櫻子「お前の本当の名前はラフレシアなんだぞ」 花子「え」(169)

花子「そんな訳ないし、花子は花子だし」

櫻子「いや、本当だって、役所にはラフレシアって載ってるの」

櫻子「登録した後に流石に可哀想だって話になって、花子って名前で呼ばれるようになったんだよ」

花子「……そんなの嘘だし、信じないし」

櫻子「そもそも、撫子・櫻子と来て『花子』と来るのはおかしいよね」

櫻子「花の種類じゃないじゃん」

櫻子「確か、書類のコピーがあったはずだから見せてあげるよ」

花子「……」

櫻子「えーと」ゴソゴソ


タッ


櫻子「ほら、これこれ…って」

櫻子「あれ、ラフレシア?」

~公園~

花子(ラフレシアじゃないし、花子は花子だし…)

花子(けど……前から、不思議に思ってた、だって、確かに花子は花の名前じゃないし…)

花子(もしかして、本当に)


パラパラ


花子「……こんな時に、雨とか、最悪だし」

花子(家には帰りたくないし…)

花子(滑り台の下なら、雨宿りできるし…)ポツン

花子(………)

??「もー、いきなり振り出すんだもん!」タッタッタッ

??「ごめん、ちょっと私も入れてね!」

花子(……誰か来たし)

花子(櫻子と同じ中学の制服…今は見たくないし)プイ

??「いやあ、酷い雨だねー」シャガミ

花子(何か話しかけてきたし)

??「傘、一応持ってきてたんだけど、学校に置き忘れちゃってさ」

??「君も、傘忘れちゃったの?ドジ同士、雨が止むまで仲良く雨宿りしよっか!」ニコ

花子(……何か、この人、押しが強くてちょっと櫻子に似てるし)イラッ

花子(無視してやるし…)プイッ

??「あれ、嫌われちゃったかな」

花子「……」

??「んーと……タオル、使う?」

花子「……!」

花子(…髪も服も濡れてるから貸して欲しいけど…)

花子(知らない人から気軽に借りるわけには行かないし)


ファサ


花子「あ…」

花子(頭にタオルかけられた…)

花子「か、貸して欲しいとは、言ってないし、勝手なことしないで欲しいし」

??「ごめん、けど、そのままだと風邪引いちゃうよ?」

??「風邪引くとにがーいお薬飲まなきゃならなくなっちゃうけど…」

花子「……借りておいてあげるし」ゴシゴシ

??「うん、遠慮せず使いたまえ♪」ニコ

花子「……」ゴシゴシ

??「雨、なかなか止まないねえ」

花子「……」

??「しりとりでもしようっか?」

花子「……」

??「りす!」

花子「……」

??「……え、もうギブ?」

花子「……すいか」ハァ

??「か、か、か…カブトムシ!」

花子「鹿」

??「また『か』!?」

??「えーと、えーと…」

花子(……そんなに悩まなくてもいいと思うし)

??「か、か、カサブタ!」

花子「鷹」

??「え、ええー、この子、つええ…」

??「えーと、か、か、か…」

花子「……早くして欲しいし」

??「え、そんな、えと…そうだ、カンダタ子分!」

花子「……プッ」

??「うわ、『ん』ついてた…また負けた…」ガクッ

花子「か、カンダタでいいのに、子分つけるって、意味わからないし」クスクス

??「お、やっと笑ってくれたね~」ニコ

花子「…べ、別に笑ってないし」

??「またまたー、笑った顔、可愛かったよ?」

花子「な、何言ってるか判らないし」

??「おう、また眉間に皺が寄っちゃった」

花子「元々こういう顔だし」

??「ひょっとして、何かお悩みとか?」

花子「……貴女には、関係ないし」

??「まぁまぁ、袖触れ合うも多少の縁って言うしさ」

??「何か悩み事があるなら、ちょっと話してごらん?」

花子「……」

花子(なにか難しい言葉使われたし…袖?)

