げて。

話し合いはあんまりなかったみたいですね(まあそもそも話し合うほどの内容ではないと思ったんですかね)

意見としては「どちらでもいい」といったところでしょうか。


ではここは、たまには安価に頼らずに自分で判断を下したいと思います。

どうも生まれ持っての性分というか、いままで積み重ねてきた習性とかの影響で、主体性をもつのに苦手意識があります。

だからGWなのに自宅に引き篭もってるんですね、わかります。


……い、いいんだよ! GWはGW(ガイルウィーク)だからはまちのSS更新してたし! ……なに言ってんだ自分は……。


とりあえず、川崎視点に移動して話を進めたいと思います。

量としては次スレまでの繋ぎくらいを予定しております。

もうすでに八幡の行動は決まっているので、ほとんど八幡は出て来ません。

ただ他のキャラは出てきますよ。出演予定なのは……まあその時の安価次第で。

ではもう暫くお待ちください。


>>801さん 書きたいキャラは特にいないんですが、『トラウマ粒子結晶』という作品とのクロスオーバーとか面白そうだなぁとか妄想してます。……誰か書いてくれないかなぁ……。

うがー、さっき別のスレに書き込む為に名前を消してsageしたままで書き込んでしまった

とりあえずageしときます



比企谷「川崎、こんな俺に好意を抱いてくれてありがとな」


遮られたカーテンの奥から聞こえたあいつの声を、あたしはベッドに横になって無言のまま聞いていた。

そして扉が開く音と同時に、規則的な足音が徐々に遠ざかっていく。

あたしは身を起こし、目の前に垂れ下がる布を乱暴に取り払った。


川崎「……っ」


しかしあいつの姿がそこにあるはずもなく、鼻孔をツンとした消毒液の臭いが刺激するだけだ。

茫然と誰もいない空間を眺めていると、さっきのあいつの言葉が頭のなかをぐるぐると反芻する。


比企谷『悪かった川崎。謝って済むような軽い問題じゃねぇのは分かっちゃいるが、それでも俺にはただこうして頭を下げることしか出来ねぇんだ』


川崎「(……バカじゃないの? 謝って済む問題じゃないって分かってるなら責任とれし……っ)」


行き場をなくした様々な感情を拳に込めて、垂直にベッドへ振り下ろす。

ベッドが衝撃で揺れ、ギシギシと軋む。


頬を伝う雫を袖で拭い、あたしはベッドの側に脱いであった上履きを履いて保健室を出る。


川崎はどこへ向かう? 以下より多数決

�屋上 �教室 �自宅

先に4票集まった選択肢で先に進みます


屋上へと続く階段を、あたしは何かを踏みしめるように一段一段上っていく。

そしてしばらく上っていくと、開けた踊り場に到着した。

扉に引っ掛かった壊れた南京錠を外して、少し立て付けの悪くなった扉を開く。

屋上に足を踏み入れた途端、まるであたしの侵入を拒むかのように一陣の風が吹いた。

風は私の衣服をはためかせてそのまま後ろへと通り過ぎてゆく。


川崎「(……あいつがここにいたら、きっとまたバカなことを呟いたと思う。……今日は黒のレースじゃないけどね)」


そんなことを考えながら、あたしはフェンス際まで歩いて行く。

そこから地上を見下ろすと、グラウンドから活気のある声が響いてきた。

素振りを繰り返す野球部、シュート練習に励むサッカー部、ラリーを繰り返すテニス部。

全身に大量の汗を流しながら、みな一心不乱に頑張っている。


川崎「(……ま、帰宅部のあたしから言わせてもらえば、心底どうでもいいことなんだけど)」


視線をグラウンドから正門前に移すと、あたしはそこであいつの姿を発見した。

正門の壁に背中を預け、キョロキョロと周りを忙しなく見渡している。……なんであいつはいつもあんなんなの?

しばらくその様子を伺っているの、正門前に黒のワンボックスカーが緩やかに停車した。

あいつはそれに乗り込むと、車はどこかへ走り去って行く。……誰が運転してたんだろ。


川崎はどうする? 以下より多数決

�給水塔のそばで昼寝 

�引き続き、地上の様子を観察する

�屋上にヘンなのがやってくる

�教室に荷物を取りに行く


先に4票集まった選択肢で先に進みます

1、変なのって、zさんか?

