永沢「死ねぇッ!藤木くんッ!!!」(233)
―あらすじ
――永沢宅、火事で全焼
永沢「そんな!僕の家が…!」
永沢「う、うう…!大切にしてたおもちゃも、家族の写真も、おばあちゃんからの手紙も…思い出が全部、全部燃えちゃった…!」
永沢「うわあああああああッ!!!」
―――
――
――学校
はまじ「元気出せよ永沢」
関口「そうだよ。くよくよすんなって」
ブー太郎「そうだブー」
山田「あははははは!いいなぁ!いいなぁ!おいらん家も火事になんないかなぁ!でっかい花火みたいでうらやましいじょー!」
永沢「…」
永沢「…」ぷいっ
タッタッタ…
はまじ「あ、行っちまった…なんだよあいつ。せっかく励ましてやってんのによぉ」
ブー太郎「本当だブー。でもおいら永沢のことあんまり好きじゃないからざまあみろって感じだブー」
関口「へへへ!いっつも嫌味ばっか言ってくるから天罰だよな!」
山田「あはは!あはは!天罰だじょー!」
けらけら けらけら
永沢(……)
永沢(……くそっ!あんな奴ら…あんな奴らッ…!)
―――
――
――帰り道
永沢「…」とぼとぼ
すっ
6年生A「おい、そこのたまねぎ頭ッ!!」
永沢「!?」びくっ
永沢「な、なんですか…?」
6年生B「金持ってねぇ?俺ら一文無しなんだよ」
永沢「も、持ってないです…」
6年生A「ちょっとそこの路地裏に行くぞッ!」ぐいっ
永沢「ひっ…!」
―――
――
――路地裏
6年生B「なんだよこいつ、本当に金持ってねぇじゃん!…クソッ!」ばしっ!
永沢「うぐッ…!や、やめて…!」がくっ
6年生A「うるせぇたまねぎ野郎!むかつくんだよッ!」どかっ!
永沢「う…!た、助けて…!」がくっ
6年生B「はははッ!おもしれえなぁ弱い者いじめってさぁ!」ぼかっ
永沢「かはッ…!」がくっ
どかっ! ばしっ! どんっ! がしっ!
―――
――
永沢「う、うう…」ぐったり
6年生A「そろそろ行くか。金は手にはいらなかったけど暇つぶしになったしさ」
6年生B「そうだな。じゃあなぁたまねぎ野郎!」
けらけら けらけら
永沢「う、うう…!僕がなにをしたって言うんだ…!」
永沢「どうして…どうして僕だけこんな目に…!」
永沢「ちくしょう…ちくしょう!嫌いだ…みんな嫌いだ!」
永沢「なにもかも消えて無くなってしまえッ!!」
『その言葉は本当か?』
永沢「…!?誰だッ!?」
『名乗ることはできない』
永沢「な…!」
『ただ、おまえの憎しみが本物ならば私はおまえに力を授けよう』
永沢「え…!?」
『すべてが憎いんだろう?なにもかも消し去ってしまいたいんだろう?』
永沢「…」
『怖がることはない。自分に正直になれ。私はおまえの憎しみを力に変えることができる』
永沢「……うん…そうだ…僕はなにもかもが憎い…どうして、どうして僕にだけこんなに不幸が降りかかるんだ…!」
永沢「そうだ…こんな世の中大嫌いだッ!!!なにもかも消えてなくなっちまえばいいんだッ!!!」
『………おまえの憎しみはエントロピーを凌駕したッ!契約は成立だ!』
ぶおおおおおおっ!
永沢「!?…うわあああああああッ!!」
永沢「ああああッ…!」
永沢「」がくっ
『これでおまえは力を手に入れた。その身に秘めた憎しみを存分に解放するがいい…期待しているぞ』
―――
――
永沢「!」すくっ
永沢「…」きょろきょろ
永沢「くくく…!ははははッ!!最高の気分だぜッ!」
永沢「さてと…」ダッ
タッタッタ…
―――
――
永沢「…おい」
6年生A「んあ?…あ、さっきのたまねぎ野郎じゃねぇか…」
6年生B「なんだよ?また殴られにきたのか?おい!」
永沢「………死ね」
ひゅおおおおおおっ!!