??「ね?」

花子「……」フゥ

花子(まあいいか、どうせもう二度と会わない相手なんだし)

花子(無視し続けるのも疲れるから、言ってしまおう…)

花子「私の名前、花子って言うんだけど」

??「私は京子、宜しくね!」

花子「いや、自己紹介じゃないし」

花子「…その、花子って名前、実は偽物で、本当は別の名前があったらしいし」

京子「別の名前って?」

花子「…酷い名前だから、言いたくないし」

花子「あまりに酷い名前だから、花子って呼ばれるようになったらしいし」

花子「こ、これって、あんまりだし…」ウルッ

花子「ずっと、ずっと家族から嘘つかれてたんだし」

花子「私、騙されてたんだし…」グスン

花子(泣くつもりなんてなかったのに、涙、出てくるし…)ゴシゴシ

花子「私…これからどんな顔で、家族に会えばいいのか、判らないし」

花子「どうすればいいのか、教えて欲しいし…」

京子「え、私もわかんないよ?」

花子(……この人に聞いた私が馬鹿だったし…)ガクッ

京子「けど、もし帰りたくないっていうんなら、うちに来る?」ニコ

花子「……え?」

京子「ずっとって訳には行かないけど、考えが纏まるまでなら泊まって行ってくれてかまわないから」

花子「……知らない人の家に泊まるとか、ありえないし」

京子「そだね、あんまりおススメしない」

京子「けど、花子ちゃんが本当に帰りたくなくて、このまま滑り台の下で夜を明かすつもりなら」

京子「引っ張ってでも、うちに連れ帰って暖かい食事とお風呂と布団を無理にでも与えたいと思います!」

花子「……」

花子「無関係な人に、そこまでする、理由がわからないし」

京子「無関係じゃないと思うよ、私たち、お互い名乗ったんだから」

京子「それにさ、私も、子供の頃は泣き虫だったから、花子ちゃんの不安な気持ち、ちょっと判るんだ」

花子「私は泣き虫じゃないし」

京子「うん、そうだね、花子ちゃんは、たぶん、私より強い子」

京子「だから、一度、家に戻って、家族に話を聞いてみよう?」

京子「家族が嘘をついてたのだって、別に悪意があった訳じゃないんだろうからさ」

京子「酷い名前ってのも、何か理由があったのかもよ?」

花子「けど…けど…」

京子「それで、もし本当に花子ちゃんが耐えられない理由だったなら」

京子「私の家に、来てくれていいから、ね?」

花子「……」

花子「……わかったし、とりあえず、家に帰ってみるし…」

京子「おー、雨、止んだねえ」

花子「あ、本当だし」

京子「見て見て、花子ちゃん、虹が出てるよ!」

花子「……別に、珍しくないし」

京子「けど、綺麗だよね?花子ちゃんと一緒に見れて良かった」ニコ

花子「……///」ドキン

京子「よし、じゃあ、一緒に花子ちゃんの家に行きますか!」

花子「着いて来てなんて言ってないし」

京子「ツレない事、言わないでよ花子ちゃん」ダキッ

花子「重いし、抱きつかないで欲しいし///」

花子「……まあ、着いてきたいのなら止めないし」

京子「ありがと、花子ちゃん」

花子「何で礼を言うのか、意味がわからないし」

京子「花子ちゃんのお宅拝見~♪」

花子「家には上げないし、家の前までだし」

京子「チェーッ」

花子「……ここだし」

京子「ん、この表札…」

花子「あの、京子……さん」

京子「ん、なに~?」

花子「……話、聞いてくれてありがとう…一応、お礼、言っておくし///」

京子「どういたしまして!」ニコ

花子(櫻子に似てるって思ってたけど、全然違うし)

花子(京子さんのほうが、お姉さんっぽいし)