>>817さん 察してください


地上を見るのも飽きてきたので、あたしは梯子を登って給水塔のそばへ移動した。

着ていたブレザーを脱いで綺麗に折りたたんで枕代わりにし、足を組んで地面に寝そべる。

寝過ごさないように携帯でアラームをセットして、瞳を閉じる。

遠くから聞こえる喧騒が、次第に聞こえなくなっていく。

時折吹く弱い風が私の髪を撫でながら、どこか遠くへと消えていく。


川崎「(……明日、どんな顔してあいつに会えばいいんだし)」


再び頭の中で先程の一方的な会話が反響する。

……まだ面と向かって言われなかったからよかったものの、もし顔を合わせた状態だったなら、あたしはきっとあいつを蹴り飛ばしてここに来ていただろう。

けどあたしは一言もあいつの言葉に返事をしていないので、最悪の場合「ごめん、寝てたからそんなの知らない」と言えばそれでその問題はなくなる。

また普段通りに無愛想な表情を浮かべて、以前と変わらない日々が再開されるだけだ。

……ただ、今のあいつは文化祭でなんかやらかしたみたいだし、そのせいかクラスの空気が少しギスギスしている。

あたしは日常に戻っても、あいつは非日常に取り残されたままだ。

それは普段クラスと関わりのないあたしでもよく分かる。


川崎「……、」


川崎はどうする? 以下より多数決

�そのまま完全下校時刻まで眠る

�ふと、屋上に踏み込んでくる足音を拾う(足音の主は選択された後に再安価で決定)

�突然、携帯が震え出す(差出人は選択された後に再安価で決定)

先に4票云々を書き忘れてました、すみません。

とりあえず安価は3でいきますね。


差出人は誰? 以下より選択

�川崎大志 �海老名姫菜 �広告メール

先に3票集まった選択肢で先に進みます

内容は再安価で決定


↓4 その内容は?

葉山×比企谷ってどう思う?

>>845さん 了解です。ではそのメールで続きを書いていきますね。

けれどすみません、今回の更新はここで一度中断させていただきます。

次回の更新は今日の20時以降になります。


……それよりも、サキサキが非常に書きやすくて逆に困る。

普通なら1時間かかるところが半分の30分位で書き終えてしまったのが何度か……。

自分が同じ様な境遇なんで、彼女に共感してるからかもしれないですね。


あ、それと「俺ぼっち」の方を少し更新しておきました。

原作のキャラがちらほらと出ているので、探してみるのも面白いかもしれません。

では今回はこの辺で失礼します、それでは。


そんなことを考えていると、右手で掴んでいた携帯が小刻みに振動する。

あたしは体を起こして携帯を開くと、待受画面には文化祭の準備期間中にアドレスを交換した海老名の名前が表示されていた。


 差出人 海老名姫菜
 題名「はろはろ〜」
 本文「ねぇ沙希ちゃん、葉山×比企谷ってどう思う?」


……、またこのヘンなメール。

文化祭の準備期間中も事ある事にこんな感じのメールが送られてきてたっけ。


『葉山×比企谷、葉山×戸部、葉山×大岡、葉山×大和で、隼人くんは常に攻めだと思うの』

『でもヒキタニくん相手だとたまに隼人くんと攻守が逆転して強気受けで……ぐ腐腐腐……』


……大体名前の間のこのバツ印はなんなの? 

たしか『攻め』とか『受け』とか興奮気味に海老名は語ってたけど、あたしはこういうの疎いからよくわかんない。

あたしらが小学生ぐらいの時に相合い傘を書いて、その中に男女の名前を書くことが流行ってたけど、その進化系みたいな感じ?


川崎は海老名にメールを返す? 以下より多数決

�返す(内容は再安価で決定)

�返さない

先に3票集まった選択肢で先に進みます。


↓3 なんと返す? (サキサキのキャラをよく考えましょう)


川崎「(……とりあえず適当に同意しとけばいいかな)」


あたしは『そーね。』と打ち込んで送信ボタンを押した。

『送信完了』の文字が表示されるのを見届けて、あたしは携帯を閉じる。

そして数分も経たない内に、再び携帯が震え出す。……今度は誰? また海老名?


誰がメールしてきた? 以下より多数決


差出人は誰? 以下より多数決

�川崎大志 �海老名姫菜 �広告メール

(※広告メールの場合はそのまま昼寝となり、時間が完全下校時刻まで進みます)

先に3票集まった選択肢で先に進みます

>>859 なんか文章がダブっていますが気にしないで下さい。

コピペしてミスっただけです。


気怠げに携帯を開くと、メールの内容はただの広告メールだった。

あたしは慣れた手つきでメールを削除し、携帯をマナーモードからサイレントマナーに切り替え、携帯を片手で閉じる。

そして再び足を組んで地面に寝そべる。

仰向けの状態なので、あたしの視界には徐々に西へ傾きつつある太陽が映る。

雲一つ無い秋晴れが、静かに黄昏時へと変わろうとしていた。


川崎「(…………いい加減、寝よ)」


瞳を閉じて、あたしは浅い眠りに就いた。




そして暫くして、あたしの頭の奥底を叩きつけるようなけたたましい音が鳴り響き、沈んでいた意識を呼び起こす。

ゆっくりと瞼を開けると、空は既に薄墨を流した様な藍色に染まりつつあった。


川崎「(……はやく家に帰って夕飯作らないと)」


枕代わりにしていたブレザーに袖を通し、あたしは梯子を降りて屋上を後にした。


教室へ荷物を取りに戻る途中で誰かと遭遇した? 以下より多数決

�雪ノ下雪乃 �平塚静 �戸塚彩加 �遭遇しなかった

先に4票集まった選択肢で先に進みます。

1

1

>>866 >>867 >>868 >>869 そしてこの団結力である。


ごめんさい、短くて申し訳ないのですが今日はここまでです。

今日は体力測定が丸一日使って行われたので、帰宅部である鈍った身体に大量の疲労がががが……。

今にもすぐに寝落ちする自信があるのでここでストップしますね。

明日はおそらく今日やらなかったシャトルランでさらに疲労が蓄積……はぁ。


……まあ愚痴はこの辺で切り上げて。(最近愚痴を言ってばかりですみません……)