6年生A&B「!?」
―――
――
――次の日の朝、藤木宅
『…昨日の午後5時ごろ、小学6年生の男子児童2人が倒れているのが発見され…』
『2人は全身の骨を折る重傷であり…』
『…意識を取り戻したもののいまだ錯乱状態であり「たまねぎの怪物に襲われた」などと繰り返しているそうです。警察は…』
藤木母「あらやだ、近所じゃないの。物騒ねぇ…」
藤木「…」もぐもぐ
藤木母「ほら、しげる、早く食べないと遅刻するよ!」
藤木「うん…」もぐもぐ
―――
――
――通学路
藤木「…あ」とことこ
永沢「…」とことこ
藤木「おはよう永沢くん」
永沢「…」とことこ
藤木「あ…行っちゃった…無視するなんてひどいよ永沢くん…」
―――
――
――学校、朝の会
丸尾「みなさん!算数の宿題はやってきましたか?ズバリ提出するでしょう!」
えー うわぁー やってねぇーしー
永沢「…」ぶつぶつ
丸尾「ん?永沢くん!なにをしているのですか?早く提出してください!」
永沢「…」ぶつぶつ
丸尾「永沢くん!家が大変なのはわかりますが、宿題は小学生の義務なのであって、だから…」
永沢「……うるせえ」
丸尾「はい?…今なんと…?」
永沢「うるせえって言ってんだよぉッ!!このクソズバリ野郎がぁぁぁッ!!!」ばっ
ひゅおおおおおっ!
タマネギクリーチャー「きひひひッ!!」
丸尾「ひええ!な、なんですか!?このたまねぎのおばけは!?」
ぱりんっ!
丸尾「わ、わたくしのメガネが…!」
タマネギクリーチャー「きひひッ!!」ぶんっ
バキッ!
丸尾「きえええええっ!わたくしの腕がズバリ曲がってはいけない方向に曲がってしまったでしょう!」
丸尾「」ばたっ
まるお「遊びでやってるんじゃないんだよ!」
まるお「そんな大人!修正してやる!」
きゃああああああ! うわああああああ!
まる子「な、なんだいこりゃ!?教室中にたまねぎのおばけが…!」
たまえ「こ、こわいよまるちゃん!」
藤木「これは…!」
永沢「ひゃははははは!!クリーチャーども!すべてぶっ壊してしまえッ!!」
タマネギクリーチャーたち「きひひひひッ!!」ゆらゆら
~
永沢が謎の男との契約により得た力、それは自分に忠実なしもべを生み出し自由自在に操る能力!
その名も、狂乱の玉葱畑《オニオンカーニバル》!!!
~
永沢「はははははッ!!死ねぇ!みんな死ねぇ!」
うわああああ! いやああああ!
永沢「最高だッ!最高の気分だッ!この調子で学校中をめちゃくちゃにしてやるッ!!!」ダッ
タッタッタッ
藤木(…!永沢くんが教室の外に…!)
まる子「あ、藤木!危ないっ!」
藤木「…え?」
タマネギクリーチャー「きひひひッ!!」ばっ
藤木(!!…まずいッ!)
ぶおおおおおっ!!
キラッ バンッ!!
タマネギクリーチャー「き…ひッ…?」
タマネギクリーチャー「」がくっ しゅうううう…
まる子「…え?藤木…?」
たまえ「おばけを手を使わずに吹っ飛ばした…?」
藤木「…」
~~数か月前
藤木「…先生」
先生「おや、どうしたんですか藤木くん?」
藤木「僕、みんなに卑怯、卑怯って言われて…こんな自分が嫌いで…どうにかしたいんです…」
先生「おやおや…そうですか、みんなそんなことを…でも私は藤木くんが卑怯だなんて思いませんよ」
藤木「え…?」
先生「私は知っています。藤木くんはとても優しい子だと。ただ、少し臆病なところがあるだけだと思うんです」
藤木「…」
先生「ほんのちょっとでいいから勇気を出すことさえできればきっと自分に自信を持つことができますよ。ただ、焦らなくてもいいんです。少しずつ、自分にできることを考えて行動してみてください」
藤木「…はい。ありがとうございます」
―――
――
藤木(勇気かぁ…)とことこ
藤木(僕に勇気を出すことなんてできるのかな…)とことこ
藤木(ん?)