花子「……じゃあ、行って来るし」

京子「頑張れ~!」

花子「…スーーハーー…」

花子「……た、ただいまだし」ガラカラ

櫻子『あ、ラフレシア、何処行ってたの?ほらほら、これ見て、さっき言ってた書類』

花子『これ……どう見ても櫻子の手書きだし』

櫻子『げ、一瞬でばれた…』

花子『……もしかして、さっきの話…』

櫻子『え、嘘に決ってるじゃん』

櫻子『名前がラフレシアとか、ないって』プププ

花子『……』バコン

櫻子『うわああ、花子が怒ったー!』

花子「まったく、櫻子には困った物だし」ガラガラ

櫻子「いててて、耳引っ張らないでって」

花子「京子さん、ごめん、さっきの話…あれ?」

花子「居ないし…ん、ポストに紙が…」


≪大丈夫そうなので帰ります、お腹も空いたしね!  きょうこ≫


花子「……なにこれ」

花子「……何も言わずに去るとか、正義の味方じゃないのだし」ガク

櫻子「花子、何落ち込んでるの?さっきのは悪かったって」

花子「それは、もういいし…」ガクー

櫻子「何だよ、意味わかんないぞー」ブー

櫻子「あれ、この手紙、歳納先輩?」

櫻子「うーん、けど意味がわからないなあ…どうしてお腹が空いた事の報告を私の家に…」

花子「櫻子」

櫻子「ん?」

花子「京子さんと、知り合い?」

櫻子「うん、学校の先輩だよ」

櫻子「あれ、花子、歳納先輩の事、知ってるの?」

花子「詳しく、教えて欲しいし、興味、あるし」

櫻子「うーん、詳しくねえ」

櫻子「基本的には、私と似てるんだよね」

櫻子「人気があって、明るくて、行動力があって、成績が学年トップで」

花子「最後のは似てないし、というか、学年トップって凄いし」

櫻子「あと、娯楽部の部長で、何時も生徒会と争ってる感じかなあ」

花子「何それ、かっこいいし」

花子(京子さん、歳納、京子さん、もう一度会って、ちゃんとお礼言いたいし)

花子「櫻子、京子さんはうちに遊びに来たりする?」

櫻子「今まで遊びに来たことはないけど…呼べば来てくれるんじゃないかなあ?」

花子「じゃあ、明日呼んでほしいし」

櫻子「え、突然だな花子」

花子「さっきの嘘の件は、それで無しにしてあげるし」

櫻子「へいへい、わかりましたよー」

~翌日~

花子「としのう、きょうこ」

花子「苗字は難しいけど、名前は簡単だし」

花子「京子…と」カキカキ

花子「……」

花子「……花子、と」カキカキ

花子「……なにか、京子と花子って字的に似てる気がするし」

花子「隣に並んでても、違和感ないし」

花子「……それにしても、櫻子、遅いし」ソワソワ

花子(何か、落ち着かないし)

花子(というか、御礼をする相手を呼びつけるとか、良く考えると失礼だし)

花子(本来なら私が出向くべきことだし)

花子(どうしよう、今から櫻子に電話して帰ってもらう…って、それこそ失礼だし)

櫻子「ただいまー」

花子「……!」スタッ

花子「……」ウロウロ

花子「……」ササッ

櫻子「いやー、今日も疲れた…って、花子、なんで冷蔵庫の陰に隠れてんの」

花子「な、なんでも、ないし」

櫻子「じゃあ、どいてよ、ジュース飲むんだから」

花子「……あれ」

花子「櫻子、京子さんは?」

櫻子「……あ、誘うの忘れてた」

花子「……」フゥ

花子(櫻子が馬鹿で助かったし)

花子(やっぱり、私が出向くべきだし)

櫻子「ごめんごめん、そんなションボリするなって」

櫻子「明日、ちゃんと誘ってくるからさ~」

花子「いや、もういいし」

花子「それより…」

~翌日の放課後~

~七森中学~

花子「学校見学の手続きはこれで終了だし」

櫻子「め、面倒くさかったー」ガク

櫻子「花子、御褒美に、それちょっと別けてよ~」

花子「お断りするし」サッ

櫻子「くっ、妖怪ケチケチ2世め…」

花子「まあ、けどお礼は言っておくし」

花子「櫻子が生徒会の役員だから、先生の同行も省けたし」

花子「これで、学校を好きに動けるし」

櫻子「ずっと花子を案内するの、面倒くさいなあ」

花子「学校地図は貰ったから、櫻子は好きにしてくれて構わないし」

花子(その方が好都合だし)

櫻子「マジで?それなら助かる~♪」

櫻子「じゃ、私は生徒会室にいるから!見学終わったらそこに来てよ」

花子「判ったし」

櫻子「じゃ、頑張って見学するんだぞ、花子!」タッタッタッ

花子(まあ、学校見学なんてどうでもいい事だし)

花子(えーと、ごらく部、とか言ってたけど、その部室は…)

花子(あれ、地図に載って無いし)

花子(部活一覧にも載ってないし…あれ?)