とりあえず本日はこの辺で失礼します、それでは。

シャトルランでへばってるゆきのんを八幡が介抱する話書いてもいいのよ

>>876さん


雪ノ下「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

比企谷「お、おい大丈夫かよ雪ノ下」

雪ノ下「……ひ、比企谷……くん、……その、み、……水、水が……欲しい、の……だけれ、ど……っ」

比企谷「み、水? そんなこといきなり言われても持ち合わせがねぇんだが……」

雪ノ下「……っ、……あ、あら、……あなたの……その、口の中に……っ、あるもの、は……水分では……ない、のかしら……?」

比企谷「ッ!?」



こうですか? よくわかりません(すっとぼけ)

今日は『シャトルラン』とかいう無駄いっぱい不満いっぱいの罰ゲームを113回で終えて帰宅しました。

だけどあんまり疲労がない、ふしぎ。


あ、そういえば明日5月9日は戸塚彩加(天使)の生誕祭ですね。

ちなみにさいちゃんと>>1は同じ誕生日です、イエー! 

でも免許代まだ全然溜まってねぇよ……、夏休みはバイトしなきゃ……。


とりあえず更新を再開しますね。

もうしばらくお待ちください。


あたしは階段を降りて、自分の鞄が置いたままの教室へと急いだ。

教室の窓際、後ろから三番目の机の脇に掛けられているスクールバッグを右肩に背負い、教室を出る。

窓からは燃えるような夕日が差し込み、あたしはその眩しさに目を細めながら廊下を早足で歩く。

そして階段を降りようとしたその刹那、あたしの両眼が長い黒髪を捉えた。


雪ノ下「あら、川崎さん」

川崎「雪ノ下……」


階段から悠然とした様で降りてきた黒髪の主は雪ノ下だった。


川崎はどうする? 以下より多数決


�手短に挨拶をして去る

�この前(原作2巻)のお礼を言う

�その他(選択された際に再安価で内容を決定)


先に3票集まった選択肢で先に進みます。


雪ノ下は静かに階段を降り終えると、あたしの目の前で立ち止まった。


雪ノ下「なにか御用かしら?」

川崎「……別に、あんたに用はないよ」

雪ノ下「……そう。なら私は職員室へ部室の鍵を返しに行かないといけないから」


雪ノ下はそう告げて、あたしに背中を向けて去って行く。


川崎「(……嘘だ、本当は雪ノ下に用はある)」


あたしは大志の件でお世話になった雪ノ下にお礼をずっと言いそびれたままなんだ。

夏休みの夏期講習のとき、雪ノ下の姿を見かけた。

でもあたしは、雪ノ下にお礼を言うどころか話し掛けることすら出来なかった。

それは雪ノ下が放つ、他人を容易に近づけさせようとしない独特の雰囲気、周りを拒絶する無言の圧力のせいで。


川崎「(……まあそうは言っても、それはただあたしにとって都合のいい言い訳だ)」


結局は、あたしが雪ノ下に近づこうという意志を持っていなかっただけの話。

その気になればあの日にすぐお礼を言うことも出来たのに、あたしはそれをしなかった。

それに加えてあたしは口下手で、あまり本音を言うのが得意じゃない。

いつも適当に湧いて出た建前で本音を隠す。

素直じゃないのは痛いほど自覚しているけど、それでも難儀なこの性格は一向に直りそうにない。



川崎「……っ、」


雪ノ下はあたしからどんどん離れていく。

この一瞬を逃せば、もう彼女にお礼を言う機会が訪れることはないだろう。

夏期講習の時、あいつから雪ノ下へお礼を言うように頼んでも断られた。

なら、あたしが雪ノ下に感謝の気持ちを伝える為には、もうこの場で直接伝えるしかない。


——建前があたしの本音を包み込む前に、雪ノ下にお礼を言おう。



川崎「…………ま、待って雪ノ下」


静まり返った校舎内に、あたしの小さく呟いた声が反響する。

雪ノ下はそれを聞いて立ち止まったが、決して振り返ろうとはしない。

彼女が前を見据えたままなのは、彼女なりの配慮なのだろうか。

そんな考えが頭の中に浮かんだが、その考えは顔全体に帯びる高熱で瞬く間に蒸発してしまう。

上昇を続ける熱を止めるように、下げるように、あたしは首を左右に振った後、深く深呼吸をする。

そしていくらか落ち着きを取り戻すと、あたしは覚悟を決めて弱々しく言葉を紡ぐ。



川崎「…………そ、その、……色々と………………あ、ありがと……っ!」



今まで伝えることの出来なかった感謝の思いを告げたあたしは、脇目も振らず一目散に自宅へと逃げ帰った。


……サキサキがヤバイ。なんかサキサキの株が個人的に絶賛急上昇中。


まあそれはさて置いて、サキサキの話の続きなんですがいきなり時間が飛びます。

川崎が夕食後、夜道を散歩していると帰宅途中の八幡と偶然遭遇するという内容なんですが、視点はどうしたらいいでしょうか?