6年生「おいおいおい!おまえ俺のこと睨んでただろぉオイ!」
低学年の男子「そ、そんなこと…」
6年生「いいからこっちこいよ!おしおきしてやんよッ!」
藤木(…!い、いじめっこだ…!どうしよう、あの子、やられちゃうよ…)
藤木(でも僕が行ったってどうしようもないさ…知らないふりして逃げよう…)
藤木(…あ)
先生『ほんのちょっとでいいから勇気を出すことさえできればきっと自信を持つことができますよ』
藤木(…く!!)
藤木「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ…!」
すっ
藤木「お、おいッ!」
6年生「んあッ?なんだおまえはよぉ!?」
藤木「そ、その子を離せよッ!!嫌がっているじゃないかッ!!」
6年生「あぁ!?うっせぇぞ紫唇!まずはおまえからボコってやんよッ!」ばっ
藤木「!」
6年生「うおらぁッ!!」どかっ
藤木「うぐッ!!」ぐらっ
6年生「おらよッ!」ばしっ
藤木「う、ぐ…!」がくっ
6年生「なんだぁ!?よええなおまえ…おらっ!」げしっ
藤木「かはッ!」ばたっ
6年生「はははははッ!よええくせにのこのこ出てきやがって馬鹿だなおめえよぉ!!」
藤木「…はぁはぁ」ふらふら
藤木(やばいよ…僕、ケンカなんてしたことないのに…!)
藤木(このままじゃ…やられる…!でも…でも…!)
藤木「逃げちゃだめだ…逃げちゃだめだ…」ぶつぶつ
6年生「ああ!?なにぶつぶつ言ってんだよ…!?」
藤木「…」ぶつぶつ
6年生「まあいいか、んじゃ最後に…重いの食らわしてやんよ!」ばっ
藤木「…」ぶつぶつ
6年生「うおらぁぁぁぁぁッ」ぶんっ!
藤木「……らぁッ!」ばっ
キラッ ドンッ!!
藤木「………はっ!?」
6年生「………うぐ」ばたっ
6年生「」
藤木「…今のは?…僕が…?」
~
こうして藤木は自分の秘めた能力に気づいた。彼の能力は手を触れることなく対象の物、人を吹っ飛ばす能力、つまり衝撃波を作る力である!その名も、
卑怯者の計略《スニークアタック》!!!
衝撃波の威力は藤木のさじ加減により調整可能!その気になればコンクリートの壁に穴を開ける威力を出すことができるが、その分藤木の体力も大きく消耗される!
~
~~回想終わり
タマネギクリーチャーたち「きひひひひッ!!」ゆらゆら
きゃーきゃー! たすけてー! うわああああ!
藤木(このたまねぎの怪物は…おそらく永沢くんの能力…)
藤木(つまり、いくら倒したとしても能力者である永沢くんをどうにかしないとこいつらはいくらでも湧いてくるだろう…)
藤木(くっ…!永沢くんを追いかけないとッ!!)ダッ
はまじ「あっ!藤木の野郎ひとりで逃げやがった!」
ブー太郎「卑怯だブー!」
藤木「うるさいッ!!君たちもとっとと逃げろッ!ここは危ない!」タッタッタッ
はまじ「ああッ!?そ、そんなこと言ったって…」
タマネギクリーチャー「きひッ!」ぶんっ!
はまじ「ぐえええぇッ!!」ばたっ
はまじ「」
ブー太郎「はまじーーーッ!!!」
タマネギクリーチャー「きひひひッ!」ずしゃあっ!
ブー太郎「ぶぶぶぶぶぶひいいいいッッ!!」ばたっ
ブー太郎「」
―――
――
――廊下
きゃああああっ! うわああああぁ! いやああああ!
藤木「はぁはぁ!くそッ!あちこちから悲鳴が聞こえる…!早く永沢くんを…!」
野口「…行かせやしない…行かせやしないよ…藤木」
藤木「…!?の、野口!?」
野口「…出てきな」ばっ
にゅおおおおおんッ!