花子「……」

花子「しまった、櫻子に聞いておけばよかったし…」

花子「…そうだ、生徒会室に行けば…」

花子「って、生徒会室の場所も載ってないし」

花子「この地図、カス過ぎるし」

花子「うううう…」

花子(ど、どうしよう、私、1人で、地図も当てにならなくて…)

花子「……」ウルッ



『私は泣き虫じゃないし』

『うん、そうだね、花子ちゃんは、たぶん、私より強い子』



花子「……!」

花子「…そ、そうだし、私はこんな事くらいで、泣かないし」ゴシゴシ

花子「全然平気だし、そうていのはんいないだし」

花子「誰かに聞けばいいだけだし」

花子「ちゃんと、京子さんにお礼を言って、これを渡すんだし」ガサッ

花子(よし、あそこで窓から外を見てる女の人に聞いてみよう…)

花子「あ、あの」

??「……」ダラー

花子(うわあ、この人、超よだれ垂らしてるし…)

??「姉さん、綾乃さん…」ダラー

花子(超恐いし、何か言ってるし…)

花子(べ、別の人にしよう…)

花子「うーん、他には誰も居ないし…ちょっと、下の階に降りてみるし…」タッタッタッ

花子「……え、床が、赤い…?」

花子(あ、こ、これ、血だし)

花子(か、階段の下が、血の海に…)

??「ちょっと、千歳、大丈夫なの!?」

??「ええわあ…」ドバドバドバ

花子(女の人が2人、血まみれで…)

花子(恐いなんてもんじゃないし…!)

花子(と、とりあえず逃げるし…!)タッタッタッ


ズドーーーーーーン


花子「な、ば、爆発…?」

??「ごほっ、ごほっ、いやあ、また失敗したな、松本」

??「……」

??「あれ、松本、動かない…大丈夫か?おーい、松本ー」ユサユサ

??「……」

??「まったく、脅かすなよ、松本、よし、じゃあ次の実験だが…」

花子「中学校、恐いし!超恐いし!小学校の非じゃないし!」タッタッタッ

花子「むしろ、魔境と言ってもいいくらいだし!こんな所に京子さんがいるとは思えないし…!」タッタッタッ

花子「とりあえず、危険そうな校舎から離れるし…!」タッタッタッ



花子「はぁ…はぁ…、こ、ここまでくれば、たぶん、安全だし…」フラフラ

花子「あ、あれ…?」

花子(うそ、さっきまで持ってた荷物、なくなってるし)

花子(さっき、校舎内を走ってる時に落とした…?)

花子(せ、折角、用意したのに…)グス

花子「くっ…な、泣いちゃダメだし…」ゴシゴシ

花子(というか、ここは、何処だろう)キョロキョロ

花子「えーと、クズ地図によると、ここは…茶道部室前…?」

花子「……ちょっと疲れたし、ここで休憩させてもらうし…」フラフラ

花子「こ、こんにちわ…」ガラッ


シーーーーーーン


花子「誰も居ないし…」

花子「ふぅ……」グッタリ

花子(予想以上に、こんなんな道のりだし)

花子(やっぱり、私にはまた中学校は早かったみたいだし…)

花子(今日中に、京子さんを見つけるのは、難しいかもしれないし…)

花子(折角、お礼を用意したのに、無くしちゃったし)

花子(早く、笑ってる京子さんの顔、見た…い…し)

花子(けど…もしかしたら…もう会えないん…じゃ……)

花子「……」zzzz

サワサワ

花子「んん…むにゃむにゃ、くすぐったいし…」zzz


サワサワ

花子「ん、んん…やー…」ゴロン


サワサワ

花子「んー…やめてよぉ…」zzz



花子「……は!?」パチッ

花子(あ、あれ、私、寝てたし…?)