みなさんの意見を伺いたいので安価を出しますね。


視点はどっち? 以下より多数決

�比企谷八幡 �川崎沙希 �そんなことより別のキャラを出せ(選択された場合に再安価でキャラを指定して各キャラの裏話)

先に4票集まった選択肢で先に進みます。


では視点はサキサキでいきますね。


そしてまたもすみません、明日は放課後に模試があるので今日はここまでです。

……誕生日に模試とかなにその嫌がらせ。しかも半ば学校側からの強制だから余計たちが悪い。


勉強は一切してないけど、まあテスト形式はマークシートなので最悪鉛筆にすべてを託します。 

唸れシャイニングアンサー! 轟けプロブレムブレイカー! 滅せよストライカー・シグマ�! ……元ネタ分かる人いますかね?(名称の前の掛け声は適当)


ではこの辺で失礼します、それでは。

ヒロインが料理に硫酸などの劇物を使用してくるあの作品ですね

あれか、「“紀元前” クラス “334”組 “アレクサンドロス大王”」君がいるやつか。

>>893
懐かしいなwwww
バカテスだろ?

>>894さん そうです。昔は普通に笑いながら読んでましたが、いま改めて考えるととんでもない話ですね。八幡の何倍もヒドイことされてる……。

>>895さん あれは腹を抱えて笑いました。 そのあとの「さようなら。僕の一人暮らし」の独白も個人的にヤバかったです(ガハマさん並の感想)。

>>896さん アニメでの無駄に豪華な演出がいまだに鮮明に記憶に残っています。


30分の仮眠が3時間の仮眠になってしまった……。

すみません、遅くなりました。

昨日のさいちゃん生誕祭を公式が盛大に祝っていたのを、ツイッターで渡航先生が「公式の病気ぶりに安心した(褒め言葉」とつぶやいていたのが印象的でしたね。

まあそんなこんなで、そろそろ更新を再開します……と言いたい所なんですが、もうすぐアニガイルの6話が始まるのでもうしばらくお待ちください。


大志「あれ、姉ちゃんどっか行くの?」


夕食を終え、食器を洗い終えたあたしが玄関で靴を履いていると、背後から大志に声を掛けられた。


川崎「食休みの散歩。……ていうか、あんたはテレビばっか見てないでちゃんと勉強しな、受験生でしょ」

大志「うっ……、い、今からやろうとしてたから!」

川崎「あっそ。……1時間くらいしたら戻るから、あんたは妹にちゃんと歯を磨くように言っといて」

大志「う、うん。わかった、気をつけてね姉ちゃん」

川崎「……ん、じゃあ頼んだから」


あたしは大志にそう告げて家を出た。

ひっそりと静まり返った夜道をあたしは一人で歩く。

等間隔に輝く街灯に虫が集まり群れをなしていた。

天を仰ぐと幾つもの星々が煌めき瞬いている。

星の光は、何十何百何千光年という離れた位置からこの地球へと届いている。

気の遠くなるような悠久の時を経て降り注ぐあの儚い光は過去の幻影だ。

光を放つ星から切り離されることなく続く歴史の一端を、あたしは眺めていた。




それから家の周辺を散歩し、あたしは国道を挟んだ向かい側にある公園のベンチに腰を掛けた。

ベンチに座るまであたしは誰にも遭うことはなく、自転車や自動車ともすれ違うこともなかった。

どうやらこの近辺の住民は、夜間は静かに家の中で過ごす人間が多いようだ。


川崎「……まぁあたしもそうなんだけどね」


一人暗闇に向かって呟くが、それに応じる声はない。


川崎「(……というか、あったら怖いし。この公園に街灯がなかったらすぐ帰ってるし)」


ベンチのすぐ側には一本の街灯がそびえ立っている。

そしてその光に誘われたのか、この街灯にも虫が群がっていた。

それをしばらく茫然と眺めながら、あたしは思索に耽る。


川崎「(……明日、学校であいつに会ったときにどんな反応を示すのが正解なんだろ)」


放課後の屋上での続きを考える。

あたしはあいつの事が……その、たぶん…………す、好き、なんだと思う。

惚れた理由なんてのはすごく単純で、あいつはあの時、あたしの考えてることを簡単に見抜いて、しかもそれを解決してくれたから。

あいつは、あいつだけはちゃんとわかってくれた。

あたしの抱えてる悩みとか苦労とかいろいろ、そういうのをちゃんと理解してくれた。

文化祭の時も、あたしが被服関係の仕事をやりたがっていた時に、さり気なく手助けしてくれた、背中を押してくれた。

あいつの一言がなかったら、口下手なあたしはたぶんその仕事を出来なかった。

あいつがいなかったらあたしは……。


川崎「……、」


我ながら異性に簡単に心を揺れ動かされ過ぎて将来を心配するが、あたしの未来はあたしで決めるから何も問題はない。


川崎「(……あいつ、専業主夫が就職希望みたいだし、あたしが養っていけば——って、気が早すぎる! バカじゃないのあたし!?)」