アルベルト「衝撃波を操るだとぉ?ふん、小癪な」
貧乏神「あはははははッ!!!」
藤木「な、なんだこいつは!?」
野口「ふッ…!やっちゃっていいよ…」
貧乏神「あはははははッ!!」びゅんっ!
藤木(速いッ!?避けないと!)
藤木「くそッ!」ばっ
貧乏神「あはははッ!」がっ!
藤木「しまったッ!足にッ…!!」
貧乏神「あは…」しゅうううう
しゅおんっ
藤木「な、き、消えたッ!?」
藤木「!?」がくっ
藤木「な、なんだ…!?足がお、重い…!」
野口「…ぷぅぅぅッ!!」くすくす
~
野口も永沢と同じくして謎の男との契約により能力を手に入れていた!野口の手に入れた能力は貧乏神を生み出し対象に憑りつかせる能力!その名も、
大笑いの厄介者《ヘビーベイビー》!!!
貧乏神1体の大きさはバレーボール程度の大きさであるが、彼らに憑りつかれた体の部位には大きな重力がかかってしまう!
~
藤木「く…!僕はこんな場所で遊んでいる場合じゃないんだッ!」ばっ
野口「元気だね…藤木…」ばっ
にゅおおおおんっ!
貧乏神「あはははッ!」びゅんっ
藤木「…おらあッ!!!」ばっ
キラッ ドンッ!
貧乏神「」がくっ しゅううう…
野口「やるじゃん…次ッ…」ばっ にゅるる
貧乏神「あはははッ!」びゅんっ
藤木「しつこいッ!!」ばっ
キラッ バンッ!
貧乏神「」がくっ しゅううう…
藤木「く…!オラオラオラオラァッ!!!」キラッ ドドドドドーン!!!
貧乏神1~8「」がくっ しゅううう…
貧乏神9~10「あははッ!」がっ
藤木「し、しまった!倒せきれなかったッ!!」
貧乏神9~10「あははッ!」だきっ
藤木「な…!?両腕にッ…!?」
藤木「!?」がくっ
藤木「うおおおおおお!?…う、腕が上がらないッ!」ぶらーんっ
野口「くっくっく…藤木…あんた能力使うとき必ず対象に向かって手をかざしていたよね…?」
藤木「…!」ふらふら
野口「つまり、あんたが衝撃波を撃つことができるのは掌からのみ…だからあんたの腕さえ封じてしまえばこっちのもんだよ…くっくっく…!」
藤木「くそ…!!」ふらふら
野口「私の貧乏神は対象を重くすることはできても攻撃することはできない…だから私が直接あんたを楽にしてあげる…」すっ じゃきっ
藤木(カッターナイフ…!)ふらふら
野口「…さよならッ!」ばっ
ずしゃあああっ!
ドンッ!
野口「…!?」がくっ
野口「うぐッ…!?な、なんだい今のは…?」ふらふら
藤木「僕の衝撃波だよ…」
野口「ど、どうして…?掌は封じたはずなのに…」ふらふら
藤木「残念だったね…衝撃波を使うとき手をかざしていたのはブラフさ」
野口「な、なんだって…!?」ふらふら
藤木「…僕は体中のどこからでも衝撃波を作り出すことができるんだ…まぁ掌以外だと威力は落ちるけどさ…だましていて悪かったね。卑怯とでもなんとでも言いな」
野口「くっくっく…!藤木ぃ…」ふらふら
野口「あんた本当に…卑怯…だ」ふらふら
野口「ね…」ばたっ
野口「」
藤木「……なんとか勝てたな。野口の能力も解除されたようだ…しかし…」
藤木「…くっ!いったいどうなっているんだ!まさか野口まで…!」
藤木「とりあえずまずは永沢くんだ…!あの能力を解除しないと多くの生徒が犠牲になってしまう!」ダッ
タッタッタッ
藤木「!」ピタッ
小杉「藤木ぃ~…!!!」
藤木「小杉くん…?ま、まさか君も!?」
小杉「藤木ぃ~…なんか食いモンを…よこせッ!!!」ダッ ゴゴゴゴゴッ!
藤木「な!?突進してきたッ!?くっ…!」ばっ
キラッ バンッ!