京子「あ、起きた、おはよう、花子ちゃん」

花子「京子…さん?」

花子「きょうこさん…」

京子「ビックリしたよ~、部室に来たら花子ちゃん寝てるんだもん」

花子「う、ヒック、きょうこさん、だし…」ウルッ

京子「花子ちゃん?ど、どしたの?何処か痛いの?」

花子「や、やっと、見つけた、京子さん、みつけた…し…」グスン

京子「花子ちゃん、泣かないで…」

京子「えっと、ひょっとして、私を探して学校に…?」

花子「……」ゴシゴシ

花子「……うん」コクン

京子「そっか…」

京子「ごめんね、色々、苦労したみたいだね」

花子「べ、別に、京子さんが謝ることじゃないし」ゴシゴシ

花子「私が勝手にやったことだし、というか、泣いてないし」

京子「そっか、花子ちゃんは、強い子だもんね」

京子「中学校に一人で来れるなんて、本当に凄いよ」ニコ

花子「///」

花子(うう、京子さんの笑顔見てたら、凄い顔が熱くなるし…)

花子(な、なにか、話そらそう…)

花子「そ、そういえば、さっき、何か擽ったかったし…」

京子「あ、ごめん、何か、花子ちゃんの寝顔が可愛いかったから、つい、こう」

京子「髪で作ったコヨリで擽っちゃいました!」

花子「/////」

花子(ね、寝顔見られたとか、不覚だし///)

花子(というか、また熱くなってきたし///)

花子(もう訳がわからないし///)

京子「花子ちゃん、大丈夫?顔が赤いよ?」スッ

花子(あ、京子さんの額が私の額に…)

花子「///////////」

京子「あ、ちょっと暖かい、花子ちゃん、無理したから熱が出てきたのかも…?」

京子「もう、今日は帰ったほうがいいかもよ?」

京子「私への用事なら、また明日聞くから、ね?」

花子(あ、そ、そうだった)

花子(お、お礼、言わないといけないし)

花子「…スーーハーー…」

花子「あの、京子さん」

京子「ん?」

花子「先日は、相談に乗ってくれて、ありがとうございました」ペコ

京子「うお、御丁重に、どうも…けど、結局、答えを出したのは花子ちゃんだし」

京子「私は何もしてないと思うよ」

花子「そんな事、ないし」

花子「凄く、勇気付けられたし」

花子「もし、本当に私の家族が私に嘘ついてたなら、京子さんちの子供になるつもりで居られたし」

京子「うーん、それは惜しい事をしたね、花子ちゃんみたいな妹は大歓迎だし!」

花子「///」

花子「あ、それで、お礼にクッキーを用意してたんだけど…」

花子「ちょっと、何処かに、落としちゃったみたいだし…」ショボン

花子「あ、明日、また持ってくるし」

京子「あれ、クッキー?ひょっとして…これ?」ガサ

花子「あ、そ、それ…!」

京子「いやあ、さっき廊下に落ちてたし、いい匂いがするから持ってきちゃったんだ」

京子「花子ちゃんのだったんだね」

花子「…うん」

京子「じゃあ、はい」スッ

花子「あ、そ、それ、京子さんへのプレゼントだし…」

京子「んー、けど拾った形だし、プレゼントなら、花子ちゃんから直接貰いたいな」

花子「う、うん、判ったし///」ガサッ

花子「…スーーハーー…」

花子「京子さん、先日は、ありがとうございました」

花子「これ、お礼のクッキーです」

花子「あんまり美味しくないかもしれませんけど、食べてください」

京子「ん、ありがとう、花子ちゃん、頂くね」ニコ

花子「……!」ドキン

花子(あ……今気づいた)

花子(この人の事を、好きなんだ)

花子(私は、歳納京子さんの事、好きなんだ)