顔を両手で隠して激しく首を横に振る。……ダメだ、なんかもうあいつのことが気になって仕方がない。

あたしはどうにかその気を紛らわせようとベンチから立ち上がり、公園のそばに設置されている自動販売機へ足を運んだ。

ポケットから小銭を取り出し、それを自動販売機に投入する。

自動販売機から少し離れて全体を見渡して何を飲もうか悩んでいると、不意に横から一筋の光が差し込んできた。

あたしそちらに顔を向けると、そこには


比企谷「……げっ」

川崎「……っ、」


——あいつが、私服姿で自転車に跨ったあいつがそこにいた。


↓4 川崎はどうする? 以下より選択

�「……、人の顔見て「……げっ」とか失礼すぎ。……バカじゃないの?」

�「……なんであんた、こんな所にいんの?」

�その他(脈絡のある範囲で記入をお願いします)


川崎「……なんであんた、こんな所にいんの?」

比企谷「いや、なんでって言われても、俺ん家この辺だし」

川崎「……ふ、ふぅん。そうなんだ」

比企谷「お、……おう」

川崎「……、」

比企谷「……、」

川崎「……、」


川崎「(誰かたすけて)」


↓4 川崎はどうする? (今までの川崎の独白を考えましょう)


川崎「……あ、えっと……」


あたしは沈黙を破る為に何か言葉を探すがなかなか見つからない。

今まで他人との会話を拒み続けてきたから、気の利いた一言を言うことも出来ない。


比企谷「はぁ……」


そんなあたしを見かねたのか、比企谷は自転車から降りて深い溜め息をこぼした。


比企谷「……まだなんか用があんのか? 俺、これから家に帰って寝なきゃならねぇんだけど」

川崎「……い、いや、別になんもないけど」

比企谷「あっそ」


そう淡々と呟いた比企谷は、だらしなく口を開いて大きな欠伸を洩らしながら、自転車を押してあたしの横を通り過ぎて行く。



比企谷「……、じゃあな川崎」

川崎「——え? あ、……う、うん。…………おやすみ」


比企谷が去った後、あたしは自動販売機でMAXコーヒーを購入して自宅へ帰った。


とりあえず、サキサキのパートはこの辺りまでですかね。

これ以上やると安価を無視してストーリーを1本書き上げる恐れがあるので自重します。

サキサキは犠牲になったのだ……ラブコメ(四角関係?)の犠牲にな……。



えっと、とりあえずやることはやったんですが、このあとはどうしましょうか?(あ、>>443の安価は次スレで回収予定です)

みなさんの意見を伺いたいです。

四角関係から五角関係にランクアップすることはありませんか?

>>920さん 安価次第ではランクアップする可能性は十分あります



>>877の続き?

雪ノ下「……比企谷、くん……。……はやく……あなた、の……水、を……っ」

比企谷「……っ、ま、まぁ待て落ち着け雪ノ下。ていうかお前、キャラがブレすぎて『もはや誰だよ』状態なんだが?」

雪ノ下「……………ひ き が や く ん ?」

比企谷「おい雪ノ下、瞳のハイライトを消して俺の首に絡みつくのはやめろ。ていうかどこで覚えたそんなテク?」

由比ヶ浜「ちょ、ゆきのんヒッキーの首に腕回すの禁止! ていうかヒッキーの唾液はあたしのものなんだからね!?」

比企谷「おいおいなんで由比ヶ浜までキャラブレしてんだよ……っ。お前見た目はビッチだけど内面はそんなんじゃねぇだろ……!」

戸塚「…………八幡。ぼくは? ぼくにはくれないの?」

比企谷「ファッ!?」

小町「小町、お兄ちゃんのことだーいすきっ!」

比企谷「はいはいポイント高いポイント高い。……で、いつになったらそれ現金と交換できんの?」

平塚「……ふむ、どうだね比企谷。私に全てを委ねるつもりはないか?」

比企谷「や、結構です。断固拒否します」

陽乃「……ねぇ比企谷くん、これからわたしとイケナイことしない? ……雪乃ちゃんにはナイショにしとくからさ♪」

比企谷「み、耳元で話さないでください。俺耳が弱いって前に言いましたよね?」

川崎「……っ」

比企谷「……愛してるぜ、川さ——「ハラワタをブチ撒けろ!」ぎひぃっ!?」



材木座「……、」

比企谷「お前……(アニメから)消えるのか?」



こうですか? もう知りません(放置)

まさかやっつけで書いたのがこんなに反響があるとは……、ゆきのん人気は相変わらず凄まじい。


……え? こんなのでいいんですか? ちょっとよく分からないんですけど……。

すみません、寝落ちしました。

とりあえず安価で内容決めて短編書きたいと思います。

残りを考えて3本ぐらいですかね。余裕があればあと1本書きたいと思います。


ではまず1本目

↓4 登場するキャラと見たい話(R‐18系は書いた経験無いんで無理です)