小杉「いてッ!!…藤木ぃぃぃッ!!!」ダダダダダッ!
藤木「なにぃッ!?僕の衝撃破が効いていないぞッ!?」
小杉「うらあああッ!!!」ドンッッ!!
藤木「うぐああッ!!」どかぁぁぁ
小杉「食いモンッ!!!」がぶっ!!
藤木「!?ぐ、ぐああああああッ!!は、離せぇぇぇぇッ!!」ドンッドンッドンッ!
小杉「んぐッ!?…かはあッ!?」ぴょんっ
藤木「はぁはぁ…!なんだと…!?あの至近距離で3発の衝撃破を撃ちこんだのにピンピンしてやがるッ…!!肉体強化系の能力か…?」
小杉「……食~い~モ~ン」ゴゴゴゴゴゴ…
~
なんと小杉も契約により能力に目覚めていた!彼の能力は自分の肉体の強度を限界まで高める能力!その名も、
超究肉体銃弾《ファイト・ファイア・ウィズ・ファイア》!!!
ちなみに能力発動中は彼の知力は3歳児並みまで下がってしまう!
~
藤木「くッ…おらぁッ!!」キラッ ドンッ!
小杉「…!」ふらっ
小杉「食いモン~…」ぴんぴん
藤木「き、効いていない…!なんてこった!…極限まで衝撃破の威力を高めればなんとかなりそうだが、それだと小杉くんの命まで奪ってしまう…!どうすれば…!」
藤木「ん…そういえば…!」
藤木「さっき噛みつかれたとき、小杉くんの背中に子嚢のようなものが見えたぞ…まさかあれが能力の本体かッ!?」
小杉「藤木ぃぃ~…食いモンを…よこせッ!!!」ダッ ゴゴゴゴゴッ!
藤木「来たッ!動きは直線的だッ!うまく避けて背後に回ればなんとかなるッ!」
小杉「うおおおおおッ!!」ダダダッ
藤木「らぁッ!」すっ!
しゅたっ
藤木「よし!背後を取ったぞ!衝撃破を…!」
小杉「おおおおッ!」くるっ
藤木「なにぃッ!?素早く切り返したぁッ!?」
小杉「がぁッ!!!」ぶんっ!
藤木「うぐぅぅぅッ!」どかぁぁぁぁッ!
小杉「食いモンッ!食いモンッ!」
藤木「く…!なんて身のこなし…!やばい…!なにか策はないのか…!」
小杉「食いモン~…よこせぇ~…」
藤木「ん………?そ、そうだッ!!」
小杉「藤木ぃぃ~…早く食いモンを…よこせッ!!!」ダッ ゴゴゴゴゴッ!
藤木「来たッ!」
小杉「うおおおおおッ!!!」ドドドドドッ
藤木「小杉くん、これが何かわかるかいッ!?」すっ
小杉「そ、それは……チョコレートッ!!!!」ドドドドッ
小杉「よ、よこせッ!!!!」ドドドドッ
藤木「いいよ…君にあげるよ。さっさと取りに行き…なッ!!」ぶんっ
小杉「食いモン投げんなッ!うおおおおッ!」ドドドドドッ
小杉「おおおッ!チョコレートッ!」ドドドドッ ばっ
藤木「あ、そうだった……気をつけな?ここは3階だよ?」
どかぁッ!!! バッキーンッ!!
小杉「うぉッ!?」ひゅんっ
小杉「ぬわあああああああッ!?」
ひゅううううううっ!!!
藤木「君は食べ物のことになると周りが見えなくなるからね…窓ガラスに向かってチョコレートを投げたとしても、食欲の権化の君が躊躇なく突っ込んでいくことは簡単に予想できた…」
どーーーーんっ!!!
小杉「ぐふぉッ!!?」ばたっ
小杉「く…食い…モン…よ…こ…せ…」ぐぐぐ…
藤木「3階から落ちたのにまだ意識があるなんてなんて能力だ…でも…」
藤木「背中の子嚢が丸見えだよッ!!」キラッ バキュンッ!!