京子「あけて、いーい?」

花子「あ、うん、食べて欲しいし///」

京子「うわあ、美味しそうなクッキー!」

京子「いっただっきまーす!」パリッ

花子「……」ドキドキ

京子「うまー♪」ポリポリ

花子「そ、そう、良かったし…」ホッ

京子「こんな美味しいクッキープレゼントして貰えるなんて、私は幸せだねえ♪」ポリポリ

花子「そう言って貰えて、私も嬉しいし///」


シトシト


京子「……あ、しまった、雨降ってきちゃった」

花子「あ、ほんとだし」

京子「ごめんね、花子ちゃん、足止めしちゃって…」

京子「あ、傘、今日は持ってきてる?」

花子「……しまった、忘れたし」

京子「私も」

花子「……プッ」

京子「……プッ」

花子「また忘れるとか、ドジすぎるし」クスクス

京子「花子ちゃんこそ、ドジなんだから」クスクス

京子「とりあえず、雨が止むまでここで雨宿りする?こないだみたいに」

花子「構わないし…というか、ここって茶道部部室じゃ?」

京子「あー、茶道部はもう廃部になってるから、大丈夫」

京子「で、そこを我らが娯楽部が乗っ取ってるわけ」

花子(……カッコイイ)

京子「けど、花子ちゃんは、ちょっと熱あったからなあ」

京子「布団あるし、雨が止むまでちょっと横になる?」

花子「い、いや、大丈夫だし」

京子「まあ、そう遠慮せずに」

京子「~♪」ゴソゴソ

花子(こういう強引なところは、やっぱり櫻子に似てるし)

京子「よし、完成!」

京子「さ、休んで休んで!」

花子(……ここまでさせて、横にならないのも失礼だし)

花子「じゃあ、お邪魔するし…」ゴソゴソ

花子「あれ、枕が無いし」

京子「あ、しまった…枕、全部洗濯しちゃったんだ」

京子「まあ、今日はこれで我慢して下さい!」

花子「え、あの…?」

京子「京子ちゃん特製膝枕ー!」

花子「え///」

京子「さあ、遠慮せずに頭を乗せたり太腿を撫でたりするがいいよ」

花子「な、撫でたりはしないし///」

花子(は、恥ずかしいけど、断ると悪いし、仕方なくだし///)


スッ


花子(やわらかいし…)

花子「あの、重くない?」

京子「ぜーんぜん」

京子「いやあ、こうしてると、本当に妹が出来たみたいで、幸せ~♪」

花子(私も幸せだし…)

京子「頭、撫でていい?」

花子「……うん」ポー

京子「~♪」サラサラ

花子(……凄く、安心するし…)

京子「うん、さっきは随分熱っぽかったけど、今はもう下がってきたかな、花子ちゃんの体温」ナデナデ

花子「……うん」ポー

京子「花子ちゃん、眠い?」

花子「大丈夫だし…」ポー

花子(本当に、京子さん、優しくて、素敵だな…)

花子(髪も綺麗だし、身体も華奢だし、顔も可愛いし)サワサワ

花子(恋人は無理でも、私の、お姉さんになってくれないかな…)サワサワ

京子「花子ちゃん、私の髪、気に入ったの?」

花子「え…あ、ご、ごめんだし」

花子(いつの間にか、髪に触ってたし)

花子(どうしよう、言っちゃおうかな)

花子(私のお姉さんになってくださいって)

花子(変に思われるよね、意味わからないし)

花子(けど、京子さん、さっき、私みたいな妹欲しいって言ってたし)

花子(冗談みたいなノリで言ってみようかな…)

花子「あの…」

京子「花子ちゃん、さ」

京子「櫻子ちゃんの事、好き?」

花子「え、あ、まあ、姉妹だから、嫌いじゃないし」

花子「時々、超ウザイいけど」

京子「そうなんだ」クスクス

京子「私は、一人っ子だからさ、そういうのが羨ましいなーって」

京子「さっきも言ったけど、花子ちゃんみたいな妹が居てくれたら良かったんだけどね」

花子「京子さん…」

京子「ま、子供じゃないし、そんな事で拗ねたりはしませんけど!」

花子「京子さん、私」

京子「ん?」

花子「私、京子さんの、妹になってあげるし」

京子「え?」

花子「冗談とか、そういうのじゃなくて」

花子「私、京子さんの、妹に、なりたいし」

花子「あの、勿論、法律とか良くわかんないし…」

花子「私も家を出るわけには行かないけど…」

花子「ずっと、一緒にいたい、っていうか…」

京子「///」

花子「きょ、京子さん、黙らないで欲しいし///」

京子「い、いや、だって、それってまるで///」

京子「結婚してくださいみたいな言い方だし///」

花子「え、あ…」

花子「///////」プシュー

花子「ち、違うし、え、あ、違わないけど、え、えっと///」ワタワタ

京子「…ありがと、花子ちゃん」

花子「京子さん?」

京子「花子ちゃんが私のこと大好きだって気持ちは、ちゃんと届いたよ」

花子「え、あ……うん///」

京子「じゃあ、今日から、花子ちゃんは、私の妹…家は離れてるけど、妹」

京子「それで、いいかな?」

花子「……うん///」

京子「じゃ、これから宜しくね、優しい、花子ちゃん」チュ

花子(あ、額に、ちゅーが…///)