内容の指定がなかったんで適当にこちら側で決定させてもらいました。


『炎の女王と氷の女王』


【廊下】


三浦「……げっ、」

雪ノ下「あら三浦さん、人の顔を見るなり渋面を浮かべるなんてずいぶんと革新的な挨拶の仕方ね。……いえ、時代を遡っているのかしら」

三浦「……は? ちょっと雪ノ下サン、あーしあんたが何言ってんのか全然意味わかんないんですけど」

雪ノ下「それはあなたの理解力が乏しいだけなのでは? 自身の言語処理能力が低い理由を他人に求めようとしないでもらえるかしら。酷く不愉快だわ」

三浦「〜っ」

雪ノ下「そうやって恨みがましく唇を噛み締めてもなにも変化しないと思うのだけれど。悔しかったら、なにか反論してみたらいいんじゃないのかしら」

雪ノ下「……まぁ、たとえあなたが反論したとしても、私はあなたの言葉を完膚なきまで徹底的に正面から叩き潰して捻じ伏せるつもりなのだけれど」

三浦「……っ」


比企谷「(廊下でなにしてんだよあいつら……。ていうか雪ノ下のやつ容赦なさすぎ、三浦のやつ涙目じゃねぇか)」



こんな感じの超短編ですね。オチには勝手に八幡を使わせてもらいました。

では次いきます。(本編の裏話を希望しても構いませんよ)