小杉「!」
小杉「」ばたっ
藤木「僕の衝撃波はライフルのような使い方もできる…修行の成果さ…」
藤木「それにしてもこっそり休み時間に食べようと思っていたチョコレートがこんな場面で役に立つとはね…」
藤木「よし…急ごう!」ダッ
タッタッタ…
―――
――
――屋上
永沢「はははははッ!!!わめけッ!叫べッ!みんな死んじまえッ!」
藤木「…見つけたよ永沢くん」
永沢「んぁ!?…な、なんで藤木くんがここに!?一般人が僕のクリーチャーから逃げ延びることなんて…!」
藤木「あいにく、僕は『一般人』ではないんだ…」
永沢「!?…なるほどね、君も能力者なのか…くくくッ!」
藤木「永沢くん、どうしてこんなことを…!」
永沢「……うるせえ」
藤木「な…!」
永沢「うるせえって言ってんだよぉぉぉぉッ!!君に僕の何がわかるってんだぁッ!!」ゴオオオオオッ!!
藤木「!」
永沢「なにもかも!なにもかも消えてなくなってしまえばいいッ!!全部僕が壊してやるって決めたんだぁぁぁッ!!!」ゴオオオオッ
ひゅおおおおおっ!
タマネギクリーチャーたち「きひ!きひ!きひ!」にゅっ にゅっ にゅっ
しゅばばばばばばばっ!
藤木「たまねぎの怪物がどんどん集まって…合体していくッ!?」
永沢「ひゃはははははッ!!これが僕のとっておきの秘密兵器、憎悪の化身《ハンドレッドヘイトレット》だぁぁぁ!!!」
ヘイトレット「ぐおおおおおおおおッ!!!」
藤木「く…!なんて巨大なたまねぎなんだッ…!!!」
永沢「こいつはいわば僕の分身!僕の心を映し出した怪物だ…!いけぇぇぇ!ヘイトレットッ!ぶっつぶせええぇ!!」
ヘイトレット「ぐおおおおっ!!」ずどおおおんっ!
藤木「く…!」すっ くるんっ
永沢「うまく避けたねぇ!でもこれはどうかな?」
ヘイトレット「ぐおおおッ」ばっ
藤木「!?」
永沢「死ねぇッ!藤木くんッ!!!」
ヘイトレット「ぐおおおおっ!!」どどどどどっ!!
藤木(パンチのラッシュ!…負けないぞッ!衝撃破の連打で防ぎきってやるッ!)
藤木「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」ダダダダダダッ!
ヘイトレット「ぐおぐおぐおぐおぐおぐおぐおぐおぉッ!!!」どどどどどっ!
トイレットペーパーみたいな
藤木「…くっ!」ぐらっ
永沢「今だぁッ!」
ヘイトレット「ぐおおおっ!」どかああぁッ!
バキッ!
藤木「ぐ!?あああああああああッ!!う、腕がぁぁッ!」がくっ
永沢「はははッ!無様だな藤木くん!…そろそろさよならだね」
ヘイトレット「ぐおおおおっ!」ぶんっ
藤木(く…!これまでか…!)
「春先のぉ空にかかった虹の壁ぇ~」
ごおおおんっ! しゅううう…
ヘイトレット「!?」
藤木「あ…れ…?」
永沢「な、なんだ!?いきなり虹みたいなバリアが出現して藤木を守ったぞッ!?」
「危なかったのぉ藤木くん」
藤木「え…!?あ、あなたは………さくらん家のじいさん!!」
友蔵「いやぁ~まる子に頼まれてここまで来たんじゃが、間に合ってよかったよ」
~
なんとまる子の祖父、友蔵も能力者であった!友蔵の能力は詠った俳句に登場した物を具現化する能力!その名も、
友蔵心の俳句《ワビ・サビ・スピリッツ》!!!
ただし、具現化したものは1分で消滅する!彼は戦時中の貧しさが極限に達したとき、この能力を開花させた!