ガラッ


結衣「ごめん、遅くなったね」

あかり「やっと用事終わったよぉ」

ちなつ「京子先輩、1人で寂しくて泣いてませんでした?」クスクス

結衣「あ、きょ、京子、何やってるの…」

あかり「え、子供?」

ちなつ「きょ、京子先輩が、明らかに小学生と思われる子供を連れ込んで…」

ちなつ「布団に寝せて、膝枕して、挙句に額にちゅーしてる!」

結衣「京子、お前、お前…そんな子供が良かったのか…!」

ちなつ「変態!変態!」

あかり「え、え?」

京子「え、え、違うよ、変態じゃないよ!」

花子「そ、そうだし、京子お姉様は変態じゃないし!」

京子「花子ちゃん、よりによってお姉様って呼び方選択しちゃったの!?」

結衣「京子、お、おまえ、1人っ子だろ、何、他所の家の子にお姉様って呼ばせてるの!?」

ちなつ「変態!変態!変態お姉様!」

花子「変態じゃないし!変態じゃないし!」

~帰路~

京子「ふう、何とか「お姉さま」を「お姉ちゃん」に変えて貰う事で誤解はとけたけど…疲れた…」

花子「京子お姉ちゃん、申し訳ないし…」

京子「花子ちゃんが悪いわけじゃないよ~」ナデナデ

花子「///」

京子「ああ、もう可愛いな花子ちゃんは///」ダキッ

花子「あう///」

京子「花子ちゃん、さっきも言ったけど、私、姉妹いないんだ」

京子「だから、スキンシップの限度とか良く判らない」スリスリ

京子「もし、駄目だったら、言ってね」スリスリ

花子「だ、駄目じゃないし、普通だし///」

京子「ん、そっか…」ホオズリ

京子「あ、もう家に着いちゃった…」

花子「……残念だし」ショボン

京子「今日は、もう遅いしね…また、明日、放課後に遊ぼ?」ナデナデ

花子「……うん」

花子(放課後、数時間、遊ぶだけ…になるのかな)ガックリ

京子「じゃ、またね、花子ちゃん」

花子「うん、また、明日、京子お姉ちゃん…」

京子「……よし」

花子「京子お姉ちゃん?」

京子「花子ちゃん、今日、泊まりに来る?」

花子「え…?」

京子「ほら、前も言ってたよね、帰りたくないなら、泊ってくれていいって」

京子「花子ちゃん、今、まだ帰りたくないみたいだから…」

花子「……京子お姉ちゃん!」ガバッ

京子「うわっ、花子ちゃん」

花子「うん、私、京子お姉ちゃんのお家に、泊りたいし!」

花子「まだ、いっぱい、いっぱい、一緒に遊びたい!」

京子「ん、花子ちゃんは、それくらい我儘な方が、いいと思うよ」ニコ

京子「じゃ、花子ちゃんのお母さんに話してから、行こうか?」

花子「うん…!」

今日、私に素敵なお姉ちゃんが一人増えた

優しくて綺麗なお姉ちゃん

私の大切な人

これから、もっと仲良くなって

何時かは恋人に…

なれればいいな…

櫻子「おーい、花子ー?何処いったー?」

櫻子「あーもー、何時まで待っても生徒会室に来ないし、何処に行ったんだよ、あの子」

櫻子「うう、お腹空いた…もう夜なのに…」

櫻子「おーい、花子ったらー、どこー?」





エピローグは思いついたら別スレ立てて書きまーす。
長時間支援ありがとうでした!

向日葵SS書いた時に櫻子の出番0だった事ならあるますん

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