↓4 登場するキャラと見たい話


『やはり俺の新婚生活はまちがっていない』


雪ノ下「ただいま」

比企谷「おー、お疲れさん。風呂かメシ、どっちにする?」

雪ノ下「夕食でお願いするわ。今日は業務内容が多すぎて昼食を摂る暇がなかったのよ」

比企谷「おいおい、あんまり無茶すんなよ」

雪ノ下「……大丈夫よ。もし仮に私が倒れたとしても、今はそばにあなたがいるもの」

比企谷「……っ。ああ、そうだな」

雪ノ下「ところで、今日の夕食はなにかしら?」

比企谷「今日は伊勢海老のグリルに伊勢海老の味噌汁だぞ。今日は結婚して一ヶ月目の記念日だし奮発してみた」

雪ノ下「そう、それは楽しみね」

雪ノ下「……そ、それじゃああなた。その、夕食前に……いつもの……その…………」

比企谷「……おい、なんでいまさら頬染めてんだよ。別に恥ずかしがるようなことでもねぇだろ」

雪ノ下「それはそうなのだけれど……。……け、けれど、今日は記念すべき日なのだから、その……っ」

比企谷「……、やっぱ夕食前に風呂にするか?」

雪ノ下「え? あ、えっと……それは…………」

比企谷「一人で入るのが嫌なら俺も入るぞ。雪乃に一番風呂入らせてやりたかったから、俺もまだ風呂に入ってねぇし」

雪ノ下「……っ。……そ、……それじゃあ…………い、一緒に、……にゅ、…………入浴……で」

比企谷「あいよ。んじゃちょっと待ってな、鍋を火に掛けっぱなしなんだわ」

雪ノ下「……わ、わかったわ」


〜数分後〜


比企谷「——よし、待たせたな。んじゃ一緒に風呂入ろうぜ」




あとはご想像にお任せします。

では次に行きましょう。

↓4 登場するキャラと見たい話


『やはり俺の同棲生活はまちがっている』


由比ヶ浜「ヒッキー、ほらヒッキー起きて!もう朝だよ!」

比企谷「……んぁ?……んだよ結衣、もう少し寝させてくれ……」

由比ヶ浜「だーめ!今日はあたしと一緒に出掛ける予定だったでしょ!?」

比企谷「……えー、お前と一緒にいられんなら場所なんてどこでもいいじゃねぇか。現に同棲までしてんだし」

由比ヶ浜「っ!……も、もうヒッキーのばか!そういうことさらっと言わないでよ!」

比企谷「ちょ、痛い痛いやめろこら結衣……っ!……わかった、もう起きるから俺の上に跨ってねぇではやく降りろ」

由比ヶ浜「……ほんとに起きる?」

比企谷「なんなら起きてそのまま押し倒してやろうか?」

由比ヶ浜「っ!?ちょ、ヒッキーそんな朝から大胆すぎ!」

比企谷「どの口が言うか。今日の寝不足だってお前が原因なんだからな」

由比ヶ浜「そ、それは……その…………ごめん」

比企谷「……、」

比企谷「……はっ、冗談だよ。いいから降りろ結衣、このままじゃなにも出来ねぇ」

由比ヶ浜「……う、うん」

比企谷「で、今日はどこ行く予定だったっけ?」

由比ヶ浜「え、えっとね。今日はららぽで買い物してそのあと映画見て、それから食事する感じかな」

比企谷「……お前、その流れ好きだな。前もそんな感じじゃなかったか?」

由比ヶ浜「い、いいじゃん別に! あたしはこの流れが一番好きなの!」

比企谷「……ふぅん、そうか」

由比ヶ浜「うん、そうなの」


〜数分後〜


比企谷「おし、準備出来たぞ」

由比ヶ浜「あ、待ってヒッキー!はいこれ」

比企谷「…………ナニコレ? ボンバーマンが使う爆弾?」

由比ヶ浜「失礼なっ! どっからどう見てもおにぎりじゃん!」

比企谷「こんなどす黒いおにぎり見たことねぇよ……」

由比ヶ浜「むぅ……、一生懸命作ったのに……」


比企谷「……結衣、お前はもう少し料理上手くなろうな。じゃねぇと安心して結婚できねぇから」



あとは野となれ山となれ。

では次に行きましょう。

↓4 登場するキャラと見たい話


『やはりこのコンビは凶悪すぎると思う』


【奉仕部部室】


比企谷「うーっす……って、あれ?由比ヶ浜は?」

雪ノ下「こんにちは比企谷くん。由比ヶ浜さんなら今日は来ないわよ。さっき『用事があって来れない』という旨のメールが届いたわ」

比企谷「ふぅん、あっそ」


〜数十分後〜


小町「やっはろー!」

陽乃「やっはろー♪」

比企谷「ッ!? え、ちょ、小町に陽乃さん……?なんでここにいるんですか」

陽乃「いやー、小町ちゃんに頼まれちゃってね」

小町「テヘペロッ♪」

比企谷「うわぁ、ウゼェ……」

雪ノ下「あら、いらっしゃい小町さん」

小町「こんにちは雪乃さん!少しの間お邪魔しますね♪」

雪ノ下「ええ、別に構わないわ。あなたの隣にいる人間は別だけれど」

陽乃「こら雪乃ちゃん、お姉ちゃんにそんなこと言ったらダメでしょ?」

雪ノ下「私はただ思ったことを口にしただけよ」

陽乃「もー、相変わらず雪乃ちゃんはつれないなぁ」

陽乃「……あ、もしかして雪乃ちゃん、比企谷くんとの二人っきりの空間を邪魔されて拗ねてる? ねぇ拗ねてる?」

比企谷「ちょっと陽乃さん?さり気ない動きで俺の肩に寄りかかるのは止めてくれません?俺の肩はガラス製なんであんま負担をかけると壊れちゃうんですけど」

陽乃「またまた〜、そんなこと言って照れ隠しがヘタだね比企谷くんは。このこの〜♪」

比企谷「ちょ、頬をつつくの止めてください。それやっていいのは戸塚だけなんで……!」

雪ノ下「姉さん、その男をからかうのはやめなさい。でないとすぐさま襲い掛かってこられるわよ」

比企谷「おい待て雪ノ下、お前は俺をどんな奴だと判断してんだ」

雪ノ下「変態」

比企谷「端的かつ手短でわかりやすいけどそれはやめろ。その一言でもう精神的ダメージがハンパねぇから」

小町「……あれ?お兄ちゃんって超ド級のマゾだから、そんなの全然平気なんじゃないの?」

比企谷「おい待て小町、なんでお前までそんなことを言い出すんだ」

小町「えー、だってお兄ちゃん、雪乃さんや陽乃さんに結構酷いこと言われても平気な顔して目を腐らせてるじゃん。だからお兄ちゃんはマゾヒストなのかなぁーって」

比企谷「俺はいままでそんな風に実の妹から見られていたのか……。おいもう泣いていい? 泣いていいよな?」

陽乃「なにそんな泣き言を言ってるの比企谷くん。雪乃ちゃんに罵詈雑言を浴びせられることは極めて貴重な体験なんだよ?だからもっと胸を張って生きなきゃだめだよ」