~
友蔵「さてと、永沢くん。なにがあったか知らないが覚悟しなされ」
永沢「けっ!老いぼれに何ができるってんだッ!」
友蔵「うむ…かっこよく決めたのはいいがどうしようかの…」
藤木「さくらのじいさん…あなたの能力は…?」
友蔵「ほっほっほ!わしはのう、読んだ俳句に登場した物を生み出すことができるのじゃ!1分で消えてしまうがのう!」
藤木「なるほど…いい能力だ…その能力を使えば、あの怪物を倒せるかもしれません」
友蔵「おお、本当かい?」
藤木「ええ、そのために具現化してほしいのが…」
友蔵「うむうむ…」
ひそひそ ひそひそ
永沢「なにコソコソしてんだぁ!!来ないならこっちから行くぞおおッ!!」
ヘイトレット「ぐおおおおおッ!!」
友蔵「……わかったぞい藤木くん!でも句が思いつくまで少し時間をおくれ。この年じゃからの。頭の回転が遅くてのう」
藤木「了解です!僕が時間を稼ぎますからなるべく急いでください!」
ヘイトレット「ぐおおおおおッ!!」どがぁっ
藤木「おっとッ!」くるん ひょいッ
藤木(痛ッ!左腕は完全に折れてる…高威力の衝撃波は右手からしか使えない…だが、作戦のために無駄撃ちはできない…!)
ヘイトレット「ぐおおおおおッ!!」どがぁっ
藤木「く…!」すっ
藤木(出来る限り回避でしのがないと…!)
永沢「おらおらぁ!だんだん動きが鈍くなってるぞぉ!」
ヘイトレット「ぐおおおおおッ!!」どんっ! どんっ!
藤木「うおッ!?」すっ すっ
永沢「ちょこまかと鬱陶しいなッ!!」
ヘイトレット「ぐおおおおおッ!!」どしっ!
藤木「くっ…!」ひょいっ
ふらっ
ヘイトレット「ぐおおッ!!」どんっ!
バキッ
藤木「!?ぐああああああッ!右脚があああぁ!?」
永沢「はははははッ!やったッ!もうこれで逃げられないぞッ!」
藤木「はぁはぁ…!」ふらふら
永沢「それじゃあ今度こそ…さよならだあああッ!」
ヘイトレット「ぐおおおおッ!!」ぶんっ
藤木「く…!」
「若人のぉ闘志漲る烈火の銃弾~!」(字余り)
ボボボボボボボッ!!
ヘイトレット「!?」びくっ
永沢「な、な、なんだ!?きゅ、きゅ、急に火の玉がいっぱい出てきたぞ!」ぞくっ
友蔵「ふう…やっと出来上がったぞい藤木くん!」
藤木「ありがとうございます!」
永沢「な、なんだ…この火の玉は…!?」
藤木「……永沢くん…やはり…怪物のさっきの様子から察するにあいつは炎が弱点のようだね…」
永沢「な、なにぃッ!?」
藤木「君は火事のトラウマから炎を異常に怖がる…そしてあの怪物は君の心を映し出した分身なんだろう?」
永沢「そ、それは…!」
藤木「やはりね…ふふふ…!弱点さえわかれば…」
藤木「こっちのモンだッ!!!」ばっ! ボボボボボボッ!
ヘイトレット「!?」びくっ
永沢「なにぃッ!?火の玉を右腕に集めたあッ!?」
藤木「くらえッ!これが僕とさくらのじいさんの連携能力…!」ゴゴゴゴゴッ!
藤木「超疾風火炎連弾《スロゥ・ザ・ファイア&フレイムズ》だぁッ!!」キュイイインッ バッ
ヘイトレット「…!!」
藤木「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」メラメラメラメラメラッ!
ヘイトレット「ぐおおおおおお!?」ぼおおおおッ!
藤木「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」メラメラメラメラメラッ!
ヘイトレット「ぐおおおおッ!!!」ぼおおおッ!
ヘイトレット「ぐおおおぉッ!!」めらめらッ!