比企谷「その経験に胸を張って生きたらもう疑いようのないマゾヒスト確定なんですけど……」

陽乃「じゃあそれを認めて楽になっちゃおうよ♪カツ丼でも食べにいく?」

比企谷「なんで俺、取調室で自白を強要されてる容疑者みたいになってんですか……」


なんか違う、なんか違うけどこの方がしっくりきてしまう……。

では残りを考えて次でラストです

↓4 登場するキャラと見たい話


『やはり雪ノ下雪乃は素直ではない』


【駅前】


雪ノ下「じゃあ比企谷くん、私はこれで」

比企谷「ああ、じゃあな雪ノ下」

陽乃「……あれ? 比企谷くんと雪乃ちゃんだー♪」ダキッ

比企谷「おわっ!? ……は、陽乃さん? 何するんですかいきなり。……っていうか、どっから湧いて出てきたんですか」

陽乃「えへへっ、わたしは雪乃ちゃんと比企谷くんがいるところにはだいたいいるよー♪」

比企谷「なんですかそれ、どこの中二病患者ですか。……まあ演技してる点で言えば似てなくもないですけど」

陽乃「あれー? わたしにひどいことを言う口はこの口かなー? もう比企谷くんったら、強引に塞いじゃうぞー?」

比企谷「……は、陽乃さん、目が笑ってないです。冗談ですから、材木座と同列視してすみませんでした……っ!」

陽乃「まったくもう……、困った子だね比企谷くんは」ペシペシ

比企谷「頭をぽんぽん叩かないで下さい。俺もうそんな歳じゃないんで」

雪ノ下「……っ、」

雪ノ下「姉さん、いい加減その男の背中から離れたらどうかしら。それに駅前で堂々と異性に抱きつくのはどうかと思うのだけれど」

比企谷「そうですよ陽乃さん。……それに俺、背中に爆弾があるんであまり負担は掛けて欲しくないんですけど」

陽乃「そう? だったら抱きつくのはやめて……比企谷くんと腕を組むので我慢しようっと♪」ムギュッ

比企谷「っ、……は、陽乃さん、それも止めて下さい」

陽乃「えー、なんでー?」

比企谷「その、……い、色々とマズイんで」

陽乃「んー? 何がマズイのかなー?」

比企谷「だからそれは……、その……」

雪ノ下「……、」

雪ノ下「比企谷くん、私あなたのことを通報してもいいかしら」

比企谷「……は? ちょ、おい待て雪ノ下、俺は何もしてねぇぞ? つーかその事に気が付いたのなら分かってくれよ、どう考えても不可抗力だろこれ?」

雪ノ下「不可抗力……ね。比企谷くん、そうは言ってもさっき姉さんから解放された瞬間にあなたが逃げ出していれば、今の状況に陥る事はなかったのではないかしら」

比企谷「それは……まぁ、そうだが……」

雪ノ下「それに本当にあなたが姉さんからの腕組みを拒絶しているのならば、普通は一言も断りも入れずに腕を強引に振り解くはずよ」

雪ノ下「なのに比企谷くんはそれをしないということは、あなた自身満更でもないのでしょう?」

雪ノ下「……見損なったわ比企谷くん。所詮あなたも欲望に忠実なただの醜い雄なのね」

比企谷「(……なんで俺こんな酷いこと言われてんの? ていうかなんで雪ノ下のやつこんなにキレてんの?)」

比企谷「(一体全体どういうことだってばよ)」

またコレジャナイ感が……。……まあいつものことですね、原作の再現度が低くてすみません。

さて、さっき次でラストと言ったな、あれは嘘だ。まだ余裕がありました。

なので次がこのスレでの正真正銘の最後になります。

そして最後なんで、番外編ではなく本編の続きでもどうでしょうか?

とりあえず安価を出しときますね。


最後はどうする? 以下より多数決


�「そうして川崎沙希は眠りにつく」

�「そうして由比ヶ浜結衣は眠りにつく」

�「そうして比企谷八幡は眠りにつく」

�「ふと、雪ノ下雪乃は目を覚ます」


先に4票集まった選択肢で話を進めます。

……ああ、うん、そんな気はしてました。

たぶんゆきのんになるだろうと、キーボードを叩きながらそんなことを考えてたら本当にそうなりました。

少し書き溜めてくるのでしばらくお待ちください。


雪ノ下「……っ」


ベッドの上で横になっていた私はふと目を覚ました。

薄闇が広がる中、私はベッドの側に置いてある時計で時刻を確認する。

現在の時刻は3時13分。二度寝は原則としてしない主義なのだけれど、昨日からの疲労で再び睡魔が静かに歩み寄ってくる。


雪ノ下「(……水を飲んで少し落ち着きましょう)」


睡魔と同時に喉の渇きを感じた私はベッドから身を起こし、部屋を出てキッチンへと向かう。

夢の中で比企谷くんと何か会話をしていたような気もするけれど、その記憶は霞がかかったように不鮮明でよく思い出すことが出来ない。

顎に手を当て首を傾げてみても一向に思い出せず、私は仕方なく思い出すことを諦め、別のことに思考のリソースを割くことにした。

それは、今日の由比ヶ浜さんとの話し合いについて。

昨日彼女の前から逃げ出してしまった私は、一体どんな表情で彼女と対面して会話をすればいいのだろうか。


雪ノ下「はぁ……」


思わず溜め息が溢れる。

しかし、昨日の一件は私が感情に身を任せて行動した結果なのだから、非は完全に私にある。

なぜもう少し冷静な判断を下すことが出来なかったのか。その一点がただ悔やまれる。


雪ノ下「(……けれど、後悔先に立たず。いまさら過去の出来事に頭を悩ませていても時間の無駄ね)」


私はコップへ注いだ水を一気に仰いで意識を切り替える。


雪ノ下「(……由比ヶ浜さんは、私の大切な親ゆ……っ、……ゆ、友人なのだから、きっと話せばわかり合えるはず。昨日の言動は少しきつくなり過ぎてしまったから、今度は出来るだけ優しく、優しく……)」


頭のなかでぶつぶつと念仏のようにその単語を繰り返し、私は自分の部屋へと戻った。



——夜が明けて暁光が新都心の街並みを照らすまであと2時間。一体何をして時間を潰そうかしら。

以上でこのスレでの投下終了です。


さて、そろそろ次スレと行きたいところですが、その前に「俺ぼっち」の方を更新してきます。

しばらくお待ちください。

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