ヘイトレット「ぐおッ…!」ぼおッ
ヘイトレット「」しゅうううう…
永沢「そ、そんな…!ぼ、僕のヘイトレットがッ!」
永沢「あ…」がくっ
永沢「」ばたっ
友蔵「能力を強制解除した影響で永沢くんも気絶してしまったが…まぁ、大丈夫じゃろう」
藤木「ええ…しかし、どうしてこんなことに…」
『ふん…どいつもこいつも役立たずばかりだったな…』
藤木「!…誰だッ!!」
しゅたっ
?「うーむ、君が野口、小杉、永沢を倒した能力者か…やるじゃないか少年…」
藤木「な、なんだおまえは!?」
?「私の名前はインチキおじさん…」
藤木「インチキおじさん…?おまえが永沢くんたちを能力者に!?」
インチキおじさん「そうさ…彼らは心に闇を持っていた…それを利用させてもらったのさ」
藤木「なぜそんなことを…!」
インチキおじさん「……この世界は深い悲しみに満ちている…こんな世界なくなってしまったほうがいいと思わないかい…?」
藤木「な…!」
まる子「あたしゃごめんだよ」
かと思ったら
インチキおじさん「…私は世界消滅の野望のために世界中を渡り歩いている」
インチキおじさん「大きく、強い負の感情を持った人間たちを探し出し、能力を与えながらね…」
藤木「…」
インチキおじさん「だが、ここに来たのは無駄足だったようだ…私は次の場所で新たな能力者を生むとしよう」ぴょんっ
藤木「ま、待てッ!おまえを放っておくわけにはいかないッ!!おまえがいる限り犠牲者は増え続けるッ!」ばっ
藤木「くらえッ!」キラッ バンッ!!!
インチキおじさん「ふんッ!」ばしっ しゅううう…
藤木「な!?効いていないッ!?」
インチキおじさん「生半可な攻撃は私には効かない…私は先を急ぐのでね…さらばだッ!」しゅっ
藤木「待てッ!」
しゅるるるるるるッ!!!
インチキおじさん「!?な、なんだ!?巨大な樹木が私の体をッ!?」
「ほっほっほ…!逃がしはしないよ!インチキおじさんよ…」
藤木「あ、あなたは…!」
友蔵「おお!佐々木さんじゃあないかい!」
佐々木のじいさん「ほっほっほ!」
~
清水最強の能力者、佐々木のじいさんの能力!それはあらゆる草・花・樹木を生み出し変幻自在に操る能力!その名も、
創造神の植物図鑑《ディープウッド・インデックス》!!!
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佐々木のじいさん「ほっほっほ!それではお別れじゃのうインチキおじさんよ!」しゅっ
インチキおじさん「な…!?」
佐々木のじいさん「くらいなさいッ!千年樹の貫き《ビッグウッドジャベリン》!!!」
ずおおおおおおおっ!!!ずばああぁ!!
インチキおじさん「ぐあああああっ!!!!」
藤木「すごい…!巨大なヤリがインチキおじさんを貫いた…!」
インチキおじさん「う…ぐ…!」ぐたっ
インチキおじさん「くっくっく…いい気になるなよ…私が死んでもまた新たなインチキおじさんが現れるだろう…!」
藤木「なにッ!?」
インチキおじさん「私は何度でも蘇る…この世に闇がある限り…!」
しゅおんっ
藤木「消えた…」
佐々木のじいさん「ほっほっほ…奴が現れたのは久しぶりじゃのう…」
藤木「佐々木のじいさん?あなたはいったい…?」
佐々木のじいさん「私はねぇ…20代のころから奴と戦い続けているのじゃ…」
藤木「…!」
佐々木のじいさん「さっき言っていた通り、奴はこの世に闇がある限り、何度でも蘇る…奴の野望を阻止するのが私たち光の能力者の役目…」
藤木「光の能力者…?」
友蔵「そうじゃ…実はわしも佐々木のじいさんの結成した光の聖騎士団の一員なのじゃよ藤木くん」
藤木「光の聖騎士団…?」
佐々木のじいさん「ほっほっほ…私の作った能力者のコミュニティじゃよ…インチキおじさんから世界を守るために結成したのじゃ…どうだい藤木くん?君も参加しないかい?君にはその資格がありそうじゃ…」
藤木「……」
藤木「…はい」
藤木「こんな僕でも…世界を守るための力になれるなら…」
藤木「僕も…僕も…!」
藤木「インチキおじさんと戦い続けますッ!!」
佐々木のじいさん「ほっほっほ!いい心がまえじゃ!」
藤木「僕たちの戦いはこれからだッ!!」ドンッ!
おわりッ!
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